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2003-05-15 第156回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月九日     選任          岡田  広君  五月十三日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     福山 哲郎君  五月十四日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     高嶋 良充君      福山 哲郎君     川橋 幸子君  五月十五日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 阿部 正俊君                 森下 博之君                 長谷川 清君                 吉川 春子君     委 員                 阿南 一成君                 上野 公成君                 岡田  広君                 竹山  裕君                 西銘順志郎君                 野沢 太三君                 山崎 正昭君                 川橋 幸子君                 高嶋 良充君                 松井 孝治君                 白浜 一良君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 島袋 宗康君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    谷垣 禎一君    副大臣        内閣府副大臣   根本  匠君        文部科学大臣  渡海紀三朗君        厚生労働大臣  木村 義雄君        農林水産大臣  太田 豊秋君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        木村 隆秀君        文部科学大臣政        務官       池坊 保子君        厚生労働大臣政        務官       渡辺 具能君        厚生労働大臣政        務官       森田 次夫君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       小川  洋君        内閣大臣官房        長        江利川 毅君        内閣府政策統括        官        安達 俊雄君        外務大臣官房審        議官       渥美 千尋君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君        厚生労働省医薬        局長       小島比登志君        農林水産大臣官        房審議官     山本 晶三君        農林水産技術会        議研究総務官   西川 孝一君        食糧庁次長    中川  坦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○食品安全基本法案内閣提出衆議院送付) ○自動車安全運転センター法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、岡崎トミ子さんが委員辞任され、その補欠として高嶋良充君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食品安全基本法案審査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官小川洋君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 食品安全基本法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 長谷川清

    長谷川清君 民主党・新緑風会の長谷川でございます。  昨日は連合審査大臣も非常に御苦労されておりまして、ありがとうございました。昨日の流れに沿って質問をしていきたいと思うんですが、昨日もやり取りがございましたコーデックス委員会の問題について、まず最初に大臣にお伺いしたいんです。  昨日の、私どもの方から、民主党の方からも福山議員とそれから郡司議員が、二人がこの問題を取り上げて行いましたが、いずれも私の聞いている感じでは、谷垣大臣答弁はまだよく分からない、それですきっとしていないという感じがしてなりませんから、その点について。  このコーデックス委員会というのは、今から見ると、もう四十年ぐらい前に国際社会の中で二つの、FAOとWHOが合体をして作り上げた組織ですよね。しかも、そのねらいとしましたのは、いわゆる国際食品の規格等々をそこで検討し、基準を作って、そして国際的なすべての消費者というものの健康を守っていこう、と同時に食品貿易というものに対して公正が期されるようにと、そういうねらいを持って作られたものでありますね。  我が国は、それができてから三年後、今から三十七年も前です、このコーデックス委員会参加したんですね。  当時、参加をしましたときの中の体制として、外務省や厚生省や農林省や通産省や、あるいは当時の科学技術庁、こういったところが寄り寄り集まって、そこで相談の結果、外務省の方から科学技術庁に対して、当時の、これは科学的な知見技術的な問題もあるし、当時の科学技術庁総理府の外局でもあった、こういう要素からひとつ外務省から科学技術庁に依頼をした。それを受けて今。で、その後いろいろと省庁再編が行われて、今は文部科学ということになり、その後、内閣もこうやってできており、国内における窓口といいましょうか、受入れの体制というものの状況も変化しておりますし、今、今日のこの食に対する安全の基本法というものを議論し、発足させようとしているさなかです。  こういう経緯と状況を考えたときに、こういった状況の中で、食品安全基本法ができた、あるいは、できると同時にこのコーデックス委員会在り方というものをどうあるべきなのかを再検討するということは、どこが間違っているのか、それもできないのか、その点が私には理解ができない。その点について、まず質問をしておきたいんです。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品安全委員会、今後活動していきます場合に、海外情報食品の安全に影響を及ぼす危害要因海外でどういう科学的知見があるか、こういうようなことについてきちっとした情報を集めていくということはもう極めて大事なことでありますので、委員今おっしゃいましたように、コーデックス委員会というのはそういう我々が情報を集めたり連携を持っていく上で極めて重視しなければならない機関であると、私はそう思っております。  ただ、コーデックス委員会仕事も相当幅広いものでございまして、コーデックス委員会ができた当時にはそういう整理をしていたかどうか分かりませんが、いわゆるリスク評価とかリスク管理とか、多面にわたる仕事コーデックス委員会はしておられるわけですね。そういうことになりますと、今度は、いわゆるリスク分析手法を取り入れて評価機関管理機関を分けていくということで今度の体制を作ったわけでございますけれども、私どもとしては、リスク管理機関等々との適切な役割分担の下でコーデックス委員会とも十分な連携を取っていかなければならないと思っております。  今後、この体制ができまして、リスク管理機関との適切な緊張関係の下で全体として、政府一体として食品安全行政を持たなければいけないわけですから、そういう具体的な運用の中でコーデックス委員会との適切な関係在り方というのは更に検討しなければならない面がこれはあるんだろうと思います。現在申し上げられることは、そういうリスク管理リスク評価、それぞれの機関が適切にコーデックス委員会連携をしていくということではないか、こう思っております。
  8. 長谷川清

    長谷川清君 昨日の答弁よりも今は非常に分かりやすくなりました。  いわゆる、そういう状況で、言うならば各省庁にもしあるとするこれらの窓口は、リスク管理的な部分リスク評価的なものも含めたそういう接点のものということ全体をいわゆる考えていったときに、今あるこのコーデックス委員会というものの役割在り方というものは、この法案を本当は作る段階でもそれとの接点は、もう三十数年も前の状況と今現在、その間におけるいろんな変化、こういうものを考え合わせたときには当然これは出てくる問題だと思いますから、その部分がこのあれを全部見てもどこにも出ていなかったのでこの指摘があるんだと、こう私は思っていますので、今の答弁のように、是非ひとつ在り方について今後検討をいただく、これ、よろしゅうございますね。──はい、ありがとうございました。  それでは、もう一つの問題としては、海外科学者海外科学者にいわゆるどこかの分野において参加の道を開いておく、そのことが私は必要だと思うんですけれども、この本則の中で探してみると、あえて言うなら二十六条でしたか、二十六条のところに「調査委託」というのがありますね。ここでは三行出ておりますが、「学識経験を有する者に対し、必要な調査委託をすることができる。」とあります。これは、もうこの三行をどう見ても、この学識経験を有する者という中にいわゆる海外科学者が含まれているというふうにはどうも読み取れない、それ以外のところにおいて海外科学者の活用はどこにもありませんから。  そういうふうになってまいりますと、私は、衆議院の世界で、いわゆる内外一体化体制で、国の内外ということが修正いたしましたが、私は、その修正があるなしにかかわらず、修正したからという意味でというよりも、修正があろうがなかろうが、この食品という問題について物を、基本をしかも考えていこうという場合には狭く狭く考えていくべきではない、食品というものについてそのように思うんでありますが、この海外科学者参加に道を開くということについて、具体的に大臣としては、それならば、そういう意見があるならばここに入れようと、ここで道を開こうという一つの考えがあるでしょうか、その点をお伺いします。
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員は二十六条を引かれましたけれども、私は、その結論から申しますと、二十六条の調査委託先というには当然、海外研究者、あるいは海外と言わず日本国内で今研究をしておられる外国研究者、こういうような者が当然入らなければならないというふうに思っております。  五条で、食品安全性確保科学的知見に基づいて講じられることというふうになっておりまして、食品健康影響評価についても、その時点において到達されている水準科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に行うと。その時点で到達されている水準科学的知見という場合には、これは言わば内外無差別でございまして、日本の中で優れた見解があるならば当然それを利用しなければなりませんけれども海外で、海外専門家研究者知見研究成果、必要な場合は、それを十分に活用して調査を依頼したりするということは当然視野に置いておかなければ、へんぱなものになっていく危険性すらあるんだろうというふうに思っております。  具体的には、外国に住んでおられる専門家知見が必要不可欠だという場合には、委員などの出張とか、あるいは専門家日本に短期招聘するというようなこともあり得ると思いますし、それから、先ほどの二十六条に基づく調査委託先についても、特段の先ほど申しましたように限定が国内なんてあるわけではありませんので、必要があれば海外に在住している個人、団体に対しても委託をすることが、これは活用していかなければいけないと思っております。
  10. 長谷川清

    長谷川清君 今は二十六条の学識経験者という中に国内外を含めているという今の説明でございました。これは議事録にも載るわけでございますから、そういう答弁があったことは分かりました。  もう少しくそれを砕いていって、例えば安全委員会構成という中に、企画やリスクコミュニケーションの中には消費者とか事業者の者が入っていくことは可能ですね、七人委員会の中ではなくとも。と同様に、科学技術に関する専門の皆さんは評価チームの中のいわゆる専門分野のそこのどこかに、これは恐らく構成は二十名前後の構成になるんでしょうけれども、そういう中に外国人科学者参加することができるように、何も委員として登録をして拘束をしてという厳密なものでなくてもそういうことが必要になると思いますが、その点については、専門部会委員構成の中に外国科学者参加できる、そういう見解についてはいかがですか。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、海外におられるような場合、なかなか、今、委員がおっしゃったような形で委嘱をして、何というんでしょうか、この委員会で活躍していただく場合が、お願いできる場合とできない場合があるんだろうと思います。日本で在住しておられる外国人日本のどこかの研究機関に今、属して研究しておられる外国人、こういうようなことになれば、十分私ども委員会でその知見といいますか識見を活用していくことはあり得るものというふうに考えております。  もっとも、更に詰めて考えますと、具体的に、言わば日本国家意思を形成するというような、具体的に安全委員会委員というようなことになりますと、そういう面も、勧告をしたりするという面でそういうことも出てまいりますので、そういう場合には外国人がどうかという議論は、これは当然あるんだろうと思いますが、科学的知見をいろいろな、何というんでしょうか、技術参与とかいろんな形で生かしていく、専門調査委員会の中の活動参加していただく、こういうようなことでは十分あり得るのではないかと思っております。
  12. 長谷川清

    長谷川清君 これについても十分可能であると。どこの文言にもそれが出ていませんから、そういうものは大臣言葉として、それはこの法案運用というのが非常に大事でございます。  私がなぜこの二つの問題について、共通しますことは、国内外一体的な食というものの安全についてやっていきたいと、そういう願いがあるからです。  特に、科学という問題になりますと、我が国は戦後、今日までの間ほとんど、国は〇・三%しか科学基礎研究には投資しなかったですね。ですから、今現在どうなっているかというと、日本じゅう科学者は、あらゆる科学者ですよ、その研究は、もう助手まで連れて海外へ行って海外で特許を取っている、こういう実態ですよ。  ちょうど今から七年になりますか、七年ちょっとたちましたか、創造的科学技術立国というのを私ども議員立法で作って、これは、これからの国家の生き様は、資源もない、農業国家でも生きていけない、そういうときに、応用科学だけではこれからは経済的にも乗り切っていけないから、科学技術基礎研究を大きな大黒柱の一つに据えようというので、名前も非常にごつい名前創造的科学技術立国運用基準まで付けましたよ。総理が代わっても大臣が代わってもこの方針を変えてはいけない。したがって、総理が座長になって、学識経験者五人を入れて、そして各大臣が全部そこに付いてこれをやっていくんだと、こういうことになって、今の日本科学に対しては、バイオについても、あらゆる面において、日本科学者が信用できないというんじゃないんです、質と量が非常に少ないんだということ。  そういうことを考えたときに、例えば、BSEが起これば、どこの国で起こったか、その国が一番真っ先に対応しますから、そこの科学者、そこの行政、そこの政治、ここが一番堪能なんですよね。ノウハウを持つわけ。そういったことを驥尾に付して、常にこの安全、食品基本法がいつも一体で機能しているよ。この体制を作るには認識が大事です。  まず、この法案基本認識は、国内外一体的に食の問題を考えるんだ、そして対応するんだと、そこら辺をひとつ強調しておきたいんですね。その点はどうですか。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、長谷川委員は、かつて科学技術委員長もお務めになりまして、非常にこの分野、力を入れてお仕事をされてきたと承知しておりますし、今の委員科学技術創造立国ということに触れられた御意見は、私、全く同感でございます。  今更るる申し上げるつもりもございませんけれども科学者活動という点から考えますと、日本人の科学者が頑張ってもらうということももちろん非常に必要でございますけれども、他方、海外の優秀な科学者に、日本に行って仕事をしたいなと、こう思ってもらえるような魅力的な環境を整えるということも、私は同じぐらい、あるいはもっと大事かもしれないというふうに考えておりまして、日本食品安全委員会で少し発言をした、あるいは日本食品安全委員会のいろいろな要請にこたえて仕事をしたということが海外の学者にとっても、何というんでしょうか、キャリアとして光るというぐらいのことができれば非常に頼もしいのではないかなと、こんなことも実はひそかに考えているわけでございまして、委員の今おっしゃった問題意識は十分に受け止めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  14. 長谷川清

    長谷川清君 農水省にお聞きをしますが、日本の今の輸入の比率はどのぐらいでしょう。
  15. 山本晶三

    政府参考人山本晶三君) 私ども、今、数字で持っておりますのは、いわゆる基礎的な栄養量でございますエネルギーに着目した場合の食糧全体の自給率、いわゆる供給熱量ベース総合食糧自給率では平成十三年度で四〇%でございますので、国内で消費される食糧の今、六割を輸入をしていることになっております。
  16. 長谷川清

    長谷川清君 いわゆる半分以上の六割は海外輸入によっていわゆる賄っているという現状です。ここにも国際的な視点があります。  この前、参考人の御意見を聴いたときにも、大森参考人でしたか、イトーヨーカ堂の、輸入をするまでは安全だった、輸入をしてからいわゆる残留農薬その他、それが正常な商品として扱えない、こういう悩みを言っておりました。  国際的な問題で、例えば検査一つ取っても、検査体制相手国検査体制我が国における検査体制というものに違いがあるのかどうか、そういうところにそういう結果が生まれる原因があるのかどうか、その点はいかがですか。
  17. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) 輸出国我が国との検査結果の相違でありますが、輸出国我が国の間では残留農薬基準検査体制が異なるということが背景の、今、指摘のとおりでございます。我が国基準値周知徹底検査体制についての当局間協議ども、両国におきます協議ども大変大切だというふうに思っております。  それから、前段でおっしゃった──そういうことでございますので、我々としては、食品安全基本法の第四条の修正趣旨等も踏まえまして、我が国が求める衛生水準確保のため、あるいは輸出国政府との二国間協議現地調査などを通じて輸出国の生産、製造段階も含めまして整合性を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
  18. 長谷川清

    長谷川清君 そういう検査体制上の問題が一つありますのと同時に、物によりましては時間的な、時間がたてばなかったものが浸透したり、私もバナナが好きなので、しょっちゅうバナナ食べますが、出産国のところではオーケー入国オーケー、店頭に並ぶときもオーケー、それできれいなバナナうちに持って帰って、二、三日して食べごろになって食べるとき、うちの女房が言うには、両端は一センチぐらい農薬が含まれたから食べない方がいいよ、真ん中だけお父さん食べなさいと、こう言うから僕もそうやっていたの。そうしたら、もっと詳しい人が、ついこの間、いやそうじゃないと、バナナというのは時間がたって食べごろになるとずうっと残留農薬バナナ全体に浸透するんだと、こういうふうな話で、私が言わんとするのは、それが事実かどうかは別として、そういうこと。  私は、安全という問題は、一〇〇%この世に安全はないわけですから、そこで、その程度の残留を、一本か二本食べても人体影響がないんだということを知った上で食べて、買って食べる、消費者の側から見るとこれは安全ではなくて安心なんですよ。  したがいまして、先ほども国際的ないろんな基準化をいわゆるコーデックス委員会においても、国際的にも国内的にもいろんなことを知っておくということがいかに大事か。今の法案の中では、大体、十三条では情報提供のことをうたい、十九条で国民の知識と理解ということは、それに努めなければならないと、こうしていますね。この十三条と十九条は非常に私は大事だと思う。  つまりは、安全イコール安心ではないということです。この本文全部を見ますると、六枚の法案の中で安全性とか安全という言葉は三十一か所も使われております。安心という言葉はどこにも使われておりませんけれども答弁や何かの普通の会話の言葉では安全、安心と十把一からげで大体普通言うんです。そういう点において、大臣は、いわゆる安全と安心というのは、私は安心というのは、安全だよという、あるいはその数値を徹底されていて、それが分かった上で消費者が選択する、これが安心だと思います。  空気中における放射能、東京から、羽田から大阪まで行けば何ppm、あるいは歯の治療をする、そのときはどのぐらい、原子力発電所から出ているのはそれの何十分の一、何百分の一といったような、それぞれの数値を見て人々は安心すると思うんですが、いかがでしょう。
  19. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 基本的な認識は、委員がおっしゃったことと私も同じであります。  安全ということは、一〇〇%の安全、ゼロリスクというものはないんだけれども、それをどう、そのリスクをどう上手に管理して人体にとって、先ほどおっしゃったようにバナナ食べて大丈夫なんだという、それは科学的に、客観的に確定できるものだろうと思います。  一方、往々その安全という言葉に関して、今、どちらかというと委員がおっしゃった安心に近いものかもしれませんけれども国民の間には安全をゼロリスクであってほしいという気持ちがどこか安全という概念にも入ってまいりまして、そこが今申しましたようなゼロリスクと離れているところにいろんな問題が、ゼロリスクはないということとちょっとギャップがあるところにいろいろ問題が出てくるんだろうと思います。  そこで、安心というのはそういう、何というんでしょうか、今、委員がおっしゃいましたように、その辺りのことを十分に認識していただいて、この安全ということに対して信頼するという主観的な要素が非常に入ってくるんだろうと思います。  そこで、今後の我々の仕事といたしましても、科学的に評価を行うということだけではなく、その結果に、その結果を、十分に意思の疎通、理解を共通にしながら安全というものはこういうものなんだということも理解していただき、その安全性に対する安心感と信頼を持っていただくと、こういう作業を積み重ねなければいけないのではないかと、こんなふうに思っております。
  20. 長谷川清

