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2003-07-15 第156回国会 参議院 法務委員会 第22号
公式Web版
会議録情報
0
平成十五年七月十五日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
七月十日
辞任
補欠選任
本田
良一
君
角田
義一
君 七月十一日
辞任
補欠選任
藤井
基之
君
青木
幹雄
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
魚住裕一郎
君 理 事 荒井 正吾君 市川 一朗君 千葉 景子君 荒木
清寛
君 井上 哲士君 委 員 岩井
國臣
君 柏村
武昭
君
佐々木知子
君 陣内 孝雄君 中川 義雄君 野間 赳君 江田 五月君 鈴木 寛君 平野 貞夫君 福島 瑞穂君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
参考人
共同通信社論説
委員
土屋
美明
君
日本弁護士連合
会副
会長
軍司
育雄
君
日本司法書士会
連合会会長
中村
邦夫
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
司法制度改革
のための
裁判所法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
魚住裕一郎
1
○
委員長
(
魚住裕一郎
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る十日、
本田良一
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
角田義一
君が選任されました。 また、去る十一日、
藤井基之
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
青木幹雄
君が選任されました。 ─────────────
魚住裕一郎
2
○
委員長
(
魚住裕一郎
君)
司法制度改革
のための
裁判所法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 本日は、本案の
審査
のため、お
手元
に配付の名簿のとおり、三名の
参考人
から御
意見
を伺います。 御
出席
いただいております
参考人
は、
共同通信社論説委員土屋美明
君、
日本弁護士連合会
副
会長軍司育雄
君及び
日本司法書士会連合会会長中村邦夫
君でございます。 この際、
参考人
の方々に
一言
ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人
の
皆様方
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただきまして、今後の
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお
願い
申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず
土屋参考人
、
軍司参考人
、
中村参考人
の順に、お一人十五分
程度
で御
意見
をお述べいただきまして、その後、各
委員
の
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、
委員長
の許可を得ることとなっております。また、各
委員
の
質疑
時間が限られておりますので、御
答弁
は簡潔にお
願い
したいと存じます。 なお、
参考人
の方の
意見陳述
及び
答弁
とも、着席のままで結構でございます。 それでは、
土屋参考人
からお
願い
いたします。
土屋参考人
。
土屋美明
3
○
参考人
(
土屋美明
君) 共同通信の
論説委員
をしております
土屋
と申します。 今日は、お
手元
に私の
意見
の
レジュメ
をお配りしてあるんですが、そこに触れる前に、ちょっと一般的な
お話
をしたいと思っています。 私、今、
司法制度改革
に関する
連載
の
企画
を書いておりまして、言わば「
市民
の
司法
へ」というタイトルなんですが、
テーマごと
に
司法改革
の動向を切り分けて、それを毎月一回
報告
するというスタイルで二〇〇〇年の十一月から書いております。その取材の過程でちょっと得たものを
お話
しして、それで
レジュメ
の方に入りたいと考えております。 まず、二〇〇〇年の十月、その
連載企画
を始める前の二〇〇〇年の十月なんですが、
アメリカ
の
陪審裁判
を傍聴しに行きまして、とても
感銘
深い場面に直面しました。サンフランシスコの
地方裁判所
で、小学校五年生の
生徒たち
が見学に来たんですけれども、そこの
生徒たち
を前に、
所長
が簡単な
アメリカ
の
裁判制度
についての授業といいましょうか、それをしたんです。
所長
は、ニューヨークに自由の
女神
というのがあるだろう、自由の
女神
は一体何を持っているか君
たち
知っているかいというところから話を始めました。
所長
は、自由の
女神
が手にしているのは
てんびん
であるということを言いまして、
てんびん
というのは、君
たち
が
交通事故
なんかに遭ったときに自分の
言い分
を言う、あんたが悪いんだということをこっちで言う、そうすると向こうの人は、そうじゃない、おまえの方が悪いということを言う、両方が
言い分
が出てくる、それを
てんびん
ではかりに掛けてどっちの
言い分
が正しいかということを
判断
するんだよ。そういうものを持っている、
アメリカ
というのはそういうジャスティスの国なんだということを言ったんですね。そして、一番
最後
に
所長
が、そういう
アメリカ
の
裁判制度
、これを担っていくのは君
たち
なんだと、将来君
たち
は
陪審員
になって判決を下す、そういう
立場
に置かれるんだから、しっかり今何が行われているのか、
裁判所
で行われていることをちゃんと見てくださいという話をしたんですね。 私は、びっくりしたのは、
日本
ではこういう
シーン
というのは一度も見たことがないわけです。
日本
にはこういう
教育
、
司法
に関する
教育
というものが全くない。これで本当に
司法
というのが
国民
のものになるのだろうかという
思い
を強くした、そういう
シーン
でありました。 それから、昨年の三月には
スウェーデン
とフィンランドの
刑事裁判
を見てまいりました。
スウェーデン
というのは、今、
日本
と同じように
司法制度改革
の真っ最中であります。昨年の六月に
国会
の
司法委員会
の
報告書
が出されまして、そこでいろいろな
改善点
が出されておりますけれども、結局、
外国籍
の移民の増大、それに悩みながら、財政難の下でいかに高い
市民サービス
を実現していくかという
方向
が模索されておりました。これにもまた私は強い
感銘
を受けまして、
市民
の、
国民
の
司法参加
を強化していこうという意思がうかがえる、そういう
内容
の
改革
に
日本
もすべきであろうということを、そういう
思い
を新たにして帰ってきたわけです。 そして、つい先日ですけれども、五月には
ドイツ
の
裁判
を見てまいりました。
ドイツ
は
政党推薦
の
参審員
による
刑事
の
参審員裁判
が行われていますけれども、物の本では各州の
地裁
では
裁判官
三人に
参審員
二人という
構成
だというふうに書かれておりますけれども、実情はそうではありませんでした。実際は、
裁判官
の数が減らされて、
裁判官
二人に
参審員
二人という
構成
で行われている
刑事裁判
が八〇%以上、
所長
の
お話
では、ほとんどがそうだというふうに言っております。 なぜかといいますと、
東西統合
が行われて十年
たち
まして、旧東
ドイツ
の
地域
に西側の
裁判官
が送り込まれているということなんですね。そのために
裁判官
の数の
不足
に悩んで、
裁判所
の
構成
を一人減らして、それでもなおかつ
国民参加
型の
参審員制度
を維持していこうという
制度
の
運用
を図っている、そのことをまた知って帰ってきました。 どの国も悩みながら
司法制度
のあるべき姿というのを探しているというのが私の
印象
です。ただ、欧米の国見てきますと、
国民
に根を下ろした
司法制度
、そういうものをどう作るかというところで苦闘をしているという姿が見えるように
思い
ます。 それで、自らに振り返ってみますと、我が国がどう見えるのだろうかという、そのことを私は今日述べたいと思っております。
レジュメ
の方に入りまして、一のところで書きましたけれども、この
一括法案
には基本的に私は
賛成
です。ただし、望ましい
方向性
もありますし、
幾つ
かの
疑問点
もあるというのが率直なところであります。 この
法案
を考えるときに重視したい
視点
として、私はここに
四つ
ばかり挙げました。
一つ
は、いわゆる
法曹
村からの脱皮であります。
法律家仲間
の利害にとらわれた主張というものが私には目に付き過ぎるように思われます。そういう
村意識
を超越して、あるべき
制度
を目指す
論議
をしていただきたいということを常々
感じ
ております。 もう
一つ
は、
市民サービス
の向上であります。現在の
司法
というのは、
裁判所中心主義
とでもいうんでしょうか、
裁判所
を
中心
に物が回っているという
状況
だと思うのですけれども、余りに
裁判所
に傾き過ぎたような
司法
というものからの脱却が必要なんだろうと考えています。
庶民
が
解決
してほしいという法的な
紛争
はたくさんあるのに
司法
が十分役に立っていない、これはやはり
裁判所
に傾き過ぎた
司法
の
在り方
というものが基本にあるからであろうと
思い
ます。ですから、調停だとか仲裁だとか、そういった
裁判外
の
紛争解決手続
、ADRですけれども、その
拡充
が急務であろうというふうに思うわけです。
三つ目
の重視したい
視点
というのは、
地域格差
の解消です。私も記者の
仕事
を始めて、愛知県、福井県、三重県、宮城県、山形県と五県で
仕事
をしてまいりましたけれども、
地方
での、特に
過疎地
での
司法
の実感というのは極めて薄い。言わば
国民
が居住している
地域
によって、
法的サービス
を受ける
権利
というんでしょうか、その
達成度合い
が違い過ぎるということを
感じ
ております。
政府
は今、
司法ネット構想
というのを打ち出しておりますけれども、その
司法ネット構想
というのを
是非
実現してほしいというのが私の
一つ
の
願い
です。それは、私が今
検討会
に参加しております
公的弁護制度
、この
検討会
で行われている
議論
ともリンクしてきますけれども、そういった、貧しい者というんでしょうか、
資力要件
、
資力
が乏しい人のための
弁護制度
の
運営主体
についてもそういった問題があろうかと思っています。
四つ目
が
国際化
の
視点
です。
司法改革論議
の中で、私はこの点が最も欠けているんじゃないかと思う点であります。 私などが余り詳しくなくて物を言うのもどうかと思う
部分
もあるんですけれども、
法的サービス業務
をめぐる
世界貿易機関
、WTOですね、そこでの交渉というものはほとんどの
国民
が知りません。ですけれども、これは
日本
の将来、
日本
の
国家
、
国家
の存在ですね、そういうものに大きくかかわることだろうと私は思っております。特に、
弁護士資格
などの
法曹資格
の問題については十分な
論議
が必要ですし、
知識
も必要だろうと思っています。
IT国家
の立ち後れが
司法
でも起きないように、そういうふうに私は願うわけであります。 同じことは
国際条約
への無
関心
についても強く現れているように
思い
ます。国連の
委員会
では今月から
女性差別撤廃条約
の
日本政府報告書
が審議されていますけれども、
関心
が非常に薄いですし、
政府
は相変わらず
司法権
の独立ということを根拠として、言わば国際的な干渉というんでしょうか、そういったものを排除しようとするかのような
報告書
を出しています。恐らく私は、また
委員会
から多くの事柄が
改善
の
指摘
を受けるんじゃないかというふうに心配しております。 それから、なかなか
議論
の場がないので
一言
だけ触れておきたいんですが、それは
外国人被告
の
通訳制度
ですね、
司法通訳
の
制度
