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2003-03-26 第156回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年三月二十六日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         三浦 一水君     理 事                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 岩永 浩美君                 太田 豊秋君                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 本田 良一君                 日笠 勝之君                 渡辺 孝男君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   大島 理森君    副大臣        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       渡辺 孝男君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        防衛施設庁施設        部長       大古 和雄君        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       須賀田菊仁君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        食糧庁長官    石原  葵君        林野庁長官    加藤 鐵夫君        水産庁長官    木下 寛之君        環境大臣官房審        議官       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十五年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十五年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     ─────────────
  2. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会防衛施設庁施設部長大古和雄君、農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産省農村振興局長太田信介君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官加藤鐵夫君、水産庁長官木下寛之君及び環境大臣官房審議官小野寺浩君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 去る二十日、予算委員会から、本日一日間、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、大島農林水産大臣から説明を求めます。大島農林水産大臣
  5. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 平成十五年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成十五年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省計上分を含めて三兆一千百十四億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆四千三百七十八億円、非公共事業費が一兆六千七百三十五億円となっております。  平成十五年度の農林水産予算は、食の安全と安心確保農業構造改革加速化都市農山漁村共生対流推進するとともに、地球温暖化防止等に資する森林整備推進中心とした森林林業政策や、安全で安心水産物供給体制整備等水産政策展開するとの観点から、重点施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。  以下、予算重点事項について御説明いたします。  第一に、人の「いのち」を支える食料について、生産者のみならず、消費者視点をも重視し、食の安全と安心確保を図るための施策推進してまいります。  このため、食品がいつ、どこで、どのように生産、流通されたかについて消費者が情報を把握できるようにするトレーサビリティーシステムについて、牛肉に導入するために必要な体制整備を図るとともに、青果物、米等その他の品目についても順次同システムの導入を推進してまいります。  また、食品表示ウオッチャー食品表示一一〇番の充実等、不正を見逃さない監視体制整備により食品表示に対する信頼の回復を図るとともに、国民一人一人が食の安全と安心について自ら考えるための全国及び地域段階食育活動等展開してまいります。  第二に、意欲ある経営体が躍進できる環境条件整備に向けて、農業構造改革加速化推進してまいります。  このため、総合的新規就農支援システム構築農業経営法人化加速化等による多面的戦略展開を図るとともに、既存ストック有効利用による生産基盤農業水利施設整備産学官連携による革新的技術開発等を進めてまいります。  第三に、都市農山漁村共生対流を通じて地域活性化推進してまいります。  このため、新たなグリーン・ツーリズムの展開農業農村体験学習推進農山漁村IT化を目指すe―むらづくり計画推進等を通じて、農山漁村振興を図ってまいります。  また、循環型社会構築地球温暖化防止に向けて、食品廃棄物稲わら家畜排せつ物、未利用木材等生物由来有機性資源であるバイオマス利活用する社会実現を目指し、新たなモデル施設整備利活用システム構築等推進してまいります。  第四に、森林林業政策については、特に、京都議定書に定められた二酸化炭素などの温室効果ガス削減目標を達成していく上で、我が国森林を適切に整備保全していくことが極めて重要となっていることから、多様で健全な森林整備保全を積極的に推進してまいります。  また、住宅、公共施設等における地域材利用木質バイオマス利活用促進等により、林業木材産業構造改革を進めてまいります。  さらに、地域資源活用による魅力ある山村作り森林環境教育を始めとする森林の多様な利用推進等により、都市山村共生対流を促進いたします。  第五に、水産政策については、まず水産物消費から生産に至る各段階での衛生管理水準向上等を図り、安全で安心水産物供給体制整備推進してまいります。  また、水産資源回復や、作り育てる漁業推進漁業の担い手の確保・育成や、その経営を支援するための対策、流通の効率化加工業事業基盤強化を通じ、水産業構造改革を進めてまいります。  さらに、都市漁村共生対流による地域活性化を図るため、漁村体験学習施設整備交流活動推進等により、魅力ある漁村作りに取り組んでまいります。  次に、特別会計については、食糧管理特別会計等について、それぞれの所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫等による財政投融資資金借入れ等、総額二千四百九十八億円を予定しております。  以上、平成十五年度農林水産予算概要説明を終わります。
  6. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 松山政司

    松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。  WTO農業交渉について、昨日の当委員会全会一致決議がなされましたけれども交渉山場を迎えておるときだけに、国が一丸となって取り組んでいかなければならない、そんな観点から、国民により理解を深めさせていただくべく、あえて、基本的な質問ではありますけれども、数点お伺いをさせていただきます。  現在、ジュネーブにおいてこのモダリティー確立に向けた会合、一日目をちょうど終えたところではございますが、今日の新聞でもございましたけれども、これまでの厳しい交渉経過から、この会合モダリティー確立することは非常に困難ではないかという観測も流れております。  今回の新ラウンド交渉における最大の課題が農業の、農業交渉であると。この農業交渉進展いかんが他の分野交渉にも大変大きな影響を与えるのではないかと思います。特に、三月末までにこのモダリティー確立しないということになりますと、途上国農業分野で進捗、成果が得られないとして、他の分野からも撤退するのではないかと、このような懸念、あるいはWTO交渉そのものが達成できなくなる可能性があるのではないかというような指摘もございます。  このために、このモダリティー期限確立できなかった、モダリティー期限までに確立できなかった場合、その責任を、このハービンソン議長の一次提案、それから改訂版に反対する日本EUにその責任を押し付けようと、そんな動きもあるやにお聞きをしておりますが、我が国としてはこの動きに対してどう主張していくのか、農業者のみならず、国民に明確に日本立場というものを説明し、理解を求めなければならないと思います。国際社会に対してはなおさらのことだと思いますけれども、いま一度、大臣の見解をお伺いさせていただきたいというふうに思います。
  8. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 松山委員から今御指摘いただいた点で、非常に私どもが注意をしなければならない点が含まれておると思います。  まず第一点は、依然として三月末までにモダリティーというものを作り上げようというコミット、これはたとえどういう今現状であっても、私たちがそれぞれコミットしている、共有している、こういう認識をまず第一点、明確に申し上げておきたいと思います。したがって、我が国として、今の時点から三月末はもう無理だ、努力はやらないという姿勢ではなくて、最後最後までその貢献をしていくという姿勢を改めて明確にしておきたいと思います。  そういう中にあって、どういう点を日本主張し、あるいは考えを国民に、もっとしっかり努力をさしていかなきゃならぬのではないかというふうな、国民理解を得られるようにしておかなきゃならぬのではないか、それも国内だけではなくて、国際社会に対してしっかりとその点は言うべきではないかという点は誠にそのとおりだと思いますし、私どもモダリティー確立に向ける貢献コミットはきちっとしているわけでございますが、その中にあって、昨日もジュネーブでは全体会議が開かれました。  私どもは、今日までも申し上げて、お答えをしておりますように、やはりまず基本に、あらゆる国の農業が基本的に多様に存在するという哲学を持ちましょう、そのためには輸出国輸入国、あらゆる国々バランスの取れたものでなければいけませんよと。そしてさらに、そのためには非貿易的関心事項というものをしっかり踏まえなければなりませんし、その非貿易的関心事項という施策をそれぞれの国が取れるような柔軟なモダリティーでなければいけませんと。  更に言えば、そういう状況の中で私どもが、それぞれの国、EUEU日本日本、やはり農政の改革というものを間断なくやっていこうとしているわけでございますから、その改革継続性というものが必要でありますなと。そして、その非貿易的関心事項は、昨日も議論がありましたが、国内食料安全保障という視点も必要でありましょう。そういうふうな観点考え方は、日本だけではなくて、改めて、EUも含めて六十か国の国々がその考え方に同意をしている、あるいは共有しているという、支持が得られているという事実を、度々ではございますが申し上げさしていただくわけであります。  私は三月中、私自身、三月の中旬にハービンソン議長に対して私自身の書簡を送って我が国立場を改めて表明し、それに対するお答えをいただきました。したがって、今、委員から御指摘いただいたように、三月末のその期限がどうも非常に厳しい状況になったという認識の下で、その犯人捜し的な発言をケアンズの一部の国々日本EUを名指しでお話しし始めているということも承知はいたしております。しかし、一方、アメリカケアンズ皆様方も、このハービンソン議長の一次案及び一次改訂案については野心が低過ぎるという批判をまたしているわけでございます。  いずれにしても、私どもは、最後最後まで私ども考え方を共有している国々と協力し、ケアンズアメリカ皆さん方を説得し、議論をし、そして、バランスの取れた現実的な包括的なモダリティーでないと三月末の決着は付きませんよということを昨日の全体会合でも明確に主張をいたしておりますし、EUは、私どもと同じ言い方ではありますが、この一次改訂案はベースとはなり得ない、こういうふうなことも主張しておるところでございます。  さらに、私ども考え方消費者あるいは生産者あるいはまた多く国民に積極的に説明をし、理解を求めていく、また国際的にも理解を求めていくという姿勢が必要だと思っておりますし、委員が御心配のような、何かこの農業交渉の行方が全体のWTO交渉の阻害になる、その犯人は日本だ、EUだということにならないような具体的な方策と世論形成というものも一方において非常に重要なことだというふうに答えさしていただきます。
  9. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございます。  内容について若干お伺いしたいと思いますが、この一次提案及びその改訂版についてでありますけれども大臣おっしゃいましたように、我が国は受け入れられないと表明をされて、受け入れるに当たっては、この非貿易的関心事項を反映しながらも、先ほどおっしゃいました三点の確保が不可欠であるというふうに言っておられます。  まず、一次案、一次案改訂版について、日本提案から見て評価できる事項評価できない事項というのをもう一度明らかに御説明願いたいというのが一点と、また、現在、交渉の過程ということもありますけれども大臣主張される、先ほどの三点の主張にも見られますように、非常に国民の目から見ると言葉だけではなかなか内容が抽象的で理解が困難な面もございますので、農業交渉山場を迎えておりますので、ここは国民一丸となって取り組むためにも、何を実現するために日本がこの主張を行っているのかを国民に正しく理解してもらうことが必要であろうかというふうに思っております。  この三つ要件確保は、今後、モダリティー案として盛り込むのであればどのような形になるのか、柔軟性確保すべきセンシティブ品目として何を想定されておられるのか、政府の描く姿をいま一度国民に分かりやすくお示しいただきたいというふうに思います。  加えてもう一点、先ほど、二月十二日にハービンソン議長が一次提案を出されたわけですけれども、その後、大臣の方からは、非貿易的関心事項が適切に反映されていないというふうにコメントをされました。ところが、その後の一次案改訂版の中に、「その他の市場アクセス問題」という項目のところに二行追加をされました。「ドーハ閣僚宣言に明記された非貿易的関心事項については、本案の様々な部分で考慮されているものの、」という文言があえて追加をされました。  昨日の委員会全会一致決議文の中にもありましたが、私も反映されていないというふうに、こう考えるわけでありますが、あえてこの加えたことについて大臣はどのように評価をされておられるのか。また、モダリティー確立モダリティー確立するに当たって非貿易関心事項、非貿易的関心事項として盛り込まなければならない事項、それが反映された事項ということをもう一度お示しいただきたいというふうに思います。
  10. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 一次改訂案は、一次案と同じように総体として受け入れ難いというふうな評価を私、いたしました。総体としてでございますから、評価が全くできないところが、評価するところが全くないのかと言われると、それはやっぱりハービンソン議長も、ミニ閣僚会議等々の議論を聞きながら若干評価できるところも私はあると思うのでございます。  それは、第一点は、発展途上国向け配慮に更に重点が置かれたなと。それは松山委員が先ほどお話しされたように、発展途上国は非常に大きな国々、数として多いわけでございます。そして、ドーハマンデート開発マンデートと言われるぐらいでございますから、開発途上国に対してどういうふうなルールを作るかということでございますから、私どもも今度の国会にもその開発途上国向けのいわゆる関税を緩やかにする税法のお願いをしておるわけでございますが、その第一点は、まず途上国向けへの配慮重点が置かれている部分、第二点は、昨日も御議論がありましたが、輸出規制輸出税分野規律強化に若干取り組んでいるなというところは、一部そういうふうな意味評価はいたします。  しかし、今先生がお話しされましたように、基本的な骨格は一次案でございますから、いわゆる輸出国側に立ったモダリティーになっている。それは、関税削減については、やはり高い関税はどんと下げなさいと、ここはもう全然変わっていないわけですね。これを称して私どもハーモナイゼーションと言うんですが、やはり高い関税は、昨日も御議論がありましたが、どんと下げなさいと。ここが変わっていないということであるならば、これは非貿易的関心事項というものが、たとえ改訂案では非貿易的関心事項には配慮を云々ということが書かれたとしても、それは言葉でございまして、全く受け入れ難いまず第一点であろう。  さらに、ミニマムアクセスの拡大、それから先進国特別セーフガード一定期間後の廃止、それからAMSの削減品目別要素を導入するというのは、これはもうとても我々自身耐えられないところでございます。  それから、青の政策削減。異なる形態の輸出補助金の間の規律の不均衡等があります。これは、もう御承知のように、アメリカのやっている輸出補助金的貸付制度があるわけです。このことには触れていないわけですね。もうEU輸出補助金だけを対象にしたような規律の不均衡。そういうふうな意味での不均衡において、我が国主張とは相入れない内容になっているということであります。  よく野心的という言葉がこのWTOの世界で使われる議論なんですが、アメリカ側はもっと野心的になるべきだ、いや我々は野心的過ぎるという言葉を言うわけですが、いわゆる輸出国側のそういう意味では主張に偏重した内容であるというふうな評価柔軟性継続性バランス、こういうふうなものが確保されていないということで、総体として受け入れ難いと、こうなったわけでございます。  さて、そこで、今先生がお話しされた、それじゃ一体、非貿易的関心事項、こういうふうなものは日本としては具体的にどういうことを考えているのかというふうな御質問があったかと思いますが、まず第一点は、非貿易的関心事項といった場合に、食料安全保障という概念、それから国土と環境保全という概念、こういうふうに、貿易のみで実現できない価値というものを私どもは非貿易的関心事項としてとらえております。  じゃ、非貿易的関心事項を、どうすればこれをきちっと機能できるそのモダリティーになるのか、ルールとしてどのようなルールになればその非貿易的関心事項というふうなものができるのかというと、第一点は、やっぱりそれぞれの国において食料安全保障あるいは環境、文化、そういうふうな非経済的価値というふうなものを考えるとするならば、やっぱり品目ごと柔軟性が取れるようにそのルールがなければならぬということが第一点だと思います。  さらに、昨日もちょっとお答えしましたが、輸出規律。つまり、輸出どんどんしたいときはしていって、何かあったときにもう輸出国側サイドで勝手に止めちゃうとか、そういうふうな輸出規律政策を強化する。さらに、国内支持におきましても、簡単に言えば補助金ですよ、補助金の問題。いい悪いといういろんな議論がありますけれども、少なくとも広い意味でこれを黄色、青、緑の三つのボックスに分けているわけでございますが、緑の政策をやっぱり維持すること、こういうふうなものが私どもがいわゆる非貿易的関心事項を担保する政策として大事だということを言っているわけです。  さて、そこで、センシティブ品目は何か。今度の改訂版では戦略的品目から特別な品目と、こういうふうに名前を変えております。名前は変えましたが、言わばセンシティブ品目と、こう言っていいんでしょうね。  日本はどういうものが考えているのかということを申し上げますと、米、小麦、乳製品、でん粉、雑豆、落花生、コンニャクイモ、生糸、豚肉と、これらを言わば日本としてはセンシティブ品目かなと。つまり、それはウルグアイ・ラウンド合意の際に関税化した品目でございますわね。そういうふうなものを私どもとしてはその範囲の中に考えていると、こういうことでございます。
  11. 松山政司

    松山政司君 分かりました。ありがとうございます。  続きまして、セーフガードについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  農業交渉議論中心は米であるということは確かであろうかと思いますが、農産物には畜産、野菜果樹等々あるわけでございまして、これらも大変重要な品目でございますし、是非御留意を願いたいと思うわけでありますが。私の地元の福岡県でもこの果樹野菜というのは成長品目でありまして、特に若手の農家が懸命に取り組んでいる分野でもございます。この野菜果樹は、現在でも関税率が大変低いだけに、野菜果樹においてはセーフガード措置というのが大変大きな役割を有するのではないかというふうに思います。  そこで、今、日本提案ということで政府から提案していただいていますのは一般セーフガード発動要件、これが農産物特性に十分こたえるものにはなってはいないと。こういうことから、季節性があり腐敗しやすいという農産物特性に対応したセーフガードの創設というものを提案していただいております。  このハービンソン議長案では、ウルグアイ・ラウンド合意自由化関税化された農産物にだけ適用される特別セーフガード、いわゆる緊急輸入制限措置、この廃止を打ち出しておりますし、また政府提案したこの案は一顧だにされていないというふうに思います。  そのセーフガードに対する各国の反応はどのような状況にあるのか、また今後の交渉日本提案実現に向けてどのような手だてを考えておられるのかをお伺いしたいというふうに思います。
  12. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 特別セーフガード状況について御説明させていただきます。  先生からの御指摘がございましたとおり、ハービンソン議長の一次案及び一次案改訂版におきまして、特別セーフガードに関しまして、先進国につきましては、関税削減実施期間、仮に五年と置いておりますが、五年間の終了時に提出するか、あるいはその後、二年後に提出するという案になっております。  この特別セーフガードをめぐりまして、アメリカ中国等廃止主張している。あるいは、豪州ケアンズ諸国豪州等ケアンズ諸国、一部の途上国は、先進国については廃止、併せて、途上国については継続していくという主張でございます。私ども日本EUフレンズは、約十五か国ございますが、特別セーフガード制度、関税化の言わば見合いでできた制度でございますので、その維持を主張している状況にございます。  また、あわせて、先生指摘の言わば季節性のある産品についてのセーフガードの問題でございます。  私ども我が国季節性があり腐敗しやすい品目についての特別セーフガードの適用を主張している状況にございますが、今までの状況の中で、日本、韓国、スイスの三か国の主張にとどまっております。一方で、先ほど申しましたように、途上国のみについては特別セーフガードの適用拡大をすべきという主張ケアンズ諸国を始め多くの国で展開されている状況にございます。  私ども、こういう状況の中で、特別セーフガードは、先ほども申しましたように、ウルグアイ・ラウンド合意の際に関税化した品目に対する言わば特別措置で、そういう経緯からして、これは維持しながら、更に我が国主張理解が得られるよう、途上国との働き掛け、途上国についての特別セーフガードの拡充ということがあるわけですので、そういう働き掛けを強化していきたいというふうに思っております。
  13. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  それでは最後に、WTO関係最後に一点御質問したいと思いますが、いよいよ大詰めの農業交渉に入っておるわけでありますけれども、この対応につきまして、大島農林水産大臣EUのフィシュラー農業担当委員との会談では、一次案改訂版交渉のベースにしないとの認識で一致をしたと報道されております。このような中で、二十五日から一日を経過したわけでありますけれども、この交渉、どのような戦略で臨んでおられるか、また、進行中の農業交渉状況大臣交渉方針、お聞かせいただける範囲で結構ですのでお伺いしたいということ。  加えてもう一点、今回のジュネーブに、この支援活動のために議員団を派遣をしているというふうにしています。我が党からも二名、民主党、公明党各一名で構成をされて、この農業交渉特別会合の開催に合わせて行っておられます。スパチャイ事務局長ハービンソン議長、各国の交渉関係者との会談を行われるということで行っていただいておりますが、この農業交渉自体は当然ながら政府により行われ、我々議員は直接交渉に関与することはできないわけでありますけれども、しかしながらこの問題は、政府だけではなくて、国民の負託を受けた議員も一緒になって取り組まなければならない課題でもあるというふうに思います。  この議員団を派遣するということは、議員外交として国が一体となって日本提案実現のため取り組んでいることを世界に示すことでもあろうかというふうに思いますが、大臣の、議員がこのような交渉に関する支援活動を行うということについて、所見を一言お伺いできれば有り難いと思います。
  14. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 二十五日はハービンソン議長モダリティー一次改訂案改訂版に対する評価モダリティーのあるべき内容等について立場を表明しました。我が国から、先ほど申し上げましたように、総体としては受け入れられない、野心的過ぎて、我が国主張する非貿易的関心事項等を適切に反映した包括的でバランスの取れたモダリティー合意することが不可欠である、それは、EU等フレンズ国も、交渉のベースにはならない、こういう主張をされました。  これに対して米国やケアンズ諸国は、ドーハ閣僚宣言マンデートに照らすと、野心の水準が低過ぎ、不十分である、一律かつ一層大幅な保護・支持削減も必要との主張を繰り返した、こういう報告でございます。途上国の多くは、先進国補助金の大幅な削減がない限り、途上国は市場アクセスの約束には応じられない。言わば三極的な主張が出されたと。ただ、そのときに、戦略的品目、つまり特別品目により途上国のための特別優遇措置に大きな関心を示したそうでございます。  したがって、今後の戦略として、私ども考え方途上国に対しても、このように効果的なものになるよという、こういうアプローチを途上国の皆さんに理解せしめていくことが必要だと思っております。  そういうことを踏まえながら、かなり各国間のグループ別考え方に引き続き隔たりがある中で、二十六と二十七日、ですから今日、明日になると思いますが、普通は関税関税割当て、国家貿易食料援助、輸出信用の項目について、議長主宰の少数会合がこっちで開かれると同時に、二国間の バイ会談が開かれるというふうになっております。そして、二十八日に議長主宰の非公式全体会合が開催されるという日程になっております。  どのようにこれから臨むのか。まず基本は、EUあるいは韓国あるいは我々が同じ考え方を持っている六十か国という国々、これを広め、深めていくということが一つ。そのためには、発展途上国に対する、我が国が考えるようなモダリティーが結局は発展途上国に対して有利になるんだということを理解せしめないと、と申しますのは、アメリカ発展途上国に対しては非常に、割と冷たいんです。つまり、関税を全部下げろという話ですから、そこには発展途上国先進国の差がないわけですね。これを割と発展途上国の方々がもう一つ理解をしてもらわなきゃいかぬ、比較論で。そういう中で、全体のモダリティーとしては我々の考え方の方がいいのではないかというふうなことを、非常に大きなこれからの行動の戦術論として私は大事なことだと思っておりますし、最後最後までぎりぎりのそういうふうな意味での努力をしてまいりたいと思います。  議員外交におきましては、政党間を乗り越えて今回派遣していると……
  15. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 大臣に申し上げます。答弁は簡潔に願います。
  16. 大島理森

