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鈴木寛君 私はこの二つの
評価軸そのものを否定しているわけじゃないんです。そのことについて大変な御
努力をされたことについては高く敬意を表している次第なんですが、私が申し上げたいのは、実は三つ目といいますか、私はこれが一番最初に来るべきだと思っているんですが、やっぱりもう
一つ、そもそもこうした
政府系金融機関の存在意義というものがあるわけですね。それぞれの
政府系金融機関の存在意義に照らして果たしてきちっとした仕事をされたのかどうかという
観点というのは、これは私は抜かせないんではないかと、落としてはならないんではないかという基本的な
認識に立って今日の御議論を進めさせていただいているわけでございますが。
今回のこういった
評価書というのは、これは今回日本の
政策評価制度が始まって、正に一番最初に出てくる極めて貴重なものですね。これは世の中に大変に注目をされるものでありますし、私は注目をしていただきたいと思いますし、そしてこれは正に
政策の
改善に是非、何といいますか、生かしていただきたいと思うわけであります。その中で、そうした重要な
政策評価の中で、そもそもの
政府系の
金融機関が持っているその
役割をきちっと果たしているのかどうかということは、やはり
評価の一番最初にそのことがきちっと
評価軸として掲げられて、
評価の
観点として掲げられて、そして
評価書の中の正にメインストリームのメッセージとして私は取り入れられるべきではなかったかなというふうに思いますが、ややそのところが不十分ではないのか。ですから、この
国会の
審議の中でこの
評価を更にいいものにしていきたいという意味で今日は御
質疑をさせていただいているわけでありますが。
そこで、正に今回その
対象となりました
政府系金融機関、特に先ほど
近藤委員も御議論がありましたいわゆる
中小企業向けの
金融機関、三つの
機関がございます。その件に今日は時間も限りがございますので、御議論を絞らせていただきたいと思いますが。
正にこうした
中小企業向けの
政府系金融機関のレゾンデートルといいますか存在意義といいますか、あるいは今日的意義といいますか、そういう
観点から私は極めて重要なその存在意義があるというふうに思っているわけでございますが、この
政策評価の
意見集約を見ますと、もちろん中
長期的
観点からはという留保は付きつつも「
貸出残高の
縮減を図ることが必要」という
意見が出ているわけですね。この
意見は、もちろんいろんな留保はございます、「
民間金融機関の
機能回復・強化の
状況を踏まえながら、」とかありますが、そのメインのメッセージは「
貸出残高の
縮減を図ることが必要」と言っているわけですけれども、これは私は、今、今日、
中小企業関係三
機関が担っているこの
役割を全うしていくという
観点からすると、極めて違和感のある
意見だということを率直に申し上げなければいけないというふうに思っております。
それで、私は正にこの三
金融機関というのは極めて重要な
役割を持っている、もちろんその
中小企業向けの貸出しをきちっとやっていくという、そういう量的な問題、これも当然でありますけれども、加えまして、私はこれは
経済財政諮問会議でも是非議論をしていただきたいと思うんですが、日本の正に
企業構造、産業構造の特徴といいますのは非上場
企業中心だということですよね。上場
企業というのは、何らかの形でその
企業に対して株価というものが付きます。したがいまして、その
企業の
企業力といいますか、
企業の総合力といいますか、というものは、ある程度株価の動向というものを見定めることによっていろいろな総合的な判断というのは量的にできるわけです。しかしながら、非上場
企業というのは極めてその
企業全体の
能力というものを
評価するというのが難しいと。
もうこれは釈迦に説法でございますが、日本の
企業というのは二百五十万社ぐらいあるんだと思いますが、日本というのは四千余りの、弱の会社しか上場
企業ではないと。私は
経済財政諮問会議の議論を聞いていますと、どうも上場
企業の
政策については
経済財政諮問会議というのはかなり念頭に置いて今日のいろいろな
対応というのは考えておられるかもしれませんが、非上場
企業の経済
実態とか、あるいは非上場
企業、正に
企業力がなかなか数値化されない、株価を通して、そうした非上場
企業がしかもほとんどを占める日本の経済といったものに対する
政策が十分かなということがいつも大変に気になっております。
そういう中で、幾つかの日本の
金融というものが正に非連続的に
改革をしていかなければいけないポイントの
一つが、私は、やっぱり
企業の力というものを、目に見える資産だけではなくて目に見えない資産、これトータルで
企業の力を判断するということが非常に重要であると、正にこれは見えない資産をどう
評価するかと、ここに懸かっていると思うんですね。
そこで、これもそうなんですけれども、結局日本というのは目に見える資産、そしてとりわけ不動産というものをベースとした担保
金融に、これは民間もあるいは
政府系金融機関も問わず、日本の
金融制度の特色として担保
金融依存型ということ、これは先ほどの
大臣の御
報告の中でもそこを脱していくんだというお話がございました、正に担保
金融からいかに脱却をしていくのかと。今日は議論をしませんけれども、あとは要するに直接
金融と間接
金融の割合をどういうふうに
改善していくかということなんですが、なかなかこれも非上場
企業に対して直接
金融の枠を一挙に広げるというのはこれは極めて難しいという
状況の中で、正に非上場
企業に対する間接
金融、そして、しかもそこから担保
金融からの脱却という
課題を今民間に率先して担い得るのは、私は
政府系のこの三
機関ではないかと。
そこで、三
機関がいろんな
観点から、正に二十一世紀型の本当に
事業内容、
企業内容に着目した新しい
金融の貸出しシステムといいますか、そうしたものを正にフロントランナーとして挑戦をし、そして試行錯誤を重ね、そして新しい
金融のノウハウをため、人材を育成し、そしてそれを今度は民間の
金融機関にも普及をさせていくと。そういう極めて極めて重要な
役割を私は担っているんだというふうに思っていまして、是非そういう
観点から私はこの
政策評価もなされるべきではなかったのかなという思いを、特に日本のそうした産業構造、
企業構造を前提にいたしますと思うわけであります。
そういう意味で、正に各
機関のそうした
政策金融が果たす
役割という
観点、これが私が不十分ではなかったかなと。あるいは、このことについてもう一度きちっと
政府部内で、これは極めて大きな影響を持つ
報告書でありますから、見解をもう一回、何といいますか、議論を深めていただければ有り難いなと思いますが、その点についていかがでしょうか。