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国務大臣(
遠山敦子君)
学問の自由、またそれに基づく
大学の
自治というのは、我が国の
憲法上明確に書かれております大変大事な原則でございます。各種の
法令はその下にあって作られているわけでございます。そのようなことから、
学問の自由を阻害するようなことは一切あり得ないわけでございます。
また、各省の中でも、我が省は唯一基礎
研究、
学問の自由を守ってきている省でございますし、今後ともその誇りと責務というのを変えることはないわけでございます。私自身も十年以上
学術研究振興に携わってまいりまして、一級の
研究者と常に
意見交換をしたりしながら、しかしそれをどのように振興していくかということで長年携わってまいったこともございます。
また、ちょっと余談になりますが、お時間がありますのでお話ししたいと思いますが、昨日、
日本学士院の学士院賞・恩賜賞の授賞式がございまして、両陛下とともに、我が
大野つや子文教科学
委員長も参議院議長の代理として御
出席いただきまして、そしてずっとその院賞の受賞者たちから話を聞く
機会がございました。
これはもう本当に自然科学のみならず、人文科学、ウィーンにおけるユダヤ人の
研究とか、本当にもう目の覚めるようないろんな各般にわたる
研究が賞を受けられておりましたけれども、その中である数学者が、これは数学の
一つの法則を自ら証明をしたという御説明があったわけです。それは微分幾何学の
研究ということでございましたが、それをお聞きになっておりました陛下が、これはどのような展開が今後あるのだろうかということをお尋ねになりました。そうしましたらその若き
研究者は、数学のような
分野というのは何世紀にもわたって後に何らか世の中の役に立つのかもしれない、しかし、そういうものが本当に真理の探究であり、
研究の大事さであるということをおっしゃいまして、私も本当に拍手をしていたわけでございます、心の中で。
ということでございまして、私どもは正にそのようなことを十分に認識をし、今日まで科研費の充実を始め各
大学の取組をサポートしてまいったわけでございまして、ノーベル賞が三年連続で出たというのも我が省が正に科研費等を通じて基礎
研究を大事にしてきたということの表れでございます。
そのような知の集積である
大学を大事にしていくというのは我が国の、我が省の
使命でありまして、今後この
法律の運用に当たって、当然ながら規定としてそれがございます。しかも、それをしっかり
法令上も約束するために、今回の
国立大学法人法におきましては、
法律の運用に当たって
大学における
教育研究の
特性に常に配慮すべきことというのを明文で第三条に国に義務付けているわけでございます。それから、
学長の任命あるいは
中期目標の作成に当たりまして、
大学の
意見が反映される
仕組みを導入しているわけでございます。したがいまして、
文部科学省としては、これらの規定は当然遵守していかなければならないわけでございます。
それから、
中期目標、
中期計画の中に
個々の
研究者の
研究のテーマとかというのは、一切それは私ども問うところではございません。その
大学がどのような目標で優れた
研究、優れた
教育をやっていくか、そして
社会に貢献していくか、そのマクロの全学的な姿勢については問うわけでございますけれども、
個々の
研究者の自由というのは完全に確保されているわけでございます。
したがいまして、
委員お尋ねでございますが、成立後の
法律の運用に当たりましては、このような
法人化の趣旨を踏まえて、
学問の自由や
大学の
自治への配慮に十分意を用いてまいりたいと考えております。