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2003-03-24 第156回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年三月二十四日(月曜日)     午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十日     辞任         補欠選任      後藤 博子君     大島 慶久君      田村耕太郎君     中川 義雄君      福本 潤一君     遠山 清彦君      紙  智子君     筆坂 秀世君      森 ゆうこ君     高橋紀世子君  三月二十四日     辞任         補欠選任      円 より子君     神本美恵子君      遠山 清彦君     福本 潤一君      林  紀子君     池田 幹幸君      筆坂 秀世君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 木村  仁君                 谷川 秀善君                 保坂 三蔵君                 山下 英利君                 郡司  彰君                 齋藤  勁君                 山本  保君                 大門実紀史君                 平野 貞夫君     委 員                 阿部 正俊君                 愛知 治郎君                 有馬 朗人君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 大島 慶久君                 国井 正幸君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 世耕 弘成君                 田中 直紀君                 伊達 忠一君                 武見 敬三君                 段本 幸男君                 中川 義雄君                 仲道 俊哉君                 山下 善彦君                 朝日 俊弘君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 櫻井  充君                 高橋 千秋君                 辻  泰弘君                 藤原 正司君                 峰崎 直樹君                 若林 秀樹君                 遠山 清彦君                 松 あきら君                 森本 晃司君                 井上 哲士君                 池田 幹幸君                 紙  智子君                 林  紀子君                 筆坂 秀世君                 高橋紀世子君                 平野 達男君                 福島 瑞穂君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (産業再生機構        (仮称)担当大        臣)       谷垣 禎一君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (金融担当大臣)        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (防災担当大臣) 鴻池 祥肇君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        防衛庁長官   赤城 徳彦君        総務大臣    加藤 紀文君        法務副大臣    増田 敏男君        外務大臣    矢野 哲朗君        財務大臣    小林 興起君        文部科学大臣  渡海紀三朗君        経済産業大臣  高市 早苗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        総務大臣政務官  岸  宏一君        外務大臣政務官  日出 英輔君        経済産業大臣政        務官       桜田 義孝君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        原子力安全委員        会事務局長    小中 元秀君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務省経済局長 佐々江賢一郎君        文部科学大臣官        房審議官     広瀬 研吉君        文部科学省初等        中等教育局長   矢野 重典君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省国際        統括官      永野  博君        厚生労働省政策        統括官      水田 邦雄君        社会保険庁次長  伍藤 忠春君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        経済産業省製造        産業局長     今井 康夫君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     佐々木宜彦君        中小企業庁長官  杉山 秀二君        国土交通省総合        政策局長     三沢  真君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十五年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十五年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十五年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十五年度総予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁福井俊彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 平成十五年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日午前は外交経済に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は百七十四分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党保守新党三十九分、民主党新緑風会六十八分、公明党二十三分、日本共産党二十三分、国会改革連絡会十七分、社会民主党護憲連合四分とすること、また、午後の質疑片道方式で行い、質疑割当て時間は八十一分とし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会四十二分、公明党十三分、日本共産党十三分、国会改革連絡会九分、社会民主党護憲連合四分とすること、質疑順位につきましてはそれぞれお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 平成十五年度一般会計予算平成十五年度特別会計予算平成十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、外交経済に関する集中審議を行います。  それでは、質疑を行います。武見敬三君。
  6. 武見敬三

    武見敬三君 イラクにおける戦局というものも、いよいよバグダッドに百キロまで米英軍が近づき、緊迫した状況が続いていることは周知の事実であります。我が国が、これまで国際協調という原則の下で国連を通じて、このイラクの有すると大変深刻な疑惑対象になっております大量破壊兵器のこの拡散の問題について、国際協調原則としてこれに取り組んできたということは、これは我が国基本姿勢でありましたが、しかし残念ながら、こうした武力を行使しなければ解決できぬ局面に立ち至りました。  その際、我が国米国同盟国として、そしてまた九・一一のあの壮絶なテロリズムの後、新たに国際社会にとって共通の脅威となったこのテロリズム大量破壊兵器というこの二つの問題について、それを深刻に受け止めて、米国イラク攻撃というものについて万やむを得ぬものとして、これに明確に支持を表明されたことは、私は小泉総理大臣の見識であったと思います。  私は、この点について強く総理立場をまず支持するということをはっきりとここで申し上げておきたいと思うわけであります。  しかしながら、国民の約七割がやはり米国イラク攻撃に対してこれに反対をしている。そしてまた、政府のこの支持表明に対しても五割ほどがやはり反対表明をしている。これもまた事実であります。私自身は、やはりこうした国民紛争解決するに際して武力を行使することに対しては非常に否定的な立場、そしてまたこうした戦争を嫌悪する国民感情というものは、やはりしっかりと受け止めて、これは尊重しなければならぬものと考えます。  やはり、この際、国民が、こぞって戦争をやれやれというような国民が大多数であったとすれば、むしろそちらの方が心配でありまして、やはりこうした戦争を嫌悪する国民感情というものは健全なものとして私は受け止めなければならないだろうと思います。  しかし、そうであったとしても、やはり政府としては決断しなければならないときは決断をしなければならない。しかし、その決断はそのために極めて苦しい決断になるということは、戦後の我が国安全保障にかかわるそうした決断を歴代の総理がされるときに常に味わった苦渋の決断でございます。  サンフランシスコ講和会議が一九五一年九月八日、その講和条約調印したその直後に我が国日米安保条約調印をいたしました。その際、この日米安保条約調印に際しては、当時の吉田茂総理大臣は一人でその署名を行い、関係閣僚を含め随行はあえてこの署名はさせずに、自ら一人でその責任を負ったわけであります。その責任の取り方というものは、正に、その時点では国民評価がなかなか得にくいにもかかわらず、我が国の戦後の復興とその経済の再構築を考えるときにしなければならない決断であり、その評価は歴史を待つという立場で、自らその責任をその時点で一身に負うことを自ら示したがためのその一人での署名であったと思います。その際、羽田に帰国をして、そして沿道で日の丸の小旗を振り掲げをしているその国民人たちを見て、車中で吉田茂は目に涙を一杯ためていたそうであります。当時随行していたお身内の方からその話を承ったことがあります。  極めて苦しい決断というものを内閣総理大臣というのはしなければならない。私は、その心中お察しすると同時に、しかし、総理決断は正しかったということを私は申し上げておきたいと思います。  そして、このやはり問題を考えるときに、国際協調原則であるとか日米同盟といったようなことが言われますが、その本質は、やはり我が国国民生命財産という我が国自身にとっての安全保障という視点から、このイラクの問題というものがどのように位置付けられるかという基本認識というものがまず一番最初に求められることではないかと思います。  その点、まず総理に、我が国にとってのその基本的な安全保障という立場から、このイラクの今回の問題についてどのような御認識を持っておられるのかということをお伺いさせていただきたいと思います。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のイラク問題につきましては、できれば平和的解決が望ましいというのは、日本のみならず、アメリカにしても国際社会にしても、これは心からそう思ったと私は考えております。だからこそ、粘り強く何回も何回も議論を重ね、イラク国連決議を誠実に果たすよう求めてきたわけでございます。  しかしながら、この一連決議イラクが十分協力してこなかったと。大量破壊兵器あるいは毒ガス等化学兵器、また病原菌、炭疽菌等生物兵器、こういうものを保有しているという疑惑が払拭できなかった。こういう恐ろしい大量兵器化学兵器あるいは生物兵器を何とか廃棄しなきゃならないという願いにイラクが十分こたえてこなかったということに今回のイラクとの戦いの原因が私はあると思っております。  やはり戦争というものは避けなきゃならないことでありますが、もしもこのような恐ろしい危険な兵器が、過去、隣国を侵略したり、あるいはそのような恐ろしい兵器を使った、独裁者の手に渡った場合にどのような危険に我々が直面するかというのは、一昨年の九月十一日のニューヨークでのテロ、あるいはアメリカ国防省のペンタゴンへのテロ兵器でない民間航空機を使ってもあのような悲惨な状況に陥るわけであります。これが兵器として使われたら、何千人じゃ済まない、何万人、何十万人の何にも関係ない市民が悲惨な状況になると。これを防ぐためにはやはり排除しなきゃいかぬということでアメリカ始めイギリス等立ち上がったわけでありまして、私は、今回の戦闘の原因は、まず、イラク一連国連決議を遵守してこなかった、十分に協力してこなかったことに最大の原因があると思っております。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 冷戦後の我が国を取り巻く国際環境というのは本当に複雑になりました。欧州では、東西の両ドイツは統一をされましたし、EUを始めとする欧州の統合というのは着実に進展をしている。他方で、我が国北東アジア情勢というのは、台湾海峡朝鮮半島には引き続き分断国家が現実には存在をし、朝鮮半島のあの非武装地帯では百五十万人もの兵力がその周辺地域で対峙をして大変な緊張関係を作り出している。すなわち、北東アジアではまだ実は冷戦構造というのは解消されていません。したがって、こうした複雑な状況下において更に問題を複雑化させているのはグローバライゼーションであります。人、物、金、情報というのが国境を越えて行き交うそのグローバライゼーションの中で、我々は全く従来予期しない新たな脅威に直面するようになってきました。これはもう、今、総理が御指摘のとおりであります。  実際のところ、一定の資金力を持って、そして技術者知識人たちを有するテロリズムのネットワークができてしまいますと、これが大変な破壊力を実際に国際社会の中に作り出してしまう。その対象は、ただ単に九・一一のときのようなニューヨークワシントンDCだけではない。実は東京や大阪だってその対象となるという点で、実は、このイラク大量破壊兵器の問題というのは我が国にとっても実は非常に深刻な安全保障上の脅威であるという認識をまず一番最初にきちんと私は持つべきだと思います。そして、その上で、我が国にとってみれば、その冷戦構造が引き続き残っているこの北東アジア情勢というその緊張した状況というものがこの大量破壊兵器というものと結び付いたときに、それはむしろ直接的に我が国国民生命財産をも脅かす、より深刻なバイタルなコアになってくるということを常に私どもは今回のイラクの問題を考えるときに基本認識として持たなければならない。  その上で、やはりこうした問題、なるべく早く解決しなければならないということはもう御案内のとおりでありまして、やはりこうした、今回は国連を通じて解決するという方式をなかなか作り出せなかったわけであります。  外務大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、やはり、今回、この第二次世界大戦戦勝国というのだけで、これ、言わば拒否権を認めた形で構成されております現在の安保理事会構造では、こうした新しい複雑な、やはり利害関係が錯綜するイラク問題等についての平和的解決というものを行うにはその機能が十分でないということが明らかになったというふうに思いますが、なぜ国連安保理機能しなかったんでしょうか。その原因は一体どこにあったんでしょうか。その点についての外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連機能がなぜ今回機能しなかったのかということでございますけれども、私は、委員が示唆なさいましたように、やはり国連機能というのは、国連拒否権を持っている常任理事国が合意したとき、そのときに一番よく機能をするという、そういうふうに作られている制度であるというふうに思います。  今回は、常任理事国大量破壊兵器を廃棄をするということについては合意をしていたわけですけれども、その実施の段階で、実施の仕方について必ずしも意見が合わなかったという問題があったかと思います。  こういった問題を、すなわち現代の世界の姿を国連がうまく反映をしていくような形でどうやって改革を進めていくかということがかぎになるわけでございますけれども、我が国としては今まで改革努力をしてまいりました。ただ、幾つかの点についてやはり改革が先に進んでいないという点があります。例えば、常任理事国といいますか安保理を構成する数を何か国にするか、常任理事国をどこにするか、何か国のうち、その地域でどこの国が出てくるか、そういったことについてまだまだ議論が煮詰まる必要があると考えております。  我が国は、残念ながら、今回は安保理理事国でない状況でこういうことに対応しなければいけない状況であったわけですけれども、今後として、世界第二位の経済大国でございますし、それなりの国際社会国連の場を通ずる発言権というのを確保していく必要があると思います。引き続き、国連機能をするように努力を続けていきたいと考えています。
  10. 武見敬三

    武見敬三君 国連安保理が今回きちんと機能しなかったということは極めて重大なことであって、長年の国連の中での関係国努力によって、湾岸戦争のときにも決議というものが行われた上での攻撃であったわけでありますし、そうした国連権威というのは、そういう長年の蓄積した努力の中で徐々に確立されてきましたけれども、しかし、今回の一連のこの経緯を見て、その権威というものがもろくも崩れ去ってきたということは事実です。  しかしながら、これをいかにして早急に再構築するかということは、二十一世紀の新しい国際社会というものを再構築していくときの一つの基本的な命題になってきました。そういう認識を持つ国々はこれから増えてくるでしょう。それは言うまでもなく、長年我が国が主張していた安保理を始めとする国連改革というものが正に実行し得る条件が国際社会の中にできてくるということを意味しているわけでありまして、この時期こそ、我が国としては、こうした国際協調という原則の下で、我が国としてより主体的に国連改革というものを主張する私は絶好の機会だと思いますので、外務大臣、是非その点、強力なる国連にかかわる新たな改革のための外交の働き掛けをしていただきたいということをお願い申し上げる次第であります。  そして、このときに改めて申し上げておかなければならないことは、この国連というものはただ単に安保理だけじゃない、国連に関連する様々な国際機関というものがあって、そういったところが、例えばUNHCRのようなところは難民に対応する、それからUNDPというようなところはこうした途上国開発計画に従事すると、様々な計画を行うことを通じて実は国連権威というものを側面から実は確立してきたということも事実であります。  そして、こういったことについて、我が国として更により積極的にこうした国連関係機関、さらには、そうした国連その他の国際機関のこうした紛争予防とかあるいは紛争解決から開発に向けてのそれぞれ間断のない国際社会支援の体制というものを整えていくということは、これは我が国にとってみても非常に重要な国際的な貢献する分野だというふうに考えます。  その際に、その一つ考え方として、人間安全保障ヒューマンセキュリティーという考え方が、我が国独自にこれを主張してきているわけであります。やはり、国際貢献といっても、普遍的な価値に基づいてしっかりとした理念という裏付けがございませんと、ただ単に口先だけで国際貢献国際貢献平和構築だ、平和構築だと言っても、なかなか、実は国際社会の中でしっかりとした評価を受けるということはなかなかできません。  そういう意味で、私は、日本政府国連と協力して設立をした人間安全保障委員会、この共同議長緒方貞子さんとそしてアマルティア・センさんというケンブリッジ大学教授が就任をして、実際にその活動をされましたが、その最終報告の中で改めてこの人間安全保障という考え方を、人間個々の潜在的な力を引き出すためのエンパワーメントというそういう考え方と、そしてさらにそれらのコミュニティーを通じて、人間個々のそうした潜在力教育やそして健康政策を通じて引き出す、そして他方で、そういったプロセスが確実に実行されるようなプロテクション、保護をこうした国際社会当事国政府あるいは当事国政治勢力と連携して行うというこの考え方というものを着実に一つの基本的な考え方として実行していくことが必要だと思います。  特に、このイラクの問題、一段落した後に、その復興の問題が恐らく我が国にとっても一つの大きな課題となって出てくるわけでありますから、そういった際に、こうしたヒューマンセキュリティー人間安全保障という考え方をいかに活用し、我が国がこのイラクの戦後復興、さらには今後の紛争予防開発の問題に対して取り組むかということは非常に大きな視点であろうと思うわけでありますが、総理大臣に御所見を伺いたいと思います。
  11. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武見議員指摘のとおり、人間安全保障というものにつきまして日本としても積極的にかかわっていきたいということから、先日も緒方貞子氏、そしてケンブリッジ大学セン教授、両氏にこの人間安全保障という考え方についてお話を伺い、今後どのような形で具体的な支援活動をしていくかという報告を受けました。  国境を越えて、人間の持てる能力を十分に発揮していない人たち、あるいはそのような境遇にない人たちにどのような支援活動を行っていくかという点につきまして、やはりこれは今までにない概念ではないかと。紛争地域あるいはそういう恵まれない境遇にある方々は世界各国にいるわけであります。国対国では難しいけれども、人道的あるいは人間本来の持てる能力を引き出す活動についてはいかなる政府も妨害はすべきでないし、またしないだろうという点も踏まえまして、日本としては、貧困の問題あるいは教育の問題あるいは環境の問題、実際生活していく上においてどのような本来人間の持つ能力を発揮できるような支援をしていくかということで、まずこの問題については具体的な成果を上げることが大事だと。観念は分かります。  そういう面において、よく緒方氏始めそういう人間安全保障を考える方々の報告を踏まえて、日本としても、世界のそのような状況に遭っている人たちに、なるほどこういう活動はいいんだなというような具体例を挙げるように努力していこうということでお別れしたんですけれども、私は、外務省当局に対しましても、まず観念は分かると、人間安全保障。こうやったことによって、その地域人たち、そのような人々に対して、ああいい支援活動だなという具体例を挙げるようにまず努力してみようよということで、実際どの地域に、またどういう人たちに何をやっているかということをできるだけ早く具体的な形で見てもらうということが、この考え方世界の方々に理解されるということで、今検討を進めているところでございます。
  12. 武見敬三

    武見敬三君 正に、単なる観念ではなくて、具体的な政策概念としてこのヒューマンセキュリティー人間安全保障という考え方実施するチャンスが正に今来ようとしているわけでありまして、そのためにはやはりコミュニティーであるとかあるいは個々の人間の置かれた立場を正確に把握をして、そのために今、大臣おっしゃったような、総理大臣おっしゃったような教育であるとかあるいは保健衛生あるいはスモールクレジットであるとか様々な経済的な支援措置というものをきめ細かく行うことが必要になってきます。その際、外務大臣、これ、必ず必要になってくるのがNGOとの連携なんですね。これは、ローカルなNGOもあるいはインターナショナルなNGOも、ともにそうしたきめ細かい支援政府が講ずるときには必ず重要なパートナーとなって出てくるわけであります。  この問題を考えたときに、実は我が国、非常に困った問題が幾つか抱え込んでいるんですね。それは、特に我が国は、こういったNGOを支援するための一つの装置としてジャパン・プラットフォームというのを作っているじゃないですか。これは、政府のお金とそれから日本経団連のお金とNGOが幾つか集まって出した、拠出したお金と、三者構成で作っていますね。ここが言わば緊急時にNGOの活動支援するための装置になっている。しかしながら、実際にここが的確にNGOに対してしっかりとした判断で支援をするということになると、事務局の体制きちんと確保しなきゃならないんですよ。今、三月末まで五人いるんです。ところが、三月末で一人、出向者が自分の出向元に帰っちゃう、四人になっちゃうんですね、この大事な時期に。  しかしながら、実際にNGO、このジャパン・プラットフォームのこういう人件費だとか実務にかかわる資金協力というのを我が国政府というものは今まで行ってきていないんですよ。そこはもう自分たちでやりなさいというふうにして、ある意味ではほったらかしちゃっている。しかしながら、まだ我が国のNGOというのがそういう足腰きちんと育ってきていないときに、政府のみならず、経団連であるとかNGO自身も出資して作っているこういう組織なんですから、そういう人件費であるとか事務局の諸経費も政府がこの際きちんと支援してあげて、そして人員もきちんと確保して、そして各NGOが出してくるプロジェクトという中身を事務的にもきちんと精査することができるような体制を整えて、そしてこの復興後の、正にこのイラク復興にかかわる、イラク及び周辺地域に対する支援措置をNGOとも連携して、効果的に、しかも確実に行えるようにしていかなきゃいけないだろうと思います。  したがって、是非、こういう事務局諸経費、人件費を含めたジャパン・プラットフォームに対する支援措置をそういった観点からも是非やっていただきたいんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃいましたように、NGOの役割は、こういった人間安全保障、あるいは平和の定着と我々が呼んでおります様々な事業、今回のイラクに対する支援ということでも重要だと思います。ジャパン・プラットフォームは、既に今回のイラクとの関係でも支援のための活動を既に開始をしていてくれていまして、私どもとしてはNGO全体に四億円の資金の供与も既に決めております。  それで、非常に日本のNGOはまだ足腰が弱い状況にあると思います。これをどうやって育てるかということが政府としても課題であると認識をしていまして、外務省として今までNGO担当大使ですとか、NGOの室とか、を担当する部屋とかそういうのを作りましたけれども、まだ十分ではないと思っています。  それで、具体的な事業との関係で、二〇〇二年度から現地における事業経費、これはもちろん見ているわけですが、それに加えまして、現地での事業を実施するために不可欠なNGO本部の人件費等の事務局経費も新たな支援対象にいたしました。いろいろな形で日本のNGOを育てていきたいと私も思っております。
  14. 武見敬三

    武見敬三君 このNGO支援についてのその仕方ですね、この人件費だとかあるいは事務局諸経費までお金を出すことになると際限なく出さなきゃならなくなるというのが、財務当局の中にそういうふうな判断をする方がたくさんいらっしゃるんですね。  しかしながら、財務大臣の御協力も得て、草の根・人間安全保障無償という新しい予算措置を今作って、次年度の予算として今提示させていただいておりますね。この中で、百億円であった予算を百五十億円に増やした。ODA全体を五・八%マイナスにしましたけれども、この予算だけは百億を百五十億にしたんですよ。これは何のためにしたかといえば、正にそういう人間安全保障無償という、こういう我が国国際貢献を取り組むときの一つの新しいモデルを具体的に構築するための一つ予算措置として講じたはずであります。  であるとすれば、それを積極的に効果的に使うために、こういうNGOに対する新しい予算措置をも可能な形に条件を緩和して、しかし、それを実際にきちんと使っているかどうかという、そういう監査等についてはきちんと確保しながら、そういう新しい試みを正にやってみる絶好の機会だと思いますので、この点について、是非この際、政府としての新しい決断をしていただきたいというふうに思います。  それでは、この問題についての話に加えて、国内対策というのはやっぱり非常に重要になってきましたし、その中で、特に我が国にとってのエネルギー供給の安定確保の見通しというものが非常に心配になってきます。  これ、戦局もし長期化するというようなことになると、これ、どのような形でエネルギー供給の安定化を図って、現下の価格等々が不安定化する中で、国内の経済の根底におけるエネルギーの供給システムというものを確保するのか、その対策は万全か。一番これ国民も気になっているところだと思うんでありますけれども、経産大臣、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
  15. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 武見委員にお答えをさせていただきます。  御指摘のとおり、日本経済にとってエネルギーというのは非常に重要でございます。  私は、二十日に武力行使が始まったんですが、十八日の日に、世界最大の産油国でありますサウジアラビアのナイミ・エネルギー担当大臣に電話で話をさせていただきました。サウジアラビアとしては、現在、生産量は一日九百二十万バレルですけれども、直ちに千五十万バレルまでにそれを高める用意があるし、安心をしてほしいと、こういうことでございました。  また、OPECの議長をされておりますカタールのアッティーヤ大臣にも電話をさせていただきましたら、同様のお答えでございまして、イラクと、そしてベネズエラを除く九か国のOPECのいわゆる余剰生産力というのは二百四十万バレル・パー・デーあるから絶対に心配しないでほしいと、こういうことでございました。  今、日本におきましては、一九七三年のオイルショック以来、小泉総理がよく使われますけれども、備えあれば憂いなしと、こういうことで備蓄に努めてまいりまして、現在、百七十一日分のいわゆる備蓄を持っているところでございます。  また、消費国、IEAでも、日本を含めて全部その計算をいたしますと、IEA全体でも百十四日、失礼、百十四日分のこういう備蓄があるわけでございまして、今、長期化すれば御心配だと、こういう話がありましたけれども、当面は私どもはこのエネルギーというのは大丈夫だと思っておりますし、価格も、実はこの事態が非常に緊迫をしてきましたときにはバレル当たり三十七ドルあるいは三十八ドルというような形になりましたけれども、戦端が開かれましたらこれが一挙に二十ドル台に落ちました。そしてさらに、ニューヨークの先物辺りは、これが二十五ドル台になっていると、例えば十二月渡し。そういうことを考えますと、市場も短期化という見方をしているんじゃないかと思っています。しかし、長期化をしますと、御指摘のようにいろいろな面で支障が出てくると思っておりまして、取りあえずは私どもは産油国との連携の中で量の確保をしっかりする。そして、長期的にわたった場合には、そういう備蓄というものを有効に、国際間で協議をしながら、産油国とも協議をしながらしっかりとその対応はしていかなければならないと思っています。  もう一つはエネルギーで、特に地方で家庭等でよく使っておりますLPG、このLPガスに関しましても、現在、備蓄は六十三・三日ございます。また、蛇足でありますけれども、今この時点で石油を満載して日本の港に向かっているタンカーが、これはみんないずれも大きなタンカーですけれども、七十一隻ございまして、この中にも二十三日分が確保されております。LPGに関しましても、今満載をして日本に向かっている船が十九隻ございまして、ここにも十九日分確保されておりますので、当面は、私どもは、国民の皆様方にエネルギーについては御心配要らないと、こういうふうに思っております。
  16. 武見敬三

    武見敬三君 ありがとうございます。  ここで日銀総裁にちょっとお伺いしたいと思います。  エネルギー供給も同じですけれども、さらに国際協調でこうしたイラクの問題が様々な悪影響を及ぼさないようにするということの一つの装置としてG7というのがございますね、蔵相・中央銀行総裁会議。これは、ナイン・イレブン、九・一一のテロの後はすぐ、たしかG7のDですか、次席の会合がすぐに開かれたかというふうに思います。今回も、こうした米仏間の不協和音みたいなものを早く払拭して国際協調を戻すということをしていくためにも、こうしたG7の会合というものを早急に開いて、それによって新たな協調のための糸口をつかみ出すということは、私は非常に必要な時期に入ってきたと思うんですが、この点、特に日銀総裁という立場でどのようにお考えになっていらっしゃるのか、伺わせていただきたいと思います。
  17. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  武見委員、御懸念のとおり、世界経済全体として必ずしも盤石の基盤の上に立っていない、とりわけ日本経済は脆弱な基盤の上に立っているというふうに認識いたしております。したがいまして、各国の政策当局、中央銀行は当然ですけれども、日本銀行は、殊に日本経済の基盤が脆弱であるという点から、イラク戦争イラクに対する戦争の影響につきましては極めて慎重に見ているということをまず申し上げさせていただきたいと思います。  目下のところ、世界のマーケット、これは石油も為替も株式も、それから債券も、戦争の影響をあらかじめ織り込んでいたということもありまして、比較的落ち着いております。日本のマーケットも比較的落ち着いております。各国の当局の間では、戦争が始まります前からいろんな情報交換をやっておりましたけれども、戦争が始まりましてから後は一層緊密に、特にマーケット周りからほころびが出ないように情報交換しておりまして、かつその情報についての分析も加えております。目下のところはそういう段階でございます。  G7、緊急G7というお尋ねでございますが、各国はそれぞれ相互に連絡を密にして、その必要性ありやなしやということをまだ判断する前の段階でございまして、今のところ、緊密に連絡を取りながら、各国それぞれ国内においてきちっと対応すれば当面の情勢はいいかということでございます。  ただ、今後は、まず戦争の今後の推移が短期決戦のシナリオということでマーケットは織り込んでいます。短期決戦のシナリオにほころびが生じた場合のマーケットへの悪影響ということはまだ今のところ予測の限りではありません。それから、仮に戦争がシナリオどおり終了しても、戦争の及ぼす実体経済への後遺症、つまりボディーブローのように効いてくる影響ということは非常に慎重に見極めていかなきゃならない、その点についても各国とも共通の認識で今対処しているということでございます。
  18. 武見敬三

    武見敬三君 最後に、総理にお伺いしたいんですけれども、今回のイラク大量破壊兵器脅威と、それから北朝鮮の核開発再開の動き、さらには生物化学兵器等にかかわる疑惑、こういった問題は恐らく国際、恐らくではありませんね、確実に国際社会の共通の脅威として認識すべきものと考えますが、そういうふうに総理がきちんと認識されているかどうかという点を伺わせていただきたいと思います。  その上で、我が国はこうした脅威に対して自国の防衛力だけでは守れないんですよ。これはアメリカの強大な軍事力がなけりゃ守れない。そして、アメリカの強大な軍事力がきちんと機能して守ってくれるかどうかというのは、日米の同盟関係の信頼関係そのものがきちんと維持されているかに懸かってくるわけであります。そのために総理は明確な支持表明を出されたということもその一面としてあったんだろうと思います。この点について、総理のお考えを伺いたい。  そしてその上で、これを解決するときには、北朝鮮の問題については我が国国民生命財産に直結する話でありますから、これはでき得る限り平和的に国際協調の下で解決する必要があるわけであります。今回の独仏のような立場に中国やロシアを追い込んでしまうようなことがあってはならないわけであります。したがって、このような独仏と異なる中国、ロシアの協調した姿勢を引き出すという外交的な努力というのは物すごく重要になります。  したがいまして、そういった観点から、どのように総理はこのイラクの問題にかかわる様々な教訓を踏まえてこの北朝鮮の問題に取り組もうとされているのか、まずその共通の認識を明確にしていただいた上でその御説明をいただきたいと思います。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 核兵器等の問題については、北朝鮮側、懸念される情報はいろいろ出ているということは承知しております。しかし、北朝鮮とのこれからの関係につきましては、昨年の九月十七日の日朝平壌宣言、これをお互い誠実に実行に移していくという重い政治的文書でありますので、私はこれが尊重されるようにこれから働き掛けていかなきゃならない。  同時に、脅威という問題につきましては、アメリカ、韓国と緊密な連携の上に、なおかつ中国、ロシア始めEUあるいは国際機関、IAEA等よく連携を取りまして、北朝鮮との問題については平和的、政治的解決に向けて日本も積極的に各国と協力しながら今後働き掛けていかなきゃならないと思っております。
  20. 武見敬三