    長谷川清君 確かに、食という問題はいろいろございます。特に日本食文化というのは、もう食べるときに、まず目で色と形を、鼻でにおいをかぎ、歯で、歯触りで硬いとかぱりぱりとか、舌で舌触り、のどでのどごしといって、ビールなんかはのどにぶっ掛けろというぐらいのその食感、胃に入りますと胃もたれがあるかないかとか、脳の中では、要するにこれはビタミンの問題やミネラルやあるいはたんぱく質という、いろんなもののいわゆる栄養の分布、それからバランス、そういうものもとっさに考えているんですね。そして、排便では、これもまた色とにおいと形で健康を毎日管理している。  そういう状況で、例えば、じゃ台湾なんかでいきますと、玄関、こんにちはと言って入ったら必ずまず食卓が見えるんですよね。家の構造自身がいわゆる食なんです。つまり、建物の中心に食があるんですよ。これも文化なんです。  これは、もう一つ、一食の文化のみならず一つの人生の中における、人が来たら皿を持ったまま、食べながら、そういう中の思想にはやっぱりこれは、これほど大事な、いわゆる空気と食品とエネルギーはなくてはならない、人間が生きていくのに、それを私たちは豊富に、今豊かに、そういうインタレストを、というのはこれはもう人生観にもつながる。  そうかと思いますと、アメリカのように、食というのは一日に必要なカロリーを口から放り込むと、こういう合理的な、極端から極端はありますよ。しかし、我が国はもう五感どころか、あらゆる食というもの、特に女性なんかは少しストレスがたまると大食いをするとかね。いろんな食というのはですよ、だから、狭く狭く考えちゃいかぬということ、これが一つ。  それからもう一つは、国内外すべからくの問題について、もう是非ひとつ、これは全部運用でやれることばかりなんです、意識と運用で。それと、情報を正しくできるだけ提供し、そしてコミュニケーションということの大事さ、こういうものが次から次へ継承されていくことによって私は非常に立派な基本法になるのではないか、こう思いますので、一番気掛かりなのはこの国内外というところがどこを見てもなかなかすぐに分かるようなところがないから、できるだけ目で分かるように是非運用の中でお願いをしたいということを申し上げて、その点について何か、一分であれがあるなら、お聞きをして終わります。
  21. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私どもの今度の委員会は、食の安全の確立のためにやはり科学というものを重視していこうという視点は非常に大きな視点としてございます。しかし、今、委員がおっしゃいましたことは、科学を重視するといったって、やっぱりそれぞれ文化やいろんな問題があって、人の生きがいでもあるじゃないかと、栄養価がこれだけだから丸薬を口に放り込めば済むというような話で日本人は豊かな生活が送れるかと、こういう意味合いも込めての御意見だったろうと思います。  私どもも、視野を広くして、科学を中心にしながらも視野を広くして、今度の安全基本法の体系がバランスの取れたものとして機能していくように努力いたしたいと思っております。
  22. 長谷川清

    長谷川清君 終わります。
  23. 高嶋良充

    高嶋良充君 引き続いて質問をさせていただきます。高嶋良充でございます。  まず、谷垣大臣にお伺いしたいんですが、附則第八条に関連して食品安全委員会についてお伺いをいたします。  この間の衆参における審議を通して、食品安全委員会の独立性や透明性あるいは様々な問題が指摘をされてまいりました。私は、もう当初から、食品行政をやっぱり一元化すべきではないかと、そのためには食品安全庁的なものを設置をするのが望ましいというふうに考えている一人なんですけれども、これは衆議院参考人質疑の際の日和佐参考人意見でも、食品安全庁という形で、一つ行政機関食品安全行政を行うということは理想的なことであると、こういうふうに述べられているわけですけれども。  そこで伺いますが、先ほど申し上げましたこの附則第八条で施行後の見直し検討の修正が行われましたけれども、この中に、当然のこととして食品安全委員会もその検討対象になり得るというふうに考えてよろしいんでしょうか。その点についてお答えください。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 高嶋委員は、食品安全庁のようなもっと一元化ということに意を用いた体制、より良い選択があるのではないかというお立場での御質疑だと思います。  この点は、まず申しますと、私どもは、リスク評価リスク管理といいますか、行政の中に科学というものをもう少し柱として立てていこうという観点で、今見られますような管理機関評価機関を分けるということでこの組織を作りましたので、若干その点は委員の御見解と異にしているということはまず申し上げなければなりません。  その上で、衆議院修正で、この法律の施行の状況について検討を加えて、必要があると認めるときは所要の措置を取ると、こういうふうに書いてございますけれども、これは現在どうかと言われますと、私どもは、この分離する体制できちっとやっていくんだということでございますから、現在直ちに見直しが視野に入っているとまでは御答弁できないんでありますが、今後、いろいろな食品安全行政活動実績というものは十分いつも勘案しながら、必要に応じてその辺りの議論もしていく必要があろうかとは思っております。
  25. 高嶋良充

    高嶋良充君 安全委員会も含めて、その組織、機能の見直しという部分も当然その検討対象だと、そういうふうに理解してよろしいですね。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それは、おっしゃるとおりでございます。
  27. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、次に伺いますが、食品安全行政にかかわる国と地方自治体の役割分担関係についてであります。  七条にも地方自治体の責務についてうたわれているわけでありますけれども、私は、地方分権がこれだけ進んでくると、国も大切だけれども、それ以上に地方自治体での食品の安全に対する施策が重要になってきているんではないかというふうに思っているんですが、七条で責務がうたわれていますけれども、具体的な自治体の役割というのはうたわれていないんですね。これは、やっぱり自治体の役割というものをどのように考えられているのかということと、当然そこに具体的に明記をすべきではないかなというふうに思っているんです。  ただ、基本法ですから、そこまで具体的に書くのが必要なのかどうかという部分がありますが、明記の部分は別にして、大臣として、地方自治体の役割、責務に対する役割というのはどのようなものがあるのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国と地方自治体の役割分担という点につきましては、やはり地方自治法にさかのぼって考える必要があろうかと思います。  もう言うまでもございませんけれども、国は、全国的な統一であるとか全国的な規模、視点が必要な施策というようなことを重点的に担っていくということでしょうし、住民に身近な行政はできるだけ自治体がやっていただくということだろうと思います。  食品安全基本法でもこういう地方自治法の考えを基礎に置いているということは、これはもう間違いないことでございますが、具体的には、食品衛生法とかあるいは農薬取締法というような個別法で、国、概して言えば、国については全国統一の規格、基準の設定であるとか、地方公共団体については飲食店営業等の許可とか業者の監視、監督、報告徴収といった区域の実情に応じた行政の実施といった役割分担が決められているわけでありますので、現在のところ、この法案の中にできれば書き込んだらどうかというような今、御示唆もいただいたわけでありますけれども関係法律において一応その役割分担というのは明らかになっているのではないかというふうに考えております。  今後とも、いろんな問題が起きましたときは、地方自治法というものをやはり基礎に置いて整理をしていく必要があるかと思っております。
  29. 高嶋良充

    高嶋良充君 確かに、個別法でまあまあ具体的な役割分担というのが明記をされているわけですけれども、私は、食品安全委員会が新たにできるということも含めて、この食品安全委員会と地方自治体の連携も重要な課題になってくると思うんですね。  BSE問題のときもそうですけれども、こういう食品を扱う現場で緊急事態が発生した場合は、そのすべてとは言いませんけれども、その大半が地方自治体の職員が現場で対応をすることになるわけですね。BSEのときにも家畜保健所の獣医さんとかあるいは都道府県の保健所の獣医さんまで動員をすると、こういうことになるわけですから、そういう意味で、食品安全委員会と地方公共団体との連携あるいは連絡調整、さらには日常的な情報交換、こういうものを密にしていかなければならないというふうに思っているんですが、今後、どのように強化されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) このたびのこの食品安全基本法が議論されると同時に、全国の都道府県においてもそれぞれの食品安全行政の組織、体制をどうしていくかという様々な議論が行われているというふうに承知しております。  具体的には、そういう組織の在り方はそれぞれの都道府県で最善と考えたものを選択していただくべきことであろうと思いますけれども、私どもとしては、やはり縦割りの弊を乗り越えるというようなことをやはり念頭に置いて作業していただければという気持ちは持っております。  それで、幾つかの都道府県ではそういう組織改編とか連絡会議とかなさっているわけですが、食品安全委員会でも、地方自治体における食品安全行政体制に関する情報についてもこれはきちっと集めておく必要がございますし、そういったものも含めて、地方自治体も参加する幅広いリスクコミュニケーション、これは工夫していかなければならないと思っておりまして、特にその中でも双方向の情報交換の促進をしていくということが必要ではないかと考えておりますので、今後、十分工夫をしてまいりたいと思っております。
  31. 高嶋良充

    高嶋良充君 連携をやっぱり密にするということであれば、私の考え方からすれば、その食品安全委員会委員に地方公共団体の長を一人でも入れる方がいいんではないかなというふうに思っていたんですが、今までの審議の中でこれはもう専門家に限るんだということになっているようですから、そのことはまだ今の段階では申し上げません。  それで、もう一つ地方自治体にかかわる問題で、やっぱり地方自治体、人手が足りないために食品監視などの食品の安全を推進するための施策が十分に果たせていないというような現状があるというふうに聞いています。基本法制定を機会に地方自治体においても人的配置を含めた食品安全行政体制機能強化についてやっていくべきだというふうに思うんですが、これは地方自治体独自で、あるいは総務省等とも財政的な問題は議論されてやられるというふうに思いますけれども、それを総括される立場の谷垣大臣としては、一般的な考え方で結構ですから、どのようにお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。
  32. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、体制に関しては基本的にそれぞれの都道府県で考えていただくべきことと思いますけれども、私どもとしましては、それぞれの自治体の食品安全行政体制在り方というようなこと、もちろんこれは諸外国でどうやっているかということも含めて広く情報収集をして、そして、自治体の食品安全行政に携わっておられる方々と先ほど申し上げましたように密接な連携を図って、いわゆるリスクコミュニケーションに自治体をこちらからいえば巻き込んでいくということになるわけですけれども、一方通行の議論はやっぱり良くないんではないかなと、こういうことを基本に置いて工夫をしてまいりたいと思っております。  それから、先ほどちょっとお触れになりましたいろんな緊急事態が発生したような場合の連絡体制というのは特に必要なことでございまして、実はその緊急事態が発生するような場合に、第一報が、じゃ食品安全委員会にすぐ入ってくるかというと、必ずしもそうではなくて、現実はそれぞれの自治体の保健所なりその自治体の持っている機関にまずこういうのが発生したと入ってくる場合が多いんではないかと思います。そういう意味で、自治体のその機関との連携というのは私は極めて大事だというふうに考えております。
  33. 高嶋良充

    高嶋良充君 地方公共団体の食品安全行政、とりわけ重要なのが学校給食ではないかというふうに思っているんですが、今日は文部科学大臣もお見えをいただいているというふうに思うんですが、この学校給食は三つの機能があるというふうに言われています。当然、食事サービスとそれから給食を通じた食教育というか教育活動、そして地域経済も含めた経済活動にも寄与するんだと、そういう機能があるというふうに思うんですが、これからこの三つの機能をそれぞれ充実をさせていくことが求められているというふうに思うんですけれども、食教育という立場から、文部科学省として、学校給食の強化策についての見解を伺います。
  34. 渡海紀三朗

    ○副大臣渡海紀三朗君) 委員指摘のように、子供のときに、学校給食を通じて食の安全また食習慣等を学んでいただくということは、大変学校給食が役割として大きなものがあるというふうに認識をいたしております。給食は、そういった意味で、教育的意義から考えても生きた教材でございます。そういうものを積極的に活用していくことが大変重要であるというふうに認識をいたしておりますし、様々な機会を通じて引き続き給食の指導というものの充実を当省としても図りまして、児童生徒が食の安全とか、ひいては健康な体づくりですね、それが将来にもつながるわけでございますから、そういったことを自分で学ぶと、そういった機会にしていきたいというふうに今後とも指導していきたいというふうに考えております。
  35. 高嶋良充

    高嶋良充君 そこで、具体的な問題を伺いたいんですが、BSE問題が発生した以降、学校給食で牛肉を使用しなかったというのは、これはかなり大々的に報道されました。心配するのは、いまだにまだ牛肉を使用していない小学校があると、こういうふうに聞いているんですけれども、幾つぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。
  36. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食におきまして牛肉を使用していない学校でございますけれども、これは農林水産省の方で御調査いただいたわけでございますけれども平成十五年四月十八日現在で、市町村ベースで八十市町村、約二%、学校数では千七十一校、全体の三%となっておるところでございます。
  37. 高嶋良充

    高嶋良充君 これが一番、四月十八日と言われましたかね、一番新しい調査結果だろうというふうに思います。昨年の三月では六千二百まだあったんですね。それで、今年の一月では千五百六十五と、こういうことですから、四月で千七十一、それでもまだ千七十一校、牛肉を全く使っていないという小学校があるわけです。  先ほど同僚議員の長谷川委員の方から、安全イコール安心ではないんだと、こういうことを言われ、正にそのことをこれ、象徴しているような出来事だというふうに思うんですけれども、子供たちはやっぱり今でも牛肉に対する不信感がまだ残っているんですね。後遺症とは言いませんけれども、不信感が残っているんだと。安全宣言してもまだ安心のところには御本人たちは至っていないと、こういうことなんです。  そういう観点でいうと、これは牛肉が入っていないから食べないという、そういうような子供たちに対して、やっぱりきちっと安心して食べられるような食指導というのが必要なんだろうというふうに思いますけれども、今までどのようにされてきたのか、それから、これからまだ千七十一校も残っているわけですから、どのように具体的にされようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  38. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 文部科学省といたしましても、一頭目のBSE感染牛が発生した当初から関係省庁連携をいたしまして正確なその情報の提供に努めてきておるところでございます。特に、平成十三年十月十八日、厚生労働大臣及び農林水産大臣から安全宣言が発表されたわけでございますけれども、同日付けで文部科学省といたしましても、学校給食におきまして牛肉の使用を自粛している学校等につきましては保護者の理解を求めつつ従前の取扱いに戻すなど、適切な対応が取られるようその通知を発したところでございます。  その後も、いろんな会議とか研究協議会を通じましてその周知徹底に努めておるところでございますし、また、特にその自粛率の高い都府県につきましては個別に指導もさせていただいておるところでございます。また同時に、厚生労働省あるいは農林水産省と連携いたしまして、全国の児童生徒の保護者向けのパンフレットを作成、配付いたしまして牛肉の安全性等についての周知も図ってきておるところでございます。  これらの牛肉の安全性に関する正しい情報に基づきまして学校現場でも、学校、児童生徒に対して牛肉の安全性に関する指導が行われてきておるというふうに考えておるところでございますけれども、今後とも、私どもといたしましては、必要な情報の提供あるいは特定の都道府県への指導等を通じまして子供たちの安心感の醸成に努めてまいりたいと考えております。
  39. 高嶋良充

    高嶋良充君 先ほどからも出ていますけれども、やっぱりこの失われた食品の安全に対して安心と信頼を得ていくというのは大変なことだろうというふうに思うんです。  そういう意味では、基本法の第十九条で、安全性確保に関する知識と理解を深めるために必要な措置を講じなければならないという、こういう条文があるんですけれども、当然、この学校給食を扱っておられる文部科学省としても、先ほど言われていますように、食教育という立場でこの第十九条にのっとって強化していくことは非常に重要なことだというふうに思うんですけれども、その辺の決意も含めてもう一度お伺いしておきたいと思います。
  40. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 食品安全性につきまして学校教育で正確に理解させることは、子供たちがその生涯にわたって健康で安全な食生活を送る上で非常に大切なことだと考えておるところでございまして、学習指導要領におきましては、例えば中学校の技術・家庭科の分野におきまして、食品の品質を見分け、用途に応じて適切に選択することができるよう指導することといたしておりますし、また高等学校の家庭科では、食生活の安全と衛生について理解させ、健康や安全に配慮した食生活での管理ができるように指導することとしているところでございます。  今後、ただいま御審議いただいております食品安全基本法の趣旨を踏まえまして、食品安全性確保に関する教育を充実する観点から、学校における食に関する指導の全体の充実を図る中で食品安全性に関する教育への取組も一層推進されますように各都道府県教育委員会や学校等に対しまして指導してまいりたいというふうに考えております。
  41. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非、御努力を要請をしておきたいと思います。  それに関連して、最近は、ファストフードよりもスローフードというふうに言われるようになってまいりました。スローフードというのは、質の良い食文化を守り食の楽しみを知ることだと、こういうことで北イタリアの方から発生した運動であるようですけれども、最近、日本でもこういうスローフードという考え方がかなり発展をしてきているようでございます。  画一的なメニューの提供ではなくて、地場の材料を取り入れた教育、文化としての学校給食を提供してほしいんだという、そういう要望だろうというふうに思いますが、私は必要なことだというふうに思っているんですけれども文部科学省としてはいかがお考えでしょうか。
  42. 渡海紀三朗

    ○副大臣渡海紀三朗君) 基本的には、委員指摘認識と同じでございます。また、教育の場で例えば郷土の様々な産物、それから郷土の料理等を取り入れることによって、給食に、こういうものがあったのかということを子供たちが、やっぱり知ってもらう、そして地域でどういうふうな生産活動が行われていて、この地域にはどういう文化があるかということを学んでいく上でも大変これは重要なことだというふうに認識をいたしておりまして、様々な機会を通じて、そのような指導といいますか、通知をさせていただきながら、積極的に取り入れていくようにという指導をさせていただいておるところでございます。  今後、より様々な機会をとらえて、こういったことの実効性が上がるように努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 高嶋良充

    高嶋良充君 副大臣から力強い御答弁をいただいたんですけれども、ただ、スローフードを広めていく上で弊害になっている部分があると。それは、画一的、独占的なファストフード食材の提供を行っている国の日本体育・学校健康センターがあるからだと、こういうふうに言われているんですね。  この際、どうですか、日本体育・学校健康センターの食材供給、すべてを廃止しようというのは一挙にならぬですけれども、見直しも含めて検討される必要があるんではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  44. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 日本体育・学校健康センターにおきます物資供給業務というものは、近年、先生御指摘のように、その取扱いを順次廃止、縮小してきておるところでございまして、現在は外国から輸入いたしております脱脂粉乳と輸入牛肉の二品目のみを取り扱っておるところでございますけれども、この二品目につきましても、平成十三年十二月の特殊法人等整理合理化計画におきましては、「社会経済情勢の変化等により国が給食物資に関与すべき時代ではなくなっており、諸条件を整えて、センターの業務としては廃止する。」とされておるところでございまして、輸入牛肉につきましては、同センターが本年十月一日に独立行政法人となるわけでございますけれども、その前に取扱いを廃止したいと考えております。  また、脱脂粉乳につきましては、これは関税の無税措置を受けておると、受けて輸入しておるということでございまして、輸入相手国との協議などの諸条件を整えた上で少なくとも平成十七年度末までには取扱いを廃止したいと考えておるところでございます。
  45. 高嶋良充

    高嶋良充君 前向きな答弁をいただきましたが、是非見直し、廃止、早急に行っていただくようにお願いをしておきたいというふうに思います。  そこで、HACCPの関係について若干伺います。  一九九九年の生活安全総合研究事業の中で、食中毒予防の在り方に関する研究報告というのが出された。そこでもHACCP、日本語で訳すと危害分析管理、あるいは危害分析重要管理点と、こういうように言うようですけれども、これを導入しようと、こういうことになっているんですね。  調理施設のドライシステム、その中で調理施設のドライシステム化が有効であると、こういうことが示されたんですけれども、学校給食での調理施設のドライシステム化を進めるためにハード、ソフト面の両面で文部科学省としてはどのように具体化を図ってこられたのか、あるいは今後図られようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  46. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食施設におきますドライシステム化につきましては、特に平成八年度ではO157の問題が出たわけでございますけれども、特にこれを踏まえまして、安全な学校給食を実施する観点から調理室のドライシステムへの改修を行わなければならないということで、まずそういう改修のための衛生管理強化事業、特に床を張り替えるとか、そういうことでの補助を平成八年度から開始しましたし、平成九年度からは、老朽化した給食施設を建て替える、改築する場合にはドライシステムを採用しているものにしか給食施設の補助をしないということにいたしまして、ドライシステム化推進事業として今、補助事業を実施しておるところでございます。  それで、また学校給食におきます安全管理という観点からは、食品の購入あるいはその研修、保管、調理過程、配送、配食等、そのそれぞれの過程に即しまして学校給食衛生管理基準というものを策定いたしまして、より安全な学校給食の実現に今努めておるところでございます。
  47. 高嶋良充

