○赤松(正)
委員 何だか、中身はいいんだけれ
ども最後の結論部分が余り生産的じゃないなという気がするんですが。
つまり、恐らくそうはおっしゃっても、
石破さんのことだから、研究をだれかに命じるなり自分で夜中にひそかにやっておられるんじゃないかと思うんですけれ
ども、私は、集団的自衛権の問題は、やはり
一つのエポックを画する
状況を迎えた今、やはりきちっとどこかの場で、だれかが議論をしなくちゃいけない。今さっき政治の場でとおっしゃいましたけれ
ども、政治の場というのは、こうやって私
たちが一方的に
政府側に
答弁を求めるという形、公的にはこれしかないんですよ。政治家同士が議論するのは憲法
調査会だけなんですね。憲法
調査会は、幸いなことに、先ほど私が申し上げましたように、社民党の方や共産党の方にどうですかと聞いて、向こうがこう言われるという場面がありますがね。各政党が政党の中で議論するのはあったとしても、なかなか国
会議員同士がきちっとしたルールのもとで議論するなんというのはないんですよ。
だから、
政府としてそういうことを変えるつもりはありませんなんて、そういうふうなことを、
政府だからそういうふうに言わざるを得ないのかもしれませんけれ
ども、もう少しその辺の言い方にも変化があっていいんじゃないのかなという気がしますね。まあ、それはいい。
私は、集団的自衛権問題については、先ほど、坂元さんが言った海外派兵と集団的自衛権を分けるべきだ、これも
一つの
提案だと思うんですが、私はあえて海外派兵というものに対する、さっきグレナダ侵攻だとかなんとかおっしゃいましたけれ
ども、いわゆる能動的集団的自衛権という言葉を私は自分でつくっているんです。
能動的集団的自衛権、つまり、海外における紛争に介入して、出かけていってぼかぼかぼかとやるというのは、これは許されざる集団的自衛権だと思いますが、一方で、受動的集団的自衛権、この受動的という言葉が当てはまるかどうか、的確かどうか、いささか自信があるようで、ないんですけれ
ども、ありていに言えば、公海における米艦船を、
日本艦船がそばにいて、それをどうするかといったときに、今の
政府の解釈では、第一撃が
アメリカに向かっていたらそれを守るのは集団的自衛権、
日本に向かっていれば個別的自衛権という、極めて何かややこしい分け方になってしまう。そういう
一連の
日本周辺の出来事を中心に行われること、あるいは、さっき
大臣御自身が言われた、例えばPKOに出かけていった場合の
対応、あるいは今
イラクにおける
対応、そういった場面の、今言われている集団的自衛権の疑いありとか抵触と言われているものは、私の範疇によれば、そういうのは全部、受動的集団的自衛権という言葉でくくられるのではないかな。例えば、そういうふうに大きくずばっと分けてやる。
その上で、私は個人的見解を申し上げれば、私も、実は集団的自衛権問題について、
政府が解釈を変えればそれで済むんだ、一瞬のうちに済む、こうおっしゃる論者が、有名な方がいっぱいいらっしゃるし、自由民主党の中にもいっぱいいらっしゃるということはわかっていますが、我が公明党赤松正雄はそういう考え方はやはりとらない。そういう意味では、極めて法制局に近いというか、今の
長官に近い
立場でありますが、しかし、いつまでもそうじゃなくて、憲法というものをどうするのかという流れの中で、はっきり言えば、憲法改正という場面でその問題を俎上にのせるべきだ。俎上にのせてオーケーというんじゃないんです、私は。俎上にのせた上で、先ほど言った能動的集団的自衛権はどこまでいってもノーだ、憲法改正してもだめ、しかし、受動的集団的自衛権は憲法改正した上でオーケーとすべきだというのが私の考えなわけでございます。
以上、意見を開陳させていただきまして、次の問題に移りますけれ
ども、
外務大臣、
外務大臣が今回の
所信表明の中で、未来志向の協力
関係というような
お話をされていますね。中国と韓国との
関係、五ページ。中国と韓国との
関係では、「重要な隣国として、国民間の相互
理解・相互信頼を一層増進します。同時に、未来志向の協力
関係を更に推進していきたい」こうおっしゃっている。そのとおりだと思いますが、一点、先般予算
委員会で、今座っておられる長島民主党の
委員が、いわゆる台湾との
関係で彼はかなり詳しく
質問をされております。
私もこれについて、多くを述べる時間もありませんが、一点だけお聞きしたいのは、これは
石破長官も、御自身の御著作「坐シテ死セズ」、私は、これはまた
長官の方に戻っちゃいますけれ
ども、すばらしい本だと思っています。しかし、政治家というのは本を書くべきじゃないという話がありますね。なぜか、縛られるからです。
堂々と
石破さんはいろいろなことをおっしゃっていて、僕はこれは、
石破さん自身は防衛を勉強する人間に対して、「亡国のイージス」とそれから「宣戦布告」とをぜひ読むべきだとおっしゃっているが、多分「坐シテ死セズ」も読むべきだ、こういうことになろうと思いますけれ
ども、この「坐シテ死セズ」の中でもおっしゃっているんだけれ
ども、要するに台湾と中国との
関係。
台湾と中国との
関係というのは、一九七二年の日中共同声明、そしてそれ以来の
一連の
日本国
政府がとってきたスタンスがあります。私は、これは非常に正しいと思います。つまり、
二つの中国を認めた上で、しかし、台湾を中国が一度も友好的にいわゆる領土として持った
経緯がないということについて、中国の主張を
理解、尊重はしても承認はしないという
日本の姿勢というのは、私は的確な姿勢だろうと思うんです。
そういう前提に立って、今回、
外務大臣が、総理にもちろん
相談されたと思うんですが、台湾当局への申し入れを、内田交流協会台北事務所長を通じて台湾に申し入れをされた。初めてこういうことをされたというのは、私はやはりちょっとこれは、内政干渉という言葉が当てはまるかどうか、一国という形態をとっていないという言い方をすれば、内政干渉じゃないという言い方かもしれませんが、ちょっと介入し過ぎであると思います。
それについてどうこう言いませんが、これを百歩譲って認めたとして、では中国に対して——九六年、中国がああいう台湾海峡にミサイルをぶち込むということをやった、それは、その前に台湾が、李登輝さんが今回と同じようなことをやったから中国もやむを得ずミサイルをぶち込んだんだというふうなスタンスにどうも立っておられるかのごとき
発言を民主党
委員との間にされている。要するに、いろいろな選択肢を持っている
アメリカでさえ台湾に対して注文をつけているじゃないか、だから、
日本がやってなぜ悪い、こういう
外務大臣の御
答弁だったと私は聞いているんですが、そうじゃなくて、というよりも、それを百歩譲って認めたとして、では中国に対して、ミサイルをぶち込むようなことはやり過ぎじゃないのということが、いろいろな場面で私はあっていいと思うんですけれ
ども、かつて、九六年前後に
日本国
外務省はそれをされたのかどうか。あるいは、今回の台湾に対する申し入れと相前後して、
日本国
政府は中国に対して一言何かを言った場面があったのかどうか、
外務大臣の御
答弁を聞きたいと思います。