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2003-05-28 第156回国会 参議院 武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月二十八日(水曜日)    午後一時八分開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     岩佐 恵美君      田  英夫君     大田 昌秀君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 国井 正幸君                 中川 義雄君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 山口那津男君                 小泉 親司君                 平野 達男君     委 員                 愛知 治郎君                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 加治屋義人君                 木村  仁君                 近藤  剛君                 椎名 一保君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 月原 茂皓君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 松山 政司君                 山下 善彦君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 広中和歌子君                 松井 孝治君                 若林 秀樹君                 福本 潤一君                 山本 香苗君                 山本  保君                 池田 幹幸君                 岩佐 恵美君                 吉岡 吉典君                 田名部匡省君                 田村 秀昭君                 大田 昌秀君    衆議院議員        修正案提出者   中谷  元君        修正案提出者   渡辺  周君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣法制局第一        部長       宮崎 礼壹君        防衛庁防衛参事        官        安江 正宏君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       宇田川新一君        防衛庁管理局長  北原 巖男君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君        財務省主計局次        長        牧野 治郎君        財務省理財局次        長        楠  壽晴君        国土交通大臣官        房審議官     中山 啓一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(  第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会  衆議院送付) ○武力攻撃事態における我が国の平和と独立並び  に国及び国民の安全の確保に関する法律案(第  百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆  議院送付) ○自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法  律の一部を改正する法律案(第百五十四回国会  内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、畑野君枝君及び田英夫君が委員を辞任され、その補欠として岩佐恵美君及び大田昌秀君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  おととい、三陸南地震が起きまして、私の地元宮城被害を受けたわけですけれども被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  宮城の場合には、二十年から三十年の間に九八%の確率で地震が起きる、確実に起きるというこういう自然災害こそ、私たちは最優先で危機管理の充実を行っていかなければならないということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  それで、基本法制の中身に入っていきたいと思いますが、与野党合意では、緊急事態に係る基本的な法制については、四党間で真摯に検討して、その結果に基づいて速やかに必要な措置を取るという、こうされております点について、おととい、福田官房長官は、必要性について認識を十分共有するというふうに話されました。  民主党が提案しました対案は元々この基本法ということを前提としたものでありまして、これがあるとないとではもう全然違って、意味が違ってきてしまいます。民主党提出基本法案は、大規模自然災害や、あるいは原子力事故テロ攻撃など、広範な緊急事態対処するものとして提案されております。これは、いわゆる有事法制があくまで緊急事態の一つとしての武力攻撃事態発生した場合の言わば危機管理仕組みをあらかじめ作るものであって、それ以上の軍事的な積極的な意味を持たないことを内外に明らかにして、特にこれを運用する政府自身にくぎを刺す意味を持つものというふうに考えております。  さらには、日本の安全を確保するための国際協力など、いわゆる有事法制を使わなくてもよくするための規定が盛り込まれておりますが、第十八条の予防外交、第十九条のPKO、第二十条の軍備管理・軍縮、第二十一条のテロ防止、第二十二条のODA、第二十三条の安全保障分野における協力などでありまして、こういう点が決定的に重要だと思います。大自然災害原子力事故や、あるいはテロ攻撃などの方が武力攻撃事態よりも発生可能性というものが非常に高いことも既に指摘されているとおりであります。  この重要な基本法案について、その意味が十分に理解されているとは言い難いと思っております。報道でも、この基本法案説明するに当たっては、有事への対応を定める基本法という説明がされたりもしておりますが、基本法がいざ出たときに、民主党が想定したものとは全く似て非なるものであっては、話が違うということになってしまいます。将来に大きな禍根を残しかねません。  改めて、民主党はどういうものとしてこの法案を提案したのか。そして、与野党合意の中で検討合意された基本法制とは、基本的にこの基本法案の考え方というものがしっかり盛り込まれて合意されたのか。実際でき上がったときに、それはこれさえ盛り込まれていれば合意意義があった、あるいはこれがなければ合意意味がない、そういう決定的なポイントをお話しいただきたいというふうに思います。
  5. 渡辺周