    高嶋良充君 最後に、もう一点お聞きしておきます。  このHACCPに関してですけれども、HACCP承認を更新制を導入されようと、こういうことに、していこうと、こういうことになっているようでございますけれども、現場段階においてこのHACCPというのは危害分析管理をきちっとすると、こういうことですから、現場段階において日常的なこのデータ、資料の作成をきちっとやっていかなければならないと、そのためにはかなりの労力が要ると、こういうことになっているようですけれども、この部分についての予算措置、今までされてきたのか、今後どのようにされようとしているのか、その点について最後にお伺いしたいと思います。
  48. 渡海紀三朗

    ○副大臣渡海紀三朗君) 少し数字については後で局長にお答えさせますが、この学校給食施設というのは基本的にはこのHACCPの承認基準の対象には実はなっていないわけでございます。HACCPの承認基準の対象というのは、販売の用に供する食品等の調理を行うと。しかし、これは、学校給食施設が承認基準に入っていなくても、まずこれに準じたというか、同じような運用をやっていこうということで今努力をさせていただいております。  先生、今お話しになりました点は、先ほども局長がお答えいたしましたように、学校給食栄養管理基準の中で毎日かなり厳しく様々なチェックを現在行っております。細かいことは言いませんが、冷蔵庫はどういう状態になっているかとかということまで、私も表を見せていただきました。そういったことで衛生を担保しながら、同時に現在はドライシステムの変更というものをやっておりまして、十五年度においては四十一億三千八百万円を措置しております。  ソフト面において費用を今どうしているかという点につきましては、全体の中で考えられる問題でございますから、いささか、幾らがこれに掛かっているというふうにはちょっとお答えするわけにはいかないと思いますけれども、そういった点を通じて、変えていくところは変える、ハード面で変えるところは変える、ソフト面できっちりと管理をすることによって、学校給食現場での安全というものを確保してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  49. 松井孝治

    ○松井孝治君 本日は、これまでの委員会質疑で提示された論点のうち、私としても最終的にもう一度確認をしておきたい幾つかの論点について、谷垣大臣を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、この法律、食品安全基本法案で守るべき法益というんでしょうか、そこをもう一度確認をさせていただきたいんですけれども、政府の内閣官房の方においでいただきまして、この法律の二条、食品というものの定義をもう一度お伺いしたわけであります。食品とは、すべての飲食物で、医薬品、医薬部外品を除くというような定義になっているわけでありますが、要は、これは具体的に何のことですか、もうちょっと分かりやすくおっしゃってくださいというふうに私、申し上げましたところ、内閣官房の方、政府の方が、要は医薬品、医薬部外品以外で口に入るものは基本的に全部当たると思ってくださいというふうに御説明をいただきました。  この十一条には食品健康影響評価という概念があるわけで、ここを見ますと、更にそこから、食品健康影響評価の対象というのは、単に食品だけではなくて、フードチェーンというんでしょうか、その前段階で農業の生産に用いられる農薬であるとか、あるいは当然、食品に関連した包装容器であるとか、あるいは食器などにどういうものが使われているか、そういうことまで含めて食品健康影響評価というのは行われるというふうに私は理解しております。  そういう意味で、この食品安全基本法案の対象というのは非常に幅広い。いわゆる農薬であるとか容器、食品をめぐる包装容器であるとか食器であるとか、非常に幅広いものが食品安全というものの安全を確保する対象であると私は認識しておりますが、そういう理解谷垣大臣よろしいでしょうか。
  50. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品自体は、今、松井委員が引かれましたように、二条に定義規定が置かれておりまして、薬事法で言う医薬品、医薬部外品以外のすべて口に入るもの、飲食に供されるものということだろうと思います。  今、非常に松井委員が広く言われましたけれども、じゃ何をいわゆるリスク評価の対象としていくかということになりますと、食品添加物とか化学汚染物質というのは、そのもの自体は飲食の用に供するわけじゃありませんから、じゃ二条の食品の定義に入るかと言われれば、それは食品の定義に直接は入らないわけであります。だけれども、飲食の用に供される食品に含まれて人の健康に悪影響を及ぼす可能性は、これは当然あるわけでありますから、食品安全委員会が行うリスク評価の対象に当然含まれてこなければ、それは、はじくということではできないと。そういう意味で、広く解釈いただいて結構だと思います。
  51. 松井孝治

    ○松井孝治君 おっしゃるようなことだと思うんです。  ちなみに、人間の口に入るものということになりますと、いわゆる食品添加物以外のものであっても、食品の製造プロセスにおいていろんなものが混入する可能性がある。したがって、そういうものも含めて食品リスク評価をするときにはきちんと安全性のチェックをしなければいけない。  私、ちょっと調べましたら、これ、化学物質で昭和四十九年に我が国で製造、輸入されているというふうに届けられたものというのは約二万種類あったらしいんです。それから、昭和四十九年から平成十三年までに、年間製造が一トンを超えるようなものが約八千件の届出があったというふうに言われています。  この、年間一トンを超えるものですから、一トン以内のものということになりますと、平成十三年度だけでも一万一千種類、一万一千件のものが確認されている。ただ、これが何かどうも累積的に登録されているようでありまして、本当にその中の新規の化学物質がどれぐらいあるかということについては、ひょっとしたらそのうちの一割程度かもしれない。それだけでも、平成十三年度だけでも千種類の物質が新たに製造されたり、あるいは輸入されたりしているわけであります。  それが、当然のことながら、食品に関連する包装容器に新しい化学物質が使われる、あるいは食品の中にもそういうものが一部混入するリスクがある。そういったことが、やはり国民の間には、非常にアレルギー性疾患で苦しんでおられるお子さんや、お子さんだけに限らず大人でもそういうことがあるわけですが、あるいは化学物質過敏症みたいなものが、非常に幅広く国民の間でそういう疾病が広がっているということに関連があるんじゃないかという不安があるわけでありまして、そういう意味で、この食品安全委員会リスク評価というのは非常に重要であるということは、これはもう論をまたないと思うわけであります。  そういう状況の中で、本当に食品リスク分析あるいはリスク評価食品安全委員会プロパーでいうとリスク評価なんでしょうけれども、そこに、リスク評価を行う、あるいはリスク分析を行う政府全体としての専門家の数というのが本当に十分あるんだろうか。  我々は、従来、農林水産省やあるいは厚生労働省と食品安全委員会のこの関係が本当にこれでいいんだろうかという問題提起をしてまいりましたが、その問題に加えまして、そもそも日本全体の絶対数として、科学的知見を持ってリスク分析を行える、そういう専門家がどれぐらい本当にいるんだろうかということについて非常に懸念する声があるわけであります。  そこでお尋ねでありますが、これは谷垣大臣の方から一括してお答えいただいても結構ですし、農林水産厚生労働、両省の副大臣、政務官の方からお答えいただいても結構なんですが、現実に今の政府に、これはまずそもそも日本全体として、政府だけじゃなくて民間や大学にもどれだけいるかという問題もあるんですが、どれぐらいの数の方が、食品の安全のリスク分析を行う専門家、行い得る専門家の方々がいらっしゃるのか。農林水産省それから厚生労働省、両省にいろんな研究機関もあるわけでありますが、そこにどれだけの数の食品安全の能力を持った、科学的知見を持って分析する能力を持った人、これはリスク評価リスク管理という分別は従来の役所の体制では行われていないと思いますが、それをひっくるめてで結構でございますが、どれぐらいの方がいらっしゃるのか。  それから、もっと言うと、それは、例えば二十年前と比べてそういう専門家の数が増えているのか、増えていないのか。これは質問通告をいたしておりますが、谷垣大臣からでも結構ですし、両省からでも結構でございますが、お答えいただけますでしょうか。
  52. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) リスク評価リスク管理に対応する人材の問題を広くお尋ねになっているわけでございますが、まず松井委員が、いろんな中で全体ではどうかということについてお答えをさせていただきます。  食品安全に関する学術の分野というのは、それではどういう分野が含まれるかということも、これは大変難しい話でありますが、一応、化学、毒性学、微生物学など複数ありますが、全体的な網羅的に把握することは先ほど申し上げましたように難しいんで、どういう統計をひっくくるかという問題はあるんですが、一応、今国内日本食品衛生学会というのがあります。日本食品衛生学会というのがありまして、先ほど私、申し上げたような、いろんな分野の人がこの会員になっているということで、これを一応、食品安全に関する専門家ということで考えますと、平成十三年十月現在で、全体で二千五百六十三名いらっしゃいます。こういう方々が、もちろん役所におられる方もあるし、あるいは、大多数は民間だと思いますが、それぞれの分野でどれぐらいいるかということはまた質問に対応いたしまして具体的にお答えしたいと思いますが、まず全体的な数としては、日本食品衛生学会がこれに相当するんではないかというふうに考えると、二千五百六十三名でございます。
  53. 松井孝治

    ○松井孝治君 その中で、渡辺務官、役所の中にいらっしゃる方は何名いらっしゃいますか。
  54. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) まず、厚生労働省の、私の方の関係を申し上げます。  それから、先ほどの質問の中で、十年前、二千五百六十三名に対応する十年前の数字はちょっと調べておりませんのでまた後で報告いたしますが、質問委員の方から十年前と比べてどうかという質問もあったので、本当は十年前が分かればお答えした方がいいわけですが、十年前が分からなかったので、また後で御報告いたします。  それで、その中で、では厚生労働省の人材の方はどうかということでございます。先ほど私が申し上げた学会に入っているか入っていないかと直接連結するわけじゃありませんけれども厚生労働省でこういう仕事に担務している者の数でございますが、これは、いろんな組織の再編等もありましてなかなか分からないところありますけれども、そういった仕事関係している者は、現在で五百三十四名でございます。厚生省の関係では五百三十四名。これは平成、五十九年、もう十年前以上になるわけでございますが、が二百七十一名でございましたので、ほぼ倍増しておると。こういう仕事に携わる職員の数は倍増させていると。非常に重要な仕事になってまいりましたので、職員の数も倍増しているということでございます。役所の中で倍増している職員の数なんというのは分野別に見ると非常に少ないと思いますが、倍増いたしております。どういう人間かというと、医師、薬剤師──よろしいですか。そういうことでございます。
  55. 松井孝治

    ○松井孝治君 同じような数字を端的に、農林水産省の方の関連でいいますと官民合わせてどれぐらいの分量の方がいらっしゃって、そして農林水産省の関係の政府機関、あるいは今は独立行政法人になっているかもしれませんが、そういった方々にどれぐらいいらっしゃるか。あるいは数字の増減ですね、今おっしゃったような。数字を端的に教えていただけますか。
  56. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) 松井委員がおっしゃっておられますように、リスク評価と管理に関するこの区分というのはなかなか明確に今のところできておりませんが、これは困難でございますが、食品研究専門機関である独立行政法人の食品の総合研究所に限定してお答えいたしますれば、現在食品の安全に関係する研究を実施している部署には十五名の職員がおりまして、そしてそのうち博士号の取得者は十三名ございます。  それからまた、二十年前に比べてどうかというふうな御質問でございましたが、これは二名増員でございます。  それから、近年、食品の安全に関する総合的な研究の必要性にかんがみまして各種プロジェクトの研究などを実施しておりますが、そういった中で、食品総合研究所で二十名、それから、全部独法でございますが、農業技術研究機構で五十三名、それから同じく独法で農業環境技術研究所で十六名、同じく独法で水産総合研究センターで十一名で、計百名の研究者研究に参画をいたしております。そして、そのうち六十一名の方が博士号を取得をされております。  なお、農林水産省所管研究機関以外の民間だとか大学の食の安全に関する研究者数というのはちょっと今把握してございませんので、申し訳ございません。
  57. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  これ、大臣、恐らく調べるの、すごい手間掛かっているんですよ。というのは、従来の役所ごとにどういう分野専門家ということは把握はある程度されているにしても、これが本当に食品安全の専門家かどうかということを区分するということが、最初に渡辺務官がおっしゃったように、非常に網羅的に把握することは困難だと。恐らくこれは、今、だから役所が悪いとかいうことを言うのが私の意図ではなくて、そういう体系になっていないんですね、恐らく役所の研究所の体制も。ですから、これをもう一度、本当にそれこそ、それをリスク評価リスク管理あるいはリスクコミュニケーションに分けて専門家を登録していかなきゃいかぬというのは、これは物すごく実は大変なことであるんです。そこを正に食品安全委員会の下できっちりやっていただかなければいけない。  そして、今、渡辺務官の方からは、五十九年、昭和五十九年に比べて倍増しているという話があって、これは行革の中では頼もしいことでありますが、やはり全体的な人数からいうと、本当にその中で食品安全、今、学会の登録者数ということを最初おっしゃって、その後では一定の条件で二百七十一名とか五百三十四名という数字をピックアップされたんだと思うんですが、本当にどういう分野専門家がいらっしゃるかというのを精査して、そしていくと、本当にその十分な数がいらっしゃるかどうかということになりますと、やっぱり恐らくまだまだ不十分なんじゃないかなと私は考えます。  その意味で、大臣としては、この専門家、官、民あるいは学、そういったところにいらっしゃる専門家をきちっともう一度、食品安全委員会という視点でふるいを掛けるというか、どういう観点の専門家なのかということをもう一度精査をして、きちんとしたデータベースを最低限作られなければいけない。そして同時に、本当の専門家をこれから更に育てていっていただかなければいけない。  さっき私が化学物質の数を申し上げたというのは、やはり食品安全を確保するためにどんどん科学的にも新しい物質が生まれてきている。そして、食品の生産流通形態も非常に複雑になっている。それの安全性をきちっとチェックするためには、本当にここについては十分な予算的な措置も講ぜられなければいけないし、また人的にもっともっと人を育てる、あるいは本当に知見のある人であれば海外専門家を招く、そうした必要があると思うわけでありますが、その辺りについて、専門家をどうやって確保するか、そしてそれを、どういう分野専門家であるかということをきちんとデータベースを作り、知見をためていくか、そして育てていくか、それから外国からも本当の一線の専門家を招聘してくるか、これについて大臣はどういうふうにお取り組みになられるおつもりか、御答弁をいただきたいと思います。
  58. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、松井委員のおっしゃった点は非常に大事な御指摘なのではないかと私、思います。  行政を具体的に展開していくときに、どれだけそれに関する専門家がいるかということを体系的に把握して行政をやっていくというような習慣が欧米諸国に比べてあるいは日本行政省は乏しかったのかもしれないなと、今、委員のお話を聞きながらそんなことも感じたわけでありますが、しかし、それを嘆いてばかりいては先へ進みませんので、具体的に今度の食品安全委員会食品安全基本法のこの設計をいたしますときにも、専門家意見を聞きながら、どこにどういう専門家がいるかという体系的な把握にも努めながら来たつもりでありますけれども、現在まだ十分そういうことが私ども、できているわけではございません。  今後、リスク分析手法を導入して食品安全性確保に向けて新たな枠組みをスタートするに当たっては、人材の確保というだけじゃなくて、どこにどういう専門家がおられるかということの体系的な把握ということは、これは相当力を入れてやっていかなければならないんだろうと思います。  それでまた、委員指摘されましたように、これはもちろん私どもだけじゃなくて、リスク管理を担当される機関あるいは文部科学省におかれましても、関連分野専門家の充実を図っていただいたり、人材教育養成制度という中で充実していただくことも必要だと思いますが、食品安全委員会の行うリスク評価や具体的なリスク管理を行う中で専門家が育成されるという側面もあろうかと思います。私ども活動していく中で、もちろんいろんな関係機関連携を保ちながら私ども仕事の中で専門家を養成していくということも意識してやらなければならないんではないかと思います。  それから、先ほどの長谷川委員からの御質問にも関連するわけでありますけれども外国専門家、現状を考えますと、日本国内専門家だけで十分であるというふうに考えるわけにはいかないだろうと思います。必要な場合にはそういう方々の知見を十二分に活用していくという視点も併せて入れておかなければならないんだろうと思いますが、この点、今後十分意を用いて運営をしてまいりたいと、こう思っております。
  59. 松井孝治

