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2003-06-04 第156回国会 参議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月四日(水曜日)    午前十時十七分開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     松井 孝治君      若林 秀樹君     辻  泰弘君      田  英夫君     福島 瑞穂君  六月四日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     林  紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 国井 正幸君                 中川 義雄君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 山口那津男君                 小泉 親司君                 平野 達男君     委 員                 愛知 治郎君                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 加治屋義人君                 木村  仁君                 田村耕太郎君                 月原 茂皓君                 福島啓史郎君                 松山 政司君                 山下 善彦君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 辻  泰弘君                 広中和歌子君                 松井 孝治君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 岩佐 恵美君                 林  紀子君                 吉岡 吉典君                 田名部匡省君                 田村 秀昭君                 福島 瑞穂君    衆議院議員        修正案提出者   久間 章生君        修正案提出者   前原 誠司君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        総務省自治行政        局長       畠中誠二郎君        消防庁長官    石井 隆一君        外務大臣官房参        事官       齋木 昭隆君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君        財務大臣官房審        議官       篠原 尚之君        厚生労働省医政        局長       篠崎 英夫君        気象庁観測部長  足立  崇君        海上保安庁次長  津野田元直君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(  第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会  衆議院送付) ○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並び  に国及び国民の安全の確保に関する法律案(第  百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆  議院送付) ○自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法  律の一部を改正する法律案(第百五十四回国会  内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、大塚耕平君、若林秀樹君、田英夫君が委員辞任され、その補欠として松井孝治君、辻泰弘君及び福島瑞穂君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 木村仁

    木村仁君 自由民主党木村仁でございます。  昨日、この修正後の法律案について採点をしようという委員がおられました。発議者は八十点、優を取れる点はもらえた、もらえるんではないかという自信があるというお答えでございました。私も賛成でございます。私ならば九十点を差し上げたいと存じます。  ただ、でき上がったこの法案をじっと見ておりますと、これは期限ぎりぎりに慌てて作り上げて持ってきた卒業論文だなと、こういう感じがしないではありません。多分教授は学生を呼んで、君、これは非常にいい線行っているよと。だけれども、まあこの段階で優を付けるわけにいかぬが、もう少し頑張って完成させなきゃいかぬ。そうしたら即、博士論文に認めてあげてもいいと、こういう感じがあるのではなかろうかと思います。  どうして私がそういうことを感じるかといいますと、この法律そのものは非常にまだ生々発展中の法だなという感じがするわけでございます。第一に、この筆頭間協議という非常にユニークな折衝過程の中で基本法というのが出てまいりました。私は、この法律案自身武力攻撃事態に対する対処基本法だと思っておりましたので、その上に基本法がまた乗ってくるというのはどういうことなんだろうかと思って、事態を、成り行きを関心を持って見ていたわけでございますが、それが修正と、それから附帯決議、そして四党幹事長覚書という三つの形でセットされまして、基本法ができることになりました。  考えてみますと、この基本法ができるから、それとその下にある法律との関係がどうなるだろうかということが第一点です。それからもう一つは、事態対処法制という、次々とまた法律を作っていかなければならないという形になっております。そして、国民保護法制整備本部というのが修正で入ってまいりました。それから、その他の緊急事態武装不審船、それから大規模テロリズムについての規定があったんですが、これに第二項ができてかなりその指針が示された。  そういうことで、これは不審船捕まえてみたら中に本人がまだ入っておって、そしてあと幾つ幾つも小さな船が入っていそうだという、そういう形のものでありますから、私は、生々発展中の法体系だな、これをみんなの力で完成させていかなければいけないという感じを持つわけでございます。  そこで、提案者に御質問をいたしますけれども緊急事態というと、武力攻撃事態テロ、大規模テロ、それから武装不審船自然災害、こういうものがあって、この質疑過程で拝聴いたしておりますと、どうやら自然災害というような事態も含めて緊急事態に対する対処基本法を作ろうと、こういうことになると思います。  そうすると、我々は災害対策基本法を持っておりますし、またこの武力攻撃事態対処法、これも成立するでしょうから、これもかなり基本的な法律であって、例えば人権保護なんかということについては詳細な規定になったわけでございますから、これはこの基本法あと一年のうちに作り上げていく過程で恐らくこの武力事態対処法そのもの整理をした方がよろしいのではないかと。そして、法律の中に次の法律を作る制度組織まで組み込んであるという誠にユニークな法律になっておりますから、これを整理をして、そして一年の間に、緊急事態基本法を作り、そして災害対策基本法及び武力事態対処法、そういうものも整理をして、一つ法体系として整備したらどうかと、そういう感じがするわけでありますが、いかがでございましょうか。
  5. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 御指摘のように、我が党が出しております緊急事態基本法というものにつきましては、御指摘のように、有事のみならず、大規模自然災害あるいはテロ、それから原子力災害等といったものもカバーした内容になっております。  そもそもこの基本法が必要だと我々が考えました理由は二つございまして、一つは、憲法緊急事態規定がないということと、もう一つは、今、委員が御指摘をされましたように、この武力攻撃事態対処法がかなり混雑をした法律になっていると、元々の案がですね。つまりは、基本法といいますか、基本理念を書いたものと、具体的な法律と、あと先ほど御指摘をされたプログラム規定と、この三つが混在をしていると。これを整理する意味でも基本法の必要というものを我々は申し上げたわけでございます。  その上で、御質問の、災害対策基本法武力攻撃事態対処法基本法ができればどう整理していくのかということでございますけれども、当然ながら、どこまでの範囲を、さっき申し上げたように、原子力災害やあるいは大規模自然災害等も含めた緊急事態基本法にするのか、あるいはもう少し狭くするのかというのは当然議論があるところだと思いますが、我々の案を前提といたしますならば、当然、委員が御指摘をされたように、災害対策基本法というものがもう既にあるわけでありますので、そこの整理は必要になってくると思いますし、それと同時に、武力攻撃事態対処法には基本理念というものも書いてございますので、そことの整理も、御指摘のように、整理が必要になってくるのではないかというふうに考えております。
  6. 木村仁

    木村仁君 私も、自然災害原子力事故、あらゆるものを含めた緊急事態に対応する基本法を作ることには賛成でございます。  ただ、一つ注意しなければいけないのは、テロにしろ不審船にしろ、武力攻撃はもちろんでありますけれども、これは日本国をなきものにしようと思って攻めてくる事態でございます。それに対して、自然災害というのは、何も日本国民を抹殺してやろうとか日本国をつぶしてやろうとか思って風が吹いてくるわけでもないし、雨が降るわけでもない。そこに、私は、本質的な違いがあることは確かであります。しかし、国民に対する危機という意味では同じものでありますから、それをまとめて基本法として理念を確立すると、その上で一つ一つ法制整備していくという形がよろしいのではないかと思います。  したがって、次に大規模テロ及び武装不審船について申しますならば、この第二十五条にその他緊急事態のための措置というのがあって、武装した不審船及び大規模テロリズムに対する規定があり、これが、詳しい第二項ができたということでありますが、武力攻撃事態等に入るのかと思ったら入らないんですね。武力攻撃事態というのは武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態でありますから、このテロ等は入らない。  そして、恐らくこの二十二条から始まります事態対処法制の中にもこのテロ不審船というのは入らないんだろうと思いますから、この二十五条は言わばこの法律の中で若干違うけれども独立した分野を占めていると、こういうことになります。  そこで、その基本法を作るという観点から官房長官にお伺いしたいんですけれども、私は、この不審船あるいは大規模テロリズムあるいはそういった類型のものが、密入国とかいろいろあるとすれば、そういった緊急事態に対する法律というものも災害基本法武力攻撃事態法と並べてそういう個別法整備した方がよろしいのかなという気がいたしますが、官房長官、いかがでございましょうか。
  7. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 武力攻撃事態も含めまして、緊急事態というのはいろいろなものがございまして、委員のお話しのとおり、テロとか不審船とかいったような問題にどのように対処するかということでございまして、これはこれまで我が国の今あります法制でもって対応してきたところでございます。また、この態勢、この法律に基づく態勢ですね、態勢を整えるということもこれも大事でございますので、そういう面についても十分なる配慮をしてまいったと思います。  しかし、幾ら大丈夫だからといって、それに安住することができないのは緊急事態だと、こういう認識も大事だろうというように思っておりますので、制度面においてもこれは整えなければいけないところは整備をしていくということも必要でございますけれども、この制度が良ければすべて良しじゃなくて、これをいかにして運用するかということもこれは極めて大事なんですね。  そういう観点から、両面にわたりまして今後も更にいろいろと考えていかなければいけないことはたくさんあるんだろうというように思っておりますので、そういう意味で、今回も民主党との間でも合意もいたしました緊急事態に係る基本的な法制というものも、これも、この考え方そのもの、十分共有することができるものでございますので、今後、政府もこの今回の合意にございます必要な措置について内閣官房を中心として政府全体で検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  8. 木村仁

    木村仁君 ありがとうございました。  修正提案者一つ質問しておきたいと思いますが、若干余り上品でない質問になるかもしれませんが、第三条第四項に後段を加える修正をなさいました。その中で、基本的人権の条文として憲法の第十四条、第十八条、第十九条及び第二十一条を明示されておられます。言うまでもなく、十四条は法の下の平等、十八条、奴隷的拘束、苦役の禁止、十九条、思想及び良心の自由、二十一条、言論、出版の自由と、こういうものであります。  このほかに、実は武力攻撃事態の下で重要な問題になりそうなのは、例えば居住移転職業選択の自由あるいは財産権保障という基本的人権がそのほかにもあるわけでございます。  この四つを明示されたということは、それが特に重要であって、緊急事態の下といえども他の基本的人権よりも更に厳しく守られなければいけない、逆に言えば緊急事態においては公共福祉というものの考え方が少し膨らんでもいいのかなと、そういう意味でお書きになったのか、いや、そうじゃなくて、全部厳しいんだけれども、特に書いただけだと、こういうことでございましょうか。そこのところをひとつ教えていただきたいと思います。
  9. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 二点お答えをしたいと思いますけれども、一点は、先ほどから申し上げておりますように、憲法緊急事態規定がないということから、憲法保障された基本的人権の尊重というものも、有事という人権制約が最も働きやすい状況の下でもこういった憲法に書かれたものがしっかりと担保されるのかどうなのかといったことをやはり入念にしっかり書く必要があるという意味の中で、修正案として盛り込まさせていただいたところであります。  当然ながら、委員が御指摘をされましたように、憲法十三条、公共福祉というものの兼ね合いが出てまいりますので、そこのバランスというものは当然ながら国民保護法制の中で具体的に規定をしていかなくてはいけない問題だと思っておりますが、今申し上げたように、特に有事というものは人権損害、その最たるものは命というものを失う可能性が高くなるわけでありますので、そういったところをしっかりと書かせていただいたということであって、逆に公共福祉というものが膨らんで解釈をされることがないように、そこはしっかりと国民保護法制の中でも議論をして担保をさせていただきたいというのがまず一点でございます。  二点目は、財産権というものについては書いてないという御指摘でございますけれども、この財産権につきましては、我が党の修正案の中に入っておりましたけれども、しっかりとそれは国民保護法制の中で、財産権あるいはその侵害された場合の補償の規定についてはしっかりと国民保護法制の中に担保しようということが与党三党と民主党合意の中にも書かれておりますので、その部分についてはしっかりと国民保護法制の中で担保をしてまいりたいと、このように考えております。
  10. 木村仁

    木村仁君 立法者の意図はよく分かりました。  次に、国民保護法制について幾つかの御質問をいたしたいと存じます。  国民保護法制という言葉法律そのものの中に入っております。したがって、この言葉が将来にわたる立法において立法活動を拘束するのか。つまり、国民保護法というようなものにならなければいけないのか、あるいはまた、他の国、スイスや韓国等でありますように、もっと国民住民が自らの自由や安全を守り地域をともに守っていくという形の民間防衛的な発想を少し強く入れて立法をするのかということが問題になってくるのではなかろうかと思います。  私は、ただただ国民の安全を保護するという形の法律よりは、それがもう一番大切なことでありますから、それについて十分な配慮のある法律を作らなければいけないと思いますけれども、やっぱり能動的に国民緊急事態に対してどのように自分を守っていくかという部分を強くにじませた法律になるべきではなかろうかと、そういう思い、思うわけでございます。  そういう感じで、官房長官衆議院において示されました国民保護法制の要綱を見ますと、やはりそういう部分があります。したがって、そういうところを更に詰めながら、そういった形の民間防衛型の法律というものを考えていただいたらどうかと思っておりますが、その点についてのお考えをいただきたいと思います。
  11. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 武力攻撃事態に際しまして、国や地方公共団体また指定公共機関国民協力を得ながら相互に連携協力して、そして国全体として万全の措置を講ずると、このことが結果的に国民を守り、そして国を守るということにつながるものだというように考えております。したがいまして、国民職業、職場とか地域などにおきまして、それぞれの置かれた立場で各々の役割を十分に果たしていくと、果たしていただくということが極めて重要なことであると思います。また、国民として、住民避難やそれから具体的には被災者の救援の援助というようなことにつきまして協力を要請された場合にはこれに協力するよう努めるものというように考えております。国民方々にはできる限り協力はいただきたいというように考えております。  この国民保護法制におきまして、民間防衛という言葉を用いることは、そこまでは考えておりません。新たな民間団体組織して活動するとか、また既存の民間団体に新たな責任を負わせるといったようなことは想定はいたしておりません。しかし、住民の自主的な防災組織とかボランティアが自主的に国民保護のための対処措置を実施すると、こういう場合には国や地方公共団体がこれを支援すると、こういうことは検討してもらいたいと思っておるところでございます。
  12. 木村仁

    木村仁君 次に、その一つして、避難の場合の法制についてちょっとお伺いしておきたいのでありますが、避難という行為は、これは特に最近の戦争の例を見ておりますと、やはりイバキュエーションという感じの、是非避難してもらわなければいけないということだろうと思うんです。そうでないと、こちらの部分住民がいるために撃てるものも撃てなくなる、向こうはどんどん撃ってくるというような戦争になるおそれがある。  これは災害のときでありますが、例えば普賢岳、雲仙・普賢岳事故のときに、災害のときに、あれは地元の市町村長避難勧告を出して、すべての住民避難をしたのでありますけれども火砕流の写真を撮りたい、あるいはこの目で火砕流を見なければいけないという人たちがいて、その集落に入っておりました。そうである以上、消防団員一緒にケアをしなきゃいかぬということで登っていって、そして火砕流というのは熱い岩が流れてくるだけでなくて、巨大な熱雲一緒に来るわけでありますから、その熱雲にも巻き込まれて四十三人の尊い命、そして消防団員十三人が巻き添えを食って亡くなったわけでございます。  これはやはり避難するという以上は、勧告段階なら仕方がないのかもしれませんけれども、この武力行使事態においては、避難をさせるという以上は強制的にも避難をさせなきゃいけないという事態が多いのではなかろうかと思います。したがって、ここでさきの居住の自由とか移転の自由というのと関係してくるわけでありますが、これはやはり強制力を持ち、かつ事によっては一定の場合には罰則もあるような、国民保護法制の中で考えていかなければいけないのではないかなと私は考えますが、いかがでございましょうか。
  13. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 国民保護法制の中で、例えば住民避難につきまして、国の避難措置指示を受けて、都道府県知事住民に対して避難指示を行う、こういうことは想定はいたしております。都道府県知事避難指示には法的拘束力はございますが、住民には様々な事情がございます。これを罰則によって担保して、避難指示に従わないというときに住民を強制的に避難させるということは考えておりません。  しかし、その住民本人やほかの住民の生命とか身体を保護するため緊急の必要がある、こういうときには警察官職務執行法により対処するということは、これはあり得るものだと考えております。
  14. 木村仁

    木村仁君 私の方が過激に申しましたが、大体法律としてはそうなりそうだなという御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  ちょっと話がずれますが、二日の午前零時何分かに神戸市西区の民家火災がありまして、そして、火元の男性を救助するために突入した消防士が三人殉職し、十一人が負傷を負うという事故がありました。突入したことが良かったのか悪かったのかという議論も、新聞によれば警察では調べているということでありますが、当事者は、警防部長は、間違っていたとは言いたくない、助かる可能性があれば、危険を顧みず救助に向かうのが我々の使命、命を懸けてやっている彼らを信じているという談話であります。  これについて、消防庁長官はどのように総括して、どのような対応をしておられるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  15. 石井隆一

    政府参考人石井隆一君) お答え申し上げます。  今回の消防活動中の事故については、誠に残念で、殉職された三名の隊員の方々には深く哀悼の意をささげたいと思っております。  私ども消防庁としましては、この事故がございました一昨日、当日、私ども消防庁、それから独立行政法人消防研究所職員四名を現地に派遣いたしまして、現在、火災やあるいは事故原因等について調査を行っているところでございます。また本日、岩永総務大臣政務官現地視察も行っているところでございます。  こうした結果、現在、警察の方でもいろいろお調べだということですけれども、こういった結果も踏まえまして、今後、やはり国民の生命、身体、財産を守ることが消防の使命でありますから、ある程度危険が伴うのはやむを得ないんですけれども、しかし、活動現場における安全確保というのは大変大事でございますので、今回の調査結果を踏まえましてしっかり対応してまいりたいと思っております。
  16. 木村仁

    木村仁君 無事これ貴人という言葉がありますが、危機管理に当たる者は人の生命、身体、財産を守るとともに自分も安全でありたいと、これは当然であります。しかし、先ほど談話を御紹介いたしましたように、消防職員消防団員はやっぱり使命感があって命懸けでやると、こういうことは申し上げたいので、お話をそちらに、わきにそらしたのでございますが、この国民保護法制において、要綱の中を見ますと、武力攻撃災害という概念が作られております。そして、武力攻撃災害は当然、消防職員の対応するところであると、こういう形になっていくように存じます。  考えてみますと、同じ武力災害武力攻撃災害という場合にも、本当に戦場の中で火災が起こって、それを消すことが敵方の不利になるという火災があるだろう、そういうものを丸腰の消防職・団員が対応するということは不可能であります。スイスでは、非常によくできた民間防衛組織があるわけでありますけれども、戦時の火災の場合には、常に軍の対空防災隊というのがあって、それが対応するという形ができているようでございます。  この国民保護法を制定する場合には、やはりそういった災害については戦闘地域というような、あるいは自衛隊が活動する地域とか、そういう概念があるようでありますから、そういう区域を設けて、そして対処の区分をした方がよろしいのではないかと思います。そういう意味で、自衛隊の中にそういったセクションができないものかと考えますが、防衛庁長官、どのようにお考えでしょう。
  17. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 確かに、先生御指摘のとおり、百三条の関係で自衛隊が行動する地域というものはございます。それは、戦闘地域と同じ概念ではないことは先生御案内のとおりでありまして、そういうような戦闘、弾飛び交って戦闘が行われているようなところで消防が消防活動をせねばならぬというようなことだとは考えておりません。その場合に、国の場合には、国が安全確保義務を負っておりますので、消防官の方々がそういう地域で消防に当たってくださいというようなことは非常に想定しにくいことだというふうに考えております。  他方、私どもは、そういう武力攻撃事態に当たって敵の侵害を排除するという能力は自衛隊以外は有しておるものではございませんので、そのこととの兼ね合いをどうするかということだと思っております。  御指摘のように、消防官の方々にそういう危険な地域消防活動をやってくださいということまでは考えておりません。そういう場合にどういう能力を持つべきかということは、今後、各機関との連携とも併せまして、私どもとして早急に検討せねばならない課題だというふうに考えておる次第でございます。
  18. 木村仁

    木村仁君 ありがとうございます。  国民保護法制の制定に当たっては、消防団、水防団、あるいは自主防災組織、企業の自衛消防隊、その他いろんなボランティア団体が地域の安全のために活動をしております。消防団が恐らく中心で、水防団というのはほとんど消防団と人的にはダブっているというようなことがありますし、また、地域の自主防災組織についても、ほとんど消防団の皆さんが指導をしているというような状態であろうと思います。  したがって、この国民保護法制整備に当たっては、その中の出来事かどうかは別として、地域の防災体制、ボランティアの防災体制について考える必要があるのではないかと思いますが、もう時間ございませんか、官房長官、よろしいですか。
  19. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 地域の消防団、水防団とか、また自主的な防災組織、ボランティア、そういうものは、それぞれの目的に応じた役割や機能を有しておりまして、こういう武力攻撃事態というような緊急事態においても、その目的に沿ってそれぞれの団体の役割とか機能を最大限に発揮するということが期待されているわけでございますね。  そういうことでございますので、そういう組織は、それぞれの地域において、その地域事情ということもございますので、その地域の事情等に応じた検討をしていただいて、いかにしたらば有効に活動できるようになるかということではないかと、ございますので、そういう観点から、特別に今、この団体等の再編とか一元化とか、そういったようなものを今考えているわけではございません。それぞれの地域等の情勢、特性に応じた最も有効な活動の仕方はどうあるべきかということを中心に考えていくべきではないかと考えております。
  20. 木村仁

    木村仁君 いずれにいたしましても、国民保護法というのは非常に新しい分野でありますから、慎重な審議を重ね、そして地方公共団体等の意見もよく聞いていただいて、立法作業を進めていただきたいと希望をいたしておきます。  それから、武力攻撃事態対処法の第十五条から凍結された部分がありますが、この第十五条第一項に基づく内閣総理大臣指示、そしてその後の代執行という手続があります。いずれも法律に定めるところによりということで、どのような法律ができるかということは明確でありません。  この指示に基づく事務という概念があるのかどうか、そこ辺りがよく分からないのでありますが、これ、官房長官にお聞きしたいと思っておりましたんですが、どなたか代わりに答弁いただく方いらっしゃいますか。──いらっしゃらないのかもしれません。あっ、自治行政局長が見えておりますので、それでは、自治行政局長のヒアセイ、伝聞で結構でありますから、これはそういう新しい事務であって、自治事務と整理するのか、あるいは法定受託事務と整理するのか、いずれになるんですか。
  21. 畠中誠二郎

    政府参考人畠中誠二郎君) お答えいたします。本来なら官房長官お答えになるところでございますが、便宜私の方からお答えさせていただきます。  自治事務と整理するのか法定受託事務と整理するのかという先生のお尋ねでございますが、現時点で確定的なことは申し上げられませんが、基本的な考え方といたしましては、武力攻撃事態等における対処が国の責任においてなされるべきであり、国全体として万全の措置が講じられるようにする責務を国が有することから、国民保護法制に基づき地方公共団体が新たに行うこととなる事務につきましては基本的に法定受託事務と位置付けられるものと考えております。  一方で、その地方公共団体が実施する対処措置というのがございまして、この措置は、必ずしも法定受託事務に限られるわけではなくて、自治事務についても内閣総理大臣の是正の指示の対象となり得るものと考えております。  いずれにいたしましても、その具体的内容につきましては、今後の事態対処法制整備の中で検討し、定めることとなるものであるというふうに承知しております。
  22. 木村仁

    木村仁君 次に、代執行といいますか、内閣総理大臣の直接執行と申しますか、地元でやらない場合に代わりにやるという手続がこれまた法律に定めるところにより行われるわけでありますが、これがいわゆる法定受託事務の代執行と同じような手続ということは裁判手続まで含まれるということで、そういうことをやっておれば恐らく緊急事態には対応できないだろうと思いますから、もっと簡素な手続になるんだろうと思います。  この点は、緊急事態にそういうことを地方公共団体や地元が言っているのはおかしいという議論があるし、私もそう思いますけれども、やはり国と地方との関係ということを非常にシビアに考える方々からすれば、大変重要な問題を含んでいると思うのでございます。  したがって、ひとつ、この法制については地方公共団体の意見も、また学者等の意見も十分聞きながら合理的な対処をしていただきたいと、そういうふうに思います。これは、私が官房長官にお願いをするという形で記録にとどめ、そして、自治行政局長にはそういう意味でしっかり見ていていただきたいと、これは要望にとどめさせていただきます。  そして、裁判手続を除くという、恐らくそういうことになると思うんでありますけれども、それについてはどのように基本的にはお考えでございますか。
  23. 畠中誠二郎

    政府参考人畠中誠二郎君) お答えいたします。  先生お尋ねの地方自治法に規定されております代執行の手続と武力攻撃事態対処法第十五条の規定との関係、相違でございますが、武力攻撃事態対処法十五条の規定に基づき、内閣総理大臣等が地方公共団体が実施すべき対処措置を自ら実施する措置の具体的内容につきましては、今後進められる事態対処法制整備において慎重に検討されるものというふうに承知しております。  その際、仮に訴訟手続を省略して直ちに直接執行を行う仕組みを別の法律で設けるといたしましても、武力攻撃事態対処法案の枠組みの範囲内で、これを必要とする特別な事情が認められ、なおかつ地方自治を尊重した合理的な関与である場合には、地方分権一括法後の対等協力の関係を基本とする国と地方との新しい関係を損なうことにはならないというふうに認識しております。
  24. 木村仁

    木村仁君 国民緊急事態に対応する法制でありますから、地方自治という立場からも弾力的な考慮をお願いをいたしたいと思います。  防衛庁長官にお尋ねいたしますが、自衛隊法百三条第一項ただし書に長官都道府県知事がやるべき仕事を直接やってよろしいという規定がございますが、これは従来どういう、従来は運用されていないと思いますけれども、どういう形で運用されるんでしょうか。
  25. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 先生今御指摘のように、自衛隊法百三条、一度も運用されたことはございませんが、この法律考え方を申し上げますと、自衛隊法百三条第一項によりまして、都道府県知事が処理することとされている事務は法定受託事務なので、同項に定める要件を満足しているにもかかわらず都道府県知事が要請に従った処分を行わず公益を害していると認められる場合には、内閣府の長としての内閣総理大臣は、地方自治法第二百四十五条の七に規定する是正の指示、あるいは同法第二百四十五条の八に規定された代執行の措置を取ることができるものと考えております。  しかし、この地域は同時に、百三条第一項にこの措置を取る地域を定めているわけでございますが、この地域は自衛隊の行動に係る地域でありまして、現に戦闘行為が行われている、あるいは将来戦闘行為が行われる可能性があると認められる地域でありますから、物資の収用等の処分を緊急に行う必要性が高いと考えられます。  一方で、住民避難等に忙殺されるなど、都道府県知事が自衛隊の要請に迅速にこたえることが困難な場合もあることが考えられますことから、事態に照らし、緊急を要すると認めるときは、地方自治法の規定にかかわらず、都道府県知事に通知の上、防衛庁長官等が自ら権限行使をし得るものの規定を設けているものでございます。  この必要がない自衛隊法百三条第二項に定める地域は、戦闘行為などが行われていない安全な地域であることから、第一項ただし書きによるような規定は設けていないところでございます。
  26. 木村仁