です。これについても、
日本
はもう真剣に
立法化
を考えなければいけないというふうに考えます。
ドイツ
に行きましたときに、
ドイツ
のフランクフルトの
高等裁判所
の長官が、知人が
日本
で
刑事事件
で捕まったそうなんですけれども、知り合いと言っていましたけれども、
通訳
が付かなかったと、
ドイツ語
の
通訳
が付かなかった。
日本
はそういう
制度
になっているのかというふうに聞かれまして、私は答えに窮しました。
アメリカ
では
スペイン語
だとかの
通訳
の
試験制度
が
国家制度
としてありますので、そういった
制度
がない国は言わば
野蛮
、
野蛮国
と見られると言ったら変ですけれども、そういうふうに見られているんじゃないかという気がするのであります。
是非
、積極的にお考えいただきたいと
思い
ます。
二つ目
のところで、(2)で書きましたが、
附帯決議
と
修正案
のことですけれども、基本的には私は望ましい
修正
が行われているというふうに受け取っております。望ましい
方向性
というところで書きましたように、
パートタイム裁判官
ですね、この
制度
などは非常にいいと
思い
ますし、
司法書士
の
民事訴訟事件
での
簡裁代理権
、これなどもいい
方向
だと私は思っています。 ただ、
疑問点
としては、そこに
三つ
ぐらい挙げておりますけれども、
簡裁
の
事物管轄
の問題と
法曹資格
、
弁護士報酬
をめぐる問題があろうかということであります。それで、その個別の問題についてちょっと私の
意見
を申し述べたいと
思い
ます。 まず、
簡易裁判所
の
在り方
、
レジュメ
で書きました
二つ
の点でありますが、まず
地裁
との
件数配分
に
配慮
をする必要があるだろうと思うわけですね。 私の
理解
としては、
民事訴訟
の総
件数
の三分の一
程度
が
簡裁
の
事件
に来るように
事物管轄
は設計されているというふうに私は
理解
しておりました。つまり、
簡易
で迅速な
解決
が行われるというのが
簡裁
の
機能
でありますから、だからこそ米国では、
アメリカ
では
簡裁
は
庶民者裁判所
と呼ばれているくらいなんでありまして、そういう
機能
が果たせなくなったんでは
意味
がない。
簡裁
が過重な負担にあえぐことがないように、
件数配分
に入念な
配慮
が必要だろうと思うわけです。 それで、
事物管轄
の百四十万円の
引上げ
というのがどうなのかということなんですが、率直に申しまして、百四十万円というのは私にとっては予想以上の高いラインだったということであります。私は百二十万円前後かなと、
検討会
の、
司法アクセス検討会
ですね、ここでの
議論
を聞いておりまして、そんな
印象
を持っておりました。この
法案
にあえて反対はしませんけれども、百四十万円で線を引くとやや重い
制度
になるんじゃないかという
感じ
はぬぐえないと思っております。 それから、
三つ目
に書きました
権利義務
の重要な
判断
は
地裁
にゆだねてほしいということであります。 百四十万円で線を引きますと、
地方
の、特に
県庁所在地
でないような
地域
の
不動産
に関する訴えですね、こういったものが
簡裁
に入ってくる
可能性
がございます。そういう
権利関係
に重大な影響を与えるような
判断
というのは本来
地裁
でやるべき話でありまして、そういうような
事件
については
地裁
への移管を図るなどの積極的な調整をしていただきたいということであります。 それから、少し飛ばしまして、
三つ目
の
非常勤裁判官制度
ですが、もっと全国的に
拡充
していただきたいというのが私の
願い
です。そして、
弁護士任官
という将来的な
制度
につながっていくように、そういう
可能性
を持ったまず
スタート地点
となるような
環境づくり
に努めていただきたいと
思い
ます。 それから、
四つ目
の
弁護士資格
です。
弁護士資格
については、
現行制度
が
司法試験
の
合格
に
司法修習
という
二つ
の
要件
をかませている、そういう
制度
だと思うんです。
現行制度自体
がいいのかどうなのかという問題は別としまして、その
制度
の趣旨を貫く場合に、
弁護士資格
の
拡充
という
必要性
があるということはよく分かりまして、そのこと
自体
には
賛成
なんですが、慎重にする必要あるだろうと
思い
ます。
力量不足
の
法曹
が生まれては
国民
の迷惑になりますし、そういった
観点
から考えていただきたい
部分
があります。 個別の問題になりますが、
国会議員
は現
段階
では遠慮された方がいいのではないかというふうに私は
思い
ます。遠慮された方がいいと思っております。
企業法務
と公務員は、
修正
を行いましたように、
研修
を義務付けるということでありますけれども、
研修
という以上は当然その
研修
の成果が上がったかどうかの
チェック
が必要だろうと
思い
ますので、そこの
チェック
、
試験
という形にするのかどうなのか分かりませんけれども、そういうものが当然入ってこなければいけないんだろうと思っております。
特任検事
についても、同じように考えています。
大学
の
教授
、
助教授
については、一律に
資格
を付与することには私は疑問がありまして、一定の
基準
でふるい分けが必要なんではないかと思っております。実定法の
先生方
はいいでしょうけれども、
基礎法学
の
先生方
についてはいかがなものかと思ったりもする
部分
がございます。特に、
外国法
の
専門
の方で
日本法
の
弁護士
の
資格
を取るというのはいかがなものでしょうか、疑問を
感じ
ます。 全体的に、こういう
特例
の対象になる方を
法曹
の中に取り込んでいこうという
構想自体
はいいとは思うんですが、いささか時期尚早かなという
感じ
も持っています。そういう
資格
の付与についての仕分がまずきちんとできていない、そういうことを
感じ
ております。 それから、
弁護士
の
業務関係
なんですが、(「時間厳守でお
願い
します」と呼ぶ者あり)済みません。分かりました。書いてありますので、簡単に。
弁護士
の
業務関係
などについても、この
法案
の
方向
については私は基本的に
賛成
いたします。ここでも、
外国法
の
関係
で、
知財立国
をうたうならば、しっかりした
制度
を作っていただきたいというのが私の
願い
であります。 はしょります。
最後
にちょっと書きましたけれども、
三つ
ほど。長期的な
司法改革ビジョン
の
議論
をもっとしていただきたいということと、
国民
の
関与
を広げることで
司法
の未来が築けるというふうに私は考えておりますので、そのことに努めていただきたいということであります。 以上であります。
魚住裕一郎
4
○
委員長
(
魚住裕一郎
君) ありがとうございました。 それでは次に、
軍司参考人
にお
願い
いたします。
軍司育雄
5
○
参考人
(
軍司育雄
君)
日本弁護士連合会
副
会長
の
軍司育雄
でございます。 本日は、
司法制度改革
のためのいわゆる
一括法案
についての
意見陳述
の機会を与えていただきまして、誠にありがとう存じます。 この
法案
は範囲が大変広うございますので、
幾つ
かの項目に絞って
意見
を述べさせていただきます。 第一点でございますが、
簡易裁判所
の
事物管轄引上げ
の問題について申し述べます。
簡裁事物管轄拡大
の
法改正
は、近いところでは昭和二十九年、四十五年、五十七年にそれぞれなされております。いずれも
経済指標
の変化や
簡裁
と
地裁
の
事件比率
を
参考
として行われました。過去三回とも、本日
資料
を提出しておりますが、これですが、(
資料
を示す)
別紙資料
の示すとおり、
地裁
の
取扱割合
が
簡裁
に比べて著しく大きくなったころに実行されました。しかし、それに比べますと、今回の百四十万への
引上げ
は異例でございます。
経済指標基準
で申しましても、
日弁連
がかねて主張しておりました百万円から、あるいは
推進本部
の多数
意見
がまとめました百二十万円ぐらいが妥当ではないかと今でも考えているところでございます。
事件
の
取扱割合
ということからいえば、先ほどの
資料
のとおり、
簡裁
の扱う
割合
は既に急増しているのが現実でございまして、将来の
むしろ運用状況
を見ますと、百四十万円、引下げの
可能性
もないとは言えないと、こう考えるところでございます。
司法書士
の
訴訟代理業務
の実績がいまだ現時点ではないわけでございますが、その
段階
でこの更なる
権限拡大
を検討するというようなことについては
日弁連
としては時期尚早であると、
利用者
である
国民
にとっても混乱を招きかねないと考えているところでございます。また、
簡裁
の本来の役割に照らしまして、
不動産訴訟
や争点の多い
事件
につきましては、
利用者
である
国民
の
立場
からしても、できる限り
地方裁判所
へ移送が図られるようにすべきであると考えます。この点については本院においても適切な
対応
を賜りたいと存じます。
司法書士会
におかれましても、
司法書士
の
訴訟業務対応
のための
知識
、技能の涵養はもちろんのこと、
倫理面
での
研修強化
や監督についての格段の努力を期待いたしたいと存じます。
司法書士関与
の下に非
弁業者
と提携して
債務整理
を行っているのではないかというような
報告
も現になされておりまして、東京の
司法協議会
の
協議事項
ともされているような事実もございます。 次に、第二点でございますが、
弁護士資格特例
の
拡充
問題についてでございます。
衆議院修正
前の原案では、
国会議員
、
特任検事
につきまして
研修
なしで
資格
付与されることとなっておりましたが、これがいずれも要
研修
と、
研修
が必要という形に
修正
され、さらに十分な
研修
を要するという
附帯決議
を
衆議院
でいただいておりますことは、我々としては有り難く存じておるところでございます。 なお、
司法試験
を
合格
している者とそうでない者との
研修
の
内容
についてはおのずから差があってしかるべきとの
議論
もあるところでありますので、法の
運用
の中で十分検討していきたいと考えております。 ところで、
弁護士資格
についての
制度改革
は本来骨太なものであって、できる限り
例外措置
を置かない
国民
に分かりやすい姿が良いと考えます。
資格要件
は、
司法試験
の
合格プラス実務
に
対応
できるところの
研修
という簡明な姿にすべきであると考えます。その
意味
で、
現行法
五条三号の
大学教授
、
助教授
などへの
特例資格
は、より質の高い新たな
法曹養成制度
が
スタート
するこの時期に、
是非
とも
廃止
の
方向
で見直すべきと考えます。また、
研修制度
の
スタート
に合わせまして、
現行法
五条二号に言うところの
衆参法制局参事
あるいは
内閣法制局参事官
などについても
研修
を課すことを検討する必要があると存じます。本院において適切な
対応
を賜りたいと存じます。 第三点でございますが、
弁護士報酬規定廃止
についてでございます。
日弁連
及び
弁護士会
は、従来、
弁護士報酬
についての標準を定める
規定
を置き、
会員
はこれに依拠して
依頼者
との間で
報酬契約
をしてまいりました。しかし、
弁護士
と
依頼者
間の自由な
判断
の下で
委任契約
を結ぶべきであるとの考え方への転換について、
弁護士
、
弁護士会
の中にも
理解
が深まってきていると考えております。 ところで、
報酬規定
の
廃止
が
弁護士
への
アクセス障害
となってはならないわけであります。
利用者
である
国民
の側から見て分かりやすく納得のいく
報酬
でなければなりませんので、何らかの分かりやすい、しかも
拘束力
を伴わない
目安作り
が必要であるという認識の下に、
日弁連
は広く
会員
への
アンケート調査
を実施いたしまして、これを統計的に処理した
情報
をインターネットやガイドブックなどを通じて
利用者
や
弁護士
に示す方法を目下
準備
中でございます。 また、
日弁連
は、
会員弁護士
に対し、自らの事務所の
報酬基準
の備置き、
報酬
に関する
説明義務
、
報酬
についての
情報開示
や
契約書
の作成、あるいは
報酬見積り
の提示に努めることなどを
内容
とする
利用者
の
アクセス拡充
に資するための
規定
も
準備
中でございます。
国民
の
皆様
の御
理解
をお
願い