    国務大臣大島理森君) はい。  行っていただいて、何しろ質問が大きいものでもございますから、簡潔に申します。  大変有り難いことだと思っております。一体としてこれからも御協力、御支援をよろしくお願いしたいと思います。
  17. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  最後質問にさしていただきたいと思うのでありますが、また視点が変わりますけれども、この平成十五年の農林水産予算の中で、食育ということについて、食育活動の総合的な展開として七十八億円が計上されています。十五年度には、食育を推進する国民的な活動の展開のために新規に六億八千万計上されておられます。この中で、食を考える国民会議の活動強化、食を考える月間の推進、マスメディアの各種媒体を通じた情報発信活動等を通じた全国的な展開、食育推進ボランティアの登録・活用地域特産物、伝統的食文化などの地域特性を生かした食育の実践活動を展開するとしています。  そこで、食育の推進ですが、私も小学生の子供を持つ親の立場ではありますけれども、将来の十年、二十年を考えた場合に、小中学校における教育の果たす役割は極めて大きいというふうに思います。農業体験学習、農家による講義など幾つか、かなり地域で行われてきておりますけれども、この一貫したカリキュラム作りあるいは組織的な対応が必要ではないかというふうに思っております。  例えば、講師を継続的に確保するにはどうするか、あるいは費用はどう負担するか、農業体験学習の場合どういうふうに確保すればよいかなどの課題があります。  そこで、各県の教育委員会に窓口を作ったり、学校側からの要望や、あるいはJA等の受入先の調整を行ってはどうかというふうに思います。昨日もグリーンツーリズムのお話もございましたけれども、この学校教育における食育推進のための具体的なシステム作りがございましたら、是非教えていただきたいというふうに思います。
  18. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、先生からお話がございましたように、正に食の教育、食育というのは大変これからも大事な問題だというふうに農林省としてもとらまえております。  これは、正に食生活の多様化、外食だとかこういったこと、それから食と農との距離の拡大や家庭における食の教育の低下、正に私ども子供のときには、育つときには、基本的なものとして、絶対にこれは、御飯は残してならないとか、これを、野菜を残しては駄目ですよ、これはお百姓さんが一年掛かって作ったものなんだよと、そういった感謝の気持ちを込めながらいただきなさいと。そして、いただくときには必ずいただきます、終わったら必ずごちそうさま、こういった感謝を常に表しながら、こういう食ということについては、食物についてはやっていきなさいと。こういうふうなことを教えられたものでありますが、そういったことを考えてみますと、やはり、生きることの基本としての食育ということを考えれば、学校とか家庭教育、こういったところでしっかりと取り組むことは私は大事なんだろうと、このように考えておるものでございまして、農林省といたしましては、今ほどお話がございましたように、学校教育を所管する文部科学省と連携をしっかりと取りながらこういったことに推進をしていきたいと思っております。  なお、食料農業農林水産省は総合食料局、そして文部科学省はスポーツ・青少年局を窓口としてこれからもやっていきたいと。なお、ここに厚生労働省等も含めた関係局長をメンバーとする連絡会議を設置して、地域レベルにおいても連携を深めていきたいと思っております。  また、地産地消の関係からも、地域の中での取れている食物に対する、こういった食品に対するものについての子供たちがしっかりと勉強していく、どういうものが自分の地域の中で取れているんだろうか、それが本当に安全なものなんだというふうな、そういった教育もまたしていく必要があるだろうと、こんなふうに考えております。
  19. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  終わります。
  20. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 自民党の小斉平でございます。  今回のイラク戦争の状況をテレビ等々で見ておりまして、我が日本について考えさせられることがあります。それは、イラクの大量破壊兵器、これを持っておるということで、結局米英軍が、スカッドミサイルやら、空爆等々行っておるわけでありますけれども日本が仮にイラクと同じような状況になったときに、イラクと同じように疑惑を持たれたときに、私は、日本はもう空爆やらミサイル撃ち込む必要もない、ただ輸出しておる国が、もう日本は、あなたに、おたくには食料をあげませんよと言えば土下座せざるを得ないんじゃないか、近い将来そういうことになるんじゃないかと、非常に私は今回のこの一連のテレビ報道等々を見ておりまして、危惧するものであります。  だからこそ、やっぱり国民が自分の国土を耕して、主食である米を確保し、野菜確保し、そして安価な海の魚を食べると、こういうことが私は最も重要になってくると、このように思うんです。国民食料を他国に頼っておるような国が国際舞台で物が言えるわけがないと私は思うんです。  だから、今度のWTO交渉、これは先日来、昨日来、大臣の強い決意もお聞きをいたしましたし、また昨日、当委員会でも決議をいたしたところであります。どうかこの決意、決議に基づいて最後まで最大限の御努力をしていただきたいということをまず冒頭にお願いを申し上げたいと思います。  大分時間が食い込んでおりますから、簡単に質問をさせていただきますけれども林野庁長官、簡単にお答えを賜りたいと思います。林野問題について質問をさせていただきたいと思います。  今日、地球環境に果たす森林の多面的機能、この重要性が指摘をされております。森林が果たす保水能力一つを取ってみましても、自然のダムとしての機能を発揮をしておりますけれども、今日、放置林、これらの増加によってその機能が非常に低下をしておる。また、今日、都市部の河川流域において浸水被害、これが頻発しておるということから、今国会に国土交通省関連で特定都市河川浸水被害対策法案、これが提出される予定になっております。  都市部という川下の問題は、川上の治山治水、これと深くかかわっておる。川下の対策ばかり、これにとらわれておっては本末転倒、机上の空論になってしまうと私は思います。ですから、川上である山林の保全等の問題を含めて総合的に検討すべきだと、このように思うのでありますけれども、この法律案について国交省から林野庁に何らかの相談やそういうものがあったのかどうか。それで、川上、川下一体となって対策を講じる、このような必要があると、このように思うんですけれども、長官の御見解を賜りたいと思います。
  21. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 御相談があったかどうかということについては後で長官からお答えいたさせますが、先生指摘のように、正に国土の安全保障という建前から、その見地からいいましても、また多面的機能ということからいいましても、川上における森林のいわゆるしっかりした施業とか、あるいはまた治山事業の推進によってこれらの川下に住んでいる方々の安全、安心確保していかなければならないと、こんなふうな考え方の中で、これは正に治山事業というものは洪水の緩和などの国土保全を図る上で本当に重要な施策でございますので、国土交通省の治水事業と連携して施策を行うことが必要だというふうに考えております。  また、治山事業及び治水事業にかかわる長期計画の作成を始めとして、それぞれの工事箇所のほか、あるいはまた災害発生時における災害対策などにつきましても、相互に調整を図って今やらさせていただいているところでございます。  なお、詳細につきましては長官の方からお答えさせます。
  22. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 特定都市河川浸水被害対策法案でございますけれども、これ国土交通省で今検討されているわけでございますが、この法案は、都市部の浸水被害防止という観点でございますけれども、何といいましても、それを行っていくには上流の森林整備ということも大変重要でございまして、国土交通省の方からも農林水産省の方に対しまして、どういうふうにしていくのかというようなことで調整をいただいたところでございまして、我々としては、今後とも、そういった問題につきましても、上流の森林整備を治山事業等で行っていくということで、併せて行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  23. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 途中何ぼかはしょらぬと時間がありませんから次に参りますけれども、私は、林業が成り立たない最大の原因、これは外材の輸入にある、このように思います。  我が国で使用されておる材木の八〇%以上、これは外材でありまして、まことかどうか私は正確には分かりませんけれども、いや、その輸入された半分が違法伐採だと、このように一部では言われております。インドネシアでは、スハルト政権崩壊後、違法伐採が物すごく急速に進んで、二〇一〇年までには熱帯雨林が消失するという予測さえあるわけです。そうして、そのインドネシアの伐採された三分の一が丸太やら合板、チップ、こういうもので我が国に輸入されておると、このように言われております。もしそれが事実だとすると、地球温暖化、これにも影響いたしますし、違法伐採を我が国が認めた上で輸入しておるということにもなり、国際的にも大変大きな問題になる、このように思うんです。  林野庁はこの違法伐採、これについてどこまで把握をされておるのか。またその対策、どのように講じられておるのか。違法ないわゆる輸入材、これを阻止するだけでも地球温暖化あるいは国内産材の需要拡大、これに大きく貢献できると私は思うんですが、長官の御見解を賜りたいと思います。
  24. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 違法伐採の問題につきましては、今言われましたとおり、例えばインドネシアとロシアが大変問題になっているわけでございまして、インドネシアにおきましては、お話がございましたように、その五割、伐採量の五割ぐらいが違法伐採ではないかということを政府としても認めているというような状況でございます。  ただ、ロシアの方につきましては、実は政府としては違法伐採はそれほどないんだというような話でございますけれども、NGO等が調査いたしたところでは、相当のものがあるんではないか、二割ぐらいあるんではないかというような話もあるところでございまして、我々としてもロシアの問題につきましても注目をいたしているところでございます。  ただ、インドネシアにつきましては、今申し上げましたように、政府も認めているということでございますので、それをいかに抑制をしていくのかということについて我々取り組んでいかなければいけないというふうに思っているところでございます。  全体としまして、まず違法に伐採された木材は使用すべきではないという基本的な考え方の下で違法伐採を世界的に取り締まっていく、国際的に取り締まっていくということが必要ではないかというようなことから、いろんな会議の場で違法伐採の問題を強調してきたところでございまして、G8の森林行動プログラムでありますとか、あるいは今回のヨハネスブルグのサミットにおきます中でも違法伐採の問題を取り上げていただいたところでございますし、今申し上げましたように、インドネシアとの間におきましてはアジア森林パートナーシップと、日本とインドネシアが中心となりまして、そういった問題にどう取り組んでいくのかというようなことでアジア森林パートナーシップというものを今回動き出させたところでございます。  ただ、違法伐採の問題は、難しいところは、実は違法に伐採された木材かどうかという認定が非常に難しいというところがございます。伐採されたものが我が国に輸入されてくる段階では実は合板にほとんどなっておりまして、製品として輸入されてくるということでございますので、そういったものを止めるということだけでは実は事がいかないわけでございます。  そういう点で、どういうふうに違法伐採であるかというものを認定しながら、そういったものを使わないような形にしていくのかという具体的なやり方というものにつきまして、インドネシア政府等を中心といたしまして議論していくということが必要ではないかというふうに思っているところでございます。  いずれにしましても、違法伐採が行われているということは世界的な森林の持続ということについても問題が生ずるわけでございまして、我々としては積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  25. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 三月十九日に高知県が全国で初めての森林環境税、これの条例案を可決、成立したと、このように報道されました。人工林の四分の一強に当たる十万ヘクタール以上の森林で荒廃が進んでおって、個人、法人の両県民税に一律五百円を上乗せをしてその税金を森林保全事業費等に充てるという趣旨のようであります。また、農水省の調査によりますと、同様の森林税を二十六道県、これが検討しておるということでありますが、多くの山林を抱える自治体だけが森林保全を自ら負担をする、こういう話もちょっとおかしいなと私は思います。  森林の多面的機能という場合、川上の恩恵を川下は受けておるわけでありまして、また地方の恩恵を都市が受けておる。そうであれば税収難にあえぐ多くの山を抱えた地方の住民のみに負担をかぶせるというのではなくして、やっぱり全国一律の環境税あるいは森林税を創設すべきだと私は思います。厳しい財政事情の地方があえて森林税、これに取り組まなければならない、それほど山の荒廃というのが進んでおる、このことを肝に銘じて早急な対策を打つ必要があると、このように思いますが、長官の御見解を賜りたいと思います。
  26. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 最終的には山の大事さをどうやっていくかということの質問でございますが、税の問題でございますから、小斉平先生御存じかどうか、水源税がとんざしたんです。目的税を作ってそれでやろうとして、また森林税のようなものを議論してとんざした場合に、もっと大きな課題である環境税という問題に私は影響してくると思うんです。ここは一番、環境税という視点から先生方の御理解をいただきながら多くの国民理解をいただくという道がいいと思います。目的税として森林税という闘い方をいたしますと、もしこれが駄目になった場合は、環境税そのものにも影響してくると私は思うんです。ですから、環境税として議論していくことが王道ではないかと、そういう中で考えてまいりたい。これが農林水産省全体としての考え方で、今勉強もしております。是非御協力いただきたいと、こう思います。
  27. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 最後に、大臣の所信にございましたように、この森林の多面的機能、これが適正に発揮されるようにということで森林法の一部改正、または林業経営改善のための資金の融通の円滑化に向けた制度改正の法案、これが提出されるということでありますけれども、この二法で、年々深刻になっておる高齢化や後継者不足あるいは赤字経営等々によって増加しつつある放置林、これの問題を解消できるのかどうかということを私は思うんです。  地元の森林組合から聞いた話では、高齢化した森林所有者が自分の息子に山を継がせたいと言うと息子は何と言うかというと、要らないと、処分してくれと、売ってくれと。その所有者は森林組合で買ってくれぬかと来るそうなんであります。このままでは山は私は病んで死んでしまうんではないか、滅んでしまうんではないかと思います。間伐がされないためにいわゆる表土、これが流出したり、あるいは大雨による土砂崩れ、こういう災害の危険性も無視できない。もうだから、財政難の行政機関や森林組合の力だけで対応できるという状況にはもう全くありません。これは日本全国どこでもそうだと思うんです。  例えば、こうした放置林を森林組合等々の機関で引き取って、引取経費の一部や管理経費、これを国やら県、市町村、これが助成する、そのことによって森林所有の形態、これの集中化を図って放置林の消滅を目指すということが私は必要になってきておるんではないかと思いますが、御見解を賜りたいと思います。
  28. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 林業が大変厳しい状況の中で、今言われましたように放置されるという状況も生じてきているわけでございまして、我々も大変な問題認識を持っているところでございます。それに対して今回も森林林業基本法という形で森林の問題を改めて取り上げていただきましたし、また地球温暖化防止十か年対策ということで森林整備を今以上にしていかなければいけないという対策を年末に作らせていただいたところでございます。  そういう中で、その放置林についてどうしていくかということでございますけれども、一つは、やはり森林整備として森林所有者の方だけでやっていただくということだけではなくて、やはり公的にやっていくという道も広げていくということが必要ではないかというふうに考えているところでございまして、治山事業等々を使いまして公的にやるということを考えていきたいということでございますし、また森林の買取りというお話がございましたけれども、このことにつきましては、実は平成五年度から地方公共団体が森林公園などの公の施設として保全活用を図る森林であるとか、あるいは公益的機能の維持向上を図るために公有化が必要だというような森林につきましては、地財措置で取得についての経費について助成をするというような道も開いていただいたところでございまして、そういったものを活用して放置林対策というものをやっていただけたらなというふうに思っているところでございます。  ただ、森林組合というお話がございましたが、森林組合が今の状況の中で買い取るということにつきましては、やはり相当長期的な見通しを持ってやっていくということも必要になるというふうに思いますので、今申し上げましたように市町村等が地財措置で講じられたものを使っていただいて考えていただけたらなというふうに思っているところでございます。  いずれにしましても、森林整備、今まで以上に進めていかなければいけないということでございますので、地球温暖化の防止を始めいろんな森林の多面的機能につきまして国民の方々の御理解も得ながら我々としても積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  29. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 終わります。
  30. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、委嘱審査について質問をいたしたいと思います。  我が地球は今八億の人類が飢餓であえいでいる。そういう中、ますます飢餓を作ろうとしている。地球を一国で支配しようとするアメリカは、イラクに強引な武力行動を行っていることに私はまず強く抗議を申し上げたい。ちょっと声を大きくいたしましたが。  さて、日本農業は歴史上最大の危機に直面している、これは委員の皆さんも大臣も言っているところでありますから、正にそういう状況になっているんではないかと言って過言ではない。すなわち、言うまでもなく、アメリカが主導的にしているところのWTO農業交渉の行方にそれだけ危惧しているからではないかと、こういうふうに思います。なぜこんなに日本農業が危機だというふうに農業関係者ばかりでなく多くの皆さんが危機意識を持つか。これは関税化、市場競争に向けた日本我が国農業政策確立されていないからだと、こういうふうに私は強く思い、関係者はそういう足腰の弱い日本農業政策を分かっているからこそWTO交渉に慌てているんではないかと、こんなふうに思います。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  そこで、大臣、もうWTO関係は昨日から、大臣は相当勉強されたといって熱弁を振るっておるようでありますので、中身についてはもう私もよく承知していますからそこら辺の答弁はいいんですけれども、今日は予算関係ですからそちらに、急ぎますので答弁を短くお願いしたいんですが、私がお聞きしたいのは、前段、今申し上げましたようにハービンソンの一次案で大慌てしている、もし、いまだに決着付きそうでもないこの一次案と改訂案、といっても変わらないから一次案と同じなんでしょうが、こんなような状況の中で進めた場合、日本農業が守られるのか、大臣はその辺どういうふうにお考えですか。
  31. 大島理森

