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国務大臣(
大島理森君) 一次案のままにもし私
どもが受け入れた場合にどうなるかといいますと、率直に言って、その一次案の今、
委員がお話しされたとおりやるとするならば、その中国米を中心とした価格より低く売られる米というのはもう北海道のきららぐらいしかないんじゃないかと思うんです。これはもう大変なことでございまして、だから私は、もしそのとおりになった場合は
日本の水田は壊滅状態になっていくだろうと、とても受けられないと、こう申し上げましたが、少し、せっかくの御質問でございますから、数字等を申し上げてみたいと思います。
我が国の米について
モダリティーの一次案をそのまま適用して試算をいたしますと、現行の
関税が九〇%を超えているのは事実でありますから、最低の
削減率四五%が適用された場合に、米の
関税は現行のキロ当たり三百四十一円から百八十八円になります。そういたしますと、六十キロ当たり二万四百六十円から一万一千二百八十円になります。
そういたしますと、国産の自主流通米価格の平均キロ当たりが二百七十一円で、六十キロ当たりで約一万六千円でございますので、これに対して輸入米価格は、例えば中国産短粒種でキロ当たり約七十円、六十キロ当たり四千二百円です。タイ産長粒種でキロ当たり約二十五円、六十キロ当たり約千五百円でありまして、枠外税率の四五%の
削減の下では中国産米がキロ当たり約二百五十八、六十キロ当たりで一万五千四百八十円になっていくと。だから、自流米より下がる可能性がありますと。また、タイ産米にいたしますと、約二百十三円でございますから、六十キロ当たりにいたしますと一万二千七百八十円になります。特に、中国産米で今私
どもは心配というか、非常に注目し分析しなきゃならぬのは、短粒種でなおかつ非常にいい品質のものが出ているということなんです。
で、そういうことを考えますと、非常にこの一次案の
提案というのは、そういうことで
国内の米
生産者、むしろ水田地帯がどのように変化していくかと、もう目に見えるように私は予想できるわけでございます。
で、
アクセス数量でございますが、
モダリティー一次案を当てはめると、最近、直近の三年間の
国内消費量、九九年―二〇〇一年までを一〇%適用すれば九十八万トン、八%の場合は七十八万トンとなります。
しかし、ここで改めて、
市川委員もう全部御承知でございますけれ
ども、もしそのとおりになった場合に、もうミニマム
アクセスがどうだこうだという
世界ではなくなっていくわけですね。
関税がどんどん下がっていきますから、そのミニマム
アクセスの
世界でどうだこうだというんじゃなくて、違う
世界でどんどん入ってくるという事態になってくるわけです。そのように、非常に深刻なこれは闘いなんだということを
国民の皆さんに是非御理解をいただきたいと思うんです。
そういうふうなことですから、私
どもは、先ほどいわゆる
ハーモナイゼーションという思想には組み入れられませんと。正に水田の持つ
多面的機能というもの、食糧の安全保障という問題、そういうことを考えましたとき、非貿易的側面を反映した柔軟性が考慮される
ルールを作りませんと、多分、この
WTOの
世界は今の闘いだけではなくて、また六年後も闘わなきゃならぬ
世界なんでしょう。
だとすれば、その先も考えて、やっぱり相当厳しい闘いをしませんと後世に禍根を残すなという思いを持ちながら、一次案は受け入れ難いと明確に申し上げ、そして、先ほど来申し上げましたように、
EUあるいはまた六十か国の
皆様方とその
ルールの
基本的な
考え方をまず闘わなきゃいかぬということで今やっておるというところでございます。