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2003-12-16 第158回国会 参議院 外交防衛委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年十二月十六日(火曜日)    午前九時二十五分開会     ─────────────    委員の異動  十二月四日     辞任         補欠選任      矢野 哲朗君     若林 正俊君  十二月五日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     矢野 哲朗君  十二月十一日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     山口那津男君  十二月十五日     辞任         補欠選任      河本 英典君     小林  温君      桜井  新君     有村 治子君  十二月十六日     辞任         補欠選任      有村 治子君     福島啓史郎君      小林  温君     関口 昌一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 佐藤 昭郎君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 有村 治子君                 小林  温君                 関口 昌一君                 月原 茂皓君                 中島 啓雄君                 矢野 哲朗君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 山口那津男君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        嘉数 知賢君        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣法制局長官  秋山  收君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省条約局長  林  景一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置  に関する基本計画等に関する件)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会内閣法制局長官秋山收君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、外務大臣官房長北島信一君、外務大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君及び外務省条約局長林景一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 外交防衛等に関する調査のうち、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画等に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。山崎内閣官房長官
  5. 山崎正昭

    内閣官房長官山崎正昭君) ただいま議題となりましたイラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の概要について御説明いたします。  この基本計画は、イラク人道復興支援特措法に基づいて実施する対応措置について、その基本方針対応措置に係る基本的事項対応措置種類及び内容対応措置実施する区域範囲自衛隊部隊等規模構成装備派遣期間等について定めるものです。  まず第一に、基本方針について御説明いたします。現在、イラクにおける主要な戦闘は終結し、国際社会は同国の復興支援に積極的に取り組んでいますが、イラクの再建は、イラク国民中東地域の平和と安定はもとより、我が国を含む国際社会の平和と安全の確保にとって極めて重要です。このため、我が国は、イラク復興のため主体的かつ積極的にできる限りの支援を行うこととし、イラク人道復興支援特措法に基づき、人道復興支援活動中心とした対応措置実施することとします。  第二に、人道復興支援活動実施に関する基本的事項について御説明いたします。イラクでは医療等分野中心に早急な支援が必要であり、自衛隊部隊イラク復興支援職員は、関係在外公館とも密接に連携して一致協力して復興支援に取り組むものとします。また、現地社会との良好な関係を築くことも重要であり、できる限りの努力を行うこととします。  第三に、人道復興支援活動種類及び内容についてですが、自衛隊部隊による人道復興支援活動については、安全対策を講じた上で、慎重かつ柔軟に医療給水学校等公共施設復旧整備及び人道復興関連物資等輸送実施することとします。また、イラク復興支援職員による人道復興支援活動については、治安状況を十分に見極め、安全対策を講じ、安全の確保を前提として、慎重かつ柔軟に医療イラク復興支援する上で必要な施設復旧整備及び利水条件改善実施することとします。  第四に、人道復興支援活動実施する区域範囲について御説明いたします。自衛隊部隊による人道復興支援活動実施する区域範囲は、医療給水及び学校等公共施設復旧整備についてはムサンナー県を中心としたイラク南東部とします。人道復興関連物資等輸送に関しては、航空機による輸送についてはクウェート及びイラク国内飛行場施設とし、車両による輸送についてはムサンナー県を中心としたイラク南東部とし、艦艇による輸送についてはペルシャ湾を含むインド洋とします。  イラク復興支援職員人道復興支援活動実施する区域範囲は、医療についてはイラク国内における病院・医療施設とし、イラク復興支援する上で必要な施設復旧整備についてはイラク国内における浄水場等公共施設とし、利水条件改善についてはムサンナー県を中心としたイラク南東部とします。  第五に、人道復興支援活動外国の領域で実施する自衛隊部隊及び派遣期間について御説明いたします。  まず、部隊規模構成装備について申し上げます。医療給水及び学校公共施設復旧整備を行うための陸上自衛隊部隊については、人員六百名以内、ブルドーザー、装輪装甲車、軽装甲機動車その他の車両二百両以内と、安全確保に必要なけん銃小銃機関銃、無反動砲及び個人携帯戦車弾とします。人道関連物資等輸送を行う航空自衛隊部隊については、輸送機その他の輸送に適した航空機八機以内と、安全確保に必要なけん銃小銃及び機関けん銃とします。陸上自衛隊輸送等を行う海上自衛隊部隊については、輸送艦その他の輸送に適した艦艇二隻以内及び護衛艦二隻以内とします。  次に、派遣期間については、平成十五年十二月十五日から平成十六年十二月十四日までとします。  第六に、国際連合等に譲渡するために関係行政機関がその事務又は事業の用に供していた物品以外の物品を調達するに際しての重要事項として、政府イラク復興支援職員公共施設に設置する発電機及び利水条件改善を行うに必要な水・給水設備を調達するものとします。  第七に、その他人道復興支援活動実施に関する重要事項として、我が国は、人道復興支援活動を的確に実施し得るよう、国際連合等と十分協議し、密接に連絡を取るものとします。  第八に、安全確保支援活動実施に関する事項として、人道復興支援活動を行う自衛隊部隊は、人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で、安全確保支援活動として、医療輸送、保管、通信、建設、修理若しくは整備、補給又は消毒を実施することができるものとします。また、安全確保支援活動実施する区域範囲は、自衛隊部隊人道復興支援活動実施する区域範囲とします。  第九に、対応措置実施のための関係行政機関連絡調整及び協力に関する事項として、内閣官房中心防衛庁自衛隊内閣府及び外務省を始めとする関係行政機関の密接な連絡調整を図り、必要な協力を行うものとします。  イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置実施は、我が国が、世界の他の多くの国とともに、イラク復興支援し、中東地域及び世界の平和と安定に寄与しようとする取組に一層積極的に参画することを意味するものです。政府としては、基本計画に定められた対応措置を、安全の確保に十分配慮しつつ、円滑かつ適正に実施していくため、全力で取り組む所存でありますので、御理解、御協力をお願い申し上げます。  以上でございます。
  6. 山本一太

    委員長山本一太君) 以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  7. 山本一太

    委員長山本一太君) この際、一言申し上げます。  去る十一月二十九日、イラクにおいて、復興支援に従事されていた在英国日本国大使館奥克彦大使、在イラク日本国大使館井ノ上盛一等書記官及び現地職員が、官用車での移動中、何者かに襲撃を受け、不慮の死を遂げられました。誠に哀悼痛惜に堪えません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  どうぞ御起立をお願いします。黙祷願います。    〔総員起立黙祷
  8. 山本一太

