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2003-10-02 第157回国会 衆議院 憲法調査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本
国会召集日
(
平成
十五年九月二十六日)(金曜日)(午前零時現在)における本
委員
は、次のとおりである。
会長
中山
太郎
君
幹事
杉浦
正健君
幹事
葉梨
信行
君
幹事
平林
鴻三君
幹事
保岡
興治
君
幹事
大出
彰君
幹事
仙谷
由人
君
幹事
古川
元久
君
幹事
赤松
正雄
君
伊藤
公介
君
奥野
誠亮
君 川崎 二郎君
倉田
雅年
君
河野
太郎
君
近藤
基彦君
佐藤
勉君
下地
幹郎
君
谷川
和穗
君
谷本
龍哉
君
中曽根康弘
君
中山
正暉
君
長勢
甚遠君
額賀福志郎
君
野田
聖子
君
野田
毅君
平井
卓也
君
福井
照君
水野
賢一
君
森岡
正宏君
山口
泰明
君
大畠
章宏
君
桑原
豊君
小林
憲司
君
今野
東君 島 聡君
首藤
信彦
君
末松
義規
君
武山百合子
君
中川
正春君
中野
寛成
君
藤島
正之
君
水島
広子
君
遠藤
和良
君
太田
昭宏
君
斉藤
鉄夫
君
春名
直章君
山口
富男
君
金子
哲夫
君
北川れん子
君
西川太一郎
君
平成
十五年十月二日(木曜日)
会長
の
指名
で、次のとおり小
委員
及び小
委員長
を
選任
した。
最高法規
としての
憲法
の
あり方
に関する
調査小委員
奥野
誠亮
君
近藤
基彦君
中曽根康弘
君
葉梨
信行
君
平井
卓也
君
森岡
正宏君
保岡
興治
君
大畠
章宏
君 島 聡君
中川
正春君
中野
寛成
君
藤島
正之
君
遠藤
和良
君
山口
富男
君
北川れん子
君
西川太一郎
君
最高法規
としての
憲法
の
あり方
に関する
調査小委員長
保岡
興治
君
安全保障
及び
国際協力等
に関する
調査小委員
河野
太郎
君
近藤
基彦君
下地
幹郎
君
谷本
龍哉
君
中山
正暉
君
水野
賢一
君
山口
泰明
君
桑原
豊君
今野
東君
首藤
信彦
君
中野
寛成
君
藤島
正之
君
赤松
正雄
君
春名
直章君
金子
哲夫
君
西川太一郎
君
安全保障
及び
国際協力等
に関する
調査小委員長
中山
正暉
君
基本的人権
の
保障
に関する
調査小委員
倉田
雅年
君
谷本
龍哉
君
長勢
甚遠君
野田
聖子
君
野田
毅君
葉梨
信行
君
平林
鴻三君
大出
彰君
小林
憲司
君
今野
東君
武山百合子
君
水島
広子
君
太田
昭宏
君
春名
直章君
北川れん子
君
西川太一郎
君
基本的人権
の
保障
に関する
調査小委員長
大出
彰君
統治機構
の
あり方
に関する
調査小委員
伊藤
公介
君
佐藤
勉君
杉浦
正健君
谷川
和穗
君
額賀福志郎
君
葉梨
信行
君
福井
照君 島 聡君
末松
義規
君
武山百合子
君
中川
正春君
古川
元久
君
斉藤
鉄夫
君
山口
富男
君
金子
哲夫
君
西川太一郎
君
統治機構
の
あり方
に関する
調査小委員長
杉浦
正健君
平成
十五年十月二日(木曜日) 午前九時
開議
出席委員
会長
中山
太郎
君
幹事
杉浦
正健君
幹事
中山
正暉
君
幹事
平林
鴻三君
幹事
保岡
興治
君
幹事
大出
彰君
幹事
仙谷
由人
君
幹事
古川
元久
君
幹事
赤松
正雄
君
伊藤
公介
君
小渕
優子
君
奥野
誠亮
君
金子
恭之
君
倉田
雅年
君
近藤
基彦君
佐藤
勉君
谷川
和穗
君
谷本
龍哉
君
中曽根康弘
君
長勢
甚遠君
福井
照君
水野
賢一
君
森岡
正宏君
山口
泰明
君
大畠
章宏
君
桑原
豊君
小林
憲司
君
今野
東君
首藤
信彦
君
武山百合子
君
中川
正春君
平岡
秀夫
君
太田
昭宏
君
斉藤
鉄夫
君
春名
直章君
山口
富男
君
金子
哲夫
君
北川れん子
君
西川太一郎
君 …………………………………
衆議院憲法調査会事務局長
内田 正文君
—————————————
委員
の
異動
十月二日
辞任
補欠選任
野田
聖子
君
小渕
優子
君
平井
卓也
君
金子
恭之
君 島 聡君
平岡
秀夫
君 同日
辞任
補欠選任
小渕
優子
君
野田
聖子
君
金子
恭之
君
平井
卓也
君
平岡
秀夫
君 島 聡君 同日
幹事中川昭一
君九月二十二日
委員辞任
につき、その
補欠
として
中山正暉
君が
幹事
に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
幹事
の
補欠選任
小
委員会設置
に関する件 小
委員会
における
参考人出頭要求
に関する件
日本国憲法
に関する件 ————◇—————
中山太郎
1
○
中山会長
これより
会議
を開きます。
幹事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い、現在
幹事
が一名欠員となっております。その
補欠選任
につきましては、
先例
により、
会長
において
指名
するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中山太郎
2
○
中山会長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 それでは、
幹事
に
中山正暉
君を
指名
いたします。 ————◇—————
中山太郎
3
○
中山会長
次に、小
委員会設置
に関する件についてお諮りいたします。
最高法規
としての
憲法
の
あり方
について
調査
するため小
委員
十六名からなる
最高法規
としての
憲法
の
あり方
に関する
調査小委員会
安全保障
及び
国際協力等
について
調査
するため小
委員
十六名からなる
安全保障
及び
国際協力等
に関する
調査小委員会
基本的人権
の
保障
について
調査
するため小
委員
十六名からなる
基本的人権
の
保障
に関する
調査小委員会
及び
統治機構
の
あり方
について
調査
するため小
委員
十六名からなる
統治機構
の
あり方
に関する
調査小委員会
をそれぞれ
設置
いたしたいと存じますが、これに
賛成
の諸君の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
中山太郎
4
○
中山会長
起立
多数。よって、そのように決しました。 なお、小
委員
及び小
委員長
の
選任
につきましては、
会長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中山太郎
5
○
中山会長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 小
委員
及び小
委員長
は、追って
指名
の上、公報をもってお知らせいたします。 なお、
先例
により、
会長
及び
会長代理
につきましては、小
委員会
に
出席
できることといたしたいと存じますので、御了承願います。 次に、小
委員
及び小
委員長
の
辞任
の許可及び
補欠選任
につきましては、あらかじめ
会長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中山太郎
6
○
中山会長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 次に、小
委員会
におきまして
参考人
の
出席
を求め、
意見
を聴取する必要が生じました場合には、
参考人
の
出席
を求めることとし、その日時、
人選等
につきましては、
会長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中山太郎
7
○
中山会長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
中山太郎
8
○
中山会長
次に、
日本国憲法
に関する件について
調査
を進めます。 この際、米国、
カナダ
及び
メキシコ憲法調査議員団
を代表いたしまして、御報告を申し上げます。 私どもは、去る八月三十一日から九月十三日まで、
アメリカ
合衆国の
カリフォルニア
州及び
首都ワシントンDC
、
メキシコ並び
に
カナダ
において、その
憲法事情
について
調査
をいたしてまいりましたので、その概要につきまして口頭で御報告をし、
調査
の参考に供したいと存じます。 この
調査議員団
は、私を団長に、
会長代理
の
仙谷由人
君を副団長といたしまして、
中川昭一
君、
山口富男
君の四名をもって構成されました。なお、この
議員団
には、
憲法調査会事務局
及び
国立国会図書館
の職員のほか、二名の
記者団
が同行いたしました。 私ども一行は、九月一日、最初の
訪問地
である
カリフォルニア
州の
州都サクラメント
において、
州議会議事堂
を視察の後、
カリフォルニア
州の
上下両院議員
を経験した後、
州政府
の
総務庁長官
を務められた
バリー
・
キーン
氏及び
カリフォルニア
州
議会ロビイスト
であるスコット・
キーン
氏と
懇談
し、
州知事
のリコール及びそれが成立した場合の
州知事選挙
が行われている最中の
カリフォルニア
州の
政治状況
、そしてそれに大きな影響を与える
住民参加規定
を有する
カリフォルニア
州
憲法
の
意義
と課題について
意見
の交換を行いました。 また、翌二日には、全米の中でも
日本研究
で名高い
UCバークレー校
におきまして、「
衆議院憲法調査会
の活動と二十一
世紀
の
日本
の
憲法
」と題する私の講演及び
会場参加者
との間での
質疑応答
を行い、その後、場所を移して、スティーブン・
ヴォーゲル准教授ら政治学者
との
懇談
、そして
バーネット教授ら憲法学者
との
懇談
を相次いで行いました。 私は、講演の中で、
日本国憲法
の
制定経緯
にGHQが深く関与したこと。戦後半
世紀
の間における国内外の諸情勢の変化を受けて
現行憲法
のままで本当によいのかどうか、今まさしくそこが問われていること。そのような
観点
から、
憲法調査会
では、
象徴天皇制
の維持に関しては各会派が合意したものの、九条や
憲法裁判所
の導入の是非などについては精力的に議論されていることなどを述べました。これに対する
質疑応答
では、
会場関係者
から、
憲法裁判所
を導入した場合の判事の任命の
政治性
についてどのように考えているのか、
九条改正
が
近隣諸国
に与える影響についてはどうか、
天皇制維持
の理由は何かなどに関する質問が出されました。 最後に、
ヴォーゲル准教授
の指名により、
仙谷会長代理
、
山口議員
が発言されましたが、
仙谷会長代理
は、
我が国
が戦後とり続けてきた軽武装・
経済成長路線
はもはや通用しなくなってきていることを指摘された上で、
安全保障
を初めとする
国際関係
の考慮、これまでの統治の
基本システム
であった
中央集権体制
の転換、
民主主義
の
豊富化
としての
人権保障
の仕組み、具体的には、
憲法裁判所
、
人権委員会
や
GAO
などの仕組みの構築の
必要性
といった三つの課題を挙げ、さらに、
法治国家
としてこれ以上の
解釈改憲
は行うべきではないと述べられました。 また、
山口議員
は、
日本国憲法
の
制定過程
は、各党の
憲法草案
の提示、
制憲議会
での議論、国民の圧倒的な支持など、実に豊かなものであった。
天皇制
は
国民主権
と矛盾するものであり、やがて解決されるものとは思うが、現時点では、
象徴天皇制
にかかわる
憲法条項
を厳格に運用していくべきである。
憲法
九条は
アジア
と世界の平和、安定にとって重要であり、これを守ること、
我が国
では、
日米安保
からの離脱を主張する
意見
こそ多数派であるとする
世論調査
もあるとの
意見
を述べられました。 他方、
政治学者
及び
憲法学者
らとの
懇談
においては、
イラク戦争
、
北朝鮮情勢
などをめぐる現在の
日米関係
に対する認識と
評価
、頻繁な
修正
がなされている
カリフォルニア
州
憲法
の特徴とこれに対する
評価
など、実に広範なテーマをめぐって
意見交換
を行いました。特に、
民主党勢力
が強い
カリフォルニア
という
土地柄
もあってか、ユニラテラリズムの傾向を強める現在の
ブッシュ政権
の
対外政策
に批判的な
意見
が相次ぎましたが、
憲法
の
観点
から個人的に印象に残ったのは、
カリフォルニア
州
憲法
の最大の特徴とされる
住民参加規定
の
運用実態
に対する
消極的評価
でした。 すなわち、
カリフォルニア
州
憲法
においては、一九一一年改正によって導入されたイニシアチブ、
住民発案
による
憲法修正
が頻繁に行われており、この
制度
を利用して行われてきた数々の
憲法修正
、例えば、
固定資産税
の
上限税率
を
憲法
に定めたり、また、
増税法案
や
予算案
の議決には
議会
の三分の二の特別多数を要するとしたこと。
知事
、
議員
の
任期
を制限し、
知事
及び
上院議員
は二期八年まで、
下院議員
は三期六年までとしたこと。
不法移民
への
福祉制限
やアファーマティブアクションの廃止などが次々と行われてきましたが、これらは、
州知事
及び
議会
に対する住民の
不信感
に根差したものであると同時に、
少数派政党
が
州政府
、
議会
に対抗する形でこの
住民発案
を政治的に利用する傾向が見てとれるといった指摘であります。このような指摘は、前日の
サクラメント
での
懇談
において、
バリー
・
キーン
前
総務庁長官
も指摘したところで、同氏は、このような現象を指して、
カリフォルニア
州における
憲法
の危機とまで言い放っておられました。
我が国
でも、特に
地方自治レベル
において
住民参加
の主張がなされておりますが、
住民自治
の
観点
から仮にこれを導入するという立場に立った場合でも、このような直接
民主制
の
妥当領域
はどこか、これと
議会
への委任を中心とした
間接民主制
との
ベストミックス
をどのように図るべきか、さらには
憲法裁判所
のような
チェック機構
をどのように組み合わせて
制度設計
をするか等々といった
観点
が重要になってくると痛感した次第であります。
メキシコ
では、その
首都メキシコシティー
において、九月四日、午前中からお昼を挟んで夕方の午後八時近くまで、
セラーノ・メキシコ国立自治大学法学部長
、
ブルゴア
同
大学名誉教授
、
ゴンゴラ最高裁判所判事
、前
最高裁判所長官
、
ソラーナ
元
外務大臣
との
懇談
を相次いで、かつ精力的に行いました。
セラーノ教授
との
懇談
においては、
中央集権派
対
連邦派
、
保守派
対
自由派
の相互の対立、変遷を繰り返した十九
世紀
の
メキシコ憲法
の歴史を振り返った後、二十
世紀
初頭の
メキシコ革命
の後に定められた現行一九一七年
憲法
の
意義
について、また、
保護請求裁判制度
の生みの親と言われる
ブルゴア名誉教授
との
懇談
においては、この
制度
の沿革及び
意義
について、実に熱のこもった詳細な
説明
を伺いました。
ブルゴア名誉教授
は、この
保護請求裁判制度
は、1.どのような当局の
憲法違反
と思われる行為であっても対象となること、2.個人、法人を問わず、
権利侵害
をなされたと主張するいかなる人も
提訴権
を有すること、3.したがって、それは各人の
権利保護
にとどまらず、
憲法
全体を
保障
する
制度
として位置づけられていることという点で特筆すべき
制度
であることを強調されていたのが印象的でした。 また、
ゴンゴラ最高裁判事
との
懇談
でも、
憲法システム
を
保障
する
制度
として、各人が
権利侵害
を理由として
裁判所
に提訴するこの
保護請求裁判制度
が
話題
になりましたが、このほかにも、
メキシコ憲法
においては、
最高裁
によって抽象的な
法令審査権
が行使されるものとして、
憲法紛争
や
違憲申し立て
の手続が用意されているとの
説明
もありました。
衆議院憲法調査会
においても、
裁判所
の
違憲審査制度
については、
我が国
の
最高裁
の
違憲審査権行使
の
消極的姿勢
にかんがみて、
憲法裁判所制度
の導入の是非も含めて、これまで活発な議論がなされてきておりますが、この
メキシコ
の
制度
の詳細については、後ほど御報告する
アメリカ
及び
カナダ
の
制度
ともあわせて、もう少し
調査
する必要があると感じられました。 最後に、
ソラーナ
元外相との
懇談
では、さきの
セラーノ教授
との
懇談
でも
話題
となったのですが、
メキシコ
の
PKO不参加
の哲学、
アメリカ
との対等な
パートナー
としての共存にかける
基本姿勢
が主な
話題
となりました。
セラーノ教授
は、
メキシコ
は、国家の安全に関して
主権制限
にかかわるようないかなる
国際条約
にも加入していない。したがって、
国際連合
の枠内であろうと、
メキシコ
の兵士が他国の
指揮下
で行動するようなことは行わないとの
観点
から、
PKO
にも一人の兵士も出していない。その理由は、
アメリカ
という超大国を隣人として、これと三千キロメートルに及ぶ
国境線
を接している
我が国
が対等な
関係
を保とうとすれば、これしか方法はないからだという趣旨のことを述べておられたので、このことについて、私が
外務大臣
を務めていたときの
カウンターパート
であった
ソラーナ
元外相に改めて伺いたかったからであります。
ソラーナ
元外相は、1.現在の
世界情勢
は、
アメリカ
の
イラク戦争
に象徴される一国の
ヘゲモニー体制
に傾いており、これに対する各国の
意思決定
はそれぞれに尊重されるべきであるが、我が
メキシコ
は、
アメリカ
に対しても、ノーと言わなければならないときはノーと言うべきであると考えている、2.
