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山本正和君 三日間連続の
質問でございまして大変こう、何となく気恥ずかしい気がいたしますが、今日はこの法案に対する採決までありますので、ちょっと私なりに今まで
議論されましたことをまとめて、
自分の感想はこれ申し上げっ放しにしておきます。
一つは、
義務教育費国庫負担法に関する法案出てきた経過は、
地方分権推進
会議だとか、あるいは経財
会議だとか、あるいは例の二〇〇二ですか、等のいろんな中で文部省としては
対応に迫られて出してきた法案であると、こういう経過であろうと
思います。ただ、今からの
議論が大事なんであって、今後の
義務教育国庫負担の
在り方についてのといいますか、
義務教育そのものについての
在り方も含めた
議論が一番根底であって、それに基づいて
対応していくというのが
大臣の御答弁でございましたし、私はそれが何よりも根っこに置いて今後も進められるべきものだと、こう思っております。
ただ、心配なのは、
地方分権というのは大事なことですけれ
ども、じゃ
義務教育とのかかわりはどうなんだと。また、その
義務教育というものに対して今まで
我が国が国策として、国是と言ってもいいんですけれ
ども、取り組んできたそのものとのかかわりを無視して単なる
地方分権の立場からのみ
議論していったら大変なことになると。また国によってそれぞれ
対応が違いまして、例えばフランス等では
公立、
日本で言う小
学校、中
学校、これに相当するものは
全額国が
負担している、そしてまた
日本の国の
憲法の精神からいえば
義務教育はこれを無償とすると。それは国が持つ
部分と、
地方自治体が持つ
部分といろいろあると
思いますけれ
ども、そういう原則もあると。そういう中で、もしもこれを単にいわゆる地財法で言うところの
負担金、補助金と一緒に
議論したんではこれは本末転倒するんじゃないか、こういうところが私の一番心配な
部分です。
もちろん財政は大変な窮地ですから、これもいろいろやっていかなきゃいけないと
思います。軽減のための国の努力が必要ですけれ
ども、しかしそのことと国是ともいうべき問題と混同してしまったらいけない。また、
構造改革と称せられるいろんな
議論がありますけれ
ども、それに当たっても、長い
我が国の歴史といいますか、そして
我が国として大切にしてきたものとの関連というものを無視した
議論になったんではいけない。ところが、どうも私の印象としては少し小泉
改革の中でごっちゃに扱われているような気がいたします。そこは
文部大臣としてひとつ毅然とした立場で頑張っていただきたい。
ただ、そういう意味で、私はこの法案は文部省の苦労は多といたしますが、やっぱり今後のために私自身はこの法案に反対であると、こういうことはここで表明しておきたいと
思います。そしてこれを逆に、一歩後退だと私は思うんです。一歩後退二歩前進ということありますから、
義務教育のあるべき姿を目指して文部省としてはひとつ十分なお取組をいただきたい、これだけ初めに申し上げておきます。
そこで
質問に入りますが、
義務教育ということをしてきたいろんな経緯がありますけれ
ども、明治四十年ぐらいまではいわゆる小
学校は尋常小
学校、尋常高等小
学校、こうあって、そしてその尋常小
学校の場合も補充的な小
学校、きちんとしたものでない小
学校もあった。そういう中で、これはこの前申し上げたかもしれないですけれ
ども、初代
文部大臣森有礼さんが三重県にやってこられまして、そして郡長あるいは県議その他の人を集めて演説をしておられるんです。演説というか、その当時は演説と言わずに
大臣として教訓を垂れるというかな、訓示を垂れるということですね。
そこで言っておられる言葉の中に、尋常高等小
学校といっても、いわゆる高等小
学校を持っているような
部分、尋常高等小
学校というのは六年制なんですね、当時は。ですから尋常科四年と高等科二年。そういう
部分についての問題よりも一番大事なことは、補充
学校というふうなところのもの、それが大切なんだと。だからそういうものが全部
学校に行けるようにするために国は全力を挙げないといけない、こういう趣旨のことを言っておられて、それで県
会議員並びに郡長の諸君はしっかりやりなさいというふうなお話があったんですけれ
ども。
そういうところから来ている長い伝統と歴史というものを踏まえた格好で
議論せぬことには、単に金がないからとか、あるいは形式的に
負担金、補助金を全部切るんだとかいうふうな中での
議論をされたんでは全く本末転倒すると
思いますし、それから更に法律の
制度見ても、この
義務教育国庫負担法というのは地財法第十条の第一項ですね、一番初めに書いてある。そして
負担金と補助金とは違うと。
負担金というのは、国が法令に基づいて
責任を持ってやらなきゃいけない行事に対する
負担であると、非常に重い意味があるんですね。そういうふうなものもひとつ含めて、しかもなぜ第一項にあるんだと。
負担金がずっとあるわけですね。
今度、何か聞いたら六兆ぐらい
負担金、補助金の整理したとかせぬとかいうふうな話を
総務省の方から聞いたんだけれ
ども、そういうことは別にして、何もかも一括しているその発想が間違っているという立場で、ひとつ本当の、本来のこの国の
在り方を含めた立場で文部省、これからのこの
義務教育国庫負担問題については取り組んでいただきたい、これをまず冒頭に
要請しておきますし、今までの
大臣の御答弁もそういう
方向に沿っていると
思いますが、ちょっとそれだけ一遍確認しておきたいと思う、いいですか。