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2003-06-05 第156回国会 参議院 厚生労働委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十五年六月五日(木曜日) 午前十時九分開会 ─────────────
委員
の
異動
六月四日
辞任
補欠選任
角田
義一
君
朝日
俊弘
君 六月五日
辞任
補欠選任
鴻池
祥肇
君
段本
幸男
君 伊達 忠一君 小
斉平敏文
君 藤井 基之君
後藤
博子
君
宮崎
秀樹
君
斉藤
滋宣
君
浅尾慶一郎
君
山根
隆治
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
金田
勝年
君 理 事 武見 敬三君 中島 眞人君
浅尾慶一郎
君
山本
孝史
君 沢 たまき君 委 員 狩野 安君 小
斉平敏文
君
後藤
博子
君
斉藤
滋宣
君 斎藤 十朗君
段本
幸男
君 中原 爽君
南野知惠子
君
宮崎
秀樹
君 森田 次夫君
朝日
俊弘
君
今泉
昭君 谷 博之君 堀
利和
君
山根
隆治
君 風間 昶君 井上 美代君 小池 晃君 森 ゆうこ君 大脇 雅子君
西川きよし
君
国務大臣
厚生労働大臣
坂口
力君 副
大臣
厚生労働
副
大臣
鴨下 一郎君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官
池坊 保子君
事務局側
事務総長
川村 良典君
常任委員会専門
員 川邊 新君
政府参考人
厚生労働省労働
基準局長
松崎 朗君
厚生労働省職業
安定局長
戸苅
利和
君
厚生労働省雇用
均等
・
児童家庭
局長
岩田喜美枝
君
社会保険庁運営
部長
磯部 文雄君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関す る
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) ─────────────
金田勝年
1
○
委員長
(
金田勝年
君) ただいまから
厚生労働委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
をいたします。 昨四日、
角田義一
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
朝日俊弘
君が選任されました。 ─────────────
金田勝年
2
○
委員長
(
金田勝年
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りをいたします。
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に、
理事会協議
のとおり、
厚生労働省職業安定局長戸苅利和
君外三名の
政府参考人
の
出席
を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
金田勝年
3
○
委員長
(
金田勝年
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
金田勝年
4
○
委員長
(
金田勝年
君) 次に、
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 これより
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
山本孝史
5
○
山本孝史
君 おはようございます。
民主党
・新緑風会の
山本
でございます。よろしく
お願い
をします。 まず
冒頭
、
心身障害者
の、いわゆる
触法障害者
とこういうふうに言われ、
精神障害者
と言われておりましたけれ
ども
、
医療観察法案
が
法務委員会
で
強行採決
をされました。私
たち厚生労働委員会
として、
連合審査
を
一緒
にやってまいりました。
連合審査
の場でも、法務
大臣
の御
答弁
、あるいは
上田障害保健福祉部長
の御
答弁
を聞いておりましても、非常に分かりづらい、とりわけ
精神障害者
の
保健福祉
がこれから先どうなっていくのかという大変重要な点について明確な御
答弁
がなかったと思っています。ないままに、
法務委員会
の方で
連合審査
もこれにて打ち切りということも
強行採決
でお決めになって、なおかつ
法案
も
強行
で決められるということで、私、
大変議会制民主主義
というものをないがしろにする
行為
である、暴挙であるということをまず御
指摘
をしていかなければいけないと思っています。
精神障害者
のこれから先、
皆さん方
の処遇という問題どうなるのか、とりわけああやってたくさんの
精神障害者
、
当事者
の方がおられる前で
強行採決
をされて、来られていた
皆さん
の中にはその場でショックで倒れ込んでしまわれるような方もおられて、そういう
状況
の中で、非常に心優しい
皆さん方
が、ひょっとすると
自分
も場合によってはそうした
刑事事件
にかかわってしまうかもしれない、そういうお
気持ち
も一方である中で、一方的にこういった
法律
が決められるということは決していいことではなかったと思います。 そのことをまず
冒頭
申し上げて、引き続き
精神障害者
の
福祉
の問題、
保健医療
の問題について十分にこの
委員会
として
審議
をしていかなければいけない。とりわけ、
日精協
の
会長
さんも
是非当事者
の一人として
委員会
に御
出席
をいただいて御
発言
をしていただきたい、そのことをまず
お願い
をしておきたいと思います。
冒頭
、これは
大臣
への御
質問
ではなくて、
指摘
あるいは
お願い事項
としてお聞きをいただければと思います。 本
会議
で、私、
大臣
に、非
正規労働者
が増えているけれ
ども
、どのように受け止めておられますかとお
伺い
をしました。
平沼経済産業大臣
にもお
伺い
をしました。
平沼大臣
は、
就業形態
の
多様化
の
流れ
を受けて
パート労働者
や
派遣労働者
といった非
正規労働者
が増加をしている、これは良い悪いということよりも
一つ
の
流れ
である、その
流れ
の中でのこういった
一つ
の
就業形態
、これにも柔軟に対応していくことが現実必要なことだと、
流れ
という言葉を何回かお使いになってそうおっしゃいました。そのような
流れ
があることは私も理解をいたしますけれ
ども
、では
厚労省
はその
流れ
にさお差すだけなんですかというのが私の率直な、あるいは素朴な疑問なんです。
坂口大臣
は
前回
の
審議
で、
今泉委員
が、いずれ
正規従業員
を軸とした我が国の
雇用制度
は生き残っていくと考えているのかと尋ねたのに対して、
経済
が回復したときに
長期雇用
が再び採用されるのではないかと答えられて、その理由として、
労働力人口
が減少する、
経済
が上向くと
労働力
が不足をする、また長く経験を積んだ人間も必要で、すなわち今のような
買手市場
ではなくて
売手市場
になれば
企業
が
労働者
を抱え込むはずだというような
見通し
をお
示し
になりました。そして
最後
に、十年たって間違っていたではないかというおしかりを受けることもあるかもしれませんが、私はそう思っている次第でありますと、こうおっしゃったんですね。 これは率直なお
気持ち
、そうかもしれないけれ
ども
、私が本
会議
で聞いたのも、
今泉議員
がここで聞いたのも、
厚生労働省
としてこれから先の
労働ビジョン
、
労働政策
、どう展開していくのかというときに、どのような
見通し
を持って取組をしておられるのか、そのことをお聞きをしたいわけですね。 ところが、そこのところが出てこない。本
会議
、この
法案
の
審議
を通じて
委員会
でも明らかになってきていることは、将来の
日本社会
では、
企業
の中枢は
正規従業員
であっても、製造とか
営業
とか
販売
とかといったかなり多くの職場の大半以上が
派遣労働者
やあるいは
パート労働者
で占められるのではないかという思いなんです。
厚生労働省
の白書を見てみましても、
長期雇用
に及ぼす
影響
ということについては、
企業
における
人件費
の
抑制指向
は今後も強いだろう、即戦力の
人材ニード
が高まっていくだろう、
サービス化等
の進展に伴って、
営業
、
販売
、
管理
、企画などの部門を
中心
に
個人
の
自律性
がより重視される職務の比重が高まることによって
長期雇用
や
年功賃金
に
影響
を及ぼすだろう、こう言っているわけで、私はやはり
長期雇用
というものはこれから先はなくなっていくんじゃないだろうかと思っています。そう思うか思わないかによって
均等待遇
ということに関しての姿勢も全く違ってくると思うんですね。 本
会議
の
最後
のところで私、
大臣
に、議場におられる
議員
の
皆さん方
を高校生とか大学生だと思って、これから先、二十一
世紀
の
日本社会
では働く姿はこうなっていきますよ、それに対して
厚生労働省
はこういう
雇用政策
を展開していますよということを、
是非ビジョン
をお聞かせくださいと、こう申し上げたんだけれ
ども
、
大臣
の御
答弁
は、
若年者
の
失業率
が高いということが頭の中に占めておられるのか、そういう
意味
では
若年者雇用
の問題に矮小化してしまわれたように思っています。 やっぱり、
民主党
が常日ごろ主張申し上げているように、
派遣
とか
パート
による
正社員
の
代替雇用
がこれ以上進むというのではなくて、
均等待遇
の
原則
を
是非
打ち立てて、
正社員
の
就業形態
を
多様化
する中で多様な働き方を実現すべきであるというふうに考えておりまして、
参考人
からも同様の御意見が出ましたけれ
ども
、
是非
この点についてもう少し考えを深めていただきたい。そして、今度お聞きするときはきっちり、二十一
世紀
の
雇用政策
は、
ビジョン
はこうなっていますと、私の言うことは外れるかもしれませんがと、そういう前置きはやめにして、こうなっているのでそれを前提に
厚生労働省
としては
雇用政策
を展開していますという御
答弁
、
是非
次回はお聞かせをいただきたいというふうに思います。これがまず
指摘
と
お願い
です。 さて、本論に入らせていただきますけれ
ども
、この
派遣労働
に関して、
法令
あるいは
指針
というものできっちり守るべきだと、こう示されていることがたくさんありますけれ
ども
、実際に
法令
やあるいは
指針
が
遵守
されているのかというところがやはり問題だと思っております。 この点に関して、
総務省
の
行政評価局
の北海道、東北、広島、香川、愛媛、それから徳島、福岡の各
地方管区
の
行政評価局
が
平成
十三年から十四年にかけて、
労働者
の
派遣元
事業者
やあるいは
派遣先事業者
がこの
法令
や
指針
を
遵守
しているのかということについて、
派遣労働者本人
からの聞き取り
調査
も含めて
行政評価
あるいは監察を行っております。その結果、多くの
事業所
で
法令
や
指針
の
遵守
に問題があるという
指摘
がなされております。 どういうことが
指摘
をされたかということを、少し長くなりますけれ
ども
、御紹介をしておきたいと思います。
派遣元
の
事業所
で
指摘
された
事項
。
一つ
、
派遣先
が合意した
特定
の
労働者
を
派遣
する
契約
となっている。
二つ目
、三年を超えて
派遣
してはいけないとされている二十三
業務
において三年を超えて
派遣
をしている。
三つ
、
労働者派遣契約書
が作成されていない、あるいは作成されていても適正でない。四番目、
就業条件
を
書面交付
により明
示し
ていない。五つ、
平成
十一年十二月に
施行
された
改正法案
で新たに加えられました
個人情報
の
適正管理
に関して、
派遣先
に
派遣労働者
の
本籍地
、
居住地
、生年月日、学歴、職歴などの
業務遂行
に
関係
のない
個人情報
を
書面
により提供している。
六つ目
、
労働者
を
特定
することを
目的
とする
行為
に協力をしている。七つ、
社会保険
に加入させないで
労働者
を
派遣
している、また、
社会保険加入
の有無について
派遣元
事業者
から
派遣先
に
通知義務
があるが、これを行っていない。八つ、
派遣元
管理台帳
を作成していない、また
派遣労働者
の苦情を記載できるようになっていない。九つ、専ら
労働者派遣
の役務を
特定
の者に提供することを
目的
として行われるものではないのに、二百人を超える
派遣労働者
をすべて親会社に
派遣
しており、
許可基準
に抵触をしている。 これは、今申し上げました、各
地方管区行政評価局
が
指摘
をしました
事項
を
整理
をして並び替え、ほとんど同じところで同じことを言われておりますが、
整理
をしてお話をさせていただきました。
派遣先
の方ではどうなっているかということですが、これは三項目あったというふうに理解しておりますが、
一つ
は、事前に
派遣労働者
を
特定
することを
目的
とする
行為
を行っている、
二つ目
、
派遣契約
以外の
業務
を行わせている、
三つ目
、
派遣先管理台帳
が整備されていない、こういうふうに多くの
指針
あるいは
法令
を
遵守
していないという事例を
指摘
をしております。 実は、こうした
指針
、
法令
を守らせるのはだれの
役割
かというと、これは
職業安定所
の
役割
なわけですね。しかし、そこの
公共職業安定所
によって
定期指導
が行われております。この
定期指導
がどうなのかということについても
行監
は触れておりまして、
職安
が適切である、あるいは特に
指導事項
なしとしている
事業所
でも
行政評価局
は不備を
指摘
をしております。さらに、
職安
が
定期指導
で駄目だよと言って
指導
した
事項
が
改善
をされていないということも
指摘
をしております。
公共職業安定所
のこの
定期指導
、どういう形でやっているかというと、実は
口頭
で聞き取り
調査
をやっているだけで、
関係帳簿類
の点検はやっておりません。
口頭
での
事業者
とのやり取りだけで
派遣労働
は適正に行われているかどうかをチェックしているにすぎない。したがって、そういう
状況
ですから、
行政評価局
としての
改善所見
は、
指導
は
文書
で的確に行うこと、
改善状況
を
派遣元
事業者
に
報告
をさせること、単に
指導
するだけじゃなくて、その後の
状況
が
改善
されたかどうかもきっちりフォローをしなさいと、こういう
指摘
をしているわけでございます。 今回、
改正法案
が提出されて、このままこの
法案
が
成立
をするということになりますと、
派遣労働
に関する
規制
が大幅に
緩和
をされることになりまして、今申し上げました
指針
に
違反
しているよという
事項
も
違反
でなくなる
事項
が随分たくさんございます。 しかしながら、本当にこの
派遣労働者
の
実態
を
厚生労働省
が
把握
をして、あるいは
公共職業安定所
がちゃんと
定期指導
で
把握
をして、そして適正な
派遣労働
が行われているかどうかをやっているのかというと、やっぱりそうでないと思うんですね。
前回改正
で、
法令
、
指針
を
遵守
させるために勧告をする、あるいは公表をするといった措置が設けられましたけれ
ども
、実際には一件も行われていない。
行政評価局
が
立入検査
をしてこれほど多くの
法令違反
あるいは