    衆議院議員渡辺周君) 御答弁を申し上げます。  先生の地元でございます宮城県も被害に遭われた、まず地震につきまして言及されましたけれども、お見舞いを申し上げたいと思います。  また、こういう大規模自然災害、これは今回の基本法におきましては、過般の、一昨日の大規模自然災害はもちろんであります。もちろん、我が国に対して、国家に対して急迫不正の武力行使があった場合、どう対応するか。そのことをすべて考えまして、大規模着上陸型のいわゆる侵攻のみならず、この十年来考えてみましても、例えばテポドンやノドンが日本近海まで、あるいは日本をまたがって来ております。そしてまた、原子力事故あるいは不審船武装工作船ですね。  こういう実際あり得た蓋然性の高いことにつきまして、すべてのこういう問題に対応できる包括的な基本法案を策定をしまして、特に今回の私どもが主張したことの中には、やはり基本的人権ということをいかなる有事においても守らなければいけない。正にこれは国民を守るための概念を取り入れて、そしてまた、今幾つか挙げていただきました、例えば予防外交外交努力をいかにするかということを主眼にしまして基本法を提出し、今は衆議院継続審議となっているところでございます。  与党との合意の中で、この継続審議を、是非この我々の法案たたき台にして今後検討され、また、与党委員参考人からもこの基本法必要性ということについては繰り返し前向きな指摘がされているところでございますので、今回のこの法案につきましては継続審議となっておりますけれども、我々の意図するところを今後のたたき台としていただけるものだろうと期待をしているところでございます。
  6. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この合意について、与党提案者はどのように受け止めているでしょうか。
  7. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) 民主党が提案されましたこの国家危機管理、いわゆる緊急事態に関する基本的な法制につきましては、私もこの法律が必要ではないかという認識は共通するものでございます。また、民主党が言われたように、憲法規定されていなかった部分基本法成立させると、制定するというのは意義があることでございます。  しかし、この範囲が、災害テロ不審船原発事故、また武力攻撃事態と非常に多岐にわたっていまして、それぞれ基本法のある分野もありますし、また実施する組織が、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、また国、地方、いろいろとまちまちでありまして、私が一番難しいと思うのは、いわゆる災害等国内法対応できますけれども武力攻撃事態となりますと国際慣習とか国際法規分野がありまして、憲法問題も入ってくるわけでありまして、これには非常に一まとめにする上においては憲法も含めた議論が必要ではないかということで相当時間も掛かるんじゃないかと思いますが、しかし、民主党が出された基本法案を基に四党で真摯に検討して成立を得ると、成立を目指すということを合意しておりますので、私どもといたしましても、民主党基本案を基によく研究検討してまいりたいと思っております。
  8. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今の与野党提案者お話の中からも、この有事法制部分について整備をするときには日本主体性というものが問われてくるだろうというふうに思います。  この日本の主体的な判断をするのは国家であるということが前提となっておりますので、日本主体性、どのようなものかということを考えてみますと、これまでは日本対応、決して信頼のできるようなものになっていないだろうというふうに思いますね。近くはイラク対応だと思いますし、国連での投票行動どもその中に入っていくだろうと思いますけれども日本主体性について私は疑いの目が向けられているというふうに思うんです。危なっかしくてとてもこの有事法制任せることができない、政府に持たせられないという、そういう多くの国民の声は出てきております。  この疑いをどのように払拭しようとしているのか、官房長官にお伺いしたいと思います。
  9. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この今御審議いただいております有事法制につきまして、この必要性というものは国民の間でもかなり理解を示していただいてきておるものと思っております。疑いの目だけで見ていることでないんだろうと。また、特に、こういうような武力攻撃を受けるというような、そういうようなときに日本がどういうようなことをするのかということが国民にもこの議論を通じてかなり分かってきていただいているんではなかろうかというふうに思っております。  私ども、これで十分だともちろん思っておるわけではありません。特に、国民との関係においては国民の保護の法制の問題もございますので、この段階で更に御理解を深めていただき、なおかつ協力もいただかなければいけないと、こういうこともございますので、これは我々、そういうことにおいては努めて努力をしてまいりたいというように思っております。  委員のおっしゃるようなことだけではない、またそうでないように努力するのが我々の役割であり、また委員にもお願いをしたいというように思っているところでございます。
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 官房長官努力をするというお話でしたが、これまでのことがそういうふうに疑惑の目を向けられてしまうという、そういう内容があるんですね。  つまり、イラク戦争において、米軍などの武力攻撃について安全保障理事決議がある場合、それからない場合、日本がどういうふうに対応すべきか、こういう点が争点になったと思いますけれども、非常に受け身だったというふうに私は思います。決議があったらどうしようか、決議がなかったらどうしようかではなくて、もっとより積極的に、世界秩序を守るのは武力ではなくて条約などのルール国際協調であるということをしっかりと国際社会世論をリードしていくべきだったのではないかというふうに私は思うんですね。  少なくとも、国連決議が出ましたら、出たら出なかったらということで対応を考える受け身姿勢ではなくて、決議が必要だと考えるか考えないか、必要だとすればどういう決議が必要だと考えるのか、そもそも日本として武力行使が適当と考えるのか考えないのか、こういった点を押さえて積極的に対応すべきだったのではないかというふうに思っております。  ちょうど私は、三月二十日十一時四十五分、官房長官内閣委員会でこの問題についても話をしていて、ぷっつりイラク攻撃が始まったということで委員会が終了して、閣議を開かなきゃいけないということで退席をされたことを覚えておりますけれども、非常にこの辺の、イラク戦争に対しての日本が取るべきであった姿勢というものが非常に後手後手であったというふうに私は思っておりますのと、本当に平和をリードしようとしているのかという、その姿勢世界にも示すことができなかったというふうに思っております。どうですか。
  11. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 質問をいただきまして、三月二十日の質疑でお答えを私いたしました。その議事録見て結構よく説明しているなと、こう我ながら思っておるところなんでございますけれどもね。十分な、私、説明をそのときにもさせていただいたというふうに思いますけれども。  後手後手とか努力をしていないとか、そういうような言葉は私は当たらないというように思いますよ。もう少しよく、例えば外務省がどうしていたか、総理がどうしていたか、動静だけでも見ていただければ、随分日本もやっていたなということはお分かりいただけるんじゃないかと思います。  実際問題言って、もう最後最後、ぎりぎりまで我が国は何とか平和的な解決できないかということでいろいろな働き掛けをしてまいりました。しかし、万やむを得ずというようなことでもって米国が、米英軍攻撃を開始するという事態になりまして、そのことは非常に残念には思っておりますけれども、しかし、本当にぎりぎりの交渉をしてきたということは、これは記録見てもお分かりだと思いますけれども。  決して私は後手後手交渉をしたなんというふうには今回のことについて思っておりません。むしろ、例えば、何番でしたかな、一四六八だったかな、あの国連決議の……(「一四四一」と呼ぶ者あり)一四四一、一四四一の国連決議などは、これは正に我が国米国に執拗に働き掛けて出てきたと。それだけではないと思いますけれども、そういう部分もあるんですよ。  ですから、いかに我が国として一生懸命そういう平和的な解決のために努力をしてきたかということについては、もし詳しくお知りになりたければ川口大臣からお聞きいただきたいんですけれども、そういうことについては是非真っすぐに御理解をいただきたいというように思っています。
  12. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、その外務大臣にもお伺いしておきたいと思いますけれども、やはり世界秩序ルール国際協調でもってしっかりと維持していこうということを考えれば、国連中心主義というか、国連の機能が重要になってくる。日本はずっと国連中心主義というふうに言ってきたわけですから、それを貫くべきだという議論は、正にそういうことなんだというふうに思うんですね。  しかし、現在の国連枠組み、どうでしょうか。完全なものにはなっていない、地に落ちたというふうにも言われたりなんかしておりますけれども、この国連中心主義でいく、あるいは逆に、国連を軽視するのではなくて、安全保障理事国、とりわけ理事国以外の国々の人たちに対しての意向を反映させる仕組み作り、このことも大事だというふうに思いますし、世界的な市民の世論を反映できるようなそういう形に、国連を言わばもっと民主化していく、このことが大変大事だと。このことを気概を持って日本はするべきではないかというふうに思っておりますけれども、いかがですか。外務大臣
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連改革必要性については、これは委員のおっしゃるとおりだと思います。  我が国外交というのは、日米同盟を基軸とし、そして同時に、国際社会の平和と安全というのが非常に大事なことでございますから、そういう意味国際協調中心とする、国連というのはその国際協調の中で重要な役割を果たしているわけですけれども、その二つを我が国は大事として外交をやってきているわけですが、その中で、国連について、これは委員がおっしゃるように、できてからかなりたっている組織でもございまして必ずしも今の国際社会状況を反映をしているということは言い難い状況がございます。  そういう意味では、総理が先般、日米首脳会談の折でも国連改革お話をなさって、米国としてもきちんとフォローをするというお話をいただいていますけれども我が国として過去十年以上、国連改革については懸命の努力をしてきておりまして、今後、安保理の改革あるいは敵国条項、こういったことにつきまして更に精力的に国連改革のための努力をしていきたいと考えております。
  14. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もちろん国連改革国際協調によって世界の平和の安定を守る仕組み作りは一国ではできないだろうというふうに思います。  世界理解を得るためにアメリカとの付き合い方は本当に慎重さが必要だというふうに思うんですが、ブッシュ大統領は就任以来、強引な一国主義路線を突き進んできております。昨日も田議員指摘をされておりましたけれども京都議定書からの離脱とかCTBTの批准拒否とか、あるいは弾道弾迎撃ミサイルABM条約の脱退、日本が提出した核兵器の全面的な廃絶への道程決議反対。もうなりふり構わない姿勢だというふうに私は思うんです。  国際協調主義への重大なこれは挑戦だというふうに私は受け止めておりますけれども、そういう中で、日本が頑張ったというのが一つございます。それは、国際刑事裁判所ですね。本来、日本紛争解決を法的な枠組みで行う方向仕組み作りということに力を尽くすべきだという、その分野世界日本活躍を印象付けてほしいというふうに私は思うんですが、この国際刑事裁判所批准国規程を超えて今年の三月に発効しましたが、日本はまだ未批准でございます。世界の多数の国が批准しておりますけれども、どうなんでしょうか。  日本ICC規程採択のために大変な努力をしたと外務省のホームページにも書いてございます。日本は、国際社会における最も深刻な犯罪発生を防止して、もって国際の平和と安全を維持する観点から、国際刑事裁判所ICC設立を一貫して支持し、その実現に向けて努力しています。一九九八年のローマ会議においても、日本は、ICC規程採決のため積極的な貢献を果たし、各国より高い評価を得ました、こんなふうに書いてありましたけれども、では、日本はなぜ批准できないのか、せっかく活躍をしてきたのに、もったいないじゃないですか。外務大臣、いかがですか。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃいましたように、我が国としては、ICC設立に向けて一貫として積極的なリーダーシップを発揮をしまして、努力をしてきたわけでございます。  そして、これは先ほど三月とおっしゃいましたけれども、七月に発効をいたしまして、それで、ICCのこの規程につきましては、これを締結するためには国内法で担保ができているということが必要でございます。ということでございますので、今この規程内容やそして各国における法整備状況を精査をするとともに、国内法令との整合性につきましても必要な検討を行っております。政府として検討を引き続き進めていきたいと思います。  この中で、例えばICCにつきましては、集団殺害罪ですとか人道に対する罪、戦争犯罪、そういったものに対しましてICC管轄権を行使し得るということになっているわけですけれども、このうち戦争犯罪については、ジュネーブ条約の重大な違反行為等が該当するというふうに規定をされているわけでございまして、こういった点について今後法整備が行われるということになれば前進をするというふうに考えております。
  16. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とにかく、条約成立から五年たっておりますからね。日本政府は、今、努力をする、検討をする方向と言っておりますけれども、これは異常にテンポが遅いというふうに私は指摘をせざるを得ないと思いますが。  この国際人道法の扱いについては、いわゆる有事法制研究において第三分類に位置付けられてきておりますが、このジュネーブ条約追加議定書、第一議定書、第二と、ともに日本は未締結でございます。  衆議院での審議の際にも、民主党首藤議員質問に答えて、官房長官外務大臣は、締結に向けて詳細な検討を行っている最中というふうに答弁をされておりますけれども、これ、いつまでに締結をされるのか、何が課題として残されているのか、明確に答えがありませんでしたので改めて聞きますけれども、いつまでに締結されるのか、目標はいつくらいなのか、お示しいただきたいと思います。
  17. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、まだ未締結であるわけですが、これを締結を、追加議定書締結をするためには、先ほど申しましたように、所要の国内の実施のための措置を取るということが不可欠であります。  そして、現在、事態対処法制整備に当たり、関係省庁間で国際人道法の的確な実施を確保した国内法制の整備に向けた検討作業が行われております。これを踏まえまして、事態対処に関する諸法制全体の整備と時期を同じくいたしまして追加議定書締結する方向で、現在、詳細な検討を進めております。
  18. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 主要国ではほかにどこの国がこの条約批准していないのですか。国を挙げていただきたいと思います。
  19. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 恐縮ですが、今、把握をいたしておりませんので、これについては調べまして、また御連絡をさしていただきたいと思います。
  20. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 川口大臣、アメリカでございます。アメリカでございますよ。  私が新聞を見たところでも、米国に気兼ねをしているのだとすれば、国連中心外交の看板は色あせてしまうと。これ、去年の段階で言っておりますから、もっともっと色あせているという、こういう状況になっているわけですよ。  この国際人道法は、今の国際社会においてはいかなる状況下でも各国が守らなければならない最低限のルールだと言っている。この最低限のルールというのは、どんな武力紛争でも民間人への攻撃は許されないという国際人道法の考え方ですね。そういうことを決めていて、代表的なのはジュネーブ条約とその追加議定書ということなわけなんですけれども、残念ながら、世界じゅうの紛争が絶えない中で、この国際人道法が定める規律が守られない事態が多発しているというのが現状なわけですね。  この状況を踏まえて、国連総会では、継続的に二つの追加議定書への調印と批准を求める決議を採択しておりますけれども、この人道の侵害を許さないという意思、きっちり日本も表示をしていく、その意思表示のためにも早期にこの条約批准する必要があると思います。  今回、国民保護法制を速やかに整備するというふうに言っておりますけれども、この追加議定書ですね、この追加議定書批准するため、国内法も速やかに整備すべきだというふうに思いますけれども、この速やかに整備すべきということについて、よろしいですか。
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、タイミングにつきましては、事態対処に関する諸法制全体の整備と時期を同じくして追加議定書締結する方向で、現在、詳細な検討を進めております。
  22. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 実は、度々この委員会の中では速やかにという言葉を聞いてまいりました。それで、その速やかということについてもちょっとお聞きしておきたいんですけれども、今後整備されますこの事態対処法の整備目標は、当初「二年以内」とされておりましたけれども、「速やかに」というふうに修正されているんですね。この「速やかに」というのは、大体どのぐらいの長さのことを指すのかをお聞きしておきたいと思いますが、与党提案者、この「速やかに」の長さですね、一年以内というふうに考えてよろしいですか。
  23. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) そもそも、この法律は昨年の五月に国会議論されておりましたけれども、それから一年たっておりますので、この法律にございました「二年以内を目標」という言葉を「総合的、計画的かつ速やかに」ということに修正をしたわけでございます。  したがいまして、この修正に際しまして附帯決議を実施をして、国民の保護のための法律整備は、武力攻撃事態対処法の施行の日から一年以内を目標として実施するということで決議をいたしておりますので、それをそのとおり行ってまいりたいと思います。
  24. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この国際人道法については、元々必ずしも本格的な有事法制前提とするものではなかったというふうには思っておりますが、要するに、捕虜の扱い、あるいは武力紛争時における非人道的行為の処罰に関する法律、これを定めればよかったのではないかというふうに思うんですね。逆に、こういった議定書武力行使の在り方について規定するものでありまして、自衛隊といえどもこの議定書に基づいての行動のルールが定められるべきであるというふうに思います。  したがって、本来、有事法制検討する際には、その前提としてこれらの議定書締結しておくべきだったというふうに考えます。この後ではなく、実はその前にするという、逆だったんじゃないかというふうに思うんです。  いずれにしても、この追加議定書に早急に取り組む、批准をする、国民保護法制などと同様に一年以内にこれが整備される、これは自然だと思いますけれども、よろしいでしょうか、官房長官
  25. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 追加議定書締結につきましては、これは先ほど申しましたように、関係省庁間で国際人道法の的確な実施を確保した国内法制の整備に向けた検討が行われているわけでございます。これを踏まえまして、事態対処に関する諸法制全体の整備と時期を同じくして追加議定書締結する方向で詳細な検討を進めております。
  26. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何かぐっと迫ってこないんですけれども、もう詳細な検討だけはずっと続いていて、いつなのかなというのが全く私たちの方に伝わってこないので大変残念なんですけれども日本が本当に平和の世界に向けてのリーダーシップを発揮しようということであれば、これは当然もう本当に批准すべきだというふうに思います。  そういう条約が幾つかございます。それは、女子差別撤廃条約選択議定書、あるいは自由権規約、このB規約の選択議定書、これもそうであります。未批准でございます。世界じゅうから日本の決断が求められているというふうに思いますが、こうした条約については早期に批准すべきではないでしょうか。決断はいかがでしょうか。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについても今まで何回か別な委員の方からお尋ねをいただいておりますけれども、このおっしゃった二つの議定書、女子差別撤廃条約選択議定書と自由権規約選択議定書ですが、これはそれぞれ個人通報制度を定めておりまして、これは条約の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であると考えておりますけれども、司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがございまして、慎重に検討すべきであるという指摘もございますことから、現在のところこの二つの選択議定書締結をいたしておりません。締結の是非について真剣かつ慎重に検討をしているところでございます。
  28. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当に慎重、真剣、どっちなのかなというふうに、これもやっぱり取組が長い間行われながらも鮮やかな動きが見えてこないというのが現状だというふうに思います。一生懸命この有事法制を作りまして、一人前の国家として当たり前だと胸を張ってしまうこと、その周りのことについてはなかなか今のようなはっきりとしない答弁であるということ、そういう動きが見えないということ、これもやはり私は不信感の原因だというふうに思っておりますので、分かりやすい取組をこれからも具体的に、積極的に行っていただきたいというふうに思っております。  川口大臣、ここからはいつでも御退席いただいて結構だというふうに思っております。  次に、繰り返し議論されておりますが、民間放送事業者を指定公共機関とする必要性についてなんですが、指定公共機関に放送事業者が含まれているとすれば報道の自由の侵害につながるおそれがあると。これ、民主党は元々基本法案の中で、表現、報道の自由の不可侵を求めるとともに、指定公共機関の定義からは民間放送事業者を除外すべきであるということを主張してまいりましたけれども衆議院段階では、結局、附帯決議の中で「報道・表現の自由を侵すようなことがあってはならないこと。」とされたにとどまりました。  日本民間放送連盟、民放連は、民間放送事業者は視聴者の生命、財産にかかわる緊急情報を法的規制によらずとも自主的な判断で当然のこととして速報する、これは国民の電波を預かるものとしての使命であり、改めて義務付ける必要はない、このように言っておりますけれども、これまでにももちろん議論されてきましたが、そのとおりでよろしいでしょうか、官房長官。義務付ける必要はない。
  29. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 何ですか。
  30. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 義務付ける必要はない、そのとおりでよろしいですか。
  31. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 武力攻撃事態において、要するに国民の生命とか国の安全とか、そういうようなことにかかわる非常に重大な事態において、特に国民の生命等を守るために緊急情報を発するとか、そういう基本的なことについて御協力を願うということ、これは、そのために指定公共機関としての指定をさせていただくということについて、これは是非お願いをしたいというように思っております。  今、そういうことは自主的にやるんだから大丈夫だと、こういうお話ありましたけれども、逆に言えば、そういうことをしていただけるんだったらば指定公共機関として指定されてもよろしいんじゃないのかなと、逆にそういうふうに私どもは思っております。  もちろん、その際、報道の自由といったようなことについて、基本的な問題について、それをそういう権利を侵害するというようなことをする、そういうことは全然考えているわけでない。これはもう再三申し上げているわけでございますから、その点については是非御理解をいただきたいというように考えております。
  32. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 簡単に言わないでいただきたいと思います。  指定公共機関について、なぜ民間放送にまで代執行権が及ぶのか。この事態を、どういう事態を想定しているのか。災害対策基本法では代執行権まで規定していないんですけれども、いかがですか。
  33. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今御発言ありました民間放送に代執行権を及ぼすと、そういうことはありませんよ。そういうことではございません。これは、あくまでも公共放送事業者に対して、速報性という、そういう、そういう機能を持っているわけでございますから、そのために緊急の必要最小限の報道をしていただこうと、こういうふうなことでございまして、例えば内容を申し上げましょうか、どういったようなことを考えているかということですね。これは実は……
  34. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それは後で触れますので。
  35. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) はい、そうですか。  ということでございます。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 例えば、民放にはどうしてもいててもらわなきゃいけないというような、NHKが何かによって、それは放送できない状況になったときに、それは今度民間放送の方に行くという、こういうようなことについてもちょっと議論がされたというふうに聞いておりますけれども、これは合理的な理由ではありませんよね。こういうことではないですよね。
  37. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 速報性ということに着目した場合に、例えばNHK、例えばですよ、一昨日地震ございましたね、あのとき速報が流れる。これは民放ももちろん流れるわけですけれども、多少時間の差もあったかもしれません。しかし、NHKだけ見ていればよろしいけれども、そうでない。民放を見ていた場合に、同時刻に同じような放送がされないというようなこともあるわけですね、視聴率、NHK一〇〇%ということでありませんので。  ですから、そういうことを考えても、やはり国民の安全ということに着目したらば、やはりなるべく早くすべての国民に知らせたいというような情報について御協力を願うということについて、これは何ら私は民間放送といえども拒否するものではないというように思っております。
  38. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民間放送の人、怒りますよ。今まで大規模自然災害ですとか地震ですとか、そのときに警報を流さなかった、例えばそういうようなことがあるんでしょうか。もう即、地震のときでも民間放送はそれに取り組んで、放送を始めております。  ですから、これは民間放送は自主的に必ずやります。競争してでも民間放送はやります。それは当たり前のことだと思いますよ。ですから、義務付ける必要はないわけなんですね。  民放連は次のように懸念をしております。すなわち、指定公共機関となれば有事における放送計画を事前に策定して首相と協議する義務が課される。表現の自由を最大限尊重するという修正があっても政府が放送に介入するおそれがなくなったわけではない。すっきり外すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  39. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ですから、速報性という意味において必要最小限というふうに私は申し上げましたけれども内容を申し上げましょうか。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 結構です。私言いますから。
  41. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そうですか。それであれば、内容を見れば、これはやはり必要不可欠というような御理解がいただけるものだというふうに思っております。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 衆議院では我が党の議員が、総理の記者会見の放送を要請したいと、ある情報について放送しないでほしいと要請することがあるかという質問したことに対しましても官房長官内容については報道の自由が確保される必要があるという述べるにとどまりましたけれども、明確に答弁していないというふうに思います。  こういうことについて要請して、それを結局はこれは介入することになると思うんです、こういうことをしてくれということになれば。その点に関して、同じ質問ですけれども答弁を求めておきたいと思います。
  43. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 最後のところ何でしたっけ。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今のです、今のところはですね、最後に……。  この間は、記者会見に出席をする、その出席を、記者会見を放送を要請したりする、あるいは情報について放送しないでほしいと要請することがあるかということの質問に対して、それは報道の自由が確保される必要があるというにとどまっているんですけれども、その言葉だけでは信用できないという、そういう意味ですね。
  45. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その放送をお願いする内容等については、これから定めます国民保護の法制の中で法定してまいりたいというように考えているところでございます。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 内閣官房と民放連とで話合いが持たれているわけですけれども、その中で、今官房長官がペーパーを先ほどからお持ちになっていらっしゃる放送をお願いする事項というのが示されていて、これはNHKと全く同じ内容だというふうに伺っておりますが、その中に警報の発令、解除、武力攻撃事態状況、避難の指示及び解除となっておりまして、この中に、警報の発令及び解除すると書いてあるその下に武力攻撃事態の現状及び今後の予測とあって、もう一つ、二番目の武力攻撃事態状況のその下に武力攻撃に関する状況の推移というのが入っておりまして、これは報道の内容まで介入することになるというふうに思っておりまして、民放連は申入れの中でもきちんとここについて反論して言っております。  民主主義の根幹である報道の自由にかかわる領域で指定公共機関を法制化することは受け入れられないのその後に、有事であっても知る権利に奉仕する報道の自由が確保されることが究極的には国民の生命あるいは安全を守ることにつながっていくということでありまして、彼らは大本営発表はやらないんだということを言っております。この武力攻撃状況に関する推移というのは大変広い状況になるのではないでしょうか。  これが、具体的にありますけれども、報道の自由、そこに介入すると言わないで、私はやっぱりこれは介入することになるだろうというふうに思いますけれども、いかがですか。
  47. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、委員がおっしゃられました、これは実は民間放送事業者団体に対して説明をこの二月にいたしました。その中で、放送をお願いする事項という資料を配付いたしたわけでございます。指定公共機関でございます放送事業者の対処措置について、その項目を挙げて説明をしたと、こういうことでございまして。  具体的に申し上げた方がいいでしょうね、その方が分かりやすいということで申し上げますと、その資料の内容として、まず一に、一として、警報の発令及び解除として、武力攻撃事態の現状及び今後の予測、それから危険地域、住民の避難に関し実施すべき対処措置。次に、二、武力攻撃事態状況として、武力攻撃に関する状況の推移、住民の避難や避難住民等に対する救援の状況関係機関による対処状況。三、避難の指示及び解除として、住民の避難を行う地域、住民の避難先となる地域、予測される避難の期間、避難の方法をそれぞれお示しをしたと、こういうことでございます。  この項目を見てお分かりだと思いますけれども、やはりそのとき国民が、自分の安全、それから、まあいろいろあるでしょう、自分の家族だとか会社がどうなるかとか、そういったようなことの状況がどういうような状況に置かれているかということを理解するためにも、今申し上げたようなことを放送でもって直ちに知るということは、これは必要なんじゃないでしょうか。一刻を争うという場合もあるかもしれませんからね、本当に。そういう意味で、私は、まあこのぐらいのことは知りたいなと、一国民としてもそういう感じは持つわけでございます。  それから、今大本営発表というそういうお話ございました。これはそのときの政治の問題なんです、政治体制の問題なんですね。ですから、これはこの法律そのものの問題じゃないというように思っております。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民放連にお伺いしましたときに、武力攻撃事態の認定ですとかそれに伴う施策ですね、そういうものが正しいのかどうかということについては自分たちが判断するんだと、きっちりと報道機関が判断して放送するんだということを言っておりますけれども、それでいいんですね。
  49. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 一民間放送でそういう、何というんですかね、危機の状況とかそういったようなものが把握できるのかどうか、その能力をお持ち合わせなのかどうかということも当然ありますよね。  これについて、その内容について、それが疑わしいとかなんとかいう、そういう意見はいろいろあるんだろうと思います。政府の言うことは信用しないという人もいる可能性もないわけではないという意味においてね、そういうこともあろうかと思います。ですから、それは、批判する人は批判する人でこれはしようがないと思うんですね。しかし、なるべく多くの国民をそういう状況の中から救い出すというためにはなるべくたくさんの人に知っていただきたいと、そういう趣旨でございます。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 全く民間放送を理解していらっしゃらないなというふうに思うんですけれども、民間放送は積極的に、そのことは言われなくても、指定機関とされなくてもやるんです。戦時下においての役割というのは、マスコミは政府の言いなりにならないんだということ、これはもう自主的な判断で報道をしていくという、この姿勢が大変大事なんですね、政府の便利な存在ではないし。今、間違うこともないではないというふうにおっしゃいましたけれども政府が間違う場合もあるわけです。ですから私は、情報というのは政府が発表したというそのまま伝えよということではなくて、きちんとそれは伝える、能力を持っているからこそ要請をしたのであり、また指定公共機関を受け入れることはできないということをはっきりと申し上げたのではないかというふうに思うんです。  それで、私たちがこの附帯決議を見ますときに、報道、表現の自由を侵さないということを言っておりますけれども、この報道のあるいは表現の自由、戦時下において決して侵さないんだということの意味はどんなふうに考えますか。
  51. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、報道の自由は報道の自由でございまして、表現の自由もそうでございますけれども、それはもう最大限尊重するということをこれはこの法律でも言っているとおりでございまして、政府として報道規制をするとか報道の自由を制限すると、そういうことは全く考えておりません。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 重ねて申し上げますけれども政府対市民というふうなことになりました、これは提案される、受入れ側の市民ということで考えますと、一番大事なことは何かといえば、基本的人権であり自由だというふうに思います。  こういうことに関しましては、どうしても武力の、そうした武力下あるいは非常事態有事、そういうような状況になりますと、どうしても国の中でみんなが一体となって協力するということが強調されますけれども、やっぱり個人の権利というものが大事になってくるのだということで、民主党の場合、基本的人権を入れているわけなんですけれども、ここに、一九七八年博多フィルム事件ということの最高裁の判決におきましても、国民の知る権利に奉仕するその役目があるから、だから報道機関の自由というのが認められているのだということがきちんと判決の中で示されておりまして、一人一人が持っている個人的な、あるいは基本的な自由、そして人権、その確立、そういうことがあって初めて、報道機関はそれを代行する者として、報道の自由あるいは取材の自由、そういうものが与えられているわけなんですね。  ですから、是非とも、メディアというのは個人の人権に奉仕する意義があるので、そのメディアというのは統制をされないんだと。ここで今のような指定機関でやっていくという形になりますと、やや命令系統のような形になってしまいますと、お願いするという立場で書かれておりますけれども、ここで報道の意義がなくなってしまう、ここに心配であるというふうに私は申し上げております。  基本的人権、自由、報道の自由、表現の自由、そういうことがしっかり守られていくということを担保するのであれば、指定機関は外して、自主的に自分たちが判断して、そして放送するということでよろしいのではないかと思いますけれども、再度お願いします。
  53. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 繰り返しになりますけれども、やはり国民の安全とかそういうものに、本当に緊急性がないと確保できないといったようなときに、速報性に着目した放送局の放送事業者の協力というものは、これは私はあってもおかしくないと思いますよ。むしろ、そういうときに、私どもは指定公共機関じゃありませんとかそういうようなことを言って、逆に、済まされるかどうか。ですから、そういうときには、自主的におやりになるというのであるなら、むしろもっと前向きに考えていただいてもいいのではないかなというように思います。  もちろん、指定公共機関の指定に当たりましては、放送事業者の意見を十分に聞いて、これからですよ、これから十分に聞いて、適正な手続の確保に努めるということはいたします。今、いろいろ御意見おっしゃいましたけれども、そういう御意見も大いに参考にさせていただきたいと思っております。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 非常事態だからといって政府の伝達機関にはやはりならないということをしっかり押さえておく、基本構造をしっかりと押さえておくことは大事だと思いますけれどもイラク戦争におきましても、戦時下におけるメディアの在り方は問題視されまして、イギリスの例ですが、BBCの指針ですね。  まずは、BBC放送は、開戦の前にイラク戦争報道指針を公表しております。その指針の内容は、報道用語、取材源、自主規制、専門家の寄与、死傷者の情報、そして親族へのインタビュー、また反戦運動など十五項目に及んでおりますけれども、この、視聴者の利益を守るためなんだと。その信頼を維持するためには、報道は客観的、公平、公正であるということを考えてBBCは指針を発表しているわけなんですけれども、これに対しましてイギリスの保守党の国会議員が、BBCは国営放送だと、我々は英軍兵士がなぜ命を賭して戦場に赴いているかを知らなければならないとして、BBCが反戦気分をあおっていると、これを問題視しようとしたんですね。これに対しましては、BBCの指針を作った人は、開戦になればBBCとしては反戦論者の声に耳を傾けなければならない、戦争に反対する人々は国内外の現実の一部として報道されなければならないと反論したと。一例なんですけれども、メディアの役割をよく表した言葉だというふうに思います。  反戦気分をあおっているといった社会的な圧力も、例えばこういうような状況の中では間違ってもあってはならないということに関しまして、官房長官、御答弁お願いします。
  55. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) また繰り返しみたいな話ですけれども、緊急性という意味において、最低限これだけのことは放送してくださいということでありまして、それ以上のことをお願いする、そういう意図はございません。また、報道、放送の仕方においても、自主的に、何ですか業務計画とかそういったようなものを作ってそれに基づいてやっていただければいいわけでありますので、自由を拘束するとかそういうことも全くないんですよ。  もちろん、中身について問題があるということであれば、それはそれで放送しなくても、これはそういうこともあるかもしれぬ。しかし、それが国民の安全とか命にかかわるとかいったようなことであれば、やっぱり放送したくなるでしょう。そういうことをお願いしているんです。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当に擦れ違っておりますけれども、民間放送はその国民の生命、財産にかかわることは積極的に放送するんです。自主的に放送するんです。別に指定機関として言われなくてもやるんです。競争してでもやるんです。そういうことを申し上げたいというふうに思いますし、明文上義務付けたり、命令することでなくても積極的に行うということを民間放送は言っているということを申し上げておきたいと思いますが。  もうどんどんこれに時間を費やしてしまいましたけれども、沖縄のことを忘れてはいけないということで、あしたは横須賀、基地のある、米軍基地のあるところで公聴会を行っていくわけですけれども、沖縄の問題ですけれども、全国の米軍基地の七五%を一手に引き受けて過重な負担を担ってきているわけですけれども、生活上も大変な不便を受けてきている沖縄の皆さん、この有事法制論議というのを大変な不安な思いで見詰めているということを沖縄の方々にも伺いました。  もう十分負担を負っていると。その上、更に負担が課されるということでありますけれども、遠いアフガニスタンで米軍が行動を起こしたときにも、米軍はまずこの沖縄に部隊を配備いたしました。有事法制がかえって戦争を招くのではないかという根本的な問題のほかに、沖縄の皆さんが最も心配をしているのは米軍支援法制の行く末でございます。  この米軍の行動の円滑化に関する法制、この提出は見送られましたけれども国民保護法制と同様に速やかに整備するということとされております。その内容がはっきりしておりません、いまだに。少しでも示してほしいという沖縄の人たちの気持ちがありますけれども、はっきりしておりません。物品とか役務ですとか施設の提供等を実施するための法整備だと言われておりますけれども、沖縄にしたら、もうこれ以上負担をされるのは嫌だ、何かを奪われていくのは嫌だというふうに思うのは当然だというふうに思っております。  改めて聞きますけれども、この米軍支援法制として何が具体的な中身として検討されているか、なぜそういう中身を持った、内容を持った米軍支援法制が必要なのか、それいつまでに策定されるのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  57. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 国民の支援、いやごめんなさい、米軍の支援、米軍支援の法制、これは要するに、武力攻撃事態等におきまして米軍の行動の円滑化に関する措置について検討していくということでございます。ですから、これから中身について検討をするということであります。  基本的に申し上げれば、例の日米安保第五条というものに従って我が国を防衛する条約上の義務を米軍が負っているということから、米軍が実施する日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動は我が国の防衛の中核を成すものであると、こういうことでございまして、そのような米軍の行動が自衛隊の行動と同様に円滑かつ効果的に実施されるために、我が国として物品、役務の提供など必要な措置を講じていくと、こういうこと、こういうのが中身になってまいります。そういうことについて具体的なことはこれから整備をしていく、検討していくということでございます。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 向こうの心配の中に、武器弾薬の補給はこの時点で行われるのかどうかという質問がございましたが、私は代弁して福田官房長官にお伺いしておきたいと思います。
  59. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 正に我が国攻撃を受けるという、そういう武力攻撃事態というときにおいて、それを米軍我が国の要請によって、そして守ろうというときに、その米軍に対して武器弾薬を供給しないと考えることの方がおかしいんじゃないでしょうかね。それはあくまでも日本国民を守るためですからね、日本の国と国民を。そういうことじゃないですかということで御理解をいただきたいと思います。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 更に確かめておきたいと思いますけれども、この指定公共機関で、具体的に言えば、電気、ガス、輸送、通信、そのほかの法人、そこに働く日本人が米軍協力をしなければならなくなりますけれども、これはどの程度強制性というものを持つものになりますでしょうか。米軍の基地の中でです。
  61. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この法制におきまして、米軍の行動の円滑化に関する措置については、この法律法案に定めるとおり、米軍が日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるようにする観点から実施する物品、役務の提供などが考えられると。そのような措置が適切かつ効果的に実施されるようにするため必要となる法制につきましては、措置内容とか実施主体の問題も含めまして、法案成立後に、この法案に示された枠組みに基づいて事態対処法制整備の中で検討していくと、こういうことで、先ほど答弁を申し上げた……
  62. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 強制性を持つかについて。
  63. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 業務の範囲内で法律で定められた対処措置を講ずるものでありますけれども、これは罰則による担保は考えておりません。
  64. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この米軍の行動に伴って、基本的人権の侵害のおそれについては、これまで度々沖縄は軍隊による人権侵害を身をもって体験をしているわけなんですが、いざ有事となりますとこれが起こり得る可能性が非常に高いという、そのことを想像している沖縄の人々の心配がありますけれども、この基本的人権の侵害が、防ぐような規定米軍支援法制の中に当然盛り込まれていると考えてよろしいでしょうか。
  65. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 基本的人権の問題ですね。  これは、武力攻撃事態における基本的人権の尊重は、これはもうもちろん重要なことでございますので、政府案にもその趣旨を規定いたしておりました。  しかし、更に、衆議院における修正によりまして基本的人権を尊重するという理念が更に明確になったと考えております。
  66. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ずっとその権利についてお話を伺っておりますけれども、もう一つ、民主党も修正したものとして責任を持っているというふうに私は思っておりますが、その観点から修正項目について気になるので質問をしたいと思いますが。  この戦争状況において基本的人権を守るのは非常に難しいというふうに危惧されておりますが、あえてここに盛り込んだ意義についてどう考えているか、またこれらの条文が担保されるためには何が必要だと考えているか、まず民主党提案者からお聞きしたいと思います。
  67. 渡辺周