    国務大臣大島理森君) WTOを勉強しているんじゃなくて私は交渉者です。これだけは明確に申し上げておきます。  それから、守れないから総体として反対しているんです。お答えにさせていただきます。
  32. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 確かに、答弁としてはそのとおりだと思います。私も大臣以上に日本提案実現を願っている一人でありますから、そのとおりであります。  しかし、交渉ごとであり、国民一人一人が行ってジュネーブでやるわけにいかないんです。国家間の交渉なんです。二十一世紀に向けて日本貿易や様々なことを踏まえて交渉する場合、どこかで譲らなきゃならぬということもあるわけなんです。  そういうときに、私は日本農業のことを考えて今お聞きしたわけでありますが、一次案では日本EU、そしてまたこれと相対立しているところのアメリカなどの関係は余りにも乖離し過ぎている。双方が野心的過ぎると、こういう状況になっているのではないかと。したがって、先ほどからも出ていましたように、三月の合意は到底望めない。こんなふうに話がジュネーブばかりでなしに国際的にも出てきているのではないか。場合によってはカンクンまで延長してもモダリティーという、そういう意味の大枠はどうなのか。それぐらい心配されて、九月になってももしかしたらこういった主張だけを強く言った場合厳しいのではないか、こういうふうに私は思っていますし、かなりそういう悲観的な情勢が出てくるんだと思うわけでありますが。  こういった状況のとき、大臣日本はどのような、このままを主張するのか、どのような合意を目指すのかということをまずお聞きするわけですが、EUはそういう厳しい状況を既に読んで、CAPの政策の見直しをしたり、もうガットのときの経験を経まして、いつでも財布は握って合意に行けるような状況をもう国内的にEUは作っている。そうすると、日本EUに逃げられると。先ほども質問ありましたけれども、孤立してしまって、農家の皆さん、国民の皆さん、やむを得ませんでした、こういうことを私は聞きたくない。だから、この交渉は大事で、国内対策などを考えてどういう合意を目指してどういう日本農業を守っていくかということを大臣に聞きたかったわけです。
  33. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 信田委員は御質問の中で大変大きなポイントをさっきちらっとお話しされました。競争に強い日本農業を作っておくということが大事だったのではないかという御発言をしたような気が、今私の耳に残っておるんですが、正にそういう構造改革を、私どもは米改革、これらを含めてやっていかなきゃいかぬ。これはもちろんWTOを想定してだけでやっているのではなくて、あるべき姿として日本農業の足腰の強い姿を作っていく。こういうふうなことで様々な施策をやらせていただいております。  さてそこで、どこかで妥結しなきゃならぬのじゃないか。そのときに、EUはもう既に様々な改革を進めている。そこにいざというときには入っていくよと。ですから、いつまでもEUと一緒にやっていて、ぽっと逃げられたときにおまえはどうするんだと。なかなかある意味では、考え方によっては鋭い御質問だと思いますが。  今私たちは、そういうEUがもうCAP改革を進めているからそこに逃げていってどうだという全く段階でないと私は思っております。つまり、農業という問題に対する基本的思想が違うわけでございます、アメリカケアンズと。したがって、そこのところの合意点というものは私はきちっとしておると思います。  しかしながら、まずカンクンまで行っても無理じゃないかというのは、まず三月末までぎりぎりの議論をすることによって、その結果として何が生まれてくるか、私まだ予断を持って話すことはできませんけれども、両方が野心的過ぎるじゃないかというちょっと御発言ありましたが、私は違うと思うんです。野心的過ぎるのはやっぱりアメリカケアンズ側だと思っております。  交渉ですから、今後のことの多様なオプションはもちろん残してこなきゃなりませんが、交渉だからまた基本を曲げちゃいかぬと思って、決議をいただいたことを踏まえて全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  34. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大分私の本心を見抜いていないようでありますが、別に競争して政策を出して、競争して勝つためのことをやれと言っているんじゃなくて、国対国の交渉でありますし、野心的な件につきましても、基本的にはWTOは限りなく関税をゼロにするということでみんなが入ってやっているわけですから、そういう方向を目指しているアメリカ側から見れば、何も関税がゼロに近くなっていかないではないかという点では全然、野心的な考えというふうに言っただけで、そのことに私は賛成しているわけではございません。  日本EU案に賛同しているわけですが、これすらガットのときの案から見れば大幅な関税が下がっていくわけでありまして、平均三六%、最低一五%で多様な農業をするEUなどフレンズ国でやろうとしても、果たして可能かどうか。そういう意味では、今の日本経営安定対策などでやっているだけで本当に日本農業は守れるか。大臣は実際、これ以上、良くなればいいですよ、これですら私は厳しい、危機感を持っている中で、守れると思っていますか。
  35. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先ほど信田委員がお話しされましたように、WTOというこのマルチの交渉の場は、交易の自由化の一層の発展ということが目標であることは間違いございません。そういう状況の中で、農業分野もあることもこれは間違いございません。  したがって、そういう大きな流れの中にあっても、それぞれの国々農業が存在し得るぎりぎりの線として私どもEUの数字、私ども考え方に乗った数字の部分については支持をいたしますと、こう申し上げました。そうすることによって、私どもの様々な国内政策改革を進めながら日本農業の維持と発展をさせていけるという判断をしたところでございます。  それは、ずばり言えば柔軟性です。柔軟性のある施策、枠組みの中で、その程度の数字という範囲の中であれば頑張れると、このように思っております。
  36. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣にもう一つWTO関係でお聞きをしておきますけれどもアメリカはこの間、既に相当野心的な、自分のところでは結構ずるいことをやっていますけれども、野心的に提案してくるというのは、既に自分の国の、あれだけ自給率を持っていながら、百何十%持っていながらきちっと自分の国の方をやっているから大胆に言ってくるわけでありますけれども、新農業法でさらに多額の直接支払をしている。さらに収入保険制度やローン制度、EUはCAPの先ほど言いましたように共通農業政策の見直しをやっている。更なる緑の政策環境支払、所得補償を積極的に実施した上で更なる自国を守ろうというふうにしているわけですよね。  したがって、我が国も二〇〇五年の一月、包括合意の前に農業政策を転換しておくべきだということを、先ほどから私は、大臣からもそういった方向を持ちながらやるんだということを聞きたくて言っているわけですが、いまだに、これから予算に入りますけれども、膨大な公共事業予算農業予算だといって、農民にはほとんど払われていないで、アメリカのように農民に直接支払っているのならまだしも分かるけれども、そういうことを今年の予算でもないから私はこうやって言いたいわけですよね。そういった転換についての考えはありますか。
  37. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先生はもう農業のことを全部知り切って私に質問していると思いますが、アメリカEU日本の地勢的農業基盤の比較というものは同じでしょうか。徹底的に違うと思うんです。したがって、なさなければならない農業の構造政策というのはまだ依然としてあると思います。  今の時点でいわゆるデカップリング、所得補償、そういうデカップリングの政策を公共事業を全部やめてそちらにまいたとするならば、日本農業の構造が変わらないままで所得補償だとかそういうことをやっていく姿になってまいりますと、先生が一番指摘をして今日まできておられた日本農業の足腰がきっちりしないままの構造を残したまま日本農業がそのまま行くという姿になりはしないでしょうか。  したがって、やっぱり公共事業すべて駄目だという、我々もコストを下げ、効率の良い、そして評価に堪え得る公共事業に本当に絞ってやっていくと同時に、今お話しされたように、改革政策を米の場合でも今の国会でお願いしておりますし、中山間においてはデカップリングを実施しております。したがって、大きな国際ルールの枠の変化を見据えながら国内政策の動向も考えていかなきゃならぬのは事実でございますが、我々もやっぱり国会の場で御論議いただき、御意見をいただいて改革政策をやっている。だから、公共事業を全部減らして全部デカップリングに使えという御意見には、私は今同意しかねると申し上げざるを得ません。
  38. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 政策転換をしないということであれば、恐らく、地方の厳しい農民から恐らく与党である自民党は拒否されるでしょう。これは政策転換でなくて政治転換ですね。変える以外にないのではないかと、こんなふうに思っているところでございます。  それで、実は予算に入る前に、先般、酪農・畜産の関係で、本当は委員長にお願いをして集中議論をして、日本がせっかく育ててきた酪農・畜産を更なる発展に向けて集中審議をいただきたかったんですけれども、もろもろの事情で、一つは大臣にも若干疑惑の問題が絡んでいたために、あるいはまた民主党が阻止したという話もあるかもしれませんが、それはおあいこにいたしまして、できなかったので、若干この時間をおかりしまして、予算にも絡みますので、あとは政府の方に御質問いたしたいと思いますが。  生産局長にお伺いしますけれども、酪農・畜産は私も長い間運動体のときにかかわってきまして、私は、欧州に負けないすばらしい酪農・畜産行政が行われ、現場で苦労されて今日確立されていると思います。しかしながら、BSEの関係関係する業界の皆さんの様々な問題がありまして、まだまだ多くの問題を残しておりますし、先ほどから議論されておりますところのWTOモダリティーの一次案の関係や、あるいはうわさされているところの二次関税やカレントアクセスなどの見直しなどが遂行されると、ひとたまりもなく酪農もまた危機状況になっていくんではないかと。すなわち、輸入されているところの今日の乳製品を中心に守り切れなくなるんではないかと、こんなふうに思っているところでございます。  したがって、この一次案で言う農産物の平均としていったとき、これは仮定ですけれども日本はどうしても米を中心とした交渉がありますので、もう米を守り切れないために、その他の農産品から平均のところを取ってきて米に付けてなどといううわさまで酪農の関係は今危機感を持っているんですよね。  同じ私、百姓で、私は昔酪農家やっていますから、そういうことは日本農民としてはやらないと思っています、政府もやらぬと思いますけれども、そういうことになりますと一気に輸入乳製品の方が優位に立つと、こんなふうにうわさもあるわけですけれども生産局長、どういう状態でしょうか。
  39. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 日本センシティブ品目は何かという大変具体的な質問、今日の大事なところだと思うんです。  そのときに私は乳製品も挙げました。一次案のとおりにやったら日本の乳製品の世界がどうなるか、これはもしあれでしたら局長に、お答えしますが、信田委員と同じ思いを持っておることだけは大臣として申し上げます。
  40. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、私ども、乳製品だとかでん粉でございますとか、この前関税化された品目センシティブ品目というふうに認識をしております。そして、モダリティー一次案というのは、削減の数字が極めて大きいということで総体として受け入れ難いというポジションに立っているわけでございまして、この一次案で合意した場合を想定した具体的な影響ということを言及するということは適切ではないというふうに考えております。  ただ、それではお許しいただけないというふうに思われますので、仮の試算でございますけれどもモダリティー一次案、乳製品に四五%削減といったものが適用されたというふうに仮定した試算でございます。バターと脱脂粉乳を代表例に取って説明させていただきますと、バターが現行関税がキロ当たり大体千三十三円でございますが、これが四五%削減でございますので五百六十八円、関税がですね。そして、課税後の輸入品価格が七百二十八円になります、バターが。同じようなことを脱脂粉乳でしますと、課税後の輸入品価格が四百六十三円になります。これ、国内の工場出荷額と比べてみますと、バター、課税後の輸入品価格七百二十八円と申しました、国内価格が八百七十八円でございますし、脱脂粉乳四百六十三円と申しました、これ、国内価格五百六円でございますので、バリアの役を果たさないということになるわけでございます。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  じゃ、このような状況で財政資金を次から次へつぎ込んで支えられるかということになりますと、これは国内政策の在り方として果たしてそういうことが納税者の納得を得られるかという問題を別にしても、このモダリティーの一次案には個別品目ごとのAMSの削減ということが提起をされておりますし、ましてマークアップ、売買差益というものが全く出なくなりますので酪農政策の重要な財源が出ないということになりまして、そういうこともございまして、言ってしまった後でこう申すのもなんなんですが、こういうことを議論するということはいたずらに不安をあおるということで、決して建設的ではないんではないかというふうに思われますので、何とぞ御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  41. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 危機意識の高いときにエスケープするようなことを言えないのは当たり前ですから、別にそういうことを望んで私は言っているんではなくて、諸外国の農業政策の在り方をやっぱりちゃんと局長もとらまえて、様々な先進国の例を見習いながら、どんな状態においても、交渉はとことんやるけれども、どんな状態においても国内の酪農を守るぐらいの不退転のこと、大臣も含めてそのぐらいのことも言えないんだったら駄目ですよ、みんなやっているんですから、諸外国は。そういうことを私は暗に求めていますが、もちろん求めて、私は答弁だけ求めるんでなくて、私どもは農民、酪農民ですからとことん一緒になって協力してやることは辞さないわけですが、そういう言葉がないから駄目だ。それで予算がどうたら、国民にどうのこうのと、そういうことは別なんだ。一番大切なものには借金したって使っているじゃないですか、日本の国の予算は。  ちょっと時間なくなりますから、次に酪農問題で、今回の酪農・畜産交渉といいますか、筒井先生なんかも御努力いただきましたけれども、BSEを象徴的に、昨年と今年ありましたけれども、大体、BSEは皆さんのおかげで大体卒業したと、予算も含めて、そういう言い方があるわけで、それだけこういう問題に、一生懸命やれば成果は上がるんですね、国挙げて、与野党抜きで一生懸命やれば。そういうことも象徴的だったというふうに私は思い、今後の農業政策の在り方にも示唆を与えたものだと思いますけれども。  実は、それは確かに予算を作ったり事業をやったり進めていく上ではもう大体卒業したと思われていますが、現場は、いつ自分の畜舎から、自分の牛舎からBSEが出るかと、出ないでほしいと、そういう恐怖感を、いまだに全く出発点と同じなんですよね。若干その他のことが良くなっていますから気持ちや経済は和らいでいますけれども、そういうためにあらゆることをやっぱりやっているんですよね。目に見えないコストを使っていろいろなことをやっていますので、そのことは是非関係者や原局の皆さんはもう一度認識し直していただいて、酪農家自身が見えない大きなコストを掛けているということをお願いしたいと。もちろん、今回予算化したトレーサビリティーや何かの関係も一緒になって協力することはやぶさかでありませんけれども、そういった意味で見えないところで非常に管理労働を行っているんですね。  ところが、わずか十円何がしの話とはいえ、この補給金の中の算定様式に私は入っていないと思うんですね。こういうものはやはりきちっと算定様式の中に入れて反映させて、酪農を守っていくと、酪農・畜産を守っていくと、そういうふうに思うんですが、これは算定要素に入れるということについてはどうですか。
  42. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生も御承知のとおり、加工原料乳の生産者補給金の単価、三か年移動平均の生産費の増減、これを基に算定するわけでございます。トレーサビリティーというものが始まりますと、それに要する経費は企画管理労働費というふうなことで織り込まれると。また、死亡牛の検査みたいなものは賃借料及び料金、そういうものに織り込まれる。あるいは、最近問題になっておりますふん尿処理、こういったものに要する経費は建物費、賃借料、労働費と、こういったものに織り込まれるということになろうかと思います。  したがいまして、私ども生産費に織り込み得るもの、これについては価格に反映をしていく。生産費に織り込まれないもの、これについて農家の方々の負担が増嵩をしてお困りであるということになれば、説明が付くということを前提にして関連対策で支援を申し上げると、こういうことで今までもきましたし、これからもこの方針を堅持をしたいというふうに考えているところでございます。
  43. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 じゃ、確認しますけれども、この企画、現在のこのBSEで様々な苦労されているのは、もちろんこれは数値化はできると思いますが、そういったふうにすればいいという認識でいいんですか。
  44. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) その企画、記帳管理とかそういう労働などの経費が増嵩をすれば生産費に反映をされまして、来年度以降の補給金単価の算定において反映されると、こういう仕組みでございます。
  45. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 それから、農林省にお願いしておきますが、そういった価格に直接反映しないものは何でも関連対策でやるという、それだけのことの、ちょっとそれだけをとらまえて言うのはどうかと思いますけれども、もっと政策化させて国民に分かりやすくして、きちっとして支援するものは支援するし、農家が自らやるべきものはやるべきだと分けてやっていただくことがやはりこれからの予算の使い方で非常に大事であると思います。  もう一つ、BSEの関係なんですけれども、これはもう何回も言われて、古くて新しい、新しくて古いということなんでしょうが、この疑似患畜はいまだに、その原因がはっきりしていないためにいまだに現場では厳しいんですよね。この疑似患畜の範囲を是非見直してほしいと。大臣もそれから皆さんも、原局の皆さんも一定の答弁はしていますけれども国民や現場から見れば本当に原因究明を本気になって考えているのかな、そういうふうな思いがするくらいです。もちろんOIEの動きを見てやっていただくことは私も賛成ですから、その時点で是非、酪農家の牛舎に今はもう百頭、二百頭もやっていないですけれども、大方持っていかれてみたり、もう経営が混乱するという、当たった人だけでなくて、みんながそういう心配しているのでお願いをしたいと思います。  それから、感染原因のこの究明も併せてお願いしたいんですが、どうも今現場で言われていることは、政府はこれは迷宮入りさせる気しているんじゃないかと、こういうふうに本当に言っていますよ、いまだに具体的にないわけですから。それだけでしたら本当に分からぬでいいと思うんですが、現場でこういうことを言っているんですよ、政府は団体や業界に圧力を掛けられているんじゃないかと。私はそういうふうに思いたくないですよ、国会議員の一人として、そういうことは思いたくない。しかし、日本の体質から見ると、あるいは役所のいろんな官の体質からということから、民衆というか国民が言っているんじゃないか。  この原因究明のこういった不安は農家じゃないんですよ、消費者の方からむしろ強く、こういう業界等の圧力があって政治的に癒着しているんじゃないかと、こういうような情けない国民批判を受けるようなことは早く払拭して原因を究明していただきたいと思うんですが、この辺、疑似患畜の関係と両方お願いします。
  46. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) まず、疑似患畜の件でございます。  これまで七例の感染牛が生じました。そして疑似患畜、殺処分ということになったわけでございますけれども、この疑似患畜に関しましてはすべて陰性ということでございまして、また、酪農家の方々が疑似患畜を殺処分されるという不安から、経営の継続について不安を持っているという強い要請も我々受けているわけでございます。  現行の疑似患畜の範囲、先生もおっしゃられましたように、OIEの基準に準拠して決定したものでございますが、我が国としてこういう状況にございますので、昨年の十一月にOIEに対しまして疑似患畜の範囲の見直しについて、このBSEに関しましては欧州の方が経験が多いわけでございますので、欧州での経験に基づきまして科学的に検討するよう提案をしたわけでございます。現在、このOIEにおきましてはBSEの衛生基準の見直し案というものを検討をしておりまして、たしか五月のOIE総会において疑似患畜の範囲の見直しを含む改正案を諮る予定で作業中というふうに伺っているところでございます。  それから、感染原因でございます。  これ、度々質問をされまして、我々、感染源、感染経路の可能性として三つに絞り込んだわけでございます。一つがイタリアからの肉骨粉、二つ目が配合飼料工場での混入の可能性三つ目がいわゆる七例に共通して給与された代用乳の原料でありますBSE汚染国のオランダ産の動物性油脂、こういうものに主として絞り込んできたわけでございますけれども、なかなか難しくて、感染源、感染経路の特定には今のところ至っていないということでございます。  我々、決して迷宮入りさせないという覚悟の下に、昨年末に専門家によるBSEの疫学検討チームを設置をいたしまして、そこにこれまでのデータすべてお出しをいたしまして、感染源となり得た可能性についての分析評価をしていただいているところでございまして、中間的な取りまとめというものをこの夏までにいただいて、疫学調査の面からこの問題にアプローチをしていきたいというふうに考えております。  また、この四月からは死亡牛の検査というものを始めますので、こういう感染源の究明の一助になればというふうに考えているところでございます。
  47. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 以前には、八月ごろとか、何か具体的にあったわけでありますが、だんだん後退しているのが、先ほど私は団体や業界の話を若干申し上げましたので、大臣が非常に積極的に答弁をしたがっておりますので、大臣、ここのところをちょっとお伺いいたしますけれども。  実は何でこんなことを聞くかというと、このBSEの問題があって、えさの問題とかそういうのがあったら、あっという間にその地域の牛舎からえさが消えてしまって、十キロか三キロしか残っていない、封を切って残っていないやつまで業界が持っていってしまって、それを全部焼却してしまって消えたと。本当の話ですよ、私のところですから。そういうことがずっとあるわけですよね。  そういうことやらかんやら考えてみると、本当にどのえさ業界も自分のところから出したくないのは分かるけれども、そういうことを許しておいて、しかもいつまでたっても原因究明されないところに、こういった政治的なものとか業界団体が何らかの云々というふうな疑いを持たれるのも、これまた分からぬでもないというようなふうに私は思いますが、大臣は、もちろんそんな、そうだとは言わぬと思いますが、こういうふうなことが現場でうわさ、もうだれも知らない人いないぐらい言っているのに、いつまでたっても原因究明されないと思うんですが、こういう団体や業界の圧力はあったと思いますか。
  48. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 一切ございませんが、いずれにしても原因究明というのは科学的知見というものが大変大事でございます。したがって、我々は本当に必死に今日までも努力してきましたし、どういう圧力、どういう政治的な云々というのがあったとしても、この究明は毅然として一生懸命努力しなきゃならぬ大きな課題だと、この認識を持って取り組みます。
  49. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 期待どおりの答弁でした。  それでは次に、家畜排せつ物関係は、今回、酪農・畜産の運動、そしてまた決着するまでに大方の関係者はこの排せつ物法に基づくところの進捗状態を見るとき懸念された問題でありまして、猶予期間が、十六年の十月までには一〇〇%の実施は非常に難しいと、今のところ五〇%そこそこですからね。  そういう意味で役所の方にお聞きしたいんですけれども期限内に達成が難しくなりますと、あきらめて、罰金を払うよりも、もうWTO交渉もあるし、将来の農業に対して日本政府は何も一生懸命やってくれないと、法律だけ作って罰則だけ掛けて、施設のあれまで手を挙げているのに実施してくれないということで、離農するとか、様々な問題が続出するのではないかと、こんなふうに思いますが、期限内に一〇〇%、様々な農業団体の関係も、取組の姿勢は分かりますけれども、それでも非常に難しいと言われているんですが、どういうふうにして一〇〇%達成しようと思っていますか。
  50. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 家畜排せつ物の処理でございます。  先生言われるとおり、二万九千百戸という目標に対して十四年度末までに一万四千三百、約半分ということで、残った農家の方々、中小の方々、内地には多いと、あるいは還元する土壌がない、そういうような難しい方々が残っているものというふうに認識をしております。  ただ、この問題は、やはり環境への負荷という問題でございますし、また産業廃棄物の処理という問題でもあるわけでございまして、全力を挙げてこれに取り組むということでございまして、畜産環境整備促進特別プロジェクトということを団体と私どもで共同して取り上げると、農林水産省の方では北村副大臣が代表になるということでございます。  私ども、これ考えておりますのに、単に家畜排せつ物の処理施設の整備をしていくだけではなかなか解決が図れない。経営も協業化を進める、あるいは還元する草地を整備する、こういった問題とともに、あるいは公共下水道を使わせていただくと、そういうような問題とともに進めないと、なかなか正直言って期限内に処理をするということが難しかろうと思っています。  そこで、具体的に、この特別プロジェクトでは、まず、その施設整備状況を総点検をいたしまして、施設整備目標の達成に向けた工程表を作成をいたしまして、各種の補助事業を活用して工程表に即した施設整備推進する、こういう段取りで進めたいというふうに考えておりまして、まずは本年の六月中を目途に全国の状況、各都道府県の対応策、こういうものを把握して、対応方法を検討し、全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。
  51. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 これは、もう当然、大切なことですから、政府一体となってやってくれるものだと思いますし、是非、今局長も前向きな姿勢でありますが、今年度の補正なり、あるいはまた十六年度の予算では十二分なる対応をして、是非、期限内の一〇〇%実施をして、酪農民が国民の皆さんの、あるいは漁業も含めた、川の汚染とか、あれは水質汚染にもかかわりますから、こういったことは非常に重要でございますので進めてもらいたいと思います。  もう一つ通告してありましたけれども、そういった意味で、前段、この酪農問題で決着した部分は非常に酪農民喜んでいます。それで、酪農・畜産は喜んでいますが、途端にWTOモダリティーの難航によって酪農民は不安を持って、膨大な、今、北海道でも相当な集会を開いて、酪農・畜産地域の積極的参加で行っていますので、是非、既に中山間地等の方の、などの方で草地に対する直接支払も始まっています、日本ではね。さらに、土地利用型の関係でももう若干直接支払に近い実施を、ほんの少しですけれども、私どもの強い要請にこたえていただいていますので、これを一反当たりの支払なり、面積当たりにしたり、畜舎当たりの直接支払などしながら、乳価を下げて世界との競争をしながら、酪農を一方ではきちっとそれで守って、せっかく作ってきた酪農を更なる発展に向けていただくことをお願いをいたしまして、酪農問題を終わらせて、いよいよ直接予算にかかわる問題に触れたいと思いますが。  まず、この農業予算の在り方、農林水産全体のことというよりも、私はちょっと、農業予算というふうに、大体そういう認識でお聞きいただきたいと思いますけれども。  この農業予算と称して農民には支払われていない公共事業ですね、公共事業のうちの大方は農業土木関連の事業予算になっているんですね。これには、農業土木協会なんていうふうな膨大な名簿を作っているんですね。そこに群がっているんですね、農民以外の人たちだけが一生懸命になっておる。こういったことをやっていたんでは本当の農業予算と言えるのかと。  すなわち、広域農道だとか、それからダム、一般的な建物も含めた集落施設についても、集落というよりもむしろ町の方に建てたりして、農業予算と言えないんじゃないかと私は思っているんですね。ですから、アメリカでもEUでも、農業予算というのは農民に直接支払われるもののみ農業予算と言うんですよね。ですから、私は、日本の今のこの十五年度の予算の中では農業予算なんて幾らもないなと思っているんですよね。  そういった意味で、是非日本でも、農業に直接支払われるものを農業予算だと、こう言うべきではないかと思うんですが、この予算の在り方についてお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  52. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 御下命がありませんでしたが、多分私だろうと思います。