指針遵守違反
が
指摘
されているにもかかわらず、その
実態
は全く表に出てこなくて、
公共職業安定所
は何ら問題がないと言っている。この
実態
、私は非常に不思議でならないわけであります。 実は、
人材派遣協会
から
総会
の御案内をいただきまして、どういうわけか知らないんだけれ
ども
、私、別に献金も何ももらっているわけではありませんが、
理事
をしているからか、
委員
だからということでしょうか、いただきましたので、これは一遍行ってみる価値はあるということで、
総会
に寄せていただきました。そのときの
会長
さんのご
あいさつ
は極めて簡単でございまして、集まっておられる
事業者
の
皆さん方
に、
法令
を守ってください、
法令
を守らないとこの
業界
はもちません、
法令
を守らないと
厚生労働省
がどんどん入ってきますので、
皆さん
、お互いに
法令
は守り合いましょうというのが
会長
さんのご
あいさつ
でございました。 その後、
長勢甚遠
さんが
来賓代表
としてご
あいさつ
をしておられましたけれ
ども
、たまさか、
人材派遣協会
の
専務理事
さんだと私は理解しておりますが、交代をされることになりまして、
前任者
もそれから
新任者
も、
長勢甚遠
さんは、私が
一緒
に
労働省
の中で机を並べて働いてきた仲でございますのでよろしく
お願い
申し上げますと、こういうご
あいさつ
をされておられまして、
派遣業界
のトップは、言ってみれば
労働省
が治めておるんじゃないかと、こう思うわけですけれ
ども
、であるならば、余計にきっちりと守らせなさいと。そして、
自分たち
の下でその
派遣労働者
を守っている
公共職業安定所
がしっかりとした
立入検査
をやっていないということについて、私は、
厚生労働省
は非常に大きな責任を感じるべきではないかと、こう思うわけであります。 これは今まで私が見聞きしてきたことの
指摘事項
でございますが、そこで、御
質問
というか
要求
をさせていただきたいわけですけれ
ども
、やっぱり
派遣元
並びに
派遣先
の
事業者
に
立入調査
を実施をして、きっちりとした
調査
を実施して、
指針
あるいは
法令
が守られているのかどうか、まず今の
現状
を
調査
をしていただきたい、その結果をこの
委員会
に
報告
をしていただきたいというふうに思います。 あわせて、申し上げましたように、
改正法案
が
成立
をいたしますとかなりの
事項
が
指針違反
ではなくなりますけれ
ども
、今度、
指針
をどういう形でお書きになるかですが、
法律
が
改正
されて一年後、
改正
一年後まで待たなくてもいいのかもしれませんが、
改正
された後にもう一度
立入検査
をしっかりとやっていただいて、
状況
がどう変わったのかということを
調査
をして、
委員会
に
是非報告
をしていただきたいと、このように思うわけであります。要は、
厚生労働省
はちゃんと
仕事
をしてその
仕事
の内容を国会に
報告
をしなさいと、こういうことを申し上げているわけですが、この点についてまず御
確約
をいただきたいと思います。
戸苅利和
6
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働者派遣事業
の
調査
については、毎年毎年計画的に約四千件の
定期指導
をし、さらに、
労働者
から
申告等
があった場合は、
立入調査
という格好で大体百件ぐらいやっているところであります。 確かに、
文書指導
というのがそのうちで占めています割合が五%、大体百三十三件、
派遣先
は五件と、こういうことでありますが、
違法状況
について、
文書指導
したものについてはきちんと是正されているんだろうと思いますが、確かに、おっしゃるように、
口頭
での
指摘
ということになると、今、
行政評価局
の
指摘
のとおりの
状況
にあるということは否定できないんじゃないかと思います。 そういった
意味
で、
法令
ももとよりなんですけれ
ども
、
指針
についてもちゃんと守ってもらうということが重要でありますので、その辺りの
指導監督
はきちんとやるように努力をしたいと思います。 それから、今お話しの点でありますけれ
ども
、これにつきましては、
改正法
の
施行
一年ぐらいが適当かなと思いますが、いずれにいたしましても、
事業所
の方に赴きまして
指導
いたしまして、
法令
及び
指針
の
遵守状況
を
把握
したいというふうに思っています。 それから、取りまとめ結果について当
委員会
への結果御
報告
をと、こういうことでありますが、これにつきましては、
委員会
の
先生方
並びに
委員長
の御指示に従いたいというふうに思います。
山本孝史
7
○
山本孝史
君
改正法
の
施行
は恐らく来年の四月以降になるんだろうと思うんですけれ
ども
、したがって、これからまだ来年三月ぐらいまでの間は今の
現状
が続いてしまいますので、やっぱり、
改正
された後、緩くなったから何でもやっていいということにならないように、そのためにも、今、一度
定期検査
をというか、
公共職業安定所
によるところの立入り
指導
をやっていただいて、それでそこを是正していただいて、是正した上でないと、
規制緩和
をしたらえらいことになりますからこう申し上げているわけで、
是非
、是正をするためにもちゃんとした
指導
の
状況
、入っていただいて、その結果として、
行監
が言ったようなことはなくなっていますよということをまず私
たち
にお
示し
をいただけないと、我々は安心してそんなふうになっていくのかなというふうに思えないということを申し上げているわけであって、
指導
しなきゃいけないということは
局長
もお認めになりましたけれ
ども
、
是非
、早急にこの立入り
指導
をやって、それでその結果を私
たち
に教えてくれるということを、この点をまずやっていただきたいんです、私。
戸苅利和
8
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今、仮に
法案
成立
させていただいて、
法改正
ということで
施行日
が決まったといたしましても、それまでの間は、今御
指摘
のとおり、
現行
の
法令
の下で
制度運営
ということでありますから、
現行
の
法令
それから
指針
をきちんと守ってもらうということが重要でありますので、そこも踏まえまして、本年度においてもきちんと
調査
をしたい、
調査
というか、
指導監督
をしたいというふうに思います。
山本孝史
9
○
山本孝史
君 じゃ、今年度においてのその
指導監督
を早急にやっていただいて、その結果を早急に教えていただきたいということを重ねて
お願い
をしておきたいと思います。
大臣
、今の御
答弁
でございますので、
大臣
からも御
確約
、よろしく
お願い
します。
坂口力
10
○
国務大臣
(
坂口力
君)
KSD事件
のときにも、
文書
として
調査
したことが残っていないということが問題になりまして、
是非
、
調査
に入る以上はきちっと
文書
にして残すようにということにそのときにもなったはずでございます。それ以来、いわゆる
調査
というものに対しましては、省内に少し、これは
特殊法人等
に対してでございますけれ
ども
、チームを作ったりもいたしましてやっております。
関係
の
派遣等
につきましては、今後はこれひとつ、それぞれの都道府県におきます
労働局
が
中心
になってやることになりますけれ
ども
、現在それぞれのハローワークでその
人たち
いるわけでございますから、その
人たち
にしっかりと見させる、そしてそれを
文書
でちゃんと残すという習慣をちゃんと付けさせておかないといけないというふうに思っております。
KSD
以来の
一つ
の懸案でございましたので、そういうふうにしたいと思っております。
山本孝史
11
○
山本孝史
君 ありがとうございます。 それで、もう
一つ職安
のことについて
お願い
なんですが、まさかと思うんですけれ
ども
、
職安
の
職員
の方とそれから
派遣元
事業者
との間でなれ合いになっている、あるいは癒着があるということがないと私は信じておりますが、それを裏付けるためにも、この三年間ぐらいで結構ですので、
職安
を退職された方が
派遣元
事業者
に再就職をしておられるのかおられないのか、その
状況
を
是非調査
をして教えていただきたいというふうに思います。
戸苅利和
12
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
公共職業安定所長
で退職した
職員
、これにつきましては、
国家公務員法
の百三条というのがありまして、私
企業
からの隔離ということで、二年間は、
原則
として
離職
後二年間は
離職
前五年間に在職していた機関、あるいは
関係
の
企業
、そういったところに就職しないようにと、こういうふうなことになっていまして、その部分は私
ども把握
はしております。 私
ども
で
把握
している限りでは、
所長
で退職して
派遣事業所
に就職した者というのはいないというふうに思っていますが、ただ、
所長
を経験した後に
労働局
の課長をやってその後退職したりと、こういったケースもありますので、全
職員
調べるというのはちょっと大変だろうと思いますが、今申し上げた
国家公務員法
の百三条と関連の深い
職員
についてどういう
状況
なのかということはこれは
調査
をしてみたいと思いますし、結果はまた
先生
に御
報告
に伺うということにしたいと思います。
山本孝史
13
○
山本孝史
君 よろしく
お願い
します。 今申し上げているのは、
派遣元
事業者
あるいは
派遣先事業者
の問題として御
指摘
をしているんですが、
実態
をちゃんとつかんでくれと言っているわけですけれ
ども
。 今回、
参考人
を通じて、
派遣労働者
の非常に劣悪な労働条件、労働環境というものが示されたと思っております。新聞にもいろいろ
派遣労働者
の声が一杯出ているわけですけれ
ども
、私が目に留まりましたのを見ておりましても、例えばこんな声があったんですね。いつでも
契約
更新を拒否できるよう
契約
期間は半年ごとから三か月、更に一か月ごとに短縮をされた、後から来る人の時給は
自分
の八割しかない、
契約
期間を短縮、より低賃金化にというのが
派遣労働
の
実態
で、きつい
仕事
を
要求
されてもそれに対しての不満も言えないとか、三年間にわたって一か月間の
契約
更新を繰り返して働いていると、ノルマ達成のために一日十三時間労働や十二日間連続出勤と
正社員
以上の働きをしているけれ
ども
賃金は三年間据え置いたままになっている、こういった声があって、
参考人
の中からも同じように
派遣労働者
の声を代弁するような御
発言
があったと理解をしております。 それで、本当に
派遣労働者
の
実態
はどうなっているんですかと
厚生労働省
にお
伺い
をしましたら、昨年、
労働者派遣事業
の
実態
調査
をされて、
派遣労働者
用の
調査
をしたんだと、こういうことでございました。
調査
票を見せていただきました。全部で百問を超えるという郵送法
調査
としては異例に多い
調査
票だと私は思います。こんなものを郵送で送られてきてだれが答えるかという感じがするような、私はちょっと郵送法
調査
としては回答率を期待しないような
調査
じゃないかと思ったんですけれ
ども
。 内容の方も大変に異例になっていると思いましたのは、反復雇用が大変問題になっているのに、
派遣
で働いている期間と今行っておられる
業務
との間のクロス集計とかがありませんので、実際にどのような雇用期間になっているのか、雇用期間全体は聞いておられるんだけれ
ども
、それは一体どのぐらい反復されているのかがつかみ切れない。
代替雇用
が問題になっているということを御
指摘
しました。私も引用しました東京都の産業
労働局
の
調査
で、七割の
派遣労働者
が、今までその
仕事
は
正社員
がやっていた
仕事
ですと、こう答えておられるわけですけれ
ども
、この
質問
、
厚生労働省
が行われた
質問
の中ではそうした
代替雇用
を
把握
しようという意図が見えるような
質問
項目はありません。そういう
意味
では、私はやっぱり
派遣労働者
の
実態
をもっと正確に
把握
できる
調査
を実施をして、それに基づいて議論をすべきだと思います。 こういったアンケート
調査
にしろ、いろんな
実態
調査
にしろ、
調査
はある一定の意図とか
目的
を持って行われますので、出てくる答えがそれに沿ったものになるように
質問
が設定されているのが普通ですけれ
ども
、その部分を割り引いても、ちょっとこの
派遣労働者
調査
は信頼性に私は欠けると思っています。 その
意味
で、先ほど御紹介をしました
総務省
の地方の
行政評価局
は、
派遣元
事業者
だけじゃなくてちゃんと
派遣労働者
からの聞き取り
調査
もしておられるんですね。今回、
皆さん
にお聞きしたら、
皆さん
も
派遣労働者
から、あるいはその代表者から聞き取り
調査
をしたとおっしゃっているんだけれ
ども
、そのときに聞いている言葉がもし耳の中に残っていれば、
代替雇用
は進んでいないんだとか、あるいは臨時的な一時的な雇用であってという紋切り型の
答弁
には私はならないんじゃないかと不思議でならないわけですけれ
ども
。 したがって、
調査
をやれと言うと、その
目的
はなんですかとこうおっしゃったので、それは正確に今の
実態
を
把握
するための
調査
ですと申し上げた。予算が付かないからとおっしゃるので、そんなの日本労働研究機構に行きゃ幾らでも予算あるじゃないかと言ったら、あれは独法になりましたのでそんな勝手なことはできませんとおっしゃったけれ
ども
。 しかし、私は、全国
調査
だとか悉皆
調査
をやれと言っているんじゃない。きっちりとした、一部地域でもいいからそこで働いている
労働者
のことも含めたしっかりとした声を、こういう声でしたというものをまとめて本当のところを
報告
するような
調査
をしていただきたい、それでそれを
報告
をしていただきたい、このように思っているわけであります。
局長
の御
答弁
、
お願い
します。
戸苅利和
14
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣
法の見直しをする際には、これまでも、
派遣元
の事業主、それから
派遣先
だけではなくて
派遣労働者
からも直接ヒアリングをするということで実情の
把握
に努めてきたところでありますし、それから今、これで本当に調べられたのかというふうなお話でありますが、我々としては、例えば
派遣先
の
調査
において、現在、
調査
時点で
派遣労働者
が行っている
業務
の
前任者
は一体だれだったんだというふうな
調査
も行っていますし、
派遣労働者
についての
調査
で、
派遣
期間が長くなっているのか短くなっているのか、あるいは変わらないのかということも
調査
をしたところでありまして、ただ、クロス集計と言われると、時間の制約等々もあってちょっとそこまで手が回らなかったという面はありますが、我々は、そういう
意味
では実情を
把握
して行ったということだと思っています。 ただ、今回の
法改正
も制度的にはかなり大きな
法改正
になっておりますので、
委員
御
指摘
のとおり、これが
派遣労働者
あるいは
派遣先
の
労働者
、それから
派遣元
の事業の
状況
、そういったものにどういった
影響
を与えるのかということをやはりきちんとフォローするということもやはり重要なことだろうというふうに思います。
