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公述人(
田崎アイ子君) 今日は、私、一消費者そして一主婦にこういう場を与えていただいたことをまず御礼申し上げます。ありがとうございました。
私は、この
保険業法の一部について
反対の
意見を述べさせていただくことを
公述人として申し出ました。私たちがなぜ
反対しなければいけないかということを、私は消費者でございます。今までは専門的なことで山野井さんが述べてくださいました。でも、私は、消費者そして一
契約者でございます。なので、私たち肩書ということは持っておりません。でも、一応この場に出るために肩書というものを書きました。そして、被害者として、そして
契約者として
意見を、
反対意見を述べさせていただきたいと思います。
この変額
保険という名の
保険、これを
保険として扱ったことに問題はなかったのでしょうか。
変額
保険は一九八六年に、それまでになかった新種の
保険として大蔵省から認可されました。当初、好調な売行きを見せましたが、変額
保険も一九八八年になると投資信託と競合する中で人気が落ち始め、
生保の
契約高が伸び悩み始めました。ちょうどそのころ、バブルの末期です。大都市圏で地価高騰、地価が高騰し、土地の所有者にとっては相続税を支払うというためのことで土地を手放すことになるだろうと言われ、新聞紙上にとって大きく報道されることもありました。そのような情勢が
融資型変額
保険を生み出したのです。
そのねらいは、将来予想される莫大な相続税の準備資金を変額
保険を利用して、その加入に必要な高額一時払い
保険料を土地担保として
銀行融資で賄うものということを、一九八七年に青山ファイナンシャルステーションという
金融関連機関が考え出したものと言われています。
変額
保険と
銀行融資を結び付けて相続税対策とする方法は、
対象する物件の数が多く、しかも一件当たりの金額が億単位になることから、
銀行、
生保ともに業績拡大、利益増大、大きく寄与するものでした。特に
銀行は、この
保険の勧誘に
生保を差しおいて自ら主役を務めるほどでした。もちろん
生保にとっては願ってもない大きな市場だったのです。
銀行と
生保は、当面最も相続対策を必要とする、土地持ちであっても資金がない高齢者をピックアップし、
銀行の
営業マンと
生保誘導員が入れ替わり立ち替わり変額
保険の加入を熱心に勧めました。時には
銀行の支店長までもが直接勧誘のために現れました。
そして、高齢者へ巧みなセールストークが始まりました。そこではリスクのすべては隠されていました。莫大な相続税が予想されますから、残された方はこの土地や家に住めなくなります。その対策として、
銀行から
融資をしてあげますから是非この有利な
保険にお入りなさい、借金をしていることで相続財産が減る利点があります。この
保険の運用は
生保の専門家がやりますから大丈夫です、お任せください。
銀行利息を上回る大変高い運用ですから、相続税発生時の
保険金で
銀行に借金を返した上で相続税も払えます、その際、
保険金で相続財産評価額が
軽減されます、そういう利点もあります。この
保険は大蔵省が販売を禁止するかもしれません、入るのなら今のうちですと、このようなセールストークで多くの高齢者を勧めました。加入された高齢者はそういうリスクがあることも知らずに、
銀行が勧めることです、ありがとうございます、それではお願いしますということで、多くの高齢者、そして私たち主婦、一消費者が入ることになりました。
私も同じように、さきに言った青山ファイナルステーションと大手
銀行の巧みな提携でした。
銀行がいつも来るたびに、
銀行を
信用しなさい、田崎さんのうちも例外ではありません、相続対策をしておかないと、御主人が亡くなると、御主人に
万が一のことがあると大変なことになります、是非この
保険に入りなさいと、
融資の方は私の方でやります、それは安心、安全、
信用させ、何々の、天下の何々
銀行ですと言って勧めました。私は一〇〇%、一二〇%その
銀行を
信用して入りました。
融資をしたときに、するときに、死亡時に
保険金で返済すればよいということでした。それでなお安心しました。でも、五年たつと、ごめんなさい、
融資は一億六千万です。その中の一億が
保険料でございます、支払
保険料でございます。六千万は、五年分先の利息を一緒に貸せられて
融資をされて、一億六千万ということでした。私はすべてがそういうものだと信じてその
保険に入りました。
五年たって利息がなくなったころに、
銀行は私どもに何度も何度も来ます。来なければ
銀行に呼び出されます。そして、もうその
保険は財産
価値がない、早く解約をして
