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2003-10-08 第157回国会 参議院 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年十月八日(水曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員異動  十月七日     辞任         補欠選任      池口 修次君     大江 康弘君      中島 章夫君 ツルネン マルテイ君      森本 晃司君     山本 香苗君      田  英夫君     大田 昌秀君  十月八日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     岡崎トミ子君  ツルネン マルテイ君     信田 邦雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         若林 正俊君     理 事                 愛知 治郎君                 常田 享詳君                 中川 義雄君                 森山  裕君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 荒木 清寛君                 小泉 親司君     委 員                 加治屋義人君                 木村  仁君                 近藤  剛君                 椎名 一保君                 田村耕太郎君                 武見 敬三君                 月原 茂皓君                 西銘順志郎君                 橋本 聖子君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 松山 政司君                 山下 善彦君                 吉田 博美君                 大江 康弘君                 岡崎トミ子君                 神本美恵子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君             ツルネン マルテイ君                 信田 邦雄君                 広中和歌子君                 広野ただし君                 松井 孝治君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君                 島袋 宗康君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        事務総長     川村 良典君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣法制局第一        部長       宮崎 礼壹君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        警察庁警備局長  奥村萬壽雄君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房文        化交流部長    近藤 誠一君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        財務省理財局次        長        日野 康臣君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国におい  て発生したテロリストによる攻撃等に対応して  行われる国際連合憲章目的達成のための諸外  国の活動に対して我が国が実施する措置及び関  連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関  する特別措置法の一部を改正する法律案(第百  五十六回国会内閣提出、第百五十七回国会衆議  院送付)     ─────────────
  2. 若林正俊

    委員長若林正俊君) ただいまから国際テロリズムの防止及び我が国協力支援活動等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、中島章夫君、池口修次君、森本晃司君及び田英夫君が委員辞任され、その補欠としてツルネンマルテイ君、大江康弘君、山本香苗君及び大田昌秀君が選任されました。     ─────────────
  3. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 広野ただし

    広野ただし君 おはようございます。民主党・新緑風会の広野ただしです。  テロ特措法の延長について伺いたいと思います。  ちょうど二年前の九月十一日のニューヨークにおけるテロ、あるいはワシントンの国防省に対するテロということで、正に生々しい映像が今も脳裏に残っておるわけでありますが、その間に三千名以上の方、そしてまた日本人も含めて尊い方々が犠牲になられたということであります。それからアフガン戦争、そして約二年間を経たわけでありますが、やはりここは一つの、冷静になってしっかりと政治家として考えを新たにする大事な時期だと、こういうふうに思っております。  ところで、ビンラディンあるいはオマル師、そしてタリバン政権ということで、テロを首謀し、あるいはそれを支援をしていたということからアフガン攻撃が始まったわけでありますけれども、そしてそのアフガン戦争が終結をして、現在アフガンがどういうような状況にあるのか、ここのところを、アフガンがしっかりとした自立再生の道を歩んでいるのかどうか、この点をまずしっかりと確かめたいと思うわけであります。  まず、一番大事なアフガン国内における治安状況ですが、ISAFと言われる国際治安維持軍ですか、そういう国連決議に基づいてISAFというものが多国籍軍としてカブール周辺、首都のカブール周辺はしっかりとやっているというふうには聞いておりますが、ただ軍閥勢力といいますか、各地方地方にたくさんの軍閥勢力がおって、何かその数字が二十万人とか言われますが、特にカブール周辺、そしてまた地方というように大まかに分けて、どのような治安状況になっておるのか、簡潔にちょっと御説明いただきたいと思います。
  5. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員もおっしゃっていらっしゃるように、アフガニスタン治安状況、引き続き課題であり、かつその状況地域によって異なるということであると思います。南部、パキスタンとの国境を接する南部南東部、東部、ここにおいてタリバーン、アルカーイダ、ヘクマティアル派が連携を強めながら活動を活発化しているという状況です。カブールISAF展開によって安定をしている、また北部、西部、ここも軍閥の抗争が鎮静化をしまして比較的安定をしていると、そういう状況です。
  6. 広野ただし

    広野ただし君 しかしながら、やはりそういうISAFにおいても死者が十数名出ておるとか、米軍においては、米軍あるいは多国籍軍といいますか、そこにおいても戦後七十、戦後じゃないんですか、七十数名亡くなっておる。そして、特にアメリカがその半数、四十名ぐらいを占めておるというような状況で、相変わらず非常にひどい状態に私はあるんではないかと思っております。  現在、イラクとの関係イラクのことが非常に生々しく脳裏に残っていますから、その陰にアフガンが隠れているような形になっているかと思いますけれども、いろいろと復興支援をやっておる方々に対してもいろんな攻撃が、誤ってかもしれませんけれども、なされるという事態で、なかなかその治安状況がしっかりしませんと、なかなかアフガン復興支援ということがしっかりとできないと、こういうことになろうかと思います。  そして、地雷の、地雷がどれぐらいあるのか分かりませんけれども、地雷除去状況といいますか、そういうものはどういうふうになっておるのか、何か大ざっぱなものでもありましたらお示しください。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アフガニスタンに埋まっている地雷の数、これはいろいろな推測がありまして、一説六百万とも、それから一千万とも、倍ぐらいの差がある推定の数が出ております。  それで、その中でアフガニスタンにおいては、一九八九年から国連アフガニスタン地雷対策センター中心といたしまして地雷処理が行われております。ここの報告によりますと、アフガニスタンでは一九八九年から二〇〇二年末までの間に約二十七万個の地雷処理をされた。全体のその推定数からいえばまだまだ少ない数ですが、二十七万個処理をされて、地雷除去をされた地域というのは二百五十四平方キロメートル、それから二〇〇二年に限って言いますと約四万個の地雷処理をされているということでございます。  まだまだやらなければいけない仕事は多いと思います。
  8. 広野ただし

    広野ただし君 どこに地雷が埋まっているか分からない。誠に、地雷も埋まっている、治安状況も悪いという中での復興を目指すわけですから、非常に大変な状況だと思います。  現在、アメリカ軍が大体一万人ぐらいですか、多国籍軍を含めて七千人の三千人ぐらいで一万人ぐらいいるようであります。そして、それを、アフガンの国軍を養成をしてアフガンの自立できる軍隊という形に持っていこうということで、それを支援を、ISAF支援をするという形態になっておるようですが、なかなかその養成がうまくいかない。また、各軍閥があるから、必ずしもカルザイ政権に対して、暫定政権にしっかりとして協力をなかなかしていないというようなのは私は全体的な絵なんじゃないのかなと、こう大ざっぱに把握はいたしておりますが。  ところで、カルザイ暫定政権発足をして、カルザイ暫定政権は現在どのような評価ができるのか、問題点があればまたお示しいただきたいと思います。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) カルザイ政権国内をどれぐらい十分に掌握をしているかということについて言いますと、地域的に直接支配をしているところですけれども、これはカブールを含めた一部の地域である、そこに限定をされていると思います。そして、委員がおっしゃるように、地方は多くの軍閥が割拠をしている状況でございます。したがいまして、カルザイ政権政権基盤はまだまだ強固とは言えない状況であります。  ただ、幾つかの成果は上げてきているということでして、統一通貨を導入をしました。これは、私はカルザイ大統領とこれについて直接お話をしたことがありますけれども、非常に短い期間で、通貨を馬の背に乗っけて運んでというようなこともやって通貨の切替えができたということのようでございます。それから、軍閥が徴収をしていた税の中央政府への移換、これは今年の五月ですけれども、そういったことを通じましてその影響力は徐々に強まってきている状況であります。及び、農村復興開発省、ここが中心となりまして、国際機関とともに地方振興策を進めていて、こういった面でも中央政府への信頼が高まってきている、そこへ向けた努力を行っております。  当面の課題としては、正式な政権を樹立するための憲法制定のロヤジェルガを十二月に開催をし、そしてそれを成功させて来年の六月に総選挙ということが考えられているということであります。  それから、地方軍閥でございますけれども、ここは時々相互に、お互いに衝突をし、中央政府と対抗をする動きを示すことがありまして、まだまだその軍閥武装解除をし、動員を解除して元の兵士を社会復帰をさせるということが必要、それによってアフガニスタンに平和を定着させるということが必要であります。我が国もこういった必要性には十分に貢献をしていきたいということで、DDR等中心に、それから地方振興教育等の面で協力をしている、支援をしているという状況でございます。
  10. 広野ただし

    広野ただし君 テロとの戦い、またこれは後で聞きますけれども、そういう治安の問題ですとか、テロ首謀者を捕獲する、あるいはその軍団を捕獲するということが極めて大切なことでありますけれども、一方で、やはり民生の安定を図っていくということがテロ撲滅の上で極めて大事なことだと、こう思っております。  そういう中で、日本復興支援会議を昨年一月に開いて積極的な貢献をしている、これも非常に大切なことでありますが、それを実施していくに当たって、まず在アフガンにおける日本大使館ですね、在アフガンにおける日本大使館、これはいろんな意味で、全体的な指揮、あるいは実行部隊の、復興支援についての実行部隊の大事な拠点になろうかと思いますが、調べますと八名しかいないということなんですね。この八名で果たしてあの日本の一・七倍の広さのあるアフガン、そこをちゃんと復興することについて日本は十分支援できるんでしょうか。どういうことになっているんでしょうか。
  11. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃった八名というのは、少し前の数字ではないかと思います。今アフガニスタン大使館には十八名の館員がおりまして、そのほかにプラス三人、外務省の人間ではありませんけれども、調査員といった形でおりますので、合計二十一名おります。
  12. 広野ただし

    広野ただし君 ちょっと古い外務省のホームページだったのかもしれませんけれども、そういう状況の中で、じゃアフガン語、これはダリー語というかパシュトゥー語というんですか、これを話せる人というのはどれぐらいいるんでしょうか。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 駒野大使とそれからもう一人、NGO出身で、アフガニスタンで今NGOとの関係を専ら担当してもらっている館員がいますけれども、その二名ということです。
  14. 広野ただし

    広野ただし君 やはり本当にアフガンの市民あるいは国民がどのようなことを要望しておるのか、それは国連要請ですとか国連関係機関要請、あるいはISAF要請、あるいは米軍要請、いろいろとあろうかと思いますが、本当にやはりアフガン国民の立場に立って本当にどういうところに復興するところの大事な力点があるんだろうかというのは、やはり現地語をしゃべれないとどうにもならないんだと思うんですね。  ですから、そういうところのスタッフを十分充実をしなきゃいけないと思いますし、もう一つ駐在武官といいますか、武官という言葉がいいのかどうか分かりませんが、そういう、あるいは医官、お医者さんの方ですね、あるいは文化の、警察といいますか、あるいは例のバーミヤンの石窟ですとか、非常に文化財の豊富なところでありますんで、そういうものについての目利きの利く方々とか、そういう方々がおられるのかどうか、ちょっと。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) お答えする前に、先ほど二名と言いましたけれどももう一名いまして、パシュトゥー語を話せる人がもう一人います。合計三名いるということです。  それから、今のお尋ねについてお答えしますと、館員の中に防衛庁出向者防衛駐在官一名、それから警察庁出身者一名います。それから、文化という意味でいいますと、文科省から来ていただいている方が一名いらっしゃるということで、そういったニーズについては、もっと数がいればいいということではあるかもしれませんが、一応の備えはできていると考えています。
  16. 広野ただし

    広野ただし君 そして、アフガン復興会議のときもいろいろと問題になりましたNGOの力をかりていろいろとやっていくということが非常に大切だと思いますが。  ところで、アフガンに対する渡航許可といいますか、これもよくアラートですとかいろいろと出ますが、アフガンについては現在どういうふうになっておるのか。また、在留邦人アフガンにおける日本人、百二十名ぐらいおられるということでありますが、そういう人たちに対する安全保護体制というものがどういうふうになっておるのかお聞かせください。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アフガニスタンの場合には地域によって安全度治安状況が違いますので、そこをそれを前提にいたしまして、カブールについては普通に渡航をすることができる、それから地方についていえば、注意が必要であるということで、分けて、それはそれぞれきちんと渡航情報を出しております。
  18. 広野ただし

  19. 川口順子

  20. 広野ただし

    広野ただし君 そういう邦人
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 邦人ですね。
  22. 広野ただし

    広野ただし君 そういう百二十人ぐらいおられるでしょう。
  23. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 邦人保護体制につきましては、これは大使館が、いらっしゃる方と、先ほど申し上げました海外渡航情報及びネットワークを通じましてやっております。  それから、そのNGO方々、これはいろいろ、カブールだけではございませんで、かなり遠くに、いろいろな地域展開をしていらっしゃるわけでして、こういう方々とも連絡のネットワークを持っておりますし、またそのNGO方々自身は、これは私が昨年アフガニスタンに行きましたときに、NGO方々とそういう点についてどういう状況かということをお話を直接いたしましたけれども、国連あるいは国際NGO方々とのまたネットワークが別途あって、そういうところを通じて安全情報については緊密に情報を取っているということでございました。  そういう意味で、できることは努力をいたしております。
  24. 広野ただし

    広野ただし君 時々、在外公館がある意味でパーティーばっかりやってというようなことを言われるわけですが、こういうところにおいてしっかりとした役割を果たされるということが日本外交あるいは在外公館における評価を非常に上げることになるんだと思うんですね。  ユニセフの親善大使ということで黒柳徹子さんが、児童、非常に悲惨な状況にある子供たちのことに対しても一生懸命やっておられる、そういうところにマスコミがスポットを当てて、それも大切なことだと思います。それからまた、藤原紀香さんが行かれて、向こう子供たちの未来を見詰めるすばらしいひとみを写真に撮ってみえて写真展を開かれたり、こういうことは、やはりアフガンという国が非常に日本にとってある意味で遠いわけでありますが、特に今はイラクの陰に隠れて、どうしてアフガンのことをやるのというような話になりがちなんでありますが、そういうことをしっかりと広報する。昨日も舛添さんが言われましたけれども、本当に、そういう支援をするときに当たって日本国民理解を得るということが一番大事なことだろうと思うんですね。  ですから、そのところのことをちゃんと分かっていただく、理解を深めるためにも、在外公館がどのような活動をしておるのか。そして、実際NGOが大変な努力をして、向こう復興に当たって、人道的なことから復興に当たってやっておられる。政府ばっかりではとてもできないことが多々あるわけで、そういうことに対してまた日本政府もちゃんと支援をしておられるんだと思うんですが、そういうこともよく分かりやすく、日本国民の皆さんに分かるようにしていくことが非常に大切だと思うわけです。  ところで、アメリカ軍が、大分減ってきたんだろうと思いますが、アフガンに駐留をしている。これは国連決議に基づくことでやったんでしょうか。  アフガンは、アフガン攻撃武力容認決議というものが出なかった、経済制裁ですとか制裁強化についてはしっかりとしたものが出ておりますが、武力容認決議は出ていないと私は理解しておりますが、この点、どうでしょうか。
  25. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 武力容認武力行使容認決議、新たにそういうことをしていいという権限を与えるという意味での国連決議は出ておりません。  米国がここで行っていますのは、五十一条に基づく自衛権行使ということであります。
  26. 広野ただし

    広野ただし君 今、外務大臣最後に言われておったように、あくまでアメリカ自衛権行使なんですね。その自衛権行使日本協力をしておるというふうに、いまだにそう思えるわけですが。  ところでもう一つISAF、これは国連決議が出ているんですね。正式には国際治安支援部隊ということで、国連決議の一三八六というのが出ておる。それで、多国籍軍という形になっておって、二十九か国、四千五百名の軍が治安維持に当たっていると、こういうことであります。  ところで、このアフガンにおける治安あるいは地雷除去、これはISAF治安地雷除去という使命を帯びておるんですが、そういうことについてPKO協力をするということはあり得ないんですか。官房長官、どうでしょうか。
  27. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 御質問は今のアフガンにおいてという意味ですね。
  28. 広野ただし

    広野ただし君 そうです。
  29. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、国際機関要請ということで、一般的に言った場合、我が国PKOでもって行うことができるということにはなっていますが、しかし我が国国際平和協力活動については条件がございまして、その条件に当てはまるかどうかと、こういうことになるわけでございます。  今、ISAFということになりますと、これは治安であるということ、治安維持ということになります。どういう内容治安維持なのかということがございますので、その内容を吟味した上で、絶対できないというわけじゃないと思いますけれども、しかし現状では難しいのではないかというように考えております。
  30. 広野ただし

    広野ただし君 これは国連決議もあり、アメリカ自衛権行使協力をした、している、このこととちょっと違うわけですね。国連決議に基づいて治安維持行為あるいは地雷除去ということをやる。しかも、カルザイ暫定政権ができているわけですね。  そういうことについて、五原則といえども私は満たし得るんではなかろうかと、こう思うわけなんですが、ちょっと念頭からそこがずばっと抜けているんじゃないかという気がいたしますが、いかがでしょうか、官房長官
  31. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ちょっと御質問の趣旨がよく分からなかったんですけれども。
  32. 広野ただし

    広野ただし君 PKOですね。
  33. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ええ。  PKOとしてやることは、これは内容的に難しいというように思います。  それから、これ国連決議ということでどうなのかと、こういうことになった場合には、やはり我が国活動範囲には限定があると。例えば御党で、そうじゃないか、あれですね、国連の、国連の、何といいましたかな、で組織した部隊がありますね。そういうものに参加していいのか悪いのかと、こういったような議論がございますけれども、我が国としての、我が国の法的な解釈は、そういうものには参加できないと、こういうことがあるわけでございます。
  34. 広野ただし

    広野ただし君 やはりアフガン復興ということを考えれば、最も重要なのは治安あるいは地雷の除去というようなこと、そしてそれがしっかりとすれば復興支援をやっていくと、こういうことだろうと思うんですね。  その基礎となるところの国際治安維持治安支援部隊に対しては、ISAFに対しては国連決議が出ている、こういうことなんですね。ですから、しかもそこに二十九か国が参加をして、四千五百名の多国籍軍ができているということなんですね。  ですから、私は検討に値するんではないか、アメリカ軍自衛権の発動にどこまででも付いていくというのとはよっぽど違うんじゃないのかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  35. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ですから、国連が行う活動についてはいかなることについても協力はできるというようにお考えなのだと思いますけれども、それはそうじゃないという、今の我が国の法の解釈からすればそれはできないと、こういう立場を取っているわけでございます。
  36. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、あのアラビア海に海上自衛隊が展開をしているわけであります。往々にして、国際協力から皆があそこで頑張っておるのに日本だけが、日本の海上自衛隊だけが抜けるというわけにはいかぬだろうと、こういう話がまかり通っておりますが、ところが、そういう国が幾つもあるんですね。だんだんたくさんの国で艦船、あそこの哨戒活動をしておったわけですけれども、それからある程度目的が終わったということから帰っていっている、そういう国があるわけです。  ニュージーランドとかオランダが帰っているわけですが、これはどうして帰ったんでしょうか。どういう理由で帰ったんでしょうか。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、それぞれその国の船の回し方、繰り回しの都合が一番大きいのだろうと思っています。  例えば、先生今ニュージーランドの例を御指摘になりましたが、ニュージーランドは確かに船は下げました。しかしながら、陸上に部隊が送れるかどうかということで今検討いたしておるわけでございます。オランダの場合には純粋に船の都合、繰り回しの都合ではなかったかというふうに私は承知をしておりまして、昨日も答弁を申し上げたことでございますが、相当の国の艦船がこれには協力をしておるという状況は依然として変わっておらない。  どういう形でテロとの戦いに参加をするかということはそれぞれの国が主体的に判断をしておると思いますが、もう一切やらないといって逃げたという国が、逃げたという言い方はいけませんが、引いたという国がそんなに多数あるとは承知をいたしておらないところでございます。
  38. 広野ただし

    広野ただし君 現在は七か国じゃないですか、艦船を派遣している国は。
  39. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在は、米国のほかには九か国十九隻というふうに承知をいたしております。
  40. 広野ただし

    広野ただし君 これはいろんなインターネットで調べたものと若干違ったりするんですが、七か国か九か国か、その幅。  しかし、ピークのときは二十か国以上行っているんですね。どうして撤退してきているんですか。撤退することが何かいかにも国際協力から我が国だけが下がるということになるんですか。
  41. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはそれぞれの国の主体的な判断だろうと思っております。今も申し上げましたように、累次答弁をしているところでございますが、あの地域に艦船をずっと、今二年になりますけれども、派遣をし続けるということは、我が国においても極めて難しいことでございますので、そのほかの国にとりましてはやはり相当に困難なことであろうというふうに考えております。  しかし、今ニュージーランドのお話をいたしましたけれども、ニュージーランドはアフガニスタンに既に新たな部隊を派遣をしておるところでございます。例えばギリシャはどうなのだということを考えてみますと、これはアテネ・オリンピックをやらなければいけません。アテネ・オリンピックをやるためにその訓練、洋上の海軍の監視活動等々の訓練のために戻しておるというような事情もございます。  それぞれの国の事情はございますけれども、テロとの戦い、その必要性が減ったという認識をいたして船を下げたという国は、私は今のところ存じません。
  42. 広野ただし

    広野ただし君 先ほど防衛庁長官が、船のやりくりといいますか、そういうようなことをちょっとおっしゃいましたが、それぞれの事情があると。日本だって、イージス艦は行ったけれども今は戻ってきています。これはイージス艦のやりくりの問題なんだと思うんですが、そういうそれぞれの事情は優先をして協力関係を築けばいいと、これは当たり前のことだろうと思うんですね。  ですから、海外がやっているから日本は付き合わなきゃいけない、特にこれは国連決議武力行使容認決議があったものじゃなくて、アメリカ自衛権行使日本がくっ付いていっているという色彩が強いわけです。もちろん、日本人も犠牲になりましたからという問題はあります。しかし、日本自衛権の発動とはだれも言っていませんよね。  ということからいいますと、どうしてもアメリカ側に協力をしているということだと思うんですが、いつになったら、またどういう状況になったら日本は艦船を戻すことができるんでしょうか。
  43. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは言葉の使い方、それをどう受け取るかによりますが、私どもといたしましては、付き合いで船を出しておるような、そのようなつもりはございません。日本国の国益、そしてまた日本が果たすべき国際的な責務、それにかんがみて船を出しておるわけであります。そして、納税者の御負担をいただき、先生も御案内のとおり、隊員は酷暑の中で作業に従事をしておるわけでございまして、付き合いで出しておるというようなつもりは私どもは一切ございません。  加えて申し上げれば、今、先生御指摘の、どういう場合になったら下げるのかということでございますが、これはやはり海上監視活動、洋上における例えば呼び掛けでありますとか船舶検査でありますとか、そういう必要性がないということを各国が共有ができるような状態が醸成されたとすれば下げるということだと思います。  これは前も御答弁申し上げたかもしれませんが、私ここ数か月で、例えばニュージーランドでありますとかオーストラリアでありますとか、そういう国々の、フランスもそうですが、国防大臣と随分とお話をいたしました。どの国の大臣もこの活動は要らなくなったということは申しておりません。日本が行っております、オーストラリアに対しては行っておりませんが、洋上補給活動に対して本当に助かっているというような感謝の言葉が発せられております。  私は、そういう認識を各国が共有できるような状況になるかどうか、一か国、二か国の判断ではなくて、本当にそこに部隊を派遣をしておる国々のそれが共通認識になるかという点が一つの判断基準かと思っております。
  44. 広野ただし

    広野ただし君 それぞれのやはり自主的な判断で私はできるんだろうと思うんですね。  ところで、アラビア海にいる艦船、これの全体的な指揮命令はだれが取っているんですか。アメリカ軍でしょうか。
  45. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、指揮命令という形でアメリカが取っておるという形はございません。私どもの補給活動について申し上げれば、それは各国のニーズ等々を調整をしながら行っているものでございまして、指揮命令に基づいて行っているというような形は取っておらないところでございます。
  46. 広野ただし

    広野ただし君 じゃ、各国艦船ばらばらにいるんでしょうか。そういうことはまずあり得ないんじゃないでしょうか。やはり集団的に隊、隊を成すまでは別にしましても、ある程度の集団的な行為、あるいは、これぐらい艦船を離して、そして哨戒をするにはこの領海をこうやったらいいだろうという形でやはり進めるんじゃないですか。ばらばらにやっているとはとても思えませんが。
  47. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、補給活動について、我が国が行っている補給活動についてどうなのかと言われれば、これは指揮命令で行っているものではございません。各国のニーズ等々を調整し、そしてまたどの船がどの海域にいるのかということを把握をいたしました上で私どもとして行動を決定をしておる。それは、私どもの主体的な判断に基づいて、調整の結果として行うものでございます。  また、各国が行っております警戒監視活動につきましても、これはアメリカが指揮命令の下に行っておるという形ではございません。それぞれの国、それぞれの艦船がどの海域を担当するかということは当然決せられることでございますが、そこにおいて行われる行動について指揮命令系統が確立をされておる、そういうような形だとは認識をしておらないところでございます。
  48. 広野ただし

    広野ただし君 ちょうど九・一一のテロがありましてから二年近くたつわけです。ですから、そのところにやはり惰性を排して、ここで冷静にどういうことをやることがテロ撲滅に、あるいはアフガン復興に良くなることなんだということをしっかりと踏まえること。ですから、日本アフガン復興支援に大いにやっていくという大きなデザインがあれば、こちらは、海上自衛隊が下がったって何ということにはならないと私はやはり思うんですね。ですから、そういう大きな判断をどこでするのかということだろうと思うわけです。  ただ、もう一つ、ちょっと観点が違いますが、昨日も舛添さんがおっしゃいましたが、海上自衛隊で、誠に残念なことなんですが、二名の方が亡くなっている。その方に対する、いろんな事情があろうとは思いますが、私はちゃんとした名誉を、あるいは待遇を与えなきゃならないと、こう思っております。そういう公務中に災害に遭われて尊い命を落とされたという方についてはやはり慰霊をする。そしてまた、市ケ谷にですか、これは慰霊碑があるようでありますから、そこに銘板をちゃんと刻み込むと、こういうことをしっかりとやってもらいたいと思いますが、それはどうなっておりますか。
  49. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは昨日も舛添委員の御指摘にお答えをしたことでございますが、命の値段という言い方は私は絶対したくないのですけれども……
  50. 広野ただし

    広野ただし君 名誉です。
  51. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) いやいや、ですから値段という言い方はしたくないということを申し上げております。そのことはすべて共通であるべきだというふうに考えておりまして、イラクにおいてどうなのかという問いがほかの委員会、あるいは当委員会でもございましたが、それを六千万から九千万に引き上げるということを申し上げました。これはすべからくそういう国際貢献に、法に基づいて国益のためにあるいは国の責務のために行うということにおいては同様であるべきだというふうに考えております。  また、今般、市ケ谷にあります慰霊碑というものを新しく整備をさせていただきました。今まで自衛隊創設以来、千数百名になんなんとする殉職の方々をそちらに名簿奉納というような形で祭らせて、祭るという言葉がいいのかどうか分かりませんが、そういう形で記念をさせていただいておるところでございますけれども、今後、この活動において、不幸にして殉職されるという方があればそれは同じ扱いになるわけでございます。  ただ、先生先ほど来、惰性に基づいてやっているという批判があるではないかということを言われます。私、自衛官の人たちと話をしていて、自分たちのやっている活動国民の皆様方にどのように評価され、どのように理解をされているかということが一番の誇りであり、一番の名誉である、もちろん金銭の面もございますけれども。ですから、それが惰性という、それは委員がそう思っておっしゃっておられるとは私は思いませんが、惰性とおっしゃる方はなぜ惰性というふうに評価をされるのか、何をとらえて惰性というふうな評価を下され議論をされておられるのか、是非お示しをいただきたいと思っております。私どもは惰性でできるような任務だとは思っておりません。そのような任務が惰性でできるほど生易しいとは考えておりませんし、各国からの評価というものもきちんといただいておるところでございます。  あの広い海域において、一々港まで帰るということがどれだけ大変なことなのか、洋上において給油をできる、もらえるということがどれほど有り難いことなのかということを評価をいただくということが私は自衛官の誇りになるというふうに考えておるところでございます。
  52. 広野ただし

    広野ただし君 私は、自衛官はしっかりとやっておられると思います。その任務のことを言っているんじゃないんです。政治家として、全体的に国際的な中で艦船を戻しておられる国々もあると、実際あるわけですね。そういうことを考えて、よく判断をしていただきたいということを言っておるわけであります。  ところで、テロに対する考え方あるいはその準備態勢というものをやはりしっかりとここで整理をし、また準備態勢を整えていかなきゃならないと、こう思っておるわけです。  中近東における様々な動乱あるいはテロ行為というのがありますが、中近東以前に、この北東アジアにおいて本当に大変な事態がやはりあるわけで、これは私たちはしっかりと、何が起こるか分からない、これはある意味で対話と圧力ということをしっかりと踏まえてやっていかないと、とても日本国民の生命と財産は守れないと、こう思っておりますが。  まず、国内におけるテロ体制、テロ防止体制というものがどういうふうになっておるのか。よく有名なのは、警察における特殊部隊、SATであります。このSAT、二百名ぐらいおられるということでありますが、まずそのことについてお知らせいただきたいと思います。
  53. 奥村萬壽雄

    政府参考人奥村萬壽雄君) お答えいたします。  警察といたしましては、九・一一以降の大変厳しい情勢を踏まえまして、テロを未然に防止するという観点と、それから万一テロが起きた場合にこれをいかに的確に鎮圧するかと、こういう二つの観点からいろいろなテロ対策を講じてきているところであります。  今御指摘のSATでありますけれども、このSATは全国で二百名、七つの都道府県警察に配置しておりまして、ライフル、自動小銃はもちろんでありますけれども、作戦用のヘリコプター等も装備しておりまして、テロリストに対する高度な制圧能力を持っていると思っております。また、このSATにつきましては、外国の特殊部隊とも頻繁に合同訓練を行っておりまして、テロ対処能力の錬磨、充実を図っておるところであります。
  54. 広野ただし

    広野ただし君 そのほか私は、消防も緊急消防という形で近代的なものに脱皮しなきゃいけないと、こういうふうに思っております。  そしてまた、海上自衛隊、海上自衛隊じゃない、失礼しました、海上保安庁。国土交通大臣に、どのようなテロ対策というか、特に、武装工作船が日本近海をうようよしているわけでありますので、どういうような体制を作っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  55. 佐藤泰三

    ○副大臣佐藤泰三君) 海上保安庁では、平成十三年九月の米国の多発テロに関連しまして、海上保安庁長官を本部長とする国際テロ警備本部を設置し、全庁体制でテロに対して取り組んでおるところでございます。  現在では、関連情報の収集と、巡視船、巡視艇、また航空機による臨海部の米軍施設、また原子力発電、油貯蔵基地という重要施設の警備に努力すると同時に、また関連機関でも自主警備をし、不審物等の警戒に十分注意してほしいと要請しているところでございます。また、特に原子力発電所におきましては警察との連携が非常に重要でございますので、現場におきまして毎日情報交換を行うとともに、緊密な連携を保ち、事故発生時に的確に対応できるように警察との協力体制を、合同訓練をしばしば行っているところでございます。また、シージャック等、高度な専門的な知識、技術を必要とする特殊事案に対しましては、特殊部隊を整備して対応しておるわけでございます。  今後とも、関係機関との連携、情報交換等、十分に密にしながらテロ対策に取り組んでまいりたいとしている次第でございます。
  56. 広野ただし

    広野ただし君 特に、この間、船の博物館ですか、あそこに武装工作船が持ってこられて、私も行ってまいりましたけれども、大変足の速い小船もあるわけで、それに対して本当に追い付けるのかというようなこともありますし、いろんなことを各省庁体制整える。  しかし、基本となるのは私は自衛隊だと思いますが、自衛隊のテロ対策についての何か特殊組織といいますか、そういうものはあるんでしょうか。あるいは特殊訓練をしているんでしょうか。
  57. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、そういうようなものに対応できるような部隊というものは現在整備をいたしておるところでございます。訓練も行っております。
  58. 広野ただし

    広野ただし君 やはり、いつどんなことが起こるか分からない。正に日本は、また地下鉄サリン事件等テロがあったわけでありますし、また武装工作船が、北朝鮮のものがたくさん来ているということであります。そういうテロ対策に対する基本法といいますか、そういうものがやはり必要なのではないのかと。有事立法というのが、有事法がありましたが、私は、どうもあれは正面攻撃に対する考え方が主なところであって、テロ対策ということについてはもう一つ欠けているんではなかろうかと、こう思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  59. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいま政府側から各部門の取組についてお話を申し上げましたけれども、そういう活動内容については、テロ対応ということでもって、警察・海上保安関係法とか自衛隊法とか災害対策関係法ですね、等などのそういうような法体系の中で有効に機能するようにというようなことで対応しているわけでございまして、そういうような組織、政府組織をまた糾合できるように内閣に危機管理監というものを置きまして、そこで統一的な判断をし、また指示ができるようにと。そして、各部署がその機能を有効に発揮し、総力を挙げることができるようにと、こういうような体制を組んでいるところでございます。また、そういうような体制を、体制を裏付けるものとして、重大テロ事件が発生した場合の政府の初動措置について定めた閣議決定もございますし、また対処マニュアルというものも策定をしておるところでございます。  いずれにしましても、各機関が緊密に、いかに効率的に動くかということが大事なので、そのまた連携を強めるという意味から内閣にそういう職種を置いているということでございます。  今後、こういうような体制でいいのかどうかということにつきましては、これはいろいろな意見もございますし、我々も満足しているわけではございません。ですから、不断に検討を加えて、そしてより良き対応の在り方というものは考えていかなければいけないということでありまして、そういう中に、今、委員のおっしゃいましたようなことが入ってくるかどうか、そういうことも視野に入れて検討を進めてまいりたいと思っております。
  60. 広野ただし