我が国
と
日本
との間では、現在、
FTA
の
締結交渉
が進められているが、今後は、
太平洋
を挟んだ
アジア太平洋地域
の
FTA
が現実味を帯びてくるだろうし、
日本
との
関係
は政治的にもますます重要なものとなってくるだろう、3.そのようなことを背景にして、
国会議員レベル
での恒常的な会合を
日本
、
メキシコ
の二国間で持つことを提案したいとの趣旨の発言をしておられました。 次の
訪問地ワシントンDC
においては、九月八日、九日の二日間にかけて、
連邦議会
、
大統領
府、
司法
府それぞれの
関係者
と精力的に
懇談
をいたしました。すなわち、
連邦議会関係
では、その
附属機関
である会計検査院、
GAO
の
ウォーカー院長
、
議会予算局
、CBOの
ホルツイーキン局長
、いずれも
下院議員
である、
レイノルズ共和党選挙対策委員長
、
チャボット司法委員会憲法小委員長
、
ネイ議院管理委員長
の三人の
議員
、
大統領
府
関係
では国務省の
アーミテージ国務
副
長官
、そして、
司法
府
関係
では
最高裁判所
の
スカリア判事
の計七名の高官、
議員
であります。 まず、
ウォーカー会計検査院長
及び
ホルツイーキン議会予算局長
との
懇談
では、
大統領
府に対抗し得る情報を
議会
に提供し、
連邦議会
の
調査
及び
立法活動
を補佐する
組織運営
の実態について
説明
を聴取いたしましたが、その中で、それぞれの組織において、1.客観的かつ的確な情報を提供するよう腐心していること、2.特に、法律によって義務づけられているのは
委員会
や小
委員会
からの正規の要請だけであるが、慣例上、
少数会派
の
調査
の充実に資するために個々の
議員
からの
調査依頼
にもこたえており、これが年々多くなりつつあること、3.ただし、複数の依頼が重複した場合には、法律上の要請を優先することになることなどの
説明
を受けました。
我が国
における
議院法制局
や
調査
局・
調査室
、
国立国会図書館
の
調査
及び
立法考査局
などをいかにして充実強化するかを考えたとき、興味を引かれました。 また、
ウォーカー院長
は、
GAO
の独立的かつ効率的な職務の遂行を担保するために、
GAO
の院長の
任期
は十五年というかなり長いものとされていること、ちなみに、
FRB議長
の
任期
の十四年、
FBI長官
の
任期
の十年と比較しても長いことについて付言されましたが、
連邦最高裁判事
の
任期
は終身とされていることなどを考えると、
議会
の
補佐機関
の
独立性確保
をどうするかといった点もさることながら、その
任期
の異常なまでの長さには驚かされました。 次いで、
レイノルズ共和党選挙対策委員長
、
チャボット司法委員会憲法小委員長
、及び
ネイ議院管理委員長
の三人の
下院議員
と
懇談
いたしました。
レイノルズ委員長
との
懇談
では、来年の
大統領選挙
では景気、経済が最大の争点となるだろうとの
意見
が述べられ、
アメリカ
の有権者は自分の懐ぐあいで投票するとの発言が印象に残りましたし、また、
チャボット
小
委員長
との
懇談
では、成立に至る
憲法修正
は極めて少ないが、恒常的に
憲法修正案
は提案され、審議されていること、現在でも、
予算
の均衡に関する
修正案
、
犯罪被害者
の保護に関する
修正案
が議論されていること。
ネイ委員長
との
懇談
では、
下院議員
には
公設秘書
が全部で二十二名いることや、二年間の
下院議員
の
任期
の間には秘書の
人件費
も含め
議員
一人
当たり平均
百万ドルの
活動費
が支給されていることなどが
話題
になりました。
アーミテージ国務
副
長官
との
懇談
においては、同副
長官
は、訪問の歓迎のあいさつの中で、共産党の
山口議員
も含めた
日本
の
憲法調査会
の
議員団
にお会いできたことは、私にとって大変に
意義
深い日であると同時に、このような
調査団
の構成は
憲法調査会
の
重要性
を示すものであり、私は、その設置のときから関心を持って眺めてきたし、その
調査
結果をとても注目している旨述べられました。 引き続き、
懇談
に入りましたが、専ら
アーミテージ
副
長官
と団を代表して私との間で、
日本国憲法
九条を中心とした
日米関係
の
あり方
、
北朝鮮
問題に関する六カ国協議の
評価
と今後の見通し、
総裁選挙
及び
衆議院
の解散・総
選挙
が取りざたされている
日本
の政局などについて、友好的かつ活発な
意見交換
が行われましたが、その中で、
アーミテージ
副
長官
は、大要、次のようなことを述べられました。 まず、
アーミテージ
副
長官
は、
日米関係
は、現在、最も良好な
関係
にあり、また、低迷していた
日本経済
も徐々に回復しつつあるが、しかし、両国間には、
北朝鮮
問題も含めて、余りにも多くのしなければならないことがあることを指摘した上で、
日米関係
については、
日本
が二十一
世紀
の
日米関係
を始めた方法であるショーイング・ザ・フラッグとブーツ・オン・ザ・グラウンドは大変にすばらしい。
イラク戦争
で
日本
は
アメリカ
を支持してくれたが、
アメリカ
も、
日本
が
安保理
の
常任理事国
の席を得られるよういろいろな面で
日本
を支持している。ただし、
安保理常任理事国
の問題は、
集団的自衛権
の問題について
日本
が根本的な決断をしないと難しいであろう。私は、長い間、
日本
の
内閣法制局
の
憲法
九条解釈はもっと柔軟であってもよいのではないかと思ってきた。
日本
は、
主権国家
として有している
集団的自衛権
をみずから制限しているだけであり、その
制限解除
に関する議論が
日本
で起きていることは、大変に重要であり、歓迎している。ただし、それはあくまでも
日本
と
日本国民
が
決定
すべき問題であり、どのような
決定
をしようが、
日本
と
アメリカ
は
同盟国
であり、友人であるといった趣旨のことが述べられました。 さらに、用意していたペーパーに基づき、二〇〇〇年に発表された、いわゆる
アーミテージ
・ナイ・レポートの次の一節を読み上げられました。
日本
による
集団的自衛
の禁止は、
米日間同盟協力
にとって束縛となっている。この禁止を取り払えば、もっと密接で、もっと有効な
安保同盟
になるだろう。ただし、その
決定
は
日本国民
にだけできることである。米国は、
日本
の
安全保障政策
を特徴づけている内政上の諸
決定
を尊重してきたし、今後もそうしなければならない。しかし、
ワシントン
は、
日本
がさらに大きな貢献をし、もっと対等な同盟の
パートナー
になることを歓迎することを明確にしておくべきである。 また、
北朝鮮
問題については、先日の
北朝鮮
の核開発問題に関する六カ国協議では、
日米韓ロ
が協力して、それぞれが確固たる使命を果たしたが、特に、中国がふさわしい役割を果たしつつあり、今後とも、その地位にふさわしい役割を果たすように促していかなければならないだろう。
北朝鮮
も、五カ国の現実がわかりつつあるのではないか。先日の五十五周年のパレードで新たなミサイルがあらわれなかったのは象徴的な出来事である。しかし、
北朝鮮
に関しては、何事も確実に言うことはできず、今後の六カ国協議に期待していきたいとの趣旨のことを述べておりました。 最後に、私から、
衆議院憲法調査会
を運営するに当たっての
中山
三原則ともいうべき私自身の心構え、すなわち、この
調査
会でもたびたび申し上げておりますが、
民主主義
の堅持、
基本的人権
の
保障
、再び侵略国家とはならないことを宣明した就任あいさつを在京の大使あてに英訳して送付したことを披露したところ、
アーミテージ
副
長官
は、これに深い理解を示されました。 また、
山口議員
から、
集団的自衛権
の問題など、
アーミテージ
副
長官
とは異なる見解を持つが、それは今後の交流の妨げにはならない旨の
意見
表明がありました。
スカリア判事
との
懇談
においては、専ら、具体的な事件を前提としてのみ
憲法
判断をする
アメリカ
型の付随的
違憲審査制度
と、具体的な事件と離れて
憲法
判断を行い得るドイツ型の
憲法裁判所制度
との比較が
話題
となりました。
スカリア判事
は、徹頭徹尾、
アメリカ
型の
制度
の方がよいとの立場から、ドイツのような
憲法裁判所制度
においては、
裁判所
は、法律の解釈を専門とする法律家の領域でなくて立法者の領域に踏み込んでしまうばかりか、政治家同士のホットな議論に巻き込まれることになってしまいかねないこと、また、そもそも
司法
府の
憲法
、法律解釈は、原告、被告間の訴訟についての最終的解決ではあっても、決して、合衆国における最高かつ最終的な権威なのではなく、
大統領
府や
議会
が、我々の示した解釈を尊重せずに、同じ誤りを犯した別の法律をつくることだって理論的にはできるのであり、これが三権分立なのであるとの趣旨を力説されました。 この発言の真意を理解するには、
大統領
制のもと、厳格な三権分立がとられ、かつ、極めて積極的に違憲審査権を行使している連邦
最高裁
の事情を割り引いて考えなければならないと存じますが、一つの見識であるとは言えましょう。 なお、最後に、連邦
最高裁判所
判事の
任期
が終身であることについては、一たん任命された以上、死ぬか自分でやめるかしない限りその職にあり続けるということは、
独立性確保
のための極端な
制度
であるが、そのかわり、その任命のプロセスにおいて、
大統領
の任命と上院の同意といった形でかなり政治的色彩が強くなっており、これによってバランスがとれているとの趣旨のことを述べておられたのは印象的でした。
カナダ
のオタワにおいては、九月十一日に、まず、
最高裁判所
においてマクラクラン
長官
及びバスタラシェ判事と、国防省においてロバートソン国際
安全保障政策
局長らと、
連邦議会
においてブードリア下院政府総務と、そして枢密院においてクリスティー事務総長補とそれぞれ
懇談
を行いました。 マクラクラン
最高裁
長官
及びバスタラシェ判事との
懇談
においては、特に、
カナダ
における
違憲審査権行使
の実態について
話題
となりましたが、連邦
最高裁
の有する独特な権限である参照
意見
(勧告的
意見
)
制度
が印象的でした。 これは、具体的な訴訟の提起を待つことなく、しかも、法律が制定される前の法律案の段階においても、連邦政府からの諮問、照会に対して、
憲法
解釈、連邦法、州法の解釈、合憲性等について、
最高裁
が
意見
を表明するという
制度
であります。具体的事例として著名なものとしては、一九九五年実施のケベック州独立の可否に関する住民投票に関して、一九九八年、
最高裁
が示した、州の一方的独立は認められないとする
意見
があるとのことでしたが、現在も、同性愛者の結婚を認める法律案に関する諮問、照会があり、検討中とのことでした。ただし、いかなる諮問、照会にも回答を行うのではなくて、
最高裁
として回答するにふさわしいものにのみ回答することとしている、したがって、政治的問題については回答を拒否するとも述べておられました。 具体的訴訟を所管する
最高裁判所
に、一部、
憲法裁判所
的な機能を付与したものであり、政府部内に置かれた
内閣法制局
のような組織による
憲法
解釈よりは透明性が高いと言えそうですが、運用の困難さはひしひしと感じました。 なお、
質疑応答
の中では、マクラクラン
長官
を初め
最高裁
判事九人中三人の判事が女性であることに関連して、
裁判所
における女性の割合が
話題
となりましたが、一般に裁判官で三分の一、
裁判所
事務官ではその割合はもっと高いとの発言には驚かされました。 国防省においては、制服組であるロバートソン国際
安全保障政策
局長と、背広組であるキャロライン・キーラー女史から、
カナダ
における国防軍の活動及び
PKO
等への参加の基準についてそれぞれ
説明
を聴取した後、
質疑応答
を行いました。 ロバートソン局長らからは、
カナダ
の国防軍は六万人と非常に小さいので、
PKO
等への派遣人数は多くはないが、その比率は米国に次いでかなり大きなものとなっていることなどについて
説明
を受けましたが、私が特に印象に残ったのは、最後に、私から、制服組として
日本
の自衛隊と共同行動をした経験のあるロバートソン局長に対し、次のような質問をしたときの局長の発言です。 私は、
日本
の海上自衛隊のことをネービーと見ているのか、あくまでもセルフディフェンスフォースと見ているのかとの質問をしたのですが、ロバートソン局長は、海軍士官として答えれば、我々の活動は公海で行われているが、そこでは、どこの国の海軍であろうと自衛隊であろうと、そこで活動するに足りる能力が必要だということだけだ、私の経験から言えば、
日本
のネービーのような能力を持つ組織と一緒に行動したいとする趣旨の発言をされたからです。 ブードリア下院政府総務との
懇談
では、一九八二年
憲法
改正による
憲法
の
カナダ
化の
意義
、一九九三年発足の現政権の成果である財政改革と
議会
の近代化(
議会
の民主化と
選挙
方法、
選挙
資金の改革など)について
説明
を受けました。また、
質疑応答
の中では、
カナダ
における電子政府の進展に関連して、オンブズマンの一種であるプライバシーコミッショナーなる
制度
が法律上設けられていることにも興味を引かれました。 しかし、何といっても中心的な
話題
となったのは、
カナダ
の議院内閣制における政府と与党の
関係
でした。ブードリア氏のついている下院政府総務という国務大臣の名称が端的にそれをあらわしているとおり、これは、
我が国
における国務大臣たる内閣官房
長官
と、与党の国対
委員長
あるいは
幹事
長とが一つの職に凝縮しているようなものだからであります。 なお、これに関する
説明
の中で特に印象に残ったのは、
カナダ
でも民間人が国務大臣になることは別段禁止されていないが、しかし、その場合には、慣行上、直近の総
選挙
あるいは補欠
選挙
に立候補して
議員
となることが必要とされており、一般には、首相のリーダーシップによって与党
議員
のだれかを引退させ、その補欠
選挙
に立候補させることが行われているということでありました。引退させられる与党
議員
には首相任命の
上院議員
や大使の職が用意されているのが一般的なようですが、他方、
選挙
に立候補した民間人の国務大臣が落選した場合には、即大臣を
辞任
するのが通例とのことでありました。 最後の訪問先となった枢密院では、クリスティー事務総長補との
