○富樫練三君 私は、
日本共産党を代表して、有事法制三
法案に対し、強い憤りと平和への熱い思いを込めて反対の討論を行います。
五十八年前、私たちは過去の侵略戦争を反省し、
政府の
行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように
決意し、
復興と平和の道に足を踏み出しました。これは、私たち
日本国民の固い
決意であると同時に、あの戦争で重大な被害を与えたアジアと世界の諸
国民への公約でもあります。
憲法第九条を、今の国際情勢に合わないとか、時代後れだという
議論がありますが、これほど、戦争と平和の歴史の教訓に学ばず、世界の平和を願う人々の期待を裏切ることはありません。
世界的にも、かつては戦争は合法とされていました。それが違憲なものとされ、
国連憲章では自衛以外の戦争は禁止されました。憲法第九条は戦争の違法化という世界史の流れの最も先駆的な到達点を示したものであります。
その
日本で、
アメリカの無法な戦争に
協力するために
国民を強制的に動員する
法律がつくられるのであります。これほど歴史の進歩に逆行するものはありません。
反対理由の第一は、この有事法制三
法案は、
アメリカの無法な先制攻撃の戦争に対し、
日本国民の
協力を強制するものだからであります。
ブッシュ
政権は先制攻撃戦略を
イラクで実際に発動しました。明らかに
国連憲章違反の無法な戦争だったのであります。
フランスのシラク大統領は、
サミット前に、正当性を欠く戦争というものは戦争に勝ったとしても正当性を得られるものではないと述べています。正に的を射た
発言であります。
このような無法な戦争に対し
協力を拒否することこそ、
日本政府が行うべき責務ではありませんか。有事法制三
法案を実行することはこの無法な戦争に加担することであります。しかも、その矛先はアジアの諸国に向けられるものであり、アジア諸
国民との
友好と平和にも反するものであります。
第二に、有事法制三
法案は、
日本を丸ごと米軍の戦争のための一大兵たん補給の基地に変え、地方自治体や交通通信を始めとする指定公共機関などを米軍
支援に駆り立てるものだからであります。
イラク戦争を見れば明らかなように、
アメリカが戦争を始めるときには大量の兵隊と装備、軍事物資を事前に準備しますが、それに必要な施設の提供や物品役務の
支援を地方自治体や指定公共機関に押し付けるのがこの
法律の大きな柱の一つであります。
武力攻撃予測事態及び
武力攻撃事態になればどのように米軍を
支援するのか、これは本
法案の中心問題であります。にもかかわらず、委員会審議では、参考人からも、何も明らかにされていないと厳しく
指摘されました。我が党の要求で提出された
政府文書もこの
指摘に何ら答えるものではありませんでした。
今後予定される米軍
支援法制は、周辺事態法では建前上禁止されていた戦闘地域での米軍
支援を実行するものとし、米軍の武力行使と一体となった
支援に公然と道を開く極めて危険なものであります。ところが、骨格さえ示さない
政府の
態度は言語道断と言わなければなりません。
第三の反対理由は、
政府は口を開けば備えあれば憂いなしと言いますが、これは
国民を守るための備えではなく、
自衛隊が米軍とともに攻めるための備えだからであります。
周辺事態法では、海外で米軍を
支援する
自衛隊は戦闘地域と一線を画した地域でしか
支援活動をすることができません。
活動地域で戦闘が始まれば、米軍への
支援を中止し、その場から撤退することになります。ところが、この
武力攻撃事態法案では、米軍
支援中に戦闘が始まった場合に、武力攻撃予測事態と認定すれば、その場に踏みとどまって米軍への
支援を続けることになります。これは
自衛隊が戦闘地域に入って米軍を
支援することに道を開く危険なものであります。さらに、米軍
支援に当たる
自衛隊が武力攻撃を受けた場合は自衛権の行使があり得るとまで
答弁をしました。
有事法制三
法案は、周辺事態法のような戦闘地域には行かない、武力行使はしないなどの制約を取り払い、
自衛隊が海外で米軍と一体となった武力の行使を可能にする
法案にほかならないのであります。
第四に、この
法案は地方自治体や指定公共機関と
国民に対し戦争
協力を強制するものだからであります。
政府は戦争から
国民を守るのが
法案の目的だと言いますが、
アメリカの戦争を後押しするのがこの
法案の核心であります。武力攻撃予測事態などという定義を持ち出し、周辺事態法では強制できないことを
国民に強制するものであります。
我が党の追及に、
政府は、
日本が武力攻撃を受けていない予測事態でもこの
法律を発動し、地方自治体や
政府が指定する民間企業や公共機関の米軍
支援を強制できることを認めました。日米軍事当局が日米共同の軍事演習に自治体を
参加させる計画を持っていることも判明しました。さらに、国、地方を問わず、公務員は予測事態の段階から米軍
支援に
協力させられることも明らかになったのであります。
与党と
民主党が修正した自由と権利規定についても、基本的人権は最大限尊重されなければならないと述べていますが、これは基本的人権の制限はやむを得ないという
政府見解と少しも変わるところがありません。憲法第九条を信条としている
国民や
アメリカの
国連憲章違反の戦争には反対だという
国民にも
協力を強制し、戦争反対の
行動をすれば権利を制限する、
協力違反には罰則を付けるなどということは憲法上絶対に許されることではありません。
以上四つの理由で、有事法制三
法案に断固反対するものであります。
周辺事態法とこの有事法制三
法案が目指す海外派兵国家づくりの道は、世界の平和の流れに逆行し、
国際社会での孤立に
日本を追いやる道であります。
私たち
日本共産党は、憲法を生かし、道理に立った外交の力でアジアと世界の平和に
貢献する
日本をつくるために全力を尽くすものであります。そのために、有事法制三
法案が成立しても発動させるわけにはいきません。有事法制三
法案の
具体化を図る個別法制の制定を許さないために引き続き全力で闘うことを表明し、反対討論を終わります。(
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