    衆議院議員渡辺周君) 先ほど来の質疑を聞いておりまして、正に基本的人権の尊重、これは委員と正に同じ思いをしております。だからこそ、我々も、この修正協議の中で基本的人権の尊重ということを入念にうたうことを盛り込んで、協議で正にかち取ったわけでございます。  ただ、今お話ありましたように、国益あるいは公共の福祉という中で、極めて迅速かつ強力な対処措置が公権力によって行われる、その場合にやはり人権侵害の危険性というのは有事において非常に起きやすいだろうと、これは我々も危惧をしております。  正に、そのことを我々はもう入念にあえて法の中に書き込んだことによって強く訴える。そしてまた、今回の協議の中では、今後一年以内に整備される国民保護法制において民主党のこの基本的人権に係る原則ということを担保するというふうな合意があるわけでございますので、この点については我々としても注目をしながら、また折に触れてこの問題を様々な場で要請をしていきたいなと、そういう強い思いでございます。
  68. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 与党も。与党提案者にもお願いします。
  69. 中谷元

    衆議院議員中谷元君) この基本的人権の尊重につきましては、そもそも日本憲法で明確に規定されているところでございまして、いかなる法律もこれを侵すことはできないということでございまして、元々、原案におきましても、この憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないと、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態対処するために必要最小限のものであり、かつ、公正、適正な手続の下に行われなければならないと規定されておりまして、今回、修正によりましてより具体的に項目を列挙をしたわけでございまして、この項目以外にも宗教の自由とか学問の自由等がございますが、いずれにしましても、そういった権利につきましては、この事態対処するという中で、その制約につきましては必要最小限のものでなければならないと考えております。
  70. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党提案者にもう一つお聞きしておきたいと思います。  合意の二項で意図されているところは非常に重要だと思っております。民主党が提示いたしましたのは、一、人権保障について差別的取扱いの禁止、二、思想・良心の自由の絶対的な保障、三、報道・表現の自由の不可侵、四、国民協力は強制にわたってはならない、五、特別な犠牲に対する正当な補償、六、不服申立てそのほかの救済手続の必要性確保すべきという内容でありましたが、これは言葉どおり生かされるということが私は大事だというふうに思っておるんですけれども、こうした問題を尊重していく、当然民主党提案者はそうだというふうに思いますけれども、今後議論されていく法案のレベルがこれで変わっていかないと、本当に「「国民保護法制」で措置する。」というその合意意味というのがなくなってしまうというふうに思いますので、こういうただいま申し上げました六項目については、これらが言葉どおり入っていくものというふうに、私は是非そう願いたいんですけれども、これ、どういうふうに理解すればよろしいでしょうか、今後のことについて。
  71. 渡辺周

    衆議院議員渡辺周君) 今、委員指摘の六項目につきましては、これ正に最も侵害されやすい人権規定であろう、それだからこそ、先ほど来の答弁もさせていただきましたけれども、最大限尊重されるということを覚書の中で交わしたところでございます。  この覚書が空証文にならないように、今後は正に責任ある政府の方々、与党の方々と今後の国民保護法制の中で我々としてもこれを担保を強く求めていく、そしてこの合意が正に覚書どおりにされるように努力をしてまいると、またそうあるべき、そうなるであろうと強い期待を持って取り組んでまいりたいなと思っております。
  72. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 政府は、法制作業に当たってはどのような姿勢で臨まれますでしょうか。政府官房長官
  73. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 基本的人権の問題は、これはもうもちろん大変大事なことでございます。今後、国民の保護の法制整備してまいりますけれども、そういう場合に、今おっしゃった六項目のことはもとより、基本的人権というものを踏まえた上で十分な配慮をして、また御意見等もよくお聞きしましたので、そういう御意見も踏まえた上で整備に当たってまいりたいと考えております。
  74. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 すらっと、ただいま六項目はもとよりというふうにおっしゃいましたけれども、これ、六項目がきちんと中で入っていくというふうに私たちは考えてよろしいんでしょうか、もとよりとおっしゃったのは当然だということで。一言答弁していただいて、決意を言っていただきたいと思います。
  75. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その六項目を十分に配慮してまいりたいと思います。
  76. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。終わります。
  77. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 日本共産党の岩佐恵美です。  今、有事法案に対する地方自治体の不安、そして批判が広がっています。地方議会での反対、慎重を求める意見書が六百三十八自治体、全自治体の二割になります。周辺事態法の際の二百七十九自治体の二倍を超えています。  五月十五日付け朝日新聞、ごらんだと思いますけれども、それによりますと、これまでの政府説明に三十七人が不十分と回答しています。十分と回答されたのは、先般お辞めになられました青森の県知事さんお一人でございます。  そして、国民の私権や地方自治権の一部制限が想定されるのに具体的内容が明らかになっていないなど、不信感を示された知事さんは二十五名おられるということです。有事の定義が明確かつ限定されることが最も重要として、定義のあいまいさに危惧を示された知事さんもおられます。また、日米安保の中での位置付け、米軍との関係でどういうことをする法案なのか政府は示すべきだと言い、米国追随が過ぎるのではないかと懸念を示された方もおられる。法案以前の問題として、武力攻撃事態可能性はだれが判断するのか、残念ながら日本は判断できず、米国に依存している、日米間の主体性の問題だ、米国の情報により米国の判断で動き出す仕組みは危ういのではないか、そう言っておられる方もおられます。  さらに、国立市の上原市長さんですが、内閣総理大臣質問書を提出をされて、回答を求めても回答が不十分だったということで、再質問書を提出をされたそうです。そうしたら、個別には回答しない、ホームページを見るようにというとてもひどい対応だったということです。上原市長は、市民を代表する自治体の長名で出した質問に回答しないという対応は全く納得できるものではないと非常に憤っておられるんです。  八割の知事さんが政府対応を批判しておられます。  そこで、官房長官に伺いたいんですが、自治体の長のこのような国への批判、不信感についてどうお考えでしょうか。
  78. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 確かに、五月十五日付けの新聞でもって有事法制に対していろいろ意見を述べておられます。  その中で、有事法制整備に八割を超える知事が賛成しておるということも書いてございますよね。それから、国民の保護の法制の先送り、これについては二十五人の知事が不満を表明していると。これもそのアンケートの中にあります。そういうような、それからもう一つ、政府説明は不十分という、そういう知事さんも多かったと、こういうように承知をいたしております。  しかし、有事法制整備に八割を超える知事が賛成したということについては、これは、やはり有事法制に対する国民理解というものがかなり進展してきている、深まってきているというように考えてよろしいんじゃないかというように思っております。  ただ、二十五人の知事が不満を表明したと。これは国民の保護法制がまだできていないということについて不満を表明しているんです。それは確かに、知事といえば住民の保護、地方公共団体がその責務を果たすために国民の保護法制整備を急ぐ、これは当然のことでございますので、そういうものでございますので、この国民の保護の法制整備に、これはできるだけ早く取り掛かって、そしてそれを明らかにしていかなければいけない、そのように思っております。  また、政府説明は不十分と、こういうような指摘も受けております。これは、四月の十八日に国民の保護のための法制について実は政府から公表をいたしております。その説明状況に関して、今月の上旬に新聞社はアンケートを行っております。そのため、この資料を、公表時に地方公共団体に時間の関係で、送付はいたしたけれども、しかし直接説明する機会がなかった。こういうようなことで都道府県知事の多くの方々がそのような回答をしてきたものではないかと考えております。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕 いずれにしましても、政府としては、そういう知事の考えを真摯に受け止めて、法案規定に基づく国民保護法制整備本部を活用して、知事と閣僚が直接意見交換する機会を設けるなど、節目節目で地方の方々の意見を伺ってまいる考えでございます。
  79. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 この八割の知事さんが、確かに法整備には賛成だということのようですけれども、ただ、その方々が説明が不十分だと言っている。あるいは、国立市長の先ほどの紹介しました憤りというのもあるわけですね。  このやり取りを、この委員会でのやり取りを伺っていてもかなり、それは後でということで、先送りになっている部分がたくさんあります。ですから、これはもう知事さんたちは非常に不安を持つというのは当たり前だと思うんですね。その点について幾つか伺っていきたいと思うんです。  有事法案は、我が国に対する武力攻撃やそのおそれが発生する以前の、いわゆる予測事態の段階から武力攻撃事態等に対する対処措置を発動するものです。そして、地方公共団体や公共的機関に対処措置の実施が義務付けられ、国民対処措置協力する努力義務が課せられます。  武力攻撃事態法は、第二条七号で対処措置の定義を定めています。そのうち、地方公共団体や指定公共機関にかかわる対処措置は二つあります。一つは、自衛隊米軍の行動のための物品、施設又は役務の提供その他の措置。もう一つは、国民の生命、財産の保護や国民生活、国民経済への影響を最小にするための措置です。  後者のいわゆる国民保護法制に関してはその輪郭的なものが示されています。しかし、米軍自衛隊の行動に対する支援措置に関しては全く明らかにされていません。なぜ、支援法制については輪郭すら明らかにしていないのでしょうか。
  80. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この米軍のことについてですね。  これは、今後、この法案成立後いろいろ整備しなければいけないことはあるわけですね。その中の一つでございまして、この事態対処法制整備をすると、そういう中でいろいろな状況を考慮しながら具体的に検討を進める、そういうことでございますので、すべて明らかにできていないということでございます。
  81. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 米軍自衛隊への協力内容の輪郭すら明らかにされないままにこの法律で自治体、国民協力義務だけが押し付けられる、これはもう自治体、国民が強い懸念を抱くのは当然ですよね。  周辺事態法では、地方公共団体や民間の協力について政府の解説の中で一定の内容、項目が示されています。ちょっと表にしてまいりましたので、見ていただきたいと思いますけれども。(資料を示す)  地方公共団体の権限の行使を求めるものということで、地方公共団体の管理する港湾施設、空港施設の使用、建物、設備等の安全等を確保するための許認可、建設基準法等に基づく許認可、消防法上の緊急搬送。それ以外で地方公共団体に協力を依頼するもの、公営バス等による人員、物資の輸送、地方公共団体による給水、公立医療機関への患者の受入れ、地方公共団体の財産、物品の貸付け、そして体育館、公民館等の施設の目的外使用の許可。民間に協力依頼するものとして、人員、物資の輸送に関する民間輸送事業者の協力、廃棄物の処理に関する関係事業者の協力、民間医療機関への患者の受入れ、民間企業が有する物品、施設の貸与、地方公共団体管理の港湾、空港の使用に関する民間会社の協力となっているんですね。  周辺事態法では地方自治体や民間の協力となっているわけですが、武力攻撃事態法案では、米軍自衛隊への支援措置というのは地方自治体や指定公共機関の責務とされています。  そこで伺いたいんですが、武力攻撃事態法の対処措置には、この周辺事態法で示されている協力項目、これがすべて含まれるんでしょうか。あるいは、これらの項目以外に考えていることがおありなのでしょうか。その点について伺いたいと思います。
  82. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは先ほど一部申し上げましたけれども、この武力攻撃事態等におきまして地方公共団体がどういう役割を果たすのかということについては、これは実情を考慮しながら具体的に検討してまいると、そういうことでございます。
  83. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 こういう大事な問題を今後検討する、先送りというのは全く無責任だと思うんですね。  今回の法案で自治体などに米軍自衛隊への支援措置が義務付けられる、そういう枠組みが作られるわけですね。ところが、その内容も項目も輪郭すらも示されない。だから、ほとんどの知事が説明不十分、一番肝心の問題が示されていない、そういうことで政府説明に不信感を表明しているんじゃありませんか。  官房長官、そこで米軍自衛隊支援法の内容だとか項目、それを明らかにすべきだと思うんですが、再度どうですか。
  84. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) その具体的なことについてはこれから、先ほど申しましたように、検討してまいる、こういうことでございます。この今の御審議いただいている対処措置の具体のことにつきまして、その内容、実施手続などについて、これは定めるものではないんです。そういうことについてはそれぞれの法令で規定すると、こういう考え方をしております。
  85. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 委員長にちょっとお願いをしたいんですが、地方自治体や国民の不安にこたえない、こういう政府の無責任な態度では、私は何度やり取りしても、この参議院の特別委員会としてちゃんと責任が持てる審議にならないと思うんですね。衆議院では委員会の求めに応じて国民保護法制の輪郭が出されました。  私は、当委員会としても、政府に対して、米軍自衛隊に対する自治体の支援措置内容、項目等を明らかにした資料を提出させるように委員会として求めてほしい、委員長にそのお取り計らいをお願いしたい、そう思います。
  86. 阿部正俊

    ○理事(阿部正俊君) 追って、理事会で協議させていただきます。
  87. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今回のその自衛隊法の改正案ですね、新たな自衛隊支援措置が組み込まれています。現行自衛隊法では、防衛出動が命令された段階において、防衛庁長官の要請に基づいて都道府県知事は、病院などの施設の管理、土地、家屋、物資の使用、物資の保管命令、収用、医療、土木建築、輸送業者への従事命令を行うことができるという規定になっています。これはあくまで日本武力攻撃を受けた段階での措置でございます。  ところが、今回の自衛隊法の改正案では、日本武力攻撃を受けていない段階、つまり予測事態から、防衛庁長官は、自衛隊の部隊を展開することが見込まれ、かつ防備をあらかじめ強化しておく必要があると認める地域に「陣地その他の防御のための施設を構築する措置を命ずることができる。」、そして、展開予定地域内において土地を使用することができるという規定を新たに盛り込みました。  そこで伺いますけれども、予測段階で展開予定地に陣地その他の防御施設を構築するという、陣地とは何でしょうか。その他の防御施設とはどういう施設を言うのでしょうか。例えばヘリポートや飛行場、待避ごうなども造られるんでしょうか。ミサイルの発射台や武器、戦車の保管庫、これはどうなんでしょうか。
  88. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 防御施設とは何かというお尋ねでございます。  陣地その他防御のための施設とは何かと、こう申しますと、戦闘行動に直接必要となる施設及びこれと一体となって使用される施設のことを申します。  といっても、何のことだかよく分かりませんで、具体的には何かといいますと、各種火器用の掩体ですね。掩体というのは、それを何というかな、シェルターのようなものでございます。掩体等、戦闘行動のために直接必要となる陣地、及びそれと一体となって戦闘行動のため使用される施設である障害物というのは、鉄条網でありますとか対戦車ごう、穴ですね、そういうようなもの、あるいは指揮所、監視所などの防御のための施設というのが含まれるということでございまして、そういうような防御のために必要なもの、そのための施設というふうな御理解をいただければと思っております。ですから、掩体でありますとか指揮所でありますとか鉄条網でありますとか戦車ごう、穴でありますとか、そういうものをお考えいただければよろしいかと存じます。
  89. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 自衛隊の施設で作れないものはあるんでしょうか。
  90. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 作れないもの、ちょっと御質問の趣旨が分かりませんが、防御のための施設ではないものというものはこれでは作れないということになるだろうと思います。
  91. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 防御施設を構築するために使用する土地、これはどういう土地が対象になるのでしょうか。国内でこの規定で使用できない土地があるのでしょうか。
  92. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは非常に、武力攻撃予測事態というような状況におきまして土地を使用するわけでございます。したがいまして、特定の場所、逆に申し上げれば、どこでもいいというわけではなくて、ほかの土地では代替不可能というような場所ということに相なるだろうと思っております。それは、代替可能な場所もあるのかもしれませんけれども、基本的には、当たり前の話ですが、我が方にとって防御しやすく相手にとって攻めにくい、そういう場所で、この場所というふうにかなり特定される形になるだろうと思っております。  こんな場所は絶対に使えないということは何かということをおっしゃられますと、それはもう、何というんでしょうか、そういう場合に使ってはいけない土地、ほかに目的がある土地。しかし、考えてみますと、そういうような事態において民間の方々、つまり戦闘が行われることが予測される地域でございますから、そこに民間人の方々がおいでになるということ自体は本来想定をしておるものではございません。そこからは民間人の方は速やかに待避をしていただいて、安全な状況の地域に移っていただくということをこの地域は予想しておるわけでございます。
  93. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 家屋がある土地は使用しないんじゃないんですか。家屋がある土地。
  94. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは基本的、失礼、家屋がある土地ではなくて、空き地というものを想定をしておるわけでございます。
  95. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 つまり、家屋がある土地以外ですね。田畑であれ、あるいは民間の営業用地であれ、あるいは自然環境保全地域であれ、どこでも例外なくすべての土地を一方的に使用できるということになります。  次に、土地のその使用の手続についてなんですが、法案によると、予測事態における土地の使用は公用令書を交付するだけで可能となります。現在の法体系の下で、災害発生時以外に国民の財産である土地を土地収用法などの手続を経ないで一方的に使用できる規定は極めて異例であります。例外的にあるのは、日本有事の際の自衛隊法にあるだけです。それはなぜかというと、憲法二十九条で国民の財産権が、これを侵してはならないと保障されているからなんですね。国民の、その公共のために国民の土地を使用しようとする場合には当然適正な手続が必要であって、そのために土地収用法があります。  通常時における自衛隊の基地、施設のための土地使用、これは土地収用法の手続に従わなければならない、これが現行法の体系だと思いますが、国土交通省、いかがですか。
  96. 中山啓一