懇談
を行いましたが、そこでは、同氏の職責である枢密院の政府間
関係
部の業務概要のほか、
カナダ
という国を特徴づける多様性について
説明
を受けました。
カナダ
の多様性は、よく知られているような言語の多様性、文化的、民族的な多様性だけでなく、人口的な多様性もあり、どこか一極に人口が偏っているということがないこと、同時に、
カナダ
は地方分権・分散の非常に進んだ国であることなどについて、具体的な数字を挙げながら、詳細な実態
説明
を受けた次第であります。 以上のような極めて多忙な日程ではございましたが、私ども
議員団
は無事これを消化し、去る九月十三日帰国いたしました。 ごく短期間の
調査
でありましたし、また、各訪問国における
調査
事項が極めて多岐な問題に及びましたので、ここから何がしか結論めいたことを抽出することはできませんが、しかし、この
調査
の詳細をまとめた
調査
報告書は、議長に提出し次第、過去三回の海外
調査
と同様に、
委員
各位のお手元にも配付いたす所存でございますので、残すところあと一年余りとなりました本
調査
会の今後の議論の参考に供していただければと存じます。 今回を含めて四回の海外
調査
を合わせると、これまで合計二十七カ国の
憲法事情
を
調査
いたしたことになりますが、いずれの国においても、
憲法
のありようが国のありように直結して国民的な議論がなされていることを、私自身、改めて認識させられた次第です。 最後に、今回の
調査
に当たり、種々御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げますとともに、充実した
調査
日程を消化することができましたことに心から御礼を申し上げたいと思います。まことにありがとうございました。 以上、簡単ではありますが、このたびの海外
調査
の概要を御報告させていただきました。 引き続きまして、派遣
議員
から海外派遣報告に関連しての発言を認めます。 なお、御発言は五分以内にまとめていただき、自席から着席のままお願いをいたします。
仙谷由人
君。
仙谷由人
9
○
仙谷
委員
私の方から、
会長
のただいまの
報告
に追加をして、感じたことを若干申し上げたいと存じます。 先ほど
会長
の方から、
アメリカ
の
憲法事情
調査
の中で、スカリア
最高裁
判事
との
懇談
の概要の項がございました。つまり、具体的な事件を前提にしてのみ
憲法
判断をするのが
アメリカ
型の付随的
違憲審査制度
であって、その方が好ましいといいましょうか、いいんだという
趣旨
の
発言
がスカリア
最高裁
判事
との間であったわけですが、実は、先ほどの
チャボット
さん、それから
レイノルズ委員長
との
懇談
の中で出てまいりましたのが、現在、
アメリカ
の連邦
最高裁
に、
選挙
資金改革法が違憲判断を求められて係属しているということでございました。私
ども
が行った前日だったんでしょうか、弁論が開かれたということでございました。 ちょっと興味がございましたので、どういう裁判なのかということを大使館の担当者に調べてほしいということを申し上げまして、その結果、帰国後、私のところへ到着しましたのが、お配りしております「
選挙
資金改革法違憲訴訟について」という用紙でございまして、ここで「原告・被告」をごらんいただき、なおかつ「2.訴訟物」というところに書いてございますものをごらんいただきますと、明らかにこれは、具体的な事件ではなくして、
法律
そのものを、つまり制定された
法律
そのものの違憲性を争う裁判という構造になっております。宣言的判決を求めるということのようでございます。 そのようなことがなぜできるのかというのは、この二枚目の(2)に書いてございますが、「二〇〇二年
選挙
資金改革法では、第四百三条に同法の
憲法
適合性を争うための宣言的判決又は差止命令に関する手続を定めており、これが本件訴訟の制定法上の根拠となります。」つまり、建前上は具体的な事件がなければ、具体的な争訟の中で
憲法
判断が行われるんだということになっておるわけでありますが、具体的な事件が起こる前に、この一枚目の、「主な原告」「連邦
議員
」というふうに書いてございますが、
法律
そのものを、
議員
やあるいはそれに
影響
を受ける政党
組織
、各種団体が、
法律
の違憲的な、違憲であるという宣言を求めて争訟を提起できる、そこで連邦
最高裁判所
がその争点について判断する、こういう構造でございますし、それを
法律
の中に書き込めばそういう裁判ができる、つまり抽象的な違憲訴訟ができる、こういうことになっているというのが
アメリカ
の
実態
であるということがわかって、ある種の驚きとともに興味を抱いたわけでございます。 ちょっと資料を皆さん方にお配りしてございませんが、
メキシコ憲法
にも百五条の二項というのがございまして、一般的な性格を有する規範と
憲法
との間に、抵触を訴えることを目的とする違憲の訴訟を、例えば
連邦議会
によって制定された
法律
について、
連邦議会
下院の構成員の三三%が
賛成
すれば
法律
の違憲性そのものを提起できるというふうな規定があるようでございます。 したがいまして、各国とも、ある種でき上がった
法律
そのものの違憲性を争うということがやはりどこかで行われなければならないということが、どうも現代社会では築かれているようであります。 それからもう一つ、先ほど
会長
の
報告
にもございました、
カナダ
のいわゆる
最高裁判所
の参照
制度
、これは、
法律
ができる前段階でも
最高裁判所
の
憲法
判断を求めることができるということでありますが、これは非常に詳しい論文を
憲法調査会
の事務局の方で探していただきましたので、それも資料としてつけてあるわけであります。 この一連のこの種のものを拝見いたしまして、私はやはり、そろそろ、
日本
の
内閣法制局
があたかも
憲法
の公権的
解釈
権を持つかのような、そしてそれが
国民
の目に見えないところで行われるような仕組みというのはどうしても考え直さなければならない。つまり、
カナダ
のようなオープンな形で公権的なある種の
解釈
が立法時に示されるか、あるいは、
法律
がつくられた後に
議員
や政党の申し立てによってその違憲性が、抽象的なレベル、つまり
法律
のレベル、
法律
が適用される前段階で合憲性の判断が行われる、いわば
憲法裁判所
的な機能なわけでありますが、それを
最高裁判所
なり
司法
の中なりに、あるいは別の格好でつくっていくということも甚だ重要なんではないかということを感じた次第でございまして、そのことを重ねて御
報告
申し上げておきたいと存じます。 以上でございます。
中山太郎
10
○
中山会長
次に、
山口富男
君。
山口富男
11
○
山口
(富)
委員
私は、
アメリカ
と
メキシコ
での
調査
に参加しましたので、感想の一端として二点述べたいと思います。 まず第一点なんですが、今回の
調査
は、
アメリカ
の先制攻撃戦略が
イラク戦争
という形で発動された直後でしたから、
日本
でも
世界
でも、
憲法
や国連憲章など基本法とのかかわりが非常に鋭く問われる中での
調査
になったと思います。そのために
意見交換
の主題の一つも、ごく自然な形で、
アメリカ
の単独行動主義に対して
世界
はどう臨むのか、その際、各国は、法規範としての足場をどこに見出すのかなどに置かれるようになったと思います。
カリフォルニア
州立大学バークレー校での
懇談
では、
ブッシュ政権
の
対外政策
への批判が相次いで出されましたし、
メキシコ
では、
ソラーナ
元
外相
が
アメリカ
の一国主義への強い懸念を表明されていました。また、
メキシコ
ですけれ
ども
、
セラーノ教授
からは、ヘゲモニー主義に同調しない
メキシコ
の
憲法
原則と同国を取り巻く歴史状況について
説明
を受けました。 先ごろの国連総会で、アナン事務総長や各国からの批判の言明に見られますように、
アメリカ
の先制攻撃戦略は国連憲章に反しており、国際協調を揺るがすものになっております。
日本
は
憲法
で恒久平和の原則を打ち立て、九条では、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」した国として、国連憲章に反する事態を黙視しない明確な立場を持っております。この原則からいっても、私は、
イラク戦争
への自衛隊の派遣は行うべきではないと考えております。 先ほどの
会長
の
報告
でも紹介されましたが、私は、バークレー校での
発言
で、
憲法
九条を守り抜くことが
世界
と
アジア
の平和と安定にとって極めて重要だという
意見
を述べました。あの会場では
アジア
の留学生たちから、
意見
表明後、
憲法
九条を大事にしていただきたいという激励を多数私はいただきました。このことは私にとって、
世界
と
アジア
の願いを実感する得がたい経験になりました。 以上が感想の第一です。 感想の第二ですが、各国の
憲法
は、当たり前のことですけれ
ども
、その国の歴史と文化、政治的経験を踏まえたものであると同時に、二十一
世紀
に通用する国際的な普遍性を持っています。このことも今回の
調査
で認識を新たにいたしました。
アメリカ
では、
議会
でも
司法
でも、徹底した三権分立の生きた姿を、短期間ではありましたけれ
ども
かいま見ることができましたし、また
カリフォルニア
では、あの州が独立後、連邦に参加したということを背景にして、州
憲法
の独自の
意義
が強調されていたように思います。 また、
メキシコ
では、ワイマール
憲法
に先駆けて社会権、労働権の
保障
が明記されましたが、これを生み出すには二十
世紀
初頭の
メキシコ革命
に至る波乱の歴史があったと、詳しい
説明
を受けました。また
セラーノ教授
からは、
メキシコ
では、
憲法
で定められた法規範が実現していない場合も、規範を変えるのではなく、そこに近づく努力をすることが
憲法
に対する態度だということが述べられたことも大変
印象
的でした。 このように、私としましては、今回の
調査
では、それぞれの国が
憲法
と向き合い、また
世界
と自国の現実と向き合いながら
憲法
問題について考えている、また事に当たっている、そのことを痛感させられる
調査
になったというふうに思います。 以上二点、感想を述べまして、私の
報告
としたいと思います。
中山太郎
12
○
中山会長
これにて派遣
議員
の
発言
は終了いたしました。
—————————————
中山太郎
13
○
中山会長
次に、
委員
各位による自由な討議を行います。 本日は、
日本国憲法
について、
委員
各位からの自由濶達な御
意見
を拝聴したいと存じます。 議事の進め方でありますが、まず、各
会派
一名ずつ大
会派
順に五分ずつ
発言
していただき、その後、順序を定めず自由討議を行いたいと思います。 御
発言
は、自席から着席のままお願いいたします。
発言
時間の経過については、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、まず、
保岡
興治
君。
保岡興治
14
○
保岡
委員
自由民主党の
保岡
興治
でございます。
憲法調査会
は、
平成
十二年一月二十日の
設置
以来、
調査
会や小
委員会
での
議論
、地方公聴会、海外
調査
などを精力的に行い、第百五十五国会においては、「概ね五年程度を目途とする。」とされている本
調査
会の
調査
期間のおよそ半分が経過したこと等から、
国民
に対し
調査
会の
活動
内容を明らかにし、
国民
の間でさらに
憲法
論議を喚起するため、中間
報告
を取りまとめたところでございます。 私も、この間、地方自治に関する
調査小委員長
、
最高法規
としての
憲法
の
あり方
に関する
調査小委員長
を務めさせていただき、
委員
各位と真摯な
議論
を行ってまいりました。ここで、これまでの
調査
会での
議論
等を通じて、私なりの感想を幾つか申し上げさせていただきます。
憲法
を論議することは、まさにあるべき
国家
の姿を考えることであり、現在の
我が国
に求められているのは、西洋に追いつき追い越せという明治以来の欧米モデルによるのではなく、新たな国の形を定める独自モデルを構築することであります。その際、遠くは明治
憲法
制定過程
における朝野の幅広い
議論
、範を欧米に求め成案を得た先人の労苦に思いをいたすことも必要かと思います。 新しい国の形を考えるに当たっては、そのような
観点
から、地方自治の
あり方
についても抜本的に見直す必要があると感じています。とりわけ、中央官僚主導体制の見直し、道州制の
導入
の総合的、体系的検討は喫緊の
課題
であると認識しております。 さらに、この独自モデルを構築するに当たっては、
日本
のよさを振り返る、すなわち
日本
国の歴史、伝統、文化を踏まえるべきであり、その意味でも、権利のみを主張し、
国家
、社会、家族への責任と義務を軽視する風潮を改め、
国民
一人一人が自己責任原則に基づいてみずからの自由を実現する社会を目指すべきであります。そのためにも、我が党の山崎副総裁が主張されているように一人幸せ主義を改め、もう一度、
国家
や社会、家族という共同体における義務、責任について考えてみる必要を強く感じています。 また、グローバル化が進展し、
国際関係
が緊密になっている現代では、
日本
の平和と繁栄が
近隣諸国
と無
関係
には成立し得ないこと、緊迫度を増している国際
情勢
を踏まえ、平和と安全を武力により担保することもあり得ることを認識した上、一国平和主義を改め、
憲法
九条二項の削除、個別的、
集団的自衛権
の権利及び自衛隊の存在、並びに国際秩序の形成や平和の
維持
への貢献の
憲法
への明記を真剣に検討すべきであると考えています。 さらに、
統治機構
の問題に関しては、国内外の新たな
課題
に対して迅速な対応が必要とされる現代社会において、政治主導という
観点
から、両院制、議院内閣制、政党の
あり方
等について
議論
を深め、明確かつ迅速な
憲法
判断を行い、
国民
の規範意識をさらに向上させるため、何らかの形で
憲法裁判所
的機能を創設することを検討する
必要性
を強く感じました。 本
調査
会においては、
憲法
九条に関する問題や
象徴天皇制
に関する問題等、かつては
議論
することすらもタブー視されていた問題についても、各
会派
の
委員
の方々と有
意義
な
議論
を重ねてくることができました。これは大変すばらしいことだと思います。 本
調査
会の
