○小泉親司君 私は、
日本共産党を代表して
テロ特措法
改正案に
反対の
討論を行うものであります。
テロ特措
法案は、そもそも九・一一
テロに対し、アメリカが開始した報復戦争の軍事支援のために
自衛隊を
海外派兵させるものであり、
日本国憲法第九条を真っ向から踏みにじるものであります。この違憲立法を
延長する今回の
改正案は断じて許されるものではありません。
反対の
理由の第一は、戦争という手段では
テロを根絶できないどころか、軍事力での
対応が
テロの土壌を増幅し、拡大するものであるからであります。
アフガニスタンにおける
テロ報復戦争は二年を過ぎました。しかし、
米英を始めとした大規模な武力行使によってタリバン政権は倒れましたが、依然として、ウサマ・ビンラーディンやタリバンの最高指導者であるオマル師など、アルカイダやタリバンの主要メンバーは拘束されておりません。
その一方、対
テロ報復戦争でアフガニスタン
国民は甚大な被害を受けました。
米軍がアフガニスタン全土に投下した非人道的残虐兵器クラスター爆弾によって、何の罪もない女性や子供たちが殺りくされ、傷付きました。犠牲になったアフガニスタン
国民は、九・一一同時多発
テロの被害者数を大きく上回り、三千七百人を超えています。
国内の治安はますます悪化し、
国民の願う安定とはほど遠い
状況であります。アナン国連事務総長は、七月、国連に
提出したアフガニスタンの
状況に関する
報告書で、アフガニスタン全土の全般的な治安
状況は脆弱なままであり、多くの地域では悪化の兆しを示していると
指摘しているほどであります。
アフガニスタンにおける対
テロ戦争の二年が示していることは、戦争という手段では
テロを根絶できないということであります。
言うまでもなく、二〇〇一年九月十一日、
米国で起こった同時多発
テロは、多数の市民の命を無差別に奪う憎むべき蛮行であり、絶対に許されない卑劣な犯罪
行為であります。いかなる宗教的信条や政治的見解によっても正当化できるものではありません。この野蛮な
テロを根絶することが、人類がこの地球上で平和に生きていく根本
条件であることは言うまでもありません。
テロを根絶するためには、国連が中心となって、
国連憲章と国際法に基づき、
テロ犯罪の容疑者、犯罪
行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけて厳正に処罰するという国際的仕組みをしっかりと築くことであります。戦争で報復することは
テロ根絶にはなりません。逆に、新たな戦争による大きな惨害をもたらし、
国際社会の不団結を招く結果となるのであります。
平和憲法を持つ
日本は、対
テロ戦争ではなく、国際的な
テロ包囲網の構築のための外交努力を積極的に行うべきであります。
第二に、
自衛隊の
米軍支援が、
イラクへの戦争支援にも及び、
テロ特措法に違反しているからであります。
インド洋における
自衛隊の給油支援は、
イラク戦争の主力となった空母キティーホークにまで拡大されました。この事実を
指摘した私の質問に、
防衛庁長官は、明確な客観的根拠を示さず、日米で交換公文を結んでおり、アメリカを信頼すると、ただただこのことを繰り返すだけでありました。
小泉総理は、
我が国から燃料提供を受ける米海軍がその時点で現実に対
テロ作戦に従事していればよいなどという、脱法
行為を追認する答弁すら行いました。
テロ特措法違反の事実を隠したままでの
延長など言語道断であります。しかも、
テロ特措法に基づいて
インド洋に派遣された
自衛隊の
米軍支援について
政府が内容を一切明らかにしないことは、
国会と
国民を愚弄するものであり、断じて容認できません。
第三に、今回の
テロ特措法の二年間
延長は、
自衛隊派兵を恒久化し、憲法違反の歯止めなき
海外派兵に道を開くからであります。
テロ特措法は「
テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める」と規定しています。ところが、一体どのような状態になれば脅威が除去されたことになるのか、
