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2003-05-08 第156回国会 参議院 文教科学委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月八日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     山根 隆治君  五月六日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     岩本  司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大野つや子君     理 事                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 佐藤 泰介君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 有馬 朗人君                 有村 治子君                 大仁田 厚君                 後藤 博子君                 中曽根弘文君                 岩本  司君                 江本 孟紀君                 神本美恵子君                 山根 隆治君                 草川 昭三君                 畑野 君枝君                 西岡 武夫君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   遠山 敦子君    副大臣        文部科学大臣  河村 建夫君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君    政府参考人        文部科学省初等        中等教育局長   矢野 重典君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省国際        統括官      永野  博君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人日本学生支援機構法案内閣提出  ) ○独立行政法人海洋研究開発機構法案内閣提出  )     ─────────────
  2. 大野つや子

    委員長大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十三日、藤原正司君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君が選任されました。  また、去る五月六日、内藤正光君が委員辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。     ─────────────
  3. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案審査のため、本日の委員会文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君及び文部科学省国際統括官永野博君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案審査のため、来る十三日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 おはようございます。どうも、はい、どうもおはようございます。  本日は、政府から提出されております独立行政法人化についての一法案のうち、特に独立行政法人日本学生支援機構法案について幾つかの質問をさせていただきます。  私は、まあ何度も大臣、副大臣には、皆さんも御存じでしょうけれども、四十超えてから高校に行ったものですから、ちょっと感覚が学生に近いものがありまして、特に、いまだに一緒に高校から同じ大学に行ったりして、やっぱりこうキャンパスの中で学生に接していると、学生考え方というのがあるわけです。やっぱりここで論じていると、やっぱりそういった大人的な論じ方というのと客観的な見方というのは多少は僕はあると思うんですけれども、そんな中で、これは私事なんですけれども、おかげさまで明治大学の三年生に上がらせていただきまして、今回。(拍手)  いや、拍手、ありがとうございます、どうも。四十四単位中、何と僕は四十二単位取れまして、おまえ、でき過ぎだと言われたんですけれども。  そういったコミュニケーションの中で、これはあくまで友達の中のことなんですけれども、友達の中でも奨学金なんかを受けている学生なんかも何人かいるんですけれども、そんな中でやっぱり、この今の現代の経済状況の中でやっぱりお父さんがリストラに遭ったり、やっぱり援助を打ち切られたために大学を辞めざるを得なくなったという現状なんかもあります。そしてまた、やっぱりそんな中で本当にまめに勉強し、この子は可能性があるなという子、僕からすればそういう子もたくさんいるわけです。やっぱり志半ばにしてキャンパスを去っていく学生を目の当たりにしていると、僕としては、独立行政法人化によって新しく生まれる日本学生支援機構がどのような形で奨学事業を行っていくか、とても注目しております。  それでは、質問に入らせていただきます。  今回は、今回の独立行政法人化によって、日本育英会現行公益法人で働いておられる職員方々処遇がどのようになっていくのかという点をお伺いしたいと思います。今回の独立行政法人化業務の効率を高める目的があると思いますが、民間企業と同様に職員数削減目的として挙げられているのでしょうか。そしてまた、職員数削減計画について具体的にお伺いいたします。
  10. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御審議をお願いしております日本学生支援機構でございますが、特殊法人等整理合理化計画、これは平成十三年の十二月の閣議決定でございますけれども、この計画と、公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画、これは平成十四年三月に出されたものでございます。これらに基づきまして行政改革の一環として設立されるものでございまして、日本育英会公益法人でございます日本国際教育協会内外学生センター国際学友会関西国際学友会が統合されることということでございまして、こういうことで、これまで以上に効率的な業務執行、あるいはその管理運営費合理化が可能となるのではないかと、こう考えておる次第でございます。  お尋ね職員数でございますけれども、職員についてでございますが、五つ法人一つになるということがございまして、現在五つ法人職員の数が合計で六百四十六名いるわけでございますけれども、このうち日本学生支援機構の方に移行することを予定してございますのが約四百五十名程度を想定しているということで、現在の予定ではそういう予定にしておるところでございます。
  11. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 はい、ありがとうございます。  現在ある四つ公益法人で働く職員方々は、新機構一つ公益法人に分割されることになると思いますが、現在同じ特殊法人の下で働く職員方々の間で結果的に身分や待遇格差が生まれることも懸念されると思いますが、ここでお伺いしたいと思います。  独立行政法人公益法人への職員方々振り分けについてどのように、どのような形で取られるのかお聞かせください。よろしくお願いします。
  12. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 五つ法人が基本的に日本学生支援機構という形で一つになるわけでございますが、ここに引き継がれる、独立行政法人としてふさわしい業務、それと、そうじゃない業務といろいろございまして、この日本学生支援機構に原則的には移行するわけでございますけれども、今申し上げましたような学生教育、現在ございます公益法人で行っております学生教育研究災害傷害保険等々のいろんな業務につきまして、現在、承継公益法人と一応そう私ども呼んでおりますけれども、公益法人でその業務を行うということもございまして、現在いる五つ法人職員のうち、こちらの公益法人の方に移行される方もいらっしゃるということで、今の御指摘の御質問のように、日本学生支援機構に行く人とそっちの公益法人に行く人との処遇等々の問題、振り分けの問題についてどうかというお尋ねだと、こう理解するわけでございますけれども、この点に関しましてでございますけれども、日本学生支援機構継承公益法人への職員の移行につきましては、それぞれの法人に移管される業務との関連を踏まえまして、それぞれの職員が各、今、現在の法人で担当しております業務、それからそれぞれの方々の適性、勤務地、そして御本人希望というものを考慮いたしまして、各法人におきまして適切に対応、対処をするということになると考えておる次第でございます。  なお、独立行政法人でございます日本学生支援機構民間でございます公益法人との関係におきまして、待遇に相当な格差が生ずるという、一方が著しく不利を被るといったことのないよう私どもとしても検討をしてまいりたいと、こう考えております。
  13. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。よろしくお願いします。  皆さんにお手元の資料はお配りされましたでしょうか。資料を見ていただくとお分かりだと思いますが、日本育英会理事長報酬通勤手当を除いて月額百一万二千円、理事報酬は同じく月額九十万一千円、監事の報酬は同じく月額七十七万三千円、そのほかにも多額の一時金、退職金が支払われております。  この数字を見る限りではかなり高額であるという印象は僕は否めないと思うんですが、他の特殊法人における役職員への報酬についても度々議論されるところですが、将来を担う学生を経済的に支援するという育英会の性格を考えると、国民の大半は、僕は思うんですけれども、やっぱり一人でも多くの学生に予算を回すべきだと、僕はそう思うわけです。  ここで大臣にお伺いしたいんですが、日本学生支援機構役職員には、無償でも構わないから、志のある若者に、支援に力を注ぎたいというお考えをお持ちの方を選考すべきであるという僕の個人的な考えがあるんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。それにまた、新機構役職員に対する報酬についても踏まえてお答え願えれば有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。
  14. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 日本育英会もそうでございますけれども、新しくなろうとしている日本学生支援機構といいますものは、学生の、これは国内だけではなくて海外からの学生に対しても日本での学生生活がしっかりと営めるように支援していこうという機構でございます。  そういう機構になるわけでございまして、これまでの奨学金のみならず様々な事業を統括的に行っていくという機構でございますので、これは社会的に相当な責任もございますし、しっかりした業務をやっていかなくてはならない。また、独立行政法人になりますと会計基準というのも変わってまいりますし、非常に難しいといいますか、それを管理していくにはいろんな知識、技術も要るかと思っております。  その意味で、ボランティアのような方ではどうかというお話でございますが、そういう方の力もいろんな形で得るということは考えられるものの、こういう機構をしっかりと運営していくには、他の独立行政法人等と同様にふさわしい報酬というものが確保されなくては、私は健全な機構運営は確保できないのではないかなと思っております。  役員報酬総額といたしましては、今、育英会、それから四つ行政委託型公益法人が合体するわけでございますが、政府参考人からもお話ありましたように、現在の関係法人全体の理事者の、理事者といいますか、役員の三分の一以下の、三分の一ぐらいの規模になりますところから、国費の支出というものも、役員に対する報酬総額としては三分の一以下の規模となると考えて、報酬負担数で見ますと現在の関係法人全体の三分の一以下の規模となるわけでございます。  それと、独立行政法人役員報酬等支給基準につきましては、これは勝手にそれぞれの独立行政法人が決める、あるいは非常に高額にするというようなことはもちろんできないわけでございまして、通則法上、国家公務員給与、それから民間企業役員報酬法人業務実績などを考慮して定めることとされておりまして、新たな機構役員報酬につきましても、こうした考慮の下で適正な水準となるよう対処したいと考えております。  それを確保するためには様々なまた手続もあるわけでございまして、それについて必要であればまた御説明をしたいと考えております。
  15. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  大臣、僕はちょっと思うんですけれども、報酬というのは、やっぱりそれなりの努力をし、やっぱり一生懸命頑張った人の評価額だと思うんです。僕はそれでいつも思うんですが、国会議員給与が高いとかと世間から言われるわけです。それで今一割カットということになっておりますけれども、僕はやっぱり、それなりの仕事をし、努力している姿勢をやっぱり常に見せ、やっているんだという姿勢の中で自信に満ちた働きをやっぱり世間に示すべきだなと常日ごろ思っております。是非、大臣の方もその辺のところを考慮していただき、適正な働きの中に適正な金額が設定されるということを常日ごろ考えていただきたいと思っております。ありがとうございます。  それでは、次の法案により新たに創設される大学院生に対する返還免除制度について質問させていただきます。  法案第十六条では、「特に優れた業績を挙げたと認められる者には、」無利子の第一種奨学金の全部又は一部の返還免除を行うことができることになっております。「特に優れた業績」は余りにも何か抽象的な表現だと思うのですが、ここでお伺いします。  特に優れた業績基準とは何で、その認定者はだれになるのですか。そしてまた、これは追加の質問なんですが、認定対象は学業に限られることなく、僕としては文化スポーツ活動などに含まれるべきではないかと考えるものですが、いかがでしょうか。
  16. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 新しいその返還免除制度でございますけれども、その業績ということでございますけれども、大学院におきまして専攻する学問分野での顕著な成果世界レベルでの発明、発見ということはもとよりでございまして、それと、当該その人が専攻しております学問分野関係いたします文化、芸術、スポーツ等での目覚ましい活躍等々につきまして、優れた業績であるということでそれを評価をいたしまして、卒業時に返還免除することによりまして、我が国のあらゆる分野活躍し、その発展に貢献する中核的人材を育成することを目的とするものでございます。  そして、その基準、あるいはだれがそれを判断するかということでございますけれども、現時点では、この日本学生支援機構、これが一定の基準を示しまして各大学にこれを示すということでございます。そして、各大学院におきましては、その基準に基づきまして学内推薦基準を作ります。それから、公平に、透明にやるということで学内選考委員会を作っていただきまして、その選考委員会選考を行いまして、この基準に基づきまして選考を行いまして、そしてその大学院でこの人ということで決めた人につきまして候補者として機構推薦をして、そして最終的には日本学生支援機構がこの推薦に基づきまして決定するというような言わば手順といいますか、そういう段取りになるだろうという方向で現在制度設計検討しているということでございます。
  17. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  ちょっと、特に優れた業績というのはちょっと本当に決めにくいことだと思うんですが、各個人でいろんな僕は才能を伸ばしていくのがやっぱり国の務めで、行政務めだと僕は思うんですけれども。  そういった中で、やっぱり文化スポーツなんかも結局見ている側に感動を与えますので、いろんな部分で、この日本という国はいろんなことをすればバックアップできるんだよという、そのバックアップ体制みたいなものを確立していただいて、そしてその制度自体が分け隔てなくみんなで対象なんだよというふうに持っていっていただければ本当に幸いです。よろしくお願いいたします。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  現行制度大学院貸与終了者に占める教育研究職による返還免除割合は、平成十三年度末の累計で、人数金額ともに三割強と聞いておりますが、法案で創設される返還免除は全体の貸与額に対してどれくらいの割合を想定しているのでしょうか。また、本法案での返還免除制度大学院生に限定されている理由をお聞かせください。また、この返還免除制度を今後大学生高校生などに拡大していくことをお考えでしょうか。
  18. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 現在育英会で行っております大学院生返還免除制度でございますが、御指摘のように、大学院で無利子学資資金貸与を受けた者が教育職又は研究職に一定年数勤務した場合に、その勤務年数によって全部又は一部を免除すると、こういう制度でございまして、その割合でございますが、平成十三年度末の免除となっております見込み者の数、免除見込額、これ、これまでずっとの累計でございますが、約十四万六千人、額にして約二千五百十億円と、こういうことでございまして、人数、額ともこれまでの貸与終了者に占める割合は三割強となっておるということでございます。  そこで、新しい返還免除制度についてはどうなるのかと、こういうお話でございますが、この新しい返還免除制度の具体的な制度設計につきましては、現在まだ検討しているというところでございますけれども、その規模につきましては、やはり厳しい財政状況の中で限られた財源を効果的に活用していくということでございますので、その中で、優れた学生に対する大学院への進学のインセンティブの付与のためにはどの程度がいいか、どの程度規模がいいかということで、そういう観点を踏まえまして具体的にこれから検討を進めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。  それから、大学院生ですけれども、これは大学院生にどうして限られているのかと、こういう御指摘もございました。これは実は現行の仕組み、返還免除制度現行大学院生だけということでございまして、実は大学、前には、以前には大学高等専門学校におきましても教育職返還免除制度がございましたけれども、やはりもう、いろいろ議論がございまして平成十年に廃止された経緯がございまして、現行では大学院生についてだけ返還免除制度があったと。  そして、この現行返還免除制度につきましても、教育研究職という特定の職に就職した人だけがその返還免除対象になるということについては、やはり不公平ではないかといったようないろんな議論もございまして、これまでもこの廃止が求められてきたという経緯がございまして、この際、特定の職ということに着目した返還免除制度から新しい形での返還免除制度に移行したらということで、こういう制度にしたいということで御審議をお願いしているというような次第でございます。
  19. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 今のちょっと分かりにくかったんですが、申し訳ございません。僕としては、大学生高校生の方にも拡大をしていく希望的観測はあるのかということを端的に答えていただければ有り難いんですが、副大臣、よろしくお願いします。
  20. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 今、局長お答え申し上げましたけれども、これまで大学院の特にこういう職へ就いた人に免除しようという方向でやってきたわけですね。やっぱりそれだけでいいのかという議論も出て、またそれはむしろ本人の、職へ就いたということではなくて、上げた成果に対して見てやろうという方向考え方もいろいろ変わってきて、今回は、特に奨学金の中でも免除するという方については、世界的な活躍が望めるとか、あるいは発見だとか発明したとかいろんなそういう大きな功績を上げた人たち、そして大学院に進学することを奨励をするような意味、そういうことをもっと強める奨学金制度が必要だということから、今回は大学院生質的向上を高めよう、そしてあらゆる分野活躍できる人たちにしよう、それで大学院で大いなる世界的な活躍をしてもらう人たち対象にしようということで今回制度を発足させるわけでございますけれども。  今、大仁田委員指摘のように、更にこれは大学生高校生にも広げたらどうかということなんですね。私もこれはいいことだと思うんですけれども、ただこの非常に厳しい今経済情勢の中で、できるだけ、返還金もまだ滞っている人たちもおると、それもしっかり受けなきゃいけませんけれども、これを確保しながら、できるだけ多くの方々奨学金を差し上げたいということになると、免除をすることもいいけれども、ちゃんと返していただいて、むしろそれを更に次の方々へ回していく方に重点を置きたいということで、実は職についても、先生になる方には、先生を立派にやっていただくためにも、教育職に就けば、特に大学、高専の先生になる人たちお金は返さなくていいという制度もあったんですけれども、これもやっぱり、むしろ返していただいて次の方にしようということで、その免除制度廃止平成十年にいたしておりまして、方向としては、そういう希望も私も考えられないことはないけれども、今の現時点ではなかなかそこまで難しいんではないかと考えておるんです。  ただ、今度、高等学校については県に移管をいたしますから、各県においてまたいろいろ考えて、特に高等学校で頑張ったような人には免除しようという制度を新たに作るということについてはこれはもう各県にお任せしますが、国全体としては、むしろ今返していただいて、それを更に次の方に奨励を含めて奨学金、この規模を増やしていきたいという考え方に今立っておるものですから、大学生高校生免除する方向というのは今の現時点では考えていないところでございます。
  21. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  まだ副大臣にちょっとその辺のところ突っ込んでお聞きしたいんですけれども、僕自身、僕自身、こういう社会だからこそ奨学金という制度、先ほど返還されていない部分もたくさんあるという、それよりか逆に、自分お金で学んで、自分が借りたものに対して、自分で学んで、自分が借りたんだからそれだけ学ぼうという意欲、そしてまた、そういった奨学金があるという制度自身知らない子もたくさんいますので、アバウトで知っていても自分対象になるかどうかというのは、そういった意味で、自分お金自分で学び、そして社会に羽ばたいていくんだという自信を付けさせることもまた僕は必要なことだと思うんです。  それで、免除だけじゃなく、やっぱり高校生から、自分お金で行ったんだ、そして大学自分で卒業したんだ、社会人になったとき、そのお金自分で返すんだ、そういった制度というのを確立していくとどんどんどんどん何かもっと進歩的な教育というものができるような気がするんですけれども、それに対して副大臣、どういうふうにお考えですか。
  22. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 今、大仁田議員のお話、私も全く同感でして、かねてから奨学金というのは、今まで奨学金というと、それは家計が非常に厳しいからだと。もちろんそれも大事だし、ただ、その上に成績がいい者だけと。これは育英で優秀な人材をということでありますが、それだけじゃなくて、今、学ぼうと、しかし自分の力でやるんだということであれば、自分で借りて自分で返す、自己責任でやるという制度ですね、それは教育的観点からいっても非常に価値が高いことですから、希望したら、希望する方があれば全部奨学金は出ると、希望したらだれでも出るんですよというふうに私は持っていくべきだと思っておりまして、これがやっぱり奨学金制度の根幹であって、その中には段階的に、無利子の分については、優秀だとか特に家計が苦しいとかは無利子で、有利子の分ありますから、それはもう希望したら全部ということで、今、現状ではまだやっぱり一割ぐらいの方々が、家計が一千三百四十万ぐらいを超える方には一応除外しておりますから、そういう方もおります。私は、そういう方の子供であっても、自分で借りて自分で返すということの方が大事なことですから、そういう方々でももらえるようにすべきだと思いますが、そこにやっぱり財政の一つの制限があるものですからそういう措置を取っておりますが、方向としては、今、大仁田議員言われたように、自分の力で借りて自分で返していくという方向で、だからだれでも希望すれば奨学金は借りられると、そういう方向で行く方向をこれからも強めていく、そういう意味で拡充していくということが必要であろうと、こういうふうに思います。
  23. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  是非、副大臣にそういうふうな、大臣とともに是非そういう方向性で僕は進めてもらいたいと思うんです。これは教育の発展だけじゃなく、僕はこれやっぱり国力の発展、そしてまた国益に物すごくなると思いますので、是非そういった制度を本当に推進していただきたいなと思っております。  では、次の質問に移らせていただきます。  続いて、高校生奨学金制度についてお伺いしたいと思います。  資料②を見てもらいたいと思うんですけれども、資料②を見ると、高校生奨学金成否率が大学院生大学生と比較して極端に低くなっております。また、資料③のグラフからも分かるように、バブル破壊後、中退率が上がっており、中退と経済的理由の因果関係指摘する声も聞こえてきます。高校中退の事由で経済的理由が突出しているわけではありませんが、進路変更や家庭の事情などの背景に経済的理由が隠されていることも考えられます。  ここでお伺いいたします。このような現状を踏まえて、高校生奨学金制度を、拡充をどのようにお考えでしょうか。
  24. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 高校生の場合、さっき申し上げました、今度、県に移管をして、それぞれの県で対応していただくことになるわけでございますが、特に高校生の中には奨学金がそんなにもらえるということを分かっていない方もおありだという指摘もございました。PRもしっかりしていただかなきゃなりません。  特に、高校生も今、進学率が九七%ぐらいになりまして、そこまでは親の方も何とかしてやらにゃいかぬという思いで高校へ行かせるという家庭的な環境もありますから、奨学金ということになると、よっぽど何かあったときにということが多いと思います。  そういう意味で、これ、高校生に対しては無利子でやっておるわけでございまして、平成十五年度予算においても四億円増やして、二百八十一億円をもって十二万二千人対応するということになっておるわけでございますが、特に、親が急に亡くなったとか、あるいはリストラに遭ったとかいうことが最近増えてまいりました。そのために学校に行けないというようなこと、あるいは急に中途退学の危機にさらされている、そういう家庭をお救いするという意味で、無利子貸与の緊急採用奨学金というのが年間を通じてこれずっといつでも、緊急に起きますからすぐに受けられるようになっておりまして、これも平成十五年度においては一万人分対応で三十一億円という予定をいたしております。  これも実は実績を見ましても、昨年度、平成十四年度もそういう方々高等学校全体でこの制度を受けた方の中の七千七百人弱おられますが、そのうち経済的理由というのは五千人おられます。そういう方々にきちっと対応いたしておりまして、所要額も平成十四年度が三十一億だったものですから、それと同じ額を用意いたしておりますので、これについても緊急でそういう場合が起きた場合には対応できるということでございまして、高等学校生の奨学金というものはそういう意味で充実されつつあるというふうに思っておるところでございます。
  25. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  ちょっと横道にそれるんですけれども、僕の人生自体がちょっと横道にそれたり元に戻したりするんですけれども、どうしても、僕は三年前、夜間高校だったもので、どうしても思うんですけれども、何か全日制の生徒と夜間高校の隔たりみたいなものがあって、それで、確かにリストラされたことや経済状態によって、いろんな部分高校へ行けなかったりとか、そういったこと多少はあると思うんですけれども、面白い傾向がありました。経済的な理由じゃなくても、学校になじめなかったり、それで、面白い子は自分働き口を持ちながら高校に通っている子たちもいたんです。  ただ、僕は、これ副大臣にも聞いて、大臣にも聞いてもらいたいんですけれども、どうしても確執が取れないんですね。全日制とやっぱり夜間となると、何か親御さんたちも引いている部分が非常にありまして、何ですか、区別する、されるんですね。うちの高校は特にそうだったんですけれども、卒業式も一緒じゃないし、始業式も一緒じゃないし、区別されるわけですね。僕らからすると、同じ学校で学び、同じ学校で育ちという意識があるんですけれども、何か、何かこう、そういったもっと明るい、明るい、明るい、全日、夜間、関係ないじゃないかという、その辺のところの隔たりをどんどんどんどん縮めていかなきゃなと。  だって僕は、副大臣、思いますけれども、僕は思いますけれども、僕は二部に行っていますけれども、僕は二部が全然悪いとは思っていませんから、全然。確かに一部の人間はいいかもしれないですけれども、僕は二部に、二部の人間だからといってそういった意識は全然ありませんから。やっぱりその、何というのかな、全体的な、全体的なやっぱり意識改革というのが僕は必要だと思うんです。何かそういったものじゃなく、学ぶのはいいじゃないかと、ストレートでこう言えるような、そういった意識改革というものがすごく必要かなと。  何か奨学金をもらうとなると、何かこう、申し訳ありませんが、貧困じゃないですけれども、何かそういった意識というのは聞くところによるとあるんです、やっぱり。副大臣が言われたように、アピールが足りないと言われましたけれども、やっぱりそういうものじゃないのであって、堂々と、正々堂々と受けて、正々堂々と学び、努力し、やっぱり進歩すれば、それだけあなたは伸びるんだよというような、何か日本全体にそういった進歩的な、ポジティブな考え方の変換というのが今は何か求められているような気がするんです、僕は。それは大臣が前に言われましたね。この二十一世紀に、二十一世紀に生きるためにやっぱり力強い人たちを育てるべきなんだと、こう力強く遠山大臣が言われたときに、僕はそうだなと思いましたもの、本当に。  やっぱりそういった部分で是非、ちょっと僕の言い方が物すごくアバウトかもしれませんけれども、人間同士の隔たりとかそういうことじゃなく、学ぶという大きなくくりの中でいろんな制度の、分かりやすい制度に変えていくというのが必要な時代だと思っております。  それでは、次なんですけれども、僕自身常々感じているんですが、根本的なことをお伺いします。  そもそも奨学金制度は学業優秀者への教育措置ということですが、それだけじゃないですが、成績不振の学生の中にでも、将来やっぱり志は持っている人間ていますよね、副大臣。やっぱり、こいつ余りできが良くないけれども、だけれどもやっぱり何か意志を持っている人間というのは僕はいると思うんですよ。やっぱり、そういった中で日本育英会が学力基準を設けているのは、学力だけにとらわれず、それぞれの個性や能力を伸ばすということを目指すのも、文部科学省の方針に何か逆行しているようなちょっと気がするんですけれども。  ここでお伺いいたします。幅広い奨学金事業を展開するために、学力基準や家計基準を見直すということについてどのようにお考えでしょうか。
  26. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) これまでの奨学金の在り方というのが、やっぱり日本育英会と、こう言っているだけに、英才を育てるというような意味もあって、教育の機会均等ということもあって、経済的に豊かじゃないけれども非常に優秀だし、その人を育てていかなきゃいかぬという、国がそういう人材を育てていこうという観点で奨学金を出す。  そして、それをこれまで行ってきたので、その一つ基準として、まず学業成績は三分の一以上にあった方がいい、それから学業成績、高等学校の平均点は三・五以上であるとか、それから家計収入も非常に困っておられるかどうかを見て考えましょうということでやってきたのですが、今、大仁田議員も御指摘のように、これからの奨学金の在り方についても、いろんなニーズもあるし時代の変遷もありますから、それはそれで残しながら、しかし、無利子と有利子制度もございますから、さっき言われたように、働きながらでも学びたいという人もおられる、そういう方々にも奨学金を出せるようにする。そういうことになると、有利子で、しかも、貸すお金も、三万、五万、八万とか、こうルートを作っておいて、自分の力でこのぐらいなら返せるというのを選んでいただいて、自分で借りる金を自分で決めるというようなところまでニーズを広げていったわけですね。  そういうことで今奨学金貸与しておりますので、学力だけを見るというようなこともしないし、それから、本当は私は家計基準というのももうなくしてもいいと思っているのでありますが、財源に決まりがありますので、今のところ、最高額一千三百四十万円以上の収入がある方にはちょっと待ってくださいと、こういう形になっております。  しかし、基本は、大仁田委員言われたように、まず、勉強しようと意欲がある人ですね、それを非常に重く見て、勉強するんですということであれば奨学金をどんどん出すという形にこれからはもう進めて、さっき一割ぐらいは、希望したけれども貸与基準の一千三百四十万に超えておって、今回はもうちょっと待ってください、基準に入りませんと言われて断られた方が一割ぐらいありそうだという話をしましたが、大体今希望者は全員が採用されているということで、大学生を持つ親の年収で見ても約九割の学生はカバーされているということで、今年度予算を見ても八十六万六千人の学生奨学金が出せるようにもうなっておるわけです。そういう意味で、いわゆる学ぶ意欲、そしてやる気のある人、そういう人をしっかり取り上げていく。  大仁田委員もさっき言われたように、やっぱり人生というのはいろいろな人生があるんですけれども、最近の企業で、企業も元気がありませんが、ベンチャービジネスでどんどん起こしている人たちというのは、順調にいった人じゃなくて、一回リタイアしたり、こういう回り道した人が皆新しい企業を起こして頑張っている。そういうことを見ますと、やっぱりそういう意欲のある人たちをしっかり取り上げていく奨学金制度でなければいかぬと、このように思っておるわけです。
  27. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございます。  質問の数が少なかったもので、終わりになるんですけれども、もうちょっとだけ話をさせてください。  何か、何か僕思うんですけれども、何となく僕は、大河ドラマを、宮本武蔵を見ていて、宮本武蔵の視聴率が余り良くないんです。それで、そこでちょっと考えたんですけれども、僕は今、坂本龍馬を読んでいまして、大河ドラマは、これは間違った、時代錯誤だと思いまして、「バガボンド」という漫画がありまして、それを見ると宮本武蔵は面白いと思うんですけれども、やっぱり時代が何を求めているか、時代のニーズというもの、これって僕は感性、感覚だと思うんですけれども、外れることも確かにありますけれども、僕は、僕思ったんですけれども、今ややっぱり幕末の時代を描くべきだったなとすごく思うんです、痛烈に。  それで、教育の中に、教育の中に、だって、僕はその時代がはっきり、その時代に生まれていませんから分かりませんけれども、僕ははっきり言って、江戸時代から、江戸時代から明治新政府に変わったわけですよ。あの幕末の動乱の中で、今まで、今まである程度の階級の人は寺子屋に行き、どうのこうのしたかもしれませんけれども、その時代、あの新政府が学校制度を作り、今まで、今まで、今まで労働力として子供たちが田畑を耕したりいろんなことをしていた子供たちまで学校に行く制度を作った。僕は、あのときのエネルギーというのはすごいことだと思うんですよ。物すごいことだと思うんですよ。あれがあったからこそ、僕は今の日本があるような気もするんです。  あのときのエネルギーを、あのときのエネルギーは、何か日本人のあのときのエネルギーというのは、爆発的なエネルギーというのはどこに行ったのかなと。  日本国じゅうを、申し訳ございませんが、選挙で回っていまして、本当に何か人間の感覚の中で、いろんなしゃべりをしていて、何か男性、特に三十代、四十代、五十代が元気がない。だけれども、特におば様方は元気がある。(発言する者あり)いやいや、おば様方たちは元気がある。この大差は何なんだろうと、こう思いながら演説をしているんですけれども。いやいや、だけれども、何か、何か思うんですけれども、非常に思うんですけれども、本当に僕は、大人が元気じゃなければやっぱり子供が元気になるわけがないんです。やっぱり大人が元気を取り戻して、子供に対して、やっぱり元気にやろうよ、一緒にやろうよと言うことが必要だと思うんですけれども。  まとめに入らせていただきますけれども、諸外国の奨学金制度を見ると、我が国のような貸与ではなく給与の形を取っている場合が多いようです。そしてまた、もちろん歴史的背景やその他の社会的福祉制度が違い、それぞれの経済状況から考えても一概に否定することはできません。それでも我が国の奨学金制度は何となくこう弱いような、そんなような感じがいたします。  予算の拡大のために遠山大臣が尽力されていることはよく分かっておりますが、僕自身学生として、一国会議員としてどうしても大臣に聞いてもらいたいことがあります。是非とも、大臣が先頭に立って今回の独立行政法人化を機に抜本的な奨学金制度改革を行っていただきたいと思っております。そしてまた、奨学金制度拡大に対する大臣の御決意を聞かせていただきたいと思っております。
  28. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 本当にこれからの日本を担ってくれる子供たち、学生たちが元気を出して大いに学び、そして力を得て、働く場で力を発揮する、そういう社会でないと日本の将来はないわけでございます。残念ながら、今、日本の大人たち大仁田委員がおっしゃいますようにいささか自信を失い過ぎています。しかし、私は潜在可能性は非常にある国であるし、国民であると思っております。そういう特に若き人の潜在可能性というものを発揮していくためにも、大いに学ぶ意欲のある人には学ぶチャンスを与える、そのために奨学金制度というのは大変重要でございます。  諸外国も様々でございまして、大仁田委員おっしゃいますように、それぞれの国の制度あるいはいろんな社会状況等で違いはございます。日本は確かに公的な制度で給付制はないわけでございますが、私的な財団等でかなり給付制をやっていてくれるところもあるわけでございます。しかし、トータルとして学ぶ意欲のある人がしっかりと奨学金制度を利用して、そして自ら借り、また自らの力で働いて返していく、そういう自立的な社会を作ろうという大仁田委員の理念というものは私も大賛成でございまして、そういうことを可能にしていくために奨学金制度の充実というのは、今後とも更に発展させていかなくてはならないと思います。  これが幸いに、小泉総理も、働くあるいは学ぶ意欲のある者にすべて奨学金が与えられるようにしようよというようなことをいろんな場で言っていただいておりまして、我が内閣としても、できるだけそういう方向性を発揮しながら、将来ある若者が学ぶ意欲を持ち続け、そしてそれを自らの豊かな人生そして社会への貢献ということで力を発揮してもらうことができるように精一杯頑張っていきたいと考えます。
  29. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 ありがとうございました。  もう先ほどから何回も言いましたけれども、だって人間社会の中で生きるために借りたものは返す、僕はそうだと思うんです。やっぱり、そういった規則とか義務とか、そういったものを家庭の中で教えられないなら国単位の中でそういったものを義務化していくとか、そういったものを社会とか国がやっぱり教えていくべきだと僕は思っているんです。  何ですかね、エネルギーというのは僕はどこから得ているのかよく分からないんですけれども、僕自身考えてみて、常にどうしてこういうことをやっているのかなと思うと、やっぱりコンプレックスなんですね。常にコンプレックスと、僕の、変な言い方をすると、大臣、偏見なんですね。偏見との闘いなんですね。これは、かのアントニオ猪木さんというのがいまして、プロレスが八百長だ八百長だと言われるわけです。それでストロングというのを打ち出すわけです。自分はストロングなんだ、力強いんだ、プロレスは本当に力強いんだという、ストロングというのを打ち出すわけですね。それによって、それによってプロレスに対する偏見を消していこうとするんですね。それで参議員になられたんですね、最初に。プロレスラーとしては初めて参議員になられた。あの参議員になられた自体が、僕は猪木さんの根本的な部分でやっぱり世の中に対する偏見との戦いだったと思うんです。これは僕の、あくまで僕の観測なんですけれども。何かありますか。僕は思いますけれども、そうなんです。  いや、だって、僕は国会に来てこう思いますもの、当選したとき五十万票近い票をもらいましたけれども。票をもらいましたけれども、じゃ全部が全部認めているかといったら、社会が認めていないわけじゃないですか。子供のころを考えてください、遠山大臣、副大臣。そうです、みんなが最初から認められているわけじゃないんですよ。遠山大臣だってそうです。大臣になるまでいろんなプロセスを経ているわけじゃないですか。  僕は十五のとき、十五のときリュックサック背負って長崎の県庁前から歩いたんですよ。二十八日間かけて神戸の元町の駅まで歩いたんです。その二十八日間だけでもいろんなことがあるわけですよ、二十八日間。もう聞き飽きましたか、この話は。聞いていなかったですか。それで、その十五の子供が長崎の県庁前から友達に送られて、じゃ行ってくるねと、こう歩き出すんですね。  それで、まだ時間ありますね、その当時、うちの母親がうるさい母親なんですよ。じいさんは金持っていたんですけれども、うちの母親はうるさいやつで、靴は穴が空くまで履けと言うんですよ。しようがないからそのまま中学校で使っていたズックでこうやって歩くわけです。すぐ穴空くわけですよ。それで、その十五の少年が考えたんですよ。それで、手持ち資金が二万三千円ですよ。アルバイト、新聞配達で稼いだ二万三千円持ってこうやって歩くわけですね。それで、運動靴屋へ行って靴買ったんですね。  それで、飯食うだけで、御飯食べるだけで金減るじゃないですか。金減るから、しようがないからやっぱり靴代どうにかしようと思って考えたのが、十五歳の人間が考えたのが、子供が考えたのが、どうにかしようって、タイアップというものを考えられないかなと思って靴屋の電話番号に電話掛けたんですね、僕ね。済みません、話の分かる人いますかと言ったら、営業部長さん出てきてくれたんですよ。これは偉い人だなと思って、済みません、こうやって日本一周歩いている者なんですけれども、靴提供していただけませんかと言ったら、分かったと言うんですよ。このおやじ安易やなと思いながら、大阪へ行ったらちゃんとフグごちそうになって、靴三足くれたんですよ。  それで、今何でそういう話をするかというと、やっぱり信頼関係が、ちゃんと人間と人間の信頼関係がやっぱり確立された時代というのは僕はあったと思うんです。これは、一つは十五の子供がタイアップということを考えたということなんです。次に考えたのが、これはパブリシティーなんですよ。たまたま博多まで歩いていたら、旅館が泊めてくれないんですよ。家出少年か何かと間違えられたんでしょう。それで、しようがないから小倉の方までずっと歩いていたら朝方になって、こうやって新聞紙が僕の足に絡み付くんですよ。新聞読みながらこうやって歩いていたんですよ。囲みの記事の中に、サウジアラビアの二人の兄弟がサハラ砂漠を徒歩で旅しているという記事が載っていたんですよ。あら、外国の人もこうやって宣伝しとんのやなって。僕もやっぱり自分の過程を宣伝せなあかぬと思って、門司のスポーツニッポン新聞社の支社に行きまして、自分を売り込みに行ったんです。こうやって日本一周やっている者なんですけれども、記事にしていただけませんかと言ったら、上の編集部へ行けと言われた。  それで、今で、この年になってやっと分かるんですね。その記者の人がちゃんと話を聞いてくれて記事になったんです。アドベンチャー少年って、今度見せてあげますよ、皆さんに。僕がやったことばっかりを何か自分で思っていたんですよ。そうじゃなくて、今考えると、逆に考えてください。十五の子供が、済みません、僕は日本一周やっているんですけれどもって。それをちゃんと受け止めてくれた人たちがいたんですね。だって、遠山大臣、こうやって一人の中学卒業した子供が来て、僕日本一周やっていますからと言ったら、遠山大臣、信用されますか。いやいや、その信用する信用しないの問題ではなく、ちゃんと受け止めてくれる社会があった。何でそれが、何か訳の分からない、アバウトな世界になってしまったのかなと僕は何か考えるんですけれども。  僕自身の人生は、僕自身の人生はいろいろな闘いだと思います。僕、人間いろんな考え方があり、先生、そうですよね、人間いろんな考え方があり、だってそうですもの、僕はプロレス界から来ているんですけれども、江本先輩はやっぱりプロ野球から来ている。だけれども、僕、こうやって江本先輩と会ったときに何を感じるかというと、やっぱり先輩と僕言いますよね、いつも、先輩と言いますよね。何で先輩かというと、やっぱり一つのプロというくくりの中で、それは八百長と言われようと何と言われようと、僕からしたらプロの世界なんです。一つの世界なんです。その世界で最初に、僕より先に足を踏み入れた人がやっぱり先輩なんです。僕、そうだと思うんです。  ただ、先輩たちにもお伺いしたいんですけれども、副大臣でも最初にこの世界に入られたときはやっぱり一年生だったと思います。──縮めて。はい、分かりました。もう一分で終わります。先輩たちも一年生だったんです。だけれども、僕は思うんです。その一年生を一年生と見るんじゃなく、やっぱり四年生なら四年生、五年生なら五年生の人はやっぱり一年生を引き伸ばす、引き出してやるということが僕、社会の中で絶対に必要だと思っています。  是非、大人社会、子供社会ということじゃなく、やっぱり社会全体の中で、相手を指摘するばかりではなく、やっぱり引き出してやる、相手の才能を伸ばしてやる、能力を伸ばしてやるという社会づくりをしなければ、抜本的に変えなければ僕は絶対駄目だと思います。何か言えば人のことばっかりを言う、そういうのじゃなく、やっぱり自分自身の僕は生き方であり、自分自身の表現だと思います。その子供たちを、そういったものを伸ばしてやるためにも、社会全体がやっぱり前を向いて一生懸命やる姿勢というものを示してやるのが僕は一番理想的な社会づくりだと思います。  僕は日本は絶対に負けないと思っています。絶対に潜在的に力を持っていると思います。絶対に負けない日本、頑張る日本、そしてまた二十一世紀に対応できる日本をつくるためには、僕は文教科学の努力というのがもう本当に不可欠だと思っております。  是非、皆さんの努力と、僕も一生懸命頑張りますので、今日はもう質問、ありがとうございました。是非、もうちょっとです、あと三十秒です、五秒です、是非こういう制度を拡大して、分かりやすく、そしてまた多くの人が受けられるように是非していただきたいと思っております。  どうも今日はありがとうございました。
  30. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 独演会の後でちょっとやりにくいですが、民主党の佐藤泰介でございます。  通告させていただいた質問の前に、今朝の新聞を見ました。地方分権改革推進会議の報告が載っておりました。政府の地方分権推進会議が昨日、国から地方への国庫補助金事業を、補助金見直しについて、義務教育費国庫負担制度の見直しなど四分野、十一項目の重点分野を示した報告書を総理に提出したことが報道されていました。  この見直しの内容は、使途限定の緩やかな交付金とすることや使途を限定しない全額一般財源化などを求めており、教員給与一律優遇の見直しを求めています。この内容については、さきの委員会で義務教育費国庫負担問題について様々議論しましたが、残念ながら、結果として文科省が総務省に押し切られた形で決着したと考えております。  そのときの議論で、あくまでも給与本体は守るという力強い大臣からの答弁がありました。その守り方としては、実額二分の一か定額化かということでの議論は分かれましたけれども、交付金化というのは考えていないという初中局長も答弁をされました。したがって、これが今後、六月に取りまとめられていくんでしょうが、さらに財政諮問会議では高等学校の私学助成の問題もやり玉に上がっております、というように聞いております。  だんだんだんだん追い詰められつつあるんだなというふうに思っておりますが、今後、こうした地方分権改革推進会議の報告に対して、この問題に対して大臣はどう取り組んでいかれるのか、まずその所見を伺いたいと思います。