  53. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣でなくてもよかったんですけれどもね。
  54. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 農業に直接支払われるという表現をされましたが、農業者にという意味でしょう。
  55. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 そうそう。
  56. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、日本農業のインフラストラクチャーというものとEUアメリカ等々を比べますと、地形的にもう大きく違うということは先生が一番御承知だと思うんです。  一方、そういうふうな日本の国土の中でも、やっぱり生産性を上げ頑張ってやっていくという農業者に対して、私どもはどのような総合的な施策を持つかということを考えますと、それは間接的かもしれないけれども、もちろん効率的、重点評価に堪え得る公共事業の必要性をすべて否定するまだ時代では私はないと思うのです。  北海道のような、信田先生がやっているような二十ヘクタール、三十ヘクタールのような……
  57. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 四十。
  58. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 失礼、四十ヘクタールの農場、農地所有者が本州の中にどのぐらいあるかというと、本当に数限られたものでございましょう。ですから、ある意味では、そういう意味でのインフラストラクチャー作りの公共事業というのは、やっぱり依然として私は必要だと思います。  一方、農家に対して直接支払という手法は中山間の対策として今ようやく始めたばっかりでございますけれども、それだけでまた農業政策が今成り立つかというと、公共事業を全部やめてしまって、全部今の農家でそれ直接支払をやれと言ったら、国民は本当に御理解いただけるのだろうか。二種兼業農家もいれば、あるいはまた、どういう人たちを直接支払の対象にするかといったときに、まだやっぱりそれは、今の農業者と言われる人を全部固定してしまって直接支払の政策に八割、九割の金を使うという状況ではないと思うのです。  したがって、直接支払という手法は大事に考えていかなければなりませんが、やはり主要農業の、足腰の強い日本農業全体を作り上げるその作業がまだ私どもにある。そういうふうな中で、農業予算というものを、いのち・循環・共生という視点から、そして私ども重点的に配分していくという、私はそういう措置を今回させていただいたところでございまして、そういう点についての御理解をいただきたいものだと、このように思っております。
  59. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 大臣が丁寧に説明していただいて、実は太田農村振興局長でよかったわけですが、実は、日本のこの農業予算は本当に農民に支払われていない。EUでももう九〇%近い、直接農家に支払われているというか、農業者が使っているものを言うわけです。アメリカなんかは九二、三%か、もっとある、フードスタンプは別としまして。そういう状況にあることの性格を言ったわけですね。  それじゃ、太田局長に聞きますけれども日本はこのインフラ整備の何兆円かに関して実はWTOに緑の政策で通告しているわけですね、インフラ整備ということで。大体、世界は、基盤整備で山をいじってみたり、土地をぐじゃぐじゃ耕してみたり、何千年で積み上がった自然を壊すなんということをやっているインフラ整備なんて、もうとっくに二十世紀の語りぐさなんですよ。そういうことをやっているインフラ整備を緑の政策として通告しているでしょう。そのこと自体が、私はこの農業予算の在り方としてどうかということを聞こうとしたんですが、局長、どうですか。
  60. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 今、大臣から答弁申し上げましたとおり、農業農村整備事業は人の命を支える食料の供給という使命を担い、また農地を通じた資源の循環、環境との共生実現する重要な事業であるというふうに理解認識しております。  そうした中で、農業をきちっと守っていくためには、まずは土地、そして水、さらには農家、そしてそれを支えるコミュニティーというのがしっかりと位置付けられておらなければならないわけでありまして、そういった意味で、直接に農業者に対するいろんな手当てをするということもございますけれども、コミュニティーも含めた地域をとらえてこの政策を進めていくということも極めて重要であろうかというふうに認識しております。農村振興局という名前になったゆえんというのは、そこにもあるのではないかというふうに考えております。  特に、様々な生産条件が、日本国内、厳しい条件に置かれたところも多うございます。中山間地域等も含めまして、その地域地域に合った施策を進めていくということは当然でございまして、様々な施策の組合せによってこの日本農業を支えていく考えであります。  そういった意味で、基盤整備の役割は依然として、もちろん既に整備が終わったところであえてまたやる必要は全くございません。しかし、まだ整備がされておらないところ、あるいは、整備のやり方によっては少し手を加えればやるといった、そういった工夫をしながら効果的な事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 それは分かりました。それじゃ、分かりましたよ。  分かっていないですよ、駄目ですよ。駄目ですけれども、次に、それじゃ農業予算の中に入りますけれども。  今年の農林省の予算の三兆一千億何がし、十五年度の予算で、根拠としておたくが言っている方では一兆四千何百億ということになっていますが、私たち農民は、今、前段言いましたように、農業者に直接支払われるという観点からいうと、この三兆一千億の農業予算のうち、私どもは、二兆数千億、大体そのぐらいのものは公共に使われているんじゃないかと、人件費、みんな含めてなんですけれども。農家に来ないという部分も全部公共だというぐらい、私は怒っているんですよ、私ども農業者はみんなね。全然国民は、九兆円しか上がらないのに、三兆円もやっていると。ウルグアイ・ラウンド予算を入れたら四兆円だと。県がやっている事業、市町村も払うと、何だと、九兆円の収入上げるのに大方みんな払っているみたいじゃないのかとさえ悪口言われている、しかし農業者は全然もらっていないと、こういう話なんですよね。こういう膨大な公共事業予算をいつまでもやっていたんでは、これはどうにもならぬなと。  しかし、今、局長が答弁して、総合的にインフラ云々と、そんなことは百も承知していますよ。食料農業・農村基本法は、何でも作りたかったから農村も入れて、きちっとした農業生産を上げようとして農業基本法作ったわけですから。実際はそっちの方だけ応援して、真ん中の農業の方に力入らぬから効果上がらぬということを言わんとしているわけですが、この十年間ぐらいでこのインフラ整備、ずっとこの公共事業をやっているんですが、効果上がっていると思いますか。どんなふうに効果上がっているんですか。
  62. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 十五年度予算案におきましては、農林水産関係予算三兆一千百十四億円のうち、先生指摘のとおり、農業生産性の向上などに資します農業農村整備事業に対して八千七百八十九億円を計上いたしておるという状況にございます。  事業の効果を圃場整備事業について見ますと、平成八年から十三年度に完了しました四百二十地区におきまして、分散しております農地を担い手に集積するために、農地流動化を促進しますソフト施策と区画整理などのハード施策を一体的に実施したことによりまして、担い手の経営規模が約二・二倍に増加しておるということがありますし、また区画の拡大等によりまして、十アール当たり五十二時間掛かっていた稲作労働時間が約六割の短縮を見て、二十一時間にまで減少するなど、力強い農業構造と安定した農業経営実現に向けての効果が、成果が上がっているというふうに認識しております。
  63. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 この問題を本当は突き詰めていきたいと思っていますが、WTOもありまして、そういうことだけを今やっていても、大きな農業政策転換の方に向かう方が重要なものですから、今日は局長とはそういうやり取りはやりません。  しかし、特に大臣にお伺いしたいんですが、この農業基盤整備事業を、今日まで国営あるいは県営、私どもでいえば道営など、直轄なども含めて、市町村も含めた、大規模に、しかも長年にわたってこの基盤整備事業を行って今日に至っているわけですが、今年の予算を見てもいまだにまだ継続事業として行っているんですが、実はもう農林省もお分かりのとおり、事業が完了した時点で支払始まりますよね。そうしたら、金利も払えないと、もちろん負担金など払えないと。これはもう与党の先生方はみんな大きく陳情されていると思いますけれども、これはもう受益者負担金も払えないという困難な状況になって、今年も進めているわけですが、こういった状況の中で、国が対応しないために市町村が裏判を押しているからといって、借金だらけの市町村が金利の面倒を見たりしているわけですよ。  この点について、はっきりもう何年も前から、もう事業終わった途端に払えないと言っているのにまだ進めているんですよ、大臣。いいんですか、これ。大臣からお答えください。
  64. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 土地改良事業にかかわる受益者負担の問題、確かにそういった意味ではいろいろと今までも長い間議論がされてきたところでございまして、そういったことを踏まえまして、償還にかかわる利息相当分の一部を助成する、そしてまた担い手育成支援事業などを行っております。また、償還金を無利子で繰延べをして平準化事業などを実施しておるところでございまして、対象地区の平均ピークの年償還額の約四割の軽減が図られてきておるところでございます。着実な対策の推進に努めてまいりたいと思っておりますが。  平成十四年度におきましては、農家負担の軽減を図るために、償還金を無利子で繰り延べる基準の見直しなどによりまして、ピーク時の負担金を更に引き下げる措置を講じてきたところでございまして、今後とも事業制度を積極的に活用するとともに、事業のコストの削減だとか、あるいは効果の早期発現を図ることにしていきたいと思っております。  ちなみに、ピーク時で、例えば負担軽減の効果でございますが、ピーク時の四〇%軽減ということで、これ全国平均で見ますと、一戸一・二ヘクタールといたしまして、大体助成後で六三%程度、そしてまた北海道では平均四・七ヘクタール、一戸当たりのものが、大体これも六三%程度、償還額では約一五%ぐらいの軽減になってきておるところでございます。
  65. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 全国的に見て、必ずしもすべての事業者が事業負担金払えないというふうに私は言っているわけじゃありませんけれども、特に大規模な基盤整備事業を行っているものが利子も払えない状況ですから、利子補給なりなんなり、無利子にしても非常に滞納していて経営を圧迫していきますので、是非ひとつ、これは大臣政府で十分御協議をいただいて、これは国際環境や様々な価格の引下げ、様々なことの要因ですから、すべて悪いと言っているわけじゃございませんので、頑張ろうとしている農民が更なる持続した農業経営を続けるために御努力をいただきたいと思います。  若干、予定しているものが半分しかまだ行っていないということで、急ぎます。  次に、農業予算の中でダムの関係なんですが、ダムは私は不必要だとは言っていませんけれども農業用のダムは今余り効果がないというところが現地では多いです。もう農家も使わないで自治体とか別なところに使うような状況になっているという状況で、国際競争の中で目先の経営が困難なときに緊急性がダムにはないんじゃないかと、こんなことで、私はダムが、全部否定するわけじゃありませんけれども、可能な限り凍結をして、この予算を農家への直接利用されるような予算に替えるべきだと。とりわけ、ソフト事業なり所得補償なりに替えるべきだと。財務省に行くたびに私は言われているんですよ。農林省が言わないで財務省が言っているんですからね。もう要らないダムなんかやめて、皆さんが一番要求している方に使ったらいいんじゃないですかと、こう言っているくらいですからね。  こういう切替えを早くやらないと国際競争に勝てないんじゃないかと、こういうふうに思いますが、これは局長、どう思いますか。
  66. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 先生も、農業用水を確保するためのダム、あるいはこれを農地に運ぶ用水路の整備を行います農業水利事業に対して、それ自体は否定するものではないというお考えをお持ちいただいております。  これは、食料の安定供給等、農業の持続的発展を支える重要な施策の一つであるというふうに私どもも考えております。その建設に当たりましては、安定的な水供給を必要としておられる受益農家、まだまだおられるところもございます。そういった場合に、その方々からの申請に基づきまして、まずは私どもは事業を実施しておるということでございます。その上で、地区ごとに費用対効果等の算定等を行いまして、そういった事前評価の下に、事業の妥当性を評価した上で事業を進めるという方法を取っております。  なお、今後は、既存ストック重視の社会資本整備を進める観点から、ダムの新規採択は抑制していくという考え方を既に大臣の方から示していただいております。また、近年におきましては、事業の効率的な執行と透明性確保観点から、事業採択後一定期間を経過いたしました地区を対象に、諸般の変化を、諸情勢の変化を踏まえました再評価を行い、必要に応じて事業の見直しも行っております。その結果、中止を決定いたしましたダムもございますが、必要と判断されたダムにつきましては、効果の早期発現やコストの縮減に努めながら効率的な整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  67. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 ダム一つやめれば何千億とかということであります。これが農家に直接支払われることによって農家が再生し、村が再生し、活気付く、こういうこともよくもう少し考えないと、農家に払うと即、次の日から使われますからね、そういうことも覚えておいていただきたいと。  ちょっと飛ばしますけれども水産庁長官にお伺いしたいんですが、実は私、北海道中心ですが、港の方をずっと北海道沿岸ぐるっと一回りしました。かなりの漁民はもう漁港は要らぬと言っているんですね。別に自分が負担していないのに要らぬと言うんですよ。あの漁港に何十億も金使うんだったら、もう少し私たちの漁業が将来性のあるように何とかならないのかと、こういう素朴な意見ですよね。漁港は要らぬと言うと何かあれですけれども。  そして、そこの漁業協同組合に行くと、いやそうなんですよ、我々組合は、もう魚は取れない、水産白書を見たら、もうこれは大変でしょう。老齢化、高齢化、後継者不足、所得減、漁獲量の大幅減少、魚種の異変などで漁業は、もう惨たんたる白書でしょう、今回、白書になってから、水産白書になってから。それ要らないと言っているんですよね。そして、周りの土建屋さんだけがそんなことを言わぬでやってくださいと言っているんですよね。これ、どうなんですかね。目的考えたら、漁民が要らないことを一生懸命やっているんですね。  是非、漁港のこの問題は、もう漁港整備はやめてやっぱり養殖漁業、栽培漁業に向けた、二十一世紀に向けた漁業が、今大変この白書で警告を発しているんですから、早くこれやめて、私のところのオホーツク海漁業なんか早くから苦労して養殖漁業をやって、すばらしい成果収めていますよ。事例があるじゃないですか。もうやめて、即刻、栽培や養殖漁業に切り替えるべきだと。  どうですか、水産庁長官
  68. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 漁港要らないという漁協がありましたら私に教えていただいて、途中、造っているのをやめることも可能でございますので、具体的にその地域を教えていただければ有り難いなと思います。  栽培漁業の重要性は十分感じておりますが、具体的な施策は長官からお話しします。
  69. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども我が国周辺水域の資源状況等から見ますと、栽培漁業あるいは養殖漁業振興等、作り育てる漁業推進が我が水産庁の大きな課題であるというふうに認識をいたしております。  お尋ねの水産基盤整備でございますけれども地域の実情に即した整備が一体的に行われるという観点から、漁場環境保全ないし創造、それから漁港の整備、それから漁村整備を一体的に実施をするということで進めておりまして、昨年決定いたしました漁港漁場整備長期計画でも、そのような観点から作成をしたところでございます。  また、具体的な事業の実施でございますけれども、私ども、効率的あるいは効果的な事業実施が必要だというふうに思っておりまして、漁港の整備につきましても、約三割の拠点的な地区に重点化をしたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、このような漁港の整備、漁場の整備、あくまでも地域の実態に即した整備が重要だと、こういうふうに思っておりまして、このような観点から、今後ともその実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 是非、漁港がレジャー用に使われている実態などももう報告されていると思いますけれども、もう少し、漁民のために造った漁港だったら、まず漁民の振興に図りながら求める漁港を造っていくということが順序であろうと思いますので、水産庁もひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、具体的な予算のうち、私は、大臣も含めてそうだと思いますけれども、食の安全に対して基本法を制定し、頑張っていることに対して敬意を表しますし、二十一世紀の非常に国民のニーズに合ったものだというふうに思っています。  しかし、私、生産者側といいますか、農民側からこの食の安全の関係申し上げておきたいと思いますけれども、結局、食の安全は、行政や様々な問題で法律や制度や規制を作って安全なものを国民の皆さんに届けるべきだと、これだけで安全かというと、これは非常に問題があると思います。  なぜかというと、食べ物はだれかが生産するんですよね。その場合、生産する人の立場生産する人の経営の安定、あるいはその人それぞれの所得が確保されていて、人間的にも社会的にもあるいは所得的にも一般国民なりのことがあってこそ安全なものを届けるということになるわけですよね。  これはもう当たり前の話のようなんですが、どうも消費者重視になると、いやいや、安全で安いものを安定的によこせ。手品師じゃないですよ。そんなにいかないんですよ、うまく。信頼関係とそこにちゃんとした理解があってこそこれはできるものなんで、農業政策消費者ニーズに対したものが合致したときこそ初めて、私は、食の安全、食育の、今回農林省が一生懸命になっているものが確立されるんだと、こういうふうに思っていますので、是非、まず生産する方の経営の安定というものが並行して、若干時間掛かってもいいですからきちっとやると、こういうふうに思っているんですが、これは局長で結構ですから、どうですか。
  71. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) 委員お答えいたします。  ただいまの委員の御指摘につきましては本当に了解することがあるわけでございますが、今後の農業生産につきましては、消費者の動向や視点をしっかりと踏まえていくということが基本であると、そのように考えているところであります。消費者が求める新鮮、良質、そして安全な農産物の供給のニーズに適切に対応していかなければ経営は成り立たないということを重視したいと思っております。  もちろん、そうした生産の前提としまして、先ほど先生が御指摘されていましたように、生産する者を大事にするというような視点も大変重要でありまして、農業経営の安定を確保するために、現在でも稲作経営安定対策等の品目ごとの対策をやっておるわけでございます。  そういうことで、農産物の著しい価格の下落等の影響を緩和するということもやっておりますし、そしてまた、農業災害補償制度によりまして、災害による減収の影響等も緩和する施策も行っておるわけでございます。  これからも適時適切に農業経営の安定を確保するための対策も十分にやっていきたいと、そのように考えております。
  72. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 最大限努力していただきたいと思います。  それから、今年の予算の中で私も大いに賛成なのは、バイオマス利用ですね。これはもうヨーロッパでは当たり前の話になっていますね。北欧なんかは、あらゆるバイオマス利用して、自国のものを再生産というんですか、再利用していますよね。この利用は、農林省で様々な予算を組んで、小さくても取り組み出したことに賛意を送りたいと思います。  しかし、これはやっぱりすべての省庁、府で連携を取って急いで効果を上げるようにしていくと、こういうことが重要であるというふうに思い、非常に期待されるんですが、局長はどういうふうに思いますか。
  73. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) 今、委員から御指摘のとおり、各省庁との連携の上でというふうなことでございますが、まずバイオマス利活用の問題でございますが、これは大気中の二酸化炭素の増加をさせないという地球温暖化防止というふうな観点からひとつ貢献していきたいということが一つでございます。  それから、資源を有効活用した循環型社会への移行を促進していく。  次に、バイオマス関連産業を我が国の戦略的産業として育成をしていきたいというふうなことと、それから、地域に産業と雇用をもたらして、農林漁業農山漁村活性化していくというふうなことでございまして、これらのことにつきまして、平成十四年十二月二十七日にバイオマス・ニッポン総合戦略を閣議決定をいたしまして、そして政府一丸となって、先ほど委員から御指摘のように、その促進を図ることとしたことでございまして、先般、関係府省によりまして一層の連携を図るためにバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議を設けまして、そして、近く、民間の創意工夫を取り入れるために、学識経験者などからもアドバイス、アドバイザーグループなどを設けることといたしております。  そういったことで、政府関係省庁と連絡しつつ、今後とも我が省が中心となってこの国家戦略の実現に向けて、実行に向けて努力をしてまいる所存でございます。
  74. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 時間がなくなりましたので、あと一つ二つお願いしたいんですが、実は、農林水産関係の事業については、このところ、近年、非常に国民から批判を受けている。  これは、その理由などはもう私から言うまでもなく大方は御承知かと思いますが、これを批判されていることを私、お互いに言い合ったって何もならぬ話なんだから、どうすべきかということなんですが、できれば、予算のかなりの部分を十分検討されて、地方に丸投げしてほしいんですよね。市町村に今の事業の一部の分をきちっと任すと。その市町村によっては非常にもう一五〇%も効果が上げる市町村もあるわけですから、市町村にゆだねた農業予算事業にすれば、国民から批判されるどころか、いや、すごいじゃないか、三兆円を五兆円にしてもいいんじゃないかというぐらいになってくるんでね。今だったら、あんなもの、何のためにやっているんだなんて言われる。  そういう汚名をなくすためには、いわゆる分権型の農業予算にすべきだと。米大綱で地域づくり推進交付金があるんですね。ああいう方向にどんどん変えていくべきだと、こう思うんですが、いかがですか。
  75. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) お答えいたします。  ただいまの地方の裁量を生かしました事業運営の推進という観点からの取組でございますけれども、我が農林水産省といたしましては、平成十二年度からでございますけれども、いわゆる統合補助金ということで地区別の事業費配分、こういったことは都道府県にお任せするというふうな取組をしているところでございます。  平成十五年度の予算、今御審議いただいている分でございますけれども農業関係の公共ですとか森林関係の公共、新たに百四十億円余り、こういったものを統合補助金の対象とするということで、合計二千億円余、こういったものを統合補助金の対象とするということで、各地方公共団体の裁量といいますか、そういったことにゆだねるということによりまして、予算の効率的な執行あるいは地方分権の推進、そういったことに寄与するようにということでやらさせてもらっているところでございます。  また、事業の大くくり化ということで、統合化あるいはメニュー化、こういったことにも取り組んでおりまして、十五年度の予算では、先ほどのバイオマス・ニッポン総合戦略の推進関係でございますとか、そういったことを中心に約一千三百億円ぐらい、こういったものは大くくり化するということによりまして、事業の効率的な推進あるいは地方分権の推進、こういったところにも資したいということでやらさせてもらっているところでございます。
  76. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 時間になりましたけれども、一つだけ最後にお願いしたいんですが、自民党の先生方からもありましたように、食料の安全保障を訴えてWTOに向かっているのに、自給率をどんどん下げるということで、私も世界で、ガットのときに交渉へ行ったときに、日本は自給率を下げて食料安全保障はないものだ、自分の国で自分のものを作るぐらい当たり前だと言われて、もう答えようがなかったんですけれども。  そういう意味で、四〇%になってしまったのを上げていく、あるいは守ろうとしても、後継者がどんどん減っていますよね。これは、今やっている人もやめていくのを放置しておくとますます自給率落ちますから、そういう意味では、やっぱり後継者育成、今回予算を組んでいますけれども、微々たるものだと。  是非、あんな予算ではなしに、もっと新規就農に向けた予算に向けては、我が党の和田先生からも昨日話ありましたように、やっぱりフランスのDJAのような思い切った政策をやって、食の安全で農家に向けた、国民一杯、やりたいやつは一杯いるわけですから、そういうものをどんと吸収していくような画期的な就農システムをフランスにまねるぐらいやるべきでないかと、こういう質問をして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  77. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 新規就農施策のお尋ねでございます。  先生が御指摘ございましたとおり、フランスにおきまして、渡し切りの給付金であります青年農業者就農給付金でありますとか低利資金等、手厚い対策を講じているということは承知しております。  我が国も、この正に新規就農というのは農業を支える人材の確保という意味で極めて重要であるということで、就農の際にネックとなります資金の手当てでありますとか技術の習得、また農地の確保という観点から、無利子資金の融資でございますとか実践的な研修あるいは農地に関する情報の提供、あっせんといったもの、こういうことで、非常に就農形態でありますとか経営の発展に応じてきめ細かく対応してきているところでございます。  おかげさまでといいますか、データ的に見ましても、平成二年には年間四千人程度であったわけでございますが、現在は一万二千人程度ということで、これは構造展望の平成二十二年の一万三千人から一万五千人というところにもまだ達しておりませんけれども、あと一歩のところに来ているということで、我々としても更に頑張っていきたいと思っているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  78. 信田邦雄

