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2003-04-23 第156回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年四月二十三日(水曜日)    午後零時四十五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 俊男君     理 事                 鈴木 政二君                 脇  雅史君                 山下八洲夫君                 森本 晃司君                 大江 康弘君     委 員                 岩城 光英君                 沓掛 哲男君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 池口 修次君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    参考人        筑波大学社会工        学系教授     石田 東生君        社団法人日本自        動車連盟(JA        F)理事公益        事業部長     林  広敏君        ジャーナリスト        前特殊法人労連        事務局長     堤  和馬君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○本州四国連絡橋公団債務負担軽減を図る  ために平成十五年度において緊急に講ずべき特  別措置に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  本州四国連絡橋公団債務負担軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、筑波大学社会工学系教授石田東生君、社団法人日本自動車連盟JAF理事公益事業部長林広敏君及びジャーナリスト・前特殊法人労連事務局長堤和馬君の以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、石田参考人林参考人堤参考人の順序でお一人十五分程度意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。  なお、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。  また、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。  それでは、まず石田参考人にお願いいたします。石田参考人
  3. 石田東生

    参考人石田東生君) 筑波大学石田でございます。  二つの法案についてこれから意見を順に述べさせていただきます。  まず、本四公団債務軽減についてでございますけれども、まず本四架橋整備効果についてどう考えるかということからお話しさせていただければと思います。  本四公団平成十二年の推計によりますと、本四道路整備効果は、直接効果、時間短縮、走行経費の節減、事故減少だけで年間二千五百億円に達しているという推計がなされてございます。これを四十年間にわたって総計をいたしまして、その同期間の費用との比率、一般的に費用便益分析と申すものでございますけれども、その費用便益比を計算いたしますと一・七ということでございまして、費用以上に社会的に国民経済的に便益が出るという、そういう想定が、推定がなされてございまして、妥当な推定だというふうに考えております。ですから、国民経済的には非常に有用なプロジェクトであろうと言って差し支えないと思います。  この直接的な便益のほかにも、地域経済向上あるいは工場立地観光開発という地域開発効果とか、陸続きになる、本四のそもそもの経緯はあの紫雲丸事故でございましたけれども、そういう安心感とか災害時のリダンダンシーの向上といったこと、及び今でも世界最長の橋梁でございますけれども、その架橋技術など多くの効果をもたらしております。うまく維持運営すれば、先ほどは四十年間というふうに申しておりましたけれども、それをはるかに超える長期間にわたっての効果が期待できます。例えば、有名なサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジはもう八十年にもなりますけれども、立派な観光資源としてあるいは地域の大動脈としての効能を保持しております。ですから、国民的資産としての本四道路を健全に維持運用活用していくということは我々の義務であろうというふうに思います。それは、うまくするためには、今、料金が非常に高いということが言われておりますけれども、そのことによる、投下した資源がうまく活用されていないという現実がございます。そういうことを考えていきますと最大限の料金値下げ努力が必要であろうという、そういう側面もあると思います。  ところが、先生方承知のように、本四経営状況収支状況は非常に厳しいものがございます。十三年度では、八百四十億円の収入に対して支出が千五百億円、管理費が二百五十億、利払い費が千二百五十億円などとなっておりまして、債務が止めどなく増えていく、そういう状況にございます。国民的資産としての本四道路を健全に維持活用していくためには経営を将来的に安定させるということが極めて重要でございまして、そのために債務軽減策は非常に重要であろうというふうに考えております。  一・三兆円を切り離すというあの案でございますけれども交通量の伸びを見込まないとか、将来の調達金利は四%と、現況のものにかなり高めの想定になっていることとか、いろいろ安全側想定がなされておりまして、妥当なものだというふうに考えております。  ですから、本法案は、本四道路活用維持にとって極めて重要でありまして、私といたしましてはこの本法案賛成をいたしたいと思います。  二番目の大きな問題でございます。  民営化の暁に、なかなか経営が苦しい、採算性の厳しい高速道路をどうするかということで、新直轄方式という言葉で提案されておりますけれども、そのことについて意見を述べさせていただきます。  まず、高速道路ネットワーク及び高速道路をどう考えるかということでございますけれども、私は、高速道路ネットワークは国の最も基幹的なインフラでありまして、国土計画観点からも国が責任を持つべきであろう、そういうものであるというふうに考えております。民営化は特に欧州において非常に進んでおりますけれども、それは民間会社に建設、運営を委託しているだけでございまして、高速道路政策はすべて国の責任とされているものでございます。  また、高速道路はどれだけ造るべきであろうかということで、ナショナルミニマムとかシビルミニマムという概念がいろいろ提案されております。ナショナルミニマム論提案自体は非常に古うございます。ナショナルミニマム論というのはもう概念が古いから数値自体を余りきちんと議論されていなかったようなふうにも思います。例えば、四全総で一万四千キロメートルのことを議論されたときに、一つの目標として、全国の都市、農村地区からおおむね一時間以内でICに到達できる、そのようなところを目指そうというふうな、これは立派なナショナルミニマム数値で表したものだというふうに考えます。ところが、例えばPHP研究所が二〇〇一年に公共事業リセットプランということを提案されたときに、道路におけるナショナルミニマム舗装率九〇%であるという、こういう御提案をされております。このように、ナショナルミニマムとは何なんだろうか、あるいは数値はどう設定すべきかということには相当の乖離がございまして、その辺をどう議論するかということは非常に大事な問題であろうというふうに思います。  ナショナルミニマムから考えまして、まだまだ高速道路整備していくことが必要であろうというふうに私自身は思っております。その中で、有料道路方式によって随分日本の国は高速道路整備してきたわけでございますけれども、七千キロメートル以上の高速道路ネットワーク整備をしたことは非常に立派なものだというふうに思います。しかし、右肩上がりの時代ではもうございませんし、経済全体がデフレ傾向にありまして、料金割高感国民の中に非常に蔓延していること、あるいは今後の整備予定路線では単独では採算性確保が極めて難しいことなど、今までの制度で本当にいいだろうかということは、限界を迎えていることも事実でございます。そういうことを踏まえて道路関係公団民営化推進委員会で盛んに議論されたわけでございます。  同委員会の討論は全面的公開されておりましたし、あるいは現状問題点指摘などによって国民的関心を喚起したこと、あるいは料金引下げ重要性指摘、高コスト構造指摘とか、あるいは需要予測問題点指摘など、非常に重要な提案をされているというふうに考えております。しかし、最後の方で、十年を目途に新会社高速道路保有機構から買い取り、高速道路そのものを完全に民有化すべきであろうという議論には、私自身としては若干の危惧を覚えております。  その理由といたしましては、何度も申しておりますけれども高速道路は最も基幹的な社会資本であります。したがって、採算性は悪いが、地域政策実現手段として、あるいはネットワーク連続性や拠点との連結性確保のために、あるいは大都市における環状道路などのように必要の高い路線は、社会資本の定義が正に私的動機にゆだねると著しくその供給が不足するという、そういう性質を持っておりますから、完全に民有化をすると正にそのことが実現してしまうんじゃないかというおそれが第一番目でございます。  実際、フランスの高速道路民営会社でありますコフィルート社とかイタリアのアウトストラーデ社というのは整備に積極的ではなくて、公的債務を果たしていないんじゃないかという批判もされてございます。  あと、二番目の問題といたしましては、国民共有の財産を使用しての利益追求というのは本当に許されるんだろうかというふうにも思います。あるいはそのことについての国民的合意が既に存在しているとはとても思えません。あと、完全民有化された場合の公租公課負担とか巨額の債務の借換えのための資金調達が困難であろうことが予想されまして、新会社経営の難しさも予想してございます。  そういう中で新直轄方式提案されているわけでございますけれども、少ない国民負担の下で整備必要性の高い路線早期整備は、いろんなことを考えますと有料道路方式だけではほとんど不可能であり、これを達成するためにはいわゆる新直轄方式と従来の有料道路方式との併用が必要であろうかと思います。地域負担を要請することが重要な要因として含まれておりますけれども必要性に関する地域の厳しい評価とかあるいは構造形式に関して費用削減をどう図っていくかというふうな議論を喚起するという面でも効果が期待できます。  以上から、本法案には賛成をいたしております。  ただ、新直轄方式運営に向けて幾つかの問題点があろうかと思います。  まず第一番目は、新直轄方式としてどの路線をするのかということの採択基準明確化をすることが何よりも必要だろうと思います。このことについては、科学的、客観的な国民へのアカウンタビリティーをきちんと果たせるような論理と基準による評価が不可欠であろうというふうに思います。  あと、二番目は、料金政策が多様であるべきであるということでございます。直轄は無料、有料道路方式有料ということになりますと、そういう単純な二分法では不公平感が出てくるというのはあるんじゃないかなというふうに思います。国民の総負担軽減負担公平性という観点がこの際非常に重要になってきておりまして、地域特性利用状況に応じた柔軟な料金設定考えるべきであろうというふうに思います。しかし、もう既に四十兆円を超える債務があるわけでございますから、その債務をどうするかということも大事な問題でありまして、料金は安いにこしたことはないんでございますけれども、そのことについてもきちんとした検討が必要であろうというふうに思います。  あと料金引下げに絡みまして、費用削減努力が何よりも求められるところでございます。このためには、多様な構造形式を柔軟に地域が採択できるという、そういうスキームが必要であろうかと思います。車線数適正化とか、ETCの活用によるインターチェンジのコンパクト化と増設とか、横断構造物削減などが必要であろうというふうに思います。  あと地域負担をお願いする、あるいは地域から必要性議論を是非高めていただくということをきちんと行うためにも、その地域あるいは市民との対話が必要であろうというふうに思います。最近では積極的な情報公開もなされておりますし、パブリックインボルブメントもますますきちんと導入しようという動きでございますけれども、このことも非常に重要であろうというふうに思います。  最後になりますけれども、今の本四債務切離しあるいは新直轄方式検討についても、基になるのは需要予測でございます。本四架橋が正に問題になっておりますけれども、その需要予測に実際との乖離があることは事実でございます。このことは、私も需要予測専門としておりますので、きちんと反省しなくてはならないというふうに思います。  そういう意味で、需要予測手法の更なる高性能化考えるということは重要であろうと思いますけれども、それだけでは事が済みませんで、前提条件人口経済の動向など高速道路政策範囲外与件条件と、料金政策整備計画などの政策の中にあるものの二種類があろうかと思いますけれども、どういった前提条件だからこういう数字になるんだよという、そういうワンセットの考え方が必要であろうかと思います。いろんな前提条件の下で推計をいたしまして、最終的には意思決定をされる方がある幅で需要を決めるという、そういうことが説明責任を明確にするためにも必要であろうかと思います。  昨年見直された需要予測結果は、経済の低成長とか人口減少高齢少子化を加味したものとなっておりますけれども、正にこれから日本が大きく変わろうとしている中で、経済社会情勢の変化によって予測結果を見直す、そういうローリング方式をどう採用するか。あるいは、それを採用したときに、需要予測の誤差、これは過大予測過小予測の両方があろうかと思いますけれども金利の見通し、時間管理なんかを重要な要因とした、きちんとした、プロジェクトリスクマネジメントをきちんと行うということも非常に重要なポイントであろうと思います。  以上でございます。
  4. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ありがとうございました。  次に、林参考人にお願いいたします。林参考人
  5. 林広敏