法改正
したら後はそれでいいんだということではなくて、その効果等をきちんと
把握
するという
意味
でそれは必要だろうと思いますので。 確かに予算の制約というのはありまして、一般的には
法改正
やるということでないと全体の予算の枠の中でその予算が取りにくいということはありますが、何とか工夫をして可能な限りの
調査
をしたいというふうに思いますし、その際は、今お話しのように、
派遣労働者
からの生の声が
把握
できるような
調査
の仕方も工夫してみたいというふうに思います。
山本孝史
15
○
山本孝史
君
行政評価
を役所自らがやらなきゃいけなくなっているんで、
法律
を
改正
した後どうなっているかは、予算が付くし、それはやらなきゃいけない
仕事
だからやると、これは理解するんです。しかしながら、その前提になっている、今この
委員会
審議
を通じて出てくる
皆さん方
の御
答弁
の中での
派遣労働者
はこういう
実態
で働いていますという姿と我々が世間から聞く話とはえらい乖離しているなと、これは何回も申し上げていることなんですね。 したがって、今少なくとも例えば
公共職業安定所
に
派遣労働者
からこういう苦情が寄せられているんですという部分はあるはずであって、そういった声ですとか、あるいは例えば東京でしたら飯田橋のところで東京二十三区の人材
派遣
をやっておられるわけですから、そうしたところの方が実際に
派遣労働者
に面接をされて、あなた本当に満足していますか、どんな問題がありますかという声を
調査
というか、とにかく聞き取り
調査
、ケーススタディーでもいいからやって、そしてこういう声がありましたというその事例をまずはちゃんと出していただきたいと。私は、全国悉皆
調査
をやれと言っているんじゃない、全数
調査
をやれと言っているんじゃない。そういう声を、上がってきていますよということを
整理
してこの
委員会
に、私
たち
に
示し
てくれということでないと、この
改正法
がどういう
影響
を及ぼすかということについての判断がしかねると、こう申し上げているわけです。 今、声を一々述べるということをしてくださらなくて結構です。こんな声があります云々というのは、後で
文書
で結構ですから下さい、私の
質問
時間が切れてきているんで。それは
是非
お願い
して、
是非
ともに
厚生労働省
はちゃんと
派遣労働者
の声を聞いてやっているということを
示し
ていただきたいというふうに思います。後でその
文書
を下さい。
質問
時間が切れちゃって、
指摘
と、もう一問
質問
だけ。
規制
の強化を私はやっぱりやるべきだと思っています。ここに来られた
参考人
の連合の中村
局長
も、名古屋大学の和田教授も、中野弁護士も、大阪
経済
大の大橋教授も、
派遣
事業者
が違法なことをしていればその
派遣
免許は取消しになるんだと、そして
派遣先
の
企業
も違法な
派遣労働者
を受け入れているということを知りながらやっていればそれは正規に雇用しているとみなすんだと、これがドイツの方式ですと、こういう御
指摘
をされたわけで、私はやっぱりそれぐらいの厳しい
規制
があってしかるべきじゃないだろうかと。
指針
すら守らせられないような
公共職業安定所
に期待はできないけれ
ども
、しかし、ないんならば私はやはり
法律
の中にそういうものを書き込みをしていくということが必要だと思います。 みなし規定については本
会議
でも御
指摘
をしましたけれ
ども
、それは反復雇用されているときのみなし規定云々の話だったけれ
ども
、そうじゃなくて、
派遣
事業者
が違法なことをしている場合は免許を取り消すとか、あるいは
派遣労働者
が違法な状態で来ているんだということを知りつつ受け入れた
企業
はそれは正規雇用とみなすんだというぐらいの対応があっていいのではないかと思いますけれ
ども
、そういう
意味
で御
質問
を申し上げているわけで、
戸苅
局長
、御意見があればお聞かせください。
戸苅利和
16
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) みなし雇用はドイツ等でも行われているわけでありますが、日本の場合にみなし雇用を行うといったときの問題点というのは、
一つ
は、
派遣労働者
自身がその
企業
に雇用されることを望んでいないというケースもかなり見られるということが
一つ
であろうと思います。それからもう
一つ
は、ドイツとかフランスと違って、産業別あるいは職種別の労働条件というのが労使協定で一律に決まっていないということがありまして、そういった中でみなし雇用をしたときに労働条件等でいろんな問題が出てしまうというふうなこともあって、どうも日本の
現状
からいうとそぐわないんじゃないか、あるいはコンセンサスを得るということが難しいんじゃないかというふうに思っています。 そういった
意味
で、今回の
法案
で
派遣
期間の制限を超えている場合、あるいは専門的な職種について三年を超えている場合、そのときに新たに
労働者
を雇おうとするようなとき、あるいは
派遣
期間を超えてもその
労働者
に働いてもらいたいと思うときはその雇入れの申入れをすると、こういうふうなことで日本的な対応方法ではないかと私
ども
は考えています。 それからもう
一つ
は、違法な
事業者
というのはやっぱり直ちにその当該
派遣
行為
をやめさせるということが重要でありまして、その辺りきちんと
指導
して対応していくということだろうと思います。言うことを聞かなければ罰則を適用するというぐらいの心積もりで厳正に対応するように努力したいと思います。
山本孝史
17
○
山本孝史
君 時間になっていますので、
最後
に、
厚生労働省
を代表される
坂口大臣
に御
答弁
をいただいて、終わりたいと思います。 それは、この
法案
審議
に直接かかわっておりませんけれ
ども
、坂井隆憲代議士の問題であります。
職業安定法
の
改正
案に関連して、坂井元自民党代議士が大手の職業訓練人材
派遣
事業者
から多額の裏献金をもらっていたということで逮捕されたわけであります。坂井代議士が労働政務次官を退任した直後の
平成
九年の四月、御退任はその前ですけれ
ども
、
平成
九年の四月に
職業安定法
の
施行
規則が
改正
をされまして、有料職業紹介を
原則
自由化するとともに、紹介手数料について新しい基準が示されまして、職業紹介
事業者
が大きな利益を得ることができるようになりました。それは、この「人材ビジネス会社情報」という本の中に、座長を務めておられた高梨さんが、これは長年の懸案であって、
改正
をされて非常にビジネスチャンスが拡大をしたんだということで
指摘
をされておられるわけですけれ
ども
。 この職業紹介の手数料の新しい基準が示されたというこの
改正
に、まさかと思いますけれ
ども
、坂井元労働政務次官がどのようにかかわっておられたのか。かかわっておられたとすれば、あるいはかかわっておられなかったのか、かかわっておられたとすればどのようにかかわっておられたのか、確認のために御
答弁
をいただいておきたいと思います。
戸苅利和
18
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) ちょっと事実
関係
だけ申し上げますと、確かに御
質問
のとおり、坂井……
山本孝史
19
○
山本孝史
君 かかわっていたか、かかわっていなかったかだけで結構です。
戸苅利和
20
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) はい、分かりました。 我々としては、かかわっていないというふうに思っています、いろいろ調べてみましたけれ
ども
。
山本孝史
21
○
山本孝史
君 思っているんじゃなくて、かかわっていないんですね。
戸苅利和
22
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) はい、かかわっていません。
山本孝史
23
○
山本孝史
君
質問
を終わります。
今泉昭
24
○
今泉
昭君 おはようございます。
民主党
・新緑風会の
今泉
でございます。 今日は、大変恐縮でございますけれ
ども
、大変細かい法文につきまして、法の
施行
の現場で監督を、
指導
をされております行政当局に法の解釈につきまして、少し数が多くなりますけれ
ども
、お
伺い
をしていきたいというふうに思っております。 まず第一点は、一年を超え三年までの間で臨時的・一時的というふうに定められておる期間についてでございますけれ
ども
、今回の
改正
は、専門
業務
等二十六
業務
以外の
派遣労働
は臨時的・一時的に限定するという、実は
前回改正
以降の位置付けを変えるものではないと、こういうことが確認できるかどうか。 そしてまた、
派遣先
の
業務
の
実態
により
派遣先
が一年を超え三年までの間で
派遣
可能期間を定める場合にはあくまで当該事業が職場の実情に照らして臨時的・一時的なものであると判断される場合に限られて、
事業所
における
業務
一般について三年まで可能であるということではないというふうに理解しておりますが、それでよろしゅうございますか。
戸苅利和
25
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回の
派遣
制度の見直しにつきましても、
前回
の
改正
の考えをそのまま受け継いでおりまして、臨時的・一時的な
労働力
需給調整のための制度として位置付けているということでありまして、そういった
意味
で一年から三年といった
派遣
が行われる場合でもあくまでも臨時的・一時的な
業務
について
派遣
を受け入れるという場合についてだけ許されるということであります。
今泉昭
26
○
今泉
昭君 次に、
事業所
における過半数労働組合等への通知及び意見聴取義務について幾つかの点についてお
伺い
をしたいというふうに思います。 この場合は、
派遣労働
を導入しようとする
業務
が臨時的・一時的なものであるということが明確になっていることが重要なわけでございまして、過半数代表労働組合からの意見聴取の在り方がこの問題のポイントになるというふうに考えているわけでございますが、まず第一に、通知内容は
派遣先
において
派遣労働
を導入しようとする
業務
、その
業務
にかかわる
派遣労働
の使用期間、その期間が職場の実情に照らして臨時的・一時的なものであるという事業主が判断をしていることを最低限含んでいるものと理解していいかどうか。 また、
業務
を受け入れる
派遣労働者
の数も職場の実情に照らして判断する場合の重要な判断基準であると考えるわけですが、その場合、その最低限示すべき
事項
となるのではないかというふうに考えるわけですけれ
ども
、この点についていかがでしょう。
戸苅利和
27
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣先
が
派遣労働者
、
労働者派遣
を受け入れるという場合の通知の内容としては、
一つ
は
業務
でございます。これは当然通知する必要があると思います。 それから、
業務
ごとに期間を通知するということになると思います。 それから、臨時的・一時的である旨というのは、これは当然、過半数代表に聴く際には、臨時的・一時的であるということとして、この
業務
、この期間が適当かという意見の聴き方でありますので、これは言うまでもないことだろうと思います。 それから、受入れ人数でありますが、これについては、
業務
が限定されるという中でどういう形で
派遣
を受け入れるかということになりますので、
派遣
の受入れ方がまちまちになるということがあるので、これを必ず通知しろというのはちょっと無理ではないかというふうに思っています。
今泉昭
28
○
今泉
昭君 過半数労働組合からの意見聴取の内容についてでございますけれ
ども
、
派遣
を受け入れようとする
業務
は、その受入れ期間からして臨時的・一時的なものであると考えられるかどうかということがその基本にあるというふうに考えておりますが、これでよろしいですか。
戸苅利和
29
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) おっしゃるとおりでありまして、その
派遣
を受け入れようとする
業務
について、一年を超える場合、三年までの間で臨時的・一時的な
業務
としてその
業務
を処理する期間はどの程度が適当だと事業主が判断しているのかということを通知して、それについての意見を聴くと、こういうことであります。
今泉昭
30
○
今泉
昭君 通知、意見聴取は、基本的に一年を超えて
派遣労働
をしようとする
業務
が発生する都度なされるべきであるというふうに考えられますが、それでよろしゅうございますね。 そして、その場合に、同一
業務
に複数の
労働者
を
派遣
しようとする場合、いわゆる当該
業務
に
派遣
を導入することが合意されている場合にありましても、例えば人数が変更する場合においても改めて手続が必要になると考えられますけれ
ども
、これもこれでよろしいですね。
戸苅利和
31
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣
を当初受け入れる際に一定の期間を
示し
て意見を聴くということであります。その期間が過ぎて更に、それが三年以内であることは必要でありますけれ
ども
、例えば一年半ということで始めた、その後、一年半たってまだその
業務
の処理が終わらないといったときに、引き続き三年の、通算三年の範囲内でやりたいといった場合は、当然、過半数代表にその旨を通知して意見を聴くと、こういうことになると思います。 それから、人数を増やすということについては、これは先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、
業務
の処理の仕方の範囲内に入るということでありますので、ここまでは対象にならないのではないかと思っています。
今泉昭
32
○
今泉
昭君 通知して意見を聴くということは、当然、新規に
派遣
を導入して
派遣元
との間で
労働者
の
契約
を締結する場合は、その
派遣契約
締結前、さらにまた
派遣契約
の更新又は
派遣元
を変えることで既に受け入れられていた
派遣
業務
期間が一年を超える場合等になるわけですけれ
ども
、その場合に、
派遣元
との
派遣契約
の締結を行う際には事前通知、いわゆる事前の意見聴取ということをしなければならないと、こういうふうに理解していていいですね。
戸苅利和
33
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) これは当然、一年を超え三年以内の期間
労働者派遣
を受け入れようということの場合に意見を聴くということでありますから、受け入れようと思う場合、思ったときにその意見を聴くということで、当然その
労働者派遣
契約
の締結よりも前あるいは更新よりも前ということになると思います。
今泉昭
34
○
今泉
昭君 それでは、そのような事前通知、事前聴取がなされなかった場合の取扱いというのはどういうふうになるんでしょう。これは
契約
、
派遣契約
等が無効になるというふうに解釈をしていいのかどうか。また、仮にこれが有効という形で解釈されるとするならば、行政は
派遣先
に対しましてどのような
指導
をなさるのかどうか、それをお聞きします。
戸苅利和
35