    広野ただし君 官房長官のお言葉ですが、私は甘いと思いますね。これは、北朝鮮がどういうことをするか分からない。対話と圧力と、こうやってやっているわけでしょう。圧力を掛けるときにはそれなりの準備態勢をきちっと持っていないと、それはただ言葉だけの話じゃないんですか。実際、何かが起こった、テロですよ、テロ関係、そういうときに危機管理監、そういうことではなくて、危機管理体制というのは政治家がしっかりと緊急事態にちゃんと対応できる体制を作っておかなければならないんじゃないかと。そのときに特措法だとか何か言っていたら、特別措置法だとか言っていたらもう手後れなわけですよね。だから、災害と同じような体系できちっと対応できるようにしなきゃいけないと、こう思いますが、いかがですか。
  61. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 内閣にただいま危機管理監を置いたというふうに申し上げましたけれども、危機管理監のその上に私がおるわけでございまして、その上には総理、内閣総理大臣がおると、こういうような体制になっております。ですから、危機管理監の判断でありますけれども、これが、大きな問題であるという場合には、実際には小さな問題もそうなんでありますけれども、常時私どもと連絡を取っていると、総理にも連絡が上がっていると、こういう体制でございます。ですから、私なんかもよく夜中にたたき起こされるということがあるんでありますけれども、そのぐらい緊密なる連携を取りながらやっておるわけでございますので、そういうような御懸念は当たらないと、こういうふうに思っております。
  62. 広野ただし

    広野ただし君 いや、私は御懸念をしておりまして、これはなかなか日本の危機管理体制はまだまだであると、こう思います。  実際、情報収集、簡単に言えばもっと忍者部隊ですね、忍者部隊もしっかりと増やしませんと本当の情報は入ってこない。実際、ほとんどがアメリカ情報に頼って、この武装工作船においてもそんなようなていたらくといいますか、ひどい状況なんですよ。で、それをまた取り逃がしたりするという状況でありますからね。しかも、日本海側ですと、そういう水中スクーターですとか何かがもう浜辺に捨ててあるんですよ。そんな状況なのに、そんな御懸念に及びませんなんて話にはまずならないんで、起こってしまってからではどうにもならないんで、私はしっかりとした体制を作らなければならないと、こういうふうに法制を含めてやらなければいけないと、こう思っております。  それともう一つですが、今までこのテロ問題に対して、アフガンに対する九・一一のテロ特措法、そして今年の七月におけるイラク特措法という形で、特別措置法でそのたびにこうやっておると、対応をしておるというのは誠にやはりおかしいんですね。そういうものを国際条約、テロ防止の国際条約、あるいは資金凍結、資産凍結、あるいは資金移転の防止というような国際条約も整備をする、そしてまた日本の体制も基本法を作ってしっかりと対応をするということでありませんと、やはりその時々のばたばた騒ぎになってしまうんじゃないかと私は思うわけです。  ですから、しっかりとしたテロに対する戦略といいますか、そういうものを持って、最終的には、対外的には民生の安定ということを、それぞれの国における民生の安定というのは基本ではありますけれども、そういういざというときの対応をしっかりとやらなければならないと、こう思っているわけですが、官房長官あるいは防衛庁長官外務大臣のお考えを伺います。
  63. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 法整備につきまして御指摘がございました。恒久法につきましては、現在、政府の中でいろいろな方面から検討しておるところでございます。  先生御指摘のように、確かに何かあって特別措置法を作ってということでは機動性、柔軟性に欠けるではないかという御指摘はそのとおりでございます。しかしながら、対象とします事態がそれぞれ、例えばアフガニスタンイラクが違いますように、いろんな事態が起こるわけでございます。それをどういう形で法律に起こしていくか。それを基本法という形にいたしましたとしても、どういうような形で条文化できるかということにつきまして今議論をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のように、そのたびに特措法を起こしているということでは間に合わないではないかということは私ども認識をしておりますが、昨日も御議論がありましたように、それでは国会の承認との関係はどうなるかということも含めてそうだろうと思っております。  なお、国内テロ対策につきましての御指摘が先ほどございました。私どもとして、先生、私も日本海側でございますが、スクーターなんかどうするんだということは確かにそのとおりでございます。ただ、そういたしましたときに、それではマイナー自衛権的なものを考えて、それを条文化すべきかということまで多分議論は行くのだろうと思っております。私自身は、今の法整備で相当にできている、この間の国会で改正をいただきました件も併せまして、要は運用の問題だろうと思っております。  国民の皆様方になお法整備が足りないという御指摘があるとするならば、私は現在の法の運用でできると思っておりますが、この点が足りないということを是非御教示いただきまして、私どもにお教えをいただきたいと思っております。
  64. 広野ただし

    広野ただし君 官房長官のお考えも伺いたかったんですが、まあそれは、じゃ別途にしまして。  もう一つテロに対する考え方で、この間イスラエルがシリアのテロとおぼしき施設を先制攻撃をした。ほっておくとイスラエルがやられるかもしれない。それに対して先制攻撃テロに対する先制攻撃論というのを容認をするというような考え方がありますが、石破防衛庁長官はどのように考えておられますか。
  65. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはロシアの新ドクトリンでありますとかアメリカのブッシュ・ドクトリンでありますとか、そういうものが、私も子細に読んだわけではありません。あるいは、大統領、国防大臣と議論したわけでもありません。テロに対する先制攻撃というものはいけないんだと。もちろん、日本国として先制攻撃というものは絶対に認めておりません。自衛権行使の三要件に該当しなければ武力の行使はしないという日本政府の方針には全く変更はございません。  しかしながら、やられてしまったときにどうするんだと、先にやらなければやられてしまう。アメリカの九・一一もそうでした、ロシアにおいてもそういう議論がございます。それに対してどうこたえるかということを為政者としてどう議論すべきなのかということも併せてお話をした上で、私どもの先制攻撃が認められないという理論が更に説得力を持つのだろうと思っております。  先制攻撃我が国として認めるということはいたしませんが、そうであれば、前、アメリカの国防長官が、庭にガラガラヘビがいて飛び掛かるまで待っているということができるのかということを言ったことがございました。じゃ、それはやっぱりガラガラヘビたたいちゃわないと、飛び掛かられて死んじゃってからでは遅いんでしょうというようなことを言っております。これに対して、どういうふうにして有効に反論をしていくのかということも私どもは考えてまいりませんと、これは、先制攻撃がいけないんだ、そのとおりでございますが、じゃ、やられたらどうするのというときに、国家の、国民の生命、財産に責任を持つ者としてどうこたえるかということは、私どももきちんと考えなければいけないことだと思っております。  我が国が先制攻撃を認めておらないことは繰り返すまでもございません。
  66. 広野ただし

    広野ただし君 先制攻撃をする権利というか、というのは理論的にはあるんでしょう。だけれども、日本国憲法においてそれを容認するのかどうか、あるいは日本の政治姿勢として、防衛庁長官としてそれを行使するのかどうかということについて伺いたいと思います。
  67. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは政府全体で申し上げることでありまして、防衛庁長官として申し上げることだとは思っておりませんが、自衛権行使というものはあくまで三要件、すなわち、我が国に対する急迫不正の侵害、武力攻撃があること、ほかに取るべき手段がないこと、最小限の武力行使にとどまるべきこと、この三つを守るということは、これは我が国として確固たる方針でございます。  要は、その我が国に対する急迫不正の武力攻撃というものをどのように考えるかということをめぐりましていろんなお話はございます。しかし、政府としてその三要件というものをこれからも堅持するということにおいて何ら変わりはございません。
  68. 広野ただし

    広野ただし君 先制攻撃論は、やはり戦争を拡大するおそれが非常に強いと思うんですね。それはイスラエルの論法というのはよく分かりますが、それによって更に戦争を拡大をしていくと。正に終わりのない戦争を誘発をすると、こういうことだろうと思うんですね。  ですから、その理論にくみしていきますと、日本の平和と安全というのは本当に守れるのかというやはり政治的な判断というものがまず来なければ、何か理論だけを突っ張らせているような話では私はないんだということを強く訴えて、終わらさせていただきたいと思います。
  69. 広中和歌子

    広中和歌子君 民主党の広中和歌子でございます。  テロ特措法の二年間延長問題についての審議、既に今日で三日目に入りました。  私は、今日一時間の時間をいただいたわけですけれども、既に多くの質疑がなされ、問題提起がなされているわけでございます。そういう中での質問でございますから多少の重なりがあるとは思いますが、私なりの質問をさせていただきたいと思います。  テロというのは、これまで世界じゅう、いつの時代でも、どこでも存在したわけでございます。それぞれの国の警察が処理をしていた、取り締まっていた。しかし、世界がグローバル化するにつれて警察が、世界の警察がそれぞれに連携を取り合いながら取り締まるという形がしばらく続いている。そのためのテロ防止の国際条約というのも十本ぐらいあるということも知っておりますし、日本はその条約に署名し批准もしていると。  そういう中で、今回なぜこのテロ特別措置法を作って対応しているのかといえば、私がわざわざ申し上げるまでもなく、アメリカの九・一一同時多発テロがきっかけでございます。世界が協力して国際的なテロ組織アルカイーダと対決しましょうと、そういう方向で、日本もできることは何かということで参加したんだろうと思います。しかし、二年たち、アメリカのやり方にただ従うだけでいいのかと、そういうことが問題になっているんではないかと思います。国連中心としてこうしたテロ問題に対決するというよりは、どちらかというとアメリカの単独主義的なところが非常に目立っている、そういうことを感じている人は日本だけでなくヨーロッパにも、そして他の、アメリカの中にでもあるんではないかなと、そのように思います。  個人的なことになりますけれども、私とアメリカとの関係でございますけれども、二十代にアメリカに留学いたしまして約二十年近く、学生として、また主婦として母親として普通のアメリカ人の中に交じって暮らしてまいりました。しかし、私は決してアメリカをすべて知っているなどということは申しません。つまり、アメリカは非常に多様です。地理的にも多様ですし、人種のバックグラウンドによっても違う、そしてまた年齢層によっても違う、そして時代によっても違うわけです。  私たち多くの日本人アメリカに対して持っているイメージ、そしてアメリカ人自身も自分たちに持っている理想のイメージというのは、アメリカには非常に多くのチャンスがある、民主主義である、自由経済である、能力主義であると、そういうようなポジティブなイメージがございます。それは確かにそうしたイメージは正しい部分は多々あると思いますけれども、同時にアメリカにはマッカーシズムがあり、その前には奴隷制度というのがございました。そしてベトナム戦争があり、ウォーターゲートがあり、最近では経済に絡んでエンロン疑惑などもございます。  そしてまた同時に、ケネディのとき、私もそのころ住んでおりましたけれども、公民権運動が人種や性や年齢、そうした差別をなくそうという、本当に私たちの心が揺さぶられるような感激も味わったわけでございます。差別をなくす公正な国というイメージを出したのはケネディの時代でございました。  つまり、私が申し上げたいのは、国のリーダーによって、リーダーシップによって国民の暮らしも人々の考え方も大きく影響を受ける国、それがアメリカではないかと思います。  そのアメリカを少しは知る者として、そしてまた、私は大変アメリカの批判はいたしますけれども、アメリカは私にとっては第二の故郷だと思っております。その私が、今のアメリカはブッシュのアメリカであるということを申し上げたいと思います。ブッシュ政権は永遠ではございません。  九・一一は、すべてのアメリカ人にとって当然衝撃的な事件でございました。そして、すべてのアメリカ人がブッシュ大統領の下に一つになってこのテロと戦おうというふうな誓いをしたとして当然でございますし、また諸外国も協力すべきであるということで私どもも同じ思いをしたわけでございます。日本人の多くもこのテロで殺されたということがございます。  九月十一日、二〇〇一年の九月十一日から二年たちまして、今、ブッシュ大統領の人気は落ちております。あの当時非常に高かったブッシュの人気は、多くのアメリカ人にとっても、ブッシュ大統領のテロへの対応、やり方に疑問を持ち始めていると、そういうことがあります。つまり、チェイニー、ウォルフビッツ等のネオコンに支配される今の政権に対して。  私はアメリカの政治に対してここで批判するつもりはないんですけれども、そのような感覚が、感情が出たかもしれませんけれども、それはよその国のことでございますから、私の立場としてはどうしろということではないと思いますけれども。ただ、日本がいつもアメリカの言いなりになることが果たして正しいのか、日本の将来のために良いのか疑問に思っているということを申し上げたいと思うんで、是非、官房長官、そしてまたお三方、すべてコメントをいただけたらと思う次第でございます。
  70. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) いろいろ御意見を述べられましたけれども、後半の方で、今のアメリカはブッシュのアメリカではないかと。それはブッシュ大統領のアメリカなんですよね。クリントンのときはクリントンのアメリカだったと思います。ブッシュ大統領の個性が非常に強く出ているということをおっしゃりたいのだと思いますけれども。  しかし、ブッシュ大統領になってから九・一一の事件が起きたということもございますし、またイラクの大量破壊兵器の懸念というのは、これはもうずっと言われておったわけですけれども、それが言ってみれば頂点に達したというようなことで、相次いでいろいろな問題が起こっているということであります。しかし、それはかなり偶然性もあったわけでございまして、すべてブッシュの責任ということではない、ブッシュがすべてを引っ張っている、リードしているというわけではない、そういうような歴史的な必然性の中にあったのではないかというような感じがいたします。  我が国も、そういうアメリカのやっていること、アメリカがやっていることというか、これは国際社会の中に置かれている我が国としてどういう立場であるべきかということは日々模索しながら歩んでいるわけでございまして、決してアメリカがこういうふうにしろということで、はい、いたしますという話ではないわけであります。それは、そのアメリカの決断の過程においても我が国の意向というものはかなり反映しているものだと思います。実際、昨年の末ですか、国連、新しい国連決議を採択するというときには我が国の意見を聞いて採択をするように米国が動いたということもあったというように思いますし、そのときそのときに我が国としての意見は申し上げております。  もちろん、我が国は戦争をしたいという国ではございません。またその能力も持っておりませんので、そういうことを言えるような国ではありません。しかし、世界の安定とか平和とか、また地域の安定、平和のためにどういうふうにしたらいいかということの観点からいろいろな意見を申し上げると、こういうことでございまして、今後もその姿勢というものは変えずに行く、言わなければいけないことはアメリカにも言うと、こういう姿勢は当然保っていくわけでありまして、いずれにしましても、我が国の国益という観点からして、どういう世界がいいのか、どういう国際社会、また国連とか、そういったようなものも含めまして、そういうものがどうあるべきかということは常々これからも考えていかなければいけない、そんなふうな気持ちでございます。
  71. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃったアメリカについてのいろいろな考え方、私も、個人的な話になりますが、委員ほどではございませんけれども、ある年限アメリカに住んだことがありますので、委員がおっしゃったそのアメリカについての御感想はかなりの部分、私も同感をしております。ただ、幾つかの点について意見は異なるものを持っております。  異なる部分ということを申し上げたいと思います。  アメリカが多様な国である、全くおっしゃるとおりだと思います。その多様性の中に私はアメリカのバランスがあると思っております。リーダーが、今はブッシュのアメリカであるというふうにおっしゃられました。私は、そのアメリカの特徴というのは、国民からリーダーに向かってのフィードバックあるいは考え方の投射というのが他の国よりもよく行われる国であるということでして、ブッシュ率いるアメリカでありますが、同時に国民はブッシュに対して非常に意見を言っているということで、一番いい例がニクソンがなぜ弾劾されたかということであるかと思います。したがいまして、双方向、ブッシュがアメリカを決めているわけではないと思います。  それから、ブッシュ大統領の支持率が落ちている、これは、むしろ落ちているのは経済面によって支持率が落ちている、不支持率は経済政策について高いということでして、外交政策という意味では、まだ国民の、イラクについても半分、あるいはそれ以上の人たちがブッシュ大統領を支持をしているというふうに私は理解をいたしております。  アメリカに対して日本は物を言っているかどうかということについて、言っていないのではないかというふうにおっしゃられていますけれども、まず、日本アメリカというのは、元々いろいろな面で考え方を共通にしている国だと思います。だからこそ同盟関係というのが成り立っているわけです。民主主義、市場経済、法の統治、全部同じことです。そして、テロや大量破壊兵器について、日本はこれはアメリカの問題だと思っていない。日本の問題だと思っているわけです。したがって、日本の問題としてこれをとらえたときに、イラクにしてもアフガニスタンにしても、あるいは他のテロの問題にしても、どう対応をすべきかということを日本は主体的に決めている。結果としてアメリカと考え方が非常に基本的なところで同一な部分がありますから、意見が同じになることは事実多いです。それをもって、日本アメリカの言いなりであるというのは、私は当たっていないと思います。  今、官房長官がおっしゃいましたように、日本としても、言わなければいけないところというのはきちんと言っていると思います。例えば、イラクの問題について国際社会の協調が必要だということについては、総理も私もみんながアメリカに伝えたことでございます。この構図が、大量破壊兵器の懸念を持っているイラクと国際社会ということであって、フセインとアメリカではないということは日本としてはっきりアメリカに伝えてきたということでございます。一例を挙げればそういうことです。  引き続き、日本としては、アメリカ日本の信頼関係に基づいて、そして信頼関係がなければ、この信頼関係を毎日毎日築き上げる努力をしなければ、日本アメリカに物を言ったときに、アメリカがそれに対して聞く耳を持つということにはなっていかないわけでして、そういう意味で、信頼関係を築きながら、日本としてはアメリカと協調し、それから国際社会とも協調しながら、日本として必要なことを主体的に判断をし続けていくということだと思います。
  72. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今、官房長官外務大臣からお話があったとおりですが、要は、私は、ニューヨークやワシントンだけ見てアメリカと思っちゃいけないということをよく聞きます。つまり、中南部アメリカというのが実は本当のアメリカらしいアメリカなんだということを聞きます。私ども、ともすればニューヨーク、ワシントンの人たちとしか話をしない。しかし、それはアメリカ全体とは違うのではないかという問題意識は持っておいた方がいいだろうと思っています。  また、今、ネオコンサーバティブのお話がございました。ネオコンと決め付けて、これはこのようなものだというのは、私は一種のラベリングなんだろうと思っています。それはリベラルについても同じことでございます。ネオコンとかリベラルとかいうラベリングをやる前に、一体その中身は何なのかということを子細に検討しませんと、私は判断を誤ることがあろうと思っております。  また、言いなりではないかというお話ですが、私は言いなりにならなかった例の方がきっと多いのだろうと思っています。  もう一つは、唯一の同盟国であるということを軽視をしてはいけないと思います。よくドイツやフランスやロシアやインドのようにもっとアメリカに物を言えという話がございますが、フランスとドイツは確かにNATOという意味で同盟国でございます。それはマルチの同盟であります。しかしながら、日本は、同盟国と言えるのはアメリカしかないという点が異なっております。そしてまた、フランスもロシアも、そしてまたインドも核保有国でございます。我が国は核を持つという選択はございません。地政学的にも全く異なっておるところでございます。  私どもとしては、国益が最も重なるのはアメリカ合衆国である。日本の国益のためにアメリカと同盟関係を結び、そのために今まで経済的な繁栄も享受をしてきた。  これから先、それをどうあるべきかということは、もちろん我が国の国益に基づいて判断をしなければならないことですが、それがアメリカの言いなりであるということであるならば、同盟関係をどう結び直すのか、あるいはほかの国とも同盟という選択があり得るのか、またマルチの同盟というものに日本が現行憲法の下で本当に入ることができるのか、そういうような多角的な検証が必要だと私は思っております。
  73. 広中和歌子

    広中和歌子君 大変きっちりとした御答弁をいただいたわけでございますけれども、物を言っているとおっしゃるわけですが、しかしながら、アメリカの対テロ戦争というものの大義名分の下にアメリカは非常に軍事的色彩を強めているんではないかなと思います。九・一一後、反テロ軍事大連合、悪の枢軸発言、国防予算一四%増、そして更にそれが増えていくと。テロを生む政治的要因を考えるさきに対テロ戦優先といったような動きでございます。また、ロシアとのABM条約の破棄、これなども単独主義的な動きではなかろうかと思います。  そして、中でも一番大きなことは、今年の三月行った、国連決議もないままイラク攻撃に踏み切ったということでございます。それも、大量兵器、大量破壊兵器を持っているという理由でアメリカはイギリスとともに入ったわけですけれども、そのことについてはもう度々国会で御質問も私自身いたしておりますし、ほかの方もしておりますから言いませんが、何もその証拠となるものは出てこなかった。勝利宣言をしてアメリカが自分たちの目で国じゅうを探した。日本の国土の一・何倍で広いからそれは無理なんだというふうに防衛庁長官はおっしゃりますけれども、やはり大量破壊兵器は、少なくとも今まで出てこなかったということは事実でございます。  そうした戦争を支持した小泉政権は、国民の前に責任を明らかにするべきではないかなと私は思うんでございますけれども、官房長官、そして外務大臣のコメントをお伺いいたします。
  74. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは委員に対しても今まで何回か御説明をさせていただきましたけれども、米国等によるイラクに対する武力行使というのは、イラクが今まで数回、まあ幾つかの決議が出ましたけれども、これに対して継続的に違反を、これらの決議の義務に対して、義務を履行しないという形で違反を行ってきたということでございまして、それを受けて、関連の安保理の決議に従ってイラク武装解除の義務を実施をして、そしてこの地域に平和と安定を確保すると、そういうことで行われたわけでございます。  大量破壊兵器の問題については、これは引き続き、今、日本の一・二倍というところで査察あるいは調査を行っているわけです。我々は、イラクが過去において大量破壊兵器を実際に使った、そしてその国連の査察団に対して自分が何をどれぐらい持っているというのを事細かに申告をしている。で、この申告に従って査察団が査察をしたところ、説明が十分できないところがかなりある、まあ細かいことを今申しませんけれども、ということで、それがその国連決議の履行ということになったわけですけれども、イラクは、先ほど言いましたように、この義務を完全な形で行ってこなかったということであるわけです。  大量破壊兵器の問題については、引き続き我々としては調査の状況を注視をしていきたいと考えています。
  75. 広中和歌子

    広中和歌子君 度々同様のお答えをいただいたわけでございますけれども、私の政治家としての勘というもの、直観は、初めにイラク攻撃ありきではなかったんではないか、そして様々な疑惑というもの、大量破壊兵器に関する疑惑というものも、それは後からくっ付けたんではないかなと、そのような気がいたします。  それから、官房長官も、唯一の、まあ一対一のというんでしょうか、同盟国であるアメリカに対する関係というものも非常に大切にしなければならないということをおっしゃいましたけれども、私もアメリカとの関係は非常に大切だと思いますけれども、余りにも対米政策が優先してしまって、自分たちの理念というものを十分に主張し切れていないところが、これは、私は、テレビの受け売りではございませんけれども、やはり日本外交が軽いのではないかということでやゆされるところではないかと思います。  それよりも、私が心配いたしますのは、イラクでサダム・フセインも見付かっていない、そして、兵器はイラク軍というのは持っていたわけでございますけれども、それも拡散しているということが想像できるわけでございます。その現状について防衛庁長官にお伺いしたいわけですけれども、そうしたものがすべて管理されていない中で、テロリストの手に渡るのではないか、あるいはイラクの中の反米勢力の手に渡って、更にイラク国内における治安、そしてまた新たなテロが起こるんではないかと。事実、起こっているわけでございまして、こうしたことを考えれば、もうちょっとイラク攻撃に対してアメリカは慎重であるべきではなかったか。  事実、これはちょっと失念いたしましたけれども、イギリスか、の諜報局であったか、あるいはアメリカであったか、ちょっとどちらか忘れてしまいましたけれども、新聞で読んだところによりますと、このような視点から、是非イラク攻撃に対しては慎重であるべきだというアドバイズをブッシュ大統領に送ったということも聞いているところでございます。御答弁お願いいたします。
  76. 若林正俊

    委員長若林正俊君) どなたに。
  77. 広中和歌子

  78. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ごめんなさい、ちょっと御質問の趣旨がよく、私の能力が足りなくて正確に理解できなかったら申し訳ないのですが、破壊兵器、武器というものがイラク国民にすべて行き渡ってしまったということはあるわけですね。つまり、アメリカが来るぞというときにサダム・フセインが何をやったかというと、市民諸君、今日から君たちはみんなイラクの兵士だと、こういうことを申しまして、全部に武器を、もう何万という武器を国民一人一人に手渡したということがございました。  これははっきりしておかなきゃいかぬのですけれども、そういうふうな制服も着ていない外から識別不可能な人間に武器を渡して戦わせるというようなことは、ジュネーブ条約の本旨に全く反したことであって、こんなことは許されることではない。  そして、サダム・フセインは何をやったかというと、国民とともに戦うということをほとんどせずに、自分が前面に出て国民のために戦うということを一度でもやったかといえば、それはやっていない。民衆の前に出て何か演説をしただけのことで、自分は国民とともに戦うこともなく、どこかへ逃げてしまったというお話でございます。そこにおいて確かに国民に銃が渡っている。それがテロになっているということもございましょう。しかしながら、じゃ、そういうことを恐れていて本当にいいのだろうか、そういう政府を本当に許していいのだろうかということも側面からはあるのだろうと思います。  そしてまた、本来議論されるべきは大量破壊兵器でございますけれども、そのような国家である、ジュネーブ条約も何も関係なくやってきた、そういうふうな国に対して我々はどう考えるべきか、そして仮に行わなかったとしたら何が起こったのか、時間はどちらに有利に働いたのかということも私どもは議論をしなければいけない。大量破壊兵器は見付かるということで現在やっておるわけでありまして、今見付かっていないということが、なかったということにならないのは累次政府として答弁を申し上げておるとおりでございます。
  79. 広中和歌子

    広中和歌子君 それでは、テロ特措法に話を戻したいと思います。  ブッシュ大統領は、九・一一テロの直後に、これは戦争だと叫んだのをテレビで見ました。テロの定義なんでございますけれども、これはハーバード大学ケネディ・スクールの学長を今していらして、かつてクリントン政権のときに国防総省国際問題担当次官補のジョセフ・ナイ氏がこのように言っております。つまり、恐怖と脅威感を広く与えることを目的とした一般市民への計画的な攻撃であると、このように言っておりまして、テロは武力紛争の一つの手段であり、強者に対する弱者の武器であるということを言っている。  ですから、昔からテロはどこの国でも存在したというのは冒頭に申し上げたところでございますが、しかし近年、そのテロの形が、特に最近、国際的に、より破壊的になっているということもジョセフ・ナイ氏は指摘しています。つまり、ハイテク化と技術の民主化ということを彼は表現して言っているんですが、つまり、どういうことかというと、良い技術を安い値段で簡単に手に入れることができる、少人数ですごい破壊力を持つ、そのようなテロ行為を行うことができるのだと。特にそういう意味で、核がテロリストの手に渡ることを恐れなければならない時代で、だからこそイラクに対する核の脅威ということが何か説得力を持っておりましたし、今私たちが直面しているお隣の北朝鮮の核疑惑という問題、それも大きな問題なんではなかろうかと思います。  それに加えて、ITによるネットワーク化で、私ども、要するにテロの組織をとらえる側にとってもネットワーク、IT技術というのは非常に役に立つのでございますけれども、テロリストにとっても、IT技術というのは非常に彼らにとって、彼らの活動にとってプラスになっていることが言えるんではないかと思います。  現在、アフガニスタンで行われているテロ掃討作戦ですけれども、果たしてうまくいっているんでしょうか。何か情報によりますと、一つをつぶせばまた別のが出てくるというようなモグラたたきみたいなところがあるんですが、というふうに受け止めているんですが、コメントをお願いいたします。
  80. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アフガニスタンについてのテロ掃討作戦ですが、これはアメリカはいろいろなことをやっております。結果として少しずつ効果が出てきて、総体的な評価としては、アフガニスタン国内はもはやテロリストの安住の地域では、地ではなくなったということだろうと思います。  ただ、まだまだ問題はたくさんあるわけです。地域的に言えば、パキスタンとの国境を接している南部南東部、東部といったところではまだまだ治安が不安定で、治安の確保というのは大きな課題であります。北部、西部は比較的落ち着いている。それから、カブールについてはISAFがいて安定をしているということであります。  まだまだ課題でありますけれども、先ほど委員が御指摘になられたような例えば国際的に武器が動く等々の問題、これについては国際的な輸出管理のメカニズムですとか、あるいは入国管理についてきちんとするとか、あるいはテロ関連の条約の中で資金の凍結を行うとか、様々な国際的なテロ対策の枠組み、これをまだ必ずしも全部、一〇〇%十分ではないかもしれないし、あるものについてはこれを各国が、特に途上国がこれをきちんと守る能力を身に付けるように先進国として支援をしなければいけないといったことをやりながら対応をし続けていくということであるかと思います。
  81. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まさしく先生から前段に問題点の御指摘をいただきました。テロというのは確かに昔からあるのです。別に今すぐ始まったものでもなく、ある意味、有史以来あると言ってもよろしいかと思います。  問題は、それが大量破壊兵器と弾道ミサイルがテロリストの手に渡ったら一体どうなるのだということを我々は考えなければいけない。弾道ミサイルはアメリカとソ連しか持っていなかったものが冷戦末期にはそれが十か国になり、今や四十六か国になり、大量破壊兵器も拡散をしておって、それがテロリストの手に渡ったらどうなるのだということを我々は本当に考えなきゃいかぬのだと思っています。それから、先般、榛葉委員から、テロというのは戦争の民営化だと、なるほどうまいことをおっしゃるなとこう私は思ったのですが、そういう面は確かにあるのだろうと思っています。  そこで、ブッシュがザッツ・ウオーと言ったときに、それは、じゃ、そのテロというのは本来犯罪ではないかと、何で自衛権の対象になるんだという議論がございました。これは、相手の態様を見て考えるべきなのか、それとも発生した結果を見て行うべきなのかという議論は、私はクリアしなきゃいかぬ議論なんだろうというふうに思っております。そのことについて、テロ対策というものを我が国がどう考えるか。  最後に申し上げれば、サイバーだって、ぽんぽんとパソコンをたたくだけで起こる結果は、何千人、何万人と死にましたということが起こったときに、パソコンをたたいたという行為をどのように評価をするかということも考えていかねばなりません。  先生が御指摘になりました論点というものを本当にこれから先、国際社会できちんと議論をいたしませんと、議論は混乱をすることになるだろうと考えております。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 我が国のこの特措法に基づく活動でございますけれども、インド洋におけるサーベイランス、そこに多くの船ですかが参加し、その船に対して日本が給油を行っているということでございます。  それは、だれに頼まれてそうした活動日本が参加することになったのか。多分このアフガニスタンに存在しているアルカイダを掃討するために世界が協力しようということになったときに、何らかの形で日本がそこに参加したんだろうと思いますけれども、どういういきさつで、どういうことで日本がそうした役割を引き受けたのか、お伺いいたします。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、国連決議一三六八というのが当時できております。我が国として、その国連決議に従ってどのような行動を取るのがいいのかということを主体的に判断をした、その結果でございます。
  84. 広中和歌子

    広中和歌子君 このサーベイランスというのは、私は何で必要なのかと思っていろいろ想像したんですけれども、それぞれの国であれば、港であるとか空港なんかでテロリストの出入りをチェックしますよね。公海上におけるこうしたサーベイランスというのは、つまり船に乗ってもう既に、何というんでしょう、航行している船の中に怪しい者がいないかと、そういうことでサーベイランスというのをするんじゃないかと思いますが、既に給油が二百九十一回行われていて、それなりに御活躍をしていらしたんだと思いますけれども、最近はその回数も減っているというふうに聞いております。  既に百二十億円分、日本は石油をというんでしょうか重油というのか供給しているわけですけれども、これはいつまで続くというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
  85. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは先ほど広野委員にもお答えをしたことでございますが、必要がなくなればやめます。必要がある限りはやりますということに相なります。それは各国が、日本が、相手様があるわけですよね、補給を受ける側があるわけです。その国々が我々の燃料を必要としておるということがある限りは、それは行うことになるのだろうと思います。  だれも遊びや冗談で船をサーベイランス活動をやっておるわけではございませんし、各国ともこの活動は必要であるという認識を共有して行っておりますので、そういうような活動が終われば補給も当然なくなるということかと思っております。
  86. 広中和歌子

    広中和歌子君 じゃ、確認いたしますけれども、給油の必要性がなくなった場合ですね、今度は日本はそれでは何ができますかという形で別の役割を引き受けるということがあり得ますか。そして、そうした場合には国会にどのような形で事前承認をなさるか、お伺いいたします。
  87. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいまは二年の延長をお願いしておりますけれども、今現在において新しい任務を果たすという、そういう考えは今のところございません。  しかし、委員の御指摘のように、将来何が起こるかと、こういうことになります。それはそのときの事情に従って判断するわけでございまして、そのときは、国会で承認をいただくようなそういうような内容であれば、それは当然そういう手続を踏まなければいけないということになります。
  88. 広中和歌子

    広中和歌子君 またブッシュ大統領に戻りますけれども、九月の十九日に、テロとの戦争がいつまで続くかというテーマで演説をなさったのか何かは知りませんけれども、そうした場においてこのような発言をしているということが報じられております。テロとの戦争がいつまで続くか不明であり、米軍展開範囲や期間も予想不能だと述べているわけです。そうした予想不能なアメリカにどこまで付いていくのかということ、それは私ども、与党も野党も政治家としては本当に知りたいところなのでございますけれども、いかがでございますか。
  89. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 米ブッシュ大統領がテロの脅威、これがいつ終わるか分からないと、こういうことであれば、これは我が国も同じ立場なんだろうと思います。ですから、これは国際社会全体でどうやって取り組むかという大きな課題だというふうに思っておりますので、ブッシュ大統領の発言で、それに付いていく、こういうものではないのではないかと思っております。
  90. 広中和歌子