    ○信田邦雄君 どうもありがとうございました。
  79. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  80. 三浦一水

    委員長三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  昨日、大臣所信に対する質疑を行ったわけでございますが、若干積み残しがございますので、まずそれから始めさせていただければと思います。  昨日、私の質問の趣旨は、食品の不正表示について、偽装表示と言うかもしれません、厳しい監視だとか検査機能を強化すべきであるとか、罰則を強化すべきだとか、などなど申し上げました。  実は、これは今年の二月、国民生活センターから出されました国民生活動向調査という三千人の方々の調査の結果、「食品の正しい表示を確保するための対策や取組」についてのアンケート調査がその中の一項目ございました。  それによりますと、私が先ほど申し上げました、行政による監視・検査機能を強化すべしというのが四七%でございました。複数回答がオーケーでございますから、四七%ということでトップでございました。それから、二番目に多かったのは、表示違反があった場合は、事業者名を直ちに公表すべしというのが四四・九%でございます。その後は、事業者のモラル向上のための事業者の取組を強化すべしが四一・四%、消費者自身が正しい表示を見抜ける学習をするが三〇・九パー、五番目が、表示違反があった事業者に対する罰則強化をすべしが二七・三%、こういうふうな裏付けもあるわけでございます。  そこで、再度、昨日に続きましてお伺いします。特に、一番皆様方が関心を持っておられます行政による監視機能、検査機能を強化すべしということに対してどのように対応されますか。それから、五番目の、多かったわけでございますが、罰則強化についてどうされますか。以上二点、お答えをいただければと思います。
  82. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 昨日も日笠委員から御指摘をいただきましたが、まず監視体制という意味でどのように対応するのかということでございますが、十五年度には農林水産省の組織再編等を通じて、つまり食糧庁が今度改廃していくわけでございますが、それによってこの監視体制を強化する、約三千名の人員でもってそういう対応をしていかなければならぬと思っております。  虚偽表示は、これは消費者を欺くものであるわけでございますから、消費者に提供する事業者にあるまじき行為であるわけでございまして、私どもとしては、JAS法に基づく立入検査、調査による事実関係を確認した上で、詐欺罪に該当する疑いがあるときには警察に連絡し告発をいたしますし、さらに不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法等に違反する疑いがあるときは担当省庁に連絡するとともに、JAS法に違反する案件については改善の指示等により自省させるとともに、事業者名を公表する等の対応を行っているところでございます。  いずれ、JAS法を的確に実施するということが大事でありますし、冒頭に申し上げましたように、監視体制を先ほど申し上げたように強化して厳正に対処してまいる、これが私どもの方針、施策であると御理解いただきたいと思います。
  83. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それと、直ちに公表すべしというのが非常に多かったわけでございますが、これは例えば農水省又は農水省関連の何かのインターネットホームページか何かで直ちに公表するということにシステムはなっているんでしょうか。
  84. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 昨年のJAS法改正をしていただきまして、私ども、指示をした案件につきましては直ちに公表をいたしますし、農林水産大臣で公表するというのは都道府県にまたがる事案でございますが、そういう場合におきまして、私どものホームページで併せて常に公表させていただいております。もうそういう体制を取らせていただいている状況にございます。
  85. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非厳正な対応をお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、大臣の所信の中に、いわゆる食について考える食教育を推進する国民的な運動の展開を図るとともに、分かりやすい食品表示実現食品表示の適正化等に取り組んでまいりますという所信がございました。  そこでお持ちいたしましたのは、委員長、許可を昨日理事会で得ていますので、大臣のお手元にあるのがジュース類でございますが、このジュース類に濃縮還元果汁一〇〇パーという印刷表示があるかと思います。  実は、私の長男は大手スーパーの食品売場におりまして、BSE問題とか、それからいろんな食品の偽装表示とか不正表示などなどがマスコミで大きく取り上げ出されてから、必ず二、三人に聞かれると言うんですよね。この濃縮還元一〇〇パー、果汁一〇〇パーというのはどういう意味ですかと、こういうふうに聞かれるんだそうです。消費者は分かっていないわけですね。今まで聞かれたことがないんだけれども食品の安全だとか表示がどうのこうの言われた途端に毎日二、三人に聞かれるそうですよ。  それで、私に是非農水委員会で取り上げてくれということでございますので、今日はお持ちしたわけでございますが、大臣、この濃縮還元果汁一〇〇パーというのは一体これはどういう表示の意味でしょうか。局長でも結構です、しっかり勉強してこられたそうですから。
  86. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 還元果汁一〇〇%ということでの御質問でございますが、果汁を濃縮し、それをもう一度希釈してジュースにする、その場合、これはトマトジュースでございますし、先生先ほどそちらで例示されたのはリンゴでございますが、(「ミカン、ミカン、これは」と呼ぶ者あり)ミカン、それぞれミカンであれば例えば糖度が十一度、リンゴであれば十度というのが糖度の一つの基準でございまして、希釈した結果、糖度が正にオレンジであれば十一度、リンゴであれば十度に達する状況のものを還元果汁一〇〇%ということで表現をしているというふうに理解をいたしております。
  87. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 大臣、今の説明でよく分かりましたですか。ノー原稿でお答え──いや、いいんです、いいんです。ということぐらい、一遍聞いたぐらいじゃなかなか分からないんです。  「買ってはいけないPart2」という本の中にも濃縮還元ジュースのことが出ております。また、なぜこういうことを言うかというと、やっぱり分かりやすい表示というのは、牛乳のことを思えばいいんですね。牛乳は、御存じのように雪印の牛乳の中毒事件がございまして、加工乳と牛乳という、こういう問題についてきちっと仕分いたしましたね、表示を。今までだったらコーヒー牛乳とかフルーツ牛乳というと、何となくフルーツの搾ったものと牛乳を混ぜたとか、コーヒーと牛乳を混ぜたと。実際はそうじゃない、これは加工乳なんだよと。こういうようなことで、牛乳と加工乳はどういう表示であるべきか。牛乳と今書いてあるのは一〇〇%生乳なんですよね、牛乳と書いてあれば一〇〇%。これはもう安心ですよ。加工乳というのは、裏を見ると、五〇%とか、何とか入っていますとかいう、ちゃんと原材料名書いているということで非常に分かりやすい。  そういうふうに、ジュース類を一つ例を出したわけでございますが、大臣は、「分かりやすい食品表示実現」とまで所信でおっしゃっているわけですから、どうぞひとつ、これを一つの例といたしまして、食品についてはやはり関心は非常に高いということも先ほど申し上げました。何か分かりやすい表示をこれから省を挙げて、また関係する省と一緒になって実現していくと、こういう御決意があるかどうかをお伺いしたいと思いますが。
  88. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 分かりやすいという言葉を使って所信に書きましたが、その思いは、今この濃縮の問題もそうでございますが、時として私どもが、厚生労働省と我が方が言葉が違ったり、あるいはまた我々だけで通用するような言葉を使ったりしないようにという、ある意味、幅広いそういうふうな意味でお話をしました。今、先生から御指摘されたことを更に研さん、調査をしながら努力をしてまいりたいと、このように思います。
  89. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 昨日も使いましたけれども平成十三年度の農水省の政策評価結果の概要の中にも、食品表示制度対策本部において検討されている食品表示制度の改善強化策等の結果等を踏まえて、分かりやすく信頼される表示制度の実現に向けてJAS制度の見直し等が必要であると、こういうふうにきちっと結果が出ておるわけですね。それで、こういうことも踏まえまして対応をお願いを申し上げたいと思います。  かつて、昨年の当委員会で、私、これも分かりにくいということでどうされますかということで申し上げた一つの例がございます。賞味期限消費期限と品質保持期限三つあるわけですね。何かこれを厚生労働省さんともお話しいただいて統一しないと、一体全体、この賞味期限と品質保持期限消費期限三つがそれぞれどうなんだろうかと、非常に分かりやすくないんですね。そういう意味では、この言葉は今どういう状況でしょうか。お答えいただけると思いますが、政務官
  90. 渡辺孝男

    大臣政務官渡辺孝男君) 今のお話がありました食品の品質を十分に保持し得ると認められる期限を表す用語としまして、品質保持期限と賞味期限の二つが存在しておりますけれども消費者から分かりにくいという御指摘をいただいているわけです。  このため、農林水産省では、厚生労働省と密接な連携の下で、昨年十二月に設置されました食品表示基準全般に関する検討のための共同会議におきまして、まず期限表示の用語、定義の統一について調査審議を行っていただいておりますが、二月に行われた第三回の共同会議では、期限表示の用語についてまず賞味期限に統一できるのではないかということでおおむねの議論の方向性が示されたところであります。これを受けまして、一昨日でありますけれども、第四回共同会議が行われまして、賞味期限へ用語を統一するということになりました。  それから、劣化速度が速い食品に対する用語であります消費期限につきましては、定義も統一するということであります。  その前の定義につきましては、品質保持期限と賞味期限に関しましても定義の違いがございますので、そういうものも統一をしていくということに、そういう方向になりました。その内容を定めた具体的な表示基準の改正案についても審議をされまして了承をいただいたところであります。  今後、この改正案につきましてパブリックコメント等の所要の手続を行った上で、速やかに実施するように考えております。
  91. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 続きまして、食育、食べるはぐくむ、食育のことについて大臣も所信でおっしゃっておられます。同じくこの意見書の概要の中にも、食生活指針の普及定着に向け、健康日本21の推進を図っている厚生労働省、学校教育等における取組を進めている文科省と一層緊密に連携して、食に関する教育、いわゆる食育の充実強化を図ることが必要である、こういう概要の所見が出ておるわけでございます。  そこで、今年度、この食育について農水省では幾らの予算を組まれておりますか、トータルで結構です。
  92. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食育、狭義の形で、私ども、食育という形で取り組んでおりますのは、十五年度予算で六億八千万円、その他、学校給食等を含めて関連予算を整理させていただきますと、ちょっと手元にあれですが、かなりの額を計上させていただいている状況にございます。  狭義の食育ということでは、六億八千万円の予算計上をさせていただいている状況にございます。
  93. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 その六億八千万円の予算が計上されています中で、こういう農水省の予算説明には記述されておりますが、食育推進ボランティアの登録・活用を進めると、こうあるんですけれども、具体的にこの食育推進ボランティアの登録・活用は、人選方法とか実践内容とか、何かそういう基準というのが既にあるんでしょうか。
  94. 太田豊秋

    ○副大臣太田豊秋君) この食育ボランティアの関係でございますが、まず食、生きることの基本として食育をとらえていくことが必要でありまして、先ほど来からお話がありますように、生きる、学校教育と家庭教育の中で食育に取り組むことが大変重要であるというふうなことでございまして、農林省といたしましては、地域に根差した食育活動の一環として、食品衛生、それから栄養改善、農業生産、それから食文化など、食の生産から消費までをつなぐ各分野について、そういった知識を持っている方々にボランティアとして参加をいただきまして、そして支援をしていきたいと、このように考えておりますが。  具体的に十五年度予算におきましては、都道府県が食育推進ボランティアとして活動する意思を有する者を募集いたします。そして、全国で約三万人ぐらいの登録をさせていただきまして、そして応募者に対する食生活指針等について講習会の実施を通じて資質の向上を図るとともに、これらボランティアの専門分野などに関する情報をリストにいたしまして、そしてボランティアの方々が行う公民館での食育講座とか、あるいは学校に出前授業などをしていただきまして、そういったときの教材の提供だとか経費の一部を負担、助成していこうと、こういったことでございます。  子供やそれから一般消費者に対して、食の安全や食べ物の適切な選び方、あるいは地域の食育文化について普及啓発を図ることも大変重要だと、こんなふうに考えておるところでございます。
  95. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非、厚労省とか文科省とも連携を取りまして、これは新規予算ですね、六億八千万は。これがうまくいかないと、来年度また、重点項目として概算からまた予算獲得まで足元すくわれますので、しっかりとした体制を取っていただきたいことを要請をしておきたいと思います。  それから、先ほど同僚議員も農業土木の件についてお話ございました。私は、この農業関係の公共事業の件についていろいろと農水省から資料をいただきました。  その結果、農業農村整備事業、直轄事業の指名競争入札の落札額上位五十件の一覧表をいただきました。その結果、この五十件の落札、平均落札率は九七・二%、九七パー。九五%以下は四件、全体の八%程度。それから、指名競争入札の落札一覧、二十三件分をいただきました。これは平均落札率は九五%、九五パー以下が五件で、これは二十三件の母数に比較いたしますと二二%。ということは、やっぱり一般競争入札の方が落札率が低い、実態に近いと、こういうふうに言えるのかなと、こう思いながらこのデータ見させていただいておるわけでございます。  なぜかなら、御存じと思いますが、神奈川県の横須賀がいわゆる入札制度を変えた。横須賀の場合は、新しい入札制度の実施する前の公共事業すべての予定価格の落札率は九五%程度だったと。それが新しい入札改革といいましょうか、によりまして八五パーぐらいまで下がったと、一〇%も下がったと、こういうことでございます。  ですから、私は何が言いたいかというと、農水省も、入札の公開性だとか透明性の確保というのはこれは非常に大事なことでございます。この改善策についてどのようなお取組をされておるのかなと。横須賀方式のようなこととか電子入札だとか、そのほか国土交通省が言っているような新しい入札改善策、こういうようなもので入札を行っておるのかどうか、またそういう方向を考えておられるのか、また独自案があるのか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  96. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 先生の御指摘のとおり、地方農政局におけます農業農村整備事業の直轄工事の発注でございますが、会計法令等に基づきまして一般競争入札、公募型指名競争入札の導入などによりまして透明性や競争性の確保を順次図ってまいってきております。例えば、一定規模以上の工事の入札については官報やインターネットなどで広く入札希望者を募集いたしまして、一定の資格を有したすべての入札参加者などにより入札を行う一般競争入札方式により実施しているところでございます。これら入札方式の導入のほか、地方農政局ごとに第三者から構成されます入札監視委員会を設置いたしまして、指名業者の選定や入札結果の妥当性について御審議をいただき、その議事の概要を公表するなど、適正かつ厳正に実施しているところでございます。  さらに、ただいまの御指摘にもお答えする形になるかと思いますが、十五年度からでございますが、地方農政局が発注いたします直轄工事におきまして、電子入札の試行を開始いたしまして一層の競争性の向上を図ることといたしております。  農水省といたしましては、このような取組を進めて、引き続き適正な入札契約の執行に努めてまいりたいというふうに考えております。
  97. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非、適切な革新的な入札制度によりまして、私は、事業費は減すことはない、確保しておけばいい、事業量を増やせばいいわけですよね、事業量を。そういう意味では、是非ひとつ、農水省も公共事業が一兆四千億でしたか、今日、大臣予算説明の中にございましたですね、公共事業費が一兆四千三百七十八億ですね。そういう意味では、この入札の改善によって相当の経費が浮けばその分は事業量を増やしていくと、こういうことで是非ひとつ頑張っていただきたいと思うわけでございます。  それから次に、予算の、予算書、各目明細書などなど見ながら感じたことをちょっと申し上げます。  いわゆる経費削減を図っていかなければならないと思うんですね。その中で通勤費、公務員の方の通勤費、これが私のところで各目明細書を全部見ながら調べた結果で、皆さんのデータと違うかもしれませんが、農水省の一般会計、特別会計両方合わせて通勤費が四十五億七千六百万円ぐらいあるわけでございます、一年間。四十五億七千六百万円ぐらい。  その中で、これは人事院規則なんだそうでございますが、一か月ごとの通勤費支給というふうになっておるわけですね。ところが、最近ここに目を付けられて、何で一か月なんだと、民間会社の七割は六か月定期なんだと。こういうことで六か月にもしした場合はどうなるのかと、こういうことで相当の経費削減になるんではないかと、こういう今動きがあります。  と同時に、地方自治体もそれに呼応して、やはり経費節減をしなきゃいけないということで、例えば大阪府とか千葉県とか福岡県などがもう六か月ごとの支給に変えると。千葉県なんかはもう条例を作りました。そのほか、東京都内でも八王子市とか調布市がもうそういう方向で行こうと。それからまた、全国的に見れば船橋市とか柏市とか市川市とか、こういうところも一か月定期を六か月に変えると。こういうふうなことで今だんだんと経費節減を図っていこうと。東京都も三十四年ぶりに見直しをいたしまして、一か月から半年の、六か月の定期に、支給にしていこうということで、どうもそのことだけで年間、場合によっては二十億、ひょっとしたら五十億円ぐらいの経費が節減できるんじゃないかと。こういうふうなことが東京都議会で議論されておるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げました農水省も、これは官房長、私の数字が合っているかどうか分かりませんが、一般会計、特別会計両方合わせた職員の方、対象が二万八千人ぐらいいらっしゃるようでございますが、四十五億七千六百万円ぐらいの定期代が払われておるわけですが、一か月ごとだと思いますね、人事院規則でそうなっておるわけです。私が言った数字とか支給方法はまず間違っていないかどうか、お答えください。
  98. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) お答えいたします。  まず、通勤手当の関係でございますけれども、国家公務員のいわゆる給与法、給与法の第十二条の第二項でございますけれども、通勤手当の月額は、「人事院規則で定めるところにより算出したその者の一箇月の通勤に要する運賃等の額に相当する額」ということでございまして、これを受けまして人事院規則の九―二四の第八条でございますが、「定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間については、通用期間一箇月の定期券の価額」、こういうふうになっておりまして、言わば一般職員の給与法あるいは人事院規則ということで、これは我が省だけでどうこう対応ができるということではございませんで、全体的な、公務員全体ということでそういう支給を行っているというものでございます。  それから、具体的な通勤手当の予算額でございますが、先ほど先生が御指摘になられましたように、我が省の平成十五年度におきます一般会計あるいは特別会計に計上されております通勤手当の総額は約四十五億七千万円強ということでございまして、対象となっております人員は御指摘のように約二万八千人、こういう実態でございます。
  99. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 各目明細書全部繰ってやっと一日掛かりで計算して出した数字でございます。  そこで、六か月の定期券支給ということになりますと、いろいろ問題があるのはあるんですよ。例えば金額だけでいきますと、大体二〇%前後の割引になるんですよ、二〇%前後の割引。ですから、四十五億七千万円強のものを一か月をやめて六か月に変えた場合は何と九億円以上、十億円近い節減になってくるんですね。そうでしょう、二〇%前後の割引になるわけでしょう。もちろんこれは途中で退職した人がいるではないか、後の精算どうするんだとかありますよ。  しかし、私が言っているのは、もう東京もやりますよと言った、千葉も条例で決めた、福岡もやります、ほかの地方団体もやります、経費節減のために。こういうことですから、これは、国が一番悪いところは、児童手当もそうですよ、地方がやったら国がやる、地方が半分ぐらいやったら国がやりましょうと、今度国の法制度でやりましょうと。情報公開も、県がもうほとんど情報公開条例を作ったら、やっと国の行政情報公開法を作りましょうとか、地方がやった後国が付いていくんですね。  しかし、大臣、こういう節減がもう地方で始まっているわけですから、それも何億という単位なんですよ。そういう意味ではひとつ、このことについては私は大臣にお願いしたいのは、閣議もあるんでしょう、閣議。閣議が駄目なら閣議懇談会もありますよね。それから副大臣会議がありますね。政務官もありますね。農水の大臣、副大臣、政務官がそれぞれの会議でほかの省庁に呼び掛けて、こういう節減方法があるよと、みんなで声を出して人事院に言って改善しようじゃないかと、こういうことは言えるんじゃないでしょうか。一つのアイデアとして、どうでしょうか。
  100. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 御指摘ですから、検討してみたいと、こう思います。
  101. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、発言をするというのを……
  102. 大島理森