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働者
代表からの意見の聴取、これは
派遣
を受け入れる、
労働者派遣
を受け入れる場合に、臨時的・一時的な
業務
の処理に要する期間としてどの程度の期間かという事業主の判断が現場の
状況
に照らして適切かどうかということについて、現場の
状況
に詳しい
労働者
の意見を集約する能力のある過半数代表の意見を聴こうと、こういう手続でやっておるわけでありまして、したがって、民事法上の問題として申し上げれば、手続が適正に行われなかったとしても、
派遣先
と
派遣元
との
派遣契約
自身は民事上無効ということまでは無理、とするところまでは無理ではないかというふうに思います。 ただ、我々としては、当該
労働者派遣
が臨時的・一時的であるということを担保する上で意見を聴くというのは、これは非常にその根幹にかかわることでありますし、
法律
違反
、意見を聴かなければ、意見聴取を行わずに
派遣
可能期間を定めるのは違法でありますので、こういった事例については厳正に
指導
して、その後そういったことがなされないように徹底をしたいというふうに考えています。
今泉昭
36
○
今泉
昭君
派遣先
の過半数労働組合の代表の意見が必ずしも通るとは限らない場合がある、要するに意見が対立する場合があると思いますけれ
ども
、その際の取扱いというのは一体どういうふうになってくるんでしょうか。例えば当該労働組合が地方の
労働局
等に
指導
を仰ぐという場合や、あるいはまたその地方の労働行政が何らかの形でこれに介入をして助けていく、
指導
をしていく、そういうことになるんでしょうか。
戸苅利和
37
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 私
ども
としては、臨時的・一時的な
派遣
の受入れが適切な期間行われるということが今回の
法律
の眼目でありますので、それが確実に行われるということが何といっても一番重要だろうと思います。 それから、その労働組合の意見が尊重されるようなことにするということが必要だろうと思いまして、この点につきましては、衆議院の附帯決議におきましても、過半数組合からの意見聴取が確実に行われ、意見が尊重されるよう
派遣先
に対する
指導
に努めることと、こう書いてありますので、我々としては、その意見聴取が確実に行われるようにということについて、例えばその
派遣先
、
派遣元
の
指針
に明記するとか、あるいはその尊重されるようということについて必要な措置を取るとか、こういったようなことでやりたいというふうに思っていますけれ
ども
、労使間で今お話しのように対立が先鋭化してしまったときに、そこにハローワークが行って
指導
をしてくださいというふうな性格のものでは本来ないんではないかなと、こう思っています。 ただ、我々としては、そういった事態に至る前に、至らないようにきちんとした
指導
をしたいというふうに思いますし、もし労使紛争が起きているということであれば、労使紛争中のところに
派遣
をするというのは、これも
派遣
法上禁止されていますので、そういった事態は余り起きないと思いますし、そういった事態が起きないために事前の
指導
等に努めたいと思っています。
今泉昭
38
○
今泉
昭君 実際の
企業
の
状況
を見てみますと、従業員の過半数を代表する労働組合というものの存在を考えてみますと、組織率が全体の
労働者
の二割程度、大手の場合は五割近くあるんでしょうけれ
ども
、中小
企業
の場合は二%とか三%とかというような組織率でありますから、意見を聴くとしても実質的にはなかなか難しいというのが現実の姿ではないかと思うわけでございますけれ
ども
、仮にそのような形でありながらも、
派遣先
での意見の違いによりましてトラブルが発生している場合、当該
派遣労働者
にとりましてはいわゆる働く環境が好ましいものには決してなっていないことが事実でございますから、
派遣労働者
の雇用や
就業条件
の安定を図る義務のある
派遣元
の責務といたしましても、
派遣先
における意見聴取結果については十分な
把握
をしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに私
ども
は考えるわけでございますが、この点についてどういうふうに考えていらっしゃるか。 また、
派遣先
に対して行われる場合の行政のいろいろな
指導
ということに考えておきますと、行政の方としても
派遣元
に対してそれらの事実を知ったならば通知をするという責任があるんじゃないかと思うんですが、この点についてはいかが考えていらっしゃいますか。
戸苅利和
39
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 意見聴取自身が、
派遣先
の
労働者派遣
を受け入れる際の
派遣
期間が妥当かどうかということの判断材料として聴くということになっていまして、
派遣先
はそれをきちんとやるということが基本なんではないかと、こういうふうに思っています。
派遣元
は、やはり
派遣先
がきちんと決めた
派遣
の制限期間の中で
派遣契約
を
派遣先
と結んでと、これが基本なんだろうと思いまして、そういった
意味
で、今おっしゃいましたように、
派遣先
から
派遣元
に必ずその
状況
を
把握
できるような仕組みを、
派遣元
が
把握
できるような仕組みを作るというのはちょっと今の制度の仕組みからするとやややり過ぎということで、なかなか行政的に強制するのは困難ではないかなと、こう思います。 ただ、おっしゃるように、
派遣労働者
がそういったもめているところに出掛けていって本当に安心して働けるのかということは確かにあるわけで、そういった
意味
で、もめているところの対応ということについては、個別に必要な対応をその都度ケース・バイ・ケースで図っていくということはきちんとやらぬといかぬというふうに思いますけれ
ども
、労使紛争ということになってしまうと、あるいは裁判ということになれば、それはそれぞれのところで調整していただくということですし、労使紛争でもめていればそういったところに
派遣
は行われないようになると、こういうことだろうと思います。
今泉昭
40
○
今泉
昭君 次に、
派遣
受入れ可能期間を超える場合の
派遣先
の雇用申込義務について何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。
派遣元
が
派遣
停止通知を行った場合の
派遣元
の責任については一体どのようになるんでしょうか。また、
派遣先
の雇用申込義務については、申込みの義務の発生する日は当然
派遣先
が熟知していることでありますから、
派遣
停止通知の有無にかかわらず雇用申込義務が掛かるものと理解しておりますけれ
ども
、そういうような理解でよろしいかどうか。
戸苅利和
41
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
一つ
は、事前の通知がなされずにそのまま期間制限に
違反
して
労働者派遣
が続けられるというふうなことでありますけれ
ども
、通知を行わない
派遣元
事業主については、法第四十九条第一項によりまして
指導
改善
命令を出す、さらにそれに従わない場合は、十四条第二項で事業の全部又は一部の停止命令、さらにそれに従わなければ、悪質であるということであれば、十四条第一項で許可の取消しと、こういうことになります。 それから、
派遣
停止の通知がなされずに
派遣
期間の制限を超えて
労働者派遣
が行われた場合の雇入れの問題でありますけれ
ども
、我々としては、もはやもうその段階で
派遣
法
違反
ということでありますので、
派遣元
事業主自身が期間制限
違反
ということで、そこでその
派遣
をやめない限り事業停止命令等を出すということでありますので、そこで
派遣
が行われなくなってしまうというふうなことになるということで、雇入れの申入れの問題以前に
派遣
が終わってしまうと、こういうことではないかと思います。
今泉昭
42
○
今泉
昭君 雇用
契約
の申込みにおきまして、雇用期間、雇用形態、労働条件についての特段の規定はありませんけれ
ども
、
派遣先
において同様の
業務
に従事する雇用者、
労働者
という者がいる場合があるわけであります。もちろん
正規従業員
もいますし、
パート
という形で直接その
企業
が雇用している
労働者
も当然いると思うんでございますけれ
ども
、その場合に、直接同じような条件で働いている
人たち
とのいわゆる労働条件の仮に差があった場合に、それはいわゆる差別ではないだろうか、
均等待遇
にはなっていないんじゃないかと、こういうふうにも考えられるんですが、その場合はどういうふうに考えられますか。 また、同様な
業務
に従事をする直接雇用
労働者
が存在しない場合におきましても、それまでそこで働いておりました同様な
派遣労働者
と同じような労働条件とか、あるいは世間一般の条件に均衡した条件が当然示されてしかるべきだというふうに考えるわけですけれ
ども
、この点についてどのように考えられるか。 また、雇用申込義務の形式だけを整えるために、当該
労働者
にとって到底受け入れられないような雇用の労働条件が提示をされた場合に、果たして義務が果たされたというふうに考えられるかどうか、また、労働条件が全く提示されなかったような場合にはどのように考えられるか、見解を聞かせてください。
戸苅利和
43
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣
として受け入れていた
労働者
を
自分
のところの雇用
労働者
として雇い入れるといった場合の労働条件でありますけれ
ども
、これは、同じ
業務
に就いているといった場合でも、日本の賃金制度あるいは賃金水準、これの
実態
からいいますと、
業務
給あるいは業績給といいますか職務給といいますか、そういった部分だけでない年功給、勤続給的な部分があって、例えば、将来への期待とか、それからこれまでの
企業
に対する貢献度とか、そういったことを背景に決まっている給与があるわけであります。その辺りは就業規則で賃金規定が定まっておりまして、それに沿って判断するというのが一般的だろうと思いますが、ただ、
派遣労働者
を常用
労働者
に雇うといったときにうまく当てはまる規定があるかどうかということになろうかと思います。 その場合は、我々としては、これまでの
派遣
の実績をどう評価するのか、それから
派遣
就業中の労働条件がどうだったのか、それから今後どのぐらい期待をその
派遣労働者
にできるのかという辺りについて当該
派遣労働者
と事業主でよく話し合っていただくというふうなことが基本だろうと思いまして、今の日本の賃金制度の下で国が一律にこういう条件でということをやるということについてはちょっと国民的なコンセンサスも得られないし、
法律
でやったとしてもかなり無理があるのではないかというふうに思います。 それから、到底受け入れ難い労働条件を示す、あるいは労働条件を全く示さないということであります。 これについては、本来、今回の規定というのは、今まで現に
派遣労働者
として受け入れた人を常用
労働者
としてというか、更に使い続けたいと、こう思う場合にこの申入れをするわけでありまして、一般的に考えれば、使い続けたくないというのであれば、これはそこで
派遣
が終わるわけですから、そういった無理をした嫌がらせ的なことをして雇用の申入れをしなくても、そこで
派遣
を終わらせればいいと、こういうことではないかというふうに思っていまして、この仕組みからいって、そういったことを意図してやるということによって脱法的なことが行われるという余地はないんじゃないかと、こう思っています。
今泉昭
44
○
今泉
昭君 それでは次に、期間制限が適用されない二十六
業務
等の三年を超えた場合の当該
業務
に新たに雇用する場合の当該
派遣労働者
への雇用申込義務について、これもまた何点かにわたってお尋ねをしたいと思います。 この規定は努力義務ではなくして強制規定であるというふうに理解してよろしいですか。
戸苅利和
45
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) おっしゃるとおり、強制規定であります。
今泉昭
46
○
今泉
昭君
施行日
との
関係
で、
施行
以前に
派遣労働
に従事した場合に、
施行
以降に当該
派遣
期間が三年を超えた日から義務が掛かると理解をしてよろしいですね。
戸苅利和
47
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) おっしゃるとおりであります。
今泉昭
48
○
今泉
昭君 それでは、同一の
業務
で新たに雇用しようとする場合の同一の
業務
の考え方、これはこれまでの
派遣
法の解釈、つまり
前回改正
で論議した課あるいは係単位の
業務
で判断するということでよろしいですね。
戸苅利和
49
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回の四十条の五におきます同一の
業務
についても、現在一年の範囲内で継続して同一の
業務
について
派遣労働者
を受け入れることができるという規定での同一の
業務
というのと同じ定義、同じ扱いということにいたしたいと思っています。
今泉昭
50
○
今泉
昭君 雇用申込みにおける労働条件の提示等の扱いにつきましては、期間制限の掛かる
業務
の場合と同様であるというふうに考えてよろしいですね。
戸苅利和
51
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) これにつきましては、先ほど来議論になっていますけれ
ども
、四十条の四であろうと四十条の五であろうと同じ扱いになると思います。
今泉昭
52
○
今泉
昭君 雇用の申込義務というのは、
派遣先
が同様の
業務
で新たに雇用しようとする場合にその都度発生するものと私は考えておりますが、例えば、一度当該申込みをして
派遣労働者
が断った場合でも、次に雇用しようとするとき改めて申込みをする必要があるかどうか。通常の常識では、断った直後の追加的な雇用、追加的に雇用する場合までは求めないにしても、少なくとも半年経過すれば当該
労働者
の考え方も以前のときと全く変わらないとは言えないわけでありまして、新たに意思を確認する必要があると考えられますが、どのように考えていらっしゃるかどうか。 また、あらかじめ
派遣契約
において直接雇用の申込みはしないと定めることは、期間が三年を超えるような
派遣
においては拘束力はない、そして無効であるという法の趣旨と合致すると考えますけれ
ども
、この点についてはどのように考えられますか。
戸苅利和
53
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 雇入れの申入れをした後、本人が、
派遣労働者
の方が、いや、まだ
派遣
で働きたいというふうなことがあった場合の御
質問
だと思いますが、また別の事由というか、そのときと
状況
が変わって、またその
労働者
を雇おうというふうなことを事業主が思って、その
労働者
が更にずっと引き続き働いていて三年を超えているといった場合には、その
派遣労働者
に雇入れの申入れをするというのは御
質問