調査
期間は、
設置
時の申し合わせにより、おおむね五年程度をめどとされており、
平成
十七年一月にはその五年となります。
調査
も最終段階に入りつつあると感じておりますが、我が党としても、近く予想される総
選挙
において政権公約に、
平成
十七年秋の立党五十周年までに、二十一
世紀
の
憲法
を制定すべく、平易で格調高く表現された
憲法
改正
案を取りまとめ、内外に法としての国の
あり方
を明確に示すことを掲げることにしております。また、
憲法
改正
の
国民
投票法についても、それまでに各党の協力を得て成立を目指したいと思っております。 そのためにも、
中山会長
を初め
委員
各位とともに全力を尽くし、
日本
のあるべき姿、すなわち、
憲法
はどうあるべきかを考えていきたいということを申し上げ、私の
意見
表明とさせていただきます。 ありがとうございました。
中山太郎
15
○
中山会長
次に、
古川
元久
君。
古川元久
16
○
古川
委員
民主党の
古川
元久
でございます。 私
ども
民主党の中で、この
調査
会の
会長代理
でもあります
仙谷
議員
を
会長
にいたしまして政権準備
委員会
というものを設けまして、そこで私
ども
民主党が政権をとった場合にどのような政府をつくるのか、「
国民
と共に行動する「新しい政府」の確立に向けて」という
報告
書を先日発表いたしました。これは私、
憲法
に規定する行政権、内閣の
あり方
ともかかわる話だというふうに思いますので、本日は、その
報告
書をベースにして、ここで一言
意見
を申し述べさせていただきたいと思います。 まず、
憲法
六十五条における行政権は、さきの国会の中での
統治
小
委員会
でも少し私、述べましたけれ
ども
、本来、英語で言えばエグゼクティブパワー、
日本
語にすれば執行権と言うべきそういうものを意味しているのではないか。ですから、これは英語で言うアドミニストレーティブパワーであります行政権とは本来区別して認識されるものであり、内閣が行使するのはこのエグゼクティブパワー、執行権であるというそうした視点から、私
ども
は、内閣が構成されて、そしてその内閣が政府を運営していくべきというふうに考えております。これは、イギリスやドイツのような、いわゆる宰相システムという立場に立つものであります。 この宰相システムとは、例えばイギリスの首相のように、他の閣僚の上に立つ。イギリスの首相は、他の閣僚たちの上に立つ第一人者でありまして、与党
議員
の投票によって
辞任
に追い込まれることはありませんから、こうした仕組みの中では、閣議で首相の権限を制約するシステムではないため、首相主導の内閣運営が可能になっております。私
ども
は、この
日本
でも、このようなイギリスやドイツのような宰相システム型の議院内閣制を
日本
の政治に開花させるべきだというふうに考えております。 そうした視点から、
日本
の首相というものも、内閣の首相を第一人者としてみずから政府を運営し、部下としての大臣を自由に
指名
し、また自由に罷免する、そういう能力を持たせるべきである。首相に問われる
最大
の資質は、政府を運営し、強い力でリードするにふさわしい施策を確保するというすぐれたチーム編成能力が求められる、そして、このみずから編成したチームのリーダーとしてイニシアチブを発揮し行動する、そのことができることによって、私
ども
は、政府が行動力と変革力を持つことができるというふうに考えております。 こうした視点から、これまでの自民党
中心
の政権の運営の
あり方
というものを検証してまいりますと、なぜ、従来の政権の中では現在の
日本
に必要な改革がなかなか実現できないかというところが明らかになってまいります。 これまでの自民党
中心
の政権の中では、権力の二重構造が存在をしてまいりました。その権力の二重構造とは、第一に、政府と与党の二元体制であります。政府の方針と与党の方針の相違がこれほどまでに頻繁に起こって、それを容認するような政府は、
世界
じゅう見渡しても存在いたしません。 また第二に、首相と各大臣の二重構造というものもあります。建前として、内閣は連帯して責任を負うということになっておりますけれ
ども
、現実には、各大臣は、首相や同僚閣僚との一体性などよりも、それぞれの代表する役所の官僚機構の利害を明らかに優先させるようなそういう
傾向
があります。 そして第三には、政と官の分離、官僚主導の政策運営であります。相変わらず、官僚機構は政治の意思あるいは
国民
の意思とかけ離れた行政を行い、残念ながら、政策立案や
予算
策定を霞が関、とりわけ行政各部、すなわち各府省庁に依存する官僚主導の政治運営が続いております。 こうした状況の中、三つの権力の二重構造がある中では、政策
決定
の責任の所在はことごとくあいまいなものとなり、それがまた族
議員
と天下り官僚の暗躍を許す、いわゆる政官業癒着の構造が放置される、そうした原因になっております。 したがいまして、私
ども
民主党は、こうした政府の
あり方
を変えることなくして本当に政治や政策を変えることはできない。そうした視点に立ちまして、私
ども
民主党が政権をとった場合には、与党と内閣の
意思決定
の一元化を図り、
国民
が選出した政治主導の政府運営を確立することができる、そうした新しい政府というものを実現していきたい。そのことを、私
ども
政策として掲げるマニフェストとともに、これも政府の形、新しい政府の形も私
ども
が掲げる政権公約として、来るべき総
選挙
を戦っていきたいということを申し上げて、私の
意見
表明とさせていただきます。 ありがとうございました。
中山太郎
17
○
中山会長
次に、
赤松
正雄
君。
赤松正雄
18
○
赤松
(正)
委員
公明党の
赤松
正雄
でございます。 イラク事態を前にしまして、自衛隊の派遣というものをどうするつもりかということを防衛庁の幹部と話した際に、私は聞いてみました。その際に、その幹部は、政治が行くと決めたのだから、行かないと、諸外国からは、危なくなったから
日本
は来ないと見られて、
日本
は臆病でありひきょうだと言われるとの
発言
がありました。非常にある意味正直な
発言
だったと思います。一般的に、今回の事態を前に、行かせるな、行くべきではないという声は強いと思います。私自身も、危ないところに行くのは、臆病、ひきょうの次元ではなくて、無謀だと言っております。 ただ、それでもなお、それでいいのかという思いが残ります。今回のケースをまたずとも、外国からは、
日本
は、いわゆる危ないことをやらないために
憲法
を口実に使っているのではないかとの疑いの目で見られかねないとの
指摘
が常になされます。危ないところに行かないというよりも、武力行使との一体化と見られることはしてはいけないという旧来の
日本
の平和主義というのは、それでいいのだろうかという思いは私にも強くあります。 先ほどの
会長
からの海外の視察
報告
にもありましたが、
アメリカ
の
アーミテージ
氏が、長い間、
日本
の
内閣法制局
の
憲法
九条
解釈
はもっと柔軟であってもいいのではないかと思ってきたというくだりがありました。これは別に、
アーミテージ
さんのこういう
発言
をまたずとも、
日本
の中でもそういう
指摘
はかなりいろいろな場面でよく
指摘
をされていることであります。 私は、そういう意味で、
憲法
九条についての
改正
云々を言う前に、
憲法
九条についての現時点の正確なる
解釈
というものをしっかりと、
内閣法制局
だけに任せないで、みんながきちっとこれについて取り組むべきではないのか。その際に、いわゆる縮小
解釈
的
解釈
というもの、もちろん拡大
解釈
もいけませんけれ
ども
、そういった拡大、縮小双方からの
解釈
ではなくて、適正なる
解釈
というものをしっかりこの際確立する必要がある、そんなふうに思います。 そういう
観点
から、昨今、いろいろな
議論
が論壇でもなされておりますけれ
ども
、大変興味深い
指摘
がありました。それは、元駐米大使の栗山さんが、「外交フォーラム」あるいは読売新聞等に発表していた論稿でありますけれ
ども
、一言で言うと、
憲法
九条と常識というものを両立させるべきである、こういうふうな
指摘
であります。例えば、自衛権とは、領域防衛に限定された権利ではないんだ。自衛権とは、領域防衛に限定された権利ではないといった主張の中で、
PKO
協力法のもとで停戦監視のために紛争地域に派遣された国際平和協力隊が、ゲリラに襲われた近くの第三国の部隊を救助する目的で武器を使用することなど正当な自衛行為だというのが国際社会では当然だけれ
ども
、それが
日本
では通じないということをどう乗り越えるかが問われている、こんなふうな
指摘
がありました。 私も極めて、このことだけではありませんけれ
ども
、一般的に
日本
が今直面している
課題
、いわゆる
憲法
をもとにそれをどう
解釈
するかということと、
世界
における、国際社会におけるいわゆる常識というものとの乖離があるな、そのことをどう乗り越えていくかというのは、真正面から
憲法
改正
というのではなくて、
憲法
九条のもとできちっとした
解釈
を今の時点で確立する必要があるな、そんなふうなことを痛感している次第でございます。 以上です。
中山太郎
19
○
中山会長
次に、
春名
直章君。
春名直章
20
○
春名
委員
日本
共産党の
春名
直章でございます。 本
調査
会でも繰り返し
議論
となりました、
イラク戦争
と
世界
の平和秩序、
世界
の激動の中での
日本国憲法
九条の値打ちについて
発言
をいたします。
日本
共産党は、
イラク戦争
に対して、これが国連憲章の平和のルールをじゅうりんする不法不当な戦争であると一貫して批判してまいりました。 米英が戦争の大義とした大量破壊兵器は六カ月たった今も見つからず、五月から捜索に当たってきた
アメリカ
の
調査団
すら、その存在を確認できないとの中間
報告
をまとめると報じられています。六千人以上のイラクの市民を殺した戦争の
最大
の大義が崩れているのであります。 不法な戦争の上に不法な占領を続ける米英軍に襲撃が続き、大規模な戦闘が終結したとされる五月一日以降の米軍死者がそれ以前より多数に上るなど、泥沼状態が一層深刻化しているのであります。 一方、
世界
の流れはどうでしょうか。
世界
の政府の約七割が公然と
イラク戦争
反対の声を上げ、戦争開始前から、数千万という空前の規模で戦争を食いとめる諸
国民
の運動が広がりました。 九月二十三日に開かれた国連総会で、アナン事務総長は、国連憲章五十一条は、攻撃された場合、すべての国が自衛の固有の権利を有することを規定している。しかし、これまでは、
国家
がそれを超えて、国際の平和と安全へのより幅広い脅威に対処するために武力の行使を
決定
するには、国連が与える特別の正当性が必要だと理解されてきたと述べ、続けて、こうした理解はもはや通用しないと唱えている国がある。
国家
には先制的に武力を行使する権利と義務があり、
国家
は
安保理
での合意を待つ義務はなく、かわりに、単独で、あるいは臨時の連合を組んで行動する権利を保持しているということになる。この論理は、たとえ完全でないにしても、過去五十八年間、
世界
の平和と安定が依拠してきた原則、これは国連憲章の原則ですが、に対する根本的な挑戦であると批判しました。もしこれが受け入れられるなら、それが
先例
となって、正当性のいかんにかかわらず、単独行動主義による不法な武力行使の拡散を招く結果になることを懸念すると重大な言明を行いました。
アメリカ
の先制攻撃は国連憲章への根本的な挑戦である、このアナン氏の演説を深く受けとめる必要があります。 また、合法的、集団的な意思で答えを出さない限り解決策は困難、南アフリカ・ムベキ
大統領
。多国間システムは
民主主義
の実践に必要、ブラジル・ルラ
大統領
。開かれた
世界
では、どの国も孤立してはならないし、全員の名で単独行動を行うことはできない、フランス・シラク
大統領
など、批判が相次いだのであります。
アメリカ
の国連憲章無視の先制攻撃戦略、単独行動主義は許されない、国連憲章に基づく平和のルールを、ここに今
世界
の大きな流れがあるのであります。 この国連憲章の精神を軍隊を持たないところまで推し進めたのが
日本国憲法
九条であります。
日本
がやるべきことは、今こそ、九条に沿って、
世界
の平和秩序を守り、構築する先頭に立つことであります。無法な戦争をいち早く支持し、
世界
の流れの逆流となっているその恥ずべき姿勢を反省し、戦争支持の撤回、自衛隊派兵計画の中止、イラク特別措置法廃止に踏み出すべきであります。米英軍の占領支配から、国連
中心
のイラク人の手による復興へと道を切りかえるために力を尽くし、非軍事の人道支援に全力を挙げることが必要であります。 ところが、この時期に小泉首相は、二〇〇五年十一月の自民党結党五十周年の大会までに自民党としての改憲案をまとめることを指示し、本
調査
会でも多くの
議員
から、九条を変えよという
発言
が相次いでいます。
世界
の流れを見ないものであります。 歴代自民党政権は、後方地域支援だから武力行使と一体にならない、
憲法違反
ではないとの詭弁を弄し、周辺事態法、テロ特別措置法、有事法制、イラク特措法など、米軍とともに自衛隊が海外で行動する
法律
を既に次々強行してまいりました。 今、九条を変えようという
最大
の動機は、その一線をも踏み越え、
集団的自衛権
を行使し、米軍が地球的規模で行う戦争に自衛隊が何の制約も歯どめもなく参加できるようにすることにあると言わざるを得ません。先制攻撃、単独行動主義を戦略にする
アメリカ
につき従うための
憲法
改悪は、
日本
の平和を脅かすとともに、アナン事務総長の言葉をかりますと、国連憲章の原則に対する根本的挑戦とならざるを得ないことを胸に刻むべきであります。
日本
共産党は、
憲法
九条を守り抜き、今こそ、この九条を持つ国として、
世界
に生まれている平和のルールを守れとの流れの先頭に立つことを改めて表明いたしまして、私の
発言
といたします。
中山太郎
21
○
中山会長
次に、
北川れん子
君。
北川れん子
22
○北川(れ)
委員
社民党・市民連合の
北川れん子
です。 アフガニスタン戦やイラク戦はまだ終了しておらず、しかも、反テロ
世界
戦争は
北朝鮮
やイラン、シリアなどに拡大する危険性を残しています。 イラクに駐留する
アメリカ