申し上げる次第でございます。 第四点でございますが、
弁護士
に対する
綱紀
・
懲戒手続
の
改正
についてでございます。今次
弁護士法改正
の中で最も多くの
改正条文
を置いている
改革
でございます。
日弁連
は、
懲戒手続
を一層
透明化
、
迅速化
、実効化するという
観点
から、これら
改革
を積極的に受け止めまして、目下、
新法成立
を見込んで会則や会規の
新設
、
改正
のため、秋の
臨時総会
を含めてその
準備
に取り掛かっておるところでございます。 今回のこの
改革
は、
司法審意見書指摘
のとおり
市民参加
型となっておりまして、
改革
は多岐にわたりますが、その眼目は
綱紀審査会
の設置でございます。
法曹
以外から選任される十一名の
国民
のみによる組織として
日弁連
に設置いたします。
綱紀審査会
は
一般国民
の目線で
日弁連綱紀委員会
の
議決
を再
チェック
することになります。この
制度
の
新設
により、
綱紀
・
懲戒手続
の
透明化
は一段と進むであろうと考えております。また、
審査会
の特別多数の
議決
、三分の二でございますが、により、単位会の懲戒
委員会
の
審査
に付することができるという
規定
になっております。その
意味
で、
綱紀審査会
の
議決
には一定の
拘束力
が認められているわけでございます。
日弁連
としては、二度にわたる
臨時総会
の
論議
を経まして、
司法
審
意見
書の示したこの
制度
を受け入れることを決議した経緯がございます。 次に、外弁法の
改正
案について若干申し述べます。 今般の
司法制度改革
においては、
司法
審
意見
書にもあるとおり、
弁護士
の
国際化
が
改革
の重要課題の
一つ
として挙げられました。
日弁連
といたしましても、
国民
的
観点
から見て、
日本
の
弁護士
及び
弁護士
事務所がより国際競争力を付け、語学力、国際
知識
を豊富に持って、他の国の
弁護士
と論争し、戦える
状況
を作ることは、大変重要なことと考えております。また、官民を問わず国際的交渉などに法律の
専門
家である
弁護士
が参加する姿は、国全体としても望ましいことだろうと
思い
ます。その
意味
で
日弁連
は
司法
審の
意見
書の趣旨に
賛成
しているのでございます。 しかしながら、
司法
審の
意見
書は、外弁と申しますが
外国法
事務
弁護士
のことでございます、外弁による
日本
弁護士
の単独雇用についてはこれを将来の課題としていたのにかかわらず、今次外弁
法案
に急遽解禁
規定
が入ったことにつきましては、
日弁連
としては遺憾とするところであります。外弁法は、御承知のとおり昭和六十一年に成立以来、順次規制緩和のための
改正
が加えられてきました。
日弁連
は、
司法
審の
意見
書を受けて、
弁護士
の
国際化
の
必要性
を認め、今次
改革
においては、
一つ
には、従来の特定共同事業を
廃止
し外弁と
日本
弁護士
の一般共同事業を認める、
二つ
には、その共同事業体が
日本
弁護士
を雇用することを認めるとの方針を決定いたしておりました。この
二つ
の
改革
によっても
日本
弁護士
及び
弁護士
事務所の
国際化
は飛躍的に増大すると確信したからであります。 単独雇用の解禁までは必要ないという考え方でありました。単独雇用が今次
法案
のような形で解禁されますと、法の
運用
が不安定となり、以下に述べますとおり不正常な状態も予測され、また法
運用
の
準備
に時間的余裕が必要であると認めたからでございます。 今次外弁法の
改正
によっても、外弁の取扱業務範囲が広がったわけではありません。法務省は、従来、単独雇用を認めてしまえば実質的に外弁法四条違反、典型的には外弁による
日本法
の取扱いのことですが、の脱法行為が予測されるとの理由などからこれを認めてきませんでした。しかるに今回の単独雇用解禁の
法案
となったわけでありますから、法の安定的な
運用
上問題を残していると我々は懸念している次第でございます。 外弁法、新
法案
によりますと、四十九条、四十九条の二のいわゆる行為規範を
新設
いたしまして、これに
対応
しようとしております。しかし、外弁が雇用している
日本
弁護士
、これは若手が多くなると予測されておりますが、この
日本
弁護士
に対し、外弁事務所として
日本法
を扱うことを業務命令してはならない、あるいは不当
関与
してはならない、そういう
規定
をいたしておるところでありますが、業務命令という形を取らない姿での
日本法
の取扱いは十分考えられるところでありまして、
日本法
取扱いによる収入も様々な名目を付けて、例えば事務所の使用料であるとか
通訳
などの補助業務
報酬
、そういう名目で外弁や外弁事務所が取得するであろうと懸念されておるのでございます。 さらに、
弁護士会
の関連
委員会
や事務方の
報告
によりますと、既に外弁や海外マスコミからの新法に対する問い合わせがございまして、
改正
案について次のような誤解をしているようであります。
一つ
は、今回の
法改正
によって、
日本
弁護士
をパートナーとしその助言を得れば、外弁は
日本法
サービスが提供できるのだと、そういう誤解。もう
一つ
は、雇用した
日本
弁護士
を通じて外弁は
日本法
のサービスができるのだと、こういう誤解。外弁の本国ローファームが
日本法
サービスを提供できるようになる、又は本国ローファームが
日本
弁護士
と提携できる、いわゆるインターナショナル・パートナーシップが許容されることになると。以上のような誤解に基づく問い合わせが来ておるということでございます。 新法が成立いたしましても、今申し上げた三点のようなことは容認されないと
日弁連
は
理解
しておるところでございます。このような誤解を解くための広報、
研修
が十分必要であると
日弁連
は考えております。一般に、外弁は必ずしも外弁法そのものに対する
理解
が十分でありませんで、また二、三年で本国へ帰国してしまう、そして別要員が
日本
へ赴任すると、こういう実態も
報告
されておるところでございます。前述の行為規範を新法が用意いたしましたとしても、例外的な
刑事
罰の
規定
しか用意されていない新法におきましては、その実効性は極めて疑問であります。
国際化
の施策を作ることは重要でありまして、
日弁連
もこれを
理解
するところでございますが、
日本
国内における外弁の活動もやはりルールを守ってやっていただかなければ困るわけでございます。利益追求のために何でもありというような事態は我が国の国益にも反することであり、何としても避けなければなりません。 前述のとおり、四条違反行為に対する実効的な措置もないまま法が
運用
されますと、不正常な状態も懸念されるところであります。そこで、念のため、将来の見直し条項などを含む適切な
対応
を本院において
是非
お
願い
したいと存ずる次第でございます。 以上、五項目にわたりました
意見陳述
を終わります。 ありがとうございました。
魚住裕一郎
6
○
委員長
(
魚住裕一郎
君) ありがとうございました。 次に、
中村参考人
にお
願い
いたします。
中村参考人
。
中村邦夫
7
○
参考人
(
中村
邦夫
君)
日本司法書士会
連合会会長
の
中村
邦夫
でございます。 本日は、当
委員会
の
参考人
として
意見陳述
の機会をお与えくださいまして、心から感謝いたします。
委員
の
先生方
におかれましては、
国民
のための
司法制度改革
に関しまして御熱心な御
論議
を重ねていただいております。改めて深く敬意を表しますとともに、感謝申し上げる次第であります。 私は、
会員
一万七千五百名ほどを擁する
日本司法書士会
連合会を代表いたしまして、現在審議されております
司法制度改革
のための
裁判所法等
の一部を
改正
する
法律案
につき、特に
裁判所
法第三十三条に関する
改正
、
簡易裁判所
の取り扱う訴訟の目的価額、いわゆる
事物管轄
の拡大について
意見
を述べさせていただきます。 御審議中の
簡易裁判所
の取り扱う訴訟の目的価額の上限を百四十万円とする
裁判所
法の一部を
改正
する
法律案
に関しましては、当連合会として賛意を表するものでございます。これにより、
国民
の
司法
へのアクセスを
拡充
し、
司法制度改革
における
一つ
の大きな目標であります
国民
にとってより利用しやすく分かりやすく頼りがいのある
司法
の実現に大きく資することとなると考えるからであります。
簡易裁判所
は、御案内のとおり、
国民
に最も身近な
裁判所
として、少額な
事件
を取り扱う単独制の
裁判所
であり、また、当事者のニーズに応じた柔軟な
紛争
解決
手段として、民事調停
事件
、起訴前の和解手続、督促手続等を取り扱う
裁判所
でもあります。
簡易裁判所
は、戦後の
裁判所
機構の見直しに当たり、
地域
社会での民衆の
裁判所
としての役割を果たすものとして設置されたことは広く知られているところでございます。そのため、
地方裁判所
に比較してその手続も
簡易
なものとされており、また、許可代理人の許容、いわゆる
法曹資格
を持たない
裁判官
の起用、あるいは民間人たる
司法
委員
の参加など、その運営に当たっては
市民
の社会良識を広く
裁判
に反映させるための諸手だてが講じられているわけでございます。 少額な
事件
への対処方策は、一国の
司法制度
のありようそのものを表すものであり、少額な
事件
への適切かつ迅速な救済が行われているか否かは、その国の
国民
の
司法
に対する信頼を決定付けるものと申し上げても過言ではないと考えております。 先日、本院において可決、成立をされました
民事訴訟
法等の一部を
改正
する
法律案
により、
簡易裁判所
が取り扱う少額訴訟手続の訴額の上限が三十万円から六十万円に大幅に引き上げられることとなりました。これにより、
国民
の日常生活から生ずる
紛争
は更に適切かつ迅速な
解決
手段を得たのでありまして、
司法制度
に対する
国民
の信頼と、これに呼応する
司法制度
の存在価値は大きく高まったと言うことができるものと考えております。当連合会は、この
改革
の道筋を確かなものとするために、今後もなお一層の協力を惜しまないと考えるものでございます。 御審議いただいております
簡易裁判所
の
事物管轄
の拡大は、御案内のとおり、平成十三年六月十二日の
司法制度改革
審議会
意見
書において、「軽微な
事件
を
簡易
迅速に
解決
することを目的とし、
国民
により身近な
簡易裁判所
の特質を十分に活かし、
裁判所
へのアクセスを容易にするとの
観点
から、
簡易裁判所
の
事物管轄
については、
経済指標
の動向等を考慮しつつ、その訴額の上限を引き上げるべきである。」との御提言に基づき
司法制度改革
推進計画に取り入れられたものでございます。 そこに述べられております
簡易裁判所
の特質とは、概要、次の諸点であると考えております。 まず、
簡易裁判所
は、
地方裁判所
と比較して全国に広く分布しており、
国民
がアクセスしやすい
裁判所
として、正に
国民
に近接する
裁判所
と位置付けられています。また、手続が簡便であり、審理そのものも
利用者
に
理解
しやすい
制度
であるように様々な工夫がなされております。さらに、簡便な手続という側面にも該当いたしますが、迅速な審理が行われております。ちなみに、平成十三年の
簡易裁判所
における第一審の通常訴訟の平均審理期間は二か月でありました。
地方裁判所
の八・五か月と比較すると、四分の一弱の期間で審理されております。 以上申し上げた諸点が
簡易裁判所
の特質であり、これらが昨今の
簡易裁判所
における
利用者
増加の要因であると私どもは考えております。 一方、現在、
簡易裁判所
で取り扱う訴訟
事件
のほとんどが
弁護士
代理人のいない当事者本人によるものでありますが、
地方裁判所
においても、平成九年度においては、今回の
引上げ
額である百四十万円を含む訴額百二十万円から百五十万円の
事件
の範囲においては、
弁護士
代理人のいない、双方とも本人が訴訟する
割合
は三六・九%であり、一方のみが本人の場合を含めると八一・二%となっております。さらに、弁論の回数が一回で終わっているものが五五・五%、本人や証人尋問がないものが四〇・九%、控訴率は七・九%と、比較的
簡易
と思われる
事件
がそこには含まれております。 このような訴額百四十万円までの
事件
が、
簡易裁判所
の特質を生かし、