のとおりだと思います。 ただ、その間の期間がどのくらいの期間がいいのかという辺りはいろいろ議論になると思いますので、この辺りは、その運用をどうするか、解釈をどうするかということについては
施行
までに検討してまいりたいと思います。 それから、もう一点でありますけれ
ども
、今回の
法案
におきます雇用
契約
の申込義務でございますけれ
ども
、これは
派遣先
につきまして、
派遣労働者
への雇用
契約
の申込みを義務付けるという法的な規定でありますので、今御
質問
のように、私人間でこの
法律
の規定と異なる定めをいたしましても、
法律
的には
法律
が優先するということだと思っていまして、
派遣先
は当然、そういった
派遣元
と
派遣先
あるいは
派遣先
と
派遣労働者
の間での私的な雇用
契約
にかかわらず、
派遣先
としては申込義務の履行を求められるということになると思います。
今泉昭
54
○
今泉
昭君 雇用申込みが行われず、新たに採用が行われた場合、事後的にこれを知った当該の
派遣労働者
は、
派遣先
に対して直接雇用を請求することができるのかどうか、その場合の取扱いはどんなものでしょう。 当然、直接雇用するよう
派遣先
に対して
指導
されていると、
指導
されるものというふうに考えますけれ
ども
、直接雇用されたときに採用された
労働者
は一体どのようになるのか。義務を怠ったことは不注意も含めて使用者の責任でありますから、仮に解雇に至る場合は、当然使用者の責による解雇として取り扱われることになると考えますけれ
ども
、いかがでしょう。
戸苅利和
55
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 雇用
契約
の申込みを受けるべき
派遣労働者
が
派遣先
の義務
違反
によりまして申込みをされなかったという場合でありますけれ
ども
、これにつきましては、その
派遣先
については当然申込み義務を免れることはできないわけでありまして、
派遣先
は申込みの履行を求められるということになります。 それから、その場合に、
派遣労働者
を雇い入れるという、
派遣労働者
がじゃ雇ってくださいと言って
派遣先
がその
派遣労働者
を雇い入れることになったといった場合に、その前に雇っていた
労働者
が、二人は雇い切れぬということで先に雇った
労働者
を解雇というふうな事案が仮にあったといたしますと、この解雇は、一般的に考えると、やはり
派遣先
の法
違反
を原因として生じた解雇でありますから、使用者の使用者たる
派遣先
の責めによる解雇ということになるというふうに思います。
今泉昭
56
○
今泉
昭君 次に、いわゆる月初、土日のみに必要となる
業務
等の就業日数が限られた期間制限が行われない
業務
の乱用防止という
意味
から二点ほどお聞きをしたいと思うんですが、今回期間制限を適用しないことといたしました就業日数が限られている
業務
については、
労働政策
審議
会の建議及び
審議
過程におきまして、月初、土日のみに必要となる等
業務
の発生そのものが限られた日しか発生しないものに限定をし、繁忙対策として
特定
日に
業務
量が多くマンパワーが必要だという理由での
派遣
には適用しないとされていますが、そのように理解をしていいのかどうか、
法律
条文上にこの点は大変不明確でありますけれ
ども
、このことを省令や
派遣元
、
派遣先
の
指針
等で明記をしまして、繁忙対策として使われることのないように周知徹底する必要があるのではないかというふうに考えますけれ
ども
、この点はいかがでしょう。 また
派遣契約
において、就業する日数を記載することになっていますけれ
ども
、当該日以外に発生しない
業務
であることについても明らかに記載させるべきではないかというふうに考えております。また、このことは、当該
派遣労働者
にも
派遣元
から徹底して、脱法的に行われ、期間制限に抵触した場合には直接雇用の請求ができることを周知する必要があるのではないかというふうに考えておりますけれ
ども
、この点はいかがでしょう。
戸苅利和
57
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今御
質問
の規定につきましては、月初、土日等、一か月間に行われる日数が通常
労働者
の所定労働日数に比べて相当程度少ないという場合であれば常用
労働者
との代替という可能性は極めて低い、したがって期間制限を設けないと、こういう考え方に立って今回新たに設けようというものであります。 したがって、御
質問
のとおり、法が
成立
いたしましたら、
厚生労働大臣
が日数を定めるということになりますので、その日数以外では発生し得ない
業務
ということが基本というふうになります。したがって、単に通常の
労働者
の
業務
が忙しいから、通常の
労働者
が忙しいからといって、今ある
業務
を細分化して、それを十日以内に収めて、それで今回の規定に適用するというふうなことは、これは許されないというふうになると思います。 ただ、これをどう周知するかということでありますけれ
ども
、これは言ってみれば解釈の問題ということだろうと思いますので、その辺りについて、その解釈を対外的に明確にお
示し
するということで法
違反
が起きたりあるいは混乱が起きたりということのないようにいたしたいというふうに思っています。 それから、
労働者派遣
契約
の定め方でありますけれ
ども
、これについても、おっしゃるとおり、我々としては、やはり月初、土日等、通常の
労働者
の所定労働時間に比べて相当程度少ない
業務
としての
派遣
であるという旨を
派遣契約
に記載させるということは必要なのではないかと思いますので、ただいまの御意見も踏まえて検討をしてまいりたいというふうに思います。
今泉昭
58
○
今泉
昭君
特定
日にしか発生しない
業務
なんですけれ
ども
、その
業務
に従事している通常
労働者
の
業務
日数自体が限られている場合があります。例えば競馬とか競輪などがそれに当たるわけでございますけれ
ども
、常用
労働者
の代替とならないよう、通常
労働者
に比して相当程度短い日数であることがこの場合には必要だと考えますけれ
ども
、この点はいかがでしょうか。
戸苅利和
59
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回の
改正法案
におきます規定におきましては、一か月間に行われるその
業務
の日数が
派遣先
の通常の
労働者
の所定労働日数に比べて相当程度少ない、こういうふうになっています。通常
労働者
というのは、我々一般的には、これ
パート
タイム
労働者
というか短時間
労働者
の規定も同じような規定になっていますけれ
ども
、当該
企業
、
派遣先
企業
の正規の常用
労働者
ということでありますけれ
ども
、今お話しのように常用
労働者
が全くいないような
業務
について通常
労働者
はどうなのかと、こういうふうになりますと、これは現在常用
労働者
でない形で
業務
を、当該
業務
を行っている方が通常
労働者
ということになりますので、これについては、そういった常用
労働者
でない方でその
業務
を行っておる方の就業日数、それに比べて相当程度少ないと、こういうふうなことになると思います。
今泉昭
60
○
今泉
昭君 それでは次に、危険有害
業務
に従事させる場合の安全衛生の徹底と当該
派遣労働者
に対する周知について何点かお
伺い
をしたいと思います。 いわゆる物の
業務
に
派遣労働
が導入されることに対して、基本的に私
ども
は好ましくないというふうに考えているわけでございますが、仮に導入された場合、
実態
からしますと安全衛生体制の
確保
というものが非常に重要であるということは当然のことでございまして、
改正
案では、
派遣元
、
派遣先
に安全衛生にかかわる連絡担当者を置いて
派遣元
、
派遣先
の安全
管理
が徹底されるようにしておりますが、どのようなことを行うのか、これが明確ではございません。大変重要なポイントでございますから、省令あるいは
指針
等で具体的に定めていくことが大変重要だと考えておりますけれ
ども
、この点についてはいかがでしょう。
戸苅利和
61
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 製造業に
派遣
を適用するということになりますと、安全衛生、非常に重要な問題になるということであります。そういった
意味
で、その
派遣元
責任者、
派遣先
責任者の行う連絡調整の具体的な内容、これについては
派遣元
、
派遣先
それぞれに、
派遣元
責任者、
派遣先
責任者一人一人に徹底する必要がありますので、この点について我々としては通達に明記する、明確にするということでやりたいと思っています。この通達は、当然のことながら公開をいたしておりまして、ホームページでも見られますし、求めがあれば逐一出すということであります。 製造業
派遣
を行う
事業所
に通達の内容をきちんと徹底するという手だてを講じたいと思っています。
今泉昭
62
○
今泉
昭君 特に危険有害
業務
におきましては、当該
労働者
が十分その適格性を持ち、更に使用者の安全衛生が徹底されるということが大変重要なのでありますけれ
ども
、そもそも
派遣労働者
自身が危険有害
業務
に従事することを十分自覚をして、そして了解をしていることが不可欠ではないかと、十分それが説明されているかということが不可欠じゃないかと思うんですが、まずこの点はどういうふうに考えていらっしゃるか。 仮に
派遣労働者
を危険有害
業務
に従事させようとする場合は、
派遣契約
自身にこのことを明記して、講じられる安全措置また安全体制への協力義務等について
派遣元
からも徹底した上で、そのことを了解した上で
派遣
されるという、いわゆる危険リスクの当該
労働者
への事前告知を明記する必要があると考えておりますけれ
ども
、この点についてはいかがですか。
戸苅利和
63
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣元
事業主はその
労働者派遣
を行おうというときは、あらかじめ
労働者派遣
にかかわります当該
労働者
に対しまして、従事する
業務
の内容ですとかあるいは安全衛生に関する
事項
等々
就業条件
を
書面
で明
示し
なければならないということになっています。この規定によりまして、危険を伴う
業務
についてもその
業務
の内容等が
派遣労働者
に事前に明示され、
派遣労働者
はそれを知った上で
労働者派遣
に行くということを同意して
派遣
が行われるということになると思いますので、この規定がきちんと機能するように周知等に努めてまいりたいと思います。
今泉昭
64
○
今泉
昭君 危険
業務
に対するそのような告知の徹底は大変重要なことなんですが、しかしながら、じん肺であるとか被曝危険性のあるもの、そしてまた一定期間経過後に発症するおそれのあるようなものにつきましては、基本的に
派遣労働者
を使用することは禁止すべきではないかというふうに考えます。安全
管理
の
状況
、記録等について長期間の
管理
を徹底をいたしまして、
労働者
自身もそのことを認識しておりませんと大変なことに後々なるのではないかというふうに考えているわけですが、この問題についての対応はどのように考えていらっしゃいますか。
戸苅利和
65
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣
法上では安全衛生あるいは労働条件の
確保
、こういったことについて
労働者
の保護に欠けることのないように、
派遣先
あるいは
派遣元
それぞれに責任がどこにあるのかということを明確に定めているところであります。具体的には、例えばじん肺法あるいは労働安全衛生法の規定につきましては、その法の適用の特例ということで、
派遣先
に対しましてじん肺にかかわる予防教育あるいは健康診断等の措置を講じさせるということにしていますし、それから今回の
改正
で
派遣元
責任者それから
派遣先
責任者の職務に
派遣労働者
の安全衛生に関する、これは先ほど御
質問
ございましたが、連絡調整を追加したということでございます。 それから、
労働者派遣
契約
の内容として定めるべき
事項
になっております安全及び衛生に関する
事項
でございますが、これにつきまして、例えばその内容をより具体的に記載するようにさせようということで、パンフレット等でこういうふうに書くようにと、こういうふうに
事項
を規定するようにというふうなことで、必ず実行されるようにというふうなことを目指して周知を図っていきたいというふうに考えております。
今泉昭
66
○
今泉
昭君 先ほど
派遣先
の現場におきまして労働条件の差別があるんじゃないか、それは問題じゃないかということを申し上げましたけれ
ども
、同じようにこの労災の問題に関しましてもこういう問題が出てくるわけであります。 特に、労働災害が発生をする場合には少なくとも
派遣先
にいろいろ大きな問題が、責任があるわけでございますが、大体労災保険は公的に給付されますけれ
ども
、現在の一般的な常識として、労災保険に付加給付というものがそれぞれの
企業
別に付いているわけでございますが、しかしながら
派遣労働者
に対しましては
派遣元
でそのような付加給付を付けていなければ当然これは付かないわけでございまして、労働条件の一種かもしれませんけれ
ども
、これは明らかに
派遣先
の責任において起こった災害でありますから、その場合の対応を
派遣労働者
にも当然付加給付というものが対応されてしかるべきではないかというふうに考えるんですが、その点はいかがでしょう。
戸苅利和
67
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣先
の労働協約ですとかあるいは就業規則ですとか、それによって定められております労災補償の付加給付につきましては、これはあくまでも
派遣先
の
労働者
に適用される労働条件であるということだろうというふうに思いますし、 〔
委員長
退席、
理事
中島眞人君着席〕 それから労災補償については、これも何度も衆議院でも御議論があったわけでありますけれ
ども
、
派遣元
が責任を負っているということでございまして、製造業
派遣
が行われたときにその
派遣元
事業主がこういった労働条件をどういうふうに考えていくのか、そのときにその
派遣先
から徴収する
労働者派遣
の対価、これをどう設定するのか、こういったことでないと基本的な解決は図られないんじゃないかというふうに思っていまして、御
指摘
のように、その
派遣先
に適用するということについては、これは今の
派遣
法の法体系では無理だろうと、こう思います。
今泉昭
68
○
今泉
昭君 今回の
派遣
法の最大のやっぱり欠点は、この
派遣
法を作るときの範としたと言われる西ドイツと比較いたしましても、やはり
均等
な待遇がされなきゃならないという、その視点が全く欠けるという点が私はもう最大の欠陥ではないだろうかなというふうに思っているんですが。 次に、
派遣先
における最低賃金の問題について、これについても二、三お聞きをしてみたいというふうに思います。 御存じのように、我が国は地域別最賃と産業別最賃、二段構えの最賃制度になっているわけであります。地域別最賃は御存じのように低く、その上にプラスアルファするような形で業種別、産業別最賃ができ上がっているわけでありますが、その最賃も
派遣
される方々は
派遣元
の最賃に縛られるでしょう。しかしながら、行っている先の
派遣先