    政府参考人(中山啓一君) お答えいたします。  土地収用法におきましては、土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、第三条各号に掲げる事業として幾つかが規定されております。一般論として、通常の場合、御指摘自衛隊の施設の設置が三条の各号の一に該当し、このために土地を使用する場合であって、任意の補償交渉により解決できないようなときには土地収用法の手続によることとなると解されております。
  97. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 そうすると、自衛隊法の改正案百三条の二では、なぜ武力攻撃も受けていない予測段階で土地収用法の手続を経ないで一片の公用令書だけで自衛隊の陣地構築のための土地使用ができるということにしたのでしょうか。
  98. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、そういう事態においてそのような手続を取っておるいとまがないことがあるからでございます。
  99. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 つまり、武力攻撃がもう迫っているということなんだと言われるんですけれども、しかしあくまでも武力攻撃が予測される事態なわけですよね。  その予測事態とは何かというと、政府の統一見解では、その時点における国際情勢や相手国の動向、我が国への武力攻撃の意図が推測されることなどから見て、我が国に対する武力攻撃発生する可能性が高いと客観的に判断される事態としているわけですね。つまり、客観的に判断される事態ということは、あくまでも相手国の意図を推測するということなんですね。結局、政府の判断次第だということになります。  政府が予測事態だと認定すれば、現行の土地収用法の手続は停止状態になります。自衛隊法百三条の二に基づく土地使用、言ってみれば、戦時収用法とでもいうべき強制土地使用規定が動き出すことになるということではありませんか。
  100. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 政府といたしまして、その武力攻撃予測事態というものをそんなに軽々に認定できるような運用を考えておるわけではもちろんございません。  意図を推測というふうにおっしゃいましたが、その武力攻撃事態武力攻撃予測事態の相違というものはいろいろございますけれども、実際、我が国に対しての武力行使がなされたかなされないかということが大きな違いでございます。  それじゃ、単なる推測だけで武力攻撃予測事態ということになるのかといえば、それはもっと慎重に客観的な判断がなされることになると思っております。そしてまた、これは強制収用というものの概念とは異なった概念だということも委員御案内のとおりでございます。
  101. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 予測事態について大いに議論がされ、まあいろいろなことが言われているわけですけれども、その予測事態の段階で強制的な土地使用ができるということは紛れもない事実でありまして、正に土地収用法体系に風穴を空けると、憲法に保障された国民の財産権を私は侵害するものだと思います。  別の視点からちょっと伺いますが、百三条の二を新設する理由について、陣地等の防御施設の構築には相当の期間を要することから、予測段階から防御施設を構築することが必要な場合が想定される、そういう防衛庁長官答弁がありますけれども、相当の期間とはどのぐらいの期間なんでしょうか。数週間なんでしょうか、数か月なんでしょうか。
  102. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは物によります。何を展開するかということによりまして、そしてまた相手がいかなるものを持ってくると予測されるかということにおいておのずから決まるものでございますが、それは数日間の場合もあれば数週間の場合もございましょう。しかし、数か月武力攻撃予測事態が続くというようなことはなかなか想像されにくいことかと存じます。
  103. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 予測事態といっても、今の長官の御答弁のように、一体どういう期間なのかというのは分からないわけですよね。だって、武力攻撃があってから急にどんどん造る、その施設を造ったって間に合わないわけですから、かなりその予測、前から予測しなきゃいけない。その予測を一体どういうふうにするのか、判断するのかというのは、なかなかこれは大変なことですよね。  だから、日本武力攻撃を受けていない下でも相当の期間、予測事態の下で、結局、現行の土地収用法の体系ですよね、これを停止をすると。そして、強制的に土地使用ができる、収用じゃないですよ、土地使用ができる、一片の公用令書で土地使用ができるということになるのではありませんか。
  104. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 言い方によってはそういう言い方も、物事は両面ございますので、そういうけしからぬというお考えであればそういうふうな表現の仕方も、それはすべて間違っているということを申し上げるつもりはございません。  ただ、私どもがこのような規定をお願いをいたしておりますのは、まさしく委員指摘のとおり、武力攻撃事態になってそういうものを造っておって間に合うのかということでございます。  私どもは、武力攻撃予測事態から武力攻撃事態に推移しないということが一番望ましいし、そうあらねばならないと思っております。そうしますと、予測事態の段階でそのようなものを、防御施設を構築いたしまして、なお更にそういう防御の能力が高まるということによりまして、それはエスカレートされるという見方もあるのかもしれませんが、私どもの考えでは、そういうものを構築することによって武力攻撃予測事態に至らない。  そしてまた、敵、という言葉を仮に使うといたしますと、の侵害を速やかに排除をして、国民の生命、財産を守るということに重きを置いているわけでございます。個人の財産を侵害するということに重きを置いているわけではございませんし、そのことには正当な補償もいたしますが、国民の生命、財産をいかに守るか、そしてまたいかに武力攻撃事態に推移しないかということに力点を置いて私どもはお願いをいたしておるところでございます。
  105. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 長官はそういうお立場であれこれ言われるわけですけれども、結局、予測事態政府が判断すれば一片の公用令書だけで、相当の期間、日本じゅうどこの土地でも陣地のために使える、あるいは自衛隊の施設は何でも造れるということになるわけですね。そういう意味で、私はこれは国民にとって大変な中身だというふうに思います。  この予測事態で、国民の土地を強制的に使用する、あるいは使用して構築された陣地その他の防御施設、これは米軍に提供することはあるのでしょうか。
  106. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) よく委員は御案内の上でお尋ねかと思いますけれども、この今申し上げております展開予定地域とかそういうものはだれがいつ判断をするのかということでございますが、これは当然のことながら、対処基本方針に記載をするわけでございます。閣議決定を経ました後に国会の御承認をいただくということでございまして、それは軽々にそういうようなことを発動するというようなことを考えておるわけではございません。閣議決定をし、そして国会の承認を求めるということになるわけでございます。したがいまして、一片の公用令書によってというような、本当に軽々しく国民の主権を制限することができるような制度にはなっておらないということでございます。  それから、お尋ねの米軍関係でございますが、現在のところ、この法律において、この法文の実は条文からも明らかなように、これは米軍ということを想定をしておる条文ではございません。
  107. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私は、一片の公用令書だけでという前に、だからさっきから予測事態はどういうふうに判断するんですかということを言っているわけですよ。それで、予測事態というのは武力攻撃が起こってからじゃ間に合わないんでしょう。そのかなり前から準備をしなきゃいけないんじゃないですか。そうすると、そういう武力攻撃が始まっていない、いわゆる日常的な事態の中でこういう仕組みというのが動かなければ、日常というか、要するに武力事態とは違う、武力攻撃とは違う状態の中でそういうことが行われるじゃありませんかということを言っているわけで、別に違いはないわけですよ。  そこで、米軍の使用についてですけれども、これは絶対にないと断言できるのでしょうか。
  108. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) やはり武力攻撃予測事態というのはかなり非日常だと思っております。これは「内閣総理大臣の承認を得た上、」ということで七十七条の二には規定をしてございまして、この七十七条の二ということが発令されるということはそれだけのシビリアンコントロールを経た上であって、軽々に行われるわけではないということを申し上げたかったのであります。  それから、絶対にこれはあり得るかあり得ないかというお話でございますが、それは現在のところ想定をいたしておらないということでございます。
  109. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 そこで、ちょっと伺いますが、今回新設された百三条の二ですね。これは予測事態での土地使用について規定したものですけれども、現行の自衛隊法百三条には防衛出動命令時の家屋の使用、病院等の施設管理、物資の保管、収用、医療関係者などの従事命令についても規定をしています。これらについて予測段階から発動できるようにしたい、これは防衛庁自衛隊がかねてから研究をしてこられたことですけれども、今後、百三条にある土地使用以外のことについてもその予測段階からできるようにしようと考えているのではありませんか。
  110. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) どういうことを我々がやろうとしていると推測をしておられるのかちょっとよく分かりませんが、現在そのようなことは考えておりません。
  111. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今後の対処法制検討の中でも土地の使用以外は、今ずっと挙げましたけれども、家屋の使用、病院等の施設管理だとか、物資の保管、収用だとか、そういうものは絶対検討対象としないと断言されるのでしょうか。
  112. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは自衛隊に関しますことでは考えておりません。  ただ、国民保護という観点からどういう形になるのか、それは今後の国民保護法制の御議論の中でいろいろ検討されることだと考えておりますが、自衛隊に関することでは現在考えてはいないところでございます。
  113. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 結局、今日、私は自治体とこの有事法制関係ということで伺ってきたわけですけれども、あるいは国民の権利ということにもなると思いますけれども、今回の有事法案では、日本じゅうどこでもとにかく予測の段階から自衛隊、一片の公用令書とさっきから言っていますけれども、予測の段階から自衛隊の陣地を構築することができるわけですね。それはそうですよね。
  114. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) いや、それはおっしゃるとおりなんでございますが、議論といたしまして、七十七条の二、すなわち防御施設構築の措置というのは、認める地域、展開予定地域がありますときは内閣総理大臣の承認を経た上でその範囲を定めということになっておるわけでございまして、これは厳正な手続を踏んでおります。そういうような上でそういうことをやむを得ず行う場合はある。  それは誠にもってそういう武力攻撃事態にならないように、そしてまた敵の侵害を早急にできるだけ速やかに排除するようにという目的でやっておるわけでございまして、個人の私権の制限というものに力点を置いて御議論になりますとそういうようなお話になるのかもしれませんが、そういうことが起こらないようにどうするかということをよく配意をしておるわけでございます。
  115. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 さっきから言っているように、予測事態というのは政府の推測に基づく判断による、そういうものですよね。それは議論の中ではいろいろと、じゃ、日本政府にそんな予測の事態の推測はできるのかと、結局はアメリカに言われるんじゃないかなんという話もあるわけですけれども、いずれにしても、そういう予測事態ということで陣地の土地使用が一体いつから始まるのか、いつまで続くか分からない、長期になる場合もあるということですよね。だから、私は、自治体や国民が不安に思っている。御理解をと言ってもなかなか通る話じゃない。  予測事態での陣地の構築についてあらゆる事態に備えると言われるんですが、ミサイルが飛んでくるような近代戦争で、国内のあちこちに自衛隊の陣地作って、どうやって備えるということになるんでしょうかね。これは私もちょっと議論をしましたけれども、なかなか難しいという話が原局の方も言っておられましたけれども、予測事態の段階から戦時収用法とも言うべき強権を発動して自衛隊米軍の新たな陣地を構築すれば、正に戦争を呼び込む最悪な事態となるわけですね。そして、平和的な解決への道を閉ざすことになります。  今、私は最後に、ちょっと時間がなくなったので、憲法九条を持つ日本に求められているのは、そういう予測の事態でいろんなことやるんじゃなくて、平和的な解決に全力を尽くすことだというふうに思います。  今日はまだ議論が尽くされていない部分もあります。十分審議を引き続きやっていくべきだと、そして国民の疑問に答えていくべきであるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  116. 田村秀昭

    田村秀昭君 国会改革連絡会(自由党)の田村でございます。  官房長官もおられますので、集団的自衛権についてお尋ねしたいと思います、二、三。  まず、国連憲章の五十一条で個別的又は集団的自衛の固有の権利として認められており、こういうことが国連憲章に集団的自衛権が規定されているのは、独立国家と言える大切な権利だと私は思っているんですが、三十五年の安保改正、三十七年のキューバ危機、四十七年の沖縄返還など、我が国は昭和三十年代、四十年代にかけて、持っているけれども使えないというような態度を政府は取っておられますけれども、持っているけれども使えないというのは、もうちょっと分かりやすくどういうことなのか、教えていただきたいと思います。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  この件については官房長官、是非お答え願いたいんですが。
  117. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) そもそも、独立国家として自衛権を持つ、また集団的自衛権を含めて自衛権を持つということは、これはもう当然の権利だと、こういうような考え方は当然認められるものだと思います。  ただ、日本国の場合に、憲法九条の下において許容されている自衛権の行使、これは我が国を防衛するため必要最小限と、こういう範囲にとどまるべきであるというようにされておりまして、したがいまして集団的自衛権を行使するということはその範囲を超えると、こういうことなんです。要するに、憲法第九条の規定によってこのような解釈をしているということでございます。
  118. 田村秀昭

    田村秀昭君 憲法の制約によってそのようにしているということの御答弁だったように思いますけれども、三十年代、四十年代はいざ知らず、もう二十一世紀に入って脅威の質も変わってきているわけですね、ミサイル、大量破壊兵器の拡散と。そういう脅威の中で国民の生命、財産をいかにして守っていくかというような政府の重大な任務が課せられているときに、依然として、集団的自衛権は持っているけれども使えないということをいつまでもいつまでも言い続けるというのはいかがなものかと私は思います。  ミサイルが飛んできますと、それで、それは日本に向かっているのかアメリカに向かっているのか分からない、そういうときにそれを迎撃する。自分のところへ来たときだけは迎撃できるけれども、よそへ飛んでいったときは迎撃できない。そういうことは飛んでいるときは分からないわけですから、結果的には集団的自衛権ということになるかもしれないし、全然脅威の質が変わってきても、依然として内閣法制局の言うような縛りに縛られていくおつもりなのかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  119. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) この集団的自衛権の問題につきましては今までもいろいろな議論があったわけでございます。  我が国憲法九条でもって制約を受けているということについて、その分は日米安保条約でもって我が国の安全を守ると、こういう仕組みになっておるわけでございます。もちろん、いろんな議論ございまして、また時代も移り変わってきたわけでございますし、そういう中で今後どういうふうな議論がなされるかということではございます。これは、国の最高、国権の最高機関でございます国会でもって十分な議論をしていただきたいというように思っております。  政府としては、現在は、今までの憲法の解釈というものを遵守しておるということでございます。
  120. 田村秀昭

    田村秀昭君 国際社会が今、その地域地域で一致団結して問題の解決に当たろうと、そういう時代を迎えているときに、我が国のみが集団的自衛権の問題によって各国と足並みをそろえることができないようなことになれば、これは国家としても致命的な損失であると私は思いますけれども、そういう三十年代、四十年代と違った時代、新しい時代を迎えてもそういうことを検討することもしないというのはいかがなものかと私は思いますので、しつこいようですけれども、もう一度お尋ねさせていただきます。
  121. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 要するに、この我が国憲法、もう五十年以上たっているわけでございますけれども、そういう憲法の解釈についていろんな議論があって、その中で、今の考え方でやることについてはこれは大方の御理解を得られているものというふうに思っております。  今後、この解釈についてどうするかということにつきまして、これは先ほど申しましたようにいろんな議論があっていいんだろうというように思います。また、国際情勢が例えば変化するといったようなときに今のままでよろしいかどうか。これは憲法の改正の問題とも絡んでくる問題だろうというふうに思っておりますので、そういう観点からの議論も必要だろうというふうに思っております。
  122. 田村秀昭

    田村秀昭君 ミサイル防衛の担当である防衛庁長官、いかがですか。
  123. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど委員がお尋ねの、弾道ミサイルがどこへ向かっているのか分からないという状態でどうなのかということがございました。私どもといたしましては、これは法制局の答弁がございますけれども、弾道ミサイルの発射後においてこの武力攻撃我が国に対するものであることがいまだ判明していない段階での対処につきましても、我が国を目標として飛来してくる蓋然性が非常に高いというふうに判断される場合にはこれが自衛権の対象として認められることもあり得ると、こういう立場を取っております。このことをどう考えるか。いろんな議論が、法的にも、そしてまた技術的にも必要なことなのだというふうに考えております。  集団的自衛権につきましての立場は今官房長官答弁なさったとおりでございますが、これを弾道ミサイルとどのように考えるかということは私どもとしてもきちんと整理をしておかねばいけない問題だというふうに認識をいたしておるところでございます。
  124. 田村秀昭

    田村秀昭君 私は、この集団的自衛権の問題というのは、できるだけ早く憲法との関係について精査しないと、今行われている有事法制だとか周辺事態法だとか米軍の支援ということを行ったような場合にも、そういう問題で、自分たちの国を助けてくれる国への後方支援というんですか、これは弾が飛んでこないとか安全な地域だとかという意味ではなくて、一つの後方というのは職域の機能を言っているわけで、そういうことを我々が、我が国自衛隊がする場合においても、非常にこの集団的自衛権の問題というのは、すっきりしないと神学論争のようなことを繰り返していかなきゃならないということで、行く人たちにとってもきちっとして行かしてもらいたいという希望は非常に従来から強いと私は思っておりますので、どうぞよろしく御検討いただきたいというふうに思います。  それから、次に自衛隊の海外における活動について、二、三お尋ねをさせていただきます。  今、インド洋で海上自衛隊が燃料補給を各国の艦船に対して行っているんですが、これは行うとか行わないとかいうことではなくて、実際に行っている隊員というのはもう大変なわけですね。炎天下の場合には、海水が三十七度以上になってくると、もう甲板の上で卵焼きが焼けるような、そういう状況で、もう疲労の、過労というか、もう疲労度が非常に高い。それで、この前、二名の自衛官が過労のために派遣先で亡くなっているわけですが。  そういう現実に行っている人たちの立場に立っては余り議論がなされていない。行くべきだとか行くべきじゃないとか、そういうことに焦点が当てられているわけですが、非常な自衛官に課せられた任務は大変なものだということを私は思っているわけですけれども、是非、この自衛官の処遇問題について、厳しい環境下での任務遂行でございますので、特に艦船というのは寄港しないと手当が付かない、海上で勤務している場合には勤務手当というのはなかなか付かないような現状でございますので、是非、これは防衛庁長官、お考えになっておられると思いますけれども、今現在どういうふうな隊員に対する処遇が行われているのか、お尋ねさせていただきます。
  125. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 失礼いたしました。  先生から、この点は参議院外交防衛委員会におきましても御指摘をいただきました。また、与党の議員からも多く指摘がなされ、また現場からも御意見があるところでございます。  そういうのを踏まえまして、先般、この手当の改正は行わせていただきました。詳細につきましてはまた先生の方に御説明に上がらせていただきたいと思いますが、いろいろと隊員に対します御配慮をいただきまして、ありがとうございます。
  126. 田村秀昭

