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2003-06-10 第156回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月十日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 服部三男雄君                 松山 政司君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 池田 幹幸君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        農林水産技術会        議事務局長    石原 一郎君        食糧庁長官    石原  葵君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、畑野君枝君が委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会文部科学省スポーツ青少年局長田中壮一郎君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君、農林水産技術会議事務局長石原一郎君及び食糧庁長官石原葵君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩永浩美

    岩永浩美君 おはようございます。自由民主党の岩永浩美でございます。  食糧法審議に入る前に、先般、農林水産省設置法が今国会で成立したことに伴って、間もなく食糧庁は五十年余りの長い歴史の幕を閉じることになりました。食糧庁は、言うまでもなく今提案されている食糧法に深いかかわりのある役所であっただけに、特にこれまでの食糧行政に携わってこられたOB、諸先輩に対する思いや九千人の職員を転職させることについての、どういうふうにお考えになったのか。特に、私自身も、BSEの問題が発生をし、食糧庁の改廃に伴う、当時、その一つ改編に伴うときに農林水産省政務官として仕事をさせていただいた経験を踏まえ、大変、転籍をさせることに対するその一つの心境は断腸の思いもおありになったであろう食糧庁長官のその一つのお気持ちをまずお伺いをしたいと思います。
  7. 石原葵

    政府参考人石原葵君) お答えを申し上げます。  今回、農林水産省設置法改正に伴いまして食糧庁廃止されることになったわけでございますけれども、この問題はちょうど一年前、昨年の四月であったかと思いますが、まず新聞食糧庁廃止というのが打ち出されました。その後、食品安全行政に関する関係閣僚会議取りまとめ、昨年六月に取りまとめが行われまして、食品安全委員会内閣府に設置すること等が決定されたわけでございますけれども、その見直しに当たりまして、スクラップ・アンド・ビルドとして、食糧庁組織廃止等既存組織見直しによってこれを行うということが決定されたところでございます。  最初新聞報道がされたときが特にそう思ったわけでございますけれども、非常に食糧庁組織にとりましてはこの決定は唐突といいますか、急に起こった話でございますので、我々これを意外なものとして受け止めたことは率直に申し上げなきゃならぬと思っております。また、その決定自身が非常に厳しい内容でございましたし、食糧庁組織にとりまして非常に残念なことであったわけでございます。  しかしながら、今回の組織見直しの発端を考えますと、ただいま岩永委員の方からお話ございましたように、BSEの問題の発生を契機といたしまして、農林水産省として、あるいは政府として食品の安全、安心に関する行政対応が強く求められていたと、それにこたえなければならないという事情があったということが一つございます。  それから、食糧庁につきましては、これは誤解ではございます、正確ではないんでございますけれども、食糧庁というのはとにかく検査をいまだに大勢の人間でやっているという誤解がございます。その検査につきましては、農産物検査が完全民営化される、平成十七年に民営化されるということで、大幅な組織見直しが必至であったわけでございます。そういうことから、昨年の時点で、組織国民行政ニーズに沿った形で発展的に改組することが、食糧庁としてもこれを最善の道ではないかということを判断した次第でございます。  このことにつきましては、その後の消費安全局設置等、全体の組織見直しが明らかになりましたので、食糧庁の現役の職員はもとよりでございますけれども、OBを含めて、今回の組織見直しにつきましては理解が得られているものと思っております。  我々は、今回の組織見直し、これを今後の新たな行政展開を図っていく上での基本的な反省点といいますか、起点といたしまして、この消費安全局が設置されまして食糧庁の多くの職員リスク管理あるいは消費者行政に携わることになります。また、従来の主要食糧業務につきましては、より少ない人間でタッチすることになります。非常に新たな行政展開、これからの問題がたくさんございますけれども、職員努力によりまして所期の成果が上げられるよう、我々期待しておるところでございますし、私もそのような方向になるように最大限努力をしていかなきゃならないと考えている次第でございます。
  8. 岩永浩美

    岩永浩美君 食糧庁廃止については、小泉内閣構造改革、正に役所の中における農林省が我が身を削って構造改革の先端を成し遂げてきたことを私自身も高い評価をしたい。  ただ、心配なのは、九千人の職員転属という大きな一つのやっぱり措置を講じたことによって、職員の士気あるいは今までに慣れていない職員人たち仕事に対する姿勢、そういう問題についていろいろな悩みや戸惑いや、行政一つのルールが随分変ってくることによるそのストレス、そういう問題を考えると、やっぱり長官は、そういうふうな形の中で今後の将来のために、食品安全局機能していくために大胆な一つ構造改革に踏み切ったその功績は多としながらも、やっぱり職員の身になってみると、そこら辺は一抹の心配をせざるを得ない。それを今後、本当に職員がその転属をされた九千人の意思を結集してその結果を出すためには、やっぱりトップの石原長官が、やっぱり辞めていくその一つ気持ちと同時に、今後九千人を転属させたその責任において、今後どういうふうな形で生かしていこうとする決意をお持ちなのか、そのことも併せてお聞きしておきたいと思います。
  9. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 食糧庁職員につきましても、公務員である以上、国民行政ニーズ対応いたしまして、行政ニーズのある仕事、これに従事していく必要があると思っております。  そういうことから、我々、ただいま九千人とおっしゃいましたけれども、そういう職員が新たな業務に円滑に従事していけるよう、十四年度中から我々、研修の充実にも努めてきたところでございます。我々、そういう職員が新たな業務に円滑に入っていけるよう、これまでも最大限努力をしてきたところでございますし、また、現在も今、その努力をしておるところでございます。このようないろんな努力、省を挙げての努力、そういうことを通じまして、この今回の組織改編が円滑にいくようにしたいと思っております。  そのように組織改編が円滑にいくようにすることが私の現在における務めだと考えておりまして、これをきちっと成し遂げた上で、七月に予定されております新たな組織の再編、それに臨んでいくというつもりでございますので、御理解いただきたいと思っております。
  10. 岩永浩美

    岩永浩美君 それでは、是非そこに支障がないようにお願いをしておきたいと思います。  まず最初に、米政策の総括であります。  それは、今まで戦後五十数年の歳月が過ぎて、日本の農政の中に米政策、それぞれの時代背景がありました。一つは、全量買上げ食管制度、そして現行食糧法、新たな米政策、この三つの段階に私は分かれたと言っても、分かれていると、区分したと言っても言い過ぎではないと思う。  しかし、私自身、つらつらよく考えてみると、米政策の基本的な部分というのは余り変わっていなかったのではないのか。その一つ一つの、食管制度のとき、あるいは現行食糧法、新たな米政策行政目先を変えていくことで基本的なところについては変えずに、目先を変えてやってきたことの行政のツケが今ここに来たのではないかということを率直に私は認めなければいけないのではないかという思いがいたしております。  そこで、まず大臣にお伺いをしたいのは、主食として昭和十七年に成立した食管法に基づいて一貫して全量買上げをしてきたその米、米の増産が進む反面で国民所得向上、あるいは食に対するニーズ多様化洋風化などによる米離れが進んで、全量買上げを管理するという食管法の体制が行き詰まってきたことはお認めになると思います。  大量の政府米の在庫が発生して、その処理のために第一次の過剰米処理、第二次の過剰米処理財政負担を、大きな財政負担を招く結果になってしまい、その結果、政府の買入れ価格高止まりにあるとする批判があるが、生産者にとっては、自分が作った農産物自分が作った米を高い評価をされて価格が上がっていくことは、一方において農家にとってはその一つの満足だと思います。しかし、一方においてそういう高止まりで米を買い上げることに対する批判等がある中で、全量買上げのときの食管法の、当時、食管法時代のその役割はどういうふうに大臣はお考えになっているのか、まずそれをお聞きしておきたいと思います。
  11. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員指摘のとおり、昭和十七年、食糧管理法が制定をされまして、正に五十有余年にわたりまして我が国の米の生産流通の分野で大変な規定をし、そしていろいろの施策が推し進められてきたわけであります。食糧配給公団、そして昭和二十四年の食糧庁の発足、そして今日まで政府米を基本として戦中戦後、生産者政府への米の売渡し義務、また極めて厳格な流通制度、こういうものが設けられまして、戦時中や戦後の食糧事情に逼迫した状況の中で食を安定的に供給をすると、こういう機能を一貫して担ってきたことは高く評価をされると、こう思います。  そして、今日まで、その後もいろいろ制度改正がなされ、実は計画流通計画外流通、このときにも私は果たしてこれでいいのかどうかと疑問を持っていろいろ当時の役所皆さんと話をしたこともあるわけであります。時代が変わり、そして今御指摘のように、食管法による全量管理システムと、米をめぐる諸情勢がいろいろ変化をする中で生産者の、御指摘の、創意工夫と、こういうものを発揮するという点でどうか、あるいはまた消費者ニーズへの的確な対応流通合理化と、こういういろいろの時代要請に適切にこたえることができなかった、こういうようなところから今日の食糧法が制定されてきて、そして今日またこの法案審議お願いをするようなことになったわけでありまして、今日まで米の問題と、食糧管理法中心として時代要請と、それに本当に戦中戦後のあの混乱の時期にも関係皆さん努力により、そして食の安定と、この機能を十二分に発揮をしてきたことは高く評価をされるわけでありまして。  今後、先ほど長官からも御答弁をしておりましたが、時代が変わり、そして新しい制度をやると、そういう面につきまして食糧庁廃止すると、これは大変複雑な思いを私も持っております。是非、意識改革をして、そして新しい制度の下に、食の安心、安全、こういうものを含めて農林水産行政一体になって、職員一体になってその目的を達成するために頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  12. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、大臣から、全量買上げ食管法についての役割評価についてはお伺いをしました。  それでは、現行食糧法現行食糧法民間自主性を一定度尊重することを前提にしています。政府は的確な需要見通しの策定や公表、生産調整の円滑な推進備蓄の機動的な運営、計画的な流通の確保の施策を有機的に実施すること、並びに米の需給及び価格の安定を図ることとして、それ以外の国の役割は限定され、また新たに計画流通制度を設けて、民間による自主流通米制度上も米の流通主体と位置付けて現在行われています。平成九年には米政策大綱平成十一年には水田中心とした土地利用型農業活性化対策大綱平成十二年には緊急総合米対策が講じられました。そして、今回、抜本的な米政策の転換を行おうと今しています。  そこで、先ほど大臣が御答弁になった全量買上げ食管法に代わる現行食糧法が果たした役割問題点についてどういうふうにお考えになるのか、その問題点をどう御認識をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  13. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいま委員の方からお話しございましたように、食糧法平成七年に施行されました。その現行食糧法は、民間流通による自主流通米主体といたしまして、政府政府米の操作を通じた備蓄運営、あるいはMAの運用をするということに限定的にしてきたわけでございます。また、そういう食糧法の体系の下で幾多の対策を講じてきたわけでございますけれども、それらの対策によりまして米の需給及び価格の安定に一定の寄与はしてきたものと認識しております。  しかし、現在の施策中心にございます生産調整、この生産調整につきましては、それまでの生産調整と同様に国が生産調整面積を管理する方式を取ってきたということで、生産調整限界感あるいは負担感の高まりを招くということが指摘されております。また、豊作等により生産調整の効果が減殺されているというような指摘もされているところでございます。  また、流通の方につきましても、計画流通米のシェアが生産量の五割を切るというような状況においても安定供給支障が生じていない、また、流通ルートが特定されていることによりまして多様化する消費者ニーズにこたえられなくなっている、そして、これが一番農業者あるいは農業者団体の強い不満でございますけれども、計画外流通米の増加によりまして一物二ルートによる不公平感、これが発生していると、そういうふうな問題点指摘されているところでございます。  今回は、このような問題点を抜本的に解決すべく、生産調整方式見直し、それから計画流通制度廃止等内容とする法案を提出し、御審議お願いしているところでございます。
  14. 岩永浩美

    岩永浩美君 そこで、現行食糧法水田農業政策と新政策との、今度、比較お願いをしたいんですが、平成十一年度の水田中心とした土地利用型農業活性化大綱に基づいて十二年度からもう既に実施されていますね。これは、生産者、市町村、生産者団体における水田農業推進協議会が、水田における米、麦、大豆地域特産物作付面積とその団地化担い手への土地利用集積などについて五年を目標として水田農業計画を策定して、水田営農推進し、経営確立助成などの支援措置を講ずるものであるとしてあります、現行ではですよ。  今回の米政策において、地域水田農業推進協議会ビジョンを作成し、それに基づいて水田農業を通じた産地づくりを行うものとすることになっていますが、現行水田農業対策現行水田農業推進協議会水田農業振興計画と新しい水田農業対策推進協議会水田農業ビジョン水田農業構造改革との比較において、現行とどう今度の新しいその一つ協議会振興計画が違うのか。そして、これによって、二十二年、平成二十二年には農業構造展望米づくりのあるべき姿を実現するというシナリオを皆さん方はこの新しい米作り政策の中で示しておられますが、大豆小麦などを本作化によって、今四〇%の自給率ということを言っておられますが、自給率向上に向けて、具体的にどういうものがどういう自給率向上につながっていくか、何%アップできるのか、そのことをお示し願いたいと思います。
  15. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいま先生おっしゃられました十二年度に作られました水田農業振興計画、それから今度のビジョン、ねらいとするところは、一つ生産調整を進めるということ、二つ目自給力自給率向上させるということ、三つ目構造改革推進する、ねらいとする大きな柱は一緒でございます。  しかしながら、力点の置き方といたしまして、今回の地域水田農業ビジョンは、ただいま先生がおっしゃられました大豆小麦、これ既に生産努力目標を上回った面積、量になっておりますので、品質の向上でございますとか、飼料作物につきましては耕畜連携推進するということで、いわゆる地に足の着いた生産に変えていく、販売目標をきちっと書かせるという点が一つ大きな違いでございます。  もう一つの違いは、構造改革に向けて一歩も二歩も踏み出すということで、担い手明確化担い手リストを作る、個人の担い手が存在しない場合には集落集落型の経営体組織化を目指してリスト化をしていく、現場にとっては大変難しい点だろうとは思うわけでございますけれども、そういうことで、担い手明確化と育成を明確に打ち出すという点が二点大きく違うわけでございます。  結局は、どのような経営体がどのような作物需要に応じてどのぐらい作るかということを明らかにするのが地域農業ビジョンでございます。  そして、これを進めていくことによりまして、構造展望に示されました平成二十二年に、そういう担い手が全体の六割を担うというような構造の実現に向けて邁進をしていきたいということでございます。同時に、そういうことで、麦、大豆につきましても、生産目標につきまして実需に即した生産が行われるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  16. 岩永浩美

    岩永浩美君 二十二年度にそのあるべき姿を実現するためには、まず今回の米作り政策に対する新政策に対して農業団体並びに農業者理解周知徹底がどうしても不可欠だと。  生産者へのアンケート調査によると、新しい米政策に対する生産者理解周知が十分に進んでいるとは思われない。東北地方中心とした東日本地域では、ある程度、この取組比較的進んでいるというアンケート調査結果。その反面、西日本では取組が後れているということが指摘されています。  十六年度には新政策が実施されることになっていますが、早く周知徹底を強化していかないとこのことは非常に難しいと私は思いますが、この後れている地域に対する生産者生産者団体への周知徹底取組について、今どういうことをお考えになって周知徹底をさせようとしておられるのか、お聞きをしておきます。
  17. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいま委員の方からお話ございましたように、今回のねらいといたします米づくりの本来あるべき姿、これを実現するためには、何といいましても農業者農業者団体意識改革を図って改革を行っていくということが重要であろうかと思っております。その際に、現場混乱が生じないようにするということも重要な要素でございますので、我々、そのための努力をしているところでございます。これまでもいろんな、いろんな説明会とかあるいはパンフレットを作成したりしましてPRに努めてきたところでございますけれども、残念ながら必ずしも十分な周知徹底が図られていないというふうに反省しているところでございます。  ただいま、西日本の方で非常に周知徹底が後れているというお話がございましたけれども、二月から三月にかけまして実施いたしました米政策改革に関する意向調査、この結果を見ましても、米政策改革大綱決定プロセスについて質問をしたところ、北海道、東北、北陸、それから九州も非常に評価しているというのが高くなっております、最も高くなっています。これに対しまして、近畿中国四国では、研究会で論議されていたことを知らない、論議されていたことも知らないというのが最も高くなっておりまして、我々、こういう近畿中国四国等におきまして周知徹底が後れていることは明らかだというふうに思っております。  そういうこともございまして、こういうところを中心といたしまして、今後精力的に周知活動を行う必要があるわけでございますけれども、これまで同様、説明会を実施あるいはパンフレットを作成したり、あるいはいろんな広報活動を行っていくわけでございますけれども、特にこの八月末に、予算概算要求時に、概算要求で結果がどうなるのかということが一番農業者あるいは農業者団体注目点でございます。これにつきましても我々、関係者に対しまして、その内容説明いたしたいと思っておりますけれども、これらの予算の問題が一番農業者農業者団体要請といいますか、知りたいことであるということがありますので、特にこれに重点を置きまして、これら地域を精力的に周知活動を行っていきたいと思っております。  そしてまた、これと同時に、先進事例といいますか、東北、あるいは九州も一部ございますけれども、非常に前向きな取組をしているところでございます。そういうところ、先進事例、こういうものを後れているところにお知らせすることによりまして全体としての周知徹底の底上げといいますか、それを図っていきたいと考えているところでございます。
  18. 岩永浩美

    岩永浩美君 今、長官から御答弁いただきましたように、西日本地域における周知徹底が十分ではないということ、今後パンフレットの作成等によって浸透を図りたいというお話ですが、ただ単にパンフレットを作成し、そのビラを配ったとしても効果が、周知徹底するとは限らない。少なくとも十六年度にそのことを成し遂げていこうとするためには、生産団体のリーダーもさることながら、担い手としてその地域集落営農のリーダーの皆さん方にまで徹底する方策、それは徹底的なやり方をしていかないと十六年度に成果を上げることは私はできないと思うので、今回の米政策がもし失敗に終わることがあったら日本の農業の根幹にかかわることになるので、少なくとも、全国、東北、北海道を中心としてある程度進んでいる、それに後れを取ることのないような形を是非推し進めていただきたいことを強く要請をいたしておきます。  また、稲作経営安定対策等についての評価について伺っておきたい。  米政策の下落傾向に対して、経営安定対策は農家の収入減を補てんしてそれなりの効果を上げてきました。これに代わって新しく今回、米価下落影響緩和対策が講じられることになりますが、産地づくり対策との選択制であること、価格補てんが、変動部分が五割となるなど、大幅な下落のときは稲作経営安定対策に比べて不利であるという指摘があります。  こうした価格下落への対応がなされた理由、産地づくり交付金と切り離して独立した支援制度にできないかという意見がありますが、この件についてはどうお考えになりますか。
  19. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいまお話ございました稲作経営安定対策、稲経につきましては、補てん率が全国一律で、地域の農業事情に応じた助成ができないという問題点指摘されておりました。これに対しまして、今回我々が講じようとしております米価下落影響緩和対策、これは、産地づくり推進交付金の中で、一定の条件の下で都道府県段階で産地づくり対策とこの米価下落影響緩和対策とを相互に資金の移動が可能な仕組みとすると、そういうことによりまして都道府県の農業事情に応じた助成が行えることをねらいとしているものでございます。  そして、ただいま補てん率につきましてお話ございましたけれども、この新しい対策では補てん単価には固定部分がございます。二百円の固定部分がございまして、当年産価格が基準価格に比べまして六十キログラム当たり七百円以内の下落でありますれば、補てん単価が、稲作経営安定対策の補てん率八割、これの単価よりも高くなるということでございます。この七百円というのは、過去五年間の平均が、下落の平均が七百円ということでございまして、これ以内であればむしろ新しい対策の方が有利だという内容になっているところでございます。  そしてまた、先ほど申し上げましたように、産地づくり対策と米価下落影響緩和対策が相互に資金の移動が可能だよということにしてありまして、その中で一定の条件の下で、都道府県の実情に応じまして、米価下落対策の全国段階で示した仕組みよりも、それぞれの県の取組で手厚くすることができるというようなことも考えております。  そういうことから、現行対策に比べまして新しい対策が不利であるということはないと思っております。  そして、どうしてこの米価下落影響緩和対策産地づくり推進交付金としてではなく独立した対策として仕組まなかったかということでございますけれども、これまでの稲経あるいは転作助成金につきましては全国一律の要件や単価を設けてきました。地域によりまして、非常に米の生産に力点を置いて米価下落影響緩和対策に力を入れたいというところもございます。これ、例えば新潟なんかはそうでございますけれども、できる限りこの米価下落影響緩和対策の方に力を入れたいというところもございます。他方で、米よりは、むしろ良品質の麦、大豆等の産地づくりを特に促進したいというところもございます。これは例えば九州の佐賀県が正しくそういうところでございますけれども。  このように、水田農業をめぐる状況は非常に全国様々でございます。我々、そういうところに着目いたしまして、今回のそれぞれの地域に応じましてどちらに重点を置くかということの選択が可能な仕掛け、仕組み、これを取り入れたということでございますので、御理解いただきたいと思っております。
  20. 岩永浩美

    岩永浩美君 それぞれの地域で御理解いただきたいといっても、そういう一つのやっぱり、まだ十分に理解されていない部分ということもあろうかと私は思います。そういう一つのやっぱり区分け、その一つ制度についての説明、そのことが周知徹底されないと、やっぱりちょっとこれはおかしいんじゃないのか、独立した支援組織をもっと作るべきではないのかという意見が出てくる。そういう一つの意見が出てくるとまた混乱に拍車を掛けることになる危険性が出てきたら困るので、是非そのことを周知徹底をしていただきたいことを強く要望しておきたい。  また、それでは、生産調整配分を国から農協へという、今回やることに意識改革をしなければなりません。配分交付金における国、都道府県の役割はどういうものかについて伺いたいんですが、新しい制度生産調整の配分式を農協並びに生産出荷団体が担うことになりましたね。基本指針による生産目標数量を基に、行政ルートでは国から都道府県、市町村へと配分、生産団体ルートでは全中から県の中央会、地域の単位農協へ配分するという両面での配分方式を維持するということになっていますが、これに対して農協側は当初強く反対をしていましたね。その理由は、米全体に対して農協にそのようなリーダーシップは求められないということからだったと思います。  そこで、今後、農協が主体となってこのような生産調整配分を円滑に行えるようにするためにはどのような意識改革、農協自体の意識改革あるいは農家自体の意識改革、どういう形でその意識改革をしていけばその実現は可能になると考えておられるのか、まずそこまで伺いたい。
  21. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 今回の対策によりまして、生産調整方式、それを大きく変えるわけでございますけれども、これが円滑にいくかどうか、これがうまく機能するかどうかは、ひとえにその農業者あるいは農業者団体意識改革に懸かっているというふうに考えております。  我々は、今回の改革におきまして、遅くとも平成二十年度までに、農業者あるいは農業者団体主体的判断により、地域の販売戦略に基づきまして、需要に応じた生産に取り組む農業者農業者団体が主役となるシステムを構築したいと考えているところでございます。そのために、十六年度からの当面の需給調整につきましては、これまでの生産調整面積配分、生産調整目標面積の配分、こういうものから生産目標数量配分に転換する、そしてまた、生産目標数量は、前年の需要実績を基礎にいたしまして客観的な需要予測に基づき設定し、配分することとしております。  このような仕組みの中で、農業者農業者団体において、自分たちが生産した米がどこに、どれだけ、幾らの価格で売れているかという需要の動向を的確に把握した上で米作りに取り組むことが経営の安定を図るために重要であるという認識が醸成されるであろうと。それからまた、どのような銘柄、品質の米をどれくらい作ればいいのかという考え方をベースとした生産販売戦略の構築に取り組んでいくことによりまして、各地域での消費者ニーズを起点とする売れる米づくりへの意識改革が図られるものと考えているところでございます。  先般、ある県の農協の会長さんが私のところへ来られましたけれども、昨年までの取組に比べて五倍から十倍の取組といいますか、勉強をしているということをおっしゃっていました。そのときに、同じく隣におりました農協の組合長さんが、去年までは必ずしも米がどのように売られるか、売れていくかということを考えないで生産をしていたと。ところが、今年はとにかく作った米がどのように売れるのかということを第一に考えて今勉強していますというお話でございました。我々、こういうことが意識改革であり、こういうことを通じて売れる米づくりが実現するものと考えているところでございます。
  22. 岩永浩美