    広中和歌子君 ブッシュのアメリカというのは、テロを口実に全世界に対テロ戦争を展開するというような見方というのは間違っているでしょうか、お伺いいたします。
  91. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 果たしてそういう意図を持ってブッシュ大統領が今テロ対策に取り組んでいるということじゃないと思いますよ、私は。そういうことではない。第一、今でも財政的な負担というものが米国国内においても大きな政治問題になっている、こういうこともございます。そんなことを続けていられるわけがないということでありまして、早く終息するのがこれはアメリカの意図でもあるというふうに思っております。
  92. 広中和歌子

    広中和歌子君 そのように望みたいところでございますけれども、今年の夏、たまたま古い本を引き出してきました。ガルブレイスの「不確実性の時代」でございます。ガルブレイスは、第八章、破滅的な競争というところで、このように、二人、三人の言葉を引用しております。一人はアイゼンハワーでございます。  その言葉は、アメリカ国民はそれが意図的なものであるなしの区別なく、産軍複合体、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスで、あの当時非常に有名になった言葉なんですけれども、その複合体が不当な影響力を持つことに対して警戒を怠ってはならない。あるべきでないところに権力が定着して悲惨な結果を招く可能性は現に存在し、そして今後も存在するだろうということです。  そして、次にこれはある、国務省のある高官の著者、著書、著者ですね、つまりガルブレイスへの言葉なんですけれども、この世界を理解するには、米ソ両国の軍部体制はともに手を組んでいる、そして両国のそれぞれの国民に対して、両国の国民に対して、むしろともに手を組んでいるんだということを知らねばならないということを引用しております。  この二番目のコメント、そしてこの「不確実性の時代」が書かれたときというのはベトナム戦争の終わった前後で、まだ冷戦というのが非常に厳しい状況にあった時代でございます。これは、ですからガルブレイスとしては冷戦中の米ソの軍拡競争に当てはめてこのようなコメントをしたのではないかと思います。  今、私たちの住んでいる世界というのは、冷戦が終わってから既に十年たっているわけです。そして、既に十年がたっているわけでございます。そして、その間湾岸戦争が起こり、そしてまた九・一一後のイラク侵攻が起こっているわけでございますけれども、何か、ガルブレイスの発言というんでしょうか、言ったことがもしかしたら当てはまるような気がするというようなことを私が申し上げたらば、それは言い過ぎでございましょうか。つまり、産軍共同体のニーズが対テロ戦争を拡大していると、そういう可能性があるのではないかという考え方です。
  93. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 後で必要でしたら防衛庁長官にまた御発言をいただきたいと思いますけれども、委員おっしゃったように、産軍複合体という言葉は、これは三十年ぐらい前にかなり、もうちょっと前ですね、有名になった言葉であるわけです。私は、アメリカの民主主義、あるいはこれはアメリカだけではなくて我が国においてもそうですけれども、それから情報公開度、企業のガバナンス、そういったことに対する国民の要求、またIT技術の発展等、国民情報公開要求やガバナンスの実施を可能にする技術発展というものがその間に相当にあったというふうに思います。  どういうことを根拠に委員が、今回の戦争において産軍複合体がこれを大きく起こしたとまではおっしゃっていらっしゃらないかもしれませんが、影響を与えているというふうに何をもっておっしゃっているのか分かりませんけれども、そういう具体的なことについて御指摘をいただければそれはそれでお答えを試みたいと思いますし、一般論として申し上げれば先ほど私が申し上げたようなことで、その時代とは大分いろんなことが違ってきている、先ほど申し上げたようなことが違ってきている。  ですから、常にどこの国においても政府と企業の関係というのがきちんとしているということであるように努力をしていかなければいけないということはあると思います。これは日本にもあると思いますし、アメリカにあると思いますし、ほかの国にもあると思いますけれども、この問題について、一般論としてはそういうような状況ではもはやない。それから、具体的には、何かあればそれについてお答えをさせていただきたいと思っています。
  94. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そういう陰謀史観的なことが時々語られることがありまして、例えば真珠湾攻撃、昭和十六年十二月八日、あれは陰謀だという話がありますが、それは荒唐無稽な話でありまして、つまり、あそこで船がたくさん沈んだという犠牲というものを甘受してまでやるかというと、それは合衆国政府としてはそういうことはしないわけですよね。本来そういうことをさせたければあの船が全部あそこにいたはずはないのであって、相当は外に出て日本攻撃をさせたってよかったわけでありまして、そのような陰謀史観というものを私は余り取るものではございません。  そして、今、産軍複合体のお話がございましたが、軍事拡張というものがすなわち雇用と景気拡大につながるかといえば、それは必ずしも経済学的にはそうでない場合の方が多いのだろうと思っています。実需に合わない、そういうようなものを作るわけでございますから、それは経済学的に本当に経済の拡大につながるかといえば、決してそうではない場合があるということでございます。  それから、アメリカとソビエトの話でございますが、その軍拡競争に付き合っていったおかげでソ連はひっくり返ってしまったわけでございます。すなわち、その軍拡を支える、SDIを支えるだけの経済力を持っていなかったということでございまして、その点において両国が協力をし合ったという点は私は必ずしも当たらないものと考えております。
  95. 広中和歌子

    広中和歌子君 確かに、長官のおっしゃいますように、軍拡は国全体の経済を弱める、そしてまた軍備競争、それでソ連が敗れたわけでございますけれども、しかし特定の人たち、つまりそうした兵器産業なりにかかわっている人、あるいはその背後にいる人たちを富ますことがあり得るということ、それが産軍共同体の持っている意味だろうと思います。  私もそんなふうに信じたくないわけでございますけれども、覚えていらっしゃいますか、あの冷戦後、私たちはニューワールドオーダー、新しい世界秩序を作らなきゃならない、それは恐らく平和な世界である、もうこれからは大きな戦争はないんだと、そのように望んだわけですよね。ところが、現実にはいろいろなところで小さな戦争が起こり、そしてまたテロも起こりということで、本当にそうした世界をどのように平和に収れんさせていくかというのが大きな大きな課題であり、日本政府がそうした問題に対して国際社会の中でリーダーシップを取っていただきたいと本当に願っているものなんでございます。  そういう中にありまして、アメリカの今、一九九〇年代以降、クリントン政権のときは別といたしまして、ブッシュの湾岸戦争、そして動きを見ておりますと、何かアメリカのそうした軍、軍事産業を疑ってしまいたくなるようなところがあるわけでございます。  去る五日のテレビ朝日で、副大統領チェイニー氏がハリバートンという会社のCEOであったと。つまり、現職に就く前にハリバートンという会社のCEOであり、その子会社、KBRがイラク石油を、イラクの石油の独占契約を結んでいて、その他の復興にかかわるビジネスを含めると二十二億ドル、約三千億円のビジネスを受注していると、そういうことが報じられているわけですけれども、このことについて御存じでいらっしゃいますか。お伺いいたします。
  96. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃったテレビの報道は、私もちらりちらりと全部ではありませんが見ましたけれども、報道は常に報道であって、そういったことについてきちんとその調査をしているという、しているわけではない、考え方として反対の考え方は常にある、全体を見るべきであろうと思います。  この戦争については、前々から申し上げているように、正にイラクが度重なる継続的な国連決議の違反をしてきた、で、大量破壊兵器の懸念ということが国際社会の共有された懸念であったということから国連決議、度重なる国連決議に従ってこれは行われたということで、アメリカもそのように言っているわけです。
  97. 広中和歌子

    広中和歌子君 是非こうした、何というんでしょうか、多少コントロバーシャルかもしれませんけれども、こうした報道の信憑性について是非チェックしていただきたいと私としてはお願いする次第でございます。よろしゅうございますか。天下のマスメディアがこうした報道をしているわけでございますので、是非チェックしていただきたいと思います。  それから、イラクへの復興支援でございます。  イラク開戦、イラク戦争開戦から約半年がたち、戦後のコストが米国の経済あるいは国家予算を圧迫しているということが報道されております。当初の予算をはるかに上回っている。二〇〇三年度会計年度の補正予算で約七百九十二億ドル、約それは九兆一千億だそうでございますけれども、その追加支援を決めたばかりである。しかも、その後、二〇〇四年度にも約八百七十億ドル、約十兆円の追加予算計上を議会に求めていると。  そういう現状の中で、米国は国際社会に三百億ドルから五百五十億ドルの支援を求めているということが報道されておりますが、これは事実でしょうか。
  98. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃった数字というのは、この間、イラク支援国会合がマドリッドで、イラク支援国会合のコア会合、コアグループの会合がマドリッドで行われたわけですけれども、そのときに出た国連と世銀が行ったイラクのニーズに対する調査の報告書の数字であるかと思います。  これは、今月の終わり、二十三日、二十四日にマドリッドでイラク支援国会合が行われますけれども、その前に国連それから世銀が実際にどれぐらいイラクに対しての支援ニーズがあるんだろうかということで調査を行い、それをベースに少数の国が、日本アメリカ、EU、スペイン、ア首連及び国連、世銀、IMF、統治評議会、CPAといったところが集まって議論をしたわけでございまして、復興ニーズの全体像ということでいうと三百五十六億ドル、これは十四分野にわたってということであって、二〇〇四年から二〇〇七年の四年間でこれだけの数字がある。それから、そのほかに、CPAが国連、世銀のアセスメントに含まれていないニーズとしての治安及び石油等の分野で別途約百九十四億ドルあるであろうと言った、その数字のことではないかと思います。  アメリカが言ったということではございません。
  99. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本は応分の負担をすることを当然期待されていると思います。それは、小泉さんがアメリカイラク攻撃を支持するとおっしゃったときから覚悟の上でのことだろうと思います。  最初は、復興支援には余りお金が掛からないんじゃないかと言われておりましたよね。つまり、イラクには石油があるからということでしたけれども、その見積りというのでしょうか、見込みが外れて、非常に大きな額が掛かりそうだということです。ブーツ・オン・ザ・グラウンド、つまりお金じゃなくて今度は人だということだったんですけれども、今の段階に至ってはむしろお金こそ期待される支援ではなかろうかなというふうに思いますが、どのように、日本はどのくらいのお金を支出するかということの、もう既に、決定はされていないとは思いますけれども、どのくらいの心づもりでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
  100. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二十三日、二十四日に行われるマドリッドでの会合を成功させることが重要であると思います。それは、国際社会が一致してイラク復興にかかわっていくという姿勢の表明でありますので、それを成功させることが必要であると思います。そして、そのために我が国がいかなる貢献をできるか、あるいはいかなる貢献をすることが適切かという観点で今検討を行っております。  私どもとしては、政府としましては、イラクの人道・復興支援に対して貢献をするということが正に日本の国益であるというふうに考えておりますので、その観点から、我が国として主体的にどのような貢献をするのがいいかということを検討をしております。
  101. 広中和歌子

    広中和歌子君 まだ検討の段階ということですけれども、私は、かなりの額が期待されているんではないかなと思います。  それでは、ちょっと別の視点から、北朝鮮の問題について伺いたいと思います。  北朝鮮の拉致問題というのは、私はある種のテロだと思いますけれども、こうしたテロが、日本の海上保安庁が十分に機能しなくてそれを見過ごしたこと、そしてそれを防衛庁、今度は自衛隊ですね、自衛隊もそれに対して見過ごしたことに対して、日本政府は責任を認め、そして謝罪をなさいましたか。もう既になさったのか、なさるおつもりがあるのか、まずお伺いいたします。
  102. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 済みません、取り違えていたらごめんなさい。  海上保安庁や海上自衛隊であの拉致を防ぐことができたにもかかわらず防がなかったので、そのことを謝罪したかというような御質問であるとするならば、それは、夜陰に紛れて小さなボートで新潟県でありますとか、あるいは鳥取県もそういうのがあったと言われておりますが、海岸に夜陰に紛れて上がってくる者を海上保安庁あるいは海上自衛隊の能力をもって防ぐことができたかと言われれば、それは不可能に近いと申し上げざるを得ないことでございます。  これはもう本当にびっしり船を並べまして、その法的権原をどうするかも議論のあることでございますが、本当に水も漏らさぬ、ネズミ一匹通さぬような、そういうような警戒態勢をしいたとすれば防ぐことはできたかもしれません。しかし、あのような、まさしく委員テロとおっしゃいましたけれども、国家的テロ行為のようなものに対して我々が常にそれに備えることができたかといえば、それは極めて困難なことであったと思っております。  そういう行為をやること自体が許されないのであって、私どもがこのことについて国民の皆様方に申し訳ございませんと言うことは、かえって向こうを利することになるのではないでしょうか。
  103. 広中和歌子

    広中和歌子君 つまり、不可抗力だというふうにおっしゃるわけでございますか。  ともかく、日本の国、島々から成り立っているわけでございますけれども、一番大切なのは、いわゆる沿海のサーベイランスというんですか、それこそ沿岸の警備ではなかろうかと思います。  二十年間こういうことが放置されて、そして今になって大きな問題になっているわけですけれども、これについて北朝鮮の方は、もう問題は解決したことだというふうに言っております。私たちは、北朝鮮との関係を良くするために、改善するために国交正常化ということを一日も早くしなければならないわけですけれども、政府の立場としては、この拉致問題が解決するまでは国交正常化交渉はあり得ないと言っている。片や、北朝鮮は、それはもう終わったことだと言っているわけですけれども、これに対して、何をもって拉致問題は解決したというふうに日本政府は決めていらっしゃるのか、そのことについてお伺いいたします。
  104. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 現在、政府が北朝鮮に対して今要求をしていることというのは、拉致されて日本に帰ってきていらっしゃる五人の方、この方の家族、北朝鮮にいる家族を日本に帰国させること、それから事実の解明、これをやることということであるわけでして、これが具体的にそういう、どういうことなのかということについては、これは御家族を始め関係者が納得をする形で解決をされるということが重要だと思っております。  我が国政府としては、北朝鮮との間で日朝平壌宣言にのっとって問題を解決をしていくということは、基本的な姿勢としてこれに変更は全くないわけでございます。  拉致の問題については、これは私もこの間国連の場で言いましたけれども、また総理も今ASEANの場でそのことについてもおっしゃっていらっしゃいますが、国際社会の理解協力を得ながら、北朝鮮がこの問題について前向きで具体的な対応をするようにこれを引き出していくという考えでおります。
  105. 広中和歌子

    広中和歌子君 済みません、もう時間なのでやめなきゃいけないんですけれども、五人とその五人の家族の帰国ということではこれは収まらないんではなかろうかと思います。そして、事実解明というのも、掘り下げていけばもう本当にどこまで行くか分からないという中で、北朝鮮との国交回復というのはほとんど不可能だというような思いがするんでございますが、そのコメントをもちまして私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  106. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  官房長官が記者会見で御退席中でございますので、まず石破防衛庁長官から御質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、このテロ特で随分議論を重ねてまいりました。私は、どちらかというとこの法案自体というよりもその背景にあるような物の考え方、政府側の基本的な考え方について幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、これはもう、ちょっと通告をしておりませんが、基本的なことでございますので、そのテロというものとの戦いについて石破防衛庁長官の御見解を伺いたいと思います。  そもそもテロとどう対峙するか。これは各国であるとか地域によってそれぞれのテロとの戦いの意味合いというのは違ってくると思います。日本には日本の、中国には中国の、あるいはASEANに代表されるような東南アジア諸国には東南アジア諸国の、それぞれのテロとの戦いというのがあろうと思いますが、石破防衛庁長官のこのテロとの戦い、どういうスタンスでテロというものをとらえ、どう向き合っていくのか。非常に基本的なことでございますので、事前通告をいたしておりませんが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  107. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) テロとの戦いというのがポスト九・一一の後のキーワードになりました。例えばロシアがチェチェンの武装ゲリラと戦っている、このこともテロとの戦いである。あるいは中華人民共和国が一部の宗教あるいは民族との間にいろんなトラブルが起こる、これもテロとの戦いというふうにとらえられる。じゃ、アメリカ合衆国が今アフガニスタンテロと戦っている、オサマ・ビンラディン、オマル始め戦っている。じゃ、フィリピンでアブ・サヤフがある。いろんなテロがありますが、それをすべてテロとの戦いということでひっくるめて、いろいろな起こっておりますことをオーソライズするということには、私どもはある意味で慎重でなければいけないということがあるのだろうと思っています。それをみんな、じゃ、例えばパレスチナだってあれはテロとの戦いなんだ、いや、そうじゃないんだ、そういうことがあります。  私はテロとの戦いというものの重要性は本当に認めるものですし、それが大量破壊兵器を持つということは本当に我が国にとっても大変な脅威ですが、テロとの戦いという言葉をきちんとそれぞれの事象ごとに精査をして認識をしませんと、あるいは事柄の本質を見誤ることが間々あるのではないかという懸念を私は最近持っておるところでございます。
  108. 松井孝治

    ○松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんですね。日本の北朝鮮問題というのも、これは外務大臣おいででございますが、あれをテロというふうに認識するかどうかという議論も国会でもいろいろございました。テロという一言でくくっても、その事象ごとに性格が大分違うと私も思います。そのことをまず確認させていただいた上で、石破防衛庁長官に、そもそも防衛庁長官として防衛力整備の在り方ということについてお尋ねをしてみたいと思います。  防衛庁の庁内においても在り方検討会議でしょうか、議論をしておられます。この前の通常国会で、たしかこの委員会での委員でもあります福島委員からも、福島議員からも御議論があったというふうに私も記憶しているんですが、今後の防衛力整備、例えば北朝鮮の脅威のようなことを考えても、これは従来の防衛力の在り方、たしか前回の大綱というのは九五年だったと思いますけれども、そこからやはり大分国際環境は変わってきている、あるいは軍事技術の革新というものも相当生じている。  そんな中で、ちょっと私、事務方に御協力をお願いをしまして、これはたしか福島議員が前の通常国会で御質問されたと思いますが、陸海空のシェアを数字をちょうだいをいたしましたら、ほとんど変わっていないですね、ここ五年間ぐらいで見ても。これは当然、今、日本が置かれている状況の中で国際的な脅威というのもあるわけで、それの性格が変わっている中で陸海空のシェアが変わらない。そのシェアの中で装備の構造改善というのがどんどん行われているのかもしれませんが、普通に考えればそれは当然変わってしかるべきだと思うわけであります。  そして、たしか前国会では、福島議員からその予算の組み方というものを少し大臣のイニシアチブで変えたらどうかと、例えば一〇%ずつ各陸海空の予算をカットして、その部分を重点的に石破長官のイニシアチブで重点配分するようなことも含めて考えたらどうかという御提案があって、石破防衛庁長官は非常に複雑な表情をされながら、しかしそれは一つの御提案であるという御趣旨の御答弁をされたことを私は記憶をしております。  そういう意味で、今、防衛力整備の在り方を庁内で非常に活発な御議論をされているというふうにも伺いますが、国民にはその活発な御議論というのが見えません。この防衛力整備の在り方、この陸海空の見直しも含めて、シェアの見直しも含めて、石破長官はどれぐらいの指導力を発揮されているのか、あるいはこれからされるのか、具体的に御答弁いただけませんでしょうか。
  109. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 福島委員とそのような議論をさせていただきました。何点か問題点があるのだろうと思っていますが、一つは、今の大綱は平成七年にできたものでございます。村山内閣の下で、自民、社会、さきがけ政権の下でできたポスト冷戦期というものを念頭に置いて作られた大綱に基づきまして今やっておるわけでございます。その後にテポドンが飛んで、ノドンはその前に飛んでいるんですが、テポドンが飛んで、工作船が能登半島にやってきて、そしてまた奄美で事件が起こり、そしてまたセプテンバーイレブンが起こったということがございます。  今の大綱の姿勢が基本的に間違っているとは私は思いませんが、これがポスト冷戦というものをにらんだものであったとしても、ポスト九・一一を的確に予測し得たものであったかといえば、それは多分違うのだろうと思っています。あるいは、海上防衛力について申し上げれば、ソ連の原子力潜水艦の脅威というものを念頭に置いて整備を図ってきた部分がございますが、じゃ、ロシアの潜水艦というものがそれと同じだけの脅威なのかということを言うならば、それはあるいは違うのだろうということも認識をしなければいけません。  つまり、私どもはどのような、脅威という言葉が悪ければ危険性とか懸念と申し上げてもいいのでありますが、そういうものに本当に適切に対応し得る陸上防衛力であり海上防衛力であり航空防衛力であるのかということについて、きちんとした答えを出さなければいけないのだろうと思います。今のままがいいというのならば、その検証をしなければ国民に対する責任を果たしたことになりません。いけないというのであれば、何に対してどのように対応するかということを出さなければいけません。  その中で、シェアのお話がございました。シェアは確かに別に固定をしているというわけではございませんが、コンマ何ぼしか変わらないというのがずっと何年も続いております。これは単年度主義、憲法に基づきます単年度主義に由来をするものもございます。つまり、戦前のように臨時軍事予算みたいなことで何年にもわたって予算を組むという仕組みにはなっておりませんので、単年度主義に由来するものが一つ。  もう一つは、船にいたしましても飛行機にいたしましても戦車にしてもそうですが、一回装備をいたしますと、じゃ、これ全部捨てる、スクラップだと、まだその耐用年数は残っているがどうも脅威に対応できそうもないので全部スクラップしましょうというわけにはなかなかいかない。これは耐用年数との問題もございます。そうしますと、基本的な装備というコアの部分が変わりませんので、そのメンテナンスの費用、人件費というものは変わりません。したがいまして、結果として同じようなシェアが続いてきた。これは日本だけではなくて、アメリカにおいても同じでございます。  ただ、これを、先ほど先生が御指摘になりました在り方検討の中で、いやいや、そうかもしれないが思い切って見直すべきだと、仮に耐用年数を、これは会計検査院との関係がございますが、耐用年数が残っていたとしても、それを残しておくことが日本防衛力にとってどうなんだいという議論は、私は議論する価値があることなのだろうと思っております。  要は、存在することに意義があるのではなくて、機能することに意義があるわけでございまして、私どもは存在する自衛隊から機能する自衛隊へという妙なフレーズを、キャッチフレーズを使っておりますが、そのことにリーダーシップを発揮をしなければならないのだろうと思っております。  憲法との関係、会計法との関係、財政法との関係、そういうものも整理をしながら、どうすれば機能する自衛隊になるのかということをきちんと議論をする、そしてそれはまさしく納税者の代表であられる国会の場において、今、松井委員が御指摘になったようなことをきちんと議論をすることが肝要なのだろうと思っております。
  110. 松井孝治

    ○松井孝治君 長官、今、私も納得できる答弁だったんですが、私が具体的に伺っております、そのシェアが固定されているように見える、しかも五年とかいうレベルではなくて、もう少し前までさかのぼっても、例えば陸のシェアというのは、昭和六十三年度で三五・九で、むしろ平成十五年度は三七・八と増えていますが、多少ね、しかし大きく言うとほとんど変わっていない。むしろ、恐らく人件費に由来するんでしょうけれども、シェアが増えているという状態であります。  こういうシェアについては今、国会等の議論も踏んまえて、あるいは憲法上の制約というふうにおっしゃいましたけれども、そういう単年度主義的なことも今後見直すことも含めて、あるいは耐用年数の問題、償却の問題の見直しなども含めて、シェアを変更する方向で政治的リーダーシップを、あるいは変更することに目的があるのではないのかもしれませんが、シェアの固定化ということを決して制約にはせずに議論をされるというふうに理解してよろしいんですね。
  111. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私、先般、防衛庁長官として留任をいたしましたときに内閣総理大臣からいただいた御指示は、これは記者会見で申し上げましたが、弾道ミサイルやテロの脅威に対応するために、言葉は正確ではありませんが、対応するために、現在の組織、装備を思い切って見直し、効率化を図ることという指示をいただきました。  それは、かなり思い切ったお話、思い切った見直しを行えということでございますから、つまり、今の組織や今の装備が現在我々が直面しておる脅威と言っていけなければ危険性に対応できないのであれば思い切って見直せというのが最高指揮官であります総理大臣の指示でございます。  それを守るということが防衛庁長官の責務でございますから、結果として、そのことが目的でないのは委員御指摘のとおりです、結果としてシェアが変わるということは当然あり得ることでございます。  ただ、その場合には、スクラップ・アンド・ビルドというものをどのように考えるか。今、委員がいろんな法律の御指摘もなさいました。そこも含めて、何が納税者に対して誠実な防衛力整備なのかということは、納税者の代表であられる議会とも私どもはきちんと議論をしながら決めてまいりたいと思っております。
  112. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。それじゃ、もう少し具体的に伺いましょう。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  BMDの配備ということについて大臣は積極的に進めておられます。十六年度予算要求でも一定の規模の予算が要求されています。これ、BMDは何年間ぐらいで配備を終えて、そして幾らぐらいの総予算になるんでしょうか。単年度主義ですから答えられないんでしょうか。  今の大臣の御答弁でいうと、単年度主義といっても、それは国会できちんとその整備の効率化、機能化、機能の高度化というものは議論すべきだという御答弁でしたが、そこははっきりとお答えいただきたい。
  113. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、現時点におきまして、防衛庁といたしまして概算要求をしておる段階でございますから、政府として決定をしたものではございません。そしてまた、総額につきましてもいろんな報道がなされております。それは決して当たらずとも遠からずということはあろうかと思いますけれども、私どもとして、総額がこれぐらい、そして一応、海上配備型SM3でございますが、それとパトリオットを組み合わせた現在のシステムというものがワークするようになるまでにどれぐらいということも、今、確たることは申し上げられません。  しかしながら、このことは何のためにやっているかといいますと、これは、どことは申しませんが、弾道ミサイルの恫喝、威嚇に屈して外交を曲げることがないようにということだと思っております。外交はもちろん内閣の専権事項であり、私どもがとやかく申し上げることではございませんが、弾道ミサイルの恫喝に屈しないためにということをやっておるわけでございまして、その整備というものは、その目的がきちんとかなうように、相なるべくは早く進められるべきものと考えております。  しかし、弾道ミサイル防衛の導入につきましては、今後、安全保障会議の議を経まして、そして最終的には国会で御予算をお認めいただくかということにかかっておるのは言うまでもございません。
  114. 松井孝治

    ○松井孝治君 ですから、それを防衛庁長官としてはどういうスタンスで臨まれているかというふうに伺っているんです。政府としての統一した見解を今ここで申し上げてくださいと言っているわけではありません。  例えば三年間で五千億規模なら五千億規模で我々は導入したいと考えている、しかしながらそれは政府部内で議論が必要です、まだ決まったわけではないと、そういう答弁でも結構ですから、防衛庁長官としての政治的意思というのを明らかにしていただきたい。
  115. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、数字を申し上げます以上はその積算根拠が必要になると思っております。それは、例えばSM3でどれぐらいの地域がカバーできるか、あるいはパトリオットでどれぐらいの地域がカバーできるかということにつきまして現在最終的に確認をいたしておるところでございます。  したがいまして、いついつまでに幾らということについて積算根拠を持って責任ある数字を申し上げることはできないということでございます。  しかしながら、これが何年掛かってもいいというような、そういうような気の長い悠長なお話ではございませんので、これは当然目標というものを置きまして、最終的な予算、政府としての予算要求という形にさせていただきたいと考えております。
  116. 松井孝治

    ○松井孝治君 積算というふうにおっしゃるとそうかもしれませんが、例えばイージス艦あるいはペトリオット、これを何年程度で配備を終えるのか、そういう目標は示されてもいいんじゃないですか。ペトリオットは例えば何年以内に配備を終えるというふうに考えておられるんですか。これは言えないですか。  何か、私も昔霞が関で働いていたことがありますが、こういうことを大臣が言おうとしても、個別に財政当局が大臣の答弁をチェックして、言わせないようなことがしばしばありましたが、私は別に、政府として、財政当局も含めて、確たるお答えを求めているわけではないんです。大臣として、この国の国民の生命、財産を守る観点から、こういう装備については一定の期間内に整備を終えたいという意思を国会の場で表明できないということで、本当に国務大臣として指導性が発揮できるんでしょうか。
  117. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、繰り返しになって恐縮でございますが、例えば金額であればどれぐらいと問われた場合に、五千億程度ということは今までもお返事をいたしてまいりました。ただ、この五千億というものが、今申し上げましたように、当面の、海上配備型のイージスシステム搭載型護衛艦に積みましたSM3、あるいはパトリオット、これをどれぐらいの数そろえて五千億になるのかということにつきまして、私としましてきちんとした積算根拠を持って、五千億ということはかくかくしかじかこういうことでありますということを答えられる段階にはないということでございます。  しかし、これは平成十六年度予算として政府として国会にお認めいただきますときにきちんとしたことをお示しをしなければいけないと思っております。金額あるいは年限につきまして可能な限り早く国会にも国民にも御提示をするのが私の責務であるということでありまして、何も財政当局にあれこれ言われてそれを示さないということではございません。それを示すべきときにはきちんとお示しをするのが政治の責任だと心得ております。
  118. 松井孝治

    ○松井孝治君 じゃ、今の段階ではまだ示せない。来年の予算委員会の場では明確にそれは、政府として十六年度予算を決定したときには明確にそれは示していただけるというふうに理解してよろしいですか。イエス、ノーで結構です。
  119. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おおむねそのように御理解をいただいて結構でございます。
  120. 松井孝治

    ○松井孝治君 それでは、こればかり議論していてもしようがありませんので、次に移りたいと思いますが。  私、そういう装備の防衛技術の進展に沿って、あるいは我が国が直面する危機の性質、状況によって装備を抜本的に見直していかなければいけない、そのスタンスは大変結構だと思っております。ただ、やはり国民負担という問題も、これは非常に財政が厳しい状況ですから、私は若干財政当局をやゆするようなことを言いましたけれども、それは我々も意識していかなければいけない。  そのときに、例えば、そうですね、具体的にこの今回ちょっと事務的にいただいた資料で、このDDH、ヘリコプター搭載護衛艦、これ大変大きな規模のものですね。これ、十六年度予算要求で一千億以上計上しておられるし、後年度負担も一千億以上ありますから、二千億以上掛かるものですね。これは当然、安全保障上の理由ですか、理由があって、国内に発注されるわけですね。どこかの会社に発注されるということになろうと思います。恐らく、機能的にもこのような護衛艦が必要だという判断でしょうし、私も別にそれに異を唱えるわけではありません。  しかしながら、本当にこの護衛艦が二千億というこのコストが適切なのかどうか、これは非常に難しい議論で、やっぱりこれは国会できちんと議論をしていかなきゃいかぬ。そのときに、安全保障上の要請がありますから、これ、どこでも発注したらいいと、安けりゃいいというものでもないこともよく理解できます。しかし、やっぱり財政が厳しい中で、非常に機能の高いものを効率的に調達をしなければいけない、これは非常に難しい課題ですね。  そこで、やっぱり問題になってくるのが、大臣、どうでしょうか、この納税者の利益というのを守るのは我々の責務ですよ。そして、今必要とされる国家安全保障というものを確保するための装備を整えるのも我々の責務ですよ。その中で、武器輸出三原則というのが非常に大きな制約になっているという部分があります。もちろん、武器輸出三原則というのは非常に重要な原則でありますが、ここら辺は、我が国としてどのような防衛産業を持つのか、どのように高度な防衛力を持ち、そしてそれを効率的に整備するのか、その中でこの武器輸出三原則の在り方というものを大臣はどう考えておられるのか、議論を庁内で始めておられるのか、あるいは政府部内で始めておられるのか、その点について御見解を賜りたいと思います。
  121. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 武器輸出三原則につきましては、委員も通産省に長く御在籍でありましたから大変お詳しいだろうと思っています。  これは、そもそもの武器輸出三原則があった、これはココム対象国あるいは紛争国に対しては武器の輸出を行わないということでございましたし、その後、三木内閣になりまして、それ以外の地域においても武器の輸出はこれを慎むということになりました。例外として、アメリカに対する技術というものがございます。それは先生御案内のとおりです。  要するに、我々は手を血で汚しません、手を血で汚して外国にそんなものを輸出するようなことはいたしません、死の商人みたいなことはいたしませんという誠に美しい話であって武器輸出三原則というものはできたわけでございます。結果として、それは日本の国の武器によって紛争が助長されることもございませんでした。日本が死の商人というふうに非難をされることもございませんでした。そのことの精神は私は今後も尊んでいかねばならないと思っておりますし、政府として武器輸出三原則というものを見直すという予定も現在のところないわけでございます。私もその考えに変わりはございません。  他方、例えば自由民主党の中におきまして防衛政策検討委員会というものがございます。私も、大臣になります前、それにかかわったことがございますが、例えば自由民主党の国防部会の提言として、その精神というものはきちんと守りながらも武器輸出三原則というものをある程度見直していくべきではないかという御提言が例えば自由民主党からなされておるということは承知をいたしております。  そして、納税者のことを今先生が御指摘になりましたが、例えて言いますと、我々の九〇式戦車というものは一両が一番高いときは十億以上いたしました。今九億ぐらいまで落ちておりますが、一両がそれぐらい高いわけでございます。じゃ、アメリカのM1という戦車が幾らなのと、こう聞きますと、これは一両が一億五千万とか一億六千万と、そんなお話でありまして、単純に比較をすることは困難ですが、非常に粗っぽく言っちゃいますと、日本の戦車一両でアメリカの戦車が六両買えると、こういうことが起こるわけでございます。  何でかといいますと、日本の場合には一年に十六両ぐらいしか生産をいたしませんものですから、大変に少量生産ということになりましてコストは高い。しかし、日本は死の商人と言われることもなく、日本の武器によって世界で紛争を助長することもない。しかし、それが大量生産が難しいということで、これは納税者の御負担をいただいておるということでございます。F15のライセンス生産にいたしましてもそうでございますし、今先生がおっしゃいました艦艇につきましてもそういうことが言えます。  ですから、そのことについて、私どもは武器輸出三原則を変更するということを申し上げているわけではございません。納税者の御負担をこれだけいただいているということはきちんとお話をしなければいけないことです。防衛産業の在り方としてどうなのかということも、これは経済政策の面からも論ぜられなければいけないことだと思っております。  私どもとしてそういうものをどうやって多角的に見直していくか、これも先ほど来同じことを何度も申しますが、納税者の代表たる議会においてこのことは本当に今後とも堅持をしていくべきだということの御議論、こういうものも併せて政府の姿勢とともに必要なものではないかと思っておる次第でございます。
  122. 松井孝治