    国務大臣大島理森君) それも含めて、閣議であるいは閣議懇談で、副大臣会議で、あるいは政務官会議等々あるわけですから、そういうものを含めて検討してみたいと思います。
  103. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 私もこのことについては労使交渉事項だと思いますから、十分それを知った上で申し上げております。是非ひとつ、地方から始まっております通勤費の経費節減を国の方も、それも農水省というこういうところから各大臣や副大臣や政務官、声を上げていただくということで、これは恐らく、全公務員の通勤費が幾らか分かりませんが、二割ぐらいカットされたらそれはもう大きな金額でしょう。その分はひとつ農水省いただいて、しっかりとまた食教育であるとかやっていただくと、こういうことで発案して経費を浮かしたものはいただくと、こういうこともちゃんと申し上げておきたいと思うわけでございます。  次に参りたいと思いますが、同じく経費節減で、IP電話というのが最近非常に急激に伸びておるようでございます。例えば東京ガスは二〇〇三年からもう順次社内の電話をIP電話に切り替えると。最終的には全部切り替えると現在十億円ぐらいの電話料が半分になるんじゃないか、こういうふうなことで、今、各企業もこれに乗り遅れるなということで、二〇〇三年はIP電話元年じゃないかと、こういうふうに言われております。  これも経費節減のお話でございますが、農水省の場合に、このIP電話を検討されることがありますか。検討されますか。  と申しますのは、一遍に明日からやれとは申しません。農水省というのは非常に幅広ですね。本省があれば、あと水産庁もあれば食糧庁、林野庁もある。地方に行けば地方農政局もある。また、動物検疫、植物検疫もある。現場はですね、現場、いろんな、干拓の事務所があるとか、非常に施設が多い。電話も多いでしょう。だから、全部とは言いませんよ。どこか一か所、例えば、申し上げれば、北海道統計事務所だって結構ですよ、北海道農政局でもいい、まず電話通信料が多いなというところを一回やってみて、どれぐらいの経費が削減されるかということもやってもいいと思うんですね。良ければこれはもうほかの省庁に先駆けて全部やったっていいわけですから。  そういうことで、このIP電話を活用することによって通信料の削減、経費削減というようなことは考えられますか、どうでしょうか。
  104. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) IP電話自体という言葉も私も実は昨日初めて聞かされて、担当の方にもいろいろと実態等を問いただしたわけでございますけれども。  確かに、このIP電話、最近実用化されているという状況でございますけれども、ただいま先生も御指摘されましたように、我が省の場合、各県に組織を抱えております。また、出先の事業所等々、こういったのも多岐にわたっているということで、現在のこの電話の通話システム、それに代わるべきものということで、新しいものということになりますと、どの程度の設備投資を、新規の設備投資をしなければならないのかどうか、それからまた、このIP電話ということで、プロバイダー等々によりましては若干その安定性等々も変わってくるというような話もありまして、言わばそういった安定したシステムということでどの程度確保できるかというような問題、いろいろ、個々ございますので、今後こうした導入の可能性につきましてはよく部内で検討させてもらいまして、十分に有効であるというふうなことであれば、そういった対応ということに前向きに取り組まさせていただきたいと、かように考えている次第でございます。
  105. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 昨日初めて知った割には相当詳しく勉強されているようでございますが、何回も申し上げますが、もうどんどんどんどん企業が経費節減ということでこれを活用しようということですから、全部とは言いません、どこかの施設だけでもちょっとやってみようということで、うまくいけば全部やればいいんですから、そういうことで前向きに検討をしていただければと思います。  それから、電力が自由化になりました。大口電力、二千キロワット以上でございますが。経産省なんかは、エネ庁があって、自分のところがどちらかというと所管をしているのに、入札をしまして、東京電力じゃなくてエネットという新しいエネルギー、電力会社が入札を取っちゃったと。それによって、これを見ますと、データを見ますと、年間五・五%ぐらいの電力料金が削減されるんだそうでございます。  そういう意味では、農水省も、どうなんですか。電力調達入札をしようと、こういうふうな、大変たくさん施設があるわけです。二千キロワット以上というのがまず当面ございますが、これからどんどん下げていきますね。五百キロだとか、最終的には五十キロワットまで下げますけれども、五十キロ、下げますけれども、今のところこういう電力調達入札をしようと、こういうような動きはございますか。
  106. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) 御指摘のように、二〇〇〇年の三月からでございますか、いわゆる大口需要者に対します電力の自由化ということが行われまして、当省といたしましても、十四年度から一般競争入札によります買電、電力を買うということに取り組んでおります。  たまたま十四年度の契約、これは昨年の三月でございますけれども、入札しましたところ、東京電力さん一社だったということで、結果的には東電さん引き続いてということになっておりますが、十五年度の分、この入札は実は去る三月の上旬に行いまして、四社の応募がございました。結果的には東電さん以外のところが落札したということでございまして、御質問の趣旨のことも踏まえまして、そうした取組をやると同時に、現実的な対応ということで、もうこの新年度からは新たな対応になるということでございます。
  107. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 是非ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  時間があればほかにもあったんですが、昨日も水産庁長官に来ていただいて、今日も質問をする予定で、なかったら申し訳ないから、もう急な話でございますが、魚のトレーサビリティーについて一問お聞きしたいと思います。  大臣のこの予算説明には米とか野菜等のトレーサビリティーというものは出てくるんですが、魚は出てこないんですね。実際、魚のトレーサビリティーということは、二十九億円ぐらい予算をトレーサビリティー導入促進費が組んでおるようですが、水産関係はそのうち幾らぐらいの来年度予算を考えておられますか。また、具体的にどういうふうなトレーサビリティーを考えておられますか。お答えいただければと思います。お魚のトレーサビリティー。
  108. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) お答えいたします。  トレーサビリティーの導入でございますけれども委員指摘の二十九億円の中に、「等」の中に養殖水産物、実は入ってございまして、私ども、全体としては、それぞれの採択をするわけでございますので、養殖水産物が幾らというふうには計上されておりませんけれども、米あるいは果汁、青果物に並びまして、養殖水産物につきましてもトレーサビリティーの実証事業の対象になるということで、本年度でございますけれども、宮城県のカキを対象として実施をしているという段階でございます。  また、このほかに、水産庁といたしましても、平成十五年度、御審議いただいている予算でございますけれども、給餌なり投薬などの生産管理を行っている養殖水産物をより安全な食品として消費者理解してもらうために、生産行程におきます詳細な履歴情報を記録あるいは管理をし、開示するモデルシステムの開発を行うこととしておりまして、十五年度予算要求といたしましては三千九百万円を計上しているところでございます。
  109. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、履歴が、魚の履歴が分かるということは消費者に対する安心感があるんですが、魚の場合は、実はダイオキシンだとか有機すずだとか、海藻なんかは無機砒素だとか重金属、水銀、そういうようなものも、これがきちっと分析して公表しないと、この履歴が分かっただけじゃ、どこで取れた魚で、どういうえさをやって、どういう投薬したかだけじゃ分からないんです、今言ったやつはね。これはどうされるんですか、そういうダイオキシンだとか有機すずだとか砒素だとか重金属なんかの検査といいましょうか。
  110. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 例えばダイオキシンを例に取って御説明いたしますと、私ども、十一年から、主要な魚種ごとに、また水域ごとにダイオキシンの調査を実施をいたしております。その結果につきましては、毎年度、まとまり次第公表しているという段階でございます。  また一方で、ダイオキシンがどのような水産物、魚の中で部位のところが多いのかというようなところにつきましても現在解明中でございまして、それぞれまとまり次第公表しているという状況でございます。
  111. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは最後に要望でございますが、投薬を先ほどおっしゃいましたね、投薬。しかし、この投薬は、その養殖なら養殖している会社の従業員の方が適当に投薬してその結果だけが残っているというんじゃいかぬわけでして、投薬する場合は獣医さんにきちっと指示を得ると。獣医さんの指示を得て投薬する。それがきちっと記録に残っていると。これは、獣医さんということがかまないと、これは投薬したからいいんだろうというわけにいかぬと思いますが、その点はいかがですか。お魚の獣医さんというのはいるわけでございますかね、どうぞ。
  112. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 養殖水産物の医薬品の取扱いでございますけれども、薬事法の中で規制をされているわけでございます。  委員指摘のとおり、獣医師の処方せんがなければ投薬できないような、そのような要指示薬ということでございますけれども、現在の水産物医薬品の中には、今御指摘のような獣医師の処方せんがなければできないような、そういうものは対象になっていないという段階でございます。  いずれにいたしましても、現在、薬事法の改正案を提案しているところでございまして、私ども、水産医薬品の取扱いにつきましても、研究会の結果等を踏まえまして対応していきたいというふうに考えております。
  113. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、漁業にも関係する問題で、北海道の矢臼別演習場の砂防ダムの建設の問題について質問いたします。  この砂防ダムは、この矢臼別演習場内の別寒辺牛川水系に三基計画をされています。別寒辺川というのは、別れるの別に、寒い寒で、辺という字に牛と、別寒辺と書いてベカンベというふうに言うんですけれども、別寒辺川。それで、その三基が計画をされて、うち一基はほぼ完成しています。この河川はダムのところから下流の、下流にはラムサール条約登録の湿地帯、別寒辺牛の湿地帯があるわけですけれども、その湿地帯を通って厚岸湖、湾に注いでいます。  それで、場所的にいいますと、本当は地図があればいいんですけれども、釧路と根室の間ぐらいがちょうど厚岸があって、太平洋側にその川が流れて、方向としては流れているということになっています。その上の方に矢臼別演習場があるということなんですけれども。  それで、この厚岸町の漁業は、特にカキが北海道の中では第二位という生産です。かつて、この川の上流の開発による影響と見られるカキの大量死がありまして、その後、毎年、漁協なんかでは木を植えて環境保全に力を入れています。それだけに、漁業者もこのダムの影響があるんじゃないかと、あるかないかということでは重大な懸念になっているわけです。  また、この砂防ダムによる別寒辺牛川周辺湿地の生態系や環境への影響も危惧されています。特に、絶滅危惧種、淡水魚のイトウの貴重な生息地でもあると。これによる生息への影響が心配をされているんですね。  それで、ちょっと遠いので、ちょっとなかなか見えないかと思うんですけれども。(資料を示す)これが、その中に流れている源流に近い方の川ですけれども、こういう川で、それこそ大体幅が二メートルぐらいですから、ぽんと跳んで渡れるぐらいのそういう川なんですけれども、こういう川のところにこの二百十八メートルのダムが、巨大なダムが、この小さなちょろちょろという川のところに大きなダムがとにかく造られているという、これ砂防ダムなわけなんですけれどもね。そういうふうなことになっているわけです。それで、この大きさは多摩川の下流の堰と同じ規模のものなんですね。  それで、そこでお聞きしますけれど、まず、事業者の防衛施設庁、今日見えられていると思いますが、砂防ダムへの疑問の声が自然保護団体や漁業者から上がっております。事業の見直しが検討されるようになっています。衆議院で、我が党の児玉健次議員が提出した質問主意書に対して、今後、有識者からの意見の聴取を行ってまいりたいというふうにしています。漁協も第三者機関による影響調査を求めているんですね。検討委員会を作って調査検討する用意があるのか。やるとすれば構成などについてはどういう構想を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  115. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 防衛施設庁の方からお答えさせていただきます。  矢臼別演習場では、自衛隊等の訓練に伴いまして、降雨、融雪の際、演習場内の河川に土砂が流出しております。そのため、下流の水質を汚濁させ、漁業に被害を与えるおそれがあるとの厚岸町の要請を踏まえまして、矢臼別演習場内の別寒辺牛川支流にダム三基の建設を計画いたしまして、かかる調査、設計及び工事につきましては厚岸町に委託して実施しておるところでございます。  これらのダムの建設に関連いたしまして、従来、所要の自然環境調査を行ったところでございますけれども、今般、イトウの生息に関し懸念があるとの御指摘をいただいておりますので、当庁としては、万全を期す観点から、既に設置したダムの魚道におけるイトウの遡上状況及び今後ダムを設置予定の河川におけるイトウの生息状況等につきまして補完的調査を行うとともに、イトウの生息状況、魚道の在り方等につきまして有識者の御意見等をいただくため、地元自治体でありますし河川管理者でもあります厚岸町と共同で御指摘の検討委員会の設置を考えておりまして、現在その準備を行っているところでございます。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 その検討委員会は、専門家も入れて第三者機関という形でやられるんでしょうか。
  117. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 各方面の有識者に御参加いただいて、防衛施設庁と厚岸町の共同でいろいろ専門的見地からの御検討をいただく会議としては考えております。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 そうしますと、厚岸町と防衛施設庁、局ということになると、専門家というか、その道の専門家の方は入るんでしょうか。
  119. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 今お願いします主催者として札幌防衛施設局と厚岸町ということを言いました。有識者としては第三者の専門家の方にお願いしたいと、こう思っております。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 それで、さっきのお答えの中で、イトウの遡上について、それから生息状況、水質検査なども入っていますか。
  121. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) その点についての御意見を有識者からいただきたいと思っております。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 厚岸湖、この厚岸湾ですね、ミネラル分がとても多くて豊かな漁場なわけです。  それで、砂防ダムによる影響が川から海に及ぶと、そういうことを心配しているわけですけれども、このダムによって、森から運ばれてくるミネラル供給や、川や海に必要な砂やれきの運搬を阻害して、ダムから漁業被害を出すような細かい泥というんでしょうか、こういうものだけが流れるんじゃないかという指摘もあるわけです。  漁業への影響もそこでの調査や検討の項目に入れるべきではないかと思いますけれども、それについてと、それから検討委員会は公開にすべきだと思うんですけれども、その点について。
  123. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) この砂防ダムにつきましては、漁業組合の方からの漁場の保護という観点から、厚岸町の要請を受けて設置しているものでございます。  今の水質の関係でございますが、この点についても、既に設置したダムのその後の水質状況等を検査いたしまして、その点についても有識者の御意見を伺いたいと、こう考えております。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 漁場の保護ということを言われているんですけれども、一月二十一日に、ここの厚岸の漁協から要請書が出ていますね。それで、この要請書の中を見ますと、本件につきましては当組合に対して正式な説明・協議がなされていませんというふうに説明を求めています。  今慌てて説明をしているようなんですけれども、つまり漁業被害のためということを言っているんですけれども、この中でもはっきり分かるように、漁民全体の要望ではないんですね、これ。是非その意味では、漁業者への、漁業関係についても調査をすべきだというふうに思いますが、もう一度。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕
  125. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) その厚岸の漁業組合の点に関しましては、防衛施設庁としても、厚岸町に確認しましたところ、組合として砂防ダムの建設に反対しているということではなく、既存環境調査に係る説明及び更なる環境調査の実施等を要望しているものであると承知しております。  いずれにしましても、漁業関係者に調査の結果等については適切に説明していきたいと、こう思っております。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 次に、環境省にお聞きしたいんですけれども、この川に生息するイトウは絶滅危惧ⅠB類と。さらに、北海道で作っています北海道版レッドリストの中で最高位の絶滅危惧種になっています。イトウは食物連鎖の最上位に位置し、北海道の河川性魚類を代表する魚、イトウを通して北海道の河川の健全性が評価されると、これは北海道の水産のふ化場の見解なんですけれども、北海道では河川環境評価するバロメーターだというふうにしています。  環境省は、このイトウの価値についてどのように位置付けて、その保護について、通常、開発事業者に対してどういう指導をされているのか、お答え願います。
  127. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) イトウは、委員指摘のように、環境省が平成十一年の二月十八日に作成しました汽水・淡水魚類のレッドリストにおいて、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いとされる絶滅危惧ⅠA種というのがありますが、それに次ぐⅠB種に掲載されております。したがって、絶滅のおそれが非常に高い種類であるというのが環境省の認識であります。  また、開発事業の実施に当たりましては、事業者において十分な環境調査の実施、その結果を踏まえた希少な生物の生息環境保全など、事業地周辺の自然環境保全への配慮が必要であるというのが我々の認識であります。  お尋ねの事業につきましては、防衛施設庁からも今お話がありましたように、事業者において、事業がイトウの生息に与える影響等について有識者の意見を聴くための検討委員会を設置することになっております。この委員会の結果を踏まえて適切に対処するものと考えておりますが、環境省としても、イトウの保護の観点から、必要に応じて助言をしてまいりたいと考えております。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 もう一度防衛施設庁にお聞きしますが、この水系は北海道においても貴重なイトウの生息地でありますけれども、工事始める前の平成十一年の十月の捕獲調査で発見をされて、二月、調査報告書に記載されているわけです。その当時、防衛施設庁はこのことを環境省に対して連絡をしたり、この保護についていろいろ相談をしたということはあるんでしょうか。
  129. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 本事業につきましては、環境影響評価法等に基づく対象事業に該当しませんけれども、当該事業には環境への影響を最小限との観点から、平成十一年度に魚介類調査等を実施したところでございます。  ただし、今お尋ねの件で申しますと、その時点では環境省には特に相談はしていないという経緯はございます。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 環境省と相談をなしにこういうことをやるというのは、やっぱり本当にそういう絶滅するかもしれないという貴重なところに対しての軽視の姿勢というふうに言わざるを得ないと思うんですね。  それで、魚道を設置するというふうにしているんですが、それでイトウが遡上できる、その上流で繁殖ができるというのは何を根拠に判断をされているんでしょうか。
  131. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 先ほど申しました平成十一年度の魚介類調査等におきまして、サケ、マスのほか、遡河魚ではございますけれども、イトウ等の魚類が確認されました。その観点で、この生息に影響を及ぼさない方策として有効と考えられる附帯施設といたしまして魚道の設置について検討を行いまして、他の類似事業における魚道の設置状況等を踏まえまして、その規模等を決定したところでございます。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 イトウという魚は繁殖力が弱いんですね。環境には非常に鋭敏な魚というふうに言われています。その特性を考えなければならないということでは、魚道を造ってイトウが本当に生息していけるという、具体的に、実際にほかの河川でそういう例がある、有効だということも確認した上なんでしょうか。
  133. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 先ほどの生息状況については、対象となる三つの河川について行いました。この点については、今回、専門家の方からの御指摘もございますので、検討委員会を設けて有識者の意見をいただきたいと思っておりますが、その中で既に設置した砂防ダムについてもイトウの遡上状況等について調査したいと、こう思っております。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 造ってしまってから魚道を遡上できるかどうか調査するというのは遅いと思うんですね。現に、一基目のダムの工事をしてから、以前には確認されていたイトウがいなくなったという指摘もされているわけです。工事が非常にやっぱりその意味では拙速だったと言わざるを得ないと思うんですね。  今、この砂防対策の在り方をめぐっても、環境砂防という言葉が使われるようになっていると思うんです。生態系や自然環境への影響を抑制をして、そして保全をしていくと。緑の復元や回復で土砂を抑える、土砂が出ない発生源の対策を取ると。ただ土砂が出るからダム造ればいいという、そういう従来のというか、考え方じゃなくて、今そういうことでもって対策を進めようというふうになってきていると思うんです。私たちとしても、やはり土砂を出さないようにすることは大事なんだけれども、しかし、やり方としてはダムじゃない方法でやるべきだというふうに思っています。  事業者である施設庁は、この三基のダムそれぞれについてどういう見直しをするおつもりなのか、それと、検討委員会の結論が出ないうちに工事をやるということは少なくともやめるべきだと思いますけれども、この点、それぞれについて言っていただきたいと思います。
  135. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 先ほどから申し上げていますように、この点に関しましては、有識者の方に委員会を作っていただきたいと考えておりまして、その結果を踏まえまして関係機関とも調整して適切に対処したいと思っております。  あと、工事の点については、当庁の立場といたしましては、この有識者の意見については、地元の方からの早期に砂防ダムを造ってくれという要請を踏まえましてやっていますので、できるだけ早めに結論をいただきたいという立場はございますけれども、他方、委員の、有識者の方に意見を尽くしていただくことも大事でございますので、そういう点を踏まえまして是非検討委員会を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  136. 紙智子

    ○紙智子君 要望した厚岸町の議会の中でも、この問題をめぐって議論になっているわけですから。だから、私さっき聞いたのは、三基のダム、それぞれについてどういう見直しをするつもりなのかと。これはレクチャーというか、質問するに当たってお聞きしているわけですし、一般の新聞にも出ているわけですから。完成した一基目についてはどうするのかとか、二基目、三基目どうなのかということについてちゃんとお話しいただきたいと思います。
  137. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) これから造る砂防ダムにつきましては、その在り方について有識者の意見の検討を踏まえまして、関係機関とも調整した上で適切に対処してまいりたいと思っております。  既に設置した砂防ダムにつきまして、魚道等について御意見がございましたら、それについても適切に対応したいと、こう思っております。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 今お聞きしたのは、完成した一基目についてどうするのか。二基目については、これは今取付けの工事中だと思うんですけれども、道路のね。これについてどうするのか。計画段階でまだ工事に入っていないけれども、三基目があるわけですけれども、これについてどうするのか。しばらくそのままなのか。それについてちゃんとおっしゃっていただきたいと思います。
  139. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 二基目、三基目につきましては、これから建設するものでございます。そういう意味で、有識者の意見等を踏まえて適切に対処したいと、こう考えております。  一基目につきましては、既にダム自体は設置しておりまして、周辺的な工事はこれからまだ残されておりますけれども、魚道等の在り方について有識者の意見がございましたら、それを踏まえて適切に対応したいと、こういうことで考えておるわけでございます。
  140. 紙智子

    ○紙智子君 終わるまでは動かさないんですね。
  141. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) いずれにしても、有識者の御意見を踏まえまして工事再開等について考えたいと、こう思っております。
  142. 紙智子

    ○紙智子君 環境省にお聞きしますけれども、この件に関して、イトウの保護について、そしてこの下流のラムサール条約の登録湿地保護との関係で、今までどういう対応してきたのか、そして今後どうしていくのかということについてお聞きしたいと思います。
  143. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 別寒辺牛川下流域に位置する厚岸湖別寒辺牛湿原は、その自然環境が国際的に重要な価値を有することから、一九九三年六月にラムサール条約湿地として登録されております。また、国設厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区、特別保護地区として指定され、その保全が図られているところでございます。  現時点で、今回の事業が下流の国設鳥獣保護区に影響を与えるとの事実は明らかになっておりませんが、今まで何度か出ていますように検討委員会を設置するということでありますから、環境省としては、今後、当該地域における湿地環境保全に関する情報交換を行って、必要に応じて助言等を申し上げてまいりたいというふうに考えております。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 釧路に事務所ありますね、環境省の事務所があると思うんですが、そこと連絡を取り合いながら情報交換もしてということでやっていらっしゃいますか。
  145. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 釧路市内に我々の出先事務所があります。ここは国立公園、三つの国立公園と野生生物、東北海道の野生生物を見ております。当然、野生生物保護も担当しておりますので出先と、出先のみならず、自然環境局の中に野生生物課がありますので、本省の野生生物課も含めて情報交換し、必要に応じて助言その他の措置を取りたいと思っております。
  146. 紙智子