    木村仁君 ひとつ、法の整備のときに、実際にどういう運用されるかということも考え、研究をしながら進めていっていただきたいと思います。  最後にいたしますが、海上保安庁の予算について一言発言をいたしておきたいと存じます。  海上保安庁の平成十五年度の総予算は千六百八十九億円、そのうち装備を充実する費用は百六十四億円ということでございます。他の分野と比べてみますと、自衛隊はほぼ五兆円の予算を一年間で使います。警察は、国、地方合わせれば三・七兆円であります。消防は、消防庁長官がおられるあそこは三百億ぐらいしか、わずかしか使いませんが、地方でたくさん使っておりますので、一・九兆円、二兆円近いお金を使っている。海上保安庁は千六百八十九億円でございます。そして、これがアメリカよりも二倍もある海岸線を、そして経済的水域でもアメリカの半分以上ある水域を担当しております。人間はわずか一万二千人、そして言うなれば一番危険の多い仕事に日々従事している。  自衛隊ももちろん毎日毎日危険な訓練を繰り返して非常時に備えておられるわけでありますから、私は文句を言うわけではありませんが、余りにも格差があり過ぎはしないかと。そして、富山の不審船から今度の九州の不審船までに銃撃の技術が非常に発達して、的確な威嚇射撃ができるようになりました。しかし、これに対しては、まだまだあのロケット砲が当たったら恐らく巡視船は沈没したのではないかと言われております。  もう少し焼け太りの精神で、ああいう事件が起こったら予算がどんと増えるようなことがこの分野であってもいいんじゃないかなという感じを持っておりますが、一言で結構ですが、次長さん見えているんですが、一生懸命予算要求していますか。
  27. 津野田元直

    政府参考人(津野田元直君) お答え申し上げます。  私どもの努力ということもありますけれども、財政当局などの御理解もいただきまして、十四年度補正予算と十五年度予算におきましては、厳しい予算状況の中、不審船、工作船対策といたしまして、十四年度当初予算と比較して二・六倍の合計百七十一億円の船舶建造費と、それから巡視船の防弾対策費などを認めていただいたところでございます。  今後とも、海上における治安維持あるいは安全の確保というのは私どもの使命でございますので、これらの使命を果たせるように装備あるいは組織、予算の確保の面におきまして最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  28. 木村仁

    木村仁君 最後に、要望でございます。自衛隊も、不審船等の事態においては、気軽にと言うといけませんが、迅速に海上警備活動を下令していただくようにお願いを申し上げまして、終わります。
  29. 山本一太

    山本一太君 自由民主党山本一太でございます。  やっと質問の順番が回ってきました。私の持ち時間四十分で、ちょっと少ないと思っていますが、当然のことですけれども委員会の質疑というのはいつも真剣勝負ですから、本気でやらせていただきますので、両大臣にもいつものように気持ちの入った御答弁、お願いしたいと思います。  今日は、最初に、防衛庁長官に御質問しようと思ったんですが、大変申し訳ないんですけれども、順番を変えさせていただきたいと思います。  有事立法はどういうものかというふうに考えてみますと、日本の外交戦略上、国家戦略上の観点から考えると、有事立法というのは抑止のメカニズムだというふうに言えると思うんですね。これは我が国がほかの国に武力攻撃を受けるという最悪の事態に対する備え、この抑止のメカニズムに魂を入れる作業が私はこの有事立法有事法制だと思っています。  日本の安全保障に対する最大の脅威は北朝鮮だと思います。私はいたずらにこの北朝鮮の脅威を喧伝するつもりはありませんけれども、日本の安全保障を考えたときに最も深刻な問題が北朝鮮問題であるということは、これは言をまたないと思います。  今日は、外務大臣に、ちょっと順番を変えて御質問させていただきたいと思いますが、この日本の安全保障にとって極めて重要な意味を持つ対北朝鮮政策の政策決定プロセスにやや不正常な面があるんではないかと、そういう問題意識を持って外務大臣に何問か御質問させていただきたいと思います。  私は、あえてこの問題にスレッジ、項目を立てさせていただきたいと思っています。田中均外務議官問題というふうにさせていただきたいと思います。  これは別に田中審議官を個人的に攻撃するとか中傷することが目的じゃありません。通常、外務省の官僚の一人が日本の国益を左右するような決定に直接加わるあるいは影響を及ぼすということはありませんから、通常そんなことに目くじらを立てるような私は政治家ではありません。しかしながら、今回の問題はそれだけにとどまらない、このケースは私は違うと思っています。  それは、日本の安全保障にとって極めて重要な対北朝鮮政策の政策決定プロセスにおいて、この田中審議官の言動、行動というものは、この政策決定プロセスの健全な機能というものをゆがめているんじゃないかと、国益を損なっているんじゃないかという懸念を私は持っています。  もう一つは、あの、川口大臣大臣になられてから大変苦労された外務省のスキャンダル、特に鈴木宗男代議士の問題で政と官の役割ということが世に問われました。私は、この田中審議官の問題というのは、また別の次元で政と官のあるべき役割は何かということを投げ掛けていると思っておりますので、そういう意味合いから質問させていただきます。  別に個人的に何の恨みもありませんし、悪い感情も持っているわけではありませんけれども、そこはこういう意図で御質問するということをまず大臣に分かっていただきたいと思います。  さて、先般の日米首脳会談は、私は歴史的な成果があった会談だと思っています。今回のこの成果を出すに当たっては川口外務大臣も大変御努力をされたと伺っています。ほかの外務大臣になかったパウエル国務長官との人脈を使ったり、様々水面下で、表面的に、あるいはその見えないところでこの会談の成功のために大臣が汗をかかれたということを伺っておりまして、それについては敬意を表させていただきたいと思います。  ただし、この日米首脳会談のこの成果、いろんな結果をめぐる報道の中でちょっと気になることがありました。それは、もう御存じかもしれませんが、幾つか五月二十七日の各紙の報道をちょっと昨日チェックしてみたんですけれども、御存じかもしれませんが、日米首脳会談で、北朝鮮に対しては対話と圧力でこれは対峙するというふうに小泉総理とブッシュ大統領との間で決まったと、そのことを同行した田中外務議官がプレスに対するブリーフィングの資料から削ったということが報道されています。これ事実だとすると、明らかに官僚としての役割を越権していると思いますが。  まず、簡潔に答えていただきたいと思います。大臣、これ事実ですか。それとも事実ではありませんか。
  30. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 日ごろ御尊敬を申し上げております山本先生から非常に気合の入った御質問でございますので、多少気合を入れてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、まず、基本的に事実か事実でないかというお問い合わせございまして、これは通常申し上げていることは、こういう部内のやり取りについては申し上げないということであります。  したがいまして、今から申し上げる一言を除いては、今後これについて、事実関係を云々ということについて詳細なことを申し上げるつもりはございません。  その上であえて申し上げますが、それは事実ではございません。
  31. 山本一太

    山本一太君 今、外務大臣が、それは事実ではございませんということを私はしっかり受け止めました。私が調査したところでは、事実だというふうに私は信じています。  これは、今、内部の話が外に出るのは問題だとおっしゃいました。そのせりふは、どこかで聞いたことがあるせりふです。私が外務委員会の理事をずっとやっていたときに、田中眞紀子外務大臣の問題がありました。田中大臣のいろんな言動、行動について問題があるときに、情報が出た。田中大臣が、こういうことが外部に出ることが問題だというふうにおっしゃったのを私よく覚えていまして、これは、もちろんそれは外部に出ることはいいことだとは思いませんけれども、その事実の内容が問題なんであって、こういう話が外部に出るのはおかしいという議論は、私はピントが外れているというふうに思っています。  まず、大臣は事実ではないとおっしゃいましたが、それを踏まえて申し上げますと、事実だとしたら、私は事実だと思っていますけれども、まず第一、この情報公開の時代に、日米首脳が合意したこと、特に今回のブッシュ・小泉会談では根幹になるような北朝鮮に対しては対話と圧力で臨むということを合意したのにもかかわらず、それを外で発表するときに圧力を抜くという、こういうことを考える、私ははっきり言って思想が理解できないんですね。これについて大臣、どうですか。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
  32. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は、中での議論というのは、自由に濶達に、だれにも遠慮することなく、いい外交政策を作るために行われるべきであると思っています。それを私は外務省の意識改革の中で、どんどん、もっともっと育てていきたいと思っております。  したがいまして、それに何らかの形で影響を与えるようなこと、だれが何を言ったというような議論というのは、それがそういうことにつながりますので私はやるべきではないというのが基本的な考え方であります。  それで、あともう一つ、一般的に申し上げさせていただきますと、両首脳、あるいはそれは外務大臣同士ということでもそうだと思いますけれども、この議論というのは非常に大事な議論でありまして、特にブッシュ大統領と小泉総理は個人的にも大変にお互いに尊敬をし合い、そして親しみを持っている仲ですから、自由闊達に腹蔵なく、ほかの人が言えないようなことも言っていただきたいと思っています。  ですから、一般的に、そこで出たことを全部外に言わなければいけないということではないと思います。また、そういうことであっては両首脳の自由な議論ができないということにもつながるだろうと思っております。
  33. 山本一太

    山本一太君 大臣が、この田中均外務議官がブリーフィング資料から圧力という言葉を除こうという、除こうとした、ブリーフィング資料から削ったと、そのことは事実でないというふうにおっしゃった。これはもう大臣言葉としてしっかり受け止めましたから、大臣は事実でないとおっしゃったわけなんですけれども。  大臣、私は別に、外務省の中で活発な議論があってもいいと思いますよ。私は、外務官僚が語ったっていいと思いますよ。  ただし、ただし一人の外務官僚が、例えばこういう問題について、総理とかあるいは外務大臣に対してアドバイスをする、政策の選択肢を提示するというところまでいいです。もしこれが事実だとしたら、明らかにこれは政と官の役割を勘違いしているということを言いたいんです。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  これ、何で私がこの問題をわざわざ田中ヤスシ、ヤスシじゃない均、外務議官問題、ヤスシさんがいたら失礼しました。外務議官問題として取り上げようと思ったかというのは、これは伏線があるんですよ。  私は、小泉訪朝前後から、この外務議官の言動をずっと見てきました。最初に訪朝が行われた後に、一々細かいことは言いませんけれども、訪朝が行われた後に、「クローズアップ現代」という番組がありました。そこにその田中審議官のインタビューが出てきて、とうとうとしゃべっておられたんですね。  そのどこの部分ということは一々言いませんけれども、まるで北朝鮮問題については全部自分が線を引いて、道具立てをして、そこに小泉総理が乗っかったという意識がもう随所にかいま見て、正直言いますが、私、不愉快でした。それでも、まあいろいろと外交官としての使命感を持ってやったんだと、やったんだろうと思って外には言いませんでした。  その後、実はこれ二〇〇二年の九月十五日なんですけれども、朝日新聞の「ひと」という欄がありますよね。ここに、田中均さんとなっていますが、この方が取り上げられたんです。タイトルが日朝首脳会談に道筋を付けた外務局長、「ひと」、いろいろ書いてあります。ここで取材した朝日の記者によればこう書いてあります。「秘密保持のために、情報は最小限の関係者にしか教えない。報道陣にも「国益のためならウソをつく」と言ってはばからない。一匹オオカミの戦略家──。省内の人物評はこれに尽きる。」というふうに書いてある。その後、田中さんの言葉として、「北朝鮮としても、会談を失敗させられない状況をつくってきた」と言っている。さらには「いま、外交官として、本当に面白いと思っている」と。  外交官が、外務官僚が発言するのはいいです。でもですね、大臣、これ大臣が言うんだったら、私、いいですよ。一外務官僚がですよ、外務議官がですよ、総理が政治生命を懸けて決断してやってきたこの訪朝について、「北朝鮮としても、会談を失敗させられない状況をつくってきた」、こういうことを言うことは私はいかにも不遜だと思います。これ、よくこれ外務大臣の許可なくこれが出たなというふうに思っているんです。それでも私は外には言いませんでした。何人かの親しい外務官僚に言いました。これは我々の世代の間では非常に評判が悪い、これは田中さんに言った方がいいですよ、これは勘違いしていますよと言ったんです。でも外では言いませんでした。  そしたら、さらに今度は、この朝日新聞のヒーローインタビューに続いて、ちょっと看過できないことが起こったんですね。これ、五月二十三日の朝日新聞、これをごらんになったかもしれませんが、評論家の田原総一朗氏と外務議官田中均さんと書いてありますけれども、対談があります。北朝鮮問題をめぐっての対談です。この中にこういう一節があるんですね。大臣、聞いてください。「過去の北朝鮮への制裁は問題解決につながっていない。」と言っています。これ、私さっきも言いました。外務官僚が物を言っちゃいけないとは言いません。しかし、日本の国益を懸けた北朝鮮問題がこれだけ深刻な状況になっているときに、朝日新聞という非常に社会的に影響力のあるメディアで一人の外務議官がこんなことを言っていいのか。これ大臣許可したんですか、ちょっと答えてください、このことを。
  34. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 幾つかのことを言われたので幾つお答えしたいと思いますが、まず……
  35. 山本一太

    山本一太君 いや、もうこれを大臣許可されたかどうか。
  36. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) それは、そういう意味では、外務省内の手続を取って、きちんと取っております。これのもし中身が必要でしたらば、それは別途だれか政府参考人がいると思いますので、お答えをさせます。
  37. 山本一太

    山本一太君 余り外務大臣を追い詰めるようなことはしたくないんですけれども。  これは部会でも問題になりました。私は、最初の「クローズアップ現代」でも我慢して、朝日のヒーローインタビューも我慢して、普通だったら一個人のパーソナリティーを一々攻撃するのは政治家としても余りいいことじゃないと思ったし、やりたくなかった。でも、これだけは看過できないと思ったから、自民党外交部会で発言しました。  茂木副大臣がいました。茂木副大臣に言いました。これね、朝日新聞のこの大きな対談記事で外務議官が言ったことは普通の人が見たら外務省の立場だと思われますよ、中の決裁取っているんですか、茂木副大臣、これ外務省の考えですかと言ったら、茂木さんは違うと。これは外務省の考えとは違うとはっきりまず茂木さんが言いました。さらに、高村さんという、尊敬する政治家の一人ですけれども、元外務大臣が手を挙げて発言をされました。私は、過去の対北朝鮮政策について圧力とか制裁の部分というのは弱かった、あるいはなかったと思っていますが、高村元外務大臣は、いや制裁にはいろんなことがあって、自分たちの時代にもいろんなことをやってきたんだと。また、これは違う見方ですが、そういうことがあって北朝鮮がいろいろと譲歩してきたこともあったのに、こういうことを軽々に言ってほしくないというふうに高村元外務大臣がおっしゃったんですね。私、茂木大臣、茂木副大臣に言いました、厳重に注意してくれと。  今、外務大臣は、これは省内の手続を経たと言っておりますが、これは外務大臣の許可を取ったのかどうか。大変僣越ですが、私が外務大臣だったら絶対こんなこと許しませんよ。どうですか。
  38. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 省内の手続を取ったという意味は、これはインタビューでございますので、インタビューの場合は、外務省で報道官組織というのがございますが、そこに届けて、そこに、問題があればそのときにノーということはあり得ますけれども、届出、きちんきちんと届出がなされているということであります。  外に書くものを出す場合には、書く内容が事前に分かっていますからそれを決裁取りますけれども、インタビューの場合には、事前にこれを聞くとかあるいはこれを答えるとかいうことについての決裁を取ることはできませんが、これは外務省の基本的な物の考え方を踏まえて発言をするということになっておりまして、そのときの田中外審のおっしゃったことについては、経済制裁に意味がないということを言ったわけではなくて、小泉訪朝、これはそういうことがなくてそういうことが起こったということでもありまして、逆にアメリカは今まで経済制裁をいろいろやっているけれども、それにもかかわらず核保有の発言とか核を保有しているとか、そういうことがあったわけで、そういった経済制裁に関連してのいろいろなことを申し上げたということだろうと私は理解をしています。  何分にもこれはインタビューでして、それがどういうふうにまとめられるかということについてまでチェックができるわけではないということでございます。
  39. 山本一太

    山本一太君 大臣は、この細かい、恐らくその文言についてはチェックをされなかったということだというふうに私は取りましたけれども、じゃ大臣、茂木副大臣にも申し上げましたが、ここで申し上げますけれども、厳重注意していただけますか、これは。これは、部会でもこれだけ与党の議員から異論が出ています。それは、私は、田中さん個人の、前も言ったように、外務官僚としての使命感とか、そういう能力とか、そういうことに一々疑義を挟んでいるんじゃありませんけれども、これは官僚としてののりを完全に越えているんですね。  これ、じゃ大臣、問題になった後、呼んで注意されましたか。
  40. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 田中外審からは、この後話を聞いております。そして、こういった場で発言を、特にインタビューの場合には、自分で書いたものと違いまして自分で文章をコントロールできるということではない、テレビもそうですけれども、ということを踏まえて十分に発言した方がいいわねということは言っております。  それからもう一つ、政と官の関係について、これは時代の流れとともに私は政と官の関係、非常に変わってきていると思いますし、今も変わりつつあると思います。官僚が選択肢を提供して政治層がそれを決めるということについては全く委員のおっしゃるとおりで、したがいまして、北朝鮮の問題につきましては、これは本当に総理が非常に厳しい決断をなさった話であります。外務省の官僚は、総理、この北朝鮮の問題について官邸と十分に相談をしながら、総理あるいは外務大臣に決裁を仰ぎながらこれは進めていることでございます。
  41. 山本一太

    山本一太君 今、外務大臣、いろいろ御説明されましたが、結論としては別に注意もしていない、おとがめもしていないと。与党の方からこれだけいろんな批判が出ている、そのことについて、田中審議官を呼んで、特にこれについて、説明を聞いたとおっしゃっていますけれども大臣の方からこれは少し控えるようにという話もないということだと思うんですね。
  42. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) したと言ったんですけれどもね。
  43. 山本一太

    山本一太君 注意したということですね、注意した。もう一言で結構です。
  44. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) そういうことをしたという意味で申し上げたわけです。
  45. 山本一太

    山本一太君 はい、分かりました。  もう一つ、これに、この田中審議官問題についてお聞きしたいことがあります。  田中審議官は、北朝鮮に対して特別のパイプを持っていると言われています。新聞とかテレビの報道によると、ミスターXとかいう話になっているそうなんですけれども、このミスターXのパイプについて外務大臣は御存じですか。御存じかどうかだけお答えください。
  46. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 知っております。
  47. 山本一太

    山本一太君 外務大臣はこのパイプを知っているということですね。  今日は何人か外務省の局長おられますけれども、北米局長にちょっとお聞きしたいと思います。  北米局長は、この田中審議官と北朝鮮との間にあるパイプ、これがどういうパイプで相手がどういう人かということを知っていますか。どうですか。
  48. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 私は存じません。
  49. 山本一太

    山本一太君 条約局長は知っていますか。
  50. 林景一

    政府参考人(林景一君) 私も具体的には存じません。
  51. 山本一太

    山本一太君 これは、矢野副大臣、矢野副大臣、御存じですか。一言で結構です。
  52. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) 私も残念ながら存じ上げていないんです。ですから、事の重大性というものを私もかんがみながら、近々の動向について、今夕帰ってくるというふうに聞いておりますから、本人が、明日、私と時間調整して事実関係を聴取したいと、こう考えております。
  53. 山本一太

    山本一太君 外務大臣がこのパイプを知っているということを聞いて、少し私は安堵いたしました。北朝鮮問題というのは、一人の官僚がパイプを独占して交渉するような話じゃありません。北米局だって関係あります。条約局だって関係あることなんですね。これ、もし官僚として答弁されているので、知っているのに知らないと言っているならともかくとして、もし全く知らないとすると、私、ちょっと異常な状況としかやっぱり思えないんですね。  これ、私がこういうことを言うのはどういうことかといいますと、このパイプが一体どういうものなのか、私自身もいろいろと調査をしました。もちろん外交機密として言えない部分もあるかと思いますけれども、この人脈というものは、これは田中審議官個人が作ったものなのか、それとも、今日アジア局来ておられますけれども、アジア局で作ったものなのか、ちょっとアジア局長お答えください。
  54. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これはもちろんアジア大洋州局として作ったものでございます。
  55. 山本一太

    山本一太君 そうすると、薮中局長はこのパイプも相手も知っているということですね。
  56. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) もちろん知っております。
  57. 山本一太

    山本一太君 私は一々これがだれかということはお聞きするつもりはありません。  ただし、どうもずっと報道を見ていると、これはもう何かまるで田中外務議官の個人的人脈みたいに報道されている。これは、今、局長が知っているとおっしゃったように、分かりません、詳細は。はっきりしていることは、どうも向こうから言ってきたらしいということ。それから、アジア局の前の局長が作って、それを組織として田中審議官に下ろしたということだと思うんですね。  それが、じゃ、田中審議官のパイプは、これは薮中局長に下りているということですね。
  58. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今申し上げましたように、局としての対応をしておりまして、外務省全体としての対応でもありますけれども、私も十分関与しております。
  59. 山本一太

    山本一太君 昨日ちょっとテレビを付けてみたら、夜の報道番組でこのミスターXのことをやっていました。私が五年前に韓国の政治家との次世代交流を始めて以来ずっとお世話になっている、朝鮮半島問題の専門家である重村智計教授が出てきて、ミスターXは実は日朝首脳会談のときにいたと。どうもこれはジュネーブにいた外交官で、フランス語が流暢で、ちょっと服のセンスもいい人らしいと。全く分からないけれども国防委員会の事務局のナンバーツーらしいということを、重村さんはそうおっしゃっていました。もちろん外交当局は否定しているということだったんですけれども。  もう一つ、じゃ、これ、お聞きしたいと思います。大臣に聞いたらいいのか、それとも北米局長か、条約局長に聞いたらいいのか。大臣にお聞きしたいと思うんですが、この田中局長がやってきたという水面下の交渉は、これは記録に残っていますか、何らかの。
  60. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私自身はそういうコンタクトのたびに報告を聞いておりますが、文書になって記録があるかないか、そういったことについては、細かいことについては申し上げるのを控えさせていただきたいと思います。
  61. 山本一太

    山本一太君 北米局長、こういう記録があるということを聞いたことありますか。見たことありますか。
  62. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 私は見たことはございません。
  63. 山本一太

    山本一太君 条約局長、見たことありますか。
  64. 林景一

    政府参考人(林景一君) ございません。
  65. 山本一太

    山本一太君 総政局長、このメモ、記録、何らかの記録に触れたことはありますか、内容は結構ですから。
  66. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  口頭あるいはメモ等によって接したことはございます。
  67. 山本一太

    山本一太君 口頭、メモ等によって接したことがあると言ったんですか。ちょっと今、確認ですけれども
  68. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) そのとおりでございます。
  69. 山本一太

    山本一太君 これは外務大臣も事の性質上細かくは申し上げないというお話だったんですけれども、私が知る限りではほとんど残っていないと思うんですね。  総政局長はメモ又は口頭でとおっしゃいました。確かに外交交渉の中にはメモに残さない部分もあります。でもこれは、これは総政局長、日本の、日本という国の安全保障にかかわる問題ですから、これが、一個人のパイプじゃありませんから、国を背負って交渉しているこの交渉が何らかの形で記録に残っていないとしたら、これは異常ですよ。例えば十年後、二十年後にこの北朝鮮政策を検証するときに、コアの部分が、ある個人の人脈、やり取りによって行われていて、それがちゃんと記憶に、記録に残っていないということになると、これはもう異常事態だと思います。答弁、結構です、時間ないですから。気持ちだけ、もう。──いいですよ。短く言ってください。
  70. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 西田局長、短く。
  71. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 私がお答えしましたのは、記録があるかないかということを申し上げたのではなくて、私個人が要するにミスターXなる者とのやり取りについて今まで承知したことがあるかどうかという御質問だったものですから、口頭で外務議官から聞いたこと、あるいは必要に応じてメモを見たことがあるというふうに申し上げておるところでございます。
  72. 山本一太

    山本一太君 そんな西田局長、官僚みたいな答弁しないでください、官僚だからしようがないけれども。別に西田さんが、西田さんが記録がないなんて言ったって、言っていませんから。官僚だから官僚答弁でしようがないのかもしれませんけれども。私がそういうふうに判断していると申し上げたんですから、別に西田総政局長の責任においてそれを取ったわけじゃありませんから御安心ください。  大臣、私は正直申し上げますが、非常にこの今北朝鮮政策に対する政策決定プロセスというのは正常な状態じゃないと思います。私は大臣に御要望申し上げたいのは、今の状況を変えてもらいたい。  私は前も言ったように、外交官が外でしゃべってもいい、いろんな道具立てをやるのはいい。だから、まず、こんな北朝鮮問題という日本の国益を懸けた問題を、一人の外務議官があれだけの重みを持って、個人的なパイプかのようにつないでやっぱり政策決定に影響を及ぼしているということはリスクが高過ぎると思います。で、ほとんど聞いたことがない、北米局長も条約局長も全然聞いたことがないというパイプで物事を判断するということは非常に私は危ないと思います。  少なくとも、やっぱりちゃんと複数のパイプを作っていただきたいと思いますが、そこら辺いかがですか。
  73. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 私は、日本の北朝鮮に対する政策が不正常な形で決定されるとは、されているとは全く思っておりません。  委員がおっしゃられるように、情報、これについては複数の情報ソースから取っていくということについては外交上の当然のことでございまして、北朝鮮についても我が国はそういうふうにやっております。その上で、内容についてはいろいろな情報を精査をし、アジア局あるいは総政局等でいろいろな考え方については整理した上で、プロセスを経て大臣に上がり、そして官邸とも御相談をして、最終的には、これは重要な、総理が自らかかわられたことですから、そういうことで決定をしていると、非常に正常であると思っております。
  74. 山本一太

    山本一太君 これは一人の国会議員として申し上げますが、私も一生懸命外交政策に七年間かかわってきましたけれども、私は正常じゃないと思います。  最後に一言だけ外務大臣に御要望申し上げて、この件は終わらせたいと思います。  まず一つは、もう少し、(「やれよ」と呼ぶ者あり)いや、いいんですよ、別に、これで終わりなんですから。一つは、複数のパイプをちゃんと作るということの大事さ、やっぱりもうちょっといろんなところから情報が入ってこなければ政策決定プロセスにおいてリスクが大きいということが一つあります。  それから、やっぱりこれ、北から、北朝鮮に交渉相手を選ばせていると。北は向こうから交渉相手を選んでいる。向こうのゲーム、ルールのゲームをやるということも、これもやっぱり私は外交戦略上マイナスが多いと思っています。  それから、もし一人の人間のパイプから例えば暴発するとかリスクがあるとかいうことばかりが入って、それがかなり外交政策に大きな影響を与えるとすると、これはやはり、このブッシュ大統領と小泉総理が合意をした外交と圧力のこのアプローチというものをやっぱり低下させる危険性があるというふうに思っています。  ですから、外務大臣に御要望申し上げたいのは、是非こういう現状を変えてもらいたい。少なくとも、複数のパイプを作るかあるいはちゃんとパイプを再構築していただきたいということを申し上げて、この件はあれさせていただきたいと思います。  もう答弁、結構です。あと防衛庁長官にお聞きしたいので、結構です。──じゃ、一言でお願いします。
  75. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃったとおり、先ほど私が申し上げたのは、複数のパイプを持っておりますということを申し上げたわけです。  委員のおっしゃっている外交政策の作り方、みんなでそこを精査をし議論をする、複数、いろいろな情報がございますので、田中外務議官の情報はそのソースの一つであるということでございます。その上で判断をしております。
  76. 山本一太