    委員長山本一太君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  9. 山本一太

    委員長山本一太君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 小泉総理、そして石破防衛庁長官川口外務大臣、御苦労さまでございます。  今日の質疑は、基本計画に基づく、基本計画を決定された、この閉会審査最終日でございます。閉会審査の、二日しかございませんので。しかし、イラクへの自衛隊派遣を決定する、特措法ではイラク自衛隊派遣することができる、しかしこの基本計画では派遣するといった意思をしっかり示したわけでございまして、非常に極めて大事な審議でございます。恐らく、多くの国民が、そして特に自衛隊員派遣を覚悟した自衛隊員、そしてその家族はかたずをのんでこのテレビを見ているのではないかと推察するわけでございます。  昨日も、衆議院審議が午後からテレビ中継されたわけでございます。私もこれを見ていまして、質疑がしっかりかみ合って、国民がこの問題についていろいろ知りたい、疑問があるといったこの疑問をしっかり答えているかどうかという点を考えてみますと、やはり十分ではなかったのじゃないかと、こんなふうに思います。  総理もお読みになったと聞いております、解剖学者養老孟司さんのベストセラー、「バカの壁」というのに書いてあることは本当なんだなということをちょっと一瞬感じたわけでございます。人間は話せば分かるというのは大うそであると。人間脳出力というのはyイコールaxという一次方程式になっていて、聞きたくない話、嫌いな話になるとこのaがゼロになったり、マイナスになっていくと。何回話してもかみ合わないんだというのが言っておられたです。  私は、基本的に、今日は与党の立場を離れて、できるだけテレビを通じて国民皆様方イラクへの自衛隊派遣に関する情報を分かりやすく提供する、そういう点に立ってひとつ質疑を始めたいと思います。  日本の国会における防衛論議、昨日の野党との戦闘地域議論はこれ典型でしたけれども、どうしても難解になるんですね。しかし、これは憲法九条を守るという、そしてそれを守りながら自衛隊を出すというためにはどうしても避けられないんです。憲法改正まで自衛隊を出さないというのならこれはある意味分かるんですけれども、そうではない。PKOも憲法を守りながらやってきた。この論議は難解ではあるけれども、ごまかしとかいい加減なものではないんですね。今日は、石破防衛庁長官にも私の疑問にしっかり答えて、国民に向けて説明していただくという気持ちでひとつお願いしたいと思います。  そこで、世論調査では、残念ながら現時点で自衛隊派遣に賛成の国民は半分に達していない、しかしイラク復興支援日本が貢献すべきだという人は六割を超えているわけでございます。また、平成十二年に防衛問題に関する世論調査、これは防衛庁が行ったんですけれども、自衛隊に関する全般的な印象では実に八二%の人が好意的な印象を持っておられる。  総理談話にもあります、組織の力を生かし効果的な人道支援を継続的に行い得るのは自己完結性を持った自衛隊においてほかにないという意見を本当に共有してもらいたいと、こう思うわけでございます。  そして、自衛隊幹部発言もございました。命には当然従うが、少なくとも半分以上の国民の支持が欲しいという発言がありました。これは痛切であります。けなげであります。このような発言を聞くこと自体が私は政治の責任が問われているのではないかと思います。  その上で、憲法、法律の解釈の論議よりも、自衛隊の現場の活動、隊員の安全確保に重点を置いて、ひとつ総理にお願いしたいと思います。  それからもう一点、最後に、この多分日本国内論議は、アルカイダ等テロリストも多分注意深く聞いているんじゃないかと思うんです。奥大使井ノ上書記官のこの非業の死に強い憤りを忘れずに、テロリストには決して屈しない、ならないという思いで御質問したいと思います。  まず、総理小泉総理にお伺いいたします。  この自衛隊派遣を決定する基本的な認識は、私は、十二月九日の総理談話総理記者会見での発言で尽きていると思います。しかし、ここで、先ほどの、国民に対して、今日は最終閉会審査最終日でございますから、更に分かりやすく、今回のイラク復興人道支援のこの意義について、テレビを通して国民に再度御説明をひとつお願いしたいと思います。
  11. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクの国が将来安定した民主的政権として立派に発展していただきたいというのは、日本国民ならず世界の多くの国民、国が願っていることだと思っております。  できるだけ早くイラク人イラク人による政府を立ち上げて、希望を持ってイラク国民が自らの国づくりにいそしむような環境を作っていこうということで、今、米英始め各国国々部隊を送って、それぞれの任務を果たそうとしている。そういうときに日本として何ができるかと。資金的な支援、物的な支援、人的な支援日本にふさわしい主体的に考えていかなきゃならない支援、いろいろあると思います。  そういう中にあって、今世界の中で、アメリカ日本経済規模を含めますと、約四割近くを世界のGDPで日本アメリカが二国で占めていると。かつて日本が、アメリカ始め各国から戦後援助を受けた、そして発展してきたという国から、むしろ援助大国と言われるように、世界国々支援をできるようにまで国民努力によって発展、成長してきたわけであります。そういう中にあって、まあ、今後日本自分のこと、この国だけ考えればいいという状況じゃないと。世界から、日本も、その発展した国としてどのような貢献が必要かということを期待していると。同時に、現在国連におきましても、加盟国に対してイラク復興支援努力するようにという訴えも来ている。  なおかつ、日本の平和と安全を確保する、これは日米同盟基本であります。日本一国だけでは日本の独立、平和、安全を確保できない。だからこそ、日本の唯一の同盟国であります米国と日米安保条約を提携して日本安全保障確保している。同時に、日本としては国際社会の中で孤立してはいけない。国際社会と協調していくことが戦後、敗戦後、発展させる道だということで、日本の安全と繁栄を図るためには日米同盟関係を強化していこう、そして世界の中の日本として繁栄していくためには国際社会から孤立しない、協調していこうということが今までの日本外交方針であったわけであります。基本方針であります。この方針は過去も現在も、私は将来も変わらないと思っております。また、変えてはいけないと思っております。そういう中で、日本が今、イラク人希望するような、またイラク人から歓迎されるような復興支援をすべきだと考えております。  その際に、それは金だけ出せばいいという状況じゃないと。できるだけの人的な支援、汗もかいていこうと。そういうやさきに日本の貴重な外交官二人があの残虐非道な犯行で命を落とされました。あの付近では、日本外交官のみならず、他の国の軍人でない方々も襲われて命を落としております。そして、このイラク情勢におきますと、国連の本部が襲撃されてデメロ氏が亡くなる、あるいは赤十字まで攻撃すると。なおかつ、米英軍のみならず、またそれに協力している軍隊の人々のみならず、復興支援に何とか自分の国を立ち上げようと努力しているイラク人に対してまで襲撃している、殺害している。  こういう状況にあって、私は人的支援という、人的な支援をしようという場合に、果たして自分安全確保もままならない、あるいは日ごろからどのような危険に対して回避する策も訓練していない、防止策も取り得ないという人を復興支援といって送ることができるかというと、これは無理だろうと。もし行った場合に、他国の軍隊自分の安全を確保してくださいと頼まざるを得ない。あるいは自分ホテルはどうやって安全確保させるんだと。いろんな活動もどのように自分活動分野があるんだろうかということは、個人で行くにはなかなか難しいと。NGO支援していこうと。NGO民間人は今引き揚げている状況です。じゃ、国連関与しなさいと。国連安全確保対策にはできない、腰が引けている状況であります。  となれば、今全世界国際社会米英軍に撤退しろと言っていません。治安確保、安定のためには今の占領当局行政当局治安確保が必要だと言っているんです。日本としては、そういう場合、人的派遣を考えた場合に、自分安全確保策もできると、なおかつ日ごろから十分な訓練をしている、そしてホテルも泊まらないで自分宿営地も作ることができる、近くに水があれば自分で水をきれいにしてその水を使うこともできる、物資も持っていって自分たちで料理することもできる、そういう自己完結性を持った人的支援を考えると日本には自衛隊しかいない。  自衛隊が行くから戦争だという見方されている方がおります。今でも自衛隊戦争に行かせるなというデモで歩いている方もいます。しかし、自衛隊が行くから戦争に行くかと。そうじゃない。自衛隊が今回派遣される場合にも、戦争ではない、武力行使はしない、戦闘行為には参加しないと。人道支援復興支援自衛隊でできることをやろうと、その地域も非戦闘地域よく見極めて派遣しますと。  私は、そういう観点から、これは自分の国のことだけ考えないで、よその国が苦しんでいるんだったらその発展のために手をかすということが、自国の主権を外国から認められると同じように、外国と対等な関係に立とうとする、立とうとすれば、それは日本責務じゃないかと憲法の前文で言っている。そういうことを考えると、私は、今回の自衛隊派遣は、まずイラク人希望を持って自らの国の発展のために努力していこうとする、そのイラク人が必要とし歓迎されるような活動自衛隊諸君に行ってもらう。  同時に、今、長年の同盟国であるアメリカが大きな犠牲を払いながら、イラクテロリスト温床になったらどこの国が困るんだと。日本だけじゃありません。世界が、あのイラクテロリストの拠点になったり温床になったりしたら不安におびえなきゃならない。なおかつ日本は、エネルギーの面においても中東には、八〇%以上あの地域石油エネルギーを依存しております。あの地域の安定というのは、日本経済発展のために欠かすことができない、日ごろの生活からいっても。そういう点に私は、アメリカが今苦しんでいる、同盟国が大きな犠牲を払いながら、イラクの安定した民主的政権を作るためには、世界が大きな関心を占めている、各国協力していこうというときに、同盟国として、安全でないから日本はいたしませんということが、同盟国として、信頼に足る同盟国と言えるのかどうか。  そして、国連全会一致で、すべての加盟国で要請しているんです、その国の事情に応じて復興支援努力してくださいと。イラク人のため、まず。イラクの安定は、日本のみならず世界の安定にとって、平和にとって必要だと。同盟国責任としてアメリカ協力する、これも日本の国益にかなう。なおかつ、国際社会の中で日本は国力にふさわしい責務を果たす。正にイラク人のためであり、日本のためであり、同盟国であり、国際協調体制を図る責任として、この支援活動が、私は、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法の理念に合致しているんじゃないかと。普通の人には行けない。自衛隊だからこそ、訓練もし、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めると宣誓して、志願して自衛隊に入隊している諸君だからこそこういう仕事ができるのではないかと。  こういう、危険を伴うかもしれない困難な任務に赴こうとしている自衛隊諸君に、また自衛隊家族の皆さんには、私は心から敬意を表したいと思っております。願わくば、多くの国民が、普通の一般の市民にはできないイラク人道復興支援に当たる自衛隊諸君に対して敬意と感謝の念を持って送り出していただければ有り難いと思っております。
  12. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 最後の点は本当に特に大事な点だと、こんなふうに思います。  さて、一方で、昨日来の論議、まずマスメディアの報道なんか見ていますと、戦争の大義という点が一つ議論になっております、大量破壊兵器が未発見だと。イラク治安情勢がだんだん悪化してきている、だから武力行使を支持した政府対応は誤りだったんじゃないか、だから今回のイラク支援もその延長線上で反対であるという意見もありますけれども、これについては、総理、もう一度ちょっと御説明していただきたい、こういうふうに思います。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このことについては衆議院審議においても度々御質問が出たところであります。  私は、このイラクに対する開戦の経緯、国連で確かに一致しなかった面もあります。しかし、日本政府の考え方として、私は、国連決議にのっとって、過去、フセイン政権は大量破壊兵器を使用していた事実もある。また、査察団が見付けた経緯もある。なおかつ、国連の決議に沿って査察団を受け入れなさいと、無条件に無制限に、あるかないのか証明しなさいという要請に応じてこなかった、あるいは妨害してきたと。そういうことから開戦に踏み切った経緯もあります。私は、その国連憲章に沿った形で正当性があると思って支持を表明したわけであります。  これから、フセイン大統領が拘束されて、さらにいろんな面において、尋問が始まり、大量破壊兵器等の面におきましても明らかになってくる。あるいは、どの点が解明されるかというのは今後の問題でありますけれども、私は今回のイラクの開戦の経緯におきましても、あるいは今後の面におきましてもフセイン政権を正当化する理由はないと。  イラク開戦が起こったから今テロが起こっているわけじゃないと。イラク開戦前からテロというのは起こっているわけであります。テロリストがどこにいるか分かりませんけれども、このイラク復興支援するというんだったらまたテロをするぞという脅しに屈したら、じゃ、だれが一体このイラク、今イラク国民が苦しんで、治安確保もしよう、生活基盤も整えようというときに、一番喜ぶのはテロリストじゃないかと思うんです。そういうテロリスト温床にしないためにもテロリストとの対決というのは覚悟していかなきゃならないと。  どこに来るか分からない。東京にいてもテロは来るかもしれない。ニューヨークにいてもテロはあった。バリ島においてもテロはあった。だから、イラク開戦前からテロはあったんですよ。何もしないということ、じゃテロを野方図に認めていいのかと。これじゃいかぬということで世界がテロ対決、時間は長く掛かるかもしれないけれども、困難な仕事だけれども、決意してテロと対策、テロ対策というのは世界協力してやっていかなきゃならない、そういう状況に今も私は変わりないと思っています。
  14. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 私も、防衛庁の政務官としてゴラン高原、自衛隊の視察に行き、シリア、ヨルダン、イスラエル、ずっとあの砂漠地帯を十時間も歩かせていただきました。また、ODAを通じて、私、何回か現地にお邪魔しています。  外務大臣もよく御答弁されるんですけれども、やはり私は、日本の一・四倍の国土があって、砂漠がほとんどです。やはり相手のフセイン側の善意の協力なしには、百名、二百名、五百名の査察団を送り込んでも、私は、これは大量破壊兵器を発見するのは本当に極めて難しいと思うんです。今、徐々に明らかになるだろうと総理おっしゃった、大量破壊兵器の問題、私は全くそのとおりだと思います。これ、徐々に明らかになっていく問題だと、こんなふうに思っております。  さあ、それで、外務大臣にお伺いいたします。  今回、基本計画の決定で自衛隊派遣すると決定したわけですけれども、いろいろなやはり政府としては代替手段もやっぱり評価と検討されたと思うんですね。これはいろいろな方が意見申しておられますけれども、国連中心の枠組みの確立、イラク攻撃をやった例えば米英は引いて、一五一一に代わる新たな国連決議をやってから出したらどうだとか、イラク情勢治安が安定してから出したらどうだとか、イラク人による政府が樹立した後に出したらどうかという、自衛隊、いろいろな政策提言がなされてあったわけですが、政府が今回この基本計画決定でイラク自衛隊を今派遣するということで、若干幅はありますけれども決定された。  こういったいろいろな政策手段の評価、また可能性等については、政府としてはどういうふうな考えを持っておられますか。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、先生が幾つかの考え方、代替の考え方についておっしゃられて、それはそれぞれそういう御意見をお持ちの方というのはいらっしゃるわけですけれども、まず、国連中心でやったらどうかという御意見があるわけでございます。  これに対して我が国の考え方というのは、これは戦争武力行使がある前から、国連が十分に関与する形でこれに対応していくことが大事だということを言ってきておりまして、それぞれの段階で国際協調を作るための努力ということをいたしてきております。  それで、我が国、例えば今の段階ですと、今日、中山太郎元外務大臣がニューヨークに向けてアナン事務総長とお会いになるために出発をなさいますけれども、橋本元総理あるいは高村元外務大臣外務省の逢沢副大臣、それぞれ今、異なる国に国際協調を作るために行っていらっしゃる。そういう努力日本としてしながら、これに対応していくことが重要だということを思っています。  それから、国連では既に全会一致で、一四八三とか一五一一とかいう形で国際社会が全体としてイラク復興人道支援にかかわっていくことが重要である、それぞれの国がそれぞれの立場でということですけれども、これが全会一致で正に国際が、国際社会が協調した形でやりましょうということは既に決まっているわけです。  それで、決まっているわけですから、我が国としてはそれに対応をして、それにこたえてやっていくということであって、今新しい枠組みを更に作ることが必要かというと、これは既にあるということであります。それにのっとってそれぞれの国がいかに行動していくかという問題、それぞれの国が実際に人道復興支援対応をしていくために、先ほど申し上げた特使を派遣したり、あるいは電話で会談をしたり、私も昨日、ロシアのカシヤノフ首相と会談をした際に、ロシアがこのイラク復興に対してもっとその力を出していただくことが大事ではないかということも率直に申し上げましたけれども、そういう努力をやっているということです。  それから、もう一つおっしゃった治安が落ち着くまで待ったらどうかという点でございますけれども、これについて、その治安については、今どういう形で前に進めていこうかということのプログラムが既にできております。  来年の三月末までに、統治評議会とCPAによる治安に関する協定というものを作って、それが合意をされることになるということです。それで、統治権限を移譲後の連合軍の駐留に関してそこで規定をされるということになります。それから、来年の六月末までに、移行行政機構を選出をして承認をする。すなわち、CPAはそこで解体をされて統治評議会の任務が終了するということでして、それまで、じゃ、復興支援をすることを待つのか、日本として人を送るのを待つのか、その間それではどうするんでしょうかという問題があるわけです。  我が国としては、今、イラク人道復興支援をするためには時間が非常に重要で、一刻も早くいい状況イラクにおいて作っていくことが大事である。六か月間、新しい政権ができるまでそれでは何もしないのかといえば、それはそんなことであってはならない。正に先ほど総理がおっしゃったように、テロの温床を作ることに手をかしてはいけないわけでして、その六か月間、これを無駄にすることなく支援をしていかなければいけないというふうに思っております。  いろいろ様々な意見がありますけれども、我が国としては、国際協調を作りながら、そして時間を無駄にすることなく取り組んでいくということ、考え方です。
  16. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よく分かりました。  特にその、国連中心国連中心と言うけれども、今でもう既にできているんであるという認識、これは大事だと思うんですね。  一五一一というのをよく見ますと、国連安保理決議、これは、国連を、統合された多国籍軍に、国連は統合された多国籍軍に対しイラクの安全と安定の維持に貢献するすべての必要な手段を取ることを容認と、十四項で、加盟国に対し、上記十三の規定で言及されている多国籍軍に対し、軍隊を含む支援国連のこの権限の下に提供するように要請するとあって、これは仏、独、ロ、中国、全員これ賛成して出した。この、じゃ、仏、独、ロ、中が賛成していないのに、実行していないのはなぜか。いやいや、これは腰が引いていて、実はこの決議そのものが余り重要じゃないんだというような意見も一時出ましたけれども、私は、これはやはりこの国連の現状を表しているし、国連中心、これは非常に大事ですよ、総理もおっしゃっている、協調していく。しかし、これのみにゆだねて我が国の正にこの平和と安全を、基礎を置くわけにはいかない。両方しっかりやっていかなきゃいけない。国連の現状とやはり限界を示しているのではないかと一種思うわけでございます。  さて、外務大臣にもう一問、次にお尋ねしたいんですけれども、中東からの報道に、日本が米国と協力してイラク自衛隊を送ればイスラムの敵として米国とともに聖戦の対象になりかねないことを意識しているのかとか、アラブ世界日本に敵対したことがない、なのになぜ今、日本はアラブ、イスラム世界に敵対しようとしているのかとか、日本敵視広がるおそれ等の見解、報道が、これは一部だと僕は思う、一部ですね、確かに。これは日本は新聞では報道される。十月末のアルカイダのビンラディンの音声テープが、不当な戦争に参加する国々に報復すると宣言して、英国、スペインなんとなど、日本を名指ししておる。  こういう中で、こういうものに対してどういう対応を考えておるか。これは、広報もありましょう、いろいろな立場、説明する場合がありましょう。また、テロリスト我が国テロリストの標的になるからイラク支援をやめるべきであるというような意見もある。これについて、少し関連していますので、どのように考えておられるのか、政府の対策、これを伺いたいと思います。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、イラクのそばにある国々、アラブの国々に対して我が国が行おうとしている自衛隊による人道復興支援に対して十分に理解を得るということは非常に重要であるというふうに思っています。  これにつきまして、例えば私は、いろいろなその働き掛けあるいは説明努力をしていくことが必要でございまして、幾つかのことを既にやっております。例えば、中東地域に対して、どういう考えに基づいてこれをやろうとしているか、基本計画を作ったかということですけれども、これについて、エジプトやヨルダンやイランの通信社等々に送って理解を求めたということもあります。それから、アル・ジャジーラ、これは有名なテレビ会社ですけれども、八月には日本に呼んでいろいろな説明もしております。それから、ビデオを作るといったことも行っていますし、今アラビア語のパンフレットも作成中でございます。様々なことを今、それからあとは、イラクの国営テレビ等々の、あの地域の別な、アル・ジャジーラでないほかのテレビ会社も招聘をするということをやっております。  また、外交努力といたしまして、今、逢沢副大臣に行っていただいていますけれども、私もこの前エジプト、チュニジアを訪問いたしましたときに、エジプトのムバラク大統領、マーヘル外務大臣とお話をいたしまして、人道支援目的で自衛隊派遣される、するということについて、これを支持するということの御発言をいただいております。  それから、アラブ連盟の事務総長のムーサさんとおっしゃる方がいらっしゃいまして、この方はどちらかと今、いえば今まで、日本が人道目的で、復興目的で自衛隊派遣することについては後ろ向きでいらした方なんですけれども、この方も、あくまでも人道復興支援を目的とする自衛隊イラク派遣については、中東諸国として、ムーサ事務総長としてもこれを理解をするんだという御発言もしていらっしゃるわけです。  アラブの周辺の国々が、これらの人道復興支援各国努力によってイラクが一日も早く安定をし復興していくということが非常に重要であるということを考えておりまして、チュニジアの外務大臣も、そういう形で成る、アラブの国々国民感情がいろいろあって、軍を派遣するということについてはまだまだ難しいんだけれども支援はしていきたい、そういう形で日本との間で三国協力をしようという積極的な働き掛けもございました。ヨルダン、エジプトとは既にやっております。  そういったことで、イラクが一日も早く復興、安定をするということが非常に望ましいんだという考えをみんな持っているということで、近隣の諸国に引き続き働き掛けをいたしていきますけれども、既にそういうような考え方を持ってもらっているということでもございます。
  18. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よく分かりました。  私もODAの関係でヨルダンの、私はイリゲーションのエンジニアですからワディアラブ・ダムというところ、これはもう二十五年も前に審査してダムを建設し、かんがいダムを建設し、それで、この間、政務官としてゴラン高原に行ったときに途中訪れた。本当に感謝されている。日本で造ったダムが満々と水をたたえている、ヨルダンの用水需要のほとんど賄っている。有り難い。  私は、このアラブとの世界を考えたときに、日本とかとちょっと発想が逆な言い方をしているんじゃないかと思う。今までアラブ世界に対して日本は一生懸命ODA、そしてまた民間企業の方々も協力してきて、本当にいい友好関係培ってきた。これを壊す、今度のことが壊すからやるなというような意見もあるんですけれども、逆なんですね。これだけのことを築いてきたのは今日このためにあるんですよ。このときにあらゆるネットワークを使って日本の考え方を説明していく、これが僕は、私は一番大事なことだと、こんなふうに思っております。  さあ、ちょっと警察庁、来ていただいていますかな。  まあ、そうはいっても、このアルカイダというテロ組織等ですな、タリバンもいますけれども、これはもうルール無視の無法者ですからね、何をするか分からない。やはり自衛隊派遣によりまして、日本に対するテロリストからの恫喝とか実行の可能性ですね、これは予測して対応していかざるを得ない。国内でのテロ攻撃に対する米軍基地とか原発とかターミナル、これはなさっているでしょうし、この事実はやはり国民に向けてしっかり発信しなきゃいけない。  そういう点で、状況、御説明お願いします。
  19. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) 警察といたしましては、現在の大変厳しいテロ情勢にかんがみまして、一昨年の九・一一以来行ってきております各種のテロ対策を更に徹底して実施しているところであります。  具体的には、テロリストを国内に入れないための水際対策、これは入国管理局と十分連携してやっております。それから、テロ関連情報の収集分析と、これを踏まえたテロリストの発見・捕捉活動、そして重要施設の警戒警備といった諸対策を今全国の警察挙げて推進をしているところであります。  御指摘の警戒警備について申し上げれば、原発につきましては、ライフルあるいはサブマシンガンを装備しております銃器対策部隊が常駐をいたしまして二十四時間体制で警戒警備を行っておりますし、また、米軍基地や空港ターミナル等につきましても機動隊等を運用して十分な警戒警備を行っております。  いずれにしましても、警察といたしましては、今後とも国内外の関係機関との連携を密にしながら情勢の変化に的確に応じたテロ対策を強力に推進いたしまして、国内でテロが起きないように万全を期してまいりたいと考えております。
  20. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 石破長官、お待たせしました。  自衛隊派遣について基本計画が決定された。国民は、これからどんな、まあ決定はしたんだけれども、どんな形で具体的に現地に自衛隊派遣されていくようなことになるんだろうということで、少し私自身もその流れというものをもう一遍ここで確認しておきたいと思うんですね。  今後、実施要項の策定があり、対応措置実施命令がある、続いていくわけですけれども、これについて、どういう状況を判断しながら、自衛隊の準備状況部隊編成とか装備装着とか訓練ですね。長官は、やはり訓練がきちっとやって、地域安全確保について見通ししっかりしたものを持たない限りやはり出せないんだということをおっしゃっておられる。この状況、そしてそれがどういうふうな形でスケジュールに影響するのか、これをお答えいただきたいと思います。
  21. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生御指摘になりましたように、法律ができた時点では自衛隊を出すことができるというものでした。基本計画を定めたときに自衛隊を出すというふうな判断を定めました。そして、例えば範囲活動範囲と大まかなことを定めたわけであります。自衛についても大まかなことを定めました。今策定中の実施要項において、それを実施範囲ということから、実際に具体的にやる実施区域というふうに具体化をしてまいります。それが実施要項の段階でございます。  派遣をするかしないかということは、結局のところ派遣命令を出すか出さないかということに懸かってくると思っています。そうしましたときに、その判断の時期はいつなのかということになりますが、結局、いつも申し上げますように、自衛隊の権限あるいは装備そして能力、それが危険を抑止し危険を回避するに足るという判断を、実際に現場に赴く自衛官が、ここまでやったらばできますというふうな判断、そういう判断ができる時期だと思います。ああ、あれもやっておきたかった、こういうこともやっておきたかった、こういうものも欲しかったというような状況の下で出すということは私はあってはならないと思っています。その判断はプロである自衛官が行う、責任は当然政治が取るということだと私は思っています。  実施要項、そして派遣命令等についての関係は大まかに言ってそういうことになろうかと思いますが、どういうような形で決めるか、これ現在議論をして作業をしておる最中でございます。しかし、どういう時期に派遣をするかということを申し上げれば、やはり現場に赴く人たちがいろんな情報から判断し、そして権限、装備あるいは能力、それでもう行けるというふうな判断をした時期だと私は思っております。
  22. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 次に、非常に与野党とも論議の的になっています支援活動実施区域範囲及び当該区域の指定に関する事項という、基本計画決めた事項について質疑をさせていただきたいと思います。  非戦闘地域、これは非常に難解でありますが、しかし長官も何回もおっしゃっておられますように、我が国憲法を守りながら自衛隊を出すということになりますと、この論議は避けて通れない。難解であるけれども、ごまかしではないんですね。これをいま一度、ひとつ国民に向かって二、三の質問で御説明していただきたいんですけれども。  まず、非戦闘地域という分かりにくい、本当に分かりにくい概念、難解な概念を作ったのはなぜか、これをひとつ御説明していただきたい。
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員が政務官のときにも随分とこの議論はいたしました。まさしく難解だけれども、ごまかしではありません。で、非戦闘地域という言葉がイラク特措法に出てくるわけではありません。それは、法律をよく読んで御議論をいただかないと立法府の議論にならないと私は思っています。思い込みで議論をされても、これはいつまでたってもかみ合いません。  どういうように出てくるかといいますと、対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう、そのような戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じてそのような戦闘行為が行われることがないと認められる地域において実施すると法律には書いてあるわけですね。  じゃ、おかしいじゃないかと。この法律にはそもそも、自衛隊活動憲法で禁ぜられた武力の行使、武力による威嚇に当たるものであってはならないとちゃんと書いてあるじゃないかと。何で、じゃ、こういうような言葉を持ってきたんだというような御疑問があるんだろうと思います。そこはごちゃごちゃになってしまって、非戦闘地域というのは危なくないところなんだろうという思い込みがあって、そういう議論が混乱をしてしまうということがあるのだと思います。自衛隊がやることは憲法に禁ぜられた武力の行使あるいは武力による威嚇であってはならない、当然のことです。これは法律に書いてあります。  じゃ、何でこんな概念を設けたか。  調べてみますと、結局昭和三十四年までこのお話はさかのぼる。昭和三十四年の安保改定のときに、米軍に対する輸送等々の評価をどうするのか。その行為自体は武力の行使でもない、武力の威嚇でもない、しかしながら、そういう行為が米軍の戦闘行為と一体化している。それ自体は武力の行使でもない、武力による威嚇でもないけれども、そうやることが一体化、一つのものとして法的評価を受ける、そういうことも避けましょうねということで、現に戦闘が行われる地域あるいは活動の期間を通じてそのようなことが予測される地域、そういうところでは活動しますまいということを定めたわけでございます。  それは、安全な地域ということではありません。安全なのかどうかということは、イラク特措法第九条において、防衛庁長官派遣される隊員の安全に配慮しなければならない、ここで議論されるべきものなのです。安全かどうかは、非戦闘地域なんかあると思うのかという議論ではなくて、防衛庁長官はどうやって条文九条の安全配慮義務というのを果たそうとしているのかという議論において行われなければいけないのであって、非戦闘地域なんかあると思うのかということは、この条文の構成、そしてまた歴史的経緯、それを御理解がいただけないのでそういう御議論になっているのだろうと思っています。  非戦闘地域という概念は、繰り返して申し上げますが、日本は武力の行使、武力による威嚇は行わない、そして、それが一体化していると判断されるような地域においても行動しない、その憲法の趣旨をきちんと担保するために設けられた条文であって、安全かどうかという議論は九条において議論をしていただきませんと、これはいつまでたっても議論がかみ合わない。  ですから、戦闘地域で危険な地域戦闘地域で安全な地域、非戦闘地域で安全な地域、非戦闘地域だが危険な地域、そういうようなカテゴリーに分かれるのであります。まさしく委員が的確におっしゃっていただいたとおりだと思っておりますが、今後ともこの御説明をきちんと御理解いただけるように、難解です、難解ですけれども、日本憲法の趣旨をどうやって守るんだということを、長年の国会における議論も踏まえ、誠実に条文にしたのが私は特措法だと理解をいたしております。  以上です。
  24. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今の御説明で私は理解したんですが、テレビ国民が、見ている国民がやはりよくこれはやっぱり聞いていただかなきゃいけない、そういうふうに思います。  それで、政府説明も、確かに今おっしゃいました安全、危険、安全か危険かという概念と、非戦闘地域かそうでないかという概念は直接関係ないんだと。これはやっぱりきちっと、最初から説明がもしきちっとできておればまた少し分かりやすかったと思うんですけれども、そこはこれからの問題だと、こんなふうに思います。  さあ、そこで、次の段階の実施区域の指定ということに移らせていただきたい。  これは、基本計画で決められました区域範囲というのは、長官が昨日から御説明になっておりますけれども、戦闘地域が入っている可能性もある。しかし、今度、次のステップとして要項でお決めになる、決定する実施区域、指定する区域、これはいわゆる、先ほど法律に非戦闘地域とは書いてないというんですけれども、いわゆる非戦闘地域でなければいけないということと、もっと大事なことは、先ほど長官も言われていましたように、自衛隊部隊等安全確保をされなきゃいけないと、この二つがあるんですね。これを、長官もさっきおっしゃいましたが、これをごっちゃにすると。ですから、非戦闘地域であること、二番目がそこで自衛隊部隊の安全を確保しなきゃいけないと、この二つの要件を満たしたところで決めなきゃいけない、こういうことですね。ですから、なかなかに具体的なことどうか。昨日も議論ありました、バグダッドはどうか、サマワはどうか、ナシリアといったような議論がありましたけれども、この二つを見ていかなきゃいけない。  一番目のこの非戦闘地域であることというのは、私は比較的判断しやすいと思う。しかし、自衛隊の安全をそこで確保しなきゃいけないという要項に関しては、条件に関しては、先ほどおっしゃったような自衛隊の権限、装備訓練、こういうことも併せて情報を取って判断しないとこれは区域はできないと、こう思うんですね。  そこで、これから実施要項においてサマワ、バグダッド等の具体的な区域の指定を行うに際しては、私、今さっと申し上げました、どういう基準に照らして、どういう情報を取ってこれから区域を指定していかれるのか、長官からお答えいただきたい。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず大事なことは情報なんだと思っています。  政府調査団も参りました。専門調査団も参りました。その概要は先生御案内のとおりでございます。  一体その地域で、南東部は安全である、ざくっと言って南東部は安全である、それではサマワ、仮にサマワといたしましょう、はどうなのだという、いろんな安全に関する情報は、現地の方からの情報、イギリスからの情報、オランダからの情報、合衆国からの情報、いろんなものを総合して情報を精査をして、その地域の危険度はどれぐらいなのだと。ゼロではないわけです。安定はしている、しかしながら襲撃の可能性というのは否定できないと申し上げておるとおりであって、では、どのようなタイプの襲撃があるのだろうか。それもありとあらゆるものを想定して考えてみなければいけません。  自爆テロという我々が今まで予想していなかった、少なくとも抑止力が利かないという点では自爆テロは我々の今までの考えを超えたものだと思っています。自爆テロにもいろんな形態がございます。それに対して対応できる能力を持っているのかどうか、それを総合的に勘案して、どの地域でやるのだということを決めることになると思っています。  やはり、その危険に我々の能力をもってして対応できるということでなければ、非戦闘地域ではあるけれど、確かに国又は国に準ずる組織による組織的、計画的な国際紛争を解決する手段としての武力の行使が行われている地域ではないけれど、危険はあるんだと、それを対応できる能力がないんだということであれば、それはやっぱり実施区域ということにはなかなか難しい判断になるだろうと思っています。  そういうことを併せ考えて、先生おっしゃいますように、非戦闘地域であるということ、そしてまた任務がきちんと遂行できる能力を持っているということ、この二つが考慮の要素だと私は思います。
  26. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 さあ、そこでやはり重要なのは、この議論、まあ自衛隊の隊員諸君も、また御家族も聞いておられると思うんですけれども、大事な点は、まあそこは何とか分かるが、問題はやっぱり指定された実施区域において活動できる隊員のこの安全確保が図れるかどうかという点なんですね、一番のやはり。私ども、そこに焦点を置いてひとつ議論していかなきゃいけない。  これは、いろいろな憲法や法律論議を起こったとしても、基本的にタリバンやアルカイダといったテロリスト活動というのは憲法が想定していないんですね。三十四年からずっと積み重ねてきた憲法が想定していない分野活動であって、厳密な論議をしても法律上の議論では防げないと思うんですね、法律で網羅できたとしても。テロリストはルール無視していると。だから、ここはここで一つおいておいて、区域の指定、指定された区域で隊員が安全に活動できるかどうかというそこの点をきちっと政府としては担保していかなきゃいけない。  その点で御質問なんですけれども、今ぐっと述べてきましたこの一連の概念、それに伴って現地の部隊活動していくわけですけれども、この概念を構成して、その判断の一部を現地にゆだねなきゃいけない。これはちょっと、ゆだねなきゃいけないかどうかちょっと伺わなきゃいけない。現地に、司令官等に、部隊長等にゆだねなきゃいけないところで、結果的にその部隊長等に過大な責任が生ずると。その結果、この隊員の安全確保に支障が来すというようなことがあってはいけないと思うんです。  ここら辺の、これは安全確保の方に入っていくわけですけれども、今の一連の規定の中で、現地の部隊等が過大な負担をこの法律の中によって、規定によって日本が他国の軍隊と比較して非常に過大な現場で負担を負う、そういうことが想定されるのか。あるいは、それを除外するためのどういうようなことが考えられるのか。ちょっと天を仰いで、質問の趣旨が少し分かりにくいですかね。  要するに、部隊の安全をこれから区域を指定して図っていくというところが大事なんです。そのときに、今の論議と現場の部隊の行動との間にどういうふうな難しさがあって、それをクリアするためにどういうことをお考えになっているのか、それを伺いたい。
  27. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 他国の将官、いわゆる司令官の立場で物事を考えた場合に、他国の司令官に比べて負担が過大になるということは絶対にあってはならないことだと思っています。同時に、判断に遅れや迷いが一瞬でもありますと、それは起こる結果が大変重大なものになるということも考えなければいけない。  すなわち、判断が遅れず迷わず行われる。そしてまた、そのときにイラク特措法を持ってきて、えっとこの条文はなんてやっていてできるはずはないわけですよ。小説「宣戦布告」の中に防衛六法持ってきてどうだどうだなんというような戯画的な場面がありましたが、あんなことがあっては絶対にいかぬわけであります。  ひとつ、これは二つのことを申し上げたいと思います。  先ほど、戦闘地域か非戦闘地域かということと安全か安全じゃないかは別の判断だということを申し上げました。しかし、条文の中にはそういうような地域、あるいはそういうことが行われると予測されるようになった場合には一時休止し、退避をして、避難をして判断を待つと、そういうような条文もございます。それは、戦闘行為と一体化にならないようにという配慮でございますが、結果的に安全に資するということはございますでしょう。  昨日も衆議院で答弁を申し上げましたが、やはりそこの判断というのは、少しでもそういうような状況が予想されれば抑制的に、抑制的にというのはそこで頑張っているという意味じゃない、反対の意味で申し上げているのですけれども、そういうような判断がなされるべきなのだろうと思っています。結果的に安全に資する、裨益するといってもいいのですが、そういうことはあるだろうと思います。  もう一つは、この場合に、例えば武器の使用等々は、現場に指揮官があるときは指揮官の命令に従うということになっております。そうしますと、迷いや遅れがあってはならないと申しました。そのことのために法律はこう書いてあるけれども、そのことをより具体的にするために部隊行動基準というのをきちんと定めるということだと思っています。その場合に六法全書を開くのではなくて、この場合にはこうする、この場合にはこうする、この場合にはこういう判断なのだという部隊行動基準をきちんと定めまして、そしてそれを頭で覚えただけでは絶対駄目なのであって、それが体で覚えるか、きちんと反応できるか、そこまでやる、そうした場合には絶対にその責任は問われないのです。ROEに従って行っている限り、それは責任は問わないのだ、だからその判断を瞬時に行う。それを瞬時に行えるように頭ではなくて体で理解するということと、先ほどの一時休止し、避難するとして指示を待つというものをきちんと組み合わせていって、指揮官に過大な負担を負わせることなく任務の確実性を図るということだと私は思います。
  28. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ありがとうございました。  この武器の使用、安全対策実施安全確保、武器の使用という点まで踏み込んで今お話しいただきました。いろいろな報道といいますか、によると、例えばよくこういうことも言われるんですね。今の特措法の規定、これは十七条の一項から四項の規定、この武器の使用についての規定、これがあるから自衛隊は現場において通常の軍隊より殊更に危険が増す、あるいは行動が大きく制約されるというような意見があります。  例えば、部隊安全確保は、まず一つの、近隣の他国軍隊、ここはオランダ軍ですかね、我々の近隣、これから、その救出、救援の要請があったときに駆け付けられないとか、誘拐された自衛隊の救出、自衛隊員の救出はできない、武器の使用はできないとか、イラク復興支援職員を守ることができないと。これはいろいろな、これに伴って上辺のこの言葉を追って、しっかり理解していただかないためにこういう間違った議論が出てくるところがあるわけですが、今、長官もおっしゃった、これも含めて現場の判断、一瞬のうちに判断していかなきゃいけない。ROEの問題もありました。ROEの話は今伺ったわけでございますけれども、現場の行動がこの正当防衛、緊急避難ということに限られている、あるいはこれを大事にしなきゃいけないということ、これは憲法九条からずっと引いてきた条文ですが、これによって自衛隊の現場の行動が殊更他国の軍隊と比べて制約されることがあるのかどうか、そしてまた、この武器使用基準を緩和しなきゃできないのかと、そういうことは、あるいは緩和したら非常にいいのかと。非常にいいというよりも効果的なのかどうか、必要なのかというような点について、長官のお考え、聞かせていただきたい。
  29. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生御指摘のような議論がございます。マスコミの論調の中にも武器使用基準を緩和せよというようなお話、あるいは国会における御議論でもそういう話があります。じゃ、どういうふうに緩和するんですかというふうにお尋ねしたときに、こういうふうに緩和せよというお答えがなぜかないのですね。  例えて言うと、じゃ警告射撃もせずに撃てと、こういう話なのですかというと、いやいやそうではないと。じゃ、一体何ですかということになるわけであります。  よく向こうが撃たなきゃこっちは撃ち返せないという、撃ち返すといいますかね、向こうが撃たなければ正当防衛で撃つこともできないという議論がありますが、それはうそです。きちんと戦後の最高裁の判決、判例を読んでいただきたい。その中に、昭和二十四年の判決、判例だったと思いますが、例えば撃とうとして懐に手を入れたとき、もうそこで急迫性を判断するというような判例があったと思います。向こうが撃たなければ正当防衛として危害射撃が危害許容要件として認められないのかと、それはそうではありません。要は、どの時点で、不正に決まっているわけですから、基本的にね、どの時点で急迫性を判断するかということであって、向こうが撃たなきゃ撃てないなぞということは日本の法律は言っておりません。判例でも言っておりません。そこのところは急迫性をどのようにきちんと判断するか、その練度の問題です。その点において不十分であるという御指摘は当たりません。  だとするならば、任務遂行を妨害する行為に対して武器の使用ができるのかというお話になります。しかしながら、我々がやりますのは治安維持活動ではありません。そういうことをやるわけではありません。基本的に人道支援ということが任務であります。人道支援をメーンに任務としているときに、それを妨害するような行為があったとして、それに対して武器を使用しなければいけないというような必然性があるとは私には考えられません。同時に、それが正当防衛でもなく緊急避難でもなく、かつまた武器等防護でもない場合に、そのような任務遂行を妨害している行為があって、それに対して武器を使わなきゃいけないというのは一体どういう場合ですかというふうにお尋ねした場合に、それはきちんとしたお答えはないわけであります。  それじゃ、政府復興職員、復興職員に対してどうなんだというお話ですが、基本的に、そのような職員の方は自衛隊ではございませんから、安全が確保されたという地域で行動されることに相なります。そういうところでそのような危険に遭遇するということは考えられないし、そういうところに派遣をするということはそもそもあってはならないことであります。そこでそういうような行為が行われた場合に、基本的には現地の治安機関といろんな御相談をしながら、どのようにしてその方の安全を確保していくのかと、そういう御議論をまず詰めるべきだと思っています。  それじゃ他国の、例えばオランダの部隊が攻撃されたときに助けに行けない、それはおかしいではないかという御議論があります。しかしながら、どの国も基本的に自分部隊自分で守るというのが当たり前のことであって、そのときに他国の支援を要請して自分の国の軍を出すなぞという無責任なことはどの国も当たり前の話やらないのです。  実際に現場において、そういうことになったらどの国は何をやるのだということをきちんと詰めて自分の国の安全を図っていきます。その中で、日本はこういうことですよということを御説明をし、そしてまた日本の場合には、何度も同じことを申し上げますが、人道支援という仕事に行くわけです。それに安全を確保するのにふさわしい装備を持っていくわけです。それが本当にオランダがそういうような要請があったときにできるかといえば、それは任務が違うのですから、実際にそのようなことは生じ得ない。軍の共同活動というのはそういうものだということでございます。  しかしながら、この条文を満たすような場合には自衛隊活動するということもあり得ますが、条文はそのようなことを基本的に、オランダ軍がやられている、日本がそれを助けに行くというようなことは予定をしていない。それは実際に軍の活動において、そのようなことはあり得ないという基本的なことでございます。
  30. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よく分かりました。  私は、これは外務大臣にもお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間の関係であれなんですけれども、例えば捕虜の問題とか拘束された場合の取扱いの問題、日本には軍事裁判制度がないから不利なんだとか、いろいろないわゆるマスメディアの報道がされておるんですけれども、よく調べてみると、よく御説明聞くと、それはきちっと他国の軍隊と同じような取扱いを自衛隊員は受け入れられる、受けられるというようなやはり仕組みになっているということはよく勉強していかなきゃ分からないことですけれども、それは私の口から申し上げさせていただきました。  さあ、今、もう少しですけれども、長官の方から武器使用基準についてもお話出ました。自衛官の中にも、私、この情報を間違って受け取って、またその間違った情報を発信される方もいらっしゃるというような、非常に嘆かわしいようなのがあるのは事実です、一部でございますけれども。やはり部内での情報管理そして広報、よく教えてあげる、ここのところはですね、今、長官がおっしゃったこと。やはり陸上自衛隊、特に陸上自衛隊においてはやはりどうしてもテロ、こういった問題に対する対応、こういうPKO、国際協力活動、これはどうしてもなじみのない分野なんですね。だから、隊員の訓練装備やいろいろな今までの積み重ねと違う分野なので分かりにくいところがある。これはひとつ長官の方から、もうお答え結構ですけれども、十分ひとつ徹底していただきたい。  それから、マスメディアにはよく、派遣に反対する家族がよく報道されるんですね。嫌がる自衛隊員をなぜ派遣するのかなどと、国民の間に間違った情報が流れている。この点も隊員の士気や訓練状況、昨日おっしゃっていただいた、非常にしっかりしている。私も実感します。これはやっぱり何らかの形で、大々的にPRするものではないけれども、きちっとした形で実像、マスメディアが、一部のマスメディアが報道される状況じゃないということを何らかの機会にひとつしっかり言っていただきたいと思います。  最後に、総理、私、これで質問終わらせていただきますけれども、最後総理の方から、九日の記者会見であるいは総理談話で私は尽きていると思うんですよ。本当によく私は重大な決断、そしてそれに伴うことを御説明された。しかし再度、少し状況も変わってまいりました。国民のあるいは自衛隊員の知識も大分増えてきたと思います。再度、国民の理解と支援をお願いする。そしてまた、派遣される自衛隊員、そして家族への言葉、これは私、十二月十日に先崎陸幕長を通じて北部方面隊の皆さんにおっしゃっていただいたこと、非常にいい言葉だと思います。ひとつ総理の口から直接その点も含めてお言葉をいただきたいと。それをもって私の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
  31. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊は今までも日本国内での活動のみならず、海外においてもPKO活動等、立派に任務をこなして各国から高い評価を受けております。  今回、イラク人道支援復興支援、これに自衛隊諸君に行っていただき、そして、必ずしも安全とは言えないかもしれないけれども、困難な任務にあえて当たっていただく。それは、まずイラク人自身が今後希望を持って自らの国を立ち上げていく、そして自分たちの国は自分たちの手で発展させていくんだという、その環境整備に行っていただくわけであります。決して、自衛隊諸君が行くというから、戦争に行くのではない、武力行使に行くのではない、戦闘行為に参加するために行くのではないと。  まず、米英始め多くの国々が、現在でも犠牲者を出しながら、イラク人政府を早く立ち上げよう、復興支援協力しようということで現在でも活躍されている。なおかつ、開戦の経緯を超えて国連全会一致ですべての加盟国にこのイラク復興支援人道支援努力してくれと要請をしている。そういう中で、日本人として、日本国として何をすべきかと。自分の国のことだけ考えずに、日本がこれまで発展してきたのも多くの外国からの支援があったからこそであると。今、おかげさまで支援をできる、援助をできる立場に立ったと。  そういう中にあって、日本としては、このイラク人復興、安定、そしてイラクが安定した民主的にできるために手をかすということは、イラク人がまず一番喜ぶ。同時に多くの国が、イラクテロリストの基地にならないで、テロリスト温床にならないで、イラクの安定した政権が中東全体の安定に導けばこの地域においての経済活動も活発になる、この地域の安全、安定というものが世界の平和と安定にも導いていく。  そういう観点から、私は今の困難なイラク状況にあえて、一般市民ができない、一般のふだんから訓練していない国民ができない、自分の能力ではいかんともし難い、そういう訓練もしている、能力も持っている、装備も持っている、そういう部隊というのは、今、日本国民日本国の中において自衛隊しかない。ならば、戦争ではないんだから、復興支援人道支援、そのために派遣するというのは憲法の理念にも合致すると。資金的支援もします、物的支援もします、人的支援もしますと。今、しかし、人的支援している人は自衛隊をおいてだれがいるんですかと。NGOの方々も引き揚げている、国連職員も治安部隊持っていない、そういう中で、私は自衛隊の活躍できる分野はあると。あるんだったら、できるだけのことをすると国際社会に約束している、日本として。  私は、そういう意味において自衛隊諸君が、防衛庁長官からの話を聞きますと、自分たちは元々自衛隊に入隊したときから志願して入ってきたんです、宣誓して入ってきたと。それは、事に臨んでは危険を顧みず身をもって責務の完遂に務めると宣誓して入ってきたんですと。命を受けて行くのは、既に自分たちの仕事が認められて決意を固めて行きますという隊員が実に多いと。そういう決意を聞いて実に心強く、良き自衛官を持ったなという誇りで一杯であります。  こういうときに、私は、我々一般国民はでき得ない、自衛隊諸君イラクに行って復興支援人道支援イラク人希望する、イラク人から歓迎される仕事をするということに対しては、立場を超えて多くの国民敬意と感謝の念を持って送り出していただければと思っております。
  32. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 終わります。  どうもありがとうございました。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  質問の冒頭、まずもって、イラクのため、日本のために文字どおり命を懸けて御尽力をされました奥大使、井ノ上一等書記官、そして現地職員のズーラ氏に心から哀悼の誠をささげたいと思います。  尊い三名の死から我々が学ばなければならないこと、それは、ひるんではいけないというような精神論ではなくて、なぜ彼らが死ななければならなかったのか、そしてどういう経緯で死に至ったのかと、その現状を冷静に認識をして、我々日本が何をすべきなのか、そして何ができるのかをしっかりと考え直すことなんだろうというふうに私は思っています。この三名は、文字どおり身を挺してイラク治安の厳しさを我々に示してくれたというふうに私は認識をしております。  一昨日、フセイン大統領が拘束をされました。しかし、翌日になって治安が良くなるかというと、そうではありません。依然として治安は回復しない、テロは引き続き起こっている。  総理、まず最初に、今のイラク治安状況、どのように御認識でしょうか。
  34. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 米英軍のみならず、米英軍協力する部隊民間人外交官も、無差別的にテロリストのグループと思われる組織あるいはテロリストによって襲撃され、命を落としている、こういう現状を見ると、かなり厳しい状況にあると。  フセイン元大統領が拘束され、これが今後もう二度とフセイン政権が戻ってくることはないと。フセインの影におびえていた人も一面ではほっとしている面もありますけれども、これが必ずしもすぐ治安の安定に結び付くような状況にはなっていないと思いますが、いずれ、このテロリストのみならず、フセイン元大統領の拘束がより一層イラク治安の安定、回復に向けての大きな一歩であるように期待しております。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨夜、イラクではフセインを支持する者たちのテロも発生をいたしました。そして、正体不明、アルカイダかもしれない、正体不明のテロも続発している。そして、フセインの恩赦によって釈放された様々な犯罪者も凶暴な事件を起こしている。ゲリラ戦ともテロとも事件とも言えない、すべてが混ざったような大変厳しい状況で、元フセイン大統領のナンバーツーであるイーブラハムもまだ見付かっていない。多くの残党も残っている。そのような治安の中、我々日本には、できることと、やりたいけれどもできないことがあると思うんです。幾らイラク人のためになるといっても、日本は法治国家ですから、できることとできないことがある。  例えば、先ほど来議論があるように、自衛隊が幾ら正体不明のテロを撲滅しようと思っても、武力を行使してそれを撲滅することはできない。国又は国に準ずる組織を、我々自衛隊が海外に行ってそこと武力を行使することはできないんです。にもかかわらず、総理はこのような治安状況イラク自衛隊派遣するという大変重い決断をされました。今、自衛隊がこの基本計画にのっとって派遣された場合、正に現場では、この治安が悪化している現場では何が起こるか、これを想像しますと、私は政治家としてどうしても責任取ることができないという思いから逃げることができないんです。今日は、テレビをごらんの国民の方々と同じ目線で、より具体的に現場を想定して質問をしたいというふうに思います。  まず最初に、イラク自衛隊が武器を使用する際、それが憲法であるとかイラク特措法に禁じているいわゆる武力行使、これに当たるかどうかの判断は、相手が国又は国に準ずる者かどうか、すなわち国際性、計画性、組織性、そして継続性、この四つの要素を兼ね備えているかどうかということなんだろうというふうに思います。ところが、その相手が国又は国に準ずる組織かどうかという判断は、現場の自衛官が行うんではなくて、現場から八千四百キロも離れた東京の防衛庁長官がそれをしろっていうんでしょう。内閣総理大臣、それに間違いないですね。総理
  36. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは前の法案審議のときにもお答えをしたと思いますが、相手が国又は国に準ずる者であろうがなかろうが、この法案に定められた武器使用の権限が変わるわけではございません。相手が国又は国に準ずる者であったから正当防衛、緊急避難を危害許容要件として武器使用ができないなぞということは、私は一度も申し上げたことはございません。その場合に、身を守るという行為は相手がいかなるものであったとしてもこれは行い得る、当然のことでございます。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 国又は国に準ずる者の判断は防衛庁長官がなさるんですね、イエスかノーでお答えください。
  38. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これも条文に書いてあるとおりのことでございます。つまり、そのようなことが起こりました場合には、一時休止、退避するなどして指示を待つということになっております。その指示をするのは防衛庁長官でございますし、したがいましてその判断を現場の隊員に負わせるというようなことはございません。
  39. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 一時退避するんですね。それまでの間、じゃ防衛庁長官が判断するまでの間、現場の自衛官は何をするんですか。
  40. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはどういう状況、まさしく国民の目線に立って状況をリアルに示しながらというふうにおっしゃいました。それは戦闘が行われるようになったということと、我々がそれと遭遇したということは別の話でございます。そしてまた、活動をする期間においてそのようなことが行われることがないと認められるということは、逆の認められるようになったということも、我々がそういうようなものに遭遇をし、武器を使用しているという状況は想定をされません。  ですから、その間何をしているのだというお話ですが、実際に我々に対して急迫不正の侵害が加えられた場合には、これは法に定められた要件で武器を使用することに相なります。そうでなければ、そういうような情報に基づいて、退避をし、休止し、指示を待つ、この二つの判断、二つの行為の態様が考えられます。
  41. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それが現場が全く分かっていないと思うんですね。事件はですね、映画じゃないけれども、防衛庁の会議室で起こっているんじゃないんですよ、現場で起こっているんですよ。正にテロリストかどうかも分からない、武器を持っているかどうかも分からない。しかし、その可能性のある人間が、イラク人が自衛官に向かってやってくる。その人間に対して、怪しい人間に対して撃つのかどうなのか。撃ったら相手が憲法武力行使を禁止する相手だったかもしれない。正にその判断を現場の自衛官ができないというんです。八千四百キロ離れた防衛庁長官の指示を待たないとその怪しい判断をできないというんですね。  現実は、ですから総理、撃つのか逃げるのか、危なかったらですよ、退避するか非戦闘地域へ行くというんですよ。そんなことが現場で可能ですか。撃つか逃げるか、いわゆる殺されるかですよ。  どうですか、総理
  42. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来お答えをしておるとおりでございまして、そのことは憲法判断とは何の関係もございません。相手が国又は国に準ずる組織であろうが物取りであろうがテロリストであろうが、急迫不正の侵害があった場合に正当防衛、緊急避難を危害許容要件として武器を使用できる。それは、相手がどのような者なのか、それについて隊員が判断をすることでもございません。まして、防衛庁まで判断を求めるということではございません。この議論はPKOのときからしておることであって、いいですか、相手が国又は国に準ずる者であろうがなかろうが、自らに対して急迫不正の侵害があった場合に正当防衛、緊急避難を危害許容要件として武器を使用し得るということは何ら変わりはございません。  このことは憲法論議とは一切かかわり合いのないことでございます。現場の人が、これは国又は国に準ずる者なのだろうか、正当防衛、緊急避難の要件を満たしているけれども使っていいのだろうか使っちゃいけないのだろうか、そのような判断をするような法律にはなっておりません。このような議論は──何がですか。
  43. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 長官が行うんでしょう。
  44. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 長官が行うものではありませんよ。その場合に撃つのか撃たないのかは、それは隊員の判断です。現場に指揮官があるときは指揮官の命令に従う、法律に書いてあるとおりでございます。そのことを防衛庁長官が判断をするということはございません。防衛庁長官が判断をいたしますのは、活動を休止し、避難し、指示を待つ、その場合の指示で、実施区域を変更するということになれば、それは防衛庁長官の判断を待つことになります。  しかしながら、実際に安全な地域へ避難していく、その場合に、防衛庁長官、ここに避難してもよろしいでしょうか、そのような判断を仰ぐことはございません。それは現場の判断でございます。実施区域を変更するということになれば、それは防衛庁長官の判断ということになりますが、どこに逃げましょうかということについて判断を仰ぐものでもございませんし、この場合に撃っていいかどうかという判断を仰ぐものでもございません。
  45. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ここから先が安全で、ここから先が安全でないということは何にも書いていないんですよ。それは正に現場が防衛庁長官の判断を、来るまでに常に危険に遭遇するんです。  次に、交戦規定、いわゆるROEについてお伺いします。  これも極めて非現実的なんですね。交戦規定、いわゆる敵が来る場合、警告をする、そして威嚇射撃をする、そしてそれでも駄目な場合は急所を外して撃つのかどうなのかという、いわゆる交戦規定でございます。これ、アラビア語で止まれ、撃つぞ、そしてその怪しい人間が何を答えているかも分からない状況で、一体これ、実際に機能するんでしょうか、長官
  46. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生が中東状況について大変にお詳しいということにつきましては、私は平素から大変な敬意を払ってお話を承っておるつもりでございます。  しかし、同時に、これだけは申し上げておきたいのでございますけれども、実際に赴く自衛官たちがこの場合にどうやって身を守ることができるかということを一番真剣に考えています。そして、部下の命を預かる指揮官たちも本当に真剣に考えています。佐藤政務官が、前政務官がお話しいただきました、先ほど。それは、本当に防衛庁に務めていただいて、そして現場の隊員と何度も何度も話をして、現場の隊員が何を考えて行動しているかということを御理解いただいて御質問をいただいたのだと思っています。  榛葉先生にも是非御理解をいただきたいと思うのは、本当に我々が机上の空論、言葉の遊び、そのようなことで隊員の命をお預かりしていいとは思いません。現場の指揮官もそのようなことは考えておりません。どうすればいいか。  例えば、今、現地の言葉で何と言うんだということをおっしゃいました。私はアラビア語を存じませんからこうだということを申し上げるだけの知識を、ごめんなさい、持ち合わせておりません。しかし、どういうようにして警告をするのかということは、当然、現地の方に分からないような形で警告をしても意味がないわけでございます。アラビア語の基本的なものをどうやってマスターするか、そのカリキュラムを作って今やっておるところでございます。  しかし、じゃ、急所をねらって撃つとか、そのようなことは非現実的ではないかと。あるいは、じゃ警告射撃せずに撃ってもいいのかということになってしまいます、先生そんなことをおっしゃっておられるのではないでしょうけれども。どうしたらば自分の身を守ることができるか。  それは結局、急迫不正の判断というものをどう行うか、そのROEに従って行動した場合には現場の指揮官あるいは隊員の責任は問わない、それがROEの意味でございます。それは文民統制というものをきちんと形にするためにROE、部隊行動基準というものはございます。それは、判断が遅れないためにということと、法律に基づいて作られたROE、法の趣旨を体して作られたROE、それに従っている限りにおいて決して責任を問われることはないんだ、二重の意味をROEは持っております。  それが、委員御指摘のように、非現実的なものだというふうに隊員が思わないように、私どもも、気が付いたところ、おかしなところ、それはもうすべて言ってくれということを申しております。足らざる点があれば、どうぞまた御指摘をいただきたいと思います。
  47. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 アラビア語で言えますかどうかなんということを言っているんじゃないんです。そういった基本的な訓練防衛庁がやっていることは私もよく存じ上げている。しかし、現場ではいろいろなことが起こるということです。正に防衛庁長官おっしゃったように、机上の空論ではなくて、現場の自衛官が困らないように我々がきっちりといろんな場面を具体的に想定しなければいけない。具体的な、基本的なアラビア語を覚えて、止まってくれ、止まらないと撃つぞと言う。しかし、その人間がアラビア語で何か知らないけれども返事をして、また迫ってきた。その人間は道を尋ねているのかもしれない。  しかし、カンボジアのときだってそうでしょう。カンボジアのときだって、自衛官の体験談は、我々じっとうずくまるしかなかったと言っている自衛官が一杯いるんです。トリガー引けなかったと言う自衛官が一杯いるんです。さらに、言葉が全く使わない自衛官が現場にいるときで、そのようなときに具体的に現場のことをどう考えているんですかということを私は聞いているんであります。
  48. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ありとあらゆる場合を想定していると申しました。それはどういう場合かというのをこの場で御披瀝をすることは決して適切だとは思いません。しかし、本当に、現場に赴く自衛官、カンボジアの例をおっしゃいました、カンボジアの例も教訓として、すべて自衛隊の中で受け継がれ、どう対応するのか。あるいはゴランでも、あるいは東ティモールでもそうです。実際にそういうような思いをした自衛官たちがこの場合にはどうなんだということを議論し、場面を想定して、迷わないように考えております。  もう一つは、この条文に書いてありますように、現場に上官があるときは、その指揮に従うということが書いてございます。一人一人の負担に負わせるということではなく、一人一人の判断に帰するものではなく、自衛隊というのは基本的に、書き方として自衛官はという書き方をしてございますが、警察とは違いまして、部隊単位で動くものでございます。現場に上官があるときは、その判断に従う。基本的に現場に上官はあります。その人間に対しましては、更にこの場合にどうする、どうする。委員が今御指摘になりましたように、相手がアラビア語で何か言っている、分からないと。その場合にどうするのか、そういう場合も含めまして、ありとあらゆる想定をいたしております。  これで一〇〇%ということは申しません。毎日、朝から晩まで、この場合はどうだ、この場合はどうだ、外国のPKOでどんな例があった、外国のPKFでどんな例があった、それこそ何百という例を積み重ねていきながら議論をし、万全を期すべく努力をしておるところでございます。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私がなぜこのような具体的なことを例に挙げるかというと、やはり奥さんと井ノ上さんの例なんです。我々はこのような悲劇を絶対に起こしてはいけない。しかも、彼らは交通事故で死んだんじゃないんです。我々がなぜこの事件にショックを受けるのか。それは、ひょっとしたら起こるかもしれない、起こるんじゃないかとみんなも感じていた。そして、思っていたところにやっぱり起こってしまったかと、なぜ防げなかったんだというこの悔しさと無念さがこの問題を私は更に深刻化させていると思うんです。ですから、この自衛官の問題も、私は、細かい問題だからいいのではなくて、きっちりとこの問題を議論して絶対にこういう問題が起こらないようにしなければいけないんです。しかし、現実、起こり得るんですよ。  総理、先ほどの佐藤委員の質問で、自衛隊はできないことをできるのが自衛隊なんだ、民間ができないことをやる、自己完結的に自衛隊はできるんだと、だから自衛隊に行ってもらうというふうにおっしゃった。しかし、我々の法治国家としての法の枠組みで自衛隊にやってほしくてもできないことは一杯ある。状況が非戦闘地域からいわゆる戦闘地域に変われば我々のそこでの復旧支援活動基本的にはできなくなる、退避しなければいけないんですから、非戦闘地域に逃げなければいけないんですから。水支援復旧支援等の事業、いわゆる自衛隊にできることをやっていても、それができない状況になってしまう。そして、先ほど来話があるように自衛官に危害が及ぶ可能性がある。現実問題として、我々、二人の日本人も現場で命をなくしている。  今回のこの基本計画小泉総理は、自衛隊イラク派遣し、もし自衛官に命を落とす等の事件があった場合、政治責任をお取りになるつもりですか。
  50. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊武力行使に行くのではありません。正当防衛は武力行使に当たらない。今いろいろな想定をしながら、安全確保のためには十分な配慮をしていかなきゃならないと思っております。  そういう中で、自衛隊ができる分野があるからこそ自衛隊派遣すると。そして、イラク人から必要とされるような任務を遂行していただく。それを立派に果たし、無事帰国してもらうのが私の責任だと思っております。
  51. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 戦争開戦以来、五百名を超える米英兵が既に命をなくしました。そして、それよりもはるかに多くのイラク人も亡くなっております。五月一日のいわゆるブッシュの戦闘終結宣言以降も、その戦闘終結宣言前の死よりもはるかに上回っている。昨日もテロが起こった。  自衛官にどのような危険があるかどうかは、これは総理の言うように、以前言いましたよね、死ぬかもしれない、現地に行ってみなきゃ分からない。私は極めて無責任対応であると言わざるを得ないと思います。  もう一つ、具体的な質問をしたいと思います。  邦人が誘拐された場合、普通なら自国の仲間が誘拐された場合は当然それを奪還に行くというのが普通だと思うんですけれども、自衛隊員が誘拐された場合、これはどのように現地の自衛隊対応されるんですか。
  52. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一般の民間人の方の場合には退避勧告が今出ておるわけでございまして、それを勧告に従わずに行かれたということをどう考えるかということがございましょう。  自衛隊員だったらどうなのだというお話でございますが、それは自衛隊員が拉致、誘拐の場合をおっしゃっておられるんだろうと思います。自衛隊員の場合には、それが拉致、誘拐をされた場合にはもちろん現地の治安機関ともいろんな連携を取っていたします。私どもが、現地のCPAが治安を管理しておる中にあって勝手な行動をしてはならないというのは当然のことでございます。それぞれの国が勝手な行動をみんながばらばらにし始めたら、それは治安の維持ということにもつながりません。  しかしながら、我々の構成員であります自衛官が拉致をされた場合にはそれを捜索に行くというのは当然にあることでございます。拉致をされても捜索にも行かないというようなことが組織としてあっていいことだとは私は思いません。そして、捜索をしに行った場合に発見をされた、そうすれば説得をするということになる、拉致をした相手方をね、ということになるのでしょう。そして、その過程においてどういうような場面が生ずるか、それは法律にのっとってやることでございます。しかしながら、自衛隊員が誘拐をされる、拉致をされた場合に捜索にも行かないということだとは私は思いません。
  53. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 テロリストが説得に応じるかどうかは別問題としてですね。  では、イラク復興支援職員、これが拉致された場合はどうなるんですか。
  54. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、復興支援職員という方が活動をします場合には、この議論の当初からずっとお答えを申し上げているとおりでございますが、復興職員は自衛隊員ではございません。したがいまして、それが活動を行う場合には自衛隊活動を行う地域よりも更に、つまり何の権限も持っていない、訓練もしていない、装備も持っていない、そういうような復興支援職員が活動します地域は、相当に安全が確保された地域でなければそんなことはできません。したがって、そういう場合に拉致とか誘拐とか、そういうことが起こるというのは極めて考えにくいことでございます。  それが誘拐をされた場合には、我々の活動と一体的な活動をしているのか、それともそうではないのか。そういうことによって、先ほど捜索に行くことは当然だということを申しました。そういうことになるのか、それとも、全く我々の活動自衛隊活動と違う活動をされておられた場合に、現地の治安機関に第一義的にその対応をお願いするということは、事柄の性質上、当然差異が出るのは当たり前のことでございます。  人道復興職員を自衛隊が守るべきだ、あるいはそれを捜索に行くべきだという御議論は、それは御議論としてはあるのかもしれませんが、それは自衛隊員活動している場面、そして状況、それと人道復興支援職員の場合にはおのずから違う。それを前提に置いて議論すべきものだと私は思っております。
  55. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そうですか、人道復興支援職員と違うんですか。以前は同じというふうに言っていたんですけれども。まあ、結構でしょう。  NGOの職員が拉致された場合、これはどうなりますか。先ほど、そういった想定は考えにくいと言った。でも、あちこちであるんですよ、想定できるんですよ。イラク状況、分かっているでしょう。
  56. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 赤堀さんという方、学校復旧に当たっておられた方ですが、その方がイラクから出国をされました。それをもってたしか最後だと思っております。私が報道で知る限りにおいてです、間違っていたらごめんなさい。  現在、今、退避勧告が出ているのですね。イラクにおいて活動するということは、それは危ない、退避しなさいという勧告が外務省から出ておる、その中において行っておられる方々。本来、日本政府としてそういうようなことはお勧めしませんという勧告が出ているわけです、退避してくださいということを言っておるわけですね。その中においてNGOの方々が活動をされる。委員の御指摘は、そういうような退避勧告を看過して行かれた方々も自衛隊は守るべきだ、あるいはそれを救出に行くべきだという御議論なのでしょうか、あるいはそうではないのでしょうか。  今の法律で考えました場合に、そのようなことは予定をしておりません。それを予定をしておらないと申し上げましたのは、本来、邦人の方は退避勧告に従っていただける、そうでなければ退避勧告の意味も何もございません。したがって、その事実にもかかわらず、そういうことが行った、行われた場合にどう対応するか。少なくとも、そういうことはあり得べきではないと思っております。  やはり治安というものが確保されて、そしてNGOの方々の崇高な思いというものが実現する、そういう環境が実現をされるということが望ましいと思っています。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それはダブルスタンダードですよ。今の治安の悪化の状況と、これから先、NGOも行く可能性があるんですから。そして、その状況治安が悪化して、若しくはその治安がいいと思っても拉致される可能性があるんだ。そして、そのときにNGO職員、日本の旗の下で、奥さんも言っていますよ、頑張れ日本NGO、正にNGOに対する期待も高まってくる。これから多くの外務省職員とともにNGOがきっちりと現地で働いてもらう場面が今後増えてくるでしょう。そのような場合に十分拉致の可能性がある、その場合はどうするんですかと言っているんです。
  58. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、私はダブルスタンダードと申し上げたつもりは全くございませんで、現在、NGOの方であれ何であれ、退避勧告が出ておることは事実でございましょう。それは事実でしょう。にもかかわらず、治安が非常に悪い。NGOの方々がどんなにそれをやろうと思ってもそれが実現できる環境にない。そうであれば、その思いも達成されない。  奥さんがおっしゃっておられることは、私もイラク便りの中ですべて読みました。頑張れ日本NGONGO活動がどれだけ意味のあるもので、そして現地の人々に喜ばれるものであるかということは、私もずっと外務委員会に籍を置いてある程度知っておるつもりでございます。しかしながら、それが実現できる環境にない。そこにNGOの方々が行かれるということは想定できないということを申し上げておるわけです。  それで、仮に退避勧告が解除をされてNGOの方々も行けるというような治安状況になりました、にもかかわらずそのような状況になってしまいましたという仮定において物事を申し上げた場合に、そこにおいて自衛隊が、自衛官あるいは活動を同じくしている政府復興職員、それと同じというふうに評価をして捜索に行くべきなのか、救助に行くべきなのか、その場合の武器使用権限はどうなるのかというところまで御議論をいただいて、それでも自衛隊は行くべきなのである、退避勧告が解除をされNGOが行くようになった状況において拉致され、誘拐された場合に、自衛隊はそれを救出に行くべきであるというふうな御議論であれば、それは御議論として承ります。  しかしながら、私は、そういう場合において、まず第一義的に現地の治安機関、これが対応し、私どもは外務省とともにその対応策を考えることはございますが、その場合に、第一義的に現地の治安機関が当たるべきだということは、私はことわりの当然だと思っています。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 時間がなくなりました。  復興支援の途中に犠牲者が出た場合、撤回もあり得ると。それは長官が昨日の衆議院の答弁でもおっしゃったことでございますけれども、そのような場合、イラク国民にとっても日米同盟にとっても、正に最悪のシナリオですよ。正にこのような形で、私は大義もないこの形で自衛隊イラク派遣すること、それは全くもって間違った外交判断であるということを改めて指摘をして、同僚委員に質問を代わりたいと思います。
  60. 山本一太