内閣官房長官も
防衛庁長官も明確な根拠を示すことができませんでした。
一方、ブッシュ大統領は、
テロ戦争は
我が国の力の試金石だと述べるとともに、
イラクでのアメリカの戦略の一つが
テロ組織の壊滅にあると言い始めました。
小泉総理も、
国際社会における
テロとの闘いは継続していかなければならないと述べて、日米同盟と国際協調を主張しています。
ブッシュ大統領と
小泉総理が対
テロ戦争を
世界各地に広げようとしている中で、
テロ特措法の
延長は、
自衛隊の撤退どころか、
自衛隊の
海外派兵に歯止めがなくなるということにつながるものであります。
第四に、
小泉総理が、アナン国連事務総長を始め世界の多数の国が強く
反対している
イラク戦争を支持した誤りを認めずに、アメリカ言いなりに、年内にも
自衛隊を
イラクに派兵し、ブッシュ政権の対
テロ戦争と先制
攻撃戦略に唯々諾々と従おうとしているからであります。
総理は、
イラクが大量破壊兵器を保有していると断定して、アメリカの
イラクに対する先制
攻撃を支持しました。しかも、保有と断定した根拠を聞かれても、欺瞞に欺瞞を重ねてきたのであります。
しかし、今やアメリカCIAの調査団でさえ、アメリカの議会に、
イラクの大量破壊兵器保有の証拠は未発見と中間
報告するに至っています。また、国連調査団の新旧責任者はそろって、大量破壊兵器が
イラクにあるとはますます考え難くなっていると述べました。総理が、保有したと、保有していると断定したことの誤りは明々白々であります。
これらの事実は、
米英の
イラク戦争に大義がなかったことを明確に示しております。それにもかかわらず、
自衛隊を派兵して
米英の不当な軍事占領を軍事支援することは、誤りに誤りを積み重ねるだけのことであります。
イラク情勢は、
米軍司令官が
米軍が
イラクにとどまる限り
攻撃と死傷者は続くだろうと述べたように、泥沼化していることは明白であります。
政府は非戦闘地域を見付けて
自衛隊を派遣すると強弁していますが、
米軍司令官が
イラク全土は戦闘地域であり、非戦闘地域などと線引きできないと明言しています。非戦闘地域や安全な地域などどこにもないことは明白であります。にもかかわらず、アーミテージ
米国務副長官から、
日本は逃げるな、お茶会じゃないんだと一喝されるや、
政府調査団を派遣し、
自衛隊派兵の道筋を作ろうとしています。
官房長官は、
政府調査団は
米軍に警護されているのかとの私の質問に、その事実を認めました。
米軍に守られなければ調査もできないということは、いかに
イラク全土が危険にさらされているかを証明しているではありませんか。
国連では、アナン国連事務総長を先頭に多くの国々が、
米英占領軍による軍事占領の下では
イラクの復興はできないとし、国連中心、国連主導の
イラク復興に転換することを求めています。
イラクの主権を期限を決めて
イラク国民に回復することを要求しています。ところが、総理は、
米軍の占領が中心であって、国連は補助的な役割にするというブッシュ大統領と同じ言い分に終始しました。正にアメリカ追随の極みと言わなければなりません。
我が党は、
イラク問題の真の解決は、
米軍主導の占領支配から国連主導の
復興支援に軌道を切り替え、
イラク国民に主権を返還し、
イラク国民が真に主人公となった国づくりを支援することにあることを強調するものであります。無法な占領支配を支援するための
自衛隊派兵を
米国言いなりで強行することは、
日本がアメリカと同じ泥沼に沈むことになります。今からでも
イラクの派兵を中止すべきであります。
テロと戦争の悪循環をもたらすブッシュ政権の対
テロ戦争への追随をやめ、
テロ特措法を廃止して、
インド洋から
自衛隊を直ちに撤退すべきことを強く要求して、私の
反対討論を終わります。(
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