    山本一太君 正常なプロセスということですけれども、一人の外務官僚が大メディアに出て、北朝鮮に対する制裁は効果を生まなかったとか、あるいはヒーローインタビューに出て、北朝鮮には絶対交渉させるやり方でやってきたとか、そういうことがどんどん外に出て、それが外務省の政策かのように受け取られることが私はとても正常だとは思えませんので、そのことだけは申し上げたいと思います。  防衛庁長官、大変お待たせをして申し訳ありませんでした。最初に御質問を申し上げようと思ったんですけれども、先ほどもちょっと触れましたが、防衛庁長官に改めてひとつお聞きしたいと思うんですね。  この有事法制というものは、日本の外交戦略上、国家戦略上どういう意味があるのか。これは改めて原点に戻った話なんですけれども、石破長官の中ではどういう位置付けなのか、それについて一言見解を伺いたいと思います。
  77. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私は、この有事法制というのは、当然のことですが、国民保護する自衛隊が整然と行動する、これを内容といたしております。それは、私は外交的には抑止力としての位置付けだというふうに考えております。  それは、有事法制がないままですと、自衛隊はいろんな法律の制約があって動きにくいということがあります。そして、国民保護法制がありませんと、有事の場合に国民がどこでどうやって避難をしていいのだか全く分からないということになります。  これは、私は、いつもそれは相手の立場に立って物を見なきゃいけないと思っているのですが、どことは申しませんが、日本に対して決して好感を持っていない国が仮にあったといたします。その国の目から見て、いざ日本に何か仕掛ければ、自衛隊は整然と行動はできないわ、国民は阿鼻叫喚、右往左往、どうしていいか分からないわという状態が起こることが見て取れれば、それでは乾坤一てき、一丁やってみようかという誘惑を助長することは十分あり得ることだろう。逆に申し上げれば、日本に対してそのような攻撃を仕掛けても、自衛隊は整然と行動し国民は迅速に避難をしということであるならば、それは攻撃を仕掛けても意味がないということで、それを自制する方向に行くだろう。  いずれにしても、私どもが持っております防衛力や防衛法制というのは抑止のためにあるのだというふうに私は信じております。
  78. 山本一太

    山本一太君 大変明快な御答弁だと思います。私も、長官のおっしゃるとおりだと思います。  日本にはどうも平時と有事の間がないというふうに思われていますけれども、例えば、対話と圧力のうち、私は行け行けどんどんじゃありませんから、例えば北朝鮮に対しては対話はもちろん必要だ、米朝が切れたままでどんどん経済制裁に行くということは日本にとってもリスクがあると思っています。ただし、圧力とか制裁の部分がちゃんとなきゃいけないと。何か圧力を強めるとそのまま戦争に行くかのような議論がありますけれども戦争したいなんて思っている人はだれもいませんから、平和的解決のために抑止が必要なんだというふうに思っています。  大臣おっしゃったように、抑止には恐らくいろいろあるだろうと。それは、軍事力もあるだろうし防衛力もあるだろうし経済力もあるだろうし、今はやりのソフトパワー、その国の生きざまとか哲学とかあるいは文化とか、こういうことも抑止の一環ではないかというふうに思っています。  幾つ質問したいんですが、あともう四分で終わりなので、最後に防衛庁長官に対する私の気持ちを申し上げて終わらせていただきたいと思うんですが、私は、この間、毎日新聞の記事を読みました。これは石破大臣の特集で、「「人間・石破茂」に迫る」ということだったんですね。「国防のトップ」、「あまりオタクって言われるんでめげる。ネオコンって言われるのも。私はネオのつもりなんてない。コンサバティブではあるけど」と書いてあります。この中に、キャンディーズは今でも全曲歌えると書いてあるし、プラモデルは何よりも凝っていると書いてあります。  私は、別にキャンディーズを歌えるからじゃなくて、七年間政治家をやってきましたが、石破大臣みたいな大臣は見たことありません。何を見たことがないかというと、ずっと七年間、ここに座って審議に参加して大臣の答弁を聞いてきましたけれども、やっぱり大臣が担当されている安全保障、防衛分野、これだけ知識が広くて見識の広い大臣見たことありません。もうピカ一だと思います。もう答弁で、私はもう率直に言いますが、個人的な支持からお世辞言うわけじゃないですけれども、大変勉強させていただいています。  大臣が閣僚になる前に、去年二人で議論したのをちょっと思い出しているんですけれども、やっぱりどんなに政治プロセスが良くなっても、やっぱり基本的には閣僚にいい人が行かないと駄目なんだと、適材適所の人事をやらなきゃ駄目なんだということを大臣議論しました。そのときに、一つぐらいは小泉総理に言って自己申告制のポストを設けたらどうだと。例えば、私は、阿部筆頭理事だったら厚生大臣やりたいとか、自己申告をやって、自分が大臣として何をやりたいかということを話した上で、それを国民の前でディベートして決めるというやり方をやったらどうかという話をしました。そのときに石破大臣防衛庁長官にアプライすると言っておられて、私も、僣越ですけれども外務大臣か副大臣ぐらいにアプライしようというふうに言いました。  その大臣が今、大臣になってこれだけ活躍をされていると。やっぱり政治家というのは適材適所になればこれだけの答弁ができると。私、外務政務次官のときに安保でいろいろ自由に答弁しようと思ったけれども、できませんでした。やっぱり大臣が活躍することは、小泉内閣ではようやく普通になってきた適材適所、能力によって閣僚を選ぶというそのトレンドを進めることになると思いますので、是非頑張っていただきたいと思います。はい。  いや、これでちょうど四十分ですから、約束の四十分になりましたから、大臣の御活躍をお願いして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  79. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  80. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  今日は、まず最初に、日米安保体制は今どういう段階にあるのかということに関連して論議をしたいと思います。  一九九六年の安保共同宣言、それから新ガイドラインを受けて、安保体制、私は新ガイドライン安保体制と呼んでいますけれども、これは今や、一九六〇年の日米安保条約締結当時に言われたことと大きく様相が変わったものになっております。周辺事態法とそれに続く武力攻撃事態対処法案は、その体制を具体化したものであり、極めて安保体制が従来と変わったことを何よりもはっきり示すものだと思っております。  一九六〇年の安保国会で岸首相らは、安保は専ら日本を守るための条約であり、あくまで日本の平和と安全を確保するためのもの、日本の自衛隊がいかなる場合においても領土外に出て実力を行使することはあり得ないなどと述べておりました。しかし、安保共同宣言でアジア太平洋安保化を打ち出し、新ガイドラインで周辺事態での日米共同対処を打ち出し、安全保障面での地域的な及び地球的規模での諸活動を促進することがうたわれるに至りました。周辺事態での日米共同対処を取り決めたこういう日米安保条約は、それまでと全く異質の安保になっていると私は思います。  安保共同宣言発表後、橋本首相は、日米安保条約は日本の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安全を維持していく上で極めて重要な枠組みであると、こう述べております。さらに、周辺事態法では、日本の周辺で行うアメリカの戦争に、日本が武力攻撃を受けていない下で、後方地域支援という形ではありますが、自衛隊を参加させる、そして、それと連動する武力攻撃事態法案が今、国会で審議されており、これによって日本の戦争態勢が整えられようとしていると、私はそう思っております。  専ら日本を守るための安保ではなく、今やはっきりとアジア太平洋安保、周辺の安全保障に責任を持つ安保になってきた、これが新ガイドライン安保だと私は思っております。政府は、安保条約の目的の枠内の協力だと言いました。安保条約は、五条でも六条でも、日本の領域外での米軍に自衛隊が協力する取決めはありません。安保の目的の枠内ということになると、一体どこまで安保に基づく日米協力、自衛隊の行動範囲が広がるか、私は歯止めがないと、そう考えざるを得ません。安保の目的ならどのような自衛隊の協力もあり得るのか、その歯止めはどこになるのか、これは外務省か防衛庁か、どちらかお答えください。
  82. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 今の一九九六年の日米安保共同宣言でございますけれども、これは確かにアジア太平洋に言及しているわけでございますけれども、これはアジア太平洋における平和と安定というものに日米安保体制がその安定要因ということで作用をしているという両首脳間の認識を述べたものでございまして、日米安保条約の対象というものがアジア太平洋地域全体に広がっているということではないということでございます。  それから、周辺事態安全確保法でございますけれども、これは御審議をいただきました国会におきましても何回か政府の方から答弁いたしたところでございますけれども、これは日米安保条約の目的の枠内であるということでございまして、日米安保条約の目的というのは、言うまでもなく、我が国及び極東の平和と安全の維持ということにあるわけでございまして、我が国の平和に重要な影響を与える事態である周辺事態に対応するこの法律というものは、当然のことながら日米安保条約の目的の枠内にあるということで、このことは、法律の一条におきまして日米安保条約の目的の達成に寄与するということが明記してあることからも明らかでございます。
  83. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日米安保体制がアジア太平洋の安定に寄与するというだけじゃないんですね。私、さっき読み上げました橋本首相の当時の発言というのは、閣議決定に基づく文書の中で、日米安保条約は日本の安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安全を維持していく上で極めて重要な枠組みでありますと言っているわけでして、これは、六〇年安保当時の専ら日本の安全、あるいはあくまで日本の平和と安全のみだというふうに言ったこととは大きく様相を異なるものであります。  そして私、今北米局長言いましたけれども、目的の枠内だという答弁はこの間いただいているわけでして、その目的の枠外だと言えば、その条文にない自衛隊の協力がどこまで広がるか、そのことが心配されるから言ったわけであります。これは私は、それ以上条約局長も、条約局長じゃない、北米局長も言えないかもしれませんけれども、安保が条文に基づかないで目的の枠内だということで条約が運用されるようになるということは、私は本当に歯止めがなくなって、極めて危険な運用の可能性を持つものだと言わざるを得ません。  私、民主党にもお伺いします。  日米安保体制のこういう変化、現在の到達点、どのようにお考えになっていますか。
  84. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 委員が御指摘部分については、若干共有を、意識を共有する部分がございます。  この周辺事態法を作るとき、あるいはその前のガイドラインのときに、私は衆議院の本会議質問をいたしましたけれども、正に今、委員が御指摘をされたように、条文に基づかない協力というものが本当にあり得るのか、そして条約そのものの目的の範囲内ということで個別的な法律を本当に作っていいのかという疑念は私は今でも持っているところであります。  また、今回の審議あるいはイラクへの攻撃の議論の中でも、例えば事前協議の仕組みというのがありますけれども、事前協議というものについて極めてあいまいな運用がなされているということについても取決めの空洞化、形骸化が起きているというふうに思っております。  私は、本当に日米関係が今後もうまくやっていかなくてはいけないということがお互いの国が認識をするのであれば、条約改定やあるいはその運用の見直しを含めて、委員のおっしゃったような、あいまいにしておくことが、私は、日米両国の関係にとっては好ましいことだと思いませんので、そういったところは私は、政府の立場じゃなくて、民主党の安全保障の政策担当者としてそういう疑念は持っておるし、その部分については委員の御指摘と共有する部分があるということは申し上げたいと思います。
  85. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 新しいガイドラインが作られた当時、アジアの新聞の幾つかが指摘したことは、日本が自分の国を守るために何らかの措置を取ることは、これは当然であり、理解できると。しかし、自国を超えてアジア太平洋の安保にまで乗り出す、あるいは言及するということになると、我々は過去の歴史を想起しつつ不安を抱かざるを得ないと、こういうことを書いておりました。当時の日本の新聞でも雑誌でも紹介されたことです。その不安を裏付ける出来事が、私は、周辺事態法を始めとする一連のその具体化ということではないかと思います。  この委員会でも、アジア諸国にはこの武力攻撃事態法に対する特別の反応はないという趣旨の報告が外務省からありましたけれども、私は、今、アジア諸国がいろいろな形で不安を表明している、アジアには何らの反応もないということは言えないと思いますが、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  86. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは、今まで何回か答弁をさせていただきましたけれども、そういった不安が表明をされているということは全くございません。  私は、この春、中国と韓国の新しい外務大臣とそれぞれ初めて会談をいたしましたけれども、その折にもそういうことにつきましては全くなかったわけでございまして、むしろ有事の際に我が国がどのような行動を取るかという点について透明性が高まったということではないかというふうに考えます。
  87. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 大臣の答弁聞いていると、それは政府間の協議と、政府の公式な発言としてないということではないかと思いますけれども政府がどう言っているかだけでなく、新聞あるいは衆議院には韓国の三十名の議員の連名の手紙も届けられている。こういうことも含めて何も反応がないというようにおっしゃるとすれば、これは一体どういうことかなという気がするんですが、反応ないというのはどういう意味ですか。
  88. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど申しましたように、政府レベルでもないということでございますし、もちろん個人個人、アジアの国々の一人一人には様々な意見はあると思いますけれども、在外公館を通じまして、それが非常に大きな問題があるという形では全く我々のところには情報は来ておりません。
  89. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日本の外交を進めるに当たって、私は、政府間の会合あるいは政府間の場面だけで判断するのでは、やっぱりアジアを見渡しての外交というのはできないと思うんですね。やはり絶えずアジア全体の動きを見届けておかなくちゃならないと思います。  この問題で時間取りたくありませんから次へ進みますけれども、今の安保体制の到達点への疑問という点では民主党とも同じ不安を持つということも明らかになったことを踏まえて、次の質問に入っていきます。  ガイドラインの実効性確保のための措置がどのように取られてきたかという問題であります。  新ガイドラインは、日米協力を効果的に進めるための包括的メカニズム及び調整メカニズムの構成や共同作戦計画についての検討、相互協力計画についての検討などを細かく取り決めております。これを受けて一九九八年一月、日米は、小渕首相らとコーエン国防長官らとが日本の総理と米大統領の下に包括的メカニズムを構成し、共同作業を開始することや共同計画検討委員会で共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討の実践などを取り決め、日米防衛協力のための指針の実効性確保に関する関係省庁等局長会議というものも設置するなど、このガイドラインを実践に、実行に移すためのたくさんの措置が取られてきました。  これらの取決めはその後の日本のいろいろな方針決定、これにどのように生かされているのか、例えばその作業結果というのは周辺事態法やこの武力攻撃事態対処法案の作成に当たっても当然生かされていると思いますが、いかがでしょうか。
  90. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) お答えいたします。  日米防衛協力のための指針は、指針本文にも述べられているとおり、いずれの政府にも立法上、予算上、または行政上の措置を取ることを義務付ける性格のものではございませんで、日米の防衛協力を具体的にどのように進めていくかについて日米両国の指針を示すものでございます。  他方で、その日米協力のための効果的な体制の整備が新たな指針及びその下で行われる取組の目標でもありますことから、日米両国政府が各々の判断に従いまして、このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映されるところが、することが記載されているところでございます。  政府としましては、かかる観点から、指針の実効性の確保に係る平成九年九月の二十九日の閣議決定がございますので、この趣旨を踏まえまして、法的側面を含め政府全体として具体的な措置を講じてきたところでございます。  先生御指摘のとおり、具体的には包括的なメカニズムにおける計画についての検討等のための共同作業、それから二つ目に、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際して日米が行う活動の間の調整を行う調整メカニズムの構築、それから三つ目としまして、周辺事態における対処のための法整備としまして周辺事態法、船舶検査活動法等の策定を行ってきたところでございます。
  91. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 ガイドラインを基にして日本の安保体制は、私最初に申し上げましたように大きく変貌を遂げた、また今遂げつつあると思います。この周辺事態法や一連の実効性確保のための措置に関連して、私ははっきり言えることは、憲法によって戦争ができない国が戦争ができる国に変わりつつあると。  ある説明を求めたときに、防衛というのは自衛隊と防衛庁だけではできないと。国を挙げて、また地方自治体、民間を挙げた体制を取らなければできないと。この防衛というのは、私は後から述べますけれども、周辺事態法に連動して日本が戦争に巻き込まれることである、したがって防衛はということは、言葉を換えれば、戦争防衛庁や自衛隊だけではできない。それが今や関係省庁局長会議等含めて国家を挙げて、国を挙げて、それから地方自治体から民間を挙げてできる体制になったと、こういう変化がこの新ガイドラインの実効性確保のための一連の措置の中ででき上がったと私は思います。  時間の関係があって、幾つか具体的な問題でお伺いしますが、その結果、日本の置かれている状況というのは一体どうなっているのか。まず我が国周辺で起こった戦争に対して日本は当然基地を提供し、またACSA等によっての協力もすることになるわけですね。日本を基地としてのアメリカのアジアでの武力介入、戦争、これは相手国から見れば日本は中立的立場を取っているということにならない。  そして、これは戦後、安保条約からまたベトナム戦争をめぐる論議の中で繰り返し討論され、そして政府も認めてきたところですが、相手に能力があれば、これは日本が国際法上、武力攻撃の対象になると、そういう日本は法律的立場に立つことになると、こういうことが繰り返し認められてきたと思います。  この日本の立場が基地提供によって中立でなくなっている、武力攻撃を受ける可能性を持つ状態になるということはお認めになりますか。これは外務省ですか。
  92. 林景一

    政府参考人(林景一君) 中立の概念ということで、吉岡先生よく御案内のことかと存じますけれども、この中立国、いわゆる中立という概念と申しますのは、伝統的な戦時国際法の下で発達したものございまして、今日、武力の行使が原則的に禁止されて、国際法上の戦争が違法化されました国連憲章の下におきましては、戦争が違法でないことを前提としました交戦国あるいは中立国といった概念が今日そのまま適用があるわけではないということを従来申し上げてきておるところでございます。  いずれにいたしましても、我が国が日米安保条約を我が国と米国との間で締結しているわけでございますけれども、その米国の行動と申しますのは国連憲章に従って行動するであろうということが前提でございまして、そうした米国に対します施設・区域の提供等の、まあ便宜の供与と申しますか、そういう行動、これは武力の行使に当たらない行動という前提でございますが、それ自体、武力の行使に該当しない、そういう態様、内容の支援あるいは協力を行うということ自体はこれは正当なことでございまして、国際法上も合法的なものでございます。  そのことのゆえをもって、我が国を攻撃するといったことが国際法上、正当化されるということはないということも、これも従来から申し上げているところでございます。
  93. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私が今言ったことは、六六年のベトナム戦争当時、当時の椎名外務大臣国会で言った言葉です。速記録はここに持ってきておりません。しかし、椎名外務大臣は、日本は安保があるから中立的に、アメリカの戦争に中立的に立場に立てないということ、そして、ベトナムと日本との間が地理的にもっと近い等々の条件があれば武力攻撃の対象になり得ると、こういうふうに言ってきたことでありまして、今の条約局長の答弁と違った答弁が速記録にはっきり残っているということを僕はもう一回読み直してもらいたいと思います。  それは一切否定されますか。そう当時の佐藤総理も答弁をしてきております。
  94. 林景一

    政府参考人(林景一君) 椎名大臣の御答弁を私がせんさくするのはいかがかとは思いますけれども、中立的な立場、政治的なことも含めてですね、立場を取る、取らないということ、あるいはその逆としては米国を支持し支援するといったこと、そのことと伝統的な戦時国際法の下におきます中立概念、そういったものとは区別されるべきものではないかというふうに私は考えております。
  95. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 戦時国際法の中立問題をここで議論しようと思いません。椎名外務大臣はそういうふうにはっきり言っているんです。速記録、止めて調べてもらっても構いませんけれども、そういう距離が近ければということなどを挙げて過去の答弁があることは、これは認めてもらいたい。それがなければ、私、論議進められません。
  96. 林景一

    政府参考人(林景一君) 法律的な仕組みの問題、あるいは国際法の考え方としての中立の概念を私は御説明しているわけでございますけれども、政治的な立場を含めまして、我が国として、米国との関係において、米国がこれは国連憲章に従って、あるいは自衛権あるいは国連決議に従って行動しているという前提でございますけれども、そういう立場にある場合に、我が国が我関せずということ、そういう立場には立ちにくい、立ちづらい政治的立場にあるということをお述べになったものではないかと推察いたしますが、そのことと、それでは全くのいわゆる可能性、現実の問題といたしまして、それじゃ我が国に対する言わば侵略の拡大といった形の行動が取られるかどうか、そのこととはまた事実問題としては別の話であろうというふうに思います。
  97. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員の御指摘になられました椎名答弁、椎名外務大臣の御答弁につきましては、私はそれ自体を承知いたしておりませんので、それについて、そういったことがあるかどうか調べまして、その上で委員に御報告をさせていただきたいと思います。
  98. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 じゃ、次の問題ですけれども、今のはそういうふうにきちっとしてもらうことにしまして、基地提供に加えて、周辺事態法では自衛隊が後方地域支援という形で参加することになります。  日本が武力攻撃を受けていない、そういう状態の下で、日本周辺で行われているアメリカの戦争に自衛隊、日本の軍隊ですね、国際的にも軍隊だということ、これはこの間ここで小泉総理もお認めになりました。これが参加するということになれば、これは相手国から見れば、日本は、日本側がたとえどのように武力行使と一体化しないなどと説明を付けようと、相手側から見れば参戦国の戦闘行動の一部分を分担している敵対する軍隊ということにならざるを得ず、それは相手の意思と能力があれば、理論上、法制上は武力攻撃の対象になると、これは防衛庁長官もお認めになったことだと思いますが、再度答弁求めます。
  99. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 向こうから見ればという御指摘をなさいました。私どもは、私どもから見たらどうなるのかということもきちんと考えなければいけないことだと思っておりまして、それは、我が国は決して武力を行使するわけではない、自衛権を行使をするわけでもない、あくまで後方支援にとどめるということでございます。  そして、そこで起こっております事態は、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を与える、そういう事態において米軍が行動しておる、それを後方支援をするというのは我が国の平和と独立のためにも必要なことだと私は考えております。したがいまして、そのような行動をしております我が自衛隊に対しまして攻撃を加えるということは、先ほど条約局長も申し述べたことでございますが、国際法的に合法とされることだとは私は考えておりません。
  100. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 日本の自衛隊が後方支援やる、そのそこで行う活動はすべて米軍なんですね。民間人は一切関係ない、米軍に対する協力です。その場合に、武器弾薬等がないにしても、それは全部戦闘中の米軍に対する協力です。それは攻撃対象になる。攻撃対象については国際法上必ずしも厳格に述べてはおりませんけれども、しかしこれは、私はもう全然疑いなく攻撃対象になり得ると思います。それ否定されるのですか。
  101. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは先生よく御案内のとおり、私ども、周辺事態におきましては、現に戦闘が行われておらず、そしてまた戦闘が行われることが予測されない地域において行動することになっております。仮にそういうような地域になりました場合には活動を一時中断する等々の措置を講ずることといたしております。そういう事態が生じないように私ども法律を作らせていただき、国会の御審議を経て、活動として法的な根拠を有しておるわけでございます。  したがいまして、そういうことが起こらないように、そういう行為が正当化されるとは私は決して思いませんが、私どもとしてそういうようなことが起こらないように活動する、そういうことで国会の御審議を経て、法的な根拠を得させていただいて活動するわけでございます。
  102. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 長官、この間認めたんですよ。今日はなぜか認めたがらない。  日本側がそういう事態が起こらないようにする意思は、それはおっしゃるとおり認めましょう。しかし、相手がどう見るかという問題があるということを私はこの間言いました。基地も提供している、その上、自国に対する武力攻撃もまだ発生はしていない。その時点で米軍の行動に一体化しないというのは日本の憲法上の性格規定を言っているわけであって、相手から見れば、日本のその協力が一体化しているかしていないかという法的性格なんか全然問題ない。米軍の戦闘に必要だからこそ協力しているわけであって、それに対して相手が意思と能力があれば武力攻撃は起こり得ると。これ認めないんですか。この間認めたじゃないですか。
  103. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、そういうことが起こらないかと言われれば、起こらないように行動する、先生も今御理解をいただいたとおりでございます。  ですから、私は別に矛盾したことを申し上げているわけではございませんで、そういうことが起こらないように私どもは行動する、そういうことが起こったとするならば、それは一時中断等々の措置を取り、そういうことにはかかわらないということを申し上げているわけでございます。  他方、私どもに、我が国に対する武力攻撃はいまだ発生をしておりません、周辺事態におきましては。したがいまして、我が国に対する武力攻撃は発生しておりませんので、理屈の上から申し上げれば我が国を防衛するためにアメリカが武力を行使しているという状況でもないわけでございます。その時点でアメリカが行動するのはどういう場合かといえば、それは我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な準備行動とも言うべきものだと考えております。  そういたしますと、我が国の米軍に対する措置が武力を行使している米軍に対する支援に当たるということにはならないのであって、そもそも一体化という概念そのものが存在をしない。なぜならば、我が国はまだ武力攻撃を受けておらず、そこにおいて行動する米軍は我が国を守るために武力を行使しておらない準備行為の段階でありますから、そもそも一体化という概念は生じ得ないという理論になろうかと存じます。
  104. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 起こり得るから起こり得ないように努力ということで、そういう形で私は認めたことだと思います。  それで、今の論議、民主党さん、どのようにお考えになりますか。そういう危険は全くないというお考えではないだろうと思いますけれども
  105. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 先ほど委員がおっしゃったような前提で仮に日本が戦争に巻き込まれたときに、日本に攻撃をしてきた国が法的な正当性はないというのは林条約局長がおっしゃったとおりだと思います。そしてまた、そうさせないように努力をする、また、なったときにはいったん中断をするということについては防衛庁長官お答えになったとおりだと思います。  ただ、ちょっと話を伺っていまして、私は、核心部分はやはり国民に対してしっかりと私は説明をすべきなんだろうというふうに思うんですね。その核心部分というのは、同盟関係というのはもろ刃の剣であって、いいこともあれば悪いこともあると。つまりは、強大な力を持った国と同盟関係を結んでいれば、非常に助かる部分もあるけれども、その国が非常に不評を買う、あるいは恨みを買ったときに、それに対して同じような危機が及ぶ場合もあり得るということは、私は国民に対してしっかり言わないと同盟関係というのは私はマネジメントできないというふうに思います。  その上で、委員はその同盟関係の負の部分をおっしゃいましたけれども、私はそのもろ刃の剣のまさしくプラスの部分をしっかりと議論する必要があるだろうと。  例えば、安全保障面でいえば核の傘の問題であるとか、あるいはシーレーン防衛の話であるとか、あるいは強大なパワープロジェクション能力、そしてまた広大な情報収集能力、こういったものはやはりアメリカによっていることは非常にプラスでありますし、また、そういったものを背景とした部分での経済のファンダメンタルズというものが非常に上がって、それが株価あるいは日本の直接投資などにも大きくかかわっていると。  そういったプラス面とマイナス面を総合的に判断する中で同盟関係をどう評価してどうマネジメントしていくのかといった議論が、私は率直にこういった議論でなされるべきだろうというふうに思います。
  106. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は、最初に言いましたように、日本が安保共同宣言、新ガイドラインでアジア太平洋の安保、周辺安保責任を負うというような新しい安保段階に入らなければ、その日本が武力攻撃を受けるという危険というのはほとんど考えられない。それを日本が、もうアジア太平洋の安保の枠組みだなどといって新たな積極的な防衛分担をしたことから生ずる武力攻撃可能性、だから、いきなりどこかから日本が侵略を受けるという危険に対処するものでない事態を日本が作り出したんだというところに私は問題があると思っております。  それで、お伺いします。  日本は、周辺事態武力攻撃事態になればいろいろな段階の対応をします。防衛出動、これは武力攻撃事態になれば防衛出動をしますが、防衛出動の段階とそれから自衛権発動の段階、それはどういう形で区別されて、またそれはどういう手続を経てやられるか。  私、時間がありませんから一括してお伺いしておきますけれども自衛隊法には防衛出動規定のようなはっきりしただれにも分かる形での自衛権発動の規定は設けられていない。幾つかの条文を総合して総理が判断するというような説明をしなければできない。そういう状態になっていることに対して、自衛隊法の何条に明確な規定があるというふうには、私言えないと思いますけれども、その点含めて、長官お答え願います。
  107. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、この事態法によりまして武力攻撃事態の認定をし対処方針を定める、その場合に防衛出動を下令するというような仕組みになっております。ただ、武力攻撃事態が生じたからといって必ず防衛出動を下令するというふうに論理的には限定をされたものではございません。そしてまた、防衛出動の中におそれ出動があることも御案内のとおりでございます。  どういう形で条文上規定されているかということですが、それは、条文的に考えた場合に、内閣総理大臣は防衛出動を命ずることができると、こう読みまして、その内閣総理大臣というのは、内閣の長たる内閣総理大臣、それによって閣議の決定を要する、そういうふうに読むべきものだろうと思っております。内閣総理大臣というものが、それが内閣府の長としてではなくて、内閣の長たる内閣総理大臣がというふうに防衛出動の規定を読みます以上、そういうようなことになろうかというふうに考えております。
  108. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 その自衛権の発動というのは、防衛出動の段階とは私は違うと思います。それはこれまでの論議でもはっきりしていると思うわけですね。  それで、自衛隊法でもこの法案でも、その防衛出動の規定はあるけれども、自衛権出動、これは、場合によると、そのすべてとは言いませんけれども、場合によると開戦決定と同じ意味を持つ出来事ですね。自衛権の行使で武力行使を発動するということは、それは単なる小競り合いにすべて終わるのではなく、戦争に至る危険を持ったもので、これ非常に重大な決定だと思いますね。しかし、防衛出動に対する規定は非常にはっきりした形で自衛隊法にはあるんですが、自衛権発動の規定というのは、私はどう見たってすぱっとだれにも分かるような形ではないと思いますが、そのことを私、聞いているわけです。
  109. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、こうこうしかじかこういう場合に自衛権を発動することができるというような条文が自衛隊法上ないことは、先生おっしゃるとおりでございます。  るるお答えをしておりますように、政府として、そしてまたこれは国際法的にもそうだと思いますが、自衛権の発動というのは三要件、すなわち急迫不正の武力攻撃があり、そしてまた、ほかに取るべき手段なく、必要最小限というのは、それはもう法理としてそういうものなんだと思っております。自衛権というのはそういうものであって、憲法九条からも導かれる、それはもう反対解釈かもしれませんが、憲法九条から出てくる。そしてまた、国家の自然権としての自衛権というのはその三要件を満たすものである。そしてまた、その三要件を満たさない限り、自衛権行使としての武力行使、すなわち防衛出動による自衛権行使としての我が国の武力行使は、自衛権の三要件を満たさない限り使われることはあり得ないのでありますし、そしてまた、その三要件というものは内閣総理大臣が判断する、そういうような仕掛けになっておるわけで、その場その場で、その場その場の現場において判断をされるべきものではもちろんございませんで、それは政府として、その自衛権行使の三要件を充足し、そして防衛出動による武力の行使を行う、そういうことに相なります。その場その場で勝手に判断をするようなことはございません。
  110. 吉岡吉典