    委員長山本一太君) 関連質疑を許します。若林秀樹君。
  61. 若林秀樹

    若林秀樹君 民主党の若林秀樹でございます。  私の方からも、今回イラクで亡くなられました奥大使井ノ上書記官、そして現地職員の方に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  全く個人的な件で恐縮でございますが、奥書記官は、済みません、書記官と、私が大使館にいたときの書記官だった、すぐそれが出ちゃうんですけれども、九三年に私が最初に勤務したときの一緒の同僚でした。彼からイロハ、外交のイロハ、復興援助のイロハを教えていただいた仲間でした。そのときの上司が堂道参事官でありました。あれから十年、堂道さんはイラクを担当する中東アフリカ局長になり、私は国会議員となり、そしてイラクで亡くなられた奥さんのこの件について話すなんというのは、だれも本当に想像できなかったと思います。非常に悔しくもあり、残念でもあります。今、天国にいたらどんなことを聞きたいだろうと、そんなことを思いながら少し質問を進めさせていただきたいと思います。  奥さん、済みません、すぐ奥さんとなっちゃうんですが、奥大使井ノ上書記官外務省に入省され、本当に高い使命感を持って仕事をされ、そのことに悔いはないと思います。御遺族の方も誇りに思うと。すばらしいことだと思います。それ自体を私は否定するつもりは全然ありません。しかし、私は両外交官が亡くなられたのは、私は小泉総理の政策判断ミスによる結果だというふうに私は思います。  二つです、それは。一つは、まずはやはり米国の大義なきイラク攻撃に対しまして小泉総理は支持をしたと。それがスタートでお二人ともCPAの前身でありますORHAに行かれたわけでございます。もう一つの政策判断ミスは、七月末にあれだけごり押しをしてイラク特措法を通しておきながら総選挙への影響、様々を考えて判断を先送りしたと、その結果ではないかというふうに思っております。  奥さんは、あのころやはり最後まで自衛隊イラクの地に入ることをやっぱり見届けたいと思ったんでしょう。だから彼は残ったんだと思います。イラク自衛隊派遣されていれば、彼はほかの仕事でそういう仕事に従事されていて、あそこに行くことはなかったと思います。私は派遣することを賛成しているわけじゃない、結果としてその判断がこういうことにつながっているということを申し上げたいんであります。  その意味において、小泉総理のこの政策判断が今回の、改めて申し上げますが、事件に関連している、因果関係があるとお思いでしょうか。その点について簡単に答えてください。
  62. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今までの政策判断、間違ったと思っておりません。奥氏、井ノ上氏があのような形で命を落とされたということに対しては誠に残念でなりません。むしろ、ああいう優秀な外交官をねらい撃ちしたテロリストに対して強い憤りを覚えております。  私たちは、このイラク復興支援人道支援に使命感と情熱を持って当たられた奥氏、井ノ上氏、さぞ無念だったと思いますし、日本としてこれからこの悲しみを越えてできるだけのことをしていかなきゃならないと思っておりますし、この奥氏、井ノ上氏の死の責任が私にあると言われますが、総理大臣としてイラク復興支援日本としてできることをやっていく、これが私の責任だと思っております。
  63. 若林秀樹

    若林秀樹君 政策判断にミスがあるかどうかということをお伺いしているんではなく、単純に因果関係があるかどうかということを聞いているわけであります。これはやっぱり因果関係があるんです。それだけ難しい判断をしなきゃいけないのがこれはやっぱり総理でありますので、小泉総理発言、一挙手一投足がいろんな面に影響するという重みを含めてやっぱり行動してほしいということであります。  その上で、今回のテロの可能性をどの程度想定していたのか、総理にお伺いしたいと思います。
  64. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、どういう状況かということを詳細には知っておりませんが、あの犯行の後、いろいろな状況調査等によりまして、あの地域はやっぱりかなり危険な地域だったろうと。そういう状況を知って、あえて赴いた奥氏、井ノ上氏、非常に自分として何かやらなきゃならないという強い使命感を持っておられたんだと思います。  その後も、日本外交官のみならず他国の民間人も殺害されているようであります。死の街道と呼ばれている面もあると聞いております。ということを考えますと、あの地域はかなり危険であるにもかかわらず、どうしてもやむにやまれない、何とかして自分の仕事をこなさなきゃならない、任務を果たさなきゃならないという強い使命感があったからこそ、恐らく奥氏にしても井ノ上氏にしても、危険を冒して必要な会議に出席しようということであのような残念な結果に陥ったんだと思っております。
  65. 若林秀樹

    若林秀樹君 今の小泉総理発言は、ある程度テロを想定していたという発言であります。その上で、その危険性を覚悟しながらあそこの会議に出ざるを得なかった。広い意味では、私は、川口大臣の訓令に基づいて行っているわけでありますから、今回のその可能性の高い地域にどうやってテロの襲撃を回避するような対策を取っていたのかお伺いしたいと思います。
  66. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 総理が今おっしゃられましたように、イラクはいろいろなテロあるいは暴力ざたが起こっている地域、国であります。そして、その日本大使館に対する様々な情報についての収集も私どもは常に把握に努めてきておりまして、安全の対策についてはこれを可能な限り取ってきたということでございます。  それで、出張を、についてどういうことをだれがその権限を持つかとか、そういうことについてはもちろんその組織組織でまあ判断をしていくということでありますけれども、安全をどのようにして守るかということについては、これは外務省の持っている現地の大使館における、あるいはこれはすべての国どこでもそうですけれども、行動のルール、マニュアルといったものがございます。これは、こういう時期でございますので、それがどういうものであるかということについては申し上げられないですけれども、それに加えて、それぞれの、イラクの場合、どういうような状況で想定される危険に対して守ったらいいかということは現地の情勢を一番把握している現地の大使館が知っている、一番よく分かっているということでございますので、その具体的、個別具体的な件についての安全の守り方、これについては基本的に現地の判断を尊重するという考え方でやってきております。  いずれにしても、安全については今後引き続き状況に応じてそれぞれそのとき、その時々で対応していかなければいけない、これはしっかりやる必要があると思っています。
  67. 若林秀樹

    若林秀樹君 その上でお伺いしますけれど、今回両外交官現地職員が亡くなられた現場にその後だれも行っていないんですよね。なぜ、外務省、大使館が無理であれば日本政府としてその原因究明になぜすぐに立ち行かないのか、これは非常に重要な問題です。もし、総理でも結構ですが、一応警察庁の方にもお伺いしましたけれど、お答えいただきたいと思うんです。手短に。
  68. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) 現地へ日本の警察が行って捜査をすべきではなかったかというお尋ねでございますけれども、本件はイラクで起きた事件でございまして、関係者、証拠物等もイラク国内にございます。こうした場合は現地の捜査機関が必要な捜査を行うということが原則となっておりまして、現に現地の捜査機関が捜査に着手しているというふうに承知しております。  ただ、我が国の警察といたしましても、本件事案、大変重大な事案でございますので、真相究明には可能な限り努力をしてまいりたいと考えております。そうした立場から、検視それから司法解剖等必要な手続を行っているところであります。  御指摘の警察職員の派遣につきましては、現地の情勢を見極めて、関係機関とも協議の上、慎重に判断していくものと考えております。
  69. 若林秀樹

    若林秀樹君 要は、行っていないわけですよね。  私は、やはり日本国民がそこで殺されているわけですよ。いいですか。広い意味での訓令によって行っているわけですから、そこに行けないような国が、他国へ行って、自衛隊まで派遣する資格なんかあるでしょうか。まずは自国民は自国民で守る、大変だったら護衛をアメリカに付けてでも行って、現場検証して、どういう状況だったのか、その判断があって次に初めて、私は、イラク派遣の話がある。ですから、自衛隊が現地でどうなったか、どうなるかによっては、その判断もしなきゃいけないんですよね。まず、ここで起きているにもかかわらず、それじゃ何もできていないということに対して、私は非常に情けないと思います。  何か御発言があれば、お伺いしたいと思います。総理、済みません。総理にお伺いします。
  70. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは調査日本だけでできるものではありませんので、米軍に協力を求めたり、現地の治安当局に協力を求めて、今、調査中であります。
  71. 若林秀樹

    若林秀樹君 基本的には、こういう事件は現地警察当局に任せると言いますが、現地の政府、ほとんどないに等しいわけですから、やっぱりこういうことに対しては、我が国政府として、まずはやっぱりきちっとその捜査をする必要が私はあると思います。もし何かあれば。
  72. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、総理がおっしゃられたとおりなんですけれども、事実関係として一つ申し上げておきたいことは、これは現地の大使館が事件の後、専門家を派遣をいたしております。したがって、政府は自ら調査をしています。  調査に行った人は、これはイラク人であって専門家で、この道の専門家であるということであります。したがって、どういう、犯罪調査という意味では、捜査という意味では、何をしたらいいかということはよく分かっている人ということです。  それから、現地で上村臨時代理大使が直後に、自分が是非行きたいという話がありました。それで、これについて我々としては、それを行うことによって二次災害が起こるということを是非避けなければいけないという考えを持ちました。その状況は今、続いています。プレスの方、日本のプレスの方、行っていらっしゃいますけれども、プレスということを付けて行くのと明らかに日本の大使館員が行くということでは、あの地域では非常に違いがあります。  これは慎重にやらなければいけないと思っていますが、大使館として調査はいたしております。
  73. 若林秀樹

    若林秀樹君 もうこれ以上は申し上げないと思ったんですけれども、要は、やっぱり自国民がそこで殺されているわけですから、その方がテロで殺されたのか日本人で特定されてやられたのか、そういうことも、検索、判断できる能力がないのに自衛隊派遣して、そこで判断できるわけがない。まずはやっぱり目の前に起こっていることに対して日本政府としてきちっとやるということが基本ではないかということであります。  その上でお伺いしますけれども、事件発生からの不可解な情報の錯綜についてお伺いしたいと思います。  両外交官から、十一時に襲撃されたというふうに聞いておりますが、十一時過ぎの会議に出て夕方まで五、六時間、ほとんど何の連絡もなかったと。最初に一報した情報が、買物をしていてその間に撃たれたという、この間の長い時間の間に何が起きたのか、お伺いしたいと思います。
  74. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  奥大使井ノ上書記官両名は現地事情に非常に精通しておりまして、治安状況とか種々の危険についてもよく認知をしておったと考えております。  両名は、イラク国民の利益に直結するいわゆる草の根無償の発掘にも取り組んでおりまして、そのために関連施設、関連地域に現地視察を度々行っております。そのため、移動の際には細心の注意を払うとともに、常時大使館に連絡を取れる体制を取っていたと承知をしております。  事件が起きた十一月二十九日でありますが、ティクリットで開催予定のNGOや現地住民も交えた復興会議に出席するため、午前十時ごろバグダッドを出発しておりまして、午前十一時ごろには大使館と連絡を取ったことが確認されております。  十八時四十分ごろでございますが、CPAより大使館に対しまして、ティクリット付近におきまして日本人らしき二名とレバノン人の運転手が殺害されたという連絡がございました。大使館としましては、両名が事件に巻き込まれた可能性があるとの懸念を高めた次第であります。  しかし、この時点におきましては被害者を特定するID等は発見されておりませんでして、CPA、米軍等を通じて捜索の結果、深夜になりまして両名のパスポートが発見され、犠牲者が奥大使井ノ上書記官であることが確認された次第であります。両名のパスポート等は米軍により地元住民より回収されております。  事件発生時刻については、上村イラク臨時代理大使が奥大使最後連絡を取った午前十一時以降であります。両名は会議には出席しておりませんが、事件発生の正確な時刻までは現在のところ特定されておりません。  それ以降、CPAよりの第一報を受けるまでの間につきましては、この復興会議が夕刻まで予定されていたこと、また、通常は夜に電話を定期的に報告をするという体制になっていたことから、イラク大使館の方より、この会議に出ていたものと考え、特段連絡を取らなかったと、こういうことであると承知しております。
  75. 若林秀樹

    若林秀樹君 会議がありますとなかなか連絡が取れないというのは分かるんですけれども、十一時ごろ襲撃されて、米軍がそこへ行っているわけですよね。それで、その車も押収しながら、なぜ六時間後の米軍の情報が買物をしていたら撃たれたという情報にこれなるのか、非常に私はいい加減だというふうに思いますし、その後、訂正するまでに非常に時間が掛かっていると。これについて何か分かっていることがあったら、簡潔にお願いします。
  76. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この米軍の当初の情報は、いわゆる初期情報、初期事件情報でございまして、私どもとしましても、これを受けた当初から幾つかの点につき確認を要する点があるものとしまして調査を要すると考えていた次第であります。  したがいまして、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、私どもは、米軍に更に調査をするよう申し入れるとともに、現地にイラク人専門家を派遣し、現地警察を含めて独自の調査を行いました。その過程におきまして、十二月五日におきまして、米側より、更に調査の結果、当初の情報についてはある地域住民による誤った情報に基づくものであったとの通報があった次第であります。
  77. 若林秀樹

    若林秀樹君 いずれにせよ、非常に情報が錯綜しておりまして不可解でありますので、きちっとこの点についても、今後はやっぱり調査していただきたいというふうに思います。  その上で、最後に、その関係で、大使館の警護についてなぜいまだに民間会社に任せてやっているのか、それについて伺いたいと思います。  今、イラクに軍組織を派遣している国の中で大使館を民間会社で警備を任せている国ありますでしょうか。川口大臣にお願いします。
  78. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今のは、イラクということ。一般に。
  79. 若林秀樹

    若林秀樹君 イラクで。
  80. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクということですね。
  81. 若林秀樹

    若林秀樹君 はい。
  82. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、一般論として申し上げますと、その存在をしている国が大使館の警備については責任を持つということがウィーン条約でなっています。  イラクについて言えば、私の承知をしている限りは、日本以外の国は全部その国の武装警察、特殊警察あるいは軍によって警備をしているということでございます。  外務省としてこの問題については問題意識を持っております。それで、どのようなやり方で警備をすることがいいかどうかということについて、これはかなり幅広い問題を有することでございますが、検討を開始をしたところでございます。
  83. 若林秀樹

    若林秀樹君 確かにそれはウィーン条約で、公館はやっぱり不可侵である、ある意味で治外法権ということが確保されているわけで、正にあそこは、領土とは言えないまでも、国が基本的に、言わないまでも、そこを管理しなきゃいけない。接受国がそういう能力がないわけですから、私はやっぱり自衛隊というのは自国民を守る、正に専守防衛の観点から言えば自衛隊が守っても決しておかしくはない光景ではないかなというふうに思いますが。  総理は、最初の会見のときに相互主義というお話をされました。相互主義といっても、もうほとんど現地政府にそういう守る能力がないわけですから、それで相互主義といっても私は通じないと思います。仮にイラクの大使館、今は武装した自衛隊が守らなきゃいけないかというと、そういう状況じゃないですから、そこは相互主義といってもやっぱり話合いによって解決できるわけですから、もっとよく見極めて、ましてや警備員ですから、民間警備員ですよ、ひょっとしたら家族を脅されて情報が漏えいされているかもしれない、そういうこともあり得るわけですよ。まずは一番その警護ということに対してやっぱり細心の注意を払わなきゃいけない。いまだに大使館の人はあの危機の中で働いているわけですよ。そういうところに思いを致したら、やっぱりそういう方に対してどうするかということを考えるべきだと思うんですが、いかがですか、総理
  84. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊派遣しようという場合に、正当防衛までが武力行使だといって批判される状況において、今自衛隊派遣して治安警備に当たれということがどういう論議を呼び起こすかということも十分考えなきゃいけないと思っております。  その点についてはよく国会でも議論する必要があるし、私どもも、自衛隊を今イラクに、大使館の警備に出せということを野党の自衛隊派遣に反対されている方が言うとは思っていませんでしたから、その点についてはよく民主党でも今後どういう考えか聞いてみたいと思いますので、国会において十分論議の価値のある問題だと思っております。
  85. 若林秀樹

    若林秀樹君 これについては、民主党としてまだ議論を開始しているわけではありませんけれども、単純なやっぱり常識として私は考えてもおかしくないと思います。正に、自国民を守るのがやっぱり自衛隊任務だとすれば、正に自衛隊派遣する以前の問題として私はそれが論議されてもおかしくないんじゃないかなというふうに思いますので、そのことを申し上げて、次の質問へ移りたいというふうに思います。  また総理にお伺いしたいと思いますが、総理はカンボジアPKOのときに、郵政大臣のときに、協力法の国会審議では、血を流してまで国際貢献しろという論議はなかったと、血を流してまでというのではない、撤退を含めて対応を要請という話がありました。  今の状況を考えると、私はやっぱり百八十度に近いぐらいそのポジションは変わっていると思います。変わったことを非難しているのではありません。変わるというのは、やっぱり人間ですから時間を経れば学んでいろんなことは変わるわけです。どういう総理のその心境の変化があったのか、その当時と比べてどのように変わったのか、何を学んだのか、教えていただきたいと思います。
  86. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのカンボジアに自衛隊派遣した場合の議論を間違えないでください。誤解しないでください。  私は、カンボジアに派遣されたPKO、自衛隊諸君は血を流す覚悟はしていなかったはずだと。汗を流すと。PKO活動に行くんで、戦闘部隊と戦う、想定していないはずだと。ところが、国内の一部から、警察官の方が亡くなられた、そのときに自衛隊なんだから戦うのは当たり前だという議論が一部に出たんです。だから、そのとき、私はそれは話が違うじゃないかと、あの協力法の趣旨は血を流してという議論はなかったはずだと、汗を流しても、血を流すという覚悟を持って自衛隊に行けというなんか言っていないはずだと。だから、そういう議論はおかしいと言ったんです。
  87. 若林秀樹

    若林秀樹君 いや、ですから、自衛隊員もそういう覚悟を持って行っているわけですから、安全確保されているという枠組みで行っていてもそういうことが起こったということと今回の自衛隊派遣と何ら変わるものが私はないと思います。何でそのときは駄目で、今回そこまでやる必要があるかということに対してのつながりが私はないと思うんで、これは正直に答えてほしい。正直に答えてほしい。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 正直に答えているんですよ。今回も、自衛隊戦闘行為に参加しろと、その覚悟をして行けとは言っていないんです。復興支援活動に行くんです。その際に、非戦闘地域というものを定めて、安全確保には十分配慮しようと。戦闘に参加しろなんて、そんなことを一つも言っていません。  カンボジアの際には、そういう死者まで出したら、自衛隊なんだから血を流すのは当然だという議論が出てきたから、私はそういう議論で出したのではないということを閣僚として発言したんです。
  89. 若林秀樹

    若林秀樹君 いや、それは撤退をしろということを含めて要請しているんです、そのときの発言を見て。よろしいです、全部ここにありますから。
  90. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 見ましょうか。
  91. 若林秀樹

    若林秀樹君 いや、いいです、いいです。  それで、まあそこで更に読みますと、血を流してまで国際貢献するとはなっておらず、憲法上の制限もある、日本の国際貢献には限界があることを心得なければいけない、欧米と一緒になってできないことをあえてしようというのはおかしいと。そこまで言っているわけですから、私は今回のその派遣とのつながりにおいてどういう心境の変化があったのかということを聞いているんです。駄目だとは言っていないんです。
  92. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊にはできることとできないことがあるんです。米英軍みたいに掃討作戦、テロの掃討作戦とか戦闘行為に参加しないんです。自衛隊にはできないこととできることがある、できることは復興支援活動だと、できることはやるというのが一貫した私の考え方であります。
  93. 若林秀樹

    若林秀樹君 でも、今回は万が一、時には血を流すこともあり得る、その上で国際貢献として我が国国際社会の一員としてできることをやろうというのが小泉総理発言の趣旨じゃないですか。そういう意味ではやっぱり違うと思いますよ、これについては。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは正当防衛まで血を流す行為かと。正当防衛をするためには安全な配慮をしなきゃいけない。そのために、敵が襲ってきたら戦う、そういう準備はしていかなきゃいかぬということであります。自衛隊戦争しに行けと言っているんじゃないんです。復興支援活動に行けと言っているんです。ちっともおかしいと思いませんよ、私。
  95. 若林秀樹

    若林秀樹君 いや、それは正当防衛でそういうことに遭遇すれば血を流すというのは、これは当然あり得ることですから、そこまで含めて覚悟しているという意味においては前回の九三年とはやっぱり多少違っているんじゃないですか。だから、違っていることを私は責めているわけじゃなくて、どういう心境の変化があったということ。ですから、もうこれ以上いいですよ。──じゃ、何ですか。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 違っていませんよ。どこへ行く場合でも正当防衛というのは私は認められております。正当防衛は武力行使には当たらないんです。それは武力行使と言う人もいるかもしれませんが、憲法上の正当防衛というのは武力行使に当たらないんです。
  97. 若林秀樹

    若林秀樹君 まあ、その上でまたちょっと関連して質問させていただきますけれども、基本計画決定後の記者会見におきまして、小泉総理憲法の前文の一部を取り上げ、派遣の論拠にいたしました。私は、やっぱり憲法というのは前文と条文があってセットでありますし、具体的には条文によって具体的な活動が規制されているわけですよね。そういう意味でいえば、私はやはり非常に御都合主義というか、本当に場当たり政治というか、もう本当に一部だけ取り上げてやっぱり使っているなという印象は強いと思います。  その上でお伺いしたいんですけれども、昔、予算委員会憲法の前文と憲法九条のすき間の、間にすき間があると、あいまいな点があるというのを覚えていらっしゃいますでしょうか。そしてまた、法律的な一貫性、明確性を問われれば答弁に窮するという発言もされました。なぜ今回、憲法の前文の一文のみ、一文のほかにもいろいろあるんです、憲法九条に触れずにその論拠としたか。私は、今回の派遣については、その前文と九条のすき間を埋めるための合理的な説明小泉総理自身が見いだせなかったそのあかしではないか、だからああいう憲法の前文の一部分だけ使って、いかにもそれが正当性あるということについて、私は、明確にこれまでの発言から見ればしっかりした説明責任を果たしていないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  98. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、憲法の前文によって明確に説明し得たと思っています。憲法九条は多くの方が知っております。一方、憲法の前文、これを国会で議論される度合いは憲法九条よりも少ないと思っています。時間があります、記者会見には。全部を読むわけにはいけない。やっぱり、大事なところを読む必要がある。別につまみ食いとか何でもありません。私は、憲法の理念、平和主義、民主主義、基本的人権を尊重する、それで国際社会の中で自分の国のことだけ考えちゃいかぬと、圧政に苦しんでいる国民、これを除去しようとする努力をしようじゃないかと、それこそ自国が他国と対等の関係に立つんだという、言わば憲法の理念が前文に表明されている。あれを長々と最初から最後まで読んだら、聞いている人いい加減にしてくれと言うでしょう。どうやって短く大事な部分を取り上げるというのは政治家の判断なんですよ。  そして、憲法にはあいまいな点が事実あるんです、日本憲法には。自衛隊は戦力を持っていない。あいまいじゃないですか。そういうあいまいな点もあるんです、日本憲法には。武力行使はしていない。復興支援活動武力行使ですか。自己正当防衛までも武力行使だと言う人がいるぐらい憲法にはすっきりしない点があります。あいまいな点もあります。しかし、前文ということは、憲法の前文、前文ということは、憲法の部分的な各条の理念、指針を示したものであります。日本は武力を行使しないという九条がある。武力による威嚇、これもしない。しかし、憲法の前文でこれは世界の中で圧政や専制に苦しんでいる国民に手を差し伸べようと、それこそが他国と対等に立とうとする日本責務だと言っている。この崇高な目的に向かって国家の名誉に懸けて全力を挙げようじゃないかということも書いてある。これをうまく調整させると。その理念と、日本戦争に行かない、戦闘行為に参加しない、しかしイラクが立ち上がることができるように復興支援人道支援に行こうという、正に憲法に合致した大義名分のある自衛隊派遣だということを言いたかったわけです。
  99. 山本一太

    委員長山本一太君) 若林秀樹君、簡潔にお願いいたします。
  100. 若林秀樹

    若林秀樹君 もう時間が来ましたんですが、やはり今のお話を聞いていても、前文と九条のすき間を埋めるための合理的な説明は見いだせないというふうに思います。  例えば、前文の中には、政府の行為によって及び戦争の惨禍が起きることのないようにするとか、様々なことが抜かしながら、このいい部分だけ取って、やっぱり私はその正当性を言ったんではないかなというふうに思います。  いずれにせよ、私もイラクへの自衛隊派遣を反対するという立場を再度申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  101. 山本一太