簡易
迅速に
解決
されることになれば、
国民
の
司法
へのアクセスは飛躍的に高まるものと考えております。 日常の
国民
生活の中で発生する
紛争
事件
が、
国民
が利用しやすい様々な特質を有する
簡易裁判所
で今まで以上に取り扱われるよう、特段の
配慮
が実行されるべきであります。
簡易裁判所
の取り扱う
事件
の範囲については、
国民
生活や
経済指標
の動向等を考慮し、継続的、定期的に検討がなされるべきであります。また、
事件
の増加等に伴う
簡易裁判所
の人的、物的な充実も実現される必要があります。これにより、
利用者
である
国民
にとって、
裁判所
がより身近な存在になると考えます。 私ども
司法書士
は、
国民
の
裁判所
へのアクセスを容易にするとの
改革
の理念の実現に全面的に協力するものであり、今後とも我々に課せられた役割を十全に担うべく努力をしていくものであります。 昨年、
先生方
の御尽力をいただきまして、
司法改革
関連
法案
の第一弾といたしまして、
司法書士
に対する
簡裁
訴訟代理権付与を中核とする
改正
司法書士
法の成立を実現していただきました。本年四月一日にはその
改正
司法書士
法が施行されました。 また、この四月二十六日から六月一日まで、代理権取得のために必要な延べ百時間にわたる能力担保措置たる第一回の特別
研修
を、当連合会を実施機関として、
日弁連
、最高裁、法務省の御協力の下に実施いたしました。全国一万七千有余名の
会員
のうち、一万人を超えると推測される受講希望者の中から、第一回特別
研修
には北は北海道から南は沖縄まで三千八百名ほどの
会員
が受講を完了し、現在、効果測定の結果を待っているところでございます。今月中には
簡裁代理権
を取得した
司法書士
が誕生する予定でございます。また、本年度中には、
簡裁代理権
を希望している
会員
のすべてに特別
研修
の受講修了を実現し、装いを新たにした
司法書士
が、全国各地において
国民
の要望にこたえられるよう、最大限の努力をしてまいります。 ちなみに、
司法書士
は、全国の
簡易裁判所
四百三十八か所の中の四百三十三か所、実に九八・九%の所在地内に事務所を構えさせていただいております。
司法書士
が、
国民
の法律家へのアクセスの
拡充
を担い、
国民
に対する身近な相談相手としての
機能
を始め、
国民
の正当な
権利
実現に寄与できるものと考えております。 当連合会は、今日まで全組織を挙げて相談活動を実践してまいりました。さらに、現在、成年後見
制度
や消費者問題、特に多重債務者救済の取組や若者に対する消費者
教育
にも積極的に取り組んでおります。今後も、
国民
と
司法
を結ぶ窓口として、その
機能
を強化してまいるつもりであり、特に
司法
過疎地
域の解消については、現在進められております
司法ネット構想
に賛意を表するものであり、その実現に強く協力してまいる所存でございます。 御審議いただいております
裁判所
法の
改正
が実現いたしましたならば、
国民
に身近な利用しやすい
簡易裁判所
の
機能
の充実に積極的に
対応
してまいります。さらに、
簡易裁判所
における
司法書士
職の役割を十分に果たせますように、訴訟代理人としての実務能力、職能倫理の更なる向上を図ってまいりたいと存じます。
最後
に、着実に実績を積み重ねながら、
司法書士
による
簡裁
訴訟代理業務
への
国民
の
皆様
からの不動の信頼を得られますように、引き続き最大限の努力をしてまいる決意を重ねて表明させていただき、本日の
参考人
としての
意見陳述
といたします。 ありがとうございました。
魚住裕一郎
8
○
委員長
(
魚住裕一郎
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見陳述
は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言
願い
ます。
佐々木知子
9
○
佐々木知子
君 自民党の
佐々木知子
でございます。 今日は、三人の
参考人
の
先生方
、本当にありがとうございました。 今回の
司法制度改革
の中身は多岐にわたっているのですけれども、
一つ
の目玉は、
簡易裁判所
の
事物管轄
が引き上げられたということでございます。それに関しまして、
司法書士会
を代表する
中村参考人
はもちろん
賛成
意見
、そして
弁護士会
を代表する
軍司参考人
は反対でございますし、またマスコミを代表する
土屋参考人
も、総
件数
の三分の一がめどであって、百四十万は予想以上のラインであったというふうな懐疑的な御
意見
を述べておられます。
中村参考人
の
お話
にもございましたように、実は
簡裁
は本人訴訟が多いものですから、たくさんの方が
簡裁
に訴えを提起されることになりますと、
簡易裁判所
の判事というのも非常に大変な労力になるというのも現実でございますし、また
地方
の
弁護士
からは、そんなに大きな
事件
はないのでこんなことになってしまうと食べていけないというような危機感も随分聞こえてまいります。 それに関しまして、私ちょっと
軍司参考人
にお聞きしたいんですけれども、
弁護士
の
報酬規定
が
廃止
されるということになります。百四十万円の
事物管轄
までは
司法書士
と
弁護士
とが競合して立ち会えるということになるわけで、どちらを選ぶか、本人訴訟でなければどちらを選ぶかというときに、やはり
報酬
がはっきりしているということはアクセスするために大事なことだと思うわけなんですね。
弁護士
の
業務関係
などに関しまして、
報酬規定
の会則からの削除は、
土屋参考人
が目安がないのは
アクセス障害
になるというふうにおっしゃっておられますし、恐らく一般の方々はそういうふうに
感じ
られるんじゃないかというふうに思うわけですが、一般のお客にとってもそうでございますし、また新米の
弁護士
などにとりましてもどういうふうに
報酬
を定めていいのかというのがよく分からないというようなことになっても非常に問題でございますので、今少しお述べになりましたけれども、
日弁連
はこの
廃止
後の
対応
についてどうされるおつもりか、いま一度御説明
願い
たいと
思い
ます。
軍司育雄
10
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。
日弁連
といたしましては、この
報酬規定
の
廃止
を、先生御
指摘
のとおり、重大に受け止めております。 先ほど申し述べましたとおり、このことが
国民
の
弁護士
に対するアクセス、ひいては正義に対するアクセスということになるわけですから、この障害にならないように検討をしておるところでございます。
弁護士会
は、この
関係
で、
弁護士
制度改革
本部という大きな組織を作っておりますが、その中に、特別に
報酬
問題を担当する部会を設置して検討を重ねてきました。その結果、
アクセス拡充
のために、
指摘
されているとおり、
目安作り
というものがやはり必要だと、こういうことで、先ほど申しましたけれども、広く
会員
に
アンケート調査
を実施いたしました。何千人という
会員
からアンケートを回収ができました。これは継続して行わなければ
意味
がありませんけれども、現時点で回収したアンケートに基づきまして、例えば金銭
事件
百万円までについては幾らぐらいとか、離婚
事件
については幾らぐらいというような
意味
の目安でございますけれども、そういう統計処理ができ上がってきております。これを
会員
、それから
利用者
である
国民
の
皆様
に周知していただくということが何よりも重要です。そういう
意味
の今、冊子類、ブックですね、あるいはインターネットでこれを広報すると、こういうことを具体的に段取りを付けておるということでございます。 これは
報酬
の
透明化
とか合理化という
観点
、
司法
審の
意見
書に
指摘
してあるとおりですね、そういう
観点
から重要であるということで
対応
しておるわけでございます。 御心配の向きはごもっともでございますけれども、そのようなことのないように努力すると、こういうことで御
理解
願い
ます。
佐々木知子
11
○
佐々木知子
君 ありがとうございます。 じゃ、もう一点、
軍司参考人
にお伺いしたいんですけれども、
綱紀
・
懲戒手続
の
改正
が今回なされることになっております。
弁護士会
が発行している雑誌で「自由と正義」というのがございますけれども、一番読まれているところは
弁護士
の懲戒のところだというふうに言われております。私も結構知っている
弁護士
が、あらまあ大変、またやっているとかいうようなことがもうよくあって、最近は嘆かわしいんですけれども。 実は、これ、
地方
に赴任しておりますと、
地方
では
弁護士会
というのが小そうございまして、お互いに顔見知りなのでなかなか、なかなか厳しい処分ができにくいと。こういうのはせめて業務停止だし除名になってもいいんじゃないかと思われるような事案であっても、何だ、えっ、戒告というようなのが
地方
では間々あるんですね。東京ですとお互いがなかなか知らないような
弁護士
同士ですし、一回きりだからというので結構厳しい処分というのも起きやすいわけですけれども。 今回、十一名
委員
が全部
国民
から選任になるということで、これで
弁護士
というのがもっと公正で、公平で、本当に正義の味方であるというふうな担保が取れるというふうにお考えでしょうか。
軍司育雄
12
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。 この
綱紀
、懲戒の問題は、
弁護士
自治を与えられている私どもとしては根幹にかかわる問題です。非常に重要な問題として受け止めております。 今回、先ほど
意見
を申し述べましたとおり、いろんな
改革
のための条文が用意されました。
国民
から今先生御
指摘
のような誤解を受けないために、
透明化
、手続が透明であること、それから手続が迅速であること、それから実効的であること、こういう必要から、この
法案
ができる前から
日弁連
は、
司法
審の検討
状況
に並行して、自己
改革
の一環だということで
対応
してまいりました。 実は
日弁連
の
臨時総会
を二度も開きまして、このために、基本方針なるものを定めるについて二度も
臨時総会
で大激論をして、
綱紀
・懲戒に関する基本方針を定め、これが
司法
審の
意見
書にも結び付いたということでございます。 それで、先生御
指摘
の点について
一つ
だけ具体的に申しますと、その
司法
審の
意見
書で、
綱紀審査会
というものが
日弁連
に設置されます。今、単位会で出た処分について疑問があるというような案件については、あるいは処分されなかったというような案件についてですね、特に、それが多いんでございます。実は
弁護士
法上、何ぴとでも
綱紀
、懲戒できるという
制度
になっておりますので、乱訴も実は多いんでございます。そういうことで、その言わば乱訴、乱申立てですね、そういうものを含めますと何百件、全国的には何百件という請求があるんですが、そのうち、懲戒の必要なしという、つまり処分の必要なしというのが相当数確かにございます。そういうものについて疑問の向きが発生してくるおそれがあるということで、もう一遍これを
国民
の目線で
透明化
の
観点
から見ていただこうと、こういうために
綱紀審査会
を作ったんです。 しかも、その中には我々
弁護士
は一人も入るなということです。
国民
だけの目線で、恐らく二、三百件単位のものがその
綱紀審査会
にかかってくるであろうと、こう思われます。 そういうシステムが今後、四月一日から動き出す予定でございますので、先生の御心配はかなり解消すると、こういうふうに期待しておるわけでございます。
佐々木知子
13
○
佐々木知子
君 ありがとうございます。 では
土屋参考人
にお伺いしたいんですけれども、冒頭で、
アメリカ
とか他の国の
司法
に対する
国民
の
関与
の
在り方
というか、実際の、実際どう
関与
しているかというようなことについてお述べになりましたけれども、特に
アメリカ
というのは、人種のるつぼでありますし、お互いその歴史や文化や言語や背負っているものが違いますので、法律で共通のルールを定めなければいけないし、そういう
意味
で
司法
というのは重大な役目を担ってまいりますけれども、
日本
は、まあいいかどうかは分かりませんが、ここに
