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川橋幸子君 八分を費やして両
大臣からうんちくのあるところを伺いましたが、私がこのような問い掛けをさせていただきましたのは、実はそのときのローレンス・ビーアさんの言葉、
日本は再びアジア有数の軍事
国家になったでしょうという、そういう講演の結論だったわけですけれども、それを収録されました比較
憲法学者の樋口陽一先生、現代法学第三号に引用された方が、更にその辺りを敷衍されて、もちろん今の
自衛隊が装備から、兵器からいいましてイージス艦を持つに至っているまで、こういう現状である
自衛隊というものを考えれば、もちろん
軍隊といいますか、戦う戦力は持っているわけでございます。しかし、軍事
国家という名前になっていないのは
日本国
憲法、現行
憲法がある、その意味が大きいのではないかと。つまり、アジア地域における平和構築のための役割を非常に大きく持っていたということをこのビーアさんがおっしゃったのだと樋口先生が解説されているわけでございます。
先ほど統帥権というお話もございましたけれども、
日本の社会そのものが、社会の価値体系の頂点に軍事というものを持たない、そういう平和
国家として戦後歩んできた、その効果はとても大きい、
法律といいますか、特に
法律の中の
法律の
憲法の持つ意味というものは一国の運命を左右する非常に大きなものだということも私が思ったからでございます。
もちろん
憲法九条以外にも、特に女性の場合は、それ以前は参政権もございませんでしたし、教育の機会均等がなかった、旧帝国大学には入れなかった。自慢話では全然ないのですが、私の出身の、卒業いたしました東北大学というのは、珍しい、女性の入学を認めた旧帝国大学であって、草分けの法曹の女性たちがこの大学を出ている方が多いわけでございますけれども、女性にとっては多分、明治
憲法が、福沢諭吉が、天の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、これは非常に革命的なことだったんだろうと思いますね。それまでは士農工商という身分で左右されていた社会の中で、人、個人というものを意識した革命的なものであると同時に、女性にとってはこの
日本国
憲法というのは、初めて女性という身分から解放された、チャンスがもらえた、
国民としての機会を得た、そういう
法律として特に、私の場合は
日本国
憲法の役割というんでしょうか、その
法律の恩恵を被ることができた一人だったと思っております。それ以前でしたらこのチャンスはなかったと思うわけです。
さてそこで、二問目に移らせていただきますが、今度、
法律と常識、これについて、この
関係について伺いたいといいますのと、続けて、
法律そのものと
法律解釈というものの
関係について伺いたいと思います。
なぜこういうことをお伺いするかというと、このごろ小泉総理は常識常識とよくおっしゃられるんですね。あの靖国参拝のときは、ついに過去の
内閣法制局の
政府解釈、それはもう一言も触れずに、尊い命を祖国のためにささげた方々を悼むために参拝するのは常識であると。どうも常識が出てくると
法律論が後ろに下がってしまうような感じがいたします。
今回の
法制も、
有事三法も、何だか、備えあれば憂いなし、治にあって乱を忘れずという、こういう常識論だけで、それ以上のコメントは余りなさらないような感じがいたします。そして、何十年も前に制定されるべきことだったけれども今まではアレルギーがあったからできなかったというお話になりますと、私のように野党にずっと身を置いている人間にとりましては、ああ、それならもっと、政権与党の自民党はもっと早く着手なさればよかったではないかと、アレルギーのせいというよりも政権党としての御
努力が足りなかったんじゃないかと思ってしまうわけでございます。
それから、
法律と法解釈の方も、このところもやもやした気持ちがする、もやもやとした気持ちを共有できるという話が盛んに
民主党の提案者と
質問なさる自民党の方々との間で交わされておりまして、今回はもやもや解消の
有事三法というようなお話があるわけですね。
ですけれども、私は、
法律の解釈というのはやっぱり規範性があると。特に、
内閣の中にある
法制局、もしその
法制局見解が
内閣としては満足できなければ
内閣法制局長官を更迭なさればよいわけでございまして、それは当然のことにおいて、議員でない、役人の解釈がこのように大きな力を持つことはおかしいというような話が絶えず絶えずあるわけですけれども、私はそうではないと。
法治国家である以上、これは
日本の
法律、
法律体系、法解釈の
枠組みとして当然のことであると思っているわけでございます。
という、前置きが長くなりましたが、法と常識について、法と法解釈について、まず常識の方からは
大臣に伺って、法と法解釈については
法制局の方から伺いたいと思いますが、こういう順番で
お答えを
お願いいたします。