    田村秀昭君 我が国国際貢献に関して、今、イラクへの復興支援ということが話題に上っておるわけですけれども、特に派遣される自衛官がいかにすれば現地で効率的かつ安全に活動できるか、イラクですね。それで、自衛官の疲労度に関するいろんな調査も是非していただきたいと思います。  そういうことについて、今、イラクの復興支援ということについての自衛隊の派遣ということについては、今どういう状態になっておるのか、ちょっとお聞かせください。
  127. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) イラクに対する支援の在り方と申しますか、具体的な方策につきましては、今様々なことを考えております。例えば医療支援とか、それもエジプトとかヨルダンとか巻き込んだ形で、アラブの国々と一緒になって支援をしようというようなことをやっております。  自衛隊の活動ということになりますと、そういう場面があるのかどうかということを含めまして今いろいろ調査いたしております。具体的には、例えばイラク国内でない、国外において中東地域の輸送業務の支援をする必要はあるかどうか、またその場合にどういうような体制が必要かといったようなことも今調査を始めたところでございまして、現行法の中ででき得る限りの支援はしていきたいと、こういうことになります。  イラク国内のことになりますと、これはやはり新しい法律を作らなければいけないというようなことがございます。新しい法律を作ってどんなニーズがあるのか、そういうようなことも含めまして今いろいろと調査をしている段階でございます。
  128. 田村秀昭

    田村秀昭君 官房長官、このイラクの復興支援ということについては、自衛隊関係は大体いつごろから派遣される御予定なのか。新法との関係も、法律の制定も必要なのか。
  129. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) ただいま申し上げました例えばイラク国外における、周辺国における輸送活動とか、そういったようなことにつきまして、これは現行法でできますので、それはそういうニーズが本当にある、あるということになれば積極的に取り組んでいこうと、こういうように考えております。それ以上のことにつきましては、これはまだこれから検討してまいりたいというように考えているところでございます。  そういう意味におきまして、いつということを申し上げるのは、イラク国内治安状況とか、いろんな状況を判断した上でのことでございます。
  130. 田村秀昭

    田村秀昭君 その際に是非考えていただきたいのは、武器使用のことであります。  武器の使用の基準を国際基準に照らして遜色のない、特に治安の余りよくないところでありますので、今までのPKOとかそういうのとはちょっと異なりますので、その武器使用基準を国際基準にきちっとしてから行かしてもらいたいというふうに私は思うんですが、いかが。官房長官
  131. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 自衛隊が海外で平和的ないろいろな支援活動をするという際に、武器をどういう限度まで持つべきかといったようなことについての議論というのは、これは国会でもさんざんしていただいておるわけでございまして、今後のそういう武器の、装備の在り方、そういったようなことにつきましても、これも国会でいろいろな議論をしていただかなければいけないだろうというように思っております。これは自衛の問題とか、いろいろ考え方がございますので、そういうものを勘案した上で判断すべきものと考えておりまして、今、政府の方として具体的にどうこうということを考えているわけではございません。  御意見は御意見として承っておきます。
  132. 田村秀昭

    田村秀昭君 自衛隊の派遣される場合には是非、国際的な基準に照らして、活躍できるように是非お願いしたいということを強く要望して、私、質問を終わらせていただきます。
  133. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党・護憲連合を代表いたしまして、質問させていただきます。  まず、有事法制有事という用語は、一般には、非常に意味内容があいまいで分かりにくいと言われております。今回提案されている有事関連三法案は、武力攻撃事態法を主眼にしていますが、その定義からしますと有事とは正に戦時にほかならないと思われますが、どうして戦時法制と言わずに有事法制としたのか、御説明ください。
  134. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 国家緊急事態に対する対処というものは、独立国家として当然の、また最も重要な責務であるというように考えております。ですから、有事法制国家存立の基本として当然整備されていなければならないものというような考え方をしております。  この有事関連法案は、もとより憲法の下でもってあくまでも外部からの我が国に対する武力攻撃時に的確に対応できる態勢を構築する、こういうことを目的として整備するものでございます。また、法案では基本理念として憲法に定める基本的人権の尊重を明記しておりますし、今後の事態対処法制整備とかまた武力攻撃事態への対処は当然のことながらこの基本理念にのっとって憲法の範囲内で実施されると、こういうことでございます。  今、戦時立法、戦時法制と、こういうような御指摘ございましたけれども、この戦時立法、これ具体的にどういうものか明確なものはございません。日本憲法の下における有事関連法案は、戦前の国家総動員法とかそれから兵役法というのがございましたけれども、そういうものとは全く異なるものでございます。
  135. 大田昌秀

    大田昌秀君 去る第二次大戦において、我が国には三百余りの有事、戦時法制があったと言われておりますが、戦時中のこれらの法制と今回提起されております有事法制と本質的に違う点がございますか。違う点があるとすれば、具体的にどういう点が違いますか。
  136. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 戦前の有事法制というのは、要は国家の総力をすべて戦争に向けて結集をするのだということだったと思います。国の総力を最も有効に発揮し得るよう人的、物的資源を統制、運用する、そして治安を維持するということでございまして、そこには国民の保護という概念がほとんど見られなかったと私は思っております。  しかし、今回の有事法制というのは、一つは自衛隊の行動を円滑にということもございます。もう一方で、いかにして国民を保護するか、迅速に避難をし安全な場所へ逃れていただくかということを中心に考えておるわけでございます。もちろん国家総動員法というものもございません。戒厳令とかそういうものもございません。私も戦前の有事法制をほとんど目を通してみましたが、今回のものは全くそれとは異なったものだという認識を持っておるところでございます。
  137. 大田昌秀

    大田昌秀君 去る太平洋戦争で日本が無条件降伏したときの国の内外の残存兵力及び総予算に占める軍事費の割合について正確な数字を教えてください。
  138. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お答え申し上げます。  八月十五日の、十五日現在、昭和二十年、残存兵員数は陸軍五百四十七万人、海軍二百四十二万人となっております。昭和十六年から二十年まで軍事費は千六百六十億円が総計でございます。一般会計、特別会計、臨時軍事費の合計は四千七百五十五億円でございまして、軍事費の割合は三五%というふうに承知をいたしております。
  139. 大田昌秀

    大田昌秀君 多数の兵力に加え、巨額の予算を使った去る大戦で施行された三百余りの戦時法制によって国民の生命、財産が守られたと認識されておられますか。
  140. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは冒頭申し上げましたように、国民を守るという意識にかなり欠けた、全くなかったとは申しません、防空法なぞはその一部だったと思っております。ただ、そのことによって、戦前にあれだけあった有事法制によって国民の生命、財産は守れなかった。それは有事法制に起因する部分もそれはございます。国民を保護する法制がなかったということがさきの大戦の大きな反省点だと思っています。  しかし、それ以外にもやはり外交の誤りでありますとか、あるいは戦争の見積りの誤りでありますとか、あるいは統帥権、陸海軍の現役大臣制、多くの要因が重なってあのような惨禍が生じたものというふうに承知をいたしております。
  141. 大田昌秀

    大田昌秀君 私は、今回の有事法制問題を考える場合に、去る沖縄戦の体験と申しますか教訓と申しますか、これを参考にするのが非常に大事だというふうに考えております。  政府は、去る太平洋戦争で住民を巻き込んだ沖縄戦の性格をどのように認識されていますか。とりわけ、戦時下の沖縄で戦時法制がどのように一般住民の人権や財産権を守ることができたかについて、もしできたとすれば、具体的な例を挙げてお示しください。
  142. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) さきの大戦におきまして、沖縄は国内で唯一の住民を巻き込んだ地上戦を展開したと、こういうことでもって、これはもう本当に多数の県民の尊い命が犠牲となり、そして筆舌に尽くし難いような苦難を経験された、そういう認識をいたしております。  こういうような沖縄戦の実態を十分把握していくということは、これは大変重要なことだと認識しておりまして、これまでも、国会図書館、それから沖縄県などの協力を得まして、関係する公文書等の収集整理を行うというような、その実態の把握に努めてまいっております。  また、昨年から都内に沖縄戦関係資料閲覧室を開設いたしました。そこで一般にそういう資料を公開し、多くの人が沖縄戦の実態に触れるということができるように努めておるということでございます。  それから、沖縄戦におきまして戦時立法がどういう機能を果たしたのかということは、今後、沖縄戦の実態を考える中で明らかにされるべき事柄と考えております。しかし、当時の戦争は総力戦でございまして、国家の資源を挙げて行ったというものでございます。単に法制の機能のみを取り上げて論ずるのは困難ではなかろうかというように考えておるところでございます。
  143. 大田昌秀

    大田昌秀君 政府が提案されているいわゆる有事法制は、私から見ますと、憲法規定及び自衛隊法三十九条、さらには昭和二十九年五月三十一日に本参議院で採択された自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議に違反すると思いますが、政府はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  144. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 我が国独立国である以上、日本憲法は主権国家としての固有の自衛権、これを否定しているわけではありません。有事関連法案は、こういうような憲法の下で、あくまでも外部からの我が国に対する武力攻撃等に的確に対応するためにその態勢を構築するということを目的として整備されるものでございます。  また、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するという、そういういわゆる海外派兵というものは、一般にこれは自衛のための必要最小限度を超えるということでございまして、憲法上許されないものであるということはもう委員よく御案内のとおりでございます。  したがいまして、自衛隊員が行う宣誓の中で憲法の遵守を誓うことや、参議院におきます自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議との関係で、有事関連法案は何ら問題となるものではないというように考えております。  また、今後の事態対処法制整備及び武力攻撃事態等への対処につきましても、憲法の範囲内で行うということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  145. 大田昌秀

    大田昌秀君 日本は、現在アメリカに次いで世界第二位の軍事費大国と言われています。  そこで伺いますが、現在自衛隊が保有している装備を含め軍事力と、去る大戦中の軍事力を比べてみて、実情はどうなっていますか。
  146. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは全く時代背景が違いますので、どういう基準で比較をしてみせろという御指示があれば、それに従ってできる限りのことはいたしてみようと思います。  例えば、船の隻数でありますとか総トン数だけでは、これは全く意味がございません。これは、例えば同じ名前でも、重巡洋艦「妙高」とイージス艦「みょうこう」というのは全く違う、大きさは似たようなものであったか、重巡の方が大きかったと思いますが、これも違うものですし、装備も違います。金額ベースでいくのか、予算ベースでいくのか、何か基準をお示しをいただければお答えができるような資料を作りたいと思いますが、世界第二位の軍事費ということは、為替にもよります。  しかし、昨日もお答えを申し上げましたが、私どもが持っておりますのは、海にいたしましても空にいたしましても陸にいたしましても、これは守るという点におきましては、これは確かに世界最高水準の性能を有しております。しかしながら、攻める、敵を攻めるという意味におきましては、これが決して軍事大国というようなものに、名に値しない、そういうようなものではないということは委員よく御案内のとおりでございます。
  147. 大田昌秀

    大田昌秀君 沖縄では、去る太平洋戦争中、昭和十八年から二十年にかけて、旧軍の飛行場の建設と拡張のために、旧日本軍によって父祖伝来の土地などが接収されました。しかし、それらの跡地は、戦後、米軍の管理下に置かれたり、帰属があいまいにされたまま復帰時には国有地に編入されるなどしました。その結果、戦後半世紀以上もたった現在も、地主の所有権の回復などの戦後処理はなされておりません。  沖縄県による昭和五十三年の調査では、旧軍飛行場などの軍用地の当該地主が二千二十四人で、その土地の総面積は約四百二十八万五千三百九十九坪に上ることが分かっています。また、地代や補償金を受け取っていない地主は全体の過半数を超えています。  旧軍用地の権利回復の問題について、政府はどう対処をなさるおつもりですか。また、戦時にはこのように軍が強制的に土地を取り上げる事態が起きるのは避け難いと思いますが、本法案において、そのような場合、補償措置をどう具体的に考えているのか、お示しください。
  148. 楠壽晴

    政府参考人(楠壽晴君) 沖縄における旧軍買収地につきましては、昭和四十八年以降、当時の大蔵省におきまして、関係省庁協力を得て調査を実施し、その結果、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になった旨の報告書を取りまとめ、昭和五十三年に国会へ報告されております。  また、旧軍買収地に関しまして、旧地主が提起されました土地所有権確認等請求訴訟に対する旧嘉手納飛行場についての最高裁判決、平成七年でございます、及び旧那覇飛行場についての福岡高裁判決、昭和五十六年でございます、におきましても、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったとの国の主張が認められ、国の所有権が確定しております。  以上申し上げましたとおり、私法上の売買により正当な手続を経まして国有財産になったものでありますことから、補償措置は講じていないところでございます。
  149. 大田昌秀

    大田昌秀君 沖縄新法の方に、この問題について地主たちから強い要請がございまして、戦後処理としてこれから検討していくというふうになっているわけなんですが、今の御答弁ですと、もうこれは解決済みで、今後何らかの働き掛けをするということはないというお考えですか。
  150. 楠壽晴

    政府参考人(楠壽晴君) 今言われましたとおり、平成十四年七月に決定いたされました沖縄振興計画には、「沖縄における」「旧軍飛行場用地など戦後処理等の諸問題に引き続き取り組む。」との記述がございます。私どもといたしましては、沖縄における旧軍買収地は沖縄の振興にとって貴重な財産でございますので、沖縄振興特別措置法を始め関係法令にのっとり、今後とも地元の要望を十分聞きながら有効な活用を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  151. 大田昌秀

    大田昌秀君 去る沖縄戦では非戦闘員の老人や子供、女性たちが、スパイの汚名を着せられ友軍によって殺害された人たちが少なからずいました。今回の有事関連三法案にそれらのおぞましい事態発生するのを防止する何らかの具体的な規定がありますか。  また、今後、有事法令、有事関連法案が施行されて一年以内に整備されると言われるいわゆる国民保護法制には、明示的に非戦闘員の保護規定というのを設ける考えはありませんか。
  152. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 非戦闘員に対する殺害行為などは、これは刑法もございます。そういうような法、国内法に抵触する行為でございます。ですから、そういうことは基本的にできないということですね。武力攻撃事態等においても、このような行為は当然処罰されるものでありまして、御指摘のような行為はあってはならないことであります。  武力攻撃事態対処法三条四項におきまして、日本憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないということを規定をいたしておりまして、武力攻撃事態等におきましても国民の人権が守られるべきことは当然であると考えております。  なお、国民の保護に関する法制では非戦闘員を保護する旨の規定を明示的に設けることは考えておりませんけれども、そもそもこの法制国民全体の保護を目的とする、そういう法制なんです、そもそもが。ですから、これによりまして非戦闘員の保護が図られるものであると、この法制全体でもって国民の保護をするものである、こういうふうに考えております。
  153. 大田昌秀

    大田昌秀君 ありがとうございました。  終わります。
  154. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  二十世紀は戦争の世紀だと言えるほどの時代でございましたし、さきの大戦では日本国、広島、長崎では二度も原爆を体験いたしました。私も広島生まれでございます。被爆二世でございます。二十一世紀を平和の世紀にしようという公明党の思い、また日本国の思い、また多くの人たちの思い、これは強いものがあると思います。  だが、現実には二十一世紀の初頭、二〇〇一年九月十一日、ニューヨークでのテロ、また国際間、民族間の紛争、イラク戦争と、戦争というものが連綿と続いておる。ある意味では戦争は人類の宿命かなと思えるぐらいの現実でございます。戦争とか核というものは絶対悪でございますし、最大の人間破壊、また環境破壊でもございます。ならば、この宿命、転換しなければならないと思います。  イギリスの歴史家トインビー博士は、戦争とは外交の失敗に対する報いであるというふうに言われております。かみしめるべき言葉だと思います。戦争とは外交の失敗に対する報いであると。ということならば、外交の重要性はいや増して大きいと思いますし、私、周辺事態法のときにも質問させていただきましたけれども、最初に北朝鮮の核問題について質問させていただこうと思います。  北朝鮮、今核問題、大きなテーマでございます。四月二十三日、三か国協議で複数の核兵器の保有に言及したと、使用済核燃料の再処理も間もなく終了するというふうに述べたと。ラムズフェルド米国長官も、一個から三個の核兵器を保有している、五、六個の核兵器を保有することになるというふうに言っております。米中央情報局、CIAでも、北朝鮮の核開発にかかわってきた外国人学者に聴取したところ、北朝鮮が二、三年以内に数百の核爆弾を製造する可能性があるとの情報を得たと伝えております。  こういうことが事実だとすると、我が国の安全保障にとってゆゆしき事態だと思いますので、川口外相、現在北朝鮮の核保有に対してどういう認識を持っておるか、お伺いしたいと思います。
  155. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 四月の二十三日に北京でございましたアメリカ、中国、そして北朝鮮の会談のときに、北朝鮮が核を保有しているという発言をしたということがパウエル長官が上院で公聴会で証言をしたときに出ておりますけれども米国は今まで北朝鮮が一個あるいは二個程度の核兵器を持っている可能性があるという評価はずっと行ってきております。  それで、我が国といたしましては、この点について、核の保有があるともないとも、いずれにしてもまだ確認をする段階には至っておりません。  ただ、政府といたしまして、北朝鮮側がそういう発言をしたということにつきましては、この発言自体、あるいは米側の評価、これについての評価ですが、これを重視して深刻に受け止めておりまして、北朝鮮が核兵器を保有している可能性、これは廃棄を、これは排除されないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、北朝鮮の核問題を平和的に外交的に解決をするという基本方針の下で、米韓両国と連携を緊密にいたしまして対処をしていく方針でございます。
  156. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは、一九九九年の周辺事態法の質問のときにもありましたけれども、あの当時ですら、北朝鮮の目下の目標は核をミサイルに搭載する小型化の技術であるというふうにありました。連綿とこういう情報相次ぐ中で、アメリカの情報中心ではございますけれども外交の中でこの問題に対しても今後鋭意取り組んでいただきたいと思います。  この四月二十三日以後、五月二十三日、ブッシュ大統領日米首脳会談を小泉総理とされまして、そこの中で、瀬戸際外交をエスカレート北朝鮮がすると、経済制裁を含む強硬措置も辞さないという立場を鮮明にされております。経済制裁を含む毅然たる対応ということで、日米韓が対話と圧力の両面から北朝鮮に核開発の放棄を迫ると、こういうことでございます。  周辺事態法のときは対話と抑止という言葉がよく使われておりまして、抑止と圧力の違いは何だろうかなというふうに思いますけれども、これは防衛庁長官なり官房長官、もし、このときの抑止と今回の圧力、どう違うかということがお答えいただけるならばお答えいただければと思いますが。外務大臣でも。
  157. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 抑止と圧力の違いということでございますけれども、いずれにしても、両方とも、我が国が持っている外交目的、これが実現をするように何らかの働き掛けを行う、あるいは、ということである、そういう意味を持つということであると私は考えております。  圧力という言葉がかなり重い響きを持ってしまうかもしれませんけれども、基本的に、外交ということをやっていくときに、これは、今までも我が国は幾つかそういうことをやってきておりますけれども、例えば今回の北朝鮮のNPT脱退に際しましては、これはIAEAの場で議論をし、国連の安保理にこれを送付をするということをやっておりまして、そういった力、それをもって我が国外交目的を達しようと、そういうことであるかと思います。
  158. 福本潤一