法曹
村とありますが、
法曹
だけではなくて、
日本
全体が村社会ということで来ているのが
日本
の文化であり歴史なわけです。和をもって尊しとなすというのがやはり
日本
の考え方でありますでしょうし、以心伝心で通じてできるだけ争い事はないようにするというのが、できれば私は理想なのだろうというふうに思うんですけれども。 そういう国に根付くべき
司法
と、やはり典型的に
アメリカ
のような人工
国家
で根付く
司法
というのはおのずから違うんだろうというふうに思われるわけですけれども、その点について、十一時五分まで時間がありますから、どうぞお述べになっていただきたいと
思い
ます。
土屋美明
14
○
参考人
(
土屋美明
君) 大変難しい質問をいただきまして、実は答えに窮してしまうというのが率直なところであります。 ただ、私考えておりますのは、実は、先ほどサンフランシスコの
裁判所
の例を引きましたけれども、そこに見学に来た子供
たち
は、それこそ肌の黒い子もいれば白い子もいる、多様な人種
構成
がうかがえる、ヒスパニックの子もいる、そういう
構成
のクラスでありました。その中でジャスティスを貫くためには一定のルールに基づかなければならないんだということはよく分かるのですが、
日本
が果たしてそういう社会でないのかどうかということになると、私はちょっと疑問を
感じ
ておる
部分
があります。
日本
の社会は、余りにルールがなさ過ぎるというんでしょうか、基本的な人間として守るべきルールというんでしょうか、そういうものについての意識がやはり希薄であるというふうに思うんですね。それは、そういうものがなければならないということではなくて、そういうものがなくても暮らしていける社会だったからだと思うのです。 それで、今、透明で公正なルールに基づく社会を作ろうということで
司法制度改革
が進んでいるわけですけれども、
司法制度改革
の
在り方
ということは、やはり、そういう今の社会、これまでの社会というのが根本から変わろうとしている、そういう前提の
状況
にどういうふうに
対応
していくのかという、その選択の問題が迫られているからだろうと思っているわけですね。ですから、
アメリカ
の社会で起きているような事態、あるいはほかの国で起きているような事態というのは、決して無縁な存在でもないし、
日本
の社会が言わば意識の外に置いていた、あるいは意識の下で潜っていた問題なんだろうと私は思っているんです。これは、恐らく
日本
の
国際化
という問題の中で表に出てきますし、
日本
の社会はそれと正面から向き合わなきゃいけないという
状況
になるだろうと
思い
ます。 例えば、山形県で私は支局長をしておりましたけれども、山形県は、ある村の家の
お話
を聞きましたら、村ですから、人口全体でいきますともう一万人
程度
の村ですけれども、そこに外国人の花嫁さんが千五百人もいるんですね。中国、韓国それからスリランカ、そういったところから、お嫁さんの来手がないために、紹介を受けて結婚して家庭を作っている方がそれだけいらっしゃる。そういうところで、やはり異文化との、
日本
文化との衝突というのでしょうか、そういう現象というのは現実に起きているわけです。そこからいろんな問題が噴き出してくるはずなのに、実はそれが正常な法的
解決
のルートに乗らないで処理されている、それが今の実態ではないかなと思っています。 山形の、へき地と言うと怒られちゃいますけれども、
過疎地
で起きているそういう現象というのは、
日本
のほかの
地域
でも同じではないかと私は思っているわけですね。ですから、今そうであるというのではなくて、これから
日本
の社会はそういう社会になっていくんだということを念頭に置いて
制度
設計をしていただく、そのことをお
願い
したいというふうに思っております。
佐々木知子
15
○
佐々木知子
君 そういう規律が失われてきたのは戦後の
教育
の失敗だったというふうに私は思っておりまして、時間が参りましたのでよろしくお
願い
します。 ありがとうございました。
千葉景子
16
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。 今日は三名の
参考人
の皆さんに大変貴重な御
意見
をいただきまして、ありがとうございます。 実は民主党も、
司法制度改革
につきましてはむしろ積極的に進めていくべきだと、こういう
立場
でございます。すなわち、これからの民主主義、そして
国民
主権、公平で公正な社会、こういう基盤を作るためには何としても
司法制度改革
をきちっと進めなければいけない。今、
国際化
という
お話
もございましたけれども、やはり国際的なこれからの社会の中で
日本
がそれと真正面から
対応
することのできる国であるためにも
司法制度改革
が必要だという考え方を持たせていただいております。 そういう
意味
では、
司法制度改革
、今、大変機運が盛り上がっている、こういう機運を逃さずして抜本的な大きな
改革
として成し遂げていかなければいけないと、こう
思い
ますけれども、ただ、逆に、ちょっと考えますと、じゃそのための本当に骨太のビジョンというのがきちっと
論議
をされ尽くしているんだろうかといささか疑問になるところもございます。また逆に、
司法制度改革
、こういうちょうどいいチャンスなのでまあ何でもいいから突っ込んで決めてしまおうと、こういう
部分
も全くなきにしもあらずと、こんな感もするところでございますが、そういう私の基礎的な認識を踏まえまして何点かお聞かせをいただきたいというふうに思っております。 今、
司法制度改革
ということで、
土屋参考人
と
軍司参考人
にちょっと聞かせていただきたいというふうに
思い
ますが、やはり
司法制度改革
、進めていくためには、政策そしてその
制度
設計等々が必要なことはもちろんでございますけれども、
日本
のこれまでの
司法
は大変乏しい財政といいましょうか、大変小さい予算と言われてまいりました。中身の
制度
のこれからの充実ということは、当然それに伴う財政などもきちっと担保していくということが必要であろうかというふうに思っておりますけれども、その辺りにつきましてどうお考えをお持ちであるか、
土屋参考人
、
軍司参考人
、それぞれ御
意見
がございましたらお
願い
をしたいと
思い
ます。
土屋美明
17
○
参考人
(
土屋美明
君)
日本
の
司法制度
というのは本当に軽量な構造でできているというふうに私は思っています。それは、
法曹
の数が少ない、人的にも少ない、それから社会的に果たしている
機能
も小さい、そのために財政負担も少なくて済んだというのが現状だと思うのです。 それで
日本
の社会はうまくいっていたからいいではないかという御
意見
はあろうかと
思い
ますけれども、私はそうは思っていなくて、今ちょっと
お話
ししたこととつながりますけれども、奥の
部分
が正常な法的
解決
ルートに乗らないで済んできてしまっている、そういう
状況
から
日本
の社会はやはり変えていく必要があるだろうと思っておりまして、そのためには、国が一定
程度
の財政負担を覚悟する、そして本当に
国民
のサービス向上につながる
制度
を作っていく、そういう必要があろうと私は思っています。 現在、私は
司法制度改革
推進本部
の中の
裁判
員
制度
・
刑事
検討会
と
公的弁護制度
検討会
の
二つ
の
検討会
の
委員
をしておりますけれども、引き受けさせられたと言った方がいいんですが、そこで
司法
ネットに関する
議論
なども若干しておりますけれども、そのことを考えるときに、
日本
の現在の国の予算から考えると、
司法
というのは余りにも小さ過ぎるなというふうに思っておりまして、どの
程度
の規模が必要なのかということは、ちょっと具体的にはイメージがあるわけではないんですけれども、いずれにしても、これから
法曹
の人口を大量に増やし、それから
簡易裁判所
の
機能
を
拡充
していくということですとか、そういうプランを実行していくためには、今の予算措置ではとてもどうにもならないであろうと思うんですね。
簡易裁判所
にしても、これだけの百四十万円に管轄を引き上げれば、それに伴って
裁判官
も増やさなきゃならない、書記官も増やさなければならない、いろんなことが起きるだろうと私は思っておりまして、このままで済む話ではない。
制度改革
に対するきちんとした財政的裏付けをやっていただきたいと思うのです。そのことによってしっかりした
制度
ができる、それが結局は
国民
の利益になっていく、私はそう考えております。
軍司育雄
18
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。 千葉先生の御
指摘
の認識と私も全く実は同じでございます。
日本
は明治以来、
司法
の姿が非常に小さく、言葉は、何といいますか、小さい姿に押し込められてきたんではないかと。簡単に言いますと、行政優位の姿がずっと続いてきた、そのために先進国の中では現在では最も透明性の低い社会になっているんではないかと、こういう
指摘
がされているところでございます。 ある国際的に非常に活動をなさった著名な
弁護士
さんの話でございますけれども、
日本
のように行政に対する
司法
の
チェック
機能
の少ない国は誠に恥ずかしい
思い
がすると、こういうことをある雑誌に書いております。恥ずかしいほどに
司法
の、行政に対する
司法
チェック
のシステムがないこの
日本
と、こういう
指摘
でございます。 ですから、そういう
意味
で、〇・四%と、全予算の
司法
が占める
割合
は〇・四%というふうに言われていますが、こんなことでこの国の二十一世紀の姿がもつんであろうかと、こういう心配を実は私も持っております。 そういう
意味
で、
先生方
のお力添えも得て、もっと
司法
の基盤が物的にも人的にも大きくなって、
司法
審の
意見
書が
指摘
していますとおり、法律が社会の血肉となると言いましたか、法が社会の血肉となるような働きをする、そういう社会を作っていかなきゃいけないんだと、二十一世紀は。そのためには財政的基盤が必要だということだろうと
思い
ます。 ちょっと抽象的でありますけれども、そういうお答えにいたします。
千葉景子
19
○千葉景子君 それでは、ちょっと細かい点になろうかと
思い
ますけれども、
一つ
一つ
お尋ねをしたいと
思い
ます。
中村参考人
、今回のこの一括法の中で、
弁護士
につきましても、先ほどから
お話
があるように、
報酬規定
、これが削除をされることになりますが、これについては
土屋参考人
、
軍司参考人
からも疑問の声がございました。
司法書士
の
改正
の折にも、この
報酬規定
についてこれからは削除をするということで、やはりこれもいろいろ御心配の筋があったのではないかというふうに
思い
ます。 その後の
状況
とか、あるいは法律を踏まえての何か実情等ございましたら、
お話
しいただきたいと
思い
ます。
中村邦夫
20
○
参考人
(
中村
邦夫
君) それではお答えをさせていただきます。 現在、私どもの
司法書士
の方の
報酬
でございますけれども、先生今御
指摘
のとおり、既に
報酬規定
は
廃止
がされております。 現在、どのように具体的に扱っているかということでございますが、各
司法書士
事務所の中に各自が妥当と思われるそういう
報酬
表を掲げて、そして必ず
事件
を受託する際に顧客の方に説明をさせていただいて、そして納得していただいた上で業務に入ると、こういうふうな原則を今取らせていただいておるところでございます。 現在、それがどのような
状況
でされているだろうかという
状況
につきましては、改めて現在までのところ、詳しい、何といいますか、調査というものはしておりませんけれども、ただ、いろいろな
意見
を聞きますと、確かに、従来のようにどのような形で
報酬
の
基準
を
国民
の皆さんに示したらいいかという点で非常に、何といいますか、苦しんでいる
会員
が多いということも事実でございます。 一方、自分
たち
の
仕事
というものはこういうものが
報酬
額としては妥当であるということも各自の先生は、
司法書士
は
司法書士
で思っているわけでございますが、そういうふうな点から、今後やはり積み重ねをしていきながら、そこから妥当な
報酬
の額、ニーズに合った
報酬
額といったものを私ども自身で決めていかなきゃならないのかなという気がいたしております。 ただ、もちろん、それに対して一般的な