兵、イギリス兵の犠牲者が毎日のようにふえています。兵隊だけが犠牲になっているのではなく、それを上回るイラクの一般市民が犠牲になっています。報道では少なくとも七千人以上との数字が出されており、軍事力という力だけを振りかざした結果が対立を生み出しているイラクの現状を見ると、軍事力だけでは、イラクの一般市民どころか、治安のためだとイラクに駐留する諸外国の
兵士
の安全すらも確保できないのが現実です。やはり、軍事力だけでは決着がつかないことを
世界
に発信した戦争であり、一方的な襲撃であったと思います。 現在、
日本
の自衛隊は、地震や台風などの災害緊急出動や国土保安のために人々に必要な存在として認識されています。他方では、近年、平和
憲法
の理念からかけ離れ、軍隊としての色彩を強めつつもあります。 小泉総理の改憲
発言
を初め、雰囲気的反護憲論が蔓延している中、平和主義を弱体させるような改憲を行うことは、
日本
が反テロ
世界
戦争にさらに本格的に参戦したり、その戦場となったりする危険を著しく高めていくと思います。だからこそ、平和
憲法
の理念のもとで、今ある問題をどう解決に向けるのかについて、政治の場で
議論
することが必要ではないでしょうか。 阪神大震災直後、被災地に来られた自衛隊の方々や消防隊の方々の働きを見て、違いを確認しました。消防隊の方々はみずから判断し救助
活動
に取りかかるのに、自衛隊の方々は命令がないと動きません、動けないのです。被災者の目から見ても、両者の違いが鮮明に浮かび上がってきました。それに、最も大きな違いは、消防隊は地域密着型であるため、路地裏までも知り尽くしているということです。身近な存在としての安心感は、あのような折、とても大切なものでした。 九条を使命とするのか、破壊や敵を想定しての行動を使命とするのかでは、大きな開きがあります。自衛隊の武器がどちらに向けられるのかという点もあり、
関係
において緊張感が強いられます。命令口調であることも気になる点です。 小泉総理は、二十九日の本
会議
で、イラクへの自衛隊の派遣については、自衛隊を戦闘地域に派遣せず、また、派遣された自衛隊が戦闘行為に参加しないというイラク復興支援法の原則を堅持しながら、現地
情勢
の
調査
結果などを踏まえて派遣の可能性、時期などを判断する、イラク復興支援は国際社会の重要
課題
であり、国際協調のもと、
我が国
にふさわしい貢献を行ってまいりますと答弁されていますが、今のイラクの
情勢
の中でイラクに自衛隊を派遣することが
我が国
にふさわしい貢献なのでしょうか。 大量破壊兵器は見つからず、イラク戦は違法であり、人道に反した侵略戦争以外の何物でもありません。イラク市民、医療
関係者
が求めているのは、医療貢献、殊に、劣化ウラン弾に汚染されているため、被曝治療、小児がん、白血病治療など、いち早く
日本
は名乗りを上げるべきです。
国民
は、専守防衛、軍事大国化しない、非核三原則、文民統制などの理念のもとで自衛隊という存在を認識しています。しかし、他方では、専守防衛の枠を超え、クラスター爆弾の存在などが示すように、私には踏み外しているとしか思えません。クラスター爆弾は、十六年間で百四十八億円を使い、現在、国会に
報告
のないまま保有していることもわかりました。 また、ストックホルム国際平和研究所がことし六月に出した二〇〇二年の各国の防衛支出費を比較した資料では、
日本
は、一位
アメリカ
の七分の一で、
世界
の六%を占める
世界
第二位の軍事大国になっています。
国民
一人当たりの国防費、
日本
は四万二千百二十円、
アメリカ
は十四万四千六百八十円で、軍事大国が何かについて定義が難しいことは承知をしていますが、現実にも
日本
の防衛支出費は国際的に非常に大きいということを考えれば、何の歯どめもないことが気にかかります。 私は、去年一月、テロ特措法によりインド洋に派遣された自衛隊への視察をみずからしたいと防衛庁に申し込みましたが、自衛艦の位置がわかるから、防衛上、軍事上の機密だという
理由
で拒否された経験を持っています。自衛隊は、軍事機密という言葉一つで
情報
公開が当たり前のようになされていません。自衛隊員一人一人の人権が自衛隊の中でどう守られているのかを検証するためにも、
情報
公開の徹底は可及的速やかにされなければいけない
課題
だと思っています。年間六十人もの自殺者がなぜ出るのかも追及しなければならない問題です。 テロの温床となる貧困などの構造的に根深い問題に対して、とりわけ中東諸国との友好な
関係
をこれまで築き続けてきた
我が国
の
役割
を打ち捨て、単純な対立の図式を
国際関係
の中に固定化することに寄与する必要は全くないと考えます。 もはや、現在において一国の問題が
世界
的な問題になることは、イラクの問題だけに限らないことは明らかです。だからこそ、一つの国の問題にすぎないとしても、一つの国の問題だからと切り捨てることなく、国際協調の枠の中で慎重に取り上げるべきです。大国が軍事力を振りかざしたり、対立の図式の中に問題を矮小化することは、問題を解決への道から遠ざけるばかりです。
日本
は、ASEAN地域フォーラム、ASEANプラス3における
安全保障
面での
情報
の
交換
や対話を重ね、
アジア
地域において具体的な信頼醸成措置や予防外交に向けた取り組みなど、協力が着実に進展してきました。国際協調のもとで……
中山太郎
23
○
中山会長
北川れん子
君に申し上げます。 申し合わせの時間が相当経過しておりますので、結論をお願いいたします。
北川れん子
24
○北川(れ)
委員
申しわけありません。 二国間のみでなく、あるいは多国間という重層的な対話の窓口を築きつつ、懸念の解決に向けてはさまざまな道筋を模索し、着実に進展させることが、今のような状況であるからこそ、遠いようで唯一進むべき道ではないでしょうか。北東
アジア
の非核宣言をさらに推し進めてまいります。 平和
憲法
を持つ
日本
、平和
憲法
の理念を生かすことを課せられた
日本
として、
日本
がこれまで積み重ねてきた先見的な努力こそが今生かされるべきと考えます。 長くなり、申しわけありませんでした。
中山太郎
25
○
中山会長
次に、
西川太一郎
君。
西川太一郎
26
○西川(太)
委員
私は、先ほど
中山会長
、
仙谷会長代理
、
山口
委員
からの御視察の御
報告
を拝聴して、まことに御苦労さまでございましたとまず御礼を申し上げたいと存じます。 現在の
日本国憲法
が
日本
にほとんど
発言
権のない状態でつくられたことが、
日本
の独立自主の精神を弱め、
日本
の
あり方
をあいまいにし、
日本
人としてのアイデンティティーの喪失にもつながっておると私は嘆いております。 二十一
世紀
、
日本
の国づくりを進めていくには、広く
国民
各層の参加のもとに、
日本
の歴史、伝統、文化を改めて踏まえつつ、みずからの国を守り、国際社会の責任ある一員として行動できる国づくりの根幹をなす
憲法
の制定、
改正
、不可欠だというふうに考えております。 私は、二〇一〇年くらいまでに、二十一
世紀
日本
の国づくりの根幹をなす新しい
憲法
の制定を目指していったらどうかと考えております。これは、単なる部分的な
憲法
の現在の精神を丸取りしてそして
改正
をするというびほう策ではなく、根本的に新しい
憲法
を制定するべきだという
意見
であります。 ただ、その中で、
現行憲法
の中でも、私
ども
が考えております、
維持
発展をさせなければならない主義、原理、こういうものは当然ございます。例えば、言うまでもなく、
国民主権
、そして恒久平和主義、国際協調主義というものは、これは不磨の大典にふさわしく
維持
発展させるべきと思っております。 ただ、新
憲法
の中で、私は、例えば緊急事態に対する
国家
的危機管理体制の明確化というもの、自衛隊の
憲法
上の明確な位置づけ、
集団的自衛権
を
国家
に生得のものとして、ギブンのものとして与えられているという姿勢を明確にすることが必要であるというふうに考えます。 同時に、環境でございますとかプライバシーの
保護
の問題、また私
ども
は、若干今元気がありませんけれ
ども
、しかし、依然として
世界
で指折りの
経済
の力を持っているわけであります。こういう力を国際社会における責任の面でどのように活用し、その
役割
を果たしていくかということを明確にするべきだというふうに考えております。 新しい
憲法
を制定するために、現在の方式ではなくて、新たな
憲法
改正
国民
投票法のような手続を
決定
する
法律
を私は考えておりまして、これをいずれ明確にしていかなければならないと思っております。
最後
に、先ほど
会長
が
サクラメント
で
カリフォルニア
州の有力な方とお話をされたということを伺いました。
アメリカ
合衆国における
カリフォルニア
州は、仮に独立をすれば
世界
で十番目の国に匹敵する
経済
的力を持っています。それに比肩して
我が国
の首都東京は、独立すれば
世界
で七番目の
経済
的な力を持ちながら、地方分権上いろいろな制約があります。 私は、十六年間の都
議会
議員
の経験を持つものでありますが、東京のその力が実に十分に発揮されていない。これはひとり東京のみならず、各道府県同じくであろうと存じております。 例えば
カリフォルニア
などでは、銀行を
設置
することも州の権限で自由にできます。また、産業を興す際のいろいろな手だても、国に一々許可をとるという方式なく産業を興しております。 そのようなことを考えたときに、地方分権というものの
必要性
を、そんな切り口から改めて見てみる必要もあるのかなというふうに今の段階では考えております。 以上でございます。
—————————————
中山太郎
27
○
中山会長
次に、
委員
各位からの御
発言
に入ります。 一回の御
発言
は、五分以内におまとめいただくこととし、
会長
の
指名
に基づいて、所属
会派
及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。 御
発言
を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御
発言
が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。 それでは、ただいまから御
発言
をお願いいたしたいと存じます。御
発言
を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。
大出彰
28
○
大出
委員
民主党の
大出
彰でございます。 私は、
基本的人権
の
調査小委員会
の小
委員長
ということで、
委員会
の交通整理をさせていただいてまいりました。御協力をいただきました皆様には感謝を申し上げます。 それで、
委員長
でしたので、余り
発言
の機会は多くなかったんですけれ
ども
、やっていまして、
委員長
をやると何となく
憲法
の番人的な感覚になるんですね、これが。
基本的人権
のところを見ていて、どうも条文に書いてあることが本当にそのとおり人権として守られるといいますか、普遍化されているか、あるいは皆さんにとっていいようになっているのかというと、必ずしも書いてあることが実行されていない。
金子
委員
がよく前に、運用の
実態
を
調査
すべきだとおっしゃっていましたけれ
ども
、本当に実際は、書いてあるのに現実にはなっていないというのは結構あるわけですね。私も質問したときに、二十八条なんかのいわゆる労働基本権なんかでも、消防職員の団結権がなかったりとかしていますからね。そういうのがありまして、
基本的人権
でもかなりあるわけです。 逆に、新しい人権みたいなものの場合は、
参考人
の先生方などはそんなものは要らないと言う人もおられたりしましたけれ
ども
、新しい人権、環境権とか知る権利という、
解釈
では認められていますが条文に書かれていないようなものは、むしろ書いた方が裁判規範になるんだろうというような感じは受けるんですね。
基本的人権
だけじゃなく言いますが、九条なんかはまさに
憲法
条文と違う
解釈
がされているという、読んだだけで言えばそういうことですね。 私が
委員長
をやりながら思ったのは、政治の部分と
憲法
の部分が大変ぶつかるわけですね。例えば、国内政治であれば人を殺せば殺人罪になるんだけれ
ども
、国際政治の場面になるとそれもありというのが今現実になっていることなんですね。だけれ
ども
、こういうのは、国際政治の国内政治化といいますか、それをやはりやるべきで、国際刑事
裁判所
というようなものがやはり重要なことになるんだろうと思うんですね。人権だ環境だと言いながら、戦争というのは一番の環境破壊だったり人権破壊だったりするので、非常に矛盾するんですね。そういう意味では、国際政治の国内政治化ということがやはり重要なんだなとつくづく思うんですね。 そして、今度は財政の方に参りますけれ
ども
、八十三条に
日本
では財政が
憲法
で規定されているんですが、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、」こうなっているんですね。一般
予算
は今七十八兆円あるんですね。これは議決しているんですよ。ところが、この国の本当の
予算
は何かというと、特別会計から始まって、財投から始まって、補助金から始まって、帳簿上を行ったり来たりしますから、大体二百六十兆から二百七十兆というのが本当の財政なんですね。これの国会の議決はやっていないということがあるんですね。要するに、形骸化。このとおりやっていないということですね。 そのことがありながら、特殊法人と独立行政法人とあるわけですが、その部分に要するに補給金という形でお金が出ていたりしているわけです。独立行政法人や特殊法人がすべて悪いと言っているわけじゃないんですが、その下に財団をつくったり、あるいは株式会社をつくったりしていて、何らかの形でお金がここに流れていくんですね。それを見ていると、八十九条の公の財産の用途制限という、「公金その他の公の財産は、」というものですが、この部分に公の支配でないのにお金が出ているような、
憲法違反
ではないのかなと思ったりもするんですね。 だから、意外と
実態
が明らかにされていなくて、条文と比べてみるとおかしな部分がかなりあるということを感じました。 以上でございます。
大畠章宏
29
○
大畠
委員
民主党の
大畠
章宏
でございます。 この
憲法調査会
に参加をさせていただき、いろいろと学ばせていただきまして、ありがとうございます。また、先ほど
中山会長
から
調査団
の
報告
がございましたが、大変率直な
報告
