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政府参考人(林景一君) 大変広範な御
研究をなさりました御
指摘でございますが、今の御
指摘にもございましたとおり、この現在の安保
条約といいますのは、旧安保
条約におけます対日防衛義務というものがこれはなかったというふうには考えておらないというのが当時の
政府の見解でございますけれ
ども、しかし、その書き方が非常に弱いのではないかと。正に御
指摘のポイント、「メイ ビー ユーティライズド」というところがございまして、この対日防衛義務というものを明確化、もっと明確に書こう、明確化すべきではないかということでその
交渉をいたしました際に、今幾つか例をお挙げになりましたですけれ
ども、その中でアメリカがアジア太平洋地域におきまして当時から多数の二国間の相互防衛
条約というものを
締結しておったわけでございます。
その中には米韓の
条約もございます。それから、ANZUS、米フィリピン、それ以外にも当時は米加あるいはSEATOといったものがございますけれ
ども、このそれぞれのアジア太平洋におきます
米国が
締結しております相互防衛
条約の正にその肝の
部分、防衛義務を書いたところでございますが、そこが基本的な考え方としてデクレアし、イット、イーチ・パーティーですけれ
ども、その締約国が「ウッド アクト ツー ミート ザ コモン デンジャー」という、そういうフォーミュラになっておったわけでございまして、
我が国といたしましては当時その旧安保の義務
規定をより明確化するために、アメリカが結んでおる相互防衛
条約、アジア太平洋における相互防衛
条約と同様の
規定とするということにしたわけでございます。
このことによって、それではその義務が弱いではないかというところが先生の御
指摘のポイントかと思います。
ちなみに、日英同盟につきましてはこれちょっと戦前、百年前の
条約でございますので、私、余り権威を持ってどれぐらい申し上げられるかということがございます。戦争合法化、戦争が合法であった時代の話でございますので単純な比較は困難かと思いますけれ
ども、そこでウイルが使われておる、あるいはNATO
条約でウイル・アシストということが使われておるということがございます。これは、例えばこれはワルシャワ
条約なんかは、これは英語が正文じゃございませんけれ
ども、その翻訳されたものではシャルを使っておるわけでございます。
こういう
条約、法的な拘束力を持たせる、法的な権利義務
関係を設定する
条約の作り方として義務を書く場合にいろんな書き方があるわけでございます。これはシャル、いわゆるコマンドのシャルと言います。あの十戒のザウ・シャル・ノット・スティールなんていう場合のシャルでございますね。そういうものも、そのシャルというのは割合義務を明確にする場合に使われますけれ
ども、それ以外にウイル、それからアンダーテーク・ツー、アグリー・ツー、いろんな形で、これこれすることを
内容とする義務を設定するということがございます。
そのことの強弱を論じること自体、私は、こちらの方が強い、こちらの方が弱いということを余り細かく論じても
意味はそれほどないのではないかなと。要は、当事国の意図としてここに義務を負うという、法的な義務を負うんだというその意図があるかどうかということではないかと思います。
これは、安保
国会当時からももう繰り返し御
答弁申し上げておりますとおり、安保
条約の第五条はこのアメリカの対日防衛義務というものを明確に定めておりまして、この点については日米にその共通の
認識がございまして、これは明確に義務であるというふうに思っております。