    ○松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんです。今むしろ大臣の方から詳しく御説明をいただいたと思うんですが、装備の近代化、そしてその効率的整備ということを、納税者の負担ということでそれを最小限でやるんであれば、それは海外に依存すればいい。あるいは、いや、それは安全保障上の理由で国内生産というものをきちんと拠点を整備すべきだという考え方に立つんであれば、今の武器輸出三原則の下であればそれは高いコストが掛かるんだということを国民に納得してもらわなければいけない。あるいは、安全保障上の理由で国内に拠点を持ち、なおかつそれをできるだけコストダウンするべきだということであれば、それはおのずと何らかの武器輸出三原則の見直しのようなことが必要かもしれない。しかし、それは、今、正に大臣がおっしゃったように、非常に我が国の従来の原則、原理原則を大きく変更しなければいけない。  私は、そういうことについてきちんと、国会もそうですが、政府側もきちんとそれは説明して、何も中身のことを、安全保障上の機微にわたる事項を全部開示しろと言うわけではありませんが、きちんとそういう、どういう選択を国民はするんですかということを議論をしていかなければいけない。そういう議論が不足しているんではないかということはこの場で問題提起をしておきたいというふうに考えます。  この議論をしておりますと非常に長くなりますので、今お話があった武器輸出三原則の関係でちょっと考えさせられることがありました。実は今日、その関係で海上幕僚長に政府参考人として御出席いただけないかということを理事会で御協議いただきましたが、協議が調いませんでした。  ちょっと中身の話に入る前に、これ、防衛庁長官、海上幕僚長がこの国会で答弁されるということは防衛庁として何か差し障りはございますか。
  123. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 差し障りはございません。
  124. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。それは、そういうことでしたら、防衛庁としては幕僚長が国会に出られることは差し障りないということですから、むしろ国会側、議会側の議会運営としていわゆるシビリアンでない方を国会の議場にお招きをしてその方の答弁を求めるということについては我々側の課題だというふうに私は今の御答弁で認識をさせていただきました。これは議事運営にかかわることですから、今後理事会等で御議論をいただければいいというふうに考えております。  それで、何で私が海上幕僚長においでいただきたかったかということを説明いたしますと、先日といっても少し前ですが、テレビの特集を見ておりましたら、日本の老朽艦船、もう耐用年数過ぎた艦船を処分される、そのときに、これは先ほどの武器輸出三原則ありますから、これは本当に見事にスクラップしてしまわなければだめなわけですね。それが解体されてまた組み立てて活用されるということになると、武器輸出三原則上非常に憂慮せざるを得ない事態になる。それを非常に、船乗りという俗な言葉で言えばそういうことになるんでしょうか、その現場の自衛官の方々が非常に涙を流しながら愛する船が処分されるところを見送っておられるというそういうドキュメンタリーがございました。  伺うところによりますと、確かに耐用年限、先ほどの大臣のお言葉にあります耐用年数なんということに縛られずに装備の見直しというのはもっとしなきゃいかぬということかもしれません、ひょっとしたら、今後ますますね。そうなってきたときに、ひょっとしたらそれは法定耐用年数は過ぎているかもしれないけれども、その船自体は活用できる、まだ能力があるという状態があります。そのときに、同盟国に対してこの死の商人のようなことをする必要は全くないですね。  ただし、同盟国に対して、財政上の理由によって艦船がのどから手が出るほど欲しい、これは同盟国ですよ、そういう国家があって、それに対する国際協力一つの姿として、実際、海上自衛隊の方々が本当に涙を出すような形で自分の言ってみれば子供が処理されるような気持ちで船の解体を見送られる。そういう船について、平和的にその船を活用していただくというやり方が国際協力の在り方として考えられないのかどうか。  こういうことは、大臣、私はその現場の方に海上幕僚長に何か政策的な答弁を求めたくてお呼びできないかというふうに申し上げたんじゃないんです。ただ、現場の方でなければ分からない心情とか感覚というのが私は必ずあると思うんです。その御見解を聞いた上で、私はこの質問大臣に是非お答えいただきたい、そんな思いで幕僚長の御出席をお願いしたんですが、かないませんでした。かないませんが、大臣はそういう現場の感覚に非常に通じておられる、理解をしておられる長官であるというふうに考えます。  今の私の質問に対するお答えを賜りますでしょうか。
  125. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど差し障りがないというふうに申し上げました。ただ、委員が今まさしく御指摘になりましたように、政策的な判断というものを自衛官に求める、あるいはこの場におきまして自衛官が出ましてそういうような答弁を求められたときにどのように対応をするのかということも難しいと思っております。私は、本当に専門的な自衛官でなければ分からない技術的なこと、専門的なことについて知見を議員の皆様方に有していただくという意味合いにおいてそのことをどう考えるか。それは、議会の良識に基づいて御判断をいただくべきことかというふうに思ってお答えを申し上げました。  今、老朽艦艇の処分のお話でございます。  私は、以前、防衛庁副長官をしておりましたときに、イスラエル、UNDOFの視察でゴラン高原に行ってまいりまして、イスラエルの戦車博物館というものを見学をしたことがございます。そのときにも、アメリカから旧ソ連からドイツから、世界すべての国の戦車が並んでおりましたが、日本のものだけありませんでした。どうしてですかと聞くと、いや、武器の輸出に引っ掛かるんだってさという話でございまして、博物館に展示をするものも駄目と、こういうことに相なっております。誠に厳格なことでございます。もうこれ火を噴くことも何にもございませんが、駄目ということに相なっております。  で、老朽艦艇というものをどうするかは、これが武器輸出三原則に言うがところの武器に当たるかどうかという判断はまさしく経済産業省が行っておるわけでございます。これがストレートに武器に当たるかどうかという解釈を当庁としてできる立場にはございません。経済産業省として、これが武器輸出三原則に言うがところの武器の特性を有するかどうかという御判断をいただくことになろうかと思っております。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  他方、委員が御指摘のように、例えばフィリピンでありますとかインドネシアでありますとかマレーシアでありますとか、まさしくあの地域の海洋の秩序を守るということは我が国にとっても国益であります。そして、かの国にとっても国益でございます。しかしながら、陸軍国でございますので船がほとんどない、買いたくてもお金がない。そのときに、日本の古くなった船の船体だけでもくれませんかというお話は私ども何度もいただくことがございます。しかし、それは武器輸出三原則だから駄目なのでございます。  それが本当にテロ、海賊、そういうようなものに対して使われる、戦争ではなくて本当にそういうような、現在の我々が面しておりますテロ行為、海賊行為に対して使われるものであったとしてもそれは駄目なのだという立場を取っておりますが、そのことが本当にどうなのかという御議論は、それは議論として行えることはあるのだろうと思っております。  政府として、今それを輸出するという立場は取っておりません。武器輸出三原則の武器に触れるという御判断を恐らく経済産業省でなさっておられることだと思います。このことについて私は異論を申し上げる立場にもございません。しかし、それが本当に、アスロックも取り外し、五インチ砲も取り外し、すべてのそういうような兵装を取り外した上で、なおかつどんがらとしても駄目なのだろうかという御議論は、私はどうなのだろうというふうに思ってはおります。  政府として武器輸出三原則を改正すると、そのようなつもりはございませんが、そういう問題が新しく武器輸出三原則ができたとき以降に生じておるということは、事実は事実としてあろうかと思っております。
  126. 松井孝治

    ○松井孝治君 そういう問題を認識しておられるんであれば、武器輸出三原則の解釈は、解釈、運用はそれは経済産業省かもしれませんが、大臣は、いつも申し上げますように国務大臣なわけですから、問題提起をされるのが国務大臣としての責務なんではないでしょうか。  私も、直ちに武器輸出三原則をノーズロにしろなんということは思いません、考えてもいません。しかしながら、本当にその原則のために原則があるのかといえば、我が国益のためにあるんでしょう、その原則は。その国益を守るためにどのような運用があるかというのは、これは大臣が議論をされないと、事務方にこんな議論をさせてはいけない。ましてや、私は自衛官の方にそんな議論をしていただくつもりもありません。  ただ、さっき自衛官の問題おっしゃいましたんで私も一言だけ申し上げますと、果たして、さっきのDDHの問題もあります、あるいはP3Cの後継機の問題もあります。本当に今、後継機として考えているものが自衛官の現場の感覚からいってそれが本当にふさわしいものなのかどうかは、そういう議論は私は、現場の方がなしで本当に議論ができるのか、その現場の装備の議論がですよ。それは、一定の限度の中でも国会に招いて議論をするというのは、どこの国でもやっていることじゃないんですか。  考えてみましたら、この議場で、あるいは国会議事堂の院内で私は制服の方を、お姿をお見受けしたことがありません。そこまで、私はシビリアンコントロールというのは厳格に守るべきだと思いますよ。しかし、現場においては、財務省に行ったって廊下でたくさん制服の方がいらっしゃって予算要求の説明をされている。それはなぜか。財務省が予算の査定をするときに現場の人の意見を聞かなけりゃ査定できないんですよ。当然ですよ。そんな現場の感覚が分からない人にいろいろ詰めて、これはどういう機能か詰めたって査定できない。それは財政秩序を守る上でも、現場の人の意見を聞いて査定をするというのは財務省はやっているわけですよ。  ところが、国会で予算の査定の議論もする、予算委員会で議論をするときにそれを排除するようなもし慣行があるとすれば、それはややあつものに懲りて何とやらというような議論ではないかと私は思います。しかし、これは議会の良識の下で判断される事項ですし、個別の委員がとやかく言う話ではありません。我が会派も理事を出していますし、ここは特別委員会ですから、恐らくは、外交防衛委員会でどういう議論をされるかということを今後御検討いただくのが適切かと思います。  済みません、時間がなくなりましたので、次の話題に移らせていただきたいと思います。  官房長官がお戻りでございます。このテロ特の議論として、やっぱり国内テロ対策というものも万全でなければいけないと思っております。  以前、あれは有事特でしたでしょうか、官房長官にも御議論をさせていただいて、そのときにも石破大臣もおいでだったし、川口大臣もおいでだったと思います。この国会議事堂というのは閣議室があるわけですね。それから、政府が現実に使用している部屋は閣議室だけじゃなくて総理大臣室もあります。官房長官室もあります。現実に国会開会中は相当程度官房長官もこの国会議事堂の中にいらっしゃるわけですね。ここの警備が本当に十分だろうかと。  官邸は、私、事務的にいろいろ警視庁からもお話伺いましたら相当、九・一一以降、官邸の建て替えもありましたせいかもしれませんが、百人規模の追加的警備部隊の投入、施設警備の投入ということをなされているようでございます。その官邸とていろいろ議論は、まだ不十分じゃないかと、警備が不十分じゃないかと、出入管理のときに、ほかの国の、ホワイトハウスでもどこへでも行ったときに、普通はエックス線のチェックぐらいはしますよと、あるいは入口一階のところまでエスコートの人が降りてきてきちんとチェックして、その動線全部管理できるようになっていますよとか、そういういろいろありますけれども、話が拡散しますのでそこまでは申し上げません。  ただ、この国会議事堂あるいは議員会館、これは一月には参議院の議員会館で、通用口から、あれは火炎瓶でしょうか、不審者が入って、それを爆発させる、炎上させるという事故がありました。  この国会議事堂の警備というのは、ある意味では国会の警備であるとともに、内閣の相当の機能がこの国会内で行われているということが現実にあるわけですから、これは事務総長、お忙しい中でおいでいただいておりますが、どのような警備の増強というのを、このところ行われているんでしょうか。
  127. 川村良典

    事務総長(川村良典君) 御説明申し上げます。  テロ対策警備につきましては、国民に開かれた参議院の実現と両立すべきという観点から、参観、傍聴、面会者等、特に制限することなく、衛視の配置増あるいは警備機器類の充実を図りながら本院の秩序保持のための努力を行っているところでございます。  施設整備といたしましては、十三年の秋以降、議院運営委員会理事会の御了承をいただきまして、議事堂各門に車両進入防止用のバリケードを設置いたしております。また、各門の衛視については二名体制といたしました。さらにまた、防災・警備カメラを導入いたしまして警備に万全を図っております。  傍聴に関しましては、傍聴券の交付時に、挙動不審者の早期発見に努め、エックス線手荷物検査器や金属探知器を使用して持ち物検査を実施しております。  また、参観者につきましては、金属探知器等によりまして持ち物検査を実施しているところでございます。  その他、郵便物等の慎重な取扱い、あるいは不審物の早期発見等に努め、警備強化を実施しているところでございます。  また、今御指摘ございました議員会館の警備につきましては、議員会館自治委員会の御了承の下に、構内の要所に防災・警備カメラを設置いたしました。また、裏玄関に監視ボックス、表玄関階段上には金属探知器等の設置等を行っておりまして、警備に万全を期しているということでございます。  以上でございます。
  128. 松井孝治

    ○松井孝治君 御努力を払っていただいていることは認識しております。しかし、本当にそれは十分でしょうか。  例えば、私も以前にこの国会議事堂の中で深夜、早朝も含めて勤務をした経験がありますが、夜間の国会議事堂の警備というのは非常に手薄だと思います。外側は、委員の皆さん御承知だと思いますが、外側の施設警備は、これ基本的に警視庁がなさっていますね。内側は、今二百名ぐらい、参議院では二百名ぐらい警備部の方々がいらっしゃいますね、衛視さんが。その方々がされていますが、夜間に外敵が例えば外側の防護壁を乗り越えて侵入して何らかの危険物をこの中に仕掛けるといったときに、夜間にどれぐらいの衛視の方々がこの建物の中にいらっしゃるか、外側のチェックはだれがされているのか、監視カメラがあると聞きますが、十何台あるらしいですが、その監視カメラの、余り細かいことを言うのは、ここの場で、議事録も公開されますから適切でないかもしれませんが、その監視カメラをどのような方々がどういう体制で見ておられるのか。そういうことをお聞きし、また現実にいろんな方々お話を伺うと非常に背筋が凍るようなものがございます。  ですから、これは官房長官、是非お願いでありますが、これは、国会のことは国会法に基づいて国会によってこの警備は行われるということは当然分かっています。ただ、例えば議員会館というのは、あれは全部が国会の施設じゃないんですね。要するに、あそこの委員長室とか一部の会議を行うところは国会の衛視さんの管理の下に置かれますが、それ以外は議員会館の自治組織としての管理の部分にゆだねられている部分があるわけです。  ですから、これは政府として、いや、こっちは国会だ、こっちは警視庁だということで余り縦割りの弊害に陥らないように、この国会周辺の警備、施設警備というのはこれは本当に、これだけ日本が、特に九・一一以降、国際的にはテロ撲滅のための戦いに挑んでいるわけですから、当然のことながらその標的にされる可能性もあるわけでありまして、そこの警備というものは何かがあってからでは遅いので、是非これは参議院の事務局の方にも更に一層のお願いをしておきたいと思います。  今まだ通用口の方なんかは非常に手薄であるということは、恐らく多くの議員は実感しておられるはずでございます。そして、同時に、例えばここの閣議室、閣議室は衆議院になるんでしょうか参議院になるんでしょうかよく分かりませんが、官房長官室は参議院ですね、そうですよね。そこの警備の在り方なども含めてきちんと連携をして万全を期していただきたい。  そして、そのようなことにもし本当に必要な経費が掛かるんであれば、全体の事務局経費を増やせという意味で私は申し上げているわけじゃありませんよ。しかし、そういう本当に国の中枢施設の警備のために若干のコストが掛かるんであれば、それは中身を精査した上できちんとそれは内閣の方針として充実をしていただきたいと思うんですが、官房長官に一言御答弁をいただきたいと思います。
  129. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今御指摘のこの国会の警備ということにつきましては、私も、それはそういうことについてどのぐらい国会の方で心配をなさっているのかなと、こういうふうには思ってまいりました。しかし、最近そういう意識もかなり出てきて対応をやっておられると、こういうような話も伺っておりますので、それなりに考え方は進んでいるなというふうには思います。  ただ、国会というところはなかなか難しいところで、官邸もそうなんですけれども、開かれた国会、この開かれた国会というのと警備を厳重にするというのは何か矛盾するような、そういうようなことがございまして、その辺で悩んでいる部分も随分あるんじゃないかなというように思っております。  しかし、これは社会情勢がどうであるかといったものとの関係もございます。しかし、重要なところは万が一ということも考えて対応しなければいけないということもありますので、その辺の兼ね合いを考えて今後対応していただきたい、これは国会の方にお願いをしたいというふうに思っております。  おかげさまで、官邸の方は新しい官邸になりまして、委員御指摘のとおり、かなり警備が厳重になったというように思います。しかし、それに、そういうふうにしますと、今度は開かれた官邸じゃないなんて、こういうふうに文句も言われまして、そういうところで難しいところもあるわけですけれども、幸いにして、官邸が新しくなったというそのときに合わせてそういう対応ができるようになったということでございます。  今まで、昔の官邸、二年半前までの官邸というのは、これは御案内のとおり小さな官邸でございまして、総理大臣の執務室の寸前のドアのところに記者の方々が二十人ぐらいたむろしている、常時たむろしていると、こういうようなことであって、本当にその安全が保たれるかということについては大変懸念いたしておりましたけれども、幸いにして今そういう状況ではなくなったと。  しかし、テロリストはその気になればどんなことでも考えますから、ですから、そういうような絶対ということはこれはあり得ないかもしれぬけれども、いかなる対応もできるようにというようなことを常々考えながら、今そういう警備ということを考えておるところでございます。
  130. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非よろしくお願いします。  国会の警備についても、それは国会でお任せするということではなくて、その財政的裏付けは内閣が行っているわけですから、そういうことも含めて私はお願いをしたいというふうに申し上げたということは念を押しておきたいと思います。  それで、時間がなくなりましたが、外務大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  今日は、たまたまですが、総理がASEANの首脳会議に御出席でございますが、歴史的な日だと思っております。ASEAN首脳会議が第一回が開かれたのは一九七六年であります。日本は第二回の首脳会議には既に招待をされていまして、ASEANという地域から、あるいは連合体から見ると、非常に友好関係、まあ田中角栄首相が不幸な訪問をされたことはありましたけれども、福田官房長官がおいででございますが、福田総理がその第二回の首脳会議にたしか招かれられたのではないかと私、認識していますが、良好な関係日本とASEANというのは持ち続けてきたと思いますし、日本外交も、非常にASEANについては格段の配慮を払ってきたのが日本のアジア外交の歴史ではなかったんではないかと思います。  今日の新聞に、今までほとんど報道はされておりませんでしたが、今日の新聞報道でお気付きになられた方もいらっしゃると思うんですが、ASEANが、ASEANという言葉はどこにもその条約上使っていないんですが、東南アジア友好協力条約というのが、たしか第一回のバリ会議のときに皆さんが発足させられたそういう条約があると思います。中身の、非常に拘束性があるというよりは、割とプログラム的な規定のある友好協定だと私は理解、友好条約だと理解をしておりますが、これに、大臣、中国とインドが今日署名をするはずですよね。それは御存じだと思うんですが、これは、日本は、この東南アジア友好協力条約、本日中国とインドが署名するこの条約に署名されませんかというお誘いはASEANからなかったんですか。
  131. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これはございます。ございましたということだと思います。  この条約、委員がおっしゃいましたように、七六年、ASEANが第一回の首脳会議をバリで開いたときに、五か国、当時ASEANは五か国でしたので五か国で採択をしたものであって、その後、二〇〇一年になりまして、当時ASEANの議長国はタイだったんですけれども、タイからASEANの対話国、これは日本も入りますし、インド、韓国、中国、アメリカ、豪州、ニュージーランド、EU、カナダ、ロシアといった国が入りますが、そういった国に対して加入を招請をしたということであります。したがいまして、招請は受けています。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 インドと中国は今日署名されるんですが、なぜ日本政府は、ASEANとの友好協力関係をこれほどまでに長年の間大事にしてこられた日本政府はそれに署名をしないんですか。
  133. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは今引き続き検討中であって、正式に入らないとか入るとか決定をしたということではないということです。  それで、どういうことを検討しているかということなんですけれども、これは幾つかあります。まず、委員が御指摘になられたように、日本とASEANの関係は非常に深いものがあります。経済社会の発展、これはもちろんASEANの国々自身のその自助努力というのももちろんありますけれども、日本のODAや企業の投資、あるいは貿易がなければここまで発展をしてこなかった。その点についてはASEANの国も非常によく認識をしていて、日本もそう思っている関係にあります。今年の十二月にASEANの首脳会議というのが日本で開かれますけれども、これはASEANの首脳会議が域外国で開かれる初めてのものでして、それぐらいの関係にあるわけです。  したがって、ASEANと日本はそれぐらいの関係を持って既にいるわけですから、条約、この条約に日本が今の時点で加盟をするということの意味が何なんだろうかと、そういう条約がなくても十分に強い関係にあるというのが一つの考えている点であります。  それから、二番目に申し上げたいのが、これは条約というものについての国によって考え方が違うということでして、おっしゃるように、ASEANのTACというこの条約は、ASEANを作っている基本文書的な性格を持っているものでありますけれども、いろいろなことが書いてあるわけです。我が国の条約についての考え方というのは、非常にきちんと条約の中身を精査して、我が国国内法で担保できているかとか、それのもたらす意味合いというのは何なんだろうかとか、非常にきっちり議論をした上で入る、入らないということを決めるということですけれども、それに対して、中国、インドといった国は、そういった吟味をするということではなくて、非常に、ASEANの国もそういう考え方をする国が多いと思いますが、非常にざっくりと考えて入るという姿勢を持っているというふうに思います。  それで、我が国として、そういう意味では日本の条約の考え方というのはそういうことでございますので、この条約自体、七六年に原加盟国が入って、それ以来ずっと長い間、ほぼ三十年弱の間ASEANの国々がこの解釈をしてきた。我が国としては、原、この条約を議論したときにメンバーではありませんから、一つ一つの文言について、例えばどういう意味合いを持っているかとか、この解釈は何なんだろうかと、そういうことについて我が国が今までの蓄積ということがよく分かっていないわけで、入ろうと思ってきちんと精査をしようと思うと、そういうことが分からないとできない。そういった点があって、今まだ正式に決定をしていないということです。
  134. 松井孝治

    ○松井孝治君 外務省の条約局長の御答弁だったら今の御答弁で私も納得できるかもしれませんが、これは国際政治の現場のお話ですね。  それで、ざっくりと入ったかどうかの判断は、それはざっくりととおっしゃって、あたかも中国政府やインド政府がアバウトであるというような言い方をされたのは私はちょっと問題があると思いますが、そういうことではなくて、やっぱりリーダーの判断でASEANとの協力関係を政治的意思で前に進めようという判断を少なくとも中国はしたし、インドもしたんですよ。歴史的に長い関係がありながら、いや、この条約の文言のそれぞれの意味がどういう意味を持つのかよく分からないから入りません。それはね、大臣、申し訳ないけれども、局長や昔でいうと政府委員の答弁だったら、それは私は理解しないわけではないけれども、大臣の答弁ではないと思いますよ。  あのね、大臣、答弁求めておりません、今。私が言いたいのは、例えば新聞記事でも書かれているんですよ。外務省の中でも、これ新聞記事に書いてあることがすべて事実とは限りませんが、この読売新聞に書いてありますよ。アジア局は、日本も調印すべきだというスタンスがあった。ところが、総合外交政策局は、こんな時代後れのシャツを着る必要がなかった、ないと言っていた。で、ASEANの人たちは、どうして日本はまたまた米国に気兼ねをしてそろいのシャツを着てくれないんだと、これだけASEANの政府日本に対して期待をして深い関係にあるのに、そのシャツの柄が気に食わない、ここの柄の模様の意味が分からない、そういうことでそろいのシャツも着ない。  そして、どちらかといえば、大臣よく御存じでしょう、中国なんというのは、ASEANはむしろ発足の経緯からいって中国をある意味で意識した集団ですよ。その中国が入るというときに、いや、日本はこのシャツの柄が気に入りません、ちょっとデザインが悪いです、そういうことでASEANとそろいのシャツを着ない、そういうふうにASEANの方々からは思われているんですよ。  私は、マレーシアのマハティール首相が、今回、勇退されるマハティール首相がEAEC構想を提案したときに、直ちにEAECに乗ることだけが日本外交ではないと思ったけれども、あの後の紆余曲折、アメリカから言われた、ジム・ベーカーさんから言われた、それをもって態度を変える日本政府のこの姿というのをずっと見てきましたよ。同じように見えているんですよ。FTAの話も同じですよ。政治的意思というものは日本政府にないのかと。どんなふうにASEANの方々から日本政府が思われているのか。  やはり是非、私、別にここで外務大臣をなじるつもりはないんです。むしろ、外務大臣ね、外務大臣はいつこの、私が聞きたいのは、いつ外務省の事務方からこのASEANの東南アジアの友好協力条約の加盟の話を、加盟すべきですか加盟すべきでないですかということをいつ外務大臣は相談を受けられましたか。二〇〇一年に提案があったというふうにおっしゃっていますが、いつ相談を受けられました。
  135. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず申し上げたいのは、私が先ほど二点申し上げたうちの最初の点がその政治的な判断はどうかということでのお答えで、一つの議論として今やっていますということで申し上げたのは、ASEANと日本は別な柄の、もっと多分複雑な柄のシャツをともにもう既に着ているということを申し上げたんです。それを着ているから、TACという柄のシャツを日本が今着ることに一体どれぐらいな意味があるんでしょうかと、そういう議論を申し上げたわけで、それが議論の半分です。  それからもう一つアメリカに言われてやっているかとかいうことで、これはこんなことは全然ありませんで、我が国として、委員がおっしゃるように、ASEANとの関係というのはもっともっと強くしていかなければいけないと思っているわけでして、そういう意味で、ASEAN首脳会議ですとか、それから今回その枠組み条約に、今回、ASEANともいろいろな話をして、失礼しました、いろんな話をしておりますけれども、そういったことの議論をしているわけでして、その重要性はもうつとに認識をしています。アメリカに言われたということではなくて、我が国とASEANの関係がどうあるべきかということをベースに、自主的に判断をして検討をしているということです。
  136. 松井孝治

    ○松井孝治君 私が伺っているのは、いつ事務方からこの条約に署名すべきかどうかということの判断の、大臣はその判断を求められましたか。いつ、その時期だけ言ってください。
  137. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 答弁は簡潔にお願いします。
  138. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 失礼いたしました。  私は二〇〇二年の二月に外務大臣になりまして、昨年、ASEANとの会合に出席をいたしました。その前にそういう話を聞いております。
  139. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、まだ御判断されていないということです。私は、その、古い柄かもしれない、そのシャツを着て、そしてなおかつ新しいジャケットを着ればいいんじゃないかと、そんなふうに思っています。それは全く整合的であります。この東南アジア友好協力条約の中身を見ていただいて、それは確かにオールドファッションな文言が並んでいるかもしれない、しかし悪いことが書いてあるわけではない。その上で、さらに十二月に憲章を求められるなら、その憲章には反発も出ているそうですが、それはそれで新しい関係を築かれたらいいじゃないですか。そういう判断をするのは、私は外務大臣の仕事であると思います。いかがでしょうか、その余地はございますか。
  140. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ASEANと日本関係というのを今後どのように持っていくかということは、私は今非常に大きな課題であると思っております。今までと違った意味で別な課題、その地域のいろいろな問題が変わってきておりますので、大きな課題であるというふうに思っています。  そういうコンテクストでこの問題も引き続き検討していきたいと思っています。
  141. 松井孝治

    ○松井孝治君 北米局が反対されたのか、総合外交政策局が反対されたのか、新聞報道はありますが、それは事実はどうか分かりません。  ただ、私が申し上げたいのは、過去の経緯は結構です。ASEANの方々は、日本がまた対米配慮をして、中国もインドも主体的に判断していることについて対米配慮でこの条約に署名をためらっている、そういうふうに見られているということを踏まえて、是非、大臣、そして政府の積極的な検討をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  142. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  143. 若林正俊