    委員長山本一太君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  102. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査のうち、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  まず初めに、イラクで尊い命をなくされましたお二人の外交官に対しまして、深く哀悼の意を表したいと思います。  特に奥大使におきましては、私は、かつて湾岸戦争の直後に、これからの日本が人的な貢献をいかになすべきか、その在り方を現場の実情を知った上で議論しようと、そういう思いでイラク以外の周辺国に行ったことがありました。その際、奥大使はイランの大使館の一等書記官として活躍をされておられました。正に、自らの目と足で積極的に情報を収集しよう、そういう姿勢に感銘を受けたものであります。この亡くなられたということに対しては、本当に惜しい、残念な気持ちでなりません。  また、井ノ上書記官につきましても、このたび第二子が無事に誕生されて、ひとまずほっとしているところであります。残されたお二人の子供さんがいずれ物心付いたときに、お父さんの仕事ぶりがどうであったか、奥大使も含めてお二人の仕事ぶりが、その延長でイラク復興に結び付いた、そういうことを確信を持って語ってあげられるようにこれから私たちは努力をしていかなければならないと決意を新たにしたところであります。  さて、そこでお伺いをいたします。  我が国がこれから人道復興支援をすることによって一体国民にとって、あるいは我が国にとってどういう利益が得られるのか、あるいは守られる国益とは何なのか、その中身について具体的に総理にお伺いしたいと思います。  説明責任ということが強調される中で、必ずしも国民が率直に確信を持てるような、その国益というものを認識しているとは思えません。例えば、自衛隊派遣に対して、今なお反対ないしは慎重にあるべきだと、こういう世論も強いわけでありますし、また、フセイン元大統領が身柄拘束されたとはいえ、にわかにテロが鎮まるという見通しも立っておりません。また、主要国でありますドイツ、フランス、ロシア、中国といった国々は、人的な支援については消極的であるという状況であります。  こんな状況の中で、何ゆえ今日本自衛隊も含めて人的貢献をすることが日本の国益に資するのかということを改めて総理のお言葉で具体的に御説明をいただきたいと思います。
  104. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラク国民が長い間、フセイン元大統領の下で自由のない圧制、専制と言ってもいい、そういう政治体制の下で大変苦労されてきた。ようやくその圧制から解き放たれて、これから自由で安定した民主的な政権を打ち立てようと努力している、また希望を持って自らの国を立ち上げようとしているとき、そのイラクの再建のために日本としてでき得る限りの支援の手を差し伸べるということは、大変意義のあることだと私は思います。  まず、日本としてここまで発展してきたのは、戦後、日本も多くの国々から援助を受けて、今や逆に援助ができるまで発展してきたわけであります。お互い苦しんでいる、そういう国々に対して、自分のことばっかり考えないで、よその国が自立できるような支援の手を差し伸べるということは日本憲法の理念にも合致するのではないか。  なおかつ、今テロとの戦いに多くの国々が苦しんでいる、いつテロリストの標的になるか分からない。それは、ニューヨークでの二年前の九・一一の事件だけではありません。あの事件で、正に三千名近い全くテロリストとは無縁の、戦争とは無縁の方たちが命を落とされた。アメリカ人やヨーロッパの方々だけじゃありません。日本人も二十四名の方々があのニューヨークのテロで命を落とされた。バリ島でもそうであります。イラクだけじゃありません。世界各地区で無差別のテロが起こっている。こういうテロリストがばっこするような世界にはしてはいけない。イラクも、このまま放置しておいたらば、正にテロリストの拠点になってしまうんじゃないか、テロリスト温床になってしまうんじゃないかと。それを防いで、イラク人自身が早く自分たち政府を立ち上げるためにどのような支援ができるかと。  アメリカやイギリスも大きな犠牲を払いながらこのイラク復興支援に取り組んでいる。日本も、アメリカ同盟国として日本の平和と安全を確保してきた、これまで。今後もどのような事態が起こるか分からない。そういう際に、やはり日本としても、アメリカ同盟国として信頼に足る同盟国としての行動を取るということは、戦後一貫して堅持してきた日米安保条約によって日本の平和と安全を図る、そして国際社会協力しながら経済の繁栄も図っていくという。今や国際社会は、国連がすべての国連加盟国に対して、イラク復興支援努力してくれ、協力してくれと要請を受けている。  まず、そういうことを考えますと、日本は、資金的支援、これもしよう、物的支援、これもいたしましょうと。人的支援しましょうという場合に、なぜ自衛隊派遣しよるのかと、一般の民間人行かせばいいじゃないかと言う方もおられます。しかし、一般の民間人は今避難勧告が出ております。現に、日本外交官もあの残虐非道なテロリストの犯行によって命を落とした。よその国の民間人まで命を落としている。軍隊を問わず、国別を問わず、復興支援に臨もうとする人たちを追っ払おうとしてテロリストはいろんな活動をしている。こういうときに、日本として、危険が伴うから人的支援はしませんという状況かというと、私はそうは思っていません。戦争はしない、戦闘行為には参加しない。しかし、一般市民にはでき得ないことが自衛隊でできるんだったらば、十分安全確保策を取って復興支援人道支援活動に当たることができるんだったらばそのような活動をしてもらいたい。これはイラク人にとっても必要だと。日米同盟、国際協調、この重要性を認識するのだったらばこれも両立できると。  なおかつ、日本憲法違反だと言いますが、違反とは思っていません。正に憲法の理念に合致している。日本イラクの苦しむ住民の姿を見て、ほっておけない、日本も何かできることがあればということで汗を流そうということは憲法の理念に合致している。  そして、自衛隊諸君が、必ずしも安全ではないかもしれない、危険を伴うかもしれない、そういうのを承知であえて困難な任務に行こうと決意を固めると言っている。そういう方々に私は敬意を持ちながら、でき得ればこのイラク復興支援活動に当たってもらいたい。そのことは、ひいては一番恩恵を受けるのは日本国民自身じゃないかと。中東の安定、世界の平和と安定、世界の平和の中に日本の平和がある、世界の安定の中に日本があるという意識を持って、この意義あるイラクの、イラクのための政府を立ち上げる、自らの手でイラク人が再建に立ち向かおうとしているとき、日本にできる支援ができれば日本国民としても喜ぶべきことじゃないかと私は考えております。
  105. 山口那津男

    山口那津男君 今の総理の御答弁にもありましたように、イラクの安定は国際社会においても、そしてまた、ひいては我が国においても利益をもたらすということ、それが単なる安全保障面だけではなくて経済的にも政治的にも安定、国益につながっていくんだと、そういう含意の下で御答弁をいただいたというふうに受け止めさせていただきます。  さて、そこで、我が国の行おうとしている基本計画に盛られた人道復興支援、これがムサンナ県を中心とするイラク南東部と、こういうふうに地域的な限定がなされております。ここで成果を上げるということは非常にイラク復興にとって大きな一歩になると信じているわけでありますが、しかし、これがイラク全体、国全体の復興の過程、プロセスの中でどういう位置付けにあるのか。我が国は頑張った、しかし依然として不安定な地域はたくさんあるというままではイラク全体の復興につながっていかないわけであります。また、治安維持の任務に当たっている各国のチームもありますし、専ら軍隊でありながら人道復興支援に当たっている国々もあるわけであります。  そういう、この日本がやろうとしている人道復興支援イラク全体の復興プロセスの中でどういう位置付けにあるのか、その見通しも含めて御説明をいただきたいと思います。
  106. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) イラク全体、これ、まだら模様というように言ってもいいんだろうと思います。テロ活動が頻発するようないわゆるスンニ・トライアングルという地域もございますし、そうでもない地域もある。  そして、今御指摘ありましたムサンナ県、この地域については、イラクの南東部でありますが、この地域についてはいろいろな調査をしておりますが、これなかなか安定をしている地域であるというように評価をされております。これまで大きな事件もなし、それから住民は不審者を通報するといったような治安当局に非常に協力的であるといったようなことは近傍におりますオランダ軍もそういうように認知をいたしておるというところでございまして、そういう地域において我が国基本計画に盛られている活動をする、そこだけではありませんけれども、そういうことが一体どういう意味があるのかと、こういうことになるかと思います。  御案内のとおり、委員もよく御案内のことなんでありますけれども、イラクへの人道復興支援を進めると、こういうことについては国際社会全体がその役割を担っていると、こういうことであります。今、先ほどまだら模様というふうに申し上げましたけれども、これは治安が余り良くないところもある、しかし安定している地域もある。そして、それはその地域地域において、その能力を持ち、そしてまたその意思のある国々が分担しながら、役割分担と申しますか、そういうことをしながらこの復興に携わっているんだと、こういうことであります。我が国は、そういうような中において我が国ができる範囲の仕事をするということでございますので、国際社会協力して、その一員としてイラク復興に携わるという役割を、その役割分担を行っているんだと、こういうように考えていいのではないかというように思います。  これも御案内のとおりでありますけれども、イラクの民生と申しますか、民生と申し上げるよりも人道的なことは極めて大事だという部分も非常に多いわけでございまして、ムサンナ県も水の十分、十分というか、衛生的でない、そういうような水しかないような、そういう非常に不便なところにおいて例えば水の供給をするとか、また医療活動をするというような基本的な、社会において必要である基本的なことについて我が国協力できるということは可能であるという見通しを立てた上で今回この復興支援に参加しようと、こういうことを考えてこの法律を作り、そしてその法律に基づいて実行していきたいということであります。  ただいま総理からもお話がございましたとおり、この目的はイラク復興にあるということでありますので、その復興我が国としてもしかるべき役割をしっかりと果たしていきたいというように考えております。
  107. 山口那津男

    山口那津男君 今、官房長官から御答弁ありましたけれども、基本計画には、自衛隊活動だけではありません、文民も含めた、しかも地域限定ではなくてイラク全体を見通した様々な活動のメニューというものが盛られているわけですね。しかも、言われるところでは、来年の夏前ぐらいにイラク政府を立ち上げるべく大きな計画もあると言われているわけであります。  基本計画では一年間の活動期間というものを定めたわけですね。ですから、この一年間の中でそういうメニューをどういう組合せ、あるいは段階的にどういう仕事をやっていくか、そしてそれがイラクの統治機構ができたときにどう引き渡していくか、そういう展望の中で御説明をもう一度お願いしたいと思います。
  108. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員の御指摘のとおり、これは段階的なことがあろうかと思います。  今現在の状況の中において我が国が許される行動ということ、またできる行動ですね、可能な行動、これからスタートをするということでありまして、水の供給とか医療活動をするということが、をしていくわけでありますけれども、それが進展していきまして、また治安が回復されるというようなことでこの活動が広く行うことができるという状況になれば、それはそれに応じて自衛隊自身の活動範囲も広がるだろうと、役割も増えるだろう。そしてまた、そういう例えば水の供給であれば、それはその地域の住民にゆだねるというようなことまでしていかなければいけない。そして、ゆだねた上でどういうことができるかということも、その後のフォローが必要だろうと。その部分については、復興支援職員という枠組みがございますから、そういう方々にやっていただくということができるわけでございます。  いずれにしましても、民生の回復がなくして治安の回復もないだろうというように思いますので、これは鶏か卵かという話にもなるかもしれませんけれども、民生の今の状況が少しでも回復するということが治安を少しでも良くするということにつながるというように考えておりますので、民生回復のためにいろいろな今後展開をする。しかし、その第一歩を踏み出すわけですから、慎重にやってまいりたいというふうに考えております。
  109. 山口那津男

    山口那津男君 これまで各国軍隊がやっている人道復興支援活動について、必ずしも報道で日本には紹介されてきませんでした。しかし、かなりいい成果を上げている、イラクの人たちに大変喜ばれている、こういう活動もあるようであります。ですから、これから日本がやろうとしていることが、いい意味でこの復興に対する貢献の競争といいますか、復興を促進する、そういう方向で大きな役目を果たすことを期待したいと思います。  続いて、非戦闘地域というのが法律で設定されているわけであります。これは、中身は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域と、こう定義されているわけですね。これは、我が国の行う活動憲法で禁じられた海外での武力行使に至らないための言わば基本的な枠組みでありまして、非常に重要な定義だと思います。  これまでの国会論戦では、ともすればこれを抽象論として、あり得るかあり得ないか、こういう線引きが正しいか、こういう議論がなされてきました。しかし、大事なことは、今これから日本が現場で活動するに当たって、非戦闘地域、つまり現に戦闘が行われず、これからも行われることがないと認められるという確実な認定ができるかどうかということであります。  これは、法律上は、実施要項、これを決定する際にその地域を確定するということになっているわけでありますが、このたび作った基本計画においても、この基本計画で定めた地域というものの中で実施要項を作っていくわけでありまして、基本的にはこの基本計画に定めた地域が今後も戦闘行為が行われることがないと認められるであろうと、そういう認識が必要だと、こう思います。  その意味で、ムサンナー県を中心とするイラク南東部の中のいずれかで活動することになるわけでありますから、この地域の中に今後も戦闘行為が行われることがないであろうと認められるに至った理由といいますか根拠といいますか、相当な確実性といいますか、そういうことを国民に分かるように御説明いただきたいと思います。
  110. 石破茂

    国務大臣石破茂君) お答え申し上げます。  基本計画に書きましたのは範囲でございます。委員御案内のように、これを実施要項で確定をする、具体化するということになります。  じゃ、何でイラク南東部ということをまず範囲として定めたのかということでございますが、これは、政府調査団も参りました、専門調査団も参りました。そこで実際に犯罪というものがどれぐらい生起をしているか、そこで死傷を伴う犯罪というものがどれぐらい生起をしているか、そういうことを勘案をいたしまして、それが極めて少ないという実際の数字でございます。そして、現地に行きまして、オランダ軍やあるいはイギリスや、あるいはアメリカともいろんな情報を交換をいたしまして、そのような、現に戦闘が行われているわけではない、そして活動の期間を通じて戦闘が行われないと認められるというような判断をするに至っておるわけでございます。これを更に実施要項で確定しますときにそのようなことを更に確実なものにしていく。それが数字で表れますのは、いろいろな検分等々も重要でございますけれども、実際にそういうようなことが数字として表れている、非常に犯罪も含めましてそういうことがほとんど生起をしていない、それに基づくものが大きいのであります。
  111. 山口那津男

    山口那津男君 今、犯罪の件数が少ないあるいはテロ事件が起きたことのない地域があると、こういう御趣旨だと思いますが、それも大事な理由だと思うんですね。しかし、これから起きないということについては、そういうことが起きにくい社会であるということもあるだろうと思います。それから、アメリカ軍が主として治安維持活動を当たっている地域と、この我が方が定めた地域は、これはイギリス軍が大きな意味での安定を図っているわけですね、そういう地域性の違いということもあるだろうと思う。その違いというものが国民にはまだよくのみ込めない。イラク全土がすべてテロ行為が続発、頻発しているかのように誤解している方々も多いわけです。  ですから、その違いというものを基本計画にもある程度書いてあるわけです。それをもっと具体的に御説明すべきだと、こう思います。簡潔にお願いします。
  112. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりであります。  ですから、サマワにおきましては、そこにおける統治の体制というものが安定をしているということがございます。穏健な宗教勢力等が存在をし治安が安定をしているということ、そして、オランダが治安を担当しておるわけでございますけれども、オランダがきちんとした警戒態勢を取っているということ、そしてまた、現地において不審な者が入ってくればそれをきちんと見分け、通報するようなそういう体制も整っているということでございます。数と併せまして、そのような治安状況、統治の体制、そしてそのような不審な者が入ってきたときにそれがすぐに分かるような、そういうような地域であるということを加えて申し上げます。
  113. 山口那津男

    山口那津男君 加えて、その地は、かつて日本が様々な支援をした、例えば病院を建てたとか学校を建てたとか、いろいろ実績の残っている地域だろうと思うんですね。イラク国民感情も比較的良いということもあるだろうと思います。それら様々な具体的な事実をもっともっと説明していただきたいと、こう思います。  最後に、総理に伺います。  与党間で党首の合意をいたしまして、覚書に定めました。これから実施要項を定め、総理が承認をいたし、そしていずれ防衛庁長官派遣命令を出すと、こういう法律上の手続が順次進んでいくはずであります。そういう中で、覚書の趣旨をこれからどう生かしていかれるおつもりか。  これは、自衛隊派遣、とりわけ陸上自衛隊派遣について、危険なしと言えずというところに派遣するに当たって大きな心配があるわけであります。それに当たって政治家として責任を持って決断を下すという意味で大事な手続だろうと思います。法律に書いてあることではありません。しかし、議院内閣制の下で、大げさに言えば、これは与党がシビリアンコントロールを果たし得る、政府とともに果たし得るという一つの手掛かり、試金石になるものだろうと思います。  総理はこの覚書の趣旨をどう生かされていくおつもりか、お答えいただきたいと思います。
  114. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の自衛隊派遣基本計画策定いたしましたけれども、今後、実際に自衛隊派遣する場合に、今、防衛庁長官のところで実施要項を策定中でございますが、国民に理解を求めるということについてはいろいろな説明の仕方があると思っております。この国会の委員会審議もその一つだと思いますが、やはり与党とよく緊密に調整していく、これもやっぱり与党・政府一体として国民に理解を求めるという観点から極めて大事なことだと思いますし、自民党、公明党は今連立政権を組んでいるわけでありますので、こういう点については一連の手続の中で緊密に調整をして御理解と御協力を得たいと思っております。
  115. 山口那津男

    山口那津男君 是非その手続の中で具体的な良き先例というものを作っていただきたいとお願い申し上げまして、終わります。
  116. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。再び小泉純一郎総理大臣に質問いたします。  まず、私は初めに、イラクで亡くなられました二人の外交官の方々の死に対して、心から哀悼の意を表したいと思います。同時に、御家族の皆さんの御心痛にまずお悔やみを申し上げたいと思います。  我が党は、今度のイラクへの自衛隊派兵、これはもちろん断固反対でございます。その理由は、第一に、今回の自衛隊派兵はアメリカとイギリスの占領軍の支援を目的とするものだ。今、大変イラクは混乱をしている。この大きな原因は、大変、大義のない無法な戦争、それに続く不当な占領、これに対してイラク国民が大変大きな抵抗をしている、反発をしている、ここに大きな原因があると思います。  もう一つは、憲法九条に反する派兵だ。これは、憲法九条は海外での武力行使を禁止している。今、イラク米英の占領軍の下で大変泥沼化している状況だ、このことはだれしも認めることだというふうに思います。このところに自衛隊が送り込まれれば、この泥沼化の状態を一層加速することは目に見えていると思います。その意味で、自衛隊が攻撃を受けてこれに反撃することによって、自衛隊武力行使に道を開くことになる、この点で、私はイラクの派兵を強く撤回を求めたいというふうに思います。  私は、この前も総理に質問いたしましたように、私どもは、今の米英占領軍を中心とした枠組みから国連中心にした枠組みに切り替えて、その下で人道復興支援を大いに行うべきだ、こういうふうに考えております。  そこで、総理に幾つかお尋ねいたしますが、私、この基本計画総理が案を出して決定されました基本計画を見ました。この基本計画の中に、まず自衛隊活動範囲の問題。  今日、私、基本計画についてパネルを作ってまいりました。(資料を示す)この基本計画によりますと、自衛隊活動区域は決して南東部のムサンナ県だけじゃない。クウェートを拠点にしまして、バグダッド空港、中部のバラド空港、北部のモスル空港、それから南部のバスラ空港。さらに、海上自衛隊に至りましては、ペルシャ湾からインド洋に至るまで活動ができるようになっている。これが基本計画の実際であります。  私、イラク特措法では自衛隊の派兵は非戦闘地域に限られている、これは先ほども同僚委員からも議論があったところであります。なぜ非戦闘地域に限られているのか。これは、憲法九条違反か、つまり我が国が海外において武力の行使をしないということを明確にするための制度的担保だ、つまり九条違反に踏み出せないような担保をしているんだというふうなことであります。しかもイラク特措法では、この非戦闘地域に加えて、安全が確保される地域でないと自衛隊、派兵できない、こういうことになっております。  総理、そこで私、まずお尋ねしますが、先ほど示しましたようなこの基本計画の中に明示をされているバグダッド空港や北部のモスル、こうした空港を非戦闘地域、つまり戦闘が行われない地域と判断した理由というのを、まず総理、お聞きしたいと──いや、総理基本計画なんですから。お尋ねします。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) お答えを申し上げます。  基本計画で定めました範囲というものは、これから私の下で定めます実施区域とは異なります。その中が非戦闘地域というものを多く含むであろうということはございますが、法律において求められておりますのは、我々が活動するのは、現に戦闘が行われておらず、活動する期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域ということに相なっておるわけでございます。  そのような観点から、今どこを実施要項の中で実施区域として定めるかということを作業中でございまして、今そこの基本計画に書きましたものは、おおむねそういうことが認められる範囲という大まかなものを示しました。これからそれを具体化する作業を行うわけでございます。
  118. 小泉親司

    小泉親司君 基本計画総理が法律的に作ることになっておりますので、総理、この自分でお作りになられた基本計画について、明確にお答え願いたいと思います。  そこで、総理は七月の時点で、実はバグダッド空港は非戦闘地域かという質問をされているんですね。七月の十八日、ここで総理何と言っているかといいますと、バグダッドは今戦闘地域か非戦闘地域かということは断定できませんが、そんなに安全な地域ではないと思っておりますと答えております。しかも、このときには、どこが非戦闘地域でどこが戦闘地域かと今この私に聞かれたって分かるわけがないと答えておられた。  ところが、今度はこの決定をされた。しかも、バグダッド空港は、この七月の時点から見ますと、この二か月間だけでも十一月の二十二日、民間貨物機がミサイルで攻撃される、十二月九日には米軍輸送機がミサイルで攻撃される、七月の時点より一層悪化しているんです。  なぜそれ、総理、このバグダッド空港、先ほど防衛庁長官範囲だとおっしゃいましたけど、書いてあるのはバグダッド飛行場と書いてあるんですよ。じゃ、飛行場の滑走路だけ使うのか、屋家だけ使うのか。そんなことあるわけないじゃないですか。バグダッド飛行場と明示した、そのバグダッド飛行場を非戦闘地域と判断された、判断された根拠をお示しください。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 七月の時点でどこが戦闘地域かどこが非戦闘地域かと聞かれても私に分かるわけがないと。それはもう当然なんですよ。私、現地行って調査したわけじゃないんですし、専門家でもありませんから。そして、今回政府調査団も派遣し、状況報告を聞き、今後自衛隊派遣する場合には非戦闘地域であると。  そして、先ほどからも防衛庁長官が答弁しておりますように、非戦闘地域だから安全であるとは言えない場合もあると。戦闘地域だからといって危険だと言えない場合もあると。非戦闘地域の中でも安全なところとそうでない場合があると。戦闘地域でも安全なところとそうでない場合があると。こういう点についてよく状況を見極めて判断したいと。  で、基本計画にはバグダッドと書いてあります。バグダッドにおいても安全が確保される地点とそうでない地点があると思っております。イラクの南東部ということを基本計画で明記しております。イラク南東部においても安全なところと将来安全でないところが出てくるかもしれません。そういう点については、今、防衛庁長官実施要項策定中でありますので、いつかの時点ではっきりしてくると思っております。
  120. 小泉親司

    小泉親司君 総理は私の質問にお答えになっていない。  バグダッドとは書いてございません。バグダッド飛行場と書いてあります。総理自分でお決めになったのを忘れちゃったんですか。バスラ飛行場、バラド飛行場、モスール飛行場と書いてあるんですよ。バグダッド全体だとは書いておりません。それじゃ、バグダッド飛行場は極めて特化された、バグダッド飛行場というのは非戦闘地域なんですね。安全な地域なんですね。どうですか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 飛行場区域の中でバグダッドと明記しているわけであります。飛行場区域の中でね。それで、これから実施要項の中でそのバグダッド飛行場というものについて非戦闘地域に当たるかどうか、その点についてはこの策定する段階ではっきりさせたいと思います。
  122. 小泉親司

    小泉親司君 私、それは全くおかしいと思います。総理飛行場施設、確かに書いてありますよ。「(バスラ飛行場、バグダッド飛行場、バラド飛行場、モースル飛行場等)」と書いてあるんですよ。おかしいじゃないですか。あなたが言っているのは、バグダッドなんというのは書いてませんよ。バグダッド飛行場と書いてあるんだ。だからそれを、特化した飛行場についてあなたは非戦闘地域だと判断しなかったら書けないじゃないですか。そんなごまかし言っちゃ駄目ですよ、総理。そんなもう明白なごまかしです。──いや、書いてありますよ、総理。お見せしましょうか。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 書いてあるんですよ、はっきりと。「航空機による輸送については、クウェート国内の飛行場施設及びイラク国内飛行場施設(バスラ飛行場、バグダッド飛行場、バラド飛行場、モースル飛行場等) 車両による輸送については、」云々と、ちゃんと書いてあるんです。
  124. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、バスラ飛行場、バグダッド飛行場、バラド飛行場、モスール飛行場、全部非戦闘地域なんですね。
  125. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは実施要項と基本計画の相違をよく御認識をいただいていないと、そういうような御質問になるのだろうと思います。  つまり、基本計画の中には、先ほど来申し上げておりますように、範囲というものを記しました。実施要項で実施する区域というものを確定をいたしますときに、自衛隊活動を行う地域はいわゆる非戦闘地域でなければならない、その要件がきちんと掛かって、それが具体化されるわけでございます。その場合において、じゃ、なぜ、仮に、今、バグダッドとかバスラとかいろんなものをお示しになりました。仮に、ある空港がそこになったとしたとするならば、それは非戦闘地域であり、かつまた自衛隊の権限、能力、装備をもってして危険が回避できる、非戦闘地域と、もう一つ、安全の確保という二つの要件を満たすことが必要になるわけでございます。
  126. 小泉親司

    小泉親司君 先ほど、午前中の質疑で、非戦闘地域戦闘地域の問題は大変難解だと防衛庁長官言いました。国民は全然分からないと思います。だから、私は、今の、私が勝手に作ったものではなくて、総理がお作りになったものから、バグダッド空港と書いてあるから、それは非戦闘地域なんだなと。行くということが書いてあるわけですから、行ける、ないしは行く、このことが書いてあるんだから、なぜそういうことが明確にできないのか。私はこれはごまかし以外の何物でもないと思います。  例えば、基本計画に明示されたこの四つの空港、この空港一つ取っても、例えば北部、モスールでは大変危険だというのはもう皆さんも御承知のとおりのことであります。多くのところで飛行場が攻撃される。実は、イラクには米英占領軍が管理している飛行場が十二あるんです。だから飛行場などとなっているんです。その飛行場などの十二の空港のうち北部にあるのが六か所、中部が四か所あるんです、この四つを含めまして。この空港が米英占領軍の管理下なんです。これは実際にこういう空港も使えるという内閣官房の答えですから、こういうふうなことになったら、広大な区域自衛隊活動できる範囲に、総理、なるんじゃないんですか。  私は、特に国連が十二月十日に情勢報告総理、お聞きになってください、国連報告の中でも、イラクは危険が伴わない場所はない、これは十二月十日の国連報告なんです。実際にあなた方が行けるところなんかないじゃないですか。実際に、非戦闘地域という問題は、私は憲法九条の、先ほども申し上げましたように、これにかかわる重大な問題だから私、問題にしている。ところが、これに対して総理が明確にできないというのは非常に憲法九条上問題だと思います。  憲法九条の問題については先ほども出ましたが、総理は記者会見の中で九条という言葉、一言も言わなかった。私は、こういう戦闘地域と非戦闘地域の問題があいまいにされているから総理が九条のことを言えない、ここに私は大きな問題があるんではないかと思います。  そこで、次にお聞きしますが、総理人道復興支援ということを重ねて言っておられる。同時に、ASEANの首脳会議では米英のテロ掃討作戦には関与しないと、こう説明されている。しかし、私はこれもごまかしではないかと。なぜかといいますと、基本計画の中には、安全確保支援活動、これは先ほど山崎長官が冒頭お話しになりましたような活動が含まれている。どういう活動かといいますと、これもパネルにしてまいりました。(資料を示す)  これはイラク特措法防衛庁長官が答弁されたこと、一つは米軍の武器弾薬の輸送、武装兵員の輸送イラク人による米占領軍への抗議・抵抗運動の鎮圧の支援、フセイン軍残党の米軍掃討作戦の支援、武装解除や敵の部隊を打ち破る攻撃の支援、つまり支援活動としてはこういうことができるんだと政府がこれまで説明してきたことであります。  総理、こういうことも今度の基本計画の中には含まれているんですね。どうですか。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう活動ができるということになっております。
  128. 小泉親司

    小泉親司君 ということでございますから、これらのいわゆる米軍の武器弾薬の輸送、米占領軍の武装兵員の輸送、それから米英軍のフセイン残党掃討作戦の支援、こういうことの支援すると。私、これは米英占領軍、正にその活動だと思います。  そこで、その武器弾薬の問題について少し具体的にお話をお聞きしますが、総理は記者会見で、武器弾薬の輸送をやりませんというふうにお答えになりました。ところが、昨日の委員会では、今度は武装兵員の輸送をやるんだと、官房長官ですか、いわゆる兵員の輸送をやるんだということを認められた。  そこで、聞きますが、イラク特措法の三条三項では、武器の輸送、弾薬の輸送というのは排除されていないんですね。これはもう皆さん御承知のとおりのことであります。基本計画には全く同じ文言で、米占領軍の支援として、イラク特措法第三条三項に規定する医療輸送、保管、通信、補給など、これを行うと言っておりますが、この基本計画輸送の中には武器弾薬は含まれるんですか。総理、あなたが決められたんですよ、基本計画は。
  129. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この、何と言ったかな、支援活動ね、安全確保支援活動安全確保支援活動のいろいろなその業務を書いてございます。その中に輸送というものがございます。その輸送の中には、兵員の輸送というものもこれも排除されないと、こう考えております。
  130. 小泉親司

    小泉親司君 ちゃんと聞いておいてくださいよ。武器弾薬の輸送は含まれるんですか。
  131. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) その中には武器弾薬も排除されないということでありますが、これは再三申し上げているけれども、武器弾薬は総理のお考えとしてこれは輸送しないと、こういうふうに総理が判断をされたものでございます。
  132. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、基本計画に含まれるということでございますね。そのことをお認めになりましたね。はっきりしてくださいよ、ちょっと、官房長官
  133. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) はっきりもくそもない、何度も同じことを言っているじゃないですか。武器弾薬はね、これはこの中に入っているけれども、しかし政策判断として、総理の政策判断として運ばないと、こういうふうに言っているじゃないですか。
  134. 小泉親司

    小泉親司君 大分、福田長官、お怒りでございますが、武器の弾薬の輸送、この問題についてあなたは、なぜ排除されないのかという質問をしたときに何て答えられていたのか。物品と武器の弾薬とそうでないものと混在して一つの荷物にまとめるということは、戦地では往々にして行われるというように聞いております。武器弾薬を、これを一つ一つ点検して選び出して、それを別にして、このようなことは実際のオペレーションとしてはなかなかしにくいということでございます。要するに、円滑な業務が実施できなくなるおそれがあるんです。だから、できないんです。だから、法律には排除されているんですと説明したんです。  じゃ、総理、お聞きしますが、あなたは武器弾薬の輸送は行いませんと言われましたが、ということは、一つ一つ点検して選び出して、それを別々にして運ぶ、こういうことを指示なさるんですね。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本計画、この支援法の中では武器弾薬も輸送することはできると、しかし、私は、実施要項、武器弾薬はしないと。この中で、それぞれ協力する場合に、自衛隊員だって武器携行する場合あるでしょう。それも武器弾薬の輸送に入るかというと、そこは入らないんじゃないですか。私は、そういう面において、兵員が武器を携行していく場合、それを、兵員を輸送する場合にそれは武器、お互い協力活動をしているわけですから、そのときにまでこれまでも武器弾薬の輸送というふうには言えないんじゃないかと言っているんです。
  136. 小泉親司

    小泉親司君 総理、全然質問に答えておりません。私が言っているのは、なぜ武器弾薬を、実はアフガニスタンの戦争のときのテロ特措法のときには、皆さんも御承知のとおり、与党の修正でアフガニスタンでは陸上において弾薬の輸送は行いませんという規定が入ったんです。ところが、今度のイラク特措法には、武器弾薬の輸送は行えます、つまり排除されておりません、つまり行えますということが明記されているんですよ。なぜだと私たちが聞いたんです。そうしたら、福田さんが、こん包が混合にこん包されているんだと。だから、例えば防衛庁長官は何て答弁されているかと、小麦粉とバターも一緒に弾薬と積む場合がございますよと、それが区分けできないんだと、だから今回は排除していないんだと言っているんですよ。  ということは、総理がもし武器弾薬を運ばないとおっしゃるのであれば、当然のこととして、それをどうやって見極めるんですか。あなた、一つ一つ点検して、それを明確にしない限りできないじゃないですか。あなた、どういうふうにそれ担保するんですか。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それははっきりとして、政策判断として運ばないと宣言しているんですから。日本のやる活動はこうですよということは、お互いの信頼関係理解して、ああ、日本の人たちは武器弾薬は運ばないんだなということはよく分かっていると。そういうようなことを表明して、日本復興支援活動に理解を求めていくと、そういう判断です。
  138. 小泉親司

    小泉親司君 あなたね、さっきは実施要項で作ると言ったんですよ。実施要項を作るといったときは、実施要項に、じゃ、そういうものを盛り込むんですか、あなた。  自衛隊員に対して防衛庁長官が命令するときに、いや、それは武器弾薬は一々点検して、それは区分け、だって混合こん包しないからと言っているんですよ。それなのに、じゃ、混合こん包しないというのであれば、当然のこととして、それは一々点検しなくちゃできないじゃないですか。どうやって担保するんですか。
  139. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど来、委員は、一緒にこん包していかなければできないと、こういうようなことを言っておられる。これは今回の議論じゃないでしょう。
  140. 小泉親司

    小泉親司君 私が言ったんじゃない。あなたが言ったんだ。
  141. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いやいや、そうじゃない。それはあなたが今言っているんじゃないですか。
  142. 小泉親司

    小泉親司君 違うでしょう。
  143. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 黙って聞いてください。  あのね、それは前の議論でしょう。今回の議論じゃないんです。これは、今回は総理の政策判断として、その武器は運ばない、武器弾薬は運ばないと、こういうふうに言ったんだから、運ばないようにするしかない。それは実施要項を決める中できちんと整理していくと、こういうことであります。
  144. 小泉親司

    小泉親司君 私が言ったんじゃございません。あなたの言った答弁を読み上げたんです。──昔じゃありません。イラク特措法審議においてでございます。だから、イラク特措法とどう違うのかと総理にお聞きしているんですよ。総理、おかしいじゃないですか、そんなことは。現実にあなたは武器弾薬をしないと明言されたのであれば、一つ一つ選び出さない限り見付からないじゃないですか、混合こん包をされているということなんですから。それは私は、大変それはごまかしだと思います。  このようなことで、私は、混合こん包して事実上武器弾薬を運ばないとあなたは政策判断しただけの話で、現実問題としてはこれは分からないと。昨日もこれ議論ありました。そのとき、防衛庁長官、手を挙げていますが、防衛庁長官、昨日答弁は何と言ったかというと、それは連合軍のコーリションだから、だからコーリションを信頼できるわけ、するほかないじゃないかと、こう言ったわけですよ。ということは、じゃ、米英軍が信頼すると言うんだったら何の確認もしないで弾薬も乗せちゃうと、これも可能になるじゃないですか。私は、これは全くのごまかしだというふうに思います。この点で、私は……
  145. 山本一太

