○鈴木寛君 私は、先ほど、今の御答弁を拝聴していても思うわけでありますけれども、
憲法で
裁判官の
報酬を
在任中、これを
減額をすることはできないという
規定というのはやっぱり相当に重いことだというふうに思っております。
そもそも、
憲法が
司法、行政、立法の三権分立、これは、近代
国民国家においては正に基本中の基本であるというふうに理解をいたしておりまして、とりわけこの
司法権の
独立、その中で
裁判官の
独立というものを担う極めて重要な条項、重要な精神だというふうに思っておるわけでございますけれども、昨日も
法務省あるいは最高裁の事務方といろいろ御議論をさせていただきましたので、私の主張をここできちっと申し上げておきたいと思いますけれども、私はそもそも、もちろん、
報酬が、
裁判官の
報酬が引き下げられること、これは、現下の社会
情勢をかんがみまするに、
国民の皆様方がこれだけ経済的な痛みを伴われている中で
裁判官とてその例外に置くことはできないということで、内容についての妥当性の議論、これはもちろん今ここでさせていただいているわけでありますが、その前段といいますか、フレームについて私はかなりの違和感を持っております。その違和感の最たるものは、この
法律がそもそも
法務省から提出をされているという点でございます。
これは、現在の
日本国
憲法下の統治機構は最高裁判所による
法案提出権というのが
制度上認められていない。これはもちろん、国会法などをきちっと検討する中で
憲法を
改正しなけりゃできないのか、あるいは現行
憲法下でも努力の余地があるのか、その議論もありますけれども、私は今日は立法論も含めて申し上げているわけでありますが、現在、
憲法調査会も開かれておりまして、このたび私たちの先輩となりました平野
委員もそのことに大変に御努力をされているわけでありますが、筋論といいますか、今後の立法論も含めて申し上げますと、やはりこうした問題は、大きく言うと
方法論は二つあって、我々議員自らが正に
裁判官の
報酬の問題についてきちっと議案を提出するという方向に行くのか、あるいは最高裁が正に国会と直接にいろいろな話合いをして、そしてこうした問題について国会に議論を提起するのか、これが恐らく筋だというふうに思います。それを、内閣総理
大臣ならまだしも、私は個人的に
法務大臣がというわけじゃありませんが、
法務省が三権分立の極めて重要な
司法、しかもその
裁判官の身分に関することについて正に
法案を提出をする、あるいはそのドラフトを作って、そしてここに、この場に持ち出されるということは、やはり私の三権分立についての理解がおかしいのか、それとも、やはりここは重要な立法論の論点としてあるのかといえば、私は後者だろうというふうに思っております。
これは極めて重要な、かつ難しい論点でありますから、今日直ちに
お答えをいただくということはできないということは承知をいたしておりますが、是非お願いを申し上げたいのは、最高裁におかれましても、そもそもこの
法律が
法務省の起案によって、そして閣法で国会に提出をされるということの問題についてもきちっと御議論をいただきたいということをお願いを申し上げますとともに、
法務省におかれましても、この問題は三権分立上どうなのかということについて内閣全体で御議論を深めていただきたいというふうに思います。加えまして、私たちも、民主党、
憲法をきちっと議論をし、そして新しい
憲法を作っていくということをこのたびのマニフェストの中でも、議論の中でも位置付けております。
私たちも、統治機構の問題というのは極めて重要な問題だと思っておりまして、その中の議論の
一つにこの問題、
司法権の
独立という問題の中で検討をしていきたいと思いますので、
法務省におかれましては、特に諸外国の事例など、いろいろやっぱり私たちも協力をしていただいて勉強をしていきたいと思っておりますので、
法務省そして最高裁の皆様方にその点についての御協力をしていただきたいということをお願いを申し上げまして、協力をできないという場合であれば御答弁をいただき、そうでない場合であれば次の
質問に行きたいと思いますが、これは御協力をいただけるということで、
法務省そして最高裁、よろしゅうございますね。
それでは、次の論点に移らさせていただきたいと思います。
今、これも内閣の主導で
司法制度改革推進
本部というのが今大変な御努力をされながら、国会に極めて重要な
司法の根幹に関する議題の提起あるいは
法案の提出というものが行われております。
その中で、裁判員
制度そして行政訴訟の問題について今日は御議論をさせていただきたいと思いますが、これは、いよいよ
司法制度改革も佳境に入ってきたなという感を私、いたしております。正に戦後の正に裁判そのものが、いわゆる裁判員という、通常の
一般の市民の皆様方がこの法廷の場に参画をしていただいて、そして裁判というものが
一般の
国民の皆さんの健全な社会常識の下にさらされて、そしてさらに、そうした
一般の
国民の皆様の常識というものが裁判過程に反映をされると。
そのことは、裁判結果がより公正で適切なものになるということと同時に、やはり市民の皆様方も
国民の皆様方も、正に裁判というのは国家の基本的な機能の
一つでありますが、そういった
司法に我々も参画をしていくんだということで、市民社会の一員としての理解あるいはそうしたものをきちっと支えていこうという意味で、正にこの国の形をより良くしていくために極めて重要な意味を持っているのがこの裁判員
制度だというふうに思っておりますが、現在、この
司法制度改革の御議論の中で裁判員
制度の検討会が議論が煮詰まりつつあると、煮詰まっていると。煮詰まっているというのは止まっているという意味じゃなくて、深まっているというふうに理解しておりますが、この裁判員
制度の検討会の検討状況、そして方向性がどういうタイミングで出てくるのか。そして、恐らくは次期通常国会で御議論がなされるんだと思います。その骨子が今極めて重要な佳境に来ていると思いますが、そのスケジュールあるいは今残されている問題点、検討状況を含めて、現在の状況についての御
説明をいただきたいと思います。