    委員長若林正俊君) ただいまから国際テロリズムの防止及び我が国協力支援活動等に関する特別委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、神本美恵子君及びツルネンマルテイ君が委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子君及び信田邦雄君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  144. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 休憩前に引き続き、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。昨日に続いて質問させていただきます。  私は、昨日も言いましたけれども、軍事力優先でテロを撲滅することはできないということがアフガニスタンの問題、イラクの問題併せて明らかになっていると思います。イラクの問題は、テロの問題というより、武力である国の政権を倒してその国を安定させることはできないという問題だと思います。  テロ勢力というのは、私は、一定の進展があったとおっしゃいますが、基本的には温存されていると見るしかないと思います。それは、掃討作戦を繰り返されながらも、ウサマ・ビンラディンやタリバンの最高指導者オマール師等も、主要な指導者はまだ拘束されていないという状態ですね。二年たった現在こういう状況にあるということは、これはアメリカが二年前にあそこへの武力攻撃を決定した当時に予測されていたことからいっても、そのとおりにならないでいると思います。  二年前の十月七日、アフガニスタンへの武力攻撃開始命令を下した際のブッシュの演説、ブッシュ大統領の演説によれば、テロリストたちは洞窟を掘るなどしてざんごうを築き身を隠すかもしれない、我々の軍事行動には、持続し裁きの場に出す目的もあると。もう裁きの場に彼らは引き出されていなければならなかったと思いますが、まだどこにいるかも分からないと、こういう状況であったとなっているということです。  そもそもこの目的が達せられたというふうにお考えになるかどうか、まずこの点からお伺いします。
  146. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 軍事力ではテロはなくすことができないというふうに委員がおっしゃったわけでございますけれども、今世界がやっているのは、テロに対してイラクあるいはアフガニスタンで行っている直接的なこと以外にたくさんの国際的な協力、協調をやってテロ対策をやっているということであります。テロというのは息の長い戦いであって、そういったありとあらゆる努力をつぎ込んでいく、それによってだんだんにそのテロをなくしていくと、そういう考え方で今世界は動いているというふうに思います。
  147. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、そういう答弁を予期して軍事力でと言わないで軍事力優先でというふうに言いました。それは、あの武力攻撃決定の際にも我々は言ってきたことでありまして、これは各長官、大臣等に日本共産党が二年前各国首脳に送った提案もお渡ししておきましたから読んでいただいていると思いますけれども、当時も我々はせっかちな軍事行動では解決しないで、困難が深まるばかりだと、こういうふうに言いました。  そのせっかちかどうかという問題はまた後でやるとしまして、その演説でブッシュはこういうふうにも言っております。同時に、虐げられたアフガニスタンの人々は米国と同盟国の寛容さも知ることになるだろう。軍事標的を攻撃するとともに、我々は飢えに苦しむアフガニスタンの老若男女に食糧、医薬品を投下すると。米国はアフガニスタン国民の友人であり云々と、こういうふうにも言いました。確かに、彼らはこういう物資も投じました。しかし、同時にこういう食料品などとともに彼らはたくさんの爆弾を投下し、クラスター爆弾というようなものを投下して民間人の多数の犠牲者が出るようになったと、こういうこともまた事実であります。  ブッシュ演説によればテロリストは洞窟の中に逃げ込むだろうと、こういうことになっていたところへクラスター爆弾なんというのが投下されるのは、これは一体だれを相手に投下されたのか、ちょっと私は不思議にも思います。洞窟に飛び込むクラスター爆弾が開発されたという話は聞きませんから、やはり民間人の犠牲者が出るということを前提としての投下だったと言わざるを得ません。  私は、今こういう多数の犠牲者の出た事態の下で、アメリカアフガニスタンの一般国民の友人であったという扱いを受けると思いますか、どうですか。これも外務大臣、お伺いします。
  148. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ブッシュ大統領は、委員がおっしゃられましたようにアフガニスタンの友人であるということも言っていらっしゃる、アフガニスタンは米国の友人であるということを言っているというふうに聞いておりますけれども、アメリカアフガニスタンに対して支援にかなりの資金をつぎ込んでいます。例えば、一昨年から十七億ドルの資金を支援を行っています。また、ドバイで先月アフガニスタン開発フォーラムというのが開かれましたけれども、そこでも新たに十二億ドルをプレッジをしているということで、アフガニスタン治安の改革、これを含む人道復興分野において大きな支援を行っているというふうに考えております。  それから、カルザイ大統領も米国とは非常にいい関係を持っていらっしゃる。米国は、カルザイ大統領アフガニスタンで大統領の地位で仕事を、アフガニスタンのために仕事をし続けることが非常に重要であるというふうに考えていますし、これは日本とても全く同じ考えを持っています。
  149. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私はそれを否定しません。援助物資も投入しております。しかし、その一方で民間人がたくさん犠牲になる、そのことも彼らは遠慮なくやってきたということですね。  例えば、こういう事実もあるそうですね。アフガニスタン政権の指導者たちが、二〇〇一年十二月、罪のない人々が頻繁に殺されることを理由に、米国に対して爆撃の停止を求めた。ワシントンは、自分たちには自分たちの計画があるといってそれを拒否したと、こういうふうに描かれております。  そういうことを取って、やりながら、つまり民間人の死亡を自分らの計画で起こらないようにすることを、措置は取らないと、そういう態度を続けて、一方で食料援助を仮にやっても、これは友人だというふうには思えないと私は思います。  アフガニスタンの今日の事態は、テロ根絶に向かって前進しているとは私は言えない。だから、この法案の見通しもはっきり語れないという状況だと私は言わざるを得ません。テロ勢力と言われるのの主要メンバーがいまだ拘束されていないだけでなく、九・一一事件以後テロは世界的に広まったと、そう私は思います。  九・一一事件後の各地での大規模なテロ事件の状況を報告してください。
  150. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  委員御指摘のとおり、それから以降も世界各地で大規模なテロが多発をしております。  具体的に幾つかの例を例示申し上げたいと思いますが、東南アジアでは、御案内のように、インドネシアのバリ島の爆弾テロ事件、あるいはジャカルタでのホテルの爆弾テロ事件、中東ではイエメン沖でのフランスのタンカー爆破事件、サウジアラビア・リヤドの外国人居住区爆弾テロ、あるいは南西アジア地域におきましても、パキスタン・カラチにおきますフランス人技術者に対する爆弾テロ、アフリカにおきましてはケニア・モンバサでユダヤ系のホテルに対して爆弾テロがあった等々でございます。
  151. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 このように、テロはかえって広がった。私どもが心配していたとおりの事態があの爆撃開始以降に起こっております。  私は、こういう状態というのは、テロ特措法を二年延長して協力すればテロを根絶できるというような状況ではないということの一つの表れが、そういうテロが世界じゅうに広がっているということでも表れていると思います。昨日も申し上げたとおりであります。  今のアフガニスタンの事態、これはどういうふうに考えるべきか。衆議院本会議で我が党の赤嶺議員も強く強調したところですが、報復戦争から二年、アフガニスタンは今、深刻な事態を迎えております。ビンラディンは拘束されず、アルカイダのネットワークもなくなっていない。それどころか、タリバンの再結集や新たなテロの組織の拡大さえ伝えられております。国連支援組織や国際的な支援団体が撤退を余儀なくされるという状況もあります。アナン国連事務総長は、安保理への報告で、治安状況の悪化に対して深刻な警鐘を鳴らしております。  今必要なことは、私は、繰り返し言いますが、昨日も言ったように、テロ特措法を延長するということだけでなく、この二年間の事態をもう一回じっくり検討して新たな対策を立てることだというように思います。  あなた方は、重ねてお伺いしますけれども、この二年間の事態をここで見直していく、検討し直していくという必要を認めますか、認めませんか。これは官房長官ですかね。
  152. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、二年間を振り返って、そして今後どうするか。取りあえずこの法律を二年間延長させていただいて、そしてなお海上の監視活動支援活動に参加させていただきたい、こういうことで改正案をお願いしているわけでございます。  それは、監視活動を続ければそれで済むと、こういう話ではございません。監視活動は全体の対策の中の一部だというふうに思います。しかし、大事な部分であるというふうにも思っております。それは陸上における、アフガニスタン国内におけるテロの掃討作戦というものに関連するわけでございまして、そういう関連においてこれは大事だということを申し上げているわけです。  ただ、このことでテロテロそのものはなくなるかどうかということでは、これは不十分だというように思っておりますから、今多数の国々が協力してその対応をしているということであります。なおテロを阻止するために国際連携を取りつつ、国際間の協力を得ながらこの活動を進めていかなければいけない。日本だけでもってこれを抑止するとかいったようなことはできないわけでございますので、そういう国際的な取組が極めて大事であるということで、我が国もそういう全体的な対応のその部分を担っていると、こういうことであります。  また、このテロの根本的なものが何かということについても思いを巡らせまして、その部分についてはそれなりの対応をしていかなければいけない。例えば、それが今は治安の問題が非常に大事でございますけれども、治安と、それから復興ですね、経済的な復興とか、それから社会制度とかいったようなものについても考えていかなければいけない。それは、それ相応の我が国協力もしておる、同時並行で行っているということでございます。
  153. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アフガニスタンから伝えられてくる声というのは、アメリカ中心とする軍事力の実質上の支配が続いている状態の下ではアフガニスタンの事態は解決しないということです。  そして、それらの声の多くは、一体アメリカなど、アフガニスタンの歴史の教訓を学ぶ気があるのかないのかと。ソ連も失敗した。昔、イギリスも失敗した。そういう歴史に学ばないのかということを言います。  私は、ソ連の失敗ということについては非常に考えるところがございます。というのは、ソ連がアフガニスタンに侵略を開始したその直後に、我々日本共産党代表団とソ連共産党代表団とが一週間にわたる会談をやりました。  我々が要求したのは、ソ連はアフガニスタンへの侵略をやめろ、直ちに撤退しろと。まだ始めたばかりで、今のような泥沼状態にまではまだなっていない時期ですから、我々は直ちに撤退せよということを主張して、大論争をやった経験を覚えております。  そしてそのとき、私ども日本共産党が言ったことは、今のうちにやめなければ、必ず泥沼の状況に陥って、失敗して引き揚げざるを得なくなるということも我々は言いました。我々が言ったとおりになって、彼らは見事な失敗を行い、それはソ連崩壊の一因にもなった。ついこれはこの間の教訓なんですね。  そういう歴史の教訓がある。目の前でソ連が大失敗した。そういうところへまた軍隊を送り込んで、そして、テロとは何の関係もない国民に多数の犠牲者が出るような状態を続けることによって事態の解決ができるというようには私は思えません。自衛隊の派遣も問題ですが、自衛隊派遣とともに、今の在り方をどうするかということを改めて考え直さなければならない。  そこで私は、テロ根絶のための問題として、もう一回原点に立ち返って考えることを昨日に続いて少し触れていきたいと思います。  私どもは、皆さんにお届けもしましたように、二年前、各国首脳に書簡を送りまして、それで、テロ問題をどう解決するかということについて、これは日本政府にも当時お届けいたしました。日本政府だけじゃなくて世界各国に書簡を送って、この事態をどうするか。それは、まだ武力行使が開始される直前、開始の準備が進んでいるときでしたけれども、テロの解決は、国連中心とする世界の一致をかち取り国際的な世論で包囲しなければならないということを中心に据え、そして国際的な世論でテロ勢力の居場所がなくなるような状態をしなければならないと、せっかちな軍事行動というのは、これはその国際的な一致を妨げるだけであって、かえってテロを根絶する力を弱めることになるということを主眼とするものでありました。  昨日も私、言いましたように、テロを根絶するということでは恐らく世界で最も強い一致が図られているときであったと二年前については言えると思います。しかし、その一致を破壊するようなことでなく、一層強めながらテロに対応する対策を取っていかなければならないということでありました。武力攻撃を行えば、それはテロに対する報復攻撃、またテロ攻撃、報復攻撃の悪循環を生むことになるではないかということも当時提起しました。私は、二年前のこの法案が出たときに参議院の代表質問で大体そういう趣旨のことも申し上げました。  今、振り返って、一体二年前に我々がせっかちな軍事行動に入るのをやめようと世界に呼び掛けたその道をたどっておくべきであったと思うか、やはり武力攻撃をやった方がよかったと思われるか、私は今改めて検討する必要のある時期だと思います。  官房長官、その必要があると思われるか。もし思われれば、我々の提案について今どういうふうなお考えをお持ちするか、聞かせてください。
  154. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、政府として考えておりますことは、この特措法を延長していただいてその対応措置を実行させていただきたい、これを継続させていただきたいと、こういうことがまず最初でございます。それは何のためにそういうことになるのかと申しますと、今もう二年前に立ち戻ることはできないんですね、まず第一に。そして、今、こういうような状況において何が求められているかということを考えなければいけないと思います。  目標は、アフガニスタンが独立国として立派にやっていける、独り立ちできるようにする、そこまで支援していかなければいけないだろうと、こういうようなことで、治安の回復、復興支援ということを今進めている最中でございます。また、行き先の見えない泥沼というような表現もございましたけれども、方向性は今申しましたようにアフガニスタンの独立であると、そしてそのために、憲法制定のロヤジェルガを今年の十二月にやるように、これを成功させるように、また来年の六月までに実施されます総選挙を成功させると、こういうこと、そのことによって正統政府が樹立するようにと。正に、独立をアフガニスタンがかち得るような、そういうような支援を今行っているんだと。目標を持っているわけですよ。  決して泥沼というわけじゃないんでございまして、そのために今我が国支援活動をしているということでございますので、まずはこの法律の延長を是非よろしくお願いしたいと思っております。
  155. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 二年前に返すことができないから大変なんです。二年前のスタートで論議しているわけじゃありませんからね。だから、私は昨日も、もうアフガニスタンの事態を武力攻撃ががちゃがちゃにしてしまったんだということを言いました。  しかし、今、元へ返すことはできないにしろ、二年たった時点でこれから先どうやるかという場合に重要なことは、アフガニスタン国民に向かって、世界に向かってこの二年間やったことをどういうふうに我々が、アメリカならアメリカが考えているかと、そのことは今後の対策に非常に重要な意味を持つ。我々がやったことは正しかったと、何も文句言うなという態度でアフガニスタンに臨むか、あるいは過去取った態度の中にまずい点があったということを認めた上で対応するか、これは私は違いがあると思いますよ。  私、昨日から紹介している「アメリカの国家犯罪全書」、これはアメリカ国務省で外交担当官をやっていた人が辞めた後に、いろいろ経過があって書かれた本なんですね。この本を読むと、この本の中にこういうことを書いております。私がアメリカ合衆国大統領だとしたら、米国に対するテロ攻撃を数日のうちに止めることができる、しかも永遠にと書いてありますね。  それは何かというと、まあ長いですから読みませんが、犠牲者に謝罪すると。多くのアフガニスタンの犠牲者を出したと。それらの人に、何百万の犠牲者に対して謝罪すると。それから、できる限りの誠意を込めて、世界じゅうの隅々にまでアメリカの世界への軍事的、政治的介入は終了したと宣言すると。そして償いをやると。こういうことが出発点にならなければ片付かないという意味のことを言っております。  ですから、私は、今の事態というのは、もう今の状況が生まれているわけですから、そう簡単に解決することだとは思いません。しかし、その二年間、やっぱり私どもは、世界の一致を図ることを中心に置きながら国連での結束の下にテロに対応しながら進む道を取るべきだった、せっかちな軍事行動に入るべきであったかと。この問題について、後者が間違っていたことがこの二年間に明らかになったと思います。ですから、そのことをはっきりさせて、その上で世界に呼び掛けなければ、今までの方針をそのまま継続するんだということでは、僕はアフガニスタン国民も納得できないし、世界が一致しての対応ということに弱さを残すことになると思います。  この人が言うほど簡単に、永久にテロがなくなるとは思いませんけれども、私は考え方としては、まず多くの犠牲者を出したことに謝罪から始めるというこの姿勢を、私は、アメリカ及びそれを支持した日本もやっぱり取るべきだと思います。重要なことは、自衛隊の派遣の継続ではない、それが根絶への力を改めて作り直していくことになると思います。  そういう過去の、一種の中間的な締めくくりということは必要ないと思いますか、官房長官
  156. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 米国一国が謝れば済むものなのかどうか、世界全部の国が謝るのか、よく分かりませんが、まあ御意見としては面白い御意見だと思って拝聴いたしておりました。  しかし、アフガニスタンというのはどういう国であったかと。二年前、二年、いつですか、九月の十一、二年前ですね、それまでどんなことをしていたのか。タリバン、ほとんどの地域をタリバンが圧制をしいていたわけでしょう。一つの例申し上げれば、女性は女性として、人間として扱われていなかったんですよ。教育も受けられない、顔を出して表に出ることはできない、仕事にも就けない、そんなような物すごい圧制をしいていた国でございますので、それは尋常の考え方で対応できるような状況じゃなかったんだというように思います。  まあしかし、そういうことはともかくとして、今現在、アフガニスタンの正常な形でもって民主化が進んで、そして国際社会の一員として活躍できるような国に是非なってほしいという、そういう我々は希望を持っているわけでございまして、そのことが達成するように全力を挙げるということが一番よろしいのではないかということは私は断言できると思っております。
  157. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その基本の、今後の基本はやはりアフガニスタンの人々が言っているように、アフガニスタンのことはアフガン人に任すと。例えば、治安でもイスラム諸国を部隊中心になるように再編成する必要があるとか、たくさんの提案が行われているわけです。私は、そういういろいろな提案にも耳を傾けて政府が進むことを望み、そして自衛隊の派遣の延長というようなことで解決するようなものでなく、我々はそれには反対だということを改めてここで申し上げておきます。  次に、僕は憲法に関連して少し過去の答弁の確認を求めたいと思います。法制局おいでになっていますよね。  これは時間の関係と、議題が議題ですから、憲法論争ということでなく、幾つかの過去の答弁の確認を求めたいと思っておりますが、最初に、最近日本国憲法前文をめぐっていろいろな意見が行われております。前文の中で特に、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」云々という前文の、憲法の本によると第三段だと書かれているわけですが、そこについてのいろいろな新しい見解が述べられております。そして、これは国際協調あるいは自衛隊を派遣しての日本の国際協力の根拠とすべき部分であるというようなことも強調されてきております。  私は憲法をそんなに研究してきたわけではありませんが、しかし、私が憲法に関する本を読んだ限り、それからまた、憲法制定議会のいろいろな速記録を繰り返し読んだ限り、この前文のこの箇所というのは、そういう国際協調あるいは自衛隊派遣による国際協力の根拠になるようなものではなくて、むしろ過去の日本の独善的な国家主義の誤り、これを正して、普遍的な国際道徳に沿って日本が行動すべきものだという原則を示したものだというように私は取りました。こういうふうに取ってよろしいでしょうか、長官。
  158. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいまの憲法前文第三段の趣旨でございますが、一般には国家の独善主義を排除し、国際協調主義の立場に立つことを明らかにするものであると理解されております。  ただ、今、委員、自衛隊派遣のこととも関連してお尋ねになりましたので一言申し上げますと、このような理念に基づきまして、我が国として他国の支援を行おうとする場合に、自衛隊その他、実力組織を他国に派遣することを当然に要請するというところまでは御指摘のとおり言えないと思いますが、他方、他国を支援するに当たりまして、自衛隊の専門的な技術あるいは能力を用いることが必要とされる、その活動内容が武力の行使に当たるものではない、平和主義の理念に反するようなものでもないときに、我が国としての主体的な意思決定によって、このような支援活動を行うために自衛隊を他国に派遣することを否定する趣旨のものとも考えられないのであります。
  159. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 あなた、憲法前文を作ったときは、自衛隊もなければ、戦争は放棄する、戦力は不保持だと、こういうことを決めていますよ。その当時、この前文を作るときに、今おっしゃったようなことまで想定していたとおっしゃるんですか。それは、憲法前文を今日どう解釈するかという点であなたがそういうふうにおっしゃるのならそれは分かるけれども、憲法前文そのものにそういう精神があるという、一体、何言っているんですか。憲法を作るときに自衛隊を想定していたんですか。
  160. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 憲法制定の段階におきまして、これは憲法九条二項に、陸海空軍その他の戦力を保持しないこと……
  161. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 九条のことなんか聞いていない。前文のことを聞いている。
  162. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) したがいまして、先ほど申し上げましたことは、憲法前文、制定当時の議論ではございませんで、現在の時点に立って考えてみたときに、そのような自衛隊の、先ほど申し上げましたような範囲内での派遣をこの前文が否定しているとは考えられないということを申し上げたのでございます。
  163. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 憲法前文から自衛隊云々まで飛び出すというのは、今の法制局がどういう立場で憲法を考えようとしているかというので、私は本当に問題だと思います。憲法の前文は、独善主義でなく国際協調主義ということはいいです。その国際協調のために武力を使うという問題がここから出るということは、これはありません。それは憲法制定当時の議論を見ればはっきりしております。  じゃ、次に聞きます。  憲法制定議会では、国連要請があっても制裁のために日本協力することは拒否すると、こういう答弁が行われております。例えば一九四六年九月十三日、貴族院帝国憲法改正特別委員会における幣原さんの答弁です。国連の命令でも武力制裁、武力制裁への協力は拒否すると、ちょっと長くなるから読めませんけれども、こういう答弁があったこと、お認めになりますか。
  164. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今のお尋ねは、幣原大臣の、どこかの国に制裁を加えるというのに、他国をして、あ、失礼しました、協力をしなければならぬというような命令というか、そういう注文を日本にしてくる場合がありますれば、それは到底できぬ、留保によってそれはできないというような方針を取っていくのが一番よかろう、我々はその方針をもって進んでいきますという答弁だろうと思いますが、そういう答弁があったことは事実でございます。
  165. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そういう答弁があったことを受けて、同年、一九四六年十月五日、貴族院の、当時は貴族院ですね、本会議における阿倍能成特別委員長の報告がありますが、その報告には、国際連合憲章の規定する自衛戦争、共同防衛戦争等との関係は、将来国際連合に加入することとなった場合に別個に考えるべきではあるが、むしろその際は我が国としては、兵力の提供義務を留保するということを考えることになるであろうと、こういう報告が行われているのをお認めになりますか。
  166. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) そのような報告があったものと認識しております。
  167. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 つまり、貴族院は日本憲法制定に当たって国連からそういう要請があっても兵力提供義務は留保すると、そういう報告を受けて、その上で成立したそういう憲法になっているという、憲法制定当時の歴史を事実として今お認めになりました。  ですから、私は後日、憲法は軍事組織による国際貢献ということは想定していなかったんだなという質問を行いました。これは一九九三年四月十八日の参議院内閣委員会で私が行った質問ですが、それに対して、大森、当時の内閣法制局第一部長、後の法制局長官ははっきりと、戦力による国際貢献というものは当時想定しなかったということは仰せのとおりであろうかと思いますと答弁されました。そういう答弁があったこと、長官、お認めになりますか。
  168. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 御指摘の答弁、ちょっと一部を申し上げますと、九条二項で「「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」ということでございますから、そのような戦力による国際貢献というものは当時想定していなかったということはそのとおりであろうかと思います。」という答弁でございます。
  169. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これは、憲法制定会議の当時のことを一九九三年の時点で法制局がお認めになったことであります。そして、今そういう答弁があったこともお認めになりました。  なぜ私がこういうことを言うかというと、討論会でこういう事実をすると、そんなことはないという反論がしばしば出てくるんです。したがって、私は日本国憲法の成立時にはそういう論議があったんだということをきちっとしておく必要があると思って、こういうふうに述べたわけです。  その日本国憲法がそういうふうにして制定されて、自衛隊もその後作られたわけですが、自衛隊法第三条を作る過程での論議も私は後日いろいろ詳しく聞かせていただきましたし、また国会の、その国会における答弁も読みました。  国会の自衛隊法の制定当時、参議院において自衛隊を海外に出動させない決議があることは有名な話ですけれども、同じ趣旨の答弁、これは当時の保安庁ですかね、長官も答弁しております。石破長官、そういう答弁があったことはお認めになりますか。
  170. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そういう答弁があったことは存じております。
  171. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そういうわけで、日本の憲法というのは戦力放棄が前提ですから、日本が軍事力で世界に協力するということは考えていなかった。国連加盟する場合もそれは留保するということを既に憲法制定時にはっきりと確認して出発したわけです。  その日本国憲法の精神と違って、自衛隊が海外に出掛けるようになる、またそれを認める憲法解釈も作られてきました。自衛隊が武力行使を目的としなければ海外に派遣されることは構わないんだというような答弁が最初にはっきり打ち出されて、公表されるのはどの時期になりますか。
  172. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今のお尋ねは、いわゆる海外派兵と海外派遣の問題として従来議論をされてきたことでございますが、この海外派兵、海外派遣という言葉につきまして、これは法令上の用語ではございませんで、厳密な定義といったものはございませんけれども、政府といたしましては、いわゆる海外派兵は、一般的に言えば武力の行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することであると説明しております。このような海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものとして憲法上許されないが、これに対し武力行使の目的を持たないで部隊を他国へ派遣する、いわゆる海外派遣については、憲法上許されないわけではないが、法律上自衛隊の任務、権限として規定されていることが必要であるというふうに考えてきたところでございます。  このような考え方につきましては、昭和五十五年十月二十八日の稲葉誠一議員に対する政府答弁書に整理して述べられておりますが、これに先立ちまして、そのような趣旨、すなわち自衛隊の部隊を海外に派遣することがすべて海外派兵の禁止に触れるものではないということは、例えば昭和三十五年五月四日の衆議院日米安保条約等特別委員会における岸総理の答弁などにも述べられているところでございます。
  173. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今、答弁の前にもう一度一つ確認して、長官、お聞きしたいと思うことがあります、長官でもほかの人でもいいんですが。  自衛隊も、自衛隊作ったときには海外派遣も想定していなかったんですよね。自衛隊による国際貢献というのは想定されていなかった。これは、私がさっき言った一九九三年四月十八日の参議院内閣委員会で質問したのに対して、当時畠山防衛局長が答弁しております。「当時必ずしも予定されていなかったと思います。」というふうにですね。ですから、憲法もそうだった。したがって、その憲法の下で自衛隊が作られ、自衛隊法を作ったときにもそういう自衛隊による国際協力というようなことは想定されていなかった、これが事実なんですね。それが、武力行使を目的としないものは構わないんだということが公に表明されてきたのは一九七〇年ですね、昭和五十五年といえば。随分新しいんですよね。だから、元々日本国憲法というのはそういうことを考えていなかった憲法なんだということを私はここで明らかにしておきたいと思います。  今日、イラクの問題も少し私は質問していかなくちゃなりませんので、憲法問題は、そういう日本国憲法は歴史的な経過を持っているんだということを明らかにするにとどめておきます。  法制局、どうも済みませんでした。  それで、次はイラクの問題です。  主として私はアフガニスタン中心にして質問してきましたけれども、米英がイラクに軍事攻撃を開始してから半年余、報道によると民間人の死者がもう一万人になろうと、こういうように言われております。そういう犠牲者も出しながらのイラクへの軍事攻撃の目的は何だったのか、これがはっきりしない。大量破壊兵器の問題が言われていた、それでフセイン政権打倒だと、独裁政権打倒だということが言われた。そして最近は、テロとの関与が言われ出し、またテロとの関与はなかったという言明もあるということになると、一体アメリカイラク攻撃の目的は何だったのか、これを説明してください。  これはどなたですか、官房長官ですか、外務大臣ですか。
  174. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米英等によるイラクに対する武力行使の目的は何であったかというお尋ねでございますけれども、これは、武力行使なしにはイラクが関連安保理決議上の義務の重大な違反を継続的に犯してきたことによって高まった大量破壊兵器の脅威を除去し得ない状況に至ったため、関連安保理決議に従いましてイラク武装解除等の義務の実施を確保しましてこの地域の平和と安定を回復をする、そのための措置として行われたものでございます。
  175. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この地域の平和と安定を目的と。  そうすると、言われていた大量破壊兵器でもフセイン政権打倒でもなく、この地域の平和と安定が保たれていないから、そのために送ったということですか。
  176. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大量破壊兵器等の武装解除の義務というのは、イラクは停戦の条件として決議六八七によってこれを課されたわけでございます。そして、こういった大量破壊兵器についての武装解除等の停戦の条件となった様々な国連、六八七と申し上げてもいいですが、その決議に違反をしてきたということが満場一致で採択をされた一四四一によって決定をされた。一四四一は更にほかのことを言っておりますけれども、そういった大量破壊兵器の脅威を除去する等のことに、義務に違反をしていたということであります。  したがいまして、このイラク武装解除等の義務の実施を確保し、この地域の平和と安定を回復するための措置として行われたということでございます。
  177. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、このイラクの武力攻撃の目的というのはもう随分たくさんあって、どれが本当の目的か分からなくなっちゃって、大量破壊兵器の目的だと言われた時期があり、フセイン政権打倒だ言われた時期があり、関与が目的だと言われたことがあるんですけれども、それはどうなるんですか、そういろいろ言われてきたことは。ちょっと今の説明では私は分かりません。つまり、余りはっきりした目的が今日語れないということであるとしか言いようがございません。  今、大臣国連決議に基づいてとおっしゃいました。それは前国会でもさんざん論議になったことですけれども、日本政府の言い分であって、国際的に確認されているところの解釈ではありません。  私どもに、議員、恐らく全議員に送ってきたと思いますが、百人近い国際法学者、憲法学者、中東研究者らのアピールにもこう書いてありました。  イラクに対する今の措置法案は、現在の米英軍によるイラク占領の前提となっているイラク攻撃国連安保理決議六七八、六八七、一四四一号によって正当化しているが、これらの決議はいずれもイラク攻撃を正当化する根拠となるものではない。米英のイラク攻撃は国際法違反の先制攻撃であり、国連の安全保障体制そのものに対する重大な侵害であって、これを正当化しようとする法案は、日本を米国政府による一極的世界支配のもくろみに全面的に加担させるよう方向付ける危険なものと言わざるを得ないと。これは、国際法学者、憲法学者、中東研究者のアピールにはそう書かれております。  いずれにせよ、今のアメリカ、イギリス等のイラク攻撃国連決議に基づく正当なものだという見解は日本政府の見解であって、世界でも多数でなく少数の意見だということを私はここで述べておかなくちゃなりません。そして、そういう日本政府の見解というのは、アナン国連事務総長が警告している中身とも違う日本政府の見解だというように言わざるを得ません。  私は、この国連でのアナン事務総長の報告がいろいろ議論されておりますが、それと、日本政府のさっきおっしゃった見解とは一致するとお考えになるのか、一致しないとお考えになるのか。それだけ取りあえず、一致すると考えるかどうかということだけお伺いしておきます。
  178. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本政府の先ほど私が申し上げた見解、これは日本政府だけの見解ではありませんで、武力行使をした米国もそして英国も、その後国連にその旨の報告をしておりますけれども、その報告の理由として六七八、六八七、一四四一ということを挙げておりますので、これは同じ、米英、日本、同じ見解を持っておりますし、これはこの三国だけではなくて、ほかに多くの国が国連決議に基づく武力行使である、同じロジックで言っております。  それから、アナン事務総長の演説との関係でございますけれども、これは、アナン事務総長は問題提起をしているというふうに考えておりまして、確かに、委員がおっしゃいましたように、安保理の合意を待つ必要はなく、武力の先制使用を行う権利と義務を加盟国が有しているという論理が受け入れられるなら、正当性の有無にかかわらず、一方的かつ不法な武力行使の拡散につながる先例を作ることになりかねないということであるというふうに述べたわけですけれども、同時にアナン事務総長は、単に一国主義を非難するだけでは不十分であり、警告なしの大量破壊兵器による攻撃の脅威にさらされていると感じている国々の懸念に正面から対処しなければならないということを言っているわけです。  日本政府といたしましては、この事務総長の演説の趣旨というのは、大量破壊兵器による警告なしの攻撃といった、その平和と安全に関する新しい脅威に国際社会としてどのように対応すべきかという問題提起を行っているというふうに考えております。
  179. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は今の点についても意見あります。それは、あなたの後から言われた問題、これに対してどう対処するか、どう対処するかというときに、一国主義、単独主義に基づく先制攻撃では駄目だということが提起されていることだと思いますけれども、それはまた後で少し論議することにしまして。  日本の派兵問題の、派兵と言うとあれですから派遣ということにしておきましょう、自衛隊派遣問題をめぐってですが、前国会でも石破長官もアメリカ要請は一切ないという趣旨のことを強調されました。今国会でもその問題、特にアーミテージ氏の発言等があるんですが、私は、報道によればたくさんのことをアメリカの人は言っている。それは、その事実は認めますか、認めませんか。  それと同時に、そういうことをいろいろ言っているけれども、それは要請と認めないということなのか、あるいは日本政府向けに言っていることじゃなくて何かつぶやきをやっているんだというようなこととお考えになっているのか、そこらをちょっと最初に。
  180. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、私自身も当庁の者もアメリカといろんな協議、接触をいたしますが、要請という形を受けたことは一度もこれはございません。具体的に、陸上自衛隊にしろ海上自衛隊にしろ航空自衛隊にしろ、出てくれという要請を受けたことはございません。  これはアフガニスタンでもそうでございますが、いわゆるコアリッションというものをどのように考えるかということだろうと思っております。それぞれの国がそれぞれの国の主体的な判断に基づいて、持てる能力あるいは守るべき国益、果たすべき責任、そういうものに基づいて参加をするということでございまして、コアリッションの形式は要請というものを取らないものだと理解をいたしております。
  181. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それは、今、私の質問にはっきり答えぬ。私が聞いたのは、あれは要請なのか独り勝手に言っているのかということをお伺いしたかったわけですけれども、まあいいです、そういうふうにしか答えがまたないでしょうからね。  イラクに選挙が終わると派遣するだろうと専ら言われております。それはともあれ、私、ここではっきりしておきたいのは、前国会でも論議になりました、イラクへの派遣ということは憲法上の制約を乗り越えなくちゃいかぬ、それから法律、憲法も九条ですが、この法律も第九条の安全確保の規定を乗り越えなくちゃいかぬ、この二つの条件が課されているんだというように、この前、国会でずっと答弁されたと思いますが、その点、もう一度改めて長官、お伺いしておきます。
  182. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当然ニーズというものがあった上でのお話でございます。そしてまた、それに対応する我々のキャパシティーがあったということでございますが、法律に基づきまして、非戦闘地域ということで憲法第九条第一項、そしてまたイラク特措法第九条に基づきまして安全な地域ということ、つまり我々の装備、訓練等々を勘案して安全な地域ということでございます。これは防衛庁長官が有しておる義務でございますが、先生御指摘のとおり、憲法九条並びに本法九条ということが条件になっておるわけでございます。
  183. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 昨日、私、ちょっと論議しましたアフガンとの関連ですけれども、アフガニスタンには海上自衛艦、海上の自衛艦だけで地上は送っていない。それはニーズの問題もあるかもしれませんけれども、法律上、行っても戦闘区域と非戦闘区域との区分けができる状況にないという官房長官の答弁を私は例にして、それじゃ、アフガニスタンでも場合によっては地上軍を出すということが法律上はできるかできないかということを聞きました。  今日は、逆に、今の二つの条件が満たされないと、法律はできたけれども地上軍を出すことはできないという結果になることもあるということは確認できますか。
  184. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは法治国家からして当然のことでございます。戦闘地域ばっかりであれば出せませんし、そしてまた防衛庁長官が有しております安全配慮義務に反するような事態ということになれば、それでも出すということになれば、それこそそれが法律違反でございます。
  185. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そこで、もう一つは、イラクの情勢をどういうふうにごらんになっているかということです。  私は、前国会で、六月の時点で政府の調査団、与党の調査団が派遣されて、その報告書の中には治安は急速に回復しつつあると述べられていた、その報告は見通しを、情勢分析、見通しを誤っていたと私は思うということを当時申し上げました。  今、イラクの事態は急速に治安が回復しつつあるとごらんになっているか、なかなか大変な事態とごらんになっているのか、お伺いします。
  186. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラク治安情勢ですけれども、まだ十分に注意を要する状況が続いていると思います。ただ、総じて市民生活は改善に向かっていると、そして秩序が回復されつつあるというふうに承知をいたしております。
  187. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、今、イラクをめぐってもアフガニスタンをめぐっても、国際的に一つの重要な転機に来ているじゃないかと思っております。  それは、国連事務総長の報告でも提起されている問題でもあるように、イギリス、あの英米等の武力攻撃が、日本政府など、派遣している国は自分らは国連決議に反しているとおっしゃるはずがないからそうおっしゃるでしょうけれども、国際的にはそう見ていない。  そして、今、アメリカ国内でも、ネオコン主導の下での、アフガニスタンイラクへの攻撃というのが失敗であったという議論が出て、ブッシュ政権の支持率は急速に低下している。大統領選挙でも敗北するんじゃないかというような世論調査も表れており、私は、世界的にイラク問題も一つの、半年たった今、再検討期に入っていると思っております。そのもとにはこのイラク情勢の非常に大きい深刻な事態があると思います。  そういう時期に、私はさっき二年たった時点でのアフガニスタンの問題も今まで言ってきたことにとらわれないで考え直す必要があると言いました。戦争の問題というのは私は絶えず検討しながら進んでいく必要があると思います。戦後、あの第二次世界大戦を振り返っても、この時期にこういう提案が受け入れられておれば東京大空襲は免れた、あるいは広島、長崎の原爆は少なくとも免れたと、悔いが残るという議論も随分ありました。  ですから、私は、アフガンにしてもイラクにしても、絶えず検討をして、そして改めるべき点は改めるということがなければ、世界も日本も本当に平和に向かうことができないと思います。私は、イラク、これは一万人もの民間人の犠牲が出ていると、こういう状態、これは本当に大変な事態でありまして、しかも、それで見通しはない。こういうときに、自衛隊を派遣する検討ではなく、やはりイラクについても改めて検討し直す、そういうあれが必要じゃないかと思います。そういう考えにイラクの問題でも立ちませんか、官房長官
  188. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) それはしゃにむに突っ走るということでなく、その都度状況を見極めながら進んでいくということだと思います。  今、イラクで何が必要なのかと。治安の回復ということがございますけれども、それと裏腹の関係イラク国民の民生インフラが不足しておる、そしてまた、復興のためのいろいろな基礎的なインフラも不足をしていると、こういうようなことがございます。したがいまして、そういうものを、例えば失業率も非常に高いということも言われておるわけでございますので、そういうことが、通常のと言わなくても、その経済の現状を少しでも改善することによって治安の情勢も変わってくるということを期待して、復興支援に各国が取り組んでおると、こういうことでございます。  もうじき復興のための財政支援の規模とか、そういったようなことも決まってくる、そういうことによって、またその復興支援が加速化されてくるということを期待して、私どもとしてはできる限りイラク国民が、我が、自分の手でその国を運営できるようになるまで支援をしていかなければいけない、そのような思いをしておるところでございます。
  189. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そこで、もう一回、この国連のアナン事務総長の演説に帰っていきたいと思います。  外務大臣、さっき引用されましたところになるんですが、国家には先制的に武力を行使する権利と義務があり、たとえ他国の領土に対するものであっても、また、たとえ攻撃に使われる可能性のある兵器システムがまだ開発途中であっても行使できると。こういう主張は現にあるんですか、ないんですか。
  190. 川口順子

