○郡司彰君 私は、
民主党・
新緑風会を代表して、ただいま議題となりました
平成十五年度
予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
まず、討論に当たり、
イラク問題に対する小泉
内閣の姿勢を厳しく糾弾するものであります。
去る三月二十日、
米英合同軍は新たな
国連決議のないまま
イラクに対する先制武力
攻撃を開始いたしました。仏独ロなど多くの国が反対し、アナン
国連事務総長や
国連査察
委員会のブリクス
委員長までもが査察継続を求めたのにかかわらずであります。かかる行為は、
国連憲章の精神に真っ向から反対するものでもあります。
政府がこうした米国の
武力行使を支持することは、対米追従
外交にほかならず、断固反対するものであります。
しかも、米国の
イラク攻撃は、当初の楽観論が影を潜め、
ブッシュ大統領も終戦は遠いと発言し、
我が国経済に多大な影響を与えるのみならず、
我が国がテロ対象国に巻き込まれ、国民の生命、安全を脅かすおそれさえあることは明らかであります。
一方で、小泉
総理の国民に対する説明は全く不十分と言わざるを得ず、一国を預かる
総理大臣として無定見、無
責任極まりないと断ぜざるを得ません。
また、小泉
総理を始め
閣僚の多くが、
閣僚の資質が疑われる言動の繰り返しに終始をしていることも
指摘しなければなりません。
大島農水
大臣の疑惑は深まるばかりです。森山法務
大臣は人権を語る資格があるのでしょうか。
川口外務大臣の二枚舌、さらに、ETFはもうかるなど打算で放言する竹中
大臣などなどであります。
総理は構造改革とよく口にしますが、構造改革や行革とは既得権益の打破にほかなりません。しかし、小泉
内閣の相次ぐ不祥事、そして失態は、自らの出処進退を潔しとすることもなく旧態依然とした自民党の構造的体質そのものであり、国民の政治への信頼を失墜させています。このことから見ても、正に
総理の言う構造改革はその実を上げていないことは明白であります。
建武の新政の時代に有名な京の落書をもじれば、このごろ国会ではやるもの、無策、居直り、偽公約と言わざるを得ません。
かかる小泉
内閣の下で、
我が国経済はかつてない勢いで衰退の一途をたどっております。小泉
内閣発足時に三百八十兆円を超えていた東証株価総額は二百三十兆円台へと三分の二に落ち込み、株価は二十年ぶりに八千円を割り込みました。財政についても、国債発行三十兆円の公約はわずか一年で撤回し、
平成十四年度に三十五兆円、十五年度も三十六兆円の国債を発行して、
世界一の借金王と自称した小渕
総理に次ぐ、歴代第二位の発行規模でございます。
小泉
内閣の
経済・財政政策の失政は火を見るより明らかであり、
与党内部からさえ
経済失政を公然と
指摘する声が出る有様です。本
予算も給付の切下げ、国民負担の増加ばかりが目立ち、歳出面でも旧態依然とした配分に終始しており、到底認めることはできません。
以下、本
予算に反対する主な
理由を具体的に申し述べます。
反対の第一の
理由は、抜本的税制改革を先送りし、大幅な増税超過となっている点であります。
政府は、十五年度
予算は研究開発・設備投資減税など一・八兆円の先行減税を行い、
経済活性化に資する
予算であると強弁をしております。しかるに、減税策が企業を対象とした時限的なものであるのに対し、増税は配偶者特別控除の廃止、たばこ・酒税の税率引上げなど、直接家計の負担増につながるものが大半で、しかも、かかる大衆増税は恒久的なものであります。
政府は多年度税収中立と詭弁を弄しておりますが、減税は時限措置であるのに増税は恒久措置、このどこが税収中立なのですか。我々は、かかる国民無視の政策を厳しく糾弾するものであります。
反対の第二の
理由は、社会保険料等の大幅な増加等により、国民に負担をしわ寄せする
予算となっている点であります。
社会保障制度の抜本改革の度重なる先送りにより、本
予算では医療費の自己負担三割への引上げ、社会保険料への総額報酬制の導入、介護保険料負担の引上げ、年金給付物価スライド制の実施など、合計二兆円もの社会保障負担が国民にツケ回しされております。現在の不況下において、国民に対し更なる社会保障負担の増加を求める
予算には断固反対するものであります。
反対の第三の
理由は、雇用対策などが不十分な点であります。
失業率は過去最悪を記録し、若年層では十人に一人が職に就けない深刻な雇用情勢にあります。しかるに、十五年度
予算では雇用対策
予算はわずか八百八十億円を上積みするにとどまり、これでは四百万近い失業者への対応としては焼け石に水であります。加えて、雇用保険に係る失業給付等の切下げ、給付
期間の短縮は、雇用のセーフティーネットを切り捨てるものであり、絶対に認めることはできません。
以上、本
予算に反対する主な
理由を申し述べました。
課題を先送りし、国民を欺き続ける小泉
内閣の一刻も早い退陣こそが、デフレ不況の脱却、
我が国経済再生の最善の策であることを申し上げまして、私の反対討論を終わります。(拍手)