  31. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 地方分権会議が何かこのようなのをお作りになったということでございますけれども、これは私はもちろん了解をしていないわけでございます。  今後、恐らく経済財政諮問会議の方にこれが報告がなされ、そしてまた総理の方からこれに従えというようなことが出るのかもしれませんけれども、私としましては、教育行政を預かるその責任者といたしまして、先般お答えしましたような姿勢でこういう問題にも、私はもうこれは決着済みといいますか、昨年度、我が省といいますか、義務教育費国庫負担制度の一部の見直しということで最大限協力をしたわけでございまして、私といたしましては先般の委員会でお答えしました姿勢といささかも変わっておりません。
  32. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ということは、給与本体は、この六月のたたき台取りまとめに当たっても文科省としてはこれを守り切るという今の決意と受け止めさせていただきますが。  初中局長お尋ねしますが、定額制と交付金化、私、あの質問のときによう分からなかったんですけれども、実額二分の一がいいんではないかというふうに私は言いましたが、この交付金化というものと定額化というのは、文科省はもう定額化にこれはほぼ固まったんですか。
  33. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) その定額化、交付金化の問題は、昨年の十月でございましたが、分権会議からの意見の中に一つの提言として盛り込まれたわけでございます。  そして、それに対しまして私どもといたしましては、経済財政諮問会議におきまして文部科学大臣の方から、交付金化というのは、これは義務教育についての国の責任を果たすという観点からそれはできないということを申し上げまして、あわせて定額化の問題については、それについて必要な検討を行うということを申し上げたところでございます。  その基本的なスタンスでもって、そのスタンスは変わっていないわけでございますので、そのスタンスでもって今後引き続き検討していきたいと思っております。
  34. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 せっかくこの義務教育国庫負担の議論の中で、有馬先輩も頑張っておるんだと言われましたので、自民党の方の文教族も頑張っておるんだと言われましたので、是非今の決意で、この後六月のたたき台に向けて私どももしっかりそういう方向で頑張っていきたいと思っておりますので、今の決意が具現化するようになお一層の御努力をいただきたいというふうに思います。  あわせて、高等学校の私学助成の問題は財政諮問会議でどんな取上げ方をされたんでしょうかね。百億の問題ですが、補助金の、それを見直していくというような取りまとめになったんですか。
  35. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 直接の担当ではございませんけれども、私、分権会議のフォローをしておりました関係で御説明申し上げますと、分権会議の報告の中には、私学助成について直接言及したり、また私学助成についての、かかわっての具体的な提言というのは盛り込まれておりませんでした。
  36. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それでは、そこのところはまだ、私が若干聞いたところによると、竹中さんは私学助成の在り方を検討する必要があるのではないか、六月の骨太方針の中に盛り込んでいくことになりましたというようなことをちょっと聞いておったんですが、そんなことはないんですね、第八回の経済諮問会議。確認です。
  37. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 少し事務的な説明を申し上げますと、今回、今日の新聞に載っておりましたのはこういう経緯がございます。  総理の方から、総理の指示ということで、三位一体の改革を進めるその一つの内容として、補助金、負担金の削減について、分権会議に対しまして、重点的に推進すべき事柄について、これまでの意見を踏まえて、これまでの分権会議の意見を踏まえて、その中から重点的に推進すべき事項をピックアップしてほしいと、そういう御指示があって、それを受けて分権会議としては作業をいたしまして、その作業の結果、昨日、十項目余りについての事柄について、分権会議としては補助金、負担金の削減についての重点項目として検討していただきたいものとして総理に御報告なさったわけでございます。  その私学助成の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、分権会議の提言の中に入っていないわけでございますから、当然のことながら重点項目としては取り上げる余地は、状況にないわけでございます。  今、先生お話しになりました私学助成についてのお話は、これは私の記憶では、経済財政諮問会議の、少し前の財政諮問会議の中で、例えば総務大臣の方からとかそういう御発言があったわけでございますけれども、それは、今申し上げました重点項目とは別の話として分権会議で一つの話題になった、あるいはそういう御意見があったということでございます。
  38. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 そうすると、片山総務大臣の方からそういう提起があったという程度だと理解すればいいわけですか。
  39. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 事実関係としてはそのとおりでございます。
  40. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 私も、これ今朝の新聞読んでびっくりして質問しておるので十分そしゃくしていないので、もう少し推移を見ていきたいと思いますけれども。  大臣、今、冒頭で、これはもう目一杯引くところまで引いて本体は守るんだという強い決意を示されましたので、是非、これは本当に義務教育の根幹にかかわる問題だろうと思いますので、河村大臣も含めて、全力を挙げて今の決意が実現できるようにお願いをしておきたいと思います。私どもで協力することがあったら協力をさせていただきたいというふうに思います。  あわせまして、もう一つ、今日新聞を読みましたら、義務教育を中心とした高校までの教育制度改革について、十五日に開催される中央教育審議会に包括的に諮問することを文科省は固めたと。これが事実なのかどうかも含めてでございますが、そんな報道がございました。これも、私も朝ぱっと来て読んだだけですので、十分に理解、そしゃくはいたしておりませんが、この内容は、これまでの義務教育制度を根本的に見直そうという文科省の姿勢なのか、あるいはこれまでゆとり教育が学力低下との指摘があれば補助授業を奨励するなど、この間の文科省の教育に対する哲学が若干喪失しているようにも感じられる状況の中で、根本的に義務教育そのものの制度設計を見直そうということなのか。  この報道が事実だとすれば、大臣が今回この内容を中教審に諮問されるその意図とかねらいとかというものをちょっとお尋ねをしたいと思います。事実でなければ事実でないと言っていただければ結構です。
  41. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) まず、私の方から事務的な説明をさせていただきます。大変恐縮でございますが。  今日の報道は、こういう方向検討していることは事実でございます。ただ、最終的にそういう決定という段階になっておりませんから、きちんとマスコミ等にまだ発表できる段階になっていないものでございますから、いわば漏れた、状況が漏れたといったような形で報道がなされたわけでございます。  そういう意味で、最終的に決定はなされていないわけでございますから明確なことは申し上げづらいのでございますけれども、基本的な考え方方向として概要を申し上げますと、さきの中教審の答申で、幾つか基本法の問題以外に、基本法の問題以外に幾つかの初等中等教育にかかわる課題として検討していただきたいというそういう答申がございまして、幾つかの検討課題が示されてございます。また、総合規制改革会議等におきましても、いろんな制度にかかわる問題について検討してもらいたいといったようなそういう課題もあるわけでございます。  そうした様々な、現在中教審において検討にふさわしいような課題というのがある状況でございますので、そういうものにつきまして私どもとしては当面の検討課題として検討していただくという方向で、今、具体的な検討をしている、我々的な検討をしている、そういう状況にあるわけでございます。
  42. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 漏れたということは事実なんですね。そういう方向にあるということですね。ということは、包括的に、新聞によると十五日に開催される中央教育審議会に諮問することを固めたと、それが漏れたんですね、ということは事実ですね。  ということは、じゃ包括的に諮問するその意図、ねらいは何ですかと聞いているんです。
  43. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 大変恐縮でございますが、最終的に決定をいたしますれば、その段階できちんとマスコミあるいはこういう場においてきちんと御説明、御報告を申し上げるわけでございますが、現段階ではそういう方向検討している、そういう状況であるということについてはまず御理解をいただきたく思うわけでございます。
  44. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ちょっとしつこいようで申し訳ない。包括的に諮問する方向性、その方向性というのはどういう方向性ですか。
  45. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) これは一つ考え方でございますけれども、諮問の仕方ということになるわけでございますけれども、今日、初等中等教育をめぐる様々な課題があるわけでございます。そういう課題について、特に中教審において諮問を、検討していただくにふさわしいそういうものについて現段階において包括的に諮問をして、そしてその中で当面検討していただく事柄について検討を煩わす、中教審に検討を煩わす、そういうやり方で諮問をし、検討をお願いをする、そういう考え方でございます。
  46. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 大臣、一言ありませんか。
  47. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 局長からも話しましたように、まだ最終的にどういう形で御検討いただくか、諮問文についても私はまだ見ておりませんし、決定しておりません。  ただ、こういうふうな方向で義務教育を含む初等中等教育の在り方について、総合的な角度からもう一度新しい世紀に向けてしっかり検討していただくことは必要だなという考えは持っておりまして、ただいま局においてそういう方向検討してもらっている段階でございます。
  48. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 じゃ、また具体的になったらこの問題は取り上げさせていただきたいというふうに思いますが、様々な、一方では財政的な締め付け、一方では小中学校が抱える、義務教育が抱える様々な課題があるわけでございますので、私もここらで一遍総括的に見直すといいますか、より子供に即した形で考えていくということは重要だろうというふうに思いますが、それは局長、学制も含めて考えておみえですか、六三制も含めて。そういうことではないですか。
  49. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) そういう問題も含めて、今、検討途上でございますけれども、このことにつきましてはまだ大臣に御了解をいただいているわけでございませんので、私の存念ということになるわけでございますから、私限りの存念ということになるわけでございますが、当面の検討課題には六三三制といったような学制といったものを念頭に置いて諮問していただく考えは、私の考えにおいては、私限りの考えにおいてはございません。
  50. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 じゃ、私も今日、朝来て新聞読んだところでございますので、この程度にとどめます。  それで、若干先ほどの大仁田委員と重なる部分がありましたので、そこを聞いておりましたので、通告した順番とは変わりますけれども、ちょっと関連するところを先に聞かせていただきたいと思います。  先ほど遠藤局長の方から、新しい学生支援機構ができるに当たって、従来の形には、間違っておったら指摘してくださいね、六百四十六名だとか言われたと思いますね。それが新機構になると四百五十名程度になると。そうすると、差引きここに二百名程度の減が生じてまいりますね。その方々の雇用は一体じゃどうなるのかということですよね。あくまでこれは国の施策として行うものであって、そうすると二百名ぐらいの人が大変不利益を被ることになるのか。雇用の確保についてはやっぱり国が責任を負うべきではなかろうかなと私は思いますが。そして、とりわけ育英会からはほとんど行くんですかね。四つ公益法人の方が削減されていくんでしょうかね。その雇用を一体どう考えておみえになるのか。  待遇には差がないようにという答弁も先ほど大仁田委員質問に対してされておみえでしたし、職員希望も配慮するというようなこともお答えになっておみえになりましたが、二百名の人の希望は一体どうなるんでしょうね。そこのところをお願いします。
  51. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 佐藤委員指摘のように、約二百名程度の方が移行する、こういうことになるわけです。  それで、これ一応全部、数字の上では、日本育英会の方、それから日本国際教育協会内外学生センター国際学友会関西国際学友会、それぞれ一括受けて、その中でということになるわけでありまして、例えばどこかの協会なりセンターだけがということではなくて、一括まず受けて、その中でどの方が残って、どこへどう行くか。  今現時点で、さらに、二百名のうち文部科学省へ移行される予定の方が四人、それから国立大学関係八十七名ということで、大体残りあと百名ぐらいの方の移行の問題がございまして、これについて今現時点で御要望等もお聞きしながら、次の雇用先といいますか、確保しなきゃなりませんので、その要望を今伺っているというのが現状でございます。
  52. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) ちょっと補足で。  先ほど私、育英会と四法人の現在の予算の定員が六百四十六人と。それで、学生支援機構の方の定員が四百五十ぐらいで、約二百人ぐらい定員減がございます。  それから、この支援機構の仕事として、育英会四つ法人以外に、今現在、文部科学省なり国立大学でやっております学生支援あるいは留学生の仕事もこの学生支援機構の方に移行するということもございまして、定員的には、約百名近くの定員もそちらに定員的には移すということで、独立行政法人日本学生支援機構の方が約五百四十人ぐらいの定員になると。要するに、定員的には、独立行政法人日本学生支援機構につきましては、五つの、育英会を含めた五つ法人から移ってくる定員が約四百五十、そして国立大学等から移ってくる定員が約九十ございまして、そして定員的にはそれを合わせますと五百四十二人ということでございます。  したがいまして、この定員をどういう形で人を確保するかということになりますと、先ほど言いました五つの、現に五つ育英会公益法人にいらっしゃる方、あるいは人事交流という形で国立大学との交流もございますでしょうし、いろんな形でこれから具体の人間の働く場所というのは決まってきますし、当然もう一つ承継公益法人に、これまだ、実はどのぐらいの規模でやるかこれまだ検討中でございますけれども、数十名規模法人になるだろうというふうにも考えておりまして、そういったようなところで、先ほど私申し上げましたように、それぞれの法人等におきましてその本人希望、適性等々を聞きまして、それぞれ今、どこで働いていただくかということで今適切にそういうことで各法人でそういう作業をしているということだと思いますし、最終的には私ども、今、副大臣申し上げましたように、雇用についてはきちんと確保されますよう努力をしていきたいと、こう思っておる次第でございます。
  53. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ちょっと、全然違うよね、今、副大臣局長の……
  54. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 私の方からそれでは訂正させていただきます。  私の方がちょっと答弁勘違いしておりまして、佐藤委員指摘のように、やっぱり二百人余っておりまして、この百人については実は今、文部科学省、国立大学でやっている連中が入ってくるものでありますから、この方々が雇用の対象になっておったわけではございませんで、私がちょっと間違えましたが。  したがいまして、この二百人について今聞き取りをやりながら、どこへどう雇用を確保していくかということを今最大努力をいたしておると、こういうのが現状でございます。訂正させていただきます。
  55. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ちょっと、副大臣局長の全然ニュアンス、ニュアンスというか根底が違ったなと思って聞いておりましたが、今の河村大臣の補足で分かりました。  結局二百人余ってくるんですよね、育英会とほかの四つ法人の中で、移った後。それで、支援機構の方へはほかから百人入ってくるわけですから、結局は二百人余るということですよね、こっちで。その余るのは育英会の方で余るのか、余るというのは言い方悪いな、雇用がまだ当てがないというか。そうすると、民間の、公益法人の方が雇用が危ないのかというと、法案を読むとどうも育英会の方は全部行きそうで、四つ法人の方があぶれそうな感じな書きぶりになっていますよね、事業を再度申請してどうのこうのって法案に書いてありますので。育英会の方はどうも全部雇用が守られるようなんですけれども、四つ法人の方はどうも行き先がばらばらになるんじゃなかろうかと。  しかし、これはこういう制度で効率化を図っていくという意味なのである程度やむを得ないのかなという認識を私も持っていますので、とはいいながら、ここで首になったりリストラになったりということはちょっと大変なことなので、十分に今言われた方向で当面は、これまで育英会なり四つ法人公益法人にいた人が何らかの形で雇用が守られていくように更に努力をしていただきたい、絶対的に努力をしていただきたいと思いますし、その場合でも、遠藤局長の答弁の中にあった、それぞれ行くところによって、大変不安だと思うんですよね、今、どこへ行くか分からぬわけですから、そこにおる人々は。  したがって、その雇用が確保されるということがまず前提で、そして待遇に差がないということ、それから、先ほど居住地にもよるということもありましたし、希望も考慮するというようなこともありましたね。それらを総合的に含めて、当面は新たな支援機構ができるに当たって、それは人の異動はあるんでしょう。それはやむを得ぬと思いますがね。しかし、最大限雇用は、現、そこの育英会なり四つ公益法人に、今そこで働いている人たちの雇用は確保するという決意をもう一度局長から伺いたい。
  56. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、現在おります職員につきましては、関係法人とよく相談をしながら、留学生関係公益法人において実施していた事業の一部を承継する公益法人、これの雇用というものもございますし、大学関係方面の雇用の働き掛けということもございますし、いろんな形で雇用の確保が図られるよう最善の努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  57. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 じゃ、よろしくお願いします。  次に、もう一つかかわる問題でお聞きしようと思っておりましたが、優秀な大学院生に対する返還免除、この問題ですけれども、先ほど、特に優れた業績、それをどう判断するかというのは大変難しいと私も思います。大仁田委員も言われましたけれども、私も大変難しい。その学問分野で目覚ましい活躍をした者というのが局長の答弁でしたけれども、そして、一定の基準支援機構が定めて、その基準学内選考委員会を作って支援機構推薦をして、そしてその優れた業績が認められていってその人たち返還免除になると。それは、後半部分大仁田委員も言われましたが、文化スポーツも含めてだというような答弁だったと思いますけれども。  その手順はそうだろうと思いますけれども、一番大事なことは、公平性がどう担保されることではないかと私は思うんですよ。ある基準が示されて、支援機構からある基準が示されて、それぞれが学内選考委員会が作られて、その選考委員会が各学校でまちまちな選考をすれば、これはちょっと公平性を欠いてくることになりますよね。そうすると、公平性の担保をどのように取っていけるのか、そこのところが大きな問題だと思うんですよ。奨学金の適格者と採用者にもう既に差があるんですね。それも学内選考してくるわけでしょう。とすると、各学校で選考委員会で絞られてくる絞られ過程の中で、そこに公平性が担保されない限り、だから大変難しいと思うんですよ、これ。今後の検討だと言われましたけれども、やっぱり一定の枠を設けるのか、どの程度免除の枠を作ってというようなことが明確になってこないと、今言われた手順的には筋が通っているようですけれども、なかなか、これ公平性の担保ということになると大変難しいと思うんですよ。  最終的に判断するのはどこなんですか。
  58. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 佐藤委員指摘のように、確かにこの基準というのは公平性が必要でございますし、それから各大学院推薦をしてまいります。それを最終的に、今おっしゃったように最終的に機構で全体を見て、それから恐らくその枠も決めていかなきゃいかぬでしょう。無制限に、来たら全部というわけにいきませんから、大体予算のどの程度までは免除対象にすると。今まで職のあれですと三割ぐらいもらっていたとかいう実績もありますが、今の現時点の財政からいってそこまで見れるのかという議論もございましょう。実はそれはまだ確定をしておりませんので、最終的に機構が受けて、全体のバランスを見てどこまで取るかということを決めた上でやってもらわなきゃならぬと、こう思っておるところでございます。
  59. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 これは、ここだけに返還免除を置くということも含めながら、まだまだ私ここには課題があるように思うんですよね。だから、やっぱりここのところは非常に慎重に、なかなか人間というのは、あいつが、あいつというのかな、彼が優れておって自分は劣るとなかなか見にくいですよね。みんな同じだと思うですよ。そのときに、特に優れた業績と、そこの判断は非常に難しいので、これはやっぱり公平性が十分に担保されるような方向で、今後の検討だと言われましたので、是非その部分の、何といいますか、学生間に何か変な感情が出ないように、是非公平性の担保のために御努力をいただきたいというふうに思います。  それでは、それもちょっと私質問しようと思って、先ほど大仁田委員と重なった部分を先へやらせていただきました。それから、重なる部分もあったので、ちょっと通告の順番が変わりますけれども、高校生対象とした奨学金の都道府県への移管の問題について伺わさせていただきます。  先ほど政府は、答弁の中で、特殊法人整理合理化計画に基づいて、高校生対象とした奨学金平成十七年度から都道府県に移管するという形になっていますね。同計画によりますと、高校生対象とした奨学金の在り方の見直しは平成七年二月二十四日の閣議決定で示されていますが、こうした見直し法案が出されてきた背景についてまずお伺いをしたいと。  あわせて、平成七年に既に見直し方針が出されていたにもかかわらず、ここへ至って、ここまで平成七年以降どういう検討がされて今日のような状況になったのか。平成七年というとちょっと前ですからね、もう大分。そこまで見直しを出されたにもかかわらず、そういう具体的な検討なり実施がされてこなかった特に理由があるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  60. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) まず、都道府県へ移管することについて、方針の背景でございますが、平成七年の閣議決定に至るまでにおいて、既に昭和五十八年以来様々な有識者会議において、高校生への奨学金日本育英会高校奨学金は都道府県へ移管すべきではないかという議論があったわけでございまして、その空気を受けて、平成五年の育英奨学制度に関する調査研究会、この調査研究会において様々な御検討をいただいて、まず高校の設置管理主体が大部分都道府県であって、高等学校行政が一般的に都道府県によって実施されている点、それから第二点としては、都道府県の奨学事業は充実してきておるということを踏まえて、日本育英会の行う高等学校奨学金については各都道府県の事業とすべきと、こういう提言がなされたわけでございます。  これを受けて、平成七年、今御指摘閣議決定になったわけでございまして、そしてそのときに、今後の各都道府県における高等学校奨学金事務の動向を踏まえて、高等学校に対する育英奨学金事業の在り方を検討することと、こうされたわけでございまして、その結果、今度はその平成十三年までの閣議決定において、高校生対象とした資金は、平成七年の閣議決定の趣旨に即して、関係省庁との連携の下に早急に条件を整備して都道府県に移管することと、こうなって今回の法案になったわけでございますが、この間のタイムラグもあるわけでございまして、これは、特殊法人の見直しという問題がやっぱり平成七年の閣議で出てまいりまして、この結果を見ながらこれと併せてということになっていったわけでございまして、この間はそれを待っておってということになるわけでございますが、さらに財政制度審議会においてもこの高等学校奨学金指摘もございました。これは平成八年でございます。  そして、それを受けるような形で、平成九年にも育英奨学事業の在り方に関する調査研究協力者会議というのがございまして、その報告でこうした都道府県との協議の場を設けて具体的に検討しろと、その提言もなされておりまして、そういう形を受けて今日、最終的に御案内のように法案を出しておるわけでございますが、その特殊法人整理計画ができましたのが平成十三年の十二月の閣議でございました。これを受けた形で今日に至っていると、こういうことでございます。
  61. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それじゃ、平成七年までも様々な検討をしてきて閣議決定された、そしてその後も様々な検討があって今日に至ったという理解でいいわけですね。はい。  そうすると、次の質問に移りますけれども、高校生対象とする奨学金を地方移管した場合に、まだやっぱり国による財源措置が必要であることには間違いないと思うんですよ、もう地方に任せるよというわけでは、今の地方財政も苦しいわけですから。そうすると、地方へ移管しておいて財源援助の方法は一体、国として財源方法の援助の方法、これが一点。財源援助の規模、二点目。都道府県への財源の配分基準、三点目。以上三点、伺います。
  62. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 三点をお答えいたしますが、その前に、今回の日本育英会高校奨学金といいますものを都道府県に移管するに当たりまして、私どもとしてはこういう考え方を持っておりまして、これは教育の機会均等の理念あるいは高校奨学金のセーフネットとしての役割ということにかんがみまして、都道府県において現在の日本育英会における貸与水準を維持するということが一つ。それから、支障なく奨学金を実施することができるようにすると。そのようなことから、我が省としても必要な対応を取ってまいりたいというふうに考えております。  御質問の点でございますが、財源の考え方でございますが、各都道府県に対しまして一定の期間、これは十年から十五年を考えておりますが、その期間にわたりまして奨学金の実施に必要な資金を国から交付するということを検討いたしておりまして、その規模につきましては、日本育英会における貸与水準を維持するに必要な額といたしまして二千億円程度を見込んでいるところでございます。十年、十五年たちますと奨学生からの返還金ということもあって、自らの仕組みの中で回転するようになろうかと思いますが、その初動のところはきちんと国としても対応していくということでございます。  配分につきましては、都道府県の意見、要望を踏まえますとともに、各都道府県ごとの日本育英会高校奨学金の実績などを十分考慮をして検討してまいりたいと考えております。
  63. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 とすると、返還金が主な収入になる場合があるわけですから、十年から十五年は現行育英会がやってきた水準が確保できるだけの財源措置は国が講じていくということで、その十年なり十五年見た先は一体どういう状況になっているかということですよね。  だから、その間は、現行育英会奨学金高校生対象とした奨学金は維持ができるというふうに理解していいですね、いいですか。
  64. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 今、大臣の方から二千億円ということで、総枠でそういうことでございますけれども、平成十七年からこの事業が始まって、三年たちますと少しずつ今度は返還という形で返ってくるわけでございまして、その返還お金とこの国から交付した資金でやりますと、大体今現在育英会で行っている水準の奨学金事業がやれるという、そういう計算になっております。
  65. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 では、水準が落ちぬようによろしくお願いしますが、その場合の国からの財源援助ですが、どういう形ですか。交付税ですか、何ですか、これ、何でいくんですか。
  66. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 高校生に対する奨学金事業に充当するという目的で交付する交付金という形で考えております。
  67. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 そうすると、その交付金は完全に奨学金に回すと、ひも付きでいいんですね。
  68. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) その事業に充てるということで出します。
  69. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それは総務省も含めて了解されているわけですね。
  70. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 財務省、総務省ともそういうことで話合いをしております。
  71. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 とすると心配ないように思うんですけれども、多くの人といいますか、地方移管することによって現行制度が弱体するんではないかという心配が各方面から多少聞こえてくるわけですよ。  そうすると、その交付金というのが、完全にこれは奨学金への援助だということがそこまで了解されていれば心配はないのかもしれませんけれども、まずそういう心配はないと、確実にそれはひも付き交付金で奨学金に回されるんだと、そういう担保が明確になっていると、それは総務省も含めて政府の中でそういう担保がはっきりしているというふうに理解しておけばいいですか。
  72. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 事務的には合意ができております。
  73. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 はい、よろしくお願いします。  次に、先ほど来、地方移管したときには返済免除も各県で工夫していくこともあり得るんではないかという河村大臣の答弁がございました。そうすると、先ほど都道府県への配分は要望、意見、実績だということを大臣が答えられました。  しかし、都道府県に、河村大臣のと合わせますと、貸与額貸与基準が、それぞれ都道府県が決めることになるんではないかと私は思いますが、とすると、教育機会均等の観点から、都道府県による貸与額貸与基準が異なってくることはあるのかないのか。あるとするとこれまでの水準がばらつきが生じてくるのではないかというふうに思いますけれども、あくまで都道府県に移管した場合は、都道府県が貸与額貸与基準を決めていくことになるのか、それは従来どおりの形でやっていくものなのか。ちょっと、局長河村大臣のところでちょっとニュアンスが違う答弁に先ほど来なっているように私は思うんですけれども。  都道府県に移管した場合は都道府県で決めていけばいい、しかし現行の水準は守るんだと、それは育英会がやってきたのも守るんでしょう、しかし主体は都道府県に行く、それで都道府県で返済免除も都道府県の工夫でできればそれは決めりゃいいというのが河村大臣の先ほどの答弁です。ちょっとそこのところでニュアンスが違うんじゃないですか。
  74. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) これは都道府県に移管するということでございますが、これは地方分権の趣旨を踏まえまして行うわけでございまして、移管後の都道府県における奨学金貸与額貸与基準の設定など、奨学金事業の具体的な内容、実施方法、これにつきましては都道府県の自主性、主体性を尊重するということにしておりまして、各都道府県におきまして地域の実情や生徒のニーズ等に応じた、きめ細かく対応した形で奨学金事業が行われるものと考えております。  ただ、財源がないから、今まで国の方で、育英会の方でやっていた水準の給付ができない、給付といいますか、奨学事業ができないということがないよう、そこができるぐらいの、できる財源的な措置はいたしますということでございまして、具体的にどういう形で事業を進めるかというのは正に各都道府県のその主体性において制度設計をしていただくと。その制度設計の中で、返還免除等についても各都道府県等での制度設計の中に入ってくると、こういう理解だと思います。
  75. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 どうしてもそこちょっと引っ掛かるんですけれども。育英会の水準を守る、しかし都道府県ではばらつきが生じてもしようがないと。しかし、都道府県で考えるだけの財源は打つけれども、当然、今のやり方でいけば都道府県でばらつきが生じてきますよね。そうすると、奨学金貸与額貸与人数等の規模現行日本育英奨学金を下回る都道府県も出てくるし、また奨学金事業を全く行わないという都道府県はないように思いますが、可能性としてはありますよね。その場合、国としてどう対応していくんですか。  教育の機会均等というのは国の責務ではないのかと私は思うんですよ。そうすると、財源だけは用意しますが基準は都道府県で決めてくださいよということになれば、従来の育英会奨学金を維持する県とそうでない県と、都道府県ごとにばらつきが出てくると私は思うんですけれども。それは、地方分権なので都道府県任せだから、それはそれで結構であって、教育の機会均等というのはやっぱり私は国のこれはある意味で責務ではないかと思うんですが、その辺の指導は一体どうなっていくんでしょうね。
  76. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) まず、我が省としましては、日本育英会高校奨学金貸与水準が維持され、そして支障なくその事業が行われますように必要な財源措置などを行うわけでございまして、その詳細は先ほど申したとおりでございます。  そうなりますと、各都道府県としては地方分権の趣旨にのっとって自らの県内の高校生奨学金事業というのをしっかりとやってもらうと。しかも、それは日本育英会でやっていたのと同じ水準のをやっていただくというのが前提であるわけでございますが、地方分権の観点がございますから、都道府県の自主性、主体性を尊重するということはもちろん当然であるわけでございまして、その細部に至るところまで全部国が一律というのは、これは地方分権でないわけでございますので、仕事だけ、配分の手続だけ任せるということになってはこれはまた問題でございまして、それなりの自主性があるわけでございますけれども、仮に、仮に貸与水準などが大幅に低下をしたり、あるいは生徒のニーズを大きく損なうというようなことが出てまいりましたら、私どもとしてはその都道府県に対しまして奨学金事業の適切な実施について必要な指導、助言を行うというふうなことになるというふうに考えております。
  77. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ありがとうございました。じゃ、そんなことでよろしくお願いします。  ということは、今の大臣の答弁ですと、そんな極端なアンバランス、ばらつきは出てこないと。めちゃくちゃバランスが崩れてくるようなら一定の指導はするということですよね。それで、そういうことを通じながら現行水準は当面守るというふうに理解をすればいいですね。はい、ありがとうございます。  次に、十四年度から高等学校奨学事業費補助を行っていますよね。高校生対象とする奨学金制度の地方移管により、こうした既存の事業現行の補助事業との二本立てになっていくのか、またその場合、両事業の違いはどうなっていくのか。この育英会がやってきたものと高等学校奨学事業費補助、これは地方へ移管したときに、二本立てになるのか、吸収されるのか、どっちかがなくなるのか、その辺はどうですか。
  78. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 結論から先に申し上げますと、当面この二本立てでいくわけでございますが、この大きな違いでございますけれども、高等学校奨学金事業奨学事業費補助というようなやつは、実施部隊、実施主体が都道府県である、貸与条件は、特に経済的に困っている高校生対象ということ、この観点がありますものですから、より低い所得層を対象としていると。日本育英会の場合には年収が八百万円程度でございますが、この補助事業では約五百万程度と、生活補助基準の一・五倍以下ということになっております。学力基準は、勉強、勉学意欲があれば認める、成績は問わないと、こうなっておるわけでございまして、また国から都道府県に対しては事業の執行に必要な経費の一部、二分の一補助をする。平成十五年度予算額三十五億円の補助で貸与人員が二万六千と、これが十四年度の現状でございます。  日本育英会がこれまでやっております高校奨学金事業の方は、実施主体が都道府県ではなくて日本育英会、これは当然でありますが、そして貸与条件が、成績が優れた成績三・五以上と、こういう高等学校の成績三・五以上になっておりますし、経済的理由によって高等学校での修学が困難な者に奨学金、しかしこれも年収は八百万ということに今なっておりますから、より低いのは奨学事業の方であって、育英会の方はそれよりもうちょっと豊かな方々と、こうなるわけであります。  平成十五年度は、この方は三十五億円に対して二百八十一億円の事業費で、貸与人員は、二万六千が今の奨学事業に対しましてはこちらは更に大きく広がっておりまして十二万二千と、こういう違いがあるわけでございます。  今、両事業は、それぞれ貸与条件が違って別々に実施されておるわけでございまして、これ移管をするわけでございますから、いずれ一本化ということにもなろうと思いますが、当面、都道府県においては経済的に困窮している高校生が安心して奨学金貸与を受けるということでありますから、その制度を残しながら適切に対応していくという方向で当面対応をしてまいりたいと、このように考えております。
  79. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 私の意見を申し上げると、確実に二本立てにしていただきたいというふうに思いますね。一本化していくと、今、育英会の水準は守るということは明言されたわけですが、高等学校の奨学費事業費補助の方へ育英会も合わされちゃうと低くなっちゃうよね。奨学金を受ける数が減るわけでしょう。だから、完全にそれははっきりと分けて当面はやっていただかないと、下位平準化されちゃうとかなり育英会部分が減ってくるという、そういう心配を、要らぬ心配かもしれませんけれども、そういう心配がありますよね、財政事情の悪い都道府県でいえば。だから、完全にこれは当面は二本立てでやっていくべきだと思うし、やっていただきたいというふうに思います。  余り時間がなくなってきたので、ちょっとこれは要望として、答えは結構ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。  次に、学生支援機構が行う奨学金事業についてちょっとお尋ねしますが、現在、日本育英会奨学金事業については、政府貸付金や利子補給金などが一般会計で賄われているほか、財政融資資金からの借入金も主な財源となっていると思いますが、奨学金事業学生支援機構へ引き継がれることになった場合、国からの財源援助はどのように行われるのか、従来のままのこうした形で行われていくのか、どうなるのか、お尋ねをします。
  80. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 現在の財源でございますけれども、育英会平成十五年度予算について見ますと、無利子奨学金総額で二千三百八十五億円あるわけでございますが、この財源は政府貸付金が九百五十億円、約四〇%でございます。それと返還金が千四百三十五億円、約六〇%となってございます。また、有利子奨学金総額が三千四百五億円でございますが、その財源の内訳でございますが、財政融資資金が二千二百七十六億円、約六七%でございます。日本育英会債券が五百六十億円、約一六%でございます。返還金が五百六十九億円、約一七%と、こうなっておるわけでございます。  新しい機構になりましても奨学金貸与するための原資の調達方法については従来と同様にするということでございまして、具体的には、学生からの返還金に加えて、無利子奨学金については政府貸付金を、有利子奨学金につきましては財政融資資金と財投機関債を原資とするということにしておる次第でございます。これは法律でそのように定めておるということでございます。
  81. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 そうすると、心配ないということですね、財源は。はい、理解しました。  ちょっと簡単に答えていただきたいんですけれども、もう時間がなくなってきたので。学生支援機構奨学金にかかわる、これ通則法にはまる行政法人ですよね、独立行政法人、中期目標や中期計画は、一体これは何を定めるんですか。どれだけ貸し付けようかということを目標や計画立てていくんですか。中期目標や中期計画はだれが何を定めるんですか。
  82. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 中期目標でございますけれども、今、例えば中期目標に何を定めるかということでございますけれども、具体的にこれからどういう目標を設定するかというのは、これからの検討でございますが、例えば奨学金事業の事務実施については業務の内容、性格に応じた適切な目標を設定するということが必要でございまして、例えば申請手続の簡素化などに関する目標が考えられるということでございますが、具体的な内容につきましては法人設立の趣旨を踏まえて今後検討していきたいと、こう考えております。  また、中期計画につきましては、文部科学大臣が指示をいたします中期目標に基づき、日本学生支援機構の方でその目標を達成するための具体的な事業実施計画を定めるということになると思います。ただ、どれだけの事業規模でどういう方式で貸与を、どういう貸与方式にするかということにつきましては、これは国において政策的に決定をしていくということでございますから、事業規模といったようなこと自体を法人が自己努力で達成すべき目標という形では、定めるということにはなじまないんじゃないかと、こう思っております。
  83. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ちょっとよう分からぬけれども、まあ時間がなくなってきたので、ちょっと用意したのが次があるので。  機関保証制度の導入について伺いますが、保証を行う機関はどのような組織を考えられているのか。民間会社に委託するのか、それとも新たな保証機関を設立するのか。各学生が保証機関に支払う保証料はどの程度になるのか。機関保証制度の導入による現行の連帯保証人制度はどうなるのか。まとめて聞きますよ。連帯保証人制度と機関保証制度の二つの保証制度、どういうメリット、デメリットがあるのか。機関保証制度を導入した場合、検討会議でも示されたが、モラルハザードを生ずるのではないか。機関保証制度に加入したら返還しなくても構わないという意識を生むのではないかという指摘についてどう思うか。まあ、そこで切りましょう。簡単に答えてください。
  84. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 保証機関でございますけれども、やはりこの保証業務教育施策の一環ということでございますから、民間の保証機関を活用するということになりますと、業務利益というものが上積みになりまして、やはり学生の負担が増すということになりますので、やっぱり公益法人でやるのが適切だろうと、こう思っております。  それから、保証料でございますけれども、これも具体的な制度設計、現在検討中でございます、その水準も検討中でございますが、やっぱり保証業務につきましては収支のバランスが取れているということを基本として、学生の負担状況を勘案して、奨学事業にふさわしい安定的な制度とすべく検討を進めておるわけでございます。  それから、機関保証制度と連帯保証人制度との関係でございますが、これまで奨学金事業というのは返還金を新たな貸与資金の原資の一部として活用するということから、返還の確実性を高める観点から連帯保証人、保証人という人的保証を求めてきたわけでございます。今回導入します機関保証制度でございますが、連帯保証人や保証人の確保が困難な学生であっても、保証機関に一定の保証料を払うことによりまして奨学金貸与を受けることが可能となるような制度でございまして、この人的保証と機関保証、これにつきましては学生の便宜に資するためにどちらを選択するということも可能な制度とすることとしておりまして、どちらを選択するかは学生の判断にゆだねると、こういうことにしておる次第でございます。  以上でございます。
  85. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 若干問題があると私は思いますけれどもね。  じゃ、ちょっと時間なくなってきたので、次、会計検査院来ておみえですか。はい、済みません。せっかくお呼びして質問しないといけないのでそっちへ移りますが。  平成十二年十月の総務省行政監察報告書、育英会奨学金返還金回収率について、平成元年度は無利子分、有利子分合計で八四・三%、平成十年度八〇・五%であると指摘しております。さらに、平成十三年度七九・一%となっております。およそ五人に一人が返還していない、日本人はこんなに倫理観がなくなってしまったのか、いかがわしい感じがする数字です。  しかし、この数字は、育英会創設時からの積もり積もった延滞、滞納金を合計した額が基になっております。言わば会計処理上の在り方に起因した数字ではないかと。現実を正しく表していない数字なのではないか。一般にも奨学金の回収率は低いとの認識が広まっております。これは一方で、こんなに返していない人が大勢いるんだから自分も返さなくてもよいというモラルハザードを招き、他方で、奨学金など拡充する必要がないと考える人を増やすことにもつながります。  そこで、まず会計検査院に伺います。この回収率の算定方式は会計の処理方法によるものだと考えますが、会計検査院の専門家として、このような会計処理の在り方についてどう考えられますか。また、現行の方式が実態を表しているとお考えですか。  文科省に伺いますけれども、実態を反映した数字を公表すべきであると考えるが、大臣はどう思われますか。  手元の資料でも、育英会の方は回収率、十三年度で七九・一、文科省の方は九八・〇と。回収率の数字がいつもいろんな統計資料によって異なってくる。ここのところを会計検査院はどう考えられるか。そして文科省は、一体どの数字が正しいと、回収率はどういうふうに取るのが正しいのかと。実態に即した数値を公表すべきではないかと。でないと、先ほど言ったように、そのまんま数字を信用すると、五人に一人が返還していないということになりますよ、パーセンテージでいえば。そうすると、五人に一人も返していないものなら、おれも返さぬでもいいやと。そうすると、一方では、そんな返していないのがいるなら奨学金なんか拡充する必要はない。先ほど来から、拡充することが重要だということが大臣からも副大臣からも言われました。その辺との兼ね合いで、この辺の回収率の数値というものがやっぱり統一されるべきじゃないかと。  会計検査院と文科省に伺います。
  86. 重松博之