というのは、業種によりまして、一般的な地域別最賃に比べましてプラスアルファの最低賃金が決められているわけでございますが、そういうことを考えてみますと、この最低賃金の適用という面につきまして、雇用者の違いという立場から、業種的には明らかに同じ現場で働いていながら産業別最賃の対象になっていないと、保護される対象にならないということは明らかにこれは最賃の精神に反することではないだろうか、最賃法自身を実は否定するようなことになるんじゃないだろうかなというふうに私自身は考えざるを得ないわけでございます。 もちろん、現在、産業別最賃の在り方についてのいろんな論議がされているということも私自身十分承知をしているつもりでございます。そういう
意味
で、
派遣先
の最低賃金を下回るような形でのダンピング
派遣
というものが行われるということは、
派遣
のイメージも低下することでございますし、また公正な競争条件の
確保
という点でも決して先進国として望ましいことではないわけでございまして、このような最賃の問題に絡めましてどのように考えていらっしゃるかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。これは大変重要な問題でもございますので、できましたならば
大臣
の方から、最賃との絡みについて、この
派遣労働者
の取扱いについて考えることがございましたらお聞きしたいと思います。
松崎朗
69
○
政府参考人
(松崎朗君) この
派遣労働
につきましては、もう御案内のように、労働
契約
関係
と指揮命令
関係
は分かれているということで、通常の労働とは違った形態になっております。そういったことで、こういった
労働者
保護を図るという面からこういった
派遣
法ができているわけでございますけれ
ども
、そのときの考え方といいますのは、やはり今申し上げました労働
契約
関係
と指揮命令
関係
が分かれていることによりまして、今度、使用者等の責任、
労働者
保護という観点からの使用者等の責任が不明確になりかねないというところを明確にするというところが非常に一番の観点であったわけでございます。 そうした場合に、従来、二十年前にこういった議論をしたときに、やはり当時は、もう御案内のように、いい加減なといいますか、非常に、本当に
派遣
しっ切りで後は知らないといったような
派遣
事業者
が出てきておりまして、やはりこれは
労働者
保護という観点から見過ごしておくことはできないと、あったわけでございまして、やはり労働
契約
を結んでといいますか、
労働者
を雇う以上、基本的にはその雇った方がまず第一の全面的な、
原則
としての、使用者としての責任を負っていただくと。どうしても、安全性といったようにどうしても
派遣先
でなければできないこと、そういったものについては例外的に
派遣先
に使用者としての責任を負っていただくということで
整理
いたしまして、欠けることのないようにしたわけでございます。 したがいまして、賃金の支払といったこの労働
契約
から出てまいります基本的な使用者としての責任、こういったものについては、当然のことながらこれは
原則
どおり
派遣元
となるわけでございまして、最低賃金の適用につきましても、具体的なその賃金額の適用というものをこれを罰則でもって強制するという、基本的な使用者の責務でございますので当然これは
派遣元
というふうにしておるわけでございます。 確かに、実際の就労という現場、そういう場面を切り取ってみた場合に、今、
委員
がおっしゃいますようなそういった疑問というのもあり得るわけでございますけれ
ども
、これは現に
派遣労働
に限らず、例えば出向とかいった場合でも同じようなことがあり得るわけでございまして、こういった点から見て、やはり
現行
制度、
派遣
も含めまして使用者の基本的な責任をきちんと果たしていただくといったこの
労働者
保護ということをきちんと
確保
する観点からは、現時点におきましては、この最賃法の適用というような考え方、こういったものを変更することについては慎重な検討が要るんではないかというふうに考えています。
今泉昭
70
○
今泉
昭君 これはひとつ労働
大臣
にもちょっとお答え願いたいと思うんですけれ
ども
、我が国の
派遣
法自体が検討される際に、西ドイツの、今はドイツですね、ドイツの
派遣
法が一応参考例としていろいろ研究をされて適用されたと思うんですが、私、両方の、我が国とドイツとの比較をしてみますと、我が国の
派遣
法に欠けるものの最大の欠陥は、今言いましたように、
労働者
の処遇に対する取扱い方の差別を放置をしているということではないかと思うわけです。 恐らく回答としては、ドイツの場合は組織
労働者
がしっかりとした産業別労使協定に基づきまして労働条件が同一になっている、だからドイツの場合は
労働者
の差別待遇というものができないような社会環境ができているという言葉になるかもしれませんけれ
ども
、確かに我が国の場合は
企業
別に労働条件が皆違う、産業別にも
一つ
になっていないということがありますから大変厳しいことは事実であります。しかし、少なくとも今後
派遣労働者
を受け入れていくことが必要であるという認識に立っているならば、最大のやはり課題というのは
均等待遇
ということではないかと思うわけであります。 もちろん、この問題は、ただ単に
派遣労働者
だけではなくして、
パート労働者
等も含めました大変多くの広がりを持つ検討課題でございますから、すぐにできるという問題ではないと思うんですけれ
ども
、少なくとも今後
改正
に当たりましてはその点を
是非
ひとつ重要な課題として取り入れられるように考えていく
気持ち
はないかどうか、この点について労働
大臣
の見解をお
伺い
したいと思うんですが。
坂口力
71
○
国務大臣
(
坂口力
君) 先ほどからずっと
委員
の御議論を聞いておりまして、
一つ
は
派遣元
に対する問題であり、
一つ
は
派遣先
に対する問題。
派遣元
に対しましては、この労働条件というものをしっかりこれをやらさないといけない、やはりここがちゃんとしているかどうかということでありますし、
派遣先
にとりましては、これは安全
管理
、健康
管理
というものがこれはしっかりここができるかどうかということ、ここに尽きてくるなというふうに思いながら今聞かせていただいていたところでございます。 今お話のございましたこの賃金の問題にいたしましても、確かにいわゆる地域別の最低賃金がかぶっていることだけは間違いがないわけでございまして、これよりも低いというのではこれはもう話にならないわけでございまして、それは許されないことでございますが、先ほどからお話ございますように、いわゆるそれぞれの先によりまして業種別の最低賃金あるわけでございまして、そことの絡みを一体どうするかというところがこの日本の制度の中における最大の課題だと思うんですね。 これは今、
局長
からも
答弁
ありましたように、今ここを同じにするというわけには、これなかなかそこまでは言い切れないんだろうというふうに思いますが、例えば一年以上同じ場所に勤めると、勤務をするという、これから一年でなくて二年、三年というふうに長くなっていくというような人と例えば半年とかでもう辞めてしまうという人と同じになるのかどうか。 私は、少し長期にそこに働いていくということになれば、やはりその
派遣先
の
状況
というものもある程度これは勘案することもあり得るのではないかという気もするわけでございまして、それらのところを
審議
会でこれからも御議論をいただくようでございますから、しっかりここは議論をしていただいて、そしてできるだけ
派遣
だから低賃金というレッテルが張られてしまって、そして働く意欲をなくしてしまうというようなことのないように、やはり喜びを持ってこの
人たち
に働いていただけるような体制を作るという
意味
ではそういう努力も必要ではないかというふうに考える次第でございます。よく検討をさせていただきたいと思います。
今泉昭
72
○
今泉
昭君
大臣
のこれからの努力に期待をしたいというふうに思います。 次に、製造業における偽装請負への対応など
指導
体制の強化と適正
派遣
協力員制度の運用
改善
について何点かお聞きをしたいというふうに思います。 物の製造の
業務
等への
労働者派遣事業
の拡大に当たりましては、請負等を偽装した
労働者派遣事業
に対しまして、その解消に向けた
労働者派遣事業
と請負により行われる事業との区分に関する基準等の周知徹底、そしてまた厳正な
指導監督
等により適切に対処していくことが非常に重要と考えております。 もちろん、その請負業の監督庁が
労働省
ではなくして
経済
産業省でございますから大変難しい一面はあると思うのでございますけれ
ども
、この点についての監督
指導
責任のやはり違いというものが、製造業において請負が偽装に
派遣
業者のような形を取りながら不当な利益を得ているというような
実態
があるんですが、このことにつきましてどのように
一つ
は考えていらっしゃるか。 また同時に、請負にかかわる
労働者
の保護のために、請負自体は監督庁は
経済
産業省かもしれませんけれ
ども
、そこに働く
労働者
の保護というのはやっぱり
厚生労働省
のこれは当然責任の範疇でございますから、請負によって行われる事業に対しましてのこの取組と併せまして、労働基準法等労働諸
法令
が
遵守
されますように強力に厳しい
指導
を進めていくことが大変重要だと思っているんですが、この点につきましての考え方をお聞かせください。
戸苅利和
73
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 物の製造の
業務
に
労働者派遣事業
を適用するということを行った場合に、やはり何といっても重要な問題は先ほど来議論になっています安全衛生の
確保
の問題とそれから、今御
質問
のありましたとおり、偽装請負をいかに解消をしていくかということだろうというふうに思います。そういった
意味
で、これは衆議院の附帯決議でもうたわれておるところでありますけれ
ども
、請負と
派遣
との区分基準、これの周知徹底、それから厳正な
指導監督
ということを行っていきたいというふうに思っているところであります。 今御
質問
の請負でありますけれ
ども
、請負が適正に行われている限りは、これは
厚生労働省
の所管でないと、こういう議論になるわけですけれ
ども
、請負が適正に行われていないということになると、
一つ
は
労働者派遣
法
違反
、それからもう
一つ
は
職業安定法
に言う
労働者
供給事業
違反
、いずれかの
違反
事案なんだろうと思います。そういった
意味
で、労働行政としてそこはきちんと対応すべき分野でありますので、その辺りについて更に徹底をしていきたいというふうに思っています。これまでも、例えば
平成
十三年度でも請負ということで事業を行っていますと称している事業主についても七、八百件の
指導監督
はしています。 そういった
意味
で、今回の製造業の
派遣
の適用ということを機に、更にその偽装請負の解消、それから適正な
派遣
請負になるような
指導
というものに一層の努力をしていきたいと思います。
今泉昭
74
○
今泉
昭君 物の製造の
業務
への
労働者派遣事業
の拡大等に伴いまして、もう
前回
も
最後
にちょっとばかり私
質問
をしたんですけれ
ども
、
労働者派遣事業
の適正な
運営
を保護するために、各都道府県
労働局
を
中心
として一応配置をされております
労働者派遣事業
適正
運営
協力員制度、こういうものがあるわけですけれ
ども
、この実は
運営
というものが果たして今までのような
運営
のやり方で、私
ども
が一番危惧をしております最大の産業と言われる製造業へ
派遣労働者
を拡大をしていく、そして恐らく相当数の数が増えるんでしょうけれ
ども
、それらに関連をして起こるいろいろな不適切な事態に対する
指導
、相談というものが重要になってくるんですけれ
ども
、この
運営
協力員制度というものをこれらに対応して十分に実が上げられるような制度として改変をする
気持ち
があるのかどうか、そうしていただかなければならないというふうに考えておるんですけれ
ども
、この点についてもし具体的な考え方でも当面お持ちだったらお聞かせ願いたいと思います。
戸苅利和
75
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働者派遣事業
適正
運営
協力員の件については
前回
も御
指摘
をいただいたところであります。なかなか、
派遣労働者
が悩みがあり、あるいはトラブルがあったときに相談する先ということになりますと、
派遣元
ですとか、
派遣元
の事業主あるいは
派遣先
と、そのほかに役所でありますハローワーク、
労働局
と、こういうことでありますけれ
ども
、いろいろな形で相談に乗り、あるいは解決についての支援をいただくというシステムを広く準備しておくということは大変重要なことで、そういった観点から適正
運営
協力員制度が設けられているわけでありますけれ
ども
。 御
指摘
のとおり、確かに活動
状況
は低調ですし、それから
派遣労働者
はもとより
派遣元
、
派遣先
にも余り制度が知られていないと、こういうことでありまして、今回の
改正
を機に、
派遣労働者
の就業の適正化のためにあるいは
労働者
の保護のために適正
運営
協力員の方にもっと御活躍いただけるようにする必要があるというのは、我々も全く同じ思いでおります。 〔
理事
中島眞人君退席、
委員長
着席〕 具体的にどうするのかということでありますけれ
ども
、
一つ
はやはり適正
運営
協力員の制度があるということをいかに周知するか、それから個々具体的な適正
運営
協力員、こういった方がなっていると、どこへ連絡すれば相談ができるんだという辺りについての周知をきめ細かくするということが重要だろうと思っていまして、例えばホームページに掲載するとか、あるいは
派遣元
、
派遣先
の
事業所
に
指導監督
に行った際にそういった名簿を配る、あるいは制度のパンフレットを作るとか、配って歩くとか、そういったことはやろうと、やる必要があると思っていますし、それからもう
一つ
はやはり、
実態
を見ていますと、適正
運営
協力員の方がいろいろ活動しようと思っても、一人一人独立してやっているということなものですから、なかなか、何というか、いろいろな対応をするにしても負担が大変だという面は確かにあるんじゃないかと思います。 そういった
意味
で、適正
運営
協力員の方の
会議
を開いたりはしているんですけれ
ども
、もう少し、適正
運営
協力員の方が具体的にいろんな活動をするときに、より活動しやすいように何らかのバックアップ体制といったものも講じないと、なかなか、せっかく適正
運営
協力員を
お願い
しながら、思うような活動をするのが難しいというふうな結果になってしまっているのではないかと思いますので、適正
運営
協力員の方に対する
労働局
なりハローワークなりのバックアップ体制というか、そういったこともちょっと
実態
を更に調べて対応を検討してみたいと思っています。
今泉昭
76
○
今泉
昭君 ありがとうございました。 以上をもちまして細かい条文に関する確認の
意味
での
質問
を終わらせていただきまして、残りました時間をいただきまして、少し細かい問題とは違います大きな問題等につきましての見解をいろいろお聞きをしてみたいというふうに思います。多少
質問
通告していないものも含まれるかもしれませんけれ
ども
