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国務大臣(川口順子君) よくアメリカが単独主義であるというふうに言われます。そのジョーゼフ・ナイ教授のその本も、片方で単独主義、片方で国際協調主義ということをおっしゃっていらっしゃるというふうに思いますけれ
ども、単独主義ということを言ったときの実はその定義、何が単独主義かということについては余りはっきりしていないというのが現実だろうと思います。
実際は、片方の極端なところで単独主義、また別な軸に多国間主義といいますか、そういったことがあって、相対的な問題として、それぞれの
政策についての米国なり、あるいはほかの国もそうですけれ
ども、判断がそのどこかの軸の中にあるということが現実ではないだろうかというふうに思います。それで、米国の中でもいろいろな、
委員おっしゃられましたように、いろんな意見があるわけでして、これはアメリカの
政策決定の過程で様々な形を取って表れてきていると思います。
よく、
日本がアメリカ追随ではないかという御
批判が非常にありますけれ
ども、私は、
日本がアメリカとの関係をどこに押さえるのかということは、正に何が
日本の国益かということで考えるべき話だろうと思います。我が国の国益を考えますときに、日米が協調していくというのはこれは当然に国益から出てくることで、これは安全保障の点からいってもほかの点からいっても出てくることだろうと思います。
そして、そういった日米協調を大事にしながら、また国益からいって国際協調というのは出てくるわけですから、そこで我が国の目から見て主体的に判断をしたときに、米国の行動が、日米の協調という、あるいは単独主義に行っているということであった場合には同盟国として
日本はアメリカに対してアドバイスをすべきであって、それは
小泉総理を始めとして我が国としてずうっとやってきているということだと思います。
よく、独仏ロのような、アメリカに対して物を言えという御
批判ございますけれ
ども、独仏ロのようにアメリカと対峙をして、軸を変えて意見を言う立場と我が国は立場が異なっている。イギリスと
日本というのは立場が異なっているわけで、異なっているわけで、アメリカのそばに立って、そしてアメリカにアドバイスをしていくというのが我が国の立場であると思います。そういうことをしたときに初めて、国際協調を言う我が国の声が、
小泉総理の声がブッシュ大統領に、あるいはアメリカ
政府に聞いてもらえて意味を持つ、役に立つ、実際にそうなるということであると思います。
時間がありませんので余り例を申し上げられませんけれ
ども、例えば、(「時間はあるよ、十分ある」と呼ぶ者あり)ありますか。イラクの武力行使の前に、我が国としてはずうっと、これはアメリカ対サダム・フセインではない、大量破壊兵器の問題あるいはその懸念を持たれているイラク対国際社会の問題である、そのように考えるべきだというアドバイスをいたしました。
総理もブッシュ大統領におっしゃっていただきましたし、私も言いました。
また、この間のスペインであった復興のための支援会議ですけれ
ども、これは我が国が、正にイラクの復興は全部の国が一緒になって、国際社会が一緒になってやるべきだということで、ああいった会議の、形の会議を持つということをずうっとアメリカとも話をし、そして
日本は共同議長国の一つとしてあれをやったということでございます。
それから、ごく、もっと最近ですと、今国際協調という形を取ってイラクに対して復興をすることが大事ですから、私はこの前、十月にアラブの国にも行きましたし、それからフランス、ドイツ、ロシアの
外務大臣とも電話をして、もっと国際的に協調した形でイラクの復興を働き掛けることが大事だということも言っております。
いろいろな形で、
総理を先頭にして、我が国の
政府というのはそういう
努力を、アメリカのそばに立って、聞いてもらえる、実際に効果があるということを目指してやってきているということを申し上げたいと思います。
そういう意味で、我が国は、日米同盟あるいは日米協調というのは我が国の国益の一つであります。国際協調も、それもそうである。それが実際の
政策でそういうふうになるような形で、それを最善を尽くして進めてきている。それが
政府の考え方であり、やってきていることでございます。