    ○福本潤一君 北朝鮮、微妙な段階でございますし、外交の失敗による戦争ということのないような今大きな外交の働き掛け、必要だと思います。  今、日米、米韓、また米韓が、米韓、日韓、並行して今、外交努力をしておられるようでございますが、今後、エビアン・サミットで、盧武鉉韓国大統領訪日によって日韓首脳会談で、北朝鮮に圧力を加え、国際的な対話を引き出して核問題の平和的解決を道筋を付ける方策、これが模索されていくんだろうと思います。  川口外相、日米首脳会談と今後の一連の外交日程を踏まえまして、対北朝鮮政策、これの基本方針、大きく投げさせていただきたいと思います。
  159. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮の核開発問題につきましては、今般、先般行われました日米首脳会談におきまして、核兵器開発計画は認められない、そして日米韓で連携をして問題の平和的な解決のために真剣かつ毅然として取り組むということが確認をされたわけでございます。  エビアン・サミットにおきましては、この会談も踏まえまして、北朝鮮の核開発問題の平和的、外交的な解決のために国際社会が一致して取り組んでいくことが重要である、そしてG8各国理解協力を得まして、北朝鮮に対してこの核問題に対して責任ある行動を求めるという明確なメッセージを出す必要があると思います。  これにつきましては、先般、G8の外務大臣会合でも同じような議論をいたしまして、同じようなメッセージを発しました。また、核の問題もさることながら、拉致問題、これにつきましても外相会談では議論を皆さんにしていただき、この問題についての各国理解、そして協力を求めたわけでございまして、首脳会談でも同じような話合いがなされることとなると考えております。
  160. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう、何か対話と圧力というものを基本として北朝鮮政策取っていかれると思います。あめとむちとかいろいろ言葉はございますけれども、この圧力というものをどういう形で今後示していく流れになるのかというのをお伺いしたいと思いますが、日朝間を往来しているマンギョンボン号、万景峰号と言った方が分かりやすいですけれども、これの乗組員全員の上陸禁止を継続するとかいろいろ私なりに考えはできますけれども外務省として北朝鮮に厳しい姿勢を示す、この実効ある規制強化策、これを示していただければと思います。
  161. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 圧力という言葉が聞く人の心の中でいろいろなものを意味するかもしれませんけれども、まずその経済制裁ということをお考えでいらっしゃいましたら、これは今、問題を平和的に外交的に解決をしようという努力が行われているその中でございますので、この時点では北朝鮮の最近の一連の動きを受けて経済制裁を行うということを表明している国は今ないということでございますし、我が国としても北朝鮮に対して経済制裁を行うということは今の段階では考えておりません。  そして今後、事態の推移、これはいろいろあり得るかもしれませんが、この事態の推移いかんで何らかの措置を取る必要があるという判断があった場合、この場合は国際社会で連携をして慎重に判断をしていくということでございますけれども、そういう必要があるという判断をされた場合には、これは政府の中で検討をいたしまして、現行法令の中で可能な措置を適切に実施をしていくという考えでおります。  それから、これは北朝鮮との間だけではなくてほかのどの国にも適用される話でございますけれども、不法行為、例えば麻薬ですとかそれから大量破壊兵器の関連の物資、技術、違法な取引を厳密に厳格に取り締まっていくということは当然でございまして、この点については、外務省としては関係の省庁と引き続き緊密に連携をいたしまして、このような取引の取締りに努めていく所存でございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後、米国、韓国と緊密に連携を取りまして、そしてまた中国やロシアといった関係の国々とも、あるいは関係国際機関とも協力をいたしまして、引き続き外交的な努力を行っていく、努力に傾注をするという考え方でおりまして、北朝鮮が国際社会の責任ある一員として行動をするように、この点について引き続き求めていく考えでおります。
  162. 福本潤一

    ○福本潤一君 核開発問題、ミサイル発射の問題、拡散の問題、こういう問題は多国間外交で進む状況もあるかと思いますが、先ほどG8でも触れられたと言われた日本人拉致問題、これはなかなか多国間外交では難しいテーマであろうかなと思います。中国、私もAPPFでこれを議題に取り上げるようにということを言いましたら、大変な反対をしてまいりました。  ですので、この問題、今後、鋭意進めていかれると思いますけれども、ここの段階で、ブッシュ大統領日米首脳会談で、北朝鮮に拉致された日本人の行方がすべて完全に解明されるまで米国日本と連帯するという頼もしい発言がございました。  ですので、この問題、エビアン・サミットの中でも触れられていくと思いますけれども、具体的に議長総括という形で、主催国が議長をするようでございますが、これが言及されるような動きになるのか、これ、そういう情報もございますけれども、現状認識お伺いしたいと思います。
  163. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 議長総括は、議長国であるフランスが会議での議論状況、これを踏まえましてまとめるといったものでございますから、その会議の前に、今の時点でその内容がこうあるということを申し上げるのは非常にできないわけでございますけれども、G8の外相会談でも話がありましたように、この拉致の問題についても、これはほかの国々にも重大な関心事項でございまして、先ほども申しましたように、エビアン・サミットでも当然議論になるというふうに考えております。  日本としては、この拉致問題を取り上げて、そしてG8の各国理解協力をサミットにおいても求めたいと考えております。
  164. 福本潤一

    ○福本潤一君 官房長官、お忙しい中、せっかく来ていただいております。  この核開発問題、拉致問題、これが解決しなくして日朝国交正常化はないという方針、これで貫いていかれていると思います。官邸がこの問題に対する努力、私も注目してまいりますが、この拉致問題の解決、難しいテーマでございますけれども福田官房長官の決意を改めてお伺いしておきたいと思います。
  165. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 国交正常化というのは、拉致問題の解決なくしてはこれはあり得ないというように思います。そういう考え方に基づき、これまで我が国政府も最大限の努力をしてきた。ただいまの、川口外務大臣も、国際場裏においていろいろ働き掛けをしてまいったということであります。それ以外にも二国関係、二国間関係というような場におきましてもこういうような問題提起をし、そして、この問題については極めて非人道的であり、また、かつ国家に対する脅威というようなことでもって重大に考えるということについての国際間の認識の共有というものはできているんではないかと、こういうふうに思っております。  今後、あらゆる機会においてこの問題の重要性を指摘をしつつ、この問題に対して変わらぬ姿勢でもって解決に向けて努力してまいりたい、このように思っているところです。
  166. 福本潤一

    ○福本潤一君 昨年の十月にクアラルンプールで、ある意味では北朝鮮に疑問点ぶつけて、それ以後断絶状態。回答、具体的に寄せられているのかということと、今後、第二次調査団を北朝鮮に派遣するというような考えはないのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  167. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 昨年十月の日朝国交正常化交渉におきまして、我が国から北朝鮮側に対しまして拉致問題に関する照会事項を手交して速やかな回答を求めましたけれども、現時点でこれに対する北朝鮮からの回答はございません。政府は、何度も北朝鮮側に対しこの件についての回答を求めてきておりますが、この働き掛けというのは今後も引き続き続けてまいります。  現在、また、そのために拉致問題解決という、そういう観点から第二次調査団を出すとかいうふうなことも言われるんですけれども、これはそういうような状況に今ございません。引き続き、北朝鮮に対する直接間接の働き掛け、また国際場裏における訴え掛けを通じた問題解決に努めていくということであります。  また同時に、併せて直接的にこの問題について強い働き掛けを、今、これまで以上の強い働き掛けもしていかなければならないだろうと、こういうふうにも思っております。
  168. 福本潤一

    ○福本潤一君 官房長官、結構でございます。  外務大臣にもお伺いしておきたいんですけれども、今、日本に拉致被害者の方五名帰られている。また、横田めぐみさん、お孫さんは現れたということでございますが、今、北朝鮮に残された御家族とこの家族、第三国で再会ということ、これについて具体的にお考えとして努力されるおつもりはないのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  169. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御家族、北朝鮮にいる御家族の方々が日本に帰ってきて、自由な環境の下で意思決定をしていただくということが必要であるということは、政府が決定をいたしたところでございまして、またそれと同時に、拉致の関係の事実関係の解明を求めておりますけれども、その方針には変化はございません。  したがいまして、第三国でというようなことは、政府としては今の時点では考えていないわけでございます。
  170. 福本潤一

    ○福本潤一君 拉致問題全体の解決が一番望ましいわけでございますが、そういう具体的な今の不条理な状態、これに対する対応も考えていただければと思います。  こういう問題だけやっておりますと、事態特の審議だということが、思いますので、私の方で具体的に、防衛庁長官おられます、その中で質問させていただきます。  衆議院で九割近くで賛成で通過したということでございますし、傘を準備すると雨が降るんだという論理の方もおられるようでございますが、有事に備えて傘、まあ有事法制整備しておくということは必要だと思います。今回、これが九割近くの賛成で通ったという中で、参議院でも様々な質問出ておりますし、私も、もうこれ以上質問するほど、重なると、少なくなっているというふうには思っております。ただ、これは重要な法案でございますので、その中で確認も入るかも分かりませんけれども質問させていただこうと思います。  防衛出動と武力行使の発動、これの要件が異なるという答弁が既にありました。そうしますと、武力行使のときの手続、これが具体的に、どういうときの手続、どういう手続になるのかと。  防衛庁長官ルール・オブ・エンゲージメントと、部隊行動基準ということで答弁されておりましたが、最終的には、そうではなくて、武力を行うかの判断は最高指揮監督を有する内閣総理大臣が行うというふうに答弁されました。  そうしますと、内閣総理大臣がこの具体的に武力行使自衛隊の発動というのを決断されるということでございますが、その判断をするときに、総理に決定権があるというときに、普通は閣議の決定があった上での総理の判断というような状態が考えられるんじゃないかと私の方は思いますが、そうすると、防衛出動の閣議の際に、自衛権行使の判断、これを総理に一任するという、そういう決定する閣議が事前に行われていないと、これ総理だけの判断でいいのかというのを改めて思います。  ですので、政府はこの点、どういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  171. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここにおきます内閣総理大臣というのは、内閣の長としての内閣総理大臣でございます。したがいまして閣議決定と、こういうお話になるわけで、武力行使を開始します点につきましての判断をどのように行うかは、今、先生お話しいただいたとおりでございます。  そうしますと、この自衛権行使に係る政府としての判断の手続をどうするのかということは、本当に先生のお話も私もきちっと考えてみて検討しなければいかぬのだろう、どういうやり方がいいのかということでございます。  武力攻撃事態には、とにかく迅速に対処しなければいけない、適切に判断をしなければいけない。そうしますと、理屈の上からは内閣総理大臣だと、内閣の長たる内閣総理大臣が判断を行うのだ、自衛権の三要件が満たされているかどうかについてもずっと内閣総理大臣がそれを行うのだということになります。法律仕組みはそうなっております。しかし、それをどのような形で運用していくのか、この検討は早急に行わなければいけない。当然、法の趣旨を逸脱をしてはならないというふうに思っております。
  172. 福本潤一

    ○福本潤一君 その自衛権発動のときの三要件というのを具体的に言われたことがこの委員会でもございますが、これ事態が継続している状態のときもこの三要件は継続して必要なのかという問題を聞いておきたいと思います。この三要件に合致しなかったらば武力行使はできないというふうに縛りが掛かるか、またこの継続の場合も必要なのか、これについての回答を、若干すき間のようになっておりますので、聞かせていただければと思います。
  173. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは日本国が、日本国が自衛権の発動としての武力の行使を行っております。その判断というのは、先ほど来申し上げておりますように、七条、自衛隊法七条によりまして、自衛隊の最高指揮監督権を有する内閣総理大臣が行うわけでございます。自衛権を発動して武力行使日本国として始めました後も、最高指揮官たる内閣総理大臣は、この三要件を満たしているかどうかということを判断し続けることになるということでございます。  当然のことでございますが、この武力の行使を行うために必要な要件を満たさない、防衛出動の必要がないという場合、これは内閣総理大臣自衛隊の撤収を命ずるということになるわけでございまして、ポイントは、これは武力行使を始めた後も内閣総理大臣はその三要件を満たしているかどうか判断し続けることになる、ここがポイントかと存じます。
  174. 福本潤一

    ○福本潤一君 この問題、いろいろなところで質疑あったようでございますが、ちょうど、外務大臣国際法上の中での判断との絡みでやはり聞かせておいていただきますけれども、これ、一般国際法上の自衛権行使の要件、これも我が国の三要件と同じだとは思いますが、日本の三要件と具体的に国際法上の三要件、同じなのかどうかというのを確認しておきたいと思います。
  175. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  一般国際法上も、自衛権とは、国家又は国民に対する外部からの急迫不正の侵害に対し、これを排除するのに他に適当な手段がない場合、当該国家が必要最小限度の実力を行使する権利であると一般的に考えられておりまして、このような考え方につきましては国によって本質的な相違があるというふうには考えておりません。
  176. 福本潤一

    ○福本潤一君 投げておった質問、若干時間の関係でできない面もありますけれども、ただ、昨日、平野議員がかなり綿密に質疑された中に、周辺事態武力攻撃事態、これが併存したときの日本対応という問題で、私もまだ理解不能のところ具体的にございますので聞きますけれども、併存したとき、そのときの日本対応はそれぞれ別個の法律に基づいて行われるということでしょうが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  177. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 基本的にそういう御理解でよろしいかと思います。  その併存するのがどういうケースかという、場合によって違いますが、共通しておりますのは日本に対する武力攻撃がないという点で共通をいたしております。ケースケースによって違いますが、基本的にはそのような御理解でよろしいかと存じます。
  178. 福本潤一

    ○福本潤一君 そうすると、我が国領域において戦闘行為や今後戦闘行為が行われる可能性が高いおそれの事態とか武力攻撃発生した事態、こういうときは周辺事態法が適用できなくなるという考え方なのか、ここのところの考え方、万全の措置を講ずる必要があると思いますので、政府はどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
  179. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 理屈からいえば、当然排他性を持つものだとは考えておりません。そういう場合もあり得る。日本に対する武力攻撃予測事態ということが起こったとき、あるいは武力攻撃事態ということが起こったときに周辺事態法というのがワークするケースというのが理屈の上からは皆無とは思いません。
  180. 福本潤一

