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佐藤道夫君 何か率直に言いまして、何も検討していなかったと。
アメリカもそうだし、
日本もそうだろうと。そんなことは我々
関係がないとでも考えておられたのかどうか。
日米同盟という言葉を、私嫌いなんですけれども、
小泉総理もよく使われる。やっぱり、
同盟国であればそういう問題について
意見を交換する。これだって大事なことなんでありまして、被告人というか容疑者が無法者だからこっちも法律なんか無視していいなんて、そんなものじゃないことは確かですよ。絶対大事なことです、これは。相手側が山口組であればあるほど、こちらは、警察は法律をきちっと守って攻めていくというのが、これは捜査のまた大原則でもあるわけですからね。
それで私、物の本で読んだこともありますし、またアラブの知り合いからも聞いたことがあるんですけれども、もう何年も前の話ですけれども、フセイン大統領というのはアラブのシンボルだ、アラブの星だ、本当に我々の期待の人物なんだと、こういうことを言っておりまして、確かに彼は本当に貧しいところからはい上がるようにして
努力をして
イラク一国を支配するようになる、本当に豊臣秀吉以上の存在かもしれませんよね。そうして、イラン・
イラク戦争で
アメリカと一緒になってイランを攻めたと。あの辺りは彼が人気絶頂で、それのちょっとやり過ぎたのがあの湾岸
戦争ということになるわけで、シンボルも若干色あせたことは間違いない。しかし、今でも
イラク人のあるいはアラブ人の相当多数が、あれはアラブの星なんだ、我々の
希望の星だと、こういうことで仰ぎ見ていることは間違いないわけです。
ですから、そういう者を裁くには本当に慎重にも慎重を期して、どうでもいいやなんということですぐ死刑にしろなんということは絶対に心すべきことでありまして、それだからこそ慎重を期して、結論はどうなるか、多分死刑になるんでしょうけれども、
アメリカ人というのはやや感情に走るところもないわけではない。適正手続という法律用語がありまして、手続を踏んで裁判をする、それが法治国家として当然のことなんだと。これは、私からあれこれ言わなくても当たり前のことなんです。特に、相手がフセイン元大統領なんかの場合には、本当に一歩の無駄もなし、間違いもなしに正道を歩んでいって、
最終結論に達すると。もし証拠が不十分なら不十分、これは無罪にせざるを得ない、それぐらいの気持ちで裁判に臨むべきだろうと。
こういう思いがするわけで、軍法会議にかけて簡単に死刑にしてしまえとか、それから
イラク人を入れて、大体選択するときはフセインに反対派を採用することは間違いないですから、最初から結論が出ていると。そういう場合には、むしろ日ごろからフセインに反感を持っていたような法律家を入れるように
アメリカが気配りをするとか、軍法会議で簡単に判決しちゃうなんということはすべきではないということも、皆さん方、機会あれば
アメリカの指導者層にそういうことを伝えておいて、慎重を期してほしいと。
最初から死刑と決めて判決をする、これはもう裁判官として一番非難されるべきことなんです。顔を見たら、あいつはいかにも悪者だ、あいつは有罪だなと、こんな裁判官はもう裁判官の資格はないわけでありまして、こんなこと私が言うまでもなくお分かりと思います。これから、本当にこの問題、フセインをどう裁いていくかと、文明のあかしが問われていると、こう考えてもいいと思いますよ。
それから、イスラムの星を撃ち落としたと、こういうふうにイスラム教徒たちは思っておるわけですからね。キリスト教にまたやられたと。その感情というのはどうしたって抜け切ることはできないわけですよ。そして、
日本、いつの間にかキリスト教の側に立って我々を攻めてきている、何だあいつらはと、こういう感情にもなって歴史の上に汚点として残らないとも限らない。やっぱり
アメリカ人に言うべきことを言うと。彼らを、理解はいいんですよ、多分耳が痛いと思うんですけれども、なるほどそういう考えもあるんだねと、非常に分かりいい民族であることも確かですから。どうかそういう機会を利用して、こういう考えもあると、皆さん方の考えを伝えて、慎重にも慎重を期してほしいということを言ってください。ブッシュ大統領だって必ず分かるはずです。彼、感情に駆られて物を言っているようですけれども、そんなことはないと思いますので、機会を見てよろしくお願いしたいと、この場をかりてまたお願いいたします。
それから、
外務大臣にお尋ねいたしますけれども、
日本の
イラク大使館の者が二名亡くなったと。大変痛ましいことなんですけれども、あの報道を見ていて、私、大変おかしいなとやっぱり思うんですけれども、危険、一種の危険地帯でしょう、
イラクの北部ですから。あそこに出掛けて行くのにガードマンを付けなかったと。これは一体何なんだと、こう思って新聞などを読みましたら、亡くなった参事官の
希望であったと。かえって人目に立つような護衛を付けたりすると攻撃されるからと、こういうことで護衛は付けなかったんだと。しかし、あの乗っていた車、自動車が
テレビに何回も映されておりまして、立派な立派な、本当に立派な車ですね。ああいうものに乗って人目に立つも立たないもないでしょう。だれだってあれを見たら一発やってやれという気が起こるのは当たり前のことなんで、なぜ、だれの判断でああいう豪華な車に乗って、そして護衛も付けずに出掛けていったのか、これが一点と。
それからもう一点は、
イラクの、
イラク大使館の
責任者というのは一体どこにいてだれなんだと。これは新聞などにも一切出てこないんですよね。
国民も皆、先生、分かっていますか、教えてくださいと、どこにか逃げていったんですかと、けしからぬにもほどがありますよと。大使館、
外務省に聞いたら、何か
日本にいると、現地には臨時大使がいる。その臨時大使なる者も全然表に出てこないでしょう。普通はああいう事件が
自分のおひざ元で起きたら、
イラク大使館の
最終責任者はその臨時大使ですからね、彼がきちっと記者会見をして、
国民の皆さんに御心配を掛けましたと、こういう点、こういう点、こういう点、最大の注意は払いましたけれども、やっぱりどこか抜けていたのでこういう悲劇を招くことになりました、本当に申し訳ないと、記者会見で
自分の、その省庁の
意見をきちっと言う。例えば、警察署が、警察の不祥事があった場合は、大体の場合、警察署長が出てきて申し訳なかったときちっと謝るでしょう。あれが役所として当たり前なんです。
どうしたんですか、その臨時大使とか大使とかいう連中はどこかに逃げていっちゃったんですか、本当に。教えてください。