    国務大臣川口順子君) どっかの国がそういうことを言っているかということでいえば、米国についてはそのようには言っていないと思います。それから、ロシアが最近、新軍事ドクトリンというのを出しましたけれども、その内容については今私は勉強中でございまして、意味がおっしゃったようなことかどうかということについては今きちんとお答えすることができませんが、米国は先制行動というふうには言っていますけれども、それを侵略の口実にしてはいけない。それから、その先制的行動というのは必ずしも武力行使意味するものではないというふうに言っております。  いずれにしても、米国は、国際法を守って行動をしているというふうに考えて、日本としては、おります。
  191. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どっかにあるかどうかよく分からないというようなこと、アメリカはそんなこと言っていないという答弁ですが、私はアナン国連事務総長というのはそんな無責任な演説をする人だとは思いませんよ。そんな、どっか言っているかもしれぬ、よく研究してみなきゃ、顕微鏡ででも探してみなきゃ分からないというような話じゃないでしょう。  国連総会で事務総長が、しかも彼はどう言っているか。こういうことを踏まえて、我々は岐路に立っている、今は国連が創設された一九四五年に勝るとも劣らない決定的な時期かもしれないと、こう言って、国連が岐路に立つほどの重大な局面であると。それはなぜかと言えば、こういう先制的に武力を行使する権利を主張する者があるからだということを、どっかの人が何かつまらぬ作文で書いたのなら、それをもって国連の危機だなどとは、私は事務総長が少なくとも言わないと思います。ここまでしてアメリカは言っていないんだと、事務総長が言っていることはアメリカでないという弁護をあえてする必要があるんですか。私は、それは、ここで言っていることがアメリカだということはその後の国連論議を通じても明らかであって、だから国連が危機だと。  したがって、今我々がやらなきゃいけないのは、私がさっき言ったことは、何かやはりイラクの問題でもアフガニスタンの問題でも、その他、世界の問題を解決するためには国連憲章をきちっと守った、そういう世界の平和のルールを守ることを中心とした平和への努力が必要だということを世界の多くの国々が認め出した。そのときに、それに反する主張があるだけでなく、現に行われた。だから、こういう国連の危機だということさえも、危機じゃない、岐路だと言っていますね。  こういう事態になっていると思いますが、大臣はやっぱりそういうふうに思わないんですか。
  192. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アナン事務総長はどこかの国の名前を挙げて、どっかの国がそういうふうに言っているということを、特定の国が言っているということを言ったわけではございません。  私どもとしては、そういった大量兵器による無警告の突然の攻撃にさらされる脅威、これに国際社会としてどのように対応をしたらいいかという問題意識の提起をなさっていらっしゃるというふうに思います。そして、その中で安保理の改革あるいはその基準作りといったようなことをおっしゃっていらっしゃって、有識者の会合も立ち上げるというお話をなさっていらっしゃいます。安保理の改革も含め国連の改革を、そういった問題意識にこたえるためにどのようにしていったらいいだろうかということをおっしゃっていらっしゃると理解をしております。
  193. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 まあ、それは総理もそういうふうに言っていることと同じことを外務大臣も言わなきゃいけないかもしれませんが、やはり、だから私は、こういう主張をしている国があります、こういう主張がありますかとあえて聞いたのは、言いやすいようにと思って聞いたわけですけれども、それでもそういうふうにはおっしゃらない。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  私は、こういう態度を日本政府が続けていると、世界から笑い物になっちゃうと思いますよ。私が外務委員会でも大臣にも申し上げたことがありますが、去年の九月、ヨーロッパへ行ったときにどういう話を聞かされたか。ある日本の代表的商社の現地法人の社長はこう言いました。日本は、ヨーロッパではアメリカの犬だと言われていると、私ら恥ずかしいと、犬だと言われながら商活動をやらなきゃいけないと。こういうことが言われないようにしてくれと言われました。そのことは私、外務委員会でも言いました。  しかし、そう言われることを何とも総理は、心得られて、考えられないのか。この間、街頭演説では、しっぽがちぎれるほどに振っているといって自分の方でおっしゃったそうですから、報道によるとね。そう言われることがもしかしたら名誉だと思っておられれば、私はあえて心配してさしあげる必要ないかもしれませんけれども、しかし、私は、日本国民はたまったものじゃないと思います。  ですから、やはり日本は、今、日本らしく、平和憲法を持つ国らしく、戦争の歴史も振り返りながら、今の時期、アナン国連事務総長がせっかく問題提起したこういう時期に、戦前も振り返りながら、戦後の日本の歩み、今の時点を考え直す必要がある。そして、世界から自主外交をやる国として、しかも平和外交をやる国として見直される、それが憲法前文で言っていたことだと私は思います。  官房長官、どう思いますか。
  194. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 犬だかプードルだか知りませんけれども、まあ言う人は言いますよ。悪口言いたい人は言うんであって、それはいいじゃないですか。そういうことよりも、我が国が本当に誇りを持って国際社会の中で胸を張って仕事ができるということは大変大事なことだと思います。  しかし、我が国には憲法というものがございますので、ほかの国がやるようなことはできないという制約はあるんです。しかし、そういう範囲の中で、我が国は責任ある立場ということでもって、今後も国際社会の中における活躍はしていかなければいけない、そのように思っております。
  195. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、いつも昔のことをよく言うといって余り喜ばれないかもしれませんけれども、日本の名誉のために、国連事務総長国連が岐路に差し掛かっていると言うときに、このときこそ日本国憲法の精神で働いてもらいたいという希望を持って、少し振り返ってみたいと思います。  今、官房長官、いろんなことを言いますよとおっしゃった。それしか言いようないと思いますが、日本は、明治以来外国から誤解を受け続けてきた国だということが外交をやってきた人によると書かれています。私は、誤解でなかったところに日本の悲劇があると思います。  例えば、日本外交官、代表的な外交官で、貴族院議員から枢密院顧問までやられた、これは石井菊次郎さん、「外交餘録」という本で書いていますけれども、日本は、まず明治維新早々、征韓論、それから征台論で好戦国だという誤解を受けた、それをやっと解いたら、日清戦争、日露戦争でまた好戦国だと言われた、その疑問を解いたら、今度は第一次世界大戦中の対中国政策でまた好戦国だと言われたということを四十年の外交活動を振り返る中で書いております。それは、私は単純なる誤解ではなく、国際的にそう思われ得る弱点を、問題を抱えた外交だったからだと思います。それから、そこで石井さんは、その本は終わっています。  吉田総理が憲法制定議会で、日本は戦後も好戦国だという誤解を受けている、それは満州事変以来のかくかくしかじかが日本は好戦国だという誤解を外国から受けていると、こういうふうに言って、その誤解を解くためには、憲法九条を持った平和憲法が必要だということを述べています。そのほか、憲法九条、いろいろあるんですけれども、誤解を受けたということを述べた発言として、私はそう思いました。  私は、歴史的な、明治の初めから受けた好戦国だと言われた誤解を解くかぎとして今の憲法があるんだったら、その憲法を守らなければやはり、誤解か正解かは別として、そういう見方というのは続くと思います。  私があえて誤解ではないということを言うのは、やはり、例えば戦前、国際連盟加盟したときに、日本では国際連盟に加盟するのは本心で加盟するんじゃないんだと、衷心から加盟するのではない、加盟しないことによって国際的孤立を避けるために加盟するんだということが堂々と述べられていた。そして、とうとう満州事変を契機にして国連から脱退した。  私がこういうことを言うのは、今、アナン国連事務総長が提起している問題に日本がどういう態度を取るかということは、日本が本当に国連憲章の精神に沿って戦後世界で働こうとしている国かどうかということを試される機会になる、そういうことだと思うから私はそういうことをあえて言ったわけです。  私は、そういう点で国際協調の必要性は我々も大いに強調してきたところです。しかし、それは日本らしく非軍事で最大限の協力をするということが必要であり、そういう点でいえば、アフガニスタンへの自衛隊派遣の継続に一生懸命になること、また、何回も何回も調査団を送って、どこか非戦闘地域でしかも安全なところがないかと一生懸命で探すよりは、憲法の精神に沿って、歴史的に受けた好戦国という非難を解くかぎ、世界から平和な国だと言われるかぎとして憲法に基づく協力を全力を挙げてやることが大事だというように思います。  私、最後に官房長官に意見を求めて、これで次のバッターに移ります。
  196. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 委員お話承っておりましたけれども、戦前と戦後、現行憲法でいろいろと行っておる現在と余り比較して、比較するのは結構でございますけれども、昔がそうだったから今がこうなんだということではないように思います。私はそこのところが明確に差ができたというように思います。その差は何かといったらば、今、好戦国というふうに言われましたけれども、好戦国というか、アジアの小さな国、国土の国が一生懸命虚勢を張ってきたというようなときもあったかもしれませんけれども、今はそういうことでなくて、現行憲法の下で武力による侵略を一切放棄したと、こういうことで自衛隊も持っておるわけでございますから、昔とは全然違うわけですね。  それから、昔は、昔の世論というのはどういうものであったか知らぬけれども、今は世論の国になったと思います。アメリカは世論の国だと思いますけれども、日本も世論が非常に大事な国になってきたという。また、世論が国の方向を決めていく、国民がどうであるかということがこれから大事なところだというふうに思います。そういう意味で、今後、やっぱり健全なる世論というもの、これがあってくれないと日本は正しい道を進めないだろうと、委員の考えていらっしゃるようなそういう日本にはならないだろうというように思いますので、その辺はしっかりと我々も考えていくべきことだと思います。  しかし、今現在、この特措法、二つお願いしましたけれども、その特措法で活動する自衛隊の活動、これは決して憲法の精神に反するものではないと思いますし、また、憲法の条文に照らしても正しい活動の範囲に入っておる、十分入っていると、こういう認識しておりますので、委員の御心配を頭に置きながら今後もしっかりと対応してまいりたいと思っております。
  197. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります、私は。
  198. 小泉親司

    ○小泉親司君 テロ特措法改正案について質問をさせていただきます。  まず、福田官房長官に簡単なことから。  このテロ特措法改正案というのは大変大きく言うと二つの制約がある。一つは九・一一のいわゆるテロに対する脅威を除去することと、これが法の目的である、もう一つは二年の時限立法である。これは、この制約は二つ大きくあると思いますが、この点はまず確認でございますが、官房長官、お尋ねしたいと思います。
  199. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 御指摘のとおり、この自衛隊の活動は九・一一テロに起因するものであると、そしてそのテロの、その原因となるテロの脅威を除去するために国際社会が協力して活動している、それを支援する、そういう活動支援する、そういう目的を持っております。  それから、期限については、二年間の期限立法でありますけれども、この法律の附則第四項において二年追加をすることができる、それは国会の承認を得てと、こういうことになっております。
  200. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、この問題についてこれまでも、一体どういうふうなテロの脅威が除去されたときに自衛隊が撤退するのか、いわゆる一体出口というのはどこにあるのかと。この点は与党の皆さんも野党からも出されている問題なんです。この問題について、私、幾つか調べてまいりますと、例えば福田官房長官、一概には言えないと、ビンラディンを捕まえたからそれでいいというものじゃない。ビンラディンの幹部たちが拡散をしているという可能性があるということで、それが各地方に行って、またはいろんな活動をするという可能性があるといったようなことがあるわけですと、こういうことを言っておられる。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  で、石破防衛庁長官、形式的には法に定められた目的が達せられたときということになります。まあ当然、当たり前の話を言っておるんですが、その上で、例えば主要幹部の拘束状況テロの組織やネットワークの規模や拠点の縮小、壊滅の動向、相互間の連携、交流阻止の状況、資金の状況がなくなった等々を総合的に勘案するような必要があると。こんなことをやっていたら、私、いつまでたったってこれ終わらないと思いますよ。  それと川口外務大臣、最近、タリバンやアルカイダや、そしてそういった勢力、ヘクマティル派などもいることも確かであります。これはヘクマティル派とアルカイダが関係していることは私も認めますが、どんどんどんどんそういう話が拡大する、しかもいろいろ聞いているとばらばらだと。  一体、官房長官、どういう脅威が具体的に除去されたら、これは自衛隊は撤退するんですか。その点、明確にしていただきたい。
  201. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 各大臣でいろいろ事例を挙げておりますけれども、そういういろいろな事例があって一概に言えないというところなんですよ、要するに。  ですから、じゃ、どうなのかと、こういうふうな話になるかもしれぬけれども、要するに脅威が、テロの脅威がなくなる、なくなったということになればニーズはないわけですから、それはそれでそのときに終了するのは、これはまあ公式的にはそういうことですよ。しかし、そういうことも含めて、そのときのいろいろな状況の判断というものがあろうかと思います。また、国際社会がこれに対してどういう取組をするかという問題もあるかもしれません。我が国だけでやるわけじゃありませんからね。我が国は、そういう国際社会がテロの脅威を撲滅するための活動支援するということですから、そういう支援すべき対象がなくなっちゃったらできないわけですからね。ですから、そういういろいろな状況を判断して、最終決定は自主的に行うと、我が国の判断として行うと、まあこういうことです。
  202. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、自主的に行うのは結構でございますが、問題は、この法律には第一条で、テロの脅威を除去すること、「テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めること」、このことが最大の問題なんですよ。だから、具体的にこの脅威の除去というのはどういう脅威が除去されたときかということを客観的には分かる判断を示さなかったら、これはいつまでたったって政府が何遍も何遍もこれは拡大していくと、こういうことに恣意的になっちゃうじゃないですか。その点を具体的に何でお示しできないんですか。
  203. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 先ほど委員から御紹介ありました各大臣の発言ございました。そういうようないろいろな事象を考察した上で決定することです。  もう一回繰り返しますれば、いかなる状況になれば、かかる脅威が除去されたと判断されるかにつきましては、アルカイダやタリバンの主要幹部の拘束状況テロ組織やテロリストネットワークの規模や拠点の縮小、壊滅の動向、構成員相互間の連携、交流阻止の状況活動の資金、手段等の枯渇の度合いなど、諸般の状況を総合的に考慮する必要があるということでございます。
  204. 小泉親司

    ○小泉親司君 それは防衛庁長官が先ほどお答えになったことと同じなんですよ。だから私言ったでしょう。これじゃ何が言っているかさっぱり分からない。  しかも、先ほど申し上げましたように、これは官房長官もお認めになったように、今度の法律というのは、御承知のとおり、あの九月十一日の大変悲惨なテロ攻撃、この問題に関連している、つまりアフガニスタンの戦争。それ以外のイラクの戦争については支援ができないわけですから、この法律においては。そうでしょう。  ということになると、あなた方はテロ攻撃テロ攻撃と簡単に言いますけれども、極めて限定されているんですよ。ところが、いつの間にかあなたが言っている、あなたうなずいておられるけれども、あなたがまとめて言っておられることについては、これは閣議で決定されたことなんですか。そういう方向なんだということなんですか。それは勝手に防衛庁長官が言っていることだけでしょう。  例えば、私はこの問題について、平成十三年十一月二十日の参議院の外交防衛委員会、このテロ法案が成ったとき、成立が強行されたときに、私、まだ石破さんは防衛庁長官でございませんでしたので中谷防衛庁長官に、脅威を除去する中身はどういうものなのか、この点、閣議ではどのように決定されたんですか、防衛庁長官、まずお尋ねしたいと思いますと。中谷さん、現在米国を始め世界各国がこのテロの原因となっておりますラディン氏の確保、また、それを支援するタリバン政権また並びにアルカイダという組織の壊滅を目指して行動いたしております、それをすることによって今後テロが発生しない国際社会を構築できるように全力を尽くしますと、こう言っておられるんです。  こういうことが閣議で決定されたんじゃないんですか。福田さんは官房長官の歴代記録を更新しておられるから、このこと御存じなんでしょう。私は閣議で決定したんだと言ったら、こう言ったんですよ。あなた、違うじゃないですか、話が一つも。
  205. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) それは閣議で、状況、背景説明としてそういうことはあったかもしれない。しかし、閣議じゃないですね、それは。閣議でないと思います。しかし、閣議を行うに当たって状況説明があった。そういう状況説明の中にその種の説明があったのかもしれません。私もそのときのことは今覚えておりませんけれどもね。調べろというのであれば調べます。
  206. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私、この問題というのは、官房長官、もう私、このことは官房長官も覚えておられると思いますが、外交防衛委員会で二度三度やっておられるんですよ……
  207. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) もうどんどん忘れるんだ。
  208. 小泉親司

    ○小泉親司君 どんどん忘れちゃ駄目ですよ、そんな。この法律の最も主要な問題なんですから、官房長官。これは第一条の目的に属する問題なんだから、そんな簡単に忘れられちゃ困りますよ。官房長官、今の発言、重大ですよ。あなた、法律の目的の問題についてはすぐ忘れちゃうんですか。そんな法律なんですか、これは。
  209. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 細かいことは忘れるんです。しかし、大筋はちゃんと覚えております。
  210. 小泉親司

    ○小泉親司君 そういう点では、私は先ほど言いましたように、一つは私がこのテロ特措法が成立したときに中谷長官にただした、閣議でこの問題についてのこの見解、それから先ほどるる御紹介をいたしましたように、それぞれの閣僚の方の見解、これがばらばらだと。これは私、ゆゆしき問題で、この点については明確にこれは政府の見解がない限り、これは出口がどこへ行ったか分からないというのは、政府は知っているけれども国会は分からないというんじゃ、私はテロ特措法の改正案の審議としてはいささか問題だというふうに思います。その点でどういう見解なのか、これは政府のまとめた見解示す必要があるんじゃないですか。官房長官どうですか。
  211. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ですから、先ほど私答弁しましたような事情をよく考察した上で総合的に判断すると、こういうことなんですよ。我が国は海上の、今は海上の補給活動をしているということでありますけれども、根源はアフガニスタンにおける治安の回復、そして復興なんですね。ですから、そういうことについてどの程度の進展があるかということは、それはいろんな要素があるんじゃないでしょうか。  アフガニスタンが例えばあれですか、ロヤジルガをやるとか、また来年には独立政府としての形を整えるとかいうようなことがあったときに、自発的に自主的にいろいろな活動できてくる、その結果テロリストたちが排除されるとかいうようなことがあれば、それはその時期に今言ったような懸念がなくなってくるわけですから、そういう時期をとらえて活動を中止するということは十分あり得るわけであります。
  212. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私は、政府の見解というのは明らかに二転、三転というよりどんどんどんどん広がっちゃうわけですよ。だから、私は、この二年延長すると、今度の法案ありますけれどもね、今度は総理またこの次はどうするんだと、いや、また検討して延長すると。こんなことやっていたら時限立法じゃなくなっちゃって、どんどんどんどん延長になっちゃう。  例えば、私も何遍も議論してきましたが、例えば日米の思いやりの協定、これは川口外務大臣もよく詳しいと思いますが、これは五年の時限的な条約だったんですよ。ところが、暫定的、限定的といって五年たったら廃止しますとまで外務省言った。今何年続いておりますか。二十五年続いているんですよ。五年の暫定協定が五回協定が改定されて二十五年続く。これは恒久協定ですよ。それと同じような、これは自衛隊の恒久法的な性格になってしまう。  だから、私はこの点ではやはり当然のこととして延長は我々認められない。しかし、その点を明確にしないと、これは与党からも今度の委員会で議論になったことですから、この点についてどういう現状になったらこれは脅威が除去されたと政府として判断されるのか、もっと統一した、まとまった見解を私示すべきだと思いますよ。  最後に、長官、もう一回私のこの指摘についてお答えいただきたいと思います。
  213. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、これは期限がないじゃないかという御指摘ございましたけれども、期限これはあるんですよ、二年。今度も延長をお願いして二年間ということであります。今それについて、その法改正についてお諮りをしているということでございます。  私は、この延長は是非お願いしたい、こう思っておりますけれども、じゃその先どうなのか、また延長するんじゃないかと、こういうふうにおっしゃいますが、それはそのときの情勢ですよ。そのときにどういう状況になっているのかどうか、そのときに本当に必要かどうかということはまた御審議お願いするわけですから、反対なら反対だということをそのときに言っていただきたいということでございます。  それから、どういうときに終了するのかということについては、これはいろんな要素がありますから、今ここで定量的に申し上げるわけにいかないし、抽象的といったら抽象的かもしれぬけれども、こういう言い方で申し上げるしかないんだということでございます。しかし、要件としては今申し上げたような要件があるんだということで御理解はいただきたいと、いただけると思います。
  214. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、この点は納得いきません。  先ほども、繰り返し言いますが、与党からも出ておる意見ですから、この点についてはきちんとやはり私はしないと、これ延長延長って連続して延長したら、これは恒久的になっちゃいますよ、自衛隊派兵法が。ですから、私は、その点については、これは非常に、自衛隊を恒久的に海外に派遣するものだということを指摘しておきたいと思います。  次に、テロ特措法に関連をいたしまして、神奈川の米軍基地の問題について幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。  私は、この予算委員会においても、我が党の議員もこの予算委員会において神奈川県に大変多数の遊休基地があると。具体的には富岡倉庫地区、それから深谷通信所、上瀬谷通信所、こうした遊休基地があるから直ちに返還すべきだということを要求してまいりました。これ要求してきましたら、やっと外務省も重い腰を上げて日米協議に乗り出した。しかし、この日米協議でアメリカから、この三つの基地は返すけれども、返す代わりに新たに今度は池子の森に米軍の住宅を三十七ヘクタール、約八百戸の住宅を建設すべきだということを言われた。つまり、住宅建設をのまなければ基地は返還しませんよというようなことを突き付けられた。  そこで、政府、私はこの間の問題、昨日の外交防衛委員会で防衛庁長官にもただしてまいりましたが、政府は、池子の森には逗子市と横浜市の行政部分がある、前回は逗子市との交渉で合意したが、横浜市は入っていない、だから逗子市とは話合いは入らない、横浜市と話し合えばいいんだというようなことを言っております。  私、今日、これパネルにいたしましたが、(資料を示す)これは防衛庁長官も認めていることなんですが、池子の森というのは、これは平成二年の十二月に池子の住宅建設事業が行われたときに、横浜の防衛施設局が逗子市民にカラー入りできれいなパンフレットを配った。この配ったものの中身でありますけれども、この中で、全面積二百九十ヘクタール、計画区域は八十三ヘクタールで計画区域外が二百七ヘクタール、この区域には横浜市の部分も逗子市の部分も入って、全体、池子の森をどうするかという住宅建設の計画だった。  ところが、最近になってアメリカ軍から住宅を提供してくれと言われたもんだから、私は外交防衛委員会で、これは防衛庁の悪知恵だと言ったんですが、その悪知恵を凝らして、ここの行政区は横浜市と逗子市があるんだ、だから横浜市の方については以前の合意には入っていないんだ、だから横浜市と協議すれば問題はないので、逗子市は話合いの対象外だと。私は、これは全くの荒唐無稽な議論で、全くでたらめな議論だと思います。  そこで、九四年の十一月当時、私は、逗子市は、横浜市といういわゆる行政区域は別にして、九四年当時の議論では池子弾薬庫全体、つまり二百九ヘクタールをめぐって交渉が行われたと、この点は、防衛庁長官、この点はお認めになるんですね。
  215. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは池子の森全体を含んで議論が行われたということでございます。  ただ、経緯は今、委員が的確に御指摘になりましたが、そのパネルもそうです、それはもうどう見たってこれは逗子も横浜も含むということになるとしか読めないですよね、そのパネルは、パネルというかチラシは。しかしながら、ではその住宅をどこに造るんだという場合には、それは逗子ではなくて横浜、つまり横浜が三者合意の当事者ではないという議論は昨日もさせていただきましたが、どこに造るかということにおいては横浜に造るということが荒唐無稽な議論ということには私はならないだろうと思います。  悪知恵という御指摘はいただきましたが、そんなに悪知恵を巡らせたというたぐいのものではなくて、今までの行政的ないろいろな合意、いろいろなお話合いの経緯におきまして、住民の方々、逗子市の方々をだまし討ちするような形になったとは私は考えておりません。
  216. 小泉親司

    ○小泉親司君 九四年当時に池子の森全体が議論に、全体が議論になった、それは逗子市も横浜市部分も一緒だと、これもまあ一つはお認めになっている。それで、私は昨日御質問したのは、当時の議論の上で、澤市長さん、これは逗子市の市長さんで、三者協議の、三者合意の当事者のお一人でございます。この市長さんが、市議会でのこれ会議録、私持ってきましたが、この会議録の中で、追加建設はあるのかという質問に対して、この追加建設はないというのはもう三十三項目のところで昭和五十九年当時に明確になっているところで、それは変わらないということでできていることでございますと。追加建設はないんだと、池子全体について追加建設はないんだと、こう言っておられる。  その点について、私が昨日ただしましたら、今度は防衛施設庁が何と言ったかと。これは私が昨日のビデオを起こしたものですから極めて正確でございますが、速記録じゃございませんが正確でございますが、この合意をまとめる過程におきまして、私ども、神奈川県知事、逗子市長、防衛施設庁長官との間でいろんな調整をさせていただきました。この過程におきまして、逗子市から残余地の緑地保全を求められるのに対して、防衛施設庁から、当面、残余地での住宅建設計画はないが、将来を縛る約束は不可、あるいは提供地の施設・区域に制約を加えるのは極めて困難などと説明した経緯がございます。こういったことからも、三者合意において、この池子の残余地において住宅建設を行わないといったことを約した、つまり約束したことではないということでございますと、答弁されておられます。  この点について、追加建設をしないということを約して、約束しているというのはどこでどのように合意されたんですか。
  217. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) 経過でございますので、私の方から御説明を申し上げます。  これは、平成六年にいわゆる先生御指摘の三者合意というものがございます。これは池子住宅地区に約八百戸の家族住宅を建設をすることに関連をいたしまして、逗子市の方からいわゆる三十三項目に上る、例えば公共施設の整備等の要望が出されております。それ以前の段階でいろんな議論が当事者間でございまして、神奈川県知事が間に立っていただいて、住宅建設をスムーズに進める一方で逗子市側の要望についてどういうふうにこたえていくかという……
  218. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっと簡単に、経過は分かっているので、簡単に言ってください。
  219. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) 合意をした中で、三十三項目の要望に入っております当時予定をしておりました八百数十戸の住宅に追加をして住宅建設をすることは考えていないというふうな合意があったわけでございます。  ただ、これは昨日の外交防衛委員会の際にも議論がございましたが、これはこの三者合意に至る過程で、都合六回ほど三者でいろんな実務的な話合いをいたしております。その中で、先ほど委員が御指摘になりましたように、私どもの方から、将来の、これは米軍の施設・区域として提供しているところでございますので、将来の利用を縛るというような合意はできないというようなことを申し上げたりもいたしております。  そういう中で、追加建設というものをどういう、どの地域あるいは範囲に限定をしてそういうことを申し上げたかということでございますが、これは委員はチラシをお示しになって、これは二百九十ヘクタール、これは逗子市側と横浜市側全体でございます。  私どもも、確かに逗子、横浜含めて池子の緑をいかに保全をするかという関心が非常に高まりましたので、八百数十戸の住宅建設をした場合に池子の森全体がどういうふうになるのかというイメージはお示しをいたしました。
  220. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、委員長、そんなこと聞いてないよ、僕は。全然駄目だよ、そんなの。
  221. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 答弁は簡潔にお願いします。
  222. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) はい。  お示しをいたしまして、ただ、追加建設そのものについては、私どもはあくまでも池子の中の逗子側、あくまでも逗子市が当事者でございますので、それを念頭に置いてそういうふうに申し上げたということでございます。
  223. 小泉親司

    ○小泉親司君 じゃ施設庁長官、今言ったことはどこに書いてあるんですか。検討会での会議録のどこにも書いてないですよ、あなた、そんなことは。でたらめ言っちゃ駄目ですよ、全部読んでいるんだから。どこに書いてあるんですか。そんなの駄目ですよ。
  224. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) 今申し上げました、私どもの方から家族住宅を追加建設する考えはないとしておりますけれども、これはそもそも経緯を申し上げますと、昭和五十八年の七月に横浜防衛施設局長から逗子市長に対しまして、米軍住宅建設の計画区域、これ約八十ヘクタールございます、これを示す図面を添付をいたしまして協力依頼をしたということに見られますように、あくまでも住宅建設区域を特定した上でのものでございます。
  225. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 答弁は質疑者の趣旨を体して簡潔に行われますようにお願いします。
  226. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) その回答が住宅建設戸数の限度を遵守をするという要望に対するものであるということから、今申し上げたようなことを申し上げたわけでございます。
  227. 小泉親司

    ○小泉親司君 私はどこに書いてあるんですかと聞いているんです。施設庁長官、誠実にお答えください。どこに書いてあるんですか。  あなた、ごちゃごちゃに問題をしていますけれども、今あなたが言っているのは、昭和五十九年の防衛施設局長回答というやつなんですよ。あなたが以前に言ったことは、六回の三者の協議の中であなたはそういうことを主張をしたとおっしゃいました。どこで主張した議事録に、どこに書いてあるんですか、何回目の議事録に。明確にしていただきたい。  ちょっと止めてください。ちょっとこれは止めてください、答えられないんだから。
  228. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは平成六年合意がございます。その以前、九月二日でございますが、三者でいろいろな協議をいたしました。市の方からは残余地が森として残される保証がほしいというような御意見がございまして、私どもの方からは、提供中の施設・区域に制約を加えるのは極めて困難だという趣旨の発言をいたしております。
  229. 小泉親司

    ○小泉親司君 第一回目の会議録を今お読みになりました。第一回、二回目というのはどういう結果になったかといいますと、お互いに歩み寄れるように継続審議なんだと。これは審議の過程が書いてあるんですよ。あなたはそう主張したということはこれは間違いないですよ。しかし、六回目なんです、合意は。その合意の中に、国、本提供施設内に米軍住宅の追加建設はないということについては国としては提供中の施設・区域に制限を加えることは難しいが、いわゆる三十三項目、これは三者の合意がされた附属文書として添付されたその三十三項目には追加提供はしないということが含まれている、これは第六回の協議で言っているんですよ。  あなた、でたらめなことを、全然言ってもいないことを言っちゃ駄目ですよ。あなたが言ったことはどこに書いてあるんですか。どこの会議録に書いてあるんですか。ちょっと明確にしていただきたいと思います。これ、明確にしない限りちょっと審議できないですよ。
  230. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) 先ほど第一回の会議録申し上げましたけれども、これは第六回の平成六年十一月でございます。  ここでも当事者間でいろんなやり取りがございまして、その中で私どもの方から、本提供施設内に米軍住宅の追加建設はないと、これかぎ括弧付きでございますが、ということについては、国としては提供中の施設・区域に制限を加えることは難しいがという発言をいたしております。
  231. 小泉親司

    ○小泉親司君 そこは私が読んだところなんですよ。だから、施設庁長官、そういうでたらめ言っちゃ駄目だって言っているの。あなたね、ここは国会の場なんですよ。  そこで、あなたね、加えることは難しいが、が、いわゆる三十三項目に含まれていると書いてあるじゃないですか。じゃ、いわゆる三十三項目に含まれている、その三十三項目に含まれているということをお認めになるんですね。追加建設はしないということは三十三項目に含まれているんですね。どうですか。
  232. 山中昭栄

    政府参考人(山中昭栄君) これは、三者合意の中で三十三項目を事実上引用しておりますので、含まれているというふうに考えております。
  233. 小泉親司

    ○小泉親司君 じゃ、何で追加建設やるんですか、防衛庁長官、追加建設はしないということが三者合意で合意したのを。我々は、三者合意についてはその当時我々は反対しましたよ。何でかといったら、住宅提供するから。しかし、提供しているところに追加建設は含まれていないと言って、何でそれで追加建設をするんですか。これ幾ら何でもおかしいじゃないですか。国が池子全体の計画について追加建設はしないと言っておきながら、今度はそれを切り分けして、こっちは逗子市です、こっちは横浜市ですと、だから横浜市部分については住宅は建設できるんですと。これは、私この前も申し上げましたが、逗子市民と国民に対する背信行為ですよ。こんなでたらめなことでやったらどうなるか。  私は、例えば、これからあなた方は横浜市と交渉する。横浜市は、御承知のとおり元衆議院議員の方、この方が市長をやっていて、それじゃ、その交渉しているときに、交渉したことが違う話がまた出てくるということだってあるということなんですよ。そうでしょう。だから、そういうことが国としてまかり通らない、これは追加建設は駄目だと、これは明確じゃないですか。長官、いかがですか。
  234. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは三者合意というものをどう考えるかで、形式としては三者合意の中に横浜市は入っていない。国と逗子市と神奈川県のものであって、神奈川県知事が仲介の労を取ったものである。そのことについては何も疑問はないと思っています。そして、逗子に追加建設をするというお話ではなくて、そこに当事者となっていない横浜市との間で行うということが、先生御指摘のように、逗子市民をペテンに掛けたようなものかといえば、私はそうは思っていない。  それでは、池子の森全体でどれぐらい緑が守られるのか。本来、緑を守らなければいけないという、そういうような当初の目的というものが達せられるか達せられないかということと、そしてまた、形式論理として、横浜市が入っていないのだから、横浜市に建てろということについて、先生御指摘のように横浜市と交渉する、誠心誠意交渉するということは何ら矛盾するものではない。これはペテンに掛けるものでもないというふうに私は思っております。  ただ、お話の最中に、先生御指摘のように、あのときにああ言った、このときにこう言ったというようなことで錯綜した部分がございますから、それはきちんと整理をしてお示しをするということは国として責任があるというふうに考えております。
  235. 小泉親司