    参考人林広敏君) まず、本日の国土交通委員会におきまして、参考人として意見を述べさせていただく機会を賜りましたことを厚くお礼申し上げます。  私は、自家用乗用車ユーザー団体である日本自動車連盟JAFの者として、自家用乗用車ユーザー立場から、このたびの法案に関連いたしまして、道路特定財源制度並びに関連する自動車税制を中心に意見を述べさしていただきたいと存じます。  御参考までに、私どもJAFは昭和三十八年四月に創立され、つい先日四十周年を迎えたところでありまして、平成十五年三月末、つまり先月末でございますが、の会員数は一千七百一万四千八百四十九名となっております。  最初に、ユーザー意識調査税制改正要望について述べさしていただきます。  私どもは、過去二十年以上にわたりまして、毎年、政府予算の編成時期に合わせまして自動車税制に関連した自動車税制に関する要望書を全政党、全会派国会議員先生方提出させていただき、要望を申し上げてまいりました。平成十五年度の税制改正に関しましても、既に昨年九月から十月にかけまして税制改正に関する要望書を同じく全政党会派提出要望を申し上げてきました。  私どもは、この要望書をまとめるに当たりまして、可能な限り自家用乗用車ユーザー考えを反映したいと考えまして、一昨年からインターネットによるアンケート調査を行いまして、その結果を活用いたしております。対象は、私どもJAF会員自家用乗用車をお持ちの方々で、会員とそうでない非会員との比率は、一番新しい調査でおおよそ四五%対五五%となっております。  ただ、一般道路高速道路などの道路整備状況や関連する税制通行料金に関しましては、その時々の社会情勢マスコミ等論調によりまして幾分のぶれが出ることも確かでございます。この点も十分に配慮する必要があるかと思っております。このことは、インターネットというものが極めて迅速に処理を行うことが可能な手段である反面、ある瞬間瞬間におけるユーザー考えを切り取り出すため、その直前に顕在化したマスコミ論調等に敏感に反応するおそれもないとは言えないわけでございます。  このアンケート調査ですが、ほんのささやかな懸賞を抽せんによって付けてはおりますが、毎回わずか八日間程度で一万人強の回答が寄せられることからも、むしろ本質的な部分で国民自動車税制関心の高さがうかがえる、自家用乗用車生活必需品としてすっかり庶民の日常生活の中に溶け込んでいる証左だと思っております。  ここでは、一つ一つアンケート数字というよりは、幾つかのアンケートを行った結果の傾向で述べさしていただきたいと存じます。  まず、自家用乗用車ユーザーのこのアンケートへの関心の高さこそは正に高額の税負担に苦しむ姿の表われであり、大半ユーザー自動車税制抜本的改革を求め、なかんずく税負担軽減を求めているのであります。特に、現下の厳しい経済不況の下で、生活費の中からこれ以上削りようのない税金に対する不満でもあります。  このような状況の下における税制改正であったため、改正期を迎えておりました道路特定財源制度については殊のほか関心が高く、特に本則税率のおおよそ二倍までに達している暫定税率について、まず本則税率に戻すべきとの意見が多くありました。大変残念なことに、この点の主張は認められず、結果は御承知のとおりでございます。  次に、道路特定財源制度暫定税率について述べさしていただきます。  自動車には、御承知のように、購入段階保有段階使用段階の三段階に分かれて九種類税金が課されており、その総額はおおよそ九兆円に達しますが、そのうちの六種類、約六兆円はいわゆる道路特定財源であります。近年、公共事業がいろんな形で無駄が多いとの批判を受けておりまして、中でも、道路整備高速道路を含めて、その無駄の権化のように言われてまいりました。そして、これらの批判に呼応するがごとく、道路特定財源一般財源化して、全く道路整備とは無関係にして一般税収とすることや、道路整備とは異なる目的や用途に流用しようという動きが顕在化してまいりました。納税者である我々ユーザー立場は一体どう考えていただけるのでしょうか。  過去、多年にわたって道路整備財源が不足するたびに、暫定税率の導入によって次々と増税が繰り返されてまいりました。しかも、繰り返されるたびごとに自家用乗用車に対する不公平な扱いは拡大されてきたのであります。この問題のある暫定税率をそのままにしておいて他に使おうというのですから、ユーザーはしんから怒ったわけであります。これまで我が国の道路整備大半を我々ユーザーの過酷なまでの税負担通行料金負担とで整備してきたにもかかわらずであります。その道路整備に対するバッシングの勢いでもって我々ユーザー負担までをターゲットにして取り上げようとするのですから、いかがなものでしょうか。もし道路整備は一段落付いたとするのであれば、何にも先駆けてまず真っ先に納税者に対する信義を重んじて、暫定税率本則税率に戻すことによってユーザー負担軽減を図るべきではないのでしょうか。私ども主張もこの点にありました。  次に、道路整備に対する自家用乗用車ユーザー意識について述べます。  自家用乗用車ユーザーは、道路整備に特化したアンケート質問においては、まだ道路現状に満足はしておらず、多くの不安を抱いております。つまり、まだ整備は必要であるとのスタンスであります。また、高速道路についても、道路整備等の見直しこそ必要としながらも、大半方々が今後とも更なる整備が必要であると答えているのであります。  他方、税負担との兼ね合いで道路整備必要性について伺いますと、道路整備は一段落付いたとして、何よりも負担軽減を求める意識となって答えが表れてまいります。高速道路整備につきましても、全体的に見直しつつ、つまり料金はこれ以上引き上げるのを避けつつという意味でしょうが、今後とも一層の整備が必要であると答えているのであります。  このように、揺れ動く自家用乗用車ユーザーの複雑な心境を総合して推察しますと、一般道路を始め高速道路を含めて道路整備はまだまだ必要であるが、何にも増して自動車に関連する税金高速道路通行料金が高額な負担であるため著しく家計を圧迫しているため、とにかく今現在の高負担を少しでも軽減を図ってほしいというのが自家用乗用車ユーザーの偽らざる心境ではないかと考えております。  この辺りの個々のユーザー意識面における温度差とでも申しますか、これは、恐らくその地域における道路整備一般道路高速道路整備状況を始め、実生活面における困窮の度合いにもよるものと思われます。このことから、一方のみを取り上げてユーザー意見とするにはいささか問題があるではないかというふうに思っております。  ところで、一般的に自動車ユーザー税負担には、税金としては一般税目的税とに分かれ大変複雑なわけですが、これとは別に高速道路通行料金などが加わるわけで、個人の自家用乗用車ユーザーにとりましては、これらは一つの懐から出ているわけです。つまり、財布は一つなのであります。自分の車庫から一歩外へ出ますと、家の前の道路高速道路を含めて全国へとつながっているのでありますから、一体的に考えるのは当然であります。  なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、さきに述べました道路特定財源につきまして、自家用乗用車ユーザーは、一般財源化や他の目的に使うくらいなら高速道路そのもの整備への投入を始め、通行料金引下げのためや道路に関連したまちづくりなどに使うことを容認しておりまして、絶対に他に使ってはならないという意見をかなり上回っているのであります。その意味で、自家用乗用車ユーザー道路というものを一体的に考えており、税金の使途についても事道路である限り寛容でございます。現在、審議なされているこの法案につきましては、自家用乗用車ユーザー意識がこの点で大いに関係しているのかなと考えるところでもございます。  次に、自家用乗用車ユーザー税負担について述べます。  自動車には九種類税金が課されており、その総額が九兆円に達すること、そのうち六種類、六兆円が道路特定財源であるということはさきに述べました。デフレ経済下の大不況の下で一般的に国の税収の落ち込みが激しい中にありまして、国民にとって節約の余地が極めて少ない自動車に関連する税収だけは依然として伸び続けておりまして、国全体の税収に占める自動車関連税収の占める割合は、計算こそ行っておりませんが、相対的に高くなる一方のはずであります。  しかも、問題なのは、これらの税金自家用乗用車に対して不当なまでに重く、加えて、結果的とはいえ、まるでその不公平で不合理な税制を覆い隠すがごとく複雑で分かりにくい仕組みになっていることであります。これらの経緯を振り返りますと、自動車税制に関しては戦後一度も抜本的な改革がなされることなく、道路整備計画とは密接に関連して増税や税率の変更が繰り返されてまいりました。言わば屋上屋を重ねたようになっているわけでございます。その結果、今では自家用乗用車に対する税金は先進国中ずば抜けて、言わば世界一と言っていいほど高くなっているわけでございます。いったん自動車税収を中立として、九種類の税を整理統合し車種別に税収の比較をすれば、不公平、不合理が明らかになると思っております。  私どもは、過去二十年以上にわたって税制改正要望を行った中で、常にこの抜本的な改革を訴えてまいりましたが、いまだ実現していないわけでございます。つまり、自家用乗用車に対する税制は、乗用車が奢侈品であった時代からの税制から抜け出ていないのでありまして、言わば戦後が続いているわけでございます。  先生方におかれましては、全国で世帯数を上回って普及し、おおよそ五千四百三十万台に及ぶ自家用乗用車ユーザーの置かれている状況を御賢察いただきまして、今後機会をとらえて政治の場において改革の道を開いていただきたいと、この場をかりてお願い申し上げるわけでございます。  さて、最後になりますが、税制に関するアンケートで大変気になることがございましたので、一言付言させていただきます。  道路特定財源一般財源化につきましてマスコミの世論調査が行われ、大多数が一般財源化すべきであるとの意見であったとの報道がなされたことがございます。私ども調査とは余りに懸け離れた結果であるため驚きまして調べましたところ、回答者としての対象は納税者たる自動車ユーザーに限定されたものではなく、運転免許さえ持たない方を含め広く一般を対象として行われた結果でありました。実際に納税していないにもかかわらず、よそから自分に関係するかもしれない分野に税金が持ってこられるとすれば、こんな都合のいいことはないわけでございます。一般の方々がどのような考えをお持ちであるかの参考にはなるかと思いますが、大変な誤解を世間一般に与えるおそれがございます。このような重大な問題は、やはり実際に極めて重い税負担をしている納税者たる自動車ユーザー意見考えを第一義的に尊重していただきたいと思った次第でございます。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ありがとうございました。  次に、堤参考人にお願いいたします。堤参考人
  7. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) ジャーナリスト・前特殊法人労連事務局長の堤です。  私、昨年六月の道路公団民営化法案、設置法案のときも参考人として陳述をさせていただきました。私の立場は経歴をごらんいただけば分かると思いますが、約二十年間、特殊法人に関係した労働組合の仕事をやってきました。そういう中で、今回で特殊法人の改革は四回目ということになったわけですが、その経過を見ながら、特殊法人改革はどうあるべきかというような観点を含めて今日の議論に参加していきたいというふうに思います。  まず、小泉政権の特殊法人改革についてなんですが、これまで数回行われてきた特殊法人改革では、どこかとどこかの法人を統合するというようなやり方で特殊法人の数を減らしていくということが非常に先行してきました。村山政権、九四、五年に改革をやりましたけれども、ここでも相当な数は減っておりますが、実態的には中身はほとんど同じ形で残っていると。その後の橋本政権のときの改革についても基本的に大きな変化はないと。  今回の中で非常に特徴的だったことは、中央省庁の再編の議論の中で出てきた独立行政法人いうものに特殊法人を変えていくということが大きな道筋だったのではないかというふうに思います。その中で、やはりこれまでの政策がない見直し、統合、独立行政法人化というものが大半を占めております。廃止が幾つ、独立行政法人化が幾つ、数はいろいろ出ておりますが、実態的に見れば二つの事業を一つの法人に統合しただけにすぎないと。そのまま独立行政法人になったところもあります。でも、この独立行政法人が本当に独立して特殊法人の弱点を克服するものであるかどうかというのは、この後、本四架橋のところでちょっと述べたいと思います。  しかしながら、非常に今回の改革は特徴がありまして、特に今苦境にあえぐ大銀行、大ゼネコンなどに対して非常に政府の側から政策的な援助を行ったということが言えるような内容の改革が行われました。住宅金融公庫の住宅債権の証券化、また都市公団の都市再生事業への重点化といいますか、は特にこういう側面が強いのではないかと。特に都市公団の都市再生事業について、昨日早くも六本木ヒルズの、十チャンネルでやっておりましたけれども、つい四、五年、二、三年前まで多極分散型の国土の形成ということが言われて、片方で一極集中の是正だということが言われて首都機能移転まで話し合われていた、それが突如、政策を転換をして都心に超高層の大ビルディングを次々と造っていくと、こういう政策をやれば当然更に一極集中が進むはずだというふうに思うわけです。  私どもは、特殊法人の本社というのは十年以上前に、竹下政権のときでしたか、本社を全部地方に移転しろということが言われて、ほぼ十数年たって完了を今しようとしております。片方でそういう一極集中是正のためのことがやられながら片方で集中させるようなことをやるというのは、非常に政策的な矛盾が大きいのではないかというふうに思います。  もう片方で、国民生活という点から見れば、賃貸住宅の政策から撤退するとか、奨学金の返還免除制度が縮小されるとか、国民金融公庫の補給金がカットされるとか、国民生活センターの機能が縮小されるとか、また住宅金融公庫の長期、固定、低利の融資事業からの業務の縮小などが行われて、国民生活にとっては更に厳しい状況が生まれているのではないかというふうに危惧をしております。  また、この改革の中で、なぜこれを特殊会社にするのか、また、なぜこれを民間法人化するのかと。民間法人化というと、新聞報道では民営化等で特殊会社や株式会社になることを指しているように見えますが、実態的にはほとんど特殊法人や認可法人と変わりはないわけですね、政府が関与するかどうかしか違いはないと。また、独立行政法人化、そして今回の改革でも特殊法人で残るもの、認可法人で残るものもあるわけです。そういう点からいうと、行政機構を簡素で透明化するということを標榜して行政改革を行っているわけですが、結果としては行政の複雑化を招いているのではないかというふうに思います。  そして、この改革の中で特殊法人への補助金を一兆円削減したというふうに小泉首相は胸を張っておりましたけれども、今回の本四公団への債務肩代わり、また直轄高速道路、またその他独立行政法人になったところへの交付金などを含めると、この一兆円は別の形でほかのところへ投入されているということになるのではないかと。そういう財政効果という点から見ても、決してうまくいったとは言えないのではないかというふうに思います。  次に、道路四公団の民営化についてです。  これも前回、参考人で来たときに申し上げましたが、これは二〇〇一年の十一月、小泉首相と古賀自民党前幹事長との会談で、償還期間五十年で民営化するということと、古賀前幹事長の方は一万四千キロは譲らないということで政治決着をしているわけです。ですから、民営化委員会が幾ら頑張ったとしても高速道路政策全般についての見直しはできないわけです。  私、よくマスコミの人からインタビューされたりするときに、いつもこう言っているんです。高速道路政策を見直すという試験があったとする、これは裏と表と五十点ずつある、しかしながら道路公団民営化委員会がやれるのは元々五十点しかないんだと。  ということで、私はこの民営化委員会意見書はやっぱり民営化するための意見書であって、高速道路建設計画全体の見直しではないと。そして、この新しくできる会社採算性を優先すると。また、株式を上場すれば当然料金は永久に有料化するであろうし、不採算のところについては国民負担で建設をしていくことになるだろうと。そしてまた、完全に民営化することによって、ファミリー企業などの問題、また高速道路の建設計画の在り方の問題を含めて大きな政治的な利権的な体質は温存されていくのではないかというふうに思っております。  三番目、本州四国連絡橋公団への税金の投入による債務軽減についてですが、特殊法人の失敗を挙げたときに、これほど失敗した事業はないというふうに思うわけです。  独立行政法人を作るときに、政府の方は特殊法人の経営責任のなさ、不透明さなど幾つかの点を挙げて、それを克服するものだということで独立行政法人を作ってきたわけです。そういう点からいうと、この破綻した本州四国連絡橋公団、事業的には破綻、組織的にはどうだったのかというような検討がなされることが特殊法人改革の第一歩であったはずであります。しかしながら、そういう検証や、組織の在り方について、また当事者の責任追及などは一つも行われていないのではないかというふうに思います。こういう原因究明や責任追及もなく、ただ特定財源で処理するということでは国民の納得は得られないだろうと。  さらに、五全総では六大湾口道路というものが既に計画へ上っております。調査費が今年計上されるそうでありますが、このような六大湾口道路などの計画についても、こういう本州四国連絡橋の失敗をきちっと総括しない限り、同じような誤り、失敗になっていくのではないかと危惧しております。  道路特定財源で処理することについて、通行料金で償還するものだったものを特定財源を使用するということは、一般道路整備が犠牲になると。特定財源は余っているのかと。余っているなら税金を下げるか、他の目的、つまり環境対策や地球温暖化対策などに使うのが筋ではないかと。地方自治体に責任がないとは言えませんが、国家プロジェクトとして推進してきた経緯からいえば地方自治体の更なる負担は酷ではないかというふうに思います。他の高速道路料金収入で返済するという方法もあったと思いますが、特定財源での処理は整備計画を早く完了させることがねらいではないかというふうに思います。  四、直轄高速道路の建設についてということで、現状でも隠れ高速道路と言われる高規格幹線道があります。一般有料道路として事業を採択し、費用の一部を公団が負担するものですが、その延長は既に六百キロを超えています。  特定財源による高速道路建設は、赤字の心配がないので更に政治的路線採択とならないだろうか。例えば、第二東名・名神を直轄で行うということになれば、莫大な費用税金で賄うことになりかねないと。国民から見れば、税金が更に政治的に使われることになると。  税金を投入した高速道路は無料、道路四公団を引き継ぐ新会社が建設したものは有料と。通行量の多いところが有料、少ないところが無料。並行して建設されるものは、古いもの、新会社が保有するものが有料で、直轄のものが無料、新しいものが無料などという珍妙な状況が生まれないかと。  現在建設中の路線を含め、今後の建設予定計画はほとんどが不採算とされていると。新会社は、採算重視だと新会社はほとんど新規路線を引き取らないことになると。新会社がどこまで建設するのか定まらないうちに直轄建設を推進するのは、国民負担を限りなく増やすことにならないだろうかと。  最後に、既にこの法案が通ることを見越してといいますか、国幹審改め国幹会議ですか、夏の国幹会議でこの直轄高速道路路線を決めるというふうに報道されています。これに対して小泉首相は難色を示されているようですが、こういう建設の仕方が、新会社が行う道路建設の優先順位などが明らかにならないうちにこういう事業を始めていくということは、非常に政治的に路線が決定されていく危険があるということで、私は新会社のそういう方針を待ってから行っても遅くはないのではないかというふうに思います。  以上です。
  8. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今日は、参考人の三人の方、本当にすばらしい貴重な御意見ありがとうございました。  私、十五分でございますので、簡潔に質問させていただきたいと思います。  最初は林参考人にお尋ねしたいんですけれども自動車ユーザーとして本当にすばらしい、私たち考えないいろんなお話をいただいて大変勉強になりました。  そこで、高速道路を私有財産化することの問題点についてお尋ねしたいんですけれども高速道路は国の最も基幹的なインフラであり、その在り方については国土政策観点から決めていく、国の利用、国の振興、そういうような面から国のレベルで決めていく、そしてまた国が責任を持ってやっていくものというふうに私らは考えておりました。  今回、民営化推進委員会意見書では民間会社による道路資産の買取りが提言されておりますが、独占企業による高速道路の私有財産化は、民間企業というのは利潤追求を第一とするものですから、石田参考人もいろいろこのことについての問題をずっと指摘されておられました。維持管理の問題その他、いろいろたくさんありますが、この私有財産化することについて自動車ユーザー立場からどういうふうにお考えでしょうか。  私、帰って、地元でいろいろな話すると、高速道路は国がやるべきで、株式会社や個人のものにするんだったら国は何のためにあるんですかとよく言われるんですけれども、その辺、自動車ユーザー立場から林参考人の御意見をいただきたいというふうに思います。
  10. 林広敏