    ○紙智子君 それで、農水大臣にお聞きします。  それで、漁業それから漁民の立場からも関係ありますし、今の話、聞いておられたと思うんですけれども、川と海とはつながっているわけですよね、森もつながっているんですけれども。海での漁業が営まれると。農水省もこの問題にやっぱり関心を払い、漁業立場から必要な対処をしていくということ大事だと思うんですけれども、その御意思について伺いたいと思います。
  147. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 今、委員と防衛施設庁との話を伺って、まず町からの要請があったことは事実なわけですね。できればやっぱり、その町でやっぱりこういうイトウの問題も含めて総合的に私は判断したのではないかと思うのでございます。  そういうことを受けながら今日まで進めて、施設庁も第三者機関のようなものを作って今調査をしているということでございますが、もちろん、すべての公共事業というのは地域の住民の理解と協力を得ながら実施していくことが重要でございますので、その中に、漁業者は反対だということよりは、よく調査をしてくれという話のようでございますので、それらのことも踏まえながら理解を得られつつ進められることを期待をしたいと、このように思っております。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと時間の関係もありますので、もう一つ大臣にお聞きしたいんですけれども、北海道では、その前にちょっと一言だけ言えば、要望のあった自治体自身は、最初の段階ではイトウの生息の状況だとか、そういうことというのはよく分かっていなかったわけですよ。今分かって問題になっているということであります。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  それと、今、北海道では漁業者団体と上流の開発業者との事前協議といいますか、あちこちで制度化をして、川に関する、あるいは河川に影響する開発について協議するということでいろいろ行われているわけです。海の環境を守る上で、また陸上の環境、特に川の環境を守る上で、そういうことの重要性についてどのようにお考えになるかということを一言お願いします。
  149. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は循環という言葉を使っておりますが、水というのは、海が自分で水をわき出して海になっているんじゃなくて、やはりそこには、川上から川下へと流れていっている。その結果として、一番出発点の川上というものは、いい漁場を造る、そういう意味での重要性というのは、私は、とても大事な視点と思い、河川流域の環境保全にも取り組む必要があると思うんです、いい漁場を造るために。  したがって、我が省としては、漁民の森づくり活動推進事業、こういうふうな運動を、事業等を展開しておりまして、十五年度からは漁業者と河川流域住民が連携して行う、連携して行うアシ原づくりや清掃等の河川環境保全活動を支援していきたいと、こういうふうに思っております。  一般論と申し上げて、全く森と海というのは、もうこれは共生ということよりも連携した存在だと、このように私は思っておりますし、その経過の河川の浄化というものも、当然にこれはもう全部すべて関連、一体的なものだという考え方でやっていかなきゃならぬ時代になったと、このように思っております。
  150. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  それじゃ、次、中山間地直接支払の問題について伺います。  実施から三年がたって、来年度は制度の見直しの五年目を迎えることになります。農産物の価格が低落をする中で、この中山間地域は高齢化それから耕作放棄地などの深刻な事態が進んでいます。直接支払制度への期待というのは大きいわけですが、この直接支払制度への参加を契機として地域農業を維持するための独自の取組が始まっていて、この制度を大きく育てていく必要があると思うんですね。しかし、来年度の予算は前年度よりも百億円減になっていると。  これは、都道府県の基金が、結局二〇〇一年度の年度末で二百億円程度未消化で残っているために半分を取り崩すということで、総額ベースで前年度額と同じとしたというふうに説明されているわけです。このような基金の未消化が生じた原因についてどのようにお考えでしょうか。
  151. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 中山間地域等直接支払制度は、先生が御説明いただきましたように、我が国農政史上初めての制度でございます。制度の普及定着あるいは集落協定などの締結にやはり一定の時間が必要だったということでございまして立ち上がりが遅くなったわけでございますけれども、現場での制度の認識の度合いは年々高まっているということもまた事実でございます。  その結果、本制度の対象となり得る農用地のうち集落協定などが締結されました面積の割合で申し上げますと、初年度、すなわち平成十二年度におきましては六八%にとどまっておりました。それが平成十四年度の、まだこれ見込みでございますけれども、八三%程度まで増加するんではないかというような状況に至っております。  こうした協定面積の増加あるいは集落協定などを締結する農業者などからの資金需要に速やかに対応していくという観点から、都道府県に基金を設置いたしまして、国から毎年度交付金を交付し、都道府県の方では毎年の実施状況に応じまして基金を取り崩して交付金を交付していく仕組みといたしているわけでございます。  その御指摘観点につきましては、そういった意味で、未消化が生じているということでございますが、消化というよりも、手挙げ方式ということになっておるものですから、地域地域での取組状況に差がある、地域特性に応じた話合いの状況等がその現在の状況につながっているというように私どもとしては認識しております。  今後、更にこの制度の普及定着が進み、地域特性を踏まえました創意工夫によりまして協定締結面積が一層増加するように、その一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 確かに、今年度の対象用地、農用地の面積に対する交付金の支払われる見込みということの面積、八三%ということなんですけれども、数字だけで評価できない問題もあると思うんですね。  農水省が二〇〇一年度に、平成十三年度ということですかね、十二年度、十三年度かな、に行った中間点検結果というのがまとまっているわけですけれども、この中に重要な指摘があります。それは、直接支払の目的は耕作放棄の発生の防止にあった、しかし自治体の取組の状況を見ると、協定締結率が低い市町村ほど高齢化率、耕作放棄地率が高いという結果が出ていると。  日本共産党は、この制度の発足当初、交付条件が厳しい、そして生産条件が悪くとも、耕作放棄地になりやすい農地が直接支払を受けられないという事態になりかねないということで指摘をしているわけですけれども、心配したとおりになっているという状況だと思うんです。  制度の評価や見直しに当たっては、この結果を深刻に受け止めて制度の改定に反映させるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  153. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 繰り返しになりますけれども、この制度は平成十二年度に我が国農政史上初の制度として導入されたものでございます。そういった意味で、中間年でこの中間点検を実施するといったこともそういった性格から実施したものでございますけれども、その結果としては地目別などに取組の格差が生じておることもまた事実でございます。五年間の実施期間におきましてこの現行制度の枠組みの中でより多くの成果を上げるべく、更なる普及定着を図っているという状況にございます。  そうした中で、これは中間でやればいいということではなくて、年々その点検を進めていくということが非常に重要だと考えておりまして、第三者から構成される委員会のアドバイスも得まして、その普及定着を一層進めてまいりたいというふうに考えております。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 農林中金総研の研究員の方が直接支払の実施状況の調査をして、これもまたまとめているわけですけれども、ここでも同様の結果が出ているんですね。  この制度に非常に積極的に例えば岩手県でも取り組んで、平地から中間地域そして山間地ですね、耕作条件が悪くなるほど直接支払の交付可能な農地に対する協定締結面積の割合、直接支払制度に取り組んでいる割合が低くなると。中間地域で八割、山間地域で四四%。耕作放棄の拡大により農業基盤が急速に衰退しつつある地域において本制度への取組が極めて限定的だという結論を付けているわけですね。  その上で、一ヘクタール以上の一団の農用地でなければならない、それから五年契約で途中で耕作放棄が出た場合は交付金を全額返却しなければならない、そして連帯責任を求めると、こういう制度であるという要件が、より生産条件が厳しくて高齢化が進んでいる山間地域での取組の阻害要因になっているというふうに指摘されているわけです。  耕作条件の厳しい山間地域が直接支払制度に取り組めるようにするには、こういう条件の見直しをやっぱり掛けることが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  155. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 耕作放棄の発生の状況については様々な要因があろうかというふうに考えておりますけれども、制度の観点で申し上げますと、各県で設けられる特認の制度等の活用もいただきたいということで、そうしたことも一つの制度創設当初からそういう仕組みも設けておるところでございます。  いずれにいたしましても、どの中山間地域等において、すべての本当に農地を現状のままで残し得るかということについては、基盤の整備状況等も非常に深くかかわっておることだと思います。そういった意味で、地域の中での話合いを通じてその合意形成をいただく、そして合意形成の結果としてこの直接支払制度を活用いただいてそういう取組を進めていただくということが非常に重要だというふうに考えております。  中間点検をいたしましたけれども、御指摘のとおり平成十六年度にこれは五年目ということを迎えます。この時点で制度全体の見直しを行うことといたしておりまして、その際には中立的な第三者委員会等の意見も伺った上で対応していくべきかというふうに考えております。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 今お話あったような運用面でいろいろ緩和しているということは分かっているわけです。しかし、現在の実施要綱では、五年間継続して生産活動を行う協定を締結し、その協定に違反した場合には交付金の返還を求めると、原則返還ということを明記しているわけですね。そうなりますと、例えば七十歳を過ぎた高齢者ばかりで五年間協定というのは、果たして五年間続けられるのかなということで、そういう声が出るというのは当然だと思うんですね。  自治体の担当者の聞き取りでは、積極的に取り組んでいるところでも、いったん耕作放棄された農地や五年間のうちに放棄されている可能性が高い農地は協定から外すところが多いという実態になっているわけです。これは、担当者や農民の理解不足に帰すことができない制度の構造的な問題ではないかと思うんです。EUのように、悪質それから故意にやるという、こういう場合を除いて返還は必要ないというふうにしているわけですけれども、そういう実際の運用や実態に合わせて実施要綱を見直すことが必要ではないかということを申し上げたいと思うんです。  それで、続けてお聞きするんですけれども、耕作放棄の圧力の高い地域でこの制度から抜け落ちる、この制度が受けられないもう一つの大きな要因、理由になっているのが、交付単価が低いということがあると思うんです。  それで、直接支払の目的は、もう最初に述べましたけれども、結局平地地域との収入格差を直接支払で埋めると、それで平地並みの収入を保証し耕作放棄を防ごうということですよね。それで、それにもかかわらず耕作条件が悪くて高齢化や耕作放棄が進むと。本当に危機にある地域でこの制度に取り組み、本当はそういうところに取り組みたいんだけれども、そういう危機的なところに取組が進まないというのは、やっぱり現在の農産物の価格と直接支払の交付金とでは、厳しい生産条件の下では再生産確保農業を継続するというところまでの意欲、展望を持てないということがあるからじゃないかと。だから、こういう地域で制度の目的を達成するためにも、私はこの単価の引上げというのはどうしても必要じゃないかということを申し上げたいと思うんですけれども、この点についてお伺いします。
  157. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 一つは、返還を義務付けるというのはおかしいじゃないかという御指摘でございますが、これはやはり政策としては、その目的を達するという観点からいたしますと、一定のやっぱり縛りは必要だというふうに考えております。これが余り、それではそういうことが許されるということになりますとモラルハザードということも十分懸念されるわけでありまして、ある意味では非常に現地レベルではまじめに取り組んでいただいている状況でございます。我々としては、その弾力的な実施も含めて、そういった意味でのむしろ支援をしていくべきであろうかというふうに考えております。  一方、単価の問題でございますけれども、これは収入の差という言い方を議員なさいましたけれども生産性の差ということでこの単価は決めさせていただいております。これにつきましても、この直接支払だけで農業政策あるいは農村施策を進めていくということではございませんで、様々な施策と一体的になって耕作放棄地の問題が解決されていくものだというふうに理解しております。そういった意味で、例えば先ほども若干申し上げましたけれども、そこに近づいていける、機械で近づくこともできないというような場合に、本当に簡易な、農道と言えない耕作用の道路、そういったものを整備するというようなことを地域の方々で取り組んでいただく、いわゆる直営的な方式、そういった形で非常に安くそういう整備をできるようなことも一つは考えられます。  そういった意味で、様々な施策と一体としてこの耕作放棄地の問題については取り組んでいくべきであろうかというふうに考えております。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしましても、本来、その趣旨等を考えたときに、本当は対策をしたかったところが実際にはなかなか厳しくて使えないという状況があるわけですから、そこに対してきちっとやっぱり焦点の当たった対策が必要だというふうに思うんですね。  日本政府、今日の午前中の議論もいろいろされていたわけですけれども政府姿勢として、例えばアメリカなどが自分の国の農業に対しては手厚い保護を、対策を取っている、そしてWTO農業交渉に臨んでいるという、このことから見ますと、それとは本当に大きな開きがあるということを私は思うんです。  条件不利地への直接支払というのはWTO協定上も緑の政策として認められたものです。そして、国内農業の維持のためにも本当に重要な切実な声として上がっている施策であって、この予算増を含めて、制度の拡充を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
  159. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。  昨日申し上げましたとおり、私は食料自給についていろいろと調査していただきたいと思います。また、今日は予算審査委嘱審査でもありますので、その辺もちょっと加味できたらと思っております。  昨日は、出だしで食料自給に対する基本的理念といいますか、大臣からお話を伺いまして、究極的には安全保障である、私もそのとおりだと思っております。  したがって、国内農業を守ると、そういう意味もあるかもしれませんけれども、それが究極というか、それが目的でない、そのことが第一義的な目的ではないというふうに思っておりますし、今日の議論でも、国内農業の面から見ますと、今日の議論でも自由貿易は先行き関税を限りなくゼロに近付けるというのが原則じゃないかというようなふうな議論もございましたけれども、それが自由貿易の理想だとは思いますが、そういう面からいくと、私は、悲観的な見方かもしれませんが、限りなくゼロに近付けば日本農業は限りなくなくなると、姿になると、こういうふうに思っております。それでいいのかという問題があるんだと思います。  といいますのは、私の認識では、日本農業で外国農産物に勝つことができるかということですね。それを考えた場合、非常に悲観的になるわけでございまして、今のWTOの自由競争のルールで考えますと、要するに競争に勝たなければ自給率上がらない、国内農産物が国際競争に勝たなければ自給率上がらないということですから、勝つための要素というのは価格と質しかないだろうと思うんですね。  価格の面から見れば、これはいわゆるアメリカに象徴されるスケールメリットを活用した、あの土地の力を使ったあの農業にはもうとてもじゃないけど勝つすべもないというふうに私は思っておりますし、事実、日本よりもっと小さい国ですね、例えばシンガポールとか香港、今は中国でしょうけれども、ああいうところは元々農業というのをやっていけないんじゃないかという、あそこはもう物も入ってきてもいいんですけれども、外国からの農産品が入ってこざるを得ないんでしょうけれども日本みたいにある程度の国土がある、こういうところで農業を放棄するということは、国土の問題からも大きな問題があると思っておるんですが。かといってアメリカみたいなところには勝てない。かといってアジアの労賃の安さにも勝てない。これは将来どうなるかはまだ分かりませんけれども、経済発展すればあるいは日本と同じような道をたどって労賃が高くなるかもしれませんけれども、ここ当分はそういうふうな面で勝てない。  とすれば、質で勝つ。質というのもこれなかなか言うはやすくても、国内産だけが質がいいというわけでもないでしょうから、これもなかなか勝ちようがない。  私は、そこで一つ、そういう中で一つ考えられるのは、安全、安心といいますか、そういうものも質の一種じゃないかと。そういうことであれば、あれですね、あるいは日本のものを選択してもらえるということでありますけれども、それは結局は消費者の選択に負うところが大きいということであって、これは生産者がどうしようがどうしようもないわけですね。  したがって、そういう外国に勝って上げるということについてもそうですし、食料自給ということについても、結局、今申し上げたようなことを考えますと、結局消費者がどういうふうに考えてくれるか、消費者の意識に集約されるんじゃないかなというようなふうに考えるわけでございまして、先ほど言いましたように、このままの体制でいけば日本農業というのは、当面は救ってある程度の方策を立てて生き延びるようなことはできるかもしれませんけれども、長期的に見れば安楽死になっちゃうというような認識でおるわけでございますから、この食料安保といいますか、安全保障の面からいって消費者に負うところが多いということは、結局、いわゆる消費者国民的な認識が、認識をどうなのかということが大きな課題であると思うんです。  そういう面で、農林省というのは食料自給ということを表に出して、基本法に載せたわけですから、その国民的なコンセンサスといいますか、こういう認識を、国民的な認識をどういうふうにとらえられておるのか、浸透していると思われているのか、あるいはそうでない、これからやらなきゃいけないというふうに考えておられるのか、その辺をまず一つお聞かせいただきたいと思います。
  160. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 私は、日本人の食に対する認識というのは非常に複雑な選択をしていると思います。と申しますのは、アンケートを取りますと、食に対して何が一番心配ですかというと、安全、安心と、こう言います。しかし、実態の消費形態を見てまいりますと、依然としてもういわゆる結果論としては六割の言わばエネルギー、カロリーベースとして輸入物が存在している。  しかし、今先生がずっとお話しされた中で、その国際競争の中であえて、国際競争の中で日本農業をしっかり維持し、そして自給を高める方法は何があるだろうかという議論と同時に意見をお話しされましたが、私は、その中で先生が安全と安心ということがこれからの一つの大事なポイントではないかとおっしゃいました。非常に大事なポイントだと思うんです。  そこで、食の安全、安心という問題は政府施策としてそういうきちっとした体制国内に作るということ、これは今、国民の皆さんから非常に大きな関心がありますから、そこの国の施策としてのそういうトレーサビリティーや、先ほど質問がありました食品の表示だとかそういうふうなもののシステムとして国内の安全、安心システムを作りながら、今の国民の皆さんの要望、要求にこたえていくということ。  そうすると、両相まって、日本消費者の皆さんはやっぱり安全、安心なものを一層求めてくるとするならば、その結果として国内産というものがそれに対して一番対応できるわけですから、私はそれが一つの、施策としての自給率を高めるちょっと違った形での非常なポイントの一つだと思います。  第二点は、正にいま一度食に対する、非常に食の安全と安心を求めながら、そして毎日ラーメン一杯捨てているような日本人の食形態、こういうことに対してもう一度食を考えようという食育ということを中心にして、やっぱり危機感を持ってもらうと。危機感を持ってもらう。そういうふうなことを国民的運動の展開として我々もやらなきゃならぬと、このように思っております。  その二つのことが自給率の向上に非常に大きなかぎではないかと、こう思っております。
  161. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大臣言われた、いわゆる危機感、私もこれが大事だと思うんですけれどもWTO交渉を見ていますと、こういう農水の委員会、あるいは関係者は物すごい危機感を持っていると思うんですけれども国民全体から見たら必ずしも持っていない。外国のおいしいもの食べられりゃいいじゃないかという。だけれども、昨日のお話を聞いていて、それじゃ駄目なわけですね、大臣、安全保障ですから。その認識国民全体に浸透しなければ駄目なんだと思うんですね。  私も、過去の話になりますけれども、前にウルグアイ・ラウンドの最終決着のころに一回ジュネーブに行ったことありますけれども、そのときに、いわゆるあれですね、国内で基本的な方針が二つに分かれているというのは日本ぐらい。ほかは、どうあれ、みんな一本で来ている。日本は、食の農林省と、工業製品を扱っている通産省ですか、これが必ずしも一緒でないというような声が聞こえたといいますか、そういう分析がございまして、いわゆるWTOの問題にしても私はある意味じゃ日本国内問題という面が非常に大きな要素ではないかなというふうな気がするんですけれども。  今回の交渉、私もこういう場でしか分からないんですが、大臣、直接担当されていて、こういう面の認識、こういう面ではどんな感じか、ちょっとお話をいただきたいと思います。
  162. 大島理森

    国務大臣大島理森君) いささか手前みそ的に申し上げますと、ミニ閣僚会議におきましても、あるいはWTOの問題につきましても、川口大臣、そして平沼大臣、不肖私、この三者でよく連携は取っております。そして、総理に対して絶えず私どもの方針を理解した上で断固たる方針で今日まで参りましたし、そういうことが一番大事だと思うんです。  時として、某省のちょっと小ざかしいのがちょこちょこっと動いてちょこちょこっとやるのもいますけれども、があんとそれはやりまして、ともかく三大臣が、総理を中心に、農業考え方はこれだ、もちろんこのWTO交渉日本的な窓口という意味では川口大臣ですが、川口大臣農林水産省の、農水大臣の言うことを全面的に支持していくと、経産大臣もそうであるという連携をきちっとして、今先生がお話しされた、何か国内がこうなっているような形にはさせちゃいかぬと、こういうことでこれからもやってまいりたいと、こう思っております。
  163. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大変結構なことでございまして、是非そうやっていただきたいんですが。  ここで、いわゆる今の自由貿易といいますか、これはWTOというのを中心に、中心というか、もう基本であると思うんですけれども大臣のお考え、どういうふうに御判断をされているのか、お聞きしたいんですが。  いわゆるこのWTOの機能といいますか、いろいろ物事の進め方というのは、公平なルールを作ることなのか、あるいは公平な通商を確保することなのか。といいますのは、先日、大臣、一生懸命、第一次だったですか、最初の議長案出てこられるときにテレビなんかでも非常にいろいろ言っておられた。私はそれは非常に結構、評価しておりますけれども、それと同時に映ったアメリカの代表、代表といいますかアメリカ関係者なんかは、日本がのまないのは、日本はのまないと言っているのは、工業製品をあんなに輸出しているのにおかしいじゃないかというようなことを堂々と言っているわけですよね。  だから、とすれば、もし、国内自給が大事だという国民的コンセンサスが得られれば、工業製品の輸出を抑えようじゃないかと、じゃ、という議論も成り立ってくると思うんですけれどもね。そういう面について、大臣のお考えと、どんな、国内でどんなふうにそういう面について対処されているのか。
  164. 大島理森

    国務大臣大島理森君) ゼーリックさんと議論してまいりますときに、ゼーリックさんはマルチのミニ閣僚会議では先生がおっしゃったようなことをよく言うんです。日本はこんなに我々に物を売っておって、何で我々が農産物を売ろうとするとおまえら反対なんだという議論はいたします。  しかし、なぜそれじゃ農業交渉という分野WTOの場で一つあるのかというと、農業というのは鉱工業製品と違って、正にその柔軟性はもう必要だし、それぞれの食料自給という問題も抱えておるしという意味で、やはり、だからこそ、農業分野というのは全地球の中のGDP合わせたら、割合としたらそんなにどんと大きな比重を占めるものではないかもしれません。だけれども、重要な品目だということで農業分野というのは特別会合が一つあるんだろうと思うんです。  それともう一つは、何かとトレードオフすると、農業交渉でここを譲るから通商交渉でこっちの方を譲ると、この関係だけは絶対させまいと私は思うんです。それをやったら、この交渉は私は絶対いけないことだと思っているんです。  したがって、農業農業交渉の中でのあるべき通商ルールを決めるということで、これからも毅然としていかなきゃいかぬ、何かとトレードオフしていくということがあってはならぬと、こう思っておりますし、その認識は、私は日本政府の中では、例えば、大島君、そこを譲ってくれたらこっちはいいんだけれどもという話は一度もしたことございませんし、またそういう議論はしちゃいかぬと、こう思っております。
  165. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そのとおりだと思います。  先ほど言いましたように、いわゆる関税の問題であればやっていけないわけですから、それじゃ安全保障の面からも、あるいは環境の面から、国土政策の面からも成り立たない。日本はやっていけない、日本という国が成立しないということになると思いますので、頑張っていただきたいんですが。  そこで、結局、じゃ国内自給率といいますか、国内自給率というものを具体的にどのぐらいにしておいたらいいのかということがないと、なかなか消費者サイドも理解できないんだろうと思うんですね。要するに、日本は低いことは低いけれども、だから高くしようというのは、一つのムードとしては分かりますけれども、ムードであれば、場合によっては、じゃ守らなくてもいいじゃないかというようなことも、気持ちにもなってくると。だから、そういう説得力のある目標値というものをきちっと私は示さなきゃいかぬと思うんですけれども。  まず最初に、今四〇%を四五%にしようと、カロリーベースで。この四五%というのは何か根拠があるんですか。
  166. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 私ども現在、平成十二年に閣議決定させていただいております食料農業・農村基本計画におきまして、先生指摘のように、食料自給率の目標ということで四五%という水準を設定させていただいております。  これは、正に生産者食品産業の事業者、消費者等の関係者が一体となって取り組むべき食料消費なり、あるいは生産なりにおける課題を明らかにした上で、品目ごとにその消費の姿あるいは生産努力目標として提示される姿を設定し、それが食料自給率としては四五%という、言わばそういう取り組むべき課題を明らかにして、それが解決されたときに実現できる、そういうことで、それを目指すべき、各自が、生産者であり消費者努力をし、目指すべき、かつそういう課題が解決されたときに実現可能な水準として設定させていただいている状況にございます。
  167. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のはちょっと私は根拠とは取れないんですよ。  そういう、だから、分かりますよ、そういう、今のこういう難しい状況の中で、目標値を設定したからといってすぐにそれへ行けるということは、それはないかもしらぬですよ、いろんなものの要素がありますから。ただ、今ので、じゃ四五%が最終目標値と考えていいんですか。その辺なんですよ。  要するに、私は、一つの大目標があって、当面、そこまで行くのはもう社会的、経済的に考えてもなかなか簡単ではないから、じゃ四五%というんであれば分かるんですよ。そうじゃなくて、四五%が最終的だというならそれでもいいんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  168. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 四五%はまずの目標であって、やはり五割以上の自給率を持つということが我々の言わば、いつを最終的と考えるかどうか分かりませんけれども国民食料に対する不安に対しこたえる、言わば最終的な目標だと私どもは思っております。
  169. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもこの辺になると大臣と大分認識が違うような感じがするんですが。  今、これ四五%の自給率というのは、ごく最近ですよね。そのときに、本当に我々はもうこれで十分だったかと、不安がなかったかというのはちょっと私は言いかねる、だと思うんですよね。  だから、ただ、それはその数字、そういうムードで話してもしようがないんですが、先ほどから言っているように、国民的コンセンサスを得るためにも、外国に強い力でもって対抗するにも、これこれこうだから我々はこういうふうに向かうと、そういう一つの方針といいますか目標というものをしっかり出すのは、これ農林省であって、農林省以外にないと思うんですね。したがって、その辺を私はやっぱり出していただけないかなと。  要するに、先ほど、安全保障ということは、これはいろんな要素があると思いますよ。社会的な非常時、今みたいな戦争もあるでしょうし、戦争まで至らない、いろんな国際的な関係からいろいろな出るときには非常時もある。それから、自然的な非常時もあるわけですよね。それも、日本の国が例えば飢饉になるばかりじゃなくて、輸出してくれる先が飢饉になるときもあると。そのときに、自分らのところで、自分らの国民に食わせないでいて日本に送ってくるかという、いろんな考えるべき要素があると思うんですよね。  その辺を考えて、私はだから、これがもし、五〇%以上というお話、大臣出ました。だけれども、それでもいいんです、それでもいいんですけれども、もう少しきちっとした、これこれこういうことだから日本食料自給率というのは最大限、最低限このぐらいにしておかなきゃいかぬ、それで今回の基本法では四五%なんです。そのぐらいの論理構成といいますか、そういうものは必要、農林省は示していただけないかなと。  そういう意味で、今年の予算に入っているかどうか分かりませんけれども、そういうような検討を農林省にしてもらいたいと私は思うんですけれども、その辺についていかがですか。
  170. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 四五%を決めたときの経過は、私もレクを受けたりして様々な方々の議論の結果としていただきました。  ただ、先生から今質問を受けて、国民から大島理森がタウンミーティングで聞かれて、同じことを聞かれた場合に、これとこれとこれの要素があるから四五なんだとおまえ答えられるかといったら、ふと考えて、これはいかぬなと思って今感想として持っております。  ですから、更に次回のこのときに御質問があれば、四五%のもう少しきちっとした分析、あるいはなければ、そういうものをどうきちっと考えて国民説明するか、そういうふうなものは我々としてしっかりまた考えていかなきゃならぬところもあると思いますが、局長から更にきちっとした答えを、分析したものを。
  171. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 自給率でございますので、当然、国内消費があって、かつそれに対する国内供給があって自給率が達成できるわけでございます。そういう点で、先生指摘のとおり、冒頭お話しになったとおり、消費者のどういうふうに選好していただくかと。そういう点では、品質面があり、コスト面がありということでございますが。  四五%の水準と申しますのは、先ほどちょっと抽象的に申し上げて恐縮でございましたが、米にしろ小麦にしろ大豆にしろ、それぞれ国内の長期的な、長期的なと申しますのは、現在私ども計画をしておりますのは、平成二十二年度を目標年次にして、そこでの消費の姿、その消費の姿を前提に、かつ品目ごと国内生産の姿を展望し、それを実現するための政策課題も一つ一つ明らかにしながら、結果としてそういう課題が克服されたときの目標として四五%という水準をあえて言っている。  先生から今御指摘受けるような状況の中で、私ども、一つ一つの説明の中で、実は今日も消費者との懇談会を開催させていただいておりますが、そういう場を通じて私ども考え方、それと関係者の努力、課題を常に私ども説明理解を求めてきているつもりでございますけれども先生の御指摘状況を踏まえながら、私ども、今後も可能な限りそういう状況説明をし、関係者の理解の下で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  172. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 検討していただくのは結構なんですけれども、どうもちょっと違うなと感じるのは、農業ありき、現状ありき。確かにそれは、検討の過程としてはそういうことで結構ですよ。  しかし、冒頭に言いましたとおり、食料安保でしょう、問題は。だから、もし流通とか現状はこうであっても食料安保を確保するにはそういう努力をしなきゃいかぬと、そういうのが食料安保としての食料自給なわけですよね。それをきちっと示せば、要するに、消費者にしろ国民にしろそれに合わせようと、日本国民全体、だからということで進むと思うんですよね。そういうものの検討を是非していただきたい。
  173. 大島理森