    ○松井孝治君 それで、食品の安全、先ほど長谷川理事の方からも御質問指摘がありましたが、安全ということだけを専門家知見だけで確保するというのは非常に難しい部分があると思うんです。しょせんそれは、専門家の数というのは幾ら増やしても限界があるわけでありまして、私は、フードチェーンというのが非常に多様になってきている、そして、先ほど申し上げたように、単に食品そのものだけでは安全性確保できない、その周辺の農薬の問題やあるいは包装容器の問題、その他の問題をひっくるめて見ていかなければいけない、そのときに非常に重要な視点は、そこにどうやって消費者の方々を巻き込んでいくかということだと思うんです。  幾ら科学的に安全性が立証されていても、やはり現実に食品に接していろんな具体的なトラブルを抱えるのは消費者でありまして、今回、施策の内容を伺っておりまして、消費者モニターのような制度は導入しますという御説明を受けました。予算は二千三百万円でありますと。標準的な従来の消費者モニターのお金の使い方であれば、恐らくこれは各都道府県に十人程度のモニターを置くぐらい、五百名程度のモニターを置くぐらいというお話を、御説明を受けました。ただ、これは新しい予算ですから、今後、使い道は、二千三百万円をどういうふうに使うかというのは今後決められるということだったんですが。  私は、これもう少し、代表質問でも申し上げましたけれども消費者とか生活者をもっと安全、安心確保するための、単に被害者ということではなくて、そこに積極的に参画してもらうためにも、消費者をもっとモニターとして入っていただくというのは物すごく大事なことじゃないかなと思っています。言わば日々の生活の中で安全性についてのアンテナを一番高くしていただいているのは消費者の方々ですから。ですからこれ、今、食品科学的知見をもって分析をする専門家をどうやって増やしていくかということについて大臣から前向きな御答弁をいただきましたけれども、是非、この消費者にもっともっと安全意識を持っていただいて、そこを、安全性をどうやって確保するかについて当事者になっていただいてチェックをしていただく、そのためにも消費者のモニターというのは是非拡充していただきたい。  どうせ、この食品安全委員会が、この法律が成立して施行されるのはまだしばらく、三か月以内でしょうか、掛かりますね。そして、その間に消費者モニターの制度やいろんな施行に伴う準備活動をされると思います。そうしてくれば、この二千三百万円、非常に少ない予算だと私は思いますけれども、ただ、それにしても実際使えるのは恐らく半年ぐらい。その先に、やっぱり来年度以降、本当にこの食品安全基本法をきちっと施行させて、そして関連法律を改正し、それを施行していく中で、私は今、科学的知見を有する方々をどんどんもっと養成していく、あるいは確保していく、それと同時に消費者の方々にもっと主体的に取り組んでいただく、この制度も併せて充実していただきたい。  そういう意味では、食品安全委員会に関する今回の法案に伴って予算措置は幾らですか、約二十億ですと。この金額というのは本当に、国民すべての食品の安全というものを確保するための予算措置として本当に十分なのか。あるいは、消費者の方々に日々の食品の安全についてのモニター的な活動をしていただくときに二千三百万円というのが本当に十分なのか。金額が多ければいい、あるいは人が多ければいいというふうに私は言いませんけれども、やっぱりここは、大臣の政治力をもってきちんとこれをもっともっと拡充をして、食品安全というものに恐らく国民の皆さん物すごく大きな関心を持っておられる、この分野にもっと大きな資源を日本全体として投下する、その意気込みを是非示していただきたい。  恐らく六月、七月となってきますと来年度予算の要求に向けての大枠の議論が、どういう形に、骨太方針になるのか又は従来のようなシーリング閣議になるのか分かりませんけれども、そこの段階でやはりこれ、仮称担当大臣というふうにいつも大臣おっしゃいますけれども、そういうことではなくて、これにかかわられた大臣として政治力を是非発揮していただきたい。  そのことについての御決意を賜りたいと思います。
  60. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) またなかなか、国会で多々ますます弁ずなんという答弁はなかなかしにくいところでございますけれども、やはりこの委員会あるいは食品安全行政の重要性にかんがみまして、必要な予算措置は、これは私も一生懸命財務当局にもお願いをしなければならないと思っておりますし、今後、しっかりと活動できるようなことは私も一生懸命努力したいと、こう思っております。  それで、五百人のモニター、やや二千数百万の予算はシャビーではないかという御趣旨だったと思います。差し当たってはまずこれを十分に活用して、やはりモニターというのは消費者の中で非常に大事な、我々のこの行政を進めていく上では非常に大事な役を担っていただきますので、そういう方たちの言わば、啓発と言っては失礼ですけれども、十分そういうことに当たっていきたいと思っておりますし、それから、今いろんなモニター、各省庁で持っておられて、消費者の声を聞くというのをやっておられて、全部合わせるとこれは、私もまだ十分分かりませんけれども、相当な数になるんだろうと思います。そういう方たちが消費者として食品に関して持っておられるようなお声もできるだけ活用させていただくようなことも考えなければならないなと、食品安全委員会としてそういうお声が伝達されてくるような、集まってくるような仕組みも考えておかなければならないなと思っております。
  61. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、そうしていただきたいと思います。  私、モニターというこの制度は面白いと思うんですね、謝金を払っていろいろチェックをしていただく。従来のモニターはどちらかというと、質問票を投げ掛けて、それに基本的に回収していただくと。謝金も何か一万円とかそこら辺ぐらい、一万二千円とかそれぐらいの金額の相場だったと思うんですが、これは広い意味で公の政策に対して一般の市民の方々がかかわり合いを持っていただく、それを、公務員だけが行政を運営するということじゃなくて、また審議会の委員とか大学の偉い先生だけが行政に対して意見を言うということじゃなくて、一般の市民に公益の一端を担っていただく制度。  私は、必ずしも公務員ではなくて、謝金ですから、厳密に広く言えば非常勤公務員というモニターというのももっとあっていいかもしれません。日々雇用でもう少し、従来の消費者モニターのように月に一回ぐらい何か回答してもらうということではなくて、日々買物のついでに、言っちゃなんですけれども、若干の謝金を支払って、いろんなスーパーや商店街でどんなものが売られているのか、そこについての定期的な報告をいただく。言ってみれば、いわゆる国家公務員や地方公務員だけが行政を担うということではなくて、一般市民の方々に行政の本当に一部を担っていただくという意味では、これ、モニター制度というのは実は活用の仕方によっては非常に面白い制度だと思います。  今おっしゃった大臣の御趣旨を生かして、特に消費者食品のモニターというものは、従来の消費者モニター制度等をうまく活用してもっともっと多くの役割を担っていただければいいし、そういう方々と、リスクコミュニケーションという難しい言葉を使っていますが、もっと端的に、そういう方々が例えば大臣に、たまにでもいいですけれども、具体的な不安というものをきちんとぶつけられるような機会を作るとかいろんな形で、市民のあるいは一般の消費者の方々の声というものを食品安全行政に生かすやり方は幾らでもあると思います。是非工夫をしていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  時間もありませんので、食育の問題について、今日、池坊政務官にもおいでをいただきました。先ほど高嶋委員の方から御質問がありまして、渡海副大臣の方からも、給食に郷土の産物とか料理を入れる、これは非常に意義がある、あるいは地域への愛着を増すような、非常に教育上も有意義であるというような御答弁があったと思います。  重複は排除していきたいと思いますが、せっかく池坊政務官もおいででございます。私は、池坊政務官にお尋ねしたいんですが、先ほど高嶋委員から御指摘ありましたように、典型的に言うと教育の、給食の問題は、日本体育・学校健康センターに代表されるような問題があります。要するに、国が地域に対して、こうしろああしろというふうに余り言わない方がいいのはもう当然であると思います。しかしながら、現実には、やっぱり給食の仕組みがそういう中央集権的な構造を抱えているのは現実の問題としてあります。  さっき渡海副大臣がおっしゃったように、やっぱりもっと地域に愛着を持っていただく。あるいは、先日の五月六日の委員会農林水産省の研究所長の方においでいただいて、地産地消ということをもっと地域レベルで、給食なんて非常にいい例なので取り入れていくべきじゃないか、それが食育の基礎ではないかというような御答弁もいただきました。  そういう御答弁を踏まえて、これは中央が押し付けるという意味ではなくて、谷垣大臣も池坊政務官も私も同郷でありますが、例えば私たちの同郷の土地でいえば、もっと京都の子供たちが京野菜、その地域の近くでいろんな生産者の方が一生懸命作っておられるその京野菜みたいなものを給食で取り入れて、そしてその生産者の顔が見えるような、農業というものをよくもっと日々の教育の中で分かるような、そして地域に愛着を持てるような、そういう給食というものをもっと取り入れるべきではないかと思います。  これは、別に文部省がそれを京都市に例えば押し付けるということではなくて、そういうことがもっと地域から自発的に出てくるような雰囲気の醸成は私は必要ではないかと思うんですが、その辺り、非常に長い期間にわたって政務官をお務めでございますし、地域に対する愛着をお持ちの池坊政務官の方から、今後の食育あるいは給食の在り方についての御答弁をいただきたいと思います。
  62. 池坊保子

    大臣政務官(池坊保子君) 私は、政務官になります前の委員のときから、学校における給食を完全に実施したいというふうに推奨してまいりました。  なぜかと申しますと、この間、松井委員がおっしゃいましたように、今、朝食を抜いてくる子供たちが小学校では五%、中学では一四%でございます。昔から、金銀銅、朝食は金なんだ、それぐらいの大きな役割があるんだと言われておりますけれども、今の子供たちは朝御飯を食べる時間がない、また、睡眠時間が取れていないので朝御飯を食べたくないという状況にございます。その中にあって給食が果たす役割というのは、私は大であると思っております。今、小学校では九八%、中学校では六七%、この中学校を是非私は皆様方のお力もいただいて一〇〇%にしたいと思っているぐらいでございます。  先日の松井議員の議事録を拝見いたしましたら、農水の政府委員の方が学校給食は大変お粗末だというお話でございましたが、それは遺憾でございまして、今、厚生労働省が作成しております一日に取る量の三分の一を取るようにと指導して、現実に私も視察をいたしまして、ともに学校給食、食べております。また、献立もチェックいたしております。きちんと栄養のバランスも考えておりますし、また、取ります量の五〇%のカルシウム、これはなかなか普通の生活では取れませんので、学校給食の中で取るようにいたしております。その結果、小中学校の子供たちの一〇〇%、カルシウムは充足いたしております。ところが、中学校を終えまして給食がなくなりますと、これががたんと減るんです。ですから、そういう意味で栄養の面からも大変に給食が必要であるということ。  それからまた、給食は、言うまでもございませんが生きた教材でございます。今、総合学習と言われておりますけれども、同じものを子供たちが食べることによって、不登校やいじめの解消にも結び付くし連帯感が生まれてくる、それからまた、学校の先生との触れ合いが生まれてくる。今、委員がおっしゃいましたように、地元のものを取るべきであると。それは本当で、郷土を愛する心などというのは、実際に郷土にありますものを食べることによって、その作った人たちの苦労あるいは喜びというのを共感することが私はできるんだというふうに考えております。  全国におきますと、例えば千葉県では七四%が県産のものを使っております。そして、佐賀県では六三%。大分、鹿児島でも五〇%近いもので県産のものを使っております。  じゃ、私ども大臣委員や私がおります京都はどうかというのを調べましたところ、京都ですと、地域ではもういろんなものを多種使っております。例えば、鶏肉、卵、みそ、タケノコ、もう野菜はさることながら、いろいろと工夫して皆様方がお使いいただいているというのが現実でございます。  京都市内は、じゃ、どうかといいますと、やっぱり七万四千食作らなければいけないわけですね。これは流通、それから大量に確保しなければならないという問題等がございますので、なかなか細やかに地産のものを使っているということにはなりませんけれども、本当にきめ細やかに地産のものを作って、子供たちにそういうものの喜び、それから親しみを教えようということの工夫は私どもいたしておりまして、先ほども、こういう「食生活を考えよう」という教材を私ども作っております。(資料を示す)この中に、北海道では何があるのかと。この中に、さっききっとお話ししたと思います、賀茂ナス田楽の話なども出ております。  ですから、こういうものを通しまして、押し付けではなくて、醸成の中で、先ほど委員がおっしゃいました醸成が大切なんだと思います。都道府県が、地方公共団体がそうしようという雰囲気で盛り上がっていくことが大切だと思いますので、そういうふうにこれからも働き掛けていきたいと思いますので、地元の委員も是非御協力をよろしくお願いしたいと思います。
  63. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、よろしくお願いいたします。  栄養素の話をされました。栄養素の問題も非常に重要でありますが、おっしゃった後段の部分の、やっぱり郷土を思う気持ちみたいなものがどうやって作られていくのか。そして、それを、従来型のむしろ中央集権的な仕組みを崩していく中でもっと地域が自発的にそういう取組を行っていただくような、今後ともそういう意味での御努力をお願いしたいと思います。  時間がもう残り少なくなりましたので、最後の御質問になろうかと思います。谷垣大臣にお伺いをいたします。  これは先日、黒岩委員の方からも御質問があったようでありますが、この法律、附則の方にひそやかに、附則七条を見ますと、内閣府設置法の一部を改正する条項があって、四条の一項及び四条の三項の改正が盛り込まれています。そして、それに加えて、これは法律事項ではありませんが、関係閣僚会議におきましては、これは平成十四年の六月ですから、一年前の関係閣僚会議では、食品安全の担当大臣を置くということを政府として合意をされております。  この附則七条、内閣府設置法上の第四条の規定の追加というのは、基本的に内閣府設置法上の第九条に特命担当大臣という規定がありまして、その特命担当大臣を置くためには、その事務が、内閣府設置法四条の一項、二項、あるいはその一項、二項と関連した三項の事務がなければ特命大臣がその事務に関して置くことができない。したがって、その手当てを地味にされていて、それについては余り政府側は御説明をされていないようでありますが、非常に大事な規定であると思います。  私が何を言いたいかといいますと、この内閣府設置法四条の一項及びそれに関連して三項に事務が規定されているということは、内閣府設置法上の特命大臣、第九条に基づく特命大臣が置ける。そして、この特命大臣というのは第十二条に基づいて勧告が行える。そして、その勧告が受け入れられない場合は、最終的に内閣総理大臣が、内閣府設置法十二条に規定がありますが、指揮監督まで行える、内閣法六条に基づいた指揮命令まで内閣総理大臣が行えるというところまで入っているわけであります。しかも、その根拠規定である内閣府設置法上四条三項に位置付けられる新しい事務というのは、このリスク評価というものが明確に規定されているわけであります。  そういう意味で、ここ、谷垣大臣、最後に御答弁いただきたいんですが、特命大臣を置くんだ、そしてその特命大臣は、きっちりこの食品安全委員会が法律上の権限、勧告権が与えられていますが、それを越えた権限が実はその特命大臣には内閣府設置法十二条に与えられているわけであります。  そういう意味で、食品安全の担当大臣は特命大臣になり、その権限を必要なときにはきちっと他の行政機関に対して行使するんだ、その決意だけ最後に谷垣大臣に、そういう制度になっていますので、確認をしておきたいと思います。
  64. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 松井委員は、内閣府の構成に大変お詳しくていらっしゃるので今詳しい御指摘がございましたけれども、要は、内閣府の特命担当大臣、これは食品安全委員会食品安全委員会を担当する特命大臣を置くことも法律的には可能でございます。ただ、一方、必ず置けというふうには書いてございませんので、置くか置かないかは内閣総理大臣の判断になります。  しかし、他方、お引きになりましたように、この委員会ができますと総合調整がどうしても必要でございますし、また関係閣僚会議においても、この委員会には担当大臣を置くようにという関係閣僚会議の決定と申しますか、合意事項がございますので、恐らくは、恐らくは私どもは特命担当大臣がという形で担当閣僚が置かれるだろうと。そういう場合には、その担当閣僚には当然、今、委員がおっしゃったような勧告権その他を適宜適切に行使して食品安全委員会の使命を全うできるように行動していただかなきゃならぬと、こういうことだろうと思います。
  65. 松井孝治

    ○松井孝治君 そういうことで、強い指導力を持って食品安全の問題に取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  66. 白浜一良

    ○白浜一良君 谷垣大臣、御苦労さまでございます。  本食品安全基本法も本日が最後の質疑ということでございまして、採決されるわけでございます。いろんな議論をされておりますので、私、今日は総括的な立場から何点か確認をさせていただきたいと思うわけでございます。  もとより、この法律が出てきた背景というのはBSE問題でございまして、引き続いていろんな虚偽の食品表示というのはたくさん出てきたわけでございまして、食生活というのは人間生活の基本でございますから、ここに対する信頼が揺らいできたことは大変なことだということで、実は昨年三月に予算、本予算が参議院に参りましたときにも、いわゆる予算委員会で私、総理と議論いたしまして、それぞれそういうリスク管理をやっている省庁とは独立したそういう機関が必要だと、こういう議論をしたわけで、総理も当然前向きな答弁をされておりました。そういう背景でこの法律ができ上がってきたことは御案内のとおりでございます。  それで、そういう観点から御質問したいわけでございますが、独立しているというのが一番大事なんですね、そういう面で。それぞれリスク管理をやっておる省庁ございます。それは、いろんな省益があるのは、これは当然なんですが、そこから独立してきちっとリスク評価すると、こういうことが当然大事なわけで、食品安全委員会が設けられるということなんですが、その独立性を担保する意味からはやっぱり組織と人事という、これは非常に大事なわけで、そういう意味で、そういう独立性という観点からこの食品安全委員会の設置をどのようにお考えになっているか、まずお伺いしたいと思います。
  67. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) BSE以来のいろんな反省の中から、独立して特にこの食品安全委員会の場合には科学的なリスク評価というものをきちっと行っていこうということで、そういうことで食の安全というもの、あるいは安心というものもつなげていきたいと、こういうことであるのは委員御承知のとおりでございます。  そのための組織としては、内閣府の下に独立して主としてその科学的なリスク評価を行う機関を作ったと。これは私は、組織としては大きく従来の体制から前進したものであろうというふうに思いまして、組織的には独立性は担保されていると。  そうなりますと、もう一つは、正に今、委員がおっしゃいましたように、それを運用していく人ということになるわけでございまして、結局、委員の人選ということに最後は掛かってくるわけであります。  今、内閣府で人格識見優れた方のリストアップを行ってもらっておりますが、この法案ができましたら、担当大臣中心にきちっとした人選を行って、そして国会で御承認をいただいた上、内閣総理大臣が任命すると。やはり、ここの人選のよろしきを得るということが大事だろうと思っております。  この二つをきちっとやって、新しい組織がこれで作れると、そして人選をきちっとして適格な方にその任に当たっていただくと、この二つ委員のおっしゃった独立性、そういうものを確保してまいりたいと、こう思っております。
  68. 白浜一良

    ○白浜一良君 成立後はしっかりお願いしたいと思います。  それから、そういう消費者の信頼という面からいいますと、この委員会が設けられて、また専門調査会ですかもその下に設けられると。いろんな議論がされていくわけですが、やっぱりその消費者の信頼性という意味からいいますと、基本的にいろんな委員会の議論というのは公開すべきだと。公開すべきだと、こういう趣旨の議論も何回もされていますが、今日は再確認の意味で、委員会の議論も専門調査会でのいろんな議論も基本的には全部公開して、それが消費者の信頼を得るベースになるわけでございますから、公開が原則だということをもう一度御発言いただきたいと思います。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の質問答弁させていただく前に、ちょっと私、先ほど申し上げたことを訂正させていただきます。  委員の人選は今、内閣府でリストアップをしているというふうに申し上げたようでありますが、内閣官房でリストアップしているというのが正確でございますので、訂正させていただきます。  そこで、今の、信頼を確保するためには公開ではないかということでありますが、食品安全委員会では、基本法二十三条三項の規定に基づいて食品健康影響評価の結果や勧告の内容を公表すると。それだけではありませんで、審議会等の運営に関する指針というものがありますが、それにのっとって議事内容の公開を進めることにしておりまして、随時、リスク評価などの活動状況について情報公開を実施していくことにしております。  具体的には、先ほど申しました指針で、個人に関する情報、当事者又は第三者の権利と利益あるいは公共の利益を害するおそれがある事項が審議される場合は除きまして、要するに原則は公開であると、こういう方向で今作業を進めております。
  70. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、委員会といっても、食品安全委員会といってもスタッフは限定されているわけですが、この情報収集というのが非常に大事なんですよね。各省庁からいろいろ上がってくる情報もあるでしょうけれども、それだけではやっぱりいけないわけでございまして、特に海外での研究とかいろんな知見を含めますと一杯あるわけで、それをどのように収集されるのか、この点をちょっと、情報収集という観点でお伺いしておきたいと思います。
  71. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品安全委員会の事務局に情報の収集、分析を担当する課を置くということで今検討しておりますが、その課でやっていただく、やってもらうことは、第一には、国の内外の学術雑誌あるいは学会誌といったところから最新の科学的知見に基づいた危害情報というものを集めてくる。あるいは、リスク管理機関、マスコミ、インターネットなどから国内の危害発生情報を敏速に入手する。それから、国際機関あるいは諸外国関係行政機関等から海外における危害発生情報やそれから食品リスクに関する科学見解などを入手して、これをきちっと分析、整理させて、いざというときに充てると、こういうことであろうと思います。  それから、海外の文献とか情報ということになりますと、適宜適切に翻訳等も行わなければなりませんので、そういう、これは、翻訳するにしても、ただ外国語ができるというだけではできませんので、専門的な能力のある方をやはり技術参与なりなんなりで来ていただかないとできませんので、そういう方を事務局に配置するということも考えておりまして、そういう中から緊急度、重要度の高いものをきちっと見抜いていく目を養って対処していきたいと、こういうふうに考えております。
  72. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ、その情報収集という点でいいますと、いわゆるいろいろリスク管理やっている省庁省庁から上がってくる情報ってありますね。そこの精度を高めることでありますね。それを丸のみするわけにもいきませんし、そういう情報をどう集め、どう客観的に判断するかというその辺は、何か手だてというか、お考えされておりますか。
  73. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど申しましたように、食品安全委員会だけで集めるというのはせっかくの情報リソースを有効に使わないことになりますから、リスク管理機関厚生労働省それから農林水産省あるいは都道府県、自治体、そういうところとの連携を密にして、先ほども申し上げましたけれども、そういうところの危害情報や危害の発生というものが敏速に入ってくるようにしなければならないというふうに思います。  それから、先ほど松井委員の御質問の中にもモニターの活用ということがございましたけれども消費者からの情報入手ということも併せてうまく組織化をしていかなければならないだろうと思います。要は、関係機関との、そこに縄張を持つということではなくて、相互に連携して重要な情報を共有していくという体制を、今後、委員会ができましたら、関係機関と十分その辺りの打合せをして総合的な連携体制というものを確立してまいりたいと思っております。
  74. 白浜一良