    ○福本潤一君 じゃ、終わります。
  181. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党福島啓史郎です。  今日は、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案中心に御質問したいと思うわけでございますが、そうした武力攻撃事態等におきます場合があって、武力攻撃事態等を迅速に排除する、終結させることが肝要であるわけでございます。その手段は正にこの法案第二条第七号にありますように、一つは自衛隊による武力攻撃の排除でございます。そのために、自衛隊の能力を予想される環境の変化に即応して充実させていかなければなりません。二番目は米軍の同盟国の軍隊としての防衛協力行動であります。三番目は外交上の対応ということになるわけでございますが、以下、順次このことに関しまして質問してまいりたいと思います。  まず、防衛庁長官に対してでございますけれども、昭和三十二年に、我が国としましては初めて防衛計画制度として国防の基本方針を三十二年、定めているわけでございます。その考え方は、一つは国際連合の活動を支持し、国際間の協調を図り、世界平和の実現を期すると。二番目は、民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。今回は正にこれに該当することになるかと思います。三番目に、国力国情に応じ自衛のために必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備すると。四番目に、外部からの侵略に対しましては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処するというふうに述べているわけですが、この考え方は現在も有効かつ踏襲していると考えてよろしいかどうか、お聞きしたいと思います。
  182. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 何しろ昭和三十二年でございまして、私が生まれた年だったりするわけでございますが、自来四十六年、これが全く改定されることがなかったというのは、それなりに真実を持っていたというふうに思っております。一番から四番まで、それはそれなりに非常にいいことを言っていると思います。これについて基本的には私どもこれに沿ってやっていかねばならないと考えております。  ただ、国防の基本方針、先生今御指摘をいただきましたが、国防の基本方針があることも知らない人が実は多い。国防の基本方針があって大綱があって中期防があって、それがどういうような関係に立つのかということも整理をしながら基本的にはこの考え方を維持してまいりたいというふうに思っております。
  183. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、昭和三十二年の国防の基本方針に基づきまして、昭和五十一年に防衛計画の大綱、それから平成七年にその改定をしておるわけでございますが、その作成、改定の背景と内容を御説明していただきたいと思います。
  184. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 我が国の防衛力整備の経緯、変遷を網羅的に説明しろということで御質問でございますので、経年順に説明をいたします。  今、先生が申し上げられました国防の基本方針がベースでございまして、これは昭和二十九年の防衛庁自衛隊の発足、昭和三十一年の国防会議の発足を受けまして、我が国の国防政策の基本を定めるものとして昭和三十二年五月に国防会議、閣議で決定されたということでございます。  その後、防衛庁は、この国防の基本方針に基づきまして、国力国情に応じて必要な防衛力整備を行うと、こういう考え方の下、昭和三十三年度から五十一年までの間におきまして、一次防から四次防までという、三年ないし五年間の間に整備する主要整備等を定める防衛力整備計画を作成しまして、逐次段階的に防衛力整備を進めてきたという経緯がございます。  それで、昭和五十一年に至りまして、防衛力の整備の進め方を改めております。これは、防衛力の在り方やその具体的な整備目標を明らかにするものとしまして、防衛計画の大綱、最初の大綱を策定したものでございます。  これは、背景を申し上げますと、一次防から四次防までということでこれまでやってきてはおったわけでございますが、防衛力の整備目標がその時々の諸般の情勢や科学技術の発達等の諸条件によって変動する性格のものであったため、受け取る国民の側に、の皆様の側におきまして、我が国の防衛力がどこまで大きくなるのかといったことがございまして、政府としてこれにできる限り明確にこたえる必要があったということが一点でございます。  それから、国際情勢を見ますと、このとき我が国の周辺地域におきましては中ソ対立が継続しておりました。それから、米中関係の改善等により、東西関係の枠を超えましたアメリカ、中国、ソ連という三国間の一種の均衡関係が一層安定しておりまして、軍事力をもって現状変更を図ることは更に困難な状況になったという背景がございました。  それから、国内的には、石油ショック等によりまして、我が国経済がそれまでの高度経済、高度成長経済から軌道修正が求められまして、防衛費を大きく伸ばすことが困難な状況が生じたというものを背景としておりました。  具体的には、これはいわゆる基盤的防衛力構想と名付けられたものでございますが、防衛上必要な各種の機能を備えまして、後方支援体制を含めて、その組織及び配備において均衡の取れた体制を保有することを主眼としまして、これをもって平時において十分な警戒態勢を取り得るとともに、限定かつ小規模なまでの、侵略までの事態に有効に対処し得るものと、これを防衛力の目標としたわけでございます。
  185. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 ちょっと時間の関係で、途中でございますけれども。  要するに、防衛庁としては、時代の環境変化に応じながら計画、制度を運用してきたということだと思うんですが、しかしアメリカは四年ごとに国防計画を作っているわけでございます。あるいはフランス、これはちょっと長いんですが十五年程度の計画を持っている、韓国は五年程度ということでございます。いずれの国も防衛計画、制度というのを持っておって、それを時代の環境、国際情勢の変化に応じて改定するなどして運用を実態に合わしてきているわけでございます。  ところが、我が国の防衛計画大綱の場合、これは周期が無期限になっているわけですね。私は非常におかしいと思うわけでございます。世界の情勢の変化は早いわけでございますので、私の考え方としましては、五年ごとに十年後を目標とする防衛の基本計画を定め、期間五年ごとの防衛装備計画、中期防に当たるものでしょうけれども、そうした防衛整備の計画を作っていくというローリング方式で作成するというふうに改正すべきだと思いますが、防衛庁長官、いかがですか。
  186. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これ先生、当然御案内のとおり、無期限というわけではございませんで、この対象期間につきましては、「将来情勢に重要な変化が生じ、防衛力の在り方の見直しが必要になると予想される場合には、その時の情勢に照らして、新たに検討する」と、こう書いてあるわけでございます。しかし、これだと、きちんきちんと何年に一度ということにならぬではないか、本当にそれはもうただ書いてあるだけで惰性で漫然といくのではないかというような御懸念は当然あるところでございます。  昨年十二月、2プラス2のときにラムズフェルド国防長官と話をしたときに、今の日本の計画というのは平成七年のものです、七年前のものですというふうに申し上げましたらば、えらいびっくりされて、ロング・ロング・アゴーと、こういうことを言われたことをよく覚えておるわけでございますが、やっぱり情勢にきちんと合ったような大綱であることは必要だと思っております。  したがいまして、今私どもはこの大綱と中期防衛力整備計画の組合せで行っておるわけでございますが、これを変えるとか変えないとかいうことを私が今申し上げる立場にはおりません。これは内閣全体で決するものでございます。  しかし、今の大綱の後に何が起こったかといえば、これは能登半島沖不審船事案があった、そしてまた奄美の事案があった、テポドンが飛んだということがございます。今の大綱にも、非対称的脅威でありますとかあるいはテロ、ゲリラ、そういう記述もございますが、本当にこれでよいのかどうかという見直しは不断に我々は検証として行っていかねばならない。大綱を見直すかどうかという意味ではございませんで、検証を行うという作業は常に行わねばならないというふうに私は考えております。
  187. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 後で申し上げますけれども、私は、今やらなきゃならないことはミサイル防衛を緊急に整備するということだと思うんですね。実戦配備をすることだと思うんです。そうしますと、当然のことながら中期防なり大綱の見直しが必要になってくると思うわけでございます。今、明言はされなかったですが、ミサイル防衛の緊急的な整備も含めた検討というふうに理解してよろしいかどうか、防衛庁長官のお考えをお聞きします。
  188. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、大綱の見直しにつきまして私が云々すべき立場におりませんので、そのことは冒頭にお断りを申し上げておきたいと思っております。  これは党におきましても逐次御報告を申し上げておるところでございますが、今、防衛庁におきましては、防衛力の在り方検討というのをやっております。防衛力というのはどうあるべきなのか、そして御指摘の防衛計画の大綱、中期防を含めましてどうするかということでございますが、現段階におきましてスケジュールにのっておるわけではございません。また、検討結果の取扱い等につきましても具体的にお答えできる状況にはございません。ございませんが、防衛力の在り方検討というのは、先生が御指摘のように、まさしくMDというものをどう考えるかということでございます。これが、MDを導入いたすに際しまして、安全保障会議において、その命中の確率でありますとかあるいはお値段でありますとかと併せまして、我々の防衛力、陸海空の中でこれがどういう位置付けになるのか、それぞれにどういう影響を与えるのかという議論をいたしませんと、そもそも安保会議議論にならないというふうに考えております。  したがいまして、大綱とかそういうこととは別個に申し上げますと、私どもの防衛力の在り方の中でMDをどうするかということはまさしく最重要の課題であると考えております。
  189. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 そこで、仮に内閣として中期防あるいは大綱を見直すといったときに、従来の、今までの公共事業等はいわゆる総額計上方式はやめた、やめてきているわけでございますが、私はこういう防衛力の整備のための中期防等は総額計上が必要だと思うんですが、その点、財務省はどういうふうに考えておられますか。
  190. 牧野治郎

    政府参考人(牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  今、先生御指摘の公共事業の長期計画でございますが、これは資源配分を硬直的なものにしているとか、あるいは経済動向でございますとか財政事情に応じた弾力的な執行を妨げているとか、そういった御批判がございまして、そういうことでその計画の策定を事業量から成果に転換したわけでございます。  他方、中期防衛力整備計画の総額明示方式でございますが、これは計画期間中の防衛関係費総額、それから総予算額を明示するというものでございますが、これは昭和六十二年度予算編成に際しましてGNP一%枠、各年度の防衛関係費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないと、これを撤廃いたしたときに、その新たな歯止めとして導入されたものでございます。そういう意味で、この中期防衛力整備計画は従来の公共事業の長期計画とは異なった性格を持っているというように我々は考えております。  そういう意味で、節度ある防衛力の整備という観点から引き続き総額を明示していく必要があるだろうというように考えております。
  191. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、毎年の防衛予算を次に見ていきたいと思うわけでございますが、防衛予算の陸海空のシェア、最近の状況をお答えください。簡単にお願いしますね。
  192. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  先ほど大臣が御答弁いたしました大綱あるいは中期防の下に防衛力の整備に努めているわけでございますが、先生御承知のように、今大変厳しい財政事情の下にございますけれども、私ども各年度の予算編成に当たりましては、これまでも資源配分の重点化等に努めているところでございまして、今御質問の五か年間、したがいまして十一年度から十五年度になりますが、これの陸海空別の構成比につきまして申し上げますと、陸上自衛隊につきましては、十一年度が三七・四%、十二年度は三七・六%、十三年度から十五年度にかけましては三七・八%でございます。  また、海上自衛隊につきましては、十一年度は二三・一%、十二年度が二二・三%、十三年度は二三・四%、十四年度及び十五年度につきましては二二・九%となっております。  また、航空自衛隊につきましては、十一年度は二二・七%、十二年度は二三・二%、十三年度は二二・〇%、十四年度は二二・七%、そして本年度、十五年度は二二・五%でございます。  以上であります。
  193. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 長官、今聞いておられたと思いますけれども、五年間変わっていないんですね。陸は三八、海は二三、空は二三。これは五年間ずっとなんですね。十年に広げましてもせいぜい一%ないし二%の変化しかないわけでございます。私は、こういうシェア固定の予算はまずいと。我が国の防衛力を時代に合った形で効率的に整備していく上で私は問題だと思います。  したがって、例えば長官自ら、重点的に配分すべき分野に重点配分できるように、陸海空からの予算、原局からの予算要求はマイナス一〇%する、残りの一〇%はそういった優先分野に充てるというような指示を出すべきではないでしょうか。
  194. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここ、本当、頭の痛いところでございまして。  例えば、ミサイルディフェンスを入れるというときに、どこからこのお金出すのと、仮に出すとするならば。これはもうあくまで仮定の話です。どこから出すのだろうという議論がありませんと、安保会議の御議論にならないということもあるだろうと思います。そうすると、じゃ、一律カットで一〇%ずつ、陸海空一〇%出せというようなことが本当にできるんだろうかということはあるのだろうと思います。  これは委員が農林省にいらっしゃったときに、じゃ、URの予算どこから出すかねみたいなことで、一律一〇%カットで出せみたいな話がございましたが、そういう形がさて安全保障においてできるかどうか。どういう形でするか。今でも、例えばPXですとかCXですとか、ああいうビッグプロジェクトの場合にはやりくりやりくりしながらそういうビッグプロジェクトのお金を出してきておるわけでございます。そして、やむを得ず最終的に経費繰延べみたいなこともやっておるわけでございます。  委員の御指摘のようなやり方が、私はすごく、魅力的と言ったらいかぬのだな、一つの御提言だと思っております。そういうような御提言も受け止めながら、この陸海空、どうすることが一番納税者の御負担にこたえるのか。自衛隊のための自衛隊ではございませんので、国民の皆様方のための自衛隊でございますから、本当にこの使い道というものが、防衛力の在り方というものが、自衛隊の自己満足、自己納得ではなくて、本当に国民の方々にとってこれでいいのかということは、もちろん議会の御論議も踏まえながら、先生の御提言を受け止めてまいりたいと、かように思っております。
  195. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、今、長官言われましたように、頭の痛い問題だと。正に五兆円というお金を毎年予算計上しているわけでございますから、その効率的な配分、是非実行していただきたいと思います。  次に、統合運用の問題でございますが、研究会、検討会を実施されておられるところでございますが、そうした統合運用をやる上で法的な整備、あるいは今申し上げましたような予算の配分、あるいは人の配分、そういったものを含めましたシステムを変えていかなければならないと思うわけでございますが、その状況はいかがでしょうか。
  196. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 統合運用の内容につきましても委員よく御案内ですから、ここで繰り返すことはいたしません。その意義につきましてもよく御存じのとおりでございます。  これを可能にしますためには当然法的な担保というものが必要でございます。これは自衛隊法を含めまして、あるいは防衛二法と申し上げた方がよろしいのかもしれませんが、この整備というものは当然必要だと考えております。  その法的整備というものは、これは予算を伴うということに、当然組織の改編になりますので予算を伴うことになろうかと思います。その場合に、統合運用というものの実を上げるために、いつぞの時点でということはよく検討をいたしておるところでございますので、また御指導いただきたいと思っております。  また、統合という場合に、今、統合運用ということに掛かっておりますが、これは当然運用だけにかかわるものではございません。予算につきましても、あるいは人事につきましても、あるいは装備と申し上げた方がよろしいのかもしれませんが、これを統合で運用するということはどういうことなのだということもよく配意をしていかねばいけない、これは委員質問の御本旨とは外れることかもしれませんが、統合というものは運用だけにとどまるものではないということは当然心得ておかねばならないものだと存じます。
  197. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、正に統合運用につきましては長官のおっしゃられたとおりだと思います。要するに、長官の絶大なる指導力をもって蛮勇を発揮していただきたいと思うところでございます。予算面も含めてですね。  それから次に、ミサイル防衛と自衛権の問題に入りたいと思いますが、まず、アメリカは二〇〇四年からミサイル防衛を実戦配備することになったわけでございますが、その事実関係をお願いします。
  198. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) お答えします。  昨年十二月、米国政府は二〇〇四年以降の海上配備型システムを始めとする弾道ミサイル防衛システムを初期配備する旨決定いたしました。  具体的には、二〇〇五年までに大陸間長距離弾道ミサイルを、ミサイルというのは弾道を描いて発射するわけでございますが、発射段階をブースト段階、それから中間段階をミッドコース、それから地上に落下する前をターミナルフェーズと、こう三つの段階で区別しているわけでございますが、中間段階、ミッドコース段階で迎撃する地上配備型ミッドコース防衛システム、GMDと、それから、短距離、短中距離弾道ミサイルをミッドコース段階で迎撃する海上配備型ミッドコースの防衛システム、SMDと申しております。それから、短距離、短中距離弾道ミサイルをターミナル段階で迎撃するペトリオットのPAC3を初期配備するとともに、既存の早期警戒衛星の利用、地上配備型レーダー、イージス艦レーダーの各種のレーダーの改良等を行いまして、弾道ミサイル対処能力の獲得を図ると、こういうふうに決定をしたと承知いたしております。
  199. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、私は、このミサイル防衛の兵器としての性格、これは専ら正に専守防衛、我が国にぴったりの兵器体系だと思うわけでございますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
  200. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、かつて野中官房長官のときにもそういうふうな政府談話を出しておりますが、これはもう専守防衛に資するものだと、専守防衛以外の何物でもないということを申し上げております。  よく御批判として、ミサイル防衛みたいなシステムを備えるとこれを上回るような軍拡が起こるのではないか、だから軍拡につながるミサイル防衛反対と、こういうような理屈がございますが、それは今までの議論とちょっと違うのであって、こちらがミサイルを五基持てば向こうも五基、こっちが十基持てばそれを上回る十二基みたいな、ミサイルとミサイルみたいな対称的なときには、それをやったらばもっと軍拡ということが出る議論としてあったのだと思うんです。ところが、こちらは専守防衛的なもので、迎撃ミサイルなんて、それだけだったら何の意味もないものでございまして、それを持ったからといって、向こうがそれを超えるようなものを作って軍拡というのは、私は理屈がおかしいんだと思っています。  かつてのパリティーの議論とはそれは違うものであって、議論の性格が私は変わったのだと、それによって軍拡が引き起こされるという議論は当たらず、日本がこれを専守防衛的なものとして議論をするということは私は意味があることであり、安全保障会議において御論議がいただけることが将来あるのかもしれないと思っておるところでございます。
  201. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、このミサイル防衛には日本の持っております技術、これが相当貢献したと思うんですね。これは中曽根内閣のときに、中曽根総理の決断によりましてアメリカに武器供与する、武器技術供与するということを決断し、その結果が、一つは湾岸戦争に生き、今回のイラク戦争、さらにはこうしたミサイル防衛の完成、完成に向けての、何というか、手続といいますか、技術の集積につながったと思うわけでございます。  それで、アメリカの、先ほど説明ありましたけれども、段階的にやっていかざるを得ない、これは技術の進歩と財政面での関係もあるかと思います。当面、このミッドコース段階でイージス艦と迎撃ミサイルの整備、それからターミナル段階でのPAC3の整備、これでの当面の必要額は一千億円程度というふうに聞いておるわけでございます。一千億といいますと、大きい額ではありますが、防衛予算全体の中では二%相当ということでございます。  今年度予算での、何といいますか、着手なり、あるいは来年度予算要求への組入れ等、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  202. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この経費が幾らになるかということにつきまして、今アメリカともいろいろ協議をしながら鋭意議論を詰めておるところでございます。そして、委員指摘のように、海上配備型SM3を使うという形と、そしてPAC3を持つもの、これを併せてやろうというふうに考えております。どっちか一つだけということは考えておりませんで、全体としてミッドコース、あるいはターミナルフェーズ、それで対応できるものというのを考えております。  したがいまして、一千億という御指摘でございますが、これが幾らになるかということにつきまして、申し訳ございませんが、今きちんとお答えできるような、そういうような段階に至っておりません。  また、予算との関係いかんということでございますが、このMDというものを導入するかどうかにつきましては、これはもう先般来お答え申し上げておりますように、その技術的可能性あるいは法的な可能性等々含めまして安全保障会議で御論議をいただくということになっておりまして、その時点につきましては私からお答えがいたしかねるものでございます。
  203. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、このミサイル防衛の法制度面についてお聞きしたいと思います。  ミサイル防衛ですね、先ほど防衛庁長官からも御答弁ありましたように、我が国の防衛を目的とするシステムであり、第三国の防衛を念頭に置いていないわけでございます。したがって、一つは、集団的自衛権との関係では問題がない。  二つ目には、個別自衛権との関係でございますけれども、ターミナル段階、これは我が国の領土に来るわけでございますけれども、これは個別自衛権の当然対象になり得るわけでございます。  残るミッドコース段階、またブースト段階、それらの各段階におきますこの個別自衛権との関係につきまして、これは内閣法制局ですか、見解を教えてください。
  204. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) お答えいたします。  政府は従来から、我が国が自衛権を行使する場合の要件であります我が国に対する武力攻撃発生したときといいますのは、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときをもって足り、我が国における被害が現実に生ずるということを要するものではないというふうに解しております。  他国から発射されました弾道ミサイルが我が国を標的として飛来すると判断されます場合に当該弾道ミサイルを迎撃するということは、個別的自衛権の行使として許されるものと考えております。
  205. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その際に、蓋然性のことが議論されております。蓋然性が高い場合にはこの自衛権の、個別自衛権の対象になり得るが、そうでない場合には触れておられないところでございます。  私は、このミッドコースであろうとブースト段階であろうと、我が国に飛来する可能性があるというような場合には、それを、その我が国への着弾を防止するための行使は、防衛力の行使は、私は個別的自衛権の行使に該当すると考えるわけですが、いかがでしょうか。
  206. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) 御指摘のとおり、弾道ミサイルによります攻撃といいますのは、一つは無人の飛行物体でありまして、いったん発射されますと、その後は事実上制御が不能であるというようなこと、それからこれを迎撃し得る時間帯が極めて限られているということ、それから我が国に着弾した場合に、弾頭の種類によっては壊滅的な被害が生ずるというような特性があるわけでございますので、このようなものを考慮いたしますと、発射後の弾道ミサイルにつきましては、艦船等通常の兵器によります攻撃の場合ほど確実と言えなくても、我が国に対するものかどうかにつきまして相当の根拠がありまして、我が国を標的として飛来するという蓋然性がかなり高い、別の言い方をしますと、我が国を標的として飛来してくる蓋然性につきまして相当の根拠があるという場合におきましては、我が国に対する武力攻撃発生と判断いたしまして、自衛権発動によってこれを迎撃することも許されるというふうに考えておるわけでございます。
  207. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今お答えありましたように、短期間、例えばノドンの場合ですと、発射から着弾まで十分間なわけですね。その間に判断をしなきゃいけないという極めて難しい迅速な措置が必要なわけでございます。  したがって、今の答弁を聞いておりますと、そのミサイル自体の方向性なりが判断できる場合はもちろん判断して、それでもって判断しなきゃいけないわけでございますけれども、しかし周辺の状況、例えば、ある発射した国が日本に対してどういう対応を取っておるか等、周辺的な事情も考慮して蓋然性を判断するということでよろしいかどうか、御答弁をお願いします。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕
  208. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) その点は、基本的に御指摘のとおりだと思います。
  209. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、ミサイル攻撃が、ある国におきまして我が国に向けて着手された場合、これは急迫不正の侵害に該当し、かつ他に適当な手段がない場合、必要最小限度のものとしてその外国基地を攻撃できるという、これは自衛権の範囲だというのが昭和三十一年に出ているわけでございますが、この見解は引き続き取っておられるか、内閣法制局にお聞きします。
  210. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) 御指摘の昭和三十一年の政府見解と申しますのは、有名な政府見解でございますが、「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」というものでございまして、これは我が国に対する武力攻撃発生している局面を前提に述べられているものでございます。  このように、我が国に対する武力攻撃発生しているという場合におきましては、我が国がかかる状況下に置かれたときには、法理としては相手国のミサイル基地を攻撃することも可能だというのは、引き続き政府の見解でございます。
  211. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、防衛庁長官にお聞きしますが、では、そういう攻撃手段を日本は持っておるのかどうか、お聞きします。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
  212. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 現在の自衛隊がそういう敵基地攻撃を持っているかということでございますが、現在の自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系になっておらず、これに適した装備品を有していないと。  具体的に申しますと、諸外国における他国の航空攻撃の例から、あえて一般論として代表的なものを申し上げますと、敵基地攻撃を行うためには、他国の防空用レーダーの妨害や破壊に用いる電子戦航空機や特殊なミサイルが必要でございます。それから、他国の防空網を避けて昼夜を問わず低空で他国に侵入するための必要となる特殊な航法システムを装備している航空機等が必要になりますが、こういうものは我が方として有しておりません。
  213. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それでは、内閣法制局にお聞きしますけれども、そうした攻撃手段を持つことは憲法上許されるのか、問題になるのかどうか、これについての見解をお聞きします。
  214. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) 一般論として申し上げるわけでございますが、自衛隊憲法が許容する自衛のための必要最小限度の実力として認められておるわけであります。したがいまして、自衛隊の装備につきましても、この限度内、自衛のための必要最小限度の実力という限度内であれば憲法上は許されるものと考えます。  ただ、これまでも答弁してきておりますように、性質上、専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、こういった兵器については、いかなる場合においてもこれを保持することが許されないということも申し上げてきているところでございます。  このような範囲内における自衛力の具体的な限度、具体的な限度につきましては、結局その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有することは否定できないので、結局は毎年度の予算等の審議を通じまして国民の代表である国会において判断されるほかはないというふうに答弁申し上げてきているところでございます。
  215. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 正に今、内閣法制局から答弁がありましたように、その時々の状況等で判断せざるを得ないということになるわけですが、当面は米軍に頼らざるを得ないということでございます。  次に、外務大臣に日米安保条約につきましてお聞きしたいと思うわけでございます。  日米安保条約、これは同盟条約と言われているわけでございますが、この同盟の中心概念は、一方への武力攻撃があった場合に他方がそれに対しまして防衛を参戦する、そういう義務があるということを意味するわけでございますが、現在の日米安保条約上どうなっているか、お聞きいたします。
  216. 林景一