    国務大臣大島理森君) 岩本先生、私は食料安全保障からくる自給率だと、こう答えました。そのときに、危機のシナリオをどうまず想定しているかということが一つあるんだろうと思うんです。  そういう視点から、シナリオA、B、Cあった場合に、最悪のシナリオのときにぎりぎりまで国民に対し食料をどの程度供給し得るか、それだけはきちっと持っておこうというふうな考え方に立った場合にどう説明するのかということであろうと思いますので、これは、広く国全体としてそういう視点に立った物の考え方の勉強というものは、した上での結果ということではある意味じゃないかもしれません。  したがって、そういう今のような視点からの議論というものは、一方においてちょっと私なりにも勉強してみたいと、こう思うんです。
  174. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間ですからやめますけれども、要するに、私はそういうことによってWTO交渉の応援団もできると思うんですよね。そのために是非よろしく御検討お願いいたしたいと思います。  自給についてはまだまだ続きますので、これからもよろしく。
  175. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 大規模林道予算について質問いたします。  お配りしました資料は私の質問内容を補足するものでございますので、お暇なときにお目通しいただければと思います。  さて、今年度の一般会計予算案において、大規模林業圏開発林道事業費補助として百三十五億一千四百万円が計上されています。これは、いわゆる大規模林道の建設費として全額が緑資源公団に投入される。緑資源公団は、これを建設費の三分の二に充てて、残りの三分の一を地方自治体の負担金などで賄って大規模林道建設事業費とするわけですね。  この大規模林道予算というのは、昨年度の百七十七億七千三百万円と比べますと四十二億五千九百万円の削減となっています。減ったことは評価できるわけですけれども、さきの、前の委員会で私がこの問題について質問したように、そもそも大規模林道自体がもう整合性がないと、言っていることと現実とが全く合わない、はっきり言ってもう不要なものであると。ですから、本来ならば大胆に見直してゼロにしていくと。そうすれば緑資源公団をわざわざ独立行政法人化しなくても廃止できるわけで、これは政府も行政改革、徹底的にやると言っているんですから、真っ先にこういう部分に手を付けることができると思うんですね。しかし、やっぱり、少しずつ減額しながら、なかなかゼロにしないというのは、結局、ただ事業続行ありきという林野庁の見直し姿勢というものが非常にずさんだからではないかなと思います。  ですから、大規模林道の見直しの在り方について質問したいと思います。最初は林野庁長官にお願いしたいんですけれども。  大規模林道の見直しを行っている二つの委員会があります。大規模林道事業の整備のあり方検討委員会というのが一つ。大規模林道事業期中評価委員会というのが一つですね。しかしながら、ここの議事録読みますと、だれが発言しているのか名前が記入されていないんですよ。こういうのは覆面座談会であって議事録とはちょっと言えないものなんですね。この審議そのものも非公開なんですね。報道記者も国民も全く傍聴できないということなんです。  しかし、この議事録には、大規模林道事業の整備のあり方検討委員会という委員会の議事録ですけれども委員の一人が、最近の農林水産省の良いところはあらゆるデータを公開する方法を取っていることである、これは徹底した方がよいなどと言っているわけですね。ほかの委員も事務局もこの意見に反対している。  したがって、両委員会について審議を公開するということとともに、議事録に発言者の名をちゃんと記すのが当たり前であると思うんですけれども、どうでしょうか。これは、情報公開をこの二つの委員会にできないという何か特別な理由というのがあるのかどうか、林野庁長官にお尋ねします。
  176. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 今お話ございました委員会としては、大規模林道事業の整備のあり方の検討委員会、これにつきましては新規着工区間につきまして検討を行っているところでございますし、もう一つは大規模林道事業期中評価委員会ということで、再評価化等を行う委員会でございます。  これらの委員会につきましては、関係者の自由かつ公平な立場からの議論確保する観点から、会議は原則として非公開ということにしているところでございますが、会議終了後、議事概要及び会議資料につきましては速やかに公表いたしますとともに、議事録についてはでき次第公表をしているところでございます。  なお、先ほどの趣旨から、公表する議事録につきましては、発言者の名を伏すことをそれぞれの委員会で申合せをしているところでございまして、そういった取扱いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  177. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 びっくりするような話ですね。何も自由にやっていただいて結構なんですけれども、後ろめたいことがなければ、これは公的な問題の発言なんですから、これは当然のことながら発言した人の名前とか、そうして、又は発言の成り行きを一般の人が見守るというのは当たり前だと思いますけれども、どうでしょうか、これ。こういうことをやっているから大規模林道事業に対して国民が非常に不信感があるんですよ。  農水大臣としてはいかがですかね、こういう在り方というのは。
  178. 大島理森

    国務大臣大島理森君) あり方検討委員会の名簿をごらんになっていただければ分かりますように、あり方検討委員会あるいは期中評価委員会の皆さん、非常に少人数でございますですね。それで、そこで自由濶達な意見を言っていただくという意味で、率直に言って、もう一つ申し上げさせていただくと、その委員皆様方のお気持ちというものも大事にしなきゃならぬ。  そういうときに、委員皆様方の申合せで、名前は公表するのはやめよう、やめさせてくれというお話があったその背景には、非常にその発言が表に出ることによって、個人的な様々な、何というんでしょうか、意見を言われる、あるいは攻撃も受ける、そういうふうなものもあるというふうなことからも、委員皆様方がそういうふうなことはちょっと、名前を伏せて自由闊達に意見言わせてくれという結果になったのではないかなという思いもございます。  いずれにしても、委員名前、つまりどの方がどういう発言をしたか、そういうふうなことについても必要だという先生の御意見があるわけでございますが、やはり今大胆な見直しというものを考えていただくためにも、今の状況の中で自由闊達な意見をちょうだいして、そしてその結果を我々が承るという方がいいのではないかなと、このように思っております。
  179. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 しかし、この委員会自体で、最近の農水省は情報公開やって非常にいいって言っているんですよね。全然これ、矛盾しているんじゃないかなと思いますよ。  しかも、これ、公的な委員会ですから、はっきりとした自分の意見があれば堂々と、これは公的な存在として参加するわけですよね。それが、反対意見があろうとなかろうと、信念があれば堂々と自由闊達に言えばいいと思う。そして、事柄の性質上、これを言ったからテロに遭うとか、そんな問題は全くないと思うんですね、全然。  ですから、やはりちょっと、大臣お答えはちょっと私には分からないなと、時代後れだと思いますよ、これ。これが逆に疑惑をどんどん膨らませていく。シャットアウトしているわけですよね、一般の人々の意見とか、これに関心ある問題の人たちが何か言えないじゃないですか、これでは。もし自分に違う意見を言った委員がいたらば、第三者がなぜそうなんですかと聞くことができますね。これが要するに委員会の本来の役割なので、攻撃されるのが怖いからなんて名前隠してくれみたいな、そんなばかげた公的機関というものは、私は存在しないと思います。  次に、本年三月七日に開かれた大規模林道事業期中評価委員会において、二月二十三日付けの愛媛新聞報道に対する釈明として、大規模林道、東津野―城川線の利用状況説明しているわけですよ。この記事は、皆さんのお手元にあるやつですね。  ところが、利用者の目的は全く説明されていないんです、いないんですね。大規模林道は、一般の道路と異なり、林業振興を主目的にするんですから、事業評価を行うに当たり、林業にどれだけ使われているのかという調査は、これは不可欠なはずですね。特に東津野―城川線というのは唯一完了した事業なんですから、今後の大規模林道事業に対して大きな影響を与えるわけですから、主目的がどれだけ達成されたかという計量評価というのが一番重要なわけですよ。なぜ利用者に対して利用目的を尋ねなかったのか、この調査自体が非常に私はずさんだと思うんですね。  だから、改めて抜き打ち調査を行って、利用目的を調べる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  180. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 大規模林業圏開発林道の完了後の評価でございますが、完成後、一定期間を経過した路線を対象にいたしまして、効果の発現状況、事業の実施による環境の変化及び社会経済情勢の変化などにつきまして評価を実施して、その結果を基に、着工中の路線における事業の改善等に資するということで考えているところでございます。  交通量につきましては、路線の利用状況把握の一環といたしまして、国土交通省が実施している道路交通センサスによる一般交通量の調査方法に準じて実施をしたところでございます。このことにつきましては、実は期中評価委員会、二回実施をしておりまして、一月十七日と三月七日の二回実施をしているわけでございますが、一回目におきましては、そういった数値について御説明をいたしたところでございます。  そこの中で、委員からは、数値の問題については、それだけではなくて、例えば時間短縮がどうであったかとか、あるいは利用状況が本当にどうであったかというようなことについて、地域の方々からの意見を聞くというようなこともされたらどうだろうかとか、いろいろ御意見があったところでございまして、今、地元関係者から本路線の利用効果に関する意見聴取を行いますとともに、森林の総合利用施設が周辺にございますので、そこから、そこでどういうところからどういうふうにお見えになったかというようなことを聞き取り調査を行ったり、あるいは時間短縮効果を試算をしたりというようなことをいたして、三月七日に報告をいたしたところでございまして、そういった幅広い視点からの一応調査を行ったということでございます。
  181. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 全然違いますよ、それ。  まず一番重要なのは利用目的ですよね。ただ通る人の数をぼんぼんやったって、この事業の一番の目的である利用目的ということの調査をやらないなんて、これは調査すること自体意味がないわけですよね。  今の答えですと、いろんな人から聞いたって言っていますよ。三月七日に配付された資料を見ますと、そのヒアリングのあれというのは全部で八人なんです。そのうちの六人が町長及び役場担当者ですよ。こんな、しようがないじゃないですか、これ。それから、一人が大規模林道沿いにある国民宿舎の社員、一人が酪農家と。林業じゃないですよ、酪農家に聞いたってしようがないでしょう。それで、五百字ぐらいのコメントをもらって並べて、それでいろんな人の意見聞いたと。こんなもの、身内でただ要するに形式をでっち上げただけじゃないんですか、これは。
  182. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 一台ごとの目的ということになりますと、やはり一台ごと止めてお聞きをしなきゃいけない、御協力をいただかなければいけないということになるわけでございまして、そういう点でなかなか調査しづらいという面もあるわけでございます。そういった点をどういうふうに把握をしていくのかというような中で、今申し上げましたような工夫をしてきたところでございます。
  183. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 調査は一台ずつ止めなきゃ分かりませんよ。毎日やれと言っているわけじゃないですよね。ある時期にきちっと聞かなければ、これ調査にならないんじゃないですか。ですから、言っていることがさっぱり分かりませんね、これは。  とにかくその数値にしても、私は、こういうずさんなことをやっているんですからやっぱり問題だと思いますよ。同じような状態で新聞社が行ったけれども、この数値に出会うようなそういう状況ではなかったと言っていますね。ですから、これはやっぱり第三者がきちっと今度は調査しなきゃいけないと。あなた方がこんなにずさんなことをやっているんだったら、公正な調査というものをやらなきゃいけないと私は思っています。  それで、次は、三月七日の評価委員会配付資料の十一ページには、林道整備において、二車線による整備を検討する際の目安の一つとして、計画交通量五百台、一日五百台ですね、と説明していますよね。これは、二車線という道路なんですが、この前御説明したように、林道というのはそんな幅広いものは全く必要ないわけですよね。そして、利用回数非常に少ないと。ところが二車線を作ってしまったということがあるわけですけれども、これは、林道を二車線化するという際の基準というのはどういうことなんでしょうか。
  184. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 大規模林道につきましては、大規模林業圏開発事業を進めていくという中で、豊富な森林資源に恵まれており、なおかつ地理的条件が悪いというような地域につきまして、総合的な地域振興を図りながら骨格となる林道網の整備を果たしていこうということで考えているところでございまして、その機能を十分に発揮さしていくためには、国道、地方道とも有機的に連絡をする、あるいは木材運搬車両等の林業用車両の通行と山村地域の各種産業や生活等の一般通行との両立をさして、安全かつ円滑な通行を確保するということが必要だというふうに考えておりまして、この事業、当初から原則として幅員七メートル、二車線ということでスタートをしたところでございます。  なお、事業の実施に当たりましては、森林林業をめぐる情勢の変化等も踏まえまして、費用対効果分析、再評価の実施等を行っている中でございまして、そういう中で、森林整備利用計画や自然環境に与える影響などを勘案しながら、幅員五メートル、一車線とするというふうな見直しも行ってきたところでございますが、原則としては、今申し上げましたように、当初は幅員七メートル、二車線ということでスタートをした事業でございます。
  185. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 要するに、そういう抽象的な言葉が並んでいるだけで、二車線でなければいけないという理由が全く説明されていないんじゃないかと思いますね。やっぱり、こんな広い道路を作ってどうするんだと、もうだれでもが思うような批判が非常に強くなっていくわけですね。そうすると、こういうことに対して林野庁は、大規模林道や広域基幹林道など、一般道路と変わらない二車線の舗装林道への批判をかわすために、環境保全配慮した工法の林道としてエコ林道というのを整備しているということになっているんですね。  これはどういうものかというと、小さな動物が排水溝を上がれるようにスロープなんか付けているわけですね。空港の荷物のない人がずっと行けるようなバリアフリーを小さい動物のために作っているわけです。これはかなりもう漫画的で、冗談みたいな話なんです。道路ののり面のところに鳥のえさになる木を植えたり、間伐材を利用して道路ののり面崩れを防ごうとする、ウッドブロック工法というんですかね、そんなことをやっているわけですね。  大体なぜそんなことをしなきゃいけないかというと、本来だったら三メートル、四メートルぐらいの林道で十分今までも間に合ってきたわけです。そうすると、両方に木が生えていますから、空を覆って雨が降ってもあらしが来てもその道を傷めないわけですよ。しかし、こんな七メートルとかという二車線を作れば、空が開いてしまいますから舗装をせざるを得ないんですね。自然に戻らない、そしていろんなことが起きるから、そのために溝を付けたり動物のためにスロープまでサービスしていると。上っているのを見た人はいないわけですよね。  ですから、そういうややこしいことをして、このことが要するにその批判をかわすような何か言い訳になっているわけですよ。しかし、このエコ林道という、そういう工法が、実際にはこの機能が、言われているような機能が発揮されていないと。しかも、環境保全配慮などしているんじゃなくて環境破壊しているじゃないかという厳しい批判が自然保護団体などから上がっているわけですよね。このエコ林道という工法がどのような科学的な根拠で環境保全配慮しているというふうに言えるのか。しかも、工事後の生態調査などをこれはやっているわけですか。
  186. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 林道網を整備していくといったときに、やはり基幹になる林道もございますし、そこから広がっていく網になる林道もあるわけですし、作業道もあるというようなことでありまして、そういう点で、基幹となる道についてはやはり円滑に通行できるということも一方では考えていかなければいけない。やはりそれが、極めて、例えば木材の搬出をしようといったときになかなか円滑に進めない、例えば十キロ、二十キロというような時速で走らなければいけないということだけでは、やはり効果的な整備という形にはなっていかないわけでありまして、そういう点で考えれば、基幹的な林道というものは必要だというふうに思っているわけでございます。  そういう中で、林道整備を進めていくに当たりまして、やはり周りの環境との調和ということについては考えていくということが必要であるわけでございまして、大規模林道の、大規模林業圏開発林道の新規着工に当たりましては、事前に周辺地域の動植物の生息状況などに関する環境保全調査を実施しますとともに、着工後におきましても、例えばイヌワシだとかクマタカなどの猛禽類を保護するため、環境省が取りまとめたガイドラインを踏まえた調査等を引き続き実施をしていくというようなことで調査を行ってきているところでございます。  そういったものに基づきまして、路線の位置だとか幅員の規格、構造あるいは工事を行う時期というようなことを選定をしてきているところでございますし、また周囲との調和ということで考えますと、例えばのり面には在来の草を使うとか、あるいはできるだけ在来の樹木を使うというようなことにも配慮していくというようなことで考えているわけでございまして、そういった工法を採用していくといったことをエコ林道というふうに我々としては今言っているところでございます。
  187. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 要するに環境保全配慮しているという科学的な根拠が全然不明ですよね。いろんなことをやっていますという話だけで、ほとんど専門的な説明になっていないというふうに思います。  次に、北海道の平取―襟裳線というのがあります。これは国道やほかの道路と並行して走っている大規模林道なんですよ。林野庁は大規模林道について災害時の迂回路という位置付けもしているわけですよね。しかし、一般道路よりも地勢の悪い危険なところに作られる大規模林道がこういうところに、災害時の迂回路の役割を果たすというのはこれは悪い冗談のような話じゃないでしょうか。  林野庁は大規模林道について国土交通省と何らかの調整を行った上でこういうことをやっているんですか。
  188. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 大規模林業圏開発林道につきましては、事業を効率的かつ効果的に実施するために、農林水産大臣による基本計画の策定及び事業実施計画の認可に際しまして、林野庁と道路整備事業を所管する国土交通省の担当部局の間におきまして、両事業の路線計画の重複の有無などにつきまして所要の連絡調整を行った上で実施をしてきているところでございます。  今後とも、大規模林業圏開発林道事業の実施に当たりましては、道路関係部局との所要の連絡調整を図りながら、円滑かつ効率的な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
  189. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 国土交通省が災害時の迂回路として大規模林道がいいと言うはずがないと私は思っていますよ。  それから、林野庁や見直し委員会の中には、やっぱりこれは大規模林道というもので、これがどうも誤解を与えて反対されているんだという意見が随分あるらしいんですね。それで、対策として、この大規模林道について名前を変えようじゃないか、せせらぎ林道、触れ合い林道と名前を変えると大分批判をしのげるんじゃないかという、こんな議論をしているわけですね。これは余り国民をばかにしている考え方じゃないですか。
  190. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 大規模林道ということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、大規模林業圏開発林道というのが正式な名称でございます。  ただ、我々が接触を、いろんな方と接触する中でも、大規模林道というのはどんな林道ですかということで、お話し申し上げますと、極めて大規模な道が何か山の中に付いているというイメージを強くお持ちになりまして、ああそうだったのかというようなお話もいただくところが多いわけでございまして、そういった点では大規模林道という名前の中で一部誤解があるというようなこともあり得るのではないかなというふうに思っているところでございますが、そのことで、今いろんな議論をしていただいているものがそういった名称によって起こっているというふうに我々は思っているわけではございません。  そういう点で、大規模林道というものを適切に整備をしていくということが必要だというふうに思っているところでございます。
  191. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  192. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 以上をもちまして、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 三浦一水

    委員長三浦一水君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会