○広野ただし君 私は、
国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。
私は、
国連を代表して、
イラクにおける
人道復興支援活動及び
安全確保支援活動の
実施に関する
特別措置法案に対し、
反対の
立場から
討論を行います。
まず、自民党、公明党及び
政府の強引な
委員会運営に対し、強い抗議の意を表明いたします。
本来であれば、このような重要
法案は、十分な時間を掛けて、幅広く
参考人等の
意見を聴きながら慎重に
審議すべきであります。しかし、
政府・
与党は、会期末だということで、
衆議院が四十三時間の
審議をしたのに対し、もちろんこれも十分な時間ではありませんが、
参議院はわずか三十一時間の
質疑で、無謀にも昨日、
強行採決を行ったのであります。この
採決は、異常な雰囲気の中で行われ、全く
委員長の声も聞こえない状態でしたので、
採決は無効であります。
委員長は瑕疵がなかったと言っていますが、こんな
採決がまかり通るとなれば世も末であります。強く抗議するものであります。
次に、
小泉内閣の
外交政策のいい加減さを指摘いたします。
その前に、この
イラク特措法の本
会議質疑になぜ
川口外務大臣、
石破長官が
出席していないのか、誠に不思議に思うわけで、二大臣の無
責任さが表れているのではないかと考えるわけであります。
ところで、
小泉総理の
外交態度は、口では、
日本は主体的かつ自主的に決断しているかのごとく言っていますが、実際は
アメリカ追随の考え方で、
アメリカの言いなりであります。
イラク特措法についても、
アメリカの内々の要請にこたえて、まず陸上
自衛隊の
イラクへの派遣ありきなのであります。
先日の
民主党菅代表との党首
討論で、
イラクの非
戦闘地域は具体的にどこかとの問いに、
小泉総理は、分からない、分からないのが当たり前と言わんばかりの
答弁であります。そんな無
責任な
態度で陸上
自衛隊を
イラクに派遣されたのでは、命を懸けて国際貢献しようとしている
自衛隊員に誠に失礼であります。
小泉総理は、自分が行くのでないから、人の命だからと安易に考えられておるようで、本当に問題であります。
今度の
イラクへの陸上
自衛隊の派遣で、もし万一、不幸にも
日本側に大きな被害や
犠牲が出た場合、そしてまた
反対に、誤解に基づいて
イラク側に大きな被害や
犠牲を出すこととなった場合、
小泉総理の
責任は極めて重大で、総辞職をしたとしても
責任は取れないくらいのものだと申し上げておきます。
また、心配なのは、陸上
自衛隊を
イラクに派遣することで、
イラク国民からは
日本が
アメリカの
占領軍に協力しているかのようにも受け止められかねないことであります。また、
大義のない英
米軍の
イラク攻撃に対し、
小泉内閣はいち早く積極
支援を表明しました。
これらのことから、
日本は
イラク国民の大きな反感を買い、これまで良好であった
イラクや中近東との友好
関係が失われ、長期的な
日本の国益が失われかねないことであります。
また、
日本国民が
海外旅行中にテロの対象になりかねないことも極めて心配であります。正に、
小泉内閣の中近東政策、中東
外交は、その場限りの場当たり的、無
責任な政策そのものだと断ぜざるを得ません。
外交防衛政策は国の根本を成す重要な政策です。
小泉内閣の
外交が誠にいい加減なことは本当に腹立たしい限りであります。
ところで、
自衛隊は実力
行使部隊でありますので、
自衛隊を
海外に派遣するということは極めて慎重でなければなりません。ところが、
小泉内閣は、暫定的な特別措置法の積み上げで
経験を積み、しかる後に
恒久法をつくればよいと考えています。これは、余りにも安易な、いい加減な考え方で、
総理が
自衛隊の最高司令官だとの明確な自覚も
責任も感じておられないようであります。
今回、
公聴会で
公述人となられた東大名誉教授の板垣雄三先生は、「
日本人よ、覚悟はできているか」という著書で、覚悟も何もないところで
海外に出ることの恐ろしさを言っておられます。
自衛隊の
海外派遣は、自由党が
国会に提出している
安全保障基本
法案のように、
日本国憲法の平和主義及び国際協調主義の下、明確な基本理念に基づいて行わなければなりません。したがって、まず基本法をつくることが重要で、次にその枠内での個別法というのが通常の考えで、
小泉総理の言う順序とは全く逆であります。
おまけに、
イラク特措法は、
憲法との
関係では、
憲法違反を逃れるため、迷路のようなすき間をくぐる
法律となっており、全く現実離れのした
欠陥法案であります。
小泉内閣の
外交防衛政策の危うさを強く懸念するものであります。
イラクは、現在も終わりのない
戦争状態にあり、極めて危険であるということは英
米軍も認めているところであります。その上、言語、風土、民族、宗教、習慣、文化、歴史等が大きく異なるイスラムの
世界であります。日々接する
イラク国民と陸上
自衛隊の間でちょっとした行き違いが誤解を生み、それが更に拡大して、
イラク、
日本双方に大きな事故、大きな被害、大きな
犠牲が出るかもしれません。
先日も、テロを探索するために
イラク市民の家に捜査犬とともに
アメリカ兵が入ったことがもとで、
イラク市民が大きな侮辱を感じ、大事件に発展しました。敗戦後の
日本でも、
アメリカ兵が畳の上に土足で入ったために大事件になったケースが数多くありました。これらは正に習慣や文化の違いからくる誤解がもとで生じた卑近な案件であります。
イラク国民は、メソポタミア文明を生み、古くはハムラビ法典を生み出した誇り高い
国民です。その誇りを侮辱することのないことを祈るばかりであります。
このようなことに対処する覚悟と
責任はすべて
小泉内閣にあるわけですが、
小泉内閣にはその覚悟ができていません。驚くべきのうてんきさであります。
また、北朝鮮問題で
アメリカに守ってもらうために、
イラクで
アメリカに協力するのだという議論がありますが、ブーツ・オン・ザ・グラウンド程度のお付き合いで
アメリカが命懸けで
日本を守ると
期待するのは安易な幻想です。自分の国は自分で守る。当然のことであります。
北朝鮮問題に対処するには、まず
日本が自らをしっかりと守ることであります。そして、しかる後、
日米安保条約の運用体制を万全にすることであり、これはこれで
努力しなければ、他の
地域で何をやっても駄目です。そもそも、北朝鮮問題で楽をするために
イラクで
自衛隊の隊員を危険にさらすというのは卑怯であり、諸
国民の軽蔑と侮りを受ける考え方です。
以上のほか、数々の大きな
欠陥を抱える
イラク特措法でありますが、時間の
関係でこの程度にとどめることといたします。
私は、
イラクに対して
日本がなすべき
支援は、
国連決議に基づき、
国連機関を通した人道
支援及び経済
復興支援に限るべきだと考えておりますが、その場合でも国際的に高い評価が得られると確信しております。
以上のごとく、小泉
内閣提出の
イラク特措法は
日本の進路を大きく誤るものであるということを強く指摘して、私、広野ただしの
反対討論を終わります。(
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