、その点はひとつ勘弁をしていただきたいというふうに思います。 まず第一に、これまでの
報告
等を見ましても、また御
答弁
の中でも示された日本の
派遣労働者
の
実態
、百七十万近くいるんですが、その
中心
は実は女性
労働者
が大変大多数を占めて多いという
一つ
の特色を持っております。日本の場合はいろんな
意味
でこれまで業種的な制限をされてきたという背景があるわけでございますが、一方、
派遣
大国というんでしょうか、
派遣
の先進国というんでしょうか、制限を全く設けないで
派遣
制度をやっているアメリカの
実態
と比較をしてみますと、何とアメリカの場合は半分が、ちょうど男女構成と同じような形で四十数%が男性で五十ちょっとが女性だと、半々のような状態があるわけですね。 こういうものと比較をしてみますと、仮に今度、日本のこの
状況
が、今までは最も多くの雇用
労働者
を持っていた製造業を制限をしていたというところから男の
労働者
が
派遣労働者
として登場してきていないのかどうか。製造業は御存じのように八割が男性の職場、大体その構成は二割が女性だというふうに言われている産業でございますけれ
ども
、そういう
意味
で考えてみますと、
派遣労働
に製造業を解禁をしたということは日本でも多くの男性
労働者
が
派遣
業という中にウエートを占めていくような形を想定されているのかどうか、これをちょっとお
伺い
をしてみたいと思うんです。 これは働き方の価値観との違いもあると思うんでありますが、物の資料によりますと、例えば
派遣労働者
のタイプとして
三つ
に分けられるそうでございまして、その
一つ
のタイプというのは、フルタイムで働くということを重荷に感じたり、あるいは、とにかく短期間に働いて臨時的な収入を得たいと、
自分
の都合のいい時間に働きたいというタイプの
派遣労働者
、これが一の
労働者
のタイプといたしましょう。二番目のタイプの
派遣労働者
のタイプというのは、次の
仕事
がとにかく見付かるまで、実際は
正規労働者
として働くのを目指しているんだけれ
ども
、とにかくレイオフをされたり、あるいはなかなか
仕事
が見付からないで、パーマネントな職場を求めている、次の
仕事
が見付かるまで
派遣労働者
になっているんだという方々、これを二のパターンといたしましょう。三番目のパターンといたしましては、とにかく
派遣労働
というものを
自分
のフルタイムにしていくんだという
気持ち
でフルタイムにどっぷりつかっていらっしゃる方々。 こういうタイプ分けをして
調査
資料を見てみますと、例えば、
派遣先
進国であるアメリカなどは二のタイプの
労働者
というのが五五%だそうでございます。三のタイプが次のグループでありまして、二五%だそうでございます。一のタイプは二〇%、そのほか集計ができなかったのが、それでちょうど一〇〇%ですね、そのような形で
派遣労働者
というものが存在をしているようでございますけれ
ども
、労働行政として、
厚生労働省
としてはこれからの
派遣労働
というものの日本における位置付けをどのように考えていらっしゃるのか。 この分類でいくならば、恐らく日本の場合は統計が、この種の統計が見付からないもので私は数字は分かりませんけれ
ども
、違った現実の姿があると思うんですが、製造業の解禁とともに恐らく違った形の
派遣労働者
の割合というものが出てくると思うんですけれ
ども
、一応
厚生労働省
としては、今後我が国の
派遣労働者
のカテゴリー分けというものはどういうふうになっていくのか、こういうことについてちょっと考えをお持ちでありましたならば、今後の雇用対策という面で大変重要な
現状
分析でございますから、その点につきましてちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
戸苅利和
77
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 実は、
派遣労働者
のうちの男女別の構成ですとか、あるいは年齢別の構成というのを正確に
把握
している
調査
というのはないんじゃないかと、こう思います。 それで、私
ども
が手に持っている範囲で申し上げますと、
一つ
はこれは
平成
十三年の二月、大分古い資料ですけれ
ども
、
労働力
の特別
調査
があります。それで、これはその
調査
時点で
派遣労働者
として働いていたかどうかということなんで、登録していて次の
仕事
待ちの人が入っていないという制限はあります、制約はありますけれ
ども
、それで見ますと、男女計で四十五万人、
平成
十三年の二月で
派遣
の
業務
に就いていたと、こういうふうになっていまして、そのうち女が三十四万人、男が十一万人ということですから、一対三ぐらいの割合のようであります。それから、年齢別に見ますと、やはり若い人が多くて、大体二十歳から四十歳ぐらいまでの人が六割ぐらいと、こういう
状況
であります。 それからもう
一つ
、昨年の六月に、これはアンケート
調査
なものですからサンプルに偏りがあるということがありますけれ
ども
、これで見ますと、男と女の比率が六十五対三十五と、こういうふうな
状況
で、確かにおっしゃるように日本の場合は女の方が多いと、かなり多いと、こういうことだろうと思います。年齢別に見ましても、やはり二十代、三十代といった辺りがこれはかなり多くて、七五%ぐらいということでございます。
労働者派遣
、国によって様々でありまして、アメリカは何らの法
規制
、公的な
規制
なしに行っているわけですけれ
ども
、それでも労働市場のメカニズムというか
企業
行動の原理というか、そういったものでやはり
企業
の中核的な
労働者
というのは正規の常用
労働者
ということになっているんだろうと思います。ただ、アメリカの労働市場というのは
離職
しやすくかつ再就職しやすいというか、入職しやすいと、こういう特徴があるという中で
派遣
が、今、
先生
おっしゃったような形で労使からいろんな形で活用されて広がっていると、こういうことだろうと思います。 フランスは、私が聞いている範囲では、フランスというのは元々民間の
労働力
需給調整について世界じゅうでも非常に厳格な
規制
を行っている国でありますけれ
ども
、いろいろ聞きますと、製造業、これはフランスから帰ってきたばかりの人間に聞いたんですけれ
ども
、製造業は有期雇用者というのはほとんどいなくてみんな
労働者派遣
でやっていると、こういうふうな話を聞いています。一方で、ホワイトカラーの
派遣
というのはフランスは余り行われていないと、こういうことのようであります。 日本の場合はどうかということになりますと、日本の場合は、アメリカ型の
派遣
会社が日本にそのノウハウを持ち込んでスタートしたと、こういうこともあって、コンピューターの操作でありますとか、あるいは財務処理でありますとか、そういった専門的な分野、それからビルの清掃ですとか、ビルメンテナンス
関係
の、朝早く働いたり夜遅く働いたりという日本の常用
労働者
とは違う働き方をする特殊な雇用
管理
の分野、こういったことでスタートしたわけですが、それを引きずってきているということもあって製造業の
派遣
を認めていないという中では、今申し上げたように、比較的若い、四十歳以下の女性を
中心
として事務の
関係
の
派遣
が行われてきていると、こういうことだろうというふうに思います。 これから先どうなるかということでありますけれ
ども
、これから先はなかなか読みづらいわけですが、私
ども
考えていますのは、その製造業の
派遣
を導入するということによって、これまで請負の形で行っていた分野、これが
派遣
にどれだけ転換するかということと、それから、請負ではなかなか処理し切れない、同じ製造ラインの中に有期の
労働者
、季節工として働いている
労働者
、これを
派遣労働者
に切り替わっていくと、両方の動きがあるんじゃないかと、こう思っています。 我々としては、やはり日本の
企業
行動、それから
労働者
の常用雇用志向の強さ、そういったところから考えますと、やはり
派遣
が拡大するといっても一定のところで多分収まるんだろうと。それから、
大臣
はその後また
派遣
は減るんだと、こういうお話でありますけれ
ども
、やっぱり一定のところで収まるんじゃないかと思っていまして。 ただ、
派遣
のメリットというのはいろいろあるわけで、
労働者
自身が
自分
で一生懸命職探ししなくても、
派遣元
がその
派遣労働者
の能力、知識に見合ったところを迅速に見付けてくれるという
意味
で、
仕事
を求めれば、失業期間が非常に短く、いろんな
派遣先
を移動することによって全部合わせると常用
労働者
並みの雇用機会が得られると、こういったメリットもあるわけで、今回の
派遣
期間の制限を三年を上限にした、それから製造業の
派遣
を導入したということによって今申し上げたようなメリットは出てくるんじゃないかなと、こう思っています。 我々としては、どういう方向へ雇用を持っていくんだということよりは、むしろ
派遣
というのは、さっき申し上げたように、一定のところまで、どう考えても常用
労働者
が全部
派遣労働者
に替わってしまうということじゃなくて、一定のところまでのものであるということではないかと、これはそう思っていまして、そういった
意味
で、職業紹介、
労働者派遣
、その他求人情報の提供事業、いろいろな求人と求職のマッチングをするシステムというものをきちんと整備をしていく、それによって失業期間が短くなる、再就職がしやすくなる、こういうふうなシステムを作っていこう、あわせて、それによって弊害が生じないように
労働者
の保護をきちんと図っていこうということで、そういう
意味
では雇用対策の
中心
に
派遣
があるということではないと、こう思っています。
今泉昭
78
○
今泉
昭君 製造業が今回解禁になるということになるんですが、御存じのように、製造業の解禁の場合には、もう既に事務職に関しましてはこれはもう
派遣
がされているわけでございますが、言わば現場に
労働者派遣
を許すと、こういうことになると思うんですね。最近は現場と事務職の距離が非常に区別がなくなりまして、ブルーカラーとホワイトカラーの間にグレーカラーと言われる方々がいらっしゃるわけですから区別が大変しにくくなっている。 我々が一般的に理解するのは、製造業の
労働者
というのは三種類おりまして、ちょうどピラミッドを構成するような形になっているわけです。それが、一番上のピラミッドの頂上にいるのがいわゆる高度先端技術者という方々であります。それから、その次のグループとして存在するのがいわゆる中堅技能
労働者
と言われる方であります。そして、一番
最後
の、底辺に一番多くいらっしゃる
人たち
が基盤技術
労働者
と言われる方々でございます。日本の特色は、この基盤技術
労働者
の豊かさというものが日本のものづくりを実は支えてきたわけであります。 恐らく、この製造業における
派遣
の開放によりまして、この一番、どちらかといえば、ランクで言うならば基盤技術
労働者
群の中に開放していこうというふうに考えておられると思うんでございますけれ
ども
、特にその中でも最近問題になっているのは、いわゆる基盤技術
労働者
の中に混在をしてきて増えてまいりますいわゆる不法入国者によるところの潜り込み、さらには、教育
目的
でもって不法に発展途上国から人を呼んできて、名目だけに教育とは称しているけれ
ども
、実際は単純作業と言われるものに就かせているという状態があるわけであります。 そうすると、考えてみますと、日本の伝統的な基盤技術
労働者
というのは、一定の現場における教育訓練を置いてスキルアップができるようなシステムがあるわけでございますけれ
ども
、そういうものの中に入ってくる、期間を区切って入ってくる
労働者
というのは、先ほど申し上げましたように、発展途上国から教育
目的
で、実質的には教育はしていないんだけれ
ども
低賃金ということでそこで働かせる、あるいはまた法の目をくぐって不法滞在外国人が働くというような形のものの代替をするという形でしか存在しないのが製造業におけるところの現場の
派遣労働者
じゃないかと思うわけであります。 果たして、そういう
状況
におきまして開放するとするならば、わざわざ雇用者を二つに複雑にして雇うよりも
パート
タイマーを雇った方がよっぽど
労働者
にとりましては、単純に、そして
自分
の雇用も、現場におけるところのいろいろな保護も一人の
労働者
で、一人の、
一つ
の雇用者でもってこれ保護されるわけですから、ふくそうする必要はないと思うわけでございます。 そういうことから考えますと、何で製造業にそこまで大きく門戸を開放する必要があるのか、むしろいろんな
意味
で、危険の問題もあるし、マイナスの面が多いのではないかなというふうに思うわけでございますが、この点については、
大臣
、どのように考えていらっしゃるか、もし見解があったらお聞きしたいと思います。
坂口力
79
○
国務大臣
(
坂口力
君) 難しいお話でございますから十分にお答えできるかどうか分かりませんが、最初の
山本
先生
のお話にもこれ結び付くわけでございます。 結局、これから先の日本の製造業というのは、いわゆる新しい、何と申しますか、新しく高い技術が求められて、それで、それの機械化とそれに対応できる技術者というものがだんだんだんだんこれから求められていくんだろうというふうに思います。したがいまして、その範疇に入ってくる人については現在でも足りないぐらいだというふうに言われておりまして、そういう
人たち
は、常用雇用、これはもう必ず私はそうなっていくんだろうというふうに思っておりますが、その周辺の
皆さん
と申しますか、先ほどおっしゃった、基盤技術
労働者
とおっしゃいましたか、その辺のところが一体どうなるのかということ、日本の製造業そのものが、そうしたところはもう余り要らなくなっていくのか、それともこれからそこもやはり必要なのかどうかということが私は製造業にとりましては非常に大きなこれから分かれ目になるんではないかというふうに思っております。 昨日でございましたか、一昨日でございましたか、テレビを拝見をしておりまして、薄いテレビができますときの
最後
のところをやっておりまして、拝見をしておりましたら、
最後
は女性が、千分の一ミリと言いましたかね、そこをやるのは機械ではなくて、女性がしなやかにすっと引いてその高さを整える、それできれいな画面ができるという、やっておりまして、
最後
はやっぱりその技術力というのはすごいんだなと思って、私、それ拝見をしていたわけでございますが、やっぱりそういう
意味
で、機械化だけではなくてそうした技術もやはり必要なんだということであれば、私は、そうした人も含めて、
企業
は無視することができないというふうに私は理解をいたしております。甘いと言われるかもしれませんけれ
ども
、私はそのように理解をしているところでございます。
今泉昭
80
○
今泉
昭君 ありがとうございました。 時間が参りましたので。
金田勝年
81
○
委員長
(
金田勝年
君) 午前の
質疑
はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩といたします。 午後零時十分休憩 ─────・───── 午後一時三十一分開会
金田勝年
82
○
委員長
(
金田勝年
君) ただいまから
厚生労働委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
浅尾慶一郎
83
○
浅尾慶一郎
君
民主党
・新緑風会の
浅尾慶一郎