    岩永浩美君 私は、長官の御答弁、正に農家並びに生産団体がそういう形で意識改革が進んでいることは大変いいことであり、それだけで十分に機能していけば言うまでもありません。  ただ私は、地方公共団体は今度は改正案で情報提供と指導などで側面から支援するということにしていますけれども、これで十分足りるのか。国や地方公共団体は、従来ほどではないにしても情報提供や指導以上の関与が必要ではないかと私は思っています。  今まで、減反政策推進していく上において地方公共団体と単位農協、生産者団体が一体になって生産調整決定してきました。今回の改正案では、もちろん自主的に生産団体が中心になることは言うまでもありませんが、それ以上のやっぱりいろいろな問題が派生しているところ、あるいは都市近郊、米を中心としてやって非常にその生産団体として優位に展開をされているところ以外のところでは、地方公共団体の関与並びに監視がある程度ないとうまく機能しないではないのかという危惧を抱きますが、その件いかがでしょうか。
  23. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 今回の生産調整の実施の在り方につきましては、国や地方公共団体が生産調整方針、これは生産出荷団体に作成していただきますけれども、これの作成、運用につきまして指導、助言を行うことにしております。この生産調整方針に国、地方公共団体が適切にかかわることによりまして生産調整の実効を上げたいと考えているところでございまして、我々これをうまくやることによりまして生産調整の実が上がるものと考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、地方公共団体につきましては、その地域作物の戦略、販売戦略あるいは水田の利活用、担い手の育成等の将来方向を明確にした地域水田農業ビジョン生産者団体と一体となり作成すると。決して、どの程度売れるかというのは、あくまで生産者団体の方で考えていただかなければなりませんけれども、その裏表でございます麦とか大豆、そういうのをどういうふうに振興していくかと、こういうことにつきましては、この地域水田農業ビジョンを作成することにつきまして地方公共団体と生産者団体が一体となってやるということでございます。  それからまた、先ほど言いました生産調整方針が地域農業振興に資するものとなるよういろんなかかわり、指導、助言を行っていくわけでございますけれども、その中で地域水田農業ビジョンとの整合性の問題とか、あるいは関係団体、機関との調整、こういうものにつきまして地方公共団体に積極的な役割を演じていただきたいというふうに考えております。これらによりまして生産調整の実を上げたいということでございます。
  24. 岩永浩美

    岩永浩美君 それは地方公共団体に義務付けますか。
  25. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 地方公共団体が指導、助言するということはこの食糧法の中にもはっきりと明文化されているところでございます。
  26. 岩永浩美

    岩永浩美君 明記してあることは義務付けてあるということで理解していいですね。
  27. 石原葵

    政府参考人石原葵君) この法律及びこれを、今回の改革を全体として農家あるいは農業者団体理解していただこうということで米政策改革基本要綱というのを作っております。その中で、地方公共団体の役割といたしまして、国の需給見通し作成に対する情報提供、あるいは地域水田農業ビジョン生産出荷団体等と一体となり作成、あるいは先ほど言いました生産調整方針が地域農業振興に資するものとなるよう地域水田農業ビジョンとの整合性を確保するとか、あるいは関係団体との調整などを聞いてやる、あるいは助言、指導を行うと、そういうことにつきまして地方公共団体が努めるということがその法律にきちっと明記されているところでございます。
  28. 岩永浩美

    岩永浩美君 米政策は国の基本政策ですから、生産団体が自主的にやることはもちろんですが、地方公共団体が十分にそのことに関与することは明文化されている、その明文化されていることを是非実行をしていただきたいことを強くお願いをしておきます。  また、生産調整配分におけるネガからポジ方式に今回変わりましたね。生産調整研究会の専門委員会などで確認方法のための措置をいろいろ講じることにしてありますが、果たして実際に実行できるのかどうか、若干懸念も生じます。特に過剰米が出てきた、量でそのことを決めていった場合に、過剰米が出たときの確認とかそういうものが数量でやっていったときには果たしてそれだけのことの後の処置そのものができるのかどうか、いかがでしょうか。
  29. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 豊作による過剰米の特定方法、この問題につきましては非常に議論のあったところでございます。そういうこともございまして、我々、農業者農業者団体等の代表も委員として参加していただきました生産調整に関する研究会の専門委員会、そこでも御議論いただいたところでございます。その議論の結果、その実効性やあるいは事務量を踏まえまして、農業者ごとに配分される生産目標数量、それに統計情報部が毎年公表しております十月十五日現在の作柄表示地帯別作況指数、これを乗じて算出するということにされたところでございます。これはあくまでも数字上の問題でございますけれども、そのとおりされたかどうかは、例えばこれは帳簿上で、伝票上でやりますので、例えば非常に数量が小さい場合でも、それは伝票上の問題でありますのでできます。  それから、一番大事なのは、この過剰米処理について区分出荷するかどうかということでございますけれども、この区分出荷がきちっとなされているかどうか、これは食糧事務所、新しい組織になりますが、これを通じて確認すると。いろいろな手だても考えているところでございまして、いずれにしましてもこのような数量調整の実効性を確保するための措置はいろいろ考えているところでございます。
  30. 岩永浩美

    岩永浩美君 区分出荷をされていった場合には、食糧事務所の方である程度チェックするから可能だと思います。しかし、それ以外に、それぞれの農家が保有米として自分のところで保有して、そのことが過剰米、一軒の家だけでやるということじゃなくて、非常に豊作のときにそれ以上の一つのやっぱり過剰米が出たときの確認というのは非常に難しくなるのではないのかなという心配を私はするので、それについては今言われたように区分出荷を徹底してやっていくとか、そういうことも十分にやっぱり監視をしてやっていくことは大切なことだと思うので、それは是非生産団体とも話をして過剰米が出てこないような一つの形を徹底をさせていく必要があると思うので、十分に指導をしてもらいたいと思います。  次に、裏作、転作、田畑の輪換に対する今までの助成の総括をしたいと思うんですが、現在、大豆、麦、主要作物などを中心とする水田農業対策は、先ほどから申し上げているように、水田中心とした土地利用型農業活性化大綱による共補償の強化に加えて、経営確立助成による団地化担い手への集積の助成上乗せの措置などによっておおむね七万円程度の支援水準となって、転作推進に大きな効果を上げてきたことは事実です。今回の新政策ではこれに代わって産地交付金が都道府県に交付されて、その中で地域が自主的に支援措置を講じることになっています。しかし、大豆、麦に対する個別支援は今後も私は大変重要であるので何らかの形で維持する必要があると思います。  今、減反政策機能してきたのは、少なくとも、先ほど申し上げたように、麦、大豆に対する転作奨励金があって初めて本作化してきたことを考えると、今ここで制度そのものが変わってくるようなことになると、今までずっと育成、やっと育成してきた大豆、麦はまた元のもくあみになってしまう嫌いが多分にあります。是非こうした個別支援措置を今後も並行してやっていただくことを確認をしておきたいけれども、いかがですか。
  31. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) これまで先生おっしゃられましたように、麦、大豆飼料作物を戦略作物として、その上に経営確立助成という形で団地化とか土地利用集積だとかを加算する形態で生産調整を誘導をしてまいりました。先生の御地元の佐賀県、平均的に見ますと、私の記憶ではたしか全国で一番の平均的な助成金の単価、北海道をしのいでいたというふうに思っております。団地化だとか組織化取組には頭の下がる思いでございますし、これまでせっかく作り上げてきたこのような営農を崩すなという御指摘だろうというふうに受け止めております。  私ども、基本的考え方としては、このような農家の生産意欲の喚起ということに引き続き注意を払いたいというふうに思っているわけでございますけれども、ここでもう一つは、麦、大豆と水稲の収益格差、今、十アール当たり三万四、五千円というところなんですけれども、これに対して共補償を含めまして小麦で大体六万円ちょっと、大豆で五万五千円ぐらいの助成金が出ておるということで収益格差は上回っている。  私どもとして頭が痛いのは、この生産調整面積が大きくなりますと、どうも生産対策とか構造政策予算を圧迫するというような問題がございまして、そういうようなことを踏まえながら、今後、自給率向上担い手の育成、こういうところに重点化して対策を進めていきたいというふうに考えております。  地方で、地方の実情に応じて使ってほしいということを言っておりますけれども、その基礎になる算定については、やはり戦略作物というのを麦、大豆飼料作物というふうに定めまして、その上に担い手の育成を推進するという、そういう格好で算定をして、その算定の上で地方に自由な発想で使っていただく、こういうことで推進をしていきたいというふうに考えております。
  32. 岩永浩美

    岩永浩美君 平場の農業と中山間地域を持っている地域の農業とおのずからやっぱり違います。そういう画一的にやることについては問題が一面において出てきます。しかし、だからといって、特化することについての弊害も矛盾も出てきます。しかし、日本の一つのやっぱり置かれている地形から考えると、それぞれの地域に即した農業政策をやっていくことは、当然その地域の農家の所得を守っていくことにつながっていくことですから、あえてそういう特化したことはちょっとやれないということよりも、具体的に地域に即した農業政策をやっていくことは当然必要なことでありますから、条件不利地域等々に対する一つ措置も含めて十分な対策、新しい食糧法の中において措置をしてもらうことも強く要望をいたしておきます。  次に、消費拡大としての米需要、学校給食による食生活の改善について伺っておきたい。  今まで消費拡大としていつも議論をされているのは学校給食。しかし、学校給食を食育として取り上げろということをよくこの委員会の中でも議論をされていますが、十分にその成果として上がっているようには思われない。例えば食糧庁予算の過去五年間の数字を持ってきていただきました。しかし、米政策、米の消費対策について大切なことだから今後十分にやっていくという答弁をしていただいていますが、予算の上においては必ずしもそれは反映されていない。そのことが、ぜそういうふうなことになっているのか。少なくとも学校教育の中における消費を拡大するとすれば、それは施設整備等々も含めてやっていかないと私は駄目だと思うし、それから学校の給食の職員人たちの配置についても人員増を認めないとこのことも難しいだろう。  そういう問題について文部省は、具体的に、今、新しい食糧法を作ろうとしている、その大きな消費の拡大は学校給食における消費の拡大をと一方で言っておられるわけですから、具体的に消費の拡大に向けて文部省の取組、これを具体的に申していただきたい。と同時に、食糧庁は後の委員会で私は言いますから、文部省の考え方を今日はお聞きをしておきたいと思います。
  33. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 米飯給食につきましては、我が国の伝統的な食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身に付けること、あるいは日本文化としての稲作について理解させるといった教育的意義があるということで、文部科学省といたしましては、昭和五十一年に米飯給食を導入して以来、その推進に努めておるところでございまして、特に昭和六十一年以降は週三回程度の米飯給食を導入するということを目標努力をしてきておるところでございます。教育委員会や学校を始め、関係者努力にもよりまして、平成十三年五月現在、週当たりの平均実施回数は二・八回となっておるところでございますけれども、更にその充実に向けて努力をしていきたいと思っております。  先生御指摘予算面でございますけれども、米飯給食推進のための予算といたしましては、まずは炊飯施設を含めまして、学校給食用の施設に対する助成を行っておるところでございます。これは市町村の事業量が減っておるようなこともございますし、厳しい財政事情の中で予算自体若干減っておるところでございますけれども、市町村が計画をされております事業量を確保するという観点から、毎年の予算に当たりましては必要な予算の確保に努力をしてきておるところでございます。  それから、具体的には、米飯学校給食を推進するという観点から毎年フォーラムを開催させていただいておりまして、各給食関係者の方々にお集まりいただきまして、そういう中で米飯給食の推進について討議をしていただいておるようなこともやっております。  それから、学校栄養職員が各給食を推進する上で大きな役割を担っておるわけでございますけれども、この学校栄養職員につきまして研修事業を充実いたしますとともに、現在進めております教職員定数配置改善計画の中でも増を図っておるようなところでございます。  さらに、昨年度からは、米など主食や主菜、副菜を基本としたバランスの取れた日本型の食生活を推進するという観点から、主食である米など、安全で良質な地域の地場産業や郷土食を取り入れた食材の試作、それから献立の開発など、モデル事業を実施いたしておるところでもございまして、こういうもろもろの施策を充実することによりまして更に米飯給食の推進に努めてまいりたいと考えております。
  34. 岩永浩美

    岩永浩美君 大変結構な御答弁ですが、やっぱり予算措置の中で形をちゃんと数字で示していただかないと、本当に消費の拡大に寄与することにはならないと思いますから、予算が伸びてないから私は言っているんです。だから、来年度の予算にそういう一つの形、文科省だけではなくて、食糧庁と一緒になって、やっぱり国の一つ米政策、食糧政策は、教育の現場における食育も一緒にやるという意味において両庁が合い議しながらやっていただくことをここでお願いをいたしておきます。  次に、ちょっと時間が迫って申し訳ないんですが、経営所得安定政策についてちょっとお伺いを。  今回の新しい政策によると、担い手経営安定対策が講じられることになっていますね。現行の稲作経営安定対策においても担い手加算措置が講じられておりますけれども、新しい制度がそれよりも有利だというふうには思えない。一方、価格の下落への補てんではなくて、収入補てん方式とした点は一定の評価を私自身もします。  そこで、今後の課題、この経営所得安定対策を稲作農家以外の生産農家まで広げていくことができるかどうか。そこで課題となっている農災制度と整合性の問題、保険方式か積立方式か。さらに、生産者や広く国民理解が得られるものかといった問題も含め、今後どのような検討を行っていく必要があるのか、簡単に御答弁願いたい。もう一問、ちょっとどうしても聞きたいことがある。
  35. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 担い手の経営安定対策のお尋ねでございます。  この経営安定対策、品目別ではなくて、経営をとらえて考えていく、経営の安定を考えていくということで、これは新基本法に基づく基本計画にその必要性がうたわれております。  我々、この施策を実行するに当たりまして、まず、構造改革が非常に後れております稲作につきましてまず着手をしたいと、こういうことで考えたわけでございます。ただ、この米政策につきましても、あるべき姿を目指して、将来の姿を目指してやりますある意味では過渡的な段階でございますので、今委員も御指摘のように、一歩を踏み出すという形で、これまでの価格のみならず、収入という点にも着目をし、また水田という全体に着目をした形でやっていくということでございます。  今後の方向としては作目の拡大なりそういうことは方向としてはあるんだろうと思いますが、まずはこの米政策改革のステップの整合性を取りながら検討していきたいと思っておりますし、議員が御指摘の保険方式だあるいは積立方式だということにつきましても、これも十三年には経営政策大綱をまとめる際にもいろいろ御議論をいただいておりますし、今後、そういう特質等をよく踏まえながら検討していきたいと思っております。
  36. 岩永浩美

    岩永浩美君 この経営所得安定対策については、また後日の委員会の中で質問をさせていただきたいと思う。  そして最後に、中山間地域の直接支払について伺っておきたい。  今、中山間地域において直接支払が行われていますね。平成十二年度から十六年までの五年間の措置として導入されていますが、中山間地域の荒廃を防ぐ、その役割を十分私は担っていると思う。特に、WTOで主張しているような多面的機能の発揮を図っていくという上においても、是非ともこの中山間地域の直接支払制度というのは存続させなければいけないと私は思っています。  そこで、農林水産省として、この五年間の暫定というふうに決めてありましたが、その対策期間が終了した後でも、中山間地域における直接支払制度をちゃんと継続してやっていくことにしていただいていますでしょうか。そのことをまず伺いたい。
  37. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 中山間地域の多様な役割あるいは平場と比較した様々な不利性については、委員御承知のとおりだと思いますけれども、この制度自体はこうした中山間地域の耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能を確保する観点から、農業の生産条件に関する不利を補正するという観点から導入したものでございます。  本制度の実施によりまして、これまで全国で三万三千の集落協定などが締結され、六十五万五千ヘクタールの農用地におきまして適正な農業生産活動などが継続的に行われております。また、新しい動きとして、農業後継者の参加あるいはオペレーターによる農作業の請負が始まるなど、将来に向けた芽も芽生えてきております。  平成十六年度におきましてはこの制度見直しするということは、その制度を創設した当時からその考えでおりますので、この方針に沿いまして、こうした地域の先進的な取組評価しつつ、地方公共団体などからの提案にも十分耳を傾け、更には中立的な第三者委員会などの意見も伺った上で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  38. 岩永浩美

    岩永浩美君 これ、見直すということは、廃止ではなくて継続をしていく見直しですね。
  39. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 廃止を前提ということではなくて、その評価をしながら、それをどう対応していくかということを見直すという意味で表現しております。
  40. 岩永浩美

    岩永浩美君 是非そのことは継続してやっていただくことをお願いをして、質問を終わります。
  41. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  本日は、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案審議ということでございます。昨日は、同僚の信田委員が本会議大臣の方に質問をいたしました。  この委員会の中にいらっしゃる委員の方々はそうではないと思いますが、大多数の議員の方、本会議場で主要食糧という言葉を聞くと、これはもうお米のことだなというふうに思っている方が多いんではないかと思います。  農水省でいうと、主要食糧というのは何と何ということになりますのか。それから、この主要食糧というような言い方、決め方をほかの国もしているんだろうか。もしあるとすれば、その国では、例えばこの国ではこういうものがそうだというふうになっているというような例示的なものも含めて併せてお聞かせをいただきたい。
  42. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 主要食糧の定義でございますけれども、食糧法第三条第一項におきまして、主要食糧とは、米穀、麦、これには小麦、大麦及び裸麦が含まれております、その他政令で定める食糧、これらを加工し又は調製したものであって政令で定めるものを含むというふうになっておりますが、政令で定める食糧をいうというふうに定義されております。  このように定義した理由は、食糧法第一条の目的に照らしまして主食としての役割を果たしているということ、それから我が国農業における重要な農産物としての地位を占めていると、この二つの点で先ほど申し上げました品目が政府による買入れ、輸入及び売渡しの措置を講じることが適当なものとしてされたものだというふうに理解しております。  それからもう一点、外国で主要食糧という概念があるかどうかということでございますけれども、諸外国においても、当然のことながら、その国の食生活や農業における重要性を踏まえて農産物について各般の施策を講じておりますが、御指摘のような主要食糧という概念、これを用いているかどうかにつきましては、我々調べましたけれども、なかなか分からないというのが実情でございます。
  43. 郡司彰

    ○郡司彰君 ほかの国では、国民一般の間にこれは我が国にとって大事なものだという共通の認識はあるだろうと思うんですね。それを法律的な枠の中で定めているところはほとんどないというようなことになるんだろうと思います。  それで、今の答弁の中に、米だけではなくていろんな麦があると、それ以外のところについても考え方としてはあるんだというようなことですけれども、大臣にちょっとお尋ねをしたいと思いますが、基本法の議論の流れからも、それから自給率をどうしようということの中でも、米それから麦、更に大豆を加えて戦略的な作物として扱っているような気がするんですが、私の思いからすると、米、麦だけではなくて、この大豆も含めて主要食糧というような概念ではっきり持っていてもいいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 御指摘大豆につきましては、我が国の食生活におきましては大変、大豆、これは重要な役割を果たしておると、こう思いますが、今長官からも申し上げましたとおり、農業生産物、重要な農産物でありますけれども、米や麦と異なり主食ではないと、このように認識をいたします。食糧法主要食糧と、こういうところに位置付けることは適当ではないんじゃなかろうかと、このように思います。
  45. 郡司彰

    ○郡司彰君 これまでも、例えば一朝有事になった、その有事の状態が何年か続く、あるいは輸入が完全に途絶えているときに、じゃ、そのエネルギー消費といいますか、そういう計算だけで人間というか日本人というのは成り立っていくんだろうか。みそ汁を飲んだり、そういうような形の中で一定のバランスを取れるということになると、私は、この大豆というのも非常に重要な側面を持っているなということで、そういうことを常々考えております。  この主要食糧ということと直結するわけではございませんけれども、米の備蓄ということが行われているわけでありますが、主要食糧を最低限一定程度備蓄をしようというような考えであるとすれば、これは麦についても同様のことがあってもよいと思いますし、私自身考え方からすれば大豆も含めてというような思いがありますが、この辺については大臣どうお考えでしょうか。
  46. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 御指摘の、みそ汁あるいは豆腐というのは大変日本人の食生活につきましては重要な分野であります。若干、残念ながら、その辺、みそ汁の消費というものも少し減少傾向にあると、こういうようなところもございます。  しかし、やはり食生活を考えるときに、ある程度の備蓄というものは、またこれ必要な品目ではなかろうかなと。年間今二十日分の備蓄というようなことを日本は実施しておるというのが現状でございまして、御指摘は十分理解できるわけでありますが、なかなか、どの辺までどう備蓄をするかということは非常に難しい一面があろうかと思います。
  47. 郡司彰

    ○郡司彰君 それから、大臣、以前、国際的に備蓄問題を考えなくてはいけないというような話がされたわけでありますけれども、国内の備蓄ということと国際的な備蓄ということについて、今、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  48. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国のWTO農業交渉におきまして、開発途上国が深刻な飢餓やあるいはまた栄養不足問題を抱えております。食料の安定供給の確保が最優先の課題になっておることにかんがみまして、開発途上国の食料安全保障の強化の観点から、食糧援助を円滑に実施できるような国際的な枠組みとして国際備蓄構想を提案をしておるわけでもございます。  具体的には、既存の二国間や多国間の食糧援助のスキームを補完し、一時的かつ大規模な食糧不足の発生に対処するため、基礎的食糧、米、小麦、トウモロコシ等について各国が既存の在庫の一部を充てることを基本として、国際的な枠組みの下に備蓄をするという提案をいたしておるところであります。この提案につきまして、各国、途上国を中心に支持や関心を表明をされております。  インドネシア、スリランカ、フィリピン、ベネズエラ、エジプト、スワジランド等々、興味深く、真剣な検討が必要だと、あるいはまたインドでは、緩やかな多国間の合意の下に日本の提案のような国際備蓄を構築すべきだと、あるいはタイ、カナダ等につきましても関心をお持ちいただいていると、こういうような状況でございまして、重要なこととして、またWTO農業交渉、こういう観点からもこのことは主張してまいりたいと、こう思っております。
  49. 郡司彰

    ○郡司彰君 主張していただきたいとも思いますし、準備というものもやっぱり一方でなければそれはならないんではないかというふうに思いますが、国際備蓄を行うという場合には、先ほど言いましたように、国内の備蓄量プラスどのぐらいのことをお考えに入れておりますか。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
  50. 石原葵

    政府参考人石原葵君) この国際備蓄構想というのは、一つの特徴は、各国が既存の在庫の一部を充てることが基本でございまして、決して国際備蓄分として余分に備蓄するというものではございません。各国がそれぞれ持っている備蓄、そのうち一部をこれは国際備蓄用分として、我々イヤーマークと言っておりますけれども、そういうことをするというのが前提でございますので、御理解いただきたいと思います。
  51. 郡司彰

    ○郡司彰君 現在国内で行われているものは、先ほど大臣が言ったような日数分を取りあえず確保している。しかしそれが、事があればほかのところにも持っていくということになると、実質的に、国内で何かがあったとき、国外で何かがあったとき、それが同時に起こったときには国内のものが現在よりも少ない数で備蓄をされているという結果になるわけですね。  そういうようなことも含めて、日本の国際的な貢献の在り方も含めて、今の考えではなくて、新たにそういうものをきちんと確保するということもあってしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  52. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 先ほど申し上げましたように、各国が既存の在庫の一部を充てるということでございますけれども、この国際備蓄構想が実現ということになりますれば、我々、それに対応して、今、委員がおっしゃいましたような問題がないように、要するに、国内の分がその分犠牲とならないような措置をしなきゃならぬと思っております。  いずれにしましても、この国際備蓄構想、我々がWTOの交渉で提案したところでございまして、各国から非常に関心示されておりますけれども、これからの問題でございます。  それ以前の問題としまして、我々、東アジアの備蓄構想という、これはASEAN地域の国々が熱心に取り組んでおられる問題がございます。我々、これを取りあえずスタートさせたいということで取り組んでいるところでございます。
  53. 郡司彰

    ○郡司彰君 余りこの問題で時間を使うことにもならないんでありますけれども、備蓄の在り方、方法についても、私どもはかねがね回転備蓄よりも棚上げの方がいいんだというようなことを申し上げてまいりましたし、これからのバイオマスの活用等も含めて、あるいは市場の価格を一定程度混乱させないということも含めてその備蓄の方法についても検討をいただければというふうに思っております。  次に、今回この法改正がなされるわけでありますけれども、意識を変えなければいけないということについては先ほど岩永委員の方から質問がありまして答弁をいただいておりますから、できるだけ重複避けたいと思いますが、いずれにしても、今決めて十六年度からということになるわけでありますが、これが決まりますと、具体的に、自治体でありますとかそれから系統組織でありますとか、あるいは生産者でありますとかあるいは消費者も何か変わるところがあるのかどうか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 石原葵