    参考人林広敏君) お答え申し上げます。  私ども自動車ユーザーの仲間で話しておりますと、今、高速道路料金は、用地費まで含めて全額と言っていいほどユーザー料金負担で賄われております。我々、仲間で話すときに出るのは、仮に高速道路整備がもはや終わったよと言われるときが来たといたします。そのときに、ではこれからこの高速道路は国のものとなりますよと言われたときにどうだろうかと。国がお金をほとんど出していなくて、利用者の料金負担で用地費まで含めて全部やってきて、さあこれからは国だ、官だよと。まあ国ですから悪くはないわけですが、どうもそう言われたとしても吹っ切れる気にはならないねというのが我々の仲間内の話でございます。  ましてや、これをあるときから突然民間の企業のものになる、私有化されるということは到底理解の外にある話でございまして納得できないものであるというふうに思っております。なぜならば、先ほど沓掛先生がおっしゃったように、高速道路は国の根幹となる社会資本でございまして、これが営利の手段として持っていかれるということはとても考えすら及ばないというふうなところでございます。  以上でございます。
  11. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 次に、石田参考人にお尋ねしたいんですが、石田参考人の先ほどの有料道路制度活用の限界というところでちょっと触れられたんですけれどもアウトストラーデ社の株式争奪騒ぎがあったように、外国資本による支配の危険性を否定できないということですが、実は昨年の九月、私、ローマでアウトストラーデ社の本社へ行きまして、役員と交友関係もありましたのでいろんなことを議論してまいりました。  そのとき、いわゆる株式の、ベネトン社が一番大株主ですか、三〇%の株を持っていました。あとは、銀行とか大企業が四〇、中小が三〇ぐらいでした。ところが、その後いろいろあって、現在ベネトン社が八四%の株式を持っているので、なぜかなと思っていろいろ聞いてみると、やっぱりこの公開株式の買い付けということがいろいろ欧州で行われて、フランスの会社などがそういう株を買う、そしてそのことによってその企業を自分の、意のままとは言いませんが、ある程度コントロールできる。会社コントロールするうちは勝手ですけれども、それを通じて、いわゆるアウトストラーデ社がそうされれば今度は高速道路、イタリアの高速道路が他企業の人によってコントロールされるというようなことになりますし、また私、このときいろいろ話したとき、日本もこういうふうな今のような状況なものですから、ベネトン社系の役員は、日本のこの民営化に物すごい関心を示し、私たちも是非日本のこの日本道路公団の民営化に参加したいということを強く言っておりました。そうなると、そういう資本的なものの国際資本が動き出して、動いたら、日本という国はそういう点は決してお上手な国ではありません。もう銀行支配ですから、そういうものは物すごいまずいことが一杯出てきて、そういうことになったら大変だなと思うんですが、その辺について、今、先生からそういうお話がありましたので、そういうことについての先生のお考え等いただければ有り難いと思います。
  12. 石田東生