    政府参考人(林景一君) 安保条約の中核的な規定でございます第五条におきまして、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と、こういう規定がございまして、この安保条約第五条に従いまして、米国我が国に対する武力攻撃発生した場合に我が国を防衛する条約上の義務を負っていると、こういう仕組みでございます。
  217. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 これを英文を見ますと、こうした同盟国の条約規定する上で差があるわけでございますね。  一番強いといいますか、これはかつて我が国もイギリスと結んでいたわけでございますが、日英同盟、この日英同盟の規定に基づきまして、第二条の規定に基づきまして日本は第一次世界大戦に参入したわけでございます。これは、分かりやすく言えば、英語で言えば、「ジ アザー コントラクティング パーティー」、要するに他国ですね、「ウイル アット ワンス カム ツー ザ アシスタンス オブ イッツ アライ」ということで、「ウイル カム ツー ザ アシスタンス」、要するにウイルを使っているわけでございますね。  また、今現在で一番強いのは、私はNATOの条約だと思うわけでございます。NATOは二重に規定しておりまして、他国からの攻撃を「シャル ビー コンシダード アン アタック アゲインスト ゼム オール」と。ある一方からの、一方に対する、一又は二以上の締約国に対します攻撃は「シャル ビー コンシダード アン アタック アゲインスト ゼム オール」、全体の攻撃と考えるべきであると、みなすと英文で、日本語でなっておりますけれども、「シャル ビー コンシダード」、考えるべきであると言っているわけですね。そして、その場合にはどういう対応を取るかといいますと、「ウイル アシスト ザ パーティー オア パーティーズ ソー アタックド バイ テーキング フォースウイズ」ということで、ウイル・アシストするということを言っているわけでございます。  私は、こうしたことから比較しますと、ウイルというのが一番強いんじゃないかと思うわけでございます。  逆に一番弱い面を申し上げますと、これは旧安保条約でございます。旧安保条約がどういう表現をしておったかといいますと、これは基地を日本国は供与すると。要するに、グランツ、与えると。それで、アメリカはアクセプトするということになっておりまして、その場合に、攻撃があった場合には「サッチ フォース メイ ビー ユーティライズド」と。要するに「メイ ビー」と。要するに義務ではないわけですね、「メイ ビー」と。「メイ ビー ユーティライズド」ということで、これは日本文におきましても行使することが、「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」と。メイの場合は「できる」なんですね。したがって、岸総理はこうした片務的な条約を改定に心血を注がれたわけでございますが、一番メイが弱い。  その中間、ウッドはどうかといいますと、正に現在の日米安保条約はウッドという規定を両面において使っているわけでございます。要するに、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、」となっていますけれども、英文では「ウッド ビー デンジャラス」と。要するに「ウッド ビー デンジャラス」と言っているわけですね。その際にどういうことをやるかというと、デクレアーズ、宣言をして、「イット ウッド アクト ツー ミート ザ コモン デンジャー」、共通の危険に対応することをイット・ウッド・アクトすると言っているわけですね。要するに、どうもウイルよりは弱いように思うわけでございます。  どうも、頭を整理してみますと、一番強いシャル・アンド・ウイル、このグループと、それからウッドの、中間のウッドのグループと、それから一番弱いメイと、その三つがあるわけですが、私は、交渉の過程でいろいろ議論はあったかと思いますけれども、この安保条約の五条は、危険なところはシャル・ビー・デンジャラスと、あるいはシャル・ビー・コンシダード・デンジャラスと言うべきであり、イット・ウイルというふうに改正といいますか、そういうような英文にすべきであったかと思うわけでございますが、このメイとウッドとシャル・アンド・ウイルの関係及び今の見解について、外務省、いかがですか。
  218. 林景一

    政府参考人(林景一君) 大変広範な御研究をなさりました御指摘でございますが、今の御指摘にもございましたとおり、この現在の安保条約といいますのは、旧安保条約におけます対日防衛義務というものがこれはなかったというふうには考えておらないというのが当時の政府の見解でございますけれども、しかし、その書き方が非常に弱いのではないかと。正に御指摘のポイント、「メイ ビー ユーティライズド」というところがございまして、この対日防衛義務というものを明確化、もっと明確に書こう、明確化すべきではないかということでその交渉をいたしました際に、今幾つか例をお挙げになりましたですけれども、その中でアメリカがアジア太平洋地域におきまして当時から多数の二国間の相互防衛条約というものを締結しておったわけでございます。  その中には米韓の条約もございます。それから、ANZUS、米フィリピン、それ以外にも当時は米加あるいはSEATOといったものがございますけれども、このそれぞれのアジア太平洋におきます米国締結しております相互防衛条約の正にその肝の部分、防衛義務を書いたところでございますが、そこが基本的な考え方としてデクレアし、イット、イーチ・パーティーですけれども、その締約国が「ウッド アクト ツー ミート ザ コモン デンジャー」という、そういうフォーミュラになっておったわけでございまして、我が国といたしましては当時その旧安保の義務規定をより明確化するために、アメリカが結んでおる相互防衛条約、アジア太平洋における相互防衛条約と同様の規定とするということにしたわけでございます。  このことによって、それではその義務が弱いではないかというところが先生の御指摘のポイントかと思います。  ちなみに、日英同盟につきましてはこれちょっと戦前、百年前の条約でございますので、私、余り権威を持ってどれぐらい申し上げられるかということがございます。戦争合法化、戦争が合法であった時代の話でございますので単純な比較は困難かと思いますけれども、そこでウイルが使われておる、あるいはNATO条約でウイル・アシストということが使われておるということがございます。これは、例えばこれはワルシャワ条約なんかは、これは英語が正文じゃございませんけれども、その翻訳されたものではシャルを使っておるわけでございます。  こういう条約、法的な拘束力を持たせる、法的な権利義務関係を設定する条約の作り方として義務を書く場合にいろんな書き方があるわけでございます。これはシャル、いわゆるコマンドのシャルと言います。あの十戒のザウ・シャル・ノット・スティールなんていう場合のシャルでございますね。そういうものも、そのシャルというのは割合義務を明確にする場合に使われますけれども、それ以外にウイル、それからアンダーテーク・ツー、アグリー・ツー、いろんな形で、これこれすることを内容とする義務を設定するということがございます。  そのことの強弱を論じること自体、私は、こちらの方が強い、こちらの方が弱いということを余り細かく論じても意味はそれほどないのではないかなと。要は、当事国の意図としてここに義務を負うという、法的な義務を負うんだというその意図があるかどうかということではないかと思います。  これは、安保国会当時からももう繰り返し御答弁申し上げておりますとおり、安保条約の第五条はこのアメリカの対日防衛義務というものを明確に定めておりまして、この点については日米にその共通の認識がございまして、これは明確に義務であるというふうに思っております。
  219. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 後段は私も同意するところでございます。今既にあるわけでございますから、それを実行、いかに条約上書いておっても実行されなければ意味がないわけでございます。  したがって、問題になりますのは日米防衛協力の指針でございますけれども、ちょっとその前にもう一度確認しておきたいわけでございますが、昭和三十五年に、改定安保条約審議の際に、この五条は、日本攻撃を受ければアメリカは当然に日本を守るということはこの五条から来ていると、防衛義務を掛けたという趣旨であると。宣言するとは言っておりますけれども、これがいわゆるアメリカに対しまして防衛義務を掛けたという趣旨であるという法制局長答弁があるわけでございますが、その点について、法制局、今も変わりないということでしょうか。
  220. 宮崎礼壹

    政府参考人(宮崎礼壹君) お尋ねの日米安保条約第五条は、「共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」という規定になっておりまして、この宣言するという言葉につきまして、同条約改定当時の林内閣法制局長官が次のとおり答弁しております。  「宣言するという言葉は、」中略「アメリカとしては集団的自衛権を発動することを引き受けているということだと思います。それから日本はもちろんこういう場合には個別的自衛権を発動するということを宣言する、こういう意味でありまして、」中略します「そういう意味においてそれぞれの権利の発動を引き受けている、つまり条約でお互いに宣言している、そういう意味において私は義務の規定だと言われておるのだと思います。」。  以上は、昭和三十四年十一月十七日、参議院予算委員会でございますけれども、御指摘のとおり、昭和三十五年の五月七日にも、より簡単でございますけれども、同旨の林長官答弁がございまして、私どもも同様に現在も解しておるところでございます。
  221. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、安保条約第五条の言っております、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言するということで、憲法上の規定及び手続に従って、というのがあるわけでございます。したがって、御案内のとおり、日本憲法解釈上、集団的自衛権の行使ができないわけでございますので、こうした我が国米軍関係、つまり、六条でもちまして、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、アメリカ合衆国は、陸軍、海軍、空軍が日本国において施設及び区域を使用することを許されると、基地供与の規定が六条にあるわけでございます。  他方、相互的な武力行使につきましては、憲法上の規定及び手続に従うということから、これは従来から言われておりますように、日米安保条約というのは、物、つまり基地と、人、つまり軍隊の協力条約という性格だと言われているわけでございますが、この点については、外務大臣、いかがでしょうか。
  222. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 今、福島委員がおっしゃいましたように、五条では米国の対日防衛義務を規定しておるわけでございまして、他方、第六条におきましては、我が国憲法上集団的自衛権を行使することはできませんので、米国に対しまして、極東の平和と安全のためにも我が国の施設・区域の使用を認めるということで、言わば条約全体を通じまして日米双方の義務のバランスを取っているということであると思います。  この条約をして物と人の協力条約というようなことも確かに言われることでございますけれども、二〇〇一年の十月十六日、衆議院テロ防止特別委員会におきまして、福田官房長官が、日米安保条約、これはお互いに協力できる範囲で協力し合うという形であって、相互補完的というふうに考えるべきであろうと述べておられますけれども、それが一番正しい言い方ではないかというふうに考えております。
  223. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 防衛庁長官にお聞きしますが、こうした形の片務的な条約協力関係であるわけでございますが、果たして長続きするとお考えなのかどうか、これについてはどうお考えでしょうか。
  224. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、先ほど来答弁がありますが、あくまで片務条約ではない、非対称的双務条約である。そして、合衆国と我が国がどれだけ国益を共有するかということだと思います。我々が基地を提供し、それが地政学上意味があり、そしてまたそれを支えるだけの物的、人的資源があるということは、国益の共有、いわゆる軍事的な面に限ってでございますが、そういうことだろうと思っております。  ただ、それ以外の、いろんなこの委員会で御指摘がありました。こういう場合はどうだ、こういう場合はどうだ、そういうことは、私どもはそういうことが起こらないようにきちんと今ある法の運用というものに万全を期していかねばならぬ、政府の立場としてはこのように考えております。
  225. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 政府の立場としてはそういうことだと思いますけれども、私は、基本的に片務的ではありません、もちろん双務的なんですが、お互いに供給するものは違っているわけですね。そうしたもの、それを、そうしたときにそのバランスが取れないとお互いの国にとりまして不信感が生じやすいわけでございますから、私は、慎重な対応、つまりこうした、何といいますか、非対称型の条約をお互いに維持する上では努力をしていかなきゃいけないと思うわけでございまして、その点を十分お願いしたいと思うわけでございます。  私は、その努力が正にこの日米防衛協力のためのガイドライン、九七年に見直しがされましたけれども、であるかと思うわけでございます。このガイドラインは、一九七八年、昭和五十三年の旧指針を見直して定めたものでございますが、その中で旧指針の評価といたしまして、日米安全保障体制の信頼性を増進する上で意味があったと、しかし冷戦の終結という状況の変化があったので見直しをしていくということが言われているわけでございます。  それで、その中で三つのことを言っているわけでございます。日米協力指針は三分野から成ると。一つは平素から行う協力、二つ目は日本に対する武力攻撃に際しての対処行動、それから三番目には周辺事態協力ということでございますが、この三つにつきましてどんなことを今までやってきているのか。これは福田内閣官房長官にお聞きします。
  226. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) ガイドラインについてのお尋ねでございますけれども──失礼いたしました。ちょっと突然の御質問でございましたので、私も資料がございませんけれども、平素からの協力というのは、これは正にいつも日米間でいろいろな形で情報の交換を行っております。このことを指して平素からの協力ということだと思います。  それから、我が国に対する攻撃が行われる場合ということにつきましては、これは攻撃が差し迫っている場合と実際に攻撃が行われた場合というのに分かれてガイドラインが規定しておりまして、それぞれ差し迫った場合には日米間で調整のメカニズムを開始させるというようなことで、そのための協力。それから、実際に我が国がもちろん攻撃を行われた場合について、日米間の共同行動、対処行動、これは安保条約五条に基づく行動でございますが、このときにどのような調整を行っていくのかということ。  それから、もちろん周辺事態につきましては、我が国の周辺における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が起きたときには、基本的には米軍の行動に対して我が国ができる範囲で協力をするということで、これについては周辺事態安全確保法が成立をいたしまして、その法的な整備も行われているということになっているというふうに理解しております。
  227. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、このガイドラインは、その基本的な前提及び考え方として、これは、この取組がいずれの政府にも立法上、予算上又は行政上の措置を取ることを義務付けているものではないと。しかし、日米協力のための効果的な態勢の構築が指針及びその下で行われる取組の目標であることから、日米両国、両政府が各々の判断に従い、そのような努力の結果を各々の具体的な施策や、政策や措置に適切な形で反映することが期待されると。日本のすべての行為はその時々において適用のある国内法令に従うということが出ているわけでございまして、義務ではないけれども、日米両国はそれぞれこの目標に向かって適切な措置を講じていくということになっておるわけでございます。  今回、平素からはやっておられるという説明でございます。また、周辺事態法は既に制定され、今回有事法制が制定されると、武力攻撃事態に対する法制整備されるということ、こうした着実な前進を図っていかなければならないと思うわけでございますが、アメリカ側の対応はどうなっているのか、ちょっと北米局長お願いします。
  228. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは先ほども説明をいたしましたけれども、ガイドラインというのは、今、正に福島委員が御指摘になりましたように、それぞれの国に例えば法的なことあるいは財政的なことを義務付ける両国間の条約ではないわけでございますが、政治的に非常に重要な文書でございまして、平素からの協力、それから周辺事態における日本との協力、それからいわゆる五条事態、それからそれが差し迫った場合についての日米の調整についての協力というようなものについては、米側においても真剣に取り組んできているところでございます。
  229. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、防衛庁長官、シビリアンコントロールについてお聞きしたいわけでございますが、時間が余りないので簡単にお願いしたいわけでございますが、シビリアンコントロールの考え方及びその根拠は何なのかということでございます。
  230. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 根拠の根底は、私は日本憲法だというふうに考えております。その他自衛隊法等々あるいは防衛庁設置法等々によりまして、それを更に裏付けておるということだと考えております。
  231. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 正におっしゃるとおり、憲法の第六十六条第二項あるいは憲法七十三条等が根拠だと思うわけでございます。  しかし、意思決定をする過程におきまして防衛庁長官がすべてを御存じであるということはないわけでございまして、どうしても、特に作戦等になりますと、あるいは武力行使というような事態になりますと、どうしても下部に意思決定を下ろしていかなきゃいけないわけでございますが、その際の考え方、どういうふうになっておりますか。
  232. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 基本的に、シビリアンコントロールというのは内閣総理大臣を長としてコントロールするということだと思っております。  そして、我が国におけるシビリアンコントロールというのは、これはかつてのソ連にもシビリアンコントロールというものはあった。それはどういうものかといえば、共産党が軍を支配するという意味でのシビリアンコントロールがあったというふうに考えております。我が国におきましては、内閣総理大臣を長といたしまして、やっぱり政治任用の人間たちが、いわゆる軍事専門的なことは制服が、そしてまた予算でありますとかあるいは法制でありますとかそういうことは内局が、それを車の両輪として回していくということであろうと思っております。
  233. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その車の両輪がうまく回るように、そのための先ほどの統合運用なり人事交流というのを十分進めていただきたいと思うわけでございます。  時間を早くやめろということでございますので、私、最後に申し上げたい点は、私、正に先人の知恵に学び、着実な行動をしていかなきゃいけないと思うわけでございます。  冒頭申し上げましたように、昭和三十二年の国防の基本方針、私は立派なことが書いてあると思うんですね。かつ、先ほども言いました昭和三十五年の安保改定、片務的な協定を双務的になるように、正に岸総理がその身命を懸けて改正をされたわけでございます。また、先ほど申し上げましたように、アメリカに対する武器技術供与、これが兵器体系を変えていったわけでございます。そこから正にミサイル防衛という新しい、正に私は日本にふさわしい兵器体系ができてきたと思うわけでございます。  PKO法あるいは周辺事態法、それらと今回の有事法制、そういった際に、私は先ほど、先人に学ぶ、知恵を学ぶというふうに申しましたけれども総理のリーダーシップが見えないうらみがあるところは私は非常に残念であると思うわけでございます。  先人の知恵に学び、未来を見据えて、つまり、未来の、歴史の評価に堪え得る着実、的確な行動を取られることを特に官房長官にお願い申し上げまして、総理にお伝えいただけることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  234. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  235. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  安全保障会議設置法の一部を改正する法律案武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。(「異議あり」と呼ぶ者あり)    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会