    説明員(重松博之君) お答えいたします。  私ども会計検査院は、日本育英会の経理についても検査をしておりまして、平成七年度決算報告におきましても、育英奨学金の回収が適切に行われるよう改善の意見を表示したところでもございます。  育英会につきましては、独立行政法人への移行が予定されているということもございまして、現在、本院としても鋭意検査しているところでございますので、ただいまの先生の御質問に直接お答えするということは差し控えさせていただきたいとも存じますけれども、私どもも御指摘の育英奨学金の回収率について幾つかの数字があるということは認識しておりますし、ただそれは、それぞれの考え方があって、それに沿って作成されているものというふうに考えておりますけれども、ただいま御指摘がありましたような問題意識、それをも踏まえまして検査をしてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。
  87. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 検査院はそのお立場があるかもしれませんけれども、私の方から申し上げますと、日本育英会平成十三年度単年度の要回収率は、千七百三億円、このうち千三百四十七億円を回収して、回収率は七九・一%となっています。しかし、これは返還期日を一日でも過ぎた場合に滞納額が出てまいるわけでございまして、すべての額が回収不能となるわけでないわけでございます。一方、昭和十八年の奨学金制度創設以来、平成十三年度末までの要回収額累計は一兆七千六百三十一億円で、このうち一兆七千二百七十五億円を回収しておりまして、回収率は九八%であります。  したがいまして、単年度で考えますよりは累積で考えた方が私は正しいと思っておりまして、これまでの回収実績をより明確に示すのは累計による回収率九八%であると考えております。
  88. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それで新たな機構に移るわけですから、もう回収できない分はあるんですね、はっきり言って。あるんでしょう。死んじゃった人もおるかもしれないし。これ、どこかで徳政令出すわけでしょう、新機構に行くときに。法案読むと、それは政令で定めると書いてありますよね。  だから、十分に、一遍ここで、回収が不可能なものは不可能、回収できると、一遍きちっと整理して、法案では政令で定めるというふうに書いてあると私は理解しますので、一遍きちっと整理して、新機構に行くんですから、回収率の数字を一遍、いろんな資料でなくて、きちっと統一してくださいよ。よろしくお願いします、これは。要望しておきます。  ちょっと時間なくなりました。もう一、二点尋ねたいと思います。  あわせて、日本育英会奨学金制度に戻りますけれども、先ほど来、外国の給与制、貸与制、いろいろ議論がありましたが、現実は無利子貸与と有利子貸与になっていますよね。昭和五十九年、有利子奨学金制度の導入の際の附帯決議は、育英奨学金事業は、無利子貸与制を根幹としてその充実、改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、その補完措置として、財政が好転した場合には廃止等を含めて検討すると、こういう附帯決議が付いているんですよ。  しかし、平成十五年度予算では、無利子貸与人数は四十二万七千人、有利子貸与人数は四十四万人、事業費も、無利子貸与が二千三百八十五億円、有利子貸与が三千四百五億円。補完措置であるはずの有利子貸与が育英事業の根幹になっている。無利子貸与貸与人員、事業費ともに上回るものになっている。奨学金制度はあくまで無利子貸与を基本とし、その拡充を図るべきであると考える。  先ほど来、有利子はどんどん増やしていくけれども無利子の方は減らしていくよというような答弁がありましたよね。減らしていくというか、有利子をどんどん増やして自立させていくんだと。そうじゃないんですよ、元々は。無利子を根幹とするんですよ。それが有利子の方がもう根幹になっちゃっておるんですよ。政策転換したんですか、これ。これが一点。  もう一点は、先ほど来、成績要件やそれから収入要件撤廃すべきだと、河村大臣、強く言われました。何で新しい機構に行くときにそこまで検討しないんですか。それが望ましい望ましいと先ほど来言っておったですよ。だったら、何でこの新機構にするときにそこまで踏み込んだ検討、現在は駄目だ、これぐらいになったらできると、そこまでやっぱり検討すべきじゃないですか。方向性としては正しい、希望者全員受けるべきだと。答弁だけは何でもできますよ。具体的にやらにゃいけない。  あわせて、希望者全入どころか、適格者数と採用者数に差があるじゃないですか。当面、適格者には全員採用されるような措置を講ずるべきじゃないですか。高校生においては適格者数は三万一千二百九十一人、採用者数三万一千二百九十一人、これ一致しておるんですよ、私の資料によると。第一種、無利子ですよ。大学の場合は、適格者数八万八千四十五人、採用者数四万二千九百五十八人、半分なんですよ。まずは、希望者全入どころか、適格者にすべて奨学金が渡るようにするのが当面の課題じゃないですか。その辺の切り込みもせずに、希望者全入が方向性だ方向性だと、そんな絵にかいたもちのような答弁ではちょっと納得しませんね。  以上二点お聞きして、私の質問を終わります。
  89. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 有利子奨学金よりも無利子奨学金を拡大すべきだ、これを根幹としていくべきだと、こういうことでありますが、現実に御指摘の点があるわけでございますが、私は、政策を変更したということではなくて、もちろん無利子奨学金というのも特に財政的に困難な方々の育英資金だという考え方でありますから、それも伸ばしながら、併せて有利子の拡大、財投資金の貸与ということもございますので、現時点では、これは先ではまた問題でしょう、現時点考えると、利息も〇・三%でございますし、それからこれは政策転換ということじゃないんでしょうけれども、奨学金考え方も、いろいろ考え方も変わってきたというとあれでございましょうが、やっぱり奨学金は、本当に財政的に困っている方もあるけれども、必ずしもそうではないけれども、自分奨学金を借りて自己責任においてきちっと返していくということも必要であろうという考え方も非常に高まってきておりまして、それにもこたえるという形でこの有利子制度というものが拡大をされていった結果、逆転現象に近いような状況になっているということであろうと、こう思っております。  それから、私はかねてからそういうことを力説しておりますが、現実が合わないとおっしゃること、これは確かに御指摘のとおりで、私も非常に残念に思っておる点でございまして、更にこれは拡大をしていくべきだと、こう思っておるところでございまして、ただ、その財源との兼ね合いもございますから、今回はこういう形になっておりますが、千三百四十万という一つ基準があります。これは家計の規模からいって奨学金対象になるならないの適正基準かどうかという問題、これもやっぱり検討してみなきゃならぬと、こう思っておりまして、これに向かうには更に財政当局との詰めも必要でございましょう。私も、口で言うだけじゃなくて、自ら汗をかいて努力をしてみたいと、こういうふうに思います。
  90. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 あと一分あります。  副大臣の意は十分理解しつつあえて質問をさせていただきましたが、やっぱりお互いに、より教育の機会均等、これは憲法や教育基本法を持ち出すまでもなく、やっぱり国の責務として、ある程度のそういう新しい時代のニーズに合う、だから若干有利子を増やしていくということもやむを得ぬのかなと私も思っているわけですけれども、結局、附帯決議等でそういうことが行われているわけですから、そうすると附帯決議が非常に無力なものになっちゃうので、やっぱりそれは、こうこうこうでこうしていくというか、希望方向はこうだけれどもこうだという、そうではなくて、ここまでにはこうしますというような更なる検討を、まだまだ奨学金制度、改善する余地たくさんあると思いますので、更に御努力をいただきたいということを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  91. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  92. 大野つや子