    ○白浜一良君 一つ具体的なことをお伺いしたいんですが、これは委員会ができてからの話になるんですが、今話題になっています、ちょっと具体的な話で恐縮でございますが、クローン牛が誕生しておりますね。これは、厚生労働省も農林水産省もいろいろ、実際食品に資するかどうかという、安全かどうかという、それはいろいろリスク管理されている立場で研究をされているわけですが、この問題は大変大きいですよね。  当然、食品安全委員会が設置されますと当然一つの大きなテーマだと。このクローン牛、肉にしても牛乳にしても、それが食品に資するかどうかということは、これは大問題でございまして、こういうこともひとつ委員会ができたらテーマとして検討されると、こういうことは言えますか。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 体細胞クローン牛は現在、農水省の指導で流通が自粛されていると。そして、昨年の研究班報告で、食品としての安全性が損なわれるということは考え難いけれども、新しい技術であることを踏まえて慎重な配慮が必要と、今そういうことになっているわけですね。  そこで、食品安全委員会ができましたときに、もちろん厚生労働省なり農林水産省からお求めがあれば当然やりますし、また、これは委員会ができてからですが、委員会でいろいろ情報を集めてやらなきゃならぬということになれば当然やるということになると思います。  と申しますよりも、結局、いろんなリスク評価に対する御関心、要望、それから新しいものが次々と出てくるわけですから、実はやらなきゃならないものは山ほどあるんじゃないかというふうに思っておりまして、それをどういうふうに計画を立てて推進していくということが、計画を立てて推進していくか、それが一番、多分差し当たってこの機関ができますと大事なことじゃないかと思っておりまして、これは専門調査会で十分そこらを議論して良い計画を作っていただかなきゃならぬと、こう思っております。
  76. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、健康への悪影響の未然防止と、こういう理念が盛り込まれているわけで、これは大変難しいですね。客観的基準がどこにあるかというのは大変難しいので。  それで、ちょっと今日は厚生労働省からも来ていただいておりますので、ちょっとお伺いしますが、それなりの立場のある方が研究されて、ちょっとこれは問題、人体影響あるぞと、こういう例えば研究論文を発表されたと、そういう事実があったときに、そのいわゆる流通している食品をどうするのかということにもなるんですが、この辺はどのように対応されるか、検討されておりますか。
  77. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) 委員指摘のような、学会におきまして新しい事実だとかあるいは研究が発表された場合のリスク管理機関である厚生労働省としての対応でございますが、まずそういう管理措置の是非を研究、検討する場合は、委員も御指摘のように、あるいは谷垣大臣からも再三答弁ありましたように、まず基本的には、食品安全基本法の規定に基づきまして食品安全委員会食品健康影響評価をまず求めることにいたします。  ただ、こういう研究に基づくリスク管理が、急がなきゃいけないと、安全委員会研究をしている、評価をしているいとまがないというふうに判断される際は、食品安全委員会評価を受ける前に私どもリスク管理措置を講ずることになると。例えば、暫定の基準を設けるとか、あるいはもう明らかにこれは危ないということになりますと、取りあえずの販売禁止をやるとか、そういうことをやることになるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういう分野は日進月歩でございますので、新しい知見や事実の発見に対応して遺漏のないように努めてまいりたいというふうに考えております。
  78. 白浜一良

    ○白浜一良君 今おっしゃったことは大変大事で、やっぱり的確で、かつ迅速でなければならない問題が多々あるわけでございますから、しっかりやっていただきたいと思います。  それに関連して、今日は農林水産省にも来ていただいておりますので、もしストップすると、いろんな重要な研究が発表されまして何がしかの食品が、ストップさせるといった場合、そのいわゆる業者、扱っている業者が大変不利益を被るわけですね。それで、それはしようがないんじゃと言ってしまえばそうなんですが、農林水産省という立場で、そういう生産者とか事業者をやっぱり十分手当てするという、この裏打ちする措置も十分考えておかないとこれはいけないわけでございまして、この辺はきちっとしたお考えがございますか。
  79. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) 委員が御指摘のように、そういった研究的なことで中小企業者等々に影響を及ぼすようなことがあります場合、基本的には、食品安全基本法の制定を受けまして、食品事業者においても食品安全性確保に取組を強化することが求められておりまして、これは事業者自らが安全な食品の供給という社会的要請にはこたえていかなければならないというこれは基本的なものであろうと思います。  他方、人の健康への悪影響の未然防止の観点から緊急的な対応が必要となるような場合においては、その経済的影響が、特に中小企業者にとって相当なものとなり得ることが確認された場合に、これらの中小企業者に対しては、経営上の支援については国としてもこれまでも政府系金融機関による融資などに鋭意取り組んできたところでございまして、これは委員御承知のように、セーフティーネットで貸付けの問題とか、あるいはまたセーフティーネットで保証の問題、こういったことで一応は措置として政府としても取り組んでおりますし、今後とも十分にこれを大いに用いてまいりたいと、このように考えております。
  80. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことも大変大事なので、しっかりやっていただきたいと思います。  最後に、谷垣大臣、いよいよ本法律も本日、委員会では可決される見通しだと思いますが、三月には懸案でございました食品表示も統一化されました。国民のそういう信頼にこたえるために大変この食品安全基本法並びにその安全委員会役割は大きいと思うわけでございますが、これに関する大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この法案、この委員会でもずっと御審議をいただきまして、私は、食の安全、安心ということを確立していくために、システムとして大きく、この法案を通していただけば、進歩していくといいますか、発展があるというふうに固く信じております。  あとは、このシステムにどうやったらこれから、いわゆる仏作って魂を入れずということになってはいけないわけでございますから、どうやって命を吹き込んでいくかということでございますので、一生懸命工夫して、新しくこうして御審議をいただいた仕組みをフルに活動させていくように努めたいと、こう思っております。
  82. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  83. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。     ─────────────
  84. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 休憩前に引き続き、食品安全基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 吉川春子

    ○吉川春子君 共産党の吉川春子です。  初めに、食品安全基本法の第三条には、食品の安全の確保国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識の下に行わなければならないとうたい、第六条では、第三条に定めたる食品安全の基本理念にのっとり施策を策定し実施する責務を規定しています。  今回の法律で、リスク分析の手法が導入され、リスク評価機関として安全委員会が、食品安全委員会が設置されます。  また、過日の当委員会の藤原参考人も、国民のできればゼロリスクでありたいという思い、これは自然の願いであろうと思う、これは大事にしないといけない、ゼロリスクはないということは冷たい科学的な一つの考え方であるが、安心、安全という意味ではゼロリスクを求めるのが消費者国民の心情である、この心情を理解した具体的な措置を行政側が提供する作業こそ重要ではないかと述べています。  当委員会の審議の中で大臣は、食の安全についてゼロリスクはあり得ないということを前提にしているという答弁を繰り返しなさっています。やっぱりこれ、この考えというのは法案参考人意見と矛盾しているのではないかと思いますが、まず伺います。
  86. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は矛盾しているとは思わないんです。  これも何度か申し上げておりますけれども、私は、そばは大好きで、そばは非常に健康的な食品だと思っておりますけれども、そのそばでも、そばアレルギーで危険な目に遭われる方があるわけですので、やはりそういうアレルギーの原因があるということを知ってどうコントロールしていくかということが、やっぱり例えばそばの場合でもそういうことがあるんだと思うんですね。  したがいまして、そういうことを突き詰めていきますと、リスクが全くないということはやはりないんであって、それは何も冷たいからそう言っているわけじゃないんで、要するに、そういうことを前提として、どういうふうにそれをコントロールしていくかということが安全ということの意味であろうと思います。  ただ、委員がおっしゃいましたこととある意味では考え方同じくしますが、安全という言葉のごく普通の理解は、要するに安全というのは、これはもうこれ食べて大丈夫だと、こういうふうなことでしょうから、それは言わばゼロリスクというような考え方とある意味では近いのかもしれません。ですから、科学的に見た場合の安全とは何かというのと一般のごく素朴な理解とに少しずれがあるところに私は問題があるのじゃないかなと、こういうふうに考えております。  そこで、その溝を埋めるためにどうやってそのリスクをコントロールしていくかということが必要なんだから、その溝をうずめるために、いろいろと情報を公開したり意見を交換してその溝をうずめていこうというのが今回の考え方の基礎にあるというふうに私は思っております。
  87. 吉川春子

    ○吉川春子君 前回も私、申し上げましたが、やっぱり添加物がなるべく少ない方がいい、農薬は入っていない方がいい、これが国民の感情であるし、そういうやっぱり安全性というものはなるべく高めて、ゼロリスクという言葉とイコールになるかどうかは別として、やっぱり極力安全な食料を政府としては国民に提供する、そういう努力はしていかなければいけないんじゃないでしょうか。その点はいかがですか。
  88. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) それは委員のおっしゃるとおりでございます。やはり少しでも、これ、国もそうですが、食品を供給する事業に携わっておられる方も、少しでも安全な食品を供給するように努めていただく必要があると思います。
  89. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、私は今日は、食の安全教育と学校給食の残留農薬の問題について取り上げたいと思います。  厚生労働省、お見えいただいていると思いますが、健康のために安全な学校給食パンを子供たちに与えたいという、こういうお母さん、市民団体の運動が各地で進んでいます。農民運動全国連合会の分析センターが首都圏や関西の給食パンを分析いたしましたところ、殺虫剤のマラチオン、マラソン、クロルピリホスメチル、フェニトロチオン、スミチオン等、農薬が検出されました。  厚生労働省も食糧庁も輸入小麦の残留農薬検査を行っておりますけれども、その結果を、簡単でいいです、素人にも分かるように端的におっしゃっていただきたいと思います。
  90. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) 小麦における残留農薬の検出状況でありますが、地方公共団体と検疫所において調べましたまず数字を申し上げます。  平成十一年度までしか地方公共団体の調査が進んでいないんで、これ、一番新しいんですが、申し上げますと、千五百六件の検査を行いましたが、そのうち、マラチオンが二十九件、クロルピリホスメチルが四件、それからピリミホスメチルが二件、フェニトロチオンが一件検出されております。  なお、もっと新しい、検疫所につきましては新しい数字がありますが、これは平成十三年度でありますけれども、同じ輸入小麦につきまして、マラチオンが二十五件、クロルピリホスメチルが十八件検出されております。  いずれも、これらの検出されました量は国内基準や国際基準を大幅に下回っておりまして、健康確保に支障があるとは思えなかったというふうに考えております。
  91. 吉川春子

    ○吉川春子君 食糧庁も分析されていますか。
  92. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) お答え申し上げます。  食糧庁におきましても、安全な食料を国民に供給するという観点から、国産それから輸入した麦、それぞれ調査をいたしております。  国産につきましては、全国各地の出荷、産地で出荷をする際にモニタリング調査を行っております。その結果につきましては、これまで残留基準を下回っていると、すべてそういうものを下回っているという状況にございます。  また、国家貿易として食糧庁が外国から輸入をしております小麦につきましても残留農薬検査を行っておりますが、安全性が確認をされたものだけを輸入するという視点からこういう検査を行っているわけでありまして、その結果につきましては、すべて、食品衛生法に基づきます基準、あるいは食糧庁として追加的に若干の品目の検査も行っておりますけれども、いずれもその基準を下回る水準にございます。
  93. 吉川春子

    ○吉川春子君 私が質問したのは、残留農薬が含まれていますかということなんです。その点はどうですか、基準はちょっと後でまた聞きますが。
  94. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) 含まれている含まれていないということは、その検出された数値というものはございます。サンプル数からいきまして二百四十点ぐらいの検査をいたしておりますけれども、その中にはかなりの数の検出数がございます。ただ、先ほど申し上げましたように、いずれも基準値を大幅に下回る数字であることは申し上げたいというふうに思います。
  95. 吉川春子

    ○吉川春子君 食糧庁と厚生労働省が検査したところ、輸入小麦にはいずれも、サンプルは少ないんですけれども、サンプルというのは、検査した数は少ないんだけれどもいずれも検出されているということです。  それで、厚生労働省にお伺いしますが、マラチオン、クロルピリホスメチル、フェニトロチオン、これはどういう、この殺虫剤はどういう毒性がありますか。これも簡単にお願いします。
  96. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) マラチオン、フェニトロチオンあるいはクロルピリホスメチルは、いずれもいわゆる有機燐系の農薬でありまして、殺虫剤として使われておりますが、その毒性は、農薬ごとに作用をなす量は異なるところでありますが、最も低い用量で見られる毒性は神経系への作用、つまり神経毒性でございます。  なお、これらの農薬は、神経系に作用することによって、したがって害虫にも効くと、こういう効能でございます。
  97. 吉川春子

    ○吉川春子君 有機燐系農薬の障害というのは、図書館からいただきました辞典によりますと、倦怠感、頭痛、目まい、吐き気、多汗、腹痛、下痢、けいれん、肺水腫、失禁、催奇形性と、こういうものが共通してあるということで、有名な「沈黙の春」という、レイチェル・カーソンというアメリカの女性科学者のベストセラーがありますけれども、ここでも極めて毒性が高いということで取り上げられているものです。その基準はともかくとして、そういう毒性のあるというものですね。  それで、農民連食品分析センターで学校給食パンの分析をしているんですけれども、例えば埼玉県の川口では、これはマラチオン、フェニトロチオンが〇・〇一ppm検出されていると。これ、輸入小麦で作ったパンです。そして、そのほかの、これから御紹介します埼玉のパンは、いずれも今三種類の農薬残留農薬はゼロだったと。そして、千葉とかあるいは関西方面、あるいは茨城、京都などの学校給食のパンを検査しましたところ、いずれも、数値はちょっと省略しますけれども、検出されているわけです。それで、学校給食のパンからやっぱりこの有機燐系農薬残留農薬が検出されていると、しかも複数検出されているということは、私は大変問題であると思います。  それで、これは家庭栄養研究会が出されている「21世紀を生きる子どもの体と心の健康」によりますと、一九八〇年に視力不良が一時的に増加した原因は、多分殺虫剤、有機燐系じゃないか、これはゴキブリなどの害虫取り、あるいはマラチオンなど食べ物に入っていた、七九年に大量に消費したということが原因ではないかというふうに書かれておりますけれども。  大臣、いずれにしても、学校給食のパンにこれらの有機燐系の残留農薬が含まれていて検出されたということは、私は大変問題ではないかと思いますが、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  98. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 農薬残留基準は、先ほどから御議論もあったところですが、食品衛生法に基づいて科学基準から基準を、科学的見地から基準を設定するということを原則としているわけですが、今、国内外で使用が認められている約七百農薬がありますが、そのうち残留基準が定められているのは二百二十九ですね。  それで、政府としては、国民の健康の保護を第一に考えて、いわゆるポジティブリスト制と、基準が未設定のものは原則禁止とするという、今度こういう制度にすべくこの国会で食品衛生法の改正を御提案しているところでありますけれども、私は、そういう形できちっと決めていただいておりますので、もちろん、食品安全委員会の発足後、新たな科学的知見が得られれば随時それはやっていく必要がございますけれども、そういうことで、その基準に従ってやっていただくということでお願いをしたいと思っております。
  99. 吉川春子

    ○吉川春子君 そのクロルホスメチル、クロルホスメチルですね、これについては現在、安全基準が定められておりませんで、野放し状態になっているんじゃないですか。これはどうされるんですか、厚生省。
  100. 渡辺具能

    大臣政務官渡辺具能君) クロルピリホスメチルにつきましての基準についての考え方でございますが、一昨年二月にも審議会の下部組織であります調査会において審議したところでございますが、遺伝毒性の有無等に関する追加情報が必要であるとの結論に至ったわけでございまして、御指摘のとおり、まだADIの設定に至っておりません。  厚生労働省といたしましては、必要な追加情報がそろうのを待ちまして、調査会において再検討をする予定にいたしております。仮に追加情報が得られなかった場合におきましても、今回の食品衛生法の改正によりましてポジティブリスト制になるわけでございますので、クロルピリホスメチルにつきましても国際基準を参考にいたしまして暫定的な基準を設定して規制することを予定いたしております。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 まだ基準も定められていないものがたくさんあるということは非常にゆゆしいことです。そして、先ほど、基準値の中だから安全だと短い答弁の中で数回繰り返しましたけれども、これは、そういうふうに言い切れるかどうかというのは難しいんですよね。  例えば、私が自分の子供が赤ちゃんとか小さいときに育てていたときは、例えばアレルギー症状とかそういうものは、もうごく普通、少なかったんですね。ところが、今の赤ちゃんたちというのは物すごいし、ぜんそくなどもけたが違うぐらい増えているんですよね、今のお子さんたち。その原因は農薬なのか水の汚染なのか空気の汚染なのか、それは分からないんだけれども、しかし、昔と違って今は、もう農薬をどんどんどんどん口から取り込んで、それが残留していっている、それでその複合の害もあると。そういうこともあって、やっぱり私は、今は、基準が定められていないなんというのは論外なんですけれども大臣ね、やっぱり残留基準を、今これでいいということであってもリスク評価をきちっとして見直すと、こういう作業を全般的にやっていかないと、二十一世紀の国民、まして子供たちの健康というのは非常に心配だと思うんですね。  今、文部省から年次的に発表される数値を見ても決して子供たちの健康状態というのは良くないわけですから、それはいろんな原因があるにしても、やっぱり食の安全ということを考えたときに、食品添加物、残留農薬などの基準をやっぱり研究しながら繰り返し繰り返し見直していくと、そういう作業を是非、こういう法律が制定されたのを契機に積極的にやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) すべての残留基準を一律に見直す必要は今直ちにあるとは考えておりませんけれども、これはもう、新しい科学的知見が得られた場合、必要が感じられたら随時やっていく必要はあるわけです。  これは度々この委員会でも御答弁申し上げておりますが、まだ、先ほど挙げました例でも基準が定まっていないものは随分ございますね。それだけではなく、残留農薬だけでなしに、いろんなところでこういうものももっと調べたらどうだという御提案はあるわけですので、この委員会が発足しました後の大きな作業は、どういう順序で計画的にそういうものをやっていくかという検討がまず差し当たって大事な課題になると思いますので、委員会が発足しましたら、そこできちっと議論をさせていただきたいと思っております。
  103. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう政府の取組が一番重要なんですけれども国民の間でもいろんな取組が進んでおります。それで、私は今日は、埼玉県の無農薬の給食パンの取組について御紹介し、それを前進させるための質問をしたいと思うんですけれども。  実は、政府は従来、国内産の小麦でパンなどできないと、こういう姿勢をずっと取ってきました。しかし、私、ここに二つパン持っていますけれども、これは埼玉産の小麦、それから、埼玉産の小麦とそれからお米で作ったパンなんですよね。これがもう立派にできていると。それで、しかも埼玉県では三四%の小中学校の児童生徒に学校給食として日常的に提供をしているわけなんです。  皆様のお手元にこの資料をお配りいたしました。これは、埼玉県の公立小中学校で毎年七十五万枚、子供たちに、一人一人に配っているチラシです。五年間、これは配られています。そこに、埼玉農産物がたくさん学校給食に使われているよという方を見ていただきますと、「さきたまロール」、「さきたまセサミバーンズ」というのがありまして、先ほど大臣にちょっとお昼に差し上げましたのがこの二つなんですね。「さきたまロール」というのは、一番最初に作りました埼玉県産小麦一〇〇%のパンです。それから、「さきたまセサミバーンズ」というのが、半分はお米の粉、半分は小麦粉で、いずれも埼玉県産なんです。  強制はいたしませんけれども大臣、ちょっと召し上がっていただいた御感想など、言っていただけたらうれしいんですけれども
  104. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど吉川委員から、今おっしゃった埼玉県の地場の米と小麦粉で作られたパンを二ついただきまして、私も今日の昼食にいただきまして、おいしくいただきました。御礼を申し上げます。  なかなかこういう地場のもので、自分たちの地域の子供たちに自分たちのところで取れたもので給食を出そうという、なかなかユニークな試みだなと敬意を表する次第であります。
  105. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣からおいしいと言っていただいて、本当にありがとうございます。  このパンは、おいしいということにも物すごい価値があるんですけれども、先ほど来話題にしております農薬の検出がゼロなんですね。三種類ともゼロです。それから、百何十種類の検出の検査をやっぱりやってみましたけれども、何も検出されない、農薬ですね、残留農薬。そういう価値あるパンなんです。それで、子供たちにも大変評判が良くて、埼玉県とかあるいはパン工場にも、大変おいしいパンだという絵手紙などが児童生徒からどんどん寄せられているということなんです。  それで、埼玉県の知事は元参議院議員の土屋先生なんですけれども、県が全力でこういう動きを応援いたしまして県ぐるみで取り組んでいるのが実情です。そして、こういう動きが今幾つかの県に波及をいたしまして、例えば千葉とか幾つかの県に波及いたしまして、やっぱり地場の小麦粉を使ったパンを子供たちに食べさせようと、大体今三割ぐらいなんです、一つの県でも三割ぐらいやっているところが一番多いんですけれども、そういう取組が進んでおります。  それで、農水省、文部省にちょっとお伺いしたいんですけれども、是非こういう学校給食のパンが地場、まあ地場でなくても、北海道でもたくさん小麦粉取れますし、こういうものを使って子供たちに学校給食のパンが提供できるような施策をお願いしたいと思うんです。  それで、北海道の小麦粉は非常にグルテンが強くてパンには適しているらしいんですね。だから、アメリカやカナダから運んでくるよりは北海道の小麦粉を大阪とか東京とかで使っていただく方が、よっぽど近いし、さっきのポストハーベストの残留農薬を掛ける必要が全くないわけですから、国内で消費するわけですから、そういう取組を是非二つの省におかれましても応援していただきたいと思いますが、それはいかがでしょうか。
  106. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校給食用のパンにつきましては、約半数の県におきまして、地場産物の活用や、より安全な食品を使用するといった観点から、国産小麦一〇〇%のパンやあるいは外国産小麦とのブレンドのパンを使用しているというふうに承知しておるところでございまして、このように、各県におかれまして、地域の実情によりまして、より安全な給食の実現を目指した様々な取組をすることは大切なことであろうというふうに考えておるところでございます。  文部科学省におきましても、学校給食で使用する食品の一層の安全性確保するために、食品安全性に関する迅速かつ正確な情報提供や、あるいは食品の選定、検収、検査体制在り方等につきまして、総合的に本年度から研究調査も行いたいと考えておるところでございまして、今後とも、学校給食がより安全で児童生徒が安心して食べられるよう、各教育委員会や給食関係者を指導してまいりたいと考えております。
  107. 中川坦

