○佐藤公治君 私は、
民主党・無所属クラブを代表いたしまして、政府提出のテロ対策
特別措置法の一部
改正案に対し、反対の
立場から
討論を行います。(
拍手)
二〇〇一年九月十一日に米国で発生した同時多発テロは、
日本人を含む多くの罪なき人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な行為であります。
民主党は、このようなテロに対し国際
社会と一致団結して毅然と取り組んでいくことを、ここで改めて明確にいたします。
この許しがたきテロ事件を受け、米国は、テロとの闘いを宣言し、九・一一事件にかかわったアルカイダ及びタリバーンを掃討するため、二〇〇一年十月、アフガニスタン攻撃を開始しました。それからちょうど二年
たちますが、アフガニスタンや中東、そして世界は、テロや混乱から解放されたのでしょうか。残念ながら、世界はますます不穏な空気に包まれているように
思います。
この三月、米国及び英国は、国際
社会の批判の渦の中、大量破壊兵器の脅威を理由に、対イラク攻撃を決行しました。しかし、現在に至るまで大量破壊兵器は発見されていないばかりか、米英両政府に対する情報操作の疑惑は深まっています。
小泉総理は、米国等からの情報をうのみにして、真っ先に米国の攻撃を支持しました。今週、我が菅代表の予算
委員会での質問に対し、いずれ見つかると思っていると依然強弁されていますが、発見されなければ、責任をきちんととられるべきです。既に一万人を超える人々のとうとい命がこの戦争で失われていることを重く受けとめるべきです。かつて、「人一人の命は地球より重い」と
発言された自民党の総理・総裁がおられました。今の総理は余りにも人間の命を軽く見ているのではないかと憂慮せずにはいられません。(
拍手)
国際
社会は、テロには毅然と取り組むべきですが、力のみに依存するテロとの闘いには慎重になるべきです。また、テロとの闘いの名の
もと、実力
組織である自衛隊が政府の恣意的な判断で無原則に海外に派遣されるべきではありません。
民主党は、九・一一を受けたテロ
特別委員会の
審議でも、
国会によるシビリアンコントロールの
重要性を主張し、海外の自衛隊の
活動を認める内容である場合、PKO協力法に準じ、原則
国会の事前承認であるとの
立場から、修正案を提出しました。
同法成立後、政府が示した自衛隊の
活動に係る対応
措置については、期間、
活動範囲等が妥当と判断し承認しましたが、その後、政府は、イージス艦の派遣の必要性やイラク戦争との関係もうやむやにしたまま、オペレーションにかかわる内容はつまびらかにできませんと繰り返すのみです。
特に、今回、二年間の時限立法が期限を迎えるに当たり、この二年間、アフガニスタン周辺におけるテロとの闘いがいかなる成果を上げ、今後いかなる
課題を残しているか、また、いかなる目的を達成すれば自衛隊の任務が終了すると考えているか等について、明確な
説明を行っていません。これは、シビリアンコントロールの観点から非常に問題であることは言うまでもないのです。
我が国政府が、テロ
特別措置法しかり、イラク
特別措置法しかり、とにかく自衛隊派遣ありきなのは、小泉総理がブッシュ大統領に自衛隊の派遣を約束してしまったからでしょう。日米同盟は重要ですが、自衛隊の海外派遣という国民の生命にかかわる判断が地域及び国際情勢の見通しもおぼつかないまま安易に行われたのでは、
国家の悲劇につながりかねません。
さらに、私が問題であると思うのは、一度自衛隊を派遣した場合、幾ら現地情勢次第で撤退させると言っていても、それが簡単にできないことであります。総理は、一度コミットしたことをやめる難しさを甘く見ているのではないでしょうか。
民主党は、
我が国自衛隊が外国で
活動するに当たり、過去の過ちを二度と繰り返さないためにも、国民を代表する
国会が責任を持って自衛隊を送り出すことが必要であると考え、今回、
国会による事前承認を盛り込んだ修正案を改めて提出いたしましたが、与党は一顧だにしませんでした。
国会の事前承認の必要性を重ねて主張し、私の政府案に対する反対
討論を終わります。(
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