    委員長大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  本日は、学生支援機構法案につきまして、その中でも今日、特に奨学金制度について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  我が党は、午前中もいろんな審議ございましたけれども、育英会奨学金、非常に大事なものだという認識を持っておりまして、単なる育英、英才を育てるような制度ではなくて、学ぶ意欲のある学生がみんな受けられる制度とすべきだと以前から主張してまいりました。その結果、現在におきましては、ほぼ希望者の皆さんが受けられる制度と大きく変わってきたわけでございますけれども、新機構における奨学金制度におきましても、そのように学ぶ意欲のある学生みんなが受けれるような制度、そういう性格である、変わらないという認識でよろしいのでしょうか、大臣からお願いいたします。
  94. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) お話しのように、育英奨学事業といいますものは、学ぶ意欲のある人に奨学金を交付することによりまして、教育の機会均等の実現とそれから優れた人材育成を図るための重要な教育施策であると考えております。  近年、特に英才というものに対する育英の考え方というのはもちろんベースにはあるかとは思いますけれども、むしろ奨学、学ぶことを勧めるといいますか、そういう角度から広く教育の機会均等の実現を図るという、そういう考え方がかなり強くなってまいっております。  いずれにしましても、奨学的な観点とそれから人材育成的な二つの理念というものをしっかり持って、今後ともこの奨学制、奨学事業制度を私どもとしてはしっかりと充実していきたいというふうに考えております。
  95. 山本香苗