    委員長山本一太君) 石破防衛庁長官、答弁を求められております。
  146. 小泉親司

    小泉親司君 違う。私の発言時間ですよ。何言っているんですか。あなた、委員長、勝手に言っちゃ駄目ですよ。あなたね、そういう委員長の差配は非民主的でございます。
  147. 山本一太

    委員長山本一太君) 質問をお続けください。
  148. 小泉親司

    小泉親司君 それで、私は米英占領軍の、これは明確な支援活動だと。総理は、武器弾薬は排除すると言っておきながら、現実にその排除する担保については何ら私は、具体的に示し得ない。こういうことをやっているから、やはり自衛隊が、私、標的になる。例えば、この占領軍の支援の問題については、例えば、今度陸上自衛隊派遣されるサマワ地域でも攻撃があるんですね。それはもう総理もよく御存じのところだというふうに思いますよ。同時に、先ほど午前の審議で、防衛庁長官も言いました、NGOの赤堀さんという方が、今の治安状況では間違いなく自衛隊や抵抗する人たちがターゲットになってしまうんだと。  だから、一番問題なのは、アメリカとイギリスの占領軍の枠組みじゃなくて、国連中心にした枠組みに切り替えて人道支援するんだと、そうすることが一番やはり安全の問題からしても重要なんだと。これこそ私たちはイラク復興の具体的な方策だということを申し上げて、私の質問を終わります。
  149. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田昌秀であります。  質問に先立って、去る十一月二十九日、イラクにおいて不慮の死を遂げられた奥克彦大使と井ノ上正盛一等書記官並びにイラク人運転手に対し心から御冥福をお祈りいたします。また、御遺族の方々には謹んでお悔やみ申し上げます。  さて、最初に総理の歴史認識についてお伺いいたします。  去る十二月九日、小泉内閣自衛隊イラク派遣するための基本計画を閣議決定いたしました。いまだ戦闘が終結していないイラクの戦場に武装した自衛隊派遣することは自衛隊の海外派兵にも等しく、戦争を否定し、武力行使を否定する憲法を持つ平和国家として、過去半世紀以上も国外でただ一人の生命を奪うこともなかった誇るべき戦後日本の歴史を文字どおり覆すことにもなりかねません。  先日、十四日、フセイン元大統領が拘束されたことについて米英暫定占領当局のブレーマー代表は、今日はイラクの歴史で偉大な一日だと述べました。後世の歴史家たちが今回の総理イラク派兵の歴史的意味についてどのような表現で記述されるか分かりませんが、私は今回のイラク派兵は日本の戦後史における一大事件と認識しております。  総理は御自身の決意を歴史的な文脈の中でどう認識されておられますか。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今まで憲法の解釈をめぐりましていろいろな議論が行われてまいりました。御承知のとおり、自衛隊憲法違反である、いや自衛隊は合憲であるという議論が戦後幾度となく国会の場でも議論されてきたわけであります。そういう中にあって、今や裁判所の判断をまつまでもなく、大方の国民自衛隊憲法違反でない、合憲だと判断しているのではないでしょうか。  一時期は学者も巻き込んで違憲、合憲、かんかんがくがくの議論が行われました。その後、湾岸戦争を契機に、自衛隊も人的貢献の中で海外で活動できるのではないかと。当時、いろんな議論を思い起こしてみますと、自衛隊が海外に行くことはこれまた憲法違反である、海外派兵は禁じていると、憲法で。しかしながら、幾たびかの議論を重ねてきて、自衛隊が海外に行くのが必ずしも派兵、いわゆる武力行使のために行くのではない、PKO、いわゆるピースキーピング・オペレーション、平和維持活動に行くのだったらば自衛隊も海外で活躍できる分野があるのではないかと。この審議の際にも国会では様々な議論が行われました。徹夜の審議も行われました。  しかしながら、自衛隊、海外派遣されるのは必ずしも憲法違反ではないと、PKO活動、平和維持活動ならば自衛隊の海外派遣も派兵とは違う観念であると。派兵というと、どうも戦争に行く印象が強いと。武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、平和維持活動だということで、自衛隊派遣ということも私は大方の国民の賛同を得て定着してきたんだと思います。  現に、この十年間の間にペルシャ湾の掃海艇の派遣、あるいはカンボジアのPKO活動、ゴラン高原のPKO活動、あるいは東ティモールのPKO活動、アフガンでの後方支援活動、それぞれ自衛隊部隊が海外に派遣されても、これは憲法違反でない、合憲だという解釈は大方の国民の理解を得れるようになったと思います。  こういうことを考えていると、憲法の解釈、もう当初から非常に変わってきた面もあります。今回、日本が戦後の憲法制定時のように外国から援助を受けていた時代から、外国支援にもよります、日本国民努力にもよります、そして今日まで発展してきた。今や援助を受ける立場から援助をする立場に立つような発展した国になった。そういう際に、私は他国のことの復興支援のためにいろいろな活動ができる、そういう中で自衛隊もできるのではないか……
  151. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 簡潔にお願いします。時間がありません。
  152. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) という私は解釈があってもいいのではないかと思っております。  もちろん、このような解釈においては依然として、憲法違反、いや合憲だという議論があるのも承知をしております。そういう点について私は、憲法の前文の理念とそれから憲法九条、武力の行使はしない、武力による威嚇はしない、そういう前提の下に、私は自衛隊派遣するということは憲法違反であるとは思っておりません。戦闘行為にも参加しない、戦争に参加するんじゃない、復興支援活動に赴くんだということで、私は今回も自衛隊派遣することが憲法違反であるとは思っておりません。
  153. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 総理は常々、日米同盟の重要性について強調されておられます。私も軍事同盟ではなく日米の友好協力関係は非常に大事だと思っております。しかし、戦後半世紀以上も我が国は安保条約を締結している立場から、アメリカに対しては多くの基地を提供しているだけでなく、金銭的にも随分と協力しています。ちなみに、外務省日米安保条約課から提供していただいた在日米軍駐留関連経費総額の表によりますと、一九七八年以来、いわゆる思いやり予算として二〇〇三年までに四兆二千三百億円、それを含めて駐留費として既に総額十一兆七千八十二億円を支出しています。  今回のイラク戦争においても、経済的苦境にありながら、イラク復興支援金として、当面、二〇〇四年中に一千六百五十億円、二〇〇七年末までに総額五千五百億円を拠出すると表明しています。  ですから、日米関係については十分に協力していると思われますが、憲法違反までしてあえて自衛隊を派兵しなければ日米関係は悪化すると総理はお考えですか。
  154. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本的な認識がまず違っているなと思います。  私は、先ほど申し上げましたとおり、自衛隊派遣することが憲法違反であると思っておりません。憲法違反まで犯して日米協力するのかと言われますが、まず憲法違反であると私は思っておりません。  そして、日米協力重要だと。日米協力重要の中で最も重要な点は、日本の平和と安全を確保することであります。日本経済発展も、まず日本の平和と安全が確保されなきゃあり得ないと思っています。日米安保条約経済協力だけでもないです。平和と安全、独立を守るための条約であります。  そういう観点から、私は、日本として、同盟国として、日米協力というのは日本の平和と安全を確保する上においても、また世界各国と友好的な経済関係を提携する上においても重要だと思っておりまして、今回の法案が憲法違反であるとは思っておりません。
  155. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 十二月五日付けの共同通信社の報道によりますと、イラク戦闘に参加している米兵のうち、脱走者が千七百人出ているほか、七千人の米兵が精神的ダメージによって治療のため撤退したとあります。精神的ダメージというのは、いわゆる戦闘恐怖症というものだと思います。去る沖縄戦においても、守備軍司令部のあった首里攻防戦では、わずか十日間ほどの戦闘で一千五百人から二千人ほどの米兵が戦闘恐怖症にかかり特別の治療を受けましたが、戦後もずっと精神的不安定が続いているようです。  実は、私の学友と後輩も沖縄戦で精神的ダメージを受け、戦争から生き延びたものの、戦後五十八年間、今日に至るまで、精神病院に入ったまま一歩も社会へ出て生活することができない人たちがおります。この人たちにとって人生とは何かを考えたときに、どう表現していいか言葉も見付からない状態であります。  精神的ダメージを受ける理由はいろいろあると思いますが、一つには、何のために殺し合うのかということについて納得できないからだと思います。国益のために戦うと言いながら、現実には何ら罪もない子供や女性を殺りくしてしまうことに疑問が出てくるのです。  イラク人道復興支援特措法議論される場合、ともすれば殺される側のことはなおざりにされがちですが、こうした問題について総理はどのように配慮なすっておりますか、簡潔にお願いいたします。
  156. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、日本自衛隊イラクにいる場合も、殺し合いに行くのではありません。これは、もし万が一殺されるかもしれないような攻撃に遭ったときには、安全確保のために十分な準備をしていかなきゃならない。イラクの国の発展のために、イラクの、イラク人政府を立ち上げようとしているイラク人支援のために、復興支援のために、自衛隊は自らの活動分野あるだろうと思って行くわけであります。  そういう中に、殺し合いを前提にして行くのではありませんし、この点については、むしろ行く前に、自衛隊が行く場合でも、イラク人に評価されるような、イラク人希望するような仕事、任務をすべきだと。こういう点については、よくイラク人に理解されるような、迎え入れられるような配慮を十分にしていかなきゃならないと思っております。日本自衛隊戦争に行くのではないと、殺し合いに行くのではないと、イラク人支援のお手伝いに行くんだということをよく理解してもらうような努力が一段と必要ではないかと思っております。
  157. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の自衛隊イラク派遣について、沖縄県の五十二市町村のうち過半数の三十二市町村の首長が反対しています。賛成しているのは二人だけです。戦争が何たるかを知っているからだと私は思います。  社民党は、先日十二月十三日に開催された定期全国大会において、自衛隊イラク派兵に反対する決議を採択しました。イラク復興については我が国も積極的に協力すべきという点については無論賛成であります。しかし、それは、米英の占領行政に加担するのではなく、何よりも国連主導による復興支援体制が確立され、イラク人による政権の早期樹立が展望される中で、非軍事、民生、人道支援に徹することこそが我が国が行うべき支援であり、平和憲法を生かす道だと思うからであります。  その意味で、自衛隊派遣には明確に反対する意向を表明して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  158. 山本一太

    委員長山本一太君) 総理、御退席いただいて結構です。
  159. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。  私からも、過日お亡くなりになられました奥大使、そして井ノ上一等書記官並びに現地職員、あわせて、今回のいわゆる戦争で多くの方々が命を失われております。同胞の死を悼むものであり、そして同時に、一日も早い人の命を奪い合うそういった武力行使戦争がなくなるということを望みたいと思います。  この間、私どもは、今日の午前中の議論でもそうですが、いわゆる大義なきということで、そうくくっておりますけれども、今回の米英軍中心とした武力行使について支持をしたことについては誤りであり、そして今回フセイン元大統領が拘束されたことは、これは私は率直に言って喜ばしいことだと思いますが、この間ずっと見てみて、九・一一から始まって、九・一一、これも痛ましい事件でした。戦争だと叫んでアフガニスタンに武力行使に入っていく。このテロがテロを生む、テロの連鎖、報復、こういうふうにつながってきているんではないかというふうに思いまして、私は、改めて今回この基本計画によりまして、新たなまた実施要項が、基づかれまして自衛隊派遣をされるという段階になりまして、冷静なる日本政府という役割を果たすべきだというふうに思っております。  さて、官房長官、通告をしていないんですけれども、先ほど、今日、この冒頭、この委員会が始まるときに、佐藤委員から、委員会最終日ですと、昨日、今日でいえば最終日なんですけれども、参議院は今日、この閉会中一日だけなんですね。これ一日だけでは、これは私ども国会議員として、現下のこのイラク情勢のみならず、様々な国内情勢も含めまして臨時会を開くべきだということを私どもは申入れをいたしました、憲法五十三条に基づきまして。  ここに、正式にこの憲法五十三条に基づきまして四分の一以上の議員の賛成をもって提出しましたけれども、内閣の方から明確なる御返事がないと思いますけれども、こうした公式の場所でございますので、内閣としての御見解をお述べいただきたいというふうに思います。
  160. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、国会の適切なる要求あれば、これはそれに応ずるということになっております。ですから、そういう意味で我々も誠意を持って対応すべきであるというように思います。  しかし、いずれにしましても、国会の方で運営のことについては決定されるものでございますので、まずそれを決定をされて、私どもはそれに従うと、こういうことになることでございます。
  161. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 衆議院と参議院のイラク特とかこの外交防衛委員会は、それはそれぞれ院内でいろいろ協議することですが、憲法五十三条に基づいて臨時会を要求したわけですね、四分の一以上の議員の賛成をもって。このことと、昨日、今日の議論とは、これは似ているようで似ていないわけでありまして、これは。臨時会を開こうということです。開かなければならないということなんですね、憲法に基づきまして。ねばならないんです。  このことについて、内閣としての御見解をいただきたいと思います。
  162. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私、正確に条文見ていませんけれども、たしか要求のあったときは、これは、例えば次の国会が近いというときにはその国会でよいというような判断もできるように理解しておるところでございます。ちょっと正確に記憶いたしておりません。
  163. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大変悲しいですよ、官房長官、そのぐらいの認識であっては。
  164. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いえいえ、忘れた……
  165. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いやいや、それ困るんですよ。だって、長いこの憲政史上、二十九回臨時会を要求していますよ、国会は。二十九回。確かに、官房長官、時期は違うんです。すぐやった場合と、ちょっと時間が空いてやった場合があるんです。しかし、二十九回とも臨時会召集しているんですよ、二十九回とも。これ三十回目で、私ども委員が要求をして実施をしないということになれば、小泉内閣初めてですよ、これは。
  166. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今聞きましたら、期限は特に定めていないと、こういうことですね。でありますので、それでは間に合わないということで、この閉会審査という、こういう、何というんですか、役割があるのではないかというように思っております。
  167. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これ新解釈ですよ、それ、新解釈。そんな解釈、駄目ですよ、そんなのは。憲法は、ならない、開催しなきゃならないんですよ。  で、暮れに、例えば、かつて十一月二十八日に内閣に送付をして召集詔書が公布がされましたのが十二月三日とか、十月とか、十月で十二月とか、これありますし、三か月ぐらい空いているのもありますよ。暮れであってできないなんということはない。それはもう、通常、常会があるならずっとあるわけですから。短期間でも、四日間でも、十七日間でも、年末、秋になって実施している例があります。これ怠慢なんですよ、憲法違反になるんですよ。重大なことなんです、これは。
  168. 秋山收

    政府参考人秋山收君) 憲法第五十三条の問題でございますので、一般的な考え方を御説明いたしたいと思います。  憲法五十三条後段は、「内閣は、」その要求があった場合に「その召集を決定しなければならない。」と規定しておりますが、召集時期につきましては何ら触れておりませんで、その決定は内閣にゆだねられております。  このことから、いつ、いつ召集してもいいということではもちろんございません。臨時会の召集要求があった場合に、仮にその要求において召集時期に触れるところがあったとしましても、基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないというふうに考えられているところでございます。  もっとも、この合理的な期間内に常会の召集が見込まれるというような事情がありましたら、国会の権能は臨時会であろうと常会であろうと異なると、異なるところはございませんので、あえて臨時会を召集するということをしなくても、憲法に違反するというふうには考えておりません。
  169. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、だから、ねばならないという中で、いつ開催したかどうかというのは、ここ、さかのぼれば、期間も含めまして、私も調べさせていただいています。しかし、秋とか年末に要求をして、そして実施をしている例があります。そして、二十九回要求して、すべてそれは、時期は別にしても、臨時会は開会をしていますということになっております。  質問をしましたら、急な質問だったですから、答弁はなかなか官房長官も大変だったかも分かりませんが、それならば、急な質問であったって、四分の一以上の国会議員が臨時会を要求していて、どういうときにだって対応するのが政府責任じゃないですか。このままですと通常国会、通常国会がもう一月中旬からあろうと思います。そういう情報、私も知っていますよ。知っていますけれども、やらないということになるんですよ。宣言することになるんですよ。臨時会をやらないということになるんですよ。
  170. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) そういう話が、臨時国会、要するに年内開けと、こういう話ですね、というような話があったというのは私も聞いております。  しかし、そのときに、十二月の中旬以降は予算編成もあるということで、この時期に臨時国会をするということはその編成、予算編成に支障を来すので、したがってこれは避けてほしいという、そういうような返答したように私、記憶いたしております。その後のことにつきましては、国会の中においてそういう御理解を賜れたというように考えております。  なお、国会もなるべく早く開くということも併せ申し上げていたのではないかというように思っております。
  171. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は憲法に抵触をすると思います、今のままいきますと、ということだけ私は指摘させていただきます。  過去ずっと調べさせていただきましたけれども、戦後、臨時会を開会をすべてしておるわけでありますから、そのことを、それから、今の小泉内閣というのはそういうことまできちんと私は精査してやられていないんだなということを本当に残念に思います。  さて、次に、いわゆる奥さんと井ノ上さんの遺体が我が国の方にということで、先ほど警察庁長官の方から検視という、そういう話、出ました。昨日、私もテレビ衆議院質疑を時々聞いていました。外務大臣からいろいろそれなりの報告は聞いているんですけれども、警察庁長官、ちょっと私も政府委員として求めていないんで、外務大臣から、お尋ねし、お答えいただきたいと思いますけれども。  お二人の遺体からいわゆる銃弾、何十発も銃弾、これについては摘出してあるんでしょうか。摘出して、その銃弾というのはどういう銃弾だったのかどうかということについては、調べた結果明らかになっているんでしょうか。
  172. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは警察庁の方でやっていらっしゃることでございまして、そういった、それが一体どのような銃弾であったかどうかということについては分析中で、警察庁の方で分析をしているというふうに聞いて、承知をいたしております。
  173. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 検視をしたのは何月何日ですか。分かりませんか、どなたか。
  174. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは四日のことでございます。  済みません、四日に検視、五日に司法解剖であったというふうに聞いています。
  175. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、今日が十六日ですから十日以上たっているわけでありまして、多分摘出されているんでしょうから、十日も掛かりますか、その銃弾について。  警察庁、ちょっとね、僕も言わなかったからあれなんだけれども、でも、それからまた、いなくてもですよ、外務大臣、そのぐらいの報告あったっていいんじゃないですか。私はその銃とか何かの武器の専門家じゃございませんけれども、この専門家に言わせれば、その銃弾がどの銃から発射されたものかということが、これはもう普通の、一般的に事件何でもそうじゃないですか、犯人を糾明する。  今回、だれから、だれたちから二人は殺害されたのかということについては、もう先ほど来、私がここでくどくど言うまでもなく、徹底的に究明します、調査をします、総理自身も言っていますけれども、私は、深刻感ないんじゃないですか、そんな。本当に調査する気持ちあるんですか。
  176. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  奥大使は左側頭部のその銃創による頭蓋内損傷、井ノ上書記官は左上腕部の銃創による失血死が死因と推定されております。  お尋ねのその銃弾ということでございますけれども、大臣よりお答えしたとおりでございますが、銃弾らしき金属片でございますが、これは相当程度あると思いますが、破損、変形等しているようでございまして、そういう意味で、その銃弾の数も含めて鑑定中ということでございます。
  177. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一般にそのぐらいの日にち掛かるんですか。普通、だって殺人事件とか何かあればすぐ銃弾摘出して、これ、だれの銃だということについてすぐ、犯人を検挙するためには大変な捜査するわけでしょう。考えられないですよ、そんなの。
  178. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 大変申し訳ありませんが、私ども完全に知識を有しておりませんので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
  179. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私、余りこういう言葉使いたくないんですけれども、お粗末だなというふうに思うしかないですね。質問したら、お二人の殺害というのは大変なことですよ、そのことをもって様々、多分検視も一生懸命されたと思いますし、銃弾も出たんでしょうから、それを、国会があるかないかは別にしてですよ、つまびらかにしていくというのが当たり前な政府の仕事じゃないですか。ひど過ぎる、率直に言って。本当に真相を究明するつもりがあるのかどうか疑わしく思いますよ。  これ以上聞いて何か出てくるんですか。あるいは、何か調査して私たちに教えてくれるんですか、ここで約束してくれますか、検視の結果について。可能な限り、それぞれプライバシーもありますからいろんな身体的なことは別にしまして、犯人を糾明していく、だれであったのかどうかということについてつながっていくような状況については明らかにしていくのは当たり前のことじゃないですか。出してくださいよ。
  180. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この事件の真相解明につきましては、先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、今後の治安対策の関係もあり、これは徹底的に解明する必要があるということで今、調査を行っております。  この御遺体の様子もございますけれども、私どもといたしましては、攻撃された車がどのように攻撃されているか、その銃弾がどういう形になっているかということも含めて調査を行っております。
  181. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 委員会で明らかにしていただけますね、大臣
  182. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省としては、外務省が把握をしていることで捜査上の障害にならないという警察当局の御判断であれば極力公開をしていくということで、今までそのような方針でやってきたつもりでおります。  お話のその銃弾につきましては、これは私どもとして直接に鑑定をしているわけではなくて警察当局でいたしていることでございまして、私は、警察当局の見解が、今、鑑定中であって、結果について今の段階で公表できるということではないというふうに承知をいたしておりますので、私の立場でそれは必ず公表いたしますということは申し上げかねますけれども、外務省の承知をしていることあるいは外務省として調査をしたことで捜査上の問題がないことについては、これは公表をしていくという姿勢でおります。
  183. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣としては、ある意味じゃ自分の部下ですから、これはもうお気持ちは私はもう心痛お察ししますけれども、徹底的に明らかにするということが私はこのイラクにおける、中東における様々なこれからの平和、和平につながっていく話じゃないかと思いますよ。銃弾の角度とかですよ、様々先ほどの議論もありましたとおり、米軍の情報からして何かまだ不思議なところばかりあるんですよ。今現実に、私たちの国としてお二人の遺体から検視して、既に銃弾等についてはもっと解明できる、私たちは段階にあるんじゃないかと思いますね。そこから私たちは努力をしていくということについて更に求めさせていただきたいと思います。  それでは、昨日のもう一つ、官房長官、今日総理がもうお帰りになっていないんですが、一緒にいらしたと思いますけれども、気になる質疑で、私どもの前原委員がこのアメリカの小型核兵器開発問題について質疑をされたと思います。御記憶ありますよね、昨日ですから。アメリカが、言ってみればこの小型核兵器開発問題についていろいろ議論なり研究開発をされていることについて議論があるのはいいことだと、議論があるのはいいということだ。議論があることはいいけれどもと言っていますが、これ、議論があるなしというのはこれ言論の自由ですから、議論そのものについて封鎖するつもりありませんが、我が国として核廃絶、核兵器を廃絶をしていくんだということについての立場に立つならば、いいことだということについての私は答弁というのはないと思うんですね。  確かに懸念は表明しましたよ、懸念については。懸念ということについては表明をしておりますけれども、言葉として小型核兵器開発問題について議論があるのはいいことだということが一番最初から、総理大臣の言葉から、答弁出てくるというのは、私は我が国の国是としていただけない答弁だなと思いますが、いればお尋ねするんですが、しょっちゅういらっしゃいますけれども、全体に内閣束ねます官房長官、いかがですか。
  184. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 小型核兵器の開発について今の段階というのはまだ研究開発をするという、そういう正確にちょっと、正確には外務大臣から聞いていただきたいんですけれども、そういうような段階で、それも実行するかしないか分からないような段階ではないのかというふうに思います。  ですから、それについて、それはそういうものが存在をするということになるとそれは新たな脅威を生むという、そういう観点から慎重にという趣旨でもって総理は言われたんだろうというように私は理解しておりました。
  185. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 慎重にというのは、だからいいことだというのは前向きになっていくんですよ。慎重というのは、慎重という言葉を知らないんですけれども、これはやっぱりためらい、抑制するという立場に立たなきゃいけない、我が国の国是としましては。そういう立場なんでしょうねと、今の小泉内閣は。そのことをお尋ねしたいんです。
  186. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、実は昨日きちんとお話をさせていただきたいと思ったんですけれども、そういうことをきちんとやらせていただけなかったものですから改めて申し上げたいと思いますけれども、米国が研究開発をしたということではなくて、研究、RアンドDのうちのR、研究、これを再開をするということであって、開発の方について言えば、これをするに際しては更に議会の承認が必要であるということであります。したがって、研究のみということでして、米国からはこれについて、意見交換をいたしましたけれども、開発そして生産につながるものではないという説明を受けております。  それから、委員おっしゃるように、我が国にとって究極的に核をなくしていくということは非常に大事な考え方として軍縮会議等々の場で積極的にイニシアチブを取ってきております。これにつきまして、こういう米国の意思決定が、国際社会が今持っている様々な懸念、我が国も含めてですが、そういうことの認識をちゃんとしてほしいという話も米国には我が国の懸念として伝えてあります。米国としては引き続き核実験についてはモラトリアムは守っていくんだということもその際米国から聞いております。引き続き我が国として、核の問題についてはこれをなくしていく方向で積極的にイニシアチブを取っていきたいというふうに考えております。  いずれにしても、日本は、もう一つ核について言えば、これはアメリカとの安全保障条約を堅持をして抑止の下で我が国の安全を保障していくという立場、これを確保していきますけれども、その一方でまた、被爆国としての惨禍が繰り返されてはならないというふうに考えておりまして、核がない平和な世界が一日も早く作られるということを考え、外交努力を積み重ねていきたいと思っています。
  187. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣の答弁ですと、昨日の総理の答弁というのはちょっと舌足らずというより、どうなんですか、我が国の今までの外交努力とか核兵器、核廃絶に向けて取り組んできたそういった姿勢と、言葉が間違っていたってまあ大臣言えないかも分からないけれども、今の大臣の答弁と違いますよ、それは。大臣の答弁が我が国方針である。昨日の言っているのはまあ総理なんですけれども。訂正していただくのは、昨日官房長官いらっしゃったんで、これ総理大臣の一言一言というのはもう私たちなんか以上に大変な重みがあるわけですよ。これはきちんと、容認するかのような議論は、いいではないかとかですね、前向きにこの小型核開発に向けて日本総理大臣発言するということはこれは本意ではないと、本意ではないと、そういうふうに受け取られたらそれは本意ではありませんというふうに否定してくださいよ。
  188. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 昨日、総理がどういうように言われたかも正確に覚えていませんけれども、まあ私の印象としては、こういうようなものについての、特に核開発といったようなものについては慎重にしてほしいという、先ほど私申し上げました、そういうようなニュアンスで言われたというように思います。それは、今、外務大臣説明したのと同じ趣旨であるというように私は思います。
  189. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 時間がありませんからこれ以上やり取りできませんが、慎重とかなんかじゃないんですね。やめてほしいということなんですよ、率直に言えば。そういうことをはっきり言うべき我が国なんですね。  残り二分、私から同僚佐藤議員にお渡しをいたしますが、私はこれからもずっとこのイラク問題とか中東問題、続くと思いますが、日米同盟、そして国際協調というのはずっとこれは、総理の言葉ってずっとありますが、何か、紛争の解決手段で武力行使武力行使じゃないと、復興支援に行くんだと。これは、自衛隊は他国から見るなら軍隊、向こうからは軍隊。正当防衛だと言ったって、そこで正当防衛といえども、武力行使が実際、武力行為が行われる。  大変、専守防衛の我が国として、今回の私はイラクに対する支援、支持から始まりまして、そして基本法、そして今度の基本計画、甚だいわゆる非核平和主義を貫く我が国の国是として大変問題であるというふうに思いまして、むしろ国際的な武器輸出の私は規制であり、小型式武器のあるいは制限であり、地雷へのまた制限であり、核軍縮にイニシアチブを取っていく、そういった私は発揮をするということが我が国としての正に国際貢献の役割ではないかなというふうに思っておりまして、冒頭申しました臨時会が本来開かれてあれば、昨日と今日の議論ではなくて、もっともっと深まることであったのかなと。  これにつきましては、憲法に重大に抵触するということを再度申し上げさせていただきまして、同僚議員の方にバトンタッチさせていただきたいというふうに思います。
  190. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 佐藤でございますが、私から官房長官防衛庁長官外務大臣にお尋ねさせていただきます。  将来、イラクに対する自衛隊派遣とか大変な大問題が取り上げられまして、部屋の空気も大分とげとげしくなってきた感じもいたすわけですけれども、私なるべく優しくお尋ねしたいと思いますので、お答えの方もひとつよろしくお願いしたいと思います。  最初に、フセイン元大統領の身柄拘束の件をお尋ねいたします。  アメリカがあのことを発表いたしましたら、もう、そのテレビを何げなく見ておりましたら、イラクがまず映りまして、路上に大勢のイラク人が飛び出してきて、万歳万歳と、万歳をやったかどうか分かりませんけれども、みんなにこにこしまして、いや、よかったよかったと、あんな悪いやつはすぐ死刑にしろと言わんばかりのことでありまして、私もなるほどなと、こう思って見ておりました。ニューヨークでもロンドンでも日本でもああいうことをやればやっぱり同じような回答が、コメントが出されたんだろうと思います。  いずれにいたしましても、フセイン元大統領の身柄が拘束されて世界じゅうがほっと一息ついていると、こういう状況だろうと思います。  ただ、私、へそ曲がりとは言わないでください、やっぱり法律家なものですから、少しくこれでいいんだろうかという思いがしておるわけで、そのことで関係大臣にお尋ねしたいと、こう思うわけであります。  問題は何かといいますと、身柄を拘束するというのは、暴力で引っ張ってきてどっかへ入れちゃうというんじゃなくて、やっぱりきちっとした犯罪事実があって、拘束すべき理由があって、そしておまえさんを拘束するよと。そして、いずれ裁判で判決が下るだろうからそれまでおとなしく入っていろと、取調べにはできるだけきちっと応じてほしいと、こういうことで拘束するわけですよ。  犯罪事実、拘束事実が一体何なのか。これは全然説明がないんですね、テレビを幾らひねってみましても、万歳万歳と言っているだけであって。フセイン元大統領の犯罪、一体何だろうかと。そんなこと知らないぞと、あんな悪いやつはそんなこと必要ないんだと、すぐにでも死刑にしろと言わんばかりの世界じゅうの感触ですけれどもね、そういうわけにはいかぬのであって、フセインが乱暴者だと、こう言う以上は、これを検挙してこれを裁判に付すというアメリカ、イギリスあるいはこれに加担している我が日本、大日本帝国も同じかもしれませんけれども、きちっとした筋道を立てて、そして世界じゅうの納得を得て彼を、最終的には死刑になるのかどうか分かりませんけれども、有罪にして、重罰に処するということが必要なわけで、その第一歩がフセインの犯罪は何なんだと、こういうことなんですね。極めて大事なことです。  裁判の在り方についても、ラムズフェルド国防、国務長官ですか、国防長官ですか、彼は軍法会議にかけろということを言っておりました。ブッシュ大統領はまた、イラク人に裁判させたらどうかと、こういう提案もしておって、私、これを聞いておって、おやおやと。よく日本では泥棒を見て縄をなうと言うでしょう。捕まえてから、どんな裁判がいいのか、どんな犯罪事実がいいのかねなんて相談をして、こっちの人は、こっちの偉い人は軍法会議でやれと、こっちの人はイラク人にやらせろというふうなことを言っている。こんなことで果たして文明国、法治国家と言えるんだろうかと。  きちっと最初から議論をしておいて結論を出しておいて、そして幸いにフセインが、フセインが捕まったら、歩調をそろえて、こういう犯罪事実で今度身柄を拘束しまして、こういう裁判を踏んで、そして判決ということになるでありましょうと。なお、もちろん弁護士もきちっと付けますよと、こういうことが大切なわけです。  どうもその大切なことが忘れられて、何かアメリカのレベルがイラクと同じになっちゃったのかと、悪いやつはすぐ死刑にしろと、そんな程度のランクに落ちちゃったのかなと、こんな気がして仕方がないんですよ。大変大事なことなんですけれどもね。  今言いました軍法会議にかけると。別にアメリカイラク戦争をしているわけじゃありませんから、彼を軍法会議にかけるなんということはできないことですよ。当たり前のことですけれども。  それから、イラク人を入れて裁判を、イラク人に裁判やらせろと。これは、イラクにもいろんな派閥があって、恐らくアメリカ協力的な人というのは、もう裁判なんか要らないと、すぐ死刑にしろと、そういう人たちの集まりだろうと思う。その人たちに裁判をやらせたら結論はもう火を見るよりも明らかと、こういう感じですよね。  そこで、フセインの犯罪事実は何かということを最初に提案いたしまして、これはアメリカでも十分議論をされておるし、それから日本でも関係省庁に法律家がいますから、フセインを捕まえたらこういう罪名が考えられまして、これで死刑も可能ですよということを十分検討しておるし、日米の、また日本アメリカの法律家同士も打合せをして、こういうことだな、うん、それはちょっと無理なんじゃないかななんていう議論をしておることだと思います。  そういうことが最高責任最終責任者であるお三方にきちっと上がってきているんだろうと思いますよ。そして、あのテレビを見て、ああ、なるほど、捕まえたか、じゃ、うちの法律家たちが議論をしていたそういう罪名でこういう裁判にかけて、そして死刑なら死刑ということになるんだなと、当然考えたことだと思います。これ、考えていないといったら無責任も甚だしいと言われても仕方がないわけですけれども、いかがでしょうか。最初に外務大臣から。
  191. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 佐藤先生に法律のお話、裁判のお話をいたしますのは非常に大変に難しいことでございますけれども、お答えを申し上げます。  まず、サンチェス米軍司令官が十四日に記者会見をいたしまして、そのときにフセイン元大統領の取扱いについては今後検討をされていくということを言っているということでございます。いかなるその事実、容疑があるか、いかなる犯罪を犯したかということについては今後尋問をしていくということのその過程ではっきりしていくということになると思いますけれども、一般論として、その戦争犯罪、戦争の法規又は関連に違反をしたということであろうかと思います。それがどこの範囲まで入るのかといったようないろいろなことがあると思います。そういうことは今後明らかになっていくことだと考えています。
  192. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、外務大臣がお答えになったとおりだと思っております。これ、いろんな話があって、佐藤先生おっしゃるように、ラムズフェルド国防長官がこう言っている、ブッシュがこう言っている、あるいは人道に対する罪なんぞという東京裁判のときのような話が出てきてみたり、あるいはミロシェビッチと同じような形がいいのではないかと、いろんな議論がございます。  一つ私が思っていますのは、国民は殺りくしたということもあるのですが、例えて言うと、今日からみんなイラクの市民諸君は戦士であると、みんな銃を持って戦えみたいなことを言っちゃいますと、これはジュネーブ条約にどういう関係に立つのだという疑問も私は持っています。  少なくとも、やはりきちんと納得のいく形で、あいつは悪いやつだからすぐ死刑にしちゃえと、こういう話じゃなくて、どういう罪によるものなのか、そしてそれが恣意的な、あるいは私怨的なものに基づく裁きではなくて、本当に多くの人が納得するようなものでなければいけない。そういうことはたしかブッシュ大統領のコメントの中にも入っておったように私は記憶をいたしております。
  193. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) これは、フセインの要するに犯罪という、そういう意味におきまして申し上げれば、これはイラク国民、これは一番被害者だと思います。また、イラク国民のみならず周辺国もございまして、イラン・イラク戦争というものもあったわけです。クウェートも侵攻されたと、こういうこともありましたし、またこのたびのイラクを攻撃した米国、英国の立場もあるだろうと思うし、その他の国々もある。また、国連国連としての立場があるんだろうと思います。国連はサダム・フセインの国連への反抗という、こういう文書をまとめておりますけれども、そこにはいろいろなことが書いてあります。もう御案内のとおりでございますので申し上げませんけれども、そういうような立場立場でいろいろあると思います。  しかし、そういうような立場をどういうような形でもって今後表していくのかというのは、これはいろいろな立場で議論があるんだろうと思います。非常に複雑な様相もあるんだろうと思いますが、いずれにしても公平に国際法にのっとってこれは解決されるべきものであるというふうに思っております。
  194. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 何か率直に言いまして、何も検討していなかったと。アメリカもそうだし、日本もそうだろうと。そんなことは我々関係がないとでも考えておられたのかどうか。日米同盟という言葉を、私嫌いなんですけれども、小泉総理もよく使われる。やっぱり、同盟国であればそういう問題について意見を交換する。これだって大事なことなんでありまして、被告人というか容疑者が無法者だからこっちも法律なんか無視していいなんて、そんなものじゃないことは確かですよ。絶対大事なことです、これは。相手側が山口組であればあるほど、こちらは、警察は法律をきちっと守って攻めていくというのが、これは捜査のまた大原則でもあるわけですからね。  それで私、物の本で読んだこともありますし、またアラブの知り合いからも聞いたことがあるんですけれども、もう何年も前の話ですけれども、フセイン大統領というのはアラブのシンボルだ、アラブの星だ、本当に我々の期待の人物なんだと、こういうことを言っておりまして、確かに彼は本当に貧しいところからはい上がるようにして努力をしてイラク一国を支配するようになる、本当に豊臣秀吉以上の存在かもしれませんよね。そうして、イラン・イラク戦争アメリカと一緒になってイランを攻めたと。あの辺りは彼が人気絶頂で、それのちょっとやり過ぎたのがあの湾岸戦争ということになるわけで、シンボルも若干色あせたことは間違いない。しかし、今でもイラク人のあるいはアラブ人の相当多数が、あれはアラブの星なんだ、我々の希望の星だと、こういうことで仰ぎ見ていることは間違いないわけです。  ですから、そういう者を裁くには本当に慎重にも慎重を期して、どうでもいいやなんということですぐ死刑にしろなんということは絶対に心すべきことでありまして、それだからこそ慎重を期して、結論はどうなるか、多分死刑になるんでしょうけれども、アメリカ人というのはやや感情に走るところもないわけではない。適正手続という法律用語がありまして、手続を踏んで裁判をする、それが法治国家として当然のことなんだと。これは、私からあれこれ言わなくても当たり前のことなんです。特に、相手がフセイン元大統領なんかの場合には、本当に一歩の無駄もなし、間違いもなしに正道を歩んでいって、最終結論に達すると。もし証拠が不十分なら不十分、これは無罪にせざるを得ない、それぐらいの気持ちで裁判に臨むべきだろうと。  こういう思いがするわけで、軍法会議にかけて簡単に死刑にしてしまえとか、それからイラク人を入れて、大体選択するときはフセインに反対派を採用することは間違いないですから、最初から結論が出ていると。そういう場合には、むしろ日ごろからフセインに反感を持っていたような法律家を入れるようにアメリカが気配りをするとか、軍法会議で簡単に判決しちゃうなんということはすべきではないということも、皆さん方、機会あればアメリカの指導者層にそういうことを伝えておいて、慎重を期してほしいと。  最初から死刑と決めて判決をする、これはもう裁判官として一番非難されるべきことなんです。顔を見たら、あいつはいかにも悪者だ、あいつは有罪だなと、こんな裁判官はもう裁判官の資格はないわけでありまして、こんなこと私が言うまでもなくお分かりと思います。これから、本当にこの問題、フセインをどう裁いていくかと、文明のあかしが問われていると、こう考えてもいいと思いますよ。  それから、イスラムの星を撃ち落としたと、こういうふうにイスラム教徒たちは思っておるわけですからね。キリスト教にまたやられたと。その感情というのはどうしたって抜け切ることはできないわけですよ。そして、日本、いつの間にかキリスト教の側に立って我々を攻めてきている、何だあいつらはと、こういう感情にもなって歴史の上に汚点として残らないとも限らない。やっぱりアメリカ人に言うべきことを言うと。彼らを、理解はいいんですよ、多分耳が痛いと思うんですけれども、なるほどそういう考えもあるんだねと、非常に分かりいい民族であることも確かですから。どうかそういう機会を利用して、こういう考えもあると、皆さん方の考えを伝えて、慎重にも慎重を期してほしいということを言ってください。ブッシュ大統領だって必ず分かるはずです。彼、感情に駆られて物を言っているようですけれども、そんなことはないと思いますので、機会を見てよろしくお願いしたいと、この場をかりてまたお願いいたします。  それから、外務大臣にお尋ねいたしますけれども、日本イラク大使館の者が二名亡くなったと。大変痛ましいことなんですけれども、あの報道を見ていて、私、大変おかしいなとやっぱり思うんですけれども、危険、一種の危険地帯でしょう、イラクの北部ですから。あそこに出掛けて行くのにガードマンを付けなかったと。これは一体何なんだと、こう思って新聞などを読みましたら、亡くなった参事官の希望であったと。かえって人目に立つような護衛を付けたりすると攻撃されるからと、こういうことで護衛は付けなかったんだと。しかし、あの乗っていた車、自動車がテレビに何回も映されておりまして、立派な立派な、本当に立派な車ですね。ああいうものに乗って人目に立つも立たないもないでしょう。だれだってあれを見たら一発やってやれという気が起こるのは当たり前のことなんで、なぜ、だれの判断でああいう豪華な車に乗って、そして護衛も付けずに出掛けていったのか、これが一点と。  それからもう一点は、イラクの、イラク大使館の責任者というのは一体どこにいてだれなんだと。これは新聞などにも一切出てこないんですよね。国民も皆、先生、分かっていますか、教えてくださいと、どこにか逃げていったんですかと、けしからぬにもほどがありますよと。大使館、外務省に聞いたら、何か日本にいると、現地には臨時大使がいる。その臨時大使なる者も全然表に出てこないでしょう。普通はああいう事件が自分のおひざ元で起きたら、イラク大使館の最終責任者はその臨時大使ですからね、彼がきちっと記者会見をして、国民の皆さんに御心配を掛けましたと、こういう点、こういう点、こういう点、最大の注意は払いましたけれども、やっぱりどこか抜けていたのでこういう悲劇を招くことになりました、本当に申し訳ないと、記者会見で自分の、その省庁の意見をきちっと言う。例えば、警察署が、警察の不祥事があった場合は、大体の場合、警察署長が出てきて申し訳なかったときちっと謝るでしょう。あれが役所として当たり前なんです。  どうしたんですか、その臨時大使とか大使とかいう連中はどこかに逃げていっちゃったんですか、本当に。教えてください。
  195. 川口順子