    政府参考人(中川坦君) お答え申し上げます。  地産地消を進めていく、国産麦の需要を拡大していくという点は、大変先生おっしゃったとおり大事な点だというふうに思っております。私ども食糧庁といたしましても、消費者ニーズに対応した国産麦を利用した製品の開発を進めていくという視点から実は一つの事業を行っております。国内産需要開発推進事業という事業でございまして、具体的には、国内産麦の加工利用技術研究開発を支援をしていく。また、こういった形で開発されました技術につきまして、関係者、企業の開発担当の方ですとかあるいは各種の研究機関の方にお集まりをいただいて、その情報を共有していただく、こういう取組を行っているところでございます。  現に幾つか製品化された、国産の麦を使って製品化までこぎ着けた例もございますので、こういった点、これからも支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  108. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省にまずお伺いしますけれども、今、学校給食の小麦粉はどういうふうに手に入るかといいますと、これは学校給食会を通じて各学校に、学校にというかパン工場にこの小麦が運ばれて、そしてそのパン工場で焼かれたものを子供たちに配るという形になっていると思うんです。  問題なのは、学校給食会が、各都道府県の学校給食会がほとんど輸入小麦を扱って、それを卸しているんですね。埼玉とか千葉とか、やっぱり母親や消費者の運動で、国内産を扱ってもらわなきゃ困ると、こういうことを強く要求すると地場の小麦も扱うという形なんですが、黙っていると、もう全部、港から輸入されたものを直、学校給食の方に行くという形なので、是非、文部省は、学校給食会でも国産小麦、地場の小麦、こういうものを扱えるように積極的に指導していただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  109. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 御指摘のように、従来は日本体育・学校健康センターにおきまして、日本体育・学校健康センターが小麦粉を輸入いたしまして、それを各都道府県の学校給食会に配っていたという状況があったわけでございますけれども、この件に関しましては、平成十三年度末で日本体育・学校健康センターはこの小麦粉の取扱いを中止しておるところでございまして、現在はそれぞれの市町村なり学校給食の主体において主体的に今、決めていただくようなシステムになっておるわけでございますので、その趣旨につきまして、特に文部科学省といたしましても、地産地消等を積極的に進めるように御指導申し上げているところでございますので、その方針で進めさせていただきたいと思っております。
  110. 吉川春子

    ○吉川春子君 確認しますけれども、各地域に学校給食会あるわけですよね、各都道府県に。その学校給食会が輸入小麦だけではなくて地場の小麦もあっせんするように、そういうふうに文部省としても指導というか、協力を要請するというか、そういう立場でやっていくという答弁理解していいんですね。
  111. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 文部科学省の方から各学校給食会に対しまして、地場産品あるいは地場の小麦粉を必ずあっせんしなさいというところまでは言えない、なかなか言いづらい面もございますけれども、各学校給食を実施する主体におきましてどういう材料を使って給食を作るかは、それぞれの市町村なり、県立学校でございますと都道府県の教育委員会がお決めになることでございますので、その際に私どもといたしましては、学校給食において地場産品を使って、あるいは郷土食を取り入れた、取り入れるような様々な工夫をしてほしいというお願いをしておるところでございますので、小麦粉につきましてもその一環として指導をしていきたいと考えております。
  112. 吉川春子

    ○吉川春子君 農水省にお伺いいたしますが、地産地消ということでいろいろ取組もされていると思いますが、北海道以外は小麦が転作で作られているんですが、転作奨励金が徐々に減額されまして、近いうちにゼロになるかもしれない、こういう不安を生産者は強く持っております。  埼玉で二十五ヘクタールの小麦を作っている農家も、もうこれ以上転作奨励金が削られたら小麦は作れない。つまり、輸入の小麦の方が危険性は高いかもしれないけれども値段は安いわけですね。そうすると、市場競争ということの原理だけだと到底太刀打ちできない。それで、もうこれが、今のところがもうぎりぎりの限度で、これから小麦を作れないかもしれない、こういう話を私は聞きました。  輸入小麦に対抗できる価格を維持するためには、やっぱりこれは国が奨励しなくてはならないと思いますし、ましてや子供たちの健康、子供たちの健康というのは私たちの未来が懸かっているわけで、そういう子供たちに安全な学校給食パンを供給するためにはやっぱり小麦を、更に生産量を増やしていくということが必要ですね。  今どうして三四%ぐらいしかできないかというと、小麦の自給率が少ないからなんですよね。これをもっと増やしていくためにはやっぱりそういう奨励が必要だと。もうそういう奨励をやめて自由競争でどうぞと、国際競争基準でどうぞと、こうなると、今よりももっと小麦の生産数は減ってしまうかもしれないんですよね。  だから、安全なパンを食べさせるという観点から、この点について是非積極的な取組をしていただきたいと思いますが、農水省、いかがでしょう。
  113. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) 今、先生御指摘のいわゆる小麦の生産に対する転作奨励金の問題なんですが、これは、新たな米政策の中でも減らすとかそういったことはまだ申し上げておりません。要するに、十六年度の予算の中でこれを対応していきたいと、このような考え方で今進めさせていただいております。  それから、今、先生からお話がありましたように、正に食の安全、安心、そして子供たちの成長過程における残留農薬の心配、いろんなことを含めて見ましても、地産地消というものがいかに大事であるのか、と同時に、食育という観点からいいましても、地場の生産物を子供たちが感謝の心を持って食育の中でこれを醸成していく、非常に私は大事なことだというふうに考えております。  そのために、いかにしたらば国内の中でこれらの小麦がパンに向くようなもの、あるいはうどんに向くような、そういった品種改良ができるのかということで、平成十一年から品種改良を一生懸命に今努力をして、私どもの方でしてまいりまして、十三品目について実は小麦の品種改良をすることができたわけであります。先ほど来から埼玉の話がありますが、埼玉ではアヤヒカリという新たな品種も改良させていただいております。  今ほど先生から試食をしてみろというふうなことでいただきましたパン、非常に、私は食味として、非常に舌触りもいいし、いいことだな、いいパンだなというふうな思いもしていただきましたが、それよりも何よりも、やはりこうして学校給食の中で子供たちに、自分たちの中で作られている、そういったことを消費、食べさせて、そして食に対する物の考え方というものをしっかりと植え付けていくということが私は大変に重要なことでなかろうかなと、こんなふうに思っておりますし、また、日本は御承知のように南北に二千八百キロもあるわけでありますから、それぞれの地域においてそれぞれに見合ったやはりこれからもなお一層品種改良をしていきませんと、特に麦の場合には、高温多湿な日本においてのこれを作っていこうとするところに非常に技術的にも難しい面がございますので、こういうところも含めて個々に適地適作のでき得るようなそういったものを作ってまいりたいと、このように考えております。
  114. 吉川春子

    ○吉川春子君 厚労省の政務官、どうぞ、結構でございます。  今、日本食糧がやっぱり自給率が徐々に徐々に低くなりまして外国から輸入していると。リスクの多いものも食べざるを得ないという状況にありますけれども、私は今日は学校給食パンということで取り上げてまいりましたけれども、これはやはり食糧自給率を高めるというところにもつながっていくし、今おっしゃっていただきました本当に子供たちに地場のものを食べさせる、アイデンティティーという言葉は余り好きじゃないんですけれども、要するに、日本人として日本の豊かな食を子供のときから食べさせていくということで心も体も健康に育てていくということが非常に重要だということを思います。  それで、これはちょっとお料理の本なんですけれども、オレンジページの別冊なんですけれども、ここに長寿の各地の方がどういう食生活をしているかということが特集で書かれておりまして、私はお料理の本も好きなもので年じゅう買って読んでいるんですけれども、非常にやっぱりそこで取れたもの、取れたものをそこの人たちが食べるというのが一番健康のためにもいいわけです。今はそうはいかなくて、世界の隅々から輸入をせざるを得ないという側面もあるんだけれども、しかし、こういうものを大事にしていくということが健康のためにも、それから日本の産業の発展にもすごくつながるというふうに思うわけです。  それで、もう時間もなくなりましたけれども大臣、この食品安全基本法というものは、BSEの教訓からこういう形で食品安全委員会を設置するということで作られたんですけれども、やっぱり本当に安心、安全なものを国民に供給するためのリスク評価、そしてリスク管理、こういうことをひとつやっていただきたいということと、やっぱりそれは国民は安全な食物、食料を食べる権利があるんじゃないか。権利という言葉、お嫌いのようでここに書き込まれていないんですけれども、やっぱりそういう安全なものを食べる、日本の、日本で生産されたものを食べる、そういう権利が国民にはあるのではないかと思うんですけれども、その辺も含めて、この法案をスタートさせるに当たってやっぱり大臣の積極的な見解を伺っておきたいと思います。
  115. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほども申し上げたことであるんですが、この法案ができまして、BSE以来のいろいろな問題の反省に立ちまして、食の安全を行政としてどう推し進めていくかという体制としては私は従来に比べて一歩も二歩も前に出たものが作っていただけると、こう思っております。  それから、今、消費者の権利、国民の権利ということをおっしゃいまして、必ずしもこの法案では権利という言葉で書き込んでいるわけではありませんけれども国民にあるいは消費者に安全な食品が供給できる体制を作るという実質を確保することが一番大事ではないかというふうに私も思っております。それで、この体制をきちっと利用して、先ほどから仏作って魂入れずではいかぬと、こういう表現で申し上げておりますけれども、きちっと魂が入るように我々も頑張ってまいりたいと思っております。
  116. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  117. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康でございます。  最初に、谷垣大臣にお伺いいたします。まず、リスクコミュニケーションの対象機関の明確化についてお伺いいたします。  法案第十三条でいわゆるリスクコミュニケーションについて定めております。リスクコミュニケーション食品の安全を確保する上では非常に大切ですが、情報は適切な機関に適時に伝えられないと、せっかくの情報提供が無駄になったり、あるいは情報を受ける機関が不要な情報の集中でパンクしてしまうおそれもあります。  こうしたことを考えますと、新しくできる食品安全委員会国民が何でもかんでも情報を寄せるようになってしまうと、例えばちょっとした地元の食中毒の情報であるとか、そういったリスク評価とは余り関係のない情報までたくさん寄せられるようになってしまうと食品安全委員会情報収集機能が麻痺してしまう懸念があります。  リスクコミュニケーションを行うに当たっては、どのような種類の情報はどのような機関に寄せるのがふさわしいといったことをまず周知する必要があると思います。そのためには、国のリスク管理機関あるいは保健所等の地方自治体の食品リスク関係機関リスクコミュニケーションにおける位置付けを明確にしてそれぞれの窓口国民に知らせておくという作業も必要になると考えます。  国民リスクコミュニケーションを行う行政側の対象機関の明確化や周知について今後どのようなことが予定されているのか、お伺いいたします。
  118. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いろんな情報の収集につきまして国会、今までの国会の審議を振り返りますと、どちらかというと、食品安全委員会が一元的にこの情報を収集できる体制を作れという御意見が強かったように思いますけれども、それももちろん大事なことだと思いますが、今の島袋委員の御指摘は実は大変重要なことをおっしゃっていると思いますのは、いろいろな現場の情報というのは、むしろそれぞれの地域の保健所辺りに入ってくるということが多いわけですし、そういうものの、食品安全委員会としては、そういういろんな情報の中で重要なもの、緊急なものがきちっと入ってくるようにしていくということが私は実は一番大事なんじゃないかなと、こんなふうに考えておりまして、政府全体としての情報の伝達、収集の在り方、それからその周知、これは関係行政機関連携といったことが大事でございます。それと、委員のおっしゃった言わば役割分担と申しますか、そういうことを含めて基本的事項において具体的に定めて、そしてまた、それも、よく見直しも常にしなきゃいかぬと思うんですが、きちっとしたものを作ってまいりたいと、こう思っております。
  119. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 リスク機関というものを、やはり私、申し上げましたように、地方自治体とその地方自治体の保健所、そういったふうなもの、いろいろ総合的なことのかかわりを、十分にちゃんとしたものができ上がって初めて食品安全委員会に伝わっていくというふうな仕組みを立派にやっていかなければ、先ほど言ったように、非常に食品安全委員会に集中して混乱が起きて情報収集どころじゃなくなるというふうなことも考えられますので、それを十分また今御説明のとおりにしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、海外研究者等の活用についてお伺いいたします。  日本でBSE問題が生じた際、我が国にはこの問題についての知見が不足し、また専門家も足りなかったため、海外研究者知見国内対策に役立ったということは記憶に新しいことであります。  先日、参考人として出席していただいた山内先生も、食品安全の確保に当たっては海外研究者研究機関に協力いただくことが必要ではないかという御意見を陳述されておりました。  そこで、お伺いいたしますが、第二十六条に規定する調査委託海外研究機関に対しても行い得るものと理解してよいのかどうか。また、第三十六条により任命される専門委員や第三十七条による食品安全委員会の事務局に置かれる予定の技術参与外国人研究者を起用することは可能なのかどうか。リスク評価を行う研究者の絶対数が少ないという指摘はBSE問題調査検討委員会報告書でもなされており、海外研究者なり研究機関を活用することは当面不可欠ではないかと考えられますが、法律の仕組みはどうなっているのか、また運用でどこまで行うことができるのかをお聞かせください。
  120. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 海外研究者研究機関知見を活用していくということは、私は大変重要なことだと思っております。  一つには、今までのこの委員会の御議論でもありましたように、日本のこの分野研究者が果たして十分なのかということもございます。  それから、どんなに日本の、日本でそういう研究を充実、発展させたといたしましても、思わざる新しい危害というものが必ずしも日本で発生するわけで、ばかりではありませんで、海外で思わざる新しい危害が発生をして、その知見はやはりその現場でないと分からないということも恐らくこれからもあるのではないかということを考えますと、そういった情報をきちっと集めるということが大事だろうと思いまして、具体的には、外国に在住する専門家知見知見が必要不可欠である場合には、委員を出張させるとか、専門家日本に招聘するとか、必要な情報収集を行うことにしなければならないと思っております。  そして、二十六条をお引きになりましたが、その調査委託につきましても、国外ということは、あそこに、その条文に書いてあるわけではありませんけれども、当然そこに、必要があれば海外の民間団体に対して委託をすることも可能でございますし、それから、必要があればこの安全委員会外国の、安全委員会の中に外国の方をお招きすることはどうだということでありますけれども、一般的に申しますと、公権力の行使とか又は国家意思の形成の参画に携わる公務員となるためには日本国籍が必要だというふうに解されているわけですけれども食品安全委員会専門委員であるとか、あるいは事務局の技術参与ということになりますと、今言ったようなことに該当いたしませんので、日本国籍を有していない方であっても任命をすることは可能であるというふうに考えております。  ただ、日常的に事務局をサポートする技術参与とか、あるいは継続的に調査審議を行う専門委員というのは、外国に住んでおられますと継続してやっていただくことがなかなか難しいんで、一般的には、その分野になりますと余り現実的ではない、ない場合もあるのかなと、こんなふうに思っております。
  121. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 BSE問題で端を発してこの問題が浮上しておる関係で、やっぱり外国とのいろんな貿易関係によってこういったものが発生するというふうなことは十分これからも考えられることでありますし、例のSARSの問題でも、やはりこれがグローバリゼーションといいますか、世界的な動きが出てきているというふうな状況からすると、やはりいろんなものが国外から入ってくるというふうなこと予想されますんで、やはり海外におけるところのそういった識者を、知見者を十分に活用するということは非常に大事なことではないかというふうに指摘しておきたいというふうに思います。  それから、太平洋・島サミットについてお伺いいたします。  フィジーなど太平洋諸国の、太平洋諸島の諸国にオーストラリア、ニュージーランドを加えた太平洋諸島フォーラム、PIF加盟の十六か国・地域の首脳が集まって第三回太平洋・島サミット、この十六日、十七日の両日、小泉首相も出席して沖縄県名護市で開催されることになっております。  今回は、安全保障、環境、教育、健康、貿易の各分野で太平洋の各国、地域の今後の取組と日本の支援を話し合い、行動計画を、共同行動計画をまとめる予定であるとのことであります。  太平洋の島々が直面する環境問題としては、地域温暖化による海面上昇の問題があります。しかし、今回は、この地域の消費の増大など、人々の生活様式の変化に伴い十年ほど前から深刻な問題となっているごみ処理問題が重要なテーマとのことであります。  この太平洋・島サミットの開催準備状況は今どの程度に進捗しているのか、そして万全な体制が既に取られていると思いますけれども、その辺について御説明いただきたいと思います。
  122. 渥美千尋