    参考人石田東生君) お答え申し上げます。  まず、その前にアウトストラーデ社というのはどういう会社かということを、私が把握している中で若干簡単に御説明申し上げますと、ヨーロッパで最大の有料道路の事業者でございます。三千四百キロメートルにわたる区間を建設、維持運営してございまして、これはイタリアの全高速道路の六〇%に当たるものでございます。非常に優良な黒字会社でございまして、二〇〇一年には四百七十億円の利益を出しております。  この利益の原因でありますけれども民営化によって高いコスト意識の下で経営がなされているということもあるでしょうけれども、私は、それよりもむしろ政府との約束を十分に果たしていないと。新聞報道等によりますと、政府の計画あるいは契約の整備計画の中で三〇%ぐらいしか実施していないということで、イタリアの会計監査院等からも非難されているようでございます。もうかる会社だからということで、外資ですね、具体的に言いますと、フランス系の資本が買い付けに、買占めに走ったんじゃないかというふうなことを言われておりますけれども、そういうおそれが非常に高いということでございます。  ベネトングループは、先ほど沓掛委員が説明されましたように、公開の株式買い付けを行って、今八四%で、国の資産を守ろうということでございます。完全民有化をする、あるいは完全株式会社になるということになりますと、このようなことはいつ生じてもおかしくないと。世界経済の中で、日本も正にそういう位置付けになろうかと思います。  前から、先ほども申し上げましたけれども、国の最も基幹的なインフラであって、今まで国民道路ユーザー負担が非常に大きかったことは事実でありますけれども国民的資産として営々として築き上げてきたものがこういう危険にさらされるということは容認すべきではないというふうに私は考えております。  以上でございます。
  13. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そこで、私たちがまず最大、今関心を持っていることについて、林、石田参考人にお尋ねしたいんですが、それは、今、約、日本道路公団が工事中のものが二千百キロほどあるわけでございまして、整備計画の出ている九千三百四十二キロのうち、でき上がったものは七千キロほどですから、二千キロちょっとは工事中でございます。  そうすると、この工事中のものをどうするのか、それからまた、もう少し、いろいろ施行命令出ていないものもございますので、そういうものをどうするのかということについてはこの新会社が自主的に判断すると。いわゆる経営だけ考えれば、民間会社として経営考えれば、これから何も新しい道路を造る必要はないんで、できたものだけやって、そしてそれを高配当したり、いろいろ賞与に充てたりいろいろしているというのが一番あれなんで、建設をやめる、それから維持管理をやめるというのが順番に出てくるんで、そうすると建設がうまく動かなくなってしまう。そのためにいろんなことが必要になるんだろうと思いますけれども、やっぱりある程度この新会社にも、建設を自主的に任せるんではなくて、やっぱり料金がみんな入ってきているわけですから、何らかそういう料金との兼ね合い等も含めて、その建設に対するインセンティブを与えることが必要ではないかなというふうに思いますが、そういう点について両参考人の御意見をいただきたいと思います。
  14. 石田東生

    参考人石田東生君) 建設中のものについてどうすればいいかという御質問というふうに理解いたしました。  民間会社になりますと、はっきり申し上げますと、過度に整備をしてくださいということを期待するのは非常に難しいんではないかなというふうに思ってございます。欧州は、先ほども申し上げましたように高速道路政策とか整備は国の責務であるという、こういう位置付けの下で民間会社に建設とか運営を委託しているものでございます。委託するときの条件の中に整備等についての条項が入っているように伺っておりますけれども、それにもかかわりませず、先ほども申し上げましたように、なかなか契約を誠実に履行しないというふうな批判が、これはイタリアのアウトストラーデ社にも、あるいはフランスの最大の純民間会社有料道路会社でありますコフィルート社にも寄せられております。こういうふうな状況は、民間会社が利潤追求を第一の目的とする以上、ある意味では避けられないものであろうかと思います。  では、そのためにどういうインセンティブ、あめと、どういう契約、むちを付けておくかということが民営化考えるときの一つのキーポイントになろうかと思います。やはり、そういう意味では、何らかの形で補助的なものを、これが縛り過ぎるということになってはよろしくないでしょうし、全体の経営の中での、経営の成立性を高めるようなそういうものであろうべきかとは思いますけれども、そういうものと、あと、契約でこういうところまでは是非やりますというふうなことが必要だろうかと思います。  そういう意味におきまして、それと並行に、今日の法律案でございます新直轄方式というのは、ある意味では民営化会社に期待するところを減少させるという、そういう効果を十分に持っておりますので必要性が高いんではないだろうかというふうに考えます。  以上でございます。
  15. 林広敏

    参考人林広敏君) 民営会社にインセンティブを与えて、いわゆる建設整備の義務化を図ったといたしましても、設計段階、施工段階、いろいろ問題はあろうかと存じます。  つまり、簡単に言いますと、リスクを冒さない方向へ民間の企業であれば動くのではないかというふうに考えられます。したがいまして、よほど国の関与が義務化をしっかりとやらない限りは、非常に自主的、自主的というか、で民間の会社整備をやっていくというのは恐らく考えられないんではないかというふうに思います。したがいまして、このたびの法案になっております国の直轄方式が加わるということは、その意味では歓迎されるべきことであるというふうに思っております。  だから、いわゆる残っておる二千百キロに及ぶ工事中のもの、それから今後施行命令が出る、出されるものにつきまして民間会社へゆだねるということは極めて問題があるというふうに思っております。  以上でございます。
  16. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 もう一問聞きたかったんですが、もう時間です。  聞きたかったのは、いわゆる石田参考人がデッドウエートロスという、デッドウエートロス、恐らく余り皆さん聞いたことない言葉で、今日、説明されました。これは恐らくデッドスペースの意味で、せっかく橋が架かっていても料金が高いからなかなか使いにくいんで云々だということなんだと思います。本当は、自動車ユーザーのそれに対する林さんの御意見聞きたかったんですが、残念ながら時間がございませんので、また何らかの機会に教えていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  17. 池口修次

    ○池口修次君 民主党の池口修次でございます。  三名の参考人の先生には、大変忙しい中、ありがとうございます。十五分の中で質問させていただきますので、端的にお聞きをしたいというふうに思っております。  まず、一点目に、林参考人に特定財源の使途拡大についての考え方を一応お聞きしたいというふうに思います。  特定財源の一時は一般財源化という話があったのは事実ですけれども、最近は一般財源化というよりは使途拡大ということがよく言われております。これについては、扇大臣並びに国土交通省としては、やっぱり受益と負担の関係でユーザーへの理解が不可欠であるということを言っております。これ自身は私は至極当然だというふうに思いますが、ただ平成十五年度の予算の中、若しくは今回の法律の中でも、多少、ユーザーの理解が本当に私は得られるのかなという部分があります。  一つは、本四の負債の軽減に一兆三千億使うということですが、これは本四を造る段階でこれだけ造るんで必要だということであれば、ユーザーも、造る、必要なんだからということで理解を得られるかもしれませんけれども、造った後、余りなぜ巨額な負債ができたかというのが分からないところでユーザー道路特定財源を入れるというのは本当に理解されるのかなと。  もう一つは、地下鉄の建設を渋滞緩和されればユーザーのためにもなるということで導入しているわけですけれども、ただ私は、やっぱり地下鉄を造って一番喜ぶのは地下鉄に乗る人ですから、ユーザーだとはとても思えないということなんですが、ある意味JAFユーザーを代表しておりますし、ユーザー意識を定期的に調査をしているという団体でございますので、現在の使途拡大の傾向について何かお考えがありましたら、お聞きをしたいというふうに思います。
  18. 林広敏