意味
でいうところの
基準
のようなものが示されるならば、それは十分
参考
になるだろうというふうに今はお答えさせていただくにとどめさせていただきます。
千葉景子
21
○千葉景子君 ありがとうございます。 それでは、
軍司参考人
にお尋ねをいたします。 先ほどから、やはり今回の
弁護士
のかかわりでの懲戒について大変多くの今回は
部分
が割かれているということでございます。なるべくこういうことが起こらないということが良いわけでございまして、そういう
意味
では、
弁護士
倫理の確立ということもやはりこれからのリーガルサービスを提供する側としての心構えだというふうに
思い
ますが、
弁護士
倫理等につきまして、
日弁連
等のお取組あるいは考え方ございましたら、
お話
をいただきたいと
思い
ます。
軍司育雄
22
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。 私ども
弁護士
はプロフェッショナルを名のっているわけです。プロというものは、そのプロに見合う技能を持つことは当たり前です。それに加えて倫理というものが加わっていなければプロを名のる価値はないと、こういうふうに考えております。 そういう考えの下に、
日弁連
では、倫理について
制度
的に、
会員
の倫理を維持するために
制度
的にいろんなことを行っているところでございますが、規則を既に作っておりまして、まず、義務的に新人あるいは五年目の
弁護士
、あるいはその後十年ごとの
弁護士
、現時点では三十年の経験者まで、私も数年前に三十年
研修
を受けたところですけれども、こういう
研修
を
制度
的に行うためのシステムを作っておりまして、この
運用
は厳重に行われております。 例えば、
研修
会に時間に遅れて遅参したというふうな方はもう
研修
と認めないということで、次回の
研修
を受けてもらうとか、そういう厳密な
運用
をすることによってこの倫理
研修
を行っているところでありまして、さらに、
日弁連
が単位会と協力して行うわけですが、修了証書を発行するとか、そういう形で、また、どんな大家であっても、
裁判官
とか検察官を辞めた大家の方であっても例外を認めないと、こういう形で倫理
研修
を行っているところです。 また、従来、
弁護士
倫理という形で宣言的な規程として定めておりました、
弁護士
倫理綱領という名称ですけれども、この時代の変化に応じまして、これに変更を加えまして、現在、更に国際的な角度からの検討も加え、それからユーザーサイドの
委員
の方にも加わっていただきまして、新しい規程を作っているところでございます。原案は既にでき上がっているのですけれども、これを今、全国単位会に更に検討を求めている
段階
でありまして、でき得れば年明けの二月の
臨時総会
にはこの新しい、
弁護士
基本規程という名称にする予定でございますけれども、しかも、従前の
弁護士
倫理と違いまして、その
弁護士
基本規程には
拘束力
を持たせると、会規という形で
拘束力
を持たせるというような姿で新しい
制度
を作り上げようと、こういう努力をいたしておるところでございます。
千葉景子
23
○千葉景子君 時間ですので。 ありがとうございました。
荒木清寛
24
○荒木
清寛
君 まず、
土屋参考人
にお尋ねをいたします。
参考人
の先ほどの陳述で、
国会議員
に対する
弁護士資格
の付与は現
段階
では遠慮した方がいいと。この理由をお聞かせ
願い
たいと思うんです。 私の
意見
をまず申し上げますと、
国会議員
というのは、世の中にありますいろいろな利害の対立を調整をしまして、これを法律に反映をする
仕事
ですから、正に究極の法律
関係
実務ではないかと思うんですね。 私のつたない経験を言わせていただきますと、今回、全会一致で性同一性障害者の取扱いに関する
特例
法が成立をいたしました。私は与党のプロジェクトチームの一員でございましたが、
関係
者から話を聞いて、まず議員で
法案
のコンセプトを決めまして、その上で、今回の場合ですと、この参議院の法制局の担当者に、実際どういう条文化をしてもらいたいという依頼をするわけですね。法制局の方では、他の
法案
との、法律との整合性も考えた上で
法案
化をすると、そういう経験をいたしました。 要するに、実際に、どういう法律を作るのかということを決める
国会議員
は、
試験
に受かっておって、何年やっても
弁護士資格
はないと、そういう
国会議員
の問題提起に応じて、実際に法律を作る衆参の法制局の参事は、
現行法
の下でも、五年間その
仕事
をすれば
資格
があるわけですね。私は、そういう面でもアンバランスだと
思い
ますし、ちょっとこの点の
参考人
の問題提起とは私、
意見
を異にするんですが、いかがでしょうか。
土屋美明
25
○
参考人
(
土屋美明
君) 誠に申し上げにくいことでありまして、私は、遠慮された方がいいんじゃないかということを言っておりますのは、何も
国会議員
に
法曹資格
を与える
制度
が悪いと思っているわけではございません。 それは、今、先生おっしゃいましたように、
国会議員
は大変に重要な
仕事
をしていらっしゃる。その立法の
仕事
というのは、正に法律実務と、実務家が行っていることと重なり合う
部分
が非常にあるということは私も認めております。ただ、私が思うのは、あくまでこれが
法曹
制度
の
特例
措置、
法曹資格
付与の
特例
措置の枠の中で
議論
されているという点なのであります。 申し上げるまでもありませんけれども、立法と
司法
というのは言わば緊張
関係
になければいけないというのは私は基本的に考えております。そして、その
法曹資格
というのは、先ほど
現行制度
という、基本ということを申し上げましたけれども、
現行制度
の基本的な枠組みが
司法試験
合格
だけでは足りないということでありますから、それに付加するに、
司法修習
というのを求めている、そしてさらに二回
試験
と言われる
試験
のパスも求めている。その中でふるい落とされてきている現実的に法律家となるべき卵の人
たち
もいらっしゃるわけですね。そういうものなしに、
研修
を一定の年数、五年以上の経験という一定の年数と
研修
を加えればそれに相当する経験を積んだというふうにみなせるかどうかという問題なのだと思うんです。そのことは、みなせるじゃないかという御
意見
は当然だと思うのですが、私は少し足りないのではないかというふうに思っているんですね。 つまり、現在の
法曹
制度
での
弁護士資格
というのは、言わばフル規格の何でもできる
弁護士
さんということでありますから、そういう
弁護士
さんをたくさん生まなければならないというふうに私は思ってはおりますけれども、だからといって、欠陥商品と言うといけないですけれども、経験の足りない方がどんどん法律家になっていいとは私は思っていないわけですね。
国会議員
の方にとっても、
特例
措置によって言わば認められて
資格
を取得したなどと思われることは決して名誉なことではないだろうと私は思っております。
法曹資格
を取るならば、忙しくても
研修
所に入ってやるべきだと。 現に、私の友人の公務員などは職を辞して
司法
研修
所に通っております。そして法律家になろうという決意をしている。そういう人
たち
も現にいるわけですね。彼は中央官庁のいわゆるキャリア官僚ですけれども、学生時代に
司法試験
に
合格
していて、ずっとキャリア官僚として相当のポストに就いている人間ですけれども、彼ですら、そういうふうに職を辞して
司法
研修
所に通おうとしている。そういうのが私はあるべき姿だろうと。特に、
国会議員
の
先生方
は立法を行うのですから、そういうふうに身を処していただきたいと。 いささか理想論かもしれないですけれども、私はそう思っております。ですから、遠慮していただいた方がいいのではないかという言い方を申し上げたわけです。 以上です。
荒木清寛
26
○荒木
清寛
君 次に、
中村参考人
にお尋ねいたします。 先ほども御
意見
がありましたが、
簡易裁判所
の
事物管轄
の
引上げ
が百四十万円で決着をしたことについての評価を改めてお述べいただきたいと
思い
ます。 特に、
簡易裁判所
は軽微な
事件
を
簡易
な手続で迅速に
解決
をするということを特色とする
裁判所
ですけれども、余り大幅な管轄拡大を行いますと、
簡易裁判所
が迅速に
紛争
解決
をするという
機能
が損なわれるのではないかという懸念も一部に示されておりますが、この点いかがでしょうか。
中村邦夫
27
○
参考人
(
中村
邦夫
君) お答えいたします。 百四十万円が妥当かどうかという御質問だったと
思い
ますけれども、私どもは、今回のこの
事物管轄
の決定が、いわゆる
簡易裁判所
の特質とかあるいは
簡易裁判所
の置かれている
状況
であるとか、そういったものから決定されたというふうに承っております。 したがいまして、そういうもろもろの経緯の中で決定されたものでありましょうから、それについては私どもとしては異論がない、
賛成
だということをまず申し上げておきたいというふうに
思い
ます。 それから、先生が御
指摘
のとおり、今後、
簡易裁判所
の、何と申しましょうか、
事件
が相当増大するんではないか、そこから
簡易裁判所
における
事件
の煩雑さとか、いろいろなもろもろの問題が起きてくるんではないかというふうな御
指摘
だと
思い
ますけれども、確かにそういうことは予想されるのであるんだろうと
思い
ます。 ただ、私どもといたしましては、今後初めてこの分野に入っていくものでございますので、その辺のものについては、まだ、今確たる、何と申しましょうか、
方向性
について御
意見
を申し上げるということはちょっとなかなかしにくいということを御
理解
いただきたいと
思い
ます。 なお、先ほどもちょっと申し上げさせていただいたんですけれども、現在の、平成九年当時の
資料
ではございますけれども、
地方裁判所
でその百四十万円がちょうど入る額の訴訟
事件
の傾向を見ますと、その中にはいわゆる
簡易裁判所
で行ってもいいんではないかというようなものも相当数あるんではないかというふうな
判断
はさせていただいております。そんなふうなことで御
理解
いただきたいと
思い
ます。
荒木清寛
28
○荒木
清寛
君
軍司参考人
に同じく
事物管轄
の
引上げ
問題についてお尋ねします。 訴額は低額でありましても、比較的難しい
事件
が多い
不動産訴訟
につきましては、競合管轄の
制度
ですとか
地方裁判所
への移送
制度
がありますけれども、
国民
が適切に第一審
裁判所
を選択できるようにこれらの
制度
を周知徹底する必要があるのではないかと考えますが、
参考人
の御
意見
はいかがですか。
軍司育雄
29
○
参考人
(
軍司育雄
君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
簡易裁判所
においても、基本的にはやはり訴訟については
民事訴訟
法が大小にかかわらず適用されて判決に至るわけです。そういうことで、本来は
法曹資格
を持つために特別な
試験
と
研修
を受けた私ども
法曹
が扱うのが本筋、この原則は今後も変わらないと私どもは
理解
しております。そのように、
弁護士
が今後大いに増えていくわけですから、そういう中で
簡裁
の
事件
についても
対応
していかなくちゃいかぬと、これが基本でございます。 今御
指摘
の
簡裁
事件
の中にも、特に
不動産訴訟
などについては争点の多い
事件
があります。あるいは損害賠償の
事件
などについてもしかりです。そういうものが、今日の
資料
にも示しておきましたとおり、
簡裁
では九七%が金銭債権の処理になっているんです。言わば貸金
事件
ですね。こういう中に
不動産訴訟
であるとか損害賠償の
事件
であるとか、争点の多いものが入り込みますと
地裁
でやる以上にかえって時間が掛かってしまうと、こういう実は現実的な心配があるだろうと
思い
ます。そういう
意味
で、
裁判所
の受理の
段階
で仮に競合管轄があったとしても、
地裁
へ訴状を提出してもらうとか、あるいは受理した後であれば移送を勧めるとか、そういう
運用
が
国民
のためにもあってしかるべきだと、こう確信しているわけです。
荒木清寛
30
○荒木
清寛
君
最後
に、もう一問、
軍司参考人
にお尋ねしますが、今後、
報酬規定