    政府参考人石原葵君) これから消費者がどう変わっていくかということでございますけれども、我々、今回、これまでの生産調整の配分の方式、これまでは面積で配分しておりました。それを数量で配分するように変えましたけれども、これによりまして、例えば、生産者はこれまで一定の面積の中で、割り当てられました面積の中でできるだけ多くの量を作ろうという判断の下に米の生産へ取り組んでおられたということで、どうしても有機米とか減農薬米、そういう収量が落ちるもの、そういうものについての取組は後れていたわけでございます。しかし、今回、数量での調整ということになりますと、当然有機米とか減農薬米になりますと生産量が落ちますので、その分、より多くの面積生産することができます。そういうことが許されますので、生産者はそういう取組を増やすであろう。  その結果として、消費者にとって非常にニーズの高い減農薬米あるいは有機米、そういうものの生産が進み、安全、安心な米の供給につながるものと考えておるところでございます。
  55. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほども出ていましたが、各自治体、市町村は、既に水田農業振興ビジョンというものをそれぞれのところで作成をするように依頼をしていると思うんですね。そういう作業がこの法律が変わることによって具体的に何か変わるのかというようなこともお聞きをしたいと思いますし、それから、逆に言うと、もう来年の稲の準備は、もう春もみとか何かも、もうこれは春のうちから手当てしているわけですね。今から来年のことを変えるというのは、何が具体的に変わるんだというと、ほとんど変わらないと思うんですね。  そうすると、生産者からすると、何が変わったんだということよりも、何も変わらないで、来年も今年と同じように作付けをして、それでこの法律が変わったことによって何か変わりますか。
  56. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 十五年の生産は従来どおりやっておりますけれども、十六年からは従来の面積による配分から数量による調整に変わるということでございます。この十六年についての準備はまだこれからでございます。  ですから、先ほど言いましたように、農家にとりましては、これまで自分が減農薬あるいは有機米、消費者ニーズの非常に高いそういうものの生産に取り組みたいと思いましても、どうしても取組についてちゅうちょが見られたと、そういうことがこれからはなくなるものと考えております。  我々、そういうこと自身が売れる米づくりにつながるものと考えているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  57. 郡司彰

    ○郡司彰君 お聞きをしていると、どうかなというちょっと感じがいたします。  例えば、来年度はそんなに変わらないけれども、二十年ぐらいまでにはこういうものをきちんと移行をして行われるということもあるわけでありますけれども、このことを知らずにずっと今までどおりやっていて、二十年ぐらいになったときに、知らずにということは実質的にはないにしても、何か不都合が生じますか、生産者の方に。
  58. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 質問の趣旨がよく理解できないんですけれども、我々、とにかく農家、農業者団体理解を求めなきゃならぬと思っておりまして、これまでも、先ほども大臣がお答えしましたように、説明会とかあるいはパンフレットを作ったり、あるいは集落段階での座談会も開きまして、そこに食糧事務所の職員、あるいは県あるいは市町村、そういうところの地方公共団体の御協力もいただきまして、周知徹底に努めていただいているつもりでございます。我々、そういうようなことを通じまして意識改革、農家の意識改革をしていただくことが重要だと考えておりまして、そういうものを通じて売れる米づくり、我々が目指している売れる米づくりを実現したいと思っております。  確かに、先生おっしゃいましたように、なかなか、例えば農業者あるいは農業者団体が主役となるシステム、これは二十年度までに実現するということにしておりますけれども、なかなか一挙に最終の姿の実現は難しいと思います。いろいろ試行錯誤があろうかと思っておりますけれども、例えば、当該農協がどの程度のものを作ればいいのか、どの程度の生産であれば、あるいはどの程度の量、あるいはどの程度の質のものであればこれは売れるのかということにつきましては、すぐ来年の十六年度から答えが出るものじゃないと思っております。こういうものは何年かやっているうちに、我々、実力と言っておりますけれども、それぞれの農協が大体これぐらいのものを作れば、これぐらいの量を、これぐらいの質のものを作れば間違いなく一〇〇%売れるというのが分かってくる。それを通じまして、二十年度までに農業者あるいは農業者団体が主役となるシステムを実現したいというふうに考えておるところでございます。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 二十年ぐらいまでにその意識を持っていないと何が変わるのかということは、今おっしゃったように、売れるものをきちんと作るようなことをしないと駄目な地域が出てくるよというようなことなんだろうと思いますね。来年から変わりますよ、今こういう法案審議をしていますよ、知っているんですか、知らないんですかというと、先ほど言ったように知らない人が多いわけです。  それで、実際に現場の方にいろいろちょっとこの前も話を聞いてきましたけれども、系統の方の方々の認識からすると、これが正しいとは思いませんが、どうも今まで自治体というか行政の方でやってきたことを何かおれたちの方に振ってきたなというような認識でいるところもあります。それから、先ほどのビジョン関係でいえば、高品質米とかいろんなものを作付けをしなさいとか、そういうものを指導している。  なぜ私、先ほどから分かりづらいと言われているようなことを言っているかといいますと、簡単に言うと、今までもいろいろもう何回もいろんなこと変わったよと。変わった都度、その都度本気になって取り組んできたって何もいいことなかったというか、言うことを余り聞かない方がかえって良かったんだというような認識というのが多いんですよ。だから、この辺のところを、今回はこちらの方が意識変わってもらわなくちゃ困るというようなスタンスで、本当に考えていらっしゃるようなことが機能すると思っていらっしゃるのか。  その辺について、もう少し農水省なりが何かしらの努力というか、これ、法案が通ったらば早速これまで以上にこんなこともしなくちゃいけないというふうなことを思っていらっしゃるのかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  60. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、いろいろ御指摘をいただき、実は全国の各ブロックあるいはまた三千からの、一町を除きまして三千の全国の町でも説明会をし、またJAにつきましても、現実にいろいろ今、一JAを除きまして九百二JAでその説明会をいたしております。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  また、私も農業団体皆さん方にお目に掛かり、またいろいろお話をする中で、本当に真剣に取り組んでいただいておりますことに大変私うれしく思っておるわけでありまして、是非、今回のこの問題、農業団体の御理解をいただいて生産調整見直し、こういうことを御理解をいただいておりますので、私ども、省を挙げてこれからも繰り返し繰り返しこの問題の説明、また生産者農業者皆さん方の御理解を得るような努力をいたさなければならない、こう思っております。
  61. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、農業生産ということに関して、例えば農家から見ると、これは多面的機能のために私は農業をやっているんだという人もいるかもしれませんが、おおよその方は、やっぱり所得というか、なりわいとして成り立つかどうかということでするんだろうと思うんですね。自治体の方からすると、これもまたいろんなことを言いますけれども、結論としては、就業の機会といいますか、就業の関係をきちんと地域の中でそういう産業で保てる、そしてまたそれが納税ということにはね返ってくればいいというようなことなんだろうと思うんですね。  国にとって農業生産というのは、どういうような思いというか、目的というか、ねらいというか、そういうことで今行っているんでしょうか。
  62. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) これは、食料、農業、農村政策の基本指針に示しております食料・農業・農村基本法におきます食料の安定供給の確保、さらに多面的機能の発揮、また、これらの役割を将来にわたり十分果たしていけるようにするために農業の持続的発展、その基盤となる農村の振興、この四つを基本理念として掲げて、その実現に向けて基本的な施策を進めておるわけであります。また、この実現のためには、国、地方公共団体、そして農業者等、関係者のそれぞれの立場でのそれぞれの役割を果たしていただくことがまた重要なことであるわけであります。  こうした点におきまして、いわゆる国は基本理念にのっとりまして食料、農業、農村に関する施策を総合的に策定をし、そして実施する責務を有するわけであります。これは七条にも規定しておるわけであります。また、地方公共団体につきましても、基本理念にのっとりまして国との適切な役割分担を踏まえまして、そして自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定そして実施するという責務を有すること、これは八条に規定をしておるわけでありまして、農業者につきましても、農業とこれに関連する活動を行うに当たりまして、基本理念の実現に主体的に取り組むことを第九条で定めておるわけでありまして、国といたしましては、地方公共団体、農業者農業団体等、関係者との間でこうした認識の一層の共有、こういうものを図ることによりまして、関係者さらには広く国民皆さん方とのコミュニケーションを一層緊密にすると同時に、国民理解と信頼の下に関係者が一体となって食料、農業、農村政策を力強い展開をするということが必要なことではなかろうかと、このように思っております。  これらの問題につきまして、先ほども申し上げましたとおり、特に米政策の転換、こういう大きな制度改正をいたすわけでありますので、やはり積極的に我が省が努力をし、特にまたいろいろな政策を進める中でも国民理解をなかなか得ていないと。また私ども、PRと申しますか、説明不足、こういうことが非常に目に付くわけでございまして、先般来、幹部の諸君にも、いろいろな政策をそれぞれ一生懸命立案をしておりますけれども、どうもその効果、これはそれなりに得ておるわけでありますが、なかなか説明不足、PR不足、こういう点が欠けておるんではなかろうか。こういう点を十分留意をして、そしてこの目的を達成するように指示をしたところでもございます。十分その辺を踏まえて、この農業政策の基本理念というものを徹底し、それに沿う努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  63. 郡司彰

    ○郡司彰君 農家からすればやっぱり所得の問題というのが大事だろうと思っておりまして、先ほどから大臣がおっしゃったような国のねらいと結果としては合致をするような形でもって所得を確保する道をそれぞれ考えているんだと思うんですね。前にも基本法のときか何かにもお尋ねをしたんですが、そういうものもあるんですよということも言われましたが。  例えば、北海道だとか関東だとか四国だとか九州だとか、余り大ざっぱにすると具体的にはならないのかもしれませんが、この地域、この県ではこういうような組合せの農業をやっていて、このぐらいの面積でということで、労働日数もこのぐらい投下をすればこれだけの所得が上がるんですよ、農業で立派に食べていけるんですよと、そういうモデルがあったらばちょっと、例えば何県でも結構ですからおっしゃっていただけますか。
  64. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 日本の場合、地域的に非常に特色もございます。それから、多様性にも富んでおるということでございます。担い手状況も違いますし、経営規模の拡大の進展状況も違いますし、また生産されている作物も違うということでございますので、我々その構造政策を進めるに当たりまして、こうした各地の経営実態、農業実態を十分踏まえていく必要があるということでございます。  委員も今御指摘ございましたが、新しい基本法ができまして、平成十二年の三月に基本計画を作っております。その中で、同時に、農業構造展望とそれから農業経営の展望と、経営と構造対策におきます指標をモデル的に示しておりまして、国が示したものは主要の地域別ということで、北海道でありますとか東北九州、基本的にブロック単位でまずとらえております。また営農別にも、水田作でありますとか畑作、畜産、こういった類型を示しております。  そして、これは国の段階でこれを示したわけでございまして、都道府県なりあるいは市町村におきましては、この国が示しましたモデル経営を参考にしていただきまして、それぞれの地域の実態に即して作っていただくということで、地帯別、平地でありますとか中山間地域でありますとか、また、複合経営をも踏まえた営農類型、こういった形で、目標とする所得水準あるいは農業経営の規模のモデルといったようなことできめ細かな対応をされております。  今、例示ということで申されましたが、例えば、東北の山形におきますと、平たん部におきましては水稲と大豆とネギを組み合わせた類型ということで示されておりますし、それから、平たん中山間部では水稲、スイカ、花のストック、ソバ、こういったものの組合せ、あるいは中山間部に行きますと、水稲、リンドウ、タラノメといったものを組み合わせた経営類型ということでそれぞれ使用されておると、こういう実態にございます。
  65. 郡司彰

    ○郡司彰君 簡単にちょっとお聞きをしたいと思いますが、今、山形県の例示をいただきました。四十七都道府県でおおよそそういうものができ上がっていらっしゃいますか。
  66. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私ども認定農業者制度を作っておりまして、各市町村がそういった構造展望なりその方針を決めることになっております。農地がない市町村、あるいはそういう等がございますので全市町村ではございませんが、基本的に、認定農業者制度を活用したいという地域におきましては何らかの方針を出しているというのが実態でございます。
  67. 郡司彰

    ○郡司彰君 そこで、出されたような数字と実態とのところで、合致をきちんとしているのが非常に多くなってきている、あるいは実態とかなり乖離をしている、どちらが多いですか。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) こういう認定農業者制度の目指すべき方向として数字を出しておりますので、やや高い水準が理想として目指されておりますので、現時点でおきますと、まだまだ格段の努力が要る。また、最近の農作物価格の低迷というのもございますので、やや乖離が出ているというのはあると思います。
  69. 郡司彰

    ○郡司彰君 要するに、私の方で頭の中で考えると、やっぱり所得を確保するということをきちんとやっていかなくちゃならない。それから、大臣が先ほど、既におっしゃったように、これからの農業のことを考えれば、環境保全をするというようなことも一つの中でとらえていかなくちゃならない。それから、国の方で今までもやってきた、これからもやっていこうという構造政策をやっぱりきちっとやって、そういうものとこれからの考え方を合わせるようなことをやっぱりやっていかなくちゃならない。  ところが、所得は確保する、環境には保全をする、全部まとまってできるかというと必ずしもそうならないわけですね。所得の方に頑張るような地域、あるいは作物がある。それから、環境保全を主に考えるような地域というものも出てくる。そういうようなところに対して、それぞれ違ったような対応というものが出てきてもいいんだろうというふうに思うんですが。  例えば、私は、今度、いろんなところで構造改善事業とか何かをやる、圃場整備をやる。そういうときには、終わったらばこれは集落営農とか農地の集積とかということが形としてでき上がるようなところはそれをやる、それが確約できないところはちょっと考えますよというようなことがあってもいいだろうと思いますし、そういうことのときにしかなかなかうまくいかないんだとすれば、そういうことも一つ考えていいかなと。  ただ、農地が集積をしたのが、どこまで増やせばいいんだというと分からないわけですよ。先ほど信田委員は、昨日の本会議場で、自分のところで四十ヘクタールとかなんとかと言いましたけれども、それは北海道的にいうと、四十が多いのか少ないのか。ところが、うちの県なんかでいったらば、四十というのはかなり多くなってきているなと。それ以上のところも、まだ、もうたくさん出ています。七十とか八十とかというところもたくさん実際は出ています。集計に出てこないだけで、実際の集積というのはかなり農業センサスよりも進んでいますから。  そういうふうなところで、じゃ、米だけ作ってどこまで増やしたらば所得が増えるんだというと、これはどこまでも増やせば増えるというものでもないんですね。だとすると、やっぱり周年でもって就労、就農をするためには、施設園芸か何かと一緒にやるような形も取らなくちゃならない。そういうふうなところと、水田は一定の労働日数ででき上がるということになって農地も保全されるけれども、畑地だということになると、これはもう投下する労働日数が増えれば増えるほどもしかすると所得が上がるかもしれない。そこだって、面積はどのぐらいまでできるんだということになると、一定のところまでだと。じゃ、それ以上のところになると結局はどういうふうなことが起こってくるかというと、これはもう人を雇って農業を一緒にやるしかないわけですよ。  で、雇う場合に、外国人労働力というのが現実にはもうたくさん活用されています。この外国人労働力に対して、私どもはよく分からないんでありますけれども、制度上とか、どういうふうになっている、こんな使い方をしていいんだというふうなことが余り分からない。現場の方も、何かちょっと後ろめたいような気持ちでもってそういう雇用をしている場合もある。  この辺について農水省としては今後どういうようなお考えでしょうか。
  70. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国は、外国人に対する研修、技能実習と、こういう制度を実施しておるわけでありまして、これは、研修生を送り出す国への技術移転を通じた我が国の国際貢献の一環として位置付けておるわけでありまして、その状況、実施状況は、一年以内で行う外国人研修につきましては、平成十三年度に、畜産を含めた農業分野での受け入れた研修生は約二千三百人、また外国人研修に引き続いて行う技能実習につきましては、施設園芸、採卵鶏等の職種を対象に五百十名の受入れとなっておるようであります。  この外国人研修・技能実習制度は、我が国農業の担い手の確保あるいは育成対策とは目的を異にするものでありまして、外国人労働者の受入れにつきましては政府全体として別途検討されるべきものと、このように考えます。
  71. 郡司彰

    ○郡司彰君 研修あるいは実習という言葉がよく聞かれまして、現実には、もう逆にもうトラブルのもとになってきているんですよ。ですから、これは早急にその考え方を打ち出さないと、先ほどから言っているように、主要食糧については四十万戸ぐらいの担い手や何かを作っていこうとか、これだけ農地を集積してやりなさいと言ったときに、実際にはこれはもうできないんですよ。そういうものを一方でどこかに置いておいて、実態としてはもう使っているんだと。  それから、大臣、例えば一年間の研修とか実習じゃなくて、季節的に繁忙期だけ使いたいなんということも幾らでもあるんですよ。そのときだけ今使っている労働力も相当あるんですよ。  ところが、これらは表向きにはそんなことはないみたいな数字とか答え方になってくると、これは、農業でやっていきなさい、所得も確保しなさいというようなことにこれなってこないんですね。これ、早急にこの問題については一定の考え、どうするかというのは大変な議論が、必要とすると思います。しかし、このまま放置をしておいて、片方で生産を上げなさい、所得も確保しなさい、農家が専業でやっていくようにします、とてもなりません。これちょっともう一回答弁いただきたいと思います。
  72. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) これ、大変いろいろの関係に省庁それぞれあるわけでありまして、私ども農水省といたしましても、今委員指摘の点、私も、私は神奈川県でございますけれども、そういう中で研修という形でおやりになっておりますことを承知しておりますけれども、実態はどうかなと、こう思うところもあります。  是非これ、政府全体として検討すべき問題と、このように認識をいたしております。委員の御指摘、またそれぞれのところにも関係する話だと思いますし、十分検討させていただきたいと思います。
  73. 郡司彰

    ○郡司彰君 検討いただきたいと思います。重ねて余り言いませんが、結構、二千万、三千万、四千万という所得を得ている農家はたくさんあります。そこは必ず外国人労働力を当てにした経営を今行っております。早急に検討をお願いをしたいというふうに思います。  それから次に、改良助長法というのがあるそうでありまして、来年あたり改正をするというような準備をしているのではないかなというちょっと話を漏れ承っておりますが、これについてはそのような準備があるのでしょうか。
  74. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この協同農業普及事業、試験研究機関等で開発をされた革新的な技術を現場に合った形に組み立てて普及する重要な役割を果たしておると思います。先般も申し上げましたが、私、つくばに参りましても、大変すばらしいいろいろの技術の開発をされておるわけでありまして、それらが現場に、また若い大変意欲を持っております農業者がそういうものを取り入れて生産をしていただけるのは大変すばらしいことだと思いますし、そういう面で、この普及員の皆さん方役割というものは大変重要なものがあると、このように認識をいたしております。  また、米の問題につきましても、米政策の転換と、そういう中で、このビジョン作り等々、農業者あるいは団体と、そしてこの数量をいろいろ、需要に合う数量をいろいろおまとめいただくと、そういう中でも、あるいは有機米であるとか無農薬であるとか、あるいは消費者ニーズに合った米の生産と、こういうことを導入するにつきましても、この普及事業の普及員の仕事というのは大変私は重要な分野になるんではなかろうかと、このように考えております。  これらの問題、いろいろその質を高める普及職員の資質の向上と、あるいはまた試験研究機関、農業大学校あるいは普及組織による一体的な支援の充実強化あるいはまた革新的技術、経営方式の普及等、地域農業のコーディネート等への事業の重点化と、こういう面で大変重要な役割を果たすと思います。  そういう面で、いろいろの法の改正も視野に入れた中で、必要なことを積極的に考えていく必要があるんではなかろうかと、このように思います。
  75. 郡司彰

    ○郡司彰君 今度は行政の方は側面的支援ということにこの法案でもなっているわけですね。この今大臣がおっしゃったような形ならそれはいいんですが、実際には、これまでと違って、任務分担を見直しをしましょうと、そして時には、もしかすると、必置義務をなくしていこうと、今でも行政のほかの機関と併設をされているというのがかなり増えてきておりますが、今度は必置しなくていいんですよというような中身になってくると、これはやっぱりちょっと問題が出てくるかなという感じがしております。  例えば、この二種兼業その他というものをこれからどういう位置付けにしていくんだということと、この普及センターをなくすかどうかというのは非常に近い関係にあるんだろうと思います。今、私が、おっしゃったような形の改正ということになるとすれば、これは今回、もう本来であればそういうことも含めて議論をしなければいけない。しかし、まだこれがあって、少しほとぼりが冷めたらまたこういうものがぱらぱら出てくると、結果としてでき上がってみると、かなり政策誘導をしながら、二種兼業その他については国がもうどんどんどんどん手を引きますよというようなことになりかねませんが、大臣、改めて考えをちょっとお聞かせいただきたい。
  76. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今御指摘の件は、経済財政諮問会議に私呼ばれて、委員が御指摘の問題につきましてもいろいろ御意見もあるわけであります。私、終始一貫、先ほど申し上げたようなことを繰り返し、農業の明日、こういうこと、そして特に技術の問題等々につきまして、普及員、普及事業の重要性と、このことを主張しておるわけでありまして、若干、今、意見が対立をしているというようなところもございます。  私は、先ほど申し上げましたようなその重要性と、またこの普及事業の在り方検討会、こういうところでもいろいろ今日まで御議論もいただいておるわけでありまして、考え方を貫いてまいりたいと、こう思っております。
  77. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっと時間がありませんので、最後に、大臣の方で多分いつも目にしていらっしゃるかもしれません、こういうものの運動があります。(資料を示す)ファイブ・ア・デーって、一日五皿ぐらいの野菜を食べましょうというような運動でありまして、プラス日本的には、七十グラム掛ける五皿で三百五十グラムぐらい一日に野菜を食べようという運動があります。私は、この運動がアメリカから始まって、日本でもやろうというような、これはいいことだろうと思うんです。問題は、日本人の体に合った食の在り方ということとこういうものが結び付くのかということの例示でちょっと出させていただきました。  私は、日本人の食生活、今までの歴史を見ても、それから今の日本人は、私は、ちょうど八十歳ぐらいとか五十歳ぐらいとか二十歳ぐらいというのは体の仕組みも相当違うんじゃないかと思っています。私ども五十代は、二、三十年、二十代、三十代のころになってようやくお肉を食べるようになって、その後もう幾らでも食べて、沖縄みたいに長寿県が一挙に落ちるような生活になっています。八十ぐらいの方は一定程度もう体が落ち着くころまではお肉なんかを食べないような日本型の食生活みたいな、今の子供さん方はもう生まれたときから肉は幾らでも食べられるような生活をしている。  これ、日本人だけでも今非常にばらつきが出ていると思うんですが、しかしながら、日本人の体、そういうものに合ったような食というものを、今、日本は、厚生労働省とか文科省とか、いろんなところでもってそれぞれやっておりますけれども、農水省、音頭を取って、ひとつ日本人の体に合った食の問題というのを検討するというようなことについて、大臣はどうでしょうか。
  78. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 大変貴重な御指摘をちょうだいし、アメリカでファイブ・ア・デー、こういう運動を展開をされ、特に野菜、果物の消費量が減少している今日であります。その消費拡大を図らなければなりませんし、また、日本人の食生活、これを大変高く、日本型食生活、高く評価をされておるわけでありまして、そういう面での御指摘の点と、私なんかもできるだけ、太りぎみでありますから、肥満というところに入るすれすれのところにあるようでございますから、日常、野菜を、また果物をと、特に野菜を取るように努力をいたしておるところでもございます。これ、健康増進法、こういう法律も制定をされたわけでありますし、これ省庁、いろいろの緊密な連携と、こういうものを取って、食生活、日本人の食生活が若干今変わってきておりますことを総合的に健康の意味合いを含めまして考えていかなければならないと、こう思います。  また、農水省といたしましても、農水省の立場で御指摘のようなことを十分検討してまいりたいと、こう思います。
  79. 郡司彰