    武見敬三君 ありがとうございました。
  21. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で武見敬三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  22. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、齋藤勁君の質疑を行います。齋藤勁君。
  23. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 おはようございます。民主党新緑風会の齋藤勁です。  大きく分けて私は今日の質問時間、前半がイラク問題、私、そして後半が経済問題、峰崎委員ということで。  私の方は、小泉内閣が国内外の世論に対していかに背を向けた、いかに背を向けた、今度のイラクに対する武力行使に対する態度を取っているのかということについて大きく柱で一つ、もう一つイラク攻撃に至る根拠、このことが二つ目、三つ目はいわゆる日本外交の基軸、このことを主要三点でお尋ねさせていただきたいと思います。  毎日テレビで、総理イラク攻撃のテレビが放映されてまいりますけれども、私は率直にいたたまれない気持ちで、最初から最後まで見る時間もないんですが、なかなか食い入るようにという気持ちになりませんが、総理自身も多忙でいらっしゃいますからずっとテレビを見るということはないと思いますが、このイラク攻撃のテレビについてどういう気持ちで見ておられるのかなということについて、率直に所感を伺いたいと思います。
  24. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクの戦闘状況というものが連日テレビで放映されておりますし、私も、ニュース番組等、どのような状況になっているのか気が気でないと。戦争ほど悲惨なものはないということを改めて感じながら、そういうような状況を拝見しております。どのような形であれ、お互い、国同士あるいは人間同士が戦って命を落とさざるを得ないということを考えても、戦闘行為何とか速やかに終わらせて、一日も早く平和的状況に戻ってもらいたいという、そういう気持ちを持って今見守っている状況でございます。
  25. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 九・一一のアメリカの同時多発テロ事件のときも、大変私はもうショックで言葉も出なかった感じでございます。その国が、私は、今度、イラク攻撃に今入っているわけですが、なぜという気持ちがぬぐい去れないですね、今、率直に言って。  さて、過日、本会議で、深夜に参議院で本会議再開後に、広中議員から冒頭質問で、どうも答弁漏れだったのではないかというふうに言っておりまして、今回の戦争で民間の被害者というのはどのぐらい我が国として考えているんだろうか、このことについてお答えなかったというふうに思いますが、いかがですか。
  26. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、戦闘が早く終わるか、どのぐらい掛かるかによっても違ってくると思います。  今の時点でどのぐらい出るかというのは、なかなか難しいんじゃないでしょうか。速やかな終結を強く期待しておりますが、どのぐらい被害が出るかというのは私には今想定することはできませんが、できるだけ少なくしていただきたいと期待しております。
  27. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大量破壊兵器という今度のキーワードになっていますけれども、湾岸戦争、そして続いてボスニア、九五年、コソボは九九年、セルビア、九九年、アメリカは劣化ウラン弾を使用しています。被害を受けた戦車を処理するスタッフ百人のうち三十人が死亡している。残りのほとんどが後遺症に悩まされている。イラク南部バスラの病院でも先天異常の急激な増加が報告をされています。  九九年、国連で劣化ウラン使用禁止が主張されているにもかかわらず、それを実はブロックしているのがほかならぬアメリカであり、アフガニスタン北部ではつい最近も戦術核とほぼ同じような、同等の破壊力を持ついわゆる通称デージーカッターというのも使用しております。  総理アメリカ武力行使は今でもあなたは支持をする、支持をしている判断は間違っていないと思っていますか。
  28. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより武力行使なしにこのイラクの問題が平和的に解決されるということは、私のみならずすべての人たちが望んでいたことだと思いますが、現在において国連決議を遵守してこなかったこういうイラク状況を考えますと、やむを得なかった決断だったのではないかと。また、この大量破壊兵器が多くの人々にとって使われた場合にどういう危険な状況になるかというのは、アメリカだけじゃありません、日本国民も人ごとではありません。現にニューヨークテロ事件というのは、アメリカのみならず、日本人も多くの犠牲者を出しました。全くアメリカとは関係ない各国の市民が命を落としたわけであります。  そういう点を考えると、この大量破壊兵器あるいは毒ガス等化学兵器、こういう問題がもし危険な独裁者あるいはテロリストに渡った場合に、その被害というのは想像に絶するに余りあるところであります。民間飛行機、武器でない民間飛行機を使用してもあのような悲惨な状況になるわけですから、これが大量破壊兵器を武器として使われたらどういうような状況になるかと。この大量破壊兵器を廃棄しなきゃならないというアメリカのいわゆる大義というものに対しても、我々は、こういう状況に陥ったということを考えますと、同盟国として支持するのは当然ではないかと思っております。
  29. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 国連のアナン事務総長、そしてブリクス査察委員会の委員長は、今回の武力行使決議武力行使に至ったときに沈痛な会見をされていましたね。引き続き査察を続けたかったと、こういう会見をしております。  日本の国是であります平和主義や国連中心主義というのは、これは崩壊したのではないかという、先ほど国連の強化のやり取りが出ましたけれども、別にそのことについての見解に異論を唱えるつもりはございません。国際社会イラク国際協調日米同盟の両立、新たな決議日本政府が掲げたスローガンというのは崩れたんじゃないんですか。武力行使支持を支える大義は跡形もなく消えちゃった。フランスや中間派六か国のかたくなな姿勢も、我が国外交外務省にとっては非常に誤算だったらしいです。結局、日米同盟だけがむき出しになったわけでありまして、総理、この日本の国是、平和主義、国連中心主義崩壊、こういうふうな見方、どうですか、いかがでしょうか。
  30. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はそういう見方は取っておりません。日米同盟国際協調、この重要性を認識しながら、今後もこの両立を図っていくというのが日本政府にとっても重要だと考えております。  今回、国連安保理での意見が一致しなかったということを見て、もう国際協調主義は破綻したと見るのは余りにも一面的ではないかと思っております。  今後のイラクの戦後を考えますと、私はやはり国際協調体制をいかに構築していくかということが重要になってくると思います。日米同盟につきましても、日本の安全を図るという上において最も頼りになるのは米国であると。日米安保条約を締結していると、お互いの信頼関係を高めていくということは日本国民の安全を確保する上において重要だということについては多くの方々の理解を得ることができると思っております。  そういう意味において、日米同盟国際協調、これは今後も日本として追求していかなきゃならない大事な基本方針であると認識しております。
  31. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理が幾らそうおっしゃっても、国内外世論の声はそうじゃないんじゃないですか。  ただ、あなたは、二月の中旬ごろ、十七日ですね、世界同時反戦デモに対して、アメリカ国内はもとより、イギリスでもフランスでもイタリアでもスペインでも各地で行われました。そのときに、この反戦デモに対して、イラクが正しいんだという誤ったメッセージを送らないよう注意をしなきゃならないと、こういうふうに言っているので、例えば、今日発行されています各紙にも、「「戦争止めて」訴え」という見出しに始まる世界各地の戦争をやめろという声について、これも当時の発言でいうと、イラクが正しいんだという誤ったメッセージを送らないよう注意をしなきゃならないと、こういうふうに小泉総理は思うのかなというふうに思いますが、いかがですか。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、イラクが正しくてアメリカ、イギリス等が誤っているということじゃないと思います。戦争反対、これはだれでも共通の気持ちだと思います。  そういう意味において、反戦運動がイラクを味方しているんだと、イラクが正しいんだという誤ったメッセージをイラクに与えると、イラク国連決議に十分協力しなくていいんだという、そういう誤った感じを持たれたら困る、その大事な時期だったんです。国際社会一致結束して戦争を回避するためにも、イラク国連決議を守りなさいということは国際会議ではもう一致しているんですから、国連安保理でも。そういう点において、私は、イラクがこのまま査察に十分協力しなくてもいいんだというような誤ったメッセージを持たれるようなことは十分注意して対応しなきゃいかぬという発言でございます。
  33. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 国連のアナン事務総長やブリクス委員長が査察を継続をしたいと、現地で査察を行っている人がまだ続けられると思っている、非常に残念だと。どういうことですか。そうじゃないという理由は私には見付からないですね。これから戦争かもしれないというのにミサイルを破壊されたイラクから見ると、これは私はフセイン政権とかいうのについて是認しませんよ、是認しません、我が党は。しかし、イラクから見ると不合理な状況ではないかというふうに他方見られると思うんです。  いずれにしましても、査察を行っている人がまだ続けられると思っているのに武力行使に入ったということは、これは間違いないわけであって。  さて、政府部内、政府内、政府とか与党の中に、今回、小泉総理支持をするということについて、いや、そうではないんではないか、査察をまだ継続させるべきではないかという、そういう政府決定をすべきではないかということは政府の中になかったんですか、外務省の中にも与党の中にも。尊敬する武見先生が先ほど支持をする、評価をしますと言ったんで、私はさっき、別に人間関係はおかしくなるわけではないんですが、与党の中で黙っているというのは私は異常な姿だと思うんですが、総理に聞くと、いや、だれもなかったよ、異論は何にもなかったよと言うのかも分かりませんが、いかがなんですか。
  34. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政党にはいろいろな考え方を持っている方がおられます。また、与党の中でもそれぞれの考えを持って発言されている方も承知をしておりますが、少なくとも小泉内閣政府の一員は私の方針に全面支持でございます。
  35. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 報道を見る限り、確かにそういう閣僚の中で異論を唱えるというのはありませんでしたし、極めて私は異常だなというふうに思わざるを得ないですね。  これは、デモだけではなくて、国内でも非常に各地方議会、今ちょうどそれぞれの地方議会の予算議会終わりましたけれども、非常にやっぱり真剣な議論をされまして、国内でも地方議会でイラクに対する攻撃反対する決議、意見書を可決した地方議会が五百十六議会、そのうち都道府県議会レベルでは過半、半数を超える二十六議会。今回のイラク攻撃は、国際法的にも国際世論からも、さらに国内世論からも私は支持されていない武力攻撃ではないかと思います。  アメリカ外交官が武力行使前に、ジョン・ブレディー・キースリング氏、この方が辞任をしたのも報道されています。あるいは続けて、二人三人続けておりますが、ブッシュ政権の友好国を見下した傲慢な態度、熱にやられたかのような対イラク戦争の追求は、アメリカの最も有効な武器であったはずの国際法上の合法性という財産を食いつぶすだけだというのがブレディー・キースリング氏の発言ですね。サダムが悪いということに疑問の余地はない。ただし、だれがサダム排斥の出費と危険を負うのか。大統領は米国をもっと安全な場所にしたいと願っているだけなのかもしれないが、この戦争は逆に私たちの安全を危うくするだけだと、こういうふうに言っておりますし、ジョン・ブラウン氏、続けて辞められた方ですけれども、合衆国は正当化されない武力行使に手を染めようとしている、外交を無視した大統領による他国の世界観の軽視は反米の世紀を生み出すだけだと、こうまで指摘をしております。さらにブラウン氏は、もう一点だけ披瀝させていただきますけれども、アメリカ外交官は種々の国に柔軟に対応し、その国の言葉で芸術家や知識人とも交流を行ってきた。コンサートも展覧会も詩の朗読会も大使公邸で行ってきた。それは、武器弾薬では不可能な方法でアメリカの潜在的な敵の知性と魂に訴える方法だった。  外務大臣、私は、日本外交というのは今度のことで残念ながら失墜をした、こういうふうに断言せざるを得ませんが、これらのアメリカ外交官の言葉を私はまつまでもないと思いますが、いかが思いますか。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国外交は、今回のイラクに関しても、一貫として、そして積極的な国際協調、平和的な解決のための努力をし続け、そして、それが難しいということになったときに、いかにすれば大量破壊兵器脅威をなくすことができるかという観点から、我が国の国益、そしてこの地域の平和と安全、これを視野に、考え方の起点に置いて、一貫としていい外交を続けてきたと私は思っております。  外務省の中、個人的にはいろいろな意見はもちろんありますけれども、外務省の職員、省員もみんなこの方針を支持、最終的には支持をしてくれている。外務省の副大臣あるいは政務官の方々からもこれについて支持をする、総理の方針を支持するということで、みんなそろっております。  我が国の平和と安全ということに基軸を置く外交、そして国際協調を大事にしていく外交、これが全く今回の場合もそういう考え方で動いたわけですし、今後ともそれが大事だと思っております。何ら揺らいでいるということはないと思います。
  37. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この放送が外務省内へも流れているのかなというふうに私は思いますけれども、私は、そうじゃない、むしろ声を出すべきだというふうに思っております。  ちなみに、アメリカ同盟国の中でお隣のカナダ、平和的解決のため独自の仲介案を提案した。それが残念ながら実現をしなかった。最終的にどういう態度を取ったか。外国の政権交代のための戦争はいつの時代でも望ましいものではないと、米国支持を見送っています。是非参考にしていただきたいと思いますが、むしろもう武力行使を支持していますから参考にならないかも分かりませんが。  言ってみれば、小泉内閣というのは、日米同盟日米同盟と言うけれども、本当の日米同盟、何でもかんでも付いていけばいいということではなく、やっぱり言うべきことは言っていくということが私は大切だということについて再度触れさせていただきますが、この項でも指摘させていただきます。  さて、武力行使、根拠。アメリカ、イギリス、なぜイラク攻撃に至ったのか、その根拠についてどう受け止めているのか、過日の本会議でも述べられておりますが、総理の方からその考え方について明確にしていただきたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、昨年十一月の一四四一、イラク大量破壊兵器廃棄に関する協力、即時、無条件、無制限に協力すべきという最後の機会を与える。そして、湾岸戦争以来の停戦決議に関する六七八、六八七、そういう一連決議から見て、私は根拠を持っているというふうに考えております。
  39. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 国連憲章が武力行使と認めているのは、一つには攻撃を受けて自衛するとき、もう一つ安保理の決定に基づいて行動する、この二つだと思いますが、よろしいですか。
  40. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい。自衛権の行使、そして国連安保理決議、そうであります。
  41. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 多分、後段の方の安保理の決定、こういうことに、六七八あるいは六八七、これらを主張すると思うんですが、それでは幾つかこの辺についてお尋ねいたしますが、いわゆる新決議案、二月二十四日に安保理に提出されたアメリカ、イギリス、スペイン提出のいわゆる新決議案について、日本政府はこれを一貫して支持をしてきました。そして、その採択を働き掛けてきました。しかし、三月十七日に打ち切られ、新たな決議の採択もないままついに開戦に至りました。  しかし、政府は、この決議案がそれ自体では元々武力行使を認めるものでなかったことを明言しています。そうすると、この決議案をめぐる協議というのは一体何だったんだろう。国際法上、武力行使が原則として禁止されているために、その例外として安保理決議による承認を求めていたんではないんですか。総理、いかがですか。
  42. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この新決議案の意味は、委員がおっしゃるように、これ自体が武力行使を容認するという性格のものではないわけでございまして、我が国がこれを一貫して支持をしてきたということは、政治的に、国際社会イラクに武装解除が大事である、しなければいけないことであるということを迫る、そういう意味、そういうメッセージを出すという意味で望ましいというふうに考えて、一貫としてこれを支持してきたわけです。
  43. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これらのやり取りの中で、外務大臣は、あるいは総理も、決議六七八がいわゆる復活をするというような、こういうニュアンスでですね、武力行使の自動的承認について先ほどの私の質問に対する答弁も答えられています。  この決議案をめぐる理事国間の対立の背景には、武力行使自体の是非の前に、過去の決議違反を根拠にして新たな決議なしに武力行使が自動的に承認されるというアメリカ、イギリスが取った立場に対して、フランスやロシアなどは安保理の承認を得ていない一方的な武力行使だとして反発してきた経緯があったと思います。  アメリカ、イギリスは、安保理決議六八七へのイラクの重大な違反によって停戦が無効になった、武力行使を認める決議六七八が復活すると主張しておりますけれども、また決議一四四一、イラク決議六八七に重大な違反をしていると安保理が認めているものとして根拠が加えられておりますけれども、日本政府も同様に、決議六七八が復活する、こういう考え方を用いていますけれども、本当にそれでよろしいんでしょうか。
  44. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのように考えております。
  45. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 決議六七八が、今の答弁ですと、復活をするという考え方を取りますと、いいですか、今回のように常任理事国を含む安保理の大多数が武力行使に反対しているにもかかわらず、安保理決議に基づくと主張して武力行使を行う国が出てくるという、そんな懸念はありませんか。その結果、安保理の実効性が失われるばかりじゃないですか。各国間の深刻を、対立を招くことになる。私は、この主張は、国連の平和維持システム、幾ら国連尊重だ、国連強化だと言ったって、このシステムいうのも大変危険なものじゃないですか。  新決議案に賛成するということは、イギリス、アメリカ、この決議六七八の復活の主張に追従することによって、およそフランスやドイツには到底容認することができない、そういうことだったんでしょう。こうした対立を抱えたまま、安保理は新たに武力行使を承認する決議を採択することができなかった。  政府は、いいですか、決議六七八が復活するとの解釈に基づいて、新たな決議なしの今回の武力行使を正当化していますけれども、政府が依拠しているこの考え方というのは国際法上の根拠が極めて疑わしいばかりでなく、逸脱している。アメリカ、イギリスを除く主要国は、それじゃこの解釈をどういうふうに見解を持っているんですか。いかがですか。
  46. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 六七八に戻るということについてドイツ、フランスが反対をしているというふうにおっしゃられましたけれども、六七八に基づいて過去、例えば九三年、九六年、九八年にイラクに対して武力行使が行われているということですが、フランスも九三年には、六七八に基づいてイラクに対して武力行使に参加をしているということでございます。  これは、六七八も六八七も今有効でございまして、六八七は六七八が戦争をしていたことを停戦をする、終戦ではなくて停戦をするということでございますので、その停戦の根拠が失われた、これは一四四一によってそういうふうに認められているわけですけれども、失われた以上、六八七の根拠がなくなって六七八、要するに停戦状態がなくなると、そういう解釈で、これは国際的にもアメリカもイギリスもそのような理解を持っておりますし、現にフランスも六七八を使って武力行使をしたことがあります。  それから、六八七が有効であるというのは、六八七にも、今一生懸命に各国がイラクに対して武装廃棄、武装解除を迫っていますけれども、武装解除を迫れる根拠、これは六八七、査察の根拠、これも六八七でございます。
  47. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣、今回の武力行使なんですよ、いいですか。  安保理決議六七八が根拠だとする武力行使の問題点は、いったん発動されればコントロールが利かなくなっちゃうんですよ。実際に政府は、決議六七八によって承認された武力行使の目的に、クウェート解放だけでなくそれと並列的にその地域における国際の平和と安全を回復することも含まれているんですが、それでよろしいんですか、外務大臣
  48. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、委員がおっしゃった二つが並列的に目的として書かれております。
  49. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私、手元に安全保障理事会決議六七八、あります。その当時の背景もそれなりに頭に入っていますが、そこで言う平和と安全の回復とは、イラクに侵略、併合されたクウェートを解放し、原状に復することを通じて平和と安全が回復されると考えるのが自然ではないんじゃないんですか。イラクに侵略、併合されたクウェートを解放し、原状に復することを通じて平和と安全が回復されると考えるのが自然。もし、このような決議採択当時の文脈を無視して平和と安全の回復を目的としていったら、武力行使が許されるという対象がどこまでも広がってしまうんじゃないですか。そういう疑問に立つのは当たり前じゃないですか。  例えば、決議六八七が定めた大量破壊兵器廃棄義務に違反するといって決議六七八に戻ると政府は主張するんですけれども、アメリカとイギリスは、イラク大量破壊兵器の除去に不可欠だとして公然とフセイン体制の転覆まで主張してきているんじゃないですか。ブッシュ演説というのはそうでしょう。外国の体制転覆を目指すことは、国際法の最も基本的な原則である国家主権、人民の自決権を踏みにじる行為。いいですか。  どうしてもある政権を倒さなきゃならない、国際の平和と安全が守れないような事態が起こるかもしれない。それはあり得ることかも分からない。しかし、たとえそのような場合でも、安保理が明確にその必要性を認定していなければ、体制転覆なんということはあってはならない。そのような状況で、安保理決議のあいまいな状況に依拠して拡張解釈を積み重ねていくということは、国連憲章に定められた平和維持の基本的な仕組みを逸脱して、武力行使を必要最小限にとどめよという国際法の信頼性にも傷付ける。いかがですか、総理
  50. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二つの御質問があったと思いますので、最初の方からお答えをしますと、先ほどのクウェート、六七八の目的ですけれども、六七八において、あらゆる必要な手段を取ることができるということを言っているわけですが、そのときの条件として二つ。  一つは、安保理決議六百六十、これはクウェートからのイラクの撤退を要求したものですけれども、及びあらゆる累次の関連決議を堅持かつ実施するため、これが一つ目の条件です。それから二番目の条件として、同地域における国際の平和及び安全を回復するため、これが二つ目ですね。この二つの条件を挙げているわけでございます。  これは、そのイラクということの意味は、六七八はクウェートを侵攻するという形でこの地域の平和と安全を乱したイラク、この行為を停止させるということと、それからイラクが再び地域の平和と安全を脅かすことを阻止するということを目的としているということでございまして、この二つは並列をしているということです。そして、この二つの条件というのはあらゆる必要な手段を取るためにこの二つの条件の双方を満たす必要があるということではない。これか、あれかということであります。  この解釈が妥当であるということは、決議の一四四一をお読みいただきますと、その前文に、決議六七八は、決議六六〇及び六六〇、及び決議六六〇に続く、及びすべての関連する決議支持し履行するために、並びに、並びにですね、同地域における国際の平和及び安全を確保するために、加盟国に対しあらゆる必要な手段を取る権限を与えたことを想起しというふうに規定をしているということでございまして、今申し上げた解釈が正しいということは一四四一でも、からも分かるということでございます。  それから、政府、フセイン政権を、国連において武力行使をすることによって結果として転覆をするということになるというのは、国連決議で言っていること、この武力行使の法的な理由付け、これはあくまで武力、武装解除でございます。  武装解除をする、そして武装解除をするといったときに、その過程でといいますか、その結果といいますか、という形でフセイン政権がなくなるということが想定をされるということでございまして、目的は、公的な目的は、これは武装解除、これが公的なその整理でございます。それで、政治的な観点ということ、したがって、国連決議との関係ではそういうことでございます。  それで、もう一つ違う側面からいいますと、これはフセイン政権が十二年間頑張って違反行為を続け、武装解除をしてこなかったという現実があるわけでございますね。そして、あらゆる必要な手段を与えるということの意味は、そういった武装解除をするというために、フセイン政権があるということがこれが行われないということになっているわけですから、実際上、これは安全保障理事会の決議の公的な武力行使の説明ではありませんけれども、実際上はこれが重なってくるということになっていると、そういうことだと思います。
  51. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いろいろ、失礼な言い方かも分かりませんが、法律をいろいろ引っ張り出してきて決議を言われてきたんでしょうけれども、あなた新決議を、アメリカ、イギリス、スペイン、行ってきたわけですから、それらの経過をずっとお認めになって、またそれへ戻るという話は、幾らされてもこれはもう通らないですよ。  それから、ブッシュ大統領の演説、これはもうブッシュ自身も言っているじゃないですか。イラクの問題でも、国連安保理は、九〇年代初めに行動した、現在でも有効な、と言っていますよ、あなたと同じように。安保理決議六七八と六八七の下、米国同盟国は、イラク大量破壊兵器を取り除くために武力行使をすることを認められる、これは権限の問題ではない、意志の問題だ。  さらに、目的は、これはもう時間もありませんから繰り返すのも嫌ですけれども、フセイン大統領と息子たちは四十八時間以内にイラクを去らなきゃならない、拒否するならば、我々が選ぶ時期に軍事行動を起こす。  まあ、ブッシュさんはいろいろ申し上げていますけれども、後ほど先制攻撃についてもお話しさせていただきますが、このことではっきりさせていただきたいのは、国連決議違反に武力攻撃ということであれば、一九六七年の第三次中東戦争後にイスラエルの占領地撤退を求めた国連決議二四二はどうなるんですか。イスラエルの撤退を求めてアメリカがいかなる圧力を掛けてきたんですか。明らかにダブルスタンダードじゃないですか。さらに、核開発計画を公然と認める北朝鮮、対話で臨むなら、なぜイラクを攻めるんですか。二月十四日にシリア国連大使が述べたように、何度も国連決議に違反してきたイスラエルを攻めないで、なぜイラクを攻めるのか。  いいですか、こういうような証拠で武力攻撃ができるなら、アメリカがいつでもいちゃもん付ければ、いつ、どこでも攻撃できるようになってしまうじゃないですか。そういう矛盾というより問題、こういうことをきちっと持っている、はらんでいる今回のアメリカ攻撃なんだと、イギリスの攻撃なんだということについて、今日は片道じゃなくて往復なので、本当はもう止めたくて止めたくてしようがないんですけれども、これは引き続き、残念な気持ちはありますが、継続させていただきます。──ちょっと、いいですよ。  それで、日米、日本外交の基軸について私は質問させていただきます。  昨年の九月、総理、ブッシュ大統領は、テロ国家、テロ組織への先制攻撃を掲げた新しい国家安全保障戦略を発表しています。  アメリカ米国米国人を守るためにテロ脅威を取り除くため、国際社会支援を取り付ける努力は続けるけれども、必要な場合は先制行動によって我々は自衛権行使の単独行動をも辞さないんだと。それから、大量破壊兵器と戦うため、脅威がもたらされる前の自衛行動、先制行動が必要だと。テロ組織やならず者国家に伝統的抑止力は通じない。昨年九月のブッシュ大統領のいわゆるブッシュ・ドクトリンというやつです。  ここからテロリストに大量破壊兵器が渡りかねないということで、これは総理も言っている、ブッシュさんも言っているということで、イラク攻撃が正当化されるという議論が出てきているんじゃないですか。どういうことを連想しますか。イスラエルにとってパレスチナはテロリストの温床だ、基地だと。インドにとってパキスタン、ロシアにとってチェチェン、すべて先制攻撃対象となる、そういう論理になっていくんじゃないですか。今回の武力行使、先制攻撃、これはブッシュ・ドクトリンに基づくものである。  いかがですか、総理の見解。
  52. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このアメリカがどういう行動を取るかというのは、私は自衛権行使あるいは国連憲章に合致した形で取るものだと思っておりますが、どのような状況でどのような国に実際武力行使をするかということにつきましては、国によって事情が違います。  北朝鮮に対しても同じじゃないかという議論があるのは承知しておりますが、北朝鮮に対しては、アメリカは、またブッシュ大統領は、平和的、政治的解決ができるように日本と協力していきたいということをはっきり言っていますし、私は今後とも、北朝鮮の問題につきましては、アメリカ、韓国と緊密な連携を取るのはもちろんでありますが、同時に周辺国、中国、ロシアあるいは国際機関とも協力して、政治的な、平和的な解決に向かって努力していくというのが日本の基本方針であり、この基本方針についてはアメリカも十分理解と協力をするということを表明しております。
  53. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理、今度のイラクへの武力行使が、再度お尋ねいたしますけれども、いわゆるブッシュ・ドクトリン、先制攻撃、先制自衛と言う人もいますけれども、これに基づいて行われたものだと、これについての考え方を示してください。
  54. 陣内孝雄

  55. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理じゃないの。
  56. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど御説明いたしましたように、この法的な説明というのは安保理決議に基づいて行われたものでありまして、自衛権の行使ということではないということです。  委員がおっしゃったその安全保障戦略の中では、先制行動はするけれども、それは必ずしも武力の行使を意味しない、それからその先制的な行動ということを侵略の口実にするということもないというふうにアメリカは言っているわけです。
  57. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 不思議ですね。ブッシュさんが先制攻撃だと言っているのに、そうじゃないと言っている。  総理自身の言葉として聞きたいですね。ブッシュ大統領が昨年の九月に、こういういわゆるブッシュ・ドクトリンを明らかにしたんですよ。総理自身、いかがですか。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アメリカは、自衛権行使、または国連憲章を尊重する、そういう中であらゆる選択肢を残していくという発言であり、先制行動と先制攻撃とは直接結び付くものではないということも言っております。
  59. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大量破壊兵器が渡りかねないと言っているんでしょう。渡りかねない、渡った、攻撃があった。安保理決議は、古い証文出してきて、古い証文だ古い証文だ、これが正しい、ここに書いてある武力行使がいいと。だったら新しい決議は何だったんですかということになるでしょう。だから、そこを読んで、ブッシュは、これは大量破壊兵器と戦うには、脅威がもたらす前に自衛行動、先制攻撃が必要だということを去年の九月にドクトリンを発表して、そして今回そうだということを演説で言っているじゃないですか。いかにも私はそういうような態度というのが、本当に日米同盟日米同盟と言っている日本内閣の姿なのかということで残念だ。  仮にイラクに短期間に降伏、敗北させたとしても、私は、真の問題の解決に導くであろうか、そうは思いません。多くのイスラムの諸国の人々は、アメリカへの憎しみ、参加国、支持国への憎しみであろうと。世界じゅうの人々はアメリカへの嫌悪と軽べつとを私は深めていくんじゃないかと、そんな気がいたします。イスラム原理主義を始めとする様々なテロリストたちの温床となり、アメリカはいつもだれかれか襲われる、そんな恐怖をいつも覚えながら不安となる大国となるんではないだろうか。憎悪の連鎖、収拾の付かない、このやはり私は恐怖の世界をもたらすことになるのではないかというふうに思います。  私は、日本政府外交というのは、日米同盟というのは、これは、日米同盟はこれからも私は緊密に取るべきだと思いますが、今回、様々な議論を聞いていますと、北朝鮮の核の脅威、これについて私は、率直に言って私自身も同様でございますが、そのことと日米同盟というのをごったにしているのではないかという気がいたします。  在日米軍基地、私どもは非常に広大な約一千万坪にも及ぶこの我が国に在日米軍基地を擁しておりますし、約五万人弱の米軍、在日米軍基地に働く従業員の人がおります。キティーホーク、様々な艦船が、アメリカの艦船が横須賀あるいは佐世保から出てきている。こういった基地を提供している役割というのは、世界同盟国の中でも、広しといえども、これは日本しかありません。十分私たちは、我が国として、日米同盟日米安保条約、日米地位協定の中でこういう基地提供をしているということについて、十分ある意味では役割を果たしているのではないか、そういうふうに思います。  何でもかんでもアメリカに追随をするというやり方は大間違いだということ、今日、フランスの外交政策について、あるいはドイツの外交政策について述べる時間はございませんでしたけれども、私は、日米同盟の二国間の同盟と同時に、アジアの中で多国間にわたる、多国間の様々な外交政策をしてきましたけれども、これをも失わせるような、信頼を遠ざけるような今回の国連決議なしの武力行使に至った小泉内閣総理大臣の正に無条件の支持表明ということについては、これまでの日本外交を失墜するかのような発言であり行動であるということについて指摘をさせていただきまして、峰崎委員にバトンタッチをさせていただきます。
  60. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 関連質疑を許します。峰崎直樹君。
  61. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 イラク問題が本当に大変な状況な中で、経済の問題が少しかすんだ嫌いがあるんですが、民主党新緑風会を代表して、経済問題、今日は日銀総裁にもお見えをいただいておりますので、まず最初に、総理、日銀総裁をお決めになったときの基準、経過、こういった点について、我々もかねてから日銀総裁の生の声を聞きたい、その上で国会で判断をしたいと。しかし、残念ながら同意する前にそういう意見を聞くことできませんでしたけれども、総裁、副総裁を決められるときの、日銀、総理はどういう基準でどういう経過で選ばれたのか、明らかにしていただきたいと思います。
  62. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、現下の経済情勢に関しまして的確に判断できる方、そういうことを考えますと、デフレ克服に積極的に取り組んでいる、取り組むということが必要であろうと。同時に、金融システムの健全化に向けての対応、これもしっかりやってもらいたい。さらに、現在、金融政策というのは一国だけで効果を上げることはできません。国際経済、国際間の状況についても精通していなきゃならない。また、金融自体に至る専門的な知識、これも十分持っていかなきゃならないであろうと。言わば、国際的な金融情勢に対して見識を持っている方。そして同時に、政府考え方、これにも理解を持ってもらわないと困ると。現在の日本政府考え方、そして国際情勢、やはり協力してやらなきゃならない場面が多々出てくると思います。  そういう面から総裁、副総裁の人選に当たりましては、今言った観点から人選したわけでありまして、同時に総裁につきましては、組織の長ですから、この組織の運営というのを考えますと、人間的にも過去の蓄積された知識なり経験を生かすという面において信頼感というものが大事であろうという、総合的な判断をもって今回の総裁等の人選を図ってきたところでございます。
  63. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総裁、副総裁を、三人同時に替わったんですね。この三人の方々は五年間はこの間これからずっと総裁、副総裁。  そうすると、一気に替わるということの問題ももちろんあるんですが、まず総裁を決めて、そしてその総裁との間と総理との間で、人事権はもちろん総理にあるんです、内閣にあるんですが、その上で実は副総裁はどんな方が今度総裁に内定された方は望ましいのかと、こういうふうに信頼関係を持っていくというやり方の方が好ましいんじゃないですか。今回のやつはどうも私ども、今のプロセス、ゆっくりじっくり考え発言されていましたけれども、どうもその点一気に三人が同時に決まって、先日の衆議院質疑をずっと読んでみました。インフレターゲットを積極的にやりたいという人、それから、いや、それに対しては慎重な方とか、いろんな考え方が混じっていて、これは総裁はもちろんそれ以前の審議委員、政策委員の方々も、もう承認していますからこれも一気に辞めさせるわけにいかないんですから、総裁という日本銀行を正に代表する人を、しかも副総裁が補佐しなきゃいけない。  そうすると、その決め方が今回のように一気に決めるということで、果たして福井総裁は本当にこれで自分の思うようにやれるんだろうかな、そんな私は心配を持つと同時に、そういうやり方をしていたら本当の日銀と政府との間の信頼感というのは私は出てこないんじゃないかと思うんですが、私の今の見解についてどう思われますか。
  64. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、一気に決めたと言いますけれども、決めるまでには十分意思疎通を図っております。総裁もいい副総裁を人選してくれたなと、副総裁も総裁をしっかり補佐したいと、そういう目に見えない配慮の上に、形としては一気でありますけれども、それまでの目に見えない努力というものも御理解いただけるのではないかと思っております。
  65. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それじゃ福井総裁に、総裁にこんな質問を最初からしなきゃいかぬというのは非常に恐縮なんでありますが、今、慎重にということだったんですが、そもそも内定した時期というのは、もしここでディスクローズできれば、日本銀行というのは正に透明度あるということなんですが、それはいつごろ福井総裁内定の人事がございましたでしょうか。
  66. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 内定の時期というのはなかなか明確に定義しにくいと思います。小泉総理からは段階を経て私にそういう御意向のお示しがあったわけであります。  内定というのは恐らく、私の理解では、正式には国会の御承認があった段階と、そう申し上げざるを得ないというふうに思います。
  67. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、イギリスでは今年六月に中央銀行の総裁辞められるんですね、交代になる。実は、もう次の総裁というのは去年の十一月に決まっているんだそうです。その上で恐らく、私、福井総裁も、本当は早くからいろんな形でいろんなことを考えなきゃ、このイラク攻撃の問題もそうでしょうし、そういう意味で、私はやはりもっと早く総裁を決められて、その上で、ある意味で私たちがよく分かるような形で副総裁以下決めていくべきじゃないかな。これはまだ決まっていませんから、ある意味ではこれからのルールとしてあるべきじゃないかな。そうでないと、総理もよくおっしゃっていたでしょう。いやインフレターゲット、デフレに対してしっかり戦う人だとか、いろんな条件おっしゃっていましたよね。そうすると、こういう人かああいう人かといろいろと憶測なども出ていたわけですから、その点は私はやはりきちんとやらなきゃいけないなと。  そこで、昨日、二十三日の日ですか、今日の新聞に一斉に出ているんですよ。塩川財務大臣あるいは竹中大臣も出ておられましたですね。官房長官も出ておられた。日銀からは白川さん出ておられる。政府・与党でいわゆる金融経済対策の緊急会議が開かれたんですか。これは現実にあったんでしょうか。これ塩川財務大臣からお聞きしましょうか。
  68. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 会合はいたしました。しかし、この趣旨は新聞に書いておるようなのと若干ニュアンスがちょっと違います。  といいますことは、政府・与党の関係者が絶えずじっくりといろんな問題について懇談をしようという会であったんです。ですから、何を決めようという会でやったんじゃございませんので、そこは非常に誤解があったと思うております。意思疎通を図って、できるだけお互いに認識一つにしようということでやったことでございまして、決定をしたというものじゃございません。
  69. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そのとき、財務大臣、日銀から白川理事をお呼びなさったんですが、この会議の性格は、今お話を聞くと余り公的なものではないというようなお話だったんですが、しかし財務大臣、実はいろいろ役員の承認、理事以下は財務大臣が決定することになっていますよね。そういう意味では、政府財務大臣や官房長官やあるいは金融担当大臣が出られるときには、私はやはりある意味では副総裁なりそういう、あるいは政策委員なり、そこのところはだれになるか別にして、私はやはりちょっとこの会議の性格って一体何だったんだろうかなというふうに思えてならないんです。  これはまたちょっと余り重要なポイントでないので、中身について入っていきたいと思いますが、その中で、時価会計の問題について、それからETFの購入の問題あるいは日銀が株の買上げを二兆円という、増やしたいというようなことをおっしゃっていますが、この時価会計の問題について、今日の一斉にマスコミ紙上に載っているのを見ると、これはいわゆる銀行やあるいは金融機関が持っている長期保有株はこれは時価会計から外すというような検討がされるというようなことになっていますが、これは一体、この間、私、財政金融委員会で聞いたことと少し違うなというふうに思っていますが、これ総理総理というか、これはむしろ竹中大臣に聞いたらいいんでしょうか。  本当に、このいわゆる会計原則というものを一回決めておいて、いや長期保有株については別ですよというふうにしてこれを例外を設ける。じゃ、長期保有株というのはだれがいつどういうふうに判断していくのか、こういったことも含めてよく分からないのに、こういう形で決めていくというのは一体何なんだろうな。  私は、前回、財政金融委員会で申し上げたんですが、こういう、今、与党が要求しているやり方というのは、まるで、会計原則が、これは国際的にも決まっている方法で日本の企業の財務体質をよく現すために会計原則を直したわけです。ところが、株価が下がっちゃった。いや金融危機が大変だ。だから時価会計を伸ばしてくれ。これは、まるでダチョウがよく砂漠の中でライオンやそういうものに追っ掛けられたときに、もう危ないのが見たくないものですから首を突っ込んで、砂の中に頭突っ込んで、見たくない、見たくない。まるで私はこういうダチョウが危機に面したときのいわゆる危機対応、何にも対応になっていないんですけれども、先送りをしたり重大な事実を見ようとしない、こういう形で物事を決めようとしているんじゃないか、私はそう思うんですが、この点について、これはどなたにお聞きしたらいいんでしょうか、金融担当大臣にお聞きしたらいいんでしょうか。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど塩川大臣からお答えがありましたように、昨日の会合というのは、何かを決めるということではなくて、いろんな御意見がございます、その御意見についていろいろ意思疎通を図る、そういう会議でございました。したがって、昨日の会議で何かが決まったということではもちろんございません。  基本的には、峰崎委員おっしゃるように、企業会計の原則というのは、これは経済のインフラの中でも私は最も重要なものであると、透明性の高い、信頼性の高いものに作っていかなければいけない。このような状況の中で、我々としては、やはり一般に公正妥当と認められる会計の原則、これをやはり我々としては堅持していかなければいけないのであって、一般に公正妥当と認められる会計の基準というのは何であるのかということについて、それぞれの立場から御意見があったということでございます。  しかし、これは一つの社会の制度としては、正に、かつては企業会計審議会でそういうものが議論された、今はそれに代わるそういった会計の機構がある、そういったところでやはり専門家によってきちっと議論される問題であって、これは決して政治でゆがめるとか、そういう性格の問題ではないというふうに思っております。
  71. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まだそれは正式の会合でないとおっしゃっていますが、私は、是非そういった、もう企業活動というのはもう世界に広がっていっているわけですから、あるいは世界の株式市場に上場している企業もあるわけですから、日本の自分たちの企業の会計だけいじって先送りしたって全然これは変わらない、このことは私は申し上げておかなきゃいかぬと思います。  ではもう一つ、今日は日銀総裁お見えになっていますので、まだたくさん聞きたいことがありますが。  ETF、いわゆる株価連動指数証券とか、あるいはジャパン、J―REITとか、いろいろ難しい言葉が並んでいますが、要するに、日銀がこれまでずっと伝統的に金利政策を中心にして金融政策を取ってこられた、今度はいわゆる量的なところに変わってきたと、ゼロ金利の下で。さらに、日銀は昨年九月に二兆円の株をいわゆる買うということに突入されました。  そうすると、この二兆円の株を買うこと、これを増やしてくれという要求などもあるんですが、総裁、こういう政策は金融政策なんだろうか、それともこれは財政政策なんだろうかと。財政政策であるということならば、財政は民主主義、つまり国会という場で、いわゆる法律や立法その他を通じてこの場で法律で承認されて手続を取られるべきだと、我々は一貫してそのことを主張してまいりました。総裁はその点についてはどのようにお考えになっているのか。  そして、あわせて、ETFを買おう、こういうことについて、塩川財務大臣との間でいわゆる日銀納付金が減ることについて心配あるねと、こういう心配、リスクについてのお答えもありましたが、この点についてどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
  72. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 現在ただいまの私の印象でございますが、金融政策をめぐってETFの購入ということが政策論議として少し大きくクローズアップされ過ぎてはいないかなという、取りあえずの感じを持っております。ETFの問題につきまして、塩川財務大臣と私との間で具体的な議論をさせていただいたことはまだございません。  それで、お答えでございますけれども、中央銀行はどこの国でもそうでございますが、基本的にはリスクの少ない資産を担保ないし買入れ対象として健全な通貨を供給していく、これはもう何といいますか、固まった大原則でございます。現在の新しい日銀法もそういう枠組みでかっちりでき上がっております。  ただ、そうは申しましても、経済というのは非常にインフレ的に振れるときもあれば今のように大きくデフレ的に振れることもある。経済の中の動きを見ましても、非常に企業も金融機関も安全な環境で仕事ができるときと、今のようにリスクが満ち満ちた状況で仕事をしなければならないとき、こういうときがございます。したがいまして、中央銀行の買入れ対象あるいは担保の対象とする資産につきましても非常にスタンダードを固定してすべて任務を全うできるかというと、それは必ずしもそうはいかない。やはりある程度状況に合わせまして、厳しい局面、デフレ脱却等の厳しい局面においては、ある程度危険資産に対しても日本銀行が足を踏み入れるという形で政策効果を全うしていく必要がある。ここが非常に難しいところでございまして、足を踏み入れ過ぎますと、中央銀行というのは打ち出の小づちではなくて、あくまで銀行なんでございます。キャピタルベース、資本の基盤というものがありまして、その資本基盤を突き抜けるぐらいまでリスクを取ってしまいますと、これは結果的に財政に非常に大きな御迷惑を掛ける、正に財政政策の領域に日本銀行が自分の判断で踏み入れるということになってしまいます。  したがいまして、日本銀行としては、より危険、リスクの高い資産を対象にステップを踏み入れるという場合には、日本銀行の今の資本基盤というものを十分点検しながら、自己資本をどういう資産に割り当てながらやっていくのが最高の政策効果が上げられるか、そこを十分点検しながら、結果が最適ないし最高というところを計算しながらやると、こういうことでございます。
  73. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 時間がありませんので、本当にこれからこういう対話も是非やらせていただきたいということで、日銀総裁またよろしくお願いしたいと思います。  最後になりますが、これは、総理、私、同僚の質問を聞いていて、これはやっぱり総理に一回答えてもらわなきゃいかぬという問題があります。それは何かといいますと、例の国債三十兆円枠の発言問題なんです。これは、塩川大臣笑っていらっしゃいますけれども、これは総理大臣出席なさらなかったいわゆる本会議で大塚議員から、総理はこの間私どもの直嶋委員の質問に対して、三十兆円枠というのは平成十四年度だけですよと、十五年度以降は私はそんなことを言ったことが全然ありませんよと。  ところが、私も調べてみましたよ。枝野議員が、平成何年になります、十三年の五月に本会議で、これは十四年度以降も継続して三十兆円枠を守るんですねと言ったら、そのとおりですと、私は十四年度以降も守りますと、こうおっしゃっている。ところが、直嶋委員の質問のときには、いやそんなことは言っていない、私は十四年度は言ったけれども、十五年度は守ると言っていませんよということをおっしゃっている。これはやっぱり国会という場で間違ったこと、正しくないことあるいはうそを言っちゃいけない、私はそう思いますので、この点についての、総理大臣、もし間違っているんだったら謝っていただきたいし、どういう意味で間違ったことをおっしゃったのか、教えていただきたい。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これははっきりしておかなきゃなりませんが、私は、五十兆円程度の税収があるときに三十兆円枠というのは十分守れると、しかし、経済は生き物だからその状況を見ながら大胆かつ柔軟に対応すると、そして、なおかつ、十四年度は、これは方針という以上に、枠そのものについて方針以上にこだわらなきゃならない状況だったと思います。しかし、それ以後はこの方針というもの、これは堅持していきたい、ということは財政規律であります。  当時、五十兆円程度の税収があるという前提でありました。だからこそ、民主党が三年間法律で縛れと言ったときも、私はそれに賛成しなかったんです。なぜか。経済は生き物だと、状況を見て柔軟に対応しなきゃならないということを言って、もし私が十四年度以降も三十兆円枠にかかわっていたら、民主党が法律で三年間縛れと言うとおりに賛成していましたよ。それは賛成しない。民主党みたいに法律で縛るということは、これから状況を見てかえって柔軟な手が打てないおそれがあるから、私は法律ということに対しては賛成しなかったんです。その点も理解いただきたいと思います。
  75. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは、委員長、私はその当時からずっとこれをやって、従事していましたからよく知っているんです。総理が十四年度以降守ると言ったから、ああ、それならお守りになるんですねということで法案を出していったんです。そういう経過なんですよ。ですから、これは事実間違えたことを、今大胆かつ柔軟にと、要するに自分のおっしゃった発言に責任持っていないんです。  もう一つ申し上げましょう。今日は余りもう時間ないんで、道路特定財源問題です。  道路特定財源について、私は就任早々のこの参議院本会議で、もう今亡くなられましたけれども、今井澄さんと一緒にここで立ちました。そのときに、特定財源を見直す、道路特定財源を一般財源化するんだということをおっしゃったんです。去年は、このいわゆる図、今、後で資料を配っていただきたいんですけれども、もう二分しかありませんから。(図表掲示)  これ、数字を今挙げますけれども、去年は、少なくともこの道路特定財源と言われているところのこの余剰財源のところは、ある意味では一般財源になっていったんです。ところが、今年はこれを本州四国架橋公団やあるいは地方に一千億近いお金を出すということで、ある意味ではまるっきり変わっちゃって、去年は、塩川大臣がおっしゃるように、それは道路関連のところに費やしましたよな。それは私も分かる。今年は逆にそれがなくなっちゃって、まだ道路公団の、本州四国架橋公団どうするか、責任はどうなるのか、これからの見通しどうなるのかよく分からないところに、実はもう既に財源をそこへ使うということを決めている。じゃ、本州四国架橋公団を使わない利用者の人たちはどう思うんだろうか。いろんな問題がここにあるんですよ。  だから、そういう意味で、総理、もし、今私の申し上げたように、一般財源化するんだよと言っても、今年は大幅にそれが後退しておる。これも私はあなたの公約というものがやはり大きく守られなかったということじゃないかと思うんですが、その点について、恐らくこれを聞いたらなくなると思いますので、きちんとそこを答えていただきたいと思います。
  76. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この道路特定財源については、一般財源化を含めて見直すと言ったんですよ。それで、私は今回五十年ぶりに道路特定財源を道路以外に使えることに直しています。そして、今後、道路特定財源を一般財源化するという場合には、これは自動車利用者の理解を得なきゃならない。それは暫定税率ですから、これに対しても、一般財源化する場合についてはいろいろ問題は出てきます。  将来の問題として、どのように道路特定財源を見直していくかということについては、私は異論はありません。現に、今年度、来年度の予算についても見直した結果、五十年間見直さなかったのを見直しているわけですから、道路以外も使えるように増やしているわけであります。  どのように見直すかについては、自動車重量、自動車等の税を一般財源化するんだったら暫定税率どうするかという、自動車の利用者の意見というものをやっぱり聞かなきゃならない。そういう点もありますから、私は見直すという方向はこれからも続けていかなきゃならないと思っております。
  77. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  78. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で齋藤勁君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  79. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、遠山清彦君の質疑を行います。遠山清彦君。
  80. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党遠山清彦でございます。  総理、まず通告した質問をさせていただく前に一つお願いがございます。  今回のイラク攻撃に対する政府の対応について、小泉総理総理なりに説明責任を果たすべく最大限の努力をされてきたというふうに思いますけれども、国民の中にはまだ不十分であるというふうに思っている方もおります。  これは公明党内でもあった意見ですのであえて申し上げさせていただきたいんですが、政府の重大な決断については、国会の演説や官邸での記者会見だけではなく、米国やイギリスあるいは韓国の大統領なども今回やっておりますけれども、テレビで演説をしていただいて、ラジオもいいんですけれども、総理、既にラジオ番組は持っているそうですが、生放送で国民に直接政府決断について語り掛けるということが必要なんではないかというふうに思いますけれども、まずこの提案に対して一言御感想いただければと思います。
  81. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今までもその都度説明しているつもりであります。しかしながら、テレビ等でも常に毎日、このイラクの問題について毎日のように質問されます。その都度説明しておりますが、いざ放映をたまに見てみますと、一部、ワンフレーズポリティックスと私を批判していたマスコミ報道は、批判していたことそのものをやっているんじゃないかと。なぜ私の発言を全部報道してくれないのかと。そして、野党の皆さんは、野党の見解と違う説明すると、答えになっていない、説明になっていない。それは意見ですからね、違う、気に食わない答弁を私はする場合はありますよ。しかしながら、あらゆる様々な場を通じて説明していますけれども、全部報道してくれますか。そうじゃないでしょう。むしろ、ワンフレーズしか報道しないのがマスコミでしょう。  こういう機会は非常にいい機会なんですよ。今まで、すべていろいろな答えについて私は説明しておりますし、これからもするつもりであります。現に、ラジオでは一月一回やっていますけれども、あのラジオの報道においてイラクの問題についても触れております。しかし、あのイラクの問題の発言を全部報道機関が報じているかというと、そうじゃないでしょう。正にワンフレーズしか報じていないでしょう。  これも繰り返し繰り返し、それは野党の皆さんも、意見が違っても、説明になっていない、答えにもなっていない。私がそれじゃ答弁しているとき、質問が気に食わなかったときに、そんな質問はいかぬと言ったらどうなりますか。それはおかしいでしょう。お互いの意見の違いを尊重しながら意見の違いを認め合う、これが民主主義ですから、その辺はもうちょっと理解していただいて、マスコミ、報道機関もワンフレーズだけ報道しないで、できたらば、十分私の発言も報道していただければ、これはもっと私にしても理解されるのではないかなと思っております。
  82. 遠山清彦