が会則から削除されますと、
弁護士
が今後増えることでもあり、例えば、もう着手金はゼロで、その代わり勝ったら半分いただきますよというようなことを言ってお客さんを勧誘するというような事態が出てくるんではないかという懸念もするんですね。そうしたことは私は
弁護士
に対する信頼を損ねることになるんだと
思い
ますが、こういう問題には
弁護士会
としてはどう
対応
するんですか。
軍司育雄
31
○
参考人
(
軍司育雄
君)
報酬
関係
について、先ほど
お話
ししたとおり、
日弁連
は
準備
しておりますけれども、先ほど説明から落としましたが、業務基本規程、今、さっきの
弁護士
倫理のところで申し上げました業務基本規程の中にかなり詳細な
報酬
に関する
規定
も用意いたしております。その
報酬
について、
依頼者
に十分説明するとか、それから
契約書
を作成するとか、あるいは適切な
情報開示
をするとか、もろもろ
規定
を
準備
いたしまして、これが
拘束力
のある
規定
ということになってきます。そういうことで、この業務基本規程、仮称ですけれども、これを
会員
に守っていただくことによって不正常な状態がなくなるということを期待いたします。 ただ、御
指摘
のとおり、
弁護士
と
依頼者
のあくまで自由な契約というのがこれから基本でありますので、成功
報酬
方式、先生御
指摘
の成功
報酬
方式、こういうものもあり得ると
思い
ます。しかし、それが必ず全部悪いということにはならないんではないかと私は
思い
ますけれども、行き過ぎた状態になれば新しく作られる会規などによって適切な指導をすると、こういうことで
対応
することになろうかと
思い
ます。
井上哲士
32
○井上哲士君 今日は、三人の
参考人
の方、ありがとうございます。 まず、
土屋参考人
にお伺いをいたします。 陳述の中で
公的弁護制度
の
お話
がございました。さきの報道によりますと、
公的弁護制度
の
検討会
では、この
公的弁護制度
の
運営主体
を独立行政法人にしようということでほぼ
検討会
では
意見
が一致をしたという報道もございました。この間、国立
大学
の独立行政法人の
法案
が通ったわけですが、このときも学問の自由とか
大学
の自治ということが随分
議論
になりました。公的弁護の場合は相手が国になるということもあり得るわけですから、かなりやはり組織の
在り方
などには慎重なものが要るかと思うんですが、そういう独立性の確保といいましょうか、そういう今後立ち上がるであろう公的弁護の
運営主体
についての考え方を少しお
願い
をいたします。
土屋美明
33
○
参考人
(
土屋美明
君) 公的弁護については私も自分の
意見
を
検討会
の中で述べました。今月の
検討会
になりますか、そこでは、私は、独立行政法人にするのが一番いいであろうという
意見
であります。ただし、それには条件がありまして、今、先生御
指摘
になりましたように、弁護の独立性ですね、自主性、独立性という、そこの言わば弁護活動の生命に当たる
部分
はきちんと担保される組織にならなければいけないという、そういう条件付であります。 それで、今、公的弁護の
運営主体
について最高裁の方からは、中間に中立公正な、ボードという表現が使われていましたけれども、
委員会
組織のようなものを設けて、そこで、
報酬
の
基準
でありますとか契約
関係
ですとか、そういったいろんなものを扱うことによって公正さを確保しようという提案がなされております。それが
一つ
の案にはなると思うんですけれども、そういういろんな工夫を通じて、個別の弁護活動の中身の問題に干渉するようなことはないように、ただし、不適正弁護ですとか、そういうものに対してはきちんとした対処が行われるように、そういう公正な
判断
ができる組織を、中立的な組織をかませることによって、独立行政法人としても国の指揮の下に弁護活動が置かれるような事態は回避できるのではないだろうかと。
制度
設計次第だと思っておるんですけれども、そういうことになるのではないかと私は思っております。 それで、改めて申し上げることもないかもしれませんが、
弁護士会
の方からは、独立行政
委員会
ですとか公益法人に指定法人として担わせるのがいいとか、いろんな
意見
が出ておりますけれども、そういう選択も
一つ
だろうとは
思い
ます。ただ、現在の
状況
では、独立行政法人方式を取ることによって得られるメリットの方が大きかろうというふうに私は考えまして、そういう主張をしたわけでございます。
井上哲士
34
○井上哲士君 次に、
軍司参考人
にお伺いをいたします。 陳述の中で、いわゆる外弁の単独雇用の問題での懸念の
お話
がありました。今日は、
資料
にいわゆるローファームの
状況
なども入れていただいているわけですけれども、今の現状と、今後単独雇用で予想される懸念、もう少し具体的な点でお伺いをできれば有り難いんですが、いかがでしょうか。
軍司育雄
35
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。 私どもの主張は、先ほど申しましたとおり、共同事業で、その共同事業体が
日本
弁護士
を雇用していけば足りるんではないかと、こういう主張をしておったわけですが、単独雇用が入ってしまったというところを懸念している、こういうことです。 なぜ共同雇用、共同事業体であれば大丈夫かといえば、それは、そこにある
程度
の経験のある
日本
弁護士
が一枚かむから、その先輩
弁護士
によって若手
弁護士
が指導を受けたりすることによって不正常な状態は防がれるであろうと、こう考えたわけです。ところが、単独雇用ということになりますと上下の
関係
だけになるわけで、業務命令が基本に
仕事
の上ではなるわけですが、
日本法
を業務命令によって扱ってはならないんだと、そういう
規定
が確かに用意されています。しかし、これに対する刑罰の担保などは全くないわけでありますから、つまり、その実効性が心配であるということです。 そこで、若干具体的に申し上げますと、業務命令はしないけれども、事務所として
日本法
を扱うような
仕事
、
日本
の企業あるいは
日本
の個人の方から外弁さんが
仕事
を受けたとする。外弁さんはその
仕事
をやってはいけないわけです、新法によっても、
日本法
を扱っちゃいけないんですから。しかし、
手元
に
日本
の
弁護士
がいると。そうすると、その
日本
弁護士
に業務命令でやらせてはいけないけれども、業務命令という形でなくて、これはあなたの個人の
仕事
としてやりなさいと、例えばですね、こういうことが大いにあり得るわけです。そうしますと、その雇用されている
弁護士
は個人の
仕事
としてこれを、この
仕事
を遂行することができる、
裁判所
で訴訟活動をすることもできる、
日本
弁護士
ですから、そういうことになってきます。その結果得る
報酬
がその
日本
弁護士
の
手元
に名実ともにとどまって、
日本
弁護士
の独立した
仕事
であるということになれば理屈の上では何も問題ないわけですが、理屈どおりにいくだろうかという心配です。 外弁事務所としては、先ほど申し上げましたとおり、いろんな名目で、業務命令という形は取らないけれども、そこから経済的なものを吸い上げる、
通訳
料だとか事務所使用料とか、そういう形で外弁事務所の収益を上げる
方向
に向かうんではないかということが容易に懸念されると、具体的に申し上げますと、そういうことかと
思い
ます。
井上哲士
36
○井上哲士君 次に、
中村参考人
にお伺いをいたします。 去年の
司法書士
法の
改正
のときも本当にたくさんいつも傍聴に来ていただきまして、今日もたくさんお見えでありますが。「月報
司法書士
」なども送っていただいておりますけれども、
簡裁
の訴訟代理権の獲得、得たということで、非常に熱心な
研修
などが行われていることも伝わってまいりますし、たくさんの方がこれを受けられたということで、本当に熱意を
感じ
ているところです。 今回、さらに、この
事物管轄
の
引上げ
ということになるわけでありますが、先ほど来の
幾つ
かの質問の中でも、
不動産
など非常に複雑な
事件
もその中には含まれて、むしろ
地裁
でやった方がふさわしいということがあります。
裁判所
の
運用
などでこれをひとつ
解決
していくということもあろうかと思うんですが、皆さん方が
仕事
を受けられるときに、やはりこれは
地裁
でやった方がいいんじゃないですかという形での振り分けということもあり得るのかなと思うんですね。むしろ、そこをきちっとした方が、
簡裁
の持つ特質をきちっと生かすという点でも、
仕事
上の信頼をしっかり獲得していく上でもいいのかなと思うんですが、その辺はどんな御
議論
がされているんでしょうか。
中村邦夫
37
○
参考人
(
中村
邦夫
君) お答えいたします。 今、先生がおっしゃられたとおりでありまして、例えば
不動産
に関する訴訟などにつきましては、私ども、今までは本人訴訟、本人支援という形でかかわってはまいりましたけれども、その場合でもそうでしたが、なかなか難しい問題も非常にあることは事実だろうと私は
思い
ます。 そうなりますと、問題なことは、依頼される
国民
の皆さんをどう我々は考えなきゃならぬかという
観点
をまず第一に置くべきだろうというふうに
思い
ます。もちろん、どういう訴訟であれ、それがその
裁判所
でできるものであるならば、我々は努力し研さんを積んでやらなきゃならないということはありますけれども、しかし、そうは申しましても、実際問題としてなかなか難しい問題もあるだろうということは十分承知しておるつもりです。 そういった
意味
では、いろいろなところでも御
議論
されておるようでございますけれども、まず
裁判所
の方の受付時点における様々な裁量的な問題であるとか、あるいは
事件
が途中から移送される問題が起きるかも分かりませんし、さらに、私どもといたしまして、私ども自身も、これは当初から
地裁
の方に行った方がいい、あるいは
弁護士
さんの方にお
願い
した方がいいだろうと、そういったことは自らやっぱり
判断
する必要は出てくるだろうと思っております。 そういうことを考えますと、今後、私どもだけの問題ではなくて、これは
日弁連
さんなどにもいろいろ御協議をしていただいて、その辺のところを、スムーズに
弁護士
さんの方にそれをバトンタッチできるというか、最初の
段階
からでもそうでありますけれども、お
願い
するようなそういうシステムといったようなものは今後は考えていく必要があるだろうと。 あくまでも、
国民
の皆さんの
立場
として何が一番大事かという
観点
から考えていく必要があるだろうというふうに私どもは今考えておるところでございます。
井上哲士
38
○井上哲士君 もう一点、
軍司参考人
にお伺いをいたします。 この
法案
で、いわゆる
非常勤裁判官制度
というものが作られるわけですが、これが
弁護士任官
の
拡充
に資するのではないかと言われております。かつて、近畿
弁護士会
連合会が独自の推薦
制度
を作っていらっしゃったことを取り上げまして、この
弁護士任官
を推進すべきだという質問もしたことがあるんですが、その後それもかなり広がっているというふうにお聞きしているんですが、この
弁護士任官
促進のためにこの間
日弁連
が努力をされていること、そして、今回の
非常勤裁判官制度
が作られることがこの
弁護士任官
の促進にどういう効果があるとお考えか、お
願い
をいたします。
軍司育雄
39
○
参考人
(
軍司育雄
君) この
非常勤裁判官制度
の
スタート
は、新法が成立したもちろん後ですが、最高裁の説明によりますと、小さな姿で
スタート
すると、たしか私の記憶では全国で二、三十人であったと、今、
資料
を見るいとまもありませんが。全国で二、三十人というのは予算上の
関係
と伺っておりますが、小さく
スタート
すると、こういうふうに聞いております。しかし、次の年度からはこれを大きく
運用
していただきたい、全国の各
裁判所
で幅広く、調停主任官、家事調停主任官でしたかを
弁護士
から採用していただきたいと、こう考えております。 既に、第一年目の非常勤
裁判官
については私どもの、私、第一東京
弁護士会
ですが、にも既にその推薦依頼が来ている
状況
です。
会員
に募集をしているわけですけれども、この非常勤
裁判官
については、希望者は相当数いるというふうに認識しております。本格的な
弁護士任官