    ○小泉親司君 長官、先ほども言ったように、国とそれから都道府県知事、神奈川県知事、逗子市長、この三者で話合いしているんですよ。そのときに、国が池子の米軍住宅をどうしようかと話としてしているんです。だから、単にそれは逗子市に対してどうかという趣旨の、性格のものじゃないんですよ。いいですか、国として言っているんだから、その国が、追加建設はしませんよ、神奈川県知事にも逗子市長にもそう言っているんですよ。それで、今度は追加建設について、今度は逗子市と横浜市があったんだという、行政区で区分けしてやるなんというのは、これは私はペテン以外の何物でもないじゃないですか。錯綜なんか全然していません。錯綜しているのは防衛施設庁長官ですよ。
  236. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 石破防衛庁長官
  237. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、ちょっと待って、委員長。僕はそんな、あなたは何でも繰り返すんだから駄目だよ。
  238. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) いや、繰り返さない。
  239. 小泉親司

    ○小泉親司君 駄目。はい。だから、私はそれはもう明白なペテン行為だということを──違くはないですよ、ペテン行為だということを申し上げたい。これはあなたが全然違うと言ったって、皆さん全部そう思っていると思いますよ。これは明確であります。  そこで、私はこういうふうな米軍住宅の追加建設はこれはやめるべきだと、これは断固としてやめるべきだと、これはアメリカの言いなりでどんどんどんどん建設したら、逗子市は大変な問題になる、横浜市も大変な問題になるというふうに思います。  私、時間がありませんので、次の問題に私は移らせていただきます。私も時間が極めて少ないものですからね、ですから是非、続けて国連決議の修正案をめぐって幾つかお尋ねします。  私どもは、この前も総理の質問でも申し上げたように、国連中心イラク復興が今非常に重要だというふうに考えております。十六日の、私、本委員会で、アメリカ国連決議修正案がイラク国民への主権の移譲の時期を明記していないということについて総理にただしてまいりました。総理は、できるだけ早く各国が相談して合意ができればいいと、状況を見ながら判断すべきというふうな答弁を繰り返された。私、これではちょっとアメリカ決議案と同じだということを申し上げましたが、今度は川口外務大臣は、私、二日の衆議院のテロ特別委員会ではもう既にお話しになっていて、期限を切ることが一体現実的に妥当かどうか、復興という意味でいえばそれがいいかどうかということについては、これは様々な議論があるというふうに述べられた。  日本政府としては、イラク国民に主権を渡すと、これについて期限を設定する、期限を切る、この点については反対なんですか。
  240. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本政府として、まず、イラク人たちに統治の権限、これをできるだけ早く移すということは非常に大事なことであるというふうに思っています。それが早期に実現するということは重要です。  ただ他方で、新しい安保理の決議イラクへの統治権限の移譲の期限を明記しさえすれば、必ずイラク治安状況が改善をするというものでもなく、その統治権限を移譲された政権が実際にその役割を果たせる、果たすことのできる体制にあるかどうかということが大事で、そのためにその政権が十分に準備を行うことが必要だと思っています。  したがいまして、どれぐらい具体的にその期間が必要かどうかということについては、そういった実際の状況を考える必要があるということでして、期限に関してはある程度柔軟になるということが必要ではないかというのが日本政府の考え方であります。基本的に、新たな決議ができるだけ早くできて、そしてその統治の権限をできるだけ早期にイラクに引き渡すということが重要だというのが日本政府の意見です。
  241. 小泉親司

    ○小泉親司君 アナン国連事務総長を始めとしまして、フランスや中国やロシアの三つの安保常任理事国、それから四つの非常任理事国、これはイラク国民に主権を返上する時期を明示しないアメリカ決議案に大変反発を示されておられる。できるだけ早くという点では、これはこれが大変今焦点になっている。この点は外務大臣もお認めになると思いますが、これなぜ明示するということができないのか、その理由というのはどこにあるのか。  単に、私は国民に、イラク国民に渡してもイラク国民ができないからって、これはいささか私は失礼な話で、当然のこととしてやはりイラク国民政権を移譲すると、全権を移譲するという、その上で国連中心として国際社会が大いにバックアップするということが非常に重要な問題なんじゃないかなというのが、なぜそういうことに対して消極的なんですか。
  242. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大事なことは、イラクに統治をする権限が移譲されたときに、イラクにおいて治安状況がきちんとする、あるいはその改善をするような状況イラク政権、統治評議会であれ何であれですけれども、その移譲された政権が十分にそういう力を持っているか、そういう状況かどうかであるということであるというふうに考えています。  ですから、期限を切るかどうかということについては、それはある程度の柔軟性が必要であろうということが日本政府の意見で、委員のおっしゃっていることと意図は全く同じであるわけですけれども、具体的に期限を切るかどうかについては、そういった現状を踏まえる必要がありますから、柔軟性が必要であるというふうに考えています。その現状について一番判断ができるというのは、米英等の今実際に統治の責任を負っている国であるというふうに考えます。
  243. 小泉親司

    ○小泉親司君 今日の報道ですと、十月二日にアナン事務総長が全安全保障理事国との昼食会で発言をして、国連は今のような状況下で政治的役割を十分に果たせるふりをしてはならない、国連かCPA、占領機構ですね、CPAか、どちらか一つ憲法制定や総選挙の道筋を担うべきだ、両者が一緒にやればいたずらに混乱を招き、その結果、国連要員を危険にさらすというふうに述べられた。  言わば、国連中心か、米英の暫定当局、いわゆるCPAか、言わば二者択一を迫る格好な発言だというふうに報じられておりますが、日本政府としては、国連中心でやるべきだと、この点については、このアナン事務総長の発言についてどう考えるんですか。
  244. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本政府として、国連が十分に関与する形で国際協調が確保されて、イラク復興が行われるということが重要であるというふうに考えております。  そのためにはどういうルート、どういう方策が一番いいのかということが問題になっているわけでして、例えば国連の人員が今後イラクにどれぐらいいるであろうかという現実問題もあります。統治権限をイラク政権に移したときに、治安が守られる状況までその統治権限を移行、移譲された政権が育っているかどうか、力を持っているかどうか、そういうことも見極める必要があります。  そういう意味で、アナン事務総長がおっしゃった全部のコンテクストについては承知をしておりませんが、決議についての考え方については、アナン事務総長も、今後引き続き自分もその考え方を深めなければいけないということも言っていらっしゃいますし、それからネグロポンテ大使も、アメリカの大使も、これから引き続き協議を国連とも、安保理のメンバーともしていかなければいけないというふうに言ったというふうに記憶をいたしております。  今後とも、引き続き注視をしていきたいと考えております。
  245. 小泉親司

    ○小泉親司君 引き続き議論をさせていただきますが、これで今日は終わりにさせていただきます。
  246. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。よろしくお願いいたします。  官房長官は御退席されるようでございますので、最初に簡単な質問を二問ばかりお願いいたします。  小泉総理は、一昨年の十月五日の衆議院予算委員会において、憲法の前文と九条の間にすき間、あいまいな点があるという趣旨のことを述べておられますが、総理が言われる憲法前文と九条の間のすき間というのはどういうことでしょうか。官房長官はどのようにお受け止めになっておられるでしょうか。
  247. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 憲法についてはいろいろな議論がございますけれども、例えばPKO法ができましたね、十年以上前ですけれども。あのときも憲法論議、盛んに行われました。そこで、PKO法も憲法の、法律に基づいて、若しくは憲法の枠をはみ出さないで行う海外における自衛隊の活動と、こういう位置付けであると考えまして、そういう提案をいたしたわけでございますけれども、しかしそれは、そういうような事態というのはそれまで、それまで考えたことがなかったと。新しい、新しい我が国としての国際貢献一つの形ということで提案をしたので、今まで、それまでは考えていなかった。  それは、憲法の範囲の中でいろいろやることはあるだろう。しかし今までは、特に自衛隊の海外における活動ということは、これは考えたことがなかったんだけれども、しかし考えてみればそういうこともできるんだ、また国際的な要請もあるんだということでもってそういう、自衛隊に任務を課したと、こういうことでありまして、それは、結局、憲法の枠の中で今まで考えていなかった新しい役割、PKOもそうです、今回のイラクアフガニスタン、そういうようなこともそうなんですけれども、そういうものがまだまだあるんだと。これからも出てくる可能性は十分にあるんですよ。  そういう、要するに、憲法と現行やっているいろいろな活動の中にはすき間があるというのは、そういう、これから新しい任務が出てくるかもしれぬと、こういうことを説明するために総理も使われたのではないかというように思っております。
  248. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほど官房長官は御答弁の中でもう既に触れられておりますが、私は若干楽観的に過ぎるんじゃないかという気がしますので改めてお伺いしますけれども、カルザイ政権治安の悪化でこの十月に予定されていた憲法制定のための国民会議を延期をせざるを得なくなりました。それだけではなくて、来年六月に予定している総選挙も全国で実施することは非常に難しいというふうに報じられております。カルザイ政権アメリカ側に一方的に頼るやり方でやっておりますので事態がなかなか改善されないのではないかというふうに報じられていますが、政府の見通しはいかがでございますか。
  249. 川口順子

    国務大臣川口順子君) カルザイ政権が一方的にアメリカに頼るというふうにおっしゃられましたけれども、私ども日本カルザイ政権に十分に頼ってもらっていると感じて、責任を持って行動しなければいけないと思っています。  国際社会全体がカルザイ政権を支えている。なぜそうかといいますと、テロの問題もありますし、二十四、五年間破綻をしていた国家を元に戻すという国際的な取組が成功しなければ、ほかの国々、今後のそういった同じようなケースに対して非常にある悪いモデルになってしまうということをみんなが恐れているということであるからです。  それで、今後の見通しですが、十二月には憲法制定ロヤジェルガ、そして来年の六月には総選挙が行われるということで、今、カルザイ政権も国際社会も動いております。
  250. 大田昌秀

    大田昌秀君 そうしますと、総選挙は予定どおり全国的に行われるという見通しをしておられるんですか。
  251. 川口順子

    国務大臣川口順子君) もちろん、一年先の、半年以上先のことについて一〇〇%確定をしていますということは、言うことは難しいかもしれませんけれども、我々としては、そういった見通しを持って、そのためにいろいろしなければいけないことがありますから、それを努力をしているということでございます。
  252. 大田昌秀

    大田昌秀君 一昨年の十二月から、テロ対策特別措置法に基づいて、インド洋において海上自衛隊の輸送艦による米艦船等への洋上給油が続けられているわけですが、そのことがテロ対策に具体的にどのように結び付いていくのか、改めて洋上給油活動の目的について防衛庁長官からお願いします。
  253. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) お答えをいたします。  テロ特措法に基づきまして、自衛隊は、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため、またこれを目的といたしまして、米国等によるテロとの戦いへの協力として、九・一一テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めている米軍等の艦艇に対して海上自衛隊の補給艦による艦船用燃料の補給を実施しているところでございます。
  254. 大田昌秀

    大田昌秀君 この間の給油実績について、米艦船及びその他の国々の艦船別に、数量、回数、金額について教えてください。
  255. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  テロ特措法に基づきます協力支援活動における補給関係でございますが、これにつきましては、先生御指摘のように十三年の十二月二日の日以降やっておりますが、これ、十月の六日までの概数という形で申し上げますと、艦船用の燃料は、米英軍等すべて合わせて、これで合計で三百二回、総量で三十二万四千キロリットル、額で百二十二億円になっております。このうち、米軍の艦艇に対しましては二百七回、そして三十万キロリットル、そして百十三億円を提供をしております。  これにつきまして、あとその他の国も先生は御入り、今の米軍のところだけじゃなくしてほかの国もですか。
  256. 大田昌秀

    大田昌秀君 あらましで結構です。
  257. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) あらましでございます。  ほかの国は大分、今年の三月からやっておりまして、数的には非常に少なく、量的にも大変少なくなっておりますが、フランス、一番早くやりましたフランスで十五回、これで二千七百キロリットルで一億一千万。それからあと、ニュージーランドでこれが十回、一千七百キロリットル、七千万と、こういうぐらいでございます。あとその他まだ七つぐらいございますが、あと小さいので、よろしいでしょうか。
  258. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほども他の委員から御質問がございましたけれども、重複するかもしれませんが、お許しください。  去る十月五日付けの朝日新聞の「洋上給油 見えぬ引き際」という見出しの記事によりますと、米艦船を除く他国の艦船は昨年五月の約百隻から現在では二十一隻に減った、海上阻止活動に参加した十一か国のうち、オランダとニュージーランドの艦艇は七月に引き揚げたと報じられています。  これは、米国を別にすれば、他の国々はもう引揚げの時期と判断しているのではないでしょうか。防衛庁の御見解を伺います。
  259. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 午前中にもお答えをしたことと重なりまして恐縮でございますが、私どもはそういう判断をしておりません。例えば、ニュージーランドは確かに引き揚げましたが、陸上に新しい部隊を派遣をしておりまして、テロとの戦いというものは続いておるわけでございます。また、ギリシャの場合には、アテネ・オリンピックに備えてのエーゲ海での訓練ということで船を引いております。  どの国も非常に少ない船を回しておりますので、これだけ長期間にわたりますと、ずっと展開をしておるということは極めて困難でありまして、これはテロとの戦いの必要性が少なくなったので引いたというよりは、それぞれの国の艦船のローテーションの問題であるというふうに私は理解をしておるところでございます。
  260. 大田昌秀

    大田昌秀君 その引揚げの適切な時期なんかについては一体だれがどういう形、どういう手順を経て決めるんですか。
  261. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは具体的な手順の細部まで私は存じませんが、これは参加するのも離脱をするのもそれは各国の主体性に任されておると考えております。もちろん、補給ですとか現場の活動は調整を行うことでございますが、参加する、あるいは離脱するということに具体的なメカニズムがあって、私は離脱をするけれども、いいとか悪いとかいうことがそこの調整の過程において決められるわけではなく、それはあくまで各国の主体性によるところが大きいと考えております。
  262. 大田昌秀

    大田昌秀君 各国の主体性によって決まるとしますと、その際、国会との関連はどういうふうになりますか。国会に相談して政府は決めるんですか。
  263. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、終了するという場合にはどうするかということでございます。これは、終了する場合に国会にお諮りをするということには必ずしもならないというふうに思っております。実際にそのことを終了する場合にどうするかということは、この法律を定めますときも御議論がございました。また、前国会でも御議論があったようには考えております。ただ、主体的に判断をするということでございますので、国としてどういう場合にこれを引くべきかという判断、そういうことの経緯等々は国会にお示しをする場合はあると考えております。
  264. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほど御説明いただきましたが、現在の給油数量はピーク時の十数%にしかすぎません。他国の艦船も引き揚げつつあるのが実情ですが、先ほど防衛庁長官日本の国益からも給油活動を継続する必要があるということをおっしゃいましたが、海上給油が具体的に国益にどのように結び付くんですか。
  265. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはテロとの戦いというふうに一くくりにして申し上げますが、これは国際社会における我が国の責任でもあります。これの履行ということにおいて、我が国の国益にかなうものだというふうに考えております。また、あの付近の海域というもの、あの地域というものが安定をするということが我が国の国益にも当然かなうものでございます。  私どもは、実際に洋上におきまして検査活動を実施しておるわけではございません。洋上給油ということを行っているわけでございます。しかし、洋上給油というものがあって初めて各国の艦船の洋上検査というものが効率的に行われる。  今、委員が、回数も少なくなった、船の数も少なくなったではないか、量も少なくなったと言われますが、量が少なくなりましたのは、それは船の大きさが小さくなったということによるところが大きいものでございます。量は少なくなりましたが、じゃ、その船の大きさが三分の一になって給油数量が三分の一になったからといって、それじゃ補給の活動の時間が三分の一になるかといえば、そんなことはございません。補給の、実際に行う前の段階、あるいは補給を行った後の段階、そこの部分の時間が相当長いわけでございまして、船の数が減ったから、量が減ったからといって我々の自衛艦の活動がその数字どおりに減ったわけでは決してございません。相変わらず、みんな苦しい状況の中で任務に邁進をしておるところでございます。
  266. 大田昌秀

    大田昌秀君 アフガニスタンの現状について外務省にお伺いいたします。  昨年七月六日、首都カブールで、カルザイ政権のカディール副大統領が暗殺されました。その二か月後、今度はカルザイ大統領が同国南部のカンダハルで何者かに銃撃されるという暗殺未遂事件が起きました。そのため、カルザイ大統領カブールから出られないほどの状態であると報じられています。  このような状態、先ほどもお話がありましたが、私は、失礼ですが外務省の見通しは若干楽観的過ぎるんじゃないかと思いますが、改めて、いかがでございますか、どういうふうに認識しておられますか。
  267. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  カルザイ移行政権の直接支配におきましては、あのカブールを含めた一部地域限定されておりまして、地方ではまだ多数の軍閥が割拠しておると、こういうことで、その政権基盤は必ずしも安定しておるというふうには申せません。しかしながら、カブールにおきましては治安は確保されておりますし、一部の地域についてはかなりの開発が進んでおります。問題は、アルカイダとタリバンがパキスタンの国境近くで引き続きテロ活動を行っているという状況にございます。  また、経済につきましても、この二年間におきまして経済の成長は進んでおりますし、食糧の自給というのもかなりの成果を上げております。また、通貨につきましても、こういう国の状況ではございますけれども、新通貨を導入いたしまして、インフラの抑制等進んでかなりの成果は出ております。
  268. 大田昌秀

    大田昌秀君 以前にも御質問したかと思いますが、アフガニスタンにおける民間人の死傷者の数についてお伺いしましたら、そういうことはよく分からないという趣旨の御答弁をいただいておりますが、改めて伺いたいんですが、アフガニスタンにおける民間人の死傷者の数とイラクにおける民間人の死傷者の数を教えてください。
  269. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  アフガニスタンにおける民間人の犠牲者の数でございますけれども、これはいろんなことが報じられております。米軍の誤射による死者についてもかなりの件数に上っております。他方、民間人の、民間の研究者による報告でございますけれども、三千八百人のアフガン人が死亡したという研究もございます。  しかしながら、これにつきましてはアフガン政府から正式な発表はございません。また、御答弁申し上げたと思いますけれども、民間人を装って武力攻撃をするという事態も発生しておりまして、どれが、どこまでが正確な数字かということについては現時点で把握しておりません。  また、イラクにつきましては、NGOが死者の数について研究を行っております。それによりますと、七千三百七十六名とか九千百七十八名とかという数字も出ております。
  270. 大田昌秀

    大田昌秀君 米国は同時多発テロに対する報復戦争という形でアフガン攻撃に踏み切ったわけですが、テロの根絶という大義は果たして達成されたかと申しますとどうもそうは思えないわけですが、静岡県立大学のイスラム研究家の宮田律助教授は昨年十一月の毎日新聞のインタビューで、テロ事件は同時多発テロ後の方が増えたとの印象があるという趣旨の発言をしておられますが、外務省はこの点についてどのように認識されておられますか。
  271. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  九・一一がございまして、国連におきまして審議がなされ、このようなものが国際社会の平和と安全に対する脅威であるという認識というものが確定されたわけでございまして、そのことと同時に、自衛権というものが発動し得るという認定もされ、御案内のようにアメリカ等はこれに対し自衛権を発動したと。そこにございますのは、このような同時多発テロは人類全体に対する卑劣な攻撃で、毅然とした対応なくしてはテロの一層の助長というものは招きかねないということでございます。  御指摘のように、他の地域におきましても、アルカイーダ等に関連すると思われますテロが引き続きなされていると。また、アフガニスタンにおきましても、まだ万全の状況ではございませんが、しかし、国際社会が一致してこのような対応を取っていること自身極めて重要なことだと思っておりまして、このことが要するに更なるテロを生んでいるという見解については政府としてはくみしないところでございます。
  272. 大田昌秀

    大田昌秀君 もうこれまでも何度も同じ質問が出て、くどいようで大変恐縮でございますが、いま一度確認させていただきたいと思います。  テロ対策特別法では、第一条の目的で、協力支援活動等の対策措置の根拠を一昨年九月十二日に採択された国連安保理決議第一三六八号に求めていますが、この決議は武力行動を是認しているのでしょうか。外務大臣にお答え願います。
  273. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この決議は、この決議自体は武力の行使を容認したものではないというふうに考えております。  他方で、決議一三六八におきましては、国連憲章に基づく自衛権が各国固有の権利であるということを改めて言及をしております。その意味で、今般の同時多発テロに対応して米国等が個別的又は集団的自衛権行使し得ることを確認したものだと考えられます。
  274. 大田昌秀

    大田昌秀君 パキスタンの北西部の都市、ペシャワールを拠点にして二十年近くアフガニスタンで医療活動に取り組んでいるNGOの、NGO組織のペシャワール会の代表をなさっている中村医師は、去る四月八日付け毎日新聞とのインタビューで、イラク戦争でアフガン人たちに変化があるかという問いに対して、反日的な動きが目立ってきたと、最近、カブールで行われた学生の反米デモでも、反米デモで日の丸が焼かれたが、親日的なアフガンでは考えられなかったことであると、日本は米国の片棒を担いでいると国民が思い始めていると答えています。また、同医師は、必要な援助としては何かという質問に対して、まずは水、作業地にかんがい用水を引いたところは難民となった人々が帰ってきています、農村の復興が一番の課題と語っていますけれども、我が国も自衛隊派遣の続行ではなくて、アフガンの農村復興のために文民の専門家による支援を強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  275. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国は、アフガニスタンにおいては積極的に様々な支援を行っております。  東京で復興支援会議を開いたというのもその一端でございますけれども、国内アフガニスタン国内でいろいろな支援、例えば再三質問がございましたDDRですね、武装解除、動員解除、社会復帰ということもやっておりますし、それから地雷対策、それから今おっしゃった水、農村という意味では緒方イニシアチブということで地域開発をやって、そこに復員をした兵士が戻るということもやっているわけです。ですから、そういった意味で、我が国アフガニスタンに対する支援というのは非常に満遍なく範囲を広くやっているわけです。教育、医療というのもございます。  そういった形で我が国アフガニスタン支援をしているということについては、日ごろからアフガニスタン国民理解をしてもらうように十分努めておりますし、引き続き今後とも努めてまいりたいと思っています。
  276. 大田昌秀

    大田昌秀君 今、外務大臣がおっしゃったように、いろいろな形で支援をしておられるようですけれども、改めて自衛隊を派遣して軍事力によってテロ根絶を図るよりも、今おっしゃったような他の選択肢を追求していくことの方がむしろ国益につながるのではないかというふうに考えますけれども、その点は、くどいようですが、いかがでございますか。他の選択肢はないんですか。
  277. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それを組み合わせて行っているということでございます。  外務大臣から今答弁がございましたように、そういうような活動アフガニスタン国内において行っている。しかし、日本国の持つ高い補給能力をもって海外のいろんな国の艦船に対して補給活動を行う、これが両々相まってアフガン国内の安定、テロの流出防止、そしてテロの根絶につながっていくというふうに考えております。
  278. 大田昌秀

    大田昌秀君 自衛隊を派遣することについて、これまで自衛隊の家族とか自衛隊本人から不満とか、あるいはその他の意見とかということは提起されたことはございますか。
  279. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、そういうことが全くないとは申しません。それは非常に長期にわたるものでございますし、過酷な任務でございますから、全く、神様仏様ではございませんので、全く不平不満なしに務めたとは思っておりません。  しかしながら、言われているように、非常に弛緩し切っているとかあるいは惰性に流れておるとか、そのようなことは私はないと確信をいたしておりますし、事実そうであります。
  280. 大田昌秀

    大田昌秀君 不満が全くないとは言えないという趣旨の御答弁でございましたけれども、もし不満が提起されたとすれば、あるいは懸念が提起されたとすれば、どういう点を一番懸念しておるんですか、どういう点に一番悩んでいるんですか。
  281. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは先般、副長官でありました赤城衆議院議員も、副長官在任中インド洋に行ってまいりました。で、艦船にも乗って、補給艦にも乗ってまいりました。  そこで実際に体感、体験をいたし実感をしたことは、非常に高温である。非常に任務が高温の中で、四十度、そして体感温度は五十度以上になる。目玉焼きが焼けちゃうぐらい暑いという状況は何にも変わっていない。その中で、六時間も緊張状態のまま、全く同じ方向に全く同じ距離を保ったまま船を動かすということがいかに大変なことかということ、緊張がずっと持続をするということでございます。  加えて、艦内に戻りましても、蒸気タービン艦の場合には温度がそんなに下がりませんので、艦内に戻りましても三十五度というのがずっと続いている。この中で緊張感が続くというのは非常に、いかな精強な自衛隊員をもってしてもなかなか難しいことだということが一点でございます。  もう一つは、補給艦のローテーションは非常に厳しゅうございまして、三回出ておる船、これは補給艦「はまな」でございますが、その中で三回同じ船に乗っているという隊員も数割ございます。三〇%ぐらいでございましょうか。そういうような隊員の負担を軽減をするということ、私ども全力を尽くしておりますが、補給艦もそんなにたくさんあるわけではございません。隊員も余裕があるわけではございません。ぎりぎり一杯の中で回すということは非常に厳しい。  そういうことの不平不満という意味ではなくて、もちろん法によって与えられた任務でございます。そして、危険を顧みず、身を挺して国民の負託にこたえるという宣誓をした者たちでございますけれども、なかなかそういう点、厳しいということは聞いております。改善に努めるのが私どもの責務だと認識をいたしております。
  282. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務省にお伺いします。  世界銀行がこのほど示したイラク復興資金の金額は妥当だとお考えですか。もしそうだとすると、我が政府の対応は、我が国の対応はどのようにお考えですか。今朝の新聞にも若干出ておりましたけれども、よろしくお願いします。
  283. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) まず、いわゆる世界銀行等が示しましたこのアセスメントニーズについて私の方から御説明させていただきたいと思います。  これにつきましては、今月の二日にイラク支援国会合の次官級準備協議が開催されております。その中で、世銀及び国連により、二〇〇四年から二〇〇七年の間の主要十四分野における緊急かつ中期的な復興ニーズとして約三百五十六億ドルが示されております。このニーズアセスメントにつきましては、世銀及び国連イラク人、CPAとの協力をしつつ現時点までに収集可能なデータに基づいて行った結果であります。  なお、CPAでございますが、同会合におきまして、先ほど申しましたニーズアセスメントではカバーされていない分野の復興ニーズとして、治安分野、石油等の分野で、同じ二〇〇四年から二〇〇七年の期間に別途百九十四億ドルが必要であるという見通しを示しております。
  284. 大田昌秀

    大田昌秀君 若干質問が変わりますけれども、これまでの議会における、各種委員会における質問で私が若干疑問に思っておりますのは、私などが考えている平和の概念、平和の考え方と、外務大臣防衛庁長官の平和の考え方がどうも一致しないように思うんですね。  大変恐縮ですが、外務大臣防衛庁長官、それぞれ、平和というのをどういうふうに認識しておられるか、教えてください。
  285. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 平和という言葉は余りにも大きい言葉でして、その定義をきちんと今まで考えたことはそういう意味ではございませんけれども、直観的に私がいつも平和という言葉を聞いて考えていることは、紛争等のそういった問題がない、人に脅威、恐怖を与えるようなことがないということであろうかと思っております。
  286. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私も外務大臣のお考えとほとんど近いのですが、戦争がない状態というのが平和の広義の概念だと思っております。  春の日うらうらと降り注いで、お花が咲き乱れて、心優しい人々が歌を歌いながら花を摘んでいると、それも確かに平和かもしれません。ただ、私どもは、少なくとも私は、戦争のない状態というものからいわゆる奴隷の平和というものを除いたのが平和の概念だと思っております。
  287. 大田昌秀

    大田昌秀君 正に防衛庁長官がおっしゃったように、一般的には平和というのは戦争のない状態というふうに受け取られがちなんですけれども、世界的に有名な平和学者のヨハン・ガルトゥングの説をおかりしますと、戦争のない状態というのは消極的平和というふうに彼は位置付けておりまして、むしろ平和のもっと重要な点は、差別とか偏見とかあるいは経済的な格差だとか男女不平等とか、そういったことこそが平和を損なっていることだと言っています。つまり、戦争というものを直接的暴力と規定して、そして、今申し上げたようなもろもろの社会的な不正とか不公正とか偏見、差別とか、そういう問題を構造的暴力というふうにとらえて、その問題を解決することこそが本当の意味での平和、つまり積極的な平和を作り上げることだというふうに言っています。  なぜこういう質問をするかといいますと、日ごろ外務大臣防衛庁長官も、総理大臣もそうですけれども、日米安保条約が重要だと、あるいはアジア太平洋地域の平和を守るために日米安保条約は大事だということをおっしゃっているわけですが、基地を抱えている沖縄では、日常的に生命の危険にさらされているだけじゃなくて、不公平な差別的な処遇を受けている地主とかいろいろあるわけです。つまり、日常的に平和が破壊されているわけです。ですから、そういう状況の中で沖縄や日本を含めてアジア太平洋地域の平和を守るといっても、なかなかそうですかというわけにはいかないですね。  ですから、その辺り、日常的に起こっている平和の阻害要因というのを積極的に行政の側でも解決していただかないと、平和という言葉の意味が通らないということを申し上げたいと思います。  それから、いま一つ、総理を始め防衛庁長官外務大臣も、これまで基地問題を始めとするいわゆる沖縄問題は日本全国の問題だということを答弁なさっておりますが、外務大臣防衛庁長官が沖縄の問題は日本全国の問題だとおっしゃるその中身はどういうことなんですか。
  288. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私が考えておりますことというのは、安保条約というのは、これは再三再四申し上げておりますように、我が国の平和と安全にとって非常に重要なもので、重要という以上のなくてはならないものであると思います。  そしてその負担、これが、基地の七五%が沖縄にあるということからも明らかなように、沖縄に特に非常に重く掛かっている、沖縄の県民の方にいろいろ御負担をお掛けしているという現実があるわけです。そういう意味で、その負担というのは、その利益を被っている我々全部、日本人が本来はみんなが負担をしていくという形である。ただ、現実問題としては、沖縄県民の方に非常に負担が多く寄っているということのその差の問題を私は申し上げております。
  289. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 基地が所在をしておるという意味から申し上げれば、三沢もそうであります。総理の選挙区の横須賀もそうです。佐世保も岩国もそうだと思います。  ただ、外務大臣がおっしゃいましたように、その七五%が集中をしておるという沖縄、それは地政学的な意味もいろいろございましょう。しかし、それによって日本国全体が受益をしておるという意味において、沖縄の御負担によって日米安保条約というものが実効性が果たされている部分があり、そしてその受益は日本国民ひとしく負っているということにおいて日本全体の問題であります。そのことは、日本国民一人一人が沖縄の御負担というものに思いを致し、そしてまたその軽減に国民一人一人が努めなければいけないという意味でもございます。
  290. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務大臣防衛庁長官もいみじくもおっしゃったように、基地の負担が沖縄に過重にしわ寄せされているわけでございますが、日米安保条約が日本国民の、日本の平和と安全のために不可欠だとおっしゃるのであれば、その安保条約から派生するもろもろの負担や責任というのは国民全体が平等に背負うべきことだと思うわけなんです。  ところが、過去五十八年間、それがそうなっていないわけですが、今のようなおっしゃり方でしますと、いつまで沖縄の人たちはこの過重な負担に耐えなくちゃいけないのですか。どういう形でこの問題を解決しようとなさるんですか。ブッシュ大統領が今月来日されるようですが、その問題についてお話しされる御意向はお持ちですか。
  291. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ブッシュ大統領がいらっしゃいますけれども、短時間、総理と親しくお話しになられたいということでいらっしゃいまして、総理とブッシュ大統領がどのようなお話をなさるかということを私が決めるわけにはまいりませんが、私としてその御質問の沖縄県民の御負担の軽減のために何をするかということで考えているかということですけれども、これは、米軍が沖縄にいるということは、先ほども申しましたように、アジア太平洋地域の平和と安定、我が国の平和と繁栄のために非常に重要で不可欠であるわけでして、こういった沖縄にある在日の米軍、あるいは日本全体にほかにもいますけれども、の兵力の問題、兵力の構成の問題については、これはその時々の国際情勢の問題もありますけれども、アメリカとの間では引き続き議論をしていきたい、協議をしていきたいというふうに考えて私はおります。  そして、今、SACOの最終報告というものが出ておりまして、沖縄県民の御負担の軽減のためにはこのSACOの最終報告の着実な実施に引き続き私としても努めてまいりたいと考えております。
  292. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛庁長官にいま一度お伺いしたいのは、一般的に、沖縄に基地が過重に負担、沖縄が過重に基地を負担しているのは地政学的な要因によるということを言う人が多いわけですが、実は私は、アメリカの専門家、軍事専門家とかそういう方々の意見を聞いたり、また論文を読んだりしますと、これはおかしいと。もし北朝鮮が脅威だとして、それに対する対策を練るために地政学的に沖縄が便利だというのであれば、これはおかしいと。すなわち、北朝鮮に対応する策としては、韓国の米軍を増やした方が一番いいし、次に、北九州の皆さんには申し訳ないが、北九州の方が地政学的にははるかに有利だということを書いているわけなんですよ。  ですから、その辺で、地政学的という言葉でもってずっと現状を維持しようという発想になると、これは大変困るわけでして、その点について改めてお伺いします。
  293. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私が地政学的にと申し上げましたのは、近ければいいということを申し上げたつもりはございません。かつて北の脅威というのが言われたときに、では、北海道に米軍がいたかといえば、近かったからといって北海道にいたわけではございません。地政学的にと申し上げておりますのは、単に近いとか遠いとかいうことだけではなくて、どの地域からどれだけの距離を持っているか、あるいは脅威と思っている、これは日本の場合にはかぎ括弧付きでございますが、そこがどのようなミサイルであり、航空機であり、艦船でありを持っておって、その数量がどれぐらいであり、速度がどれぐらいであり、あるいは航続距離がどれぐらいであり、そういうことをすべて総合的に勘案するものでございまして、決して近ければということで申し上げているわけではございません。
  294. 大田昌秀