    ○郡司彰君 終わります。
  80. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 二番手として御質問いたします。私は民主党・新緑風会の信田です。またの名を百姓ということになっています。  昨日は本会議場で大臣を絶賛したところ、同僚議員からあれは何回もやったんで褒め殺しでないかというふうに注意を受けましたので、何せ私は新人で、まだ一年生というよりも半年生にもなっていないということで大臣に対して本心をそのまま申し上げたわけでありますが、これが注意を受けるということですから、これからは本心を言わないことにしようかなと思っているところでございます。  まず、大臣に御質問を申し上げたいんですが、本法案の目的である米政策見直しにつきましては、単に生産調整とか需給調整の見直しと、こういう意味での政策、それだけのことだけでなく、要するに、これまでの農政のあるいは国際的な変化に伴うところの政策の行き詰まりということが私は大きな原因になっているんではないかと思います。  とりわけ、今日は言い苦しいんですけれども、長い間の自民党農政の私は行き詰まりだと、こう言いたいんですが、参議院の自民党の先生方は非常に私仲良くしていまして、悪い人はいませんからこういうことを言いたくないんですが、特に委員長三浦委員長は、三浦農水、違う、一水というぐらいの人ですから、私はそういう悪口などを言うことはできない関係ですけれども。  率直に、いい悪いの問題ではなくて、現状、世界的な変化の中でそういうことも言える状況の中で、要するに政策の行き詰まりの中から、あるいは先ほどのお話がありましたように様々な米政策を、場合によっては一年一年変えなければならないような状況の中で来た結果、新しい米政策として本案を抜本的に今変えようというふうなことでありますけれども。  私は、この政策の行き詰まりということを打開するというだけのやり方、あるいは生産調整批判を受けた、あるいはうまくいっていないと、そういうことだけで新しい米政策を作ってそれを農業団体や農民の自主的な選択にするんだと、こういう要するに農民にゆだねるんだと、こう言われてもそう簡単にうまくいくものではないんではないかなと、こんなふうに思っている一人でございまして、なぜならば、急激に今日の農業情勢や国際情勢やなんかが変化しておる中でありますから、特に私はここで強く申し上げたいのは、これまでのことが失敗だったとか、そういうことだけの指摘ではなしに、現在、目の前にこれから起きてくる大きな問題に対するそういうことを考えるときに、現在のこの米政策、いわゆる米大綱、生産調整見直しは、私は、WTOの情勢からいってそんなことをやっている暇はなくて、WTOの農業交渉だけでも米自体が負けてしまうんでないか。  もうこれだけでお分かりのとおり、関税でも負けますし、ミニマムアクセス米もどんなに強く言っても一向に国際的には受け入れられる情勢になく、以前よりもしかしたら増えるんでないかなどという状況ですし、様々な作物のセーフガードについてさえこれは廃止しようではないかと、こんなような厳しい状況の中ですよね。  ですから、要するに、私は、小手先の法改正で主食を守るんだと、しかも今回のはどうも小手先よりもっと悪いのではないかな、実行しにくいんじゃないかなということを考えて、主食なんですからね、もう大臣、これ主食というのはやっぱり国の責任、国民全体の責任として合意を得て抜本的に、常に国民の命を守るという理念を持ってなきゃならない。  こんなような状況にあるときに、私は今大臣に質問したいのは、先日の小泉総理がサミットにおいて最終的にWTO農業交渉の早期妥結といいますか、そういう合意を確認していますよね、小泉総理。これは私は、最近特にブッシュ大統領にかわいがられているといいますか、人気ありますよね、小泉さんね。それで、どうも危ないのではないかと、農林省も私どももここは一丸となってこのWTO交渉になっているのに、どうも小泉総理が、サミット、これはもう百五十か国以上のWTO加盟国から見たら、あのサミットだけで世界を牛耳ろうというのはちょっと私は納得いきませんけれども。そういう意味からいっても、小泉さんがサミットで農業合意を約束したということは私は重いと思いますよ、一国の私どもの総理でありますから。  これに、今日はまじめな大臣とは言わないことにしましたので、真剣な、米、大臣が小泉総理が約束したんだからやむを得ぬなどと言われると、そう簡単に早期合意だとか様々なことで飛び越えて合意ということは私は許せない。我々農業関係ばかりでなしに、日本国民としても非常に重大である。しかも、EUは、十か国の新しい加盟国も含めて、CAP政策、いわゆる共通農業政策を大胆に変えようとしているわけです。寝返るという言い方はどうかとは思いますけれども、いつ急激に合意に向けて変わるか分からないという中で、いわゆるサミットでの小泉総理などの約束などに向けての状況下で亀井大臣はどのような御決意をお持ちでしょうか。
  81. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この間のG8、サミットにおきましては二〇〇四年末までの交渉目的の達成と九月のカンクンの閣僚会議で必要な決定を行うことの確認がされたと、こういうことは承知をいたしております。  これから、特に、三月三十一日までにモダリティーが確立できなかったと、そういうことで、できるだけ早期にこのモダリティーを確立するということで加盟国の共通認識になっておるわけでありまして、御指摘のように大変重要な問題でありますし、私は先般も総理にお目に掛かったときにも、米政策と、食糧庁廃止をし、そして今日御審議いただいておりますように、農業者農業団体、大変理解をちょうだいをいたしまして大きな今、法案審議に入っておると、こういう中で、特にWTO交渉の問題、大変重要な問題であると、こういうことを再三申し上げておるわけでありまして、この間も、私、EUの関係者、あるいはジュネーブに参りましてもWTOの関係者に日本の実態、このことを強く申し上げてきたわけであります。  これからもいろいろ日程、国会の日程もありますけれども、九月に向かってそれぞれ粘り強く日本の主張というものを私は主張いたします。そして、そのことを成し遂げることによって、この問題に、今御指摘のような御懸念、大変厳しい課題に遭遇するわけでありますが、是非、国民皆さん方の御理解と御協力と、前にも申し上げましたが、いろいろなところに参りまして、WTOの問題あるいはFTAの問題等々、経済界や関係皆さん方に申し上げるわけでありますし、さらには米の自給率の問題、六〇%海外に依存をしていると。こういうことをもう毎回毎回申し上げるわけでありますが、意外に、大変私は残念なことでありますけれども、まだまだそういう理解を、国民的な理解を得ていないというのが本当に今、私、実感をしておりまして、そういう面でもまだまだ努力が足らないなと、こう思っておるわけでありまして、是非、WTOの問題等々につきまして国民的な御理解と、また先生方のそれぞれの立場でのお力添えをこの機会にお願いを申し上げ、この農業交渉につきましてその目的が達成されるようにお力添えを賜りたいとお願いを申し上げる次第であります。
  82. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 決意は確かに決意で、私も同じ、同感でございますけれども、どうも官邸主導になったとき、いつも農業は負けています。その結果、地方と、日本の食料自給率や様々な問題が今日の状況になっておることを考えるときに、私はやっぱり農林省主導できちっとこの農業問題はWTOで決着が付くように頑張ってもらいたいと思います。官邸主導に対しては、是非、挙げて、農水省を挙げて抵抗しながら国民のために頑張っていただきたいと思いますし、官邸主導になると私は国益を損なうような結果になりそうで非常に心配しております。  あわせて、これにかかわるとは思いますけれども、どうもWTOがサミットでも約束をしなければならないぐらい困難な交渉が続いているために、一方では、FTA、いわゆる自由貿易協定で、二国間ででもそれぞれの国の利益を上げようではないかということが非常に強まっていますよね。私は、怖いFTAと、こう言っているわけでありますが、どうもその中で、財界や経済界やマスコミも、農業関係の議員や私どもにFTAの交渉を阻害しているのは農業関係だと、こういうふうなことが最近強まってきています。要するに、我々に圧力が掛かっていることに私は懸念をしている一人であります。  もちろん、自由貿易協定について私は否定するものではありませんけれども、農業だけが邪魔をしているわけではありません。命の糧である農業はどの国にだって大切なのに、亀井農林大臣は先頭になって今のところ二国間協定については抵抗していますけれども、どうも現在の動きを見ていますと、国内経済界、産業界、いわゆるこれは自民党の最大の選挙応援団員ですよ。僕は、もしかしたら、与党の皆さん、ここにいる人は絶対抵抗してくれると思いますけれども、自民党の大きな団体というものに負けたら、タイの米も含めて、WTOの先に二国間で米が入ってくるということを私は懸念されると思うんですよね。  ですから、是非与党の皆さんはそういった経済界や財界の圧力やあるいはマスコミに負けないで、一番大切なのは米だ、食料だ、農業だということで、FTAの関係は是非大臣を先頭に、副大臣政務官共々、農林省を挙げて頑張っていただきますことを特にお願いをしながら、ここにも小泉総理がどうも登場するんですよね。何か言って得点を上げてきて、いい顔をしようとするんでしょうが、これ、小泉総理は国民の支持はあるんですが、与党の支持は、自民党の支持はないというふうに私は伺っておりますけれども。  そんな意味で、是非大臣、交渉のテーブルにのってまんまと米問題や農業問題がFTAでやられないような国にしていただきたいと思いますが、断固反対できますか、与党内、自民党内の中で。
  83. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) FTAの関係と、これはWTOを補完する、こういう関係から経済連携やFTAを積極的にいろいろ進めると、こういうことは理解できるわけであります。  昨今、タイから首相がお見えになり、またいろいろ関係者がお見えになり、私は終始一貫日本の置かれております立場を強く申し上げております。そして、官邸にも、このFTAの問題、いろいろ再三申し上げておりますし、役所のそれぞれの関係者も、これ我が省だけでなしに経済産業省も関係をすることでありますし、特にメキシコとの政府間交渉等におきましては共同議長省と、こういうことで、外務、財務、農水、経済産業省と、これで積極的に参画をしておるわけであります。  しかし、これは私どもは、農林水産省といたしましては、農業団体関係者理解というものが得られなければ、また国民的な理解も得られなければならないことでありますので、いわゆる研究会等々をするようにと、こういうことを主張し、またタイの問題につきましては総理にもお話を申し上げ、御理解を得るような、若干懸念をしたところもございましたけれども、あのような発表で今日まで来ております。  これからも私は、やはり産官学一体になってどうするかということを十分議論をしなければならないわけでありますし、さらに団体、農業団体皆さんともお目に掛かり、御意向も伺い、またそのことをこの交渉に、タイとの問題につきましては事前にいろいろ申し上げて今日に至っておるわけであります。これからもそのような姿勢でその使命を果たしてまいりたいと、こう思っております。
  84. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 是非その決意で進めたいんですが、若干、経産省の云々というのが出ましたから、弱腰にならぬでいただきたいと。なぜかといいますと、WTOは今ですけれども、ガットのときにもこうやって経済界から、米を自由化しないからだ、農産物を自由化しないから日本経済は駄目なんだと、産業はどうのこうのと。自由化しても何してもどんどんどんどん落ち込んでいるじゃないですか。食料の問題じゃないですよ。それぞれの企業は自分たちの企業としてやればいいんであって、よそに押し付けてきて自分たちが良くなろうなんというそんな考え方はもう通らないんですよ、国際化の中では。堂々とやってもらわなきゃならぬと。  ここで、そのことで私は言っているので、マスコミも全然、本来、命の糧である農業、農業は決して空気中から持ってくることはできないので、その国の国土を守ってやるんだということを知らないからそういう勝手なことを言うわけですよね。毅然としてやってもらわなかったら今後も絶対私は許せないと、こういうふうに、大臣を怒っているわけじゃありませんから、思っているところであります。  これ以降はそれぞれの関係部局の方からお答えいただきたいんですが、内容に入りたいと思いますが、まずこの改正法案につきまして、本法案米政策を総合的かつ抜本的に見直すんだということで始まっているんですが、私は、見る限り、どうも生産調整研究会で議論されて出だしたときはまだ良かったんですが、いつの間にか何となくいろいろと、周りからいろいろ言われまして、産地づくり推進交付金以外は本質的には余り変わっていないんじゃないかと、むしろ財政面などで削減された分、農民や農民団体の不安を招いているだけで余り変わっていないんじゃないかなと、こんなふうに考えている一人ですね。  特に、現在考えられている予算、まだ決定ではないんですけれども、五百億円ぐらい、これまで使っていたものよりは、支出されたものよりは少ないというふうに聞いておりまして、与党と農業関係者農業団体が特にこれは認められないと、認めるわけにはいかぬというようなふうに言われておりまして、これまでの積み上げてきた法改正についての様々な問題はいわゆる三者合意になっているんですが、予算についてはどうもこの三者合意になっていないんではないかと、こんなふうに思っているところで、先日といいますか、昨日ですか、昨日辺りも、自民党の福田官房長官に対して堀内さんとか谷さん、谷先生などが強く、けしからぬと、もっと予算を増やせ、こういう要求をしているわけなんですけれども。  そのことがいい悪いと言っているわけじゃありませんけれども、本質的に変わらない米政策を出して、そしてまた農業団体政府・与党などからやってまた二千九百何がしに戻した。これは国民の僕は信頼を失ってしまうと思うんですよね。やはりやるときは毅然として政策改革をするんだということを通していくぐらいのものでないと、これは非常に問題だと。もちろん、私どもは、私も米十町も作っていますから、今の状態より後退しますと所得に影響しますから、不満ですから言いますよ。やっぱり抜本的にきちっとやる場合はそのぐらいの決意でなきゃならぬと思いますが。  局長のお答えをいただきたいんですが、そういった意味で、いつの間にか十六年度の予算のときには二千九百億になっていって、国民からいろいろ言われてしまって何なのかと、こんなことになりはしないのかどうか、お答えください。
  85. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 生産調整関係予算でございますけれども、ただいま委員の方からお話ございましたように、十五年度予算、十四年度に比べまして約五百億弱減少をいたしております。  これは、御案内のとおり、十四年度から十五年度に生産調整目標面積が従来の百一万ヘクタールから百六万ヘクタールと、五万ヘクタール拡大いたしております。十四年度には二千九百億あったわけでございますけれども、このときには、超過達成、より生産調整をしっかりやってもらおうということでいろんな助成措置が講じられていたわけでございます。それを、百一万から百六万に五万ヘクタール増えたときに、そういう超過達成とかいろんな助成措置、これを見直そうということで見直した結果が、現在の十五年度予算の二千四百億というふうになっているところでございます。  我々、十六年度予算で米問題についての予算をどうするかというのをこれから考えなきゃならぬわけでございますけれども、これは十五年度の二千四百が一応のベースになりますけれども、それをベースといたしまして全体の農林関係予算がどうなるのか、その中で、米関係あるいは生産調整関係にどれだけ割くことが適当か、そういうのを総合的に勘案しまして決定させていただきたいと思っております。  何といいましても今回の米対策は、需給調整対策、それから生産構造対策、それから流通制度、こういうものを、先ほど先生がおっしゃいましたけれども、総合的、抜本的に行うものでございます。これを整合性を持って実施しなきゃなりません。そういうこともございまして、我々、この十六年度予算概算要求、八月の時点で決定させていただきたいと思っておりますけれども、それまでに全体の総合性、整合性を取りながら、農林水産省予算全体の中の適切、効果的な編成という観点で決定させていただきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  86. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 予算だけで施策が必ずしもうまくいくとは言いませんけれども、大体厳しい農業経営状況でございますので、それぞれの新しい施策に対する予算生産現場で納得しないとするならば、私は、非常にこの生産調整全体の実施状況がうまくいかない可能性が高いということ。生産調整が実施うまくいかなければ、需給調整の失敗から価格の問題や様々な問題が派生しますので、私は非常に懸念をしている一人でございまして、この今回の大綱全体を認めて言っているわけじゃありませんけれども、大体この与党案で通ることが強いという情勢の中では、やはり成功してもらうのが私ども農民としての願いでありますから、是非その辺につきまして、村づくり推進交付金など、最も農民や地域が目指しているところに手厚くして、この実施が成功するような方向で、与党や団体の言うことだけでこの法の改正が実施、法の改正による大綱の成功がなくならないように、あるいは世論から批判されないようにお願いをしたいと思います。  次に、この法案で、消費者に軸足を置いたものと、こう言って、今回消費者を意識したことは私は当然であるし非常に良いことだと思うんですけれども、具体的にどういうことを、先ほども若干言っていましたけれども、どうも消費者に軸足を置いたと言う割には、本当に消費者がそれで納得するのかなということを考えております。私も五十年も米を作ってきていまして、最終的に消費者が一番望むのは何だったかというと、安い米を望むんですよね。そこが一番ポイントになっているわけですが、消費者に軸足を置くということは、言葉では言っていないんですが、農民に安い米を作れと、そのことが消費者に軸足を置いたんだというふうに取られそうなんですが、いかがですか。
  87. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 米を取り巻く環境、先ほど来言っておりますように閉塞状況ということで、そのような中で、新しい米対策というのは、あくまでも消費者ニーズを起点といたしまして、効率的かつ安定的な経営体が市場を通して需要を鋭敏に感じ取り、価格のみならず安全、安心等、様々な需要に即応した生産を行う、これが基本的な考え方でございます。あくまで価格のみならずという、ここにポイントございまして、決して安いものを消費者が求めておるわけじゃありません。もちろん外食用とかそういうところでは味よりも価格というのが非常に業者さんの関心事項であります。それは消費者のまた関心事項でもありますけれども、それだけではありません。むしろ安全、安心ということで、先ほど申し上げました有機米あるいは減農薬米、そういうものについての消費者ニーズは非常に高いわけでございます。そういう付加価値のある米を消費者は求めているわけでございますので、そういうものにも的確に生産者対応していく必要があるというふうに考えております。  我々、決して安い米を作るということが今回の改革じゃありません。あくまで消費者ニーズを起点として、消費者の求めるもの、それを作り出す、それが売れる米づくりだということで取り組んでいるつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
  88. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 これは前に岩永先生も質問していますけれども、多様な政策を変更してくる中で、これはずっと、価格は可能な限り消費者の求める安いもの、しかも安全でおいしいものというのはずっと私どもが求められ、しかも農民自身が追求しているんですよね。もう、おいしい米を作れというと、後は味の素か砂糖を掛ける以外にないぐらい頑張っているんですよね。こんなに頑張っていて、ただ安全でおいしい米を作ってくれ、あるいはまた安くする、裏付けが今回のこの制度できちっとなされていないと私は見ているわけですね。  それで、それだけを追求しても、農家のコストだけがかさむだけで、非常に難しいと思いますし、例えば有機栽培米などはもうかなりのところでやっています。私も無農薬で売っていますけれども、味は非常に、議員会館や議食でなど食べれないぐらい私の米はおいしいですよ。努力していますよ。ただし、無農薬ですから、経費は安いですね、農薬代安い、と、そう簡単にいかないです。これ減収しますからそうはいかないですよね、様々な問題ありますから。そういうことに対しての裏付けが今回の場合非常にない。もちろん民主党では、そういう意味では、新しい法案の修正を出しながら御議論をいただいていますけれども、この法案そのものについては、裏付けがないために、私は、ここの部分での生産調整需給調整が非常にうまくいかないんではないかというふうに心配しているんですが、この点については長官どうですか。
  89. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 先ほど言いましたように、消費者ニーズを起点として、とにかく消費者の求めるものをこたえていただこうということで、価格が安いわけじゃありませんということを申し上げました。無農薬、減農薬米、そういう有機米、こういうものにつきまして消費者は求めているわけでございます。そういうものの生産がしやすいようにということで、従来の面積による管理から数量調整という方式生産調整方式も変えたわけでございます。それが一つの裏付けでございます。そういうことを通じて、より生産者消費者ニーズに合えるような、そういう米の生産ができるようにということで今回の改革をしたつもりでございます。
  90. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 どうも役所の裏付けは、努力をした者についての裏付けとして所得が裏付けされていないことを言ったのに、答弁はちょっと納得いきませんけれども、分かりました。  次に、同じくこの法案では、売れる、今言った中での売れる米づくりですね、これがもう答弁しているような形ですけれども、言われていますけれども、我々農民はもう常に、先ほど言いましたように売れる米づくりをずっとやってきまして、安心、安全、もう全部やってきましたので、一番問題なのは、やはり出荷した後の備蓄などで、おいしくない米などがまた市場に出回るとか様々な問題の中で、努力したものが全部消費者に届いていないという、そういう状況の中で今日こういうふうになっていることもございますので、後ほどまた若干申し上げますけれども、そういった意味では、この法案に多くの欠陥があることをまず申し上げながら次に行きたいと思いますが。  次に、この改正案の中で、構造政策、経営政策、それから生産対策の総合的な取組でこの米政策を見直すんだと、こう言っていますよね。言葉的には確かにそのとおりでありますが、この中身は依然として構造政策中心になっていると、私はこの予算関係や様々なものを見ていると受け止めざるを得ない。米政策はこれまでほとんど、ほとんどというか、かなり構造政策はもうやってきて、大方の地域では構造政策として大体もう終わっているんではないか。さらに、その構造政策でコスト下がったり市場競争や国際競争に勝てるというようなことにはなっていないと思うんですね。それを、さらにまた構造政策をやって、経営政策生産対策に対する予算は先ほど言ったような五百億も減るというような状況では、生産現場ではこれは見直したことにはなりませんし、先ほども言いましたように、これでは農民が納得しない。  やはり、私は、構造政策は、もはやもう世界の流れからいってインフラ整備のようなものはもう完全にやめて、やはり経営政策生産対策政策ですね、私は対策、嫌いなんですが、そこに重点を置いたいわゆる農民政策に完全に見直すべきだと、こんなふうに思っているわけでありますが、依然として公共的な予算構造政策を重点にしているというふうに見受けられるんですが、いかがですか。
  91. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 我が国の農業の現状をやはり見ますと、やはり経営規模が総じて零細でありますし、また分散錯圃の状況にあるわけでございます。  もう既に十分やったではないかという委員の御指摘でございますが、まだまだ私ども、効率的、安定的な農業経営が生産の相当部分を担う構造という意味では、農地の流動化でありますとか、やはりその条件となります農業農村整備事業といった施策は非常に重要であろうというふうに思っております。ただ、そういうことを進めるにつきましても改善は必要でございまして、担い手の経営規模の拡大に結び付くように利用集積の重点化を図るとか、また農業農村整備事業についても、これまでの体系を見直しまして、農地利用集積でありますとか、経営体の育成等、いわゆる成果、アウトカムの重視へ転換するといったような事業実施が必要であろうというふうに考えておるところでございます。
  92. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 今、川村経営局長からお話ありましたけれども、構造政策で効率的などというものは私はもう求められることはないと。さらに、いわゆる流動化による規模拡大ですね。北海道においてもそうですが、規模拡大した人が最も苦しんでいるというのが現状ですよね。それはもう把握していらっしゃると思いますが、これからはそういったものよりも、村や里できちっと生きていける、そういう農民政策地域政策を作って、農民にきちっと自主的な判断の上で自分たちが構造政策といいますか、水田をどういうふうに直すとか、いろんなことを考える。力が付いたら規模は拡大していくならいいけれども、政策的に世界競争にも勝てないような構造政策を優先させても、ますます農民や村や里は疲弊するばかりなんです。そういう意味合いで私が言っているのに、いまだにこの新たな米政策ではそちらに踏み込んでいないと、こんなふうに思うんですが。  じゃ、あれですか、規模拡大して効率なんて上がったんですか。ほとんど効率上がっていませんよ、私どものところでは。どうですか。
  93. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) データ等を見ますと、経営規模が拡大するに従ってやはり生産コストでありますとか、生産性は非常に上がっておるのが実情でございます。  農村というものを考えますと、正にそういう担い手とまたそれを周辺で支える農家の良好な関係というのが必要でございますけれども、やはり現状を見ますと、まだまだ私どもが基本法の下で目指します状況には達していないということで、やはりその点での政策努力はまだまだ必要だというふうに思っているところであります。
  94. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 確かに、規模拡大して機械化をしたりすると、単年度、償却年度の、機械などの償却をしていくと、若干このコストが下げられて生産性が上がりますよ。私も最初から十町持っていたわけじゃありませんから。三町四反から、おやじからもらってやり出したんですが、どんどん借金だけが増えていって、いまだに借金をしているという状況ですから、必ずしもそうでなくて、私は農民に、農民自身が力を付けた上で、自らが投資をした上で構造政策に取り組むような政策に返れと言っているのであって、決して規模を拡大したりなんかは駄目だと言っているわけじゃないので、国が、何も国際競争で負けているときに、国自らが構造政策に膨大な税金を使う必要はないと、別な使い方があるんではないかと、こういう意味合いで申し上げていますので、お分かりでしょうから、是非これからの政策に加味していただきたい。  次に、産地づくり推進交付金の関係。  実は、これは、私は九月に議員になってこちらに来ましたときに農水省の皆さん方と協議をして、これからは市町村に主体的を持たし、その市町村が自分地域に合ったような施策を入れるべきだと、こんなことで、現在、この産地づくり交付金が、交付金が出ているわけでありますけれども、私が求めた最大の目的はこういうことなんですよ。村や里、いわゆる集落が力を合わせて地域を守るんだと、そういう理念に基づいてこの交付金を出すべきだと。  要するに、国を守るんでなくて、村を守ることによって国が守られるんだと。国を守るのが先でないんですよ。自分の住むところを守れなきゃ、これはもう駄目なわけでありますから、いわゆる村と里と集落が先に自分たちの自治で自分たちの力で守っていくために、これまで使ってきた米政策予算を村づくり交付金として出すべきだと、こういうふうに言ってきたんですが。  そこのところは、最初はそうだと、先生がおっしゃるとおり、飲み食い、酒を飲んだりとか、それは駄目だけれども、あとはすべていいと言っていたのに、最近になりますと、どうもこれまでの悪い癖なのか知りませんけれども、県や、私どもの北海道もそうですが、その金や制度にしゃしゃり込んできて、何だかんだ言っているわけですよね。やはり、せっかく農林省の地方分権政策として非常に注目を浴びています、これはすばらしい政策ですから、府県が介入したりしないで、もう全く、飲み食い以外はすべて市町村に任すんだと。正に、そういうふうにしてこそ生きた金として使っていけるんではないかと、そういう交付金にすべきだと思っていますが、いかがですか。
  95. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 基本的なこの産地づくり対策考え方は先生おっしゃるとおりでございます。地域考え方、発想で地域の農業を発展させていくんだ、そのために地域の発想で使っていただきたい。  実は、過去十年以上前から地域農政という言葉がよく言われまして、自由に市町村で使えるような予算というものを何回か仕組んだことがあるわけでございます、生産調整のみならず構造政策等につきまして。また、こういうお金が一番会計検査院の指摘を受けたのも多いわけでございまして、一例は、先生正におっしゃいました村の人たちがバスを借り上げてどこか温泉地へ行ったとか、あるいは市町村が車を買って、転作確認車という名目で車を買ったとか、そういうことをされると私どもも困るものですから、やはり最低限のガイドラインというのは国が示して、それについて都道府県段階がいろんな文句を言わぬように、国がお示しをしたいと。  例えば、生産調整のためという目的がありますから、このお金を酒食用にオンするというのは、これはちょっと問題が多いと思うんですけれども、先ほど先生言われたような有機農法だとか、それだと生産量を減ずる効果があるわけですから、それはそれである程度の支援というのはいいんじゃないかとか、いろんなケースがあると思いますので、その辺のところはガイドラインに示させていただきたいというふうに思っております。
  96. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私は、そういう意味合いのものは制約ではなしに、ガイドラインとして、それはもう国の税金を使って地域の問題として取り組むわけですから、そのぐらいのことは常識として当たり前なので、それはいいと思うんですが、別な意味で使い方についての制約がだんだん成り掛けていて、私は懸念をしている一人でございますので、是非私が言わんとしている趣旨をお考えの上、担当のところで最大効果のある交付金として生きた金になるようにお願いをいたしたいと思います。  次に、この米政策で、私は最も大切だし、これまでもこの問題から生産調整や様々な米の問題がうまくいかなかったんではないか、これはやっぱり過剰米対策が最大の要素であると私は常日ごろ思っているわけであります。もちろん、これは過剰米と併せて備蓄も含めて考えなければならないわけで、備蓄につきましては、先般、民主党で衆議院の方で私どもの考えを示していますが、ここでそれを言うわけではございませんが、過剰米があることによって生産者消費者も国も様々な問題を起こして、この米問題について常に問題があったわけですね、起きたわけですが。  どうもその裏には、生産者の欲で、本当は百作ればいいのに百一とか二作らせろとか、様々なことがあったことは私ども自身としても反省はしますけれども、要するに、過剰米によって、生産者は今度はきちっとしないと価格への影響が非常に大きくなりまして、ちょっとでもだぶつきぎみだといったら価格下がりますから、これは収入も所得も減りますし、あわせて、生産調整を今度は自らやっていく、あるいは団体とも協議しながらやっていく場合、過剰米などが需要動向につかみ切らない場合、生産調整の判断が非常に難しくなるとか、要するに、過剰米対策というものは、生産者にとっても国民にとっても、国民、いわゆる消費者にとっても、過剰だから安くなるだろうと思った、そういった本来の米の価値というもの、生産の、生産性とか様々なことの価値以下のことを考えたりするようになりますし、先ほども若干言いましたけれども、過剰米としての米を、それを市場にもし流したとするならば、これはまた味の問題や古米としての、米の消費に対する信頼を失って消費を減退させるとかありますし、国にとっては、財政上非常にこれ、国民の税金が少ないときに、不足のときに非常に国民から非難されやすいと、過剰米は。  そういう意味で、過剰米対策をこの際いかにするかということこそ私はこの米大綱の最大の私はキーポイントになると、こんなふうに思っているところで、まず、そういう意味で、過剰米の最大の要因は、私は豊作のときの問題だと思いますが、本来、やはり農水省としては様々なときに、豊作は国民として喜ぶべきだということが今日まで子供の教育も含め欠けていたのではないかと、これがまず一つですね。  それから、今回やろうとしていますところの短期融資の関係も、みみっちい三千円などと言わないで、私は、自主流通米価格センターの産地銘柄別の平均取引価格の一年間の平均、全国平均のものに対して八〇%ぐらいを融資して、そして、まず農業をきちっと持続させておいた上で市場に流さないでやるという方法をこの大綱の中でもやってほしいということをお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  97. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 今回の米改革で、我々、生産調整に関する研究会、その場でいろいろ議論してまいりましたけれども、その際に団体の方から特に強く求められたのがこの正しく過剰米対策、これをどうするかということであったというふうに理解しております。それが最大の関心事項であったわけでございます。我々が本日も先生方に申し上げておりますように、また、これまでも農家、農業者団体意識改革ということを申し上げておりますのも、正にこの過剰米対策、これをどうするかということでございます。  我々は、そういう意味で、この過剰米短期融資制度、これについてより多くの農家の方に参加していただきまして、米にかかわるいろんな問題、米価の下落という問題、そういうものを引き起こさないようにということにしていきたいと思っております。  それで、ただいま委員の方からお話がございました、この融資単価をセンターの平均取引価格の八〇%にしてはどうかというお話でございますけれども、この過剰米の販売価格というのは、これをどこに売るかということでございますけれども、例えばそれの最終的な売り先としてはえさでございます。そうなりますと、一俵当たり、六十キロ当たり九百六十円というものになります。あるいは、これをもう少し高いところになりますと、米粉パン用、要するに粉にするということでございますが、そうなりますと四千円から五千円ということになります。いずれにしましても、過剰米の販売価格、そういうものをよく見て価格設定をしなきゃならぬと思っております。  仮にこの過剰米の販売価格よりも高い価格ということになりますと、そもそも今回の改革の重要なポイントでございます需要に応じた生産、そういうものの必要性が農家に伝わらないという大問題がございます。それに加えまして、仮に貸付金の返済が米の引渡しでなされた場合に、その融資元であります米穀安定供給確保支援機構、これが差損を抱えるということになります。したがいまして、我々、この融資単価の設定につきましては慎重にならなきゃならぬと思っています。  いずれにしましても、この融資単価を含めまして、制度全体の運営につきましては十六年度予算概算要求決定時までに決定させていただきたいと考えております。
  98. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 もう一問あったんですが、米の表示の関係、通告してありましたが、隣の先生がたっぷりやるそうでございますので譲りまして、ちょうど時間となりまして、何秒か残っていたんですが、これで私の質問を終わらせていただきます。  終わります。
  99. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  100. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  101. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  この本委員会の議題となっております法案の前に、一点だけちょっと大臣にお伺いをしたいと思います。  盧武鉉韓国大統領が来日されまして、未来志向の日韓関係が強調され、北東アジアの平和と繁栄に向けの協力で合意をいたしまして、誠に意義ある訪日であったと思っておるわけでございます。  その際、七日の夜、東京港区の飯倉公館で小泉首相の主催の晩さん会があったということでございます。そこで、初めに乾杯されたのはどういうお酒であったかは御存じでしょうか。
  102. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私は、その晩さん会に招待を受けておりませんので、どういうお酒だったかちょっと存じ上げません。
  103. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いろいろと調べてみますと、広島産の大吟醸という日本酒だったそうでございます。  なぜかこういうことを申し上げるといいますと、私、去年の十二月五日、当委員会で、お米の消費拡大ということで、やはりお米を原材料とする国酒である日本酒、これを大いにPR、普及広報をしなきゃいけないんじゃないかと、農水省といたしましても、そういうことで大島当時大臣に、是非ひとつ、公賓とか来賓とか来られたときには、まず乾杯はシャンパンだとかワインではなくて、国酒であり醸造技術でも最も優れておる日本のこの清酒でもって乾杯すべきじゃないかと、というふうに、実は私、岡山の地元の米どころのところで一生懸命お酒造りしている酒造メーカーの方々から言われまして、そのことを大島大臣お願いいたしまして、大臣はそのことを外務省にも、また自分が主催する場合、いろいろな局面でそのようにいたしましょうと、このようにおっしゃっていただきました。だから、このたびの首相の晩さん会が日本酒とは言いませんよ、しかし、そういう意識を絶えず持っておかなきゃいけないだろうと、このように思いますが、今後、そういう国賓、来賓、また賓客等々があったときは、まず国酒たるべく日本酒で乾杯というふうに大臣もしていただければと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  104. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 大変貴重な御意見をちょうだいし、たしか岡山県は酒米の山田錦の主産地ではなかろうかと……
  105. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 雄町米ですよ、雄町米。
  106. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 最近は、じゃ雄町米に移りましたか。ずっと心白のある山田錦という酒米を承知をしております。  また、御趣旨のように努力をしてまいりたいと、こう思います。
  107. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 山田錦も作っておりますが、雄町米という、これが好適酒米ではもう最高であると酒類総研が絶賛をしておりまして、ところが彼らが使っている、試験で使っている、研究所で使っているのは山田錦なんですね。どうして雄町米を使わないのかと言ったら、雄町米は高過ぎて、この我々の研究費じゃ買えないというぐらいにすばらしいお米を使って造っておる備前酒、備前のお酒ですね、備前酒でございます。そういうこともひとつまず、この法案審議の前に御要望をまず申し上げておきたいわけでございます。  さて、このたびの、昨年の十二月に米政策改革大綱ということが取りまとめられまして、それを受けての今回の法改正ということでございまして、私どもも、大綱を作成するときからいろいろ党内でもまた与党としても、またこの法案の事前審査でもしっかりと審査をさせていただきまして、この方向で是非ひとつ新しい日本の米政策を作り上げていこうと、こういうことで賛意を表明しているところでございますが。  まず大臣にお伺いしたいのは、そうはいいながら、アンケート調査を見ますと、農水省のアンケート調査でございますが、先ほど同僚委員からも御指摘ございました、この米政策に最もかかわる農業者の中で、大綱の決定プロセスを知らないというのが四割、全然関心がないというのが二割という結果が発表されていることは御承知のとおりでございます。  そういう意味では、これ四月のアンケート調査だそうでございますから、一か月少々前でございまして、さあさあこれからこの米政策改革大綱、それから法案が通った後の、法案の趣旨にのっとった農業者また関係団体の皆様方にどのようにしてこれを更に一層理解をしていただくように意義徹底をしていくかということが非常に大切だと思いますが、まずその辺のところのお考えをお聞きしたいと思います。
  108. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども御質問もございましたが、やはり農業者農業者団体等々、また私どもも意識改革が一番必要なことであります。そういう中で、お話しのとおり、四月の意向調査と、そういう面でその関心が、まず評価の問題、あるいは関心が薄いと、こういうような調査のことを承知をいたしております。  いろいろ全国ブロックに分けて、今日までもそれぞれ大臣が出向き、あるいは副大臣政務官あるいは食糧庁関係者、あるいは我が省の幹部が出向きまして、いろいろ説明会を実施をし、また町村、あるいはまたJA、このところでも相当その説明会をやっていただいておるわけでありまして、まだまだそのような調査の結果というものは重く受け止めて努力をしなければならないと、こう思っておりまして、引き続き精力的に説明会等を実施をしてまいりたいと。またあわせて、農家の方々に分かりやすいパンフレットの配付であるとかあるいはメールマガジンであるとかホームページ等々の広報活動と、これを周知徹底をしてまいりたいと、比較的分かりやすい広報活動が必要なことではなかろうかと思います。  また、八月末の概算要求、これに向かって節目節目に関係者に対しまして施策の詳細な説明と、こういうこともまた必要なことではなかろうかと。この問題を含めて周知徹底をなお一層図ってまいりたいと、こう思っております。
  109. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 重要な政策のまず改革でありますから、今大臣おっしゃった方向でしっかりと徹底をお願いしたいと思うんですが。  特に私、岡山に住んでおりますが、中・四国は非常にそういう意味では認知が低いんですよね、方面別でいきますと。実は私の義理の弟も、三反ぐらいの米作りとあとサラリーマンの兼業農家でございますが、今回のこの米政策改革についていろいろ聞きました。すると、どう言っているかというと、三反や四反の稲作の農家であれば、兼業ですよ、今回の米政策改革は正に、もう私たちは、いわゆる委託をしてどなたかに一切農作業をお願いして一反当たり一俵か二俵か現物でいただければ、そういうふうなもう感じになってしまうんだと。こういうふうに言っておりまして、今度トレーサビリティーがどうしたとか、そのトレーサビリティーの中でも農薬投与の履歴がどうだこうだ言われると、とてもじゃないが兼業農家はそんな労力ありません、またそれだけの設備も、施設も設備もありませんというようなことで、乾燥機を今更買おうとも思いません、田植機を買おうとも思いませんという中で、やはり三反、四反、そういう規模の稲作農家は、これはもう大規模化のところへ委託をお願いをすると、こういうことになるし、そうしようと自分は思うよと、こういうことでございました。そういう意味では、今回の米政策改革は、非常に事前のそういうふうなサウンドが農家の方々に行っているのかなと。  それはそれとして私はいいと思います。競争力のある米作りと消費者ニーズに合った米作りということを考えれば、そういう三反、四反などの小規模な稲作農家が土地の集約化、集積化ですか、それからまた、大規模なところに委託をして一つの農業生産法人でも作って頑張っていただこうと。地域の経済の大きな雇用のまた大きな吸収の場でもあると。こういうことになるのではなかろうかということで評価しております。  ただ、何となく、先祖伝来の土地を預かっていながら、草ぼうぼうにしちゃいけないということで、採算性は全然ないんだと。コンバインを買って、コンバインとそれから田植機を買ってやっておれば、三反、四反じゃとてもじゃないが利益なんかないんですよと。農薬も要ります、肥料も要りますということでございますが、そういう大規模化になって、将来、この米政策改革の目的に達していくんならばそれはそれで私は大きく評価いたしますが、そういう三反、四反ぐらいの小さな稲作をやっておられるような方々に対する、これは寂しい面もあるでしょうし、そういう方々にも本当に納得していただけるようなこの米政策改革大綱中心とした周知徹底をしなきゃいけない、あんたらもういいんだよ、さよならというわけにはいかないと思いますね。これから農業生産法人にするにいたしましても御協力願わなきゃいけない、またいろんな地域での産地づくりをするのでも御協力願わなきゃいけないと、こういうことでございます。  そこで、問題は、その三反、四反ぐらいの農家の方々に対する特段のメッセージが必要なんだろうなと、こう思いますが、突然の質問でございますが、どなたかお答えできれば。
  110. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいまお話がございましたように、二月から三月にかけまして調査しました意向調査、この中でも非常に、今お話ありました副業的農家、あるいは一ヘクタール未満の農家、こういう方たちの認知度といいますか、はまだまだ不足していると思っております。  我々、こういう方々にも、今、日笠委員の方からもお話がありましたように、だれか、どなたかに委託して、その農業生産から離れていただくというのも一つの答えでございますけれども、そういう方々が自ら集落経営体という新たな組織を作っていただきまして、そこで中核となって農業をやっていただくということも考えられる姿でございます。  いずれにしましても、本日、我々申し上げておりますような、それぞれの地域での地域水田農業ビジョン、これの形成過程で集落の単位でそれぞれの人たち皆さん話合いをよくしていただく、そしてこの地域担い手をだれにするかと、それを明確化していただく。そういう作業を通じまして、どういいますか、担い手中心にそこに委託するとかいう方法も考えられますし、あるいは自らが皆さんと一緒になりまして集落経営体を作るということも考えられます。いろんな方法がございます。  とにかく、地域水田農業ビジョン、そのビジョンづくりの中に自ら参画していただく、そして担い手をどうするかということを明確化していくその過程で望ましい、あるいはあるべき答えを出していただければと思っているところでございまして、そういう方向に我々、誘導するためにも、今回の米改革の姿、全体像の周知徹底、これにつきまして、先ほど大臣申し上げましたけれども、より一層努力していかなきゃならぬと考えているところでございます。
  111. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 米の消費拡大と供給とは裏腹になっておるわけでございますので、この消費拡大の方について何点かお伺いしたいと思いますが、これ一体、日本の国民の米の消費量というのはどんどん下がっていますが、那辺に減少の要因があるのか分析をきちっとした上で対策を立てなきゃいかぬわけですね。傾向と対策というのは非常に大切なわけでございまして、昭和三十七年は百十八・三キログラムですか、これが最高の消費量だったそうでございますが、現在はその約半分の六十三・六キログラムと、これもどんどんまだ下がっておると、こういうふうな状況だそうでございます。  まず、なぜこういうふうに減少するのか、要因の分析、それから対策、以上お伺いしたいと思います。
  112. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいまお話しございましたように、米の一人当たり年間消費量、戦後一貫しまして低下しております。今おっしゃいましたように、昭和三十七年がピークでございますけれども、それ以降減ってきておりまして、大体今、年一・数%ずつ落ちてきているというのが現状でございます。  このように米の消費量が減量、減少してきておる理由、幾つかございますけれども、一つは、少子高齢化や核家族化の進展、女性の社会進出等の社会構造の変化が一つあるだろうというふうに思っております。それから、食生活の欧米型化、それから簡便化志向の強まり等の消費者の食に対する嗜好の変化、これも大きな要素であろうと思っております。  それに加えまして、近年、デフレ経済の下で食品群間での価格面での競争が強まったこと、これも原因の一つでございます。常に、米の消費考えますとき、パンあるいはめん類、特にめん類ですね、めん類の消費動向を考えなきゃなりません。決して米が安けりゃ、米が高くなることは非常に農家にとっては有り難い話でございますけれども、そうなりますと、どうしても消費者はほかのパンとかめん類、特に最近ではめん類ですね、そういうものへの志向が向きますので、こういう食品群間の競争、この辺も十分考慮しながら消費の拡大の対策を進めていかなきゃならぬというふうに思っております。
  113. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 米の消費拡大予算は、平成十一年から見てもずっと五年間、毎年四十六億円程度ですね。四十六億円で、米の消費拡大予算というのは金額から見れば相当大きな金額だと思いますよ。そういう意味では、毎年これだけの巨額の予算を使いながらこの消費離れがなかなか歯止めが掛からないとかいうふうなことだろうと思います。  この四十六億円の内容、さらに、ブレークダウンした費用の項目、こういうものについてはその都度その都度きちっと精査をして、スクラップ・アンド・ビルドでやる。やめるもの、新しく対策を講ずるものと、こういう精査はきちっとやっておられたんでしょうか。また、そういうふうにやっておられるのに、なぜこんなにどんどんどんどん消費が減少していくのか、どういうお考えですか。
  114. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 米の消費拡大の予算は、委員お話ありましたように、このところ四十六億円ということで、非常に財政事情が厳しい中でこれを増やすことはなかなか困難でございます。大きく落ちている理由は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、我々、その中で、この限られた予算でございますけれども、これを有効に活用して、消費拡大、あるいは消費の低下の歯止めを掛けると、そういうことをやっていかなきゃならぬと思っております。  我々、そういうこともございまして、例えばこの十五年度、今までいろいろな方法をやってきております。特に十四年度から、テレビで毎週日曜日の夕方に三十分の番組を提供したりしております。これは今までなかった取組でございます。  そしてまた、十五年度につきましては、NPOの皆様方の力をかりないかと。非常に限られた予算でございますので、やっぱりそういうNPOの方の力をかりることが非常にコストを掛けないで消費拡大をするもとではないかということで、そのための予算も計上しているところでございます。  いろいろ限られた予算でございますけれども、その中でできるだけ予算を有効に活用するという観点からいろんな工夫をしながら取り組んでいるところでございますけれども、何せ先ほど申し上げましたような非常に社会構造の変化あるいは消費者消費動向、そういうことからなかなか消費の低下傾向に歯止めが掛かっていないというのが現状でございます。
  115. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 きちっと一項目ずつ費用対効果を検証しながら、消費拡大にベクトルが動くように特段のまた御努力お願いをしたいと思うんです。  それで、消費拡大の予算の中に学校給食における予算措置もございますね。昔はお米を無償交付したとかいうようなこともあるようですが、最近は学校給食用の炊飯設備の拡充であるとかいう、そういう意味の交付金を出していると、十億円前後ですね、ということだそうでございます。  ところが、学校での給食も平均二・八回ですか、なかなか、学校給食における米飯の導入も余り進んでいるような気もいたしませんし、これだけの米余りでありながら、主食がありながら、まだまだ研究、また努力する余地もあるんじゃないかと思いますね。一体全体、学校給食にこれだけの予算を投入しながら、米飯給食を進めようといいながら、なかなか若い世代の消費離れも収まらないと。一体、これもどういうところに問題があるのか。  古い話ですが、私は、戦後、学校給食でコッペパンを食べた世代でございまして、聞くところによると、アメリカの小麦が余って、それを日本人に食べさせれば、食味として舌にずっとそのパンの食感が残っておるから、将来も食べてアメリカが小麦を輸出するに都合がいいなんということを何かの本で読んだことがありますが、まあ、あれ、そういうことじゃないとは思いますが。  米飯はおいしいということで、せっかく子供たちの食感がお米というところへ向きつつあるんじゃないかなと。これだけの予算も投入して、米飯給食の回数も増えておるわけです。しかしなかなかこれが、特に若い人ほどファストフードという感じで、これが、消費離れが一向に収まっていないと。  そこで、どうでしょうか、学校給食におけるこれだけの努力をし、予算も掛けておりながら、なかなかこの減少傾向に歯止めが掛からないと。その問題はどこにあるか、どうすればいいか。はい、どうぞ。
  116. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 確かに、学校給食での米飯給食の回数、週に二・八回、これも去年ですか、たしか二・八回でありました。これ何年かたちますと〇・一ずつ上がるという実態でございます。これは月にしますと今たしか十一回ぐらいでございまして、もう少し数字が出てくるんですけれども、非常に遅々として進んでいないと。しかし、文部科学省さんの非常な努力、我々も一体となりまして、あるいは農業者団体も一体となりまして、これの回数を増やすべく努力しております。  それで、どうして学校給食が増えないかということ。どうしても御飯にいたしますとコストが掛かります。どうしても御飯の方がより高いということで、やはりその地元の地方公共団体の負担が掛かる、あるいはその分を地元の農協等の団体の方で負担してもらうとか、そういうことをしないと、コストの増、これがクリアできません。そういう努力もいたしております。  それと加えまして、非常にパンに比べまして、御飯ですと後片付けとか、そういうものが非常に問題だということで、給食の関係の方がどうしても、毛嫌いするというのはなんでございますけれども、どうしても敬遠されるというような実態でございます。  そういうこともございまして、我々、これ、具体的には二年前に通達を、文部科学省さんと一体となりまして通達を出しまして、パンですね、米粉で作ったパン、これは、パンにつきましては八五%が米でできております。非常に実質、米そのものと言っていいと思っておりますけれども、こういうものでの給食に使っていただくことになりますと、どういいますか、後片付けといいますか、そういうどうしても関係者が敬遠される理由、それが少し少なくなるということも考えられますので、我々はそういう努力をしているところでございます。  そのようなこともございまして、特に近畿の方では、兵庫県それから大阪府の方でそういうふうな取組をしようというところも増えてきております。我々はそういうところに期待しているところでございまして、引き続き文部科学省さんと連携しながら、米の消費拡大、学校給食での消費拡大につなげていきたいと思っております。  そうすること自身が、食習慣、あるいは児童生徒が大きくなったときの食生活をかんがみましても、非常に遠回しではございますけれども、米の消費の拡大につなぐものと思って、そういう努力をしていきたいと、こう考えているところでございます。
  117. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 最近、糖尿病に適した品種、新しい、新品種開発の米ができたと、こういう報道がありました。これからはやっぱり、イネゲノムも解読されたようでございますし、いろんな意味で、遺伝子を組み換えたりしながら新しい米の、いわゆる新品種開発、こういうことも非常に大切だろうと思いますが、今後の見通しとか、また研究の状況などございますれば、御報告いただければと思います。
  118. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) 米の需要拡大の観点から、新形質米など米の新品種を開発することは大変重要だと考えております。  お話がございましたように、糖尿病向けのインスリンを分泌を促進する米の開発、これはまだ開発途上ではございますけれども、組換え技術によりまして培養細胞にその米を与えたところ、インシュリンの分泌が促進されるということが確かめられたというんです。まだ、今後、マウスですとか、そういう試験研究を重ねていく必要があろうかと思っております。  同じく遺伝子組換え技術を活用しました新品種としては、花粉症に効く稲の作出も開発を進めているところでございます、これは遺伝子組換え技術ではございませんが。あと、遺伝子組換え技術じゃないものとしてですけれども、例えば、たんぱく質を余り取り過ぎる人には困るような、低グリテリン米ですね、春陽という種類ですとか、あるいは、先ほど若い人の食行動の変化というようなこともあって、例えば冷えてもおいしいような形での食べられるようなミルキークイーンですとか、そういう新品種を開発したところです。  今後とも、米の需要拡大という観点から、こういう新品種開発というのは大変重要だと思っております。更に推進してまいりたいというふうに考えております。
  119. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 大いに期待をしておるところでございます。  さて、消費者ニーズにマッチした米作りということが大変大切な観点の法律でございますが、一体全体、消費者ニーズをどうやって把握するのかな、どういう情報で需要の予測を立てるのかなと、こういうふうに思うわけでございます。正確な情報がなければ正確な米作りはないわけでございますから、そういう意味では、どういうふうな手だてでいわゆる売れ筋の、消費者ニーズに合った銘柄とか品種とかいうものをキャッチされるんでしょうか。
  120. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 売れる米づくり推進する観点からは、売れ筋といいますか、そういう消費者ニーズを的確にとらえるというのは非常に重要でございます。  我々、十六年度からの当面の需給調整におきましては、需要に応じた売れる米づくり推進する観点から、需要実績を基にした需要予測によりまして生産目標数量を設定することとしております。  この需要実績でございますけれども、その算出に当たりましては、基本的にその前年産米の生産数量と、それぞれの産地、銘柄の売行きを反映した在庫量の増減、これから算出することにしております。  その際、その在庫量につきましては、農業者団体が取り扱う米の在庫量、これは農協等がその在庫量を把握しておりますけれども、それだけではありませんで、そのほかの大規模な農家とかそういう出荷団体、あるいは販売の関係の方、そういう各段階の、農業者団体以外の方が取り扱う米の在庫量につきましても、これは食糧事務所を通じまして把握していきたいというふうに考えております。  そのような農業者や産地においては、このような客観的なデータに基づく需要予測を踏まえまして、自らの判断で売れる米づくりに取り組んでいただけるものと期待しているところでございます。
  121. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 在庫を調査してということですが、例えば、大きなお米の卸なら、単品の銘柄だけをどんどん売るわけじゃなくて、袋詰めするわけじゃなくて、まあブレンド米ですよね。そうすると、こっちの在庫が多いから、じゃちょっとこっちを多くブレンドしようとかいうことになってくると、それが在庫が減りますよね、その分。それが、だから、売れ筋かどうかということは分からぬ。  ただ、大きな卸商さんの考え一つ考えといいましょうか、現在どうなっているか、在庫はどうなっているかということを考えながらいろんなものを混ぜてブレンドして売るわけでしょうから、それだけじゃなくて、やはり店頭に行くとか消費者モニターを使うとか、それから中食、外食のいろんな方々の御意見を聞くとか、いろんな情報を吸い上げないと、在庫だけじゃなかなか本当の需要予測というのは立たないんじゃないかなと、こう思いますが、その点はいかがなんでしょうか。
  122. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 基本的には先ほど申し上げました食糧事務所を通じたデータ、それが基本となると思います。しかし、それでは決して十分なものじゃありません。先ほど先生おっしゃいましたように、いろんな消費者の末端での動き、そういうものをモニターするとか、そういうことが重要でございます。  我々は、そういうこともございまして、今回の基本的なこの需給の見通しにつきましては、決して役所だけが判断するんじゃ、でありませんで、第三者機関的な組織、そこのいろんな助言等もいただきたいと思っています。そこには、マーケットリサーチの専門家なんかも入っていただいておりまして、そういう人たちのいろんなアドバイスをいただきながら、そして、どういいますか、食糧事務所があるいは統計組織が持っているデータだけじゃありませんで、むしろ消費者の具体的な行動、そういうところのきめ細かい情報収集いたしまして、そういうものを基に第三者機関に判断していただきまして、的確な需給見通しの下に、今回、これからの米の需給考えていきたいと、こう考えているところでございます。
  123. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次の項目の質問に移りたいと思います。  平成十五年一月、総務省が食品表示に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのを出されております。その中を、それを見ますと、三千人の消費者の方にアンケート調査をした結果、現在の表示で十分だというこの項目で、精米ですね、お米、精米は一六%、これは以前のこの委員会でもやったと思いますけれども、今日は米に特化して申し上げておるわけです。ですから、精米は一六%の方しか今の表示でいいと、しか思っていないということですね。あとの八四%は今の精米の表示は不満足だということなんでしょう、裏を返せば。  そういう中で、やはりこのお米の表示について何点かお伺いをしたいと思います。  先日、食品表示ウオッチャーという方々がいらっしゃって、いろいろと御努力を願っておるわけでございますが、その方の御意見の一つに、今後の食品安全行政は、リスクコミュニケーションを主体とすると言われるが、情報の的確な提供こそ必要であり、その究極の方法が表示と考えるべきであるという、誠に至言だと思います。私もそういう観点から何点かお伺いをしたいと思うわけでございます。  まず、この米政策改革大綱の中においても、消費者の信頼性の回復の観点に立って適正表示の確保措置を実施するとされておるわけでございますが、まず平成十三年度のこのお米に関する巡回点検だとか立入調査、こういうものはどうなっていますか。また、不適正表示店舗数はどういう、何店舗ぐらいあったのか。また、指示書を発出した業者数は、農林水産大臣の指示と都道府県の指示とそれぞれどういうふうになっておりましたか。
  124. 石原葵