    遠山清彦君 総理、この脱ワンフレーズポリティックス批判という意味でも、是非ノーカットライブで、テレビで直接国民に目線を合わせて語り掛けるというのを是非やっていただきたいというふうに思います。  さて、次にイラク攻撃に対する、問題に対する質問をさせていただきたいと思いますけれども、この攻撃日本時間で二十日午前に開始されまして、現在も戦闘が続いております。小泉総理も同様だと思いますけれども、公明党は、このイラクをめぐる問題に対して一貫して平和的解決を求めて、そのための独自の外交活動を展開してまいりました。  三月六日には、神崎代表と高野参議院議員がニューヨーク国連本部にアナン事務総長を訪ね、直接このことを訴えました。また、この会見の席上、アナン事務総長から攻撃によって起こり得る人道的被害の規模について具体的な言及がありました。  これを受けまして、先週、先々週出発したんですけれども、私と浜四津敏子参議院議員、代表代行でありますが、イラン及びスイスを訪問させていただきました。この海外訪問中に事態が深刻化いたしまして、国連安保理が一致できない状態での武力行使に至ったことは極めて残念であります。他方、今回の事態を招いた最大の責任イラクのフセイン政権にあることは、私は明白であると考えます。  総理、実は私は、ちょうど今から三年前にイラクのクルド人自治区のハラブジャという町を直接訪れました。この町は、知る人ぞ知る一九八八年にサダム・フセインが自国民であるクルド人に対して化学兵器を使った町そのものでございます。私、この町に行きまして、当時爆弾が、化学兵器の入った爆弾が落とされた当時に生きていた人から直接話を聞きました。  もう黄緑色の柱が立って、そこに集まっていった女性や子供の方々が五千人ぐらい、その日のうちに亡くなったという話を直接聞きまして、正にフセイン政権の危険性、化学兵器をも直接使ってしまうということについて、肌身で感じたわけでございます。そして、サダム・フセイン政権は湾岸戦争が終わった後に国際社会に対してこの化学兵器、実際に使ったんです。この兵器を含めて廃棄をしますという約束をしたわけでありますけれども、残念ながら、十二年間この約束を守ることがなく、今回の事態に至ったというふうに理解をしております。  総理は、国会での答弁でも苦渋の選択として米国決断支持したということでありますけれども、まずお聞きをしたいのは、日本の行動としては、このイラク問題に関して非軍事的分野に限っていくんだということ、また戦争の早期終結、事態の早期解決に向けてあらゆる外交努力を行っていくというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これも、何回も今まで私は説明しているんです。日本は、アメリカ立場とも違う、イギリスとも違う、フランスやドイツとも違うと。たとえ戦闘が開始されても、日本アメリカ支持しても武力行使は一切しません、戦闘行為にも参加しません、しかし、戦後、イラクの復旧とか復興支援、これについては国際社会と協力しながら日本責任を果たしていかなきゃならないでしょうと。今回、イラク国民に罪はないんですと。イラク国民が将来自由な状況で自らの国づくりに取り組んでいけるような、そういう支援日本としてもすべきだと。  同時に、イラクのみならず、このイラクとの戦いで周辺国に対してやはり悪い影響を与える場合が出てきます。そういうためにも、日本は、アラブ諸国あるいはイスラム諸国との友好関係をこれからも発展させていかなきゃならない。  そういう点のいわゆる復興支援、人道的支援については責任を果たすべく、どのような支援が必要かということは、アメリカのみならず国際社会国連とも協調しながらやっていきたいということをはっきり言っているわけであります。  よく、アメリカとフランスの対立が表面化する場合にも、フランスのように、ドイツのようになぜ反対しないのかと言いますけれども、日本はフランスみたいに核兵器持っておりません。あるいは、フランスとかドイツみたいにNATOという同盟関係も入っておりません。日本同盟国アメリカです。事情が違うんですよ。イラクに対しても、日本は、アメリカとも違う、イギリスとも違う、フランスとも違う、ドイツとも違うんです。  日本独自の主体的な形でこれからの対応をしていきたいということを何度も言っているんですけれども、こういう点については報道しないで、何があいまいだとか不明瞭だとか、これほどはっきりしていることないでしょう。今でも武力行使はしないということ、戦闘行為に参加しないということは今までもそうだし、今でもそうだし、将来もそうです。武力行使しません、戦闘行為参加しません、しかし人道的あるいはイラク復興支援、周辺の支援についてはきちんとやっていきますよと、これを何回もやっているんだけれども、ちっとも報道しないじゃないですか。
  84. 遠山清彦

    遠山清彦君 分かりました。総理、熱のこもった答弁ありがとうございます。  時間がなくなってまいりましたので、若干割愛させていただきながら、引き続けてで。  次に、外務大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、先日、私、浜四津代表代行と一緒に総理官邸にお伺いして、総理日本が行う人道支援について六項目の申入れをさせていただきました。  私たちは、日本は難民支援を始めとして、この人道支援の分野でどの国よりも大きな貢献をすべきであるというふうに考えております。UNHCRまたWFP、UNDPなどに対する、国連機関に対する早急な財政支援を求めます。また、それ以外にも、私たちがジュネーブに参りましたときに本部を訪問させていただいた国際赤十字社あるいは各国の赤十字社、赤新月社の連盟でありますIFRCというところに対する財政支援も是非検討していただいて、迅速に実施をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  これらの機関の幹部の方々に私たちもお会いしましたけれども、彼らも平和的、外交解決を願いながらも、しかし最悪の事態に備えて準備をしていると申しておりました。ただ、残念なことに、なかなか実際に攻撃とか戦争が起こる前に財政的なコミットメントを各国政府からいただけないという悩みも言っておったわけでありまして、今こそ政府はこれらの機関に対して財政支援をしっかりやっていくべきだというふうに思うんですけれども、外務大臣、先週発表になったユニセフなど三機関に対して五百三万ドルという、これは日本円にして六億弱ですけれども、私、ちょっとこれ、余りにも少ないと。UNHCRだけでも六千万ドル掛かると言われているわけでありますので、一部報道で一億ドルの追加支援も検討するというものもありましたけれども、いつ、どれぐらいの規模でこれ政府としてやっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 政府といたしましては、先ほど委員がおっしゃったような五百三万ドル、約六億円ですけれども、これを三つの国際機関に出すということと、それからNGOの方が現地で活躍をしていただいておりますので、その方々に草の根無償等四億円ということを決定いたしました。それから、周辺国の支援ということで、ヨルダンに対して一億ドル、そしてパレスチナに対してこれは五億円でございますが、これも決定をいたしました。  これ以降、国連等の緊急アピールが出ました時点でどのような対応ができるかということについては検討し、発表したいと思っています。それから、それ以降、戦争がどのような状況で推移するのか、そしてその関係のところにどのようなニーズがあるのか、そういうことを見極めながら対応していきたいと思います。  委員がおっしゃった赤十字社等は、人道支援という意味ではいろいろな経験を持っているということでございますので、おっしゃった点も参考にさせていただきながら検討したいと思います。
  86. 遠山清彦

    遠山清彦君 外務大臣に続けてお聞きをいたします。  今、もう既に大臣おっしゃったんですが、このイラク国内とそれから周辺国で人道支援に従事するNGO、日本のNGOも今ジャパン・プラットフォームなど中心にあるわけですけれども、これに対する支援を是非強化充実させていただきたいというふうに思います。  私、ジュネーブでUNHCRのルベルス高等弁務官にお会いしたときに、おっしゃっていたのは、日本に対しては財政支援も期待しているけれども、やはり目に見える貢献策も是非やっていただきたいと。最近、UNHCRとかUNDPでも幹部職員で日本人が大変活躍をし出している、大変うれしいということをおっしゃりながら、このNGOも、日本でもいいNGOが出てきたと、立派なNGOが出てきたから、是非そういったところでの人的貢献、目に見える貢献というものをやっていただきたいと。  そこで、私たちはちょっとイランに行ってきたんですが、今日ちょっと地図を持ってまいりましたけれども、(図表掲示)実は、先ほど外務大臣がおっしゃった四億円の支援というのは、プロジェクトでいうと、このイラクのクルド人自治区と、それからヨルダン・イラク国境付近の二か所のプロジェクトに対するものなんですね。  ところが、この地図見ていただくと分かりますように、イランとイラクというのは千キロの国境を接しておりまして、実はイラク国民の七割近くの人はイラン側に住んでおるんですね、ヨルダンとかシリアの方は砂漠地帯でして。そうすると、難民の方たちは砂漠を何百キロも歩いて隣の国に行くということできませんので、基本的にはこの山を伝ってイランの方に行くと。実は、私、現地で聞いたんですけれども、湾岸戦争のときは百万人以上のイラク難民がイランに入っておるわけなんですね。  そこで、お聞きしたいのは、今回も最もイラク難民が入るのは実はイランだと言われておるわけです、周辺国で。ところが、そのイランの国内での支援活動に対して余り日本政府として手当てをしていないと。  次の質問もまとめてちょっと聞いちゃいますけれども、いわゆるイラン政府そのものに対しても余りこの支援のパッケージというのは発表されていないんですね、政府から。政府の緊急対応策見ても、出てくる名前というのは、ヨルダン、パレスチナ自治区、エジプト、トルコ、シリア、イエメンなんというのも最近出てきました。それから、今日の新聞では、先ほど外務大臣がおっしゃいましたヨルダンに一億ドル、百二十億円ですね、無償資金供与、それからパレスチナに五億円ということを発表されているんですが、一番難民が流入すると、これは国連機関の関係者も言っていますし、イランの人たちも言っていたところに全然支援がないというのはちょっと不可解なんですが、外務大臣、これ検討した方がいいんじゃないですか。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イランでは、ジャパン・プラットフォームの方が活動していただいているというのはよく承知をしています。  それで、イランにも難民がかなり、百万とかそういうことをイラン政府は言っていますけれども、十分に対応が必要であるというふうに思います。今、具体的に難民についてはほとんど今の、今日の時点ではまだ余り動きがないようでございますけれども、イランについても、緊急な事態でありますので、どのような支援が必要か、これはジャパン・プラットフォームとしてどういう支援を必要としているかということもよく既につかんでおりますので、イランについて新年度の予算の活用も含めてこれは検討をしていきたいと考えています。
  88. 遠山清彦

    遠山清彦君 それでもう是非しっかりとやっていただきたいんですが、今確かに時期としては予算の年度末で端境期で難しいというのは分かりますけれども、日本国際貢献というのが問われている緊急事態でもありますので、是非工夫をしてやっていただきたい。  それで、この地図の中で私、今回、浜四津代表代行と一緒に行ってきたのは、テヘランから千キロ近く離れておりますイラク国境のホスラビというところに行きまして難民キャンプ、既存の難民キャンプと難民キャンプの予定地を見てきたわけですね。それで、こちらにその難民キャンプの予定地の写真を持ってきたわけですけれども、(図表掲示)ごらんのとおり、ここは約十万人近くの難民が最大で収容できると。今ちょうど水道のパイプラインをだあっと掘って準備をしておりまして、横にある穴は電柱の柱の穴で、手堀りで作業しているところを視察させていただいたわけでありますけれども、本当に、イランの内務省の高官が私たちに同行してくれたんですが、イランとイラクは敵対関係にあると、しかし人道的な観点からやむを得ない場合にはイラクの難民を受け入れるための準備をこうやってしているんだと。私たちこれ現場見てきましたから、もう間違いありません。  で、私、思うんですが、イランというのは米国政府によってまあある意味、悪の枢軸の中に入れられてしまった経緯もありまして、西側世界に友人が少ない。そういう中で日本は本当に友好国だと。今回、この私と浜四津議員と二人で、この正にイラク国境から三キロのところなんですね、バグダッドから百九十キロのところなんですけれども、ここまで政治家を行かせてくれたのは日本の政治家だけなんですね。ほかの国の政治家が行きたいといっても全部駄目だった。我々だけしか行けなかった。そういう意味においては、イランが非常に日本に対して友好的な立場を取っておりますし、また期待もしているということを外務大臣、それから総理にも御理解をいただいて、必要な支援を検討していただきたいというふうに思います。  最後の質問にもうなってしまうかと思いますけれども、総理イラク戦後をもう既ににらんで復旧・復興支援に対しても日本として全力を尽くす旨を表明しております。この復興支援については我が党もそういう主張をさせていただいておりますけれども、国連を軸としていくことが望ましいということは言うまでもないわけでありますけれども、日本としてどう主体的に関与していくかということが問われていくというふうに思います。  そこで、私、二つ提言がございますけれども、一つは、既にこの間の本会議で出ていましたけれども、アフガニスタン復興の際のように日本が中心となってイラク復興の国際会議を主催をしていくべきではないかというふうに思っております。  それからもう一つは、アフガニスタン復興には緒方貞子氏、それからスリランカの和平には明石康氏ということで、日本政府の代表として民間の有識者を任命をされているわけでありますけれども、私はこのイラク復興に関しても同様のポストに適任者を置いて、そして総理の直接のリーダーシップの下で復興支援を効果的に実施をしていくべきだと。今、日本は平和の定着、平和構築というものを国家戦略の一つとしてやろうとしている時代です。そういう中にあっては、私は総理関係省庁まとめ上げて直接指揮して復興をやっていくという体制を取ることが大事だと思うんですけれども、このことについての総理の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、先ほども申し上げましたとおり、イラク国民に対しての戦いではないんだと。今回の米英始め各国との戦闘行為が続けられておりますけれども、イラク国民が、戦争が終わった後、いかに自らの意思で自らの国づくりに励めるような環境を整えていくかと、そして、いい国に作り上げていくかについて日本としても努力していかなきゃいけない、また協力していかなきゃならないということを述べているわけでありまして、今、残念ながら、このイラクに対する戦闘につきましては国連安保理での一致した、結束した形が取られませんでしたけれども、この戦闘が終われば、イラク復興支援については私は国際協調体制が取れるように日本としても努力していかなきゃならないと思っておりますし、アメリカに対してもフランスに対してもこういう点について私は今後も政府一丸となって働き掛けていきたいと思っております。
  90. 遠山清彦

    遠山清彦君 以上で終わります。
  91. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で遠山清彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  92. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、筆坂秀世君の質疑を行います。筆坂秀世君。
  93. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 世界の多数の国々、人々が反対する中で、アメリカによるイラク攻撃が始まって五日目を迎えました。  世界がなぜイラク戦争反対するかと。最大の理由の一つは、やはり罪なき人々への犠牲が避けられないということにあると思います。アメリカは、罪のない人々が犠牲にならないよう最大限努力するというふうに言っています。しかし、本当にその保証はあるのかと。  実は、アフガン攻撃のときにも、アメリカは同様のことを言っていました。しかし、実際はどうだったか。  ニューハンプシャー大学のマーク・ヘラルド教授が克明な調査論文を発表しています。それによりますと、二〇〇一年十月から二〇〇二年の三月、半年間の間に三千人から三千四百人の一般住民が命を落としている。これは文字どおりの直接の攻撃、爆撃による死者です。けがをして入院して、その後亡くなった、こういう方たちは入っていません。私は、これは決して少なくない数だと。  なぜこれだけ一般住民の犠牲が発生したのか、総理はこの点についてどういうふうにお考えでしょうか。──アフガン。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アフガンに対して二千名以上の方々が現に負傷ないし死傷されているという大変痛ましい報告だと思いますが、私は、戦争というのはいかなる形であれ多くの人々に悲惨な結果をもたらすというものであり、だからこそ反戦運動なり戦争反対の声が世界的に強いんだと。また、日本としても二度と戦争を起こしてはいけないという形で現在まで努力してきたわけであります。そういう点から、いかなる戦闘におきましても、罪のない人々に対して攻撃なされないような配慮が当然必要だと思います。  同時に、現在の世界情勢を見ますと、テロ行為ほど残酷なものはないと思います。戦争と正に同じように残酷なものだと思っております。ニューヨークテロにおきましても、あるいはワシントンにおけるペンタゴンへのテロ攻撃におきましても、あるいはインドネシアのバリ島におけるテロにおきましても、全く罪のない人がもう三千人以上ですか、数千人以上の方が命を落としているわけであります。  こういう面からも、テロリストにもし危険な兵器が渡ったらどうなるかということは、もう日本にとっても人ごとではない状況を考えますと、今後、そのような不安を起こさないような、テロ発生を防止するような体制を取っていく必要があるし、また今回のイラクとの戦闘におきましても、できるだけ罪のない人々に攻撃を与えることのないように、死傷者が出ないような配慮が十分なされるべきだと思っております。
  95. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 テロによって罪なき人々が命を奪われる、これはもちろんあってはならないことです。私たちもテロは根絶しなければならないという立場に立っています。  しかし、だからといって、アメリカが行う戦争で罪なき人々の命を奪ってよいという理屈にこれは当然ならないということはもう総理も重々御承知のことであります。しかし、現実には一般市民が多数命を落としている。  私は、そこには二つの大きな理由があると思います。一つは、よくピンポイント攻撃だと、限定攻撃だということが言われます。しかし、現実には私はそれは不可能だと思うんです。現に、例えばアフガン攻撃では、アメリカ国防総省の最も甘い評価と言われているものでも、爆弾、ミサイルの一五%が標的を外れた、そして病院やあるいは学校あるいは民間住宅、ここに当たったということは、これは周知のとおりであります。今回も精密誘導兵器ということが言われますが、その代表としてトマホークミサイルがあります。このトマホークミサイルがイラクじゃなくてイランに四発着弾したということが言われている。あるいはイギリスの英軍機がアメリカのパトリオットミサイルに撃ち落とされる、こういう同士撃ちも起こっている。ですから、私は、ピンポイントなんということは実際にはあり得ないと、だから多数の被害者が出るんだと。  もう一つは、一般市民を巻き込む残虐兵器が使われていると。例えば、アフガンではクラスター爆弾が使用されました。クラスター爆弾というのは、一つの親爆弾から大体二百ぐらいの子爆弾に空中で飛散する、広範囲な住民に被害を与えると、こういうものであります。これが今回も使用されている。あるいは湾岸戦争では劣化ウラン弾が使われました。今回も国防総省は使うということを言っています。しかし、その結果どういうことが起こっているか。白血病だとか悪性腫瘍、あるいは体や顔の一部が変形する、最初から脳がない子供も出てくる、そういう先天的な障害を持つ子供が多数生まれています。あるいはアフガンではデージーカッターという、これは超大型爆弾です。大体直径五百五十メートル、この範囲を強い衝撃波あるいは熱風でその範囲にいる生物を殺傷する、こういうものが使われている。今度はアメリカはMOAB、モアブと呼ばれていますけれども、更に巨大な爆弾を使う可能性もあるというふうに指摘されています。  アフガンは山岳地帯です。しかし、イラクの場合には、例えばバグダッド、首都バグダッドには五百万の市民が暮らしています。もしこういうものが使われれば私はその被害というのはアフガンの比じゃないというふうに思います。だから、アメリカのフランクス中央軍司令官、どう言っているか、戦争というのは非戦闘員が死傷するものだと。これは開き直りであります。つまり、一般市民の犠牲を最小限に抑えるという保証はどこにもない。  よくイラク復興支援ということが言われるわけですが、人の命の復興ということはあり得ないわけですから、私は、ここに世界が今度の戦争反対する第一の理由があると、こう思います。  いま一つ世界が今回の戦争反対している。それは、国連憲章に基づく平和の秩序がこれによって壊されるんじゃないだろうか、ここに世界の大きな危惧があると思うんですね。  国連憲章は、第一次、第二次、二度の世界大戦の上に立って、前文でも、再びこういうことを起こしてはならないということを誓いつつ、戦争を違法なものとしてきました。その上で、武力行使ができるのを二つに限定してきました。一つは、どこかから、外国から攻撃を受けた場合に自衛権を行使するという場合、もう一つ安保理による決定があった場合、この二つにのみ限定をしてきました。  ところが、今回の戦争に当たって、ブッシュ大統領の演説を読んでみると、敵に攻撃されて対抗措置を取るのは自衛ではない、それは自殺行為だというふうに明言をして今度の軍事攻撃を開始しました。これは、ブッシュ演説に入っております。これは、紛れもない先制攻撃なんです。その論です。つまり、相手にやられる前に先にやるんだという立場ですからね。  総理は、こういう先制攻撃が現在の国連憲章の下で許されるというふうにお考えでしょうか。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、国連憲章における戦争が認められるという点については、正に御指摘のとおり、自衛のための戦争、それと国連決議による戦闘が認められておるというふうに理解しておりますし、今、ブッシュ大統領の演説を引用された際に、敵の攻撃を待ってからやるというのは自衛でなく自殺行為というんですか、その発言というのは、一昨年の九月十二日のニューヨークテロ、これが大きく影響していると思います。あのような形で、まず、攻撃を待ってからやるというようになった場合に、どのような多くの悲惨な状況、またたくさんの犠牲者を出すかということも念頭にあったんだと思いますが、いずれにしても、私は、国連において先制攻撃というのは認められていないというふうに解釈しております。
  97. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、総理は九・一一のテロのことをおっしゃいました。  総理が今回のイラク攻撃に当たって国会で報告をされましたが、その中で総理はこういうふうに述べておられます。一昨年九月十一日の同時多発テロ以来、国際社会テロリストが核物質や生物兵器化学兵器を入手した場合の恐怖を強く認識するようになったと。これはそのとおりだと思うんですね。問題は、だからイラク攻撃が許されるんだという見解に私はこれはつながっておると思うんですね。  私は、今さっき言ったこのブッシュ大統領の言葉と小泉総理が国会でなさった報告というのは同じ論理の上に立っておるんじゃないだろうかと。そして、少なくとも、小泉総理の発言はともかくとして、さっき私が読み上げたブッシュ大統領の演説、敵に攻撃されて対抗措置を取るのは自衛ではない、それは自殺行為だと、つまり、先に攻撃するんだというのは先制攻撃の論理そのものです。  総理の言われたように、国連憲章は先制攻撃を認めていません。そうしますと、ブッシュ大統領の発言というのは、国連憲章に違反する先制攻撃を明瞭に述べたということになるんじゃないでしょうか。  外務大臣いいです、総理とやっているんです。
  98. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、ブッシュ大統領の一連の発言は私も承知しておりますが、今回のアメリカの、またイギリス、オーストラリア等のイラクに対する武力行使は一連国連決議に基づくものであるということでありまして、決して先制攻撃というような考えではないと思っております。  また、私はさきの国会の報告におきまして、確かに、委員言われたように、一昨年九月十一日の同時多発テロ以来、国際社会は、テロリストが核物質や生物兵器化学兵器を入手した場合の恐怖を強く認識するようになりましたということを発言しております。こういう問題を、言わば大量破壊兵器の存在というものをうやむやに放置していけるような問題ではないのじゃないかと。我が国も、この大量破壊兵器テロリストの手に渡ったり、あるいは危険な独裁者が手にした場合にどのような危険に直面するのかということは今後ともやっぱり真剣に考えなきゃいかぬという点を申し上げたのでありまして、この現在の戦闘行為に対しましては、むしろイラク側が大量破壊兵器を廃棄しなさいと。  危険な化学兵器、毒ガス兵器、あるいは何十万人、何百万人を一どきに殺してしまうような恐ろしい生物兵器等、こういうものについてイラクが保有していない、廃棄したということを示すべきだということに対してこたえてこなかった、いわゆる一連決議を守ってこなかったというところに今回の戦闘行為の原因があるんではないかということを申し上げたわけでありまして、このアメリカの先制攻撃支持したわけではないということにつきましても、(発言する者あり)今言っているアメリカの先制攻撃じゃなくて、国連決議を遵守したものだと。国連憲章に合致したものであるということを日本としては考えているからこそ支持しているわけであります。
  99. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、思わずアメリカの先制攻撃というふうに総理おっしゃったんですが、私は、国連決議、もう何度も答弁聞きました。一四四一、六八七、六七八という話は伺いました。しかし、それではこれは無理があると思うんですよ。無理があるから、今度の安保理は割れちゃったわけですよ。だから、安保理の決定なしの、安保理の枠外の行動になったわけです。これは総理だってお認めになっているし、ブッシュ大統領も、安保理は言わば役に立たない、だからアメリカがやるんだということはおっしゃっているわけでしょう。  それで、一四四一、六八七、六七八というのは、これはロシアもあるいはフランスも賛成して作られたもんですよ。ですから、その解釈は当然各国が同じでなければならないわけで、アメリカだけが独断的に解釈できる権利はない。私は、アメリカのブッシュ大統領の本音はやっぱり先制攻撃なんですよ。それは、国連決議のこれは曲げています、演説で。しかし、ブッシュ大統領が一番強く言っていることは、先にやらなければ自殺行為になるんだということなんです。正に先制攻撃の論理なんです。  この立場というのは、アメリカは、例えば昨年九月の国家安全保障戦略でも、敵対的行動の機先を制し、あるいは阻止するために必要とあらば米国は先制的に行動するというふうに明確に述べています。さっきの議論聞いていますと、先制的な軍事行動じゃないんだ、先制的行動だけだというふうな外務大臣の答弁もありましたが、しかしそうじゃなくて、こういう国家安全保障戦略に基づいて、現に今イラクへの戦争が行われているわけです。単なる行動じゃないんですよ。これは軍事行動そのものなんです。  世界が一番心配しているのはそういうことなんです。だれだって、総理が言われるように、テロリストと核が結び付く、これは断ち切らなきゃならない、これはだれだってそう思っています。結び付いていいなんて思っている人はだれもいないでしょう、恐らく、テロリスト以外は。問題は、だからといってアメリカが、私は、代表して国連の枠外でやるんだ、そんな権利はアメリカには絶対ないということです。それは総理もお認めになりますでしょう。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、はっきり言っているように、これはアメリカの先制攻撃ではない、国連一連決議に基づいた、国連憲章に合致した行為だということを言っているんです。そういう点について共産党の皆さんとは見解が異なるかもしれませんが、私は、今回の戦闘行為というのは国連憲章に合致した行為であるというふうに理解しております。
  101. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今、共産党と意見が違うとおっしゃいましたが、世界じゅうと違うという声が上がっていますよ。私は、アメリカの先制攻撃戦略を知らない人はいないし、そして今度の戦争は、だからみんな危惧の声を上げているんですよ。  それで、この論理というのは、アメリカがこの国はテロ国家だ、ここは大量破壊兵器持っていると、何の証拠を示さなくたって、アメリカが認定すればこれはいつでも攻撃できるという論理なんですよ。しかも、今回、アメリカ国連安保理は役に立たないと行動したんですよ。つまり、国連の枠外での行動だということをアメリカ自身が認めているということなんです。  例えば、これはケネディ大統領の補佐官を務めたアーサー・シュレジンガー氏、こう言っていますね。この方は先制攻撃予防戦争と言っていますが、予防戦争とはアメリカ世界の裁判官と陪審員を兼務し、同時に死刑執行人になることを意味すると。これは全くそのとおりなんですよ。だって国連は役に、安保理は役に立たない、その枠外で行動するんだというわけですからね。  私は、小泉総理は、今度の戦争支持することによって、言わばこれまでの国際秩序、国連憲章に基づく、この秩序を根本から覆す、そういう世界に今足を踏み入れつつあるんだと思う。私は、ここは本当に真剣に考える必要があると思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、後で外務大臣に答弁させますけれども、私は、アメリカの今回の攻撃というのは、国連憲章に合致したものであるというふうに言っているんですよ。一連の、昨年の一四四一、国連決議、これはもうフランスも含めてすべての国連参加国がイラクに対して大量破壊兵器、しなさいと、大量破壊兵器を廃棄しなさいということについては一致して、見解を一にして、なおかつこれが最後の機会を与えるということを言っているわけですよ。そういうことを前提にして今まで協議してきたんですから、今のアメリカやイギリスやオーストラリアの戦闘行為に参加しているというのは、この国連憲章に合致しているものだということをはっきり言っているんです。決してアメリカの先制攻撃、勝手な戦争ではないということを理解しているからこそ日本アメリカの方針を理解し支持していると言っているんです。
  103. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それはアメリカの言い分だけなんですよ。同じ国連安保理で、常任理事国のフランスもロシアも中国もそんな解釈には立っていないでしょう。  だってね、国連決議が、それがどう解釈されるか、決めた国連安保理事国が決めるんですよ。アメリカが、一国が決められる、そんな決議はないんです。それをアメリカの一方的な言い分だけを総理はここでおっしゃっているだけなんです。  私は思い出したのは、かつて橋本総理が、あなた方は、戦後アメリカが行う軍事行動に反対したことがあるかという質問したときに、一度もないとおっしゃった。私は、今その最悪の事態に踏み込んでいる。これまでの比じゃないですよ。先制攻撃にまで日本は賛成する。国連憲章違反の無法な戦争にまで日本支持する。ここまで落ち込んだんだと。  私は、これは世界と平和に対する背信だということを申し上げて、質問を終わります。
  104. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 川口外務大臣、簡潔に。
  105. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 総理がおっしゃったことですので、支持総理がおっしゃったこと……(発言する者あり)
  106. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 静かに、お静かに願います。(発言する者あり)指名した、指名したんです。──いいですか。  以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  107. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
  108. 平野達男