    国務大臣川口順子君) あのイラクの大使館におきまして、これは特命全権大使という人間はおりません。それはなぜかといいますと、特命全権大使を接受する政府というものが存在をしていませんで、九一年以降、日本イラクに対して特命全権大使を派遣してきていないということでございます。したがいまして、現在イラクの大使館における最高の責任者というのは臨時代理大使であります。  ここの、この一連の非常に残念な事件について説明を十分に臨時代理大使がしていないではないかということをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、これの説明外務省として、私があるいは官房長が、あるいは堂道局長が十分にやっております。上村臨時代理大使は現地にあって、いろいろなこれに関すること、あるいはその他のことに日夜奔走をしております。このことについて非常に心を痛めながら仕事をしているということでございまして、逃げも隠れもしておりません。
  196. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私が聞いたのは、現地の責任者が一体だれなのか。今の答弁では臨時大使らしい。こういう場合にまず臨時大使が、大使代理ですか、だれでもいいけれども、が現地で対応をして、本当に日本の皆さん方御心配を掛けておりますと、こういうことが大事なんですよ。それはどこの役所だってそういうことをやっていますよ。北海道の奥地の方で何か警察の不祥事があった場合に、こっちの警察庁長官が何と言うよりも先に現地の責任者が出てきて、本当に申し訳なかったとか、これはこういう理由があるんだと、御理解くださいとか、それが大事なんです。  あなただって、国民から見たら、何だ単なる役人じゃないのかと、何を勝手なことを言ってやがるんだと、こういうふうな印象を受ける国民が多いですよ。そこへいきますと、現地を踏まえてそこで頑張って、今回殉職したような二人をいつも指導監督している人が出てきて涙ながらに話をする、これが第一歩なんですよ。そんなこと知らないんですか。一番大事なことと言ってもいいですよ。ああ、本当に外務省というのは下々まで気を遣って事務をやっているんだなと、気もよく分かったというのが受け取る国民の感覚だと思うんですけれども、なに本省で私もやっている、何とかも局長もやっている、あれもやっている、入れ替わり立ち替わりそんな連中が出てきたって、うるさい、引っ込んでいろと言いたくなるぐらいなんですよ。  やっぱり現地の責任者が出てきて、これ、問題は私の不手際もありましたと言って土間に手をついて謝るぐらいの気持ちで弁明をすることが大事なんでありまして、そういうこと、あるいは御承知なければ心得ておいてください、また二度三度とあるかもしれませんのでね。いや、本当に大事ですよ、笑って済むことじゃありませんからね。いや、もう結構です。  それから、防衛庁長官防衛庁の問題についてお尋ねします。  これも前にお聞きした際に、なぜあなたはイラクに行かないんだ、自衛隊の最高指揮官として現地に親しく足を印して感覚を研ぎ澄ましてきたらどうだと、こう言った際に、私、素人ですからそういうことを言っても全然何も分かりません、ただ、心構えの問題として行くということはそれなりに考えておりますると。心構えの問題なんだと言ったあの森総理の件を私、例に出したものですからね。森総理は、ゴルフをやっていたらえひめ丸事故が起きた、そこで、総理はゴルフを続けて、ゴルフを続けて、ちゃんと携帯電話で連絡を、本部とは連絡をしていたから一切粗相はないんだと、こういうことを言いまして、やっぱり対策本部に大臣たるものが姿を現して仕事をしている職員を激励することが大事なんですね。  しかもこれ、大臣ともなれば、総理大臣と違いましてイラクの現状について、イラク大使館の職員もおればイラクの経験者、それから調査団もいる、徹夜徹夜で猛勉強すれば本当に行かなくたって現状は分かるわけですよ。しかし、本当のところはやっぱり足を印してみて、自分の知識とああ大体合うな、しかしこの点は違うなと、そういうことも大事なことでありまして、やっぱり一軍の将たるものの心すべきことだろうと思うんですけれども、どうか是非とも機会を見てイラクに行きまして雄姿をテレビで示してください。お願いします。  何か感想を──いや、お願いしますよ、どちらになるのか。行かないと言うかもしれない。
  197. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 心構えという言葉を先生に対してお答えの中で申し上げた、よく記憶をいたしております。  イラク状況がどうであるか、そのことについて私も、一睡もしないでとは申しませんが、自分の限られた能力の中でこれ以上はできないと思うまではやっておるつもりでございます。その中で、どの時期にどういう形で行くことが一番望ましいのか。それは自分の中で納得をするということだけではなくて、実際に行く隊員たちがどういう形で防衛庁長官が行くことが一番望ましいと彼らが思うのか。私は、自分が怖いとかそんなことを言っているのではありません。そんなつもりなんだったら防衛庁長官なんかやらない方がいいと思っています。どういう形で行くのが一番隊員たちにとっていいと思うか、そのことも、私が一番信頼している自衛官たちと本当に日夜話をしながら、先生の御趣旨をよく体して、どういうやり方が一番いいのかよく考えてまいりたいと思っております。
  198. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 是非ともお願いします。  先ほど議論になっておりましたあそこの飛行場ですか、バグダッドの飛行場がどうだこうだと。あれだって一歩行ってあなたが親しくその目で確かめれば、ああこれは安全地帯だ、いやこれは危険地帯だとか見当が付くはずだと思いますので、自衛隊派遣するであろう予定地なるものをやはり一回り回ってきまして、あなたのそこで汗をかいて往生しているようなスタイルが自衛隊内で報道されると隊員に対して無言の励ましになるんだろうと、こう思います。  それから、最後にもう一つ。前にも聞いたことでありまして、自衛隊員の自殺が増えているのは一体どうしてかと。私が言いたかったことは、こういう連中を派遣して本当に大丈夫なのか、心身ともに健全でなんということは言えないんじゃないかと。一般人よりも自殺者の比率が高い、こんな人たちをイラク派遣して本当にしっかりやってこれるのか、いや、大体しっかりやってくるよと。しかし、五人でも十人でも自殺者が出たら、それこそ世界じゅうの物笑いになる。あれは軍隊でない軍隊でないと言っているけれどもやっぱり本当に軍隊じゃないな、こんなところ、こういう、軍隊が戦場に来て自殺するとは何事だと、こういうふうな思いを持つ外人も多かろうと、外国の人も多かろうと、こう思いますんで、その対策、どういうことを今考えておられるか、それだけお教えいただければと思います。
  199. 石破茂

    国務大臣石破茂君) トータルで見た場合に、自衛官の自殺者の比率というのは一般の男性よりも相当低うございます。一般の社会よりも自殺者の率は低い。それだけの規律の取れた社会ではございますが、しかし私は、一人でも二人でもいるという限りそれは問題があるのだろうと思っています。どうやって減らすかということで、今、副長官を長といたしましてプロジェクトチームを全庁的に立ち上げまして、今年度の自殺者の数は昨年よりも相当減るという傾向になっております、まだ確定的なことは申し上げられませんが。  そうしますと、一体何で自殺をするのか。借財でありますとか、あるいは過職務、家庭、病苦、こういう順であろうかと思いますが、それが陸海空自衛隊それぞれどうなのだ、年代別に見てどうなのだ、それぞれの駐屯地あるいは総監部においてどうなのだということを、評論家みたいなことを言っているんじゃなくて実際に数がどれだけ減るかということを具体的に示さなきゃ意味がないということで、これで十分だと申し上げるつもりはありませんが、私は、本当に今年は久しぶりに自殺者の数が減る、これをゼロにするように更に徹底してやってまいろうと思っております。  実際にイラクに行って戦闘行為をするわけではございませんけれども、相当に極限的な精神状態ということも想像されないわけではありません。この点に関しましても、万全ということはございませんけれども、そこになるように全力を尽くしてまいりたいと存じます。
  200. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そういうことで頑張っていただいて、本当に一人でもそれが出たら日本の恥だというぐらいの気持ちで取り組んでもらいたいと思います。  それから、自殺者率が一般人の方が高いと言いましたけれども、私の調べたことでは、自衛隊の自殺者というのは〇・〇三二、これ一〇〇パー、〇・〇三二%。それから、一般人が〇・〇二五%。一般人というのは高齢者も含んでいますから、自衛隊は大体皆若い元気のいい連中でありますので、その辺もひとつ研究をされまして対応を考えていただきたいと思います。  以上で終わります。
  201. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 田村でございます。  私、非常に日本の国というのは国家じゃないなとつくづく思っていることが一つある。たくさんあるんですが、その中の一つ。  今回、奥大使と井ノ上一等書記官が殉職されて、遺体を日本に移送された。なぜそのときに、国のために殉職したお二人に対して、その亡きがらを国家の飛行機が運ばないんですか。日の丸を付けた日本の国家の飛行機が運ぶのが、レバノンから来られたかどうか知りませんが、クウェートか、ちょっと、それまでは米軍が運んだということを聞きましたけれども、そこから日本航空自衛隊の飛行機でも政府専用機でも、国家の飛行機が運ぶというのが国に殉職された人に対する国家の礼儀だと思うんですが、一体どうなっているんですか。  官房長官おられるから官房長官にお聞きし……
  202. 山本一太

    委員長山本一太君) 外務大臣ですか。
  203. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 じゃ、外務大臣
  204. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これにつきまして、田村委員のように、国のために命をささげたのでそのように遇するべきであるという御意見を持っていただいている方がいらっしゃるということについては、そういう考え方も持っていただいている方がいらっしゃるということについては、私も有り難いと思っております。  ただ、これ具体的にどういうことでそういうことになったかということでありますけれども、できるだけ早くお二人の御遺体に御家族と一緒に日本に帰ってきていただくということが何よりも大事であるというふうに考えました。で、それをやる方法というのは専用機ということではなくて、クウェートから実際に通ってきたルートで帰ってきていただくということが一番早く、そういう方法であったということでございまして、そのように判断をいたしました。
  205. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務大臣は、国の仕事をしに行ったんじゃないんですか、そのお二人は、あなたの部下で。何か民間企業が行ったわけじゃないでしょう。あなたの部下ですから、国家公務員であり、外務省の職員が国のために仕事をしに行ったんじゃないんですか。あなた、そういうふうに言われなかったけれども、どういうことですか。
  206. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのように正に申し上げたつもりでいますけれども、何か……
  207. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今、急いだから。
  208. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ええ、ですから時間的に早く、御家族とともに御遺体にできるだけ早く日本に帰ってきていただくということが重要であると考えたからであるというふうに申し上げたわけです。
  209. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そうすると、日本航空自衛隊は急ぐときには使えないと、そういうことですか。
  210. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 物理的に、専用機というのは北海道にございまして、そこからお迎えに行っていただく必要がある、そしてまた現地から戻ってきていただく必要があるということでございます。ということで、一番早く御遺体に安全に日本に帰ってきていただく道というのは実際に選択をした方法であったということ、それからもう一つ付け加えさせていただきますと、御家族、御遺族の方におかれてもそのような御希望をお持ちであったということでございます。
  211. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は理解できませんが、この問題はそのままといたします。  今回イラクに自衛官を派遣すると。自衛官の立場に立ってちょっと二、三質問させていただきます。  本来、自衛隊を国外に出すというときには、国民の大多数の支持がないといけないと私は思うんですね。それで、今、自衛隊を支持している人は国民の八〇%なんですね、八十数%。それで、イラク自衛隊派遣するのを反対しているのが六十数%ですから、自衛隊を支持している人の約半分が反対をしていると。それはなぜなのかということを防衛庁長官は真摯に受け止めていただきたいと。自衛隊員の、支持している人の半分がイラク自衛隊派遣するのは反対だと言っているんですね。  それで、私は、自衛隊を国外に出すときには八〇%の国民、八〇%以上の国民の支持がないと自衛隊は海外に出しちゃいけないというふうに私は考えている者の一人ですけれども、今のような反対があるときに、にもかかわらずなぜ自衛隊を海外に派遣されようと決意をされたのか、防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛官の立場に立ってという先生のお話であります。空将という地位にまで上られた先生のお話ですから、私ども本当に真摯に受け止めなければいけないと思っています。  自衛隊を海外に出すことに今回反対しておられる方の多くは、自衛官の安全が確保できないからという理由で反対をされておられると承知をいたしております。じゃ、安全確保のために何ができるかということについて、午前の佐藤委員の御質問にもありましたが、結局、じゃ武器使用権限が不十分だから、じゃ何が不十分なのですかというふうにきちんとした御説明を我々はしなければならないと思っています。あるいは、山口委員から御質問がございましたが、何で、仮にサマワといたしましょう、何でその地域活動するということに決めましたかという御説明もしなければいけないと思っています。  八割ということが適当な数字かどうか分かりませんが、この参議院の御質疑を通じましても私どもがきちんとこれから先御説明をしなきゃいけないことがたくさんある。そうした場合に、ああ自衛隊はその地域に行っても自衛隊の権限、装備、能力をもってすれば危険が抑止でき回避できるんだなということを多くの国民の方々、特に自衛隊に御理解をいただいている方々に納得をしていただく、そのための努力をこれから先も政府としてやってまいりたいと思います。
  213. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、自衛隊が海外に出るときには国民こぞって御苦労さんと言って出すべきであって、それで自衛官も力一杯任務を遂行できるものと私は確信しております。  歴代の総理が言っておられる、自民党の総理ですよ、間違っているのが一つあるんです。これはどういうことかというと、自衛隊は危険なところに出ていけと言わないといけないですね。危険じゃないのに出ていけと言うからおかしくなるわけですよ。自衛隊は、危険だから民間が行けないから自衛隊の人たちに行ってもらうというふうにきちっと言われないと、行く人も名誉と誇りが与えられないわけですよ。安全なところへ自衛隊が行って、どうして名誉と誇りが与えられるんですか。  それは総理にお聞きしようと思っていたんですが、総理おられないから、済みませんけれども、官房長官、歴代の自民党の内閣総理大臣は間違っていると私はかねがね思っているんですよ。危険なところにこそ自衛隊は出ていくんであって、安全なところには民間が行ったらいいと。危険だから自衛隊が出ていくので、だから自衛隊は名誉と誇りが与えられると。だから、安全なところにずっと行っていたら、いつまでたっても名誉と誇りは与えられませんよ。だれも御苦労さんって言わないんだ。どうしてそんなところへ行くんだという話になるでしょう。だから、そこのところを取り違えて五十年来ておりますので、二十一世紀ですからきちっとしていただきたいなというふうに私は思います。
  214. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 委員の御指摘のとおりだと私は思います。それだからこそいろいろな攻撃等に、危険に備える訓練もし、またそれなりの武器を持つ。それなりのというように申し上げたのは、あくまでも自衛ということを中心とした武器を持つ。正に今回の特措法におきましても、自己防衛というその装備はいたします、それ以上のものは持たないということになっております。しかし、今回参ります自衛隊は、これは安全配慮ということもありますので、できる限りそういうような事故が起こらないようにということになっておるわけでございます。  それで、なお、なぜ自衛隊なのかということになれば、それはやはり自己完結型という、そういう自衛隊が持っている能力ですね、そのことは大変大事なことだというふうに思います。自己完結型でないと、どういうところで作業するか分かりませんけれども、場合によっては砂漠の真ん中ということもあり得るわけでございますので、そういうような場合においても自衛隊だからこそできるんだと、こういう部分もあるわけでございます。  いずれにしても、この法律では安全の確保には万全を尽くすということになっておりますので、その趣旨を生かして活動してもらいたいというように思っております。
  215. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 政治が安全だということを強調すると、部隊長というのは部下の命その他の安全を確保する責任があるんですね、部隊長が。だから、部隊長のやることがなくなっちゃうわけですよ、安全というのを、政治が安全なところに行かせると言われちゃうとですね。ですから、何か国民向けというか、本音じゃない語り方をして自衛隊を出す、そういう時代はもう過ぎているんじゃないかと。  だから、きちっと危険なところに自衛隊は出ていって、安全は、部隊長が最大限隊員の安全を確保しなさいと防衛庁長官が指示すればいいわけで、そんなに安全だったら民間人が行けばいいと私は思うんで、少しその辺の今までの自民党の総裁のというか、総裁というか政調というかよく分かりませんが、そこのところの説得の仕方というものがもっときちっと本音で国民に語り掛ける必要が私はあると思いますので。  それじゃ、長官
  216. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生、小泉総理の記者会見ごらんいただけたことだと思います、十二月九日。その中で、総理が記者会見の中でおっしゃっておられることは、一般の国民にはできない、日ごろの厳しい訓練に耐えて、あえて決して安全ではないかもしれない、危険を伴う困難な任務に決意を固め赴こうとしている自衛隊員に対しまして、私は多くの国民が、願わくば、敬意と感謝の念を持って送り出していただきたい、そのように総理はおっしゃっておられます。  あえて決して安全ではないかもしれない、危険を伴う困難な任務に行こうとしている自衛隊員に対して、国民は感謝と敬意を持ってくれと。そういうことを、私は初めてではないかと思います。決して安全ではありません。でも、自衛隊の権限、能力、装備をもってすれば、その危険を抑止でき、回避できる蓋然性を最大まで高めましょうということとそれは矛盾するものではございません。私は、自衛隊であれば、安全を抑止し、回避できる、そういう可能性が高いということを申し上げている。  しかし、そこは一般の人にとっては決して安全な地域ではない、そして困難な任務である。だからこそ自衛隊なのだということを総理はおっしゃった。そして、国民皆様方敬意と感謝の念を持ってほしいというふうにおっしゃった。そのことを私たちはごまかすことなく国民皆様方にお伝えする。それが任務に赴く自衛官に対する最大の我々の気持ちの表し方だというふうに思い、今後とも最大の努力をいたしてまいります。
  217. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 もう時間でございますので、長官の御答弁ありがとうございました。  最後に、自衛隊の位置付けを、度々申し上げておりますけれども、位置付けを明確にして、自衛隊の諸官に名誉と誇りを与えるような、そういう時代を迎えていただきたいと強く総理大臣、官房長官防衛庁長官にお願いをして、質問を終わります。
  218. 小泉親司

    小泉親司君 引き続きまして、幾つか質問をさせていただきます。  まず第一にお聞きをしたいのは、今回のアメリカイラク戦争は、国連決議のない、大義のない無法な戦争であると思います。私は、これまでも総理外務大臣防衛庁長官、官房長官とも議論してまいりましたが、やはり大量破壊兵器が見付からない。戦争の口実にされたものが全く見付からない、フセインは拘束されたけれども、大量破壊兵器という戦争の口実にされたことが見付からないというのは大変重大な問題だというふうに思います。  特に、この無法な戦争に続く不当な占領、私、この占領の問題については少し後で質問させていただきますが、この大義のない無法な戦争も、戦争のやり方もひどかったと。それは私は、最近発表されました国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウオッチが現地調査の上、イラク戦争の実態について報告書を出した。この報告書の中で、イラクでの米英軍が使用したクラスター爆弾の数、これは、クラスター爆弾は御承知のとおり集束爆弾で、一個の爆弾に二百二個の子爆弾が付いている爆弾であるということは私もこの委員会でも何遍も取り上げてまいりましたが、ヒューマン・ライツ・ウオッチの公表資料からいきますと、アメリカ軍は一万七百八十二発のクラスターの親爆弾を投下した。子爆弾の数は百八十万発と言われております。イギリス軍は二千百発で子爆弾の数は十一万三千百九十発だというふうに言われております。私は、こういうやはりクラスター爆弾の使用が大変イラクの女性たちや子供たちを傷付けた。ヒューマン・ライツ・ウオッチの報告でも、今なおこのクラスター爆弾の不発弾の被害が広がっているということが指摘をされております。  そこで、私、外務大臣にまずお尋ねしますが、クラスター爆弾の使用、この問題について外務大臣はどのようにお考えなのか、まずお尋ねしたいと思います。
  219. 川口順子

    国務大臣川口順子君) クラスター爆弾でございますけれども、これについては四月二十五日にマイヤーズ米統合参謀幕僚会議議長が、イラクの自由作戦の間、連合軍は約千五百の様々な種類のクラスター爆弾を投下し、そのほとんどは精密誘導弾であったということを言ったというふうに承知をいたしております。それで、米英軍は武器の使用あるいは攻撃の目標の選択に際しまして国際人道法を守ってきているというふうに承知をしていますし、また、クラスター爆弾を含む兵器の使用に当たっても可能な限り民間人への被害を最小にするように努めているというふうに承知をしています。  それで、クラスター爆弾の使用自体は、これは使用は禁止されているということではございません。過度に傷害を与え、また無差別に効果を及ぼすことが認められる特定の通常兵器の使用、これを禁止する、あるいは制限する条約が特定通常兵器使用禁止制限条約というものとしてございますけれども、クラスター爆弾の使用というのはこの条約の枠組みにおいて使用の禁止あるいは制限をされているということではないというふうに理解をいたしております。
  220. 小泉親司

    小泉親司君 この報告書の中でも、不発弾は約五%と計算しても九万発に上るということを指摘をしております。  やはりこの対策をどうするのか。私は、やはり日本政府としても米英軍にこうした不発弾の対策という問題はきちんとやはり要求すべきだと。特に、同時に、このクラスター爆弾の使用をやめるよう日本がイニシアチブを取るべきだということを私、指摘をしておきたいというふうに思います。  そこで、先ほどの基本計画に戻りまして、武器弾薬の輸送の問題について少し更に詰めた議論をさせていただきたいと思います。  まず、官房長官が誤解をされているようですから、まず誤解を解く意味で、まず官房長官の答弁、今年の六月二十七日でございますので、半年前のことを忘れてしまいますとちょっとこれから何だなとも思いますので、六月二十七日の答弁を読み上げますと、武器単体で一つのコンテナで送るというようなケースよりは、いろいろな荷物と混在して送るといったようなケースの方が多いのではないか、そういうものに機動的に対応できるようにするということが、これが必要なんではなかろうか、こういう趣旨でございますと言いまして、いわゆる武器弾薬は様々な物資と混在して運ばれるんだと、だからこれを切り分けることが難しいんで武器弾薬は法律の中で輸送をするということに入れたんだというのが官房長官の御説明でございました。これは覚えておられますね、官房長官。うなずいておられますから、そうだということをよく自覚をしていただいて。  それで、石破防衛庁長官も、我が党の児玉議員の質問に答えまして、例えばコンテナの中に弾丸、かつ、チーズというのは変ですな、あとは例えば小麦粉とか、そういうふうなものを同時に入れるということを厳密に明確に排除をしたものだとは認識していないと。つまり、一緒に混在することがあり得るということを言っているんですね。いいですね、防衛庁長官。それは今お読みになっているようですから確認をさせていただきますが。  その上で、私、だから、混在しているのに、それを、武器弾薬を運ばないというのであればその混在しているものを切り分けしないと、どういうふうに切り分けするんだということが明確じゃないと総理が言っていることが担保できないじゃないかということを先ほど質問しているわけです。  そこは明確に私まず前提を置かせていただきまして、それで、先ほど私の質問に対して福田官房長官は、実施要領を決める中できちんと整理するということをお答えになりました。そこでお聞きしますが、きちんと整理するというのは、輸送できる武器弾薬はどれとどれだ、輸送しない武器弾薬はどれとどれか、こういうことを整理して実施要項に書き込むということなんですか。
  221. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど私が申し上げた武器弾薬を実施要項の中で整理すると、ちょっと御理解いただけるものと思ったものですからそういうふうに申し上げましたけれども、要するに物資、武器弾薬は運ばないということを実施要項の中で記載していくと、規定していくと、こういうことになるわけであります。
  222. 小泉親司

    小泉親司君 しかし、この間の総理大臣議論は、例えば、私は先ほど武装米兵の輸送と言ったら、官房長官はその場で、いや、武装じゃないと言いました。兵員だと言ったらうなずいておられたので、じゃ兵員だと言って総理に聞いたら、いや、こういうふうなものを持っているんだと。こういうふうなものって何なのかよく分かりませんので、これ明確にしていただきたいんですが、それじゃけん銃、ライフル、小銃、こういうものは米軍の兵員とともに輸送できるんですか、どうですか。
  223. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 実施要項でどう定めるかというお尋ねでございますので、私からお答えを申し上げます。  それは、携行する、すなわち自らの、例えば米軍の兵士が自らの身を守るためにというものであれば、けん銃あるいはライフルあるいは小銃、そこまでも含むということが常識、軍事的な常識の範囲内なのだというふうに思っています。  なお、午前中はお答えをする機会をお与えいただけませんで、委員の御質問が時間、午前中の時間が了してしまいましたので、ここで申し上げることをお許しをいただけるならば、実際私どもは人道支援中心に行うのだということにいたしております。そして、基本計画の中にはいろんなものが読めますが、総理が武器弾薬の輸送は行わないというふうにお話しに、明言なさいました。その意向を体して、どのような形になるかは分かりませんが、実施要項というものを定めることに相なります。  実際に現地においてコアリッションというものは、日本はかくかくしかじか、こういう能力があります、例えばシンガポールはこういう能力があります、オーストラリアはこういう能力があります。その中には、どれぐらい運べるかということとどのようなものを運ぶかということも提示をすることになります。じゃ、日本はそういうものしか運ばないのだな、人道支援中心に行うのだな、そうであればそういうようなものを運んでもらおうということになる、それが信頼関係に基づくコアリッションというものでございます。  そのようなものは信用できない、一々チェックをするのだというふうにおっしゃるとするならば、これはもうそんなもの信用できないという御党のお立場としてそういうような御主張はあろうかと思います。私どもとしては、それは信用していかなければコアリッションというものはそもそも成り立たない。私どもとして、こういうようなものを運びます、そしてこのような能力を持った輸送機ですということを提示をして、それがコアリッションの中でどう活用されるかということでございます。
  224. 小泉親司

    小泉親司君 私どもはイラクへの自衛隊派兵、反対でございますので、何を運ぼうがそんなこと私は知ったことはございません。実際にあなた方が派遣すると言って、しかも武器輸送はしないと言っているからお聞きしているだけの話で、私たちは反対でございます。ですから、あなた方が武器弾薬を運ばないと言っているから細かく聞いているだけなんですよ。そこのところをよく御理解していただきたいと思いますよ、あなた。  それで、そこでお尋ねしますが、それじゃライフルが上限なんですか。例えば、部隊行動では機関銃、迫撃砲、無反動砲自衛隊は持っていきますが、そういうものは、そういう米英占領軍及びその他の占領軍の機関銃、迫撃砲、無反動砲、こういうものは運べないんですね。
  225. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、何だかこんがらがってきていけませんが、すべて反対なので何を言っても駄目なのだということだが、政府が武器弾薬を運ばないと言っているのでそれで聞くのだなという、こういうお話でございますね。  じゃ、それを頭に置いてお答えを申し上げますが、例えば迫撃砲であるとか対戦車弾であるとか、そういうものは自衛隊が自らを守るために必要であるから持っていくということでございます。その議論と、今回、輸送機が運ばないということは必ずしも一緒の議論ではございません。  しかし、常識的に考えてみたときに、それでは迫撃砲というものを一緒に運ぶのかと言われた場合に、それがそのまま自衛隊の身の安全を守るということと同列に論じられるものだとは思っておりませんが、どういう形で規定をすることになるのか。それはやはり常識的な範囲ということになるのだろうと思っています。なお作業を続けておるところでございます。
  226. 小泉親司