    吉岡吉典君 私は、今おっしゃったようなことが、自衛権の発動というのの持つ極めて重大な意味から見れば、自衛隊法にも、また自衛隊法が明確なら、必ずしもこの武力事態法に書き込まれる必要があるかどうか、これはいろいろ議論あるでしょうけれども、そういう規定がないんですね。ないことは、やはり理由があると。  これは、私、この間も言いましたけれども、私が受けた説明は、憲法に交戦権を否定しているから、それは自衛隊法に明確な形で規定しないで、ただ何となく表現して運用はできるようになっているというのが私が受けた説明であり、多くの本でも書かれているところであります。  憲法に交戦規定を放棄していることの持つ意味というのは、これは日米安保条約を締結したとき、第五条で、共同対処をするときに憲法の手続に沿って共同対処するという規定がありますね。その憲法の手続というのは何かということをめぐって当時大論議が行われて、それで外務省の幹部の人が書いた本によってもそれは分からないと、この憲法上の手続というのは、アメリカの憲法にだけ当てはまるんじゃないかというようなことも、上村伸一さんという外務省の幹部の書かれた安保条約の解説という本には書かれておりますね。それほど日本は憲法で交戦権が否定されていることの持つ意味が大きくて、それで、その憲法上の規定でさえそういう論議があった。だから、自衛隊法でもそういうことは規定できなかった。  それを、今やはり新安保、新ガイドライン安保の下であいまいな規定のまま実行しようということになれば、私はそこから非常に多くの不安が生まれるということを今日は指摘して、時間が来ましたので終わりにして、また引き続いて論議をさせていただきます。
  111. 平野達男

    ○平野達男君 国会改革連絡会の平野達男でございます。  今日は、先般から私が議論させていただいておりますところの防衛出動と自衛権の発動としての自衛権の行使の関係について、引き続きちょっと御質問をさせていただきたいと思います。  防衛出動と自衛権の発動としての武力の行使、これは常に一体ではないということについてはこれは繰り返し説明がございました。その間をつなぐものとして三要件がありますということは、今の御議論の中でも御紹介があったとおりであります。言わば、防衛出動というのは、自衛官が自衛権の発動としての武力の行使を権限、発揮できるための法律状態を作るというような、そういう位置付けだと思うんですが、この解釈からいきますと、防衛出動の下令というのは武力の行使の絶対条件というふうになるかと思うんですが、ここはちょっと確認のためにお伺いしておきたいと思います。
  112. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 必要条件でございます。
  113. 平野達男

    ○平野達男君 そこで、今の自衛隊法の中では防衛出動につきましては原則、国会承認ということが位置付けられております。その前提として閣議決定があるわけでございますが、この武力行使の決定につきましても、例えばこれが三要件に満ちたというふうに内閣総理大臣が判断した場合には、これはやはり閣議に掛けるんでしょうか。
  114. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 内閣の長としての内閣総理大臣でございますので、閣議を要します。
  115. 平野達男

    ○平野達男君 それでは、関連してお伺いしますけれども、いわゆる防衛出動の下令には国会の承認が前提になっております、これは事後承認というのもあるんですが。武力の行使を決定するということは、国会の承認に掛かるんでしょうか、掛からないんでしょうか。
  116. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、防衛出動の下令には国会の承認が必要でございます。そしてまた、武力の行使を行う場合に内閣総理大臣というのが必要条件だというふうに申し上げました。そのような理屈からいたしますと、それは一連のものだというふうに考えることになろうかと思います。
  117. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっと、私がお尋ねしたかったのは、防衛出動を下令をして、これ、おそれ出動だというふうに考えていただきたいんですが、おそれ出動をして、その後にいろんな条件が変わってきて、やはりこれはもう急迫不正、それからほかに手段がない、それから必要最小限度、この三要件に合致しましたということで内閣総理大臣が判断をして自衛隊に命令をするわけですね、指揮監督権がございますから。そのときに、これも国会の承認に掛ける必要があるかどうかという、そこの確認だったんですが。
  118. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その場合の改めての国会の承認は要しません。
  119. 平野達男

    ○平野達男君 そこはそういう位置付けでないと。そういう位置付けであるべきだと思います。分かりました。それをちょっと確認させていただきました。  では、そのときに、防衛出動が下令されますと武力事態等対策本部というのが設置されます。この武力事態等対策本部の役割なんでありますけれども、これはおそれ出動ということを想定していただきたいんですが、内閣総理大臣はいろんなことを判断しなくちゃならない。おそれ出動の状況の中で武力の行使を決定するかどうかという、もう一つこれ重大な決断を迫られる場合があります。このときの内閣総理大臣を支援する体制というのは、これはどのような体制になっておるんでしょうか。
  120. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 内閣総理大臣は安全保障会議に諮問をすることができるわけでありますけれども、その安全保障会議とこの対策本部との関係について申し上げれば、安保会議設置法改正案によりまして、安保会議は内閣総理大臣の諮問を受けて対処基本方針等について審議、答申することとなっておるということです。  したがいまして、武力攻撃事態等に至ったときに、内閣総理大臣対処基本方針を閣議決定するに際して安保会議に諮問しなければならない、そういうことでございまして、武力攻撃事態対策本部は、今度は本部でありますけれども、安保会議の審議を経て閣議決定された対処基本方針に基づいて、防衛庁を含む指定行政機関、地方公共団体及び指定公共機関が実施する対処措置に関する総合的な推進を行うものということになっております。  対策本部長は、指定行政機関等が実施する対処措置について調整を図る必要が生じた場合においては対処基本方針に基づいて総合調整を行う、総合調整ができる、こういうことになっております。  ですから、安保会議は、対処基本方針等について内閣総理大臣の諮問を受けて審議、答申を行って、閣議の迅速かつ的確な意思決定を助けるものでありまして、対策本部の方は、閣議で決定された対処基本方針に基づいて対処措置の総合的な推進を図ると、こういうようなことです。
  121. 平野達男

    ○平野達男君 今の説明は分かります。  私が質問したかったのは、例えば、安全保障会議の中には事態対処専門委員会というのがあって、これは平時からいろんな準備をして、いろんな専門的なアドバイスをしております。そういった準備をしておいて、何か事があった場合には対処方針を決定する、これを閣議の決定に掛けると、こういう形になっていますね。閣議決定に掛けて、これ武力攻撃事態という状況になったら、先ほど言いましたように、武力事態等対策本部というのができるわけです。そのときに、くどいようですが、これ、おそれ出動という状況を今想定しているわけですが、内閣総理大臣は、いろんな状況を見ながら、これは武力行使を決定するかどうかという決定を迫られる場合があります。そのときに、対処基本方針に沿って対策本部が決定するというのは分かるんですが、具体的に例えば専門スタッフがどうなっているかとか、そういったものの体制をちょっとお聞きしたかったんです。  例えばこの内閣、安全保障会議の中にはこういった事態対処専門委員会というのがあって、これは要するにその専門の方々がいるわけですね。これは、総理を丸裸ににするわけにはいきませんから、その決断をするときにしっかりとした体制ができているのかどうか、その考え方をちょっとお聞きしたい。  この条文を読む限りは、総合調整をするとか、何かもうあいまいもことしているわけですね。事態が、このときになりますと、その武力事態等対策本部ができますともう刻一刻動くわけです。もう秒単位で場合によったら決断が迫られるわけですから、そのときの総理に対するその体制というものはやはりもうちょっと明確にしておく、支援体制というものをもうちょっと明確にしておく必要があるんじゃないかと思うんですが、そこを官房長官
  122. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 内閣総理大臣もいろいろありまして、対策本部長たる内閣総理大臣というのもございます、内閣府の長たる内閣総理大臣、内閣の長たる内閣総理大臣とございます。  先ほど来先生が御指摘になっておられますような、じゃ、武力攻撃があって、我が国として武力行使をする、自衛権の発動として武力行使をするというものの決定をいたしますのは、対策本部長としての内閣総理大臣ではございません。内閣の長としての内閣総理大臣でございますので、そのスタッフというのも、今先生御指摘のような者たちが総理への助言を行うかといえば、それは対策本部長のスタッフでございますので、それが行うことにはならないものと考えます。
  123. 平野達男

    ○平野達男君 私のイメージとすれば、やっぱり基本方針を決めるためのサポート役が、安全保障会議というのがあって、これは諮問をするわけですね。それで、決定権限は何もありません。執行権限もありません。その諮問を受けて総理大臣が決定するわけです。おそれ出動のときに、総理大臣が武力事態攻撃という、武力事態という基本方針を決定して対策本部を作る。その対策本部の中にスタッフがいて武力行使の決定をというか、そういった形にするのか。あるいは自衛隊という、別の本部がひょっとしたら自衛隊の中にできるのかもしれませんけれども、そういったことのやり取りの中で決めるのか、ここのところのイメージをちょっと明確にしたいなということなんですが。  これはちょっと、官房長官お答えしていただきたいと思うんですが。
  124. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) まず、安全保障会議の下に専門委員会作って、そしてまた、専門委員会には専門家の事務局を作ると。こういう体制でいろいろと情報分析とか判断の材料を提供する、そういう形になりますね。  それで、対策本部の方は、本部員としては、これは閣僚すべて本部員でございます。ですから、閣僚を指揮し、そしてまた、そういう判断をするということになりますと、外務省も防衛庁もみんなそういう関係者はその本部員の中に入ってくるわけでございますから、そういうような人々を指揮して総合調整を行うことができると、こういうことになるわけでございます。
  125. 平野達男

    ○平野達男君 くどいようで申し訳ございませんけれども、今回の安全保障会議の中の一つの目玉は事態対処専門委員会だと思うんです。こういった中のスタッフを置いて、常にいろんな専門的な情報をやって、分析をして報告する。これに該当するようなものはその武力、要するに事態等になったときにどういう形でやられるんだろうか。これは私は、ひょっとして防衛庁さんがやるのか、あるいはそれとももう一つ、この武力事態等対策本部の中に専門スタッフを置くのか、あるいはそれとも内閣府の中に置くのか、その辺がちょっと明確じゃないんじゃないかなと。  もっと言えば、ここで、防衛庁だ、それから武力事態対策本部の中だって、こんなやり取りやっている暇もないと思うんですね。総理大臣がだれの要するに情報を仰ぎながら決定をするかというこの一元化を、これに限らず、やっぱりいろんな目で決定をする局面があると思うんですが、特に、この武力行使の決定につきましては、だれのスタッフ、どこに総理大臣は耳を傾けていればいいんだというようなことは、これははっきりしておく必要があるんじゃないかと思うんですが、これははっきりなっていますか。
  126. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、先ほど申しました安全保障会議の下の対処専門調査委員会、そこで専門的なスタッフを用意して的確な判断をすると、こういうことになるわけであります。それは、その下に事務局も作るわけでありますけれども、実際にそこでもってすべての情報を集めるスタッフを持つことができるかどうかということではないんです。それは、その専門的な情報とかそういうことになりますと、例えば外務省の情報とか防衛庁の情報とか、若しくは警察の情報とかいろいろあるわけでありますけれども、それはそれで、そういう専門の、常時専門にやっているところの情報を使うと、こういうことになります。  そして、これはあれですよ、そういうような、そういうような例えば国際情勢が緊迫して、そして、常に情報交換というか、情報を上に上げていかなければいけないといったような状況になったときに、そのときにそういう一つの固まりとしてのいろんな判断をするセクションを作るということは、これは専門調査会の下に作ることはできると思うんですけれども、しかし平時においては、そういうような各々の調査機能とかそういうものについては、これは外務省、防衛庁、その他のそういう専門家が常時集めているわけです。また、官邸には情報官もおります。また、その上に危機管理監という者もおりまして、そういうような関係の情報は集約しているわけでございますから、そういうものをフルに使っていくということであります。  ただ、武力行使とかそういうことになれば、またそれはそれの方面の方々が分野の情報を多く集めなければいけないということになるのは、これは当然のことでございます。
  127. 平野達男

    ○平野達男君 私は今質問は、武力事態等のその事態に至った以降の話に今限定をしていますので、平時の話はちょっとおいていただきたいと思います。  ちょっと今のお話を聞いていますと、やはり総理が決断するときにだれがアドバイスをするかというのがちょっと決まっていないような感じがしますんで、ちょっと質問、後でまた防衛庁長官にちょっとお伺いしますが、その前に、安全保障会議は、これは武力事態等攻撃が、武力事態等に至ったときも安全保障会議というのはこれは稼働するんですか、それともすべてその機能というのは武力事態等対策本部に移行するんですか、これはどうなっていますか。
  128. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) それは、安全保障会議というのは、これはずっと存続するわけでございます。そして、事態の推移に応じて、総理大臣の諮問に応じていろいろな判断を示すと、こういうことになります。
  129. 平野達男

    ○平野達男君 私は、武力事態等のそんな事態に至ったら、これは安全保障会議、これは対策本部なんて、そんなことを言っている暇はないと思いますよ、これは。  それからもう一つ言えば、こういう状態になりますと自衛隊の、日本の自衛隊の一番のつらさは、国内で戦わなくちゃならないですから、自衛隊の行動と人民、要するに市民の避難というのは常にセットなんですよ。それでセットに、セットになると思うんです。戦場が日本の要するにどこになるかは分かりませんけれども、戦いの場がですね、その中に、避難はうまくいっていればいいんですけれども、場合によったら人が残されるかもしれない。そういう状況の中で武力の行使を決定する、自衛隊を動かすというときには、その武力行使の決定、それからその動きと合わせて、いろんな地方公共団体の連携で常に一体感がないと駄目だと思うんです。  武力の行使のときとか、この案件については安全保障会議、こちらの方には武力攻撃事態法の対策本部に諮るとか、そんな区分けじゃなくて、やはり一つの体制をしっかりしておいて、その中に各部局を作っているというのは分かるんですが、今の官房長官のお話ですと二頭立てでいくという答弁になってしまうんですが、本当にそれでいいんですか。
  130. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 先ほどの私の説明で平時という、平時においては今ある組織を使うということを申しました。  今、委員のおっしゃるように、緊急事態が発生したといったようなそういう状況においてどういう組織やるのかと、こういうことになります。それは当然、そのための組織というのは必要になってくるんだろうと思います。そういうことについてこれから具体的にどうするかということは、いろいろな具体的なケースを想定しながら、どうあるべきかということを含めて考えてまいりたいというように思っております。当然、そういう事態になれば一か所で、もうあっちに聞いてこっちに聞いてと、こういうふうなことでない、そういう態勢というのは当然必要になるだろうと思います。  私はその前の段階のことを想定しておりましたので全部まとめて申し上げましたけれども、そういうことだと思います。それはもう当然のことだと思います。
  131. 平野達男

    ○平野達男君 私は、本当にこの対策本部の位置付けをもっともっと明確にして、どういうときにどういうふうにやるか、その下にどういう組織を作るか、これはもっともっと具体的に検討した方がいいと思います。石破長官、何か、よろしいですか。ということをちょっと強く要望を申し上げておきたいと思います。  ちょっと時間もありませんので、この件につきましては、また後日といってもちょっと日にちがなくなるかもしれませんが、何かの機会でもう一度質問することがあるかもしれませんので、是非、官房長官、今日のやり取りを踏まえて、少し足りないところがもしあるとお感じであれば整理をしておいていただきたいということをちょっとお願い申し上げたいと、お願いを申し上げておきたいと思います。  次に、質問に移りますが、これは先ほどの吉岡委員質問にあったことに関連いたします。  この間の質問の中で、自衛権の発動としての武力の行使というのは、決定はだれがやりますかということに対しては、内閣総理大臣という非常に明確な答えがございました。その考え方として、七十六条の第一項で防衛出動が下令される、それを受けて八十八条で自衛隊が武力の行使ができます。しからば、その自衛隊の最高指揮監督者はだれかということで、七条ですか、七条で内閣総理大臣がありますという、そういった三段論法でありました。  しかし、翻って考えますと、この武力の行使を命ずるという規定がないというのは、これはどうも自衛隊法の仕組みとしてちょっと一本抜けているんじゃないかなと。と申しますのは、防衛出動としてこれも指揮監督権の発動です。そして、武力の行使ということも決定して、自衛隊にそれを命ずるのもこれは指揮監督権の発令だと思うんです。  この規定法律に置く必要がないでしょうか、これは、法律論として。防衛庁長官、ちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  132. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今の条文構成で十分それは読めると私は思っておりまして、新たにそういう条文を作るというような、あったから特に何か支障を来すというものだとは思いませんが、改めて新しい規定を作らなくても今のまま十分読めると私は思っています。
  133. 平野達男

    ○平野達男君 ですから、私はそこの判断の問題なんですから、読めるというものと、やはりしっかり位置付けておくというその判断がやっぱりあるんじゃないかなというふうに思います。特に日本の場合は、防衛出動とその武力行使の決定は別だよといって、武力行使のための要件として三要件があるということでずっと蓄積した、議論を蓄積した経験がありまして、これはもうほとんど法律以上あるいはもう本当に、の位置付けになっているわけですね。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  それを受けてやはり規定を一文設けた方が、これは私は法律上としてもいいんじゃないかと思いますし、それからもう一つは、やはり日本は専守防衛ですから、防衛出動をやったとしてもすぐ武力行使じゃありませんよということを諸外国に対して、海外に対してもしっかり位置付けることができるんじゃないかなと。それで、日本はあくまでも武力行使の決定については慎重に慎重にやっているんですよということについて、あえて法律を分けておいた方が日本の姿勢を示す上でもいいんじゃないかと思うんですが、これは防衛庁長官の御感想でいいですから、どうでしょうか。
  134. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 我が国が専守防衛を取っておるということ、そして防衛出動が下令されたからといってそれが武力行使ということで結び付かないということは、実は日本の国会議員でも知らない人は結構たくさんおりまして、防衛出動が下令されれば即何でもできるんだと、こういうふうにお思いの方がいらっしゃいます。そしてまた、おそれ出動、何だそれはみたいな話になりますので、そこのところの仕掛けというものはきちんと御説明をする、自分たちだけ分かっておっても仕方がないことでございますので、そういう必要があるだろうと思っております。  先ほどのお尋ねをもう一度あえてお答えをいたしますと、八十八条、委員御案内のとおりでございます。すなわち、防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため必要な武力を行使することができると、こうなっております。そこから先は、この間先生にも御確認をいただきました三段論法を使っておるわけでございまして、その三段論法からこれは十分読める。それは何というか、裏を読むということではなくて、この三段論法を使いますと当然そうなるということを申し上げておるわけでございます。ですから、法の趣旨からいってとか、行間を読んでとか、そのようなことを申し上げておるわけではございません。  したがいまして、私は、改めて新しい条文を設ける、そういうような必要性と言っては言い方が悪いのかもしれませんが、必然性と申し上げた方がいいのかもしれません、それは私はないように考えております。
  135. 平野達男

    ○平野達男君 私は素直に読みますと、七条があって七十六条第一項ありますから、やっぱり指揮監督権は内閣の長たる内閣総理大臣ですよということで防衛出動を下令しますよ、した後に武力の行使も決定しますよという、こういう一気通貫でやっていた方がやはりこれ法律としては望ましい姿じゃないかなということもありますので、先ほど言ったような、きちっと読めることは私も理解しました、三段論法でですね。しかし、法律論としてもやはりこういった一本筋が通った形にしておけばいいと思いますし、また、我が国の防衛に対するいろんな姿勢を諸外国にきっちり示す上でもその一条を柱立てをしておいた方が私はいいということを重ねて申し上げておきます。  次の質問に移りますけれども、これは、内閣総理大臣にいろんな顔があるということは石破長官が何回も答弁されておりまして、内閣府の長と内閣の長としての二つの顔がありますが、第八条の内閣総理大臣というのは、これは言うまでもなく内閣府、失礼しました、内閣の長としての総理だというふうに、これは内閣府ですね、これは内閣府の長としてというふうに理解してよろしいでしょうか。第八条は、これは自衛隊に対するいろんな指揮監督権の発動だったと思うんですが、これどうでしょうか。
  136. 佐藤昭郎

    長官政務官(佐藤昭郎君) 今ほど平野委員から一連の議論過程で、第七条そして八条について御質問がございました。特に八条でございますが、これは今、委員も少し触れられましたように、長官は内閣総理大臣の指揮監督を受け自衛隊を総括するというふうに規定をしております。この内閣総理大臣は、七条と違いまして、内閣府の長というふうに規定されております。
  137. 平野達男

    ○平野達男君 それじゃ、第七条については、これは内閣の長としての総理大臣ですね。  ここで、どうも防衛、失礼しました、防衛出動の下令も、そうしますと、法律論からいくと内閣総理大臣が決定をする。その内閣府の長たる内閣総理大臣指示が行って、内閣府の長たる内閣総理大臣から防衛庁長官に行くという、そういう流れになりますね。こういうことが実際の行動、防衛出動の下令とか、あるいは武力行使の決定のときに大きな、大きなというか、逆にデメリットになる、ブレーキになるんじゃないかなという感じがするんですが、これは実際問題としてどうでしょうか。
  138. 佐藤昭郎

    長官政務官(佐藤昭郎君) 確かに、今ほどずっと議論があります内閣総理大臣の性格を峻別して論ずれば、いかにも迂遠な手続を取るような印象を与えますけれども、実際上、現在、防衛庁長官が自衛隊の隊務の総括、これは閣議請議でありますとか、それから部隊の派遣、運用、活動、そういった運用を行うわけですが、この総括の業務、これを行うに当たっては、今の七条、八条という関係で特段の今不都合が生じているとは考えていないところでございます。
  139. 平野達男

    ○平野達男君 私は、今の態勢というのは、あくまでも平時の態勢のような感じがしまして、やはり防衛出動の下令がされたとき、あるいは武力事態等の事態になったときには、やっぱり迅速、それから命令系統は素早くするというようなその態勢、そのための態勢をしっかり作っておく必要があるかなと思いますし、これ、内閣府の長としての総理ではなくて、防衛庁長官の権限をもっと強くしますと、防衛庁のじゃなくて防衛省という格上げの議論になってくるわけですが、私はこれに全面的に賛成するわけじゃないではないんですが、本当の緊急の事態を考えたときは、やはり防衛庁長官に閣議の請求権を与えるとか、そういった意味でもやっぱり防衛庁の位置付けというのをもう少し強化してもいいんじゃないかなということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、ちょっと質問が変わりますけれども、船舶検査活動法、これは周辺事態法のときに作った法律であります。このときには、たしか国連の安保理の決議あるいは当該船の旗国というか、所有する、帰属する国ですね、了解があった場合には臨時に検査ができるというような規定があったと思うんですが、今回の武力事態対処法に関連してこの船舶検査活動法、この見直しというのはどういうふうな方向になるんでしょうか。あるいはこれを見直すということもないということなんでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。
  140. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その先生御指摘の周辺事態あるいは旗国の同意、安保理決議と、そういうふうに書いてあるわけです。じゃ、それ以外の場合で、例えば武力攻撃予測事態みたいな場合で船舶検査活動ができるかどうかというのは、一体どういう場合がそれに当たるのだろうなということを考えてみた場合に、国連決議もなく、安保理決議もなく、旗国の同意もなくというような場合に、それに限定して、こういうような事態にも船舶検査活動ができなければ駄目ではないかというような事態がどのようなものなのかというものを考えてみまして、別途これは検討すべきものだと思っております。  全くその必要性がないということを私は申し上げるつもりはございません。それがどういうような場合であるかということを考えて、もし必要であれば、それは考えなければいけません。別途検討すると申し上げましたのは、そのような意味でございます。
  141. 平野達男