    平野達男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野達男です。  政治にとっての決定的手段、これはある著名な社会学者が言ったんですが、それが武力行使であるというふうに言っています。したがいまして、その武力行使、慎重の上にも慎重を期してその行使をするかどうかを決めなければならない。自衛権の発動はまず別としまして、国際紛争解決する手段としての武力の行使、これにつきましては、ある特定の国あるいは同盟国にその判断を任せるのではなくて、世界が協調してその可否を決めるんだという精神でできたのが国際連合であって、国連を中心とした国際安全保障体制だというふうに理解しております。  総理は、この国連を中心とした国際安全保障体制の意義、これをどのように認識しておられますか、改めてお伺いいたします。総理にお伺いします。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、国際協調体制を取っていくことの重要性は十分認識しているつもりであります。  今までも、日本としては、国際の平和と安定の回復が我が国の安全と繁栄の基礎であるということ、そして、これを脅かす事態が生じた際には、国際社会が結束して対応すること、また、同盟国であるアメリカとの政策調整を十分に行うことを踏まえた上で我が国としての立場を決定しており、この考えに一貫して沿ってやってきたつもりであります。また、我が国がその時々の事態にどのような対応を取るかということにつきましても国際情勢等を十分勘案しなきゃならないと。  そのときに、必要である、日本の国家利益にかなうものであるという方向で決断をし、一つの道を選択してきたものでありまして、今回も私はその考え方の上に立って一貫したものであるというふうに考えております。
  110. 平野達男

    平野達男君 一貫しているかどうかは別としまして、今までのイラクのいろんな行動を見ますと、このまま放置しておけない、場合によったら武力を行使してでも武装解除しなければならないというアメリカの主張については、これはやっぱり理解できないわけではないと思います。  しかし、先ほど言いました武力の行使というのは、あくまでも国際が、世界が協調してその行使の可否を決めるという原則がある以上、この原則をやっぱり基本的には崩してはならない。一四四一とか八六七とか六八七とかいろんなことを言われていますけれども、先ほどの議論にもありますけれども、それは自己弁護として使えたとしても世界が認めているわけではないという事実は、これはどうしようもないと思います。  そして、今回の結果として、国連を中心として武力の行使の可否を決めるということが守れなかったということによる影響というのは、これはいろいろあると思うんですが、総理はこの影響をどのように認識されておりますか。これは総理にお答えお願いします。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のイラクに対する武力行使に関して、国連安保理において結束した行動を取れないのは残念だと思います。しかし、だからといって、日本国際協調の重要性を軽視したということにはならない。また、それであってはならないと。  今後、私は、一時的にこのイラクの問題に対しては国連安保理で結束した対応が取れない場合があったから、これから国連はもうその役割が終わったんだというふうには見ておりません。今後とも、イラク問題については、戦闘行為だけじゃありません、戦後の復興とかということを考えれば、私はこの復興支援につきましては国際協調を取れる可能性が十分あるし、日本としてはイラク復興につきましては国際協調体制が取れるように努力していきたいと思っております。
  112. 平野達男

    平野達男君 そういう希望的観測ではなくて、どういう影響があるかということはぎちっとやっぱり整理していく必要があると思います。どういうおそれがあるか。  これは、例えば、一国主義が台頭するんじゃないかとか、いろんなことが言われています。ただ、少なくとも、世界のある国が、今回はアメリカが自分の考え方武力行使を発動したというふうに理解している国があるわけです。そうしますと、この延長線上にあるのは、アメリカとその同盟国というブロック化、そうでない国との対立、そういったものを招くかもしれない。  それからもう一つ、今回は、あそこはイスラム圏の国ですから、もしアメリカが自分の考え方で入ったというふうに理解する国がアラブ諸国にあるとすれば、今回の話が出発点となりまして、イスラム教対キリスト教の話、宗教対立に飛び火するかもしれない。  こういう問題があるからこそ、総理が今回の場合に、日本支持をするという場合には物すごい苦渋の判断した、苦渋の判断をしたはずです、アメリカ大統領だけではなくて。なぜ苦渋の判断をしたかということをぎちっぎちっぎちっと説明して、それを説明した上で、こういうふうに支持を出しましたというなら分かるんですよ。まず、これが一つ。  それからもう一つは、これから、今戦争が始まっていますけれども、いずれ戦争が終わるでしょう。戦争が終わったときに、どういった方針で、何と何を日本はこういった方針で対応を立てていくか。  こういう方針を立てるときにも、今回の国連抜きの日本支持がこれを、この戦争終わった後に、あるいは現在戦争が進行していますけれども、その後にどういう影響があるかということをきちっとやはり説明すべきじゃないですか。  先ほどの総理の答弁では、何か今回はこんな、これは、世界国際協調体制は崩れない、国連も要するに機能低下しない、そんな要するに安易な見方ではこれ納得しないと思いますよ。  総理の今一番求められているのは、なぜ支持をしたかということと併せて、支持をするに当たってどういうことの問題をこう考えたけれども、こういうふうになるんだということを説明することじゃないですか、どうです。どうですか、総理
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは何回も説明しているんです。  まず、今回のイラク問題、これはイラクが十二年間以上にわたって一連国連決議、これ十分協力してこなかったことにあるんです。いわゆる大量破壊兵器を廃棄してこなかった。そのイラク国連決議に沿って、即時無条件、無制限に査察を受け入れて、大量破壊兵器持っていません、毒ガス等化学兵器ありません、炭疽菌等生物兵器、恐ろしい危険な兵器はありませんということをイラクが証明しなきゃいけなかった。それを十二年間以上にわたって証明していかなかったこと。  そして、もしこのような危険な恐ろしい兵器を、このような国際社会の一致結束した声へ耳を傾けないで、依然として協力していない。あの危険な独裁者が恐ろしい危険な兵器を持った場合、危険な独裁者がこういう危険な兵器を持った場合に、我々がどのような危険な状況に陥るかということは多くの人が心配していることなんです。  同時に、日本は、国際協調体制の重要性でありますが、日米同盟を重視してきたんです。戦後、敗戦後、日本が発展してきた基礎は、日本独自だけでは日本国民の安全は確保できない、日本が自らを守るための努力はしてこなければならない、適切な防衛力を整備していかなきゃならない。しかし、それは日本一国だけで日本国民の安全を確保できるかどうか分からない。だからこそ、アメリカ日米安保条約を結んで日米同盟関係、日米間の信頼関係を積み重ねて、万が一の場合は日本に対する攻撃アメリカへの攻撃とみなすという日米安保体制、であるからこそ日米同盟を重視しているんだと。日本攻撃したいという国は、アメリカとも戦わなきゃならない覚悟をしないと日本攻撃できないんですよ。これが、そういう悪い意図を持った国に対して大きな抑止力になっているんです。日本戦争を起こさせない、起こさない努力をしようということについて日米同盟関係は不可欠なんです。そういうことから、今回の私はアメリカの方針を支持しているわけでありまして、これは日本の国益にかなう。  同時に、日本は、アメリカやイギリスやオーストラリアが今回の戦闘行為に参加して武力行使をしております。しかし、日本は、アメリカとも違う、イギリスとも違う、オーストラリアと違う。いかに今回の戦闘行為が続こうとも、日本は一切武力行使はしません。戦闘行為にも参加しません。戦後、一日も早いこの戦闘行為が終わることを強く望んでおりますが、戦後は、今回の戦闘行為はイラク国民に対する戦闘行為じゃないんだ、イラク国民が、将来、自由で、独裁者の手から離れて、国民自身の判断によって国づくりに励むことができるような環境整備については日本としても責任ある対応を取っていきますというのが今まで言ってきた日本の一貫した方針であり、何回もこれについては説明しているんです。  これからも、様々な機会を活用して、私は、この日本の方針を説明して、多くの国民の理解と協力を得ていきたいと思っております。
  114. 平野達男

    平野達男君 今の総理の答弁は何回もお聞きしました。しかし、私の質問に対しては全然答えておりません。要するに、今の総理の答弁は、なぜ支持をしたかということだけ説明しているんです。そして、今私の質問は、国連中心主義という、国連の同意を得ないまま支持をしたことに対して、そしてまた戦争が始まったものに対してどういう影響が起こるかということを説明しているんです。  そして、総理の中では、総理の答弁では、諸外国と違うというのは、これは分かりました。しかし、日本の最大の問題というのは、今回のような事例に関して言うことは、やっぱり原理原則が徹底していないことではないかなというふうに思います。  例えば湾岸戦争のとき、今から十二年前です。国連は、このときは国連武力容認決議ありました。国論、このときに日本がどういう対応をすべきか、いろいろ議論がありましたけれども、結局お金の支援だけでした。それから、九・一一テロ事件、これはアメリカの自衛権の行使です。同盟国はこれで集団自衛権の行使しました。日本は集団自衛権の行使しないといっているんですが、後方支援武力行使ではないといって後方支援はやっている。兵たん、戦闘地域のない兵たんは大丈夫だといっているわけです。だけれども、第二次世界大戦日本は何で負けたかといったら、兵たんで物すごい苦しめられて、太平洋の諸島、インパールも全部そうですよね、その国が兵たんは武力行使でないといっている。それでこれは特別立法で認めた。  今回は、国連武力容認決議も出していない。だけれども支持をする。さあこれからどうしましょうか。それは援助はしましょう。みんな、これは個々の、ばらばらなんですよ。  総理の言うように、日本アメリカとも諸外国とも違います。違うんです。違うのはそのとおりなんです。だけれども、もう一つ日本は、そういった一連のことに対してどういう方針で立って臨むのか、どういった形で対応するのか、その原理原則が全くないんじゃないですか。ここが日本のいろいろな外交に臨む上での私は最大の問題点ではないかと思うんですが、総理、どのように思われますか。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今までの答弁ではっきり述べているつもりであります。  それは、今、平野議員が言った議論を展開しますと、日米安保条約を締結するときから議論はあったんです。アメリカに基地を提供すること自体、既にもう戦闘行為じゃないかと言う人もいるんですよ。これはもう見解の分かれるところであります。私は、あるいは戦闘行為が行われていないところに人道的な援助の物資を送っても、これは復興支援ということを考えると戦闘行為とは無縁ではないと言う人もいるぐらいであります。そういうことで言えば、これはもう見解の相違で、今まで何回も、日本の防衛、日本国民の安全を図る上で日米安保条約、是か非かの議論の中で何回も繰り返されてきた議論であります。自衛隊もさえ要らないと言う人がいるんです。日本の平和を守るためには非武装中立がいいんだと言う人もいるわけであります。  私は、そういう憲法の九条を踏まえ、また前文を踏まえ、それと現実の状況を踏まえながら、日本国民の安全をいかに図るか。いろんな政策を進める上においても、日本国民の安全が図られない限り政策は推進できないということから考えて、私は、今回の問題におきましても、日米同盟というものを重視すると同時に、国際協調体制、今後、戦後の復興支援については国際協調体制が重要であるということもよくわきまえております。  同時に、日本は平和憲法を持っているから金だけでいいんだよということは済まないと思います。戦闘行為には参加しませんけれども、やっぱり汗をかかなきゃいけないだろうと。戦闘行為ではない、武力行使ではない人的な貢献、血は流さないけれども汗を流しますよということで、どういう汗の流し方があるか、どういう人的支援があるか、国際社会経済大国としてどのような経済支援あるかということをやっぱり考えるのが日本としての立場ではないかと私は思っております。
  116. 平野達男

    平野達男君 各論としてはよく分かります。しかし、私が先ほど言っているように、ここは意見の食い違いという形で擦れ違いになるかもしれませんが、日本外交には一本筋が通っていないというふうに思います。  私どもは、何としてもやはり、冒頭申しましたけれども、やはり武力の行使というのは、武力の行使というのは、ある特定の国あるいは特定の集団が、その場その場で判断をする形じゃない、不完全であっても、理想主義と言われようが、国連の中でそれに判断をゆだねる、そういう枠組みを設定しないと、これが将来、先ほど言いましたように、一国主義に走るとか、また、経済のブロック化、世界のブロック化につながりかねないという懸念を強く持っています。  それで、それからもう一つ日米同盟を盛んに言われましたけれども、私らは、私も含めまして日米同盟は本当に重要だと考えています。これなくして日本の安全はないと思っています。そして、しかも、ただし、その日米同盟の第一条には国連機能強化がありまして、これはずっと言っているんですけれども、日米同盟の強化と国連の強化というのはセットなんです。補完されているんです。ですから、どっちかが欠けても困る。  その中で、やはり私どもはこの国連を中心とした国際的な安全保障体制の構築、これをずっと主張してきましたし、これを最後に強く主張しまして、私の質問を終わらせていただきますが、総理、最後にちょっとこの国連中心主義につきましてもう一度御答弁いただきまして、私の質問を終わります。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日米同盟国際協調の重要性を両立できるように今までも努力してきました。これからも努力してまいります。
  118. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  119. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  120. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  これは湾岸戦争での被害の子供で、無脳症になった赤ん坊や、三%、いわゆる白血病や、こういう子供たちが生まれています。(図表掲示)長崎の原爆記念館で見る無脳症の赤ん坊の写真と全く一緒です。  現在、今もイラク戦争が行われ、避難民が三十万から五十万出ているという報道もあります。先ほど総理は、イラク国民に対する攻撃ではないとおっしゃったけれども、現に、例えば死ぬ人だけではありません。イラクのこの湾岸戦争のときは生まれていなかった子供たちに被害が現在起きているという、そんな状況があります。  それから、今日の総理の答弁は非常に支離滅裂です。アメリカは先制、アメリカ武力行使は先制攻撃ではないとおっしゃいました。しかし、アメリカは先制攻撃だと言っているわけです。脅威だからこちらがやるのだというふうに言っています。その意味でも、総理が、アメリカは先制攻撃ではないと言った理由が分かりません。  それから、国連決議の点でも説明が不明確です。国会の答弁では、繰り返し、一四四一では自動執行性がない、一四四一決議では武力行使に隠された引き金も自動性も含まれていないということを福田官房長官は、去年十一月十一日、答弁をしています。政府の答弁も全く一緒です。  六八七決議は、正式な停戦が発効することを宣言する、イラクが本決議の諸条項を受諾すれば正式な停戦が発効することを宣言。これを根拠にやるとしたら、ずっと戦争状態が続いていたということになるんですか。どう考えても、この一四四一、六六〇、六八七を根拠に決議があると言うことはできません。だからこそ、総理はずっと一貫をして、決議があることが望ましい、先週、その前に、党首、幹事長が呼ばれたときに、今申し上げる段階ではないとおっしゃったんじゃないですか。決議があるんだったら、決議がありますと言えばいいじゃないですか。決議がないからこそ、決議があることが望ましい。今、国連決議なくして武力行使をすることに賛成か反対かという質問を何度しても、総理総理官邸で、今そのことを申し上げる段階ではないと言っていたんではないですか。  それから、大量破壊兵器について、先日、本当にあるのか、疑惑だけでできないという質問をしました。外務大臣は、VXガスが一万トンあるとおっしゃり、いやこれは、後で議事録の作成の段階で、二・四トンの間違いでしたと訂正をされました。一万トンあるという問題と二・四というのはもう段違いです。大量破壊兵器の把握に関して、一万トンなのか、二・四トンなのかというところのこの点について、大量破壊兵器のあるという問題についてどのような資料を持っているのか、明らかにしていただきたいと思います。  日米同盟が重要だというその理屈に関してですが、アメリカが黒と言えば黒、アメリカが白と言えば白なんですか。アメリカの今回の武力行使は国連憲章違反、これは戦争犯罪です。そうすると、アメリカ支持と言う総理はこの戦争犯罪の共犯になってしまう。それは日本国憲法に合致しないと考えますが、いかがですか。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その二・四トンがあるかどうかというのは後ほど外務大臣から答弁させますが、このアメリカ決議に関しまして望ましいと……
  122. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国連
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連。望ましいと言ったのは、一連決議があって、そして最後の機会を与えるといって、なおかつその後の四か月間にわたる議論で、ブリクス委員長イラクは十分な協力をしていないと。それはフランスも認めているんですよ。十分な協力を認めていない。こういう一連議論の経過を経て今回の戦闘に入ってきたわけでありますので、望ましい一致した見解に至らなかったことは残念でありますが、ブリクス委員長報告しているように、イラクが十分協力していないということについては一致した見解だということを申し上げたいと思います。
  124. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それぞれの数字は、ブリクス委員長が二十九の項目ということで疑念を出した紙に書いてある数字ですが、私は、炭疽菌が一万リットルあるんですね、それからVXガスが二・四トンで、資料を見ながら申し上げていたわけではないので、とっさに混同したので直させていただいたということですが、二・四トンも非常に大きな被害を与える数字です。
  125. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ブリクス委員長は査察の継続を言い、それからアナン事務総長はあともう少し忍耐することができたらイラクは平和的に武装解除できたかもしれない、国連憲章違反であると言いました。日本国憲法下にある中で、戦争を、に支持するということを言った日本政府の態度は本当に糾弾されなければならないと、おかしいというふうに思います。  以上、質問を終わります。
  126. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて外交経済に関する集中審議は終了いたしました。  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後二時十九分開会
  127. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十五年度総予算三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。郡司彰君。
  128. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党新緑風会の郡司でございます。  予算の審議も最後に近くなってきたということでございまして、イラクの問題も大変重要なんでありますけれども、今日のところは、関連の高橋議員にそちらを譲りまして、それ以外のところについて質問をさせていただきたいと思います。  ちょっと通告と変わりますけれども、法制局長官、お時間の都合があるそうなんで、まず最初にお尋ねをしたいと思いますが、茨城県の日立港に北朝鮮の船が座礁をいたしました。その後、おいでになっておりますけれども、総務省あるいは国土交通省、外務省等々ともいろんなことで話をしてまいりましたが、県としては、今回の事例にかんがみて、今後このようなことがないようにということでもって、これまで国内ではなかったような条例を制定をする、そして四月の一日から施行をしようということになっているわけでありまして、そのことにつきまして各省庁とはそれぞれ協議をしてきたわけでありますが、法制局としてどのような御見解をお持ちか、お聞かせをいただければと思います。
  129. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいまの御質問でございますが、私も、最近できました茨城県の港湾条例の改正案をようやく入手いたしまして、今勉強しているところでございますが、港湾法の十二条一項四号の二あるいは第五号は、港湾管理者が設置管理する水域施設あるいは係留施設に関して必要な規制を行うことを認めているところでございまして、地方公共団体が港湾管理者である場合に、その条例制定権に基づきまして、今述べました港湾法上の必要な規制の内容を条例で定めること、このことは、港湾の適正な管理及び運営を図る上で必要かつ合理的なものと考えられる限り、当該条例の内容が国の法令に違反するということにはならないと考えます。  そこで、御質問の、入港しようとする船舶が構造上安全でないとか、あるいは港湾を損傷、汚染する場合の損害賠償能力を欠いているということを理由に入港を拒否できるかどうかにつきましては、一般論として申し上げますと、事柄の性質としては、損害賠償の能力の問題も含めまして港湾の適正な管理運営上の支障という問題の範囲に属する事柄であると考えてよろしいものと思っております。
  130. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございました。また改めて長官の答弁を精査をしながら、尋ねることがあればしたいと思います。お時間の都合で、どうぞ退席なさってくださいませ。  財務大臣の方にお尋ねをしたいと思いますが、国の予算八十一兆八千億、一般会計ということで審議をしてまいりましたけれども、予算の場合には特に特別会計というものと合わせてということになろうかと思っておりますが、なかなか特別会計の部分については国民の方に理解をされづらいといいますか、数字の面でも伝わっていないところがあるかと思っております。  一般会計そして特別会計、純計としてはどのような数字になりますでしょうか。
  131. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 今、先生純計と言われましたので、重複を避けろと、こういう趣旨だと思います。  十五年度の予算で提出させていただいておりますのは、純計で一般会計そして特別会計を足したものは、御承知のとおり二百四十四兆九千六百五十四億円というのが歳入でございます。歳出の方は、二百三十二兆三千四百五十億円ということになっております。
  132. 郡司彰

    ○郡司彰君 これ大変大きな数字になるわけでございまして、これは私どもからするとおおよそ六割ぐらいが特別会計の方に行ってしまう、一般的に言うとトンネル会計というような感じがするんですが、そのとおりになりましょうか、大臣
  133. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おっしゃるとおり、ほとんどトンネル会計になっているやつが多いです。
  134. 郡司彰

    ○郡司彰君 平成九年だったと思いますが、財政の構造改革を推進しようというようなことの法律が定められましたけれども、内容的には凍結というようなことになっているかと思いますね。総理も、構造改革なくして成長なしという話をよくされますけれども、特別会計についての構造改革ということがなかなか見えてまいりませんが、大臣、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  135. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだ、これ考え方を今整理しているところでございまして、先月でございましたか、財政審の方に私の方から委託いたしまして、いつ、特別会計をもう少し分かりやすくしてほしいという国民の要望にこたえるのにはどういう具合に編成したらいいか。できるだけ特別会計をなくしていきたい、もうなくせるものはなくしていきたい。その場合、移管の体制をどのように取ったらいいかということ等を諮問いたしまして、できるだけ早い機会に、分科会がございますので、その中の小委員会みたいなのを作ってやっていくということで、お話聞いております。  私の方の一つの希望として言っておりますのは、区分の仕方、全部で三十二ございますので、全部一遍にできませんので、取りあえず、特別財源を持っておって、その財源を、元にあるからこそ特別会計を作っておるというものと、ただ行政整理上、整理しなきゃならぬ、しやすいので何というか特別会計を組んでおるところと、いろんな種類ございまして、種類ごとに分けてもらって、私は、一番問題は、財源を持っておって特別会計組んでいるのがございますね。その部分が一番分かりやすいものだから、これの整理。それじゃ方向はどうかといったら、企業会計に持っていってほしいと。そこへ移すのにどうしたらいいのかということ。そこをまず企業会計にすれば、大体ほかの方のも準じてやっていけるんではないかと思っておりまして、そういうことを要請しておるというところです。
  136. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、大臣から、基本的には減らしていく、なくしていこうということでありますので、例えば、今、十三条の関係も出てくると思うんですけれども、一般会計からの繰入れが非常に多いというものはその際の優先というように、当然入ってくるというような今のお答えでよろしいでしょうか。
  137. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 国からの繰入れというよりも、何といいましょうか、仕組みが国と地方とそれから民間と組んでやっているという特別会計なんかがございますね。そういう何か非常に分かりにくいことになっていますので、そういうようなものの整理も併せて、取りあえず今、財政審に私お願いしておるのは、特別会計の種目別、それから組立て率、組立ての具合ですね、それによって分けてもらうこととして、それからどのようにやっていくかという、具体的にはまだこれから検討したいと思っております。
  138. 郡司彰

    ○郡司彰君 委員長、私の方からの提案でございますが、今言われたような形で、財源の問題、質の問題等々あるかと思いますが、ただこの設置要件からすると、国土交通省関係の道路整備特別会計、これはもう約五九・一%ですから、約六割ですね。それから、治水特別会計、これはもう七二%、港湾整備特別会計、これは七三%が一般会計からの繰入れになっているわけですね。  こういうものについては、早々に考え方として決めていただいても結構なのではないかというふうに思いますけれども、大臣の見解はいかがでしょう。
  139. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 御承知のとおり、特別会計の趣旨というのは、特定の事業を行っていくのに際して、負担とか受益の割合、収支の割合、そういうものを事業ですから見ていこうという趣旨でございますので、その収入部分について一般会計からかなりたくさん来ているということだけでは、なかなか今言った事業をはっきり見ようという目的からいいますと、必ずしも一般会計からお金が来ているからもういいじゃないかというわけにはいかないということでございます。  あくまでもその事業をきちっと見る必要があるかどうかという趣旨で見ていただかなければならないと思っておりますが、いずれにいたしましても、すべてのものにつきまして、大臣が答弁されましたとおり、財政審の小委員会等で検討していくことになっているわけでございます。
  140. 郡司彰

    ○郡司彰君 言われておることも分かるわけであります。  ただ、私、この一つ一つそれぞれ時間を掛けてやれればいいなと思ったんですが、そうもまいりませんで、幾つかのことについてまたお聞きをしたいと思いますけれども、この貿易再保険特別会計でありますけれども、これは今の行革、構造改革というような観点からすると、独立行政法人の日本貿易保険ができ上がっております。それまでの特別会計、これは再保険特別会計というふうになりましたけれども、改革を行ったらば二つになっているというのは、これはよく分かりませんので、この辺はよく国民に理解ができるような説明があってもよろしいんではないかなと。はっきり言ってどちらか一方は必要なくても十分やっていけるんではないかなというような思いがありますけれども、いかがでしょうか。
  141. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 経済産業大臣が来ておりませんので、私が代わってお答えさせていただきたいと思いますけれども、御承知のとおり、とにかく官から民へというような流れの中で、あるいは事業というものがあれば、それは民間的なものだったらそれでいこうという流れの中で、出せるものを外へ出していくと、アウトソーシングしていくということの中で、今言いました独立行政法人という考え方ができたわけでございます。  しかし、ここは今、実施部門、事業部門、サービスを良くするとかそういう意味での事業を良くしていこうという趣旨でそこを出したわけでございまして、じゃ全部出せるかといいますと、御承知のとおり、保険でございますので、国が信用を与えている等々のことがありまして、やはり企画部門等は国に残しておくべきではないかということで残ったという形でございますので、一つが二つになったのではなくて、そこから引っ張り出して外へ出したところ、出したところを見ていただいて、それが非常によく動いているかどうかというのを見ていただけたらと思います。
  142. 郡司彰

    ○郡司彰君 経産省をお呼びをしたのでなくて財務省にお聞きをしておりますのは、要するに、財務省から見て、財政の在り方として、全体その他特別会計等の関係がどうなんだということで一つ一つを聞きますと、それはもう必要べからざるものであるから存在をしているんだ、組織があるんだということにこれはなるわけでありまして、そこのところをあえて経産省でなくて財務省に聞いているのはそういうふうなことでございます。  それから、例えば振り返ってみると、必要でないものについてはもうどんどんなくしていこうという大臣の話がありながら、六十年には、これまで一つもなかった法務省にも特別会計ができ上がってくるとか、五年前になりましょうか、林野特会が大変三兆円という赤字を抱えて、これを一般会計の方に戻していこうという議論の中で、とにかく一兆円だけは残して、特別会計残しておきたいんだという議論がありました。  私ども、何でそういうふうなことを言うのかよく分からないんでありますけれども、特別会計というのは所管する省庁にとってそれほどいいものなんでしょうか、ちょっと。
  143. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 制度論からいいますと、先ほども申し上げましたとおり、事業というものを実施するというものに着目して、特別会計の方が非常に分かりやすい、意味があるというときにやるということでございますので、それぞれの所管官庁がまず第一義的にはそのことについて考えるべきだと思いますが、今のこの大きな行革の流れの中にあって、やはり原点に返ってすべて見直すべきときに来ておりますので、いったんはすべて見直して、本当に必要なものだけ残しておこうというのが財務省の考え方でございます。
  144. 郡司彰

    ○郡司彰君 極めて優等生の答弁だろうというふうに思うんですね。実際問題としては、同じところに二つあれば、文具用品から何からコピー機から何からもうその後も別々に使えるとか、そういうようなことまで含めていろいろ利便性があるんだと思うんですね。  ただ、私の方からすると、一般財政大変厳しい折でございますから、一番のそのメリットというのは、足りなければ一般会計からもらう、剰余金が出ればそれはその会計の中に取っておけるということだと思うんですね。こういう状態、今この一般会計の状態の中でこういうことがそのまま続けていてよろしいというふうにお考え、これは大臣にちょっとお聞きしたいんです。
  145. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) であるからここは改革したいということでございまして、やっぱりこれは国の予算が単年度で組んでいますね。ところが、特別会計は単年度以外に継続事業としてやっていける仕組みができる。そこに融通性が非常に、特別会計の方がアローアンスが広いという、そういうこと等も関係しておると思うんです。  それであるだけに、何でこれは特別会計を組まなきゃならないのかという原因別ですね、特別財源を使っているからとか、あるいは特別の行政の給付と負担の関係を見直すんだとか、あるいは保険の関係やっているんだとか、そういう特別会計を組み立てます、創設するときの因縁に戻って今勉強してくれということは先ほど私言いました。そこを今、財政審にお願いして、それでなたを振ってもらおうと思っておるんですけれども、それで御理解いただきたいと思います。
  146. 郡司彰

    ○郡司彰君 財務大臣、御提案でございますが、全部その剰余金を入れろということになるとまたいろいろ難しいのかもしれません。例えば、剰余金のうち半分とか一定の割合は一般会計に繰り入れろと、こういうことはどうでしょうか、一足飛びにいかなくても。
  147. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは程度の問題で、そこがなかなかけじめが付きにくい点もあろうと思いますけれども、一度研究させてもらって、これは財務省だけで決定できませんで、各省と関係しておりますので、非常に緊密な関係がございますので、十分相談して、できるだけ国民が分かりやすくするという意味において努力してまいります。
  148. 郡司彰

    ○郡司彰君 正直言って、私は各省と相談をすると一つもうまくいかない、前に進まないんではないかということで、今日はあえて各省の方ではなくて財務省とだけお話をさせていただいております。  そういう中で、しかしながら、まだ現行の中で透明性でありますとか、あるいは企業的な感覚を入れなくてはいけないというふうなことについてもやっていかなければいけないと思うんですが、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
  149. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 透明性ということにも、大変大事でございまして、力点を置きまして、今年の六月までには企業会計原則等を頭に入れた特別なその表をきちっと作成できるようにしていきたいというふうに財務諸表の改善を図っているところでございます。
  150. 郡司彰

    ○郡司彰君 私などは専門的な目がないもんですから、素直に読みますと、例えば、目に付きましたのがこの国債整理基金特別会計、大変大きな額を扱うようなことになりますし、そういう意味では、何というんですか、利益ということになりましょうか、そういうものも出てくるわけですね。しかし、この「参考」というようなことの表示がありまして、この参考とはどういうことだというふうなことでいろいろお聞きをしましたらば、五十四年までは載っていなかったのを参考として載せた。これ、今の時代からいうと、情報公開だけではなくて説明責任のことからも、こういうものについてはもうすべて参考資料ではなくて出せる限りの損益計算書とか貸借対照表、出したらいいと思うんですが、いかがでしょうか。
  151. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 国債整理基金は、御承知のとおり、特定の事業ではございませんで、お金が流れてきてこちらへ出るという、そういうフローでございますので、そこについては今明らかにしているところでございますが、じゃ、どのくらい残高が残っているのかということになりますと、これストックでございますので、それにつきましては必ず記者会見等、つまり外へのレクチャーの、レクのときに資料を作成させていただきまして公表しているところでございます。
  152. 郡司彰

    ○郡司彰君 記者会見のときにレクの資料として出しているというふうなことになりますと、私どもからすると、いただいた資料の中でということにはならないわけでありまして、なぜこのようなものが、もう五十四年ですから二十五年ぐらい前からは参考が出せる、今になってまだなおかつそれほどのものがなぜ出せないのか。出せない理由はないと思うんですが、どうして出せませんでしょうか。
  153. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 確かに、おっしゃるとおりに、この一覧表としては出てこないものですから、便宜上、特別にお作りして出しているわけでございまして、それぞれ予算書等をめくってまいりますと、フロー、残高、それはそこへ出てくるわけでございますので、いわゆるプロが見れば分かるわけでございますが、一般国民の利便性を考えまして、また分かりやすさ等を考えて、あえて一覧表をそこから抜き出して作らせていただいたということでございます。
  154. 郡司彰

    ○郡司彰君 よく分かりません。  これは五十二、三年のころに、大分、公明党の議員の方が質問を重ねる中で、ようやく参考資料だけ出た。しかし、それからもう二十五年以上たって、これは情報公開だけでなくてもう説明責任という時代に入っている中で、これは私、やっぱり納得できませんけれども。  もう一度、こんなもの出せるということであれば出していただくことに対して、何か不都合でもなければ出すということに御検討いただけませんか。
  155. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 先生御承知で質問されているかと思いますけれども、予算書の中の参考資料に一応あることはあるわけでございます。それでもって見ていただくということに今はなっているわけでございます。
  156. 郡司彰

    ○郡司彰君 時間がもったいないですから、またこの後、一つ一つ特別会計のそれぞれについてもまた議論をする機会を得たいというふうに思っております。  坂口大臣においでをいただいておりまして、その前に、財務省の方から国債の問題で、三十兆、三十六兆、公約違反ではないかなどという意見がありますけれども、私、地元に入っていろんな方と話をしますと、国債というのはそういう数字なんですかという話をしたとき、いや、そうじゃなくて、借換えとか財投とかまだほかにもあるんですよという話をいたします。実際、今年の一年間で、そういう意味での国債というのは発行額はお幾らになりますでしょうか。
  157. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) 国債発行総額の内訳でよろしゅうございますか。  その内訳は、新規財源は御承知のように三十六兆四千四百五十億円、うち建設国債が六兆四千二百億円、特例国債が三十兆二百五十億円でございます。借換債は七十四兆九千六百七十八億円、財政融資特会債は三十兆百億円ということになっているわけでございます。
  158. 郡司彰

    ○郡司彰君 総計額。
  159. 小林興起

    ○副大臣(小林興起君) はい。総額は、平成十五年度百四十一兆四千二百二十八億円ということでございます。
  160. 郡司彰

    ○郡司彰君 どういうふうに理解をされるかということにもよるんでしょうけれども、新規の財源債としては三十六兆だけれども、今年全体で見れば百四十一兆余の国債という形で発行されるというふうになるんだと思いますね。  そういうことからすると、まあ三十兆超えても大したことはないというのもうなずけるということにもなるわけでございますが、ただ問題は、この国債は六十年間で全部償還をすることになるわけですね。これ、六十年たちますと二〇六三年でございます。大臣は百三十何歳ぐらいにおなりだと思いますけれども、そのときの所得税を払う人口、二〇六三年というのはどういう日本の社会になっているか、お答えいただけますか。
  161. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 二〇六三年になりますと、現在、総人口が一億二千七百万人でございますが、二〇六三年は八千九百万人、現在よりも三百八十万人減る予定になっております。三千八百万。  それから、十五歳から六十四歳までのいわゆる生産年齢人口は、現在、八千六百万人でございますが、二〇六三年には四千八百万人、これまた三千八百万人減りまして、今六七%でありましたものが五四%になると、こういうことでございます。
  162. 郡司彰

    ○郡司彰君 いろんな推計がありまして、例えば五〇年以降はほとんど参考ということになるんだと思いますが、ちょうど私の思いと同じような数字を出しているのが「日本の将来推計人口」、人口問題研究所で出されている中位推計で、二十歳から五十九歳、今でいう働く年齢のところに該当するので言うと三千八百万、下位推計でいくと大体三千百万ぐらいと、そういうような日本の人口の構成になってまいります。  そこで、坂口大臣にお尋ねをしたいと思いますが、来年は年金財政、財政の再計算の年になっております。これは、三分の一から二分の一へという方針は決まっているかと思いますが、その財源についてはどのようにお手当てする考えでしょう。
  163. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御指摘いただきましたとおり、来年は年金の改正を行わさせていただかなければなりません。昨年末に試案を発表させていただきまして、今年一年間、皆さん方に御議論をいただいて、そして来年の国会で御審議をお願いをしたいというふうに思っております。  その基礎になる問題でございますが、やはり基礎年金の二分の一を、現在の三分の一を二分の一にするという前提の下に我々も議論をいたしております。しかし、それは恒久的に、恒久性のある財源が伴わないとこれはいけないわけでございまして、これは税制改正にも大きく絡む話であるというふうに理解をいたしておるところでございます。  そうした全体の議論をしていただきながら、どういう年金改正を行うか、そしてそれに対して額がどれだけになるかということを決定をし、税制上もお考えをいただくということになるのではないかというふうに思っております。
  164. 郡司彰

    ○郡司彰君 税制上もお考えをいただくということでありますから、財務大臣の方にお尋ねをしたいと思いますが、先ほど言いましたような人口の流れでいきますと、これは早晩、所得税を払う人たちというのは数が減ってくる、経済状況が今のままかどうかということは別にしましても、相当厳しくなってくるわけですね。この所得税がこういう状態に先が見込めるという中で、来年の財政再計算の財源についてお答えいただきたいと思います。
  165. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 来年の分でよろしいんですか。
  166. 郡司彰