    小泉親司君 どうも防衛庁長官はお疲れで混乱しているということを思います。私が言っているのは、自衛隊の武器の輸送なんとは言っておりません。元々この武器弾薬の輸送というのは、米英占領軍及び占領軍の、分かったでしょう、武器弾薬の輸送の話をしているんですよ。自衛隊の話なんかしていませんよ、一つも。私が言っているのは、自衛隊も無反動砲を持っていくけれども、そういう米英占領軍の無反動砲なども武器輸送の、要するに今度のいわゆる、何と言ったらいいですかね、新聞では携行武器と言っていますけれども、軽いもの、軽装武器、失礼、軽装武器と言っておりますが、そういうものも運ぶのかと聞いているんですよ。そんな簡単なことなんだから、全然混乱しないでお答えください。
  227. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員の御趣旨を踏まえて答弁を申し上げたつもりです。  つまり、委員がおっしゃいますのは、例えば対戦車弾とか迫撃砲とか、そういうものも身の安全を守るための装備だとおまえは言っているな、だから米軍もそれも身を守るための装備だから運べるとおまえは考えているのかというふうな御質問をなさっておられるのだろうというふうに思って答弁を申し上げているところです。  自衛隊任務というものは治安維持ではございません。人道支援でございます。そういう場合にどういうのが身を守るために必要なのかという判断と、米軍がやっておること、その場合に何を持っていくかという判断は、それはおのずから異なるものだと思っています。ですから、自衛隊がこういうものを身を守るための武器だと判断しているから、米軍がそのようなものを持っていってそれも運ぶことができるというふうにストレートには申し上げられないということを言っているのです。
  228. 小泉親司

    小泉親司君 先を読んでやる必要ないんですよ。私が言っている質問はどういう質問かというと、防衛庁長官が決める、実施要項をあなたが決めるんです、法律上、そうでしょう。あなたが決めるんです。基本計画総理大臣なんですよ。あなたが決める。その決める中で、それじゃ武器の輸送はしないということは総理大臣がさっき政策判断だとおっしゃった。それじゃどこまで認めるのかと。  さっき言ったのは、総理大臣はここら辺に持っているものだと言った。そうしたらだれでもが小銃かな、ピストルかなと思う。あなたはライフルまでだと言った。それじゃ、ライフルが上限なんですか。その先は持てないんですか。例えば、部隊で行くときには当然部隊装備というのがあるんですよ。あなたは軍事常識だと言ったけれども、迫撃砲とかそういうものは部隊装備として必ず持っているんですよ、一部隊、一小隊は。そういうものも運ぶんですか。それは武器弾薬を運ばないという武器弾薬の中に入るんですか、入らないんですかとお聞きしているんです。
  229. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生はかみ合ってないとおっしゃいますが、私はかみ合って答弁を申し上げておるつもりなのです。  まさしく、そのような身を守るための武器というものを含めるのか含めないのかということでございますが、同時に自衛隊のやることと米軍のやることは違うわけですね。先生はすべて駄目だとおっしゃいますが、違うことは違うのです。すなわち、我々は治安維持そのものも行わない。安全確保支援活動であり、人道支援である。その際に身を守るために必要なものということであるならば、米軍も身を守るために必要なものというのはそんなに異ならないのだろうとは思っています、定性的に申し上げれば。  しかし、何をもって上限なのかということにつきましては、これは議論があるだろう。つまり、我々の身を守るために必要なものだというものが米軍にとってどういう意味を持つのか、そのことはきちんと議論をしなきゃいけないことだと思っています。しかし、これが上限であるということを、今かくかくしかじかこういう理由に基づきましてこれが上限でございますということがお答えできる段階ではないということであります。
  230. 小泉親司

    小泉親司君 それは私は大変おかしいと思いますよ。  先ほど総理は、武器弾薬は運びませんということを言ったんです。私は、だから、運びませんと言いながら、何でじゃ武装した、少なくとも私はちょっと警察官がピストルを持っている場合と違うと、軍隊の場合は。当然、武器を携行しているということであれば、これは武器弾薬の輸送をしていると。一体どこでどうやって線引きをするのかと。あなた方は武器弾薬は運ばないと言いながら、その上限は決めないと。決めないじゃない、決めるんだけれどもまだ分からないと。そんないい加減なことで、今週、じゃ早速航空自衛隊の先遣隊を送ろうなんという動きがあるというふうにお聞きしておりますけれども、伝えられておりますけれども、それじゃ全くおかしいですよ。そんなでたらめが私通じると思いません。  一体、じゃ政策判断としてどこまでだ、これは日本の政策判断ですからね。アメリカの政策判断じゃないでしょう。米英軍の政策判断じゃないでしょう。日本として、米英軍が例えば身を守るものが無反動砲だと例えば言ったとしても、日本は無反動砲は運びませんと言えば運ばないんですよ。違うんですか。それは、アメリカが無反動砲は身を守るものだと言ったら、じゃ運んでさしあげましょうと言うんですか。どうですか。
  231. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 法律では武器弾薬というものも運べることになっております。しかしながら、政策判断としてそういうことをやらないというふうに申しました。だとするならば、私が言っているのは、先生がおっしゃるとおり、じゃ無反動砲自分を守るためのものだからいいのだな、じゃ対戦車弾もいいのだなということになるのかどうなのか。いずれにしても、それは日本の政策判断として武器弾薬は運ばない。しかし、運ぶものが兵員であって、それが自らの身を守るために持っているものまで結果として運ぶということまで排除するものではない。だとするならば、その上限をどこにするかということは、これも日本の政策判断として決め得ることです。  しかし、今この時点でかくかくしかじかこういう理由に基づいて、例えて言えばライフルまではいい、しかし迫撃砲は駄目ですとか、あるいは迫撃砲はいいが対戦車弾は駄目ですというようなことをきちんと理屈を持って私がここできちんと御説明することは難しいということを言っている。そうすると、対戦車弾もあるいは迫撃砲も、自分の身を守るためだからいいのだという理屈もそれなりに成り立つことだと思っています。その辺りがコアリションとしてどうなのだろう。  しかしながら、じゃ例えばですよ、例えば先ほど先生がクラスター爆弾ということをおっしゃいました。じゃクラスター爆弾が運べるのかねというと、これは運べないでしょう。これはまさしく任務が違うわけですね。自分の身を守るためにクラスター爆弾を使うわけじゃないですから。だから、クラスター爆弾なぞというものは運ばないということは当然御理解いただける。じゃ、その上限は何なのだと言われたときに、そこのところをどのようにして日本の政策判断として国民にも御理解いただけるようにするか、その作業を行っておるところだというふうに申し上げているわけです。
  232. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、上限を決める、それからその問題については実施要項の中で公表するんですね。
  233. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 政策判断として実施要項の中でどのように定めるか、そしてまたそれをどういう形で公表するのかということにつきまして、現在これも検討中でございます。すなわち、それを明確にすることが日本の政策判断ということでもございます。しかし、同時に、なぜそのように決めたのか、そのように決めるに当たってどのような情報に基づいてそれを決めたのかということが明らかにできない場合もございます。それらを勘案して、どのように公表するか、どのように定めるか、現在作業を行っておるところでございます。
  234. 小泉親司

    小泉親司君 私、疑うわけじゃないけれども、こういうのは公表しないと思いますよ。だから、そういう問題を国民に全然分からないところで、じゃ実際、上限はどこだと国会で聞かれて、いや、まだ検討中だと。それじゃ、上限は決めるのかといえば、まあ決めるんだろうというようなこともはっきり言わない。しかも、それを公表するのかといえば、いや公表しない場合もあると。これは、私はちょっと、全く納得がいきません。  ですから、これは、私は先ほども総理にも申し上げましたが、これは、武器弾薬は運ばないというのは本当に私はごかましの論理で、それをはっきりと言えないというのはもう大問題だということだけ指摘しておきます。  時間がないので、もう一つだけ福田官房長官にお尋ねしますが、今度の基本計画の中では文民、これはイラク復興支援職員、これはいわゆる非戦闘地域で安全なところなんですね。しかも、しかし、イラク全土にイラク復興支援職員というのは展開されるんです。やることは同じなんです、自衛隊と。ところが、自衛隊は──違う、同じですよ、医療だとか給水だとか同じなんですよ。  それじゃ、自衛隊は実際にはこのムサンナー州ですか、に限定をされると、これはどういう理由なんですか。あなた方は本当に危険なところに、だから自衛隊を送らざるを得ないと言っておきながら、実際は自衛隊は東南部だと。イラク復興支援という文民はイラク全土にわたって行動するという基本計画に仕組みになっておりますが、官房長官、何でこんな、こういう逆の区分けになっているんですか。
  235. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 御指摘のとおり、復興支援職員は医療、「医療」の場合には「イラク国内における病院・医療施設」ということになっています。それからまた、「イラク復興支援する上で必要な施設復旧整備」、その場合には具体的に「イラク国内における浄水場等公共施設」と、こういうふうに記載がしております。  それで、なぜイラクの特定の地域に限定しないのかと、こういうことでありますけれども、病院とか医療施設、それから浄水場というような地域、これは前提条件あるんですよ、もちろんね。御指摘になっておりますけれども、イラク復興支援職員の安全が確保されなければいけないと、こういうことです。ただ、自分確保安全確保できないんですよ。そうでしょう、自衛隊とは違うんですね。ですから、それは安全が確保されるということを前提にこういうような地域について、こういう地点について活動するということで、前提は安全が確保されると、こういうことです。
  236. 小泉親司

    小泉親司君 いや、自分で安全が確保されないイラク復興支援職員が全土にわたって活動するのに、自分の安全が確保される自衛隊がいわゆるサマンナという、その、何だっけ、東南部に限定、サマワ、サマワに限定されると。こんな、理屈からすれば反対じゃないですか。そこを聞いているんです。自衛隊軍隊だから、軍隊だと国際的に見られる自衛隊が言わば東南部に押し込められて、何で、じゃイラク復興支援だけ、の支援職員だけ全土にわたって活動できるんですか。変な話じゃないですか、これ。官房長官、そこを聞いているんです。
  237. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それは確かにおっしゃるように、自衛隊の方が自衛手段を持っていると、こういう人たちは、復興支援職員は持っていない、だからその人たちが方々に行くのはおかしい。それはごもっともな話だと思いますよ。  ですから、今後、具体的活動を調整していきますけれども、この治安状況を十分に見極め、そして活動の性格、態様等も考慮した安全対策を講じて、活動実施する職員の安全の確保を前提として慎重かつ柔軟に実施すると、こういうことになっているんですよ。そういうことで分かってください。
  238. 小泉親司

    小泉親司君 全然納得いきません。いきませんが、次の問題だけ。  私は、こういうことはやはり自衛隊軍隊だというところが一番大きな問題で、これが標的になると、軍隊が、自衛隊が行くところ標的になると、このことについては先ほども私、質問でも申し上げましたが、防衛庁長官が引用されたNGOの赤堀さん始め、例えば向こうのイスラムの指導者も、自衛隊が来ればそれは標的になると、こういうことが一番大きな問題だと。自衛隊行くところ戦闘地域だということだからでないんですか。防衛庁長官、いかがでございます。
  239. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛隊の行くところ戦闘地域ではないということはもう繰り返して申し上げるつもりはございません。  それは戦闘地域にはならないし、戦闘行為はやらない。だから、自衛隊の行くところ自衛隊は標的になるのかという御質問であるとするならば、それは、じゃ民間人が行けば標的にならないのかということでございます。ソフトターゲットというものをどのように考えるかということです。自衛隊だろうが民間人だろうが、それはテロに対してテロの、テロリストが識別する場合に本質的な差になるとは私は思っていません。テロリストは何であれかんであれ無差別にやる、そして恐怖を連鎖させて自分の思いを遂げるということがテロリストですから、それが民間人だったらターゲットにならず自衛隊だったらなるということには決してならないと思っています。  そうなったときに、そのようなテロのターゲットとなるとしても、その危険を抑止し回避できるのは、それは自衛隊しかないだろう、今の時点において自衛隊しかないだろうということで自衛隊人道支援に赴く。そして、その自衛隊は危険を抑止し回避できる能力を持って赴くときには赴くということを申し上げているのです。
  240. 小泉親司

    小泉親司君 最後の一問だけ、私がお聞きしたいのは、外務省から十二月十五日に、現在判明分というイラク人道復興支援等に関する諸外国軍隊派遣状況というのをいただきました。カナダはC130派遣中と、三機派遣中と、ここに書いてあります。  私、カナダ大使館に問い合わせましたら、カナダはC130などはアフガニスタンには配備しておるがイラクには配備していないそうであります。  こんなでたらめなことを外務省は公表されるんですか。
  241. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間も来ておりますので、答弁を手短にお願いしたいと思います。
  242. 川口順子

    国務大臣川口順子君) カナダの件については調べさせていただきたいと思います。
  243. 小泉親司

    小泉親司君 訂正させていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  244. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由民主党の月原です。  冒頭に、亡くなられた奥大使、井ノ上一等書記官、また現地の職員の方々に哀悼の誠をささげます。  さて、私が質問したいのは、もう既に多くの方々が質問されているので重複を避けていきたいと思いますが、今、仮にイラクから復興支援をやめて各国が引き揚げたらどういう状態になるんだということをお尋ねしたいと思います。
  245. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、イラクが、引き続きイラクにおいて治安が課題であるということであります。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕  今、コアリション、米軍、英軍その他のコアリションの軍隊がいるということが非常に重要な役割を果たしているということは、これは我々の認識だけではなくて、この間から総理もおっしゃっていらっしゃいますように、各国の認識であります。これはフランスもそういうことを言っていますし、ドイツも言っている、ロシアも言っている、また近隣のアラブ諸国も言っているということです。  イラクの安定に問題が起きる結果、イラク中東地域においては非常に重要な国でございますので、中東全体の安全にも影響が及ぶということであると思いますし、そのことは、例えばイラクが今引き付けているテロリストの暗躍を更に悪化をさせる。我が国の平和あるいは我が国の繁栄が国際社会の安全、安定によっているところが非常に多い。正にそれによっているわけですから、そういった我が国にも大きな影響が及ぶということであると思います。  我が国としては、国際社会が引き続き全体としてイラク復興に力を出していくことが必要であると考えています。
  246. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 要するに、我が国の国益については次にお尋ねするつもりですが、この地域から今、米英軍を含めてその復興に携わっている方々、あるいは治安確保している、そういう者が去った後は、要するにテロ、ゲリラの策源地になっていく、将来の。そういう、これからはテロ、ゲリラというのはなかなかどこにおるか分からぬわけですけれども、中には隠れてちゃんと技量を磨いてミサイルを撃つ、そういうことも行うわけでありますから、そういう土地をできるだけ少なくしていく、安定していくということも大切だと。イラクがそういうことであるというわけではなくて、放てきしたら、放置したらそういう国家になるんだという、そういう地域になるんだということを私は国民に広くまず言わないといかぬと私は思います。  戦争の大義そのものについてはいろいろ議論があるでしょう。しかし、その後のことについて現在の状態はどうなんだと。もう死んだ子の年を数えても、いろいろな、まあ数える人もおりますが、しかし、ここで大切なことは、これから先、もし手を引いたらどうなるんだということをまず話しすることから始めなければならないと私は思うわけであります。それだから、あえて冒頭にそのことをお尋ねしたわけであります。  さて、そこで、今、大臣がお答えになったことに関連するんですが、今、総理大臣を始め多くの方々が自衛隊派遣する、また我が国がこれに携わることについての大義についてお話しになっておりますが、非常にまた私は抽象的な感じがする、国民から見たら。要するに、世界平和だと、中学校の教科書の冒頭に出てくるような言葉が羅列される。待てよと。我が国にとってどういう国益になるんだと。他の国と比べてどういうところが我が国に特色があるんだと。ロシアとか中国とかフランスとかドイツとか、出ていないじゃないかと。出ている。何で出るんだと。そういうふうな我が国の国益を中心にして一遍説明することも私は必要だろうと、こう思うんですが、いかがですか。
  247. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 正に今、委員がおっしゃられたように、我が国の国益とは何かということでございます。  それで、我が国の平和と繁栄、これは国際社会の安定にあるということであると思います。じゃ、その意味は詳しく具体的に言うと何かということであるわけですけれども、幾つかありますが、一つは、イラクというのは中東における大きな存在、大きな国であります。したがいまして、イラクが不安定になる、先ほどのようにテロが暗躍をしたりというようなことになりますと、周辺諸国が不安定になる。ひいては中東全体、世界全体の不安定を呼び起こすということが一つ言えると思います。それは当然に我が国にも影響を及ぼす。  それからもう一つ、これは委員も今おっしゃられたテロリストの脅威。これを、イラクが不安定、破綻国家になりますとテロがそこで暗躍をすることになる。また、テロの輸出が近隣の諸国、世界のほかの国に対しても行われることになる。テロリストの脅威を増大をさせるということにイラクが安定しないとなるということがあります。  それから三番目に、我が国というのは石油について中東地域にその九割近くを依存をしているわけです。それで、中東地域が不安定になると我が国に対しての石油エネルギーの供給に非常に問題が生ずる。ということは、我が国経済にも非常に大きな影響を及ぼしますし、我が国のみならず、ほかの国に対しても大きな影響を及ぼすということになります。  それからさらに、四つ目として挙げられますのがイラクが不安定であり続けることの中東和平への影響、マイナスの影響でございます。イラクの問題というのは中東地域で非常に大きな問題ですけれども、より根源的なと言っても差し支えないかと思いますが、問題は、中東和平の問題、これは歴史的にも非常に長い存在である問題であるわけですけれども、イラクがうまく解決をできなければ、あるいはイラクの問題をうまく解決することができるということが中東和平にも資するということであると思います。  そういった幾つか、四つ挙げさせていただきましたけれども、そういったことが合わせて全部我が国の国益にとって重要である、世界の安定につながっていくと。したがって、そこがきちんとしていく、安定的で推移をするということが我が国の国益であるということかと思います。
  248. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今おっしゃったことはそのとおりでありますが、もう一つは日米関係、そして我が国の周辺、その状況を考えたときに日米関係というのが緊密であるということは大きな抑止力になることだし、更に具体的に言えば、日米関係について、例えば防衛力の協力のところで、ミサイル関係について言えば、米軍は必要に応じ打撃力を有する部隊の使用を考慮すると、こういうふうなことも言っておるわけですね。  だから、私はそういう点も、一時、北朝鮮がどうだというような話で、そればかり言っておった人もおったようですけれども、そうではなくて、今おっしゃったように、外務大臣がおっしゃったように、全体、世界全体、日本における政治経済関係中東の位置付け、そういうことを最近整理されてきれいに答えられるようになっておりますけれども、ここに、この東南アジアにおける、東南アジアと我が国のこの地域における地政学的な、そして日米の関係、そして打撃力を持たない日本、そういうようなことも何番目かには入れておかぬといかぬわけですよね。私はそういうふうな観点からアプローチした議論も必要だと。  今、非常に大きな大義ばかり話しされて、じゃ、我が国にとって、繰り返しますけれども、大義だけだったら、何で、ロシアだって、中国だって、フランスだって、ドイツだって何だ、国連決議もあるじゃないか、出てこぬじゃないかと。そこに、よその国と比較して我が国が特に力を入れなければならない、ほかと違う点はここなんだというところの説明というのを、私は今の中で酌み取りましたけれども、もっと整理してうまく説明していただかぬといかぬのじゃないかなと、こう思っておるわけであります。  さて、フセイン元大統領が拘束されましたが、これは今いろいろなことを言われておりますが、中長期的に見れば、これはこの国の治安情勢というものについてはどういうふうな影響があると、影響を与えるかということについて、今考えられることを簡潔に述べていただきたいと思います。
  249. 川口順子

    国務大臣川口順子君) フセイン大統領が拘束をされたということで、直ちにイラク治安情勢が良くなっていくというふうに楽観的に考えるということではないというふうに思います。引き続きイラク治安情勢は課題であり続ける、我が国としても注視をしていく必要があると考えています。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕  ただ、今回のフセイン大統領の拘束は、イラクの人たちが、様々なグループありますけれども、一丸となって今後イラク復興に対して取り組んでいく、その一つの契機となり得るものであるというふうに考えております。我が国といたしましては、イラクの人たちがこの契機を、このときをとらえてそういった方向で動いていくようになるということを期待をいたしておりますし、武装兵力が兵器を捨てて、そのような態度を取るということを呼び掛けているということでございます。  引き続き、イラク治安情勢あるいはそれと表裏一体の関係にある復興支援ということについて、復興支援我が国としては国際社会と協調してやっていきたいというふうに考えております。
  250. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今お話分かりましたが、私はこちらの方について行ったこともなければ、イランには行ったことがあるけれども、イラン・イラク戦争のころに行ったわけでありますが、おっかない国が毒ガス使ってイランを攻めたなというころに行ったわけでありますが、私は、湾岸戦争のときに現在のブッシュ大統領のお父さんが、国連の約束等もあってクウェートから向こうに、イラクに攻め込まなかったですよね。そのときに非常に、その後のいろいろ書物を見ると、フセインは中で倒されるだろうと、一つの大きな勢力が反抗して倒すだろうと、大きな勢力といろいろな勢力が。と思ったら、それは逆だったと。そして、その期待しておった人たちは全部殺されたと、大変な虐殺が行われたと。恐怖。  だから、今度の場合も、フセインが姿を見せない、そしてこのテロ、ゲリラが盛んになってくる、外国から入ってくる、そういう連携する。そういうふうなことで、ひょっとしたらその勢力がもう一遍ぶり返すんじゃないかと、こういう恐怖感から、私は、行動していない、その本来の望ましいイラク復興のために力、能力がありながら、協力していない人たちが非常に多かったんじゃないかなと、私はそのように思うんですね。  だから、私は、これは長期的に見れば非常に大きなプラスの方向に動いてくるだろうというふうな、まああそこは民族たくさんありますから余り専門家でもないのが言うとおかしいんですが、一つそんな感じがしないではない。  そこで一つ言えることは、何かフセインの下でやっておった役人とか警察官とか、そういうふうな人たちが、たくさん職があぶれておると。そういうことも一つの今の混乱の原因だというふうに言われているとするならば、この親分はもう出てこないんだから、ブッシュさんが何回も言っているのはそこを強調しておるんだと、もうフセインは二度と権力に着きませんよということ。ブレアさんも言っておる。それはむしろ、今言ったグループ、今言ったグループというか、そういう今までフセインがもしかしたらと思って畏怖感を持っておる、恐怖感を持っておる人、そのほかにフセインの下で勤めていた公務員の人たち、そういう人たちを今度新たにこれから進むべき政府の方に組み込むこともできるんじゃないかと。こんなことを考えながら私は、あれだけ何回も、もうフセインは帰ってこないよと、二度と力持たないよということをブッシュなりブレアさんが強調しているのは、私はそういうところに一つの宣伝、そういう目的があるんじゃないかなと私は思うんですね。  そういう意味で、日本の国として、この復興に大変な力をかしておる国家として私が一つの案としてお願いしたいことは、要するにフセイン政権下でおった公務員の方々で優秀な方々を日本がひとつアドバイスして大量に抱えていくということが、日本が管理せず、向こうのイラクの方が、新しい政権を担っている人たちが、そういうふうなことを強く私はアドバイスすればいいんじゃないかなと。それは命令の一下仕事をする人たちなんであって、何もフセインが好きだから仕事をしておったというわけでないと、テクニシャンとしては最高のグループだと私は思うだけにそういう感じを持っておるんですが、いかがですか。素人考えだということになりますか。
  251. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクのフセイン大統領の下でバース党の党員に優秀な人はなっていた、あるいはそれは信ずる信じないということとある程度独立をしてバース党の党員にならざるを得なかったという人たちもいるわけであります。  それで、イラクが今、今後復興をし、イラクの暫定評議会あるいは暫定行政機構というものを作って、そちらが行政をやっていく過程でやはり優秀な人がイラク政府、政権に戻っていくということは非常に大事なことであると思います。今、CPAもそのことを理解をして、わずかずつではありますけれども、そういった人たちを戻すということもやっていると思います。  我が国として、そういう分野で出せる知恵ということも引き続き出していきたいというふうに考えます。
  252. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 次に、ちょっと方向を変えまして、地位協定のことについてお尋ねいたします。  今度、クウェートの方にまず航空、まずじゃなくて航空自衛隊はクウェートを一つの基地とするというようなことでありますが、こことの地位協定は今どういう段階にあるのかということ。それから、イラク国内における地位協定、自衛隊が出ていくわけですから、その場合の地位協定はどういうふうになっていくのか。  そして、その中の私が特に焦点としておるのは裁判権ですね。私は、地位協定というのはどんな、定義は余り分かりませんけれども、特に裁判権というものについてどういうふうに、自衛隊の者が活動した場合に、その活動についての裁判権です。常識的には皆分かっておるんですけれども、法律的に今どういうふうに考えられておるのか。  そして、もう一つ言えば、これが今後、CPAから変わっていくわけですね、政権が移譲されていく。その場合に、その点はどういうふうにバトンタッチしていくつもりなのか、手続は変わっていくのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  253. 西田恒夫

    政府参考人西田恒夫君) お答えをいたします。  まず、クウェートでございますけれども、それぞれの国におきまして我が国自衛隊任務を円滑に進められるようにと、また安心して仕事ができるようにというために、今御指摘の地位協定というようなものを取り決めているのが一般でございます。  同じような考え方に基づきまして、まずクウェートでございますけれども、我が国政府としまして現在、正に自衛隊員の法的地位に関する取決めを提携するための交渉をクウェート政府と行っておりまして、正に最終段階、最終調整に来ておるところでございます。  内容的につきましては、今御指摘のとおり、一番の中心となるのは裁判権、すなわちこの場合にはクウェートでございますが、の裁判権から我が国自衛隊員をどうやってそれを免除するかというのが肝になると思います。  現在、最終調整中ですので、余り詳細に立ち至ってお話しできませんが、現在の時点では刑事、民事あるいは行政裁判のすべての裁判管轄権につきまして基本的に免除されるという方向で交渉が調うのではないかということでございます。  それから、二番目にイラクでございますが、イラクにつきましては、六月二十六日付けでCPAが命令の第十七号というものを発出をしております。  内容的には、部隊派遣国の軍隊構成員、例えばこれは自衛隊員に当たるわけでございますが、等がイラクの刑事、民事、行政裁判権からの免除を享有し、派遣国の裁判権に服すること、また原則としていかなる抑留ないしは拘禁からも免れるということを定めております。  現在、イラクには多数の国から現在部隊派遣されておるところ、御案内のとおりでございますが、これらすべての外国は、かかるCPA命令第十七号によりまして上記のような特権・免除を享有しておるというところでございますので、CPAとの間にその特段のそのための国際約束というものは取り決めていないということでございます。我が方としましても、このような状況にかんがみまして、イラク派遣される自衛隊員の法的地位につきましては、先ほどから申し上げておりますCPA命令第十七号により確保されるという旨をCPA側から我が国に対し確認を取っておるというところでございます。  最後でございますが、来年の六月の末にも想定をされております統治権限がイラク人に移っていくという過程の中で、この問題をどうするのかということでございますが、この二〇〇四年六月までに新しい移行行政機構への統治権限を移譲するという約束が、十一月十五日でもってイラクの統治評議会とCPAの間で合意ができたわけでございますが、その合意の中におきまして、イラクにおけるいわゆる連合軍の地位もカバーする治安に関する協定というものを結ぶということが盛り込まれております。  今後、この中身についてだんだん話合いが進んでいくとなると思われますので、その点十分日本政府としても勉強させていただいて、このような事態になっても、当然のことながら我が方自衛隊の皆さんが安心して仕事ができるというような体制を確保すべく努力してまいりたいと考えております。
  254. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よく分かりました。大変な努力をされておるようであります。特に、我が国自衛隊は海外へ行けばちゃんと軍隊としての扱いをしてもらっておると思いますが、これがまた自衛隊だとか変な立場でやられたらかなわぬと思ってあえて私は質問をしたわけであります。  円滑にCPAのものが来年の六月ですか、そのころにまた同じように進むことを希望しておきます。
  255. 山本一太

    委員長山本一太君) 失礼いたします。林条約局長の方からも御答弁いただきましょう、今、手が挙がっておりますから。
  256. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 はい、じゃどうぞ。
  257. 林景一