とは違う勤務形態でございますから、
弁護士
も事務所を持ったまま
対応
できるということですので希望者も相当多いと、こういう認識を持っております。 そこで、
弁護士任官
も増えてはきたものの、本来の
弁護士任官
も増えてはきたもののまだ十分ではないという認識を持っておりますので、これを、この非常勤
裁判官
の形態が大きくなることによって、そこから
弁護士任官
への移行が近い将来できるように私どもは期待しているわけです。現にそうなるであろうと
思い
ます、希望者が非常に多いですから。そのように思っております。
福島瑞穂
40
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。今日はどうも本当にありがとうございます。 まず始めに
軍司参考人
に、
綱紀
・
懲戒手続
の
改正
についてお聞きをします。 ちょっと思うのは、迅速性、透明性、実効化が必要であり、かつ内部でかばったというふうにならないのはもちろんいいのですが、他方、
一つ
は、
審査会
を新たに設けるので、対
弁護士会
の懲戒請求、
日弁連
の懲戒請求の後、
審査会
が登場するので、された側にとっては非常に負担になることもあるんじゃないかということが一点です。それから二点目は、事案によっては、例えば接見した
弁護士
が証拠隠滅の教唆をしたんじゃないかと無罪
事件
で物すごく争われたり、対立する無罪
事件
などで物すごく緊張
関係
、対立する場面もあります。ですから、検察官、
裁判官
が入るということなどについても、ケースによっては、例えばちょっとがっと突出した
弁護士
をたたくという
感じ
になりかねないかとか、そういう懸念を若干持っております。 また、
国民
が参加することは大変必要なわけですが、無罪の推定そのものも物すごい実はフィクションなわけで、この
綱紀
・
懲戒手続
の過程の中で透明性を高めるということと、それからもう
一つ
は、それが、悪用ではないんですけれども、すごく負担になったり、何か使われることがないかという点については、どのようにお考えでしょうか。
軍司育雄
41
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。
綱紀審査会
を
懲戒手続
の中に、
綱紀
、懲戒の全体のシステムの中に新たに組み入れるわけですから、本来、懲戒処分に値しない、客観的に見て、値しないような
弁護士
が乱申立てを受けたという場合には、先生御
指摘
のような負担がその
弁護士
に従来よりも余計に掛かります。少なくとも時間的にも長い間引っ張られるのではないかと、その手続の中でですね、そういう心配がありまして、真剣に
日弁連
でもその点は
議論
されたところです。 しかし、全体として見てこの
綱紀審査会
、
国民
の目線で見るというシステムを作ることは重要なことだということで今回の
法案
になっていると
思い
ますけれども、この先生御
指摘
の負担にならないかという点については、できる限り手続を迅速に進めるということでもう
対応
する以外はないと思っております。そこで、その
迅速化
のための、ですから手当ても今回の
改革
の中に入っているわけです。 具体的には、従来は
綱紀
委員会
、懲戒
委員会
は、全体として
一つ
の
委員会
が例えば月一回開催されれば、その月一回の中で結論を全体として出さなければいけなかった。その
関係
で時間が掛かるということが
指摘
されておったわけです。しかし、今回の
改革
、つまり新法の中では、部会制を置くことができると、こういう
規定
になっております。つまり、
綱紀
委員会
例えば二十四人なら二十四人で、十二人ずつの部会、何人ずつの部会、こういう形で部会が自己完結的にその権限を行使できる。こういうシステムを併せて作っておりますので、それは正しく
迅速化
に対する
対応
なんですけれども、今の先生の御
指摘
の負担になる
弁護士
などについては、そういう手続の中でできるだけ迅速に処理すると。それから、処理のための目安の期間、例えば六か月以内に結論を出さなければならない、そういった
規定
も用意したところでございます。
福島瑞穂
42
○福島瑞穂君 今の点について、
土屋参考人
いかがでしょうか。
土屋美明
43
○
参考人
(
土屋美明
君) 私も
日弁連
の総会の
議論
、深夜にわたる
議論
を十時間ぐらい傍聴したこともありますが、この点は非常に真剣に
議論
されていた結果出てきた結論だと
理解
しています。 私は、個人的にはいささか複雑過ぎる仕組みじゃないかなというふうに思ってはいるんです。
弁護士
自治がきちんと
機能
していればこういう組織を置かなくても本来済むはずだろうというように思っている
部分
もありまして、そういう
感じ
は受けるんですけれども、ただ、いろいろ
議論
をした結果、難産の末生まれたのがこの
制度
でありまして、
日弁連
さんがそれでやられるということであれば、私は支持したいと思っています。 これは、ですけれども、今、
軍司
先生おっしゃったように、やはり大事なのは透明性と客観性だと思うんですね。そこのところがどう確保できるかということで更に
議論
を深めていただければと願っております。
福島瑞穂
44
○福島瑞穂君 では次に、
中村参考人
にお聞きをいたします。 今日は
事物管轄
について特に話をしていただいたんですが、
弁護士資格特例
の
拡充
の問題に関して、この
委員会
でも
特例
検事について
司法試験
合格
なく
弁護士資格
を与えることはどうか、あるいは
国会議員
が、先ほども出ていますが、修習なく、いわゆる
司法修習
なくやれることはいかがかという
議論
も出ているのですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
中村邦夫
45
○
参考人
(
中村
邦夫
君) お答えいたします。
弁護士
さんの方の
資格
付与の問題につきましては、いろいろまだ私ども分からないことが非常に多いものですから、基本的な言及は避けさせていただきたいと
思い
ます。 ただ、結局は
法曹
の数の問題ということに帰着するんだろうと
思い
ます。今般の
司法制度改革
の中でもその問題が大きく論じられてきたんだろうと
思い
ます。そうなりますと、
司法制度
に対する
国民
の信頼は、どの辺で、一番信頼を保つためにはどうしたら一番法制が正しいのかという、こういう
観点
から考えていただくというようなことになるんだろうと
思い
ます。 そういうことで、現実の問題として、今、先生がおっしゃられたような点につきまして具体的にそれをどうこうしてほしいということは、ちょっと私の方としてはなかなかお答え今できないことをお許しいただきたいというふうに
思い
ます。
福島瑞穂
46
○福島瑞穂君
日本弁護士連合会
は二〇〇二年六月八日に「
特任検事
への
法曹資格
付与について」と
意見
書を出していらっしゃいます。ロースクール構想が、ロースクールがこれからできるわけですが、今作られつつありますが、検察官を大幅に増員すべきとしているが、この増員は新
法曹養成制度
を経た
法曹
であるべきものであることは明らかであるから、新
法曹養成制度
に移行した後は
特任検事
制度
自体
を
廃止
することが望ましく、少なくとも
特任検事
に対する
法曹資格
付与の
制度
は
廃止
されるべきであるという提言をされていらっしゃるわけですが、改めてこの
拡充
問題についていかがか、教えてください。
軍司育雄
47
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えいたします。 私どもといたしましては、ロースクール、法科
大学
院が立ち上がって骨太のこの
法曹養成制度
ができるということでございますから、本来の
法曹
はそのルートで作るベしと、こうまず考えるわけです。
特任検事
は、先生も御承知のとおり、検察庁法で、言わば行政の内部的な組織の中で副検事から
特任検事
に昇格するというようなシステムでございまして、
国民
的な姿にはなっていないと私どもは基本的に
理解
しています。 ですから、新しい法科
大学
院が、
法曹
養成システムが
スタート
するに際しては、まず
司法試験
、新
司法試験
になっていくと
思い
ますけれども、少なくともこの
司法試験
に
合格
すると、どんな方でもこの
司法試験
に
合格
すると。その上で
資格
を取るべきではないかと、根本的にそう考えて、先ほどの
意見
の中でも、
国民
に分かりやすい簡明な姿がいいんだというのはそういう
意味
で申し上げたわけです。 検察事務を
特任検事
、副検事も実はそうなんですが、が相当、特に副検事の方が多いんでございますけれども、扱っているあるいは肩代わりしているというふうな認識を私ども持っておりまして、重要な
国家
のための検察事務ですから、これも本来の
法曹
が、
司法試験
を
合格
した本来の
法曹
が、しかも相当増員されるんですから、その
法曹
が
関与
して当たるべきであると、
関与
すべきであると、こういう
意見
であります。
福島瑞穂
48
○福島瑞穂君 私は実は外弁法の
改正
問題について余り
知識
と
理解
がないので、ちょっと改めて教えていただきたいんですが、先ほど
軍司参考人
は、誤解がもう既に生じているというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど井上
委員
からもちょっとありましたが、単独雇用の場合に問題が生ずるということなんですが、今回のもしこの法律が成立をすると、外弁
法改正
で具体的にどういう問題が起きるのかもう少しお聞かせ
願い
たいことと、今後の監督体制などは一体どういうふうになっていくのかという点についていかがお考えでしょうか。
軍司育雄
49
○
参考人
(
軍司育雄
君) お答えします。 卵の殻が割れたら、後はぐじゃぐじゃになると、こういう話が、あれは証券業界の例を取って言われたんでしょうか、そういう話を聞いたことがあります。 法律を作ったとしても、その法律を守らないで、殻を破ってしまう、つまり法を破ってしまえば、後は実効的な措置、刑罰であるとかいうものが用意されていなければ、何といいますかね、やり得といいますかね、そういう姿になっては、これは国益上絶対に困るわけで、そういうことにならないように、
法曹
界のことですから証券業界とは違うであろうと、もちろん基本的には私どもはそう考えています。 外弁さんも、それぞれの国の
法曹資格
を、ローヤーでございますから、基本的には法律を守ってもらえると
思い
ますけれども、しかし、外弁さんが
日本
の外弁法についての
理解
が必ずしも十分ではないんではないかと。二、三年で帰ってしまうというような実態もありますので、そこを心配しているんです。
日本
の外弁法の趣旨を
理解
しないで
日本
で
仕事
をされれば、これはやはり心配ですね。 そういうことで、
日弁連
としての
対応
ですけれども、
日弁連
は、まず外弁さん、それからそれを利用する方に対してこの外弁法の
改正
の趣旨、どこまでの
仕事
ができてどこまでの
仕事
ができないんだと、違反すればこういうことになるんだということを周知し、広報しなきゃならないと、こういうことでございます。最終的な担保、刑罰が用意されておりませんので、最終的には
日弁連
の懲戒の問題になってくるんだろうと
理解
しております。 そこで、
日弁連
では今、この外弁法の成立後の
対応
として、
日弁連
組織の中に例えば四条違反の調査
委員会
を新たに作るべきではないかとか、そういったことを今真剣に検討しているところです。
福島瑞穂
50
○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。 どうもありがとうございました。
魚住裕一郎
51
○
委員長
(
魚住裕一郎
君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
の方々に
一言
ごあいさつ申し上げます。 本日は、大変お忙しいところ貴重な御
意見
をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当
委員会
を代表して厚く御礼申し上げます。 ありがとうございました。(拍手) 午前の
審査
はこの
程度
にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