内容でありまして、大変
参考
になりました。 私は、この
調査
会に
出席
させていただき、いろいろなことを学ばせていただきましたが、どうも今、地域における
国民
の皆さんの声を聞きますと、私たちがこの
憲法
について
議論
をしている状況とはかなり違う状況が地域社会に生まれているんではないかと危惧しています。 一言で言いますと、自暴自棄になり始めている。私たちはいろいろやったとしてももうどうにもならないんだと。子供たちは学校を出ても就職できないし、中央商店の方ではシャッター通りだし、跡は子供が継がないと言っているし、これから
日本
はどうなっちゃうんだろうと。非常に地域社会の
実態
は悲嘆に暮れているといいますか、一方では元気な人もいるかもしれませんが、地域社会の方では、市民の皆さん、もう大変、子供たちもお年寄りも商店主も未来に希望を失い始めている、そんな感じを持つところであります。 同時に、目をイラクに転じますと、
アメリカ
とイギリスが武力をもって国を制圧し、その後新しいイラクをつくろうとしていますが、なかなかうまくいっていないというのが
実態
であります。 そこで、
会長
にも申し上げさせていただきたいんですが、この
憲法調査会
の中でいろいろ論議をしてまいりましたけれ
ども
、一体、
アメリカ
という国あるいは第二次
世界
大戦の戦勝国側は、どういう意図を持って戦後の
日本
を
統治
しようとしたのか。いわゆる
日本国憲法
の非常に輝かしいといいますか明るいといいますか、非常にきれいな部分があるんですが、一体どういう意図を持って戦後の
日本
を
統治
しようとしたのか、その背景をかなり探っていかないと本当の姿が見えないんじゃないか。
日本国憲法
は非常にすばらしい
憲法
だと私も思いますが、単なるそういう善意、あるいはそういうものだけで
日本国憲法
がつくられたんじゃないんじゃないかという危惧を私は持っているわけであります。 イラクを今
アメリカ
軍とイギリス軍がどういう意図を持って
統治
しようとしているのか。多分、
日本
と同じように、イラクの新
憲法
をつくって
民主主義
国家
をつくりたいというんですが、単純な正義感、あるいはそういうものだけでイラクを
統治
しようとしているんじゃないんじゃないかと私は感ずるんですね。 したがって、この
憲法調査会
も、ずっと私も参加させていただきまして、マッカーサーが
日本
に上陸をし、
日本
の未来を考えながら英文で
憲法
をつくり、それを吉田茂首相と談判しながら今日の
憲法
をつくったという話なんですが、
イラク戦争
の場合には百人を超え、今は三百人ぐらいになっているんでしょうか、
アメリカ
、イギリスの
兵士
が命を失っているわけですが、この第二次
世界
大戦の場合にはけた違いの
アメリカ
兵の犠牲を出し、そして
アジア
では二千万人と言われていますが、そういう形の犠牲を出しているわけですね。 したがって、かなり私は、
日本
の戦後の
統治
については、私たちが考えている以上に複雑な背景を持って今日の
憲法
をつくったんじゃないか、そんな危惧すらいたします。したがって、そういう
観点
からも、この
日本
の現状を考え、将来はどうあるべきか、
世界
の平和と
日本
の平和はどうあるべきか、
日本
の
国民
はどうあるべきか、そんな
観点
から、ぜひ
憲法調査会
としても新たな視点で御検討をいただければということを感じた次第であります。 以上で終わります。
平岡秀夫
30
○
平岡
委員
先ほど、
憲法
調査議員団
の
調査
報告
を聞かせていただきまして、大変
参考
になりました。
調査団
の方々、大変御苦労さまでございました。 この
調査
報告
書を、今
報告
を伺いまして、ちょっと私にとってみて理解が少ししにくかったのかな、もう少し丁寧に
説明
していただけたら、あるいは、丁寧に
説明
できるだけの
情報
がないのであれば、これからもう少し検討したらいいんではないかな、そういう点について
発言
させていただきたいというふうに思います。 中身は、
アーミテージ国務
副
長官
との
懇談
のところで、例の
日本
が
安保理
の
常任理事国
になるかという点についてのところでございます。 確かに、
アーミテージ
・ナイ・レポートの中で、
米日間同盟協力
にとって
日本
による
集団的自衛
の
禁止
は束縛となっているというような位置づけになっているということで、典型的に考えている
集団的自衛権
というものが日米間の
同盟
協力においてはいろいろ問題があるから、
アメリカ
としては、これについて、
日本
の主体的な考え方であろうけれ
ども
、何らかの決断をしてほしい、そういう意向を持っているということはわかるのでありますけれ
ども
、
安保理常任理事国
の問題について、
アーミテージ
副
長官
が、
集団的自衛権
の問題について
日本
が根本的な決断をしないと難しいであろうと言っているところの
趣旨
がどうも不明ではないかというふうにちょっと思うんです。 まず一つは、これは、
アメリカ
が
日本
にこの決断をしないとだめだというふうな姿勢を持っているのか、それとも、国連の加盟国全体としてそういう状況になっているということを
アメリカ
として認識しているということなのかという、手続的な問題も含め、そして、その
集団的自衛権
を
アーミテージ
が具体的にはどのようなものとしてとらえてこの
発言
をしているのかというところもはっきりしないような気がいたします。 例えば、
集団的自衛権
というのは、英語とかフランス語に訳してしまうと、
集団的自衛権
も集団的
安全保障
もそれほど明確な区別がないままに使われているというような、そういう論文を書かれている学者もおられまして、この
集団的自衛権
、
アーミテージ
が言っている
集団的自衛権
というのは一体どんなものであり、
日本
が
安保理常任理事国
になるために必要とされている、
日本
が求められているものというのは一体具体的にどんなものなのかということについてしっかりと詰めた
議論
をしておかないと、ここだけを見ると、典型的に言っている、日米間
同盟
協力をしていくための
集団的自衛権
が解決されない、
日本
が根本的な決断をしないと
安保理
には入れないぞと言っているようにどうも見えてしまうというふうに思うので、この点について、もし
調査団
の方々で詳しく
アーミテージ
との間で
議論
された方がおられたら、紹介していただきたいと思いますし、もしそうでないのならば、この辺については当
調査
会においてもしっかりとした
議論
をしておく必要があるのではないかというふうに思います。
中山太郎
31
○
中山会長
アーミテージ
副
長官
との
懇談
の席におられました
仙谷
代理から御
発言
を求められておりますので、これを許します。
仙谷由人
32
○
仙谷
委員
平岡
議員
の問題提起はまことにもっともでございまして、実は私も、その場で、これは概念の混同があるのか、それとも、
アメリカ
流
集団的自衛権
と国連による集団
安全保障
、この概念が余り区別をつけないで
議論
をしていらっしゃるのか、聞いておかなければならないなと、その時点で思いました。思いましたけれ
ども
、時間がなかったものですから、そこはお伺いできなかったということでございます。そして、
カリフォルニア
の大学の教授の方々に対しても、それを意識して質問をしてみたんですが、明確な論理的な回答がなかったという
実態
でございます。 もう一つ申し上げておきたいのは、どうも、
アメリカ
の最近の考え方を論理的に、一九四五年の国連憲章作成時まで一方でさかのぼり、一方で、今の
ブッシュ政権
のユニラテラリズム、あるいはネオコンと言われている人たちの論理を考えて整合性をとろうとしますと、ユナイテッドネーションズを
国際連合
というふうに訳しているのはどうも
日本
だけではないかという事実もまた一方で考える必要があるのではないか。つまり、ユナイテッドネーションズというのは、今ネオコンが言っている有志国連合、有志国
同盟
ということをある意味で意味していて、そこに入っていない敵であった旧枢軸国、つまり、
日本
、ドイツ、イタリアは敵国条項で縛られている。 したがって、その時点での有志国連合である、四十数カ国か六十数カ国だったのかもわかりませんが、米英を
中心
としてこの指とまれというふうに言ったときに、そこにロシアが加入し、蒋介石の政権である中国が加盟し、そしてフランスも一緒にやろうということで、今のP5ができた。こういう歴史から見ると、どうも、いわゆる軍事
同盟
あるいはその他の
同盟
でもいいわけでありますが、バイでつくられたものの拡大版が有志国
同盟
であって、あたかもそういうバイの
関係
とは全く別個の何か国際機構、つまり、
世界
政府をイメージするような国際機構の、つまり、国連憲章から我々が読み取るようなものではないという理解が、そもそも
アメリカ
の一部、二部の方々にはあるのではないか。 だから、論理展開としては、
集団的自衛権
の行使も、集団安全、国連による集団的取り決め、あるいはその措置というのも、それほど概念的な区別をつけないで
議論
をする向きも相当あるのではないかという気がいたしました。 そういう点からいいますと、
カナダ
の国際局長とお話をしたその状況から見ますと、
カナダ
は、
PKO
であれば、あるいは国連の権威、あるいは国連の
決定
であれば
我が国
は幾らでも協力する、しかし、今回の
イラク戦争
は、これは国連の
決定
とは全く
関係
ないので我々はこれに協力しないんだ。つまり、中立的態度もしくは批判的な態度をとっている。
メキシコ
はもう少し抑制的な態度でありましたが。 そういう
議論
をされておりまして、国際的にもまだまだ、今
平岡
さんが提起された、
集団的自衛権
の行使と国連による集団
安全保障
の問題の混同あるいは重複といいましょうか、ここは整理がついていないんじゃないか。
日本
も
議論
をする場合に、相当気をつけて、あるいは区別して、意識して
議論
をしなければならないんじゃないかなと、そのとき思った次第です。
金子哲夫
33
○
金子
(哲)
委員
社会民主党・市民連合の
金子
哲夫
であります。 私は、特にことしのこの
調査
会で多く論議になってまいりましたイラクの問題について、少しお話をさせていただきたいと思います。 といいますのは、最近の
世論調査
を見てみますと、イラクへの自衛隊派遣に反対だという
意見
が非常に多数を占めているというのが、今世論の
調査
で出ております。先ほど来の
意見
の中にも、イラクへ危ないから派遣をしないという、それはもちろん
国民
感情としてそういうものもあるかもわかりませんけれ
ども
、しかし、同時に、私は、今
国民
の中にそういう
意見
が広がっているのは、実はあの
イラク戦争
とは一体何であったかということが問われているからではないかと思います。 しかし、残念ながら、
我が国
の政府は、この国会におけるテロ特の
委員会
でも、相も変わらず三月二十日の時点の答弁を繰り返す、その根拠を繰り返すという、全くお粗末としか言いようがない状況であります。 既に、イギリス、
アメリカ
の国内においても、この主張していた根拠そのものがもう否定をされざるを得ない状況にまで追い込まれている。そして、国連の中でも、先ほど来
発言
がありましたように、アナン事務総長自身が、名指しではありませんけれ
ども
、明らかに、今回のイラク攻撃にかかわっての先制攻撃、そして、単独行動主義といいますか一国行動主義というものを、国連の中で相入れないものであるということを明確に示しております。 にもかかわらず、そうしたことがなぜ
我が国
においては冷静に検討されないのだろうか。あれから半年たって、今の今日的な状況の中にあって、このことをしっかりと私は検証していくような、やはり
我が国
の外交や防衛の考え方でなければならないと思うんです。それをあいまいにしたまま、ただいたずらに従来の、これだけ
国際関係
の中にあって、根拠がもう否定をされている状況の中にあって、相も変わらず従来の見解を繰り返している。
憲法調査会
というのは、そういう意味では、この
憲法調査会
でもう何度も論議をしてまいりましたけれ
ども
、当時さまざまな
意見
の対立もありましたけれ
ども
、今まさに冷静になってこの問題についてしっかりとした判断を下していく、また
調査
をしていく、これは私は
憲法調査会
の主要な
役割
だというふうに思うんです。それとの
関係
で
憲法
の問題をしっかりと論議していくということが重要ではないかということを申し上げたいと思います。 こうして考えてみますと、私は、むしろ、
国民
の
意見
、先ほど申し上げましたように、
意見
というのは、やはりこのイラクへの米英両軍の軍事行動そのものについての
評価
というものが大きく変更されている。今日、事実が明らかになるに従って明らかになってきていると思います。私は、戦争というものが、過去の戦争も含めて、いかにデマゴーグの中によって戦争が引き起こされてきたのか、このことをもう一度検証しなきゃならない。これは
我が国
にとっても重要なことだと思います。私たちは、ですからこそ、戦争というものに対して厳しい目を向け、そして、再びそのような戦争を起こさないという決意の中に
憲法
第九条というものは私はあるというふうに思っております。 拡大
解釈
の問題が盛んに
指摘
をされておりますけれ
ども
、そもそもそのような拡大
解釈
を行い、今回のイラクの問題でも、従来、占領地域に自衛隊を派遣できないということを言ってきた政府がそれを変える。
憲法
とのかかわりで考えると、そのようなことはあり得てならないことをやってきた政治というものに大きな問題があると私は考えております。 さらに、今や
集団的自衛権
の問題まで、
解釈
を変えてやればいいというような
発言
まで飛び出しておりますけれ
ども
、立憲主義の国であれば
憲法
を大前提として
活動
する、当然のことでありまして、これを
憲法
の枠を超えて
解釈
を広げていくということ自身を、今まで
日本
の国が歩んできたことをいま一度
憲法調査会
が
調査
をする。今度のイラクの問題にかかわっていえば、まさに今そのことを検証していく絶好のチャンスではないかというふうに私は思っております。 恒久平和主義ということが言われておりますけれ
ども
、私たちは、今度の
北朝鮮
の問題を見ても、確かにこの核兵器の問題を解決しなければなりませんけれ
ども
、大事なことは、今行われている六者
協議
のような、話し合いによって解決をしていく、そして、国際協調主義によって解決をしていく、これが私は、