    政府参考人石原葵君) JAS法に基づく表示制度の下で販売業者に対する巡回点検、巡回点検、そしてまたDNAによる品種判別の結果等に基づく立入検査、こういうものを実施しております。それによりますと、平成十三年度でございますけれども、平成十三年度は、巡回点検は延べ十一万二千店舗に対してやっております。そして、立入検査を実施した店舗は延べ一千三百でございます。そのうち、不適正表示のあった店舗は一万六千余ということになっておりまして、そのうち指示書を発出した業者は七十四業者、これは農林水産大臣が指示を出しましたのが三十二業者、都道府県知事の指示が四十二業者となっています。  また、十四年度は、延べ十六万三千店舗に対しまして巡回点検をやっております。立入検査は延べ五百業者でございます。それから、また不適正表示店舗は一万三千余というふうになっております。指示書を発出した業者は四十一業者、それから農林水産大臣の指示は七業者、それから都道府県の知事の指示は三十四業者となっております。
  125. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 十四年度の分が先ほど、今長官が御報告いただきましたように最近まとまったようでございまして、確かに十三年度に比べて十四年度の方が、これは不適正表示店舗数も指示書を発出した業者数も確かに下がっておりますね。いろんなマスコミを通じての、指示書を出したとか、改善命令を出したとか、そういう報道によってひとつ抑止力ということでこういうふうに減少しているということは喜ばしいわけでございます。しかし、そういいながらも、まだまだ指示書を発出しなきゃならない業者が残念ながら去年だけでも四十一業者あったということでございます。  そこで、この指示書を出す出さないとか、指導するとかしないとか、こういう一つの基準があるんだろうと思いますね。不適正表示店舗数が先ほど平成十四年度で一万三千六百二十一業者もあったけれども、指示書を出した業者数は四十一でございますからね。ほとんどの不適正表示をした店舗については、何の、何ら公表もなければ、一般の庶民には分からないということでございます。そこで、この指示とか指導とかいういろいろ基準があるんだと思いますが、その基準はどうなっているんでしょうか。
  126. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども表示の実態を調査、あるいは先ほど長官からも御説明いたしましたように、巡回するという状況の中で、例えば店頭調査等において表示欠落が分かったと、表示が欠落しているというときに、直ちに指示をするという状況対応はいたしておりません。表示の欠落というときは、まずは口頭で指導をするということの対応をいたしております。また、ただ表示欠落が数多く見られる場合、あるいは加工食品の原材料名等の誤表示があるというような場合には、指導としましても文書による指導を行っているという状況でございます。指示に至る場合は、産地なり原材料の虚偽表示が恒常、常習的に、あるいは故意に行われているというような場合には、私ども指示を行い、その指示を行った旨及びその指示の内容について公表しているという状況でございます。  こういう言わば指示の指針、公表の指針につきましては、昨年JAS法を改正していただいた後、JAS調査会に諮りまして、これは特に公開で御審議願いまして、私が今申し上げたような形で指示をし、かつ公表していってはいいのではないかということで、調査会の御指示をいただいて、私どもそういう運用をさせていただいている状況にございます。
  127. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 その公表した分は、何を何でどういう手段で、私たち一般国民は知ることができるんでしょうか。
  128. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども指示をし、指示をした場合は、私どもの広報を通じてプレスリリースさせていただいていることと、私どものホームページ上でも、指示をした場合、それを掲示しているということで、情報開示しているという状況でございます。
  129. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 都道府県の指示も見えますか、それで。
  130. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 今申し上げましたのは、私どもの指示、私どもといいますか、農林水産大臣の指示の状況でございまして、都道府県の、都道府県内の事案については都道府県知事が指示されるという状況でございまして、この指示の状況も、私ども承知している限りにおいては、私どもとほぼ同様の状況で開示されているというふうに承知をいたしております。
  131. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ですから、インターネットで両方ぱっと見えるんですか。見えないでしょう。農林水産大臣の指示の方は見えますよね、公表は。都道府県のはその同じホームページでは見れないんでしょう。
  132. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 先生御指摘の点は今後の一つの課題かと思いますが……
  133. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 見えるか見えぬか。
  134. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私どものホームページでリンクして見える形には現在はなっておりません。
  135. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それを聞こうと思っていたら先に答えられましたので、分かりました。是非ひとつ、所管が農林水産大臣、こちらは都道府県だということで、同じものを同じページに出すというのはいかがなものかということは分かりますが、リンクしてすぐ見れるように。というのは、いろいろ業者の方も、自分がこれからどこそこへ、中食、外食進出しようと思って、どういう悪い業者がいるんだろうかというふうなことを調べようと思ったって、一々県に問い合わせなきゃ分からないということじゃこのインターネットの意味がないわけですから、是非ひとつリンクをさせて、瞬時に分かるような方策をお願いしたいと思います。  時間が来ましたので、この表示の件についてはまた後日質問させていただくということで、今日は終わりたいと思います。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私は、今年の二月、三月、共産党議員団ということで全国米調査に歩きました。手分けをして歩きました。それで、その目的というのは、やっぱり実際の生産者の置かれている実態、それから生の声を聞き取るということ、ちょうどWTOのモダリティーの一次案が示されたときでもありましたけれども、その問題と併せて、米政策が実際にどういうふうに受け取られているのかということを、生の声を聞いていくということ、それを、生産者はもちろんですけれども、農協などの生産者団体、それから自治体、それから消費者団体も含めて回っていこうということで回りました。  その中で、やっぱり一番生産者にとって切実な声として、これはどこでも共通で出されているんですけれども、それは何かというと、やっぱり米価なんですね、米価の問題。今のままの水準ではとてもやっていけない、そしてこの先見通しが持てないと、そういうやっぱり実態、声が次々寄せられました。生産者団体のところに行きましたら、消費者ですね、消費者団体のところに行きましたら、消費者の目から見ても、農家がもし倒れてしまってこの後国産の米がやっぱり供給できないという事態になったらこれ大変だと、そういう心配、不安の声も出されたんです。  それで、実際にこの五、六年の間で見ましても、自主流通米の平均価格でいうと、これは一俵当たり大体二万円ぐらいしていたものが一万六千円台に二〇%下がったわけですし、それから農水省の統計で見ても、十アール当たりの所得で、平成七年の時点では六万五千三百九十円、これが十二年度産、三四%も下がって四万二千九百十五円と。所得を十年前と比較してみますと約四〇%下がっているわけです。十五年前と比べると半分になっているというような事態ですね。  それで、大臣にお聞きしますけれども、今のこの米価の水準に対して大臣はどのように見ているか。適正だというふうには思わないとは思いますけれども、低いのかどうなのかと。その辺の御認識について、まずお聞かせいただきたいと思います。
  137. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員指摘のとおり、米価の水準、これは生産者から、またあるいは消費者から考えるといろいろ見方があろうかと思いますが、たしか御指摘の、ちょうど食糧法平成六年くらいか七年くらい、あのころ二万円と、それから考えますと二〇%くらい低下をしていると、こういうことは事実であります。  非常に難しいことでありまして、これ以上これらがやはり下がらないと、こういう面につきましては、今回のこの法案でいろいろの施策を総合的に進めていくことによって、これらの水準と、そして生産者皆さん方もそれなりに意欲を持って生産をしていただけるようなことを進めていくことが必要なことではなかろうかと、こう考えておるわけでありまして、消費者ニーズに合い、またさらには創意工夫がなされて、そして生産者がそれに呼応するような米生産ができるような、消費者そして生産者と共存共栄が図られるような形というものが作られるようなスタートができればと、このように考えております。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 米価が非常に低いということについて認識は一致をいたします。  それで、一番最初、二月のときに私、北海道に行きました。最初に行ったんですけれども、まだ雪が残っていて、非常に寒い日だったわけですけれども、その最初に行った空知の農協というのは合併しているところです。ここの農協に行きましたら、担い手は減少の一途と。米が一俵当たり一万三千円と、これではどうにもならない、借金だけが増えていく。転作作物もメロンとかあるいは花、長ネギや様々二十三の種類をやっているということなんですけれども、この転作の作物もすべてじり貧だと。農家が一生懸命働いても勤め人の初任給しか残らない、余りにも酷ではないかと、こういう声が出されたんです。  それから、地域で集会がありました。地元の人たち生産者人たち、集まりました。その集会の中では、三十代、四十代というと、ちょうど農家の後継者といって、もう子供を育てていく世代であるわけですけれども、この三十代、四十代の中核的な農家が離農するケースが出ていると。なぜかといったら、子供を育てていく教育費が出てこないと、今のままだったら。それで、これ続けられないということでやめている例が生まれているんだと言うんです。  さらに、その出席された中から、我が町では五十代の生産者が自殺したと。隣の町は三人だって聞いていると。四十代の人が十人の人を使って今まで頑張ってやってきたと。非常に、十人使うということは相当な規模なわけですけれども、その生産者が自殺したんだと言うんですね。それで、この人のお子さんは農業学校にも進んで、本当に後継者もできて良かったなと周りは見ていたわけですよ。それがそういう事態になったということで、本当にこの報告された方は胸を詰まらせながら報告をされていました。  大臣は、このような米価の下落に伴う経営の悪化、こういう全国の実態に対してどのように受け止めておられるでしょうか。
  139. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 近年、米価が下落をしている、そういう中で稲作主業農家の経営状況が悪化をしていると、このことは私も認識をいたしております。こういう面で、コストの低減あるいはまた農地の集団化等による利用の集積、こういう努力、あるいはまた、より多くの所得確保のために生産物の加工や消費者等への直接販売など経営の多角化、あるいはまた所得確保や経営リスクの軽減に向けて経営者の創意工夫というものが得られるような取組と、こういうことを活発にしていく努力をしなければならないわけでありまして、今回の法改正、そういう中でそのような経営が確立できるような体制というものを取ってまいりたいと、このように思っております。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 とにかく、このままの米価でいけば稲作農家は崩壊すると。多面的機能という話も出されましたけれども、そういう面から見ても非常に重大だというふうに思うんです。まず、そういう状況の中で、私は、真っ先にやらなければいけないことというのは、やっぱりこの米価の水準を引き上げる、そういう価格政策の確立が必要だと思いますし、あるいはこの所得を増やすということですね、所得補償、これを緊急にやるということを米政策のその中心にするべきではないかというふうに思うんですよ。  ところが、今度の出されている法案というのは、生産調整の在り方をどうするか、余った米はどうするか、米の取引先、取引についてどうするかということが主な骨子になっていて、別途制度化しようとしている経営安定対策についても、この米価下落の、下がった場合に、それに対しての対策、幾らかの手当てをどうしようかという程度のもので、決して、一番やっぱりみんなが困っていて願っている、その価格を引き上げるとか所得を増やすとか、そういうものになっていないと思うんですよ。  大臣、この法案の中に米価の引上げや所得補償の確立という目的はあるんでしょうか、どうでしょうか。
  141. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 米をめぐる情勢、これは需要の減少、あるいはまた生産調整限界感であるとか強制感の高まり、あるいはまた担い手の高齢化など、正に閉塞状況にあるわけでありまして、このような中で水田農業の未来を切り開くと、こういう視点で、消費者重視、市場重視の視点に立ちまして米政策を抜本的に見直し農業者を始めとする関係者創意工夫と、こういうことを引き出して需要に即応した米作り、これを進めると。  このようなことであるわけでありまして、米価やあるいは所得補償との関連におきましても、消費者をしっかり見詰め、需要に見合う生産、そういう点で価格の安定あるいはまた農業経営の安定、これを考えるわけでありまして、今回の改革におきましてこのような取組を後押しする施策を講じておるわけでありまして、需要に応じた生産を行う努力を配慮しないで単に米価の引上げや所得補償を目的とする対策、こういうことにつきましては、現状の農業構造を固定化させるんではなかろうか、あるいは構造改革支障となるのではなかろうか、需給事情を反映した主体的な経営の努力を阻害するのではなかろうかと、このような問題があるわけでありまして、まず今回のこの政策を進めると。こういう中で、地域あるいは産地づくり水田農業ビジョンづくり等々を総合的に進める、こういうことをまずやることによって、将来の米作りを開いていく出発点ということが私は必要なことじゃなかろうかと、こう思っております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 需要に応じたやり方をするということなんですけれども、しかし、じゃ例えば魚沼のコシヒカリが、これは需要がある、人気が高いと、じゃそれを日本全国どこでも作ることができるかといったら、そんなわけにはいかないですよね。私は、需要に応じたという話があるんですけれども、結局それはどういうことなんだろうかと。安い、外食産業が欲しがるお米あるいは加工用米、こういうことが想定されているんじゃないんだろうか、そしてその方向に進めばますます米価は下がっていくんじゃないかというふうに思います。  そして、この価格保障あるいは所得補償、この問題についても、大臣答弁は、昨日の本会議のときにも同じような答弁をされました、所得補償は構造改革の障害になるんだということを言われました。  私は、これはとんでもない発言だというふうに思いました。なぜならば、今、大変な苦しみに置かれているこの米作農家、所得の補償を切に願っているわけです。しかし、それをやると、やると結局、小さな農業経営をやっている人たちは経営が安定しますからやめないわけですよね。そうすると、大規模なところに農地が集まっていかないと。したがって、価格が下がろうと所得が下がろうと我慢せよと、こういうことになるんじゃないでしょうか。そういう意味なんじゃないんですか。いかがですか。
  143. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 必ずしも私はそういう考え方ではなしに、やはりこのような担い手等々、そして産地と水田農業ビジョンづくりとか、将来に向かっていろいろなことを構造改革を進めると、こういうことが必要なわけでありまして、小さなと申しますか、兼業農家であるとかあるいは高齢者の農家の方々もそのような産地づくり地域の中でいろいろ農業者あるいは団体、そういう方々が一つ創意工夫地域創意工夫をやっていただく、そういう中からいろいろの経営というものが可能になってくるんではなかろうかと、このように考えておるわけでありまして、今回のこのセットでいろいろなことを進めていくということがまず基本的なことではなかろうかと、このように考えております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 最初お話ししましたように、実態がどうなっているかということでいいますと、今でもやっぱり深刻な事態で、本当に自殺者が出るような事態になっているんだと。そして借金がだんだん重なっていく。生命保険を解約して当面の生活費に充てているという農家もあるんですよね。そういう実態が、小さい農家ばっかりじゃないんですよ。むしろ大規模な人ほど大変になっていると。だから、認定農家になるために借金をしてその土地を手に入れた人たち、大規模になっているところがあるわけですけれども、こういうところが軒並み深刻な打撃を受けているということなんですね。  ですから、そういう事態の下で、本当に今何とか助けてほしいと思っている状況に対して、これ全然度外視するような政策対策ということになりますと、何と冷たい農政だろうか、何と冷たい大臣だろうかと、そういう批判を受けても仕方がないと思うんですけれども、もう一度、いかがですか。
  145. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私どもは、先般来、この米政策改革と、こういうことでいろいろ研究をし今日の法案として提出をしておるわけであります。いろいろそれなりの御意見はあろうかと思いますが、私どもが進める、そして先ほど来申し上げましたとおり、農業者農業団体、あるいはまた地域を通じていろいろの説明会等々を重ねることによって御理解を得、そしてこの制度というものを進めるということが私は当面必要なことと、このように考えております。
  146. 紙智子