銀行に返しなさい、残った債務はお嬢さんが保証人として三十年ローンで返しなさいということでした。私は、死亡したときに返せばよい、そのときに返せるというお話でしたということでお断りしました。でも、
銀行は非常に厳しい迫り方で返済を迫ってまいりました。そのときに私は、では私ども夫婦が今ここで死ななければ返せませんということまで口にしました。
銀行は何と言ったでしょう。それはそちらでお考えくださいということでした。非常に非情なことでございます。私は死をも考えました。でも、娘のことも考え、思い直して私は
銀行とお話をしようとしましたけれども、
銀行は受け付けません。
そして、裁判に持っていくことになりました。提訴して三か月目に、代位弁済という生まれて初めて聞く言葉です、されました。それはダイヤモンド
信用保証
会社というところでした。これは私の勉強不足もあったと思います。
融資をされるときに、ダイヤモンド
信用保証
会社に百四十万払ってくださいと言われました。
信用保証
会社と言われるので私を
信用保証してくれるものと思いましたら、
銀行を
信用保証するという
会社でした。それも説明がないので、私の勉強不足と言うしかなかったということは後に気付きました。そして、そこから代位弁済され、三か月後に競売をされました。そのときの気持ちといったら、今でも本当に奈落の底に突き落とされた気持ちは私ども夫婦は非常に
銀行に持って、憤りを感じます。
でも立ち直って、闘わなければといって、ここ八年間は一生懸命裁判で頑張ってまいりました。そして、地裁で全面敗訴でございます。その
理由の
一つは、
保険が解約されていないのであなたの損は、損害は分かりませんということでした。ほかにも間々あります。
銀行は
信用できるけれどもあなたは
信用できないということで、私が小学校三年しか出ていないことも
信用していただけませんでした。あなたにそれだけの納税をする力があればそれだけのことは分かっただろうということも言われました。でも、負けずに控訴しました。弁護団も頑張ってくれました。そして、高裁では、一部勝訴ですけれども、後に話しますけれども、これが欠陥商品である、そしてその欠陥商品であることと、相続税対策には不適合だと、不適格だということも言われました。本当に、私たちが初めからこの
保険は、変額
保険は欠陥商品であると言い続けた八年間がそこでやっと報われた思いがしました。
でも、皆さん、ここで私が死にたいと思ったと同じように、変額
保険加入した方は悩んで自殺をされた方もあります。被害者の会に入っていた人だけでも今までに五人は自殺をされています。私どもはこの変額
保険を早死に
保険と言っております。でも、早死に
保険ではないんです。初めにリスクを言ってくれれば
融資も受けませんでした。でも、本当にこの
保険は、今でも死ななければ私どもの債務はなくならないんです。金額によっては、死んでも払い切れない、それが孫子の代まで残るということもあります。
そして、私がこの
保険に
反対することは、この
保険業務、
保険業法の一部とされています
保険の予定利回りを切り下げられることによって死亡
保険金も減額されるおそれなしとは言えないのです。もしこの
引下げがすべての
保険に
適用されることになりますと、私たちの将来も甚大な影響を及ぼすことになります。一同憂慮を深めております。
本当に私たちはこの変額
保険で長年苦しめられております。バブルの時期に
銀行、
生保の提案
融資により販売された相続対策として
融資一
体型変額保険は、その販売における違法性が問われました。それは、さきに申しました裁判においても一部それらが認められ、また、昨年の東京高裁第八民事部での判決では、相続対策として不適切な商品と判断が下されました。それゆえか、一部の
銀行の競売が強行されている一方で、多くの案件が裁判における和解あるいは任意の交渉における合意に至るようになりました。
しかしながら、案件の多くは、変額
保険を継続させ、将来の死亡時に支払われる死亡
保険金に質権を設定し借入金の返済をしている
ケースが多いのです。死亡
保険金を
銀行への主なる返済資金としておることが条件になっております。したがって、将来予定利回りの
引下げが行われますとこの前提条件が崩壊し、深刻な被害を引き起こすことになります。ようやくたどり着いた和解に至るまでの血のにじむような苦しみを、これから高齢者にとって耐えられない仕打ちと言うほかありません。
私たちは、予定利回り
引下げを到底許すことはできません。認めることはできません。是非、私たちのこの変額
保険、これをいま一度思い直していただいて、利回り
引下げを是非されないよう、私、お願い申し上げます。
どうもありがとうございました。