    ○郡司彰君 取りあえず、はい。
  167. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 来年だけの。  これは私は、医療だけにつきまして、当然増がやっぱり一兆円ちょっと出てくるだろうと、社会保障負担ですね、社会保障負担、出てくると思っております。この分につきましては、一つはあれの、一般歳出の予算を削るということをいたしました。十五年度につきましては、もう非常に特殊な例といたしまして患者負担と保険料を上げさせてもらってカバーいたしました。私は、これは毎年このギャップが拡大していくことを非常に心配しておりまして、そのためには、医療制度をやっぱり制度としてでも、診療報酬制度そのものもひっくるめて医療制度全体を考え直さなきゃならない時期に来ておるのではないかと思っております。  それと、やっぱり財源の問題についてでございますけれども、三者一両損という原則を崩してしまったら保険制度そのものも崩壊してしまうと思っておりますので、それを前提とした中で見直しをやっぱり果敢にやっていただくことが必要だろうと思っております。
  168. 郡司彰

    ○郡司彰君 重ねて長期的な考え方をお聞きをしたいと思いますが、これは当然、消費税なり直間比率の問題とか出てくると思いますが、いかがでしょうか。
  169. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、隣に厚生大臣おられて、私から言うのもこれおこがましいことでもあるし、所管外でもございますけれども、私は、やはり保険の仕組みといいましょうか、これを変えていかなきゃならないんじゃないかと思っております。  一つは、私たち厚生省と相談しておりますので、保険者が、保険者がそれぞれで、単位が非常に小さいのが数がたくさんあるということが、これが非常にロスも多いし、保険行政自体が強力に遂行されていかない一つ原因であると。ですから、保険者の体制というものを一つ考えなきゃいけないんじゃないかと。それから、医療がこれだけ進んでまいりましたら、当然、医療の支払報酬ですね、単純に考えられないと思っております。それから、高齢者が、こうなってまいりましたら、高齢者の医療というものを、私たちは七十五歳を一つの区切りにして高齢者と健常者と分けていたと思うんですが、その制度はまた独立したもの、これは私の考えでございますから全然違いますけれども、そういうものを考えないと、これからもう、今後やっていったんでは、いろんな保険のいわゆるおこぼれをいただいて高齢者医療を賄っていくということはちょっと難しいように思っておりまして、そういう、見ましたら、保険制度そのものもやっぱり変えて、システムを変えていかなきゃいけないんじゃないかと、そんな感じをしております。
  170. 郡司彰

    ○郡司彰君 坂口大臣の方で何か加えることございますでしょうか。
  171. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 社会保障全体を考えましたときに、年金、医療、介護、雇用とあるわけでございますが、それを総論としてトータルでやはり考えていかないといけないというふうに思っております。それらをいかに連携をして考えていくかということが今後大事になってくるというふうに思っておりますが、その中で、今、医療の問題につきましては財務大臣から御答弁をいただきましたが、医療は医療、年金は年金、別々にやはり切り離して考えていくことはこれからはできない、やはり連携をしてどうしていくかということが大枠の問題としては大事だというふうに思っております。  これから人口も二〇六三年になりますと減っていきますが、そのころになりますと、年金にしましても医療にしましても、人口が減るということはかなり必要な部分も減る部分もございますから、支える側も減りますけれども、もらう人の側も減るということもそのうち起こってくるだろうというふうに思っています。一番、二〇五〇年から二〇六〇年ぐらいのところが一番ピークで、一番受ける人が多い一番厳しいときだろうというふうに思っている次第でございます。
  172. 郡司彰

    ○郡司彰君 坂口大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。  次に、公益法人についてお尋ねをしたいと思いますが、財団法人日本こんにゃく協会設立の経緯、目的、事業などについてお答えください。
  173. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 財団法人の日本こんにゃく協会でございます。昭和三十八年に設立をされました財団でございます。コンニャク産業界を構成いたします三団体、すなわち生産者、それから原料の加工業者、これは粉屋さんと呼ばれていますけれども、原料加工業者、それからコンニャク製造業者、三者によって拠出をされました団体で、目的はコンニャク産業全体の振興と消費者へのコンニャク製品の供給の安定に資するということを目的としております。  コンニャク、元々IQ、輸入割当て物品でございまして、その時代は割当てを受けていたわけでございますけれども、関税化をされまして、現在の主要な事業は、コンニャクの消費拡大、需給調整ということになっているところでございます。
  174. 郡司彰

    ○郡司彰君 公益法人に対しまして、平成八年九月二十日、閣議決定がなされておりますけれども、その内容についてお知らせください。
  175. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 平成八年九月二十日に閣議決定をされております公益法人の設立許可及び指導監督基準、この中、いろいろな指針が規定されておりますけれども、その中に財務及び会計という指針がございまして、基本財産の管理運用といいますのは、固定資産としての常識的な運用益が得られ、又は利用価値が生ずる方法で行うこととされております。  なお、この基準の運用指針におきまして、株式でございますとか株式の投資信託、それから外貨建ての債券、こういう価値の変動が著しい財産で管理運用することは原則として適当ではないというふうにされているところでございます。
  176. 郡司彰

    ○郡司彰君 この協会でそれに違反するようなことがございましたですか。
  177. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この財団法人日本こんにゃく協会でございます。私どもが現時点で承知しておりますのは、国内外の株式でございますとか外貨建ての債券で基本財産の過半を運用していたということが判明をいたしました。
  178. 郡司彰

    ○郡司彰君 基本財産のうちの大部分とまではいきませんが、かなりの部分がそのように使われていたということでありますが、これは農水省はこの事実、いつごろから把握をしておりましたでしょうか。それから、把握をした後、どのような指導をなされておりました。
  179. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私ども、この事実を把握いたしましたのが平成十三年の七月、この協会の運営審議会それから理事会で、外国株式への投資信託、これは平成八年六月に購入したトルコの会社への株式投資でございました。その評価損という問題と、それから責任問題が取り上げられまして、そこで私どもは把握をいたしました。  そして、現在、その運営の改善ということを指導をしているところでございます。
  180. 郡司彰

    ○郡司彰君 余り細かいところまでございましたらば委員会の中でまた改めて質問をさせていただきますが、BSEのときも農薬の違反のときも、ほかからいろいろ指摘をされるとそういうことがあったなというようなことが多いわけでありまして、そういうものはできるだけ適宜な形でもって明らかにする中で、国民からの不審を抱かないようなそういう体質に改めていただきたいというのが私どもの思いでございますが、農水省の中で、さきの構造改善局のことも踏まえまして、そういうことについての取組がなされていると思いますが、今までの取組状況、現在の状況についてお知らせください。
  181. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) この協会、平成十四年にけじめを取るという形で理事十名が交代をいたしました。経営の指導部の一新というものを図ったところでございます。そして現在、この運用の改善というものを指導しているわけでございますけれども、実はこの株式等運用問題以外にもこの協会、昔、抱えておりました外国産のコンニャク粉の評価損という問題もございまして、併せまして一体その正味の資産というのはどうなっているのかということを現在早く取りまとめるようにということをやっているところでございまして、その結果に基づきまして経営再建という具体策を求めていきたいというふうに考えているところでございます。
  182. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、局長からありましたように、コンニャク産業そのものが今大変な時期でございますんで、生産者を含めてその三者の間で今後その振興のためにきちんとした形が取れるように指導もお願いをしたいというふうに思います。  次に、WTOについてお尋ねをしたいと思います。  経済産業省、外務省にそれぞれお尋ねをいたしますが、ハービンソン議長のモダリティー第一次案の改訂版が出されました。それについて、私どもの方に早速農水省の方からは評価と対応というようなものについていただいておりますが、経産省、外務省はそれぞれどのような評価と対応でしょうか。
  183. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 郡司委員にお答えをさせていただきます。  WTO交渉につきましては、農業を含め、農林水産大臣及び外務大臣と連携を密にして、政府一体となって取り組んでいるところでございます。  今御指摘の今回のハービンソン議長の第一次改訂版は、この一次案とほとんど変わらない内容となっておりまして、私どもといたしましても、一律に関税格差を圧縮するようなハーモナイゼーションの考え方が色濃く反映されて、そして非貿易的関心事項への配慮でございますとか各国間の負担の公平性等に欠けている、そういう点は非常に問題だと思っておりますし、輸出国に特に有利な内容となっておりまして、私どもとしては総体的に受け入れることはできないと、このように思っております。  我が国としては、主張すべきことは主張するという方針の下に、農林水産大臣及び外務大臣と密接に連携しながら、我が国立場について各国の理解を得る努力を粘り強く行いまして、十分にバランスの取れた現実的かつ包括的なモダリティーが確立されるように最善を尽くさなければならないと、このように思っております。
  184. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 第一次案の改訂案については、今、平沼大臣がおっしゃったのと基本的に同じ評価をしております。第一次案自体とほとんど変わらないということでございまして、包括的、外務省といたしましても包括的で現実的なモダリティー案が合意できるように努力をしてまいります。
  185. 郡司彰

    ○郡司彰君 ガットのときから、ウルグアイ・ラウンドもそうですけれども、当初このぐらいの期間で全部決めたいなというところがなかなか決まらずに、倍以上に年数が掛かってということがよくあるわけでありまして、しかしながらそこだけで各国の貿易が滞ってはいけないということもあるんでしょうか、それぞれ二国間協議でありますとかあるいは自由貿易協定というものが国同士、地域でもって行われておりますが、このことはWTOとどういうような関係があるというふうに認識でしょうか。関係がないということになりましょうか。
  186. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  国際的な経済活動の円滑化のためには、水際の障壁の削減だけではなくて、各国の国内制度の国境を越えた調和が重要だと私どもは思っております。  このため、WTOを中心とした多角的な貿易体制を維持そして強化するとともに、利害の共通する国や地域との間で機動的な取組が可能な二国間でございますとか地域的な協定を活用するという、いわゆる多層的な対外経済政策を進めることは重要であると思っておりまして、今FTAというのは世界の中で数多く行われております。我が国も第一号を御承知のようにシンガポールとさせていただき、更に今韓国あるいはメキシコと密接な今協議をしているところでございます。  具体的には、引き続きWTOにおけるルール作りに積極的に取り組むとともに、あくまでそれを補完するものとして二国間や地域レベルでのFTAを含む経済連携の強化を図ることなどがこれから必要なことだと思っておりまして、我々としては多層的なアプローチをしていきたいと、このように思っております。
  187. 郡司彰

    ○郡司彰君 そのような形が日本においても模索をされているんだというふうに思いますが、一つ具体的にお聞きをしたいと思いますけれども、北米自由貿易協定、NAFTAですね、この関係が、例えばアメリカとカナダ、アメリカとメキシコとの関係においてどのような結果をもたらしているのでありましょうか。
  188. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  NAFTA加盟各国の貿易については、協定の締結前と現在で比較いたしますと、各国とも域内貿易のシェアが高まっておるということが事実であります。したがいまして、経済関係がより緊密化していることがうかがえます。  例えば、一九九三年から二〇〇一年までのデータを申し上げますと、この間、アメリカの輸出額の伸びは対域内、これが八七%増えております。域外は四四%、約半分の増でございます。それから、カナダは域内が九五%増でありまして、対域外はたった五%というようなデータがあります。それから、メキシコの輸出額の伸びは、これは非常に大きく伸びておりまして二二五%でございまして、対域外が九三%、こういう数字が出ております。
  189. 郡司彰

    ○郡司彰君 数字をそのままお聞きになりますと非常に利益が多いというふうになるわけですね。ところが、実際は、その量そのものは増えているけれども、例えばカナダにあったアメリカ資本の工場がどうなっているかといえば、かなりの程度つぶれているわけですね。これは、量は増えたけれどもカナダそのものにとってみると産業としてはかなり厳しい側面ができている。  それから、出版その他の関係も、これは新しいそのルールによってカナダの国内のこれまでの出版の一五%ぐらいしか出されていないというような報告も来ておりますけれども、必ず一方がより強くなって、逆に言うと、メキシコなんかも二二五%といいますけれども、あれは新たなプランテーション的な色彩が非常に強いわけですね。野菜とか何かの基準に合わないようなものをメキシコで作らせる、そういうような新たなプランテーション的な要素が多いのでありますけれども。  例えば、日本がこれからシンガポールといろんなものをやっていくとかいろんなところでやっていく、日本は相互互恵というような関係を目指すということになるんでしょうけれども、実質的にはアメリカと同じようにその間の国の間においては強国になろうという考えになりましょうか、経済的な意味で。
  190. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 先ほどの答弁でも申し上げました。やはり世界の自由貿易というのは、大きな土俵はやっぱりWTOだと思います。それを補完する形でFTAでございますとか地域経済連携があるわけでございまして、私どもは、これによっていわゆる相補完をして相互繁栄を図っていくことが基本的になければならないと思っておりまして、一方が強国になって、そして一方が弱者になるというようなことはやっぱりやるべきではない。  そういうことで、この前、小泉首相がいわゆるASEANの方々と経済連携をやる、こういう、十年以内に締結しよう、そしてASEANもそれを受ける、こういう形で進んでおりますけれども、これもやっぱり相互補完、そして相互繁栄、こういったやっぱり理念に基づいていると思っておりまして、私どもは、一方が強くなって一方を収奪するとか、そういうことはやるべきではないと、このように思っています。
  191. 郡司彰

    ○郡司彰君 意図してそのようなことを口にする国もございませんし、結果として貧富の差が拡大をしている、これは事実、残念なことだけれどもそうなのかなという感じがしておりますが、外務省にお尋ねをしたいと思いますが、シアトルの閣僚会議があのような格好に先年なりました。その当時、途上国と言われる国々からは透明性でありますとか公平性という形の問題提起がなされたと思いますが、それに対して日本途上国の方々にどんなアピールをされておりますか。
  192. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) お答え申し上げます。  今、委員が申されましたように、シアトルの閣僚会議におきましては、途上国から透明性あるいは公平性の確保の要求が強くなされたわけでございますが、この背景には、やはりこの先進国を中心とした一部の国だけで実質的な意思決定がなされているのではないかと、こういう不満が、問題意識が背景にあったことは事実だろうというふうに思っております。  こういう状況を踏まえまして、今行われておりますドーハの新ラウンド交渉では、特にこの透明性、公平性を確保しなければいけないということで、先進国側も意を用いているということでございます。例えば、この二月に開催いたしました東京非公式閣僚会合におきましては、途上国も含めまして二十数か国が参加したわけでございますが、この交渉におきましても、ラウンド交渉で広範な議題について議論を行ったと。これは一つの相互理解、透明性の確保の過程であろうというふうに思っております。また、我が国としても、この閣僚会議におきましてもすべてのWTO加盟国が参加していないということでございまして、こういう点も考慮をいたしまして、会合の後に速やかにWTO加盟国すべてに対しまして、この結果について説明を行っております。そうしたことに対しましては、ほかの途上国も含めまして、感謝の意が表明をされているということでございます。  また、このシアトルの会合の教訓も踏まえまして、NGOの説明が重要であるということでございまして、NGOに対する対話あるいは説明会を開催するなど、透明性の確保に意を用いているということでございます。
  193. 郡司彰

    ○郡司彰君 NGOの方にも意を用いているということなんですが、結構あれはNGOのホームページを見ると、そんなに評価をされていないような部分もあるんですね。  それはともかくとしまして、このWTOが発足して以降、世界が豊かになったのかというような疑問が途上国の方からは相当出されているかと思いますけれども、直接の関連があるかどうかという意見もあろうかと思いますが、例えば最貧国の人口とかあるいは飢餓人口とか、そういうものがWTO発足後、減っているのでありましょうか、増えているのでしょうか。
  194. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) お答え申し上げます。  開発途上国におけますこの慢性的な栄養不足の人口につきましては、国連食糧農業機関、FAOの統計がございます。それによりますと、全体として見れば一九九〇年代初めの約八億二千万人から九〇年代末の約八億人に減少しておると。全体として見れば減少しておるということでございます。これは主として東あるいは東南アジアにおける飢えの改善によるところが大きいというふうに承知をしております。  しかしながら、同時に、地域によりましては栄養不足人口がむしろ増大しているということもあることも事実でございまして、特にアフリカのサハラ以南の諸国においてはこの厳しい状況があるということで、一部の途上国においてはこの面で特別の困難に直面しているということでございます。
  195. 郡司彰

    ○郡司彰君 昨年のFAOの大会、総会のときに出された数字では、世界で毎日一日十二歳以下の子供さんが二万四千人餓死をしているということになっておりますし、今、これからの人口増加を考えると、地球が大体八つぐらいないと賄えないんではないかというような数字も出ているというふうに言われております。  そういうことから、私は、極端な話に聞こえるかもしれませんが、農業というのはWTOの議題としてはふさわしくないんじゃないか、除くべきではないかというような意見を持っておりますけれども、それについて、外務省、経産省、それぞれお考えはどうでしょうか。
  196. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 農業交渉は、これは前からの積み残しといいますか、引き続いてやっているものでございまして、農業協定の二十条で、二〇〇〇年から改革過程の継続のための交渉をするということが決まっているわけでございます。そして、二〇〇一年のドーハ宣言においてもこういう記述が引き継がれているわけです。  それで、我が国の食糧自給率を考えますと、これが下がっているということがございます。それについては、国民の懸念を適切に対処、に対処すべきだというふうに考えております。  したがいまして、農業という意味では、この観点を踏まえて、非貿易的な観点、これを十分に踏まえるということが重要で、多様な農業が世界で共存できるような、そういう形で交渉ができるように鋭意取り組んでいるところでございます。
  197. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  ウルグアイ・ラウンドの結果成立したWTOの農業協定によりまして、御承知のように、農業交渉については、ドーハにおけるラウンドの立ち上げ前の二〇〇〇年からビルトインアジェンダと、こういう形で開始されているところでございます。  また、世界におけるWTOの位置付けということを考えてみても、内容的にはウルグアイ・ラウンドでサービスや農業あるいは知的財産権等も取り上げられて、単なる関税等の規律を超えた包括的なルールになっておりまして、また加盟国も、既に中国が加わったほか、ロシアも加盟交渉中である。真にグローバルな国際経済法と称し得るものになりつつあります。  このような事実を踏まえますと、現時点においてWTO交渉の対象から農業を除外すべきと主張することは私どもとしては現実的ではないのではないかと、このような考えでございます。
  198. 郡司彰

    ○郡司彰君 現実的ではないという話もありますね。それはそれで私も一点認識をするわけでありますけれども。  ただ、ガットの時代からWTOの原則というのは幾つかあるわけでありますけれども、一つは、内外無差別の原則というのがあったり、それからスタンドスティルとかロールバックということでもって、一回下げたらもう戻りませんよというようなことになっているわけですね。こういうふうな形でもって農業が交渉をされるということは、私は非常に人類の生存にとって危険ではないかというような思いがありまして先ほどのことを申し上げました。  よしんば、農業を除くことはできないということにするにしても、今言ったような原則ですべてのイシューをくくるということについては、私はもう日本としてもそろそろ考えを直すといいますか、改めてもうその考えを新たにする時期ではないかなということを思っております。  それも含めてでありますけれども、ただ原則としては、どこの国内でもそうで、日本もEUもそうでしょうけれども、自国のものについては市場で保護をする、保護するというようなこと、それから、他国については市場の開放というふうなことに当然なってくる側面があるわけですね。  そういうところからいうと、どこの国でもいろんなことの省庁間の問題があろうかと思いますが、日本の場合には、このWTOを進めていく、一括、統一というような形で進めていく場合に司令塔というのはどこになるというふうに考えておけばよろしいんですか。それぞれちょっとお答えください。
  199. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  今WTOの交渉に当たりましては、私どもは外務省、そして農林水産省等と協力をして取り組んでおります。このうち、当省は、我が国経済界の要望等を踏まえつつ、通商貿易担当省として国益を最大化する観点から各交渉項目の中身について取り組んでいるところでございます。外務省は外交政策をつかさどる立場から交渉に当たっており、農林水産省は農林及び林・水産品について対応しているということはもう御承知のとおりでございます。  このように各省とは適切な連携と役割分担が実現していると私どもは考えておりまして、例えば、今回のラウンドを立ち上げた一昨年のドーハにおける閣僚会議では、私が政府の首席代表を務めさせていただきました。また、先月、東京で開催された非公式閣僚会合では、外務大臣が議長をされ、私が国の代表を務めると、こういうふうにさせていただきました。  ですから、今後とも私どもは、各省と緊密な連携の下で、日本のためにどの選択が一番いいかと、こういうことを中心に据えてよく協力をしてやっていく、このことではないかなと思っております。
  200. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、平沼大臣お答えになられたとおりですけれども、関係省庁が非常に多い交渉でございます。各省が連携をしてやっていく必要がありますし、実際に、この間の二月の交渉をやった経験からいっても、連携は非常によく取れているということではないかと思います。  外務省は、その中で対外経済関係に係る外交政策をつかさどるということでございますので、政府を代表して外国と交渉するという立場にあるわけですけれども、引き続き関係省庁と緊密に連携をし、御相談をしながらやっていきたいと考えております。
  201. 郡司彰

    ○郡司彰君 今交渉の議題に上っているもの以外に、例えば司法制度の問題あるいは学校の民営化とか、あらゆる分野の問題というのは実はWTOの国内整備という側面もあるわけでありまして、そういう意味では、お互いの省庁間の調整ということももちろん大事でありましょうし、窓口は外務省がなるというようなことの流れにもなってくるんだと思いますが、私は、このWTOというのは、内閣が一丸となってきちんと当たるというような姿勢がないと個々に一つ一つのイシューについて対応していくということになって、結果としてはそれぞれの分野において取り返しの付かない問題が出てくるんではないかな、そういうような危惧をしているということでございまして、外務大臣については、ありがとうございました。済みませんでした。  次に、教育予算についてお尋ねをさせていただきます。  国外の日本人学校、日本教育への支援策について文部科学省の方から教えていただければと。
  202. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 海外にございます日本人学校などの在外教育施設、これは現地の日本人会等が設置しているものでございまして、基本的にはこれは設置者の自助努力によって運営されるべきものでございますけれども、文部科学省といたしましては、憲法に定める義務教育の機会均等の精神に沿いまして、予算の範囲内で種々の支援を行っているところでございます。  具体的には、日本人学校それから大規模な補習授業校に対する教員の派遣、あるいは教科書の無償給与、さらには教材整備などでございます。また、派遣教員のいない補習授業校に対しましては、その補習授業校の要請によりまして、近隣の在外教育施設から派遣教員を派遣いたしまして、現地で採用いたしました講師に対する指導等の支援を行っているところでございます。
  203. 郡司彰

    ○郡司彰君 昨年、参議院の視察でインドネシア・バリ島に行ってまいりました。バリ島には国籍を持った日本人の子供さんというのは二人なんだそうですね。ところが、国籍は持たないけれどもどちらか一方が日本人の間に生まれたという子供さんが百何十人か、ちょっと細かいところまで、忘れましたけれども、大変いらっしゃいます。それぞれ親がボランティアの形で出し合って年間三百万ぐらいを作っている。国からは今、教科書が無償で提供されているということなんでありますが、こうした、国籍は持たないけれども日本人との間に生まれた子供がたくさんいらっしゃる、ボランティアで運営をしていて大変厳しいんだ、そういう中で日本語を学ぶということ自体が日本にとっては大変有り難いことでもありますので、この辺の支援策というものは今のところどんなふうになっているんでしょうか。
  204. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 児童生徒の入学につきましては、その在外教育施設の運営主体である学校運営委員会において判断されるべきものでございまして、今のようなお尋ねのケースにつきましては、したがいまして学校運営委員会の判断において入学が認められるものでございまして、現に多くの学校におきましてそうした日本国籍を有しない児童生徒を受け入れているところでございます。  御指摘のバリにございます補習授業校につきましても、その大半が、保護者のいずれかが外国人といったそういう子弟が入っているわけでございまして、そうした学校につきましては、先ほど私が申し上げましたように、教科書の無償給与でございますとかあるいは教材整備、さらには、近隣の在外教育施設から教員を派遣するといったような形での巡回指導も行っているわけでございます。  こういう形を、こういうことを通じまして私どもとして支援をしてございますし、さらには、今申し上げましたのは文部科学省としての支援でございますけれども、それ以外にも、外務省から例えば校舎の借料等々についての支援もあるわけでございます。そういう、文部科学省あるいは外務省のそういう施策を通じまして、今御指摘のようなケースについて国としての支援をしてまいっているところでございます。
  205. 郡司彰

    ○郡司彰君 外務省の物的なものについてもお聞きをしておりましたが、ちょっと文部科学省として少し冷たいかなと。今の言い方も、いずれか一方が外国人の親というふうな言い方をしますけれども、逆にいずれか一方は日本人の親の子供だというような認識がちょっと薄いんじゃないかなと。  ほかのところに日本語の勉強のためにいろいろなことをやっているというふうなことはあるけれども、半分日本の子供で、いろんな事情があるんでしょうけれども、国籍を持たないで、しかしながら、親からすると何とか日本語を絶えないような形でもって伝えていきたい、そういう文化も教えていきたい、しかし、ボランティアでは年間どうしても無理が出てくるので何とかならないかというような話なんですけれども、大臣、少しお考えをお聞かせいただけますか。
  206. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 確かに、外国におります日本人のため、特に義務教育段階の子供たちのために日本人学校はありまして、現地に通っている場合には補習学校ということで、それに対してどうするかということで発展してきたのが今の制度でございますけれども、委員指摘のように、必ずしも日本国籍持たないけれども日本語を学びたいという人のために何かできないかなというお気持ちは大変よく分かります。  私も、外国におりましたときに何かそういう声も聞きましたし、とは思うんでございますが、外国人に対する日本語の教育というのは、ちょっとデマーケーションもございまして、我が省自体でなかなかやりにくい面もございますが、これからの国際化ということを考えますと、せっかく日本語を学びたいと言っている子供たちに何らか考えてやるというのも時代の要求かなというふうには思います。  ちょっとこれ以上は立ち入って申し上げにくいんでございますが、私としては、気持ちとしてはそういう気持ちでございます。
  207. 郡司彰

    ○郡司彰君 気持ちが形になるように期待をしたいと思いますが、続きまして、前にも同僚議員が質問をいたしましたが、国内の外国人学校の大学受験資格について、パブリックコメントが二十七日ということになっているそうでありますけれども、どういった声が寄せられているのか、それから、現在の外国人学校の数と生徒数などを教えていただけますでしょうか。
  208. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 今、委員から御指摘がありましたパブリックコメントでございますけれども、三月七日から実施しておりまして、三月二十七日まで意見を受け付けているということでございます。  内容につきましては、今後集計をする予定でございますが、現在までの意見を見てみますと、例えば、アジア系の外国人学校の卒業者についても大学入学資格を認めるべきであるといった意見が多く見られますが、あるいはその逆の意見も寄せられているというような状況にございます。  それから、日本にある外国人学校の数でございますが、平成十四年五月一日現在で、高等学校に該当する学校の数でございますが、四十校ということでございます。
  209. 郡司彰

    ○郡司彰君 その四十校の内訳はございますか。
  210. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 分類の仕方、いろいろございますけれども、特定の、国の系統になっていない、いわゆるインターナショナルというような形のところが十五校ございますし、それからドイツ系が一校、北朝鮮系が十二校、韓国系が二校、中華系、これは台湾系でございますが二校、この合計が三十二校でございまして、これがいわゆる各種学校という形になっておるものでございます。そのほか、各種学校という形ではなくて無認可といったような形の学校が八校ございます。
  211. 郡司彰

    ○郡司彰君 これ、マスコミなどで問題になったのは、これは大臣も御存じのように、インターナショナルスクール、これは大学入試資格の弾力化についてという対応案が出されておりまして、それに基づく形からすればそのようなことになるんだろうなというふうに私も思います。  対象国についても、いろいろ出されている中で、今のアジア系というものはここに入ってこないような形になっておりますから、さもあろうというような感じはいたしますが、ただ、結論のところからいうと、これは大臣がお決めになるというようなことになるんでありましょうか。
  212. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 大学入学資格といいますのは、委員御存じのように、大学教育で一定水準の教育内容を確保いたしますためにどういう人たちに大学に入ってもらうかということで決まっているものでございまして、省令とか告示とかで決まっているわけでございます。  そのことでいいますと、日本人につきましては、日本の学校教育法第一条の高等学校を出ているか、大学入学検定試験を通っているか、この二つしかないわけでございますが、若干細かいのはございますが、既に外国人学校につきましては、平成十一年度に、日本の高等学校を出ていないけれども大学入学試験検定を経ていれば入れますよという制度を開きました。これで、もうその入学資格については国際標準になっているわけでございます。  ところが、規制改革の、といいますか規制緩和という観点から、インターナショナルなスクールにつきましては、短期間日本にいるような子供たちを相手にするような学校があって、そういうところは対日投資などにもかかわるということで、もっと、検定試験を受けないで、その外国人学校を出ただけで入れるようにしてやってくれないかということでございました。  これは、日本人にはそういう制度がないわけでございまして、日本人の場合には先ほど申したようなことですが、それにプラスアルファで、少し例外的にインターナショナルスクールを出た人にはそういう制度を作って、考えてはどうかという御指摘がございました。その規制改革会議の答申も受け、報告も受けまして、その後、閣議で決定されまして、インターナショナルスクールについては考えろということでございました。でございますので、日本の高等学校に相当する外国人学校を出ている人については認めるということも可能かということでいろいろ検討いたしました。  その水準という、一定の水準を確保するという角度から見ますと、認証機関の認証を得ている学校と言わざるを得ないということでやりました結果がインターナショナル、いわゆるインターナショナルスクールについては国際的な認証機関の認証を得ているということで通ったわけで、通りつつあるわけでございますけれども、それ以外にも、アジア系のというお話がございましたが、制度としては、アジア系を除いたということではなくて、一定水準ということで一つの対応案を作ったわけでございます。でも、今これにつきましてはパブリックコメントもかけておりますので、なお検討してまいりたいと思います。
  213. 郡司彰

    ○郡司彰君 認定団体、三つほどございますけれども、インターナショナルというような形になっておりまして、そもそもそこの平成十三年の総合規制改革会議の中の弾力化について見ると、近年、外国からの対日投資の増加に伴い、我が国に中長期的に滞在する外国人が増えてきているというような認識のもとに始まっているんだと思うんですね。私は、これはこれで結構だと思います。  それから、生まれながらにしてこの国に住んでいて、国籍が違うという方もたくさんいらっしゃるわけでして、これは今問題になっておりますが、いろんな問題の国としての対応、これは厳しくやるということとは別に、もうここに住んでいる子弟、子供さんたちのためには、教育の機会としては十分に考慮をしていただければなというふうなことを申し上げたいというふうに思います。  それから、委員長、済みません、官房長官の時間の都合で、私の方、また後に戻るということを含めまして、関連の高橋議員の方から。
  214. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 関連質疑を許します。高橋千秋君。
  215. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党新緑風会高橋千秋でございます。  官房長官、十五分しかないということでございましたので、私が途中質問させていただきたいと思います。  先日、地方税、地方交付税、地財計画等を含めまして代表質問に立たせていただいたんですが、今日も後で総務大臣にお聞きしたいなと思いますけれども、私は、地方が元気にならないと、これは日本は再生しないと、そういうことでずっとやらせていただいておりまして、分権ということも大変重要なことだと思っておりますが、そういうことを中心にお聞きをしたいと思うんですが、やはりイラク問題、北朝鮮問題、少しだけ触れたいということで、官房長官に御質問をさせていただきたいなと思っています。  私も何度か海外へ行く機会がありますけれども、ここ数年、行くたびに日本の存在感というのがどんどんどんどん低下をしているように思うんですね。これは、皆さん、大臣、皆さんもしょっちゅう行かれますのでよく思われると思うんですが、私が初めて行った二十数年前、アメリカへ行ったときというのは、日本がもうどんどんどんどん伸びているときで、日本脅威論みたいなのがアメリカの中にありまして、映画等を見ても、日本が、日本人が悪者のような状況になって出てくることが大変多かったんですが、どんどんどんどんその存在感というのがなくなってきているように思います。その意味で、今回のこのイラク戦争が始まった中でますます日本の存在感というのが低下してしまったんではないかなという、非常に私は危惧をしております。  それで、一つ具体的なことで、これ事前通告していないんですけれども、戦争の事前通告について質問をしたいと思うんですが、今回、戦争、開戦の事前通告が日本にあったということで総理もおっしゃっておられましたけれども、何時ごろ、だれからだれにあったのか、もし分かれば教えていただけますでしょうか。事前通告、私の方がしていないので申し訳ないんですが、よろしくお願いします。
  216. 川口順子

    国務大臣川口順子君) たしか十一時半ぐらいだったと思いますけれども、官邸の竹内、総理と一緒に竹内事務官がいまして、竹内事務官のところに国務省のアーミテージ副長官からございました。
  217. 高橋千秋

    高橋千秋君 ちょうどその時間というのは私も予算委員会にいたと思うんですが、もう既にバグダッドでは空襲警報が鳴っている時間だというふうに聞いております。事前通告とはいえ、十分ぐらい前だったということで聞いております。  一方、韓国の方には二時間ぐらい前に副大統領の方から通告があったというふうに聞いておるんですが、その事実はつかんでおられますでしょうか。
  218. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 韓国について、いつ、だれからあったということについては私は聞いておりません。
  219. 高橋千秋

    高橋千秋君 私はそれは事実だと思うんですが、官房長官、この事実をどう思われますか。
  220. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 報道ではそういうことはちらっとありましたけれども、その確認は私どもはしておりません。
  221. 高橋千秋

    高橋千秋君 私は、聞いている聞いてないじゃなくて、どうその事実を思われるか。私は、冒頭に言いました日本の存在感が問われているときだと思うんですね。  それで、これは明らかに、日本に通告したというのは十分前ということは、ほとんどそれは事前通告とは言えないと思うんですね。韓国には二時間前に通告しているということは、二時間というのが早いか遅いかは別として、これは事前通告だと胸を張って言えると思うんですが、日本に十分前、既にもうバグダッドで警報が鳴っているというときに事前通告というのは、これは日本の存在が軽く見られていると思うんですが、それについてはどう思われるかを官房長官にお聞きしたいんですが。
  222. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事実については、いずれ歴史で分かると思いますけれども、実際のところは大統領から日本には連絡があることになっていました。これはアメリカ側の説明でもそう言っておりますけれども、急遽米国攻撃についての段取りが変わったということで、大統領が時間がなくなって、大統領の指示でアーミテージ副長官が電話をしてきたと。そういうことが事実の関係で、この辺についてはいずれ歴史がきちんと証明するだろうと思います。
  223. 高橋千秋

    高橋千秋君 このインターネット時代に歴史のことを待たなきゃいけないというのは非常に悠長だと思いますし、私はそんな答弁ではちょっと納得できないですが。  官房長官、私は官房長官に聞きたいんですが、この事実、私は日本の存在感ということが問われていることだと思うんですが、いかがでしょうか。
  224. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 韓国がどういう内容の情報をもらったのか、そういうことは分かりませんから、委員がおっしゃるような、それをもって日本と比較するというのは、これは私はおかしいんじゃないかと思いますよ。断定的に決め付ける問題じゃないと思います。  日本の存在感ということをおっしゃって、しきりにおっしゃっていらっしゃいますけれども、日本の存在感というのは一体何なのか、私もよく分かりませんけれども、日本米国との関係について言っておられるのかどうなのか、国際社会の中で日本の存在がどうなっているのかと、全体的なことをおっしゃっているのか、そこら辺もよく分かりませんのでなかなかお答えしにくい。もう少し具体的にお聞き願いたいと思います。
  225. 高橋千秋

