○松井孝治君 御立派な答弁だったと思います、そういうことを私が申し上げるのも不遜かもしれませんが。
ただ、
大臣、その意気や良しなんですが、やっぱり現実には前に進んでいないんじゃないか、そういう指摘がたくさんなされています。今、
大臣おっしゃったように、今日もたくさんの官僚の方々が
大臣の後ろには並んでおられますが、官僚の中にも、自分のとにかく城を守るということを一義に置いて働かれる方もいらっしゃれば、もう少し視野を広くして働かれておられる方もいらっしゃいます。
大臣の同志として、いろんな
意味でいろんなところで働いておられる方々もいらっしゃると思いますね。
そういった方々から、あるいはその周りにいる
民間の方々や地方の方々から、私、こういう言葉を聞くんですよ。これは
一つの例ですよ。松井さん、聞いたことありますかと、やったふり三点セットというのがあるんですよと。いかにも
大臣から言われて、
鴻池さんにやられましたと言ってやったように見せているけれ
ども、現実には全然進んでいない、やったふり三点セットって
御存じですかと。
実は、これ、やったふり三点セットじゃなくて、もう山ほどあるんですが、その方がおっしゃったやったふり三点セットというのは何かといいますと、七十六条問題と言われているような健康保険法第七十六条の問題。これ、
医療保険、
医療費の割引契約の問題ですね。例えばトヨタさんが、トヨタ病院さんと保険者が個別契約をして割引をしようというようなこと、これも
規制改革の中でやったというふうに言われているんですが、現実には、よく見ると全然やられていませんよという問題があります。
それから、これはいろんなところで、昨日も経済財政諮問
会議で
大臣御自身も御発言になられたと、ちょっと私、発言の中身までは詳しくは承知していないんですが、というふうに聞きますけれ
ども、この二月ですか、この本部において決定された
株式会社の
医療の
参入の問題。これは、この
委員会でも私、何度か
議論をさせていただきました。前回の
委員会でも御答弁をいただいて、
大臣の御答弁と
厚生労働副
大臣の御答弁が違っていて、私は
大臣の御答弁をもってそこは決着しているというふうに理解しておりますが、これもやったやったというふうに言っていますが、今回の法律にも盛り込まれていませんね、この問題。
それから、やったふり三点セットの三番目は
外国人医師の問題。これも、
外国人に門戸を広げました、相互主義の範囲を一歩踏み越えましたと言いながら、現実にはどんなことかというと、
外国人の方は、これは
厚生労働省は、
外国人の労働者の方々もちゃんと保険に入ってくださいと言って督励しておられるんですよ、企業の方々もそうやって奨励してくださいと。
ところが、
外国人の方々が
日本に来て働いている、ブラジルからたくさんの方が来られて長野県で働いておられますよね。保険に入りなさいと言っておいて、企業側にも
外国人の方にもそうしなさいと
厚生労働省は指導しておきながら、そういう方々が例えばブラジルから帰ってきて、ブラジルの、
日本人だけれ
どもブラジルで
医療の経験を積んで、ブラジル語というか、ポルトガル語でしょうか、が話せるような人
たちが仮にそれを、試験を通っても診られない。診られたとしても保険の対象にならない、風邪引いても
自由診療ですと。こんなことをやっているんですね。これ、やったふり三点セットというふうに言われているらしいです。
これは、実はこの三点だけがおかしいということではなくて、いろんな領域にこれと同じようなことが起こっていると思います。私、ちょっとこのやったふり三点セットをまず御質問をさせていただきたいと思います。
私、この
委員会で何度もこの法律の
議論で、
特区法を改正してある領域について特例措置を求めるかどうかという
議論をここでさせていただいた。ところが、その法律の
議論と違うところでいろんなバリアを各
省庁が設けている。これはフェアじゃないよ、堂々とやるんなら、きちっと
議論を透明な形でしてくださいよと。
僕は、
厚生労働省さんが、ある
政治家から、あなたは
厚生労働省の敵と言われていますというふうに言われたんですが、そんなつもりはないんですよ。
厚生労働省がやっておられる
仕事って非常に大事な
仕事が多いし、もっと
日本という国は
医療の問題とか福祉の問題に社会的な資源を投入していかなきゃいかぬ。だけれ
ども、現実に
厚生労働省の方々が本当にどういう思いで
仕事をしておられるのか。
片方で、今の法律で、あるいは
総合規制改革会議で
議論をして、この健康保険法第七十六条、これで割引契約を求めるということを認められた。ところが、これ、通達が出ているんですよ。また得意の通達ですよ。
平成十五年五月二十日の通達。
厚生労働省保険局長通達と出ていまして、要するに、七十六条の認可基準等についてと、こう書いてあるわけですよ。
それで、この認可基準の中でいろいろ、こういう場合は許可していいということが出ているわけですが、その中でありますのは、前、
大臣、思い出してほしいんですが、
特区法で特別養護老人ホームのときに、法律上認められることになったけれ
ども、これ、黒岩
委員からも御指摘があった話ですが、特別養護老人ホームをやろうという人
たちは直近の利益は年間一億円出ていなきゃいかぬとか、あるいは東証、大証、名証の一部、二部上場基準をクリアしていなきゃいかぬというような通達が出ていた。これはおかしいじゃないかと。おかげさまをもちましてあの通達は廃止されたそうですね、これも
委員会での
議論の結果だと思いますが。
ところが、この健康保険法第七十六条の割引契約の問題について保険
局長から通達が出ていまして、これが、見ると、契約
医療機関は、直近二年間とも経常損益が赤字の場合など収支状況が良好でないと認められる場合には認可を行わないと。これ、今日は医政
局長さんも保険
局長さんもお見えだと思いますが、今の
病院経営の状況を見て、赤字の病院には認めないなんということを言ったら、これ、病院なんて本当に赤字のところ多いですよ。私も
病院経営しておられる方たくさん存じ上げていますけれ
ども、非常に厳しい中で一生懸命頑張っておられますよ。
だから、例えば
一つだけ取ってみて、これ、一杯条件があるんですが、赤字を出していたら駄目なんだと、そんなところは割引してはいけません、要するに、あなたは赤字出しているんだから割引なんかしている場合じゃないですよというようなことを基準で出しておられる。こういう基準をせっかく
総合規制改革会議で
議論する、あるいはこの
特区の
法案の
議論を通じてこういう
規制改革やろうじゃないかと。
結局、この
関係者に言わせれば、こんなこの通達、保険
局長さんの通達を満たすようなところは、きっとトヨタさんとトヨタ病院ぐらいしかないんじゃないかと。トヨタさんは声が大きいから、財界でもトヨタの方は非常にいいところにいらっしゃるから、そこだけ取りあえず認めておけばこれをやったことになるじゃないかと。全国的にいうと、これはほとんどこの通達を満たすようなものはありませんよと。要するに、空集合を作って、一か所だけ認めて、はい、私は認めました、
規制改革に前向きだと、そういうことを言っているようにしか思えないわけですよ。
私は、この通達で現実にいろんなものを縛ると、通達が全部不要だとは言いませんよ、それはやっぱり行政法令というのは法律があり、政令があり、省令があり、告示があり、さらにその細則は通達でしか説明できないことがある、それは口頭で何とかやられるよりはまだ通達の方がましだと思います。だから、全部潜ればいいというふうには思いませんけれ
ども、こういう通達で、せっかく
規制改革でこの国会でも
議論が行われて一歩前進したものが結局また裏で見えないような形でハードルが設けられる。こういうことについて、
大臣、どう思われますか。