    ○平野達男君 そろそろ時間になってまいりましたけれども、冒頭の武力事態等対策本部の話にまたちょっと戻らしていただきますけれども。  先ほど私が言いましたように、武力事態等になった場合には、もしも戦闘状態になったときには、それが国内である場合が、これ当然想定されるわけでありまして、これは当然のことながら、アメリカみたいによその国へ行って軍隊を動かすのとは訳が違います。自衛隊の行動とその地域住民の行動というのは常に一体になっていなくちゃならない。    〔理事国井正幸君退席、理事阿部正俊君着席〕  それからあと、判断、いろんな総理大臣が判断するときに迅速性が求められると思います。そのときの態勢はしっかりこれ、構築していかなくちゃならないのと、自衛隊というところの動きと、それから各地方公共団体の動きにそごがないように、その中の連携をしっかりするような仕組みをこれは是非作っていただくよう、これはもう十分考えておられると思うんですけれども、あえてもう一度最後に強くお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  142. 阿部正俊

    ○理事(阿部正俊君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、吉岡吉典君が委員辞任されまして、その補欠として林紀子さんが選任されました。     ─────────────
  143. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  アメリカが世界のどこかの国を攻撃し、米軍基地から攻撃機が飛び立ち、攻撃された国は米軍基地のある日本に向け反撃を準備し始めたとします。これは、武力攻撃予測事態ですか、周辺事態でしょうか。(発言する者あり)  ごめんなさい、質問通告しているんですが。
  144. 阿部正俊

    ○理事(阿部正俊君) じゃ、福島委員、もう一度、申し訳ないですが、もう一度、簡潔にお願いします。
  145. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 アメリカが世界のどこかの国を攻撃し、米軍基地から攻撃機が飛び立ち、攻撃された国は米軍基地のある日本に向け反撃を準備し始めたとします。これは、武力攻撃予測事態ですか、周辺事態ですか。
  146. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、それだけの設定ではこれは分かりません。それは何でそんなことを申し上げているかといいますと、その事態我が国の平和と安全に影響を及ぼす事態ということであれば、それは周辺事態でございます。それは周辺事態でございますから、当然、地域性もある程度有するものでございます。ですから、そのある国というのが一体どこなのかということにもよります。そしてまた、その国が我が国に対して攻撃を掛けてくるということが相当の蓋然性を持って認められる場合にはそれは予測事態ということになります。  ですから、今、先生の設定のことだけでどちらか判断せよと、こう言われますと、申し訳ございませんが、それだけでは判断のしようがないというようなお答えにならざるを得ません。
  147. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今までの答弁の中で、周辺事態武力攻撃予測事態が重なる場合もあるというふうに答弁をされていますので。  ところで、九四年、朝鮮半島の危機感が高まったときに、アメリカは既に周知の戦争計画、戦争プラン五〇二七号を策定しました。そして、日本政府にそれに基づいて具体的な支援協力を要請をいたしました。このような事実はありますか。
  148. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのような事実はございません。  それは、日米間におきましては様々なレベルにおきまして情報交換や意見交換を行っております。そして、緊急事態に際しまして我が国はどのような支援ができるかという議論をいたしておりますことも事実でございます。ただ、今、先生が御指摘になりました九四年の朝鮮半島有事想定をいたしまして、五〇二七という御指摘がございましたが、五〇二七等々に基づきまして具体的に米側から支援要求として固まったものを私どもが受領したとか、そしてまた、その間の経緯を含めまして具体的な米軍支援の内容を取りまとめましたとか、そのような事実はございません。
  149. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 様々な新聞やまた資料で、当時、計千九百項目で、当然重複したり整合性に欠けたり度を超した要望も多く、その後、整理、統合、縮小して千五十九項目になったというものがあります。  実にこれは極めて詳細で、例えば広島県からの弾薬輸送、十トントラック百四十八台、沖縄の海兵隊キャンプと岩国基地でトラックとトレーラー計千三百七十台、クレーンとフォークリフト計百十四台、沖縄で八百六十五個、佐世保で二百四十個、岩国で二百二十八個のコンテナとその輸送、沖縄地区の港湾で十一トントラック九十六台、それから簡易ベッドや毛布など約三万セット、うち二・五万セットは嘉手納用というふうな詳細なるリストがあるのですが、こういうことは一切ないのでしょうか。
  150. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、平成十一年当時も同じような御論議がございました。そのときと私どもの立場は変わっておりません。  今、先生がおっしゃいました千五十九の項目についてまとまった形で私どもが合衆国から受け取りまして、これに基づいて個々具体的に討議を行った、これについて討議をしたという事実はございませんということを申し上げておるわけでございます。
  151. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 まとまってということでなければ、少しずつの要求項目というのはあったんでしょうか。
  152. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、平素からいろいろな協議をしておることは事実でございます。しかしながら、個々の事例につきまして、事案につきまして、これについてはどうなのだ、これについてはどうなのだ、具体的にどうなのだというような固まった形、まとまったとか固まったとか、先ほど来そういうような形容詞を使っておって大変恐縮でございますが、固まった形でこれはもう本当に合衆国の要求であるぞよと、そういうような形で受け取ったということはございませんし、それがパッケージという形になって受け取ったということもないということでございます。
  153. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ちょっと時間を使うのはもったいないんですが、パッケージあるいは固まった形でなくても、では、朝鮮有事あるいはそれに類した何かのときにアメリカの政府から、あるいは米軍から日本の政府に対して要請というのが、抽象的であれ、あったことはありますか。
  154. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私もこういうようなお答えをして委員の貴重なお時間を使うのは恐縮なのでございますけれども、そういうような議論というものは、抽象的に議論としてはあろうかと思いますし、そういう議論は平素からそれは行っておるものでございます。  しかしながら、それは要請とか、これが決定であるとか、そういうような形でやったことはない、それはもう議論ではなくて要請というものになるのだと考えます。
  155. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 真実に接近するのがちょっと困難ですが、ただパッケージとしてはないが、そういう議論ということはあり得るということなんでしょうか。というふうにお聞きをしておきます。  そうしますと、この十年間というのはどういう動きであったかと考えますと、日米安保をグローバル安保へ再定義した九五年のナイ・レポート、それから日米共同宣言、日米の新しいガイドライン、周辺事態法、三年前のアーミテージ・レポートというふうに、一連の流れは日米共同作戦に実効を持たせるものであると。  先ほど、細かい議論、こういうものがあったのではないかという中身をお聞きをしました。今回の有事立法の中身、輸送であれ、補給であれ、様々なものであれ、そのときの議論になったと思われる、私が考えるには、報道されている中身をどう実現していくかということに実に符合しているというふうに考えております。  今回の有事立法は、昔の、日本が侵略されたらどうするという面もゼロではないかもしれません、陣地をどう作るか。しかし、備えではなくて、戦争をするときにどう日本の後方支援をしていくか、そういう立場もあるのではないですか。
  156. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは再三に当委員会でお答えをしておりますとおり、米軍をいかに支援するかという立法はこれから行うものでございます。そして、それは、当然のことでございますけれども我が国が武力を行使をするわけではございません。そういう事態におきまして、つまり周辺事態、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を及ぼすような事態において行動しておる米軍をどう支援するかというのが周辺事態法でございます。  我が国武力攻撃を行われる、あるいは行われることが予測される、そういう事態において米軍をどのように支援をするかということは、それはアメリカの戦争に加担するものだという見方に立てば、徹頭徹尾そう見えるんでありましょう。しかしながら、我が国の平和と独立を守るために行動している米軍に対して我々が武力の行使につながらない範囲で何ができるか、それは我が国の平和と独立のためなんだ、アメリカの侵略戦争に加担するものでも何でもない、私どもはそう思いまして、これから先、立法をしていこうということだと思っております。  その立法が妥当なものであるかどうかは国会の御審議を経て決まることでございます。
  157. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 でも、今、極めて重要なことをおっしゃったと思うんですね。アメリカの侵略戦争に加担するかどうか評価は別としても、一緒戦争をするということじゃないですか。  ところで、アメリカが、一番初めの、振出しの質問に戻ります。アメリカが世界のどこかの国を攻撃し、米軍基地から攻撃機が飛び立ち、攻撃された国は米軍基地のある日本に向け反撃を準備した。それが例えばイラクかもしれない、北朝鮮かもしれない。現に、厚木基地でいつも訓練をしていた艦載機が横須賀港からキティーホークに乗ってイラクへ戦争へ向かい、イラクで厚木基地の上空で訓練をしていた艦載機がイラクへの空爆を行いました。そして、キティーホークが横須賀港に戻ってきたら、キティーホークの司令官は、日本よ石油を給油してくれてありがとうという演説をぶちました。テロ特措法に基づいて石油を補給することはできないだろうと国会で何度も質問をしてきました。油に色は付いていない、だからこれは危険じゃないかということを何度か質問をしました。現に、横須賀港に戻ってきたキティーホークの司令官は、日本よありがとうということを言いました。  これはさっきの、ですから、イラク戦争に日本の石油が使われた可能性はあるのですが、私が今日質問したいことは一番初めの、振出しの質問です。日本の米軍基地から、イラクへの戦争がそうでした、米軍機が飛び立つ、あるいは日本の港から出ていく、そのときに米軍基地のある日本に向けての反撃が起きたとき、これは例えば、それは北朝鮮かも、イラクかも、世界のどこかの国かもしれません。周辺事態武力攻撃予測事態、いずれかと認定できる可能性があるわけです。  そうしますと、有事立法が成立をすれば、それはこの法律が作動するんじゃないですか。
  158. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) アメリカがありがとうというふうに申しましたのは、別にキティーホークの艦長ではなくて司令官が申しておることでございます。そして、ありがとうと言ったのは何に対してありがとうと言ったかというと、テロ特別措置法に基づきまして、その目的達成のために我が方が行いました給油に対してありがとうと言ったのでありまして、私どもの給油したものがイラク戦争に使われたというようなことはございません。委員がおっしゃいますように、そんなものは信じられるか、油に色は付いていないではないかというふうにおっしゃいますが、私どもはそれぞれの国と、合衆国のみならず、給油を行います国すべてと交換公文を締結をいたしましてやっておるわけでございます。したがいまして、イラク戦争とかそういうテロ特措法の目的以外に使われたということはございません。  そして、その前提に立って物事を申し上げますと、私どもテロ特措法というのは、国連決議に基づきまして、九・一一に起因しますテロを根絶するために行動しておる。つまり、国連決議の目的に従って行動しておるアメリカ始め多国籍の軍隊に対しまして、私どもは海外において武力の行使はできません、しかし国連決議に基づいて行動をしておる軍に対して、我々は日本国憲法によって許容される範囲において国際的な責任を果たしておるのでございます。その国に対しまして武力攻撃をする、アメリカと一緒にやっているから武力攻撃をする、そのような国があるとすれば、そのような国の行動は決して国際的な理解が得られるものだと私は思っておりません。  イラクに対して行動しているアメリカに対して石油を出したではないかというふうにおっしゃられれば、そのような事実はないということは政府が繰り返し申し述べておるとおりでございます。
  159. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 石油のことはまた後日として、私が質問をしたかったことは、日本が、冒頭の質問で、アメリカが世界のどこかの国を攻撃し、米軍基地から攻撃機が飛び立ち、攻撃された国は米軍基地のある日本に向けて反撃を開始した。これはイラクの戦争のときかもしれない、朝鮮有事の場合があるかもしれない。このときに、これは武力攻撃予測事態というふうに認定をされれば、正に、日本もそうですが、攻撃をしているアメリカの補給をこの法律はやることになりますね。
  160. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 武力攻撃予測事態あるいは武力攻撃事態におきまして私どもが何ができるかということはこれから議論をすることでございます。これから政府において法案を考え、そしてまた国会の御審議をいただくことでございます。  そして、周辺事態法は、先生御案内のとおり、輸送というものはできますが、補給というものを行うということには相なっておりません。そのことは先生よく御存じのとおりでございます。
  161. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 冒頭の質問で、こういう場合は武力攻撃予測事態か周辺事態かと質問をしました。そのときはケース前、それだけでは答えができないという御回答でした。つまり、武力攻撃予測事態になることもあれば周辺事態となることもある、両方になることもある。ということは、この有事立法が適用される可能性があるということではないですか。  私は、今日、朝鮮有事の際における九四年の要求、あるいは議論があったのではないかということをお聞きをしました。当時は周辺事態法も武力攻撃事態法案もありませんでした。周辺事態法は、九条一項で、国は地方公共団体の長に対して協力を求めることができる。二項は、協力を依頼することができる。  要するに、じゃ逆に、周辺事態法において、もし自治体やそれから運搬をする人たちなどがノーと言えば、それは強制はできないですね。
  162. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 強制はできません。
  163. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今答弁していただいたとおり、確かにもう周知のとおり、これは強制はできません。しかし、この有事立法三法案が成立をすれば、内閣総理大臣は直接指示権を持ちます。また、先日も言いましたが、保管命令義務違反で懲役になったり立入検査拒否が処罰される。新たな、周辺事態法とは全くレベルの違う世界が展開をするわけです。それがこの法律のポイントではないか、拒否ができないということではないですか。
  164. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この話は他の先生とさせていただいたところで、私の説明の仕方が悪くて御理解をいただけないのだろうと反省をしておりますが、例えば災害対策基本法にも同じような条文はあるわけでございますね。災害対策基本法、つまり、午前中、たしか木村委員からも御質問があったことでございますが、国民にとってみれば自然災害であっても武力攻撃であっても、それがあるいはテロであっても、国民が受ける被害というものはそれは同じなのです。国民の生命、財産が脅かされるという意味では同じなのです。  例えば、さっき保管命令のお話をなさいましたが、保管命令は別に動機のいかんによって罰するとか罰しないとか、そういうようなことを申し上げておるわけではございません。そのような保管というものを拒否する場合に、それが自衛隊の行動を全体を阻害するものになり、結果として国民の生命、財産が守られない、そうであってはいけないのであって、理由のいかんを問うているわけではございません。それは、災害におきましても武力攻撃におきましても同じことでございます。
  165. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 災害は天災、自然災害は天災です。  しかし、先ほどしっかり御答弁いただいたように、日本から、米軍基地からアメリカが、攻撃機が飛び立って攻撃された国が米軍基地のある日本に向けて反撃を準備することが武力攻撃予測事態になることもあるわけですね。そうしますと、それはまた、いやそれはある人から見るとアメリカの戦争に巻き込まれるという見方が起きることは事実じゃないですか。そのときにこの法律が作動して強制をされたり、周辺事態法とは違う命令がされるということが本当に問題です。  ところで、国会の関与についてお聞きをいたします。  修正提案では、武力攻撃事態の解除について国会決議によるという文言が追加されましたが、認定については国会は関与しないままです。元々国会決議があれば解除できることになっており、修正にはほとんど意味がないのではないか。なぜ認定の段階国会の関与を入れないのか。  例えば、イラク戦争のとき、イラク戦争の開始のときに、大量破壊兵器があるからアメリカの攻撃は正しいのだ、そういう説明が至るところでされました。しかし、いまだもって大量破壊兵器は出てきておりません。情報だって非常にあやふやですし、ましてや、ある程度武力攻撃事態が、失礼しました、安全保障会議での検討を経た後、政府武力攻撃事態を認定した後に国会の承認を得るのでは極めて国会の関与が弱いと考えますが、いかがでしょうか。
  166. 阿部正俊

    ○理事(阿部正俊君) どなたに対する質問と考えていいですか。
  167. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 修正者。修正者、じゃ。
  168. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 我々は、国会関与があると思っております。  つまりは、認定の閣議決定というのがありますけれども、その閣議決定をしたものの認定を対処基本方針に盛り込むということになっておりますし、また、実際に自衛隊が動くことになるわけでありますけれども、この法律の関連で今回自衛隊法を改正をして、防衛出動の要件、つまりは、自衛隊をこの武力攻撃事態対処法に基づいて動かす場合にはそれ自身も対処基本方針に盛り込むということでございますし、また、政府の答弁の中では、閣議決定をしてからすぐにその日のうちに国会に対して認定を求めるということでありますので、我々は、今御質問された国会の認定が甘いということについては当たらないというふうに思っております。
  169. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ただ、閣議決定を経ることは国会の関与ではもちろんありませんし、その日のうちといってもそれがタイムラグが生ずることもありますよね。  どうしてもっと前倒し、つまり、諸外国の立法を見ますと、国会の関与、非常に御存じのとおり前倒し、はっきり国会の中で説明をして承認を得るという立法がかなりあります。なぜそうしないんですか。
  170. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 先ほど申し上げましたように、具体的に物事が動き出すのはこの対処基本方針が国会承認されなければ動かないということでございますので、実質、私は事前の国会承認と同じ意味合いを持つというふうに認識をしております。
  171. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 安全保障会議の後に認定が、国会での関与があるのは遅過ぎると、国会の関与が弱いと思います。  今日、質問をさせていただきましたが、備えのための法律ではなく、戦争をするための法律、周辺事態法とは違うレベルでの強制が非常に始まるというふうに思います。この法律賛成をする人たちはこの法律戦争をするということに協力するのだということを最後に申し述べて、私の質問を終わります。
  172. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。よろしくお願いいたします。  質問通告をしてない部分で、先ほど午前中終了間際ではなくて、山本一太議員のいろいろるる外務省の官僚のいろいろやり取りがございました。  伺っておりまして、私も山本一太議員は尊敬をしておりますけれども、ちょっと気になる点もございましたし、官僚、大臣の皆さん方からお答えするということではございません。私のここにおけます委員会の場にいる一員として、議員として、かつまた山本議員がここで発言をしまして議事録に載っていますので、私も同じ日にこの特別委員会にいた一人の議員として山本一太議員が発言したことについての感想を述べさせていただいて、質問項目に入っていこうかなというふうに思っております。  一つは、内容については私は繰り返しません。議院内閣制の中で、与党は内閣を構成されております。御本人も発言の中で、部会で発言をすればというようなことをずっと繰り返し繰り返しおっしゃっておりましたけれども、私は率直に言って部会で徹底的にお話ししておいておくべきではなかったのかなというふうに私はまず思いました。  それから、具体的に田中審議官のお名前です。田中審議官のお名前が出ていて、それはそれで、これはこれで現実にあり得ようと思うんですけれども、一般的に言う、この対話と圧力というようなこういう二分方式がいいかどうかは、私もこれは基本的に考え方があります。しかし、一般的にこの対話と圧力ということだと、田中審議官はどうも新聞的な構図でいうと対話派なのかなということになって、どうもやり取りはそうじゃないんだと言いながら、そこら辺については牽制をしているみたいなふうに受け取れますので、そこら辺についての懸念がありました。  という意味で、またどこかで顔を合わすような機会も今日以降あるわけですから、山本さんにそういうことじゃなかったのかなというふうに思いもございますので、そのことを私はあえてこの委員会の場でも話をさせていただいた次第でございます。  もう一つは、やっぱり議院内閣制の下で小泉内閣総理大臣がそれぞれ閣僚を議員か与党から、そしてまた民間から登用をして、それぞれ国務大臣に任命をするわけですが、石破防衛庁長官に対しまして、多分いろんな意味で思いがあったのかも分かりませんけれども、別な大臣もいらっしゃるわけでありまして、取り立ててこの場で石破防衛庁長官はすばらしい、すばらしい、すばらしいというようなことを披瀝する場ではないんだろうかなというふうに思いますので、そんな感想を私は思っておりますので、石破防衛庁長官が駄目だとかなんか、またこれ言うわけじゃなくて。  ともう一つは、全体的にこの緊急事態法制議論がずっと続けられまして、大与党の余裕ある時間帯の質問時間の使い方かなというふうに思いますが、これは、少なくとも私も理事でおりますけれども質問時間をということでやり取りを与野党しておりますので、そんなことも含めて感想を持ちましたので、冒頭に触れさせていただきました。  さて、今日はありがとうございます。  冒頭に、この委員会始まりまして、久間そして前原両議員にも私も一、二お話しさせていただきました。その上での政府とのやり取りをずっと重ねさせていただいていますが、改めてお尋ねさせていただきたいような点が幾つもありますが、ここでは絞らさせていただきまして、いわゆる人権保障、この規定でございます。  三条の四項に、後段に、その他の基本的人権に関する規定は最大限に尊重されなきゃならないということがこれは修正で盛り込まれ、いわゆる国民保護法制の中でこの部分につきましては処置を、措置をすると、こういうことで、私ども民主党としましては修正案を提示をし、そして自由民主党、公明党、保守新党の三党の合意覚書の文書で、武力攻撃事態対処法三条四項に対し民主党修正するよう求めている事項については国民保護法制措置をするということを覚書で交わしております。  この内容につきましては、私ども基本的人権、六項目具体的に挙げさせていただいていますが、この六項目が今度の国民保護法制議論の中で具体的に措置をされるというふうに受け止めておりますが、久間議員、そういうことでよろしいでしょうか。
  173. 久間章生

    衆議院議員(久間章生君) 今度の、基本法でございませんで、武力攻撃事態対処法だったものですから、基本法だったら今おっしゃられるように六項目を法案に盛り込むというのも、憲法であるのをあえて入念的に規定するというのも、そうなのかなという思いもその当時、議論しておっていたしました。  しかしながら、政府が出しておりますこの法律の中で盛り込むというよりも、本来、そういう基本的人権等をどうするかというのは国民保護法制の中で検討してきちっとするのが本来筋じゃないかということで、そちらで対処すべきじゃないかと。特に、民主党さんから出された項目のうち、五号、六号、これはいわゆる損失補償をどうするか、そのときに法的手続をどうするか、こういう規定でございましたので、これは国民保護法制のときに正に書かなきゃならない事項じゃないかと、そういうふうな思いがございました。  さはさりながら、これまでの委員会の審議の中で、やはり平時と比べてそういうときにはより基本的人権が侵されやすいという思いがあって、入念的に今度の修正案でも出してきたんだと、そういうふうにおっしゃられましたので、そういう意味では、ここのところを強調することによって、よりはっきりさせた方がいいという、そういう思いがあって今回の共同修正案として出させていただいたわけでございます。  だから、今度のやつで全部網羅しているということじゃございませんで、先ほど言いましたように、五号、六号は正に国民保護法制のときにやるということで今度のやつには入っておりません。しかしながら、一号から四号までは一応憲法で書いているやつを並立的に並べまして、最大限の尊重をしなければならないという思いで書いておりますけれども、これも国民保護法制整備をするときに併せて検討したらいいということで、そのときに更にこれを突っ込んでまた規定することも考えてまいりたいと、そういうような思いでございます。
  174. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ちょっと先に前原議員からお尋ねしときゃよかったかなというふうに思いまして、私どもは明確に六項目がこの国民保護法制の中で明記されるという受け止め方で合意をしているというふうに思いますので、そういうことですね、前原議員。じゃ、よろしく。
  175. 前原誠司