    山本香苗君 是非、充実の方向でしっかりと頑張っていただきたいわけでございますが、午前中に佐藤理事の方からも御質問ありました。今回、新しい機関保証制度というものが導入されることになっておりますが、保証料につきましては、佐藤理事の御質問の中で、収支が一貫するような水準でということで検討中だということがございましたけれども、具体的にどういったところか、想定しているところを教えていただければ、また保証料、これの返還方法というものはどのようなことを検討されていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
  96. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 最初に、その保証機関をどういうところを考えているかという質問──保証料の水準と保証料の支払方法、済みません。  今の機関保証制度の具体的な制度設計は現在検討中なわけでございますけれども、先ほどもお答えを申し上げましたように、保証料の水準につきましては、収支のバランスが取れていると、こういうことを基本としまして、学生の負担状況等も勘案しながら奨学制の事業にふさわしい安定的な制度としたいと、こういうことで検討を今進めている次第でございます。  支払い方法につきましては、学生のその負担感等を考慮しまして、一括ということではなくて、奨学金貸与期間中に毎月若しくは数回に分けて支払えるようにすることなどを検討しているということでございます。
  97. 山本香苗

    山本香苗君 柔軟な、学生が払いやすい形での、保証料を払えなかったら云々というのじゃなくて、払いやすい形での検討結果というものを是非ともまたお示ししていただきたいと思っております。  この制度におきましては、そのある一定期間、ある一定期間その返済が滞った学生に対しましては、日本学生支援機構に代わって保証機関が回収に当たるというふうになるというふうにお伺いするわけでございますが、具体的にはどれくらい滞納すると、いわゆる日本学生支援機構がさっと引いて、新機構に代わって保証機関というものが回収するようになるんでしょうか。
  98. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) これも検討中ではありますけれども、例えば国民生活金融公庫のローン等についての保証機関、これも教育資金融資保証基金というところでやっておりますけれども、ここでは通常一年と、行方不明等例外的な場合は六か月でそっちに切り替わるというようなことがあるようでございまして、こういったようなことも参考にしながら検討していきたいと、こう思っております。
  99. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、その保証機関による回収業務というのは一体どういった形になるんでしょうか。また、一番学生さんが心配なのは育英会が行っていた回収事業とどういった点で異なってくるのかというところだと思うんですが、詳しく教えていただけますでしょうか。
  100. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 基本的には変わらないわけでございまして、例えば返還、その請求に当たって、病気等で返還が困難となった場合の返還猶予あるいは死亡等による返還免除制度と、こういったようなものも、もちろん保証機関に移ってもそういう制度は適用は受けるわけでございまして、基本的には大きく、返還を求める方法については大きく異なる点はないというふうに理解しております。
  101. 山本香苗

    山本香苗君 確認させていただきますが、返還緩和、条件を緩和するとかそういったところすべて前育英会の形、そのまま踏襲するということで、変わらないということですね。
  102. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 奨学金事業といいますものはやはり教育政策の一環として行っておるわけでございますから、その返還の扱いについても機構と保証機関、どちらのその返還請求業務の実施に当たりましても従前どおり、先ほど申しましたように、返還猶予の制度返還免除、死亡等による返還免除制度等については、どちらがその返還業務を具体に実施する場合におきましても、そういう事由が起きたときは同じようにそれが適用されると、こういうことでございます。
  103. 山本香苗

    山本香苗君 変わらないというところのスタンスがあるのであれば、今みたいな御答弁を聞いていれば、例えばこういった何か保証機関が回収するようになるからといって、奨学金が金貸し業やサラ金みたいになっちゃうんじゃないかみたいな、言い出す人もいた、いるわけでございますが、こんなことを聞くと、奨学生学生方々は大変不安になってしまうと思うんです。  そこで大臣にお伺いしたいんですが、このような批判という声、これは当たっていない、当たっている、当たっていないなら、学生皆さんがその大臣の御答弁を聞いて安心したと、これで奨学金、安心して借りれると、そういった力強い御答弁をいただきたいと思います。
  104. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) これは決して私は御心配になることはないと思います。保証機関が返還請求事務を行うこととなりますのは、学生大学等を卒業した後一定期間以上滞納した場合に限られるわけでございますけれども、その場合におきまして、保証機関は返還請求業務を適切に行って返還金の確保を図ると、これは制度の性格上そういうことではございます。  ところで、一方で奨学金事業教育の機会均等ということを実施するための教育施策の一環として行われているものでございまして、保証機関におきます返還請求業務実施につきましても、局長からお答えいたしましたように、返還の猶予、死亡等による返還免除制度など、奨学金事業の趣旨を十分踏まえたものになるように私どもとしても配慮をしていきたいというふうに考えております。
  105. 山本香苗

    山本香苗君 金貸し業やサラ金にはならない、そのような取立てにはならないんだという、心配する必要はないんだという御答弁だったと思うんですが、そう聞きますと、ほっとする反面、これだけではいわゆる滞納というものがなくなる方向には進まないと思うんです。事実、今厳しい雇用情勢がございまして、大学卒業した後も就職ができない学生さんがたくさんいらっしゃいます。払いたくても払えない、そういう状況がございます。  そこで、ちょっと一点御提案させていただきたいんですが、せっかく今回の新機構育英会事業だけじゃなくて、キャリア支援というところも入ってまいりまして、就職支援等もすることになっているわけでございますが、卒業後、こうした奨学金を受けていた学生さん、そういった方々支援というものも、就職支援というものもしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  106. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、日本学生支援機構におきましては、大学におきます学生に対するキャリア形成支援のための、そういう観点でいろんな事業をすることになっておりまして、一つには企業、実際に企業が求める人材の能力、資質等の情報をデータベース化しまして各大学に提供するというようなこと、あるいはインターンシップの実施に当たりまして受入れ企業の開拓あるいは学生企業のマッチングを図るための情報の収集、提供、コーディネートといったようなことも行うという予定にしております。それから、就職機会の均等の確保と就職指導の充実に資すると、こういう観点から、全国就職指導ガイダンスというものも、年二回だと思いますけれども、これも開催するということにしておりまして、大学等に対する支援業務の充実を図っていくと、こういうことにしておる次第でございます。
  107. 山本香苗

