○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。
ちょっと
質問通告の順番変えて、五番目の
質問ですね、しょっぱなにお聞きします。
私は、この
法案に対しては、やはり小手先のびほう策を繰り返していく中で、本当に当初の
目的というものが達成できるのか。すなわち、
児童の性を
商品化することが防げるのかという、このことに疑問を呈す
意味で
質問をしたいと思っております。
ここでちょっと考えてみたいんですけれ
ども、
売春というものは一体なぜいけないのか。誤解しないでください。私もいけないものと思っているし、悪いものとは思っているんですが、いざ突き詰めてこのことを
子供たちに問われた場合、どう答えることができるのかと、私は実は頭を悩ませております。
というのは、古い江戸の時代やら戦前の時代でしたらいわゆる
売春といったものは人身売買が伴いました。そこの大きな違いというのは、要するに自己決定しているかどうかということです。本人の意思にかかわらず、ともすればさらわれるような形で岡場所とかに送られて、そこから出たければ足抜けだなんというそういう時代と今は変わってきていますよね。
今回の誘引という点でも、ほとんどが少女自らが、九四・二%ですか、自分の方から声を掛けている。ということは、彼女たちはもう自分の意思だと、一歩間違えれば自分たちの経済活動だぐらいな意識を持っているわけですよね。
そこで、今日ちょっとお配りしたものに、ちょっと古いんですが、六年前の新聞の社説がございます。実はこの社説は、今回の
出会い系サイト法案で私が資料としてたまたま見たものではございません。私の頭の隅にたしかこういう社説があったということを記憶しておりまして、やっと今朝探し当てて、皆様のお手元に配っています。これは、この年、東京都がいわゆる条例で買春
行為を禁じたときに、じゃ、どうしてそういった援交とか
売春が駄目なのということを、新聞にしては、大変私が読むとこれ苦労して書いているんですね。当時、私の記憶でも、これで本当に
子供たちは納得するのかな、どうだろうという、そう思った記事です。でも、これはある
意味、誠実に真剣に書いていると思っているんです。ちょっと全文は長いんで、かいつまんで読ませてもらいます。
今まで東京都は厳しい
規定を作っていませんでしたと。性は、人権やプライバシーを考える上でとても大切なものだから、条例で禁止するより個人の判断に任せようと考えてきたからです。日本
青少年研究所が最近、約千人の
高校生を対象にした調査で、
売春など性を売り物にすることは本人の自由と答えた人は二五・三%に上りました。これ先ほどのやり取りですと、見知らぬ人とのセックス容認というのは五〇%行っていますから、このころよりはるかに進んでいるようですね。更に読みます。自分たちの体を自分の責任で売ってどこが悪いのとあなたたちは言うかもしれません。仮にあなたが
援助交際をするとして、あなたの前に現れる男性はお金で若い体を自由にしているような男性です。男なんてばかばっかり、男なんてみんな同じ、男性への、あるいは
人間全体への不信感やさげすみがおりのようにたまっていくでしょう。人への根深い不信感を抱えたあなたは、ある男性を心から愛せるでしょうか。生きていく途中で特別な人と出会い、触れ合い、共感が持てたとき、喜びに満たされます。あなたは掛け替えのないそんな体験をわずかなお金と引き替えに遠ざけてしまうかもしれないのです。
結びにこう書いてあります。「性のこととなると、私たちも自信がありません。でも、ともに悩み、考えます。あなたたち若い人のことが心配だし、大切だと思っているからです。」と。これは「あなたが大切だから」と題した社説なんですが、これ、本当に苦しいながらも何とか
子供たちを、分かってもらおうという私は努力した文章だと思っているんです。
売春がなぜいけないのか、これ管轄は
売春防止法は法務省だからそちらに聞いてくれと言われたんですが、法務省の
審議官、この
売春防止法の一条にある、いいですか、「
売春が人としての
尊厳を害し、性道徳に反し、
社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、」なんて答えは求めていないんですよ。これを聞いて今の女子
中学生や
高校生が納得するとは私には思えないんです。強いて言えば、人としての
尊厳をなぜ害すのか、なぜ性道徳に反するのか、
社会の善良の風俗をなぜ乱すのか、この点も踏まえて、あくまでも
子供たちが分かるように、納得するように、いいですか、新聞の社説でさえここまで誠実に何とか解きほぐそうとしているわけですから、この
法律の所管官庁の責任者として、
子供たちに本当に納得するような、そのような御
答弁をお願いいたします。