    衆議院議員前原誠司君) 委員指摘をいただきましたように、六項目については我が党のこだわりを持って修正に臨んだポイントでございまして、また、久間議員から話がありましたように、四項目につきましては、法の下の平等、意に反する苦役の禁止、思想及び良心の自由、表現の自由については改めてこの武力攻撃事態対処法に書いたと。そして、そのほかの私権制限に対しての正当な補償、不服申立てその他の救済手続、これについてはまさしく国民保護法制にかかわる部分でございますので、国民保護法制にしっかり書くと。そして、前の四項も更に国民保護法制担保するということで合意したところでございます。
  176. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。  そこで、官房長官に。  今の二人の質問に対する答弁、これはもう既に合意をされておりますから十分御承知の上ですが、国民保護法制につきましては、昨日、四名の方に参考人で院にもお招きいたしまして、いろいろ、るるやり取りいたしました。基本的人権部分については、それぞれもちろん、それぞれが皆さん御関心ありまして、特定のお名前は申し上げませんが、もう憲法でもあるいは事態法でも、それから今度の国民保護法制の中でやっぱりきちんとこれは書くべきである、明記するべきであるというのは昨日もここの場所で述べられました。  このことについて、国民保護法制を、これはこれからきちんとしてお互い国会でしていくわけですけれども政府の所管大臣として、このことについてお考えを伺いたいと思います。
  177. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいま与野党修正についての当事者のお話もございました。それに尽きることだと思いますけれども基本的人権の尊重、これはもう極めて大事なことであるというように思いますので、このことについては、もちろん政府案にもその趣旨は規定はいたしておりますけれども基本的人権を尊重するという、そういう理念を更に明確にすると、こういうふうな形で修正が行われたというように理解いたしておりますので、今後、国民保護法制を今後整備する際に、十分その点に留意しながら検討してまいりたいというように考えております。
  178. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 お三方から伺いました六項目は国民保護法制で条文上明記するということで受け止めさせていただきながら今後の審議に加わっていきたいというふうに思います。どうもありがとうございます。結構です。  次に、関連する人権保障規定なんですが、政府の方からお伺いいたしますが、この間の本院におきます議論の中でも、また今日の議論の中でも提示をされておりますが、国民の理解を求めていくということで、しかし、国民の理解を求めるといっても、なかなか御理解がいただけないという、政府あるいは自治体のいろいろな立場もあるのだろうと、双方あるだろうと思います。例えば、この間、つい最近では、イラクへの武力行使をめぐりましても、アメリカの国民であっても、イギリス国民であっても、国内で様々な出来事があったことも事実だというふうに思います。  いわゆる有事の際、政府の方針におれは反対だ、私は反対だというときに、非協力を取るという、そしてまた反対を取るという、そういった国民方々に対し、そういったことに対し、我々はある意味では、何というんでしょうか、そういった人たちに対する人権保障というのが大局的な立場に立って私は当然あるべきだろうという意味での、ここの考え方がベースにあるんじゃないかというふうに思います。言ってみれば、私自身、法律の専門家じゃございませんが、抵抗権という言葉が、抵抗権という言葉法律的にあるのかどうかあれですが、この内部では、私ども、抵抗権ということは、権利というのは、有事の際、基本的人権保障の際、確保されるのかどうかという危惧を指摘をする方がおります、方たちが。  こういうことに関し、今、官房長官でも結構ですし防衛庁長官でも結構ですが、それに対する御見解があればお伺いいたします。前段言った意味が抵抗権につながっていく意味でございます。
  179. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 今、先生から抵抗権という言葉が出ましたが、確かに例えば私もその種の言葉を聞いたことはございますが、少なくとも憲法上の手続なり憲法基本的人権の中にそのような概念はないというふうに承知しております。
  180. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただ、総論的に、じゃ言葉なくても前段言った部分について。
  181. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 結局、人権、個人の人権を最大限保障しなければいけないというそのこととの関連もございます。言論の自由とかそれから内心の自由とか、こういうことは保障されなきゃいけないというのは基本的な考え方であります。
  182. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それから、いわゆる労働基本権というのがございます。例えば、こういう様々な問題について、このことに、法律に関係する行使に当たって、そのことに対する労働基本権を行使することによって争議が行われるということもあるかも分かりませんし、そうじゃないときに、その同じ時期に争議をする場合もあるだろうということで、このいわゆる有事の際に労働基本権、特にストライキ権に対する制約は、いや、それはもう通常、平時のときと同じなんだと、労働基本権保障については、全くもうそんなことについては侵害するつもりもないし、今質問されて、ああ、そんなことも心配するんですかというふうになるかも分かりませんけれども、いずれにしろ、このことについての危惧があるとしたらどういうふうにお答えになりますか。
  183. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは民間企業の場合ですね。民間の企業の場合に個々の従業員等を縛る、そういうものはないんです。これはもう企業としてどういうふうに判断されるかということでございます。
  184. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこは多分、官房長官、業務の関係での輸送事務とかそういうことを多分具体的に想定されたと思うんですが、特に労働組合は、労働組合の組織として何を対象にストライキをやるかどうかと、いろいろまた労働組合自身が考えていくわけですから、少なくとも今こういう政治的なことで、あるいは具体的な事例とは限らないです。いろいろな様々なことで争議というのはあり得るわけですね。そういったことについて、有事だということで、この平時なら何にもそんな問題ないわけですから、労使交渉事項ですから。そういうことについて、制約なんということについては毛頭、全く考えておりませんということだと思うんですよ。ことだと思うんですけれども、そういった危惧があるとしたら、それはそういうことです、心配すること全くありません、制約することはございませんというふうに御答弁いただければ私は差し支えございませんけれども、いかがでしょうか。
  185. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) それは各企業の労働協約ですか、企業者とそれから従業員との関係ですね、それについて政府がそこに介入するということは、これはありません。
  186. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次に、指定公共機関のことについて幾つかお尋ねさせていただきたいと思います。  指定公共機関につきましては今後政令で定めていく、こういうことになっていくのが多くあると思うんですけれども、現時点では、「独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるものをいう。」、こういうことで、これも度々同僚議員だとか私も前回の質疑で交わさせていただきました。  今後、どのような機関及び法人が指定されるかについてはということで、政府の答弁、ちょっと中間的には省略をさせていただきますが、当該機関の意見を聞きつつ総合的に判断をされると。当該機関の意見を聞きつつ総合的に判断されるということで、政府の方の判断のみではなくて、相手側との協議の上だというふうに受け止めてよろしいですね。再確認でございますけれども
  187. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいま指定公共機関としてどういうものを指定するかということについては、今現在、委員のおっしゃったようなそういう機関を想定はいたしております。しかし、今後そういうことも含めて、関係機関とのいろいろな事情等も聞きながら最終的な決定をしてまいりたいと思っております。
  188. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいまの答弁で、意見を聞きながらということだと思います。  そこで、機関の意見を聞きつつということですが、具体的に私も冒頭の最初の日の質疑指摘させていただきましたのは、放送事業者、とりわけNHKも放送事業者で、民間も民間放送事業者でございますけれども、日本放送協会につきましては、これに条文で具体的に対象が書いてありますが、そしてまた答弁では、民間放送事業者につきましては、政府の統一見解では、民間放送事業者が指定される可能性があるが、現時点ではNHKが主として考えられているというのがこれまた政府の統一見解で、私どもも伺っております。  そこで、私どもが紹介させていただきましたのは、これも政府にも届いていると思いますが、衆議院修正議決をした時点で、社団法人日本民間放送連盟がいわゆる指定公共機関に指定されることについての疑念と危惧を出されていることもこれは事実で、届いているんではないかというふうに思います。  そこで、私どもは、この放送の持つ自主性とか公共性、強制もしませんよとずっと政府の方から、官房長官からも聞いておりますが、そういう上での、日本民間放送連盟がなおこのことについて、私は、態度として指定して、言ってみれば指定してほしくないという表現は使っていなくても、それに近い表現でありますから、先ほど答弁いただきました、当該機関の意見を聞きつつ総合的に判断されると。  これから法律が通って、そして意見を聞く中で、日本民間放送連盟が、やはりこれは指定してもらっちゃ困るなというときにはこれは強制しないで、それはそうですか、じゃ、これは自主的にひとつよろしくお願いしますというふうに通常なるんではないかなというふうに思いますが、そういう受け止め方でよろしいでしょうか。
  189. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 委員の御指摘のとおりでございます。  政府として、今現在、主としてNHKということを考えております。しかし、民間放送事業者が指定される可能性がないわけではない。それは、国民の安全、身体の安全とか、それから国民の生命とか、そういったような重要なことに関する緊急情報を正確かつ迅速に国民に伝達するということがございますので、放送の速報性という、そういう機能に着目して放送事業者を指定公共機関として指定することは必要であるというふうに考えております。  しかし、いずれにしましても、国民保護のための法制整備後、放送事業にかかわる指定公共機関制度の運用に当たりましては、民間放送事業者の意見を十分聞き、そしてそれを踏まえて適切に対処してまいりたい、そのように考えております。
  190. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 答弁をいただきましたように、是非、相手側、民間放送事業者の意向を踏まえて詰めていただくことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  官房長官、何時にいなくなるんでしたっけ。──あと十分ぐらい、五分。十五分ぐらい、二十分。  次に、武力攻撃の定義について、これも同僚議員からたっぷりさせていただいておりますし、私もこれからさせていただくのに重複する点が多々あろうかなというふうに思いますが、この武力法案の第一条一号、武力攻撃とは我が国に対する外部からの武力攻撃をいうとされております。  この場合の我が国、どういう、政府答弁で、我が国の領土だけではなくて、国外の我が国の艦船、飛行機、あるいは大使館も含めるんだという答弁があったのかどうか、まだきちんと議事録の精査をしていないんですが、そういうふうに受け止める部分もございます。  この我が国ということについての定義につきましては、衆議院の我が党の同僚議員からも度々、質問主意書でも提示をされて、政府からも答弁をいただいているところでございますが、私は、率直に申し上げまして、我が国というこの定義というのは、かつては我が国は国是で専守防衛という国是を持っているわけでありまして、余りにも広義、広く解釈をし過ぎるんではないかというふうに思いまして、我が国の少なくとも領土、そして領海、領空ということに限定をすべきではないかなというふうに思いますが、改めて、この我が国ということについての考え方政府の見解についてお示しいただきたいと思います。
  191. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御確認でございますので、もう一度申し上げます。  我が国に対する武力攻撃とは、基本的には我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使をいうと考えておりますが、法理論的には必ずしもそれに限定されるわけではございません。  我が国の領域外で発生した武力の行使が我が国に対する武力攻撃に該当するかどうかは、当該武力の行使が我が国に対する組織的、計画的なものと考えられるか否かによって判断されるべきものと政府は考えております。  現実の問題におきまして、我が国領域外における特定の事例が我が国に対する武力攻撃に該当するかどうかにつきましては、個別の状況につきまして十分慎重に判断すべきものと考えております。  ということでありまして、例示を挙げられまして、これはどうだ、これはどうだ、これはどうだということになって、これは当たりますとか、これは当たりませんとかいうことを申し上げることはできないと思います。  ただ、我が国に対する武力攻撃という評価、それは我が国とは何かということではなくて、我が国に対する武力攻撃と見られるようなそういう事象とはどのようなことかということは、個別具体的に慎重に判断をされることになりますし、まさしく先生御指摘のとおり、我が国に対する武力攻撃あったとしても、ほかに取るべき手段があるのかないのか、そして、それに反撃するとすれば、それが、ごめんなさい、自衛権の行使として武力攻撃する場合に、それが最小限のものになるかどうか、そういうことで自衛権を行使するかどうかが決まるわけでございます。  したがいまして、先生御指摘のように、恣意的にもうあれは我が国に対する武力攻撃だ、よし自衛権の行使だということにはならないわけであります。そのことはよく私どもも心しなければいけないことだと思っております。
  192. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官の答弁は質問主意書あるいはこの間も伺っているところでございますが、今、後段お答えいただいた点を踏まえていくということがこれ大切なことではないかなというふうに思います。  さて、外国にある公館はこれはどういうふうにとらえますか。先ほど私もちょっと答弁で、艦船、飛行機というのは出てきたなと思いますが、公館に対する答弁というのはどうなっていましたでしょうか。
  193. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  我が国の在外公館に対する攻撃が我が国への武力攻撃となり得るかは、理論的に申し上げれば我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるかどうかの問題でございます。しかしながら、一般的にそのような攻撃が我が国に対する武力攻撃と認定されることは余り想定し難いというふうに考えております。
  194. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の武力攻撃事態対処に関する特別委員会議論をしているわけでありまして、少なくとも私どもはこの法律を検討して、そして適用、対応、あってはいけないわけですけれども、少なくとも、この定義上の我が国というのは少なくとも一般論で言う定義ではないんだろうなと、一般論で言う我が国を少なくとも議論するところじゃなくて、少なくとも広い、狭い意味でといいましょうか、ごく通常の私は定義付けでこの今法案というのは審議をしているのではないかというふうに、一般論とこの法案ということでですね、そういうふうに受け止めさせていただいているつもりでございます。  さて、もう一つは外部からの武力攻撃ですけれども政府の答弁では、組織的なあるいは計画的な攻撃を指すとか、国家に準ずる組織などと説明されていますが、なかなかこの辺の定義付けというのはこういうふうに抽象的にならざるを得ないのかなと思いつつも、どうも一般的に抽象的過ぎるのではないかというふうに受け止めざるを得ないと思います。  外部からの武力攻撃については、武力攻撃の性格を明らかにできないだろうか、幾らかでもというふうに思いながら、例えば我が国憲法秩序を危うくするような一定規模武力攻撃というふうに、そういったようなとらえ方というのはないんだろうかと。もう一つは、外部からの武力攻撃について、外部からの国家ないし国家に準ずる組織からの組織的かつ計画的な武力攻撃というような定義ということは、政府見解として私はしかるべき見解としてあるんではないかというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
  195. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは従来からこのように答弁をさせていただいております。  すなわち、武力攻撃対処法第二条にございます外部からの武力攻撃とは、国又は国に準ずる者による組織的、計画的な武力の行使である、すなわち外国又は外国に準ずる組織の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為がこれに当たる、何のことだか聞いただけではよく分かりませんで、何のことだそれはと、こういうことになるわけでございますが、要するに、国に準ずる者とは何なのだと言われますと、国というのは結局その領土を有しているか、国民を有しているか、若しくは政治体制というものを有しているかというようなことになるのだろうと思います。それを具備してそれは国家だというふうによく言われますし、主権というのはそういうものだと言われることがあります。  そのうちの全部か、それとも一部を充足しておる、それは国に準ずる者であり、あるいは国際的には国家としては認められていないが国際紛争の主体となり得るもの、例えばタリバンなんてのはやっぱりそういうものになるんだろうと思うんです。しかし、それが宗教団体のちっちゃなものだったりした場合には、とても国又は国に準ずる者にならないだろう。  やはり、これ私の私見ではございますが、領土とか国民とか政治体制、それを決めるプロセス、そういうものが判断材料になってくるのだろう。しかし、これが国に準ずるものなのだということをきちんと申し述べることは不可能でありまして、そのときには、国際紛争の主体となり得るかどうかということを判断をすることになるのだろうと考えております。
  196. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 なかなか難しい部分もあるかも分かりませんが、少なくとも、今、私たちが考えている以外のこともこれから起こり得ることもこれあり得ますし、ただ、できる限り、これは、私は今後また機会を見て、私自身もこういうふうに定義をすべきだということについてまた申し上げる機会もあるんじゃないかと思いますので、現時点での提起につきましては、そういうことでとどめさせていただきたいと思います。  さて、官房長官が御退席をされるということでありますので、すべてやり取りを一緒に聞いていただきながらと思いましたが、いらっしゃる間に一つお尋ねしておきたいのは、武力攻撃事態あるいは武力攻撃予測事態認定に対しての情報公開の部分です。情報公開の部分であります。  言うまでもなく、国会は国権の最高議決機関になるわけですが、この認定というやり取りも出ておりますが、武力攻撃事態武力攻撃予測事態認定というこの重要な事柄に対して、政府はどのように国会に、どのような、どのような情報を提示をして国会審議に寄与しようしているという、そういう考え方に立っているのか、それは整理されているんでしょうか。整理されてもう答弁されているかも分かりませんが、改めてお尋ねいたします。
  197. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 一言で申し上げれば、どういうものにするかという内容について、これはこれから検討させていただきたいと思います。  ただ、立法府と行政府、これは一体となってこういう緊急事態に対応しなければいけないという、そういう趣旨からいえば、でき得る限りの情報は国会にも丁寧に提示をしなければいけない、これはもう当然のことだというように考えております。でき得る限りのということでございます。  でき得る限りと申し上げたのは、その中には申し上げられないことももしかしたらあるかもしれぬ。しかし、そういうことを、そういうことを、そういう部分は除外してでき得る限りのものは提供して、そして御理解を深めていただくということにしなければいけないと考えております。
  198. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 でき得る限りということなんですけれども、そんなに私もいろんな意味でのこの周辺に起きた様々なことを記憶にあるわけじゃないんですが、私自身も、国土交通委員会だったのか外交防衛委員会だったのか、かつての能登半島沖の不審船の事案で、一義的にどこから情報を察知して、どういうふうに防衛庁とか海上保安庁は対応したんだろうかというような議論をしたことがありまして、最初に、要するに政府の言っていることと報道に出ていることが違うわけでありまして、報道に出るのは、米軍が一義的に情報を受けて、そして米軍から我が国の海上保安庁なりあるいは防衛庁へ行った、そういう経緯が書いてありまして、大きな新聞にばんと書いてあるわけですね。国民は、読者は、これは米軍情報で日本の政府は知って、そして対応していったんだなというふうにあるわけですけれども、そのことをそういうことですよねと言ったら、幾ら審議しても、幾ら審議しても、お答えできません、お答えできません、お答えできませんとなってしまうんですよ。  今回の緊急事態法制というのは、様々な他国からの、あるいはさっきの組織的ないろんなことありますが、あるいはテロ災害、いろんなことがあって基本法という提案をしました。特に不審船等も、これは今後ともきちんとしなきゃならないわけでありますが、あのことを思い出しまして、この軍事情報というのは、実際、日米安全保障条約、あるいはガイドライン、そして周辺事態、そして今回これ、これから日米関係又はいろんな意味での法整備をしていくという政府の方針ですが、現実的には、米軍に大きく依存しているのが私は現状ではないかというふうに思いまして、この米軍から提供される情報も国会には提示をされるということで理解してよろしいですか。
  199. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 情報はいろいろな情報がございます。米軍だけではないわけでございまして、今、委員のお話ございました、例えば新聞に大きく出ると、しかし政府の方はそれを確認しないといったようなこともあるんです、それは。しかし、新聞に出たからといって、その新聞が正しいということではないんですよ。そうでない情報もたくさんございまして、我々も迷惑しているときもございます。  そういうことでございますので、その辺については、これ情報の入手については、相手国若しくは相手機関との関係ございますので、出せないものはあるんですね。そのことは御理解をいただかなければいけない。しかし、そういう、これは今後の問題でございますけれども国会でそういうような情報をどういうふうに扱うかと、扱うべきかといったようなことについては、また国会の方で御議論いただきたいと思っております。
  200. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、そのとおりだと思いますよ。間違っていることもあると思いますが、報道機関で……
  201. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 多いんです。
  202. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、多いんですから、それは。  ただ、さっきの能登半島沖の不審船は、どの港から出てきて、あって、またどの港へ行くというのが克明に書いてあるんですよ。だから、僕は、そのとき、やり取りも、今ここで議事録持っていませんけれども、事実じゃなかったら事実じゃないと言えばいいじゃないかと。報道機関を見ている人は、報道を見ている人は、ああそうだなと、でもこの国会の中でそれをやり取りすると、いや、それはそうじゃないか何とか、どっちも言えないみたいな、これは一体何なんだろうかというのを、私は国会議員の一人として、いや、これはしようがないんだというふうに思えますかね、しようがないんだと。  そういうふうに、だけど、別に国会議員が偉いとか何かなんて、そんなことは何もないですよ。いかがですか。官房長官、どこか、どこかじゃない、記者会見か。防衛庁長官
  203. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは結局、我々はここから情報をもらっているのだというようなことが明らかになりますと、そこからはもう情報をもらえないということがあるのは、先生御存じのとおりであります。  それが、能登半島沖の不審船事案のように、ああいうケースになりますと、それは更にそういうことになってくるのだろうと思います。それは、衛星もあれば警戒機もあれば、いろんなものを飛ばしております。そうしますと、我々はここからもらった、いや、この情報は間違いなのであるということを言うことによって、これから情報が入らなくなるということが一番恐ろしいと考えております。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  したがいまして、国会が偉いと思っておっしゃっているわけではないことはよく分かりますし、私どももどこから情報をこれは得たのだということを言いたいなと政治家として思うことはあります。しかし、それを言ってしまうと、もう情報が入らなくなる、あるいは我々の情報量の限界というものを知らしむることになる、そういうようなことで、このことは国民の皆様方に向かっても明らかにできない場合があるというのが事情でございます。したがって、それがどの報道が正しいとも間違っておるとも、そのことも含めて申し上げることができない場合がございます。
  204. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私が、米軍のどこどこのどこどこ、どこからということではないと思う。日米のそれぞれの情報とか、それは僕はある意味では抽象的な点も含めまして示して、示すべきだと、そういう記憶があるものですから、私は今回、この武力攻撃事態武力攻撃予測事態認定に際して、この重要な事柄を政府国会にどういうふうに提示をしようとするんだろうと思って、今、これは前置きの質問をさせていただいたわけですね。  それから、そういうような、さっきの能登半島不審船の沖合のこの情報ですると、ああそうか、それは米軍情報、じゃ米軍情報じゃない情報の入手の仕方は我が国としてできないんだろうかというのも、そのときのやり取りとして、私はあってしかるべきじゃないかというふうに思いますよね、逆な意味で。そういったことをやはり主権国家として私は追求すべきだということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  いずれにしましても、基本的にはシビリアンコントロールということになりまして、国会に対する情報公開は、私は極めてきちんと担保されるべきだというふうに思います。  官房長官お帰りになりましたけれども、今私が申し上げましたシビリアンコントロールの観点からも、国会に対する情報公開はもう担保、極力最大限とかするというふうに、石破防衛庁長官お答えいただけますか。
  205. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは政府として最大限行うべきものと思います。  ただ、それはどこからの情報なのかということが十分開示できない場合もあり得ると思います。その点は御理解をいただきますとともに、やはりこういうことにつきましては、この委員会でどこかでも御議論あったかと思いますが、保秘というものをどう保つのかということ、それは国民が知る権利を侵害するとか、そういうものはもう顧みないと、そんなことを申し上げておるわけではなくて、そういう場合の保秘というものをどのように行うのか、これも議会におきまして御議論をいただきたいことだと思っております。
  206. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官と先日の最初のときに、これはちょっと私自身も舌足らずな点がありまして、これは、場合によると、質疑通告をきちんとしたわけではございませんが、この間の議論、やり取り聞いても、突然質問しても何もきちんとお答えになるので、何も私も、長官はもうたじろぐことは全くないと思いますし、度々出ている内容なので。いわゆる敵基地攻撃と自衛権の範囲というやつですね。やつなんという、この項です、訂正します。やつなんて言うことはない、敵基地攻撃と自衛権の範囲についてでございます。  答弁は、二十四国会の鳩山当時総理の答弁ということを引用して、されております。多分、時間の関係で全部ここの部分お答えになっていないときもありますので、正確に私どもが受け止めていないのかも分かりませんが、ずっと何か聞いていますと、敵基地攻撃に、どうも何かミサイルとか誘導弾等、ここにありますが、もうそのときに、着手といいましょうか発射しようとしているときに、それは発射しようとして、もし我が国に来たときにはいわゆる攻撃が行われる、そして座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨ではないんだということのふうに実は受け止められるような答弁であって、ここの鳩山総理の答弁というのは、当時、船田防衛庁長官代読ともここに書いてありますが、「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、」ですから、だから行われていると、そして「その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、」、場合ですね、「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」と。これは、多分同文がお手元にあるんではないかというふうに思いますが。  どうも、全部が全部の、議員と長官のやり取りすべてじゃないと思いますが、基本姿勢、どうも、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨に反するところではない、だから、そんなことがどうもお互いやり取りして、何か非常に、何か危険というかきな臭いというか、随分乱暴だなというふうな表現がよろしいんでしょうか、そんなふうに受け止められるんですが、このことは、私は、そういうふうに受け取れば、何というか、専守防衛というのは、非常にある意味では専守防衛というのは、いろんな人から見れば専守防衛というのは随分厳しい国是だなと言う人もいることは事実だと思います。  しかし、今、我が国の国是が専守防衛というのは、最初にたたくというのはないわけですよね、やられてからやる、やられてからやるということですから。この敵基地攻撃と自衛権の範囲というのは、そういう専守防衛の、基づく、またこの脈絡にもつながっていくことではないかというふうに思いますが、改めて整理させていただき、私自身、多くの同僚議員は、いや、おまえの頭だけおかしいんだと言うのかも分かりませんが、整理する意味お答えをいただければというふうに思います。