    山本香苗君 卒業した後の人たちもそれで支援していただけるんですか。
  108. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 基本的には大学に情報を提供し、大学でのいろんなそういう業務支援をするということでございますが、御指摘のような卒業した、特に奨学金を受けていた方、それは返還ということもございますので、できるだけそういった方々に対する支援というものも、どういう形でできるかまだ分かりませんけれども、トータルしてみればこの日本学生支援機構での業務の発展ということに資すると思いますので、そういった点についても研究をしていきたいと、こう思っております。
  109. 山本香苗

    山本香苗君 単にお金を返せ返せというのとか返済条件を緩和してあげるというだけじゃなくて、実際返還できるような状況を作ってあげる支援というものもしていく中で、金貸し業だとか言われるのを、批判もかわすことができるのではないかと思いますので、前向きに御検討をお願いいたしたいと思います。  あと、その機関保証制度について最後にもう一つ。個人信用情報機関を利用することに今回なるわけでございますが、学生については未成年の場合もございまして、その個人情報の取扱方というもの、それについては慎重に慎重を期した対応が必要だと思われますが、具体的にはどういった対応をなされることを念頭に置かれていらっしゃいますでしょうか。
  110. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 御指摘の点、新しい機関保証制度を導入するということになりますと、個人信用情報機関を利用することを、この制度を入れるとそれを導入することになると思います。そのことが今検討されておりますので、これによって、学生に対しては奨学金以外の各種のローン等を過剰貸付けしているんじゃないかとか、あるいは多重債務への移行を防止するような、そういうことも可能になるわけですから、消費者である学生の保護という面での利点もあるわけでございます。  しかし、一方では、情報は個人の債務にかかわるような問題でございますから、漏れてはならない部分もある。ただ、個人信用情報機関等は法規制がございまして、あるいは自主規制等もあって、そのためのいわゆる個人情報、個人の信用情報保護のための体制整備がなされておるというふうに聞いておるわけでございます。  保証機関から提供する情報の内容については、学生であるということで、また教育的な配慮ということも考えながら、どの点を更に配慮しなきゃいかぬかということを検討しなきゃならぬと、こう思っておりまして、今具体的にこの点ということを指摘する段階ではございませんけれども、十分その点、学生の個人信用情報の保護ということは十分配慮して万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  111. 山本香苗

    山本香苗君 是非、万全を期してよろしくお願いいたします。  話は変わりますが、我が党は以前から、入学する際にお金が掛かるので、何とかこの入学金を奨学金貸与対象にしてほしいということを申し上げてまいりまして、やっと今年度、平成十五年度からそういった入学金を対象とした新しい奨学金制度を作っていただきまして、本当に大変感謝をしております。  しかし、この申請に当たりましては、国民生活金融公庫の教育ローンを受けることができなかった、断られたという申告書を連帯保証人の名前を書き込んだ上で出さなくちゃいけないということがございまして、現場が非常に混乱しているということを耳にいたしました。  今、ちょうど各学校で入学金の、新しい一時金の分の窓口での申請が行われているわけでございますけれども、もう締切りも近いことだと思うんです。早急にこの現場の混乱を収めるような対応を取っていただけませんでしょうか。
  112. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 育英会の入学一時金の貸与制度でございますけれども、入学時に必要な学校納付金や教科書の購入費、住居費等の準備におきまして借入れを必要とする家庭に対しましては、従来から国の施策として国民生活金融公庫の教育貸付け、教育ローンが用意されていたわけでございますけれども、家計の収入が少ないといったような理由のために貸付けが受けられない者がいるということで、今年から日本育英会制度の中に入学時増額貸与制度というものを新しく設けまして、有利子奨学金の入学直後の基本月額に三十万円を増額して貸与をするといったような制度を設けたということでございます。  こういう事情で新しく設けられたということがございまして、今、委員指摘のように、その申請に当たりましては国民生活金融公庫の教育ローンの貸付けが受けられないということを条件としまして受付をしているということでございまして、それが学生等への周知が十分でないという御指摘もいただいておるところでございまして、学生が学校の窓口で混乱することのないよう、今回、改めて各学校に対しまして制度の周知徹底と奨学金希望者に対する申請期限の弾力的取扱い等を要請するとともに、新たに学生向けのリーフレットを作成しまして各学校を通じ配布するといったようなことなども検討しているというところでございます。
  113. 山本香苗

    山本香苗君 もう検討というか、もう周知徹底を早めにお願いいたします。  と同時に、そもそもこの入学金のときに国金に断られたからというのを条件とするんではなくて、というのは、国民生活金融公庫といわゆる今育英会奨学金というのは対象も違って性格的に違うものだと思うんです。それを同じ、こっちに断られたからこっちというものではなくて、実際だれでもかれでも申し込んでいいよという形は、枠もございますし、大変厳しい、現実的なところでは厳しいとは思うんですけれども、また違ったやり方で、この新機構に移るときにはこの違った要件をもってやっていただけるように是非とも検討していただきたいんですけれども、どうでしょうか。
  114. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 来年度以降、この制度をどうするかということにつきましては、厳しい財政事情の下ではございますが、本制度が真に学生に役立つものとなるよう学生のニーズや利用実態等を十分踏まえながら、どのような対応が可能か、関係省庁とも十分相談しながら必要な検討を進めてまいりたいと、こう考えております。
  115. 山本香苗

    山本香苗君 是非、その結果も教えていただければと思っております。  また違う質問でございますが、専門職大学院関係、特に法科大学院学生についての配慮という御質問、いろんなところでなされているわけでございますが、具体的に平成十六年度の概算要求の中で形となっていくわけだというような御答弁があるわけでございますけれども、現在の検討状況につきましてお教え願いますでしょうか。
  116. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 法科大学院、ロースクールの奨学金の問題でございますけれども、法科大学院は実務家教員の確保や少人数による双方向的あるいは多方向的授業などが必要とされまして、運営にはコストが、多大なコストを要するということが予想されているわけでございまして、そして何よりも我が国の三権の一翼を担います法曹の養成という重大な使命を帯びるものでございまして、国としても多面的な支援検討する必要があると認識をしている次第でございます。  その中で奨学金につきましてでございますが、やはり国立、私立を通じまして平等で公平な競争的環境を構築するということにも十分留意しつつ、また各大学の授業料設定の状況等も併せて勘案しながら、経済的な理由により進学することが妨げられることのないよう、来年度の概算要求に向けまして更に具体的な検討を進めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  117. 山本香苗

    山本香苗君 海外へ留学する日本人の学生というのは今、年々増えてきているわけでございますけれども、こうした現状を踏まえまして、新しい今度機構に変わるわけでございますが、こういった新機構におきましては、海外へ留学する日本学生に対してどういった対応をされようとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  118. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 今回、新しい制度に当たって海外への留学生への対応ということも考えていかなきゃいかぬと思っておるんでありますが、今までといいますか現時点日本学生支援については、国際社会に貢献する人材育成という観点もありまして、その重要性を認識しながら支援をしてきているところでございます。  今やられているのは、大学院レベルの学生交流を支援する最先端分野学生交流推進制度、それから大学間交流協定等に基づく学部レベルの学生交流を支援する短期留学推進制度、それからアジア地域の専門家の養成を目的とするアジア諸国等の派遣留学生制度等あるわけでございます。さらにまた、大学連合体のコンソーシアム間の学生交流をする場合の先導的留学生交流プログラム支援派遣と、こういうようなことで導入を図りながら支援をしているわけでございます。  さらに、留学生を増やしていくという観点で、奨学生制度の必要性については、この必要性を感じながら具体的にこれから検討する段階でございまして、今具体的にじゃどういうふうな形で何名どうするというところまでいっておりませんが、これまで留学生受入れについては十万人計画という一つの大きな目標があってやってまいりました。やっぱりそういう目標を立てて私はやる必要があるんではないかと思っておりますが、現時点でまだ、今具体的に数字を申し上げる段階でございませんが、これも、留学生に対する支援ということも目標を立ててやっていく必要があると考えておりますので、更に具体的な検討を進めてまいりたいと、このように考えておるところです。
  119. 山本香苗

    山本香苗君 新しい制度を始めるのは大変だとは思うんですけれども、実際これを実現しようとしたときに、今問題となっている、何でできないのかというその理由を教えていただけますでしょうか。
  120. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 一つは財政事情もあると思いますし、海外で奨学金ということになりますと、日本国内ですと国内で渡し国内で回収をするということでございますけれども、海外へ行った場合、そういったようなことをどういう手続でやるかといったようなことも、これも検討しなくちゃならないというふうにも思っておる次第でございますし、あるいは今の育英会法によりますと、果たして海外へ留学する人に対する奨学金ということが、この事業の、育英会事業の中で読めるかどうかという法律上の問題も、これもまた一つ検討しなくちゃならないということでございまして、ただ、今回、日本学生支援機構法案の方では留学生業務が入ってまいりましたものですから、その辺は今の育英会法よりも、法律上の問題については全く駄目ということじゃなくて、もう少しこれはまだ検討する余地があるわけでございますけれども、そういう意味では、留学生ということが目的規定に入ったということではちょっと違ってきた、状況が違ってきたというふうには思っております。
  121. 山本香苗

    山本香苗君 我が党は、以前より、海外に行く日本学生に対する育英奨学金貸与というものを是非進めてほしいということを主張してまいりまして、昨年の七月十五日、決算委員会で、うちの党の風間委員が塩川財務大臣の方に御質問を、こういうのを作っていただけないかという質問をしましたときに、塩川大臣の方から、「これは一つのいいアイデアだと思いますね。私は、やっぱり国際交流を進める上において、日本も発信していく、向こうからの発信も受けるという両方の何が、交流必要だと。これは提案いただきましたので、私、中で、内閣で一回相談いたします。」というような御答弁をされていらっしゃるんです。是非とも、その御相談を一緒にしていただきながら、これを進めていただきたいと思うんですけれども。  今、法律上いろいろある、事務的なところでも問題が、いろいろまだ課題、問題というか課題がある。そして法律上これで、新しい制度を作っていくんであったら、この法律上読めるのか読めないかというところも制度を作っていく中でいろいろと考えなくちゃいけないというところは理解いたしたんですけれども、是非とも平成十六年度の概算要求の中で、文部科学省として、まず項目として、こうした日本学生、海外へ行く日本学生に対する奨学金貸与ということも項目としてしっかり挙げていただきたいと思うんですが、大臣に御答弁いただけますでしょうか。
  122. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 本当にこれからの日本考えますと、日本の国内でという活躍の場では済まないわけでございまして、国際的ないろんな活動の場面、それから外国で働く、国際機関で働く、いろんな形で国際的に活躍する人材が出てこないと日本の将来にとっても大変危惧されるところでございまして、特に若いうちに外国で留学するというのは大変いいことだと私も考えております。また国内の制度も、大学の単位のうち六十単位までは国内外の他の大学で学ぶということについても認めているぐらいでございますので、大いにそういうことをやってもらいたいと思っております。  それに対応して、じゃ海外で勉強する場合に奨学金を出すかどうかということでございますが、できればもちろんそういうふうな制度を開いていきたいというふうに思うわけでございますが、様々な検討課題があることも確かでございます。昨年の十二月に取りまとめられました新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議の報告におきましては、意欲と能力のある日本学生が海外留学に挑戦することが一層容易となるような奨学金の在り方についての検討が必要であるというふうに提言がされておりまして、私としては、大変厳しい財政状況下でありますが、その提言をより実現に近づけるべく、これは真剣に検討を行っていきたいというふうに考えます。
  123. 山本香苗

    山本香苗君 是非とも、今の御答弁のとおり早期にその実現をしていただけるよう、よろしくお願い申し上げます。  次に、高校生に対する奨学金事業の地方移管につきまして、佐藤理事の方から詳しく質問がございましたけれども、その中でちょっと一点だけ確認をさせていただきたいわけでございますが、財源の配分方法というものを都道府県の意見また要望、実績で見ていくというお話ございましたけれども、この実績という中で学生数、申請者数という、いろいろある、数としてはいろんなものが出てくるとは思うんですけれども、是非ともこの申請者数というところをしっかりと見ていただきたいなと思っているんですが、基準の中ではどういった、実績とはどういったものが具体的に出てくるんでしょうか。
  124. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) まだ細部について詰めておるわけでございませんので、とにかく一番これまでの実績がきちんと反映できるような、そういう方法を考えていきたいと、こう思っております。
  125. 山本香苗

    山本香苗君 といいますのは、申請者数というのはかなり都道府県でばらつきがございまして、私の地元の大阪府なんかは非常に申請者、申請する学生さんが多い、極端に多いというふうにお伺いしておりまして、是非ともそういったところを、単なる学生がどれぐらいいるというんじゃなくて、きちっとこの申請する学生がどれぐらい、ニーズがどれぐらいあるかというところをしっかりと踏まえていただきたいと思っております。  今までいろいろ具体的にお尋ねしてまいりましたが、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  今回の法改正につきまして、合理的、効率的、効果的の名の下に、十八歳以上自立型社会の確立と称して経済的な負担と責任を学生に負わせ国は関与しないという、憲法が保障する教育の機会均等の放棄だとか、先進諸国の奨学金制度を、返還の必要のない給与制が主流であることから見れば、今回の法改正は世界の流れにも逆行しているとかおっしゃる方もいらっしゃるようなんですが、この見解につきましての御意見を、御見解を伺いたいと思います。
  126. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 午前中の御議論もございましたように、奨学金事業につきましては、意欲と能力がありながら経済的理由のために進学を阻害されるということがないように経済援助を行って教育の機会均等の実現を図るという、そういう奨学的な観点、それから学業に優れて次の時代を担っていく優れた人材の育成を図るという人材育成的な観点という、この二つの理念に基づいて奨学金事業を行ってきているわけでございまして、今回の独立行政法人化によりまして私はそういった二つの理念を更にしっかりと引き継いで充実をしていくということが大変大事だと思っておりますし、同時に、この新しい機構といいますものは、単に奨学金を出すというだけではなくて、広い意味学生支援ということにも当たるわけでございまして、私は今回の法人化に伴いますメリットというものは大きいと思うわけでございますし、またメリットを生かすそういう実際上の運営がなされるべきだと思っておりますし、そのための支援をしていきたいというふうに考えます。
  127. 山本香苗

    山本香苗君 今日は質問の中でいろいろと前向きな御答弁もいただきました。  是非とも、学生の皆様方の側に立っている奨学金制度というもので、新しい機構におきまして拡充、また質の向上というものも図っていただければと思います。  どうもありがとうございました。
  128. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  私も、今日は独立行政法人日本学生支援機構法案質問をいたします。  最初ですので、まず奨学金というのは日本でどのようにして実施されるようになったのか、その成り立ち、簡単で結構ですけれども、御説明いただきたいと思います。
  129. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) お答えになるかちょっとあれですけれども、育英会日本育英会について申し上げますと、昭和十八年という戦時下にあるわけでございますが、そこで優秀な学生で経済的理由により進学を断念する者が増加したということが憂慮されまして、国民教育の振興を図る議員連盟が中心となりまして財団法人日本育英会が創設され、奨学金事業が開始されたということから始まったというふうに理解しております。そして、翌年の昭和十九年に特別法の制定によりまして特殊法人日本育英会となりまして、そして二十八年には現在の日本育英会に名前を改めまして現在に至っているということでございます。  それで、奨学金事業の内容でございますが、創設当初は無利子奨学金のみで事業を実施しておりましたけれども、高等教育の著しい拡大に対応した奨学金事業の拡充を厳しい財政状況の下で図るということから、昭和五十九年に財政投融資を活用し大学・学部、短大生を対象とした有利子奨学金制度が創設をされまして、以後、有利子奨学金につきましては、平成六年度には大学院修士課程を対象にするといったようなこと、それから平成十一年度には学生のニーズに適切にこたえられるようにということで抜本的な拡充が図られて今日に至っているということでございます。
  130. 林紀子

    ○林紀子君 今お話にありました当初の議員連盟ですね、その会長さんの永井柳太郎さんという方が六十一年前の昭和十七年、国会でこういう演説をしたというのを私も拝見いたしました。「優秀ナル資質ヲ有スルニ拘ラズ、学資ノ乏シキ故ヲ以テ、其ノ資質ヲ錬成スル機会ヲ与ヘズ、空シク墳墓ニ下ラシムルガ如キハ、国家ノ損失是ヨリ大ナルハナシト言フベク、」、「国家ガ其ノ学資ヲ貸与シテ、教育ヲ継続セシムルノ途ヲ開クコソ、独リ人材ノ養成ニ対スル国家ノ要求ニ応フルモノデアルノミナラズ、又国家ノ政治ヲ正義ノ上ニ確立スル所以デアルト信ズルノデアリマス」。至って文語調で演説をなさったということですけれども、私はこの演説を読みまして、奨学金制度というのが正義に立って政治を行うことなのだと、そういうことにはなるほどというふうに思ったわけです。  私はここに二人の子供さんを持つ母子家庭のお母さんから寄せられた手紙というのを見ているんですけれども、受験勉強に励む我が子に進学をあきらめてとは言えません、私が失業中ではどこからも資金を借りることはできません、貧しい家庭の子は学ぶ資格がないと言われているような気がします、貧しい家庭では子どもに残してやれる財産は学問しかないと思っています、こういう内容で、奨学金制度の拡充を求める署名用紙に同封されてきたものです。  六十一年前の、先ほど御紹介しましたこの永井演説の学資の乏しきゆえをもって教育の機会を奪われてはならない、こういう趣旨というのはそのまま今に引き継がれるべきものだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  131. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) お話しのように、現在の奨学金制度といいますものは、当初は、本当に優れた能力を持って、しかしながら経済的に十分でないというような人たちが学問を断念することがないようにということで創設されたわけでございますが、今日では学ぶ意欲のある者ができるだけ多くこの奨学金制度の下に、経済、家計の経済状況にかかわらず勉学が継続できるようにということで、今鋭意この制度の拡充に当たっているところでございまして、私は、日本の育英制度というものは、当初から次第次第に拡充をされ、理念においても更に充実をし、内容においても発展の経過をたどりつつあるというふうに考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の奨学金事業というものをしっかりと引き継ぎ、そしてできるだけこれは更に充実をしていきたいというのが今回の独立行政法人化に際しての私どもの考え方でございます。
  132. 林紀子

    ○林紀子君 リストラや倒産などといった状態でなくても、今、家計に占める教育費の割合というのはどんどん大きくなっていると思うんですね。  もう一つ引用したいものがありますけれども、これは、「正論」という雑誌の三月号に、「日本人が消滅する日」という「衝撃リポート」の一節としてジャーナリストが、岩上安身さんという方が書いていらっしゃるんですけれども、あらゆる物価が下がり続けているのに、このデフレ時代にあって教育費のみが着実に値上がりし続けている。二〇〇四年度の国立大学、当初の費用は、初年度の納付金は、前年度よりも値上がりして八十二万二千八百円にもなる。三十年前の一九七〇年ごろと比較すると、約四十倍もの値上がりである。三十年間でこれほど価格が上昇した物財やサービスはほかにない。私大の学費も三十年間に十倍に値上がりしている。現在子供を大学に通わせている家庭の四分の一は、学費の捻出のために借金を背負っている状況であると。これはどこでも言われていることですけれども、こういう形で取り上げられております。  そこでお聞きしたいと思うのですけれども、国際人権A規約の第十三条の二項(b)及び(c)、これは高等教育などを漸進的に無償にしていくこと、これをうたっているわけですけれども、この十三条二項(b)及び(c)を日本は留保をしておりますよね。日本のほかにどこの国がこれを留保していますでしょうか。
  133. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、国際人権規約のA規約の、高等教育の機会の確保に関します第十三条第二項(c)の規定の適用に当たりまして、この規定に言う、「特に、無償教育の漸進的な導入により、」といったような部分について、拘束されない権利を日本は留保をしておるわけでございます。  ほかにどの国かというお尋ねでございますけれども、アメリカにつきましては、A規約自体を締結をしていないという状況でございます。それから、A規約のうち第十三条全体を留保している国としましてはルワンダ共和国がございます。それから、第二項全体を留保している国としましてはマダガスカル共和国があると、こう承知しております。
  134. 林紀子