    ○紙智子君 なかなか御理解は進まないと思うんですよね、実態からいえば。  それで、ここに農業白書あるわけですけれども、今年のこの農業白書の中でも、特定の担い手に集中が進まなかった要因の一つに、農業所得の確保に配慮した米価政策が続いたことというふうに挙げているわけです。  構造改革目標にするがゆえに価格は上がらない方がいいと、大臣もそういう見解なんでしょうか。
  147. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 構造改革を進めるということ、それはやはりいろいろ生産性を上げる等々のことでありますし、米価がそれなりの、生産者米価がそれなりの価格になるということは、やはりそういういろいろのことを目的に、いわゆる米作農家の方々が効率的な、そして所得が得られるようなそういう改革を、構造改革を進めるわけでありますから、構造改革を進める、こういういろいろの施策を進めるということによりまして米価の問題もそのような方向に行くと、このように認識をしております。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 構造改革の中身自身が本当に、本当にどうなのかということが問われていると思うんです。  それで、今度の、米改革を行う今度のこの法案を実施した場合に、果たして生産者米価というのはどうなるんだろうかと。幾つか改革するという中身があります。例えば、生産調整の問題、この生産調整については農業者や団体の主体的な責任でこれから行うことになるんだということですね。  実は、今度のその調査に行ったときに現場から出されたんですけれども、これに対しては、所得補償がない、そういう状況の下、それから生産調整のメリットが低くなるということ、そういう中で生産者に押し付けられてもできないという声が大半なんですね。それから、転作条件が不十分だと。このままでは生産調整の空洞化が進むだろうというふうに言っています。それから、過剰米の短期融資制度、これを作るということなんですけれども、安くなってしまうと。さっきもお話がありましたけれども、えさ用に回るということもあると。どうせえさ用に取られるんだったら少しでも高く売った方がいいということで、実際には、区分して、別で、主食には回さないというふうになっているわけだけれども、実際には、でも高く売らなくちゃしようがないということで、そうじゃなく主食に振り向けるということも出てくるんじゃないかということなんかもあるわけです。そうすると、全体をやっぱり足を引っ張って価格低下に導かれていくんじゃないだろうかという問題がある。  それから、自主米センターが今度改組をされると。取引規制が緩和をされるわけです。今度は入札参加資格者の資格や取引規制、規則ですね、規則を緩和すると。買手が有利になる逆オークションを導入するということも中に盛り込まれているわけです。米政策の大綱は、実勢に即した価格が形成されるようにというふうに言っています。これは、結局のところ、実際には引下げにつながっていくということに、価格ですね、なるんじゃないかと。  さらに、政府備蓄の問題です。備蓄百万トンに減らすということなんですけれども、それまでは、結局百万トン以下にならなければ一切買入れをしないということですよね。そうすると、今まで市場価格下落のときには政府による買い支えの機能というのをやっていました。そういう機能が全くなくなるということになります。それから、買い入れた場合にも、市場価格で、今までと違って入札でやっていくということですから、安い方から買い入れるということになる。  このように、これは本当は通告のときは別々に聞いていたんですけれども、まとめてお聞きしますけれども、こういうふうな改正をやって、生産者米価というのは更に下がっていくということが強く危惧されるわけです。  そこで、長官に今度お聞きしますけれども、この米価への影響についてどう考えるんでしょうか。できるだけ端的にお願いします。
  149. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 幾つか御指摘ございましたけれども、最初に申し上げたいのは、価格というのは需給で決まるんです。要するに、基本的に最近の価格は年々低下しております。これはなぜかといいますと、豊作基調というのもございますけれども、基本的に、必要以上の米が生産されるからです。需給が緩んでいるからなんです。需給が緩んでおりますと、本来米を買ってくれる卸の方も、やはりこれから価格が下がるとなりますと手を出しません。どうしても買い控えるということになります。そういうことになりますと、ますます悪循環が続くということなんです。  ですから、要するに生産調整を、需給をきちっとする、生産調整をきちっとやっていただくことが、価格の維持、価格をあるいは場合によっては引き上げるということにつながるものと思っております。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  我々、そういうこともございまして、今回の米の改革では、第一番に生産調整に関するいろんな制度改正考えております。基本的には、十六年度から、当面の需給調整につきまして、これまでは面積でやっていたのを数量で調整する方式に転換しております。そういうふうにした上で……
  150. 紙智子