    大田昌秀君 しつっこいようで恐縮でございますが、防衛庁長官の御出身の県で基地を引き受ける御決意はおありですか。
  295. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私の県でもあり、常田筆頭の県でもございますが、引き受けるつもりがあるかどうかということは、具体的にどういうようなものが提示をされ、どういう必要性があるかということだと思っております。それは、沖縄に御負担をいただいておるということを国民ひとしく認識をし、その負担の軽減に努めなければいけないということを申し上げました。自分の県だけは嫌だということは、私どもの県に限らず、どの県においても言ってはいけないことなのだろうと思っております。それが本当に合理的な必要がある、そしてそこに基地を置くことによって日本全体の平和と安全が守られるということであれば、それを説得をするのも政治家の仕事であろうというふうに私は思っております。
  296. 大田昌秀

    大田昌秀君 そうしますと、今、先ほど来ずっと言われております沖縄の過重な負担ですね、土地の面積からいいますと、〇・六%でしかない沖縄に在日米軍施設の七五%が集中しているだけでなくて、沖縄の空の二十か所、空域の二十か所、すなわち四〇%の沖縄の空域と二十九か所の水域、海上の部分ですね、地上から海上の部分が米軍に管理されているわけです。  これはもう私は、アメリカでも繰り返し主張したわけですが、こんな主権国家はないと思うんですね。自分の土地も海も空も使えないと。そういうことをこのまま放置して、じゃ、安全保障条約というのは不可欠だとおっしゃりながら、安全保障条約、日米安保条約というものはある意味で沖縄の過重な負担を一つの担保にして機能していると言っても言い過ぎじゃないと思うんですが、その点についてどういうふうにお考えですか。
  297. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 沖縄県民の方の御負担というのには大変なものがあると思いますし、今委員がおっしゃっていることについては、私はよく認識をいたしております。引き続きSACOの最終報告の実施等、私として努力をしてまいりたいと思っています。
  298. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほど他の委員からの御質問で、日本側の、日本政府の側にはアメリカとの関係で主体性がないじゃないかと、対米追従というのが日本政府のありようじゃないかという御質問に対して、防衛庁長官外務大臣も、いや、違うんだと、我々は十分に主体性を持ってアメリカと交渉をしているということの趣旨の御答弁がございました。しかし、私は事、沖縄問題に関していいますと、全く主体性があるとは思えないわけです。  例えば、前にも外交防衛でも御質問いたしましたけれども、事前協議制というのがありながら、沖縄からイラクの戦争に発進していると、米軍が発進しているということを言われても、その事前協議が過去一度も適用されたことがない、協議の対象になったこともないというようなこととか、そういうのを見ますと全く主体性がないとしか言いようがないと思うわけなんです。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  もし、防衛庁長官外務大臣が、いや、基地問題、沖縄の基地問題に対して主体的に我々はこういう解決をしたんだと、過去五十八年間に何か一つでもお示しください。こういうふうに主体的にやってこの問題を解決したんだということがあるとすれば、どうかひとつ教えてください。
  299. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一例をということでございますので、一例を挙げさせていただきたいと思いますけれども、沖縄基地にある米軍の使用した米国製及び日本製のPCB、これを運び出すということについて大きな問題がございました。  これについて、私は環境大臣でもございましたので、PCBの問題の大きさというのは十分に認識をしております。おりました。ということで、この米国への搬送については私自身もパウエル長官とも、それから今もうお辞めになりましたホイットマン環境庁の長官とも直接にお話をしてこれに筋道を付けた、今、運び出されつつございます。
  300. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛庁長官お願いします。
  301. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは沖縄の県民の方々の真摯な、そして切実な思いにおこたえをして基地の返還というのを行っております。SACOの合意もそうであります。それは合衆国にしてみれば決してウエルカムという話ではない。しかし、私ども政府としてもちろんそれで十分だというつもりはございませんし、今後も続けていかなければいけませんが、いかにして施設というものを返還をしていくかという交渉の過程におきまして、私ども政府としてアメリカ側とぎりぎりの交渉を行い、その着実な実現に向けて努力をいたしておるところだと認識をしております。
  302. 大田昌秀

    大田昌秀君 地位協定の改定については、これまでも何度も何度も沖縄側から要請をいたしました。そして、最近は県の首脳部が基地を抱えている各県を回って更にその地位協定の要請を強めているわけでございますが、最近、政府アメリカ側とこの地位協定について議論をなさったように報じられておりますけれども、それは事実でございますか。事実だとすれば、どのような議論をなさって、どういう解決方法が話し合われたんですか。
  303. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 地位協定についてのお話、話合いを米側と行ったかどうかということであれば、例えば地位協定十七条の刑事裁判手続につきまして、八月の前半ぐらいまでの間に四回ほどにわたりまして非常に緊密な協議を行ったということが一例としてございます。
  304. 大田昌秀

    大田昌秀君 結果はどうなったんですか。どういう話合いが付いたんですか。協定を改正するおつもりですか。
  305. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) この交渉につきましては、現在、その時点でのそれぞれの立場を両方で更に検討し合って、しかるべきときに交渉を再開しようということでございますので、交渉中でございますので、ここで具体的な言及は避けさせていただきたいと思います。  地位協定の改正ということを考えて交渉しているということではございません。
  306. 大田昌秀

    大田昌秀君 沖縄側が求めているのは、地位協定の運用ではなくて地位協定の改定ということを絶えずお願いしているわけでございますが、四回もお話をされて、アメリカ側の対応はどのような対応でございますか。それは非常に厳しいというふうにおっしゃっているんですか。いかがですか。
  307. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは先ほど申し上げましたように、これは改正ということを目途として交渉を行っているということではございません。  交渉の中身につきましては、先ほど申し上げましたように交渉中でございますので、米側の主張も含めて、ここで申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
  308. 大田昌秀

    大田昌秀君 繰り返して申し上げますけれども、これまで何度も何度も沖縄側では、地位協定の運用面ではどうしても犯罪とかいろんな不都合を防げないということで改定をお願いしているわけです。今、北米局長は改定を前提にして話をしているんじゃないということをおっしゃったわけですが、県民の圧倒的世論がそれを求めているのに、今、政府は主体的にアメリカ側に要求を何度もしているとおっしゃっているわけですが、なぜその地位協定の改定を前提にしない話合いをするんですか。どうして前提にしないんですか。
  309. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは従来から外務大臣も答弁をされておるわけでございますけれども、地位協定というのは大枠を定めております。その詳細につきましては、合同委員会の合意等でその運用の改善ということが常に間断なく図られてきているということでございます。  日米安保条約の効果的な運用ということにつきましては、地元の皆様の御意見も十分踏まえながら運用を日々改善していくというのが最も合理的で迅速に対応できるというふうに考えておりまして、それであるがゆえに運用の改善に全力を挙げているということでございます。
  310. 大田昌秀

    大田昌秀君 ちょっと理解に苦しむんですが、最も合理的、運用の面での改善ではどうにもならないということで改定を求めているわけですが、外務省の方が、責任者が最も合理的、運用が最も合理的と言う根拠は何ですか。
  311. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは先ほど申し上げましたように、地位協定そのものにつきましては全体の大きな枠を決めているということでございまして、その詳細につきましては、そもそも合同委員会の合意というような形で、そこで細かいことが詳細に決められております。したがいまして、その大枠のところの地位協定そのものを改正することをしなくても、合同委員会の合意の例えば改正、あるいは新たな合同委員会合意を作るというような形で、地元の皆様の御期待にもこたえるような方向で運用の改善ということが可能であるということから、そのような方法の方が結局は一番我々の望ましい結果が出せるのではないかということを申し上げたわけでございます。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
  312. 大田昌秀

    大田昌秀君 大変申し訳ないんですが、どうも納得できませんね。  今おっしゃるように、地元は、事件、事故の発生というのは、地位協定の大枠を変えない限り、例えば裁判権の問題とかですね、変えない限り防げないと言っているわけですよ。ですから、改定してくださいとお願いしている。運用面ではどうにもならぬと言っているのが地元の意向なんですよ。それを、地元の住民の意向をも踏まえて一番いい方法だとおっしゃる。その理由がよく分からないんですが、もう一遍お願いします。
  313. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは、事件、事故につきましては、もちろんこれはあってはならないことであるということで、これは日米の認識も一致いたしておりますし、我々としても常々米側にも強く申入れをしているということでございます。  それでは、その具体的な例えば合意としてどういう形のものを作ることができるのかという観点から考えますと、これは日米の間で意見が一致をしないということであればどういうものであっても可能ではないわけでございまして、そういう観点からすれば、改正につきましても合同委員会の合意につきましても、日米の意見が一致しなければできないという意味においては同じだというふうに我々は考えております。  他方、大枠の改正を行うということよりも、合同委員会の合意ということで機敏に対応ができると、その方が日米の合意もできやすいという意味において、改正ということよりも、当面は運用の改善ということが現実的で合理的であるというふうに我々は考えております。
  314. 大田昌秀

    大田昌秀君 恐縮ですが、北米局長、これまで、復帰後、沖縄でどれだけの事件、事故が起こったと、御存じですか。
  315. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) ちょっと突然の御質問でございますので、私、ここに数字は持ち合わせておりません。ただ、事件、事故につきましては、当然私も統計を見たことはございますし、それが決して好ましいことではないというのは当然でございます。
  316. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いします。  米国は、今年に入って、世界規模での米軍基地の再編について検討を始めたと報じられています。それは世界各地におけるテロの脅威に対し、より適切に、より即座に対応するためと言われておりますが、だとすると、米国はどのような戦略変更というものを考えているか、どういうふうに認識されておられますか。
  317. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) あえて比喩的に申し上げれば、重厚長大を廃すということだろうと思っております。特に陸の場合には、重い部隊というものではなくて、軽い部隊というものが機動力を持って動けるように、これは特に航空輸送能力あるいは高速輸送船による輸送能力等々具備をいたしまして、軽薄短小とは申しませんが、重厚長大型から機動性を持った部隊へということがその主眼目であろうと考えております。
  318. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほど外務大臣からSACOの話がございましたけれども、SACOは現在どういうふうに進捗しているか、御説明ください。  それと、具体的に、辺野古の普天間基地の代替施設について政府は閣議決定をしているわけなんですが、SACOの最終報告では、前から私が申し上げているように、滑走路の長さは千三百メートルとなって、緩衝地帯を入れて千五百メートルとなっていたのが、いつの間にか二千メートルを超すようになりましたね。ところが、今になって、軍民共用と言っているけれども、民間の部分は沖縄県が持てとかというような話になって非常に当惑しているところなんですが、一体その点はどうなっているんですか。どこが主体になって工事をするつもりですか。
  319. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  当庁としては、沖縄の米軍施設・区域の整理、統合、縮小を進める上で、普天間飛行場の返還を含むSACO最終報告の着実な実施を図ることが重要と認識しておりまして、鋭意その実現に努力をしておるところでございます。かかる観点から取り組んだ結果、土地の返還につきましては、十一事案のうち九事案について着実に進捗しておるところでございます。  まず、安波訓練場の全部返還が実現いたしました。これは平成十年でございました。また、キャンプ桑江の北側部分の返還が実現いたしました。これは今年の三月三十一日でございました。また、先ほど御指摘いただきました普天間飛行場の移設・返還の問題でございますけれども、これにつきましても、昨年七月、普天間飛行場代替施設の基本計画が策定されまして、また本年一月には、普天間飛行場の移設に係る政府方針に基づきまして、代替施設の建設段階に対応した政府と地元自治体との間の協議機関として代替施設建設協議会が設置されまして、同日、第一回が、第一回会合が開催されたところでございます。  本協議会におきましては、防衛庁から、環境影響評価、護岸構造に係る技術検討、現地技術調査など代替施設建設に係る当面の取組について報告し、今後、防衛庁において、地域住民の生活環境及び自然環境に十分配慮し……
  320. 大田昌秀

    大田昌秀君 ポイントだけお願いします、時間がありませんから。
  321. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) はい。  現在、環境影響評価については……
  322. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 質疑者の趣旨を体して、簡潔明確にやってください。
  323. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) はい。はい。  方法書の作成等に鋭意取り組んでおります。  このほか、六事案、キャンプ桑江……
  324. 大田昌秀

    大田昌秀君 いやいや、民間。民間。民間の……
  325. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 問われたことだけ答えてください。
  326. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) はい。はい。はい。  それから、民間、普天間飛行場の代替施設につきましては、現在、軍民共用飛行場ということで検討を進めているところでございます。
  327. 大田昌秀

    大田昌秀君 いやいや、国が。
  328. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) はい。  その部分につきましての事業主体の問題につきましては、今政府の方でるる地元と調整を進めていると伺っております。  以上であります。
  329. 大田昌秀

    大田昌秀君 時間がありませんので、最後に防衛庁長官外務大臣にお願いしてやめたいと思います。  アメリカには、政府からも、それから国会からも独立した機関として基地閉鎖・統合委員会というのができております。それで、公平な立場で基地の整理、縮小あるいは統合について審議をして、たとえ政府が反対しても、国会が反対しても、全体的な利益のために基地の整理、縮小をやっているわけなんですが、そのような、日本でもそういう種類の、客観的に評価して不都合を直していくというような、そういうことを制度的に保障できることをお考えいただけたら有り難いと思います。  終わります。
  330. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 インド洋にイージス艦を派遣した意義については政府はどのように考えておられるのか、御見解を承りたい。また、派遣したイージス艦の一日当たりの必要経費は幾ら掛かっているか、この二点についてお伺いします。
  331. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まず、一日当たりの必要経費についてでございます。  イージス艦の一日当たりの必要経費につきましては、人件費、糧食費、油購入費等多岐にわたりまして、正確にお答えするのは極めて難しゅうございます。  なお、テロ対策特措法に基づく活動に係る経費につきましては、平成十五年八月までに二百七十億円を執行済み。例えば、海上自衛隊として執行しました二百五十七億円から、米軍等に譲与します艦船用燃料、百二十億を除きました百三十七億円を日にち割り、六百四十八日で割りますと二千万円ということになってまいります。この数字が大体当たらずといえども遠からずという数字かなというふうに考えておりますが、これ、イージス艦一隻当たり幾らというふうに言われますと、これがきちんと幾らというふうにお答えができないのは、いろいろな経費が多岐にわたるからでございます。  イージス艦派遣の意味はどうであるかというお尋ねでございますが、これは、累次お答えをしておりますように、司令部機能というものを有した船を持っていきませんと、これは補給艦だけでは意味がない。補給艦、そしてまた周辺のテロ等々の脅威から活動を守るために行っております護衛艦との間の連携を取っていかねばなりません。したがいまして、司令部機能を有した船でなければならない。私どもが持っております船のうちで司令部機能を有しておりますのは、いわゆるDDHと申します「はるな」、「くらま」、「しらね」、「ひえい」というこの四隻の船と、あとは四隻のDDG、イージスシステム搭載型護衛艦でございます。  この八隻が司令部機能を持っておりますが、そのうちの二隻は常にドックに入っている、二隻は常にまだ練度が高くない、その中で回してまいりますので、常にイージス艦が当たるというものではございません。イージス艦は高い司令部機能あるいはコンピューター処理能力、指揮通信能力、加えまして居住性を有しておりますが、イージス艦がいつも出られないのは今申し上げた理由によるものでございます。
  332. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 日本の海上自衛隊は、インド洋上の各国艦艇に対する給油活動のほかにどのような任務を服しているのか。自衛隊は、平成十三年十一月から十二月にかけて、テロ対策特措法に基づく被災民救援活動として国連難民高等弁務官事務所の要請に基づくテント、毛布等の海上輸送を行ったとのことだが、ほかにも被災民救援活動を行った実績はあるのかどうか。あるとすれば、どこでどのような活動をしてこられたのか、お尋ねします。
  333. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 給油支援活動以外にどのような活動を行っておるかということですが、今、先生御指摘いただきましたように、十三年十一月二十五日に出ました掃海母艦「うらが」がテント、毛布を輸送をいたしております。これはUNHCRの要請に基づくものでございます。ほかには、補給艦「とわだ」より米艦艇に対しまして、平成十四年二月二十一日、物品の輸送を実施しております。それから、これは国会におきましても御議論を賜ったことでございますが、タイ王国の建設用重機等の輸送のため、護衛艦「いかづち」が横須賀から出まして、輸送艦「しもきた」が二月四日に呉を出港いたしまして、インド洋の沿岸国まで当該輸送を実施ということでございます。  なお、航空自衛隊におきまして、C130、C1、U4によりまして国内輸送、国外輸送を、国内輸送におきましては百九十二回、国外輸送は十五回行っておるところでございます。
  334. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 テロ対策特措法に基づく自衛隊の派遣以来、現在までに要した給油のための油代以外の費用は幾ら掛かっているのか、お伺いします。
  335. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えいたします。  今、先生おっしゃいました給油支援による艦船用燃料以外の経費ということでございますので、総支給、総経費が八月末でございますが二百七十億円でございまして、これから燃料を、これまで、八月末までに給油しました百二十億を引いた百五十億、約百五十億が執行済みでございます。  以上でございます。
  336. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 インド洋上あるいはその周辺海域においてテロ逃亡者を捕らえたという実績はあるのかどうか、あるとすればどのような実績があるのか、御説明いただきたいと思います。
  337. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 現在、日本の海上自衛隊が参加しております海上阻止行動というものは、御案内のように不朽の自由作戦という全体のテロとの戦いの一環として行われているものでございます。  ただいま御質問の成果につきましては累次御答弁を申し上げておりますが、三千人に上るアルカイダのメンバーが拘束され、またアルカイダの幹部及びタリバーンの指導者が合わせて約四十名、殺害ないし捕捉をされているというふうに承知をいたしております。
  338. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 テロ組織と目されているアルカイダが活動していると思われる国は、アフガニスタンイラク以外にはどのような国々なのか、お伺いしたいと思います。
  339. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答え申し上げます。  アフガニスタン以外におきましても、御案内のように、東南アジアのインドネシア・バリ島、あるいはジャカルタでの爆弾事件、あるいはフィリピン・ミンダナオ島での爆弾テロ事件、また中東地域ではイエメン沖でのフランス船籍のタンカー爆破事件、サウジアラビアでのリヤドにおける外国人居住地区爆弾テロ事件、南西アジアにおきましてもパキスタン、またアフリカではケニア・モンバサ等々におきまして、アルカイダが直接ないし間接関連していると思われるテロ活動がこれまで認知されているところでございます。
  340. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 インドネシアにおいて最近発生したバリ島とジャカルタの二度にわたるテロのてんまつはどのようになっているのか。また、死傷者数等の被害状況と事件後の経過について御説明いただきたい。
  341. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  去年の十月にインドネシアのバリ島で起きました爆弾テロ事件につきましては、日本人の方二名を含む二百二名の方々が亡くなられ、三百名以上の方々が負傷されました。また、今年の八月でございますけれども、ジャカルタで起きましたホテルの爆弾テロ事件でございますが、これは十二名の方々が命を落とされ、約百五十名の方々がけがをされたというふうに承知しております。  バリ島の爆弾テロ事件でございますけれども、これはイスラムの過激派組織でジュマ・イスラミーアというのがございますけれども、そのメンバーである実行犯の検挙及び裁判が進んでおりまして、また、インドネシア政府は国際社会の協力を得ながらテロ防止に向けた取組を強化してきております。  しかしながら、ジュマ・イスラミーアの活動は東南アジア地域の複数の国に広がっておりまして、この地域におけるテロの脅威は依然として非常に深刻であるというふうに考えております。  我が国といたしましては、インドネシア政府あるいはその他の関係国と緊密な情報交換をこれまでも行ってきておりまして、今後とも国際社会と協調しながらテロ対策に取り組んでまいる方針でございます。
  342. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 インドネシアのアチェ州における独立運動は現在どのようになっているのか、お伺いいたします。
  343. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  インドネシアのアチェ問題でございますけれども、二〇〇二年十二月、東京でアチェにおける和平・復興に関する準備会合が開催されました。そして、その一週間後に、インドネシア政府と独立武装組織でありますところの独立アチェ運動との間でいったん停戦合意がなされました。  しかしながら、その後、治安情勢が再び悪化いたしまして、今年の五月十九日でございますけれども、非常軍政事態というものが発令されまして、現在もこれは続いております。  我が国としましては、インドネシアの領土の一体性の下でアチェ問題が平和的に解決されることを希望しておりまして、関係の国々と協調しながらインドネシア政府に対して人権への配慮あるいは透明性の確保を働き掛けてきております。また、今後とも対話の場の提供を始めとする側面的な支援を行っていく所存でございます。
  344. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 フィリピンにおけるテロ活動状況はどのようになっているか、これもお伺いいたします。
  345. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  フィリピンでございますけれども、二〇〇一年のアロヨ政権成立以降、ミンダナオ地域中心とする反政府イスラム勢力及び全国的に活動する反政府共産勢力とフィリピン政府との間で和平に向けての努力がずっと続いてきておるわけでございます。  しかし、依然として各地で国軍、国の軍と反政府勢力の間の戦闘が発生してきておりまして、今後ともこれら反政府勢力によるテロ活動が行われる可能性も排除されないという状況が続いております。  こういった反政府勢力のうち、モロ・イスラム解放戦線につきましては、今年二月に彼らの拠点に対しまして国軍の軍事攻勢への報復と見られるゲリラ活動が活発化してきております。特に、今年の三月以降でございますけれども、このモロ・イスラム解放戦線によると見られる爆弾テロ、あるいは公共施設への襲撃事件がミンダナオ島を中心に頻繁に起こっております。  フィリピン政府は、この五月に和平交渉の無期限の延長を発表いたしました。しかし、その後も両者の間で停戦が成立し、現在交渉再開に向けた調整が行われているというふうに承知しております。  フィリピンのイスラム勢力の中でも過激で危険とされておりますアブ・サヤフ・グループというのがございますけれども、これにつきましては二〇〇〇年の四月それから二〇〇一年の五月に外国人を含めた誘拐事件を引き起こしてきています。フィリピン政府はこのグループの掃討作戦を強化しております。また、共産ゲリラはフィリピン全域でテロ活動を活発化しておりまして、二〇〇二年の八月以降、軍による掃討作戦が強化されております。こういった組織の多くにつきましては、国境を越えて活動しておりまして、また、アブ・サヤフ・グループといったイスラム過激主義組織につきましてはアルカーイダとの関係も指摘されております。  こういった地域全体の安全にも影響を与えるテロを防止するために、各国が国内対策を強化するとともに、域内の国々及び近隣国が幅広い分野で緊密に協調しながら対処することが不可欠でございます。この観点から、我が国としてもテロとの戦いにおけるフィリピン政府による取組の強化を支持しておりまして、今後とも可能な限りの支援を行っていく考えでございます。
  346. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 スリランカの民族紛争の現況はどのようになっているか、これもお聞かせください。
  347. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  スリランカでございますけれども、去年の二月に、政府とタミル・イーラム解放のトラというグループでございますけれども、この間で停戦が合意されまして、去年の九月以降、両当事者の間で和平交渉が行われてまいりました。現在、和平交渉は一時的に中断しておりますけれども、当事者の間では引き続き主要な懸案であります北と東の方の暫定行政機構の在り方について非公式な調整が続けられております。  我が国は、平和の定着、これを具現化するという観点からスリランカ和平復興のための、国際社会とともに積極的に取り組んできておりまして、去年の十月、明石元国連事務次長を政府の代表に、政府代表に任命いたしまして、今年の六月には五十一か国、二十二機関の参加を得まして、スリランカ復興開発に関する東京会議を開催したわけでございます。我が国といたしましては、この東京会議のフォローアップを通じまして今後ともスリランカ和平復興を積極的に押して、後押ししていく考えでございます。
  348. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんの置かれている状況は現在どのようになっているのか、そして政府の対ミャンマー政策はどのような方針の下で行っているか、御説明いただきたいと思います。
  349. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  スー・チー女史は今年の五月三十日の事件以降ずっと拘束された状況が続いておりますけれども、九月の十八日に入院いたしまして、翌日手術を受けられ、二十六日に退院して自宅に戻りました。その後、ミャンマーを訪問したラザリ国連事務総長特使が十月二日にスー・チー女史と面会しております。特使によれば、スー・チー女史は手術の後ではあるけれども元気であったというふうに私どもは聞いております。  我が国は、スー・チー女史を含むNLDの自由な政治活動の速やかな回復、さらにはミャンマーにおける国民の和解と民主化プロセスの具体的な進展が重要であると考えております。  今後ともミャンマー政府に対して粘り強く働き掛けていく考えでございますけれども、昨日、ASEANプラス3の首脳会合に出席されました小泉総理は、会議場でミャンマーのキン・ニュン首相と会われまして、その際に総理の方からは、民主化、それからスー・チー女史をめぐる状況については非常に懸念しておりますと、ミャンマーの現状を心配しているということをお伝えになりました。これに対して、先方のキン・ニュン首相は、国際社会の懸念については理解していると、自分たちは最良の結果をとにかく出すべく最大限努力していると、日本からのお申入れはきちんと踏まえて一層努力してまいりたいと、こういうお答えがあったというふうに聞いております。
  350. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ロシアのチェチェンの独立運動は現在どのような状況になっているかお伺いいたします。
  351. 小松一郎

    政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。  チェチェンでございますが、これはソ連邦に先立ちますロシア帝国との間で十九世紀の半ばに激しい抵抗運動の結果併合されたということもございまして、ソ連邦が崩壊いたしました後、二度にわたりまして紛争が発生しております。現在も武装勢力の抵抗が続いているというだけではなく、チェチェン共和国とその周辺地域のみならず、いろいろ報道されておりますように、モスクワでも劇場占拠事件でございますとか自爆テロなどがいまだに続いているという憂慮すべき状況にございます。  ロシア政府の方針でございますが、本件問題の解決のシナリオといたしまして新憲法、憲法を作ると、それから大統領選挙、議会選挙ということで正当性のある体制作りを進めたい、こういう方針を示しておりまして、その表れといたしましては、今年の三月に住民投票によりチェチェン共和国の新憲法を採択するとともに、この新しい憲法に基づきまして大統領選挙法という法律も作りまして、最近この十月五日にチェチェン共和国の大統領選挙を実施したという状況でございます。その選挙の結果につきましてはカディーロフという共和国の行政長官、これはプーチン大統領の今まで任命していた方でございますが、この方の当選が、圧倒的多数で当選が確実となっているという状況になってございます。
  352. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 パキスタンとインドのカシミール問題をめぐる紛争の現在の状況はどのようになっているか、お伺いいたします。
  353. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  おととしの十二月のインド国会襲撃事件がございましたけれども、その後にインドとパキスタンの関係は一時緊張が高まったわけでございます。この際、我が国は国際社会と連帯して、両国に対しまして緊張緩和と対話の再開に向けた働き掛けを行ったわけでございます。  こうした中で、カシミールにおきましては最近も小規模な事件の発生が報じられておりますが、両国の間では四月以降、関係の正常化に向けた努力が進められておりまして、この七月には大使を相互に交換し、またバスを運行する等の、バスを運行するこの公道を再開するとかいうことで、両国の関係の改善に向けた一定の具体的な措置が講ぜられてきておるわけでございます。  我が国といたしましては、カシミール問題が平和的な手段によって解決されることを期待しております。こういった関係改善へ向けた動きが更に進展するように、必要に応じてインド、パキスタン両国に対して今後とも働き掛けを行うとともに事態の推移を注視していく必要があろうかと思っております。
  354. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 外務省は、中国、台湾関係の現状についてどのように認識しておられるか、お伺いいたします。
  355. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  中国と台湾の関係でございますけれども、九〇年代の初めから双方の民間組織を通じて対話が行われてきておりましたが、九九年に李登輝当時の総統が中台関係は特殊な国と国の関係であるということを述べられて、これに対して中国が反発をし、中台の対話は中断したままとなっております。現在、中台間では一つの中国の原則をめぐる双方の主張に隔たりがありまして、対話再開のめどが立っていないということでございます。  いずれにしましても、我が国といたしましては、台湾をめぐる問題が当事者間の話合いを通じて平和的に解決されること、そのための対話が早期に再開されることを強く期待しております。
  356. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次は、北朝鮮をめぐる次回六者協議の開催の見通しについてはどのように認識しておられるのか。また、その開催に向けて政府はどのような努力をされておられるのか、お伺いいたします。
  357. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  先般、北京で行われました六者会合の際に、協議のプロセスを継続し、可能な限り早期に外交ルートを通じて次回会合の場所及び日時を決定するということに同意したという、そういう共通の認識が三か国の間で、六か国の間で得られたところでございます。  次回の六者会合につきましては、今の時点で具体的な開催時期の見通しは立っておりませんけれども、現在、関係国がそれぞれ外交ルートを通じてその実現に努力しているところでございます。我が国といたしましても、次回の六者会合の開催に向けまして、日本アメリカ、韓国の三か国の緊密な連携を取りつつ、北朝鮮の前向きなかつ責任のある対応を引き出すための一層の外交努力を傾注していく考えでございます。  ASEANプラス3首脳会議出席のためにインドネシアのバリ島を御訪問になっている小泉総理は、日中韓の首脳会談、会合を含む一連の会合に出席されまして、その場で、北朝鮮の核開発計画は絶対に容認できない、北朝鮮はすべての核開発計画を即時に検証可能かつ不可逆的な形で廃棄すべきである、我が国は日朝平壌宣言に基づき核、ミサイル及び拉致問題を包括的に解決し日朝国交正常化を図るといった我が国の基本的な立場を説明されまして、関係国の理解協力を訴えられたというふうに伺っております。  これに対しまして、例えばASEANプラス3の首脳会合では、多くの国から、問題の平和的な解決を是非目指してもらいたいと、これは地域の安定にも役に立つといった発言があったというふうに伺っております。
  358. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 イラク国内のクルド族の置かれた状況は現在どのようになっておりますか、お伺いいたします。
  359. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  北部クルド人居住地域でございますが、九一年の湾岸危機終了後、北部三県では事実上クルド人による自治が行われております。  今度の対イラク武力行使におきましても直接の戦闘地域にはなっておりませんで、比較的治安は保たれておりますものの、他の地域と同様でございますが、フセイン政権の下での影響から、今後は経済の立て直しが重要な課題であると承知しております。
  360. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 長い歴史を有するアフガニスタンイラク文化遺産は、戦争によって破壊と略奪が行われ、かなり破損、散逸したと思われますけれども、その現状はどのようになっておりますか。そして、日本がその回復、保存のためにどのように貢献しようと考えておられますか、お伺いいたします。
  361. 近藤誠一

    政府参考人近藤誠一君) お答えいたします。  アフガニスタンにつきましては、その文化遺産は、長年にわたる内戦により破壊や損傷を受けております。そして、御案内のように、二〇〇一年三月のタリバーンによる大仏の破壊によって大変な打撃を受けております。こうした中で、ユネスコの世界遺産委員会がバーミヤン遺跡を世界遺産に指定いたしました。  そうしたことを受けまして、我が国は、従来どおりこうした文化遺産の修復のために協力をしてまいりまして、アフガニスタンにつきましては、ユネスコに設置しました信託基金を通じて保存の事業を現在実施しており、現在既に専門家のチームが現地に入っております。  イラクにつきましては、御案内のように、戦争の混乱により、特にバグダッドの国立博物館で多くの略奪がございました。  我が国は、イラク支援復興の柱の一つとしてこうした文化財の保護を考えておりまして、先般、こうした事態を受けてユネスコに追加的に約百万ドルの拠出をいたしました。これまで実績はございませんが、この機会にイラクに対する文化財の保護の協力をするということで、ユネスコと協力をしながら準備を進めておるところでございます。
  362. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 在日米軍は、アフガン戦争イラク戦争にどのように、どのようなかかわり方をしたのか。その陸海空、海兵の四軍のかかわり方について政府はどのように把握しておられるのか、伺いたいと思います。
  363. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) アフガニスタン及びその周辺におきます不朽の自由作戦に空母キティーホーク等が参加をいたしまして、また、イラクにおけるイラクの自由作戦に空母キティーホーク、ミサイル巡洋艦カウペンス等が参加をしたということは承知をいたしております。  それ以上の米軍の運用の一々につきましては、その詳細を米軍も明らかにいたしておりませんし、我々も承知をいたしておりません。
  364. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 イラク復興に関する国連安保理決議の米案について、政府は米側から説明を受けたのかどうかですね。その米案に対する政府のもし考え方があれば承りたいと思います。
  365. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) ただいま御質問の新たな安保理決議案めぐりましては、現在、安保理メンバー国間で種々の話合いが行われている状況でございます。我が国は安保理の現在メンバーではございませんが、関連の情報の入手にはしかるべく努力を行っております。アメリカ側からの事前の情報入手ということも含め、最大限の努力を行ったところでございます。  内容につきましての御質問でございますが、大臣からも御答弁申し上げておりますが、イラクに対して主権というものを早期に、可能な範囲内において早期に移譲するということ、それから復興におきます国連の役割というものを、やはり現実の範囲内において更にこれを増やしていくということが必要であろうというふうに我が国としては考えておりまして、このようなラインでもってアメリカを始め関係国と話合いをしているというところでございます。
  366. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 アフガン情勢及びイラク状況について、日米間ではどの程度の情報の共有が行われているか、御説明願いたいと思います。
  367. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) アフガニスタンイラク国内情勢につきまして、あるいはテロ組織の関連情報でございますが、この収集、分析につきましては、我が国とその米国との間で、あるいは各国との間で非常に緊密な協議や情報交換等を行っております。
  368. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 来る十七、十八日のブッシュ大統領の来日の目的は何か、ひとつここで説明をしていただきたいと思います。
  369. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ブッシュ大統領は、バンコックにおきますAPECの首脳会談において、御出席をなさるということで、その途中に日本に一晩、立ち寄られるということでございます。  その場で、その夜ですけれども、総理と親しく御飯を食べながら意見を交わしたいというふうにおっしゃっていらっしゃいまして、両首脳の間で緊密な意見の交換が行われるのではないかと思っております。
  370. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まだ時間がありますけれども、あしたに譲って、今日はこれで質問を終わります。  ありがとうございました。
  371. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会