    ○林紀子君 アメリカが締結さえしていないということは確かなわけで、アメリカは、例えば京都の議定書などについても大変反するようなやり方をしているので、まあちょっとこれは除外をして考えますと、留保しているのは、ルワンダとマダガスカル、この二つプラス日本、三か国だけなんですね。そして、締約国というのは百四十六か国に及んでいるわけです。  二〇〇一年八月にジュネーブでは、国際人権A規約についての日本政府第二回報告の審査が行われ、その結果、日本に勧告をいたしましたが、その勧告の内容というものはどういうことでしたでしょうか。
  135. 永野博

    政府参考人永野博君) お答え申し上げます。  一昨年の八月に公表されました「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解」におきまして、その中に「提言及び勧告」という項がございますけれども、その中で、第十三条第二項(b)及び(c)、これは無償教育の漸進的な導入のところでございますが、への留保の撤回を検討することを要求するという勧告が行われたというふうに承知しております。
  136. 林紀子

    ○林紀子君 そもそもこの第十三条二項(b)及び(c)の留保の問題についてですけれども、これは先ほどこの奨学金育英会の歴史の中でもお話がありましたけれども、昭和五十九年、改正をされたときにこの委員会で、国際人権A規約第十三条二項(b)及び(c)については、「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること。」、こういう附帯決議がされております。  このときから考えますとおよそ二十年近くたっているわけですけれども、この二十年の間にどういう検討をしてきたのでしょうか。
  137. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、昭和五十九年七月の附帯決議におきまして、この国際人権規約第十三条第二項(c)につきまして、「諸般の動向をみて留保の解除を検討すること。」とされているわけでございます。  我が国におきましては、高等教育に係る経費につきましては、非進学者との負担の公平の見地から、当該教育を受ける学生等に対しまして適正な負担を求めるという方針を取っておりまして、昭和五十四年当時、従来の方針を変更して漸進的にせよ無償化の方針を取ることは適当ではないと、そういう判断から留保をしたものでございまして、この点につきましては、現時点におきましてもその状況は変わっていないと考えておる次第でございます。  同規約の趣旨といたします高等教育の機会の確保という点につきましては、経済的理由により修学が困難となる者がないよう、奨学金事業あるいは私学助成の充実に努めているところでございまして、これらによりまして、大学、短大のほか、高等専門学校や専修学校専門課程を含めた高等教育機関への進学率は、昭和五十九年の五〇・三%から、平成十四年には七二・五%と着実に伸びているということでございます。
  138. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、具体的には、この二十年間、どうしたらこの留保を解除できるかどうかということについてはほとんど何にもしていないということなんですね。でも、本当に先ほどお答えいただきましたけれども、この条項、高等教育などを漸進的に無償にしていく。漸進的というのは、すぐ今日あしたやれというんじゃなくて、その方向に向かって進むということを考えろということで、そのことを留保しているのは先進国というところじゃないわけですよね、日本以外はマダガスカルとルワンダなんですから。本当に世界的に見ても恥ずかしいというふうにお考えにならないでしょうか。  諸外国を見ましても、イギリスやフランス、ドイツなどでは大学の入学料や授業料は要らない、そしてアメリカ、フランス、ドイツなどでは奨学金の大勢は給付制ですね、返済の必要はないと、こういう状況になっているわけです。  今お答えに、奨学金制度があるからいいんだというふうにお話しになりましたけれども、しかし日本はこの奨学金は給付制でもないわけですよね。先ほど永井柳太郎さんの演説を引用いたしましたけれども、そもそも奨学金を始めるときにも、奨学金制度を創設を検討するに当たりまず問題としたのは、給費、貸費のいずれかを取るか。このときからもう給費制度というのが必要だという、そういう認識にも立っていたわけなんですね。ですから、そういうことでは、もういい加減に留保を解除して、高等教育の漸進的無償の方向に踏み出していく、そういうことをすべきときではないかと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  139. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 国際条約といいますか、規約というものにどういうふうに対処するかというのはその国の在り方でございますけれども、高等教育無償というのは一つ考え方だと思いますし、そのようにできれば、極めてそれは優れた制度であるかもしれません。  しかし、日本の今の状況をお考えになりますときに、あの規約について留保をした状況とどのように変わっているでしょうか。二十年前といいますと、ちょうど経済状況も良くなった時期でございますし。しかし、今日の日本の状況の中で、もし無償というふうなことを実現しようといたしますと、膨大な国費というものが要ると考えざるを得ないわけでございます。国際的な規約の留保を解除しても、それを実現するというような裏打ちがないときにその留保を解除せよというお話というのは一体どうなのかというふうにも考えます。  それから、諸外国のいろんな例を挙げられましたけれども、今、ドイツにおいても無償としていることのいろんな問題が噴出してまいっておりまして、これについては改定の動きもあるわけですし、その他の国々におきましても、例えば奨学金の在り方についても給付制ばかりではないわけでございまして、両方を、大体の国において給費制とそれから貸与制というものをやっている。  私といたしましては、その規約の問題ということについて申し上げるというのもあれでございますけれども、いかにして今の状況の中でできるだけ多くの若者たちが、本当に学びたい意欲を持つ学生たちが学び続けることができるか、そこに着目をして育英制度奨学金制度というものを充実していくということは非常に大事だと考えているわけでございます。  そのような角度でいきますと、私どものいろんなこれまでの努力、それから先生方の御尽力もございまして、今日、日本の状況では、高校生については希望する者はほとんどすべて貸与できているわけでございますし、そして大学学生あるいは大学院につきましても、こういう非常に厳しい状況でありながら、しかも進学率がこれだけ大きくなっている、膨大な学生の中で、また貸与を期待する者が多い中でも、ある程度の対応ができている状況でございまして、こういった状況をしっかりと守り、なおかつ更に努力をしてその充実を図っていくというのが私どものスタンスであるわけでございます。
  140. 林紀子

    ○林紀子君 今、たくさんお話しいただきましたけれども、マダガスカルとルワンダ以外はこれを留保していない。つまり、何とか無償の方向に向かって努力をしようという、そういう立場なんだと思うんです。ですから、確かに大臣がおっしゃったように、留保だけ解除すればいいんだよということではないんです。その中身をどうするかということが大事なわけですけれどもね。少なくとも、そっちに向かって努力をする、そういう姿勢がないということなんだというふうに思わざるを得ません。  次に、今回の法案は、日本育英会廃止して国のほかの学生支援業務と統合して、新たに学生支援業務を総合的に実施する独立行政法人を設置すると、こういうことになっていると思います。しかし、なぜ日本育英会廃止するのかということは明らかにされていないわけですよね。廃止する具体的な理由は何か、お聞かせください。
  141. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 今回の特殊法人改革でございますけれども、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしい簡素、効率的、透明な政府を実現する行政の構造改革の一環でございまして、改革に当たりましては、廃止、民営化を含めた見直しを行うということとされたわけでございます。  この中で、日本育英会につきましては、一つにはその奨学金の充実を図るという政府の方針を前提とする一方で、実施体制全般についてより効率的、合理的なスキームへの見直しを行うということが一つございますし、もう一つには、奨学金事業と国や国立大学等で実施をしております学生支援業務、これを統合をいたしまして、より広い視点に立って学生支援業務を総合的に行うことのできる体制を整備することが適当であるということで、平成十三年の十二月の特殊法人等整理合理化計画、これ閣議決定でございますけれども、ここにおきまして、特殊法人としての日本育英会廃止した上で、新たな独立行政法人を設立するということとされたところでございます。
  142. 林紀子

    ○林紀子君 しかし、独立行政法人という形が奨学金制度を充実していくのに本当にふさわしいものなんでしょうか。今回の法改正は、新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議、ここが出した報告が基になっていると思いますけれども、ここで強調されていることは、今、遠藤局長お話にもありましたが、合理的、効率的、効果的な事業の実施、こういうことですね。  独立行政法人というのは、中期目標を立てることになっております。特殊法人独立行政法人になるに当たって、特殊法人等改革推進本部事務局というのが設けられておりまして、ここでは、財務内容の改善では、「定量的な目標設定を行うこと」、こういうふうに言っているわけですけれども、奨学金事業では、じゃ、中期目標というのは何かということを先ほど午前中の質問でもありましたが、はっきり分からなかったんですが、例えばこの奨学金事業では返還の回収率、こういうものも定量的な目標ということになるんですか。
  143. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 独立行政法人の中期目標につきましては、ここで設定される法人の達成すべき目標がその法人業務を実施する際の指針となるものであると、こう理解しておるわけでございまして、中期目標としてどういうことを定めるかということにつきましては、これからの検討課題なわけでございますが、その内容としまして、奨学金事業の事務実施につきましても、業務の内容、性格に応じた適切な目標を設定することが必要であるということでございます。  今、返還率のお話が出ましたけれども、奨学生からの返還金が次の世代を育成する資金として循環運用されるということを踏まえますと、やはり返還率をできるだけ高くするということが大事でございまして、やはり中期目標の設定に際しましてはこういった観点からの検討も必要であるというふうに考えておりますし、また、先ほど申し上げましたように定量的な目標だけではなくて、例えば申請手続の簡素化の状況など、奨学金事業の性格に即した定性的な目標設定の在り方ということも検討していくことが必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  144. 林紀子

    ○林紀子君 奨学金返還状況についてそれでは確認しておきたいのですが、一部の雑誌では、「「日本育英会」で奨学金一千五百億円焦げ付き」、こんなショッキングな見出しで、いかにも滞納が多過ぎるような報道がされております。  先ほども、この日本育英会の回収状況どうなっているか具体的な数字上げられましたが、もう一度確認のためにお知らせください。
  145. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 平成十三年度末までの回収状況でございますが、これまでの累計ということで、要返還総額が一兆七千六百三十一億円に対しまして、既に九八%に当たります一兆七千二百七十五億円を回収をしているところでございまして、いわゆる未回収金は三百五十六億円ということでございます。  ただ、これは返還期日を一日でも過ぎた額の合計でございまして、これがすべてもう回収不能ということではございませんで、これから返還を求めていくということでございます。
  146. 林紀子

    ○林紀子君 ですから、九八%の回収、滞納は二%、そういうことでは大変この回収というのはすごい割合だなというふうに私などは思うわけですね。ところが、こういう事実を意図的にねじ曲げて千五百億円もの滞納があるというようなことを宣伝するというのは、一生懸命返還をしている人たちに対しましても、また回収のために努力をしている育英会職員などに対しましても、冒涜だというようなことじゃないかと思いますが、どういう感想をお持ちでしょうか。
  147. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 私どもは三百五十六億円が未回収額というふうに理解しておるわけでございますけれども、数字の取り方、これから返してもらうやつをどの範囲でくくるかということで数字が大きくなったり小さくなったりということがございますが、私どもは、先ほど副大臣からも答弁いたしましたように、三百五十六億という数字が未回収金実態と、こういうふうに理解をしております。
  148. 林紀子

    ○林紀子君 それが実態ということでいいんですけれども、じゃ、どうして一千五百億円みたいな数字が出てくるのか。  そのからくりというのは、例えば銀行などでは、三百万円を借りて、借り手が年間十万ずつ三十年間で元利返済すると、そういう契約である場合に、もし借り手が返済の一年目に十万円を滞納すると、銀行の方は貸した総額の三百万円全部を不良債権としてカウントする。だから、本来なら三百五十六億円であるはずなのに一千五百億円というような数字になってくる、そういうことなんだというふうに思うわけですね。  そして、この独立行政法人といいますのは、企業会計原則で行うということについても書いてあるわけですけれども、そうしますと今、文部科学省の方はこの未回収額三百五十六億円だというふうに言っておりまして、それが正確だと思うんですけれども、企業会計原則でというようなことになると、銀行方式、今申し上げた銀行方式みたいな形になると、それは一千五百億円というふうにカウントされてしまうんでしょうか。
  149. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 確かに、いわゆる銀行方式だと一千五百六十二億に、そういうカウントの仕方になる。要するに、一日でも、返還期日を一日でも過ぎたものについては全部、将来これから返還が来るようなやつまで全部ひっくるめて延滞債権額というカウントになるということのようでございまして、そういう意味での延滞債権額が一千五百億になっておるということでございます。
  150. 林紀子

    ○林紀子君 ですから、独立行政法人という形になって企業会計原則で運営をしていくということになったら、この回収率というのも銀行方式になるんですか。そこを心配しているんですけれども。
  151. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 私もよく分かりませんけれども、こういう場面の数字はこうであるという、やっぱりそれぞれの数字というのはあると思いますけれども、私どもはとにかく頭の中にしっかり置いて、この未回収額幾らか、三百五十六億と、こういうふうに頭には入っております。
  152. 林紀子

    ○林紀子君 それを心配してしつこくお聞きしているのは、例えば、先ほど御紹介した特殊法人等改革推進本部事務局の指針というのがありまして、それには具体的に「○○に関する未収金の回収を適切に進め、中期計画終了時に未収金残高を○億円とする。」と、こういうことを中期目標では具体例で書けというふうに示しているわけですよね。この「○○に関する」というのを、今度のこの学生支援機構に関する未収金の回収を適切に進めて、この一千五百億あるようなものを何億円にするんでしょうか、そういうものにしろ、そういうような形でぎりぎり回収率を上げろというようになったら大変だと思うんですね。  そして、私が更に心配するのは、この独立行政法人になったからということで回収率を更に高めなければならないと、そういう発想から持ち出されてきたのが機関保証制度という、こういう制度ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  153. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) この機関保証制度といいますのは、本人の選択によりまして、奨学金貸与に当たって従来求めている連帯保証人等の人的な保証に代えまして、一定の保証料を保証機関に支払うことによりまして、返還について当該保証機関の保証を受けることが可能となる制度でございます。  この意義でございますが、保証人の確保が困難な人につきましても、自分の責任におきまして一定の保証料を支払うことによって最長二十年間の保証を受けることができるようになる点にありまして、これによりまして学生本人の意思と責任による奨学金貸与申請が可能となりまして、学生の自立の観点からも有意義ではないかと、こう考える次第でございます。  また、これは従来のその連帯保証人等の人的な保証と学生の選択ということになっております。
  154. 林紀子

    ○林紀子君 その保証料というのは幾らぐらいになるんですか。
  155. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 保証料につきましては、これは先ほどから御答弁申し上げておりますように、これからの検討課題でございまして、収支のバランスが取れるようにということで、そういう形で決めていくということになろうかと思います。
  156. 林紀子

    ○林紀子君 はっきりしたお答えが先ほどからありませんけれども、事前に伺ったところでは月額二千円から三千円ぐらいになるんじゃないかというお話も聞きました。今、学生が連帯保証人をそろえられない場合だとか多重債務を防ぐんだなどというお話もありましたけれども、これはしかし、奨学金を利用する学生の立場に立った発想ではないと思うんですね。今までより、まだこれから幾らか分からないけれども、少なくとも二、三千円は毎月新たな負担が押し付けられるようになる。  しかも、先ほどこれはお話ありました個人情報信用機関に審査というので学生の個人情報まで全部渡されてしまう。こんな制度奨学金に、奨学金制度に持ち込んでいいものなんでしょうか。
  157. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) この機関保証制度でございますけれども、連帯保証人等の人的保証が得られない、そのために借りられなくなる可能性もあるというような場合に、その本人の選択で連帯保証人ということに代わってこの機関保証制度を利用するということになるわけでございまして、これはあくまでどっちを選択するかというのは本人次第ということでございます。
  158. 林紀子

    ○林紀子君 私はこの保証機関の問題も含めて考えるんですけれども、そもそも奨学金には保証人や連帯保証人というのは必要なんでしょうか。今、営業している中小企業にも無担保、無保証人の融資制度というのもある時代なんですよね。学生に対しましては教育的に返済の意義を訴えること、これがまず重要だと思うんです。  私も高校時代からずっと奨学金をいただいておりました。就職をしましてから、給料をもらいましたら真っ先に奨学金の返済に郵便局に持っていっておりました。といいますのは、それまで、これは後の、後の世代の学生たちがこれを原資としてまた奨学金になるんですよというのをとことん言われていたわけですからね。私が返さないことによって後の人が迷惑したらそれはかわいそうだと、そういう気持ちがあったから、本当に一回も滞納なしでやったと思うんですね。だから、そういうことをきちんと教育的に言うことこそ必要であって、連帯保証人だ、この機関だというのを設けるというのはやっぱり違うんじゃないかなということを非常に思うわけです。  しかし、滞納という意味では、今非常に経済状態も厳しくなっておりますし、学生も就職難ですから、確かになかなか返せないというような状況も生まれると思うんですけれども、しかし、これは学生の責任かといったら、そうじゃないわけですよね。こういう経済情勢の中にあると、もっと全体の大きな政府の責任、政治の責任ということだと思うんです。  ですから、こういうときだからこそ、諸外国では当たり前になっている給付制の奨学金検討する、そして当面、無利子奨学金を大勢にする、こういうことを考えていってほしいということを最後に大臣にお願いしたいと思いますが、どうですか。
  159. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 是非、奨学金を受けている人が林先生をモデルとして、きっちりと返還をしてもらいたいものだと思います。  育英会奨学金は、制度の発足のときから貸与制で事業を実施しておりますが、私は、それは貸与制を用いることによりまして、返還金を循環させ、それによって、限られた財源の中で一人でも多く希望する学生に対してこれを使ってもらうことができるようにするということ。それから、おっしゃいましたように、返還というものを通じながら学生の自立心なりあるいは自己責任というものを涵養していく、そういう教育効果が期待できるということから、私、これは大変意義のある制度だと思っております。  今お話しの、給付制を導入しろというお話でございますが、今の非常に厳しい状況の中で給付制ということになりますと、これはもう私は、対象がどうしても減っていくようなことに連動しかねないわけでございまして、継続的に適切な事業規模を確保する必要があるわけでございまして、これは慎重に対応すべきものと考えております。  それから、無利子奨学金も大勢にすべしということでございますが、これも奨学金の受ける対象規模というものを考えますと、私としては、その無償、無利子奨学金についても拡充を努力をしながら、しかし全体として奨学金を利用できる人を増やしていく、そのことの方が当面の主な課題だというふうに考えております。
  160. 林紀子

    ○林紀子君 まだまだお聞きしたいことがありますが、時間になりましたので、引き続きお聞きするということで、終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  161. 山本正和

