○鮫島
委員 何かよくわからないんだけれ
ども、ちょっと
農林水産省との
関係に絞って残りの時間聞きたいと思います。
私は、
先ほど言ったように、かつて導入研究室というところにいて、余り、石垣島で四年もいた人は少なかったんですが、したがって、そういう出自を持っている人は公務員といえ
ども官僚とは私は呼ばないんじゃないかと思いますが、未納と官僚出身だとダボになっちゃうものですから、せめて未納だけにしていただきたいんです。
農林省というのは、毎年毎年、導入・探索の予算に基づいて栽培種と
関係のある野生種の導入・探索旅行というのをやっていて、年間平均三チームぐらいが諸外国に出ている。稲については、雲南の地区でちょうどモチ米とウルチの間ぐらいの、次の次の品種のネタみたいのを雲南
あたりに探しに行くわけですが、そういう人里離れた山の中で野生種を探すので、いろいろ危ないこともあります。
私は、ちょうどパーレビの末期のイランとかトルコとか、あるいは南米にエネルギー植物の探索等に行きましたが、サツマイモの野生種のイポメア属というもの、ヒルガオなんかもこのイポメア属で、サツマイモと接げる植物なんですが、いい台木がないかというので、農林省から三人のチームがペルー、エクアドルに昭和六十一年の十月に探索旅行に入って、サツマイモの近縁野生種を探しに行ったんです。
あの辺に行くと山奥で、ジープに乗った、武器を持った若い四人組が、一体、警察なのか軍隊なのかゲリラなのか追いはぎなのかわからない、そういう四人組に会ったら、最悪のケースで追いはぎだった。それで、農林省から行った三人組は身ぐるみ全部はがされて、シャツとステテコだけの姿で山中に置き去りになって、ほうほうのていでヒッチハイクをしながら里までおりてきた。そこから領事館に駆け込んで農林省に電話して、大変なことになりました、どうしましょうかと言ったら、農林省がそのまま探索を続けろと。そういう残酷物語があって、でも、そういうところで得られた野生種が、今九州なんかではやっているムラサキイモの開発に結局つながっているんです。
だから、ある
意味では、いろいろな
外来生物を入れてくるというのはもちろん大変プラスの側面もあるんですが、やはりかなり扱いに気をつけないといろいろな
影響がある。
大体、夏の雑草、これは水田雑草でも畑雑草でもいいですが、夏の雑草はほとんどすべて明治以降の
外来種。雑草の種類を調べようと思うと一番頼りになる図鑑は、北隆館というところから出ている「
日本帰化植物図鑑」、これが一番雑草の判定に使えるわけで、それは、特に牧草の導入を通じて、あるいは農業の種を入れるときそれにまざってきて、いかにいろいろな草が明治以降入ったかと。
ですから、農業というのは、今の
特定外来生物による
生態系の攪乱ということから見ると、
被害者でもあり加害者でもあるという側面が大変強いんですが、どうも私の感じでは、私が実際その導入業務をやっているときも、評価項目の中に生産性とか季節安定性とかいろいろな評価項目がありましたけれ
ども、
生態系への負の
影響というのは評価項目に入っていなかったですね。今でも、多分組み換え体の評価項目なんかには入っていますが、一般に、
海外から使えそうな植物を持ってきて評価するときにはそれは入っていないと思うので、ある
意味では、農水省は、少なくとも今までは、いろいろなものを入れてきたときにそれが
生態系にどういう
影響を及ぼすかという視点は欠けていたと思うので、そこは率直に私は認識されていいんじゃないかと思います。
個別の例で聞きますけれ
ども、そういう
意味では、
農林水産省がよかれと思って入れてきたもので、しかし結果的には
生態系にかなりの
悪影響を及ぼしているというもの、多分いろいろ皆さん念頭に置いていると思いますが、そのような例の
一つとして、セイヨウオオマルハナバチの
生態系への
悪影響が最近
指摘されているところであります。
これは、ハウス内の受粉のために大変よく働くということで、静岡県の農業試験場が
最初入れて、何度かテストした後、これでいけるというので、今やかなり全国的に使われるようになっていると思いますが、この群の一部が
人間の
管理環境下から出て、そして一部野生化して
在来のマルハナバチとテリトリー争いをして、移入種の方が優勢だというような報告もありますが、こういう点について、
農林水産省は、このセイヨウオオマルハナバチの
生態系に及ぼしている
被害というのをどんなふうに認識しておられて、もしその
悪影響があるとしたら、どういう
駆除法を具体的に
考えておられるんでしょうか。