○
江田五月君
心神喪失等の
状態で重大な他
害行為を行った者の
医療及び
観察等に関する
法律案、内閣で提出をされまして、
衆議院で
修正をされて、いよいよ参議院の
法務委員会での
質疑が始まったというところでございます。是非、参議院の方でも、
厚生労働委員会の皆さんにもこれは関心を持っていただき、また審議に関与もしていただきたいと思っておりますが、私たち民主党も、この
法案がテーマとしている課題については、これは重要な課題であると、こう受け止めております。
池田小学校の
事件が起きて、そしてまあ、そうですね、小泉首相が反応されたと。この反応は、後で更に聞いてまいりますが、ある意味でいえば、小泉首相の、率直な国民のこういう問題に対する気持ちを受けたと、受け止めたと。しかし、一方でいえば、非常に短慮で、日本における
精神障害者の皆さん方に大変な心配を与えたということもあったと思います。
しかし、いずれにしても、
犯罪行為を行った者、しかし
責任能力の問題で刑事
責任を問えない、そういう事態に対する我が国のこれまでの
対応が、
社会の確信にしっかり支えられたものではなかったということは、やっぱりそれは言えるんだろうというので、これは何かしなきゃいけないということで、私ども民主党の中でも、司法と精神
医療の連携に関する
プロジェクトチームというのを作りました。今日、今、傍聴席にお見えの
朝日俊弘参議院
議員が座長で、私が座長代理で、
衆議院の方の水島広子
議員が事務
局長で、平岡秀夫
議員が事務
局長代理で、私と平岡さんは
法律家、
朝日さんと水島さんは
精神科医という、こういうチームで検討してまいりました。
私どもは、私どもの考え方を、政府の案に対する別案といいますか、対案というよりは、ちょっと位相が違っていますから対案というわけにいかないかもしれませんが、別の案として、
鑑定をしっかりさせると、これは
起訴前の
手続でもあるいは公判中でも。それからもう
一つは、
精神保健福祉法による
措置入院の
制度をしっかりさせるというようなものを出したと。
私たちはこれが一番今の
状況を
改善するのにいいと確信をしておりますが、しかしこの問題が大変な事態であるということは、これは分かっておりまして、私自身も我々の案を作るプロセスも経ながら、同時に与党の皆さんの議論、そして政府の中での議論、あるいは政府が出してきた
法案、これも最大限皆さんの考えていることを皆さんの立場に立って理解をしようとしながら、どうやったら今の
状況を
改善できるかということで考えてまいりました。
そして、
衆議院で
修正がなされた。
修正で良くなった点が率直に言うと私はあると思います。しかし、同時によく分からぬなという点もあると思います。最終的に私どもはこの
修正案には賛成をすることはできないと、むしろ全体の法の
制度が非常に、木に竹を接いだことになっていて、どうしてもうまく整合性が取れていないと。あちらを立てればこちらが立たず、ここを
修正したらあちらがおかしくなりというようなことがあって、これは大変苦労されたなという、御同情しますが、しかし同情している場合じゃないので。しかし、率直に言って、この間のある意味で政治のイニシアチブで一定の合意を作ろうといういろんな努力をしてきたということは、私は、今日は
塩崎さん、漆原さんお見えですが、大変御努力は多としたいと、率直にこれはそう思っております。ただ、批判するところは批判をさせていただかなきゃならぬと。
この立法過程を後ほどずっと検証していくと、結構これは面白い立法過程だったんじゃないかなと、だったと言って、まだ現在進行形ですから過去形で言っちゃいけませんが、という気はするんですけどね。しかし、この批判をするべきところは批判をいたします。
附則の三条の精神
医療等の水準の向上、それから四条の五年後の見直し
規定、これは一定の評価ができると率直に思っております。しかし、
法案の、先ほど申し上げました木に竹を接ぐという本質部分の重大な問題点は変わっていない。
私どもは実は、
医療の関係でいえば、つい昨日まで大変な過ちを繰り返した経験があるわけで、言うまでもなくハンセン病問題ですよね、らい予防法というものが本当にもうついこの間まで残ってしまった。これによって必要がない人に対して強制的に
入院をさせて
社会から隔離をするということをやってしまっていたわけで、本
法案の成立、施行でまた同じ過ちを繰り返すことになるのではないかという
指摘もある。
これは現実に、今、精神
医療の世界で大変な長期
入院というものがあります。昨日も私は
説明を受けたんですが、若干減ってはきているとはいうものの、
平成十一年で見ると十年以上の
入院が二八・九%、五年から十年が一四・一%という、
精神障害による
入院患者の
入院期間別分布というものを見ますと。そして、世界の動向の中で日本が一体どういう位置にあるか、こういうものをずっと見ますと、やっぱり日本ではまだまだ精神病棟に入れられたらもうずっと出られないという、そういう、そこまで言うと言い過ぎだとしても、それに近い現実がある。そんな中で、この今回の
法案を成立、施行ということになりますと、やはり必要もないのに長期隔離をする、そういう事態が出現をするのではないかという、そういう疑念をぬぐうことができない。
私たち民主党は、現行の
措置入院制度の
改善や
鑑定の適正化など、繰り返すようですが、これで今の
状況を
改善をしていこうという、そういう別案を出しておりますが、私は民主党案の提出者、これ
衆議院の方じゃなくて参議院の方でもちゃんと提出をいたしました、その提出者ですので、民主党案への質問はできない。
佐々木知子委員が先ほど質問し掛けてくださったので、是非とも次回に質問していただきたいと、私どもの考え方も是非聞いていただいて、皆さんの御理解も深めていただきたいと思っておりますが。
いずれにしても、政府原案と
修正案の質問を通じて少しでもあるべき姿に向けて前進できればいいと、こういう気持ちで努力をしたいと思っております。前触れが長くなってしまいましたが。
まず、
修正案提出者に確認をしておきたいんですが、本
法案修正後のものが参議院に送付をされてきておりますが、この賛否については意見は分かれると思います。それはお許しください。しかし、共通認識も十分あると思っておりまして、我が国の精神
医療の現状が、長期
入院が異常に多い、スタッフが非常に不足している、地域のケアが弱体である、あるいは
社会的偏見がなお根強い、こういう重大な問題を抱えている、これを早急に抜本的に改革が必要だと、こういう共通認識はこれは共有しているんじゃないかと思いますが、
塩崎議員と漆原
議員、順次お答えください。