○椎名素夫君 この
議論ずっと伺って聞いておりましたけれ
ども、本当にだんだん分からなくなってきたですね。今まで随分いろいろとまずい事が起こるたびに聞かされた話とまた大体同じお話で、これについてはしっかり
議論しております、利口な人を集めてやっているという話と、それから、何か例えば
経営の話になると、健全化計画というのをしっかり出させて、それをフォローしてやりますと。毎回同じで、これ二年、
小泉内閣の前からいえばもう十年ぐらいこういう話というのは聞いて聞いて、そのうちにもう
一つのあれですね、ちゃんとましな
企業なんというものは、創立から始めて大もうけして、人に売っちゃってにこにこしているというのもあるぐらいの期間、駄目なのがずっと続いて、それ、どういうわけでしょうね。
私、思うんですが、実は近ごろ、最近、ノーベル賞もらったあの小柴
先生のお話を聞く機会があった。これから研究者になりたいという人に何かアドバイスないかという話聞かれたら、小柴
先生がいわく、とにかく自然科学やるんだったら
自分の目で自然をしっかり見なさい、偉い
先生が言ってもその言葉をかりてその解釈をやっちゃいけないという話をしました。全くそのとおりだと思うんですね。彼が例として挙げたのは、子供のときに、ハトが、伝書バトを向こうまで持っていって、五百キロ先からちゃんと帰ってくると、これはどうしてだろうと思って理科の
先生に聞きました。そうしたら、いや君、実はハトには帰巣本能というのがちゃんと備わっていて、だから帰ってくるんだよと、五百キロでも六百キロでも。言われて、なるほどそういうものかと思って納得したような気持ちになったけれ
ども、
考えてみたら何も分からなかったということは、彼にとって非常に大きな経験だったという話なんです。
これ、
日本の
経済がおかしくなってから十年、失われた十年というような話ですが、ずっと聞いていると、大体我々、いい加減な言葉をかりてきて、それでそのやり取りをやって分かったような気にお互いなりながら十年を過ごしてきたんじゃないか。現実はどんどんどんどん悪くなっているんですね。そういう気がしてしようがないですね、最近。
例えば、構造
改革なくして成長なしというような言葉がありますが、一体これ何のことだか分からない。確かにそうなんです。リストラクチャリングをやらなきゃ
企業だっておかしくなるんです。ところが、それを全部また拡張したのかと思ったら、そうでもないんだな。民間の偉い
経営者とかあるいは学者の幾分もおられますけれ
ども、民間は身を削っていろいろやっているんだと、だから
政府もしっかりやらなきゃいけない、政治家もしっかりやらなきゃいけないし、行政もしっかりやらなきゃいかぬと。何だ、税金を無駄遣いばっかりしてと、こういう話になる。居丈高に言うわけですよ。
だけれ
ども、民間の
会社というのは、
日本の
会社でも
アメリカでもそうですが、少しばかり恥を忍べば余計な人員は首にできるんですね。そうすればもうオーバーヘッドがなくなってぱっと楽になっちゃって生き延びられる、立派な再生ができるわけだ。しかし、国となると違うんですね。
私、あの土光臨調のときも、やたらに何か偉いと言われる人たちが威張り腐って、自民党に来ましたよ、政調会に。諸君、政治家は頑張ってもらわなきゃ。私は言ったんですが、
一つだけ覚えておいていただきたいことは、あなたの
会社の社員は首にできるけれ
ども、国民というのは首にできないんだよと言ったんですよ。
日本国民を辞めてくれと言って、余剰人員が例えば三千万人いるから、それどいてくれというのは、北朝鮮じゃあるまいし、できないわけだ。そこのところの区別が付いていないんですね、これ、結局。構造
改革とかなんとか言っているけれ
ども。
しかし、思い返してみると、小泉さんはなぜ自民党の総裁になったかというと、あれ二年ちょっと前ですか、総裁選挙というのをおやりになりましたね。四人候補が出て彼はそのうちの一人なんだ。あとの三人の演説は良き自民党総裁たらんという演説をやった。小泉さんだけは反自民党演説をやったんですよ。それでみんな国民は、百三十万人が党員の数でしょう、一億二千万マイナス百三十万人の人までが
自分もやったような気持ちになっちゃって、いまだにそのイメージがずっと続いているというのがこの状況です。そして、とにかく今までとは違うことをやるんだとおっしゃったその延長線上の行動として、竹中さんを任命したというのがあるわけだね。
あの
内閣ができたときに私は
内閣委員会で五人の特別のあの担当
大臣の方に
質問をしたんですが、また例によって茫漠たること言いましたけれ
ども、そのとき皆さんがいろんなことをおっしゃったけれ
ども、竹中
大臣は、私は政治家じゃありませんからもう信じたことは断固としてやりますと、こうおっしゃった。そうなんだろうと思うんですけれ
ども、どうもやっぱり同じことを繰り返しておられるような気分を少なくとも国民の大多数は持っている。それで、自民党の方も持っておられるようでありまして、それで今度の話に戻りますけれ
ども、大変なものを抱え込んだというのは、浜田
委員もおっしゃったけれ
ども、そう思うんです。
これはある
意味では、何を切り捨てて何を救うかということの
一つの重大な試金石になる。
日本全体を首にしてリストラをするというのは無理だけれ
ども、そのうちの何を救うかと。
企業をみんな救っちまおうと思ったら、これは社会主義になるしね。だから、やっぱり駄目な
企業は退出してもらわなきゃいかぬということを思っておられるんだろうと私実は思っておった。
それから、ツービッグ・ツーフェールということはありませんよということをおっしゃって、後で取り消したか何か忘れたけれ
ども、そういうことが出てきたということは、やっぱりそこのところはある程度割り切ってお進みになるのかなと思っていたけれ
ども、どうもそうでもないところも見えておりましたが、今度はこれすごいチャンスになっちゃった。二兆円か何か抱えて、初めての実験でしょう。ところが、さっき伺っていて、田村
委員の御
質問に対して、伺っていてちょっとがっかりしたんですが、やっぱりはしの上げ下ろしは向こうの話だと。こういうときには、はしの上げ下ろしに失敗したからあんなことになっているんでしょう。
会社がおかしくなるっていうのはそういうものなんですよ。
だから、本当にやろうと思ったら、例えば、乱暴な話かもしれないけれ
ども、これはおもしろいですよ、大実験でこんなことは
世界でも余りできない。
大臣、ちょっとしばらく
大臣、休暇もらって御自身でおやりになってみたらいいと思うんです。だって、それは私は
経営やったことないなんというのは駄目です。なぜならば、渋沢栄一だって、そんなことやったことないのが、あれだけのことを明治の最初にやった。そんな例はたくさんある。こんなチャレンジングなことないんですよ。そう思っているような人を見付けて、御自身なら一番いいんですが、それをそこに据えるということをやらない限り、また同じことを一年経ってもおっしゃらなきゃならないようなことになるだろうと、私は相当確信を持って予言できるんじゃないかと思っております。
別にお
答え要りませんので。時間もあれですから、これでおしまいにいたしますが、何かコメントがありましたらどうぞ。