憲法
にうたわれた基本的な考え方であり、そして、その道を歩むことが、
日本
にとって、
日本
の恒久平和と安全にとって極めて重要なことであり、そのことが
憲法
が示す道だということを、そういうことを
憲法調査会
として改めてこの時期、
調査
をする必要がある。 あと一年ちょっとの期間でありますけれ
ども
、そこらは重要な
観点
として、さらに引き続いて
調査
をすべきだということを申し上げて、私の
発言
を終わります。
平林鴻三
34
○
平林
委員
いささか感想めいたことを申し上げて恐縮ですが、お許しを願いたいと思います。といいますのは、今までの各
委員
のお考えに対して、私の感想めいた考えを申し上げようと思うからであります。
古川
委員
が宰相論をおっしゃいましたが、強い総理大臣を求めるか、弱い総理大臣といいますか、国会との
関係
において、そういうものを求めるかというようなことは、やはりその時代の環境に即応して求めるものが変わってくるのではないかという気がいたします。例えば、イギリスの戦時宰相であったチャーチルなんというのは強い宰相であったかと思いますし、そういう強い宰相でないイギリスの政治が行われたこともあるかと思います。ですから、弾力的に考えてしかるべきであって、
憲法
の規定からいえば、一応、今の
憲法
の規定で差し支えはないのではないかという気がいたしております。 それから、これは念のためでございますが、
大出
委員
が労働基本権のことに触れられましたが、これは私は過去の小
委員会
で申し上げましたので、改めて詳しくは申し上げませんが、公務員に労働基本権の制限を設け、代償を設けるということは、これは各国の
法律
による、各国の
法律
が、各国の国会が責任を持って決めるべきだと思っております。 それから、他国からの実力による主権侵害や、あるいは無差別テロ、あるいは大規模災害というような場合の危機管理あるいは自衛権の具体的行使については、おおむね西川
委員
の御
意見
に
賛成
でございます。やはりその時代に応じ、また、
日本
の国力に応じた自衛力を持って危機に備えるべきであろうと思うのでございます。この点に関しては、
憲法
改正
も視野に入れて論議をさらに深めていってはどうかと思います。 以上でございます。
谷川和穗
35
○
谷川
委員
海外視察団の
報告
、まことに御苦労でございましたし、ありがとうございました。大変に重大な
指摘
を何点もしていただいておるように思います。 私は、特にバークレー校での
ヴォーゲル准教授
に促されて御
発言
なさったんじゃないかと思うんですが、
仙谷
委員
の御
発言
についてちょっとお尋ねしたかったんですが、今席を離れておられますので、先に、
古川
委員
が先ほど御
発言
なさったことについて、ちょっと全然別の角度で、この
報告
書とは離れてお尋ねをさせておいていただきたいと思います。
古川
委員
は、
憲法
六十五条について触れられましたが、行政権と執行権を二つに分けて考えた方がわかりやすいんじゃないかと。実は私は、明治
憲法
と、それから
現行憲法
の中で、整理がつかないまま明治
憲法
の発想といいますか、考え方が入ってきてしまっておる、いわばそれによって混乱が起こっているんじゃないか、あるいは、混乱までいかなくても、そこはちょっと
現行
を改めておいた方がいいんじゃないかというのが幾つかあると思っておったんです。一つが七十六条の第二項でもございますし、もう一つが六十八条、七十二条、七十三条、このあたりの行政と執行との
関係
なんです。 そこで、
古川
委員
にちょっとお尋ねしたいんです。 先ほど
古川
委員
は、我が党としてはということで、民主党の内部の
憲法
に対する
議論
のことをお触れになられましたが、ということは、これからの政治日程の中に、少なくとも、
古川
委員
が
指摘
された六十五条以下の問題については触れていかれるお考えであろう、こう思いますが、政治的にはどのくらいのテンポといいますかを考えながら進めようとしておられるのか。それから、当然、これに触れると、
現行
その他の
法律
、いろいろかかわってまいりますが、そういう問題について相当積み上げた
議論
があっての御
発言
であったのかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。 ちょうど今、ここへ
仙谷
委員
がお帰りになられましたから、ひとつ、まとめて一緒にお尋ねしてしまいます。
仙谷
委員
、お帰りになられて恐縮でございます。 海外視察団の副
団長
として本当にお疲れさまでした。私がお尋ねしたいと思っておりましたのは、
仙谷
委員
が、バークレー校で
ヴォーゲル准教授
の
指名
によって三点について触れられた。その後に、
団長
の御
報告
では、
法治国家
として、これ以上の
解釈改憲
は行うべきではないと触れられた、こうございますが、それは恐らく私の判断では、この1.の
安全保障
を初めとする
国際関係
の考慮に関連しての御
発言
だったんではなかろうかと思うんですが、
法治国家
として、これ以上の
解釈改憲
は行うべきではないということを触れられたとすれば、どういう、何といいますか、その場の雰囲気、背景があって、御
発言
があったのか。まず、それをお尋ねさせていただければありがたいと思います。
中山太郎
36
○
中山会長
ただいまの
谷川
委員
からの御質問に対して、
古川
委員
からお答え、
議論
をお願いいたします。
古川元久
37
○
古川
委員
今、
谷川
委員
からの御
指摘
がありましたけれ
ども
、先ほど私が申し上げた分については、今の
憲法
上の考え方からしても、先ほど私が申し上げたような、民主党の政権準備
委員会
で考えた形の宰相型システムをとることはできるだろうというふうに考えております。ですから、そこは別に、
憲法
を
改正
しなければそういう宰相型システムがとれぬとか、そういう発想じゃなくて、先ほど申し上げたように、六十五条で言う「行政権」というのは、もともとは執行権という意味で原文の英語などは書かれていたということも考えれば、そういうように
解釈
をして、そしてそういう内閣のつくり方というものをしていくべきではないかという視点から、先ほどの考え方で、私
ども
が政権をとった場合にはそういう形の政府というものをつくらせていただくということを申し述べたわけであります。 また、先日も、これは
谷川
委員
もいらっしゃったところの
統治
小
委員会
でもう私述べましたから、そこは
委員
も御承知かと思いますけれ
ども
、民主党の中での
憲法調査会
の中で、こうした今の内閣をめぐる、行政権をめぐるところの今の
憲法
上の規定というものはもう少しやはり整理をしなければいけないんだ、そういう
議論
は既にされて、
報告
も出しておりますので、ではそれを具体的にどうするかということについては、今後とも、我が党は論憲、創憲という立場で
議論
をしておりますから、そういう中で検討していく問題だというふうに認識をしております。
仙谷由人
38
○
仙谷
委員
法治国家
、あるいは法治主義の問題と
憲法
の
関係
でありますが、今度、北中米を回りまして、特に
アメリカ
と
カナダ
は、もともとの制定法主義の国ではないという事情もございますので、私の想像していた以上に、ある種の
憲法
解釈
の柔軟性というふうにも感じたところでございます。 ただ、
日本
の場合には、先ほどの
集団的自衛権
の行使の問題、あるいは国連による集団
安全保障
の問題、
憲法
九条の問題ということになるわけでありますが、その他、私
ども
が今どうしてもやらなければならない、特に抽象的なレベルでは与野党ともほとんど一致しておることの一つに、地方分権といいましょうか、分権改革というふうなこともございます。こういうものを実施しようとするときに、
憲法
的な規定、諸原則というものを改めて明確に
憲法
上規定をした方がいい。しなくて、ある種
解釈改憲
的といいましょうか、
解釈
の応用によって何でもできるということは、大変
憲法
論的にもこれは無理があるのではないかという
趣旨
でお話をしました。 とりわけ、今度
カリフォルニア
でそういう
発言
をしたわけでありますが、その後、ニューヨーク、それから
ワシントン
できょう
報告
にない方にも私的にもお会いをして、きょうここで改めて追加してお話ししなければいけないと思っておりますのは、
北朝鮮
問題、核開発問題をめぐる六カ国
協議
を、
アメリカ
の現政府担当者も含めて、これは地域的な
安全保障
の行使となるということをおっしゃっておりました。中国の成熟化、そしてそのことが六カ国
協議
をいわば一対五の構造にして、そしてなお、
北朝鮮
がこの六カ国
協議
からも抜けられない状況をつくり出している、そしてまた暴走もできない構造もつくりつつあるのではないか。そういう現在の時点から、この六カ国
協議
は必ず成功させるし、地域的な
安全保障
の行使になるということを言っておりまして、私は、
日本
がこの方向で主導的な努力をしなければならないと改めて思ったわけであります。 これを上部構造の問題といたしますと、下部構造は、
メキシコ
へ行きましても
カナダ
へ行きましても、当然のことながら実感するのは、北米三国、あるいは
メキシコ
の場合はもっとはるかに多くの国との自由貿易協定という、いわば
経済
社会の統合化、あるいは一体化、共通化と言われる事態でございます。
アメリカ
大リーグの監督はスペイン語ができなければもう監督は務まらないと言われるような、人の往来、あるいは移民、移籍というふうなことまでもが統合が進んでいる。 その上で、
アジア
に置きかえますと、私は、
日本
も、受け身で
アジア
の自由貿易協定なり
経済
の一体化というのを、嫌々とか、いかんともしがたくなって受け入れるということではなくて、
日本
がこれは主導的な立場で進めていかざるを得ないと思いますし、その上部構造として乗る軍事も含めて、軍事の共同管理も含めた集団
安全保障
、地域的な
安全保障
という機構を進めるべきだ。 そのときに、今の
日本国憲法
でそういうことができるのか。
金子
さんがおっしゃったように、今の
憲法
からするとやってはいけないんだ。つまり
憲法
から戦略的政策すべてが制限されるというか規定されるというのは、いかに考えてもまずいのではないだろうかな。
憲法
は大事でありますけれ
ども
、時代とともにそこは、変えなければならないところは
憲法
議論
をし、
国家
主権の主権
議論
をして変えていくべきだというふうに私は考えております。そういう旨の
発言
をしたつもりでございました。
大出彰
39
○
大出
委員
二回目の
発言
でございますが、先ほど、
平林
元郵政大臣が労働基本権のことについておっしゃったから、それに反論しようというわけじゃないんです。というのは、この
憲法調査会
でもその
議論
をかなりやっておりますし、総務
委員会
で、私、総務
委員
でもございますので、そこでも消防職員の
議論
をやっておりますので、そうではなくて、
選挙
が近くて、次ここにいるかどうかわかりませんので、しゃべりだめをしておこうかと思っているわけでございます。 実は、
憲法
的な興味の部分で、先ほど
仙谷会長代理
の方から
司法
権の話の中で、でき上がった
法律
について違憲性を争える手段というのはやはり必要になってくるんだろうという話で、まさにそうだと思うんですね。今はできませんからね、事件性がないと。 そこを認めてくると、これは
司法
がやるとは限らないわけならほかでやってもいいのでしょうけれ
ども
、
司法
の幅が広がるというところで興味があるのは、つまり
司法
の問題解決能力といいますか、守備範囲といいますか、それについて考えるところがあります。 というのは、十八
世紀
に「ファニー・ヒル」という小説がございまして、これはいわゆるわいせつ本なんですね、当時は。そのファニー・ヒル裁判というのがありまして、十八
世紀
のときに、裁判長は、その本はわいせつ本であるということを認定するわけですね。ところが、それを認定するだけではなくて、「ファニー・ヒル」を書いた人に、中の文章は大変美文ですばらしい能力があるという
評価
をするんです。それで、お金がないからそういうのを書いたわけですね。そしたら裁判長は、それはわいせつ本だけれ
ども
、君は能力があって優秀なんだから、もっとまともな小説を書きなさいということで、ここで終われば今の裁判と同じなんですが、お金を上げるんですね、お金を。要するに、貧乏をしていますから、少しは食べながら書けるようにということでしょうね、お金を支給するんです。 この行為なんですね。これは、今我々が考えている裁判をするという行為のほかに、お金を上げるとき行政執行をしているわけですよね。なかなかいきな計らいだと思うでしょう。これが現代だったら、どうやったらこの二つをセットでできるのかなと実は思いまして、これは、片や
司法
権でやっておいて片方行政権でというと、必ず、もし今の
日本
でそんなことをやろうとしたら、時間がかかるでしょうし、そういう
法律
制度
をつくっておかなきゃと考え始めたら何年かかるかわからないような話になるんだと思うんですが。 ここで、だから、
司法
の守備範囲という意味、あるいは、そのころは確かに、勝手に
司法
権に権限が多かったから、まあ王様がするわけじゃありませんけれ
ども
、だと言えば言えるんですが、三権分立の中で非効率になっているようなこともあるのではないか、単純に考えると。 そんな問題提起といいますか
憲法
的興味で物を言わせていただきました。
大出
彰でした。以上です。
斉藤鉄夫
40
○
斉藤
(鉄)
委員
公明党の
斉藤
鉄夫
です。二点お話をさせていただきたいと思います。 一点は、イラクの問題が
議論
になっておりますので、私自身、六月にイラクに与党
調査団
の一員として行ってまいりましたので、その感想も含めて
発言
させていただきたいと思います。 結論から申し上げますと、
日本
は自衛隊派遣の可能性も含めてイラク支援に貢献をすべきだというのが結論でございます。
イラク戦争
の
是非
については、これはいろいろな
意見
があろうかと思います。そのことと無
関係
とは言いませんけれ
ども
、そのことは百歩譲って一時おくとして、しかし、現実問題としてイラクの
国民
が今非常に苦しんでいる。その苦しみは戦争からきた苦しみではなくて、フセイン政権下での二十数年間の結果として、一例を挙げれば、例えば下水道も全く整備されていない、電気等のインフラも全く整備されていない、そういう中で大変