  207. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員指摘のとおり、これは、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところではない、そういう場合には攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置を取ることは法理上は自衛の範囲に含まれ可能であるということを言っているのであって、その着手の時期についてはここでは何ら言及されているものではございません。  私がこの昭和三十一年の答弁を使って御説明をしますときに、着手の時期というものを併せて御説明をするものでございますから、この鳩山答弁なるものが着手の時期についてまである種のオーソライズを与えたものだということではないことは当然のことでございます。それはここでお断りをしておかなければいけないことだと考えています。  一方、この議論は、実は昨年の事態特でも随分あったことでございまして、じゃ、この鳩山答弁というのは分かるが、それは、第一撃は甘受するということなのかどうなのかという議論がございました。  これは、じゃ、ほかに手段がなく最小限にとどまるのであれば、一発目は仕方がないが、二発目以降は敵基地をたたけると、こういうことなのかねと、こういうお話がありまして、今どき、核を積んでいるかもしれない、生物兵器を積んでいるのかもしれない、化学兵器を積んでいる、それが着弾したら何万人と死んでしまうのに、第一撃甘受というのはいかがなものかというような議論がありまして、これも鳩山答弁以降の国会答弁で出ておることでございますが、我が国に対する武力攻撃の時期とはいつかといえば、それはおそれでは駄目なのだと、しかし被害が発生してからでは遅いのだと。  じゃ、いつかといえば、着手をしたときではないかという答弁もかつていたしております、鳩山答弁以降のことでございますが。それを組み合わせて答弁をしておるのでございまして、しかし、核なぞ仮に積んでいた場合に、第一撃甘受だという考え方は、私は責任ある政府としていかがなものかと思っております。  今、我が国はその打撃力を合衆国にゆだねておるわけでございまして、我が国として敵基地攻撃をするというような選択はございませんけれども、法理上申し上げておりますのは、鳩山答弁と、そしてまた、被害を受けてからでは遅く、おそれの段階では早過ぎる、したがってどこをもって着手とするかという議論を組み合わせて申し上げておるわけでございます。  いずれにいたしましても、我が国として先制攻撃を行うということはございませんし、自衛権の発動としての武力行使を自衛権発動の三要件に限った場合に行うということでございます。現在、敵基地攻撃ということを我が国政府として考えておるわけではございません。
  208. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の長官の答弁は、鳩山総理答弁と、あと、その後の、いわゆるミサイルに燃料を注入する、この着手ということで、ここが多分、このことに関してもっと議論をしていかなきゃならないなというふうに思います。必ずしも科学的に、ミサイルに燃料を注入した時点かどうかというのは、それ以降も、やめる場合、やめさせなきゃならないというのもあるわけですし、そうなると、今度やっぱり武力攻撃が始まったという、始まったというのはどういうことかというときに、その武力攻撃が始まった、ここは果たして燃料に注入したときなのかどうかというのは、私はもう少し正確に分析をした方がいいだろうというふうに思いますね。  極めて、またもう一つは専守防衛というのがずっと国是で、ずっと私たちございました。専守防衛とは何なのかということについて、防衛年鑑ずっと読んできているわけですよね。防衛年鑑の議論でいうと、そこの部分はないです、今、後段に言われた部分については。ずっと今までの防衛年鑑にはないわけでありまして、少なくとも専守防衛の原則によれば、相手からの侵略が予想されても相手国に対する先制攻撃はしない。それは確かに先制攻撃はしない。  ところが、燃料に注入をするということについては、これはお互いの理解の問題という。我が国がそういうことを言えば、いや、それはそうじゃないんだと、受け止め方が違いますから、それはもう先制攻撃なんだということになっていくわけで、ここは単純に言葉の問題でなくて、極めてこれは、生命、財産という意味での我が国のこれは方針の問題ですから、私は、石破防衛庁長官のこの着手を、燃料に注入したと、攻撃のためミサイルに燃料を注入して準備を始める行為を例としてここで挙げられておりますが、是非閣内で、これは閣内も含めまして、是非この敵基地攻撃と自衛権あるいは専守防衛、これはきちんと議論をしていただきたい、議論をしていただきたいというふうに思います。  国内だけじゃなくて、これは冒頭ありました、今、北朝鮮の問題で対話とか圧力だとかいいますが、何も私どもは北朝鮮を念頭に置いてこの今の法制をしているなんということはないというふうに思いますけれども、ただ、やっぱりいろんな、様々な関連の中で北朝鮮のミサイルの話が出てきていることもこれまた事実なわけでありまして、こういったやっぱり議論というのは当然相手があるわけですから、相手がどういうふうに受け止めたかということになり、最悪のケースというのは私どもはやっぱり考えなきゃならないとしたら、よりこのことについては慎重に、慎重に重ねて私は議論すべきだというふうに思いますので、いかがでしょうか、長官
  209. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりだと思います。  私が申し上げましたのは、これから、どの国でもいいのですが、これから東京に向けてミサイル発射すると、こう言って、そういうふうな具体的な意思の表明があって、そしてミサイルを直立させて液体燃料を注入し始めたというのは、一つの判断材料たり得るのではないだろうかと申し上げたのでありまして、それをもってもう我が国に対する急迫不正の武力侵害があったということを政府として申し上げているわけではございません。一つの判断となり得るのではないかということです。  他方、委員がおっしゃいますように、途中でやめることは確かにあり得ることでございます。やっぱりやめたと、燃料の注入は中止だということはあるかもしれません。そういうことがないとは申しません。しかし、実際に発射をされた後やめることが可能かといえば、これはいろんな議論があることでございます。  私どもとして、もちろん慎重に慎重に判断をしなければいけないと思います。間違って私どもが武力行使を自衛権の範囲としてやることは、間違ってやることはあってはならないことだと思います。しかし、判断が遅れて国民に多数の犠牲が出るということも、私どもは避けていかねばならないことだと思っています。  そこをどのように判断するか、シビリアンコントロールをきちんと利かせて、そしてまた国民の犠牲を最小にするということをどう考えるかということだと思いますが、るる申し述べておりますように、我が国は現在そのような能力を有しておりませんし、これから持とうというふうに思っているわけでもございません。そうすると、打撃力を行使する米軍がそのことをどのように評価し行動するか、そして我が国との連絡をどのように行うかということをきちんと深めていき、実効性を担保するということが今必要なことだと考えておる次第でございます。
  210. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私たちの発言というのは非常に注目をされますし、とりわけ防衛庁長官の発言というのは非常にまた注視をされていまして、先ほどの攻撃のためのミサイルに燃料を注入するというこの着手議論はもう国会でも幾たびかされていると思いますが、このことがやっぱり従来の政府見解が変わっていく、専守防衛論を取らなくなってきたと、あるいは先制攻撃につながっていく、先制攻撃論だというようなことではなくて、きちんとやっぱり私は、そうじゃないというふうにおっしゃっている以上、メッセージと、国民に対するメッセージ、国会から私は是非発信をしていただくことを求めさせていただきたいというふうに思います。  外務大臣、ありがとうございます。また、引き続きまた防衛庁長官あると思いますが、取りあえず。  今度、外務大臣にお尋ねしますが、まだ総理大臣帰国途中なんでしょうか。サミット、エビアン・サミットに今、総理行かれて、私も昨日、何時ごろだったでしょう、十時過ぎでしょうか、ブリーフィングされているのをテレビで見ました。大変なサミットだったと思います。大変ないろんな様々な課題があったと思いますが、北朝鮮部分のことをずっと聞かさせていただきまして、それは時々ここでは相当小泉総理、いろんな意味で私もやり取りをさせていただきました、きつくやりますが。あの部分に関していえば、大変ある意味で私は評価をさせていただいております。  その議長総括として、拉致についての各国の合意、ある意味ではされたということと、そして何よりもコメントとして、中国は中国、ロシアはロシア、韓国は韓国、我が国我が国、それぞれの対応の仕方というか歴史というか様々文化の違いがある中で、それぞれがやっぱり平和的に解決しようということをこのサミットで北朝鮮問題について合意をしたということについて、たしかさっと言うとそういうことじゃないのかなというふうに思いますが、その部分について、外務大臣として、サミットにおける評価について、北朝鮮問題についての評価について明らかにしていただきたい、御所見をいただきたいと思います。
  211. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、委員が非常に端的に総理のなさったことをまとめていただいたと思いますけれども、全体としてこれはサンクトペテルブルクからエビアンということで非常に長いサミットでございましたけれども、大変に総理は御活躍をなさって、北朝鮮についてもいい議長サマリーができたというふうに私は思っております。  サンクトでプーチン大統領、それから中国の胡主席とお話をなさったわけでございまして、そこの段階で今おっしゃられたような平和的な解決、包括的な解決ということについてお話をなさり、それから全体の場でも拉致についてかなり詳しく触れられて、これについてみんなが驚いたというようなこともあったようでございますけれども、これは、その最後のまとめでは平和的な、包括的な解決を平和的な手段によって追求をするという関係者の努力を支持するというふうに文章に書かれております。  これは、その核問題、それから拉致などの未解決の人道的な問題を含むその他の問題全部が含まれた形でございます。いい成果であったと思っております。
  212. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今後、北朝鮮問題について何か具体的な政治スケジュールとか何かについては昨日の会見を聞いている以上、会見では表明していないんだと、スケジュール、日程的な点については。それは何か外交レベルではあるんでしょうか。
  213. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今の段階で、例えば次にいつ三者会談が行われるとかあるいは五者、六者会談が行われるとか、そういった日程は決まっておりません。様々な二国間の場、それから複数の国が集まる場がございます。例えば、二国間の場ですと近々韓国の盧武鉉大統領がお見えになられまして、そこでは当然に北朝鮮の問題が大きなテーマの一つになるわけでございますし、次官級の会談というのも六月の上旬にアメリカからアーミテージ副長官が来てやることに、竹内次官との間でやることになっております。  そういった場を通じて、我が国としては平和的、包括的な解決について努力をしていくということで、基本的にありとあらゆる手段を使ってこの問題に全力で取り組んでいくということでございます。
  214. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 拉致をされた方、そして御家族、関係の方々のことを思いますと本当に胸痛む思いでございますが、このことについての国際的な理解と、そして同時にまた核問題について解決をしていこうということで、また、かつ今もお話ございましたけれども、韓国の提案されました平和繁栄政策についても支持をしていこうということで、大変ここのことに関しては本当にある意味では評価を私はさせていただくつもりでございます。  是非、引き続き、国内で、冒頭私も申し上げました、山本一太議員がいないときに、山本一太議員のいろいろやり取り聞きましたけれども、今いらっしゃる、もう一回やると時間がなくなっちゃうから言いませんけれども、それで、やり取りで一つのチャンネルだけじゃない、たくさんのチャンネルあるというふうにおっしゃいました。そういうことだと思うんですね。たくさんのチャンネルでやっぱり解決をしていくということです。国と国も違うチャンネルですよね。国の中にも、中国だって違うチャンネルがたくさんあると思う、中国と朝鮮の中でも。様々なチャンネルを使って平和的に解決をしていくということで、これはやっぱり努力をそれぞれ双方していこうということで、そういうふうにこの点ではとどめさせていただきたいというふうに思います。  イラクですけれども、率直に申しますと、やっぱりイラクは各国の、シュレーダーさんとブッシュさんと大した話をしなかったとかいろんなことにやっぱりいろんな内外のマスコミが耳目、注目を浴びますように、これはやっぱりその後のなかなか後遺症を引きずっているんだなという、そういうのは率直にあります。  ただ、イラク問題で言いますと、復興に関しての国連決議というのが過日交わされたわけでありますから、これに対して我が国がどうするかというふうになっていきます。これはまた別途私ども、同僚議員とか、またあしたもいろいろこれから議論をして、政府もいろいろお考えだというふうに思いますが、防衛庁長官、一言ここでお聞きしたいんですけれども、巷間聞くところによりますと、今、治安が悪いわけですよね。治安が悪い中で、武器の携帯、不携帯といろいろ議論もあると思うんですが、防衛庁長官として、これは治安が悪い中、幾ら復興で支援支援と言ったって、自衛隊の隊員は少なくとも危険なところに派遣をするなんということは防衛庁としてはそんなのもうできないよと、現行法内でやっぱり貢献すべきは貢献していこうということで、幾ら新法を作ってやったってそれは駄目なところは駄目なんだと。これは昨日、参考人が、どこで線引き引けばいいんだと、危険区域と危険じゃない区域というような議論もこれはもう質疑でございましたけれども、イラク新法、いわゆるイラク新法、そして我が国の貢献、そして我が国の自衛隊ということについて今どういうふうに思われていますか。  もう総理大臣が今日帰ってこられて、あした帰ってこられていろいろ相談するんじゃないかと思いますが、防衛庁長官の率直なその胸のうちということについてお聞かせいただきたいと思います。
  215. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、総理が御帰国になりまして、与党を中心としていろいろな方々と相談をしながらお決めになることだと承っております。  私どもは、国連の要請があるということは一つの事実としてございます。その中で自衛隊が可能なことがあるとすれば、それは一つはニーズの問題であります。そして一つは、我々が持っておる物的なあるいは人的な能力の問題でございます。加えまして、本当にその国連の要請によって行います任務をきちんと果たすことができるのだろうかどうだろうかということを考えなければいけません。それは、裏返しにすれば、我々の要員の安全が保たれるかということでございますし、もう一度裏返せば、国連から要請された任務というものをきちんと遂行ができるかどうかということだと思っております。  武器の使用につきましては、PKO法のときもいろんな御論議をいただきました、周辺事態法のときもテロ特措法のときもそうであります。基本的に私どもは、安全が確保されておるところにおいて行動を行う、そしてそれが危ないような状況になる、安全確保されないような状況が現出するというようなことになれば、そこで行動を中断してという形が周辺事態法やテロ特措法で取っておるところでございます。  そういうことも勘案をしながらいろいろと議論をしていくことになるだろうというふうに思っておりますが、今、武器の使用について、今のままでいくべきだとかそうじゃないということを私が申し上げる立場にはいないと思っております。考えなければいけないのは要員の安全であり、併せまして国連から要請されておる国際的な責務を我が国がきちんと果たすことができるかどうかという点だというふうに考えておりますし、私は、イラクにおいてやはりどういうような状況であるのかということをきちんと確認をするということが必要であるというふうに思っております。使用に関しましてここで私がお答えできませんことは、お許しをいただきたいと存じます。
  216. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣、ごく一般的な言い方をすると、外務省は行け、国連決議が通ったんだと、もうとにかく貢献貢献、出そう出そうと、出そうじゃないかと、外務省はですよ。いや、防衛庁の方は、そんなこと言ったってと。構図的にですね、というふうに時々聞こえてくるんですけれども、そんな、そういうことでしょうか。
  217. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 外務省の中に様々な違う意見があって、それが表に出ているというのは、委員もお考えになっていらっしゃっての御質問ではないかと思いますけれども、この点につきましては、これは先ほど防衛庁長官がおっしゃられましたように、総理がサミットから帰られてお考えになって政府としての態度をお決めになられるということですので、私が何か申し上げることではありませんけれども、イラクの、一つだけ申し上げたいことは、イラクの復興、イラクの安定ということが今後の世界の全体の平和、安定、発展に大きな関係を持ってくるということでございます。それで、それは例えば中東の全体の地域の発展、平和ということにも関係をいたしますし、東南アジア、そしてアジアの平和、安定、発展ということにも関係を持ってくるということです。  それで、我が国が国際的な、国際社会が平和であって安定して成長していくということに大きなかぎを、それが我が国、大きなかぎを持っていることでございますから、我が国としてできる限りの、国力に合った範囲で、できる限りのイラクの復興のための支援をイラク人に対してしていくということは、国際社会の一員として我が国が果たさなければいけない責務であると私は感じております。
  218. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、今、ORHAですね、占領、あそこの人道支援室、復興人道支援室、ここが国連決議、今、さきの国連決議、前、なしに、これは外交防衛委員会でも私も外務大臣とやり取りさせていただきました。私も党内で議論をしました。国連決議なしのこの復興人道支援室に対し、占領行政、占領軍でもない我々、我が国が、我が国がですね、占領行政に入っていくということについてはいかがなものなのかということについて疑問を呈しました。党内でも議論をいたしました。今また、今度は国連決議がございます。国連決議がありますから、これはまた違う展開があることも事実です。  私は、前のときには問題であると、問題というよりむしろ違法ではないか、憲法に抵触するんではないかということを、異論を提示を私は外交防衛委員会でもした立場の人間でございます。  現時点で、やっぱり昨日の参考人質疑もそうですけれども、そして今回の私はサミットもそうだと思いますし、これからずっと、なかなか奥歯に物が挟まった各国の首脳の中に、元々はこれは先制攻撃じゃないと、これは我が国は、政府はずっとおっしゃるけれども、大方の人たちは、やっぱり大量破壊兵器がある疑いある、査察で十分あった、そのことについては残った部分としてある容器があった、あるいは化学兵器があったんだということについて、そのことが、いや、それは査察をもっと継続すべきだと、継続しないでもうそれは十分あるんだということの中で武力行使に入って、国連決議なし、ありと。これはまた議論分かれるところですが、これは今ぶり返しませんが、ただ世界的には、そういうやはり私はずっとぬぐい去れないものがあると思いますね。  今、昨日辺りの情報ですと、ブッシュじゃなくてブレア首相が、何かそういうようなことを開示しようやなんということの動きがあったというような情報が入ってきましたけれども、これはブレアさんよりブッシュさんじゃないかなというふうに思いますけれども、これ、やっぱり大量破壊兵器については、これは、今、占領行政だとかこれから復興だというときに、一体どうなっちゃったんですかと、一体どこに行ったんだろうと。これは、外交防衛委員会、我が同僚議員の佐藤道夫議員もやりました。フセインさんはどこへ行ったんだろうかという議論ありましたぐらいですね。  で、大量破壊兵器、化学兵器、これについては、そのことが武力行使に至った理由になっているわけですから、そういう中で、占領行政があり、今また国連決議があり、そして復興に行っているということについて、そしてまたアラブがあり、是非こういったやっぱり立場に立った我が国というのは私は対応をすべきではないかなというふうに思いまして、まあ復興をやめろ、やめろなんて、やめろなんということを言うつもりはありませんが、日本の取るべき私は道筋としては、むしろ、今、復興決議が上がった、そして、どうもその日本の報道とか外国の報道というのは、イラク、シラクさんもそしてシュレーダー首相も、何かブッシュ氏に何か気兼ねをしているような寂しいようなことじゃなくて、むしろ少なくとも日本の報道で、実際それぞれの、私たちには、首脳というのはむしろ自分たちの取ってきたそれは間違いないというぐらいな自信を持って国際舞台に私は登場しているんではないかというふうに思いますので、ふだんいつも私は言うことですけれども、日米同盟というのはありつつも、アジア、そして様々な多国間とのやっぱり協調という中で、毅然とした態度を取っていただきたいと。で、間違っていることについては間違っている、大量破壊兵器があなたたちはあると言ったじゃないかと、化学兵器はあると言ったじゃないかということについていつも私たちは指摘をする政府であってほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  219. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 基本的に、委員がおっしゃっていらっしゃることはよく私は理解をしているつもりでございます。  大量破壊兵器の問題については、これは、米国はこれを、何分にも面積が広い国である等々で時間が掛かっていますけれども、これの捜査、調査については今取り組んでいるというふうに承知をいたしておりまして、私どもも、これについては当然に関心を持ってこの進捗状況についてはフォローをしております。
  220. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 必ずや、九・一一のアメリカの同時多発テロ事件というのは、人類史上類にないテロ攻撃と、こういうことも忘れないと思います。そして、今度の、それまでのアフガンもそうですし、私はイラクも忘れないというふうに思います。そして、今また非常に、全世界の中で非常に危惧になっているのは、私は、イラクの次にイランだ、シリアだ、これはあっちゃいけない。  そして、今回、先ほど、冒頭に戻りますけれども、北朝鮮に対するサミットの諸国の人たちというのは、あのまとめた文章とか何かはなくても、多分、念頭の中には、イラクそして北朝鮮、こんな武力行使しちゃいけないんだ、だから平和的に核開発も、そして拉致もきちんと包括的に解決をしようという、そういう私は英知があったんではないかというふうに受け止めます。多分そんな思いが共通認識じゃないかなというふうに、うなずかれているのでそうじゃないかなというふうに思います。  さて、残り時間、このいわゆる危機管理というか、国民の生命、財産にとって、ああ、ゆゆしき問題だなというふうに思いまして、これ、東京新聞だけじゃない、東京新聞と挙げちゃうと、うちの新聞も掲載しているというおしかり受けるかも分かりませんが。「情報衛星は四機体制…でも ひまわり後継 大幅遅れ 危機感欠如 暗雲招く 台風監視も「国民の安全」なのに 予算減らされ 予備機もなし」と。「トラブル十件 厳しい審査 危機管理 小型軽量化」。  これ、全部見出しだけ読んだんですけれども、いわゆる気象衛星ひまわり五号が設計寿命を三年余も超えたため、先週からアメリカの衛星、ゴーズ、GOES九号が助っ人に駆け付けたということが報じられておりました。  いや、これは大変なことだなというふうに思いまして、これは、今この気象情報なんというのは、私どもは、東京だけではなくて、日本だけではなくて、アジアだけではなくて、世界じゅうの気象情報というのを見ながら、そしてただ、ああそうですか、天気だ、雨だとか晴れだとかじゃなくて、様々な世界の人たちの暮らし、特に日本国民の暮らし、様々な産業経済に直撃していくものでありまして、「危機感欠如 暗雲招く」、これはもう読めば読むほどそうだなというふうに思います。  読めば読むほどそういうふうに認識をせざるを得ないんですけれども、この気象衛星ゴーズ九号、老朽化した気象衛星ひまわり五号に代わって五月二十二日からこのゴーズ九号が観測を引き継ぎました。トラブルが連発をしている。場合によると、姿勢制御装置に大きな障害を起こして余命二、三週間という指摘もございますけれども、この辺の経緯とか、そして米国のこの衛星を借用する政府間交渉に当たって、ゴーズ九号の、いわゆる人間じゃありませんけれども健康状態、診断状況は、これはどういうふうに承知をしておったんですか。
  221. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) お答えいたします。  気象衛星「ひまわり」の代替として現在ゴーズ九号が上がっているわけでございますが、アメリカの静止気象衛星につきましては、大西洋上と東太平洋上の二機体制ということで運用されております。平成十三年にゴーズ十二号が打ち上げられてから、現在、五機が軌道上にございまして、ゴーズ十一号及びゴーズ十二号、これは運用衛星のゴーズ八号と十号の予備衛星という位置付けになっておりました。ゴーズ八号に代わりましてゴーズ十二号が現在アメリカの方の運用衛星として稼働しているところでございます。  それから、現在、「ひまわり」がただいま運用されてございますが、これにつきましての精度保証という問題で、我々は、非常に信頼性を確保するために既にNOAAの方で、NASA、アメリカ航空宇宙局でございますが、航空宇宙局とそれから大学、ここで事前に慎重な検査をしてございます。評価をしてございます。この評価に当たりまして、このゴーズ九号につきましては、十分使用に堪え得るということで、問題ないということで、現在、運用体制に入っているところでございます。  以上でございます。
  222. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、そういう意味じゃ、いろいろ健康診断したけれども大丈夫だということですけれども、トラブル十件超えたと。日本側のデータ処理の不具合もあるけれども、ゴーズが雲の画像を送ってこなかったり雲の位置を間違うケースとか。いわゆるお年寄りが駄目だなんということを、まあいいや、衛星だから、お年寄りと言うの、老衛星ではこれは不安が付きまとうのは当たり前じゃないですか、人間に例えて。大丈夫なの、これ、本当に。
  223. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) お答えします。  現在のゴーズ九号は、今申し上げましたとおり、予備衛星として運用が途中で中止されてございます。  したがいまして、燃料という面から見ますと非常に十分ございまして、これはひまわり九号と、失礼しました、ひまわり五号と同じ年代ということではございますけれども、「ひまわり」から比べますと十分燃料に余地がある。そういう意味で、運用には十分問題ないというふうに考えてございます。  また、これにつきましては、私ども気象庁の内部でも評価委員会を開きまして、これを導入することに問題はないと、こういう結論を経て導入した次第でございます。
  224. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、政府はこの九号借用のため、アラスカのフェアバンクスにあるアメリカの海洋大気省の地上施設の整備に六億七千万、衛星の移動に四千万、衛星の運用に毎月一千六百万、これは税金つぎ込んでいるでしょう。投入していますよ。  これもし、大丈夫だ、大丈夫だとおっしゃるけれども、これ仮に数週間というのは、今の、数週間はないぐらいな自信ある答弁かも分かりません。仮に数か月で使えなくなったときにどういうふうに責任取るんですか。
  225. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) 現在、今、ゴーズ九号を導入するに当たりましては、御指摘のような経費を掛けて導入いたしました。  これにつきましては、「ひまわり」が、失礼しました、運輸多目的衛星新一号、これが打ち上がった以降も非常のときにはその施設も使えるということもございますので、そういうことも考慮いたしまして現在のところで経費を負担していただいておるところでございます。
  226. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このいわゆるゴーズですけれども、造ったのはスペース・システムズ・ロラール社ですね。「ひまわり」後継の運輸多目的衛星、これもあれじゃないですか、MTSAT、国際入札の末に百六十三億円で受注していますよね。  これ伺いますと、輸出ライセンス取得の遅れと部品の不具合によって一年も納入が遅れていると。政府は、発注者としてこのアメリカのメーカーからどのような釈明というか、あるいは謝罪というのを受け止めていますか。もらっていますか。
  227. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) 謝罪ということではありませんが、書面によりまして、この納期につきまして厳正にこれを守って入れていただくようにお願いしているとともに、毎月のように現地職員を派遣いたしまして、そこで工程管理につきましては厳正に監視しているところでございます。
  228. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 延滞金は、納入が一か月遅れるたびに一億円。今回の場合は最低十二億円間違いなくこのスペース・システムズ・ロラール社に請求をし支払を受ける、政府は約束をしてくれますか。
  229. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) そのような契約にはなってございません。(発言する者あり)失礼申し上げました。そういう契約になっているということでございます。申し訳ございません。
  230. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、もうちょっと、たっぷり時間があって、この後わずかであれなんで、大変なことなんですよ。だから今あるということで、是非契約どおり履行するように迫っていただきたい。いいですか。
  231. 足立崇

