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国務大臣(谷垣禎一君) 郡司
委員にお答えいたします。
食品安全基本法を提出させていただいておりますが、その背景に、
委員が今おっしゃいましたように、一昨年のBSE問題がありまして、そこからどう教訓を酌み取って乗り越えていくかということがあるわけでございます。
そこで、
基本認識は、BSE問題をきっかけとして設置されましたBSE問題に関する調査検討
委員会、この
報告書が私どもの言わば
認識の出発点になるわけでありますが、そこで要約、そこを私たちなりに要約いたしますと、まず第一に、農林水産物の生産から、それから食品の販売までの各段階で安全性確保のための措置を講ずることが必要であると、いわゆるフードチェーンという
考え方でございますが、それが従来、希薄であったと、これが第一点であります。それから第二点に、リスク
評価というものとリスク管理というものが混然一体として行われていたと。そして、リスク管理機関は産業振興の役割も負っているわけですから、その科学的
評価とその管理が一体として行われていたところに問題があったと。それから三番目に、リスク管理機関といっても幾つかあるわけですが、その相互間での連携協力というものが必ずしも十分でなかったと。こういうところが反省点なのではないかと考えております。
それで、こういう
認識の下に、今引きました
報告書の提言も踏まえて、今回の、今御提案申し上げている食品安全基本法では、まず第一点として、食品供給行程の各段階で食品の安全確保のために必要な措置を適切に講ずると、これを基本理念としなきゃいけないと。それから二番目に、リスク
評価機関とリスク管理機関を分けて、それで客観的かつ中立公正で科学的にリスク
評価を行う。だから、そのためにリスク管理機関と分けて独立した機関として
内閣府に食品安全
委員会を置こうと、これが第二点目ですね。それから第三番目に、
関係者相互間での情報や意見の交換と、いわゆるリスクコミュニケーションを促進して
関係行政機関の密接な連携などを規定しているわけでございます。
それで、この基本法案の内容に即して各種の施策が講じられなければならないわけですが、この国会でも食品衛生法の改正など所要の法律案が提出されているわけであります。こういう法律に基づきまして、今度できます食品安全
委員会がリスク管理を担当する
関係省庁と適度の緊張を持ちながら、しかし全体としては一体となって
国民から信頼される食品安全行政が推進されると、こういう体制が作られるように
努力をしていきたいと、こう思っているわけです。
そこで、今、
委員は、元々出発点が畜産だったんだろうと、しかしこの基本法案では食品については特に、畜産という言葉はこの基本法案のところには出てこないではないかと、こういう御
指摘でございますが、きっかけは確かにBSEであったわけでありますが、この法案は畜産物というだけではなくて、すべての食品について安全性の確保に関する施策を総合的に、総合的な推進を図るということを目的としているわけでございます。
そこで、畜産との
関係でやや細かなことを申し上げますと、畜産物に関して生産から販売までの各段階について、いわゆるリスク
評価、食品健康影響
評価はこれは食品安全
委員会が行うわけでございまして、具体的には、飼料安全法に基づく飼料とか、あるいは飼料添加物の成分の規格をどう設定していくか、あるいは薬事法に基づいて動物用医薬品の承認をどうしていくか、それからと蓄場法に基づく食肉の検査方法についての政令の制定と、こういうものを行うときには農林水産
大臣や
厚生労働大臣は食品安全
委員会の意見を聞かなければならないと、こういうふうになっているわけでございまして、安全
委員会としては
評価結果に基づいて
関係大臣に対して勧告を行って、更には措置の
実施状況の監視を行うと、こういうようなことで、リスク
評価、リスク管理の両面にわたって
関係省庁が連携の下に畜産物の安全性を図っていこうと、こういうことであろうかと思います。