国民
の皆さんが苦しんでいる。そういう状況を、やはり
日本
として復興に協力すべきだというのを痛感して帰ってまいりました。
日本
の第一次エネルギーに占める石油の割合は五二%です。第一次オイルショック当時は八〇%近かったわけですが、
日本
が純国産エネルギーともいうべき原子力発電を推進することによって、石油の占める割合は五〇%まで低下しました。しかしながら、中東石油に対する依存はふえまして、八〇%を超える依存度でございます。その地域の安定と平和は、
日本
の
経済
そして
日本
の安定、平和に直接結びついている。そういう意味でも、私はあのイラク支援法、もちろんイラク支援法は
憲法
九条の枠内でございますし、いろいろな自衛隊の
活動
について制約を設けているわけですけれ
ども
、その制約の範囲内で努力をすべきだということを痛感してまいりました。 現地で活躍するNGOの
日本
人の方々とも
懇談
してまいりましたけれ
ども
、自己完結性を持った
組織
が必要だということをおっしゃっていたということをつけ加えさせていただきます。 それから、二点目ですけれ
ども
、全然違う話ですが、
日本
の
安全保障
についてです。 一般に、宇宙技術とその国の持っている軍事力というのはほぼ比例すると言われております。
日本
の宇宙開発
予算
はここ数年減少を続けておりまして、今、
日本
の宇宙開発の技術は、無人衛星をも発射できるかどうかはらはらしながら見ているというのが現状でございます。片や、お隣の中国は、もうじき神舟号によって有人宇宙を実現する、ほぼ一年以内に実現することは間違いない、そこまでの高いレベルに入りました。また、
日本
は今、
アメリカ
、ヨーロッパ、ロシア、
カナダ
と一緒に宇宙ステーション計画に入っておりますが、中国は独自の宇宙ステーション計画を持って、ある意味で宇宙の制空権というところまで行きつつございます。 そういう状況の中で、
日本
の
安全保障
をどう考えるか、科学技術の進展によって
安全保障
というものの概念も大きく変わってきている、そういう中でどう考えていくかということも、この
憲法調査会
で今後
議論
していくべきだ、このように感じております。 以上です。
今野東
41
○
今野
委員
民主党の
今野
東でございます。 私は、若干きょうのこれまでの
会議
の流れと違うんですけれ
ども
、イラクに自衛隊を派遣するかどうかという話がよく出ておりますが、これはもちろん私は反対でありますが、ただ、今国会で、
委員会
で審議されておりますこのテロ特措法について、
憲法調査会
のメンバーとしても、どういうふうに見るかということを表明しておきたいと思います。 このテロ特措法というのは、あの九月十一日の
アメリカ
合衆国でのテロに基づいてつくられたわけでありまして、今国会でその二年の期限が切れて、延長をどうかということで話し合われているわけです。 実は、テロ特措法という
法律
はこの国にはありませんで、あれは余りにも長いのでテロ特措法と便宜上言っているんですね。
法律
のどこにも書かれておりませんで、非常に長い長い
法律
名で、正式には、
平成
十三年九月十一日の
アメリカ
合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる
国際連合
憲章の目的達成のための諸外国の
活動
に対して
我が国
が実施する措置及び関連する
国際連合
決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法という大変長い
法律
でありまして、これだけ長い
法律
をさらに延長しようという、これに
改正
案がつくわけですけれ
ども
。 これは、実際に今延長をしようという動きがあるわけなんですが、
我が国
として、そして我々が持っている
憲法
としてどうなのかということを考えますと、この
法律
はもともと、
法律
の最初にありますように「
平成
十三年九月十一日の
アメリカ
合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる」とあって、極めて限定的な
法律
なはずなんです。 しかし、本当にあの九月十一日の
アメリカ
の同時多発テロに対応してのみその措置をされているのだろうかというと、これは何度も何度も
委員会
でさまざまな
委員
の方々が聞かれておりますけれ
ども
、明確な答えは出てきません。そして、あれを行った結果、どうなったら終了と見るのかということも政府は何ら見解を述べておりませんし、そして、その効果についても、アルカイダの幹部、オサマ・ビンラーディンとかオマルとか、捕捉されていないから継続をする必要があるというような
説明
も聞くんですけれ
ども
、それでは、一体幹部というのはどういう人たちがいて、これまでにこれ以外の人たちでどういう人が捕捉されて、そしてこれからどういう人たちを捕捉の対象としていくのかというようなことも、果たして
アメリカ
から
情報
をもらっているのかどうかわかりませんけれ
ども
、どうももらっていないようでありますが、わからない。 こんなにあいまいなところに、
我が国
は百二十億もの油を、インド洋にただのガソリンスタンドを浮かべて流している。もちろん何も効果がないとは言いませんけれ
ども
、これだけ
情報
がわからないものについて、さらに継続をする必要があるのだろうかという疑問があります。 そもそも我が党は、テロ特措法については、国会の事前承認がない、入れるべきだという点から二年前には反対をいたしましたが、今回もこれがないままに、そのまま延長されようとしております。 そもそも、テロというのはどこから生まれてくるかということを考えれば、市民の不満が地下にたまり、そしてそれがテロとして、これは悲しい結果ではありますけれ
ども
、出てくるのではないかと思います。 私は去年の九月にアフガニスタンに行ってみましたけれ
ども
、
日本
のNGOで母と子のメディカルセンターという医療センターをつくって、医師や看護師たちが一生懸命やっておりました。ここには一日千人以上のブルカを着たお母さんたちが栄養失調の子供たちを抱いてやってきます。私は、泊まったホテルで、ほとんど何も売店には売っていないんですけれ
ども
、ちょっと記念に小さなものを買おうと思って行ったら、そのホテルの売店の方から、
日本
人か、
日本
は医療等の施設を、設備をここにつくってくれて大変いい、お土産をおまけしてやろうといっておまけをしてもらったということがあるんです。この一方の、
日本
の
アメリカ
の後方支援については、アフガニスタンの人たちは知っているかというと、この間NGOの方の話を聞いたんですけれ
ども
、現地で活躍している方です、全く知らないということでありました。 むしろ、アフガニスタンの市民の方々に私たちはどのように支援をしていくかということを第一義に考えてすべきだと思っておりまして、この
憲法調査会
から見ても、あれは、四十一条に「国の唯一の立法機関である。」というふうにも書かれておりまして、国会軽視なのではないかという
意見
をこの
憲法調査会
から述べておきたいと思います。 以上でございます。
中山太郎
42
○
中山会長
他に御
発言
はございませんか。 それでは、
発言
も尽きたようでございますので、これにて自由討議を終了いたします。
—————————————
中山太郎
43
○
中山会長
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
日本国憲法
に関する広範かつ総合的な
調査
を行うものとして
平成
十二年一月二十日に
設置
された本
調査
会は、
日本国憲法
の
制定経緯
から
調査
を開始し、戦後の主な違憲判決、次いで、二十一
世紀
の
日本
のあるべき姿に関する
調査
を遂げ、第百五十四回国会からは四つの小
委員会
を
設置
して個別論点の
調査
に入り、現在、
日本国憲法
の前文及び百三カ条の網羅的な
調査
を行っているところであります。
日本国憲法
の
制定経緯
に関する
調査
においては、その制定にまつわる一連の客観的な歴史的事実について、その
評価
は別として、各
委員
の共通認識は持つことができたものと考えます。戦後の主な違憲判決に関する
調査
では、
我が国
の違憲審査制及びその
運用実態
を明らかにしましたが、
違憲審査制度
の
あり方
については検討すべき点が多いと感じられました。二十一
世紀
の
日本
のあるべき姿に関する骨太な
調査
、及び小
委員会
における専門的かつ効果的な
議論
においては、
我が国
の
安全保障
や国際協力の
あり方
に大きなかかわりを持つ国内外の
情勢
の変化や、
基本的人権
の
保障
の
あり方
に
影響
を与えるものとなってきている科学技術の進展等について、多様な
観点
から
議論
をいたしました。 また、第百五十六回国会以降、各小
委員会
では、
調査
の内容の
豊富化
はもとより、討議の過程を重視した
調査
方法
の
導入
など手法にも工夫を凝らして精力的な
調査
を実施し、
調査
会においては、小
委員会
における
調査
の成果を踏まえ全体で討議を行うほか、時事的な問題について
憲法
的見地からの自由討議を行う等、
調査
をより一層充実させているところであります。 この間、第百五十五回国会においては、おおむね五年程度を目途とする本
調査
会の
調査
期間のおよそ半分が経過したこと等から、
調査
会の
活動
経緯、
調査
会における
議論
の
憲法
の各条章に沿った形での客観的な整理を内容とする中間
報告
をまとめ、
平成
十四年十一月一日に
衆議院
議長に提出をいたしました。 本
調査
会は、
天皇制
や
憲法
九条の問題などこれまで
議論
をすること自体が避けられてきた分野についても
調査
を行ってまいりました。このような分野における
調査
においても、終始冷静かつ熱心に討議が行われてきたと理解しております。
議論
を積み重ねる中で、
象徴天皇制
の存続など各党の考え方の集約が見られる分野がある一方、
意見
の対立がある分野も残されていると承知しておりますが、いずれにしても、
憲法
に関する
議論
が格段に深まってきたことは大変喜ばしいことだと考えております。
調査
会及び小
委員会
における
調査
と並行して、諸外国の
憲法事情
を
調査
するため、
憲法
調査議員団
による海外
調査
を毎年、都合四回にわたって行っております。王室
制度
を有する国や中立政策を
維持
してきたスイス等を含む西欧各国、ロシアを初め旧共産圏に属する東欧各国、中東に位置するイスラエル、東南
アジア
各国、
我が国
の隣国である中華人民共和国及び大韓民国、そして先ほど概要を
報告
いたしました北米各国等、計十七カ国を
訪問
し、合計二十七カ国の
憲法事情
について
調査
をいたしました。 各国で、国際社会の変化やそれぞれの国が抱える国内的事情を背景としながら、それらの諸事情の変化に対応して
憲法
改正
に係る論議が
国民
に提示され、その
国民
的な論議を通じて随時
憲法
改正
が行われているという点が
印象
に残りました。 また、多くの国々で
導入
されている
憲法裁判所
において、法令の合憲性審査を行うことによって権力相互の抑制に資しているだけでなく、直接に
国民
からの権利救済申し立てを受けるなど
人権保障
のとりでとしての機能をも果たしている点についても、大いに考えさせられるものがありました。 さらに、海外
調査
事項の一つとして、イスラエルの首相公選制がありました。首相公選制の
導入
及び廃止の経緯、これに対する
評価
等についての同国での
調査
を踏まえ、本
調査
会において活発な
議論
が行われましたが、国会との
関係
、
天皇制
との
関係
など
統治機構
に関する広範な論点について十分な検討を要する問題であり、慎重あるいは消極的な
意見
が多数を占めてきたように思います。 また、国内においても、
憲法
に関し広く
国民
各層の
意見
を聴取すべく既に八カ所で地方公聴会を実施し、中国地方での開催を残すのみとなりました。 申し上げるまでもなく、
憲法
は
国民
のものであります。しかし、
我が国
では、自衛隊と
憲法
九条との
関係
、戦後間もなく始められた私学助成と
憲法
八十九条の公の支配に属さない団体への公的資金の支出
禁止
規定との
関係
、裁判官報酬引き下げと
憲法
七十九条、八十条の裁判官報酬の減額
禁止
規定との
関係
といった
憲法
上の問題が
指摘
される事項について、
解釈
を通して問題の解決を図るという対応がなされてきたことは否めないのではないかと存じます。
憲法
に対する
国民
の信頼を確保するという
観点
を踏まえ、
憲法
の規定を正面から十分に検討、
議論
をすることが必要であります。 国権の最高機関に
設置
された
憲法調査会
は、こういった諸問題について、
憲法
的
観点
から大所高所の
議論
を行うことができる唯一の最適機関であります。
国民
の代表である国会
議員
が
憲法
に関しさまざまな立場から討論し一致点を見出していくという作業は、非常に重要な
意義
を持つものと思います。 本
調査
会では、人権の尊重、主権在民、再び侵略
国家
とはならないという三つの原則を堅持しつつ、
日本国憲法
に関する広範かつ総合的な
調査
を三年九カ月にわたって行ってまいりました。 これまでの総
調査
時間は小
委員会
を含めますと三百十時間を超え、この間に招致した
参考人
等は延べ八十九名に上ります。おおむね五年程度をめどとすることとされている
調査
期間も、あと一年三カ月を残すだけとなっております。 現在、
国民
的関心の高い社会
保障
と
国民
負担率の問題、
法律
構築が進められている電子政府の
導入
に伴って生ずるプライバシーの
憲法
上の
保護
の問題など残された
課題
も多く、また、きょうの
議論
にもございましたように、自由貿易協定の締結と地域
安全保障
の問題等、今後
議論
をしなければならない多くの問題が残されており、
幹事
会にて御相談の上、さらに充実した
調査
を行ってまいりたいと存じます。
会長代理
を初め、小
委員長
、
幹事
、オブザーバーの方々、そして
委員
各位の御指導と御協力により、これまで公平かつ円滑な運営ができましたことを厚く御礼申し上げるとともに、改めてさらなる御協力をお願い申し上げて、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時十九分散会