    参考人林広敏君) 今、池口先生がおっしゃいました本四について申し上げますと、造る段階道路の特定財源からお金を流しておればある意味では理解が得られたのかなということをおっしゃられましたが、全く私は正にそのとおりだとは思っております。一番非常に分かりやすいわけでございます。  ただ、事ここに至りまして、債務の方を棚上げしていわゆる切り離す、債務を切り離すために使われるということにおきましても、積極的賛成というユーザーの気持ちはないかと思いますが、先ほど来、私申し上げましたように、ユーザーの気持ちもやはり何とか問題のあるものを避けていきたいという気持ちもあるのも事実でございますので、消極的と言うかもしれませんが、賛同は得られるものであるというふうに理解しております。  それから次に、道路に関連すると思われるようなものへの特定財源の使われ方でございます。  詳しいあれで語弊があったら御容赦いただきたいと思いますが、かつて、新交通システムというのが今幾つ全国にございますが、これに対して道路の交通渋滞が緩和できるんであるからということで、当初は道路特定財源が柱の建設、その次にしばらくたちますと今度はレール、いわゆるけたについてもそれが補助が行くようになりました。そのうちに、今、駅舎もそういうふうに流用されております。そういうふうにだんだんエスカレートする可能性は秘めているというふうに思います。  池口先生がおっしゃったように、地下鉄はそういう意味ではおよそ一番道路からは遠いところにあるのかな。ある意味道路の下を地下鉄は使っているわけでございまして、用地買収なしに使っているわけでございますから、そういう意味ではちょっといかがかなという気は個人的にしておりますが、いずれにしましても、申し上げましたように、拡大する可能性がございますので、それは本委員会等国会の場で十分に監視の目を光らせていただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  19. 池口修次

    ○池口修次君 次に、石田参考人に今回の直轄方式の地方負担の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。  高速道路ネットワークが国の最も基本的なインフラであるということについては、私も同じ意見であります。ただ、やっぱり現在の国の財政状況が厳しい中で、このインフラ整備をいかに効率的に行うかということが今一番大事な問題ではないかというふうに思っております。  そういう中で、本当に高速道路必要性が妥当かどうかという中で地域負担を要請するということは、必要性に関する地域の厳しい評価等があって効果が期待できるというふうに石田参考人は述べられたわけですけれども、私も確かにそれは間違いないというふうに思っているんですが、ただ一方で、今までできているところは地方の負担はなくて、これから、どこが造るかというのはまだ決まっていないんですけれども、地方の負担が発生するということについては不公平だという声もかなり大きいのも事実です。  この点について、石田参考人としてはどちらを優先すべきかという点についてお答え願いたい、教えていただきたいというふうに思います。
  20. 石田東生

    参考人石田東生君) 地方負担の是非に関する御質問であろうかと思います。  やはり、今の有料道路方式は地方の負担が掛からないという、こういうスキームでございます。他人の財布で何かしていただけるときには、どんどんどんどん要求がエスカレートをするというのは事実だと思います。そういうことで、やっぱり自らの財布から出していただく、そのことについてやっぱり十分議論していただくということが必要性議論、有効性の議論を真に国民に理解していただくためには何よりも必要であろうということで、地方負担には原則的には賛成でございます。  しかし、今までにできたところは地方負担なしでできていた、これからは駄目よということでは、先生おっしゃるように、不公平の問題がございます。  そのことについて一つ考えられるのは、プール制の問題でございまして、今まで地方負担なしに造って、かつもうかっているところからそういうところへどういうふうに流していくかということは、ある意味では不公平性の補償措置として考えられるであろうというふうに思います。  二番目の問題は、この法案の中でも提案されておりますけれども財源の問題でございまして、国負担分を四分の三に引き上げる、それで地方負担を減らす、あるいは道路、重量税の地方譲与分を増やして、ほぼ地方負担相当額がそれでカバーできるような試みもなされておりますので、そういう意味では実質的な問題は余りないのかなというふうにも思います。  以上でございます。
  21. 池口修次

    ○池口修次君 最後の質問になりますけれども、三名の参考人の先生に御意見を聞きたいわけですが、現在、道路整備というのは国の基本的なインフラであるにもかかわらず、その費用というのはほとんどが自動車ユーザーが払った税金又は有料道路料金で行われているというのが実態でございます。その結果として、林参考人意見陳述にもありましたように、自動車ユーザーが特別に九兆円、これは消費税も含んでの話ですけれども、九兆円の負担をしているということが今の現状でございます。  ただ、私はいろいろな環境が変わってきているんじゃないかというふうに思います。  一つは、自動車そのものが多分、特定財源制度ができた段階では自動車というのは多分高級なものという、ぜいたく品というふうに見られたというふうに思います。そういう意味で、自動車ユーザーから取るということ自体も余り抵抗がなかったというふうに思いますが、今はもう社会にとって必要なものですし、普及台数等からいっても特定の人が持っているというものではないというのが一点。  それと、受益と負担というふうに言われますけれども、これは石田参考人の論文の中にもありましたけれども、道というのはいろいろな用途がありますから、本当に道によって利益を得ているのは自動車ユーザーだけなのかというふうに私は思っております。やっぱりほかの人も道によって利益を得ているというふうに思いますので、そういう意味で、自動車整備費用のほとんどを自動車ユーザーだけが負担をするという現在の仕組みについて、三名の参考人方々の御意見をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  22. 林広敏

    参考人林広敏君) 池口先生がおっしゃったように、私ども自動車ユーザー負担に極めて傾斜した形で現在の道路整備が行われているということは甚だ問題だというふうに思っております。  したがいまして、過去ずっと私ども税制改正要望の中で申し上げてまいりましたのも、自動車に依存せずにもっと一般の税収をつぎ込んでくださいと、なぜならば、道路というのは、自動車ユーザーが使うだけではなくて、国を支える国力の源泉として社会活動、経済活動を支えているものだということをずっと言い続けてまいったわけでございますが、いまだ実現していないということでございまして、先生がおっしゃったように、是非、道路整備、それは受益者であるユーザーがというもう言い方は今通用しないと思いますので払拭していただいて、いったん自動車の税と一般税とを全く見直して、道路というのはどうある、道路整備というのはどうあるべきかということを広く御議論していただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  23. 石田東生

    参考人石田東生君) 自動車ユーザー負担でございます。確かに非常に巨額の税収源でございます。  ただ、本当に今が負担が過大かというふうに考えますと、私、先ほどの林参考人とは若干見解を異にしてございまして、特にヨーロッパの国と比べますと、日本は決して高くはないと、むしろ安い方であろうというふうにも思います。それと、環境問題とか混雑等の外部的な費用を本当にユーザーの方が負担しているのだろうかというと、若干疑問に感じるところもありますので、私は必ずしも高いというふうには考えておりません。  それと、自動車ユーザーだけが負担しているかということでございますけれども、先生よく御存じのことと承知の上ながらあえて申し上げますけれども、地方の整備においては、特定財源がおおよそ三分の一ぐらいしか入ってございません。あと三分の二ぐらいは一般財源でございますので、そのほかの一般の市民としての負担もやはりいただいていると。ただ、これが三分の一がいいのか、あるいは四分の一がいいのか、あるいは国費はほぼ一〇〇%でございますけれども、これは本当に一〇〇%でいいのかということについては議論の余地があろうかと思いますので、是非この委員会でも御議論していただければと思います。  以上でございます。
  24. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 今の議論ですが、特殊法人の歴史を見ると、非常にこのことがいろいろなところで出てきているんじゃないかと思います。  最初、日本航空だとか、また空港公団とか、利用者が負担すると。そういうことを前提にして特殊法人が作られたところもたくさんあります。そして、時代の流れとともに、受益者といいますか利用者が非常に多くなった。そういう中で、税金はどうするのかという議論は当然出てくることだと思います。特に、道路特定財源の場合は非常に額が大きく、道路の基本的な整備をやっているという点から見れば大いに議論をすべきものだと思います。  しかし、道路を造る際に、ほかの環境や地球温暖化だとかというような問題も同時に付随をしているわけで、先ほど石田先生の方からお話ありましたように、地方では道路が要するに三分の一は、三分の二はですか、一般財源だというようなことからすれば、ここは見直すのであればやはりきちっと国民的な議論をして新しい税金で投入するだとか、大胆なそういう議論をしていくことが大事なんじゃないかというふうに思います。
  25. 池口修次

    ○池口修次君 終わります。
  26. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日は三人の先生、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。  先ほど沓掛先生の質問の中で、建設中のものについては今後どこが責任を持ってやるべきかというお話等々がございましたが、併せて私もお伺いさせていただきたいと思うんですけれども高速道路ネットワーク整備責任は一体どこが行うのだろうかという点でございます。  アメリカやドイツというのはもちろんのことでございますけれども民営化を行いましたフランスやイタリア、ここでも高速道路の計画、建設、管理については国が大きな責任を果たしているところでございます。実際の建設や管理については、民間の経営ノウハウによる効率化の観点から、民営化するという点については私は理解しますが、高速道路全体のネットワーク整備高速道路というのは、殊にネットワークと言う以上は、やっぱりつながらなきゃその意味がない。これは随分今までからも議論をされているところでございますけれども、一部つながっていないところが利用者が少ないから云々ということで無駄だとかということが言われるわけでございますけれども、それはつながれば随分また状況は変わってきます。  そのつながっていくということのネットワーク整備、それからそういった計画、それから管理水準についても、私は国がきちんと責任を持ってやるべきだと。殊に、真に必要だと今言われているものについては、今回、新直轄方式も取られることになりますので、この有料料金制度と併せて早急にやるべきではないかと思っておりますが、御意見をお伺いできればと、三人の先生方のそれぞれの御意見をお願い申し上げます。
  27. 石田東生