    政府参考人(足立崇君) 失礼いたしました。  契約を遵守することはもちろんでございます。これにつきまして、アメリカ側と十分な連携、協力関係を取りまして、それが執行されるよう厳重に管理、監督、監視、監督に努めていきたいと考えております。
  232. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 答弁が慣れていないのがあるかも分かりませんが、契約があるのに契約がないなんていう答弁することはないんですよ、そんなの。絶対駄目ですよ、それは。内容的に十分不十分があっても全然違っちゃうんですから。これは是非、御注意、注意をしていただきますよう。  それからさらに、こんな不手際が、これは向こうね、先方、契約した会社、これは更に打ち上げが遅れるんじゃないかという、そんな危惧があります。  いずれにしましても、持ち時間なくなりました。ここで私の発言で終わりますが、この「ひまわり」とかその後継衛星、この「ひまわり」というのは順調に来ていましたよね、一号から五号まで。ですから、そんなことを今、びっくりしているのかも分かりませんけれども、これ我が国だけじゃなくてアジア諸国も、この人命と財産というのを、これは台風、アジアの方はサイクロンというふうに言いますけれども、これ頼っているわけですね。これが自然災害から守る、危機から守るという、大変これはこの事態の問題では大切なことでありまして、一番最初にこういうことは質問をしてもっと究明をしなきゃならなかったかなというふうに思いますが、法律を中心に議論をさせていただきました。  私は、意見として、この打ち上げ失敗に備えて、再打ち上げのような予備機を用意をしておくべきではなかったんだろうかということが一つでございます。宇宙空間での故障というのは、万が一というのはあるわけでありますから、常に故障に備えて常に複数の衛星を軌道上に置いておくべきでなかったのかというふうに思います。  これは、担当大臣は国土交通大臣じゃないのかな、これ。どこで、気象庁は……(「扇大臣」と呼ぶ者あり)なんですね。今日、大臣、通告していませんが、外務大臣防衛庁長官、今ずっとやり取り聞いていて、この複数衛星をやっておけばよかったかどうかというのはなかなか聞けませんが、そのとおりですとは言えないと思いますけれども、所感、やり取りを聞いていて感想を、是非国民にとって大切なことですから、大臣国務大臣として答弁をお願いいたします。
  233. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりだと思っております。ただ、予備機を上げるあるいはその保険料を掛ける等々で、国民の税金をいかに一番効率的に使うのかということもぎりぎり検討をいたしております。先生の御意見も踏まえまして、何が一番いいのか、国民の税金、納税者の負託にこたえ得るのかということをまた御議論させていただきたいと思っております。
  234. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 終わります。
  235. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  両大臣、連日長い審議、大変御苦労さまでございます。私が最後の、今日ラストバッターでございますので、なるべく早く終わるように頑張りますので、よろしくお願いします。  いよいよ当委員会の質疑も、審議も大詰めになってまいりましたけれども、私、冒頭に一点だけ指摘させていただきたいのは、大臣よく御存じのとおり、今審議をしておりますこの三法案が成立をいたしましても、できれば野党の皆さんも賛成をしていただいて参議院でも成立をさせたいと願っているわけでありますけれども、しかし、この三法案が成立してもこの有事法制整備が終わったわけではないわけでありまして、今後、国民保護法制やあるいは国際人道法に対応した国際、国内法整備などの重要な作業が残っているという意味では、私たち国会議員は緊張感を失うことなくこれからもしっかりとした審議をしていかなければならないというふうに思っております。  これを前提に今日幾つ質問させていただきたいと思いますが、既に当委員会でも多くの委員指摘をしておりますけれども有事の際に最も大切な国の役割の一つ国民の生命と安全を守ることであると。当委員会の審議の冒頭でも、我が党の山口理事の方から、有事の際の死傷者あるいは傷病者に対する迅速かつ適切な対応の重要性が指摘されました。この延長線上で、今日はもう少し突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、これ官房長官かと思いますが、武力攻撃事態法案第二条の五の指定公共機関の定義のところには医療機関が明示されてはいませんけれども、これは含まれると理解してよろしいでしょうか。
  236. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 事態対処法案二条六号……
  237. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 六号ですか、済みません。
  238. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 指定公共機関につきまして、公共的機関及び公益的事業を営む法人で政令で定めるものと、こういうふうに規定しております。  どのような事業者を指定公共機関とするかと、こういうことでございますが、これは今後の法制整備の中で、これで検討してまいります。  医療につきましては、武力攻撃事態においても重要な役割を担うものと考えられるため、医療法人等を指定公共機関として指定することを検討いたしております。
  239. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  じゃ、医療機関もこの有事の際の指定公共機関に含まれると、指定を検討しているというお答えだったと思うんですが。  それで、防衛庁長官が先日当委員会で、有事においては民間人の方々が戦闘によって負傷されるということは基本的に想定しない、そういう場所から避難していただくのが前提というふうに発言をされております。そういうのは、理想としては全くそのとおりです。しかし、武力攻撃の形態によっては民間の中に負傷者が出るということも十分あり得るわけでありまして、そうなると、その際の対応、特に民間に大量の傷病者が、有事の中でですよ、出るといった場合にはどうするかということを国の責任としてしっかりと整理をしておく必要があるのではないかと。  最初に私が伺いたいのは、この多数の傷病者が民間に発生するような事態で、現体制において、この救命治療等どのような対応ができるのかということなんですが、これはあれですか、厚生省になっているのかな、お願いします。
  240. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) ただいま御指摘の、現行でどのような体制かという御質問でございますけれども、例えば災害発生時のようなことについてお話を申し上げますと、医薬品の備蓄倉庫ですとかあるいは自家発電装置などが整っております全国五百三十一か所の災害拠点病院におきまして、多発外傷、いろんなところがけがをする多発外傷ですとか、あるいは広範囲熱傷、これはやけどでございますが、そういう重症な救急患者などに対応するための救命医療の提供、こういうものを現行の体制では行える。また、広域災害救急医療情報システムというようなものを活用いたしまして、災害拠点病院を中心として広域的な患者などの受入れとか、あるいは転送などを行う。また、救護医療チームの派遣のための医師、看護師などの確保を行う。そして、地域の医療機関への医薬品などの安定供給及び応急用機材の貸出しなどを通じまして、必要な医療提供の確保を図ることといたしております。  ただ、多数の傷病者が出たような場合には、有事規模などによっては様々な限界が出てくるおそれがあるというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、今後国民保護のための法制を検討していくことといたしておりますので、国民の生命、健康の安全を確保するために必要な医療体制を確保できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  241. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、官房長官、今答弁にありましたけれども、全国で五百三十一か所の災害拠点病院があると。それは大規模災害が起こったときにも現状でも対応できるということになっているんですが、実際には全国の医療機関では非常に多くの入院患者を抱えております。病床もベッドもほぼ満員の病院も多い状態なんですね。  そうすると、これは必ずしも武力攻撃事態に限らないかもしれませんけれども、短期間に大量の傷病者が発生をした場合、これは緊急の受入れをするのが困難な場合があると。今も限界は当然あるということがあったわけですけれども、そうすると、この武力攻撃事態の法案が成立した後の話になると思いますが、有事の際のやはりこの医療体制の計画策定というのは、これ非常に重要になってくると私は思っております。  私の質問は、これは、じゃどこが主体になってこの有事の際の医療計画を作っていくのかと。政府国会に提示をいたしました「国民保護のための法制について」という書類を見ますと、これ基本的には都道府県知事が主体になってこの有事の際の医療対応をやることになっています。緊急時の医療施設の確保だとか使用、あるいは医療の提供の要請や指示ということを場合によっては行うことになっているんですけれども、しかし、これ都道府県によって対応の質の差が出てくることは間違いないわけで、そうすると、やはり国も一定の関与をしなければいけない、役割を持たなければ、これは効果的な有事の際の医療体制の計画策定ってできないと思うんですが、どこがこれ主体になってこれやっていくことになるんでしょう。
  242. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) それでは、私の方からお答え申し上げますけれども有事の際には、国が策定する基本方針を踏まえまして、基本的には先生今御指摘のございましたように、各都道府県知事が行って、そして必要に応じて国が支援を行うと、このようになっておるわけでございます。  具体的には、先生も御指摘になりましたように、具体的にはその骨子案におきまして、緊急あるいは臨時の医療施設につきましては医療法の適用を除外するというようなことですとか、あるいは都道府県知事が医療従事者に対して医療の提供を要請、そして指示できる旨の規定を設けるなどの仕組みを作ると、そのような方向で検討しているところでございます。
  243. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  それで、今おっしゃったことは、ある程度このガイドライン的に政府の文書に書かれていることになるわけですけれども、地方自治体がかかわりますから、恐らく総務省とかもかかわって、内閣官房も当然中心的な役割でやると思うんですけれども。  次に聞きたいのは、正に今お話がありましたけれども、既存の医療施設だけでは民間に大量の傷病者が発生したとき対応できないと。自衛隊の野戦病院、これも当委員会でもちょっと議論になりましたけれども、自衛隊の野戦病院は基本的には自衛隊の負傷者、傷病者への対応ということでありますから、これは限界があると、民間の対応という意味では。  そうすると、政府の文書には、今厚生省で言っていただいたんですが、「緊急の必要がある場合に開設する臨時の医療施設については、医療法を適用除外」という文言が明記されております。これは、そうなると、自衛隊の野戦病院とはまた別個に臨時の、必ずしも野外病院とは限りませんけれども、そういった病院を造っていくということになるんでしょうか、これは官房長官
  244. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そういうことになると思います。  今考えておりますのは、傷病者がもう非常に多数に上ったというようなときに、これは既存の医療施設では足りない、当然臨時の医療施設を開設する必要が出てくるわけでございます。その場合に、委員の御指摘のとおり、医療法の特例を設けなきゃ、これはいろいろな基準がございますので、これは無理だろうということでございますから、御指摘のことも踏まえて体制整備しなければいけないということになります。  その場合に、そういうような臨時の医療施設を確保するために、都道府県知事による土地や建物の一時使用に関する規定を置くといったようなこともしなければいけないと思っております。
  245. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 そうすると、有事の際に、仮に、ちょっと最悪のシナリオみたいで申し訳ないんですが、しかし最悪の場合に備えないといけませんから。有事の際に民間に傷病者が大量に発生したという場合には、既存の医療施設でも当然限界一杯対応する、それから臨時の医療施設も医療法の適用除外をして対応すると。自衛隊の野戦病院は基本的に自衛隊でしょうけれども、場合によってはやや民間も診る場合もあるというふうに私理解しているんですが。  次に、それを前提としても、もう一個問題があると思うんですね。それは、傷病者、患者の輸送、搬送の問題なんです。  仮に、こういった今私が冒頭述べたような施設がちゃんとあっても、陸路であるいは空路でこの病院に傷病者を搬送するのが困難な事態というのも想定され得るわけですね。これは、実は後でもちょっと申し上げますけれども、阪神大震災のときも道路とか鉄道が寸断されましたので、いわゆる患者さん、傷病者を陸送するあるいは空輸するというのは大変困難だったんですね。後で言おうと思ったんですが、今言いますが、自衛隊、海上自衛隊があの阪神大震災のときには六百八十隻の艦船投入、それから海上保安庁は二百八十隻だったかな、二百八十隻投入して、かなり海から支援したんですね。  そこで、それを、そういうことを前提に私今日提言をしたいのは、こういう有事の際に、やはりシナリオによりますけれども事態によりますけれども、陸送や空輸が難しい事態想定した場合には、やはり病院船のようなものが私は必要なんではないかというふうに思っております。  日本は今、病院船持っておりません。防衛庁長官よく御存じだと思いますが、海上自衛隊の船の中には、私、見たことないんですけれども、迎賓艇「はしだて」というのがあるんですか、迎賓艇「はしだて」とか、それから輸送艦「おおすみ」、それから補給艦とわだ型の三隻。ここがある程度の医療施設を持っているというふうに言われておりますが、限定的です。  私、今ここに資料を持っていますが、「おおすみ」は、医療設備では、ICU、集中治療室が一室、ベッドは一床だけ、一般病室は二室あって、ベッドは八床、手術室が一室ということで、一番いいと言われている「おおすみ」でもこういう状況だということなんですね。  実は、この病院船については、従来から災害関係で政府の中でも、九〇年代に入ってから特にそうなんですが、多目的災害救助船みたいな名前で検討がされてきました。調べたら、一九九一年には政府の調査予算も付いたと。ところが、災害のときだけに稼働する船を造るのは費用対効果の面で問題があるんじゃないかということで、流れた経緯があるんですね。  ただ、じゃ、世界を見渡したときに病院船がないかというと、ありまして、今、世界じゅうで病院船は、少ないんですけれども、八隻ございます。  アメリカが、タンカーを改良した巨大なやつを二隻、これは七万トン級ですけれども、二隻持っておりまして、どういう装備かといいますと、参考までに、ベッドは千床、手術室は十二、そしてICUのベッドが八十床、回復室が二十床、ベッドですね、中等度、中程度のケア用病室が二百八十床、軽度が百二十床、部分的ケア用が五百床、患者用のエレベーターも九基、酸素製造設備も有しているというのがアメリカに二隻ございます。それから、一万トンクラスでロシアで四隻。中国は、非常に小さい、余り使えないんじゃないかと私は思うんですけれども、二隻、二千トンぐらいのやつがあるということになっているんですね。  そこで、官房長官に、これは今返答できるような話じゃないかもしれないけれども、是非こういう、やはり日本は四方を海に囲まれておりますし、山も多い、川も多いと。武力攻撃事態有事の形態によっては、先ほど私、申し上げたとおり、病院どうするかという問題もあるけれども、じゃ、病院そろっても、そこに人を運ぶという輸送の問題出てくるんですね。そうなったら、やっぱり海にそれなりの設備を持った病院船があればその近くの海域に行ってこれ対応できると。これは是非、ほかの国にも例がありますから、政府として検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  246. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 緊急事態もそうであります。と同時に、災害、大災害のようなときにそういうような可動性の、可動する医療機関があるというのは、これは一つの手段として大変いい構想だというふうに思います。  ですから、もう今から十年前にそういうことを検討したというのも、これ私もちょっとそのころ検討したのは知っておりますけれども、いつの間にか立ち消えになってしまったと。立ち消えになったというのはいろいろ障害もあるんだろうというふうに思うんですけれども、それは大変考えとして結構なことだというふうに思っております。  確かに、日本は島国ですから、その周りをぐるぐる回れるようなというふうな、そういうふうなこともあります。しかし反面、船というのは時間掛かるんですよね。例えば、ちょっと調べたんですけれども、神戸から、例えば阪神・淡路の大震災があった神戸からこの間あったあの岩手まで船を回航すると、五千トン、一万トンの船ですと一日半掛かるというんですよ。というようなこともありますので、緊急を要するというような意味においてはちょっと問題があるんじゃないかなというような感じがいたします。  しかし、じゃ、二隻持ったらいいじゃないか、三隻持ったらいいじゃないかというふうな議論も、想像力は幾らでも拡大してくるというふうに思いますけれども、そういうようなことも踏まえまして、今後いろいろと検討していく課題の一つだというふうに思っております。
  247. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 官房長官、大変前向きなお答えありがとうございます。  実は、長官自ら立ち消えになったというお話していましたけれども、私、今日、これ、こっち向いて言わなきゃいけないんですけれども、私、調べたら、これ、私のオリジナルのアイデアじゃ全然ないんです。一九九六年、自民党病院船建造プロジェクトチームというのがあったんですね。今やっていますか、何か。全然やっていないんですね。ですから、自民党の中に名前まで病院船建造プロジェクトチームというのが、座長だれだったかまで調べていませんけれども、できていたのに、今は跡形もなく消えてしまっているということでありますので。  それから、今、長官もいろんな障害があったと。私も考えました、確かに費用対効果の面で言えばいろいろ難しいところあるだろうなと。しかし、これ、例えば病院船、病院機能の付いた政府専用船を造っても、平時に遊ばせておかなくてもいいと思うんですね。例えば、人材研修に使ったり、修学旅行、学生にちょっと貸し出したりとか、あるいは昔、日本で行われていた青少年の洋上学校、これに使用したり、場合によっては政府会議とかキャンペーンもこの船使ってやるとかということもできると思いますし、それからもう一つ、私が思ったのは、船だから時間が掛かるという問題があるんですが、国際協力の分野の医療援助にも場合によっては使えるのかなという思いがありまして、ですから、決して、有事のときのためだけにこれを造って、平時は遊んでいるじゃないかということには、アイデアの出し方によってはならないんじゃないかと。  できれば、太平洋側一隻、日本海側一隻とか、少なくとも。そうすると九州が怒るかもしれないんであっち側に一隻とか、そうすると北海道も必要になって、いろいろ大変なんですが、それは予算との相談もありますけれども、是非、多目的災害救助船というか、名前はどうでもいいんですが、病院船というか、検討した方がいいというふうなことを申し添えておきます。  それから、次の質問が、仮に専用の病院船を持つことがじゃ難しかったとしても、次に考えなきゃいけないことがあるんです。それは、民間の商船の利使用、利用の問題なんですね。  民間の商船を徴用して病院船や輸送船として活躍させた例として参考になるのが、フォークランド紛争のときのイギリスなんですね。当時、イギリスは枢密院令を発布しまして、商船を利用しました。病院船ということに限って言いますと、民間の客船であるウガンダ号、ウガンダ号というのが一万七千トン級あるんですが、これを徴用して、改装して病院船として活用いたしました。  イギリスは、これは防衛庁長官御存じかもしれませんが、緊急時には軍事所要として病院船あるいは海軍の後方支援にも実は使っているんですけれども、平時から客船とか貨物船の商船の徴用計画を策定をしております。イギリスはNATOに対しても緊急時に船舶を提供する義務を負っているわけですけれども、それで、イギリスの国防省と貿易産業省が中心となって海運会社とか船主の英国海運総評議会と定期的に打合せをしておりまして、実はフォークランドのときは、アルゼンチンがイギリスに、いや違う、フォークランドに侵攻するという意図が明らかになった日に、国防省で官民合同の海運計画会議というのを開きました。民間商船の利用について迅速な調整をしたというふうに言われております。  それで、私もびっくりしたんですが、フォークランド紛争で動員されたイギリス海軍の船というのは三十九隻なんですね。じゃ、民間の商船が何隻動員されたかといいますと、客船キャンベラ号やクイーンエリザベス二世号や、さっき言ったウガンダ号も含めて徴用された船が三十二隻、チャーター契約で動員された、使ったのが十七隻で、四十九隻。つまり、イギリスはフォークランド紛争の際には英国海軍の船よりも十隻多い民間の船を投入をしたということがあるわけです。  そこで、先ほど病院船を政府専用で持った方がいいんじゃないかという話をしたわけですが、イギリスとすべて同じようにはできないわけですから、私はここに絞り込んで、いわゆる人道的な医療対策。ですから、戦争の場合はこれはジュネーブ条約上も敵側の兵士も負傷したらみんな面倒見なきゃいけないわけで、実際ウガンダ号はやっているわけですけれども、フォークランドで。この医療対策としての民間船舶の利用と、使用というものも検討した方がいいんではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  248. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 戦争中は我が国も病院船というのをたくさん有しておりました。そして、戦争中は我が国は商船会社の持っている船を一杯徴用をいたしました。戦後そういうことがなぜないのかといえば、結局、第二次世界大戦、太平洋戦争中にそういう船は片っ端から沈められたということがありました。  アメリカにおきましても、そしてまたイギリスにおきましても船舶の徴用制度というものがございます。そういう場合に、私、正確には存じませんが、船舶の建造費の幾らか部分政府が負担をすると。しかし、有事においては、あるいは緊急時においては徴用する、そういう関係にあるやに私、記憶をいたしております。  日本の場合にじゃなぜ今、先生御存じのとおり、日本籍船というのはほとんどないんですね。ほとんどが便宜置籍船という形を取っております。それは、もうそういうことにも基づいて、じゃ我が国日本国籍船を持ちたければ、船舶の建造費、日本が出せばいいじゃないかという話になるんですが、そうすると何で嫌がられるかというと、そうすると何か有事に徴用されるんだろうと。そうすると太平洋戦争のときみたいに片っ端から沈められるというような一種の悪夢みたいなものが残っておりまして、この徴用というものがなかなかうまくいかないということは、やはり我々は、戦争時における一種の反省みたいなもので、国家としてそういうものに対してどう取り組むかということで考えなければいけない。  他方、我が国の船の中で、我が国のほとんど輸入を負担いたします船の中で我が国国籍の船がほとんどないということをどのように考えるかということとも裏表の問題だと思っております。そういうことも十分踏まえました上で、先生がおっしゃいますような病院船、それをどういう形で持つか。  自衛隊の「おおすみ」の話をいただきました。「おおすみ」も、私も呉に置いてあります「おおすみ」、何度か見ましたが、確かに高度な医療システムを持っております。ただ、それが大勢の人を一遍に収容できるかというと、できません。じゃ、それに拡張性はどれぐらいあるんだろうか。あるいは、これはもう思い付きみたいな話なんですが、陸上自衛隊の野戦病院のセットみたいなものをその「おおすみ」に積み込んだら一体どういうことになるのだろうか。そういうのは素人の思い付きの域を出ないのかもしれませんが、どうすれば一番納税者の御負担に資するのか、そしてどうすれば日ごろ遊んでいるというようなことが起こらないのか、そういうことをよくよく考えてみなければいけないことだと思っております。  その病院船の自民党の委員会、私もかかわったことございますが、確かにおっしゃるようなことであります。ただ、そこにおいて、中山太郎先生なんかが中心になって御議論なさっておられるものでありまして、阪神大震災におきましても、またいろんな、世界各地でいろんな紛争が勃発して医療の必要となる人々が出る場合にも、我が国として何ができるのかというときに、この病院船において議論されたことは常に自民党の中で生きておりますし、また今後も先生始め多くの方の御教導をいただきながらいろんな可能性を模索していくべきものと思っております。
  249. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大変に専門的なお答えをいただきまして、ありがとうございます。  確かに戦時中は民間の船、病院船も含めて、あるいは民間人しか乗せていない避難する船も機雷で沈められたケースもありますし、実際に攻撃されて、潜水艦等ですね、沈められたことがあったわけでありますけれども、ただ一点だけその点で指摘したいのは、ジュネーブ条約の第二条約ですね、あそこでも病院船の保護が今義務付けられておりますし、さらに一九七七年の追加議定書でも義務付けが行われておりますし、さらに、ちょっと私これ記憶、今手元に資料がない、定かじゃないんですけれども、一九九〇年代半ばぐらいにやはり海運関係の学者たちが集まって病院船保護についての詳細なマニュアルをたしか策定をいたしまして、白地に赤い赤十字をどこに付けてどういうパターンで点滅をしたら病院船と認識されるかということまで決まっておりますので、今日ではそういったことは、戦時中起こったようなことは起こらないんではないか。そもそもこれは戦争犯罪に当たることになりますので、その点は指摘をしたいというふうに思います。  それで、時間がなくなってまいりましたので、前回ちょっと私もやらせていただきました在日米軍基地関係の話をもう一回やらせていただきたいと思います。  今回、政府が出している法案の中で米軍の行動の円滑化に関する法律は出ていないわけでありますけれども、これは一般国際法上、外国軍隊がある国に駐留している場合には、これはその国の法令が適用されないと。ただし、これも一般国際法上もそうですし日米地位協定上もそうですけれども、米軍の場合は尊重義務があると。ただ、法令適用されませんから法令の適用除外の法制は作る必要がないということで今回出ていないというふうに理解をしています、大ざっぱに言えばですね。  ただ、私ここで、これは官房長官でも防衛庁長官でもいいんですけれども、今、もし仮に有事の際に米軍が動く。今、日米ガイドラインの中では、米軍と自衛隊の作戦の調整をすることはこれ取決めがちゃんとあるんです。しかし、米軍が仮に行動した場合に、やっぱり国民生活に何らかの影響を与えたときにそこを調整する、法律を言っているんじゃないですよ、枠組みはガイドラインにも書いていない。つまり、民生面に、米軍が日本有事で動いた際に民生面で影響を与えるかもしれない、その際にそれをどうするかということを調整する、協議をする枠組みはないんですね。  私は、これもしかしたら官房長官、これ後でやるぞと思っていることかもしれませんけれども、日米ガイドラインを改定するのか新しく枠組み立ち上げるのかして、いわゆる米軍が行動した際に国民生活に影響を与えた場合にどうするんだということを協議をする、調整をするスキーム、枠組みをしっかりと作らなきゃいけないと思うんですが、これについての政府の立場、どうでしょうか。
  250. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これはガイドラインに書いてある事実関係でございますので私から御説明をさせていただきたいと思いますけれども、ガイドラインにおきましては、日米政府間はこういう場合には整合性を確保しつつ適切に共同で対処するということになりまして、書いてあるわけでございますけれども、具体的に申しますと、平成十二年の2プラス2、いわゆる2プラス2でございますけれども、この際に発表されました日米間の調整メカニズムというのがございますけれども、これを通じまして日米両政府間の必要な調整が行われるということになっております。  今、遠山委員がおっしゃいましたような、米軍の行動によりまして日本の国民の生活に対して影響があり得ると、正にそういうことでございまして、したがいまして、この調整メカニズムといいますのは、局長級のもの課長級のもの、いろいろなものございますけれども、必要に応じまして、これは外務省、防衛庁ばかりではなくて関係の省庁、あらゆる関係の省庁から代表が入れるということでございますので、このメカニズムを通じまして今おっしゃいましたような必要な調整が行われることになるだろうというふうに考えております。
  251. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  じゃ、既存の調整メカニズムで、私は、頭の中は、基本的にこれは軍事作戦上の調整が中心なんではないかという思いがありましたし、また、かかわるのも外務省と防衛庁だけなのかなというのがありましたので、今の御答弁で、既存の調整メカニズムでもそういった民生面に対する影響も含めて米国政府と調整ができるというふうに理解をいたしますけれども、他方、これから国民保護法制作っていく中で、こちら側が新しい体制整えるわけですから、そこの点からも踏まえて、必要なまた米国政府との調整はやっていただきたいというふうに思っております。  それから次の質問が、これは、政府は今後米軍の行動の円滑化に関する法制を出すのか出さないのかちょっと分かりませんけれども、いわゆる政府の答弁見ますと、物品役務の提供等の課題について検討しているというふうに聞いております。そうなりますと、これ、現在、共同訓練とPKOと周辺事態の発生時に限定されて適用されている日米物品役務相互提供協定、ACSAですか、この適用対象を、今、だから申し上げた三つに限定されているわけですが、これを日本有事にも拡大する改正というか、その変更ですね。それを検討されているのか、それとも全く新しい新法をやっぱり作らないといけないのか。そこはどうなんでしょうか。
  252. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ACSAについては、今、委員がおっしゃられたようなことでございますけれども、米軍に対する支援の具体的な在り方、これにつきましては、このACSAを武力攻撃事態等に適用するというために改正をする可能性も含めまして、今後、政府全体の問題として関係省庁の間で協議をいたしまして、その上でまた米側とも協議をしていくと、そういう考え方でおります。
  253. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  この米軍関係では最後の質問なんですが、これは最近の話で、在日米軍に関して、特に沖縄駐留の海兵隊に関して、米国政府内で大幅削減あるいは撤退、行く先もオーストラリアなんて話も出ているわけですが、具体的に。これは検討されているという報道が、一連の報道がありました。政府としては、未確認あるいは正式に聞いていないということであるようでありますけれども、他方、報道見ていますと、アメリカ国防総省に、沖縄県、官房長官、ちょっと何かあれだったみたいですが、沖縄県とか一部のマスコミが国防総省に問い合わせをしたら、検討しているという事実を認めたという話もあります。  これあくまでも、この報道が本当だったとしても、あくまでも検討中であって最終決定ではありませんから、日本政府として特段反応する必要もないというお立場なのかもしれませんが、しかし問題は、この中身が、沖縄の海兵隊の問題という中身が正に、沖縄県では当然のことながら、また日本の安全保障全体に大きな影響を与える話ですし、またその沖縄でも在日米軍基地の整理、縮小という大きな問題にかかわる案件でありますから、余り、米国政府で検討始まっているけれども、まあ最終決定じゃないから待ちましょうという、消極的、受動的な姿勢でいいのかと。  それ、私が言いたいのは、この海兵隊をどうするかということに関して、日本政府としての意見というか、立場ということもあらかじめ言っておかなければ、向こうが最終決定しましたよというのを後からああだこうだと言って私は何となくそれは変えるのは難しい状況に追い込まれるんじゃないかと。  ですから、案件が案件だけに、しかもこれだけ大々的に報道されているわけですから、マスコミは当然、憶測記事も書きますし、全く根拠のないこともあり得るわけでありますけれども、案件が案件なので、日本政府としてどういう立場でこれ臨むのか、お答えいただきたいと思いますけれども外務大臣
  254. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この沖縄の報道の件につきましては、これは別な委員会でも申し上げたかと思いますけれども、こういうことが今、米側によって検討されている、報道されているようなことがあるというふうには私どもは確認をした上で承知をいたしておりませんで、また、つい先日でしたでしょうか、ウォルフォビッツ国防省の副長官が来た際にも、ウォルフォビッツ副長官の方から、そういうことはないということを話として聞いております。  それで、一般的に、我が国とアメリカとの間で、これは外務省、防衛庁両方の当局間で様々な安全保障問題については議論をしてきております。また2プラス2、昨年の十二月にやりましたときにも、それから先般の日米首脳会談におきましてもこういった協議については安全保障問題についての協議を強化をしていきましょうという話はあったというふうに記憶をいたしておりますけれども、そういった場で引き続き、アメリカとの間では緊密に協議をしていきたいと考えております。
  255. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  いずれにいたしましても、私も沖縄北方特別委員会等で、この沖縄の米軍基地に関しましては、やはりSACOの最終合意、特に普天間の基地の移設問題が暗礁に乗り上げているというか、進捗状況が見えないということに対していろんな立場の方がフラストレーションを感じているという現状でございますので、特に沖縄県民の立場に立てば、本当に政府が本気で取り組んでいるかどうか分からないといった声が強いことも事実でございますので、是非、そのことも含めてしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になりますが、外務大臣にお聞きをいたします。  私は、この有事法制が整うことは大事である、これは法治主義の観点から大事であるというふうに思っているわけでありますけれども、他方、やはりこれから日本がやっていかなければいけないのは、世界の安定と平和のために日本がどういうふうに貢献をしていくかと。  日本は、従来、国連中心主義という言葉がありますけれども、これに対する批判も最近強くなってきております。私は、国連は非常に重要な国際機関であると、唯一の国際社会の合意形成機関という意味でですね、重要性は落ちていないと思いますけれども、他方で、国連というものを今、私たちは直視しなきゃいけないと。日本人はどうしても国連というと中身を考えずに何でもいいということを思いがちなわけでありますけれども、しかし他方で、国連安保理の構成国を見ても、例えば、国連分担金出せば、日本は一九・六%負担をしております。しかし、安全保障理事会の常任理事国であるフランスと中国とロシア、三か国合わせてもこの日本の分担金の半分に達しません。そういう状況をこれからやっぱりしっかりと変えていかなきゃいけないんじゃないかという問題があります。  それから、外務大臣、今日、具体的に最後に答えていただきたいのはこの点だけでいいんですが、安保理改革と並行してかなり長い間指摘されている国連憲章の五十三条と百七条、いわゆる敵国条項ですね。  これは、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった日本、イタリア、ドイツに対しては、安全保障理事会の承認なくしてこの三か国が現状改変をしようとしたときには武力行使ができるという条項で、とんでもない、現在ではですよ、条項になっているわけです。  これについては、一九九五年に国連総会が撤廃を進めようという決議をしているんですけれども、八年たっても全然進捗していないと。これに対しては、日本が、ドイツ、イタリア政府と共同で、やはり敵国条項は今の時代に全く合っていないわけだからなくすべきだということでやっていくべきだと思いますが、これについての決意を伺って、私の質問を終わります。
  256. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) それぞれ重要な点であると思います。  国連改革については、先般、日米首脳会談でも総理から取り上げて、一緒にフォローをしていきましょうということになっておりますけれども、これについては全力を投球したいと思いますし、それから、敵国条項については、委員おっしゃいましたように、九五年の時点で決議もございますが、これについてはほかの、その決議の他の部分との関連でしばらく時間が掛かっているという状況にありますが、我が国としては、これはもはや敵国、我が国には敵国は適用はないというふうに考えておりますけれども、なおこの敵国条項の削除については最大限の努力をしていきたいと考えております。  それから、日米首脳会談で総理がブッシュ大統領におっしゃられたことでございますけれども、これについては、国連改革は非常に重要である、敵国条項についても具体的に取り上げられて、ブッシュ大統領とお話をなさって、その結果として、一緒にフォローをしていきましょうということになったわけでございます。
  257. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございました。
  258. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時八分散会