    政府参考人(林景一君) クウェートの関係につきまして、ちょっと一点補足させていただきます。  今、同僚から申し上げましたとおり、これは最終調整中でございますので、ちょっと個別具体的に申し上げる感じではないもんですから割とざっくりと申し上げましたけれども、基本的に裁判権、特にこれは御心配は恐らく刑事裁判権だろうと思いますけれども、刑事裁判権につきましては、これは派遣国側、つまり我が国側が専属的に有するということで、これは同僚の申し上げたとおりでございますけれども、民事裁判権につきましては、これは公務中と公務外とちょっと分けるという形になりますので、公務で民事関係の裁判権の問題が生じます場合には我が国でございますけれども、公務外ということになりますと受入れ国側ということになろうかという、そういう方向で今最終調整しておるところでございます。
  258. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ありがとうございました。  諸外国軍隊が国家としてそれぞれ地位協定を結ばれておる内容と同じようなものを少なくとも我が国自衛隊について適用するように努力していただいておりますが、よろしくお願いしたいと思います。  さて次に、イラク内の、今、専門調査団の報告にもありますが、要するに、自爆とかあるいは車両搭載の即製弾薬というようなものを持って行動しておるというようなことが政府調査団に出ておりましたが、現在、イラクの国内におけるテロというものはどういう形で行われているのか、そして目的というのはどういうふうなものだろうか、そのことをどう考えられておるか、説明してください。
  259. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) イラクにおきましては、いわゆるスンニ・トライアングルというところを中心に連合軍に対する攻撃が継続しておりまして、全般として予断を許さない状況が続いております。しかし、その脅威の度合いにつきましては、全国一律ということではございませんで、地域により異なっております。  このテロでございますけれども、テロにつきましては、委員御指摘のとおり、八月でございますか、それより自爆テロの形態が増えてきております。かつ、いわゆるソフトターゲットに対する攻撃も増えてきております。イラクにおきましては元々この自爆テロの伝統はございませんでした。したがいまして、そういうことからも、国際テロリズムがイラクに入ってきているということもうかがわれる状況にございます。  これらのテロリストの目的でございますけれども、イラクの国内を混乱させること、そして今後の政治プロセス及びイラク人による政府の樹立を妨げると、こういう目的で活動していると思われます。
  260. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自爆テロが今までなかったのが要するに国際テロが入った一つの証明としてあるというようなお話、よく、先ほど私も申し上げましたが、国際テロとフセインの残党とが連携を始めておるというようなことも一時言われておるわけでありますが、さて、このテロに対しては、おい待った、おまえもうちょっと考え直したらどうだというようなことは、どうですか、そういう説得は可能なんですか。
  261. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 残念ながら、そのような状況にはあると思えません。
  262. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 というところで、そういうところに我が自衛隊が出るとすれば、そういう手合いを相手にしなければならない可能性が高いわけですね。  そこで、先ほどから防衛庁長官がお話しのように、安全の確保に配慮するという配慮事項を入れて隊員の、自衛隊員のいろいろな装備、編成あるいは部隊の武器の使用の基準とか、そういうことを配慮されておりますが、そこらのところの御苦労は今多くの方々の質問に対してお答えになっておるので分かっておりますが、全体に、隊員の武器使用の判断にかかわる負担を軽減させるためにどのような防衛庁派遣準備をされておるのか、その点を部隊行動基準等を含めてお話し願えたらと思いますが、いかがでしょう。
  263. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 負担の軽減というのは、私は、せんじ詰めればROEの徹底に尽きるんだろうと思っています。  どういうような武器を持っていくか、そして、どうやって迷いもなく遅れもなく判断するかということが大事なのですが、結局のところ、このような判断に従って行った場合には、というか、このような判断に従って行いなさいということ、そしてそれに従って行った場合には責任は問わないということ、これをはっきりさせることが私は一番大事なのだと思っています。  そういう意味で、ROEを定め、それを頭で理解するだけではなくて体で覚えるということが負担を減らすために一番肝要だと私は思っているところでございます。
  264. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今度の自衛隊派遣の目的は何かといえば、それは人道支援であり、それからもう一つは、その余力があれば、妨げない範囲において安全確保のための活動支援するということですね。  で、私は、今、防衛庁長官質疑で個々の対応について説明をされておったのを聞きながら、むしろ私は、そういう任務遂行のために必要なことについて武器の使用は可能だというような大きな枠を今から積み上げて体で覚えさせておくけれども、大枠としてそういう表現をして、そしてそれを超えたもの、それについては責任を負うというような形でなければ、私は、今ここで先ほど地位協定についてお尋ねしたのも、私の法律的な感じが違っておったら申し訳ないんですが、これ国内で過剰防衛だとかいった告発がたくさん出てくる可能性があると私は思うんですよね。そうした場合に、そうじゃないんだと、任務遂行上という大枠をはめておけば、これは非常に、国内の裁判のことからいえば、非常に隊員に対する負担は軽減すると、私はそのように思う。一つ一つ積み上げたら、これの〇・一違うからどうだというような、要するにこれは、日本の国は考えてみたら軍事法廷はないわけですよ、はっきり言って。そしてその上に、裁判官もこういう経験のない方々がなるわけですよ。  そうすると、私は、余りに細かく、ROEで細かく規定し過ぎて、それがちょっと外れていても法廷で争うようなことになる、そういうことを防いでおかぬと私はいかぬ。そういう意味からも、そういう観点からも、こういうことの軽減、負担についての判断を別の角度からしていく、そういうことが必要でないかなと私は最近思っておるんですが、大臣、どうでしょうか。  積み上げて一つ一つ体で覚えさす、これはもう最も大切なことです。しかし、我が国の警職法そのもの見たって、平和な国に法律がちゃんと守られて、周りの目が厳しい、そういうところにおける警職法なんであって、それをいろいろな変数で状態に変えながら、そういうところで使用を変えていくというような考えの、正当防衛、緊急避難とか、そういうような状態は、戦時においては同じことでも全然心理的に違うわけです。そして、覚えさすといっても、今度は初めて出ていくわけですよ。  だから、私は、そして国内のそういういろいろな方々がたくさん、まだ国家として慣れていないだけに、いろいろな方がおるから、どういう手段を持って、その自分の考え方をアピールするために、過剰防衛だ、ああ何だとか言って出てくる可能性ある場合にどうするんだということを私は考えておかぬといかぬ。そういう意味では、書き方、そういうものをよく考慮、判断していただきたいなと思ってあえてお尋ねしているわけであります。
  265. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員御指摘の問題意識は私も強く持っております。  例えば、国内でいいますと、たしかぷりんす号シージャック事件というのがあって、あのときに犯人を撃ちましたね、警察が。これ、裁判になっちゃったわけであります。じゃ、そういうことになるのかと。誤想防衛、あるいは過剰防衛、あるいは組み合わさった誤想過剰防衛みたいなことがあったときに、じゃ一体これどうなるんだということです。これは国外犯の規定とも併せて考えなければいけませんが、過失犯ではございませんので、これ国外犯の規定になるだろうと。そうなった場合に、ROEに従ってやったとするならば、それは罪に問わないのだという構成をきちんとしないといけないのだろうと思っています。  ただ他方、我々には軍事法廷がない、おっしゃるとおりでございます。法の下の平等ということをどう考えるのかということの問題がもう一つここには出てくるのだと思っています。そういうことも併せて、先生御指摘のように、ROEをきちんと徹底をさせるのだということ。そして、我が国憲法上、軍事法廷ということを設けることは非常に難しい、まず不可能と言ってもいいだろう。そうなったときに、それらを整合してどのように考えたらいいのかということについて、今、庁内でもこれでいいのか、これでいいのか、いろんな議論をしておるところでございます。  いずれにしても、行く隊員が負担に感じないように、さりとて何やったっていいというわけではもちろんない。そこのところを、何が一番隊員も納得し、そして頭じゃなくて体で覚え、現地で起こるいろんなことに対応できるかどうか、そこを今最大限やっております。  先生の御指摘をよくもう一度問題意識として受け止めまして、最大限の努力をいたします。
  266. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 これは大変大きな私は課題だと思っております。そして、防衛庁のみならず法務省とか警察とかを入れて、まあ裁判所まで入れると問題ありますから、だからそういうところを十分私は考慮してお願いしたいと、このように思うわけであります。  次に、イラク派遣されるときに、この間少し問題になったようですが、そこの点、陸上自衛隊給水活動を行うことを想定されておりますね、これ、ちゃんとあるわけですが。それはどのくらいかなと。そんな、行って少々では意味ないじゃないかと、こういうふうな極端な議論をする方もおられるので、その点、これだけ一つ取り上げてとは思いますが、誤解があるようなので答弁をお願いしたいと思います。
  267. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、世の中の方の中には、行って何になるんだ、自衛隊が行ってどれぐらいの活動ができるんだ、単なるアメリカへの義理立てなのかという、そういう私どもからすれば誤解に基づく、心ないと言ってはいけないのかもしれませんが、そういうことをおっしゃる方もあります。  私どもは、義理立てのために自衛官を、幾ら能力と装備と権限を持っているからといって、危険なところへ派遣する、そのようないい加減な政府ではないつもりでございます。自衛官はそのようなためにあるのではございません。  じゃ、一体何ができるのだというお尋ねでございますが、これ、夏もある程度お答えをしたかもしれませんけれども、例えばサマワというものを考えましたときに、サマワの人口は大体十二万人ぐらいだろうと推定をされています。そのうちで、どれぐらいが水に困っているのか、飲み水に困っているのか、川から水を直接くんで飲んで病気になったりするような人がどれぐらいいるかというと、大体四割程度というふうにCPAでは出しております。十二万のうちの四割、そういう方々がきれいな水を飲まないといけないんだという状況にある。その数は大体五万人から六万人と思われます。  じゃ、自衛隊はどれぐらい水をきれいにする能力があるのということを考えましたときに、一日の水の摂取量、これは飲み水だけではございませんが、そのほかも加えまして、一日の水の必要とする量というのは大体四・五リットルというふうに言われております。そうすると、自衛隊として一日七十トンの浄水能力を持っております。一日七十トンの浄水能力を持ち、一人一日当たり必要な浄水、きれいな水を四・五リットルと置きました場合には、五万人ぐらいの人が水を必要としている、その中で一・六万人ぐらいの方々のそういうニーズを満たすことができるということなのであります。仮に飲み水だけということになれば、もっともっとこの数字は上がるのかもしれない。  つまり、サマワで本当に水が欲しいと言っている人たちの相当の部分に我々の自衛隊活動することによってきれいな水を提供することができる、そのことによってお年寄りや赤ちゃんや病人や、そういう方々が病気にならないでも済む。それは私は、とっても意味のある大きな活動であり、そういう能力を持っているのは自衛隊だけなのだということを申し上げたいのでございます。
  268. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 一つの例を通じて、自衛隊が命令でそちらの方に行った場合の貢献度というものの説明ができたと思います。  さて、今度の自衛隊派遣のときに、新たな装備等について予備費で要求するんだというようなことになっているわけですが、私は、その訓練期間とか、物によってはですね、そういうことがあると、予備費というものを出す時期というものを誤ると、直前に言って、野球の試合に行くのに新しいボールを渡すからこれでやってこいと、そんなのと話違うわけですからね。だから、そういう意味で、予備費の出し方というものを自衛隊のこういう場合には考えぬといかぬのではないかと。それは財務省の、それは内閣及び財務省の仕事だと思いますけれども、防衛庁として、今日はたくさんの人を呼んでもと思いましたので、防衛庁長官のお考え方なり、担当者の方がおられたら担当者からお答え願いたいと思います。
  269. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおり、予備費をいつ出すかということは極めて重要なことでございます。それは、予備費の持っている性格からかんがみても直前になって出せばいいというようなものではございませんので、どの時点で予備費を出すか、そしてその積算の根拠をどうするか等々をきちんと詰めませんと、これはおかしなことになってまいります。  その点について、先生まさしく御指摘のように、自衛隊活動というものに支障を与えないためにはこういうような根拠が必要で、こういうような金額が必要で、だとすればこの時期だということをきちんと政府部内で、特に私ども防衛庁、財務省、内閣官房の間で話をする必要があるだろうと。そのことの結論を早急に得るべく、現在最大の努力をしておるところでございます。そのことによって自衛隊訓練ができないとか装備が十分ではないとか、そういうことが絶対にあってはならないということを私は常々申し上げておるところでございます。
  270. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 問題意識を持って対応されておるということ、ありがとうございます。  そこで、これ、今訓練の話がありましたが、ただ、今イラクという問題で議論になっておるわけですが、私は部隊をいろいろ見ていると、訓練演習費というのが非常に圧迫をされてきておると。もういよいよ予算のシーズンですけれども、私は特に大臣にお願いしておきたいことは、やっぱり心ある人たちは、今自衛隊活動できておるのは、新しい任務を与えられていることはもちろんだけれども、今までの蓄積というか、訓練の蓄積というものが生きているんだということなんですね。だから、訓練、このようなままでいろいろな仕事を、仕事を通じて訓練だというような考え方で走り回っておったら、ある時期が来るとぽっかりもう折れる場合があり得ると。だから、訓練というものの必要性というものは大臣も十分御承知でしょうが、今度の予算においては十分訓練の費用というものを確保するように努力していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  271. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、訓練というのは極めて大事であって、どんなに正面装備をずらずら並べて、一機百億の戦闘機が例えば二百機あるとか、一両十億もするような戦車があるとか、イージス艦が千二百二十億円ですか、して四隻持っているとか、それがあっても、それはきちんとした訓練があって初めて動くのだと。正面装備偏重という、ともすればそういうような御批判をいただくことがございますが、それがきちんと動いてこそ初めてそれは防衛力なのだということを私は大勢の方からお教えをいただいておるところでございます。  来年度予算におきましても、その必要な所要をきちんと確保をする、訓練がきちんとできる。昔、「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」という川柳があったんだそうでございますが、そういうようなことがないように、正面偏重ではなくて本当に訓練に十分いそしめるようなそういうような体制というものを心掛けて来年度の予算要求に臨んでまいり、そしてまた国会の御審議をお願いしたいと思っておるところでございます。
  272. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 最後に当たって、イラク派遣について、私は、部隊が出るときには総理大臣からもう一度大義について、そしてその激励ということを必要とすると思っております。さらには、ここでいろいろな議論がありますが、自衛隊が出る場合には国民こぞって、国会の議員もこぞって激励すると、そういうことを望んで、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  273. 高野博師

    ○高野博師君 公明党の高野博師でございます。  まず最初に、イラクで亡くなられた二人の外交官と現地の職員に対しまして、心から哀悼の意を表したいと思います。  まず最初に、サダム・フセインの拘束に関連して二、三お伺いしたいと思います。  拘束前に政府自衛隊派遣を決定したというのはタイミングとしては非常に絶妙だなと、小泉さんも運がいいなという感じがいたしましたが、この逮捕というか拘束が、フランス、ドイツ、ロシア、中国がこれを歓迎しているということもあって、これらの主要国がイラク復興に関与するきっかけになり得れば、あるいは流れが変化すればという期待をしているところであります。  そこで、長期的に見ればテロというのは鎮静化に向かうかな、しかし短期的にはある意味では激化する可能性もあるなというふうに思います。例えば、麻薬組織とかゲリラ組織というのはトップが逮捕なり拘束されると必ず報復テロを行っているということもありまして、これに関連しまして、政府としては在外公館あるいは在留邦人に対して何らかの治安関連情報は流したんでしょうか。
  274. 鹿取克章

    政府参考人鹿取克章君) フセイン元大統領の身柄拘束がイラクなどにおける治安情勢に与える具体的影響については、今後の動向を注視していこうと考えております。現時点では新たな渡航情報はまだ出しておりません。  ただし、国際テロをめぐる情勢につきましては従来から注意喚起を行ってきていますが、特に十月十八日のウサマ・ビンラーディンの声明以降は度々渡航情報等により注意を呼び掛けてきております。最新の情報は十一月三十日に出しております。  今後とも、今般の身柄拘束等が国際テロをめぐる情勢に与える影響につきまして十分注視していき、必要と判断をされる場合には適切に注意喚起をしてまいりたいと考えております。
  275. 高野博師

    ○高野博師君 こういう問題は迅速に対応することが第一なので、やはりターゲット、テロリストのターゲットになっているという前提で対応していくということは、私は事件を未然に防ぐという観点から重要ではないかと思います。  先ほど同僚議員も取り上げましたが、このサダム・フセインの裁き方はどうあるべきかということについてお伺いしたいと思いますが、拘束されたときのあの映像が世界じゅうに流れたということについては、あれだけの辱めを与える必要があるのかどうかと、イラク人の自尊心なり誇りを傷付けたんではないかと、そういう意見もあるんでありますが、このサダム・フセインをアメリカが裁くということについては恐らく適当ではないだろうと思います。  パナマのノリエガ将軍が九〇年に逮捕されてアメリカで裁かれたんですが、いろんな罪を合わせると懲役三百五十年とかということになっているわけでありまして、こういう法外な法をやると、裁きをするというのは適当ではないんではないかと。また、東京裁判のような勝者の裁判であってもならないんではないか。  そういう中で、イラク人自身が独裁者を裁くという中でも、これもやはり統治評議会等の勝者の論理というのが働きやすい。したがって、外国人を含む特別法廷というようなものを作る必要があるのかなと思います。できるだけ公正に、そして迅速にやる必要があると思います。  私は、このサダム・フセインがいつまでも拘束されたままでいると、あるいは裁判が長期化するというのはイラク国内の一つの不安定要因になり得るという認識をしておりますが、このサダム・フセインの裁き方について御意見があれば伺いたいと思います。
  276. 川口順子

    国務大臣川口順子君) フセイン元大統領をどのように裁くかということについては、いろいろな意見があり得るというふうに思います。  先ほどアメリカが裁くべきではないというお話がございましたけれども、ブッシュ大統領自身がイラク国民が裁判プロセスに十分関与する必要があると、米国はイラク国民とともに取り組むということを言っているわけであります。それから、公開裁判であるべきであるとか裁判は公正でなければいけないとか、そういうことも言っております。  日本として、これは委員もおっしゃったかと思いますけれども、公正な裁判を確保することが重要であるというふうに思います。  戦争犯罪あるいは人道に対する罪、これに対しては公正な裁判を行う必要がある。そして、いろいろこれから尋問が行われると思いますので、そういったことを経て、イラク人を含む国際社会が納得をする形で行われるということが大事であるというふうに考えております。
  277. 高野博師

    ○高野博師君 それでは次に、ブッシュ大統領が中東の民主化革命という演説を先般やりました。その中で、中東の心臓部に自由なイラクを確立すれば世界民主化革命の分岐点になると、こういうことを言っておりますし、民主主義が国家の成功と尊厳に向けた唯一の道だということも強調されておりました。  これに異論はないのでありますが、だれがどのようにこれを進めるのかと、民主化というものを。アメリカが主導するという自任をし使命感を持っているのでありますが、アメリカのこのやり方というのは、自由、民主、それに市場原理というか市場経済が一体化していると、正にここに若干の懸念があるわけですが、外から強要して押し付けられることができるのかどうか。力の論理で民主主義を広めるというような考えがあるとすれば、それは懸念をせざるを得ないと思うのでありますが。  イラクの場合は五千年の歴史がある。伝統があり、文化があり、宗教がある。部族社会でもある。非常に複雑な社会でありますから、西洋的な価値観を、西洋的な価値観に基づいた民主主義を植え付けるというのはなかなか難しいのではないかと、強引なやり方というのはうまくいかないのではないかと私は思うのでありますが。  イラク復興に当たって民主化するということについては、これもだれも異存がないと思いますが、イラク国民が自ら目覚めて、そして自らの手で民主国家を建設するという、それを我々がバックアップすると、時間を掛けて民主主義を根付かせるというその努力が必要ではないかと思いますが、ブッシュの民主革命の思想は若干乱暴で危ういなという感じがあります。特にこれは意見を求めませんが、次との関連でお伺いしたいと思いますが。  イラク自衛隊派遣するという理由は、先ほど外務大臣も、そして総理もるる述べられましたので触れませんが、私もイラクに対して人的な貢献をしないという選択肢はあり得ないと、これはもう一貫してずっと昔から私も言っておりました。  日本の行動あるいは決断というのは北朝鮮も注視していると思います、先ほど同僚の議員がやはり言及されましたように。そして、テロに屈しないという日本政府の政治的なメッセージも、これも北朝鮮に伝わっていると私は思いますが。  現場で、地元で、なぜイラク自衛隊派遣するんだという説明をするときに、やはり北朝鮮に言及するのが一番納得されやすい、すとんと落ちるということもあります。すなわち、北の、北朝鮮の核ミサイルあるいは拉致問題、こういう問題があり日本が脅威にさらされていると、これを守るにはアメリカに頼らざるを得ないんだという、したがって同盟国としてイラク自衛隊派遣してアメリカ協力すると、これがもう一番納得しやすいんでありますが。  現在、六か国協議、これも延期の可能性が強まっておりますが、拉致の問題もあると、政府としては北朝鮮を刺激したくないという、それはもう配慮はよく分かりますが、いろんな理由の中で北朝鮮については全く言及されておりませんが。  そこで、北朝鮮の核ミサイル、拉致問題、これが存在しなければイラク自衛隊派遣するという決断はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
  278. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いいですか私で。  今回のイラクへの復興支援をする、これは自衛隊とそれから文民、両方ございますが、復興支援職員ですね。この判断というのは、これはあくまでも日本の立場に立って、日本の国益を考えてそうすべきであると、こういう考え方です。もちろん、イラク復興、安定というのは、これはあの地域イラクのみならず、あの地域全体の安定ということを考えますと、これほっておくわけにはいかないと。これは、そういうことについては何も我が国だけが考えているわけでなくて、国際社会全体で考えていることであり、また国連もそういう趣旨に沿った決議もしておると、こういうことがあります。  ですから、そういうような国際的な合意の上に、復興をするという目的に向かって我が国支援をすると、こういうことであります。また、そのことは、総理が度々日米同盟と、日米同盟関係そして国際協調という、こういう二つの大きな目標を持って日本外交政策は進められているんだということを再三言っておられますけれども、正にそういうような考え方に立って今回のイラク復興支援をしようと、こういうことを決断したわけでございますので、そういう中にいろいろな、それに、そのことだけでないいろいろな見方というのはあるかもしれない。しかし、しかし大事なことは、やはり日本の安全は日米安全保障条約と、こういう枠組みの中でしっかり守られている、そして日米同盟関係はこれは揺るぎないものであると、こういうことは、これは大事なメッセージだというふうに思います。  そういうメッセージを発した上で他国がどのように考えるか、それはそれぞれの国の考え方というのはあるだろうと思いますけれども、基本は、基本は先ほど申しましたようにイラク復興支援はあくまでも我が国の国益に沿ったものであると、そしてその目標は、復興することによって国際的な合意に基づいた目標を達成することであると、そういうことでございます。
  279. 高野博師

    ○高野博師君 大変慎重な発言で、北朝鮮という言葉は一言も使っていないんでありますが、もしこういう近隣諸国との関係関係なく自衛隊イラク派遣を決定したと、日米同盟、国際貢献あるいは国益、地域の安定、そういうことであるとすれば、そういう状況は今まで幾つもあったわけです。アフガンもそうだしコソボもあったし、これからも起こり得るわけですが、そうすると、そういう状況になれば日本派遣するということでしょうか。
  280. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 日米同盟、国際協調と何度も申し上げておりますけれども、両方これを一致させることができれば非常にいいわけなんですけれども、国際協調が今一部図られていないという部分はあるかもしれない。しかし、合意はあるんだろうというように思いますので、そのことを目指して我が国外交を進めていかなければいけない、そう思っております。  それと、今後どういう事態が起こるか分からない。分からないけれども、何かあったときにやっぱりこのイラクにおける復興支援のような活動をするかどうかと、こういうことですけれども、それは必ずしもそういうわけじゃありませんね。そういう事態が起こったときに、どういう状況か分かりませんけれども、そのときに、もうイラク復興は達成している、完成しているということであるならそういうことをしなくても当然いいわけでございまして、そのときに我が国とそれから我が国安全保障というものはどういうような状況になっているか、恐らく日米同盟というような形でもって進行していくんだろうと思います。と同時に、国際協調、これも大事な枠組みであると思っておりますので、このことは我が国も精一杯努力をしていかなければいけない。  そういうような二つの考え方を一致させることにおいていろいろな問題を解決していくということではないでしょうか。
  281. 高野博師

    ○高野博師君 分かりました。  今回のイラク派遣自衛隊派遣というのは歴史的な一つの出来事であるという言われ方をしておりますが、これからの国際社会の中で日本の在り方というのも問われているんではないかというふうに思っておりますが、小泉総理がよく言われるのは、アメリカは唯一の、日本にとって唯一の同盟国だと、だから協力するんだということでありますが、この唯一の同盟関係だけでいいのかという私、若干の疑問を持っておりまして、アメリカが先ほど言及しましたような世界民主化革命を進めるというような使命感を持っているのでありますが、それに日本は組み込まれていくのか、あるいは日米同盟というのはどうあるべきかと。これは、前回のテロ特措法でも私は言及しましたんですが、日米同盟は元々極東に限定されたと。九七年のガイドラインで、あるいは日米共同宣言で、アジア太平洋の平和と安定と拡大をした。今は世界の中の日米同盟と。正にそこは僕は十分国内的に議論をすべきだと思っておりまして、先ほど言われた国際貢献、日米同盟でこれで推し進めたときにはいろんな問題も起きてくるんではないかと思うんです。  そこで、私は、将来的には日本というのは、アメリカとの関係日米同盟を基軸としながらも、ほかの国とも同盟関係を結んでいくという選択肢はあり得ないのかどうか。あるいはヨーロッパの国と、あるいはアジアの国と。そういう柔軟なしたたかな戦略があってもいいんではないかというふうに思っておりまして、例えば古代ローマというのは、ラテン連合という一つの集団的安全保障システムの中にありながら、個別の同盟関係を張り巡らせたと、それによって自分の国の、都市国家の安定を、平和をかち得たということもありますので、国連というこの集団安全保障の枠組みの中で、もっと日本というのは、同盟関係、あるいは平和戦略パートナーシップでもいいんですが、その平和に貢献できるような同盟関係なりパートナーシップというのを結んでいく可能性はあるんではないかと。どうも日米同盟にがんじがらめにされていると。これは日本外交のダイナミズムをなくすんではないか。  私は、アメリカは非常に尊敬しておりますし、重要だと思っている認識は間違いないんですが、その辺、もし何か御意見があれば伺いたいと思います。
  282. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 幾つかの重要なポイントについてお触れになられましたので、幾つかの点について私が思っていることを申し上げたいと思いますけれども、まず、ブッシュの民主化革命構想でございますけれども、若干危険なものを感ずるという趣旨の御発言ございましたけれども、これはよく読んでみますと、もちろん中東における代表民主主義のことを語っているわけですけれども、中東における代表制の政府、これは独自の文化を反映するものとなり、米国と似たものにはならないだろうし、なるべきでもないということを言っているわけでございます。そのほか、これは長い時間が掛かる、これから何十年にわたって米国の外交政策の中心となるであろうということも言っているわけでして、短期間に米国流の民主主義を中東に押し付けようという発想では全くないということでございます。  委員もおっしゃられたように、民主主義をもたらすということは非常に大事なことで、みんなが合意をしていることで、それぞれの文化の違いを反映するような民主主義の在り方、これはアメリカが考えていることでもあり、ほかの国が考えていることでもあろうというふうに思います。  そこで、同盟関係日米同盟関係ですけれども、日本はいろいろ議論の末、日米を、日米の関係を同盟関係として考えますと、日米同盟関係というのを自らの手で選択をしたわけです。これが本当にずっと引き続いていいことだろうかどうだろうかということは、これは私はそうあるべきだと思っておりますけれども、もちろん立場によっていろいろな議論はあるかと思います。  日米同盟関係というのは、単に安全保障関係、狭義で言えばそうですけれども、ではないということでありまして、よく日米同盟関係という言葉を使いますけれども、これは日本経済やあるいはその他の政治テロとの戦い、その他途上国への支援、そういったすべていろいろな分野において考え方を一にする、同じ価値観を持つ、自由とか民主主義とか市場経済とか、そういう国として世界のいろいろな課題にともに手を取り合って取り組んでいこうと、そういうことを日米同盟関係というふうに考えているわけでして、決して狭義の安全保障のことだけを考えているわけではない。したがって、世界の中の日米同盟とか、日米同盟関係とか、そういう言葉が使われるのはそういうゆえんであるわけです。  我が国として、やはりアメリカというのはスーパーパワーであります。そして、この考え方について多くの点で共有をしているという観点で、引き続き同盟関係を、同盟を持っていく、維持をしていくということは重要なことであると思います。それは必ずしも、常に追随をすると、そういう御批判がありますけれども、そういうことではないと私は考えておりまして、それはフランスのように表で対峙をして意見を違うというやり方もあるでしょうし、同盟関係にある我が国としては、アメリカと並んで、アメリカの傍らに立って、アメリカに対して意見の違いを伝えていって、アメリカに行動を、方針を変えてもらうという選択肢を、やり方を選択をしているということであると思います。  そういったその立場に立って考えると、やはり日米同盟日米同盟関係というのは重要であって、今後引き続きあり続けるというふうに思いますけれども、もちろんこれは我が国が主体的に選択をした関係ですから、それは常に、それではないという意見があれば、そういう方々はまたそれを議論していただくということも日米同盟関係の意味合いを新たに更に理解をするということにつながって意味があることではないかというふうにも思います。
  283. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので、若干具体的な問題についてお伺いしたいと思います。  先般、政府イラク調査団を派遣して、その報告を聞いたんでありますが、そのときに、そのときに自衛隊歓迎の横断幕があったということで報告を聞いたんですが、私はその場で、本当にそうかと、そんなに歓迎されているのかということを聞いたんですが、まあそうだと、こういうことだったんですが、実際にはあの横断幕は日本人のジャーナリストが自衛隊と書き加えたと、こういう話でありますが、この程度の現地調査で本当に大丈夫かなということなんであります。正確な情報がなければ、こういう命の危険に及ぶようなことも十分起こり得るわけで、そういう正確な情報がなければ正しい判断というのはできないわけであります。  したがって、この判断を誤れば事故にも事件にもつながりかねない。そういう意味では、本当にサマワというところは大丈夫だという情報も含めて若干私は懸念を持っております。  そこで、現地に自衛隊派遣されたときに、これも先ほどどなたか質問されておりましたが、現地人とのコミュニケーションがうまくいくのかなと。その現地の言葉とか習慣とか文化と、そういうことがよく分かっている人が一緒に付いていくんでしょうか。そういうことでないと誤解が生じやすいんではないか。  で、アメリカ軍隊というのは、戦車に乗ってバグダッドの市内を四十キロぐらいで飛ばして歩いていると。ほとんど今、現地の人とのコミュニケーションがないということになると、日本も同じようなことをやったときに、これは現地から本当に受け入れられるのかなという私は心配をしておりますが、この辺について長官にお伺いしたいと思います。
  284. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現地とのコミュニケーションの取り方をどうするかということについて、それはもう全くコミュニケーションを取らないでやるというのは安全確保のためにはある方法なのかもしれません。しかし、それじゃ一体自衛隊何しに来たんだということになってしまいます。そのときに、やはり言葉というものができなきゃいかぬだろう。  ただ、アラビア語というのは何か完全にというか、一通りしゃべれるようになるまで三年掛かるんだそうですね。非常に難しい言語なんだそうでありまして、それがきちんとしゃべれる人をどうやって帯同するか、その方の身分をどのような形にするかということをきちんと、派遣することが決まって派遣命令を出すまでには答えを出していかなきゃいけないことだと思っています。その旨、今指示を出しまして、どういう方法があるのか、どういう方にお願いするか、その方の身分をどうするかということについて詰めておるところでございます。
  285. 高野博師

    ○高野博師君 いずれにしましても、現地の治安状況を見極めた上で慎重に派遣していただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
  286. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。午前に引き続き質問させていただきます。  まず、外務省の職員と一緒に殺害されたイラク人運転手のことでございますが、この方は日本大使館の職員ですか。もし職員だとすると、御遺族に対してどのような補償措置を講ぜられるおつもりなんですか。簡潔にお答えください。
  287. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この亡くなりました運転手は大使館の職員でございます。長年の勤務でございました。今度、亡くなりましたことに対しまして、大使館、政府としても十分な措置を取ろうというふうに今検討しているところであります。
  288. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自衛隊は最近、特殊作戦群、いわゆる特殊部隊の編成をしていると報じられています。自衛隊イラク派遣に当たって、この特殊部隊派遣も念頭に入っておりますか。防衛庁のお考えをお聞かせください。
  289. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御指摘の特殊作戦群は、平成十五年度末に編成、新編される、そういうものでございます。まだそういう段階に至っておりません。したがいまして、十五年末以降、どのようにするか、十五年度ですね、その部隊が本当に編成をされたときにこの能力をどのように活用するかということも検討してまいることになります。
  290. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 サマワに派遣される自衛隊は放射能探知器を持参するとの報道がありますが、それは事実ですか。
  291. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そういうことを確定をしておるわけではございません。
  292. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自衛隊は二〇〇三年度予算で都市型戦闘訓練施設等の建設費を計上していますが、同施設の設置場所について教えてください。
  293. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 現在、防衛庁の方で建設中のものが二件ございます。東富士演習場、そして饗庭野演習場においてそのような市街地の訓練施設を建設しております。そしてまた、現在計画中のものとして一件、霧島演習場において計画しているところでございます。  以上でございます。
  294. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府は、国際社会の多くがイラク人道支援治安確保に尽力しているという趣旨のことを常々おっしゃっています。  現在、四十か国近くの国がイラクに人を出していると報じられていますが、それらの国のうち、軍隊を出している国と民間人を出している国の数をそれぞれ教えてください。
  295. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 現在、手持ちの資料を持ち合わせておりませんので、直ちに調査の上、回答申し上げたいと思います。
  296. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なお、軍隊を出している国の中で日本の平和憲法のような憲法を持っている国がありますか。また、ドイツ、フランス、ロシア、中国、メキシコ、カナダといった先進国が軍隊を出していないのはどういう理由からですか。外務大臣の御見解をお聞かせください。
  297. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ドイツ、フランスあるいはロシアといった国は軍隊を出していないわけです。これはいろいろ、過去のいろいろないきさつ等、その国その国の事情があると思いますけれども、そういった国も支援という意味ではそれぞれやっているということでございます。例えばドイツですと、その警察、イラクの警察を支援するということでやっていますし、ほかの国もそういうことをやっているということです。類似のことをやっているということです。  フランスとの関係について言いますと、先般、橋本元総理がフランスに行かれてシラク大統領ともお話をいたしましたけれども、その際シラク大統領は、日仏間でイラク復興のための協力をするということについて真剣に用意を、検討する用意があるということをおっしゃっていらっしゃいまして、例えば水分野とかあるいは文化分野とか、そういうようなことでできるんじゃないかという趣旨のお話もあったようでございまして、軍隊は出していなくても協力を何らかの形でしていくということはやっているということでございます。
  298. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 一つお答えが、答弁が漏れておりますけれども、軍隊派遣している国で我が日本のように平和憲法を持っている国がありますか。
  299. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 日本と同じような平和憲法を有している国はございません。  なお、先ほどの御質問に対しまして答弁させていただくことをお許しいただきたいと思いますが、イラク部隊派遣している国のうち、人道支援に限るとしている国でございますけれども……(「軍隊以外の組織」と呼ぶ者あり)あ、軍隊以外の組織でございますが、これは文民派遣を行った国又は行う予定である国でございますけれども、ドイツ、オーストラリア、クウェート、スウェーデン、オーストリア、韓国、チェコ、デンマーク及びイランでございます。なお、韓国は軍隊派遣しております。
  300. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 小泉内閣は、アメリカ協力する根拠についてしばしば日米安保条約を引き合いに出されます。先ほども外務大臣からもお話がございましたけれども、つまり、安保条約があるから金だけでなくて人も出さないといけないと、それで今回もアメリカの求めに応じて自衛隊派遣するというわけでございますが、どうも私には協力の仕方が間違っているのではないかと思われてなりません。  外務大臣は、日米安保条約の目的、先ほど狭義の軍事面だけじゃなくて経済面とかそういうこともあるとおっしゃったわけですが、日米安保条約の第一条にどういうことが書かれているんですか。
  301. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、日米安保条約があるから日本自衛隊人道復興支援のためにイラク派遣することにしたということを申し上げたということは全くございません。そういうことではなくて、日本は正にイラク人道復興支援をすることが我が国の国益であるということであります。  何をもって何が我が国のその国益なのかということについては、先ほど別な委員の方の御質問に対して比較的詳しく申し上げましたので繰り返しませんけれども、小泉総理がずっとおっしゃっていらっしゃるように、正に日米同盟と、それから国際協調と、そういった観点で我が国としては国連の決議にこたえてイラクに対して人道復興支援をするために自衛隊を出すということが考え方であるわけでございます。  それから、必要でしたら、そういうことでその日米安保条約というのは関係がない、私がなぜ派遣をするかということについて申し上げた答えには関係を直接にはしないことでございますけれども、もしも御必要ということであれば安保条約の一条を読み上げるということはできます。
  302. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 失礼ですが、安保条約の第一条を読み上げてください。
  303. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。」。  以上です。
  304. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。  私が先ほどちょっと協力の仕方が違うんじゃないかと申し上げたのは、今も、今読んでいただいたその趣旨から申し上げているわけでございます。  なお、日米同盟という言葉は余りふさわしくないという趣旨のことを先ほど外務大臣おっしゃっておりましたけれども、日米同盟との関連で、外務大臣は戦前の日独伊の同盟をどのように判断なされますか。正しかったと判断されますか、それとも間違っていたと判断されますか。
  305. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務大臣として、それに対して正しかった、間違ったということを申し上げるということはできないと考えております。歴史家が判断をするということだと思います。
  306. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと、日本国の外交を預かる方が今のような御答弁されるというのはなかなか理解に苦しむ点でございますが、まあ結構でしょう。  最後に、小泉内閣は、自衛隊イラク派遣について、国益のため、つまり国民の生命と財産を守るためとおっしゃっています。  去る太平洋戦争末期の沖縄戦では、県民の生命、財産を守ると称して日本全国から八万人近くの軍隊がやってきて戦いました。しかし、戦争の結果、沖縄県の総人口の約三分の一に相当する十五万人近くが犠牲となりました。日本全国でも、太平洋戦争で三百十万人の尊い人命が失われました。  国際機関の報道によりますと、イラクでは、五月一日から十一月初旬までの集計で、死者は七千八百四十人から九千六百六十八人と報じられています。一説では二万人という報道もございます。  政府は、イラク国民のために役立つようにするために自衛隊イラク派遣すると主張していますが、私などが懸念いたしますことは、そのイラク自衛隊、武器を持った自衛隊が行くことによって、万が一その標的にされて戦闘が拡大するようなことになったら、結果的にそのイラクの一般の罪もない民衆が殺害されるということは避けられないと思うんですね。そうしますと、国、国民の平和と安全を守るため、生命、財産を守るためというその名目は、どれだけの犠牲を出せばそれが可能だとお考えですか。
  307. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国民の生命、財産を守るということが自衛隊の主な仕事でございます。  沖縄のようなことを決して繰り返さないように、そこにおいていかに悲惨なことが行われたかは委員御指摘のとおりで、これからも御教示をいただかなければいけないと思いますが、じゃ軍事組織だけで守れるのかというと、そうではないでしょう。どうやって民間人戦闘に巻き込まれないようにするかということが、当時の沖縄で本土に向かう船が沈められたという不幸なことがあるにしても、きちんと行われたのではないというような記述もございます。これは、民間人が巻き込まれないようにということと、軍事組織が、仮に侵略があった場合にどうやって迅速に対応を行うかという二本立てで考えていかねばならないというのが有事法制の考え方であると私は思っております。  じゃ、イラク自衛隊派遣をするということが、すなわち日本国民の生命、財産を守るということとダイレクトにどうつながるのかという御質問であるとするならば、それは、日米同盟を更に強化をするということが国民の生命、財産を守るということにつながるという、もう一つの理屈を挟まなければいけないのだと思っています。
  308. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間も来ています。答弁は手短にお願いします。
  309. 石破茂

    国務大臣石破茂君) もう一つは、イラクにおいて活動する自衛隊がテロの標的となるではないかという御指摘です。  それは、しかし、ソフトターゲットであればよりねらわれるということもございます。自衛隊活動していること、先ほど月原委員の御質問にお答えして、浄水というのはこのようなことですよというお話をいたしました。日本がやる活動がどれだけその国の皆さん方に喜んでいただけるかということをきちんと御説明をする。しかし同時に、ソフトターゲット化しない、どうやって自分たちを守るかということはきちんと行う、そのことによって、イラク国民皆様方の人道に資することを自衛隊はやりたい。それがソフトターゲットにならないように、そしてテロがテロを生まないよう、ごめんなさい、自衛隊活動テロリストの標的にならないようにしていくということも併せてきちんと考えてまいる所存でございます。
  310. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう最後で終わりますけれども、私は武装した自衛隊が行ったら、我々が懸念していることが起こり得るという考え方を依然として持っておりますし、そうなれば罪もない多くの市民が殺害されてしまうということを考えると、慎重にも慎重を期していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  311. 山本一太

    委員長山本一太君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会