    参考人石田東生君) 高速道路を特にネットワークとして考えた場合にだれが責任を持つかという御質問でございます。私、先ほども申し上げましたように、国が第一義的にきちんと責任を持つべきであろうというふうに思います。理由は、先ほども申し上げましたけれども、完全に民有化をすると、国の政策から見て必要量とか、あるいは地域整備等から見てふさわしい量が、民間に本当にゆだねてしまうと実現しないおそれが非常に高いというふうに考えるからでございます。  それともう一つ、若干議論させていただきたいのは、今、先生は管理水準の問題というふうにおっしゃいました。非常に重要な問題でございます。高速道路は主に土木構造物で現在成っておりますけれども、これからはITSの時代でございまして、高速道路の電子化も徐々に進んでこようと思います。そのときの管理というのは、これは非常に重要な問題であろうかと思います。  ちょっと道路から離れてしまうんですけれども、鉄道でインフラと呼ばれるレールから下を完全民有化をした例にイギリスがございますけれども、レールトラック社という会社を作りまして完全に民有化をいたしましたけれども管理が全く不行き届きでございまして事故が続発いたしまして、それで破産状態に陥りまして、またイギリスでは国有化の、あるいは国有化といいますか公共保有化と申した方が正確かもしれませんけれども、そのような方向になっていこうとしております。  多分、道路も完全民有化をすると、いずれかの暁には、特にITS時代においてはそのような道をたどるのではなかろうかというふうに想像いたします。  以上でございます。
  28. 林広敏

    参考人林広敏君) 高速道路整備責任についてでございますが、私は、やはり今、石田先生がおっしゃった第一義的に国が関与して進めていくべきであって、それであるからこそ、場所場所の採算性とかそういうことではなくて、国全体のネットワークとしての将来像ができ上がっていくものだというふうに思っております。言わば、先生の言葉をかりればナショナルミニマムとしてやるべきではないかというふうに思っております。  それから、先生御指摘管理水準についてでございますが、若干気になる点が過去ありましたので、御参考のために申し上げます。  私どもでは、JAFでは二十四時間、全国のロードサービス、いわゆるブレークダウンした車を救援することをやっております。二十数年前、イギリスでできましたエマージェンシーのウインドーがございますが、すだれのようになったものを想像していただくと分かりますが、ガラスが、フロントガラスが割れたときに走行できませんので、これに臨時的にドアで挟んで使うというものでございます。イギリスの業者が盛んに売りにまいりまして、それは理由は、イギリスの私どもと同じような仕事をやっているオートモビル・アソシエーションというクラブがございますが、ここでは盛んに使っているんだからあなたのところも要るだろうといって売り込みがありまして、私どもは現場の方へ問い合わせましたが、間々ウインドーが割れることはありますが、それを常備しておかなければならないほどの頻度はないということでございました。  その後、機会がございまして、私は二十数年ちょっと前ですが、サッチャー政権ができた直後でございますが、イギリスへ行きまして、モーターウエーを実際に走りましてそのなぞが解けました。非常に管理水準が悪いために、コンクリートの洗い出しのようにアスファルトから石が飛び出ます。それを前車がはねるから、はねた石が後ろの車に当たるということで、実際に路面に降りてなでてみて分かりました。非常に悪い。  これは、要するに管理が行き届かなくなると、管理を怠るとこういうふうに事故あるいは故障を大量に誘発するという証左でございましたので、やはり管理水準というのはある程度しっかりした国の関与でもって、直接、間接は別としまして、関与すべきことであるというふうに思います。  以上でございます。
  29. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 今の御質問、森本先生、昨年六月にも同じことをお聞きになったかと思うんですが。  私は、一般的な意味でそのネットワーク整備することは別に問題はないと思うんですが、今具体的に、この高速道路の問題でいいますと、一万四千キロの法定予定路線というのがありますよね。それが要するに国民的な合意を得られるものなのかということがまず第一にあるんだと思います。私は、まだ七千キロしかできていないこの現状で、それ全部ネットワークとして造らなきゃいけないという国民的な合意は私はないというふうに申し上げたいと思います。  今、その九千三百四十二キロですか、が当面の施行命令が出ているところですが、それさえも現状では、今までのやり方ではもう無理だということであれば、造り方から基本的な計画から含めて見直すのが筋ではないかというふうに思います。  その際に、ほかの交通手段また高速道路ではない一般の道路、一般の有料道路などということも当然考えられるでありましょうし、きちっとした国民的な計画に対する合意があって初めてそういうことが言えるのではないかというふうに思います。
  30. 森本晃司

    ○森本晃司君 石田参考人に、別々にお伺いしたかったんですが、時間が迫ってきましたのでまとめてお伺いをさせていただきますが、高速道路管理料金の徴収という極めて公共的な業務に関して、公団の承継会社民間会社に特別に担わせる、そういうものであれば確実に債務返済を確保する条件の下で料金収入の一部を高速道路建設に充当する必要があるのではないか、その仕組みが必要ではないかと、このように私は考えておりますが、この点について一点。  もう一点は、高速道路料金水準についても、これも債務の確実な返済への影響を考慮して、一律の値下げではなくして、地域特性、混雑している状況、あるいは昼、夜とかいろんな地域や特性、利用状況に応じた弾力的な料金設定をする必要があるのではないだろうかと。それを行うにはETCの早急なる普及を図るべきであると、このように考えておりますが、石田先生のお考えをお伺いいたします。
  31. 石田東生

    参考人石田東生君) 二点御質問がございました。  料金収入を高速道路の建設に充当すべきかどうかということについてまずお答え申し上げますと、先ほど、民営化会社にどういうインセンティブを与えるかということの御質問がございました。そのときにもお答え申し上げましたけれども一つのインセンティブとしてそういう料金収入を、インセンティブになるのか責務になるのかという微妙な問題はございましょうけれども国民観点から考えた場合には、建設を容易にするために料金収入をそのような使途に限定するという方法も非常に有用な方法だろうというふうに思います。  二点目の御質問でございます、ETCの早期普及という問題でございますけれども、全く先生の御意見に同感でございます。  多様な料金政策、混雑時あるいは環境を考えたプライシングの問題。あるいは、先ほど死重損失と申しました。せっかく国民のお金を使って建設したものが十分に使われていない、その理由は高い料金にあるということは本当にもったいない話でございますので、そのためにも弾力的、柔軟な料金をすべきであろうと。これは時間帯別あるいは定期券方式とか、そういういろんな方法があろうかと思います。  それを円滑に効率的に進めるためには、今の人手による収受ではどうも非常に難しい問題がありますので、その辺はETCの大いに得意とするところであります。ですから、多様で柔軟な料金政策を速やかに導入するためにも、ETCの早期普及というのは非常に大事な仕事だというふうに考えております。  以上でございます。
  32. 森本晃司

    ○森本晃司君 ありがとうございました。  そこで、そういう体系ができてくると、林参考人にお伺いしたいんですが、現状でETCについてユーザーはどのように考えているのか。それから、早急に普及してもらいたい、更にしなければならない、更にそれで多様なる料金制度をやるという形については、ユーザーとしてはどのようなお考えでございましょうか。
  33. 林広敏

    参考人林広敏君) ユーザーで、私どももETCについて調査を行ってはおるわけですが、アンケートで。だんだん理解が増えてはくる傾向にございますが、実際に、まだ、手に取り、実際に体験してみないとなかなかETCの効用というのは理解できないのかなということと、それから、これは私どもインターネットではなくて郵送で調査を行っておりました関係で時間のずれが出てまいりますが、ETC自体の取付け費用がかなりまだ高かった。最近になっておおよそ一万円前後というのが出てまいりましたが、それのかなり高いというイメージがまだ多く定着しておりまして、それで、付けてはみたいがまだ高いという気持ちが多いんではないかと。  ただ、いいか悪いかは別といたしまして、ハイウエーカードの五万円券等の高額なハイウエーカードの中止が出まして、実を言いますと、ユーザーはかなりこれに怒った意見も我々に寄せられたわけでございますが、反面、これは怒ってはおるけれども、ETC車載器の低下と併せて、ETCの方へシフトが始まるのかなというふうに思っているところでございます。  したがいまして、ETCがかなりの段階で取り付けられますと、今、先生のおっしゃったような、弾力的な交通の運用というのもかなり可能になるのかなというふうに思っておるところでございます。
  34. 森本晃司

    ○森本晃司君 ありがとうございました。
  35. 富樫練三

    ○富樫練三君 どうも、富樫でございます。  今日は、三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。  最初に、三人の方に共通の点についてお教えいただきたいと思うんですけれども、特殊法人改革の中で、道路関係の公団、四公団ですね、これについて民営化ということを前提として今事態がずっと進んでいるということなんですね。  ただ、計画からいうと、全体の計画からいうと一万四千キロぐらいあって、そのうちの整備計画が約九千ありますね。そのうち二千ぐらいがまだできていないと。民営化した場合には恐らくその二千は無理だろうと、全部民営でやるのはですね。したがって、直営、直営というか直轄事業が今回法案として出てきた、こういう経過になっているわけなんですね。  そこで、伺うわけですけれども、先ほどから三人の方々の御意見を伺っていると、民営化という、あるいは民有化ですね、をした場合には、建設はなかなかやっぱり進まないんじゃないかということと、もう一つは、維持管理についてもかなり水準が維持するのは難しくなるんじゃないかと、場合によっては危険性も伴うと。そういうふうになった場合、同時に国民の共有、共通の財産を利潤の対象として使うのもいかがなものかと、こういう御意見もございましたし、そうなると、今やっぱり特殊法人を改革するということはオーケーだとしても、じゃ、それがイコール民有化ということで、民営化ということでいいのかと、ここの根本問題をもう一度基本から再検討する必要があるのではないかというふうに先ほどの御意見を伺って感じるわけですけれども、三人の方はそれぞれどのようにお考えでしょうか。
  36. 石田東生

    参考人石田東生君) 先生おっしゃいますように、民営化民有化というのはやはり区別して考えるべきであろうというふうに思います。今の有料道路方式はそれなりの成果を収めてまいりましたけれども本四公団に典型的に現れましたように、需要予測の問題とか資金調達方式の問題とかがございまして、非常に国民負担が多くなっております、そういう実態もあるわけでございます。ですから、商売としてできるところは商売としてすべきであろうと。そういう中で、民間の経営のノウハウとか効率性について是非導入すべきであろうと、こういうお考えだろうと思います。  ただ、すべての高速道路道路がそういったスキームでできるかというと、必ずしもそうではなくて、そういう中で、先ほどから申し上げておりますように、むしろ国が積極的に関与すべきであろうというふうな、そういう路線もあろうかと思います。  そういう意味で、民営化民有化というのは厳しく区別すべきであろうと思いますし、民営化議論がありきのものではなくて、その辺も含めた上で民営化の問題というのはどう考えるべきであろうという議論が更になされるべきではないかなというふうに考えます。  以上でございます。
  37. 林広敏

