○平野達男君 国連の平野です。前回に続いて蓋然性の話からスタートして、今日も議論をしたいと思います。
蓋然性というのは、前回も言いましたように、
可能性若しくは公算性あるいは確率というような類語があるというふうにお話をさせていただきました。私の問題点は、この蓋然性というのは、前回の議論でもありましたけれ
ども、五年先あるいは十年先の長期を見通したときに、一応今ある条件で、こういう条件で推定すると
破綻の
可能性があるというその
可能性を言っている。それが本当に正しいかどうかというのはこれは分からない。にもかかわらず、今のこの
法律のスキームでいきますと、その現在の段階の
判断だけで
予定利率の
引下げという事実を固定化してしまうということなんです。
これはどういう問題が出てくるかといいますと、
予定利率を下げた場合と下げていない場合については、当然その中に経費の差が出てきます。
例えば、ある
保険会社の中で
予定利率を引き下げた
契約者が全体の二〇%ありました。それが最後、一律三%まで下げましたと。そうすると、下げる前と下げないとの場合において、
保険会社が支払わなければならない
保険料の差が出てきますね。これ逆に一千億とします。じゃ、この一千億というのは何かといいますと、
保険会社にとってみれば、その一千億をもらって、
破綻を回避するための財源ができたということですね。で、その財源はだれが
負担をしたかというと、
予定利率を引き下げた
保険契約者です。この構図はよろしいですね。
そうすると、
保険契約者は、仮にこのスキームに乗ったときに、
自分が
契約の
予定利率を下げたときに下げた分のお金は何に使われるだろうか、それは一〇〇%その当該
保険会社の
破綻することを防ぐための費用に使われるという前提でこれは承知するはずです、仮に承知したらですよ。
ところが、先ほ
ども言いましたように、蓋然性というスタートからしていますから、実は景気がどんどんどんどん良くなって、十年後でたってみたら、
予定利率の
引下げなんて全くしなくてもよかった、あるいは三%まで下げたんだけれ
ども実は四・五%まででよかったといった場合に、じゃ、先ほど言いましたように、私、一律三%まで下げたときに一千億の財源が出てきました、これどこへ行くんですかということに対する答えが、これ何にもないんですよ。
で、これは端的に言えばですと、だから、例えばその一千億という経費が仮に財源としてもらったときに考えられるケース、三つあるんです。全部使われましたと、これ概念的な話ですよ、それから一部使われました、それから全部使われませんでした。
全部使った場合には二つのケースがあるんです。結局、足りなくて
生命保険は
破綻しましたというケースがありますね。それからあと、ぎりぎりですから、辛うじて
生命保険が存続することができましたと。
それからもう
一つ、一部使われたときは、これは完全に残りました、だけれ
ども全部使っていませんと。一千億のうち五百億だけ、概念上ですよ、使ったとしますと、五百億残りましたと。
あと、最後の三つ目のケースは、物すごい景気が良くなって、実は何も要らなかったんだといったときに、一千億残るんです。
このお金をどういうふうにするか。前回の議論の中では、これは自治機能に任せて、配当で還元しますよと言っているんだ。そんな話じゃないんですよ、これは。この問題は、もし、
保険契約者と
保険会社の中で
破綻を防止するための経費で使いますよということで約束でやるんですから、それを使わなかったら、絶対返さなきゃ駄目なんです。そのスキームをこの
保険契約のこの今回の
法律の中には全く用意していない。
これを悪く解釈しますと、要するに、一千億というやつが要するに財源としてもらったと。景気が良くなったんで
保険会社は全然それに使わなくてもよかった。だけれ
ども、定款でもし何も定めてなかったら、
保険会社、それで丸もうけですよ。それを防止するために自治機能があるんだというけれ
ども、私は、一番最初に戻りますけれ
ども、
保険契約者なんてこんなの分かりっこないんだから。
私は、それからもう
一つ、
保護という言葉を使っているけれ
ども、これも真っ赤なうそですよ、私に言わせたら。
保護というのでなくて、これは
契約者の
予定利率を引き下げるでしょう。下げた人はコストを払っているんだから、何がそれで
保護ですか、これの。
保護というのであれば、
予定利率、
契約者が十人、千人いて、下げる人と下げない人がいますよね。下げない人は
保護かもしれません。だけれ
ども、下げた人は立派なコストを払うんですよ。だから、これは預金者
保護なんて、ここでは全くうそ。ここに物すごいごまかしがありますよ、これ。
だから、これはコストベネフィットでちゃんと一応の応益の
負担をさせているんですから、このスキームは。だから、これは
保護じゃなくて、預金、
契約者全体に一律の
負担を求めて、
保険会社を要するに
破綻から防ぐためのスキームなんです。だから、スタートからしておかしいですよ、これから。
まず、その前に
一つだけお伺いしますが、
一つの想定として、
予定利率を下げた場合と下げない場合について、そこに経費の差が出て、それが潜在的に経費の差が出て、
保険会社に一応帰属されるわけです。それを使わなかったときの経費というのはどうなりますか、それは。まず、それを一点まずお聞きします。