    ○紙智子君 価格に対する影響を聞いているんです。
  151. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 要するに、こういうことで、きちっと需要に見合った生産生産調整がきちっとできるかどうか、それがポイントでございます。我々、そういうポイントのとおりできるように、いろいろ、国あるいは行政もいろいろ生産調整のやり方について当面関与をしていきます。それからまた、需給情報も流します。それから、生産者団体生産調整方針を作りましたその際には、この作成及び運用につきまして国、地方公共団体が助言もいたします。それから、産地づくり推進交付金の米価下落影響緩和対策あるいは産地づくり対策は、生産調整を実効あるものにするため、あくまでも生産調整実施者を交付の対象といたします。  そして、過剰米短期融資制度につきましても、農業者農業者団体主体的に豊作による過剰米処理するような、そういう仕組みをこしらえます。こういうことを総合的に講ずることによりまして、需給及び価格の安定が図られるような体制にしていくということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 価格は低くならないということなんですか。影響しないということなんですか。
  153. 石原葵

    政府参考人石原葵君) きちっと需給調整ができれば価格は下がりません。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、米価は上がるし所得も上がるということなんですか。
  155. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 当然、需給がきちっとなれば、価格は上がるか、少なくとも下がることはございません。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 現場では、需給調整を今回、実際それぞれのところでやるというふうになったら、それは難しいということを言っているわけですね。それが絶対そうならないというふうに、必ずならないというふうに保証できるんですか。本当にそうなんですか。
  157. 石原葵

    政府参考人石原葵君) それが意識改革なんです。それが意識改革なんです。要するに、先ほど、区分出荷ができるかどうか、それから、要するに過剰米短期融資制度が非常に、我々、以前は六十キロ当たり三千円ということを提示しておりました。今はそれは、今後八月末までに決めるということにしておりますけれども、いずれにしてもそれが低過ぎるから、農家はそういうところに売らないで、自ら夜陰に紛れて売り飛ばすんじゃないかと、そういう御指摘ございます。そういうことをやると価格は下がるんです。  ですから、正しく農家、農業者団体に、要するに米の価格というのはどのようにして決まるのかということを十分御認識いただいて、それに応じた行動をしていただくことが重要でございます。JAはもう既にそのことを気付きまして、JAの米改革を進めようということをしておるわけです。我々はそのJAの改革努力に期待したいと思っています。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 そのとおりにやればというふうにおっしゃるんですけれども、そんなに実際のところは甘くないですよ。  それで、先日の新聞に載っていましたけれども、今度のお米の先物取引、こういうことが新聞に載っていました。今回の改正でもって米を先物取引の対象にできるような改正になっていると。それを見越して既に大企業が着手をして、まあ準備をしていると。それで、米過剰でもっとこれから価格が下がるはずだと関係者が述べているんですね。そして、先物取引が一層価格を引き下げる、そういう心配がある、そういうねらいもあるというようなことが書かれているわけですよ。  これは私は、本当にこの法案が、今でも低価格で苦しんでいる稲作農家に対して更にそういう事態が作られていくことになれば、希望をなくしていく道につながっていくというふうに思うんです。いかに米価を引き上げていくのか、そして農家の所得を補償させるのか、そういう角度からやはり私は法案を出し直すべきだというふうに思います。  それで、ちょっと、あと残りの時間との関係で次のテーマに移らせていただきます。  政策改革大綱、この中でも、生産調整研究会の報告の中でも、望ましい生産構造米づくりの本来あるべき姿というのを打ち出しています。それから、効率的、安定的な農業経営が生産の大宗を占めるということを目的にしています。  本法案もそれを目指しているわけですけれども、見ますと、北海道では二十一ヘクタール、都府県では十二ヘクタール程度の経営規模の効率的、安定的な家族農業経営が耕地面積の六割を占めるというふうになっているわけですね。しかし現在、この経営耕地面積の規模別で見ますと、都府県でいえば十ヘクタール以上は八千四百五十戸です。全体の〇・四%しかありません。それから、北海道でも二十ヘクタール以上というのは三分の一です。  そうなると、それ以下の規模で稲作を行っているのが圧倒的多数なわけですけれども、そういう農家というのは望ましいものではないわけでしょうか。本来あるべき姿ではないということになるんでしょうか。まずその認識を大臣にお聞きしたいと思います。
  159. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今度の改革、そういう中で、平成二十二年における農業構造展望と、こういうことで、効率的かつ安定的な農業経営と、家族経営と法人経営とを合わせて四十万程度育成すると。また農地利用の面でも、六割程度、約二百八十万ヘクタールをこうした経営に集積をするということを見込んでおるわけでありまして、このような目標に対して、現状では、効率的かつ安定的な農業経営を目指す認定農業者が十七万程度、また認定農業者等への農地の利用集積が約二百十八万ヘクタールと、目標の七七%にとどまっておるわけでありまして、近年、増加面積は鈍化の傾向にあるわけでありまして、特に土地利用型農業の構造改革が遅れている状況と、望ましい農業構造の実現には今後格段の努力が必要な状況にあると、このように認識をいたしております。  今度の米政策改革と、このような構造改革の進展状況を踏まえた上で、生産調整システムだけでなく、米政策を総合的に再構築しようとするものでありまして、この二十二年を目標とする構造展望の実現を目指して水田農業構造改革を加速化してまいりたいと、このように考えておるところであります。
  160. 紙智子

    ○紙智子君 今、私聞いたのは、望ましい、本来あるべき姿以外のところですね。そのあるべき姿というふうにならないんですかというふうに聞いたんですけれども、それについてのお答えはされませんでしたけれども。
  161. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 担い手というのは、言わば大規模な担い手を育てるというのが一つの答えでございます。それと併せまして、いわゆる集落営農、我々、経営局の方では集落経営体という概念を打ち出しておりますけれども、そういう小規模な方が集まりまして集落経営体というのを組織する。それは、集落営農のうち、一元的に経理を行い、一定期間内に法人化する等の要件を満たすものを担い手として位置付けているわけでございます。そういう姿も我々考えているところでございまして、決して大規模な、単独で大規模な農業経営をしている人だけを対象にしているわけじゃございません。
  162. 紙智子

    ○紙智子君 大変困難な中で、やっぱり一生懸命主食の米を守っているすべての、やっぱりすべての農家を温かく見て、全体を対象にした施策を出していただきたいというふうに思うんですよ。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  それで、今度の本法案の中で、都道府県の現在の主業農家というのは、平均の経営規模が三・七ヘクタールです。それで、平成二十二年には、十二ヘクタール程度、今の約三倍の規模を拡大した家族経営を六万戸作るという目標になっています。余りにも現実と懸け離れたものだと思うんですね。  農業白書には、新潟県の調査であるわけですけれども、規模拡大が困難であるという理由として最も多いのが米価の低迷だというふうに書いています。意欲を失わせているのが価格の低下だと。そのような中で、こういう目標を押し付けるということはどういうことになるのか。  それは、さきに触れました北海道の規模拡大の農家の実態が示すわけですけれども、私、秋田の方にも行ったんですけれども、秋田の調査でも、規模拡大に夢を託した人が今大ピンチなんだという話が出されました。こういう米価では、作る方も、土地を貸し出す方ももう間に合わないと、コストを減らそうということで機械を導入するわけですけれども、これも償還の、償却の費用が増えて悪循環になると。その矛盾をここでも指摘をされていました。  やはり、過大な目標を押し付けて中核的な農家自身をつぶしていく計画という、こういうことをあくまでもやろうとするということは、これはすべきじゃないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  163. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 確かに、過大な目標を掲げるというのは適切なものではありません。我々あくまで、現状の農業構造、非常に脆弱だというこの農業構造、これをそのまま是認するんじゃなくて、新たな理想といいますか、絵を描きまして、それに向けて施策を集中するということでございます。  具体的には、担い手育成対策あるいは農地流動化対策、こういう制度面でのいろんな拡充措置、そういうことを講ずることによりまして、そういう望ましい農業構造を実現すべく今施策を集中しているところでございますので、御理解いただきたいと思っております。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 今、集落営農の在り方とか担い手の問題を言われましたけれども、これも実際に非現実的だというふうに言わざるを得ないんですね。  調査の中でも、対象要件になっている二十ヘクタールというのは無理だと、法人化はできないという声も出ていました。今の世代ならまだしも、代替わりということになればこれは続かないだろうと。それから、経理の一元化ということについても、そんな単純にできないんだということもありました。中核的な人間がいなければ駄目だというふうに言われるんだけれども、いなくてもこれまで協力してやってきた、協力体制でやってきたという声もありました。そういう人を置かなきゃならないというふうに今度からなるのであれば、それは本当に難しいという声もありました。いろいろな形で現場からの声が寄せられたんです。  集落営農は、多様な形でやはり自主的に工夫しつつ、必死に農業や集落の維持のために頑張ってきているわけです。そこに一線引いて、それ以下は支援しないということで無理に要件を強要するということになれば、元々の集落営農の機能がかえって壊れることになりかねないではないかというふうに思うんです。それで、このような構造改革を進める旗印になっているのが、国際競争力を高めるということがあると思うんですね。  それで、これも農業の現状を見ればもう非常に非現実的な議論だというふうに思います。経営規模にしても、賃金にしても、中国や日本と比べれば、あるいはアメリカやほかの国なんかと比べれば、全然やっぱり違うわけですよ。そういう中で、国際競争力向上ということであおるやり方というのは、必死にコストを削減しようということで取り組んでいる我が国の農業に過大な負担を負わせることになるだろうと、一層やっぱり生産者を窮地に追いやることになるというふうに思うんです。  こういうふうにして構造改革をやって、一体どれだけ生産コストの低減を図ることができるのか。計算されているようですけれども、一体どれだけ軽減できるのか、そしてそれで国際競争力が付くと思っているのかどうか。前段の部分については農水省の答弁を求めます。後段は大臣お願いします。
  165. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 米の生産コスト、果たして国際競争力が付くのかということでございます。米の生産コストは、一つは……
  166. 紙智子

    ○紙智子君 削減目標
  167. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 削減目標ですけれども、何と関係するかというと、スケールメリット、経営規模、担い手の能力、それから機械化体系、圃場のまとまり、団地化生産資材の削減、それから低コスト化農法、いろいろな政策が相まって実現が図られるわけでございます。  目標を言いますと、現在でも大規模農家というのは平均より約三割ぐらい低コスト化を実現していると。今後、構造改革が進展をいたしまして、圃場の大区画化、それからまとまり、団地化、あるいは大規模な機械化体系、こういうものが確立した場合には、約四割から五割コストダウンが図られると。さらに、直播栽培、直まきでございますけれども、こういうもので一割程度その削減が図られると。合わせまして、最大にいたしまして四割から六割コストダウンが可能というふうに想定試算をしておるところでございます。  じゃ、これで国際競争力が付くのかという話でございますけれども、これで、例えばアメリカにおきましては一戸当たり百三十七ヘクタールでございまして、現状で日本の生産コストと比較いたしますと十分の一程度でございますので、なかなか外国並みということになるには至らないのが現状でございますけれども、国民理解を得て農政を進めていくためには、やはり生産性の向上、コスト削減に努力していると、そういうことを国民理解していただくことが前提になるのではないかというふうに考えております。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 WTOの交渉でも、関税の交渉とか貿易規制とかということを持ち出すこと自体が、やっぱり競争力がなかなか大変なんだということを認めているということだと思うんですね。  以前にも一度紹介しましたけれども、これはアメリカの研究者の方でジェームス・シンプソンさんという大学の先生なわけですけれども、この方も、構造改善にどんなに努力しても日本の農業の高コストの体質を根本から変えることは不可能だというふうに指摘をしているんです。しっかりと輸入規制をして自給率を上げるということを主張されています。  それで、農家は今、構造改革、国際競争力をというふうには言わなくても、コストを削減する努力というのを、先ほど信田さんがお話しされていましたけれども、今までやってきているんだという話ありましたけれども、実際にはこういう努力をしてきている。そこに、過大なスローガンを掲げて、零細農家を排除して、大規模農家に飽くなきコスト削減の競争を押し付けていくと、こういう構造改革というのは見直すべきだというふうに私は思います。  北海道の酪農は、規模でいいますとヨーロッパ並みに、酪農の分野だけでいえばヨーロッパ並みにはなっているわけですけれども、しかし、国際価格には太刀打ちできません。借金がどんどん累積されていて、もうゴールなき規模拡大という状況になっているわけです。国際競争力やこの構造改革を振りかざして我が国が農業を窮地に追いやっていくということになるならば、本当に、お米や野菜を栽培して、そして消費者に安定した作物供給していこうという農家自身を失うことになるし、そして農家がいなくなれば耕すことがなくなってしまうわけですから、農地、水田は荒れ地になってしまうと、そして国土や環境の多面的機能というのは失われていくわけです。農村社会も立ち行かなくなるということは、やっぱり本当に、消費者の利益をというふうに言うわけですけれども、そのことは全体としてその利益に背くことにつながっていくというふうに思うんです。やっぱり必要なのは、今、米価の引上げや所得補償政策の確立を図ることだと思います。そのことが本当に農業に意欲のある人たちを生み出していく最も基本的な施策だというふうに思います。  この点で大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  169. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 稲作農業の健全な発展、これは大変重要なことでありますし、効率的かつ安定的な経営体、及びこれを目指す経営改善に取り組む経営体を確保し育成するということは重要なことでありますし、この経営体安心して経営し、そしてその継続や安定性が確保されるというための、確保されるということは重要なことであるわけでありまして、こうした考え方の下に、今度の問題におきましても、豊作等による米価の著しい下落があった場合には、その影響を緩和する稲作経営安定対策等の品目別対策、あるいはまた自然災害による米の減収と、こういうような場合の補てんでは農業災害補償制度、あるいはまた水田経営の規模拡大や経営の改善等に必要な長期かつ低利の資金の融資、これら施策を講じておるわけでありまして、今回の米政策改革、これにおきまして、米価下落による稲作収入の減少の影響が大きい担い手を対象に担い手経営安定対策を講ずることといたしておりますほか、これまで、担い手育成施策や農地流動化施策に加えて、農地の利用集積等の支援策を重点化しているようなことでありまして、これらの施策を総合的に進めることによりまして、稲作農家の経営向上が図られてまいると、このように考えておるところであります。
  170. 紙智子

    ○紙智子君 ずっと審議をしてきているんですけれども、この後も続くわけですけれども、私は、やっぱりやり取りを通じても、本当に、現場の本当に切実な要求や実態との間でも、今度出されている法案が懸け離れているというふうに言わざるを得ないんですね。ですから、この後の審議も含めて十分なやっぱり審議を徹底していって、そそくさと採決することのないように、そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  171. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  午前中から盛んにいろいろな面、角度からの御議論がございまして、実に農業というのは多岐にわたっているなと。それを含めて、それを総括して、皆さんが満足いくようにするのは大変だなというような気がするんですが、それが農林省の使命といいますか、農業というのはやっぱり、どこか工場を造って、そこで生産をするというものじゃなくて、昔から経済活動であり、生活そのものであったわけですから、難しいのは当然であると私は思っておりますので、その点の心積もりをしっかり持っていただきたいと思う次第でございます。  今回のこの食糧法改正でございますが、趣旨説明の中に、いわゆる最近の米をめぐる状況が、需要の減少、それから生産調整限界感、強制感というのが前提になっているというふうに書かれておりますけれども、生産調整限界感ということは、言葉を換えて言えば、自分で作れる面積がだんだん少なくなって、農業じゃ生活できなくなってきたと、米じゃ生活できなくなったということの裏返しではないかなというような感じがするんですね。  それで、そういうことを考えますと、やはり先ほどからいろいろ出ておりましたけれども、米の需要が低くなり過ぎているんですね。米の消費を拡大すれば、こういうマイナス思考の法案は検討する必要もないというのが本当のところだと思うんですね。したがって、米をもっと消費しなくちゃ、消費するような働き掛けをしなくちゃいけない。  これ、先ほど来何人かの方が質問をされておりましたけれども、今までどういうような努力をされてきたか、まずその点を再度お伺いさせていただきます。
  172. 石原葵