    参考人林広敏君) 先生がおっしゃいました民有化民営化でございますが、これ、簡単に言いますと、上下分離というふうに取ってもいいのかなと思っておったわけでございますが、やはり民有ということになりますと、国の資本、大切な大事な社会資本、私企業にゆだねるということはやはり問題があるし、それが当然、今後の建設に困難を来すというふうに私は思っておりますので、これは非常に難しい答えだと思っておりますが、ただ、同じ民営の方で、管理水準の方で考えますと、これはあるレベルを維持するための基準といいましょうか、これを正確、厳格にしておれば可能ではないかなというふうに思っております。これは現実に、たしか地方自治体で大きな施設を民営で運営していただいているところもあるやに伺っておりますので、これは可能かなというふうに思っております。  いずれにしても、管理水準を落とさないということが大切なこの場合も要素だと思っております。  以上でございます。
  38. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 私、特殊法人改革をずっと二十年見てきまして、特に九〇年代に入ってからの特殊法人改革は、東欧やソ連の崩壊を受けてといいますか、民営化の流れが一挙に強まった時代がありまして、何かいうと民営化すればいいというような風潮が非常にありました。特殊法人を幾つ民営化して、株にして売れば何兆円の資金が調達できるというような計算までして行われた時期もありました。しかしながら、現状を見ていただけば分かるように、そう簡単にそういうようなことができる状況にはないということは非常にはっきりしているかと思います。  道路公団の民営化もそういうような流れの中での話ではないかと。政権が特殊法人改革をやるときには必ず目玉というのを設けまして、いつでもそこに注目が集まるようにして、実際はそれで社会的な注目を一挙に集めて、一挙に特殊法人改革をやろうというような、そういう位置付けで行われる場合が多いわけです。何で道路公団が民営化で都市公団が独立行政法人なのかというようなことを一つ一つ見ていくと、ほとんどまともな哲学はないのではないかというふうに私は思っています。  特に、この道路の四公団の民営化民営化委員会意見書を見ても、最終的に完全に民営化するというところまで踏み込んだ答申になっております。これはもう国が道路を建設する、管理するというところが完全に民営化会社に移行するということで、今までの道路政策の根本を変えるということになるんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、この完全民営化というのはいかがなものかというふうに思います。  そして、建設が困難になるということはもうこの答申が出てきたときから言われているところで、私も先ほど第二東名や第二名神はどうなんだと、民営化会社がやらないということになったら直轄でやるのかという話をしましたけれども、限りなく直轄事業が入っていけばそちらが増えていくのではないかというふうに思っています。  維持管理についても、公団の職員自身が、民営化会社のようなものになれば当然こういうところがおろそかになっていくのではないかと、非常に危惧しております。  以上です。
  39. 富樫練三

    ○富樫練三君 ありがとうございます。  実は、今もお話ありましたけれども、全体として、一万四千キロも含めて、建設の主体とかあるいは管理をどうするかという以前の問題として、まず全体計画はどうなんだというところの政策的な検討というか、ここのところが非常に大事なのかなと。そうじゃないと、必要性の問題と採算性の問題というのは相矛盾するようですけれども、しかし両面やっぱり考えなくちゃいかぬということなんだろうと思うんですね。それらの両面考えた上で、全体計画をきちんとした上で、じゃ、手法としてどうするんだ、だれが事業主体になるか、財源はどうするんだということが検討されるべきだろうと。そういうことが十分なくして民営化だとかあるいは直轄だとかというふうになると、なかなか問題が整合性を持って解明されていかないというか、後から後から矛盾が起こってくる可能性もあるのではないかという点を感じているんです。  そこで、三人の方にそれぞれ伺いたいんですけれども、全体計画の見直し、これについてこの時期にやはり必要なのではないかと。約七千キロが供用開始されたと、この時点できちんと見直してみる必要があるのではないかというふうに思うんです。  特に、その中で石田参考人に伺いたいのは、ナショナルミニマム論というか、こういう立場から見た場合にどうかという点ですね。  それから林参考人に、ユーザー立場から見て全体計画というのはどうなんだと。もちろん、つながらなければというのは当然あるとは思うんですけれども、ただ、同時にそのことは費用の問題もありますし、そのことは同時にユーザー負担の問題との関連も出てくると。  それから堤参考人に、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、こういう政策を進める上での哲学というか、政策の根本にある考え方、この点がどうかという辺りから見て政策的にどうかと。  これは共通なんですけれども、夏から秋に国幹会議が開かれるということになれば、そういうのを検討した上で国幹会議にかけて、国幹会議で大いに議論をした上で、その上で法制化を図っていくと。直轄にしろ、どういう形にするかはそういう議論を経るべきではないのかと。どうも今回、法案を出したのがちょっと順序が逆になってしまったのではないかという感じがしているわけですけれども、この点についても一言ずつ触れていただけると有り難いんですが。
  40. 石田東生

    参考人石田東生君) 今の先生のお考えは非常に大事な原則だと思います。やっぱり全体像をきちんと踏まえた上で、それから最良の手は何だろうかということを考えていくのが筋道だろうと思います。  ただ、今どういう状況かというふうに考えました場合に、やはり利子は増え続けておりますし、あるいは地域格差というのは拡大し続けている、そういう状況でございまして、時間管理というのが非常に重要なファクターとして入ってくると思います。意思決定あるいは整備のスピードの問題でございます。そういうことを考えた場合に、道路公団の民営化推進委員会意見書は、政府としてはもうたしか基本的に尊重するということでございますけれども、基本的に尊重されるのでありましたら、あの意見書とそう大幅に違わないようなものであれば、そごを来さないようなものであれば、できるものは速やかにやっていくんだろうというふうに思います。それが一つでございます。  あとナショナルミニマムということについては、これは大きな話になろうかと思いますけれども、やはりきちんとした議論は全体像を明確にするためにもやっぱり早急になされるべきだろうと思います。  特に今、国土審議会の方で、これからの国土の在り方として、広域生活圏の問題とか、あるいはヨーロッパの国レベルに相当するような地域ブロック圏の構想が打ち出されておりますけれども、その中で、やはり道路、なかんずく高速道路というのは重要な役割を果たすことが期待されているわけでございます。ですから、そういう観点から本当に必要量、あるいはその中での整備の在り方ということについての議論が進展することを是非期待したいと思います。
  41. 林広敏

    参考人林広敏君) 今の全体計画の見直しについてでございますが、私の記憶では、何年前でしたかちょっと失念しましたが、一万四千キロというのが決められる段階で、その以前にかなりの議論があったと記憶しておりますし、また、新聞を通じて一般の人の意見募集も行われたというふうに思っておりまして、それらを踏まえて一万四千キロというのはその時点におきましてはかなり関係者によって、あるいは学者先生を含めまして絞り込まれてでき上がったプランだというふうに私は思っております。  ですから、個人的に申し上げれば、あの全体のネットワーク自体は、まだあれでもネットワークの切れて網になっていないところがございますが、一応全国を網羅する妥当な形になっているのかなという気がいたしておりますので、一万四千キロの整備については是非このままであっていいんではないかと思っております。  ただ、先生御指摘のような費用ユーザー負担の問題でございます。先ほど私は最初の意見陳述の折に申し上げましたが、ユーザーは、道路は造ってほしいが負担はもう勘弁してください、できれば安くしてくださいというのが本音の部分でございまして、これで揺れているわけでございます。  そういたしますと、費用を少なくとも現在以上にユーザー負担を増やさない範囲で考えなければならないというふうに思っております。したがいまして、全体、その新たに加わる整備費用については、ユーザー負担をこれ以上増やさない範囲で、先ほど来出ていました直轄の方も一つの案でございましょうが、いろいろな形で国の出動が必要なんではないかというふうに思っているところでございます。そのためには、ユーザーは、先ほどこの本日の法案で申し上げましたが、特定財源を使われるということについてもある程度寛容であるということだと思います。  以上でございます。
  42. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 私、去年六月、参考人で来たときにも申し上げたんですが、道路公団がやっている事業は要するにほとんど国会の審議を経ずに決まる仕組みになっている、ここが非常に問題だと。全国総合開発計画、また個別の道路審議会の答申、また国幹審、道路公団に施行命令が出れば予算化されていくというシステムですが、ほとんどどれを見ても国会の審議を必要としないと。しかも、道路公団の予算は大臣認可予算で、財投の一費用、何とか会計としてしか報告されないと。最終的に出てくるのは決算のときに道路公団の収支が出てくるだけだという形になって、ほとんど計画の段階から執行の段階を含めて、政治的な、何というんですか、国民的な議論の場に出ることなく計画が決まっていく、そういうところに最大の問題があるのではないかと。  今回の問題につきましても、直轄で事業をやり始めるということについてきちっと議論をされた形跡がないわけであります。高速道路を造ることは今まで料金収入でやっていたわけですが、この場で法律が決まればすぐ直轄で事業が始められるということになるわけで、もっと大きな、高速道路政策、やり方を変えるわけですから、ここはもっと大きな政策的な議論をするべきだというふうに思います。  そういう、民営化会社がやることも決まっていず、直轄で事業を進めることだけをまた国幹審という政府の審議会で決めていくということであれば、決められてくる路線は政治的に決められていくということにならざるを得ないわけです。そういう点で、私はそういうやり方に対して根本的にメスを入れるべきだというふうに思います。
  43. 富樫練三

    ○富樫練三君 ありがとうございました。終わります。
  44. 大江康弘

    ○大江康弘君 三人の先生方、大変ありがとうございます。  いろいろお聞かせいただきまして、もう大体それぞれのお考えは十分理解をさせていただきましたけれども、一点ずつお聞きをさせていただきたいと思います。  まず石田先生に、先生は論文の中で、地域振興をパソコンに例えられて、その機能というものをハードとソフトに分けられて、道路整備というのがいかにこの地域振興に必要性があるか、重要性を持っておるかということを少し読ませていただいたんですが、今日この公団が民営化という、こういう残念な結果、私は、やはり国策として、道路はやはり欧米に比べて五十年近く後れておる中で、しっかりと国が責任を持ってやらなければいけないという立場に立つ一人であります。  それだけに、今日どうも、いつも言うんですけれども、都市対地方という対立軸の中でこの大事な道路問題もとらえられて、そういう観点で論議をされておるんじゃないかなと。都市の人は満ち足りて、なかなか足らざる部分を理解してもらえないという、そういう中で、我々地方にあって、最低限の道路整備というものはまだまだ国が責任を持っているということの私は意見ですけれども、これから、先生、地方の道路整備も含めてやっぱりどうあるべきか、ちょっと御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
  45. 石田東生