    高橋千秋君 前回の湾岸戦争のときに日本が一兆を超えるお金を戦費負担をいたしました。そのときにも話題になりましたけれども、結局、アメリカが感謝をする国の新聞広告の中に日本の国名が抜けていたと。私は、それは基本的なミスかも分かりませんけれども、しかし私は、日本の存在感ということを考えるんであれば、そういうところは頭から抜けていかないと思うんですね。今回は、後で聞こうと思いますけれども、戦費負担もひょっとしたらかなりの額を求められるのかも分かりませんが、日本の存在感というのは、やっぱりせっかくのこういうときに確かめるべきだというふうに思います。  その意味で、今回のこの戦争アメリカ、日米の同盟というのは非常に重要だと私も思います。日本の国益のためには大変重要なことだと思いますし、それが北朝鮮に対して抑止力を発揮しているというのはそれは事実かも分かりません。しかし、かといって、攻撃をするということに対して簡単に支持をしてしまうということは、国民ははっきり言って納得をしていないんだと思います。  この後、官房長官、記者会見だそうで、それで国民に説明をするということだと思うんですが、しかし、他国の大統領たちの姿を見ていると、イギリスのブレアさんなんかでもそうですけれども、それがいいか悪いかは別として、国民に向かってちゃんと説明をしているという、ああいう姿に対して国民は信頼をしていくと思うんですね。  今回、小泉さんはずっと説明をしてきたじゃないかと言われますけれども、私は決してそれは当たっていないというふうに思います。もっと私は国民に事前に説明をすべきだったと思いますし、戦争が始まってからももっと説明をすべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  226. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 総理も何度も何度もよく説明してこられたと思います。外務大臣もそうだと思います。我が国は一貫して平和的な解決を望むと、こういう姿勢で臨んできたんです。最後までその思いは持ちながら各国に対する交渉もしてきたということである。これはもう本当に一貫してそういう姿勢でやってきました。そのことは何度も何度も説明したと思いますよ。  ところが、武力行使をするかしないかみたいな、その一点に絞って、頭から武力行使する、アメリカ武力行使するんだと、そういう前提でもって話をするから話は分かりにくくなっちゃう。もう少し素直に聞いていただければきっといい国民理解もできたんだろうというふうに思いますので、その点は私どもは誠に残念に思っております。  しかし、そういう事態において、これからも説明責任は十分に果たしていかなければいけない、そういうふうには思っております。
  227. 高橋千秋

    高橋千秋君 説明というのは、相手が理解できない説明というのは説明になっていないと思うんですね。  それで、今、十分説明をしてきた、説明をしているということですが、今日の新聞等に、川口大臣イラクの大使館の一時閉鎖と大使の国外追放についてノーコメントをずっと通しておられるということなんですが、これは説明していないと思うんですが、これについてコメントいただけますでしょうか。
  228. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、事実関係といたしまして、私はノーコメントをずっと貫いてきたというふうにおっしゃいましたけれども、聞かれたのはたった一回で、そのときにコメントできないということを申しました。  その理由は何かといいますと、実はそういう、アメリカからそういう話はあったわけでございますけれども、なぜそういうことを言っているのか、その理由は何かということを具体的にもう少し聞く必要があったということで、それを聞いていたということでございます。その途中、途中の段階でそういうことがはっきりしないうちに何か申し上げるべきではないということで、昨日の話ですけれども、質問があったときに、それは今の段階で具体的なことは言えないということを言ったと、そういうことでございます。
  229. 高橋千秋

    高橋千秋君 新聞を見ると、コメントしないこともコメントしませんというふうに書いてありますので、是非私は、官房長官、説明してきたと言われますが、説明をもっとやっぱり国民にしていくべきではないでしょうかね。賛否はともかく、私は、もっと国民に分かりやすく説明をしていく、これは責任政府にあると思いますが、官房長官、もう一度いかがでしょうか、今のことを含めて。
  230. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) おっしゃるとおりでございまして、それはそれで十分努力をしてまいるつもりでございます。今までも説明していないわけじゃないんですよ、説明しているんですよ。それは素直によく聞いていただきたいなというふうに思っております。いずれにしても、努力してまいります。
  231. 高橋千秋

    高橋千秋君 官房長官ももうあと二分で行かなきゃいけないそうですから、官房長官に聞きたいことを一つだけ質問をさせていただきたいと思います。  十九日に、これ記者会見だったと思うんですが、平壌宣言の破棄もあり得るという発言をされたように聞いております。これについて、事実関係、いかがなんでしょうか。そして、私、これまでの北朝鮮の動きなんか見ても、もう既に平壌宣言なんか守られていないというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  232. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それは、私の発言した趣旨、これを申し上げますと、現時点において政府として日朝平壌宣言の破棄の可能性を考えるべきであるということではなく、そのような事態にならないように今後とも北朝鮮側と粘り強く交渉していくことが重要であると、こういうことを申し上げたんです。ですから、そのことで、その破棄もあり得ると、それは、その可能性ぐらいは、いろんな可能性があるわけですからね。ですけれども、そうならないように粘り強く交渉していこうと、こういうことを申し上げました。  いずれにしましても、昨年の日朝首脳会談の際に作成した日朝の平壌宣言ですね、双方の首脳が署名した今後の日朝関係を包括的に取り進めていく上でもって大変重要な文書でございまして、このことは北朝鮮側も歴史的な文書であるということで重視しているわけであります。  政府としては、日朝平壌宣言に従って拉致問題及び核問題等の諸懸案を解決し、地域の平和と安定に資する形で国交正常化を実現するという基本的な方針に変わりありません。引き続き関係国と緊密に連携をしながら、様々な機会をとらえて北朝鮮側に諸懸案の解決のために責任ある対応を求めていきたい、このように考えているところでございます。
  233. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間が来ましたので、いったん戻します。
  234. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 郡司彰君。
  235. 郡司彰

    ○郡司彰君 済みません。  総務省にお尋ねをしたいと思います。  二月の十六日、公営ギャンブル赤字なら廃止という記事がございましたが、真意についてお知らせください。
  236. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 例の地方ギャンブルなんですが、実はこういう景気の状況であり、レジャーそのものも多様化しておりまして、物すごくよくないんですよ。十年前に比べますと、大体、今そうですね、よくて六割、悪ければ四割なんですね。そういうことで、なかなか全体で黒字というのはモーターボートだけです。モーターボートがちょっと黒字なんです。したがって、それで地方財政のために一般会計に繰り入れるようなことなんというのが大変苦しくなってきているんですね。  そこで、今経営改善のためにいろいろやれということで、十四年度もヒアリングをいたしましたが、できれば十五年度から、全部の団体に残ってやりたいところですよ。経営改善計画を作ってもらって、その中で、例えば人を減らすから退職金が要るとか、施設を直すからその整備費が要るとか、その他については特別の地方債措置で応援してやろうかと、こう考えておりますが、どうしてもやっていけなくて赤字がどんどん膨らむところは、それは場合によってはやめてもらうことも検討しないといけません。自分の財政をよくするためにやっているのが、財政がどんどん悪くなって、最終的には補償せにゃいかぬのですから。  そういうことで、そういうことが一部新聞に報道されましたが、基本的には、経営改善で立ち直ることを期待いたしております。
  237. 郡司彰

    ○郡司彰君 厳しいですね。廃場も私も仕方がないのかなというようなところもあります。  特に地方競馬、この夕刊にも出ていましたけれども、残り二十三場ぐらい、三、四年、五年のうちにはほとんどもう廃場になるのかなという感じがしているんです。ただ、私はその廃場を視野に入れてもちろんおりますけれども、その離職対策というような議員立法も準備をいたしました。  ただ、その前に、今、大臣がおっしゃったように、存続が可能ならやっぱりそちらの方にやってみたい。ただ、大臣、問題は、企業的なものをこれから考えると言っているけれども、これまで引当金も作らない、基金も作らない、もうかったときは一緒にしてどんどん交付金で取ってきて、もうけがなくなったら、はいさようならで、これはちょっと働いている人、大変なんですよ。  それで、あえて私は各関係の省じゃなくて大臣の方にお願いをしたいのは、いずれ廃場の問題、存続の問題も当該の自治体との間での話になるんです。そのときに、総務省の方の片山大臣からきちんとその話をしろと、一方的なことをやるんじゃない、お互いこれまでの関係も含めて、一方的にもう稼ぎがなくなったらば投げ捨てるぞみたいなことをやらないように、そういう決意だけを大臣にお聞きをしたくて伺いましたので、よろしくお願いします。
  238. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) この問題には、地方に対する交付金の話もありますよね。交付金も率を下げてくれといって、そういうことに幾らかなっておりますけれども、今言われた地方競馬は全部赤字ですよ、全部赤字。中央競馬はいいんですよ、そこそこに。地方競馬はやっぱり駄目なので、そこは議員さんの中でも自主的にいろんなことを研究しているグループも出てまいっておりますけれども、いずれにせよ、やめるやめないは当該団体に十分検討してもらわなければなりませんし、関係者の合意を得るように、それは私の方からも指導いたします。
  239. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございました。  時間の関係で次に進まさせていただきます。  谷垣大臣、お待たせをいたしました。食品安全基本法が制定をされるということの流れになってきておりますが、BSEの教訓から発生をしたということもありましょうし、その教訓はどういうふうに生かされているのか。  その中で、特に日本の畜産の将来像、牛が牛を食べるというようなことの反省はどうなるんだということがありましたけれども、これ条文にはなかなか出づらいところがございます。考え方の中でどのようになさっているか、どのようになっているか、お聞かせいただきたい。
  240. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 郡司委員にお答えいたします。  食品安全基本法を提出させていただいておりますが、その背景に、委員が今おっしゃいましたように、一昨年のBSE問題がありまして、そこからどう教訓を酌み取って乗り越えていくかということがあるわけでございます。  そこで、基本認識は、BSE問題をきっかけとして設置されましたBSE問題に関する調査検討委員会、この報告書が私どもの言わば認識の出発点になるわけでありますが、そこで要約、そこを私たちなりに要約いたしますと、まず第一に、農林水産物の生産から、それから食品の販売までの各段階で安全性確保のための措置を講ずることが必要であると、いわゆるフードチェーンという考え方でございますが、それが従来、希薄であったと、これが第一点であります。それから第二点に、リスク評価というものとリスク管理というものが混然一体として行われていたと。そして、リスク管理機関は産業振興の役割も負っているわけですから、その科学的評価とその管理が一体として行われていたところに問題があったと。それから三番目に、リスク管理機関といっても幾つかあるわけですが、その相互間での連携協力というものが必ずしも十分でなかったと。こういうところが反省点なのではないかと考えております。  それで、こういう認識の下に、今引きました報告書の提言も踏まえて、今回の、今御提案申し上げている食品安全基本法では、まず第一点として、食品供給行程の各段階で食品の安全確保のために必要な措置を適切に講ずると、これを基本理念としなきゃいけないと。それから二番目に、リスク評価機関とリスク管理機関を分けて、それで客観的かつ中立公正で科学的にリスク評価を行う。だから、そのためにリスク管理機関と分けて独立した機関として内閣府に食品安全委員会を置こうと、これが第二点目ですね。それから第三番目に、関係者相互間での情報や意見の交換と、いわゆるリスクコミュニケーションを促進して関係行政機関の密接な連携などを規定しているわけでございます。  それで、この基本法案の内容に即して各種の施策が講じられなければならないわけですが、この国会でも食品衛生法の改正など所要の法律案が提出されているわけであります。こういう法律に基づきまして、今度できます食品安全委員会がリスク管理を担当する関係省庁と適度の緊張を持ちながら、しかし全体としては一体となって国民から信頼される食品安全行政が推進されると、こういう体制が作られるように努力をしていきたいと、こう思っているわけです。  そこで、今、委員は、元々出発点が畜産だったんだろうと、しかしこの基本法案では食品については特に、畜産という言葉はこの基本法案のところには出てこないではないかと、こういう御指摘でございますが、きっかけは確かにBSEであったわけでありますが、この法案は畜産物というだけではなくて、すべての食品について安全性の確保に関する施策を総合的に、総合的な推進を図るということを目的としているわけでございます。  そこで、畜産との関係でやや細かなことを申し上げますと、畜産物に関して生産から販売までの各段階について、いわゆるリスク評価、食品健康影響評価はこれは食品安全委員会が行うわけでございまして、具体的には、飼料安全法に基づく飼料とか、あるいは飼料添加物の成分の規格をどう設定していくか、あるいは薬事法に基づいて動物用医薬品の承認をどうしていくか、それからと蓄場法に基づく食肉の検査方法についての政令の制定と、こういうものを行うときには農林水産大臣厚生労働大臣は食品安全委員会の意見を聞かなければならないと、こういうふうになっているわけでございまして、安全委員会としては評価結果に基づいて関係大臣に対して勧告を行って、更には措置の実施状況の監視を行うと、こういうようなことで、リスク評価、リスク管理の両面にわたって関係省庁が連携の下に畜産物の安全性を図っていこうと、こういうことであろうかと思います。
  241. 郡司彰

    ○郡司彰君 食品安全委員会の方はリスク評価の部分を受け持つということになるんだと思いますが、例えばBSEのときに問題になりましたのは、肉骨粉というものがございました。肉骨粉は使い方がおかしかったということはありました。しかし、普通に考えればリサイクルとしてはいい形ができておって、しかも肉と肉と、牛と牛との間がということがなければ非常に安全性についても高い評価があるわけですね。  例えばこれから、肉骨粉を今使っていませんよ、使いませんよということになっているけれども、使えますよとか、そういう評価をこの食品安全委員会というのはできるんですか。そういう能力を持っているんですか。
  242. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 肉骨粉につきましては、既に牛海綿状脳症対策特別措置法などでこの肉骨粉を原料とすることは、原料とする飼料は使用禁止と法の上でそう定められているところでございますから、この食品安全委員会としてもこの法は法としてもう従っていくということだろうと思います。  むしろ、委員のお尋ねは、じゃ、そういうものの科学性といいますか、科学的なリスク評価というものをきちっとできる体制というものがこの委員会は持てるのかと、肉骨粉だけではなくてそれだけの能力を持ち得るのかというお尋ねと思いますが、これは食品の安全の確保に関して優れた識見を有する方七名から委員会を構成して、学識経験のある専門委員会を置くというほかに、事務局については、事務局長それから次長、四課一官の体制で、職員五十四名に加えて技術参与二十五名で構成する予定でございまして、予算については約二十一億円を計上しておりますが、これでリスク評価とかリスクコミュニケーションの展開といったことに十分な活動を行い得るものというふうに考えております。
  243. 郡司彰

    ○郡司彰君 細かいことをもう少し聞こうと思いましたが、ありがとうございます。  今の答えの中にもございましたが、改めてお聞きをしますが、推進と規制、この関係についてはうまく機能するということでよろしゅうございますか。
  244. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) リスク管理機関とリスク評価機関を分けて、お互い緊張関係を保って、今、委員のおっしゃったようなことを実現したいと、できるとまた思っております。
  245. 郡司彰

    ○郡司彰君 最後に、原子力の安全確保についてお尋ねをしたいと思います。  ジェー・シー・オーの事故の判決がございました。国として、この判決に対する評価をお聞かせ願いたいと思います。経産省とそれから文科省。
  246. 佐々木宜彦

    政府参考人(佐々木宜彦君) 本件訴訟に関しては、当省は当事者でございませんので、判決に対するコメントは差し控えるべきと考えております。  なお、国としては、ジェー・シー・オー事故の教訓を踏まえまして平成十一年に原子炉等規制法の改正を行い、保安規定の遵守状況に係る検査、保安検査と申しておりますが、この制度の創設、加工施設に対する施設定期検査の導入などの措置を講じることによりまして安全規制を強化したところです。また、万が一の原子力災害時における国の対応が確実に行えるよう原子力災害対策特別措置法を制定し、国の原子力防災専門官の配置、オフサイトセンターの整備、防災訓練の実施などの措置を講じております。  いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、二度とこのような事故が起こらないよう常に思いを新たにして緊張感を持ちつつ安全規制を行い、原子力安全に万全を期してまいりたいと考えております。
  247. 小中元秀

    政府参考人(小中元秀君) お答え申し上げます。  安全委員会としましても、ジェー・シー・オー事故が起こりましてすぐに関係の事故調査委員会を設置してございます。その事故調査委員会で報告を取りまとめたのでございますけれども、その中で、いわゆる事業者の日ごろの安全保安活動といいますか、そういうものの重要性、それ及び事業者を含めました原子力関係者の原子力安全文化といいますか、そういうものの醸成に対する重要性といいますか、そういうものを指摘してございます。  こういうものを受けまして、特に安全委員会におきましては、安全審査の一層の厳格化及びその一次行政庁、これは経産省あるいは文科省でございますけれども、こういうことが行う安全規定に対する監視・監査機能といいますか、そういうものについて取り組んでいるところでございます。  安全委員会としましても、このような事故が二度と起こることのないよう、今後とも原子力の安全確保について万全を期してまいりたい、そういうふうに考えてございます。
  248. 郡司彰

    ○郡司彰君 今出てまいりました原子力安全委員会、陣容についてお知らせをいただきたいと思います。  また、NRCとの違い、あるいは推進と規制の関係についてもお話しいただければと思います。
  249. 小中元秀

    政府参考人(小中元秀君) お答え申し上げます。  ジェー・シー・オー事故を踏まえまして、原子力安全委員会としましては、行政を分担する各省より一段高い立場からの企画立案あるいは総合調整を行う内閣府に安全委員会自体を移管してございます。そういうことで独立性を強化しているところでございます。  また、事務局の職員数を大幅に増員するとともに、外部の幅広い専門家を技術参与としまして配置するなど、事務局の専門的調査機能も強化したところでございます。また、安全委員会としましては、こうした事務局職員だけではなくて、外部の専門家といいますか、三百五十人に及ぶ外部の学識経験者を専門委員等に任命いたしまして、安全審査なり、そういうものに取り組んでいるところでございます。  このように、安全委員会の体制に加えまして、いわゆる一次行政庁であります規制関係職員及びそういうものを支える安全研究等を実施している陣容を勘案すれば、実質的には米国のNRCといいますか、そういうところの機関との陣容を比較しましても十分に遜色ないものである、そういうふうに考えてございます。
  250. 郡司彰

    ○郡司彰君 今話があった中で、日本の独自の形を作っている部分がございますね。その関係で、先ほど言ったように、推進と規制の関係はどうなりますか。大丈夫ですか。
  251. 小中元秀

    政府参考人(小中元秀君) お答え申し上げます。  推進と規制の関係でございますけれども、一次行政庁におきましては、何といいますか、それぞれ安全部局といいますか、経産省は保安院というような安全部局がございます。文部省におきましても安全のそういう担当部局というのがございます。そういう形で一応分離しておりますが、よりそれを明確にするために内閣府におきまして原子力安全委員会というものを作りまして、そこで全体的な規制といいますか、規制の全体的なあれをやっているということでございます。
  252. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっとまた別な委員会で細かくやりたいと思いますが、原子炉等規制法に基づく保安検査の実施状況、どのようになっていますでしょうか。
  253. 佐々木宜彦

    政府参考人(佐々木宜彦君) 原子力安全保安院では、保安検査制度が導入された平成十二年以降、原子力施設のある全国二十か所に約百人の保安検査官を配置し、法令に基づきまして、所管する原子力施設に対して年四回の保安検査を実施しております。その結果については、原子力安全委員会に御報告するとともに、公開もしております。  これまでの保安検査においては、いずれも安全上直ちに問題になるものはなかったものの、保安規定に違反する事案を三件確認し、改善を指示し、改善が行われたことを確認しております。また、保安規定違反とは言えないものの、安全確保の観点から改善すべき点について幾つかの指摘を行ってきております。  このように、保安検査については事業者が緊張感を持って保安活動実施に当たるとの観点で、一定の効果を有していると考えております。  一方、原子力発電所における一連の不正問題の発生を教訓に、その再発防止の一環として、保安活動における検査の適切なマネジメントや原子力以外の部門からの監査の実施など、事業者における品質保証体制を確立する観点から、保安規定に品質保証に関する要求事項を国として定め、保安検査においてその実施状況を確認していくこととしたいと考えております。
  254. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) 文部科学省といたしましても、原子炉等規制法に基づきまして、所管する試験研究所及び主要な核燃料物質の使用施設に対しまして、年四回保安検査を実施してございます。  保安検査が導入されましてから過去十回にわたって実施をいたしました保安検査の結果では保安規定違反となるような事実は確認されておりませんが、安全管理上の必要な改善の指摘、指導を行ってきております。  今後とも、保安検査を含め、安全規制に万全を期すための一層の努力を図ってまいりたいと考えております。
  255. 郡司彰

    ○郡司彰君 NRCなどですと年間二十五回というようなことになっておりますが、これ日本の場合、四回で十分でしょうか。
  256. 佐々木宜彦

    政府参考人(佐々木宜彦君) 先ほど御説明いたしました保安検査官、常駐いたしております百名は毎日の状況も実は監視をいたしておりまして、年四回それらを取りまとめて、二週間ないし三週間集中的に保安規定に基づく遵守状況調査をやっておるものでございまして、日常監視も継続しているところでございます。
  257. 郡司彰

    ○郡司彰君 私が言ったのは、常駐の体制を取らない別な施設ということがあるわけでございまして、正にジェー・シー・オーはそういうところで起こったということなんです。まあそれはちょっと後で言います。いいです。  それでは次に、専門医療体制の確立について、安全委員会、どのような形になっておりますか。
  258. 小中元秀

    政府参考人(小中元秀君) お答え申し上げます。  ジェー・シー・オー事故を踏まえまして、安全委員会としましては、円滑かつ迅速な診療ができる体制を整備するために、緊急被曝医療体制の在り方についての検討、報告書を取りまとめてございます。この報告書を踏まえて、原子力施設の防災対策についての技術的、専門的な事項をまとめた防災指針を改定、これ一昨年でございますけれども、改正したところでございます。  具体的には、日常的に機能している各地域の救急医療体制や一般の大型規模災害に備えて──済みません、広域的な災害医療体制を活用して、被曝患者の被曝の程度といいますか、そういうものに応じた医療体制を段階的に初期、二次あるいは三次被曝医療体制として整備することによって被曝患者を適切な医療機関に搬送し、治療を行うこととしているところでございます。
  259. 郡司彰

    ○郡司彰君 研究用とか商業用で関係省庁違うわけでありますけれども、いざというときの緊急時のマニュアル作りはどのようになっておりますか。でき上がっておりますか。
  260. 佐々木宜彦

    政府参考人(佐々木宜彦君) 経済産業省におきましても、緊急時の現地対応拠点となりますオフサイトセンターにおける構成員の具体的な役割分担、現場レベルの対応に関するマニュアルを整備しております。  国全体といたしまして、緊急時においてこれらのマニュアルに基づく適切な対応を可能とするため、毎年、関係省庁、地方公共団体、原子力事業者などの連携、協力の下で原子力の総合防災訓練を行っております。  経済産業省といたしましても、独自の防災訓練を適時実施しております。オフサイトセンターなどにおきまして地方公共団体が行う訓練に参加するなど、万が一緊急事態が生じた場合に現場における円滑な対応を可能とするように努力をしているところでございます。
  261. 郡司彰

    ○郡司彰君 実はジェー・シー・オーの事故のときに三名が大量な被曝をして、二名の方、非常に悲惨な死に方をしております。一名もまだ今入院中でございまして、また同じようなことが起こったらば実際にあのときと同じように三時間も掛かって輸送体制がようやく取られるようなことがあっては困るということなんですが、実際には、今いろんなことを答えましたけれども、実際にまだマニュアルもでき上がってないんでしょう。これは早急にやってくださいよ。  それから、最後にお尋ねをいたしますが、いわゆる十五分ルール、これが可能な体制になっているんでしょうか。
  262. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  御指摘の十五分ルールというのは、防災基本計画におきまして、原子力の事業者の原子力防災管理者、この防災管理者は、原子力災害対策特別措置法第十条に規定する放射性物質等が一定以上の水準で放出されるような事象を発見した場合には、十五分以内を目途として官邸や当省を始めとする関係省庁に一斉に連絡することが定められていることでございます。この連絡を受けて、主務大臣は警戒本部を設置するなど必要な対応を開始することとしており、特に放射性物質等が異常な水準で放出されるような原子力災害対策特別措置法第十五条に規定する緊急事態であると認める場合には、主務大臣は直ちに内閣総理大臣報告することになっています。内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言を発出をいたしまして国民に対して公示をするとともに、自らを本部長とする政府対策本部及び経済産業大臣を本部長とする現地対策本部を設置をいたしまして、対応を開始をいたします。  また、万が一このような事態が起こったときに少しでも円滑に対応できるように、毎年、内閣総理大臣関係省庁、地方公共団体、原子力事業者等による原子力総合防災訓練を行っておりまして、こういったことを通じて十五分以内にぴしっとした態勢ができるように努力をしているところでございます。
  263. 郡司彰

    ○郡司彰君 委員長、関連をお願いいたします。
  264. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 関連質疑を許します。高橋千秋君。
  265. 高橋千秋

    高橋千秋君 引き続き、先ほどの引き続きになりますが、イラク問題と北朝鮮問題、少し触れさせていただきたいと思います。  今イラクの方でああいう戦闘が行われている中で、日本人が何人かお見えになります。それで、外務省の方としても、発表をするたびに日本人の数が増えているんですね、この戦争の中で。  それで、昨年話題になったNGOの大西さん、それから私のファンであります、私が好きな写真家で宮嶋茂樹さんという方も今イラクにお見えになりますけれども、どんどんどんどん発表するたびに日本人増えているんですよね、人間の盾というのもあるのかも分かりませんが。こういうことの把握をちゃんとされているのか、それと邦人保護についてどういうふうにされていくのか、お願いいたします。
  266. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省としては、邦人の保護ということがこういった状況で何よりも大事であるというふうに考えておりまして、今ヨルダンの大使館、それからシリアにある大使館、近隣の諸国にある我が国の大使館を通して密接に、イラクの国内にいる日本人と頻繁に連絡を取っております。  おっしゃるように、人間の盾という形で入国をなさる方が増えているということは残念ながら事実でございます。それで、こういった方に対しては、バスの停留所や飛行場で行かないようにという説得をしておりますし、毎日無事でいるかどうかという連絡の電話を掛けておりますけれども、通信状況が非常に悪くなってきていまして、なかなかその連絡を取るということが大変になってきているということと、それからその人間の盾として入っていらっしゃる方、個人、市民団体ということで、最新の情報で十五人いらっしゃいますけれども、そのうちの五人が変電所等に張り付けになっているという、そういうところにいるということでございます。  この方々、連絡を取るわけでございますけれども、日本政府から頻繁に電話が掛かってくるということについて、あらぬ懸念をイラク政府から受けるということについての懸念があり、また自分たちのこれは自己責任で行っているので、ということだから余り構わないでほしいということをおっしゃる方もいらっしゃいまして、相当な時間を割いて今連絡、安全の確保、確認ということをやっておりますけれども、こういう形でやるのがどうか、いいかどうかということも考えざるを得ないような状況に今なってきているということでございまして、今後連絡を取るということについては控え目にやらないといけないのかなという感じも持っております。  いずれにいたしましても、邦人の保護、これについてはイラクにいる人だけではなくて周辺の国にいる人たち、これも五千人弱いますけれども非常に重要でございまして、例えば昨日、一昨日ですけれども、サウジの中でクウェートの国境まで実際に再確認を、自動車で走ってみて、してみて、これ六百キロあるわけですけれども、道が大丈夫だというようなことを確認を、再確認をしたりというようなことをいたしまして、万全を尽くしております。  また、現時点でそういう需要はまだないですけれども、必要であれば政府専用機等を飛ばすということで、十分に用意をしているということでございます。
  267. 高橋千秋

    高橋千秋君 イラクに何人いるんですか。イラクに何人というのは今つかんでみえますか。
  268. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 現時点で四十五名です。
  269. 高橋千秋

    高橋千秋君 何かまた増えたような人数ですけれども。  これ、人間の盾として行かれる方は、それで戦争を阻止したいということだと思うんですけれども、ちょっと邦人保護ということを考えると大変なことだなと思うんですが、入ってしまったらもう手だてはないということなんでしょうか。  大臣、入ってしまったらもう手だてはないんですか。
  270. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省として、出てくださいということを強制するということはできないわけでございます。
  271. 高橋千秋

    高橋千秋君 そこまで思い詰めて行っている方もいると思うんですが、しかし私は、邦人保護は確実にやっていただけるように、是非お願いをしたいと思います。  それと、今回の問題で一番大きな問題になっているのは国連の話なんですが、国連の中で常任理事国で、なろうと、ずっと日本常任理事国になりたいということで努力をされてきたと思うんですが、ここのところ遠い目的になってしまったような感じもしますし、ここの国連中心主義というのは、私は日本にとっては大事なことだと思うんですが、今、事実上国連が何かもう分裂してしまったような感じがするんですね。戦前、第二次大戦の前に一九三三年に日本が国際連盟から脱退をして、そして大戦に走っていったわけですけれども、今のアメリカ状況を見ると、何かそれを思い出してしまうような感じもしないでもないんですね。  私は、この国連というのをもう絶対にやっぱり堅持していくべきだというふうに思うんですが、このことについて、その常任理事国にまだなろうとしているのか、それから国連、この戦争の後、早く終わってほしいと思いますけれども、国連をどうやって再構築していくのかということについて、もう一度外務大臣の方から答弁いただけますか。
  272. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今回のことで国連が意見が、手続面といいますか、その実行の仕方について違ったということでして、イラクの武装解除が必要であるということについては一致を見ているわけでございます。今回のことで国連の重要さが、重要性が何ら減ずるものではございませんし、国際的にいかなる方法を取るかということについて協調ができなかったということは、アメリカ、イギリスに責任があるわけではなくて、事実関係としては合意ができなかったと、そういうことが残っているわけでございます。  我が国としては、引き続き常任理事国になりたいと考えておりますし、国連改革ということを進めていくことが非常に重要であると思います。国連の今の機能の仕方というのは、五大国が合意をしているときに一番うまく機能ができるという形になっているわけでございますので、今後引き続き、国連の正当性あるいは実効性といったことを考えながら改革に取り組んでいく所存でございます。
  273. 高橋千秋

    高橋千秋君 戦後のことを、今も戦後のことも含めて質問させていただきましたけれども、日本にとって懸念されなきゃいけないのは、この戦後に戦費負担、それから復興費の負担。これ、前回の湾岸戦争のときに一兆六千億ぐらい日本は臨時増税で出しているんですね。あのときと今とはもう経済情勢が全く違うと思うんですが、これについて、既に戦費負担してほしいとか、そういう話というのは来ているんでしょうか。
  274. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 戦費の負担をしてほしいという話は来ておりませんし、我が国として戦費の負担をするという考えは持っておりません。
  275. 高橋千秋

    高橋千秋君 戦費とそれから復興費、復興の手だてについてはいかがなんでしょうか。
  276. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 復興につきましては、これは今後の推移で、どのような形で戦争が終わるかということにも依存をいたしますので、今の時点でこういう形でということを、確たることを申し上げることはできませんけれども、いずれにしても、その復興国連の、国連が関与する形で国際協調の下に行われるということは望ましいというふうに考えておりますし、我が国も、国際社会の中で責任ある立場として、そういう形になって、全国際社会が一体となって取り組むことができるように外交的な努力をしていきたいと考えております。
  277. 高橋千秋

    高橋千秋君 アメリカの研究所が試算している部分でいうと、大体四兆円ぐらい今回負担してほしいというふうに出てくるという数字もマスコミに出ておりますけれども、今の財政状況の中で四兆円なんてとても考えられないと思うんですが、一兆円でも大変なことですが、財務大臣、これ、もしそういう負担してくれと来たときに、どうやりますか。
  278. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 誤解があったらいかぬと思うんですが、戦費の負担ということは今、日本は全然できません。外務大臣言っておりますように、周辺国の援助であるとか、あるいは難民救済であるとか、あるいは戦後復興とかいうようなものは持てます。しかし、戦費の負担ということは今のところできませんし、また全く考えておりません。
  279. 高橋千秋

    高橋千秋君 復興費も含めてです。復興費も含めて。
  280. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 復興費。これはまだ国連等を中心にいろいろと考えてこられることだろうと思いますので、まだ全く未定の状態であります。
  281. 高橋千秋

    高橋千秋君 ですから、私が言いたいのは、それがもし一兆円とか四兆円とかいう数字で復興費も日本が出してほしいといったときに、そういう準備ができるのかどうかということを。
  282. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、国際的に、こういう負担金を出すときには大体ルールのようなものがございまして、まあええ加減な数字が皆独り歩きしているので私は非常に迷惑しておるんですけれども、そうではなくして、やはり分担を、もし復興資金の分担をするということをいたしますならば、アフガンのときは三年で二億五千万ドルですか、を負担しました。あのときには一二・六%だったかと思いますが、そのような言わば一つの基数のようなものがあります。  ですから、幾らが復興で、どの程度の復興が必要なのか、難民はどういうようなとき救済するのかと、その大枠が決まらないと幾らなんということの想像もすべきではないと思っておりまして、私の方はまだ全くそういう点について未知数であります。
  283. 高橋千秋

    高橋千秋君 出ている数字で、四兆円もし払うとなると、一人、今後一人三万円ぐらいになるんですね。今、減税の話をずっとしておりますけれども、減税したところで、こういうことでまた出さなきゃいけないということになると、日本経済に与える影響もすごいと思うんですね。だから、私は、こういうことも頭の中に入れていかなければいけないだろうと思うし、むしろ私は、各国に対して、そういうことできませんというメッセージを送ることも必要だと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  284. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、復興についてどのような形になるかというのは戦争の今後の推移を見ないと分からないということで、今確たることを申し上げることはできないということでございます。  それで、日本がどれぐらい負担をするか、負担しないと委員がおっしゃるように言うかどうかということですけれども、委員は御質問の冒頭で、日本のプレゼンスが感じられないということを嘆いていらっしゃったというふうに記憶をいたしておりますけれども、しかるべく我が国として国際社会の中で責任ある立場を果たすべきであるのではないかというふうに思う次第でございます。
  285. 高橋千秋

    高橋千秋君 私は都合のいい取り方だと思うんですが、そんなお金を出すことがプレゼンスを発揮することでは私はないと思いますよ。何も説明もせず、何もアメリカやそういう諸外国に対して働き掛けもしないということが存在感がなくなってきているということを私は言いたいと思うんです。  それで、これイラクの問題、もう時間ありませんので、ここばかり言っていられるわけにいきませんが、イラクのこの戦争の中で、防衛庁長官にお聞きしたいんですけれども、どうも北朝鮮の動き、ベーカー駐日大使が、北朝鮮がミサイル実験をする兆候があるというふうなことを言われているようでありますけれども、その辺はつかんでおられますでしょうか。
  286. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 具体的に我が国に対しまして直接影響があるような兆候というものは、現在情報に接しておりません。
  287. 高橋千秋

    高橋千秋君 防衛庁長官は、もし実験ではなくて日本にミサイルが撃ち込まれたときに、撃ち込まれてから自衛隊は災害救助にしか対応できないという発言をされておると聞いております。これについては事実でしょうか。
  288. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) あるいは私の言い方が悪かったのかもしれませんが、私が申し上げましたのは、防衛出動という場合には、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使というものが防衛出動の要件になっておりますわけで、これが何だかよく分からないと、実験なのか何なのか分からない。つまり、組織的、計画的な武力の行使ということに当てはまらなければ、これは防衛出動の要件にならないだろう。しかし逆に、それが組織的、計画的な武力の行使ということになりました場合には、これは防衛出動の要件を成就いたしますから、それは防衛出動ということになるわけです。  つまり、ミサイルがどういう形で飛んでくるのか、着弾をするのかということによって違いますわけで、それがすべて災害出動でなければできないなぞということを私は申し上げておるわけではありません。それは、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使であれば、これは災害出動で出るはずがないのであって、これはもう委員御承知のことと思いますが、防衛出動というのはおそれがある場合でも下令ができるわけですね。おそれ出動ということで下令ができる。  ただ、自衛権の行使として武力行使を我が方がする場合には、自衛権発動の三要件を満たさなければいけない。防衛出動を下令をするということと防衛出動として武力を行使するということはまた別の概念でございます。
  289. 高橋千秋

    高橋千秋君 そうなったときに、ミサイル、これなかなか撃ち落とすのも大変な、イラク見てもそうですが、このミサイル、現実に突き付けられているような状況にあるわけですけれども、北朝鮮から突き付けられているような状況にあるわけですよね。これに対して、ただ漫然と見ているということになってしまうのか。私はこの対応を是非すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  290. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは再三お答えをいたしておりますように、例えば今イラクにおいて、イラクが発射したミサイルをパトリオットによって迎撃したというふうに言われております。ただ、あれは五百キロメートルぐらいの射程のミサイルでございまして、仮に北からというふうに仮定をいたします、そうしますと千キロを超えますミサイルになるわけですから、落下する速度は非常に速いということになります。それに対応するような迎撃ミサイルというものは現在まだ配備をされておりません。これは日本だけではない、日本だけが無責任なわけではなくて、それは合衆国においてすら二〇〇四年度からPAC3あるいは地上固定型イージス、これを組み合わせたミサイル防衛網を配備するという話になっておりますわけで、現在、世界じゅうどこもそのようなものを撃ち落とすものは持っておりません。  ただ、繰り返しになりますが、イラク等でなされておりますのは、本当に限定的に、五百キロぐらいの比較的スピードの遅い弾道ミサイルに対しましてPAC2でありますとか、あるいは使われたというお話もございますが、PAC3でありますとか、そういうものが限定的に能力を持っておるわけでございます。  ですから、日本において、例えば射程千三百ぐらいのマッハ二十ぐらいで落ちてきますもの、これに対してどう対応するのか。委員が、先ほど漫然としておってはいけないというお話がありました。そうしますと、ミサイル防衛というものを我が国が導入するかしないかという場合に、それが一体幾らお金が掛かるのか、どれぐらいの精度があるのか、我が国で法律的にどのような裏打ちをするのかという議論をきちんといたしまして、安全保障会議に諮るということに相なるでありましょう。あるいは、座して死を待つのは憲法の予定するところではないということになりますと、これは、打撃力というものは日米安全保障条約によって、あるいはガイドラインによりまして米国に依存をするということになっておるわけであります。  じゃ、それでどうなんだという御議論が仮におありであるとすれば、それはそれで一つ議論かと思いますが、ミサイル防衛につきましてはそういうことでございますし、打撃力については米国にゆだねるというのが現在の我が国の方針でございます。日米の信頼関係というものはそういうものだというふうに心得ておる次第でございます。
  291. 高橋千秋

