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神本美恵子君 私がその地上掃討作戦の中身、特に主たる
攻撃目標がタリバーンであるという事実にこだわるのは次のような理由からです。
この
法律案の正式名称には「
国際連合憲章の
目的達成のため」という文言が含まれて、安保理決議一二六七、一二六九、一三三三、一三六八が列挙されております。この四つの決議のうちで、一二六七は対タリバーン経済制裁等に関する決議、それから一三三三は対タリバーン制裁強化に関する決議として、タリバーンが決議一二六七を遵守していないのでタリバーンへの
武器禁輸、軍事面の役務提供の禁止、タリバーン幹部の渡航制限及びウサマ・ビンラーディン及び同
関係者の資産凍結等を求めるものというふうになっております。
この両決議は、タリバーンがウサマ・ビンラーディンをかくまっているということを
前提にしたものだというふうに
考えていいと思います。しかし、今現在、タリバーンがウサマ・ビンラーディンをかくまっている、保護しているというような事実は確たるものではないというふうに私は思います。したがって、
自衛隊がインド洋において
協力支援
活動を行うことの正当性はもはや失われているのではな
いかというふうに思うわけです。簡単に申し上げれば、タリバーンは今や
国際テロリズムの脅威ではない、単に
アフガニスタン国内における一反
政府勢力でしかないというふうに、私は現地にかかわっている専門家や現地にいる
方々のお話を聞いて、そのことにはそういうふうに
考えています。
したがって、今回の
テロ特措法、これまでるる申し上げましたように、掃討作戦の
攻撃目標がタリバーンあるいはタリバーンもどきと言われるような人に拡大して行われ続けていることについて、延長の正当性に大きな疑問を感じております。
また、このことがアフガン国内にどのような
状況をもたらしているかということにも触れたいと思うんですけれども、米軍を
中心とするこの多
国籍軍の軍事
行動が、特に
アフガニスタンの南部、東部においては、パシュトゥン人社会の分断に、分断の原因になっているという現実を御
指摘させていただきたいと思います。
昨年十一月に民主党が主催しましたアフガン女性支援会議の中でも、お招きした三人の女性の方たちも口々におっしゃっていましたし、またその会議のときにパネリストとしてJVC、日本国際ボランティアセンターの谷山さんという、谷山博史さんという、この方は現在も
アフガニスタンのジャララバードで
活動を続けていらっしゃるんですけれども、その方にそのジャララバード周辺の御自身が見聞した情報に基づいた御意見をいただきました。その
報告の中では、アメリカ軍は東部、南東部の国境地帯でアルカイーダ、タリバーン残党の掃討作戦を行っています、地方の軍閥の対立を利用する形で作戦を行っているために、
地域の中では信頼醸成ではなくて不信と憎しみをあおる結果になっています、そして、パシュトゥーン人を始めとする
アフガニスタン人自身のアメリカに対する反発の感情も出てきているというふうにおっしゃっていました。
つい先日も一時帰国を、またこの谷山さんがおっしゃったので、今の
アフガニスタンの
状況のお話をお伺いしたんですけれども、今引用しました御発言は一年前ですが、今回伺ったお話では、米軍を
中心とする多
国籍軍による軍事
行動の、そういった信頼醸成ではなくて不信と憎しみを社会の中にあおるような、そういう悪影響が更に強くなっている、しかもそのことが反米感情といいますか、米軍に対する不信というようなふうになっているというお話をまた同じように聞かせていただきました。ですから、
アフガニスタンが本当に安定的に平和
復興していくためには、武装勢力の均衡の下の安定ではなくて、市民社会の発展が重要だというふうに思います。
ところが、現実に米軍は、米軍を
中心とする多
国籍軍の軍事
行動は、
アフガニスタン社会における各軍閥ですね、今でもある軍閥の各勢力の善しあしを米国に親米的であるか、あるいはそうではな
いかというような物差しで軍事
行動が進められているということが、これは本当にカブールではない各地方、特にパシュトゥーン人が多く住んでいる南部や東部でそういう軍事
行動が進められているというふうに聞いております。
先ほどから、私、タリバーン、タリバーンと言って、タリバーンの、何というか擁護をしているわけでは全然ありません。それこそ女性の視点で見れば、本当にとんでもないというふうに私は思っておりますし、非常に人権抑圧的な側面を持った政治勢力であるというふうに思います。しかし、現在行われている
アフガニスタン市民社会構築というビジョンのない中で、タリバーン残存勢力、あるいはもう一つのヘクマティアル派の掃討というようなことにのみ力を注ぎ込んでいるような現状では、長期的な治安の回復が図れないだけではなく、米国に対する憎悪をより増幅させて、それを背景とするパシュトゥーン人社会に更に過激な宗教保守勢力の拡大をもたらすのではな
いか。こうしたアフガン国内の現状に対する認識や分析の下に、今後の展望を持って本改正案が出されているのかということについて私は大変危惧をするわけです。
次に、米軍を
中心とした多
国籍軍が行った、また現在も行っている空爆にまつわる諸問題について取り上げたいと思います。
この問題の重要性は、
イラク戦争時における
米英軍による空爆でも、また
アフガニスタンと同様に誤爆の名の下に多くの一般市民が犠牲になった事実から明らかです。ちなみに、これは
イラク戦争ですけれども、NGOによると
イラクではミニマムで七千人、マックスで九千人、約そのくらいの一般民間人の犠牲になったというような、ボディーカウントをやっているNGOのこれは昨日時点での数字ですけれども、そういったことが出されています。
西側諸国、特に米国は自国の兵隊から犠牲者を出さないということを
戦争遂行上の最優先
課題としております。情報革命の結果、自国の兵隊に犠牲者が出れば、直ちに世論に影響を及ぼし、政治的に
戦争遂行を著しくするという構造が今現在存在するからです。ベトナム
戦争のために米軍は、一瞬にして広い
地域を焦土に化すナパーム弾を多用し、枯れ葉剤のように人体を含む生態系並びに環境を破壊する化学兵器、クラスター爆弾が大規模に使われるようになり、市民の間に多くの犠牲者を出しました。
このベトナム
戦争に激しく行われた空爆の経験から、何とか無差別爆撃を禁止しようとの
目的で一九九七年、ジュネーブ諸条約追加議定書が提案され、現在、多くの
国々が
参加しています。
そこで、
外務大臣にお尋ねいたしますが、国際協調の中で、国際法理というのは今後一層重要になってくるというふうに思います。
外務大臣は、このジュネーブ諸条約追加議定書の意義ということについてどのようにお
考えでしょうか。