    参考人石田東生君) 都市と地方の問題、あるいはその中での国がどういう役割を果たすべきであろうかという非常に重要な御質問であると受け止めさせていただきました。先生御指摘のように、都市対地方の対立の構図の中で物事が議論されるというのは非常に日本全体にとって不幸なことだというふうに思っております。  地方の方は、道路は今まだ日本の国力がそこまでないからちょっと辛抱しなさいと、そういうことで待たれていたわけです。その間の地方の地域発展というのは、やっぱり確実に、高速道路あるいは新幹線あるいは空港というものを備えた地域よりはやはり相当程度環境が悪いという状況にあったと思います。そういう中で、国全体として苦しいからもう駄目よという、こういう話は、私は一人の国民として非常におかしい話であろうというふうに考えております。  ただ、国全体が苦しいということも事実でございます。その中で、やはりこれから地域の方に是非期待したいことは、先ほども申しましたけれども負担考えていただく中で、その意思決定地域として主体的に参画するということでございますので、そういうことのメリットを是非生かしていただいて、私のパソコンの例を引き合いに出していただきましたけれども地域として高速道路という非常に強力なオペレーティングシステムをどう活用していくか、そういうことの声を地域の側から是非上げていただきたいと。そういうことの一つの契機に今回の新直轄方式というのがなり得る可能性を大いに秘めておろうかと思います。  不十分だとは思いますけれども、答えさせていただきました。
  46. 大江康弘

    ○大江康弘君 どうも石田先生ありがとうございました。  次に、林理事に御質問させていただきますが、先ほどからのいろんな御意見を聞いておりますと、林理事に例の七人の民営化委員会の一人になっていただいておったらなと、そんなことを実は思いながら聞かせていただいておりました。  ですから、今日はちょっと観点を変えて、実は、私は昨日、警察庁に、これだけ世界一厳しい速度規制をしておるという国はもう本当にないんじゃないかと。私はやはり、もう七千キロというこれだけ立派な高速を供用しておる国民の一人として考えたときに、この高速道路でいまだに百キロ規制をしておると。警察庁はやっと自動二輪も小型車も百キロに上げたんだと自慢をするんですけれども、これはまあユーザー、ドライバーに責任があるのか。役所というのは、御存じのように、規制をすることによって存在感のあるところですから、ある程度これ仕方のない話ですけれども、私は、このスピード規制が日本経済効率を下げておるというところが非常に大きいと。  やはりそういう部分で、警察庁がもっとやはり国全体の発展を考えていただいたときに、やはりもう少し、ただしかし、規制をする一つの理由として、やっぱりユーザーがまだ車社会というものにしっかりとそれぞれがなじんでおらないんではないかと。何か、捕まったりなんかしたらこれは不運だとか、ああ運が悪かったと、そういうよそに転嫁をすると。ですから、よそに転嫁をしている間は、私は、いつまでたっても規制をするということの裏付けをさすと思うんですよね。  だから、そういう被害者意識というもの、自己責任が育たないという、これだけ先ほどから林理事がいろいろ言っていただいて、ああ日本ユーザーも少しは成長したかなということも、ある意味行政を見る目を、聞かせていただいたときに思ったんですけれども、まだまだ、車を乗るというこの部分に関しては自己責任というものに関して成長しておらない。その部分がいろいろと問題を生んでおるんじゃないかなという、そういうことも感じるんですけれども。  ちょっとこの法案とは全く論点が違いますけれども、この機会にちょっとそういうことも含めて、なぜこの車社会にまだまだ欧米に付いていけないところが、那辺に理由があるのかということをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  47. 林広敏

    参考人林広敏君) 先生から御指摘いただいた質問を何年か前に外国の人から伺ったことがございます。今、それを思い出しながらお話しさしていただきたいと思います。  我が国のモータリゼーションというのは、一九六〇年代、一九六〇年といいますと昭和三十五年でございますが、この辺りから始まった。マイカーという言葉が最初に飛び出したのが昭和三十九年でございます。  一方、欧米の代表格としてアメリカを入れますと、アメリカは、スタインベックの小説「怒りの葡萄」では、お読みになった方もおると思いますが、既に一九三〇年代にはもう自動車が盛んに使われている時代で、農民が地方へ落ちていく場合でも自動車を使っているほどでございます。つまり、一九一〇年代から始まっております。  ちょうど私どもで比べてみますと五十年。先生が先ほど道路は五十年後れているとおっしゃいましたが、全くそのとおりでございまして、自動車というのを考えてみますと、欧米の学者もあるいは、今F1が行われております、F1のレーサーの人も言いますが、車を本当に手足のように乗りこなして、安全に手足のように乗りこなして生活の道具に使うのには親子三世代掛かる。つまり、親が言っていることを子供が聞き、車の中で聞きながら育っていって、更にその人の子供にそれが伝授されていくという意味だろうと理解しております。  そういう意味では、日本は戦後、科学技術は大変優れておりましたので、わずか三十年近くで欧米に追い付くあるいは追い越すほどの車の技術を身に付けて、世界にたくさん輸出しているわけでございますが、一方で、車、これを、その技術の方を文明といたしますと、車を使う方の人間がやることは文化でございますが、その文明をうまく、文明の利器をいかに使いこなして自分の生活に取り入れるかということでは、これは技術のようにいわゆるドッグイヤーというのは成り立たない。つまり、アメリカが五十年掛かればやはり日本もそれに近い年数を掛けないとなかなか追い付かないというところが一番問題であろうかというふうに思います。  したがいまして、今、先生のお答えになるかどうか分かりませんが、近隣にはこれからモータリゼーションが爆発しようとしている国もあります。今、正に爆発の頂点にあるという国もありますが、恐らくや日本がたどったと同じようなコースを通るであろうと思いますし、現にお隣の国からは、交通事故を減少させるための何かノウハウを教えてくれということで我々の方に問い合わせも受けていることでございまして、だんだん、一九六〇年からでいいますともう四十年過ぎたわけでございますので、そう遠くないうちに日本も車社会というのが、何といいますか、ステディーなものになっていくのではないかというふうに理解しております。
  48. 大江康弘

    ○大江康弘君 どうも理事ありがとうございました。  最後に、堤参考人に。  私は自由党でございまして、この特殊法人に関しての考え方は、やはり国が残すべきものは残す、そして民間にゆだねる部分は民間にゆだねるという、こういう私どもはとらえ方をさしていただいております。それだけに、堤参考人が長年特殊法人というものを見られて、一つの大きな、国の行政の在り方の一つとしての特殊法人にメスを入れられるということは、ある意味において私は、非常にいい意味批判的な立場として、ブレーキ役として、大変先生の活動に対しては敬意を表さしていただくんですけれども。  私は、この公団に関しては昨日も、やはりファミリー企業を作ったり、あるいは天下りを作ったりと。また、天下りの場合は、何度も言いますが、やはりこの国の優秀な役人の皆さんがやっぱり五十半ばで肩たたきで辞めていくという、この優秀な能力を国が国家として使えないというこのシステムをやっぱり片っ方で直していかにゃいかぬという。その中で、天下りというものが一つの今批判の的になっておるんですけれども、いずれにしても公団の長年にわたるやっぱり閉鎖的な、競争原理のない、しかもファミリー企業を多く作ってそういう閉鎖的なことにしてきたことが、残念かな、やはり問題の論点がこの民営化というものにすり替えられて、もう少し道路公団というものが国民意識をしっかりと持って、時代の流れをしっかりととらえて、自浄作用能力を働かせておったら、私はここまでの批判がなかったんじゃないかなと残念に思うんですけれども。  そういう中で、私は、先生、堤参考人、公団のようなやっぱり道路を造るという基本的なことは、やはり国策として残さにゃいかぬというふうに思うんですけれども、そういうこともあえてやはり先生の主張されておられる意見の中で、特殊法人、確かにけしからぬ部分もたくさんあるんですけれども、やはり道路造り、いわゆる国の根幹づくりということの論点から立った場合にやはりこの在り方というのはどうなんでしょうか。ちょっと一度お聞かせいただきたいと思います。
  49. 堤和馬

    参考人(堤和馬君) 非常に重要な指摘だと思います。  私、労働組合をやっているときから特殊法人の事業の民主化が大事だということで、国民の利益にかなうような事業の在り方をいろいろな形で提言をしてきました。またその中で、特殊法人の組織の在り方として非常に硬直的な経営、不透明な実態というものがあるということも指摘をして、様々、自分たちができる範囲ではございますが、天下り白書を作ったり政策的な提言をしたり、いろいろなことをやってきました。  基本的には、組合員などのアンケートを取ってみても、やはり国民に役に立つ事業を続けていきたいということはもう根本にあります。そして、やはり国民の支持がなければそういう特殊法人は存在するのは難しいわけですから、そのために透明性のある経営、独自性をある程度与えていただきながら、そういう改革に取り組めるような自主的な側面の強化というようなことが大体組合員のアンケートでも出てきました。  これまでの特殊法人は、ほとんど公団の、先ほどの経営の仕組みに関しても言いましたけれども、ほとんど国民の目に見えないところで政策決定され、実行に移されていくと。しかも、経営者はつい数年前まで監督官庁にいた方が経営者に天下ってこられてやると。基本的に管理委員会とか経営委員会とか、そういうところがあったところもあるわけですが、ほとんどあっても機能しないような形になっているわけです。今、きちっと機能しているのはNHKと日本銀行くらいのものじゃないかなというふうに思います。  そういう形の改革の仕方があったにもかかわらず、そういうようなふうに民営化とかいろいろな形のことが言われると。やはり働いている人たちの意欲を失わせないためには、そういうきちっと民主化できるところは民主化する、透明性を持たせるところは透明性を持たせる、経営の自主性を持たせるところは持たせるというような意味での改革が必要なのではないかと。安直にすぐ民営化とか訳の分かんない民間法人化とか特殊会社とかというよりも、現状の中から改革をしていく道があったのではないかというふうに思います。  以上です。
  50. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございました。
  51. 藤井俊男

    委員長藤井俊男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今後は皆様方の御意見委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。  委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十四分散会