    高橋千秋君 この問題については扇大臣に来ていただいておりますので、最後にこの分だけで聞きたいんですが、日本のセキュリティーシステム、空港、先日、私もアメリカから帰ってきて成田から名古屋へ乗るときに、セキュリティーシステムがアメリカに比べて非常に甘いんですね。同じような格好で入っていっても日本では全然鳴らないんですよ。パソコン持っていても、アメリカでは一々粉末爆弾の検査をしたりとかやるんですが、日本では全くないんですね。  フェーズEということで頑張っておられるようでありますけれども、随分甘いように思うんですが、これについていかがでございましょう。
  292. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 御存じのとおり、空港の検査に関しましては、フェーズⅠ、フェーズⅡ、フェーズEと三段階ございます。まず、フェーズⅠにつきましては警戒、そしてフェーズⅡについては厳戒、フェーズEが非常ということで三段階で、現段階ではフェーズEの検査をしております。  アメリカに対して日本が緩いのではないかとおっしゃいましたけれども、主要の空港に関しましてはフェーズEで、今までは金属探知機というようなものがない、ただフェーズⅠ、Ⅱというものがありましたけれども、九・一一以来、空港によってはこのアメリカと、靴まではがして、脱がして、あるいはベルトというのがアメリカは今やっています。けれども、これは爆発物や凶器を発見するためであると我々は聞いておりますけれども、この危険物については我が国の通常検査でも相当程度探知可能であるということを言われております。  それで、挙動不審者について、また荷物を開くというのは当然のことなんですけれども、私はこのイラク情勢の緊迫化に伴って三月の十九日、改めて、これは財務大臣も御存じですけれども、貨物というものを重視しようということで、三月の十九日に不審な貨物への厳戒をするようにということで、各陸海空の輸送事業者に対して通知をいたしました。  そのように、アメリカとはかなり違いますけれども、爆発物に関してはそのように全部脱がさなきゃ分からないと、金属探知機では爆発物は検出できません。そういう意味では、羽田等と、余り空港の名前出したくないんですけれども、主要なところには検査を、能力、程度、状況、強い感知するものというものを私も見てまいりまして、現実に行って見てまいりましたので、そういう意味では今後、アメリカほどではありませんけれども、かなり日本の厳戒態勢も性能的には上がっておりまして、空港全域と、空港というわけにはいきませんけれども、数か所の空港では厳戒態勢の感知できるものを導入しています。
  293. 高橋千秋

    高橋千秋君 先日、日本からハワイへチケットも何も持たずに行って追い返された人がおりますので、そういうこともありますから、是非もう少し厳しくしていただきたいなと思います。  もう時間がございませんので、今日いろいろ質問通告させていただいておりますが、特区のことをお聞きしたいと思います。  経済特区、構造改革特区なんですが、実は私の地元の三重県でも、今特区特区と言いまして、それがあればもう景気が一気に回復するような話、出てくるんですね。ところが、全然中身見ますとそんな、これやったところで本当に良くなるのかというのを、もう疑問な点がかなりあります。  大臣、一生懸命これ頑張っていただいていて、官僚と随分やっていただいておるようですが、是非もっと頑張ってほしいと思うんですが、この中身を見ると、特区は確かに特区なんですが、やって、それが良ければ後出しじゃんけんのところがどんどんどんどん勝ってしまうようなやり方なんですね。これは特区にならないと思うんですが、いかがでしょうか。
  294. 鴻池祥肇

    国務大臣(鴻池祥肇君) 御支援の御質問ありがとうございます。  三重県の場合を例に取って言われましたから三重県の場合を申し上げますと、後出しじゃんけんはいたしません。三重県の場合だけであります。  以上であります。
  295. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間が来たので終わりますが、三重県だけの話ではなくて、やはり中身を、制度を見ると、やっぱり後出しじゃんけんが勝つようなシステムになっていますので、この中身も是非見直してください。  以上です。
  296. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で郡司彰君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  297. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、森本晃司君の質疑を行います。森本晃司君。
  298. 森本晃司

    ○森本晃司君 私は奈良県に住んでおりまして、観光という問題、生まれたときから関心を持っているという状況でございますが、二十一世紀のリーディング産業一体何だろうかと、こういったことを考え、あるいはまたこれからの日本経済を更に活性化していくには何が必要だろうと。私はここは、観光産業が一番リーディング産業としての役割を果たすんではないだろうかというふうに思っております。  今、日本から外国へ行かれる方が千六百二十二万人、外国から日本へお迎えする人が四百七十七万人、これはもう大きな差があるわけでございまして、同時にまた国際収支で考えてみますと三・五兆円の赤字という状況でございます。今まで日本は、どちらかというと観光産業については国内旅行あるいは海外旅行ということに力を入れてきたようでございますけれども、外国人の方を日本に受け入れる、そういう体制をしっかり作って日本の観光産業にやっていかなければならないと、私はそう思っております。  我が党内でも、この三月三日の日に観光立国推進プロジェクトチームを作りまして、私がその座長になって、毎週勉強しながらいろいろと、国土交通大臣の考えておられること、あるいは総理が打ち出されたことについてしっかりとバックアップをやり、大きく推進をしていかなければならないと思っております。  また、観光というのは、これは我が国世界に誇る山紫水明の国であり、世界を回ったら大抵やっぱりみんな日本が一番良かったという感じになりますが、同時に、日本はいろんな産業を持っています。この産業も見ようという人たちが大変増えているわけでございまして、JR東海の須田会長は、産業観光ということを打ち出しておられます。  それも含めまして、国土交通大臣、先般私、国土交通委員会で、大臣ひとつ、かつてコマーシャルに出られたんで、今回もまた日本の観光産業をアピールするコマーシャルにお出ましになって、私はその通行人Aでそばにおりますからというふうに申し上げましたが、そういったことも含めまして、全体的に大臣のこの観光立国に取り組む御決意をお伺いいたします。
  299. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 森本議員に大変私は、二十一世紀の第三次産業の基幹産業として、私は観光というものを据えなきゃいけないということを考えておりますので、本当に御支援をいただいて有り難いと思いますし、様々な御提言をいただきましたけれども、国土交通省としましても、本年をツーリズム元年ということで、観光客を誘致しようということで頑張っております。  それ三つございますので、三つ申し上げますけれども、国際空港やアクセス、鉄道、道路整備等の受入れ体制の整備、今おっしゃったとおりでございます。それから二つ目には、観光コスト高の是正。そして三つ目には、韓国、米国、あるいは中国などを対象とした日本の観光魅力を戦略的に海外に発信するためのビジット・ジャパン・キャンペーンをするということで、初めてでございますけれども、十五年度の予算で、観光関係予算で、復活折衝で財務大臣の御理解もいただきまして、初めて事業費二十億円をビジット・ジャパンのために取っていただきました。  これも有効に使うということを申し上げたいと思いますけれども、御存じのとおり、少なくとも先生が乗り降りされます関空も、果たして受入れがどうなのかということでは、観光産業の、皆さん方にも来ていただくのに、なぜ空港に渡るのに千七百二十円のあの橋を通らなきゃいけないのかとか、あるいは成田から羽田に来ますのにも、都心に来るだけでもタクシーが二万、約二万、そして高速料金が二千三百五十円別途掛かると。  このようなことも我々は頭に入れて、より外から来る人たちが、日本はいいなと、今おっしゃったすばらしい観光というものを子供や孫にまで見せたい、友人にも見せたいと二度三度来日したいという意欲がわくような交通整備、あるいは割高と言われるホテル、旅館等々あらゆる面で、総理がおっしゃいました倍増計画、今の四百万人、国内へ来る人を一千万人目標にいたしますので、頑張っていきたいと思っております。
  300. 森本晃司

    ○森本晃司君 国土交通大臣の大変な御決意を伺いました。問題点はたくさんあると思います。関空の問題もしかりでございます。あした私はまた関空を利用することになっておるわけですけれども、そういう問題点、毎回思いながらあの橋を渡っておるわけでございます。  そこで、やっぱり、その今、大臣がおっしゃった二〇一〇年に倍増の一千万人達成しよう、こういう考え方に立ちますと、やはり近くの韓国と、そして中国、この人たちをやはり日本にお招きすることが極めて大事でございます。  先般、私、韓国のシャトル便構想のお話をさせていただいたときに、大臣に御質問させていただいて、最後の方で、じゃ、羽田空港再拡張前のシャトル便構想についてはどうかということをお尋ね申し上げたんですが、少々その点が明確になっていなかったようでございますので、ここで改めてもう一度お伺いさせていただきます。
  301. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 大変御理解をいただいて、羽田の四本目の滑走路、これを少なくとも早期に実現し、なおかつ千葉県、東京都、神奈川県、埼玉とあらゆる皆さん方に、ちょうど明日でございますけれども、各知事さん、そして千葉市長さん、神奈川、市長さん等々お集まりいただいて羽田の四本目の滑走路の御説明を私申し上げようと思いますけれども、これによって少なくとも国際的にも私は、羽田の乗り入れというものを、ワールドカップサッカーで週深夜七十便飛ばしていただいていますので、成田と羽田を通して私は二十四時間オープン、そうでなければ国際的にお客様を受け入れられない。成田が十一時でクローズですから、夜の十一時からは羽田へ、そして朝六時まで羽田使って、また成田が朝六時から開くと。両方のあるものを利用して二十四時間オープンという形を取らなければ、私は、国際空港として日本がお客様を受け入れます受け入れますって、何をどう玄関口をするのかということもありますので、これも私は明日、多くの知事さん、市長さんの御理解を得て少なくとも四本目の滑走路を国際的にしたいと思いますし、今まで羽田空港の国際のターミナルがございました。そこを一本増やしておりますので、それをワールドカップサッカーのように金浦と羽田のチャーター便、シャトル便というものを飛ばしましたので、その経験も含めて、今後その対応を図っていきたいと思っております。
  302. 森本晃司

    ○森本晃司君 ありがとうございます。  もう一度、あと一点だけ確認したいんですが、羽田の再拡張前も、シャトル便構想についてはどう考えていらっしゃいますか。その点についてお答えいただけますか。
  303. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 夜だけではなくて、昼間もできれば月に十便はチャーター便を羽田に受け入れる。今は夜だけですけれども、お昼も何とか管制官のやりくりによって十便は受け入れることができるようにというのも今していただいていますので、安全を守りながらチャーター便というののシャトル便に切り替えるということが両方のシカゴ条約でうまくできるように取り計らっていきたいと思っています。
  304. 森本晃司

    ○森本晃司君 中国の政府系シンクタンクが発表したところによりますと、中国の人たちで旅行に出資できる中産階級、海外旅行も含めまして既に一億人がいてるという推計もあるようでございまして、これから更にまたそれが増加していくわけでございます。  それと、日本全国の地域が中国の人々と、中国の地域と大変な今交流を強く望んでおられます。例えば、我が奈良県の奈良市と西安市、これはもう姉妹都市を結んでいる。こういう状況が、姉妹都市関係二百八十、アメリカと四百二十八に次いで第二番目の状況にあります。それから、北海道の登別市は広州市と観光促進都市の調印、中国、国際観光博に多くの地方自治体が出展ということでございます。  こういうことを踏まえますと、国際観光の振興で極めて、中国との関係も極めて大事だと思いますが、法務省と外務省の御見解を聞きたいと思います。
  305. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 議員御指摘のとおり、昨今、中国では国民所得が大変増加をしまして、一般国民の海外旅行も大変盛んになってきております。それらの動きを受けまして、二〇〇〇年の六月でありますか、団体観光実施に関する公文書を交わさせていただきました。そして、九月から実施をさせていただいたわけでありますけれども、自来、今年の一月までに五万三千人の方々が観光、団体旅行として日本を訪れております。  また、地方自治体との関係でありますけれども、幾つか事例を話されました。今、全国で我が国が友好姉妹都市を結んでおるのは二百八十に及んでおります。ですから、そういった関係をより活発化させていくということも非常に有効な話だと考えておりますし、我が省としましても、こうした交流を通じて両国民の相互理解、相互信頼、深まることによって両国関係の基礎が一層強固なものになると考えております。  こうした観点から、関係省庁とも連携をしつつ、中国との間の国際観光振興及び中国における広報活動を引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  306. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) 国際観光の振興というのは非常に重要な政策でございまして、総理の施政方針演説にもあった重要施策だと私も認識しております。しかし、御承知のように、日本の場合は、特に中国という話でございますと、団体旅行で中国からお迎えした人々の中に、わずかですけれども不法入国とかあるいは不法滞在というようなことで、そういう方が何人かいらっしゃるということがありまして、非常に心配されるわけでございます。  法務省といたしましては、こういう状況を踏まえまして、国際観光の拡大に適切に対応していかなければならないというふうに思います。
  307. 森本晃司

    ○森本晃司君 法務省のそういった問題があることは私も承知しておりますが、余りにもそのことばかり気にしているから、多くの中国の人たちが来たくても来れないという状況もあります。そういったことに対する対策は対策として、分けてきちんといろいろとまず考えていただければと、私はそう思っております。  私は一九七九年の一月に初めて中国を訪問いたしました。そのとき北京空港に私たちを迎えてくれたのは、後の日中友好協会の会長になられました孫平化先生でございました。この孫平化先生が空港で我々を迎えると同時に、日中金の橋について語られまして、この二つは、金の橋には二つの大きな意義があるんだと。一つは、この金の橋の両側にゲート、門がない、いつでも自由に行き渡ることができる金の橋が今架かったんだと。もう一つは、この金の橋は渡れば渡るほど堅固な橋になっていくんだというお話を空港でいただいたとき、私は、ちょうど日中国交回復のすぐ直後でございましたけれども、大変な感銘を受けた次第でございます。  それから幾たびとなく中国を訪問させていただきまして、今年もまた寄せていただく予定でございますけれども、二年前に私は全く個人で、一人で初めて旧満州の長春を訪問させていただきました。そこの東北師範大学で講演をさせていただいた後、中国の学生百人といろいろと懇談をしたわけでございます。その百人の学生たち、日本語を大半が話せまして、日本に大変関心を持っていて、二時間に及ぶ質問会、えっ、こんなことまで知っているのという、日本の政治情勢も含めての質問があったんです。  私は非常にそのときに、これは更に更に民衆の心を結ぶ交流を深めていかなければならない、日本といろいろなことがあった旧満州の地域人たち日本のことをそんなに思っているということについては、もっともっと私たちも胸襟を開いて対話を重ねていかなければならないのではないかと。そのためのいろんな私は民間の交流を観光も含めてしっかりとやることが必要であると。民間がそういう交流、人の心と心のつながりが大海であって、その中、政治や経済の船が行き来するという形になっていくのが一番すばらしいことではないかと思いますが、外務省の見解、ちょっとお伺いいたします。
  308. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 日中両国国民の交流を一層拡大し、そして両国の幅広い分野における協力関係を推進していくことが大変極めて重要だというふうに考えております。  今御指摘のとおり、昨年は日中国交正常化三十周年でありました。日本年、中国年という位置付けでもって、中国から昨年五千人の方々が日本を訪れていただきましたし、日本からは中国へ一万三千人の大デレゲーションでもっての訪問をいたしました。なおかつ、民間におかれましては、宝塚等々、民間レベルでの大変な交流もなされたということで、北京、上海等々でもって公演をされて大変好評を博した。また、NHK等々でもっての素人のど自慢ですか、あんなことも大変効果があったかと考えておりますし、また本年は、昨年に引き続きまして日中平和友好条約締結二十五周年の記念すべき年だということで、両国の将来を担う青少年を始めとしまして、両国国民の相互の交流の強化に向けて一層努力をさせていただきたいと考えております。
  309. 森本晃司

    ○森本晃司君 中国からの、これはお伺いしたい、外務省にお伺いしたいんですが、中国からの団体旅行参加者の居住地域別参加者数は一体どれぐらいですか。
  310. 三沢真

    政府参考人(三沢真君) 中国からの訪日団体観光旅行は、平成十二年九月の第一陣来訪以来、十五年の一月末までで累計二千六百十七団体、人数で申し上げますと五万三千人余でございます。  その地域別の内訳でございますが、北京市が四百八十団体、一万八百三十人、上海市が三百六十八団体、七千二百五十人、それから広東省が千七百六十九団体で三万四千九百七十一名という内訳でございます。
  311. 森本晃司

    ○森本晃司君 今話がありました、報告がありましたように、北京、上海、広東の居住者に、今そこに限定されているわけでございまして、中国十三億人の人々になかなかそういうチャンスが与えられないというような状況であります。私は中国人の団体観光対象地域の拡大が必要ではないかというふうに思いますが、外務省の見解をお伺いします。
  312. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 今御指摘がありましたように、五万三千人を超える訪日の団体観光客になったということで、この団体観光旅行制度を層一層活用して、ひとつ、より一層の中国国民の訪日を果たそうというふうな思いでありますけれども、反面、先ほど森山法務大臣からも御指摘がありました失踪者、不法残留者等、当初予期していなかったような制度の悪用事例が、若干でありますけれども、起きております。それらの問題を解決しつつ、今後、拡大の対象として、問題の少ない都市、地域対象に今後加えていこうかなと、そんな検討を進めているところであります。
  313. 森本晃司

    ○森本晃司君 団体観光旅行対象者のビザでございますが、今は北京大使館とそれから上海総領事で取り扱っておると、そのように伺っておりますが、一番私は取り組まなければならないものは、先ほどの数字にもありました一番多い広東省関係、このところが北京か上海に行って手続をしなければならないという大変な不便な状況にあるわけでございまして、これはそうではなしに、広州の総領事で取り扱うことはできないのかどうか、外務省、お願いします。
  314. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 議員御指摘のとおり、今、北京、上海、広東、この三地域日本の団体旅行を認めている地域ということでありまして、先ほど御指摘のとおり、その中でも六七%が広東省が占めているということで、その対応たるや必要に考えております。  先般も国内の地方自治体からも是非広東省でビザ発給をしてくれという強い要請もあったことも事実であります。申請者の利便性を考慮しつつ、できれば広東省在住者の査証申請を受け付けられるようにしたいという思いでありますけれども、残念ながら当面、体制がまだ整っておりません。今、体制を整備しつつ努力を展開中でありますけれども、本年の秋口ぐらいにはその体制が整うかなという思いで努力をさせていただこうと考えております。
  315. 森本晃司

    ○森本晃司君 秋口に是非そういう良き結果が得られるようにしていただきたいと思います。  あとは、やはり観光旅行者を増加すべきということを考えると、いろいろと公館の人を増やしていく必要があるかと思うんです。ただ、人員を増やすということは大変なことでございますから、いろいろやりくりをしながらそういうビザの取扱いができるようにしていくべきだと思いますが、その辺の決意についてはどういう状況でございましょうか。外務省。
  316. 矢野哲朗

    ○副大臣矢野哲朗君) 体制をいかに整えていくかというふうなことだと思うんでありますけれども、地方自治体の協力も得て、研修を経て、そういうふうな体制の中に組み込みながら万全を期したいと、そんな今後の展開を考えております。
  317. 森本晃司

    ○森本晃司君 国土交通省では、十四年度補正予算を使って中国など五つの国、地域対象に市場調査を行っているようですが、官民挙げて中国国民の訪日、旅行拡大の戦略プランを早急に作成すべきと考えますが、国土交通省の考え方をお伺いいたします。
  318. 三沢真

    政府参考人(三沢真君) 先ほどから大臣大臣の方からお話がございましたように、国土交通省において、平成十五年から戦略的な訪日促進キャンペーンとしてビジット・ジャパン・キャンペーンということで官民挙げて本格的に展開を図ろうということで準備しております。その事前準備ということで十四年度の補正予算の中で、それぞれの市場の、市場、どういうニーズがあるか、どういう点に重点を置いていったらいいかと、そういう市場調査を行っているところでございます。当然、その調査結果が出次第、その市場ごとにどういうキャンペーンの方策がいいかということを検討して、できるだけ効果的な訪日旅行の拡大施策を行っていきたいというふうに考えております。
  319. 森本晃司

    ○森本晃司君 厚生労働大臣、大変連日御苦労さまでございます。  観光についてはこの程度にしておきまして、またいろんな機会で、今日は中国を中心に取り上げさせていただきましたが、また国土交通大臣といろいろと議論をさせていただきたいと思います。  年金制度についてお伺いいたします。  高齢化が更に進みます。そして、約百二十万人と言われる団塊の世代の人たちが五、六年後に年金を受給する年齢を迎えるわけでございますが、そうなりますと、保険庁の業務、一層増大することになるかと思います。ここで一つ問題点が、二つ出て、問題点が二つ出てくると思います。  一つは、受給者にどういう情報を提供することができるのか、これが大事なことでございまして、ついこの間もテレビでやっておりましたけれども、何年加入したらどれぐらいなのか自分でさっぱり分からないという、そういったところがあります。それから、五十歳になったが十年後には私はどうでしょうかということに関してもう少し情報を提供してあげるべきではないだろうかということ、一点。  それからもう一点は、非常に申請手続が複雑でございまして、確定申告のような手続ができないだろうかということが、簡素化が求められます。これは社会保険庁の業務の効率化、合理化も含めて。  こういった二点に取り組むべきだと思いますが、いかがでございますか。
  320. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 年金制度を今回見直すわけでございますが、その中で一番大事なことの一つに、やはり皆さんがよく理解をしていただきやすい、分かりやすい制度にするということが大事でございますし、そして世代間で大体どういうふうになっていくのか、そしてまた個人の場合にどうなるのかといったことが分からなければならないわけでございます。  最初の方の個人の問題につきましては、年金相談受けておりますが、具体的なその年金見込額に関しまして情報提供を行う対象者の範囲を今五十八歳以上にしておりますけれども、これを五十歳以上に引き下げると、これは平成十五年度から段階的に実施をしていくと、こういうふうにいたしております。  それから、年金受給が近づいた五十八歳到達者に対しましては、被保険者記録を直接本人あてに通知をいたしまして、希望者に対しましては年金見込額の別途通知を行う、こういうことを計画をいたしております。  それからもう一つは、個人認証に基づきましてインターネットを通じて照会を可能にしまして、被保険者記録、一定年齢以上の者の年金見込額等の情報を提供できるように、これはIT化によりまして、したいというふうに思っております。個人情報、しっかりできるような体制を作っていくということが一つ。  それから、世代間の問題、これは全体の問題でございますので、この世代間でどういうふうになるかということにつきまして、大枠でこれが分かるような形ということが大事でございますので、今度新しい制度を作りますときにはそういうことを明確に最初にお示しをできるようにしたいと、こういうふうに思っております。
  321. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非、書類も簡素化していただいて、そして皆さんがそういった状況を分かるように是非お願いをしたいと思います。  社会保険事務所に相談に行きますと、二時間か三時間ずっと待たされて、そしてわずか説明が十分か二十分、十五分という箇所があるように聞いていますが、年金相談体制、これを充実させるために一度実態をよく掌握していただいて、定員増やすということは無理なことだと思いますが、職員の適正配置、これを実施すべきだと考えますが、いかがでございますか。
  322. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 社会保険事務所の職員の配置につきましては、従来から各都道府県ごとの被保険者数あるいは事業所の数、年金受給権者数を指標といたしまして配置をしてきたところでございます。  お尋ねのように、年金相談が急激に伸びておりますので、私どもといたしましては、社会保険事務所の窓口を増やすとか、あるいは社会保険事務所とは別に年金相談だけを行うセンター、今五十六か所、六十五か所でありますが、全国に設置をしておりますが、こういったことを進めてまいっております。それから、人的な面におきましても、定員の増はなかなか難しいことでございますので、年金相談員といった名前の非常勤職員、こういったものの活用に努めてきたところでございます。  今後とも、それぞれの職場の実態をよく見極めながら、住民サービスに支障のないように職員の配置に努めてまいりたいというふうに思っております。
  323. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、年金相談員というお話がございましたが、全国に約二十万人に及ぶ社会保険委員の皆さんがおっていただいて、いろいろとそういった相談とかしていただいております。申告手続の負担の軽減とか、あるいは企業内ヘルパー育成の観点もやっていただいているわけでございますけれども、こういった社会保険委員の皆さんの有効活用をしっかりと図っていくべきではないかと思いますが、答弁お願いします。
  324. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) お尋ねの社会保険委員は、これは被保険者が十人以上の事業所に設置を私どもお願いをしておるところでございまして、御指摘のように、現在全国で二十万人委嘱をしております。  民間の事業所における協力者でございますから、その性格からしてお願いできる活動の範囲というのは一定の制約がございますが、ただ、年金相談とかあるいは事業所の中の保険活動と、こういった面では従業員の方の非常に身近な相談役になれるわけでありますから、御指摘のような趣旨で是非こういった面の活用ということにも努めてまいりたいというふうに思っております。
  325. 森本晃司

    ○森本晃司君 やはり高齢社会を迎えて、年金を受給される方々が非常に今関心を持っておられます。一体、自分たちの年金はどれほどあって、今後自分たちはどうなるのかと。  これは今まで以上の問題になっているかと思いますが、しっかりとそういった年金制度については、国民の皆さん、特にそういった世代の皆さんによく分かるように取り組んでいただくことをお願いいたしまして、終わります。
  326. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で森本晃司君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  327. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、池田幹幸君の質疑を行います。池田幹幸君。
  328. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党池田幹幸でございます。  今日は、物づくりの問題について経済産業大臣に伺いたいと思います。  近年、我が国の物づくり基盤の脆弱化、弱体化といったことが懸念されておるんですが、経済産業省におかれても、物づくり白書というものを出していろいろ分析しておられます。十三年度白書では、「我が国のものづくり基盤技術の現状と課題」ということで分析しておられますが、そこで、物づくり基盤の現状、これはどう分析しておられますか。
  329. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 池田先生にお答えさせていただきます。  近年、アジア諸国を始め、海外への製造業の生産拠点の移転、展開が相次いでいることは事実でございます。これを補完し得るだけの高付加価値分野の生産を国内に維持、確保できなければ、こうした生産拠点の海外移転の動きが国内の雇用に悪影響を与えるとともに、我が国経済を支える物づくりの基盤の維持強化に深刻な問題を与えるものだと、このように私どもは懸念しております。  日本商工会議所が昨年六月に発表した報告書、「「ものづくり安全保障」と地域中小製造業の競争力強化」では、全国商工会議所に対するヒアリング、アンケート調査に基づいて、空洞化が物づくり基盤に与える影響について六割を超える会議所が影響ありと、このように指摘しておりまして、我が国製造業の基盤が損なわれるのではと懸念をしているところです。また、これを踏まえまして、食糧安全保障でありますとかエネルギー安全保障と並んで、物づくりの競争力の維持強化をねらった物づくり安全保障を確立すべきと、このように商工会議所も提言しております。  物づくり大国を目指す我が国の重要な基盤である地域産業集積については、昨年六月に発表しました平成十三年度製造基盤白書において、産業空洞化の進展により深刻な事態に陥っている点について言及をしているところでございます。  同白書におきましては、特に大田区内の中小製造業を対象に行った調査におきますと、平成十三年度に受注額が対前年比で減少した企業のうち、取引先が何らかの形で海外に移転していると回答した企業は六割近くに上っておりまして、そのうち約三分の二の企業が受注額の減少には取引先の海外移転が影響していると、こういうふうにしているところでございます。  また、産業集積が行われている長野県の諏訪市の調査では、取引先の海外移転や海外からの調達の増加、取引先からの仕入れ原価引下げ圧力といった事情によって、全体の約八割の企業で受注額が減少していると、こういう事実があります。  また、先ほどちょっと御指摘いただきました中小企業白書においては、産業の空洞化が国内中小製造業、とりわけ中小下請企業に与える影響について分析を行っているところでございまして、空洞化による直接的影響を受けるのは下請企業でありまして、「親企業の海外進出に伴い受注量・売上高が減少する可能性がある。」、このように言及しているところでございます。  経済産業省といたしましては、こうした一つの事情を背景としてしっかりしなきゃいかぬと思っておりまして、物づくり基盤の重要性にかんがみまして、各省庁ともしっかりと連絡を取って、白書も掲げているように、研究開発の推進、これフォーカス21という形で重点化させていただいておりますし、産業集積の推進、これは地域産業クラスター、こういったこと、様々なそういった施策を講ずることによりまして、日本にとって非常に大切な物づくり基盤の維持強化に努めていかなければならない、このように思っておるところでございます。
  330. 池田幹幸

    池田幹幸君 非常に総合的にお答えいただきまして、後でいろいろ伺いたいなと思っていたことも大分カットできていいなと思うんですが、そこで製造業を、今お話にありましたように製造業の中の下請というのが非常に今深刻になって、それが地域経済の基盤を崩しているというお話だったんですが、その製造業の九九・六%が中小企業で、下請がそのうちの約半分なんですね。ですから、その下請の経営実態というのは本当に日本経済に物すごく大きな影響を与えてくるわけです。  ちょっと、ひとつそこの認識を新たにしたいと思うんですけれども、ここ十年来の下請中小企業の受注量、受注単価、これ中小企業庁にお願いしてありましたんですが、この十年来の下請の受注量、受注単価の推移、これはどうなっていますでしょうか。
  331. 杉山秀二

    政府参考人(杉山秀二君) お答え申し上げます。  私ども、毎月でございますが、三千六百社の下請中小企業を対象にいたしまして受注量とか受注の単価とかこういったものについての動向調査をいたしております。先生、十年来とこうおっしゃっておられますが、それぞれの受注単価、上昇、下降はございますが、特に最近目立ちますのは、やはり両方ともずっと長い間対前年同月比で減少が続いております。直近で申し上げますと、減少の幅というものは改善をいたしておりますけれども、その前年同月比で減少を続けているという傾向は相当長うございまして、例えば受注量で申し上げますと、平成三年八月以来、百三十七か月続けてこの受注量というのが対前年同月比で減少を続けているというような状況がこの調査の結果で出ておるところでございます。
  332. 池田幹幸

    池田幹幸君 今、受注量のお話あったんですが、受注単価もやはり一九九二年以来ずっと下がり続け、対前年同月比で下がり続けているわけですね。ということは、もう毎月毎月ずっと受注単価下がりっぱなし、受注量も下がりっぱなしですから、量、受注量が下がって受注単価が落ちているんですから下請の経営の深刻さというのはもうこれだけ見ても十分分かるだろうと思うんですが。  そこで、先ほどの中小企業団体、商工会議所の話がありましたんですけれども、要するに空洞化、グローバル化の影響というのはそういう形で表れてきているんだというお話でした。じゃ、中小企業、そういう状況、下請はそういう状況にあるんですが、その親会社の方、上場企業、大企業ですね、その業績、実績は一体どうなんだろうかと、V字回復と言われているわけですけれども、その実態について少し御説明ください。
  333. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 我が国経済は昨年に入りまして底入れをした後、一部に持ち直しの、持ち直しに向けた動きが見られるものの、このところおおむね横ばいとなっております。このような経済環境の中で、大企業、そして中堅企業の業況は全体として緩やかながら引き続き改善が見られると、こういうことは言えると思っております。
  334. 池田幹幸

    池田幹幸君 その全体、マクロの話言われたんですけれども、大企業ですね、上場企業についてこれ日経新聞が大体毎年集計調査をまとめるわけなんですが、この三月九日付け見てみますと、上場企業が七割増益確保するだろうと、この三月期決算ですね。これがリストラが寄与していると。人員削減や事業再編といった合理化で採算が大きく改善しているという説明があり、「売上高は前期並みにとどまる見通しで、低迷が続く国内景気と企業業績の回復は歩調が一致していない。」という分析をしております。これを経済産業大臣、どう見られますか。
  335. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 日経の記事も私も読みましたし、そういう傾向にあることは事実だと思います。  ただ、人員削減だけではなくて、やはり企業といたしましては、やはり生産性の向上、そういった面も取り組んだと思いますし、あるいは無駄を省くというようないわゆる製造工程の合理化等、そういうものを含めてそういう形に相なっていると思いますけれども、日経のそういう指摘は私は一部正しいと、こういうふうに思っております。
  336. 池田幹幸

    池田幹幸君 私もそう思うんですね。こういった事態、新聞などでは、V字回復勝者は一部とか、V字増益民富まずと、国民は豊かにならないといった見出しで伝えているわけなんですけれども、結局、大企業のV字回復は日本経済国民経済レベルで見ると余り良くはないと、貢献はしていないというふうに言えるんじゃないかと思うんですね。  結局、これは、さっきありましたように、個々の企業が一斉にリストラをすると、リストラ利益に走るわけです。他方、人員削減ですね、それから下請の切捨て、海外進出ということで、先ほどありましたように、この物づくりの基盤がこれでもって逆に崩れちゃって、結局は回り回って最終需要を減らしていっているということですね、自らの基盤を崩していっている。だから、正にこれは合成の誤謬といいますかね、そういったものに陥っているというふうに思うんですね。  このリストラに対する、こうなりますと一定の規制が私はどうしても必要だろうと思うんですけれども、つまり大企業の社会的責任といいますか、そういったものが必要だと思うんですが、といっても個々の企業は利益追求するわけで、それは悪いことじゃないわけですから、個々の企業に任せておいたんではこれはできません。やっぱりここでは政治の責任政府の行動というのが大事になってくるだろうと思うんですけれども。ところが、これは政府は、この合成の誤謬となって、発端となっておりますリストラ、これについてはむしろ支援をするということをやってきていると思うんですね。  そこで、伺いたいんですけれども、昨年、平沼大臣の提案で、優秀な経営者の表彰制度というのを作られました。これについて御説明ください。
  337. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  企業改革経営者表彰と、こう言いますけれども、中小ベンチャー企業の経営者を対象とした新事業挑戦者表彰とともに、昨年の四月、経済財政諮問会議で私から提案させていただきまして、新たに創設された内閣総理大臣表彰、こういう形の新しいものを作らせていただきました。  具体的には、経済構造改革国民全体の取組として推進する観点から、卓越した経営手腕を発揮して企業改革を行って、その結果として良好な成果を上げられ、他の経営者の模範となる経営者を内閣総理大臣から表彰させていただくとともに、他の経営者の企業改革の参考としていただいて、経済活性化の取組の幅広い展開に資することを目的とさせていただきました。  もう御承知だと思いますけれども、昨年十月十六日に官邸で表彰式を行わさせていただきまして、トヨタ自動車の奥田会長、それから日産自動車のカルロス・ゴーン社長、そしてキャノンの御手洗冨士夫社長の三名が表彰されたところでございます。  そういった趣旨で作らせていただきました。
  338. 池田幹幸

    池田幹幸君 三人のうちの二人が自動車メーカーのトップなんですが、この二人の表彰、このお二人の表彰理由はどういうものなんでしょうか。
  339. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 本表彰の受賞者の選定に当たりましては、四名の有識者から成る選考委員会、これを設置をいたしまして、一つは事業対象分野の選択と独自の経営戦略、それから二つ目はリーダーシップ等の事業家能力、それから三つ目は財務諸表に表れた結果としての事業実績、こういう三つの選定基準に基づいて御審査をいただきまして、その結果に基づいて私から総理に受賞者候補を推薦をして、総理が最終的に決定されたものです。  トヨタの奥田会長、そして日産のゴーン社長、これ、お二人とも自動車会社の社長なんですが、この三つの基準に照らしてこの選定の委員会でも高い評価を得られまして、そして本表彰の受賞者に選定をされたと、こんなふうに思っております。
  340. 池田幹幸