    政府参考人石原葵君) ただいま委員お話ございましたように、米の消費拡大、これは極めて重要なことでございます。  一つは、食料・農業・農村基本法に基づく食料自給率向上、それから二つには、食生活指針に即した健全な食生活の実現を図る上でも非常に、極めて重要だと考えております。この米の消費拡大が図られれば、農政についてのいろんな苦労、それも一挙にして吹っ飛ぶんじゃないかというふうに思っております。そういうこともございまして、我々、米の消費拡大につきましていろいろ努力してきております。  これまでも、例えば十四年度、これまでなかったことでございますけれども、テレビの放送をやっております。夕方、日曜日の夕方に三十分の番組で、特にその中では、この十五年度に入りましてちょっと編成が変わりましたけれども、タレントを呼びまして、そのタレントの話の中に二分三十秒のコーナー、インフォマーシャルといいますけれども、そういう時間を設けて、そこでお医者さんとかあるいは栄養士さんをお呼びしまして、いかに御飯が健康にいいかということを繰り返し繰り返し言っていただいております。そういうようなテレビ放映も十四年度から実施してきているところでございます。  それからまた十五年度には、我々このテレビも引き続き実施しておりますけれども、それに加えまして、NPOの方のいろんな知恵を拝借できないかということで、NPOの方がいろいろそれぞれの工夫で米の消費拡大に寄与するような取組をされた場合に支援する予算も計上しているところでございます。  それから、案外知られていないんですけれども、米の消費の落ち込みは、五十歳、六十歳の落ち込みが大きゅうございます。五年前と比べますと、普通は大体一割も落ちることはめったにないんですけれども、五十歳、六十歳代の方はたしか十数%落ちております。非常に、案外我々が盲点でございますけれども、御飯を食べていただけると今まで期待していた人が御飯を食べなくなってきているということがございます。そういう人たちがなぜ食べないかといいますと、いろいろ生活習慣病とかそういうことを気にして、これは誤った理解でございますけれども、御飯を食べなくなっているということがございますので、そういう方にも、生活習慣病を治すためにも御飯がいいんだということを、我々、そのテレビとかいろいろなパンフレットを作ったりしまして訴え掛けているところでございます。  それから、これに加えまして、なかなか、食生活が変化しておりますので、御飯で、粒で食べていただくのには限界がございます。そういうこともございまして、パンで食べていただくというふうなことも進めているところでございまして、いろんな施策を講じまして米の消費拡大を図っているところでございます。
  173. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 長官、得々と言われまして、なるほどいろんな面でやっておられるかと思うんですが、今の日本のこういう食生活になった原因は、いろんなことを言われるんでしょうけれども、多くの方がそう思っておられるのが、いわゆる戦後のパン食といいましょうか、小麦食、欧米食ですよね。これが影響しているから、当然そのときは米がまだ自給に達しませんでしたから、ある意味ではやむを得なかったのかもしれませんけれども、そのときの影響が、昭和四十年代になって米が自給に達するころになって逆にじわじわと出てきて、米の消費が即座にもう少なくなったと、過剰生産になったというのが現実じゃないかと思うんですね。  そこで、なぜ小麦、欧米型の食生活が日本に入ってきたか、日本の食生活になったか。これちょっと物の本で勉強いたしたんですが、これはアメリカが小麦戦略という偉大な戦略を持って日本に上がってきたんですね。先ほど日笠先生がちょっとおっしゃっておられましたけれども。  いわゆる平和になってというか、いわゆるアメリカの余剰農産物問題が起こって、それをどう処理したらいいかということで、一九五四年ですか、そのときに、いわゆるPL四八〇法案、これ、通称余剰農産物処理法、正式名称が農業貿易促進援助法、正式にはアグリカルチャー・トレード・ディベロップメント・アンド・アシスタント・アクトというんですか、これは要するに現物を日本に持ってきて、ある部分は借款にして、学校給食にするような部分はこれは援助、贈与というような格好でやったわけですが、そのときに、その見返りの資金としてできた額が五年間で五千万ドル、そのうちの四千万ドルはアメリカがいわゆる軍事費とか日本の国内のやつで使って、一千万ドルが日本の食料政策とかそういうものに使ってもいいと。一千万ドルというと、日本円に直せば、そのころは三百六十円でしょうから三十六億ですよね。恐らくこのころの国の予算なんというのは兆にほとんど届かない、ずっと低い、予算規模としてはそんなものであったから、この額というのは相当なものなんですね。  そういうものを、アメリカの余剰農産物処理する、そのためにはアメリカの食生活を日本に浸透させなきゃいかぬということで展開された運動といいますか、動きがあったわけですよね。そのときに、年を取られた方は御存じかもしれませんけれども、いわゆるキッチンカーなるものを日本全国にばらまいて、これは昭和三十一年ですかね、一九五六年ですね、十二台でスタートして、全国で二万会場、二百万人の動員をしたという。そして、これは何も小麦を食べるだけじゃなくて、いわゆる米食、このときの条件というのは小麦を使うことと大豆を使うことだったそうですね。小麦は、パンとかいろいろあります。大豆を使うのは、これは油ですよね。  そこで日本の食生活というのはがらっと変わって、食べるものももう全く変わっちゃったというのが現実で、それで、その後どんどん、そういう欧米食に合った材料は何かといったら、やっぱり外国がいい、外国からが中心になるだろうというようなことで、だんだん自給率が下がってきたというのが今までの経緯のようでございまして、そういう意味で、食生活を変えるというのは、これは相当なことなんですね。  それと、このときに、ある大学の先生が、医学部の先生が、あると言っても、もう年を取った方は御存じかもしれませんが、米を食うと、米食をすると頭脳が悪くなる、日本人を西洋人に比べると二割方頭が悪い、ノーベル賞の受賞者が日本人に少ないのもそのためだ、こういうやつが、こういう本が出ているんですね。それで、これが何と三年間で五十版を重ねたというんですよ。こういうことで洗脳されているわけですよね。それが先ほど長官が言われた、年取って米を食わない、健康に悪いからとかというような最近の傾向は別として、大きな流れとしてこういう流れでずっと来ているのが今の日本の食生活。  これを変えるのは並大抵の努力じゃない。それを農林省は本当はやってもらいたい。農林省だけじゃないと思うんですけれども、先ほど郡司委員も言っておられましたけれども、日本食というのが本当に栄養的にいいのかどうか。大臣の御答弁でも、アメリカなんかは、ヨーロッパでも日本食というのが浸透しているからいいんだろうというようなお話ございましたけれども、そういう意味ではいいと思うんですけれども、こういうことの宣伝を相当しないと米の消費につながらない。  米だけを考えても駄目で、日本食を考えなきゃいかぬ。日本食であれば魚であり、それ以外、漬物がいいかどうか、これは塩分がありますから分かりませんけれども、そういう日本食を普及させることによって米を拡大させていく、そのぐらいの覚悟で私は農林省はやってもらわなきゃいかぬなと思うんですけれども、これからについて、具体的な数字が何か御答弁ありましたら局長で結構ですけれども、御覚悟の方は大臣お願いしたいと思います。
  174. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 委員指摘のとおりでございますが、我が国では特に昭和五十年代、昭和五十五年ごろの食料消費、過去にさかのぼってみれば、米を中心にして、先生今御指摘のとおり、魚介類、畜産物、野菜、果物等の多様な食品を組み合わせたいわゆる日本型食生活が形成されていた。それは栄養バランスという面から見ても理想的な水準だったということでございますし、また現在、当委員会でも度々御指摘をいただいております食料自給率という点で見ても、昭和五十五年の水準というのは五三%という水準でございます。  しかしながら、いろいろ御指摘あったように、食の外部化、サービス化やライフスタイルの変化の中で食生活を取り巻く環境が大きく変化する、そういう状況の中で、御指摘のように米の消費が減少するとともに、畜産物、油脂の消費が増加したことから、現在の我が国の食生活、脂質の取り過ぎ等による栄養バランスの偏り、あるいは糖尿病に代表されますが、生活習慣病の増加ということ、あるいは食べ残しあるいは食品の廃棄による無駄の発生、さらには、先ほども申しましたが食料自給率の低下、様々な問題が顕在化している。  先生御指摘ありましたように、欧米諸国の食生活を見ておりますと、穀物消費という点で見ますと、もちろんヨーロッパやアメリカでの穀物消費中心は麦でございますが、これはほとんど変化をいたしておりません。日本では米の消費が半減近く減少するというこの四十年ぐらいの状況でございますけれども、欧米諸国、むしろアメリカではこの十数年見ますと穀物の一人当たり消費量は増加傾向に来ています。これもやはりいろんな取組、いろんな運動の中で、私ども、実現してきているというふうに思っております。  そういう点で、今後、子供のころから自らの食について考える言わば習慣を身に付けていただく、国民一人一人が食に対する関心、理解を深めていただく、そういうための側面的な支援、取組関係者理解を得ながら展開していきたい、そういうことで食生活の見直しが進められるというふうに思っているところでございます。
  175. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 米がいいといいますか、評価されているというのは、今世界的には、たしか米の消費国というんですかね、消費量にしても膨らんでいるはずですよね。アフリカなんかはどんどん米食が入っている。だから、そういう意味で、いいのはいいと思うんですよ。  それと、今局長の御答弁は御答弁で結構なんですけれども、先ほど来申し上げました大変な取組だと思うんですけれども、この日本の食生活を普及させる、米消費を拡大するというのは。その辺の大臣の御所信なり御意見をお伺いしたいと思います。
  176. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 本法律の法案審議をちょうだいしているわけでありまして、この法案の重要性、そういう中で、今までいろいろ米の消費拡大等々につきましても進めてきておるわけであります。食を考え国民会議であるとか、あるいは毎年一月を食を考える月間、食を考え国民フォーラム、こんないろいろなことを進めておりますが、この法案を契機に、もう本当にひとつ発想を転換して、米の消費拡大が図られるようにやらなければならない、こう思っております。  特に食育の問題、先ほど委員からも御指摘のとおり、長い歴史があり、小麦、私どもも子供のころ給食でコッペパンを食べた世代でありますし、そういうことから、つい、学校に遅れる、あるいはサラリーマンの皆さん方も出掛けにどうも日本食よりパンを一つかじりながら出掛けるというようなそういう今生活スタイルになってきているようなところもあります。パンと卵一つくらいで何とか朝食に済むような時代になってきておるわけでありまして、そういうことを、いろいろ食生活、食習慣を変えなければならないわけでありまして、食育は、これ農水省と文部科学省いろいろやっておりますけれども、さらに関係のところと緊密な連携を取りながらやらなければならない、こう思いますし、さらに昨今、先ほど長官からもお話し申し上げましたが、テレビを通じていろいろなことを進めております。  今、ちょっとあのようなテレビで人気タレントが少し、この野菜が、これがいいということになりますと、何かその日にデパートの地下に人が並ぶような、そういう傾向もあるわけでありまして、米の問題も、特にいわゆる生産、加工、流通関係者と併せて、医学、栄養学の面、医療の面からも産官学が、あるいは地方公共団体、あるいは教育機関等々、もう本当に産学官が三位一体になった形で、この法案を契機にいろいろ研究をし、米の消費拡大がつながるように更なる努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  177. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  前にも指摘させてもらったことがあるんですけれども、米は需要が減っていく、やむを得ないじゃないかというお話、前に伺ったことあるんですけれども、これ明らかに自給率の低下ですから、農林省は自給率向上を基本方針にしているわけですね。それを簡単に、食わなくなったから要らないということは、これだともう農林省の自給率向上というのは本当にやってくれるのかなということになりますんで、その辺をひとつよく御認識をいただきたいと思います。  それと、今大臣も言われました栄養的な面ですね、先ほどから出ましたけれども。これは本当は厚生労働省の所管かもしれない、今日お呼びしていなかったんですが。農林省も日本食のあれですわね、推進というか、そういうことやられておられますわね。もし、日本食というのはどのようにいいかということがお分かりの方、これ通告しておりませんでしたけれども、分からなけりゃ今度、次でも厚生労働省に質問いたしますが、もしお分かりになれば御答弁をいただきたいと思います。
  178. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 御飯食はいいのはいろいろございます。一つは、コレステロールを抑える、動脈硬化を予防するというのもございます。それから、アレルギーの予防にもいいと。とにかく、ありとあらゆる健康にいいものはすべて御飯からきているんじゃないかというぐらいあります。  先ほど申し上げましたテレビの、去年一年間やりました、それの四十数回、インフォマーシャルという二分三十秒の部分を印刷した我々PR雑誌も作っております。それを見ますと、とにかく御飯がいいということを各大学のお医者さん、医学部の先生が皆さん異口同音におっしゃっています。我々、それを信じて、米の消費拡大に一層力を入れていきたいと考えているところでございます。
  179. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先ほど引用させていただいた昔の大学の医学部の先生というのは、何か利用されたなというような感じがなきにしもあらずなんですけれども、そういう人でない、本当、本心から日本食がいいという人によく意見を言っていただくというのがこれ一つの大きな手ではないかなと思っております。  この点はこれぐらいにいたしまして、次に、この法律に関係いたしまして、いわゆるあれですね、生産調整を民に任す、平成十八年ですか、二十年ですか、というお話でございますが、どうもこの辺が、実際にじゃ、どういうふうに動いていくのかというイメージがどうもつかめないもんで、具体的な姿としてちょっと教えていただきたいと思うんですけれども。  まず、例えば生産調整といいますか、需給見通しというのは、これはこの法律によりますと、基本指針を策定するということで、これは国が決めるんですね。これがどう、どこに、決めたものがどこに下りていくんですか、まず。
  180. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 当面の需給調整、取りあえずは十六年度からスタートします。十六年度から、これまでの面積から数量による配分ということになります。これは十六、十七、十八、十九と、まあ原則ですね、十九までやるということになっております。  これは国から県、県から市町村、それから市町村から農家へ下りるということになります。そこは、団体の方は、別途、全中から県中、県中から単協へ下りていきまして、単協から農家へ下りると。そこは一緒でございますけれども、いずれにしましても、十六年度から原則十九年度まではこれまでの面積配分と同じ姿で末端まで、末端といいますか、農家の段階まで下りていくということでございます。
  181. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ということは、十九年までは一緒なわけですね、今までとね、今の話では、下りていく話は。
  182. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 下りていくのは同じでございますけれども、ただ、これまでは、どういいますか、例えばA県が生産調整面積何万ヘクタールと決まっていますけれども、それはどうしてその何万ヘクタールに決まったかというのはよく分からないまま、去年が、例えば現在、十五年度は百六万ヘクタールの生産調整やっています。これのうちのおたくの県は幾らということで、上から押し付けるように下りていたわけですね。  それが、今回のあれは、あくまでも客観的な需要需給動向、基本的には前年の生産に、生産量にプラスマイナス在庫の増減。そこで考えた、そこで把握された、算出された需要の見通し、これが、これを、それも決して国が、あるいは農林水産省が勝手に決めるんじゃなくて、第三者機関的な組織の助言もいただきながら決めていく、それを県、市町村、団体と下ろしていくということになります。
  183. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうすると、その究極の姿というのは、売れるところはたくさん作れる、例えば調整しなくてもいいぐらい作れると。売れないところは、在庫で残っちゃって売れないところは結局作れなくなると、こういうようなスタイル。これをいい悪いと言っているんじゃないですよ。それも一つの方法かもしれませんけれども、そういうスタイルになるということですか。
  184. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 基本的にはそういうことでございますが、ただ、売れるというのは、よく誤解いただけますのは、売れるということは、とにかく味のいいもの、それが売れるということじゃありません。例えば、自分ところは量で稼ぐという、価格は安くても量で稼ぐという方向もあるでしょう。いろいろ、売れる米づくりの売れるというのは、決して良食味のものだけということではありません。  そういう意味でも、そういう意味で、売れるものは生き残っていくということになります。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 言葉の上でいくと、できそうな感じもするんですけれども、何かこれは難しいなという感じがありますのは、今までの生産調整、先ほども言っておられましたとおり、何が何だか分からないように各県に下ろされたと。事実そうですよね。  ある時期、私も実際に担当しておりまして、何で北海道だけこんな面積が少なくなるのかという時期がありまして、私の認識ではあれ、昔も生産調整生産調整はあれ一〇〇%がいいんであって、過大達成がいいわけじゃないですよね。それが、ある時期では、過大達成がいいような雰囲気があって、その結果がどんどんどんどん転作面積が増えていっちゃったと。それが、ある時期になったら、これじゃ足らないからと、ほかのところで努力したところにそれを、その分が押し返されるというような、こんな時期もあったわけですよ。  だから、そういうんであっては私はいけないという思いはしますけれども、そういうような思惑で動く要素が多分にあるということが一つ心配をしているんですけれども。  要は、私先ほど言いました、もう時間がありませんけれども、先ほど言いました質問は、二十年以降どうなるのかなということの質問であったわけですが、これについては前に、亀井大臣の前の大島大臣のときに、この大綱の議論のときに、そういう方向で民が受け入れてやれるんならそれもいいかもしれないけれども、民が完全にやれるという段階までは官は手を放さないでくれ、それが十八年か二十年かは分からぬ、そういう年代じゃなくて、それまでは放さないでくれということをお願いして、前向きの御答弁をいただいたもんですから、私はそういうような見方で見ておりますんで、これはまた次回でも、どういうふうに二十年以降なるのか、その辺等含めてまた議論させていただきたいと思いますが、今日はこれだけで終わりにします。  どうもありがとうございました。
  186. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 米の偽装表示の問題については同僚議員もかなり詳しく質問されていましたけれども、私はちょっと別の角度から質問します。  二〇〇一年度の食糧庁による巡回点検、立入検査によりますと、販売業者十一万三千軒のうち、不適正な表示をした店が一万六千店もあったと、これはもう全体の一五%に当たるわけですね。中でも悪質な七十四の業者には農水大臣や都道府県知事から改善を求める指示書が発出されたと聞いています。  こうした偽装表示は、検査した年度だけ特別に多かったわけではないんですね。以前よりもう常態化しているというふうに思われます。しかし、これまで米穀の販売、流通を行う業者は、農水大臣若しくは知事に登録しなければ営業できなかったわけですから、そしてまた、食糧庁の一定の監視下にあったということですよね。また、食糧庁には点検、検査する権限がそれまでにも与えられており、チェックしようと思えばいつでもできたし、業者側もいつチェックされるか分からない状態だったということになります。そうすると、当然のごとくわいてくる疑問は、なぜ一万六千店もの店舗が堂々と米の偽装表示をすることができたかということなんですね。  食糧庁長官にお聞きしますけれども、二〇〇一年度の食糧庁による米表示検査で改善の指示書が発出された七十四業者のうち、農水大臣によって指示書が発出された三十二業者ですね、この業者の中で、当時の役員に農水省OBがいたという業者は幾つあるんでしょうか。
  187. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 二〇〇一年度、平成十三年度に農林水産大臣からJAS法に基づく指示を受けた三十二業者、これにつきまして、指示書発出当時の役員に農林水産省OBはおりません。
  188. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そうすると、これだけ多くの業者が偽装表示を行っていたんだけれども、食糧庁による何らかの関与とか、また暗黙の了解というものはなかったんだというふうに言い切れるんでしょうか。
  189. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 関与とか暗黙の了解というのは一切ございません。  ただ、一つ理解いただきたいと思いますのは、このJAS法でございますけれども、平成十四年の七月に大きな制度改正が成っております。実はそれまでは、どういいますか、品質表示の基準に違反しましても、そこで指示をすると、その指示に従えば、そこで公表まで行かなかったわけですね。どんな悪質な違反であっても、指示したことに従っておれば公表までは行かなかった。ところが、昨年の七月から改正JAS法が適用になりまして、大きな違反があったという場合、指示と同時に公表ができるようになったという点が大きな違いでございます。そういうこともありまして、非常に最近は公表に至る事案、これが増えているということは言えます。
  190. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 昨年の通常国会でJAS法を改正して罰則を強化したわけですよね。食糧庁による点検、検査もそれで強化されたというふうに聞いておりますけれども、この業者に対する点検、検査というのは、もう抜き打ちじゃなきゃ全くこれ意味がないと思うんですけれども、これはすべて抜き打ちだったんですか。
  191. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 食糧事務所に対する、適正表示確保のための巡回点検及びJAS法に基づく販売業者等への立入検査、これは有効な指導を行う観点から原則抜き打ちで実施しております。
  192. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 原則というのはどういうことなんですか。原則じゃない場合もあったんですか。
  193. 石原葵

    政府参考人石原葵君) そこでございますけれども、抜き打ちが原則でございます。ただ、確認すべき書類が多いという場合、こういう場合には事前に連絡を要するということで、これは前日、それまでもう向こうに準備の時間を与えないということで、前日に通知するよう留意するという規定になっております。  しかしながら、この規定を適用して前日に通知したということはございません。すべて原則どおり抜き打ちでやっております。
  194. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 その辺のあんばいがかなり疑惑の焦点になっているわけですよね。余りにも、だってこれ多過ぎるんですよね。これだけの業者がやっているということは、本当に厳格な、厳しい検査をやっていれば、こんな一五%も違法なことをやるということ自体どうしても考えられないんですよね。  こうした、なぜこれだけのパーセンテージが多いのかということに関してはどういうふうに考えられているんですか。
  195. 石原葵

    政府参考人石原葵君) これも先ほどちょっと出たことと関連しますけれども、この違反の事例というのは、違反のあれは非常に範囲が広うございます。例えば、いろいろ書くべきことが欠落していた、表示事項が欠落していたとかいう非常にささやかなものにつきましても我々指導をしております。そういうこともありまして、非常に件数としては増えるということでございます。  ただし、その中で悪質なものにつきましては、我々厳重にそれは取り締まっておりまして、指示書を出す、そして昨年の七月以降は悪質なものには即公表するということをしておりますので、その結果としまして、卸さんで公表された結果、倒産したというような事例が増えてきております。それが非常に表示の、どういいますか、適正化につながっているということであろうと思っておりますし、それから、加えて、この何か月間か魚沼のコシ等が非常に価格が暴騰しておりました。それから新潟の一般コシ、こういうものの価格が高騰しております。これはそういう取締りの強化によるものだと我々判断しているところでございます。
  196. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 価格が上がったことはそれはいいとしても、実際にこれだけのパーセンテージで起こっていた一つの、一種の犯罪ですけれども、これ、それじゃこれからは急激に減っていくんでしょうか。
  197. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 我々、こういう行為がゼロというのはなかなか実現無理かと思いますけれども、我々ゼロを目指してやらなきゃならぬと思っております。  我々、団体の集まりへ出ますと、とにかくこういうのは厳しく取り締まるということを常に声を大にして言っておりますし、我が方の数字で見ましても、例えばこれ我々、不適正率と呼んでおりますけれども、比較できるものでいいますと、平成十四年の八月から十一月にかけまして、これは不適正表示の業者を分子にしまして、分母を点検を行った業者の数とそれから立入検査をした業者の数、これを分母にしまして、そのうち不適正な表示した業者が幾らだったかという数字を出しておりますけれども、去年の八月から十一月は一五・三%ございました。それが、その次の時期になります十四年の十二月から今年の三月にかけては七・六と、要するにほぼ半減しているということでございます。  ただ、まだ七・六で非常に高い数字でございますので、我々、とにかく、これが半分、半分になればそれこそゼロに近づくわけでございますので、一層この取締りを厳しくすることによりましてゼロを目指したいということでございます。
  198. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 七・六まで来たということは前進だとは思いますけれども、それでも余りにも大きな数字だなと、やはりもうゼロに近いところまで行かないと、どうしても食糧庁と業者との関係というものの疑惑は残らざるを得ないということなので、今後も厳しく見守りたいと思います。  さて、今回の主要食糧法の改正で、これまで生産者計画流通米を出荷する際に義務付けられていた農産物検査について、計画流通制度廃止に伴い受検義務も廃止されるということになっていますね。消費者が米の品質を判断する基準というのは表示に求めざるを得ないんですね。それは農産物検査に依拠しているわけなんですよ。これだけ米の偽装表示が横行しているにもかかわらず、受検義務を廃止するというのはなぜなのか、むしろ、農産物検査の受検を原則として義務化すべきではないのかと思いますが、いかがですか。
  199. 石原葵

    政府参考人石原葵君) この農産物検査につきましては、規制緩和という観点から、これまで規制を緩和してきているところでございます。  それで、現在でございますけれども、JAS法上、米の産地、品種、こういうものを表示するためには農産物検査を受ける必要があるということにされております。しかし、今回、米政策改革によりまして、計画流通制度廃止するということに伴いまして消費者ニーズに即した多様な流通が行われるということを勘案いたしますと、産地、品質等の表示を行うかどうかは、あくまでその規制緩和の一環としまして民間事業者の任意にゆだねることが適当であると、そしてこれらの表示を行うことを希望しない者、例えば産直で売ったり、あるいは業者に販売するとか、そういう者につきましても検査を義務付けることは適当ではないと考えた次第でございます。  しかし、最近の傾向を見ますと、産地、品質等を表示する観点から生産者も非常に受検のメリットを認識しております。したがいまして、これまでは計画外流通米と言われるものについての検査の数量というのは非常に低かったわけでございますけれども、受検、検査を受けることのメリットを生産者自身が認識しておりまして、認識することに伴って検査の数量が増加しているような実態でございます。  それから、これまでもこの場で申し上げたかと思いますけれども、トレーサビリティー、これは米につきましてもトレーサビリティーを導入したいということで検討を進めておりますけれども、今後、安全、安心な米を販売していくための前提条件としまして、この農産物検査の情報、これを基礎にしましてトレーサビリティーのシステムを作り上げたいというふうに考えておるところでございます。そういうことから農産物検査の必要性が一層増加していくものと考えております。  そういうことで、我々、あくまで規制ということで義務化ということじゃありませんで、生産者それから消費者の双方によって、受検すること自身が価値あるんだと、メリットがあるんだということを訴えることによりまして、言わば市場で選択されるような農産物検査制度を作り上げていくということがこれからの我々行政の目指す方向ではないかということで、そういう面での努力をしたいというふうに考えているところでございます。
  200. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それは性善説に基づいた考え方かもしれませんけれども、これまでのことを見てみると、そうじゃない傾向の方が強かったという点で、それだけ楽観的でいいのかどうかと私は心配しております。それはまた今後の推移を見たいと思います。  さて、日本に住む人々の主食である米は、消費はどんどん落ち込んでいるという事実があります。一九六二年のピーク時に百十八・三キログラム、一日当たり茶わん五杯だそうですね。これが二〇〇一年には六十三・六キログラム、四十年間で半減してしまったという事実がありますね。そのため、一九七〇年より食糧庁と農業関係団体を中心に様々な宣伝と消費促進キャンペーンが繰り返されてきたわけですね。例えば、現在でも行われておりますけれども、テレビ番組を制作して全国ネットに流したり、テレビや新聞などに広告を打ったり、普及キャンペーンを展開しているわけです。しかし、実際にその宣伝キャンペーンにもかかわらず消費は落ち込む一方なんですね。これは宣伝の方法に問題があるのか、そもそもマスメディアによる宣伝自体に効果があるのか、これは根本的に考えなきゃいけない問題ではないかと思うんですね。  しかし、私もテレビ界の出身ですから、コマーシャルのことはよく分かっているんですけれども、これは代理店側から言えば、やっぱり量が少な過ぎるんじゃないかと、もっとたくさんないと駄目だと。それは一理ありますよ。パンだのインスタントラーメンだのと競争しなきゃいけないんですから、それを上回る量にしてくれということは、それは自分たちの利益のためにはがんがん言ってくると思いますけれども。  私の考えでは、必ずしも効果というのは量だけで生まれるわけじゃないんですね。一番問題なのは、やっぱり宣伝はしたんですね。ですから、例えば商品そのものが幾ら宣伝しても売れないものの場合は、これ効果は余りないわけです。しかし、一定の必需品、普遍的な商品だと、これは宣伝競争によって相当な影響があるわけですよね。ですから、その方法を間違うと、やってもほとんど意味がないという結果がありまして、これは、宣伝キャンペーンをやるということ、それに対して大きなお金を払うというのは一つのばくち的な要素というのが随分あります。だから、本当のプロがねらい撃ちしてやらなきゃいけないんですね。  私がよく知っている有名な先輩の俳優さんがいますけれども、この人はどちらかというと三枚目風でちょっとろれつが回らないところが売り物なんですけれども、この人がテープレコーダーの宣伝をやったときは全然売れなくなっちゃったんですね。だから、そういうミスキャストというのもあるわけですよ。歯切れのいい人を使ったらちゃんと売れ出したというようなことで、ほんのちょっとしたやり方でもって宣伝というのは非常に効果が違うと思うんですけれども、大体、テレビ、新聞、雑誌などの広告媒体の総額予算、さっき言いましたっけ。大体分かります、幾らぐらい年間使っているか。
  201. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 全体の予算消費拡大予算全体で四十六億円使っております。そして、テレビには十数億円のお金を使っております。
  202. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 それでもやり方はあるんだと思いますけれども、そうすると、どういうポリシーで、さっきは健康にいいというところを売り物にしてという話でしたよね。それだけポリシーだと、健康にいいというのはもうほかの食品も全部やっているわけですから、同じようなことをやったって競争にならないわけですね、これは。  それと、大体、役所のコマーシャルというのをよく見ますけれども、ほとんど硬直していてつまらないんですね。アピールが全くないんですよ。何か予算が出たから、そこへ何か余り問題を起こさないように出しているみたいな、全然宣伝の意味がないような、インスピレーションわかないような、そういう作り方が多いんですけれども、これはどうなんですか。要するに、例えば代理店に全部任せちゃうと、ポイントだけ言ってですね。それとも、一々チェックして、お役人さん的なものにまとめていってしまうというようなやり方をしているんですか。どうなんです。
  203. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 関係の方がいらっしゃるとまずいんですけれども、代理店に完全に任せますと、我々が出すお金が先ほど言いましたように十数億でございます。委員がおっしゃいましたように、ほかのいろいろめん類とかあるいはパンとか、そこがつぎ込むお金に比べてごくわずかでございますので、それほど立派なものは作り上げてくれません。そういうこともございまして、今日は来ておりませんが、担当の課長がもうとにかく代理店のしりをたたいて、やっと我々が見て、うん、なるほどと思われるような番組を作り上げていると思っております。  一度、日曜日の夕方の番組でございますので、一度先生にもごらんいただきたいと思っておりますけれども、それも、決して外部の人から見て、あれは役所が作ったんですかと思われない、それでもまだちょっと硬いですけれども、そういう内容になっております。それだけで我々は満足するんじゃなくて、それこそ、こういうところで出してあれでございますけれども、吉本興業とかそういうところの専門家にも番組を批評してもらっています。それで、こういうようなあれを変えろということを、いろんなお知恵を拝借しながらこの番組を維持しておりますので、基本的に我々お金出せませんので、中村委員にあれはできませんけれども、いろんな、ただでアドバイスいただければ幸いでございます。
  204. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 かなり今テレビの表現というのはどぎつくなっていますよね。だから、余り品が悪いどぎつさというのは別としても、やっぱり気が利いていて印象に残るような非常に鋭いものを出さなきゃいけないと思うんです。  例えば、さっき言ったように、アメリカは自分たちの余剰産物売るためにむちゃくちゃな宣伝展開して、米を食うとばかになるという本を書いたというぐらいでしょう。これはむちゃくちゃ効くんですよね。だったら、米を食わないとばかになるぐらいの、ほかに大して傷付かないわけですから、そういう何というか、非常に単刀直入なメッセージで人の心が動くような厳しいものにしないと、大学の先生が出てきてどんなに学問的に裏付けしたところで、そんなものは全然効かないわけですよ。  今度よく見ますから、その点も、せっかくお金使うんだったら、やっぱり効果がないということはもうやってもしようがないみたいなことになっていますから、効果が本当に少しは出るはずなんです、これはやれば。そういうことを気を付けて考えていただきたいと思います。  終わります。
  205. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十九分散会