    政府参考人(渥美千尋君) お答えいたします。  第三回の太平洋・島サミットでございますが、今お話しございましたように、明十六日そして十七日と沖縄で開催されます。  会議におきましては、安全保障、環境、教育・人材育成、保健・衛生、貿易・投資と、そういった問題を中心に議論が行われるかと考えておりますが、今、先生からもお話しありましたように、特に島国の方からは、例えば環境問題として、海面の上昇の問題ですとか、あるいはごみの処理の問題ですとか、あるいは人材育成なんかも非常に関心がございまして、初等教育あるいは遠隔教育等々、その関心が高いと承知しております。  そして、最後の、サミットの最後には、持続可能な開発のための地域の開発戦略、そしてその附属文書といたしまして、その戦略を具体的に、具体的に実施していくための行動計画を取りまとめるという準備を今しておるところでございます。この地域戦略それから行動計画、さらには日本としてどういう具体的支援を行っていくのかということにつきましては、現在調整中でございまして、首脳会議での首脳の間の議論を踏まえて最終的には策定されるということでございます。  なお、沖縄県の皆様方にはいろいろと準備段階から協力していただいておりまして、私どももサミットの成功のために最大限努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  123. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄でこういった種の開催ができますことは県民にとっては非常に有り難いことでありまして、沖縄県は、戦前この方、サイパンとかあるいはポナペとかフィリピンとかいろんなところに移民をしたりして相当な交流を深めております。  私は、いつかニューカレドニアに行ってまいりましたけれども、そこで、鉱山で働いていたという沖縄出身の方も、沖縄出身の子供がいて、そういうふうな交流をしましたけれども、あの辺のバヌアツ、あるいは核実験が展開されましたあの地域、非常にすばらしいところでありますので、そういうところと我が沖縄県が交流を深めるということは、やはり私はこれからの二十一世紀初頭に向けて、初頭でこういった交流が図れるということは大変沖縄県にとっては有り難いというふうに思っておりますし、そして、沖縄県の伝統文化、芸能とかあるいは空手とか、そういったものを紹介するというようなことも書いてありますので、是非ひとつ成功させていただきたいというふうに思っておりますけれども、そういった全体的な交流をこれからも、沖縄県をどういうようなことで位置付けてこれからの交流も図っていくかというふうな展望などについて、もしありましたら、何といいますか、御説明いただきたいと思います。
  124. 渥美千尋

    政府参考人(渥美千尋君) お答えいたします。  今、先生からお話しございましたように、まず沖縄県で開いたということは、正に太平洋の島々と同様の問題を抱えているということで、たくさん経験がおありになるということで、そういう面を念頭に置いて沖縄で開くということで決めたわけでございます。  それから、具体的な、あした、あさっての行事の中でも沖縄の伝統文化を始めいろいろと見せていただくというような機会も設けておりますし、それから、そういう文化面だけではなくて、具体的な、環境問題を始めとしまして、問題の解決に当たっての、沖縄がどういうその役割を果たしてきて、これからどういう形で南太平洋の国々と協力ができるかと、そういうような面での催し等々もございますので、そういったことを通じて、先生既にもうお話しありましたように、既にもうある程度関係がございますけれども、それを一層深めていくという形でいい会議にしたいと私ども事務方として考えております。
  125. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 是非、成功を願っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、地球温暖化に伴う沖縄の食の安全についてお伺いいたします。  沖縄は日本で唯一の亜熱帯地域でありますが、今後、太平洋諸国にとって深刻な問題である地球の温暖化が進んだ場合には、九州中南部や四国が亜熱帯地域に入り、沖縄は熱帯性気候に近くなるという将来予測もあります。そこで、今回のSARS問題だけでなく、大陸や東南アジアに近い沖縄では新種のウイルスと病害虫の影響を受けやすい地理的条件にあります。  そこで、国民の健康や食の安全の見地からも日本の亜熱帯研究を総合的に進める必要があると思いますが、政府の取組はどのようになっているのか、お伺いいたします。谷垣大臣、よろしくお願いします。
  126. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 温暖化ということで、沖縄等これからどうなっていくかという御議論でございましたが、私、振り返ってみますと、昔、私も委員会でこうやって議論させていただいておりますと、当時は、もう感染症は克服したから、これからは生活習慣病にどう取り組んでいくかだというような議論を我々もしておりました。ところが、そんなことを議論しておるもうその間に、エイズだと、あるいはSARSだと。天から降ったか地からわいたか分かりませんが、新しい危害要因というのは常に起きてくると。  食の安全と感染症と同一に扱われるかどうか分かりませんが、やっぱり大きないろいろな環境の変化ということもあるのかもしれませんし、常に何か地球も動いているということがあるのかもしれません。新しい危害情報がどういうところから生まれてくるかということは、我々、常に耳を長く、アンテナをよく張っておかなければいけないと思うんですね。  こういうことに取り組みますについては、もちろん食品安全委員会だけで解決できるような問題ではありませんで、この法案でも、五条とかあるいは十六条で科学的知見ということに着目した規定になっておりますけれども、やはり全体の日本科学研究の力といいますか、先ほど長谷川理事も強調されましたけれども、そういう力がなければ、今おっしゃいました温暖化に対応するいろいろな知見を確立していくということもできないと思っておりますが、食品安全の分野におきましても、関係機関連携して、新しい危害要因の発生に対してアンテナを張り、何か起こりましたときには機敏に対応できるような努力を続けたい、懸命に取り組みたい、このように思っております。
  127. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 質問の中で私が、国民の健康や食の安全の見地からも日本の亜熱帯研究を総合的に進める必要があるのではないかというふうなことを申し上げたわけでありますけれども、その辺について大臣のお考えがございましたら、よろしくお願いします。
  128. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 食品安全の見地から直ちに今、亜熱帯化の委員問題意識に全面的にお答えする力はございませんけれども、恐らくそういうことになりますと、これは私の所管外でありますけれども、例えば長崎大学では、熱帯性のいろいろな病気に対する、例えばマラリアとかああいうものがそうだと思いますが、研究をされているように聞いております。  それは一つの例でありますけれども、そういうようなことも、今、委員のおっしゃったようなことを視野に入れますと、いろんな側面で、何というんでしょうか、今まで以上に力を入れなきゃならない問題があるのではないかと思いまして、私も及ばずながら勉強させていただきたいと思っております。
  129. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 食の安全に関連して、沖縄の抱える問題についてもう一点お伺いいたします。  昨年十二月に発表された二〇〇〇年の都道府県別生命表で沖縄の男性平均寿命が前回九五年の四位から二十六位と大きく下がったことは、県民や沖縄関係者に大きな衝撃を与えました。これは、識者の間ではかねてより心配されていたことであるというふうなこともあります。  本土の二倍近い失業率など、働き盛りの男にとって精神的にも、また健康面でも大変厳しい環境に置かれていることによる四十代の自殺などが平均寿命の数字に反映したかと思いますが、米軍統治下で急激に変わった食生活、特にファストフードを中心としたアメリカナイズの飲食物の摂取も大いに関係があるのではないかと思っております。現在、第一位を続けている女性も十年後には危機を迎えると指摘する向きもあります。沖縄では、この事態に大変な危機感を持ち、長寿県沖縄を守るため、官民挙げて取組を始めておりますが、政府においてもこの問題に対する御支援や御協力をいただきたいと思っております。  沖縄経済は観光に支えられている観光立県であり、長寿は沖縄県、沖縄観光のブランドの一つでもあります。そこで、この問題に対する内閣府沖縄担当部局の御所見をお伺いしたいと思います。
  130. 安達俊雄

    政府参考人(安達俊雄君) 私どももこの発表されました数字、ある種ショックを受けて見ておるわけでございます。  この平均寿命の低下という、ランキングの低下という背景として、委員指摘のような食生活、必ずしも沖縄の、これまで言われておった長寿に適した食生活が、現実にはそこから懸け離れた食生活に変わってきているというような中で、男子の肥満率が、本土の場合、大体四人に一人、二五%ぐらいでございますが、沖縄の場合は四五%ということで、ほぼ二人に一人が肥満というような数字も出ておるわけでございます。また、自殺率が高いというようなことも議論として出ておるという非常に暗い話もございます。本土、全国で自殺、年間の自殺者が二万人台、これが三万人台になってきているわけですけれども、沖縄もちょうどそれに沿うように年間二百人から三百人というような動きになってきたりということでございます。  そういう中で、いろいろ考えさせられる、産業の対策としても考えさせられるところがいろいろございます。一つは、やはりこの沖縄の長寿というものをしっかり守っていくということを、前向きの取組ということが非常に重要でございますし、また、そういう中で培われた沖縄の健康バイオ産業、規模はまだ小そうございますけれども、この五年間で約、産業規模は五倍に達しておりますし、バイオも含めて健康バイオ産業というのを沖縄の次世代の基幹産業というような位置付けの中でこれから大いに伸ばしていこうと。近く完成いたしますけれども、具志川市に健康バイオテクノロジー研究開発センターを今建設中でございまして、ここで産学共同研究等を進めていこうというようなことで進めておるわけでございます。  また、観光との関係につきましても、やはり沖縄の食文化というものをもっとアピールし、これを一つの魅力として沖縄の観光の振興を図っていくというようなこと、また、経済全体としてもできるだけ明るい展望が開けるように、これはもう時間の関係もございますので個々御説明、省略いたしますけれども、全力で取り組ませていただいているところでございます。  以上でございます。
  131. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょうど五月十五日、今日ですか、が沖縄が三十一年前に復帰した日であります。  そこで、私は非常に、沖縄の復帰以来何とか経済の自立をということで一生懸命頑張っておるつもりでありますけれども、何しろ三十一年たった今でも米軍基地がそのまま居座っているというふうな状況と、それから経済の、何といいますか、経済力といいますか国民所得といいますか、そういったものが全国平均の七〇%そこそこであると。失業率も、絶えず復帰以来今日まで本土の二倍近い失業率を抱えていると。  そのことがやはり今の、さっきありました自殺者とか、あるいは経済に非常に困っている方々もおるというふうな状況からすると、これはやはり何とか経済自立をもっともっと高めていかなくちゃいけないというふうなことも、我々の責任ではありますけれども、やはり二十七か年間の異民族支配に我々が耐えてきて、ようやく復帰をかち取ったわけでありますから、その辺のやっぱり国策に準じた、もっと沖縄の経済発展に尽力されるような方法はないものかどうか、その辺について再度よろしく統括官の見解を求めます。
  132. 安達俊雄

    政府参考人(安達俊雄君) 傾向といたしましては、先ほど御説明申しましたように、九〇年代における景気の低迷という中で全国的にも暗い数字が出ているわけでございます。沖縄もその例外ではないということでございますが、沖縄の抱える諸課題に対応すべく、昨年は、国会におきまして全会一致で御了解、御承認いただいた新法でございます沖縄振興特別措置法の下で、今、政府は全力を挙げて沖縄の経済の発展に取り組んでおるわけでございますし、これまでの長期計画の策定ということだけではなくて、重要な産業分野それぞれにつきましてアクションプランを、短期のアクションプランを作り、どんどん行動に移していくと、そういう仕組みも整えて、県とも連携しながら全力で取り組んでいるところでございますし、先生御指摘のお考えを含めて更に努力してまいりたいと思っております。
  133. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そういうことで、沖縄の気持ちを私はちょっと今日の委員会でこの議案とは余り関係のないことを申し上げましたけれども、沖縄としては切実な問題として是非受け止めていただきまして、あらゆる政府の関係あるいは努力を更に高めていただくように希望を申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  134. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  ちょっと法務委員会がもめているようなので、ちょっと質問を順番を変えたりどたばたするんですが、一問目、谷垣大臣、ちょっと恐縮なんですが、通告していないんですが、一つ聞かさせていただきます。  というのは、午前中の松井委員質問に対して谷垣大臣、ちょっと踏み込んでくださったので、その件でお聞きしたいんですが、要は特命大臣についてなんですが、恐らくは置くであろう、置くべきだというところで、前回私が質問したときよりは一歩踏み込んだと思います。  それで、私、実はこの特命大臣を置くことに対しての是非ではなく、いざ置いたときに若干の私、疑問が生じるんで、そのことについてお答えいただきたいんです。  というのは、特命大臣に勧告権が設けられるとあります。一方、二十三条の三号、四号で食品安全委員会総理を通じて勧告権が与えられているわけですね。この総理に上げてから下される勧告というものと特命大臣の持つ勧告というこの二つの勧告は、どちらかが権限が強いとか、ないしは何かそごを来すとかいうことがあるのか、これが一点です。  それと、これに付随するんですけれども大臣は衆院の内閣委員会でも、この担当大臣役割というのは緊急時の総合調整役だと。このことは何度もおっしゃっているんですが、それで、実はこのリスク分析手法を用いた食品安全委員会というのは、そもそもこの緊急時を減らしていくことが目的なわけです。そうしますと、進んでいくと余り担当大臣の出番がなくなってしまうのではないかという私、懸念を持っていると。  それと、これは併せてですが、昨日の連合審査会で、これは中村委員からの質問に、要は勧告をするときに事前に各行政庁と事前調整するのかと、そのことについては、たしか明確にしないというお答えありました。  そうすると、確かに余り調整が大臣の方で進むと、各関係行政機関とですね、進みますと、食品安全委員会の独立性というのが損なわれるという疑問も生じて、ですから、私、お聞きしたいのは、この食品安全委員会というものと担当大臣関係性及び、あるいは担当大臣役割というものを、ちょっと瑣末になったんですけれども、先ほどの勧告権のそごについてと担当大臣安全委員会との関係性について、二つお答えください。
  135. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いろいろ御質問がございまして、終わりの方から申しますと、まず、総理が勧告を、総理を通じて勧告を出す場合に事前の調整をするかどうかというのは、今ちょっと委員が何をおっしゃったのか、あるいは誤解したかもしれませんが、私、昨日答弁申しましたのは、事前調整することは考えていないと。勧告をするときには、委員会で判断していただいて、それで総理に上げて、総理名前で出していただくということでありますから、リスク管理機関や何かと事前に、勧告を出すぞ、いや、それならこうだというような調整をすることは考えておりません。  それから、特命大臣総理の勧告権と、こういうことでありますけれども、それが評価に及ぶのか、行政的な内容に及ぶのかと、こういうことでありますけれども、その内部のいろいろな行政的な取りまとめにつきましては特命大臣が勧告権を使うわけでありますけれども、この評価に基づいて、何といいますか、科学的な評価をするわけでありますが、その評価に基づいて意見を、勧告を出す場合には総理でやるという分け方であろうというふうに思いまして、混同することはないと思います。  それから、緊急時というのは、これを出さないようにしていくのが食品安全委員会なんだからとおっしゃいまして、余り、勧告権というのは言わばだんびらでございますから、しょっちゅう抜くというのは実は余り望ましい状況ではないわけでございます。要するに、委員会がきちっと科学的な評価をした場合に、それに基づいて全体が、リスク管理が、それに基づいたリスク管理が粛々と行われ、特に緊急の事態でもないという場合は勧告権をあえて使う必要はありませんので、抜くときには抜くけれども、しょっちゅう抜いて振り回すものでは多分ないんだろうと、こういうふうに思います。  ただ、一つだけ誤解がないように申し上げておきますと、やっぱりそういう特命担当大臣に就任されたら、やはり抜くときは抜かなきゃいかぬと、こういうことだろうと思います。
  136. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。決して屋上屋とかにはならないんだということで理解いたしました。  そうしましたら、次に私は族議員の排除ということでお聞きしたいんですが、このBSE検討委員会の報告書ではこうあります。農林水産省の政策決定に当たり最も大きな影響を与えるのが国会議員、とりわけ農林関係議員であるのは故なしとしないと。そして最後に、「そのような政と官の関係が政策決定の不透明性を助長し、十分にチェック機能を果たせない原因となったものと考えられる。」、こういう非常に鋭い指摘があるわけですね。  このBSE問題が発覚して、それ以降、これは農水、厚労にお聞きします、各省庁としてこの族議員に対する何か対策といったものを図られたか否か。実は農水省に事前に聞きましたところ、族議員というものの存在を認めないために対策もないというような、そういう私、お答えいただいているんですが、それならそれで結構です。これは本当に端的にお答えください。対策があったのかないのか、あればそれを箇条書でお願いいたします。
  137. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) 族議員の問題というふうなことでありますが、私どもは、そういったことではなくて、あくまでも国民の安全、安心という、そういった観点から、どういう形でBSE問題についてこれから対応していけばいいのか、そういったことにつきましてそれぞれの立場で広く国民、それぞれの関係する皆様方の御意見をお伺いをいたしてあのような措置を取らせていただいたわけでありますが、ちなみに、例えば日本経済団体連合会と農林水産省との懇談会の開催だとか、あるいはまた大島農林水産大臣との懇談会、それからまた消費者と定期の懇談会、定例の懇談会、そしてまた食と農とを語り合う農林水産省版タウンミーティング、こういったことを、これは都合八回、全国各地で行わさせていただいて、最終的にあのようなBSE対策というものについても決定をさせていただいたところでございます。
  138. 森田次夫

