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和田ひろ子君 私は、牛の
個体識別のための
情報の
管理及び
伝達に関する
特別措置法案に対し、民主党・新緑風会、
日本共産党及び国会
改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派並びに各派に属しない議員中村敦夫さんを代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その
趣旨について御
説明いたします。
牛の
個体識別のための
情報の
管理及び
伝達に関する
特別措置法案に対する修正案
趣旨説明。
本
法案は、
我が国における牛海綿状脳症の発生にかんがみ、その蔓延を防止するための措置の
実施の基礎とするとともに、牛の
個体識別のための
情報の提供を促進することを目的として、牛
個体識別台帳の作成、牛の
個体識別番号の表示等の措置を講ずることとしており、このシステムを活用することによって、国内においては感染牛の所在や国産牛肉の
追跡調査等も可能となります。
しかし、食の安全、
消費者の安全という視点から見ますと、重大な点が欠落しております。すなわち、
我が国の牛肉
流通を見ますと、国産牛肉は四割にも満たず、輸入牛肉が六割以上を占める
状況にありますが、その輸入牛肉を本法の対象にしていないことであります。このため私たちは、輸入牛肉についても本法に基づく表示の対象にすべきであると主張してまいりました。
また、さきに成立いたしました
食品安全基本法につきましては、国産品、輸入品を問わず、
食品の
安全性の
確保が図られるよう、国の内外における
食品供給行程の各
段階における
安全性の
確保措置が適切に取られるべきであるとする
基本理念の修正が全会一致で行われました。
私は、この修正の
趣旨から、輸入牛肉についても、国産牛肉と同等の
安全性の
確保と
消費者に対する適切な
情報の提供がなされるべきことは当然と考えますが、
政府は、輸入牛肉については、BSE清浄国からしか輸入が行われていないことから、その
安全性は
確保されており、トレーサビリティーを求める必要はないとしており、
衆議院におきましても、ここに提出しております私たちの考えと同様の内容の修正案に与党の
皆さんの御賛同は得られませんでした。
しかし、その後の事態はどうでしょう。五月二十日にカナダでBSEが発生したことが明らかになり、
政府はカナダからの牛肉・牛肉製品の輸入停止措置等を取りましたが、この牛は一月に解体されており、一月以降五千トンの牛肉がカナダから輸入されております。この間に輸入されたカナダ産の牛肉は安全なのでしょうか。回収できる
体制にあるのでしょうか。
また、カナダ産の最大の輸出先はアメリカであり、アメリカからカナダ由来の牛肉が輸入されているはずであります。このため
政府は、アメリカに対してカナダ由来のものは輸出しないよう要請しているところでありますが、アメリカから
日本に輸出されている牛肉がカナダ産のものであるかどうかを確認することはトレースなしでは不可能であります。このため、アメリカから輸入牛肉がカナダ由来のものでないと断定できない場合は、カナダと同様の危険性は否定できず、その牛肉を輸入することの是非が問われることになるはずです。
政府は、この期に及んでまだ、未発生国からの輸入だから安全であり、表示の対象とする必要はないと言われるのでしょうか。そしてまた、輸出国が安全を確認したから安全だという主体性のない
姿勢を取り続けるのでしょうか。
私たちは、今日のこのような事態にならないために、すなわちアメリカの牛肉の
安全性に不安と不信を抱かざるを得ないような、お互いの国にとって不幸な事態にならないためにも、そしてまた、危機
管理として、危険が確認された場合の製品回収が迅速にできる
体制を作るためにも、輸入牛肉についても可能な限りトレースできるシステムが必要であると考え、修正案を提出する次第であります。
修正案はお手元に配付しておりますが、以下、その内容を御
説明いたします。
修正の第一は、特定輸入牛肉の定義でありますが、この
法律において、特定輸入牛肉とは、食用に供される輸入された牛肉であって、牛の
個体識別のための
情報の適正な
管理及び
伝達に関する制度が
実施されている国又は地域から輸入されたものをいうこととしております。
第二は、輸入された牛肉に関する措置であります。
特定輸入牛肉を輸入する者は、特定輸入牛肉台帳を作成、保存しなければならないこととしております。また、
販売業者及び特定料理提供業者は、特定輸入牛肉の
販売又は料理の提供をするときは、当該特定輸入牛肉、料理等に、
個体識別番号等を表示しなければならないこととしております。
さらに、
販売業者は、特定輸入牛肉以外の輸入牛肉を
販売するときは、当該輸入牛肉が特定輸入牛肉でない旨を表示しなければならないこととしております。
第三は、
農林水産大臣は、
販売業者等が表示義務を遵守していないと認めるときは、勧告、命令を行うことができることとしております。
第四は、特定輸入牛肉台帳を作成、保存しなかった者及び表示義務に係る命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処することとしております。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願いいたします。