    山本正和君 質問に入る前に、今の林委員からもお話がありましたけれども、私は、日本の国がいろんな長い歴史の中で、特にこの近代百年の中で、何はともあれやっぱり教育というものを非常に大事にしてきたと思うんです、国の施策の方向として。ですから、そういうものが、何か財政がおかしくなったとか経済がおかしくなったとか、いろんなことから抑え込まれるようなことがあってはならないと、こういう気がしてならないんですね。  ですから、確かに小泉さんの言う改革ということも、それは趣旨は分からぬでもないんですけれども、それが、改革されるべきものと、逆に改革といってももっと増やしてより強化されなきゃいけないものとが、何か今度の独立行政法人の中で何もかも一緒くたに抑え込まれる方向に、何もかも全部圧搾されるような方向に流れている気がしてならないんですね。  私は、先ほどお話がありましたけれども、昭和十五年に中学校へ入ったんですけれども、昭和十九年の段階でいわゆる義務教育から上の学校へ行く者の数が、その当時の資料にありますけれども、二百五十万人おった義務教育修了者が三十五万人しか中等教育に行かなかったと。さらに、その中等教育から今度は上の高等教育、まあ専門学校、高等学校含めて、それへ行くのがさらにその一割、三万七千人しか行っていない。そのうち大学へ行ったのが二万人ぐらいと、こういうんです。その状況が昭和十九年です、これ。私は昭和十五年ですけれども。  それぐらい、いわゆる上のものに、上の学校へ行くのが少なかったのを、これは日本の国が何としても高等教育を国民全般のものに増やしていこうという願いからいろんなことを取り組まれてきたと。そこで、先ほど永井大臣の話がありましたけれども、この育英会の問題もその辺からどんどんやってきたと。私は、先人のすばらしい業績だと思うんですね。  それから、育英会事業なんというものは、本当に我が国がまだまだやっていかなきゃいけない。しかし、正直言って、ヨーロッパと比べても、アメリカは競争社会部分が非常に強いわけですから、ヨーロッパは何といっても国民全体のあらゆる水準を上げていこうというところにかなり力点を置いた文明だと私は思うんですね。ヨーロッパ文明のイギリスやドイツやフランス等ですね。そういう中で、日本が必死になってやってきたことに対して、これを一緒くたに、構造改革の名において教育の場にこれ皆持ち込んでいいんだろうかという気がして私はならないんですね。  しかし、まあここまで来たわけですから、ここまで来た以上は、そういう我が国のよく言われる伝統と文化を尊重する、こう言うんだけれども、これこそ良き伝統であり文化なんですね。それを一緒くたに構造改革でもって抑え込むというようなことだけは断じてあってはならないと、こう思うんですが。  ですから、ここで独立行政法人を作られると。恐らくこれ法案通っていかざるを得ないと思うんですけれども、その段階で、やっぱりこれから正に為政者としての文部大臣、副大臣の、何というか、これからのますますこういう状況に対して取り組まなきゃいけない重要な課題だというふうに思うんですが。ですから、独立行政法人、こういうことをしていくことについて、文部省が長い我が国の良き伝統、教育を大事にするという良き伝統ですね。  小泉さんが米百俵と言ったけれども、あれ実は米百俵というのは全部教育にほうり込んだんですよね、米百俵全部ね。ところが、どうも今度の米百俵は教育から取っていくような気がしてならないもので心配なんですけれども、その辺ひとつ御決意のほどをまず承りたいと思いますが。
  162. 遠山敦子

    国務大臣遠山敦子君) 山本委員の今のお話は全面的に賛成でございまして、私は、やはり日本の今日までの発展の基礎は教育にあったという信念を持っております。  そうした中で、今の財政状況もあって、いろんな課題が次々に突き付けられてまいるというのが、私はこの二年になりますが、実感でございまして、もういいだろうと思っておりましてもまだ来るという感じでございますけれども、そういった中で本質を見誤らないように、言わば日本の将来には力を持った子供たちが伸び伸び伸びてくれて、そして活躍してくれる以外にその人たちの幸せもないわけですし、日本のよって立つところもないわけでございまして、教育の重要性というのは皆さんがおっしゃるわけでございますが、そういう皆さんの期待にこたえて実現していくのが私どもの役割、我が省の役割でございます。  いかにつらく大変な道でございましょうとも、その本質のところが曲がることがないように、むしろこれだけの教育需要が大きくなっているときに、更にそういう期待にこたえられるようにしっかりとやっていきたいというのが私どもの考え方でございまして、その点につきましては、独立行政法人化の今、時代になっておりますけれども、むしろそれを可として、より、与えられたものを更に効率的、重点的に使うことで事業を活性化していくというふうなメリットを十分に発揮しながら、全体の教育の改革というものをしっかりと進めていきたいという考え方でございます。
  163. 山本正和

    山本正和君 そこで、実はこの育英会法とそれから今度の支援機構法案、ちょっと見てみたら、目的のところがかなり表現が良くなったと私は思うんですよ。  この独立行政法人機構法案の方では、目的がこれは第三条に書いてあるんですけれども、「独立行政法人日本学生支援機構は、教育の機会均等に寄与するために」と、ばんと初めにうたってあるんですね。ところが、育英会法はどういうふうになっているかというと、目的は「優れた学生及び生徒であつて経済的理由により修学に困難があるものに対し、」学費の援助、貸与等と、こういうふうに行くわけですね。  ですから、この目的のところの条項は、これは非常に立派だと私は思うんですけれども、そういうふうに読み取っていいですね、今度は。その辺、ちょっと見解を承りたいんですけれども。
  164. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 余り事務的に説明すると大変恐縮なんですけれども、今度機構が、前の育英会奨学金貸与奨学金事業ということに特定されていたわけでございますけれども、今回の日本学生支援機構におきましては、この目的に書いてございますように、学資の貸与その他学生の修学の援助が一つございますし、その他の学生等に対して行う修学、進路選択その他の事項に関する相談及び指導についての支援、要するに学生支援ですね、その他の支援、それから留学生交流ということで、いろいろ目的が入ってきたものですからちょっとそういう意味で表現の仕方が変わってきておりまして、そういう意味で、教育の機会均等、これはもう修学援助が一番のことでございますのでそれを一番最初に持ってきたと、こういうような構成になっております。
  165. 山本正和

    山本正和君 ちょっと、それで、お金の話を余りしたくないんですけれども、育英会、あるいは他の四団体ですね、これに対して国から補助金が出ているわけですね、ずっと。今、かなりの額ですけれども、しかし、それでは足りないという中でいろんな問題があって来ているわけですね。ところが、今度はこの機構を作ったとなった場合、どうも私が邪推するんかもしれぬのだけれども、そうやって出しておった補助金を全部合計した額をばさっと切って捨てようと、あるいは押さえ込もうというふうな感じが今度の、今の流れの中でしてならないんだけれども、そんなことじゃないんだと。この機構にはっきり書いてある目的のとおりに実現するために、このお金の問題はそういうこととは切り離して、本当に必要なものはどんどん出していくよ、そのために政府として一生懸命取り組むんだよと、こういうふうにこれからも取り組まれるものと、こう考えていいですね、ここは。  要するに、今まで削られたもの、今支給されている補助金あるいはその他の融資等で、寄附等でもらっている枠ありますよね、そういうものを切ろうというふうな目的の下にこういうふうに独立行政法人にしたんじゃないと、こういうふうに理解してよろしいな、そこは。
  166. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) これまで育英会並びに内外学生センター、国際教育協会、国際学友会関西国際学友会でいろんな事業をやっておったわけでございますけれども、その中で日本学生支援機構の方に移管される業務、移管されずに、いわゆる承継公益法人と言っておりますけれども、一つ公益法人で、別のもう一つ公益法人でやる業務ということがあると思いますけれども、私ども、こういった業務につきましては、併せてこれまでやってきましたような業務の内容がきちんとやれるようにという、そういう体制になるだろうと思っておりますけれども、ただ、例えば留学生宿舎があっちこっちにあったやつが一つで管理するとか、そういった事務管理の面につきましては、やはり合理化、効率化の言わばそういう節約といいますか、そういう意味でのことはあるというふうに思っております。
  167. 山本正和

    山本正和君 一番心配しているのは、奨学生の数が、独立法人こういうふうにしたと、それによって今までよりも減ってきはせぬかという、その心配が一番あるんですよね。絶対それはないなと、逆に今以上に奨学金を受けられるように更に取り組んでいくんだと、こういうことでよろしいか、そこは。念を押しておきたいんですけれども。
  168. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 十五年度予算におきましても奨学金伸ばしておりますので、そのペースはきちっと守っていくし、これを機会に更に、皆さんからも強く要請をいただいておりますので、頑張って増やしていきたいと、こういうふうに考えております。
  169. 山本正和

    山本正和君 それではひとつ是非よろしくお願いしたいと思いますが。  この概要をちょっと見ていくと、独立行政法人日本学生支援機構の中に、これは国立大学、それから文部省、それから日本育英会、それから四団体、公益法人の、これが向こうへ行くんだと、業務が。そして、そのうち継承公益法人というところにも行くんだと、この継承公益法人には補助金は出さないんだと、こういう趣旨になっているんですね。ということは、補助金を出さないこの公益法人に行く部分の仕事というのは、いわゆる今まで四団体がいろいろやっておった事業の中で、要するにこういう、何というか、育英というそういう趣旨、あるいは本当に教育の国際交流、様々なそういう趣旨の中でこれをどういうふうに持っていってこれは補助金出さないというふうにするのか、それがちょっと分からぬものでね、ちょっとそこを説明していただけませんか。
  170. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 独立行政法人で、ふさわしくないという言い方がどうか分かりませんけれども、じゃないところでやった方がいいだろうというような業務をそこでやるということでございまして、例えば、今予定されておりますのは、学生教育研究災害傷害保険というようなもの、それから日本語の教育能力検定試験、それから留学生宿舎の業務委託を受けた管理運営といったような、言わば収入が入るといったようなやつを中心に考えておる次第でございます。
  171. 山本正和

    山本正和君 見通しなんですけれども、いわゆるこの支援機構に対する国の補助金というのは、これ発足してからの話になるわけですけれども、今までのトータルされていた補助金よりは下回るというふうに予測しているのか、あるいはそれは関係なしに必要なものを補助金として請求していくんだと、これでいくのか。そこはどうですか、事務的な問題として。  私が今まで聞いているのは、こういう独立行政法人をしていって、国からの補助金やそういうものを削っていくんだというふうに聞いておるもんだからね。ここももしもそれならば大変なことだと私は心配するんですけれども、そこはどうですか。
  172. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 私ども、事業費については充実していくだろうと。ただ、人件費、管理費、これは合理化をして、この部分についてはそういう意味で減が立つだろうというふうに思っております。
  173. 山本正和

    山本正和君 だから、要するにその事業費は減らないということでいいですね。要するに、事務の合理化というふうなことはやるだろうと、機構の簡素化ね、それはやるかもしれぬけれども、事業の、事業内容は決して減らさないんだと、こういうふうなことで今の局長の話は受け止めていいですね。ちょっと局長のそういう言い方、ちょっとそこが分かりにくいものだからね。
  174. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 十六年度予算、これからなものですから具体の数字がどうなっていくかというのはありますけれども、私どものつもりとしては、事業費についてはそういうことでやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  175. 山本正和

    山本正和君 恐らく私は財務省は切ってくるだろうと思うんですよね、何か言って。だから、そこはもう絶対負けぬということでやらぬと、ちょっと局長の今のお言葉では何かふらふらしている気がするものだからね。絶対にそういう、事務量の部分合理化はするけれども事業量のことについては一歩も譲りませんと、こういうことをひとつ言っていただけませんか。
  176. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 必要な事業費については充実する方向で努力してまいります。
  177. 山本正和

    山本正和君 それから、私は実は、内外学生センターという名前になってしまったんだけれども、昔は学徒援護会と、こう言ったんですね。それで、非常に懐かしい名前なんですよ。  それで、日本の国が、戦争がだんだん敗戦に近づいていく昭和十九年、二十年という時期、それから戦後の昭和二十年代、本当に貧しい時代に学生たちがやっぱり、復員学生もおれば引揚者もおれば、そういう者にとって何とも言えぬ懐かしい思いなんですね。様々なそういう事業をしてきておるんですけれども、これが今度は全部なくなってしまうような気がして寂しい思いがしてならないんですけれどもね。  そうすると、例えば今の内外学生センターのやっている事業のうち、私どもが思っておった学徒援護会の仕事ですね、これはそのまま全部承継されると考えてよろしいですね。
  178. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 留学生宿舎の設置、運営学生の交流、相談といったようなものにつきましては、これは日本学生支援機構で行うということにしておりまして、先ほど申し上げました学生教育研究災害傷害保険、これは承継法人の方で行う、あるいは冠の奨学金事業もやっておりますけれども、これも承継公益法人の方でやるというふうな予定にしております。
  179. 山本正和

    山本正和君 要するに、今まで本当にこの四団体がやってきている事業の中で、本当に大切な事業は全部あるわけですよね。また、事実、そういうことが必要だということで事業を増やしてきたわけですよね、様々な要請を受けて。それが、こっちへ行っちゃったらなくなりはせぬかということで心配しているわけですよね。  だから、今言ったような部分じゃなしに、今までこの四団体がやってきているところの事業はここへすべて承継される、こういうふうに言ってもらったら安心するんですが、どうですか、そこは。
  180. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 基本的には、どちらか、要するに日本学生支援機構公益法人、どちらかでは必ずやる、こういう仕分になっております。
  181. 山本正和

    山本正和君 そうすると、承継されるということで、ただ、こっち側の公益法人の方へ行くやつは、ですからペイするというか、収支とんとんでやれるものがこっち側へ行くんだということで、国が面倒を見なきゃいけないようなものはみんなこっち側へ承継されると、これでいいですね。じゃ、それはそういうことで承っておきます。  それから次ですが、これも午前中の質問にもあったようですが、どうも最近の奨学生の状況を見ていると、一種奨学金と二種奨学金関係が、どうも二種奨学金がどんどん増えてきて、いわゆる第一種奨学金が、どうもその割合が減っているんじゃないかという懸念がしてならないんですけれども、これについては今後、何というか、行政指導と言ったらおかしいのかな、いろいろと宣伝、啓蒙というか、そういう中で更に一種を、より一種に対する貸付けを容易にするようにこれからもずっと取り組む、こういうことを言っていただきたいんですが、どうも今の流れでいくと、どんどんどんどん一種と二種の差が開いて、二種ばかり増えていくように見えてならないんだけれども、本来からいえば、これはもう大臣御承知のように、国会で附帯決議を受けて、さらには、このことは非常に重要な問題で、常に今までも文教委員会議論されてきている内容ですから、ですから、一種と二種との現状を変えて、より良くしていくという方向で取り組んでいただくということでよろしいですか。
  182. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 一種につきましては、これまでも貸与人員の増員、貸与月額の増額を図ってまいりましたし、平成十一年度には緊急採用奨学金制度を創設するなどの充実に努めてきたわけでございます。  ただ、こういう厳しい財政状況の下でできるだけ多くの方に奨学金をということで、昭和五十九年度から財政投融資を活用して始まりました有利子奨学金制度、こちらの方の伸びの方が若干最近多いということもあるわけでございますけれども、御指摘のように、奨学金の根幹はやはり一種であるというふうに認識をしておりますが、現下の厳しい状況の下で限られた財源を有効に活用しつつ、奨学金希望する人たちに十分貸与を受けられるようにということで、無利子奨学金の充実も、もう当然充実に力を入れていくわけでございますけれども、有利子奨学金をも活用することによりまして、奨学金事業全体における充実を図っていくことが必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  183. 山本正和

    山本正和君 この機構目的の中で、第三条に、冒頭に、「教育の機会均等に寄与するため」という言葉が出ているんですね。その中にいろんなものを包含していると思うんですけれども、私は正に、教育の機会を与えるということについて国の責務と、そこがはっきりと憲法なりあるいは教育基本法から位置付けられてきている。それを受けたものが、今度は機構に変わってきているけれども、国の方針として従来文部省が堅持しておったところのものがここで生かされなきゃいけないと思うんですよね。  となると、二種というのは正直言って利息を取るわけですよね、教育ローンとは言いませんけれども。教育ローンというのは、あれは利益事業なんですよ。教育ローンで銀行はもうかるわけですよ。だから、利息を取るということは、どうもそういう意味でいったら、国の責務としての教育の機会均等を付与するということからなじまないような気がしてならないんですよね。だから、何とかこれは、将来は、こういう二種というような利息を取るというふうな話はなくしていくような方向文部科学省としては取り組んでいくということで是非お願いしたいと思うんですが、この辺は、副大臣、ひとつ御決意を聞いておきたいんですが、政治姿勢として。
  184. 河村建夫

    ○副大臣河村建夫君) 第一種奨学金が根本、基本であると。奨学金というのは、私も、利息が付いてこれを返すという考え方は私らの時代にはなかったように思うわけでありますが、これがこういう形になっている。本来からいうと、私も山本委員のおっしゃるとおりだと、こう思っております。  ただ、さっきも、午前中の議論にもあったんでありますが、今第一種で応じ切れなくて、そして二種に回っている現実があるわけで、少なくとも第一種で希望される方には全員渡るように、さらに、自分の自己責任で返したいんで、少し利息が付いても借りたいんだと言われる方に第二種をということでなければいかぬ、こう思っておるところでございます。  ただ、財政投融資のお金の方が借りやすいものでありますから、というのは、こっちは一般財源でありますので、なかなかそれの、まあ、お金のことを言うと怒られるんでありますし、このことになると非常に歯切れが悪くなって申し訳ないんでありますが、一般会計から回すということの厳しさに、ややもするとそちらへ取られたという感じがございます。やっぱり基本に立ち返って考えていかなきゃならぬと思いますが、できるだけ多くの方に、希望する方には奨学金を差し上げたい、貸与したいということから、両方伸ばしていくという今感じになっておりまして、その伸び率が、こちらの財投の方がぐっと増えたものでありますから、逆転状況が起きているという状況でございます。  ただ、今、幸い利息が非常に低いものでありますから、申し訳ないがこっちで、低いので我慢してくれということになっていると思います。このことは是正する方向で、我々はやっぱり絶えずそのことを念頭に置きながら奨学金制度を拡充する、こういうことでなければいけない、こういうふうに思っております。
  185. 山本正和

    山本正和君 是非お願いしたいと思いますし、絶対額がずっと傾向見てみれば数字で出てきていますから、したがってそこの部分で頑張っていただくと。お願いしておきたいと思います。  私は、この法案、何といいましょうか、これもやっぱり独立行政法人という名前でどんどん来ていることに対して、流れでこれはもう仕方ないような状況になっているんですけれども、本当からいえば私どもも、こういうことじゃなしに、文部科学省の仕事として位置付けてやっていただきたいぐらいの気持ちなんですけれども、ここまで来たら仕方ありませんから、ひとつこの機構法案の冒頭に書いてある、第三条の目的、これがもうきちっと通すように、私はこれは本当に、どなたが考えたのか知らぬけれども、一番冒頭に「教育の機会均等に寄与する」と書いたというのは、なかなかこの原案作った人は知恵を絞ったんだろうと思いますが、そこへ持ってきたこの趣旨のとおりに今後とも是非ひとつ頑張っていただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 大野つや子

    委員長大野つや子君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回は来る十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十九分散会