    大臣政務官(森田次夫君) ただいまの黒岩委員からの御指摘でございますけれども、BSE問題調査検討委員会の報告書についてでございますが、いわゆるそこで族議員の政策決定への関与等の弊害が指摘されたわけでございますけれども、これにつきましては農林水産省の政策決定に係る問題であるんではなかろうかなと思いますけれども厚生労働省に対しましても縦割り行政の弊害やら農水省との連携不足などの厳しい指摘をいただいておる、これもあるわけでございます。  こうした問題点も含めまして、BSEの問題の反省に立ちまして、政府全体で食品安全の行政在り方等を検討した結果、食品安全基本法案を提出いたしまして、新たに食品安全委員会を設置して、そしてリスク管理機関とは独立したリスク評価等を行うこととするなど、食品安全行政の抜本的な見直しを行うと、こういうふうにした次第でございます。  また、政と官との在り方についてでございますけれども、BSE問題に限らず厳しく問われているところでありまして、政府としても、昨年でございますけれども、七月の十六日に閣僚懇談会におきまして申合せを行い、対応方針等を定めまして適正に対処していくと、こういうことが、申合せが行われたところでございます。  それらのメモにつきましては黒岩先生のところにお渡ししてあるということで、内容については省かせていただきます。
  139. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そもそも、この検討委員会の報告書の原案はこうなっているんですよね、「農林水産省の政策決定に最も大きな影響を与えているのが自民党を中心とする農水族議員である。」と、大変な抵抗で削除されちゃったんですけれども。  やはり私は、そういう意味では非常に重大な力を持ってきたのが族議員だと思っておるんです。今、太田副大臣の、懇談会とかタウンミーティングで排除できるようなものなら私はとっくに排除されていると思うんですよね。先ほど森田政務官がおっしゃったこの七月十六日の政と官の在り方、これも私もメモを読ませてもらっています。非常におぼろげなものですね。そう思うんですよ。  私は、非常にこの制度上、族議員ということを排除するのは難しいと思います。当然ですよね、族議員の存在自体が制度上ではないわけですから政治上の存在なんですよね。  そうしますと、私はそのことを排除できるのは政治家しかいないと思っているんです。ですから、例えば大臣が官僚の皆さんに、何か議員からの不当な働きがあれば自分ところに持ってこいと、一つ一つ自分がその議員と話を詰めようと。私、そういうリーダーシップこそ政治上のあるべき姿ではないかと思っているんですが、繰り返し聞きます。  それと、これ、太田副大臣にも森田政務官にもお答えいただきたいんです、これを、省庁のトップとして。  もう一つ。ちょっと厚労、私、木村大臣、お呼びしていたんです。木村大臣、マスコミから、要は、厚労省へ何か口利きをしたのではないかという何かあらぬ疑惑を掛けられていたようなんですが、聞きますと、昨日の集中審議、厚労委員会では、あらぬ疑惑だったというようなことになっているようなんですが、私、ぬれぎぬならぬれぎぬでいいんですが、じゃそれを晴らすためにも、御同僚の木村大臣のことなんですが、森田政務官からも、やはり堂々と胸を張って自分たちの力で族議員を排除するんだという、私、その決意を示していただくことこそ、そういったあらぬ疑いを晴らすことだと思うんです。  太田副大臣、森田政務官、改めてこの族議員に対する排除、強い政治のリーダーシップを示す、そういった御答弁をお願いいたします。
  140. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) 基本的には先ほどお答えしたとおりでございまして、BSE問題に関する調査検討委員会の報告書も出たことでもあり、こういったことによって誤解、あるいは国民の皆様方から信頼を失うようなことがあってはいけないというふうなことで、先ほど来申し上げましたようなことで、ずっと農林水産省としては、それぞれ各界各層の方々の御意見をお伺いしたところでございますが、政策の遂行は常にそういった意味で公正な判断に基づいて行わなければならないと考えておりまして、農政の推進に当たりましては、関係者との調整において多面的なチャンネルを通じまして、そして、国民各界各層の皆様方と意見交換に特に留意することによりまして従来以上にバランスの取れた適切な政策決定を進めるように常にこれからも心掛けてまいりたいと考えております。
  141. 森田次夫

    大臣政務官(森田次夫君) 先ほどメモについては省略をさせていただきましたけれども、その懇談会の、閣僚懇談会の申合せのメモでございますけれども、政と官の在り方ということ、国会議員又はその秘書から政府の方針と著しく異なる等の働き掛け等があり、そして公正中立性を確保されないおそれがあり、対応が極めて困難だと、こういった場合には直ちに大臣に報告をすることになっております。そして、その報告を受けまして大臣としては、要請あるいは働き掛けを行った国会議員に対して内容の確認を行うとともに政と官の関係について適正を確保するなど、自ら大臣が責任を持って適切に対処するんだと、こういうような申合せがあるわけでございます。  ちょっと生ぬるいんではないかと、こういうような御指摘でございますけれども、これを徹底していかなければいけないと、こういうふうに思っております。
  142. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 谷垣大臣の御所見もお聞きしようと思ったんですが、ちょっと先を急ぐんで、いろんな意味で総合調整、谷垣大臣の肩に掛かっておりますので、この族議員に対しても毅然とした対応を大臣の方で取られてくださるようお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  次、これは昨日の連合審査でお聞きしたんですけれども、いわゆるSARS、このSARSへの対応ということで、文科省の予算でSARSの診断及びこの検査手法等に関する緊急調査研究という、これを行うとあるんですが、繰り返しになるんですが、これ、端的にお聞きいたします。  このSARSの危機というのは何に対しての危機か。これ、私が聞きたいところは、本当に食品が含まれているのかいないのか。昨日も私、この人畜共通感染症の可能性はあるのかないのかとお聞きしました。若干おぼろげな答えだったんですが、私は一〇〇%ないと言い切れる以外は、わずかでもこの人畜共通感染症の可能性があるならば、食品に対しても私は当然危機が及んでいると思っております。その点についてもう端的に、果たして食品も含まれる可能性があるのかないのか、SARSに対しての危機、これについてお答えください。森田政務官
  143. 森田次夫

    大臣政務官(森田次夫君) 厚生労働省の立場でとらえれば、SARSは人の移動等の時代における感染症対策の在り方等を問う健康に対する危機であると、こういう認識を持っております。  そこで、食品に対する危機ではないかと、こういうようなお尋ねでございますけれども、SARSにつきましては、WHOが本年三月二十四日に発表いたしましたQアンドAでございますが、現在判明している範囲では、感染した人との濃厚な接触で人から人へ病原体が伝播すると考えられており、感染した人の飛沫であるとか体液に接触することが感染の重要な原因と見られていると、そして、今のところ患者の大部分はSARS患者に医療行為を行った医療スタッフであるとかそれから患者と接触のあった家族の人たちであると、こういうようなことで説明がなされております。  また、WHOが本年四月十一日に発表しましたWHO加盟へのSARS伝播確認地域から到着する物品あるいは動物に関する情報等によりますと、WHO、FAO、それからOIEはSARS伝播に関しまして受け取った報告を詳しく検討……
  144. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 端的にお願いします、ペーパーもいただいていますので。
  145. 森田次夫

    大臣政務官(森田次夫君) はい。  このような理由から、WHOはSARS伝播確認地域からのどのような食品、製品も、また動物の接触も今のところ公衆衛生上の危害はないと考えているということでございまして、SARSの食品への脅威はないものと、このように認識をいたしております。現在もそのあれは変わっておりません。
  146. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 昨日より一歩踏み込んで、一〇〇%ないということですよね。  私は、やはり食に対する、今は食品安全委員会、立ち上がっていませんから、当然こういう緊急の研究、これは機関と言ってどうかは分からないんですが、措置を講ずるのが私は当然だと思います。ただ、私、昨日も申し上げたんですけれども、この評価機関というのはいずれ永続的に残っていくわけですよね。一般抽象的なものの門戸を広げておくと。今回、やっぱりSARSもこれ、個別具体的なんですよね。SARSが起こって初めてある研究も作ると、予算を付けて。これだったら、今までのBSE対策は、全く問題への教訓が生きていないわけですよね。  何度も言いますが、個別具体の問題が起こって、一般抽象的なテーブルを作って、そして次の個別具体的な問題はここに投げるんだと言っているんですけれども、SARSに関して言えば、食じゃないとおっしゃいましたけれども、健康だと言っているわけです。健康に対して安心、安全のリスク管理も私は全くもって食に対するものと同じだと考えています。これが全くもって、また新たに、しかも文科省予算を集めてきて一億でやるという、このようなことを進めていくということは、今後、私は食品に対する安全に対してもゆゆしきまだ状態ではないかと。その懸念を示して、SARSについては質問をこの程度で終わらせていただきます。  そうしますと、その次に、今回衆院で修正されましたいわゆる第四条、十七条もそうなんですが、「国の内外における」という文言の追加についてちょっとお聞きしたいと思います。  繰り返しになってきましたけれども、この文言の、外とわざわざ明記しました。これは私は、国産であるか輸入食品であるかということは余り論ずる必要はないと思います。元々、あろうがなかろうが輸入食品が含まれていないわけはないわけですから。ですから、あえて国の内外と置いた場合、この外というのは日本国外に現存する食品を指すのか否か、もうイエスかノーかでお答えください、大臣
  147. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) イエスかノーかと、シンガポールみたいな気がいたしますが、ちょっとイエスかノーかでなくて、国外における外ですね、外ですね、これは輸入される食品農林水産物が外国で生産されて我が国輸入されるまで、その行程、それを指しているわけでございまして、諸外国日本に入ってこないすべての食品を必ずしも意味しているわけではないと思います。
  148. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そのほとんど同じ答えを私も内閣府でいただいております。  ですから、輸入されることが前提かもしれませんが、物理的に言えば国外にあるものなわけですよね、食品なわけなんですよね。これについても、じゃ具体的にはどういうリスク評価リスク管理があるのかということを各省庁と私も何度か詰めさせていただきました。当初は、主権にかかわることだから具体的には何もできないというようなお答えまでいただいているんですが、やり取りの中で様々な対応策、お聞きしております。ですが、これちょっと農水、厚労の方に先にお聞きします。  情報収集とかいろんなことが一つの手法ではおっしゃると思うんですが、これは別に今回、食品安全基本法案を、通過する、そしてこの内外という修正を加えなくても元々できることですよね。わざわざ外と加えて今後、具体的な対応策というのはどういうものが図られるのか、これも端的にお答えください。農水省と厚労省、お願いいたします。
  149. 太田豊秋

    ○副大臣(太田豊秋君) いわゆる輸入食品あるいは輸入品につきましては、農林水産省といたしましては、輸入時ないしそれ以降の措置が中心になるものと考えておりまして、具体的には、食品輸入する事業者が輸出事業者が行った自主検査の結果を含めまして安全性を確認した上で輸入を行うこととか、あるいは厚生労働省が水際で検査、検疫を行うことなどを通じてその安全性確保していくことということでございまして、いずれにいたしましても、国際法上は属地主義の原則がございますので、国内の法令上の根拠をもって外国での食品の、農林水産物の生産を直接に規制することはできないというふうなことになっております。  まあ、イエスかノーかというふうなことでございますので、端的に申し上げればそのようなことになるわけであります。
  150. 森田次夫

    大臣政務官(森田次夫君) できるだけ端的に参ります。  修正の趣旨を踏まえまして、我が国が求める衛生水準確保のため、これらの規定を的確に運用するとともに、輸出国との二国間協議現地調査を行いまして、輸出国における生産、製造段階等も含めました対策を輸入業者や輸出国政府に求める取組を一層詰めてまいると、こういうことであろうかと思います。
  151. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それで、昨日、連合審査で亀井大臣が、これ、郡司委員質問に答えているんです。この「内外」という食品安全基本法修正を受けて、じゃ、いわゆる牛肉のトレーサビリティー法を修正掛けないか、これ、非常に具体的な話ですよね、この文言を修正したことによってということに。これに対して亀井大臣は、結論は、修正の必要はないと。その理由が、要するに、まだ米国や豪州という、牛肉の輸入先である米国や豪州はBSEの未発生国であるという。  これ、おかしいんですよね。私、何度も言っている。BSEという個別のことはいいんですよ。もっと漠然としたリスクに対して評価したり管理していく、こういうことなんですよね、これからの行政というのは。BSEの個別のことでは何ももう先に進もうとはしていないんですよ。  この答弁答弁としてまかり通ってしまっているんですけれども谷垣大臣、どうなんですかね。本当に「内外」という言葉を加えて、確かに四条、基本理念です。でも、基本理念も、反映されない理念は私は全く無用と思います。当然、私は「内外」という言葉が入ったことは評価しているんです。ただ、これを一体、実効性を持たせて、どのように具体策に反映させるのか。  少なくとも食品安全委員会リスク評価機関です。先ほどリスク管理機関の対応をお聞きしましたが、リスク評価機関として、そして担当大臣としての御所見をお聞かせください。
  152. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 元々、第四条の規定は、日本の中に入ってくるものであれば、国産であろうと国外でできたものであろうと区別しているわけではなかったわけですので、この修正も、元々あった意味をより明確にしたという意味だろうと思いますね。  具体的に言うと、それは、我が国で食べられている食品の極めて大きな部分輸入食品であるということもありますし、それからBSEに関して言えば、この発生原因が海外からの輸入肉骨粉であるという可能性は否定できないというところがありますから、要するに国産、輸入品を問わず安全性確保措置が適切に取られる必要があるということをより明確化した規定だろうと思うんです。  そこで、リスク評価機関として考えますと、食品安全委員会の主たる任務から考えますと、これは科学的にそのリスク評価していくわけですから、これは国産であろうと国外産であろうと、元々リスク評価で変わるというわけでは、これはありません。輸入される食品の添加物や残留農薬の健康への影響というのは元々評価が可能であります。  私はそういうふうに考えておりまして、ただ、リスク管理機関におかれましては、先ほどからいろいろ御議論がございますけれども、やはり法律の主権の範囲と申しますか、あるいは属地主義と申しますか、当然そういう制限がございますので、主たる手法は、主たる手法はやっぱり水際対策ということになっていくと思いますが、そのほか、やはり二国間でのいろいろな交渉とか、いろんなことが私はそれは考えられるだろうと思います。  しかし、やはり日本の法律の及ぶ範囲ということになると、主としてそういう属地主義というものが働くということはやむを得ぬことだろうと思います。
  153. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この辺、私がやはりこだわったのは、私たちは今、何を目的に審議しているかというと、国民食品安全性確保ですよね。  衆院で大変な時間を割いて法案修正を掛けるという非常に重要なことをやったわけです。ですが、それが元々あったものの明確性をちょっと強めるとかですね。ちょっと聞くと、何か野党からの提案を少し受けておこうかと。私、このような姿勢で先ほど私が申し上げた目的が達成できるかということに対して不安と疑念を抱いて私はあえて大臣にお聞きしたんです。目的は一緒なんです。ですから、その点、大臣、御踏まえください。ただの基本理念の明確化というようなことでは私は弱いと思っております。  時間になってしまったので、残念なんですが、あと一問だけお聞きいたします。  実は、これはせんだっての参考人質疑で、私は最後の質問を山内参考人にいたしました。山内参考人は、BSE問題検討委員会の副委員長で、この報告書を束ねた方です。この方に、要は、今回、この法案が成立し、食品安全委員会がスタートして国民の食の安全性確保という目的が達成されるという実感を今この審議でお持ちですかと、こう私はお聞きしたんです。  そのお答えを、これ、大して長くないので読ませていただきます。山内参考人はこうおっしゃいました。  これまで、私も科学者の一人としていろんな審議や何かにも、リスク評価にかかわる審議にもかかわったこともあります。しかしながら、実際に科学者日本科学者の中でどれだけこれに全部対応していけるのか、それだけの人材プールがちゃんと得られるのか、私にはまだよく実感としては分かりません。ですから、総論としては大変すばらしい法案として計画がこう出てきていますが、それを支える人がどれだけいるのか、その点について私としては、余りはっきりした、何といいますか、ことを申し上げられるような、そういう実感がございません。  要は、実感がないと、この検討委員会で取りまとめをした科学者がおっしゃっているんですね、専門家が。  これを踏まえまして大臣大臣にとって本当に国民の食の安全がこの法案、そしてこの委員会で達成されるという実感がおありなのか、その点を最後お聞きして、私が最後の質問になりますので、その決意をお聞きいたしまして、終わらせていただきます。
  154. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど来御答弁、同じ御答弁を何人かの御質問に対していたしておりますけれども、私は、BSEの反省を踏まえて、どう改善すれば食品の安全行政というものが言わば再生するかという視点から見て、私はきちっとした手だてをこの法律でしていただいていると思います。  したがいまして、あとはこの仕組みをどう活用するか、仏作って魂をどう入れられるかということに懸かってくるというふうに思いますので、私は職責としてそれは一生懸命やらせていただきたいと思います。  それから、今もう一つ委員がお触れになった山内参考人の陳述と関係いたしますと、確かに、この食の安全を支えていただく科学的知見や何かが日本の中で十分得られるか、日本にそれだけの人材があるかというと、今日もいろいろ御質疑がありましたけれども、私も十分あるというふうにはまだ申し上げられないんだろうと思います。  これについては、いろいろな関係機関とも連携しながら、人をどうやって養成していくか、そして我々の仕事を通じながら、どういう、何というんでしょうか、具体的な研究者に経験を積んでいただくか、こういうようなことも、あるいはもちろん海外からの、海外の知恵も活用するということを含めて、やはり最後は人が重要でございますから、そういう視野といいますか観点も重視しながら進んでまいりたいと、こう思っております。
  155. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後に、木村大臣に。私は大臣への、副大臣への質問を先にしろと言われてやってしまって、御答弁いただけずに申し訳ありませんでした。  それでは、谷垣大臣、何にしても我々国民、本当に一億二千万の食の安全を大臣のその力で達成させていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  156. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  食品安全基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  長谷川清君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川清君。
  158. 長谷川清

    長谷川清君 私は、ただいま可決されました食品安全基本法案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派並びに各派に属しない議員黒岩宇洋君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     食品安全基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、食品安全性確保に万全を期するために、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、国の内外における一連の食品供給の行程におけるあらゆる要素食品安全性影響を及ぼすことにかんがみ、特に食料の輸入に当たっては検査に万全を期するとともに、我が国への食料の輸出国における食品の安全が確立されるよう、国際的な協力を推進すること。  二、人の健康への悪影響が及ぶことを防止し抑制する必要がある場合には、科学的知見の確立が十分でない段階でも、国民の健康の保護が最も重要であるとの基本認識を踏まえて、食品安全性確保に関する必要な措置が機動的に実施できるようにすること。  三、いわゆるリスクコミュニケーションの実施に当たっては、施策の策定の基礎となる資料についても幅広く公表し、関係者相互間、特に食品関連事業者消費者間の情報及び意見の交換が適切になされるよう、十分に配慮すること。  四、リスク評価体制整備に当たっては、国内におけるリスク評価専門家の養成に努めるとともに、調査委託専門知見の収集について必要がある場合には海外学識経験者の活用を図ること。  五、食品安全性確保に関する施策の策定に当たっては環境に及ぼす影響に配慮するとともに、食料の生産については自然環境との調和に十分留意すること。  六、食品安全委員会は、運営の透明性の確保国民への情報提供の観点から、会議を原則として公開とするとともに、業務の実施状況に関し機動的かつ柔軟に報告書等を取りまとめ、公表すること。  七、食品安全委員会に設置が予定される企画及びリスクコミュニケーションに関する専門調査会には、消費者意見を代表する者が参加できるようにするとともに、同委員会が行う食品健康影響評価に係る年間計画の策定に当たっては、消費者食品関連事業者等の意見に十分配慮すること。  八、食品安全性確保に関する施策を総合的に推進することを目的とした本法の制定の趣旨を踏まえ、コーデックス委員会への対応の在り方について十分検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  159. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 全会一致と認めます。よって、長谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  谷垣国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣国務大臣
  161. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  162. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  164. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 次に、自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣国家公安委員会委員長
  165. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま議題となりました自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、特殊法人等改革基本法に基づき平成十三年十二月に策定された特殊法人等整理合理化計画の実施の一環として、自動車安全運転センターを民間法人化するため、政府の出資、役員の選任等に係る政府の関与の縮小等について所要の改正を行うものであります。  次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。  第一は、自動車安全運転センターに対する政府の関与を最小限とするための措置を講ずるものであります。  その一は、自動車安全運転センターに対する政府の出資に関する規定を廃止するものであります。  その二は、役員の選任方法につきまして、自動車安全運転センターの自主性を尊重するため、国家公安委員会による理事長及び監事の任命制を認可制に改めるものであります。  その三は、国家公安委員会による資金計画の認可制及び財務諸表の承認制を廃止するなど、自動車安全運転センターへの政府の関与を最小限とするための改正を行うものであります。  第二は、運転免許を受けた者で自動車の運転に関し高度の技能及び知識を必要とする業務に従事する者等に対する研修を第一の業務と位置付けるなど、自動車安全運転センターが行う各業務の位置付けを見直すものであります。  その他、所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律は、平成十五年十月一日から施行することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
  166. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会