    池田幹幸君 先ほどのV字回復の中でも自動車メーカーというのはそのうちの代表でして、特にリストラ型の業績回復の代表、電機業界と並んで、並んでおります。  自動車の経常利益は三二%増えたということなんですが、その自動車メーカーは結局リストラの優等生ということなわけですけれども、リストラによる業績回復というものも、じゃ今の実績、リーダーシップということの中に入っているんじゃないかなと思うんですけれども、先ほど申しましたように、これは実際上は日本全体の景気回復には余り寄与していないということがあるわけなんですが、日本全体の景気回復には寄与しないが企業だけがもうけたという、日本全体の景気回復への寄与ということについては、表彰するに当たって勘案することはなかったんでしょうか。
  341. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 日産の例を申し上げますと、日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者は確かに合理化はいたしました。しかし、その中でしっかりと目標を掲げて、それを達成して、そして経常利益も生むようになり、そして危殆に瀕していた日産というものを、それは御指摘のように大きな犠牲を伴いましたけれども、それを回復軌道に乗せたと、こういうことはある意味では非常に評価できると思っています。そういう中でやはり輸出というものにも貢献して、その中で、日本の輸出の中で一定の地歩を占める、こういったことがございます。  したがいまして、確かに厳しい面もありますけれども、しかしそれを立ち直らせて更にそれが伸びていくということになれば、これはまた日本経済の全体のレベルアップにつながるわけでございまして、そういう意味では、御指摘の点も一つのファクターの一つでございますけれども、しかし総合的に判断をすれば、これは有識者の方々もそういう点を判断されて、そういう意味で表彰に値すると、こういうことでございまして、これがそのまま放置して日産が正に破綻をすると、こういうことになれば、もっともっと大きな経済的、社会的な影響がたくさんあったと、こういうことも側面から言えると思います。そういう中で総合判断で表彰したと、こういうふうに私どもは理解をさせていただいております。
  342. 池田幹幸

    池田幹幸君 合成の誤謬、業界全体で見れば合成の誤謬の状態にある、そういうところにリストラを推進するということは、これは何が、どう見たっておかしな話だと思うんですが、具体的にそのことをちょっと見てみたいと思うんです。  これは資料一を見ていただきたいんですけれども、七〇年代以来、自動車業界というのは、乾いたタオルを絞るという表現で言われたように大変な単価引下げ競争が横行しました。この資料一は、九五年以降の自動車・同附属製造業における事業所数、従業員数の減少の状態と、それから表三、従業員規模別・賃金格差、これを見たものなんですが、この表三を見ていただきたいんですけれども、この五年間でもうこれ賃金格差が大変に拡大しているんです。これをまず見てどういう感想をお持ちになりますか。
  343. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) この資料一の表の三の自動車・同附属品製造業の従業者規模別・賃金格差、これは一九九五年から二〇〇〇年までの数字を出していただいておりますけれども、これを見ますと、四人から九人、それから千人以上、その千人以上を一〇〇とした場合に、非常に賃金格差が広がっているということはこの表を見るとよく分かると、こういうふうに思います。
  344. 池田幹幸

    池田幹幸君 大変な格差の拡大の仕方なんですね。それも毎年毎年格差が広がってきているということと、規模の小さい企業ほど格差が大きいという特徴がこれ出ているんですね。これはやっぱり下請いじめですよね。その激しさを示しているというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  345. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 自動車あるいはその同附属品製造業の事業規模別の賃金格差につきましては、今、表でお示しいただいたように、賃金格差が拡大している、こういう見方もありますけれども、しかし一方において、製造業全体の数字と比較して見ると、総じて自動車・同附属品製造業者の方が賃金格差が小さいということは統計上見ることができます。  いずれにいたしましても、中小企業の労働条件において、平均給与というのは指標だと思っておりまして、実際には、勤続年数でございますとか、個々の従業員に対する評価との兼ね合いといった側面や中小企業退職金共済制度等による退職金の普及など、いろんな要因がございますから、そういうことで総合的に見ていく点も必要ではないかと、こういうふうに思います。
  346. 池田幹幸

    池田幹幸君 具体的に日産を例に取って見てみたいと思うんですけれども、これ、日産のリストラ、ゴーン革命などと言われておりますけれども、日産の二〇〇〇年から始まった日産リバイバル・プランというのがあるんです。これは有名、業界では有名なんですけれども、これは一体どういうものですか。
  347. 今井康夫

    政府参考人(今井康夫君) お答え申し上げます。  日産リバイバル・プランは、平成十一年十月十八日に発表された経営再建計画でございますが、ここにおきまして、平成十二年度の連結決算を黒字にする、十四年度の連結決算で連結売上高営業利益率四・五%を達成する、それから、十四年度末までに有利子負債を七千億円まで削減するというものでございます。  同プランにおきましては、この目標を達成するために、新商品の投入、ブランド力の回復等の戦略を強化しますとともに、三工場の閉鎖を含みます生産の集約化、それから、過剰生産能力の削減、購買コストの二〇%削減、連結ベースで十四万八千人の人員がおられましたが、二万一千人を削減するなどの企業体質強化対策を講じたものでございます。
  348. 池田幹幸

    池田幹幸君 既に三年たっておりますが、その進捗状況はどうなっていますか。
  349. 今井康夫

    政府参考人(今井康夫君) 進捗状況でございますが、黒字になるという、十二年度に黒字にするということでございますが、十二年度の連結決算で二千九百三億円の黒字を達成しております。また、平成十四年度の営業利益率を四・五%以上にするという計画でございますが、平成十三年度におきまして七・九%を達成されております。また、有利子負債を十四年度に七千億円にするということでございますが、十四年三月、十三年度末で四千三百十七億円となってございます。
  350. 池田幹幸

    池田幹幸君 すごい回復なんですね。  それで、その購買コストの二〇%削減というやつを、三年で二〇%と言われたのが二年で達成しちゃった。それから、二万一千人削減といったのが二万二千九百人も、オーバーして削減したということで達成していっているんですが、これ、営業利益で、二年間で合計四千億円を超える営業収益を上げているんですけれども、二年、増加させているんですが、この要因は何だというふうに日産の方は言っていますか。
  351. 今井康夫

    政府参考人(今井康夫君) 様々な合理化を行いまして、工場の集約、それから稼働率を上げること、それから債務、資産の売却、それから重要な部門における、コアビジネスと称しますが、コアビジネス以外のものを売却しまして、それをもって負債の返済に充てる。また、先生御指摘の人員面の合理化ということもあろうかと思いますが、こういうものが複合し、また新しい車種の投入の効果もございまして、日産の利益が上がってきているというふうに理解しております。
  352. 池田幹幸

    池田幹幸君 結局、内部留保を全部吐き出すとか、いろいろ身を削るということもやりました。  それで、結局、リバイバル・プランによる営業利益増加は、すべて購買コストの削減とそれから人件費の削減、これがもう柱なんです。これはもうゴーン社長自身がこれ言っているんですけれども。  結局、大幅に利益が上がったと言うけれども、労働者と下請にしわ寄せをして、結局収奪した結果だということなんですよ。四千億円増えているというのは、要するにコストをどかっと減らしたということに尽きるわけですよね。  そのことをまず、大臣一つ確認していただけますか。
  353. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) いろいろなことを複合的にやって、その結果目標を達成できたというのは、今、今井局長から御答弁をしたとおりでありまして、例えば九九年当時、日産自動車というのは、国内生産台数が九〇年比で四三%も減少しておりました。そして、これは実際の台数でいいますと百万台、販売が減少していたという事実があります。それから、有利子負債も三兆円を超えておりまして、毎年の利払いが一千億を超えるなど極めて厳しい経営環境にありました。ですから、このまま放置をしておきましたら、先ほどもちょっと触れましたけれども、私は破局になってもっと甚大な、大きな被害が出たと思っています。  ですから、そういう意味で、私は決して人員削減がいいとは言いません。しかし、その中で退職をしていただくためには、単純に首を切るという形じゃなくて、勧奨制度等を利用したり、そういう中で組合との話も通じて合理化をやっていったという経緯もあります。  したがいまして、より完全な形で、雇用を減らすことなく、そして下請に対しても余り強いことも言わずにうまく再建できればいいわけですけれども、しかし現実に企業というのは非常に大きな国際場裏の中で、厳しい競争の中でやっているわけでございまして、そういう意味では、私は総合的な一つのアプローチによってぎりぎりの形でそういう再建、これができている、こういうことも言えると思っておりまして、私は、そういう面もある意味では評価をしていかなければならない、厳しいですけれども評価をしていかなきゃいけない、こういうふうに思っています。
  354. 池田幹幸

    池田幹幸君 その厳しさが下請に対しては大変な、厳しいという言葉では済まない、もう命にかかわる問題として出てきているわけですよね。そこをひとつ見ていかなけりゃいかぬと思うんです。  要するに、購買コストの削減というのは下請単価をどんどんどんどん下げるというやり方でやっているわけです。ゴーン氏自身が言っていますよ。二〇〇一年度の購買コスト削減九%、これは二千四百五十億円の増益要因。二〇〇〇年度についても一一%削減したけれども、これは二千八百七十億円の増益要因になったんだというふうに彼自身がホームページで説明している。  そういうように、下請単価を大変に引き下げてきたんですけれども、ゴーンさんが社長になる前も日産は三〇%、その前の三年間で下げているんですね、コストを。同じことをまたさらにリバイバル・プランでやったわけですから、大変な下請は塗炭の苦しみを味わっているんですね。  具体的なことをちょっと紹介しますけれども、リバイバル・プラン発表から約一か月後、一次下請の愛知機械というのがあるんですが、愛知機械が二次下請三十社集めたんです。そこで、向こう三年間で二五%の購買コスト低減に御協力をお願いしたいと言った。日産は一次下請に二〇%下げろと言った。一次下請は二次下請に二五%下げろと。どんどんどんどん厳しくなるんですね。そういうことをやっているわけですよ。  結局、売上げの四分の三を日産グループに依存しておるこの企業は、もう正に受けるも地獄受けないも地獄という状況だったというふうに言っております。この会社は一年後に倒産したわけですけれどもね。  結局、こういった受けるも地獄受けないも地獄といったような状況に二次下請を追い込んでいる。そういった形で下請企業をつぶしていくというやり方、先ほど厳しいけれども当然だというふうな言い方されたんですけれども、当然でしょうかね。
  355. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 私は、当然ということは、非常に厳しい選択だけれども、しかしこれは通らなければならない道でなかったか、こういうことで申し上げました。  確かに、繰り返しになりますけれども、そういった犠牲がなくて再建できればそれはいいことでありますけれども、私どもといたしましては、やっぱり今自動車産業も、日本の産業すべて厳しい競争場裏にある、その中でやはり再生を図っていく。ですから、一時的には非常に厳しい状況になりますけれども、これが再生することによって更にこれは大きな飛躍に結び付いて、これがどんどん発展してくれば新たな雇用も生み出すと、こういうことになります。  それから、日産の場合には、例えばそういう下請に対しても厳しいいわゆるコストダウンを強いたことも、それは御指摘のとおり事実ですけれども、例えば自動車のいわゆる使う鉄の板に関しましても、これまた非常に、大企業の製鉄会社にも非常に強力に迫る、そういう中で製鉄会社も一生懸命合理化をし、そしてその中で協力をしていく。そういう側面もあるということはあえて私から申し上げさせていただきたいと、こういうふうに思います。
  356. 池田幹幸

    池田幹幸君 ただ、このメーカー、先ほどの紹介した会社の社長さん、言っているんですが、日産のゴーン社長は思い切ったリストラを断行して確かに一時的に大きな利益を生んだ、そして日産の歴史にその名を刻むでしょうと。ただ、下請との関係など、長い目で見て果たしてそれでよいのかと言っているんですよ。やっぱり、長いスタンスで見た場合、日本経済にマイナスの影響を与えるんじゃないかという、そういった下請メーカーの社長の言葉、これは非常に重たいものがあると思うんですよね。  結局、政治はこういった事態をやっぱり是正していく責任があるというふうに私は思うんです。それは、リストラを支援するのかどうするのかという形で表れているわけですけれども、その点いかがお考えでしょうか。
  357. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 当省といたしましては、日本の基幹産業たる自動車産業の競争力の強化を図っていくことが我が国製造業の活性化を考えていく上で不可欠と考えております。  他方、各企業がそのために取組を行う際には、当然ながら雇用や下請企業への影響についてできる限り配慮して進めていただきたいと、こういうふうには私ども思っております。
  358. 池田幹幸

    池田幹幸君 そういたしますと、このリストラを進めたゴーン氏を表彰されたわけですけれども、模範だという形で。こんな物すごいリストラを模範にされたんじゃ困るんですが。  要するに、政府の政策としてはリストラ支援していますよね。特にこの日産グループとその協力会社で作っております日翔会加盟企業があるんですが、これを産業活力再生法に基づいてリストラ、合理化を認定している件数、このグループ、何社認定していますか。
  359. 今井康夫

    政府参考人(今井康夫君) 日産の関連会社につきまして再生法を適用しているのは、たしか九件だというふうに理解しております。
  360. 池田幹幸

    池田幹幸君 そんな少なくないでしょう。事前に連絡して経済産業省からいただいた数字でも十六件ってなっていますよ。
  361. 今井康夫

    政府参考人(今井康夫君) 大変恐縮ですが、私ども方の理解は九社と思っておりますが。
  362. 池田幹幸

    池田幹幸君 日翔会というのがありまして、協力会を作っている。それを見ますと、大体十九件入っています。これはもうきちんと、経済産業省でも十六件といって連絡してきています。実際、その中の主な会社見ても、カルソニックカンセイとか日本精工とか鬼怒川ゴム、大変なリストラで有名な会社がずらっと並んでおりますですね。  それから、結局、この資料の次の二を見ていただきたいんですけれども、これは日産グループを、私、拾い上げてきたんですけれども、結局、物すごい勢いでリストラをやった結果、これはこんな形になっているということで、大体、いわゆる従業員数の変化が一二%、わずかこの二年間で減っている、こういうことが表れております。  私、結局こういう形で模範にせよなんて言われたらたまらぬと思うんですがね。
  363. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) 一つの側面から見ますと、それは委員指摘のように、非常に厳しい面があります。しかし、そういう厳しい中でやっぱり企業の再生の可能性が非常に大きな形で出てきたということは、やっぱり私は評価をすべきところは率直に評価をしなければならない、こういうふうに思っておりまして、そういう意味でこの有識者の四人の方々もそういったことを総合的に判断して、やはりこの厳しい中で本当に危殆に瀕していた日本を代表する基幹的な産業の自動車産業をよみがえらせたと、これは事実だと、だからこのことは評価をしようと、こういう形でその選定をされる、そういう一つの大きな原点に私はなったと思っています。  ですから、そういう厳しい面はあったということは私は率直に認めさせていただきますけれども、総合評価をいたしますと、これはやはり表彰に値するものではないかというふうに私は思っております。
  364. 池田幹幸

    池田幹幸君 一将功成りて万骨枯ると言いますけれども、企業は助かったけれども、日本国民経済的にはマイナスになったという状況があるんだということを私は強調したいと思うんです。やっぱりV字回復が国民経済の回復には役立っていないという、最初に申し上げたそのことがあります。結局、大企業の身勝手なリストラという形でやられると、それに対してはやはり基本的には規制していくべきだと思うんです。  大体、効率の悪い産業、企業を市場から退出させて、そして──時間がなくなって、まとめますわ。要するに、退出させて効率のいい産業を育てるというわけですけれども、しかし、そういった現実には四苦八苦して生きている中小企業、これを不良債権処理だとかということでつぶしていくと、こういうことをやっていきますと、結局は経済的に、日本経済全体としてはマイナスになっていくわけですから、効率の良い、リストラ、人減らしを推進する効率の良い企業一部で日本経済かち取るのがいいのか、それとも、既存の企業、下請も含めて支援をし、少々効率悪くてもきちんと失業者を増やさない形で全体で日本経済を支えていくのがいいのか、その答えは明らかだと思うんです。私は後者であるだろうと。  そういう点では政府責任というのは非常に大事だ、少なくともリストラ支援政策というようなものはやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  365. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で池田幹幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  366. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、平野貞夫君の質疑を行います。平野貞夫君。
  367. 平野貞夫

    平野貞夫君 最初に、経済についてお尋ねいたします。  本当は、竹中大臣と二、三時間やりたいんですが、九分しか時間がございませんので、非常に気になっている一点だけお尋ねします。  小泉政権になって何回か、所信表明演説とか施政方針演説とか、あるいは塩川大臣の財政演説あるいは竹中大臣経済演説というのは何回かあったんですが、よくチェックして、見て、読んでみますと、一回も不況という言葉を使っていないんですね。経済を仕切っているのは竹中大臣なんですが、不況という言葉をやっぱり小泉内閣というのは嫌いなんですか。
  368. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 不況の反対は好況でありますから、基本的には不況、好況というのは、経済が循環的に良い局面にあるか悪い局面にあるかという、その循環的なお話であろうかと思います。  小泉内閣の基本的な問題意識というのは、もちろん循環というのは常にあるわけですけれども、より重要なのは正に実力というか自力の問題であると。成長力は、本来の成長力を取り戻すには高いところでなければいけない。そこを正に構造改革で高めようとしているという意識がありますので、循環的な問題に関する言及が比較的少なかったのかもしれません。  もちろん、繰り返し言いますが、これは必ず循環はありますから、これにつきましては月例の経済報告等々で循環的にはどのようにあるかということを常に申し上げているつもりでございます。
  369. 平野貞夫

    平野貞夫君 例えば、構造不況だとか長期不況という言葉は定着した言葉なんですが、演説の中にはデフレ対策だとかそれから経済の再生という言葉はふんだんにあるわけなんですが、不況対策という言葉をわざと使わずに、デフレ対策という言葉で切り替えているんじゃないかというふうに私は勘ぐっておるんですが、その点はいかがでしょう。
  370. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) デフレというのは純粋にやはり価格の現象でありますから、我々としては、価格が九〇年代の半ばからGDPデフレーターでは低下傾向にあると、そのような意味で純粋に使っているつもりでございます。  繰り返し申し上げますけれども、循環的な意味での好況、不況というのは確かにあるわけで、その点に関しては、我々は決して避けているわけではなくて、月例の経済報告の中で、今はどういう状況にあるかと、その点について逐次できるだけ正確に御報告をさせていただいているつもりでございます。
  371. 平野貞夫

    平野貞夫君 これは質問じゃございませんが、いわゆる政策不況というのもあるんですよね。政治が責任の不況というのもあるわけです。  私は、不況現象というのを循環論だけで見るのはおかしいと思います。適切に経済政策がその政権において行われたかどうかという問題があると思うんですが、不況対策という言葉を避けるというのは政府責任を持ち込みたくないからだと、こう思っています。デフレ対策というのを使うのは、これは主として日銀の問題ですからね、日銀に責任を転嫁しようとしているんじゃないかと。そういう小泉政権の経済・金融政策の私は何か非常に問題点というのがあるということを指摘して、次の外交問題に移りますので、どうぞお帰りください。  外務大臣、お疲れさまでございます。  最初にお聞きしたいのは、米英による今度の武力行使は、世論だけじゃなくて、国際政治学者、国際法の学者、内外の方たちに国際法違反という意見があるんですが、日本外務省としてどういうお考えでしょうか。
  372. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際法違反ということは全くないと考えております。  我が国としては、細かい説明は省きますけれども、六七八、決議の六七八、六八七、一一四一、そういったことで説明ができるというふうに考えておりますし、それから、アメリカもネグロポンテ国連代表、国連大使がそれについてのペーパーを出されましたし、イギリスの法務院の総裁も同じ趣旨のペーパーをお出しでいらっしゃいまして、両方とも私どもが言っている考え方と同じでございます。
  373. 平野貞夫

    平野貞夫君 そうすると、今回の武力行使のその法的根拠というのは国連決議だと、にあるということを明確に言い切れますね。
  374. 川口順子

    国務大臣川口順子君) さようでございます。
  375. 平野貞夫

    平野貞夫君 今朝から余りこういう明確なこと言わなかったんですが、ただ、総理のその答弁聞いてみますと、くるくるくるくる変わっているんですね、午前中の審議。  こういう言い方をしているんですね。自衛権とそして一連国連決議を尊重して行ったんだという言い方をしているかと思うと、後半になって、いろいろある国連決議の中だというふうに、総理自身の答弁というのはかなり揺れている。  外務大臣は盛んに国連決議の六七八あるいは一四四一ですかをおっしゃっておるんですが、これが今度の武力行使の法的根拠だということが外務省の基本的ないわゆる根っこの判断であるというふうに理解してよろしいですね。
  376. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 結構でございます。
  377. 平野貞夫

    平野貞夫君 これ、大変また問題だと思うんですがね。私は結構じゃないと思うんですが、それは外務省の見識、見解ですから、それは分かりましたが、あれだけの武力行使、あれだけの、現在もやっている激烈な爆撃、攻撃をやって、これは新たな安保理事会決議はこれは常識として必要だと思うんですよ。  六七八を持ち出すなら、これはある意味じゃ古証文なんですよね、古証文。あれだけの大きな攻撃をやる、この行為をどう正当付けるかということは、それは論理が要りますが、言葉の論理だけじゃ駄目だと思うんですよ。世界の常識というのが要ると思うんですよ。アメリカだって、国連決議もあるが、しかし先制自衛権、いわゆる予防自衛権に基づくものだということを再三おっしゃっているんですよ。  というと、この先制自衛権とか予防自衛権という概念は、今回の武力行使については日本政府は理論的に認めないということですね。
  378. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 三つの御質問があったと思うんですけれども、一つは古証文であるかどうか。これは古証文ではございません。六八七、六七八というのに基づいて、九三年、九六年、九八年と武力行使が行われておりますし、九三年にフランスも賛成をしているということですし、当時の事務総長もそれを認めているということです。それから、六八七、これが古証文でないということは、今みんなが賛成をしている武装解除、これは六八七に基づいて行われているということでございます。それから、新しい決議、これは日本としてあった方がいいということで申していましたけれども、これは国際社会が一体となって、一丸となってイラクに対して武装解除をしなさいというこの決意を表すというためにある方がいいと私どもは考えたということでして、武力行使をするという観点からは、これは要するに違反であるということの確認をするということでございますので、なくても、先ほどの六七八、六八七、一四四一で説明ができるということです。  それから、もう一つおっしゃいましたのは、先制的攻撃ということですけれども、これは今回の議論アメリカ安全保障戦略、これは先制的行動と言っていますけれども、これは今回の話とは関係がないということです。アメリカが自衛と言っていますのは、これはむしろこの問題の背景の考え方ということで御理解をいただいた方がいいと思うんですけれども、九・一一等々の事件があって、やはりどの国も国民の安全を守るというのは国の責任であるというふうに考えている、これは当然のことであるわけでして、この考え方が背景にあるというふうに御理解をいただくというのがいいと思います。
  379. 平野貞夫

    平野貞夫君 私、古証文と言ったのはわざと言ったわけでしてね。午前中の質疑でだれか話が出るかと思って、出なかったんですが。  歴史を繰り返して考えてみますと、フセイン体制というのはだれが作ったのか。フセインに大量殺りく兵器を使うことを教えたのはだれか。フセインを育てたのはだれか。どう思いますか。
  380. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 歴史というのは、どこまでさかのぼれば、あることが始まりになるかというのは非常に難しい判断であるというふうに思います。  中東地域が本来、十九世紀以降、植民地としてずっとあって、それが独立する過程で、当時の大きな国との関係ではいろいろな経験をしてきたということは確かにあったと思いますし、中東政策、中東が重要な地域でございますので、その地域関係を持つ大国がその時々で様々な政策をやったということの影響、これはあると思います。
  381. 平野貞夫

    平野貞夫君 まあ十九世紀に振り返ることはないわけでして、やっぱり湾岸紛争のこの原因となるそこら辺、これも六七八決議にせよ湾岸紛争が元なんですから。それはやはりフセイン体制を育てた人の政治的責任というのは当然出てくるわけですから。これは、大臣おっしゃれないなら、これはアメリカですからね、当時の。  そういう意味で、やっぱり武力行使をやるならば、やるならば、これは明確な新たな国連決議が絶対に要ったと思います、私は。そのための努力をブッシュ大統領も、それから日本の小泉総理も足りなかったという認識を持っていますが、その点はいかがでございますか。
  382. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは全くそういうことではないと考えております。一四四一では、イラクが重大なる違反をしている、六八七で決めたことの違反をしているということを認定をした上で、それを決定をした上で、その上で違反状態を解消する最後の機会をイラクに与えた、是正の機会を与えたわけですね。それをイラクはその機会を使わなかったということでございます。  六八七を違反をしているということはもう具体的には例えば完全な協力をしなかった、これはブリクスもそしてほかの国も認めているわけでございますから、一四四一を読めばそういったことがあったこと自体が更に重大なる違反を構成をするということでございまして、重大なる違反があれば停戦の基礎が失われて、六八七の基礎が失われるので六七八に行って、ここであらゆる必要な措置を取るということについて加盟国に授権をしているわけですね。ですから、加盟国は自分の判断でそういう措置を取ることができるということで、これは非常に明快であると私は考えております。
  383. 平野貞夫

    平野貞夫君 国際政治を言葉の論理で説明したってこれはせんない話なんですが、かの石原都知事ですら九月まで待ちゃどうにでもなったんじゃないかとおっしゃった。さすがだと思うんですね。  そこで、これは意見が分かれますのでちょっと話を変えますが、予防措置といいますか、先制行動という、要はアメリカのネオコンの作った理論を日本外務省はどういうふうに今評価しますか、あるいはそれを肯定しますか、あるいは否定しますか。
  384. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本外務省としてよその国の安全保障戦略について評価をする立場にあるとは思いませんけれども、いずれにしても、これは今の世界が直面をしている様々な脅威、これから国民を守る必要があるという国としての強い意思、これが表明をされているのではないかというふうに思います。  ただ、当然のことながら、米国国連のメンバーでございますから、国際法を守る、国際法の枠内で行うということは、行動するということは当然であると思います。
  385. 平野貞夫

    平野貞夫君 このネオコンの理論をやや容認したというふうに感じていますが、そこで防衛庁長官、当面の問題、北朝鮮の場合、もう国連云々じゃないと思うんですよ。可能性としては、先制攻撃というか先制行動をアメリカがする可能性が出てきている。その場合に、日本の今までの国是である専守防衛ですか、この理論で対応できるかどうか意見を聞かせてください。
  386. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 国連の枠組みで解決できないというふうに断定をした上で議論をするのは、今の段階としてはいかがかと思っております。  つまり、合衆国が言っておりますのは、これはもう平和的に外交的に解決をするんだと、こういうふうに言っておるわけでございます。NPT脱退、これは四月十日という話もあれば、もう北朝鮮は言っちゃったらもう脱退したとかいろんな話がございますが、そのことが安保理に提起をされるかどうか。いずれにしても、これが国際社会の問題であって、NPT体制というものを守っていかなければいけない。これは米朝間二国間だけではなくて国際社会全体の問題であり、プロセスとしてやはり国際社会国連の場で議論をされるべきものだというふうに私は思っております。  じゃ、その場合に、もう待っていられないんだと、アメリカは、じゃ、先制的にやるのかどうなのかというお話になりますと、これは分かりません。しかし、アメリカがそのように北朝鮮に対して先制的に攻撃を行うというふうに私ども今理解をしておらないところでございます。
  387. 平野貞夫

    平野貞夫君 いろいろ聞きたいところですが、時間がありませんから、また話を変えますが、現在の国連状況、特に安保理の将来といいますか在り方みたいなものを、外務大臣、どう考えていますか。
  388. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 安保理国連の中にあって平和と安全にかかわることをやって、担当しているわけですけれども、やはり拒否権ということが大国にありますので、安保理が一番機能するという、よく機能をするというのは、やはり大国の間に意見が一致をしたとき安保理は一番機能するということであるかと思います。  安保理として、我が国安保理も含めまして国連改革に一生懸命取り組んでいますけれども、国際社会が現在ある姿をよく反映するような、そういう形の改革ということが望ましいんではないだろうかというふうに感じております。  取組を引き続き改革について行っていきたいと思っています。
  389. 平野貞夫

    平野貞夫君 安保理改革も当然必要だと思います。  そこで、私個人及び私が所属している自由党というのは、国連決議安保理決議武力行使ということでなされれば、現在の憲法の下でも、これは国権の発動ではないので自衛隊は血と汗を、国連警察軍あるいは国連軍でなくとも国連決議に基づいて行動すべきだと、憲法はそれを禁止するものでないという考え方を持っています。ですから、今回の問題は、私たちは武力行使の国連決議がないということでございますので反対しているわけなんです。  そこで、大臣、これは外務省の皆さんにも伝えておいてほしいんですけれども、憲法を作るときに、この貴族院、この場で南原東大総長は、国連を作った、国連は弊害もあるし改正もしなきゃ駄目ですが、それは、第二次世界大戦日本が各国に迷惑を掛けた、したがって、日本が独立するなり国連に加盟したときには、日本人は、日本国は国連のために血と汗を流すべきだということを憲法の審議でおっしゃっているんです。そして、あの九条でそれができるかという質問に対して、吉田茂さんも金森さんも雰囲気見て決めますというような答弁をしているんですよ。  しかし、私たちのやっぱり党の方針は、やっぱり国連、されど国連なんですよ。だから、ひとつ日本外務省も国連機能を大いにしてやって、やっぱり日本国憲法の理念を、我々は改正論者ですけれども変えるつもりはございませんので、そういう意味でしっかりとしたやっぱり国際協調国連中心主義を貫いていってほしいことを申し上げて、終わります。
  390. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で平野貞夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  391. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  392. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  大学入学資格について、私の方もお聞きをします。  中華学校、韓国学園、朝鮮学校など、アジア系の学校に関して、これを認めないという報道もありましたが、現在どういう見通しでしょうか。
  393. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 端的に申し上げれば、今、パブリックコメントを求めておりまして検討中ということでございますが、一言申し上げたいのは、先ほど郡司委員からの御質問にもお答えしたところでございますけれども、大学入学資格といいますのは、日本の学校制度の中で大学教育の水準の確保のために必要な制度でございまして、法律、省令、告示等で決まっているわけでございますが、基本的には日本の高等学校卒業者、そして高等学校卒業者と同等の学力を持つ者ということでございまして、日本人の場合には日本の第一条学校の高等学校を出たか、あるいは大学入学検定試験を通った者でなくてはならないことになっています。  外国人学校については、長い経緯がございまして、平成十一年に外国人学校の子供たちも検定試験を受けられるようになりました。したがいまして、もうすべてどの外国人学校の子供たちもそれを受けられるわけでございます。  今回御要望のことは、それに加えて、インターナショナルスクールの場合にはその学校を出ただけで、学校といいますか、外国人学校を出ただけで受けられるようにということでございますから、国際的に見てもプラスアルファの制度を認めろということなんでございます。  そのことで考えますと、一定水準の教育内容ということですから、したがって認証機関の認証を得た者ということで見たわけでございます。ですから、理論的には、当然のそのスクリーニングを掛けましたら、結果的にいわゆるインターナショナルスクールであったわけでございます。  ところが、いろんな意見がございますので、私どもとしましては、理論的な制度もきちっとやりながら更に検討をしていきたいということでございます。
  394. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 大検、大学入学資格検定は二〇〇一年までは十一科目、今九科目ですが、科目が非常に多い。ですから、大学入試は今数科目に限定されているものが多いですから、非常に大学を受ける子供にとっては大変負担です。インターナショナルの学校に対しては、欧米系に対しては認める、アジア系に対しては認めないという理由はやはり納得がいきません。認定校があるといっても、文部省自身がアジア系の学校についてもきちっと認定すれば済む話ではないですか。
  395. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 文部科学省自体が学校になる存在でないようなものについて認証するというようなことは、これはよほど考えないといけないと思います。やはり客観的に一定水準を確保しているかどうかというのは第三者機関が認定するのが適当かと思っております。しかし、そのことも含めて目下検討をいたしております。
  396. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 非常におかしいと思います。認定校は全部これ外国、特に欧米系、WASC認定校などありますが、インターナショナルスクール、欧米系しか認定が主にはできません。これをやる限りは、中華学園、中華学校、韓国学園、朝鮮学校、みんな排除をされます。  例えば、学校教育法五十六条で、例えば外国で十二年間科目を修了すると日本の大学は受けられるわけです。ですから、台湾の学校で十二年間の課程を修了した者は留学生として受験資格が認められる。しかし、台湾の学校で十一年の課程を修了して残り一年の課程を日本国内の中華学校で修了すると受験資格が得られない。こんな変な状況があるわけです。  その子供たちは、合格させてくれというふうには言っていないわけですね。大学を受験させてくれというふうに言っているわけです。これをなぜ差別を設けるのか、まだ理解できません。
  397. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) そこのところを御理解いただくために先ほどちょっと長くなって御説明しましたので、繰り返しませんけれども、要するに、外国で正規の学校を出た人はもちろん引き受けますと。しかし、日本国内にあるいろんな外国人学校、種類がございますし、それが日本の高等学校と同等であるかどうかということを見るために客観的な第三者評価機関の評価を、結果を用いたという対応案でございます。  ですから、アジア系の認証機関があればもちろんそれを用いるわけでございます。それはそういうことでございますけれども、今、そういうことも含めて検討中ということでございます。
  398. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 是非お願いします。というのは変で、外国の学校だったら認める、日本の学校だったら水準が合う、合わないとやってアジア系は排除する、これはやっぱりおかしいと思います。  子どもの権利に関する条約委員会は一九九八年六月、国際人権規約自由権規約委員会は一九九八年十一月、国連人種差別撤廃委員会は二〇〇一年三月、国際人権規約社会権規約委員会は二〇〇一年八月に、このような学校についてもきちっと大学入学資格を認めるべきであるという勧告を出しております。これらの勧告を文部省はどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
  399. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) それは大学入学資格検定を受けられるということで、制度的に私はその問題もきちんとクリアしていると思います。
  400. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 勧告はそのような中身ではないというふうに思います。この勧告は、それぞれ公立学校と、朝鮮学校やマイノリティーの学校に対してきちっと認めろということを言っておりますから、大検の資格さえ認めればいいのだというのではやはり差別が残ると思います。  現在、公立学校、私立学校でこのような学校の大学入学資格を認めている学校はたくさんありますが、何か問題が生じているでしょうか。
  401. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) この問題は、一国の教育制度という法体系の中でどう位置付けるかという問題でございまして、私どもとしましては、そのことを整合性も考えながら対応していると、対応していく考えでございます。
  402. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 是非アジア系のみ排除しないようによろしくお願いします。  午前中もありましたが、外務大臣、今回の武力行使は先制攻撃でしょうか。
  403. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 違うと思います。
  404. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 アメリカは先制攻撃であると演説をしております。アメリカは先制攻撃であると言って、なぜ日本は先制攻撃ではないと言うのでしょうか。全く支離滅裂だと思います。  では、アメリカはフセイン政府転覆を言っております。この戦争の目的はフセイン政府転覆でしょうか。
  405. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国は、例えば国連のネグロポンテ大使が、今回の武力行使はイラクの武装解除のために国連安保理決議六七八、六八七、一四四一、これにのっとって行うものであるという手紙を出しているところでございます。
  406. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 イラクを自由にする戦争であると。  また、二十日、小泉総理は演説で、イラク国民に自由を与える作戦であるって、私もそう思いますって旨発言をしています。  イラク政府転覆ではないですか。
  407. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクに対して武装解除のために万やむを得ず武力行使をするということになったわけでして、そういうことの中で副次的効果といいますか、フセイン政権が倒れるということにつながっていくであろうということだと思います。それで、その暁には自分たちで政府を選びより自由なイラクとなるという、背景の御説明があったと思います。
  408. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 やはりころころ変わっているんですよ。ブッシュ大統領はイラク国民に自由を与える作戦だと言っております、私もそうだと思います、三月二十日、小泉総理は記者会見をしています。  先ほど、いやこれはやはり何が目的かというところが違ってくるわけです。  デージーカッターはキティーホーク軍艦に載せられております。また、アメリカは劣化ウラン弾やそれからMOAB、半径十二キロメートルを一発で全部爆破できる、東京都内二十三区が全部入るという、一発でそれができるという爆弾ですが、これらの使用をしないということは言っておりません。  このような非人道的兵器が使われる可能性、現在も避難民が三十万人以上出ているというふうにも報道されておりますが、このような一般の人に対する被害について、川口外務大臣、どうお考えでしょうか。あるいはこの危害、じゃ危害について、兵器についての確認はされているのでしょうか。
  409. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 時間が来ております。簡単に御答弁ください。
  410. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ブッシュ大統領は、戦争についてはできるだけ短期間で、そして死傷者を少なく、民間人の死傷者を少なくということを言っていらっしゃると思います。昨日もラジオでそう言われたと思います。
  411. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十四分散会