です。 時間が限られておりますので、私の方は
職業安定法
の
改正
に関連する問題についてお
伺い
をしてまいりたいと思います。 まず、今回の
職業安定法
の
改正
により、地方自治体が届出で
営業
紹介を行えるようになりますが、この
改正
の趣旨についてお
伺い
をしてまいりたいと思います。 まず第一に、地方事
務官
制が廃止になり、都道府県の労働行政が
労働局
として分離された後も地方自治体に職業紹介をこれまでは認めてこなかったわけでありますけれ
ども
、その理由はどういうところにあるでしょうか。
鴨下一郎
84
○副
大臣
(鴨下一郎君) 職業安定行政におきまして、地方事
務官
制の廃止やその後における国と地方の
役割
分担につきましては、これは地方分権推進
委員会
におきまして十分に議論がなされたわけでありますけれ
ども
、同
委員会
の勧告及び地方分権推進計画を受けまして、雇用対策法におきましては、国は職業紹介事業、そして雇用保険事業等の施策を実施して、地方公共団体は国の施策と相まって地域の実情に応じた施策を実施すると、こういうようなところで
整理
されたわけでありますけれ
ども
、これに基づきまして、
公共職業安定所
が無料職業紹介事業を実施する中で、地方公共団体も同様の事業を実施する、こういうふうになりますとある
意味
で国と地方の二重行政、こういうようなことで非効率になるのではないかと、こういうような考えの下から地方公共団体は無料職業紹介事業を行えないと、こういうふうにしていたわけでございます。
浅尾慶一郎
85
○
浅尾慶一郎
君 そこで、今回は、
改正
によって地方自治体が届出によりまして職業紹介ができることとした理由ということをお
伺い
したいわけでありますが、今、副
大臣
が御
発言
の中でありましたように、地方分権推進
会議
等の提言も
一つ
の理由かと思いますが、そのほかどのような
状況
の変化があったんでしょうか。
鴨下一郎
86
○副
大臣
(鴨下一郎君) 言うまでもなく、厳しい雇用失業情勢がございます。そして、地方公共団体においても、それぞれが実施している雇用対策の取組に加えて、地域の実情を踏まえた形で職業紹介を行えるようにしてほしいと、こういうような要請が
厚生労働省
に寄せられていたところであります。 そうした中、
先生
御
指摘
の地方分権改革推進
会議
が、これは
平成
十四年の十月三十日に取りまとめた最終
報告
におきましては、高齢者、障害者などを対象とした地域性の強い施策を展開する上で必要な職業紹介については、これは、国と地方の二重行政になることのないように配慮をしながら、都道府県も一定の
役割
を担うことができる方向で検討を行い、十四年度中に結論を得ると、こういうような
指摘
があったわけでありまして、これを
改正法案
におきましては、同
会議
の最終
報告
、そして地域における厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、地方公共団体に対し、地域住民の
福祉
の増進、そして地域産業の振興等を図るための施策に附帯して無料職業紹介事業を行えると、こういうようなことを認めるというようなことにしてあるものであります。
浅尾慶一郎
87
○
浅尾慶一郎
君 そこで、今、これまで国、あるいは地方公共団体と国とで二重行政になってはいけないということで地方自治体にはその職業紹介を認めてこなかったと。今度は、今の雇用情勢等々かんがみてこれを認めていくということでありますが、利用者にとってはこれは非常にいい前進だと思いますが、同時に、利用者の立場に立つと、国であっても地方公共団体であっても、これは同じ職業紹介の場であるという観点から、二重投資、二重行政にならないように幾つか
質問
をさせていただきたいと思いますが。 まず第一に、求人求職情報の共有化ということがこれ急務なんではないかなというふうに思います。そこで、
厚生労働省
と県や市はどのように連携をしていくのでしょうか。例えば、共通のコンピューターネットワークの構築などは考えておられますでしょうか。
鴨下一郎
88
○副
大臣
(鴨下一郎君) 今回の
改正法案
におきましては、これは地方公共団体が届出により自ら行政施策に附帯して無料の職業紹介を行うことができる、こういうようなことにしているわけでありますが、これ、
法案
が
成立
をしていただいた暁には、地方公共団体の行う無料職業紹介事業が円滑に行われるよう、
厚生労働省
としても積極的に協力、連携することが必要であると、こういうふうに考えております。 このために、例えば地方公共団体とハローワークが求人求職情報を共有化するというようなことによりまして、例えば地域の
労働力
需給調整機能が高まるような場合には、これは求人者、求職者の意向を踏まえた上で、地方公共団体とハローワークが相互に求人求職情報を交換してそれぞれの利用者に提供するなどの連携についても、これから十分に検討をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
浅尾慶一郎
89
○
浅尾慶一郎
君 検討する中に、今申し上げました共通のコンピューターネットワークといったようなものは含まれるんでしょうか。
鴨下一郎
90
○副
大臣
(鴨下一郎君) そういうことも含めてということなんですが、これは地域の実情にもよりますので、その都度その地域に応じて検討させていただきたいというふうに思います。
浅尾慶一郎
91
○
浅尾慶一郎
君 共通のコンピューターネットワークが余り要らない地域というのは、コンピューターネットワークそのものについては僕は特にないんだと思うんですね。セキュリティーの問題等々あると思いますが、それは技術的な問題でしょうから、その点については
是非
含めて考えていただければと、こんなふうに思います。 そこで、もう一点、次の
質問
に移りますが、有効求人倍率等、今後の労働統計に地方自治体の行う職業紹介に係る統計というのは加味されますか。
鴨下一郎
92
○副
大臣
(鴨下一郎君) 有効求人倍率等の一般職業紹介
状況
に関する統計は、これは全国の
公共職業安定所
に申込みのなされた求人数、そして求職者数及び
公共職業安定所
紹介による就職件数等、言ってみれば
公共職業安定所
で取り扱った求人、そして求職及び就職等の
状況
を取りまとめたと、こういうようなことでございますけれ
ども
、このため、
公共職業安定所
以外の、例えば地方公共団体が行う職業紹介に係る統計、それから公共職業紹介所の
業務
統計である有効求人倍率等の、言ってみれば一般職業紹介
状況
に関する統計にこれを足し上げて加味するということは
現状
では考えていないというところでございます。
浅尾慶一郎
93
○
浅尾慶一郎
君
現状
では考えていないということでありますけれ
ども
、それが加えられないとすると、今の公共職業紹介所、ハローワークの求人情報だけでは労働市場の
状況
を正確に反映した統計とならないというおそれがあるんではないかなというふうに思います。 特に、これから県や市、地方自治体の職業紹介の比重も高めていく必要性があるということで今回の
法改正
をされたということだと思いますから、そうだとすると、
是非
ともそれが加味されるようにしていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
鴨下一郎
94
○副
大臣
(鴨下一郎君) 雇用情勢の変化に対応した、これはある
意味
で機動的かつ効果的な対策を展開すると、こういうようなためには、労働市場の
状況
等につきましてはこれは総合的に
把握
するというようなことは、もう
先生
おっしゃるとおり、言うまでもないわけであります。 それで、有効求人倍率等の一般職業紹介
状況
に関する統計は、これは全国のネットワークである
公共職業安定所
で取り扱ったすべての求人求職及び就職等の
状況
をまとめた、これは
業務
統計として、その
状況
を的確に
把握
するために有益な
一つ
の指標であるということは間違いないんだろうと思います。 ただ、地方公共団体が行う職業紹介に係る統計を、各地方公共団体がある
意味
でそれを加味して職業紹介を行い、またさらに、地方公共団体独自の
把握
の仕方というものもあるんだろうというふうに思っておりまして、そのため、地方公共団体が行う職業紹介に係る統計の公表については、これは各地方公共団体におけるこれらの
状況
を踏まえながら検討しなければいけない点があるんだろうと思います。 ただ、地方公共団体が行う無料職業紹介事業について、あるいは民間の職業紹介
事業者
と同様に、その
状況
について
報告
を求めることができるわけでありますので、それを、
状況
をその都度といいますか、
把握
してまいりたいというふうには考えております。
浅尾慶一郎
95
○
浅尾慶一郎
君 今の
経済
、あるいは社会全体と言ってもいいかもしれません、一番重要な問題の
一つ
はこの雇用の問題でありますから、その問題を議論するときにやはり正確な統計というものは必要だと思いますので、
是非
とも労働市場の
実態
把握
、特に地方公共団体の行う無料職業紹介にかかわるものについても
把握
に努めていただいて、正確な情報発信を
お願い
したいと思います。 次に、今後、地方自治体の
職員
が無料職業紹介を行うようになってくるということからすると、その研修あるいは人事交流ということも含めて、
厚生労働省
と県や市がどのように連携していくかということが重要な問題になってくるわけであります。 地方自治体の職業紹介もハローワークと同じ水準を
確保
しないといけないということも当然のことでありますから、そうすると、
厚生労働省
から積極的に地方自治体
職員
の研修に協力していただきたいと思いますが、どのような方針で臨まれますか。
鴨下一郎
96
○副
大臣
(鴨下一郎君) 極めて重要な御
指摘
だろうと思います。 これまでにも、職業安定事業の効果的なあるいは的確な
運営
に当たりまして、これは都道府県との密接な連携
確保
が重要であると、こういうようなことは従前から考えているわけでありますけれ
ども
、都道府県の
労働局
等とそれから都道府県との人事交流というのは行われていることは行われているわけでありますが、それに加えまして、今回、
改正法案
が
成立
していただいた後は地方公共団体に無料職業紹介事業の実施が認められると、こういうようなことに相なるわけでありますので、地方公共団体においてその円滑な実施、事業が実施できるように、これは必要な情報提供、ノウハウの伝達、そして連携というようなことの中に人事交流というのも非常に大きな要素になるんだろうというふうに考えております。
浅尾慶一郎
97
○
浅尾慶一郎
君 次に、現在、様々な賃金に係る経費の助成等、
特定
求職者雇用開発助成金という制度がありますが、これは事業主向けの助成金でありますけれ
ども
、ハローワークを通して紹介した求職者を雇い入れることがその利用の条件になっております。 今後、地方自治体が職業紹介を行うということを考えると、こうした助成金も自治体経由の職業紹介であっても使えるようにしていった方がいいんではないかなというふうに考えますが、そうした点についてはどのように考えておられますか。
鴨下一郎
98
○副
大臣
(鴨下一郎君) 特開金についての御
質問
でありますけれ
ども
、多少はしょって
答弁
させていただきますが、今回の
改正法案
が
成立
をさせていただいた場合には、これは地方公共団体も住民の
福祉
の増進、そして産業
経済
の発展等に資する施策に関する
業務
に附帯して、届出により無料職業紹介が行うことができる、こういうわけでありますので、地方公共団体の行う無料職業紹介についても、その適正な
運営
、運用を期すことができ、職業紹介事業により
労働力
需給調整を担う点で
公共職業安定所
や民営紹介機関と同様の
役割
を果たすものであるという、こういうような観点から、その行う無料職業紹介により
労働者
を雇い入れる事業主に対しても、当該雇入れに係る助成金を支給する方向で今後検討をさせていただきたいと、こういうふうに考えております。
浅尾慶一郎
99
○
浅尾慶一郎
君
是非
、地方公共団体についてもそうした助成金を使えるように確定をしていただきたいというふうに思います。 時間の
関係
で、この点については
最後
、
大臣
にちょっと
伺い
たいと思いますが、今回の
改正
ですね、政府の地方分権改革推進
会議
等で実現を推進した
法改正
でもあり、たまたま私の神奈川県の前岡崎知事もその点に大変期待をしていたものだと思いますが、今回の
改正
を受けて
大臣
にその決意を伺って、この点についての
質問
を終わりたいと思います。
坂口力
100
○
国務大臣
(
坂口力
君) 先ほどお話ございましたとおり、岡崎前神奈川県知事さんもお入りをいただいておりましたが、この地方分権改革推進
会議
、この中で御
指摘
もいただいていたところでございます。 今までの様々な国と地方との
仕事
の
整理
の仕方の中で、国がハローワークの
関係
のことはすべてやるというようなことになっていたわけでございますが、最近のようなこういう
状況
を踏まえまして、やはり地方におきましても地方に見合った雇用対策というのを
お願い
をしなければ全体として雇用対策が前進しないという
状況
になってまいりましたし、ここで
お願い
を申し上げるということになったわけでございます。 先ほどから御
指摘
をいただいておりますように、全体の雇用の問題が国と地方とがやはり一体となって進んでいくようにしなければならないというふうに思っております。したがいまして、現在まで国だけがやっておりましたために、国だけが行うというようなケースのものも今まだ残っておりますけれ
ども
、これからひとつ、国も県もあるいは市もというふうに、それぞれのところでおやりをいただきますことが、一体的に
把握
ができて、国民の
皆さん方
からもどこで利用しても同じように利用できると思っていただけるようにやはりしなければならないと思っているところでございます。
浅尾慶一郎
101
○
浅尾慶一郎
君 次に、フリーターの、いわゆるフリーターの増加の問題についてお
伺い
をしてまいりたいと思います。 先日も当
委員会
で、現役の高校の
先生
、進路
指導
の
先生
もお招きして高校生の就職の
状況
等についてもいろいろとお話を伺ってまいりました。また、先般発表されました国民生活白書でも、高校生がきちんと就職ができない、できない中でフリーターが増えているということについての懸念が示されております。 高校生の就職については、大学生と異なって、
職業安定法
の運用の中で従来かなり厳重な行政、学校の
管理
下にあったんではないかなというふうに思いますが、今どんどん、生活環境の変化もあると思いますし、あるいは親御さんの金銭的な事情というのもあるのかもしれませんが、高校生でもどんどんアルバイトに出掛けるようになったというのが現実だと思います。そうした現実を踏まえますと、この高校生保護のための
規制
が場合によってはかえって高校生の職業選択の自由を妨げているんではないかというふうに思いますし、そのことがある面フリーターの増加につながっているんではないかという問題意識から幾つか伺ってまいります。 まず、高校生が
自分
で就職活動ができるように就職について学ぶことを学校、特に高校の教科の中で何らかの形で位置付けることができないかどうか、その点を
伺い
たいと思います。
池坊保子
102
○
大臣政務官
(池坊保子君) 今、
委員
が御
指摘
になりましたように、今フリーターが大変増えております。学校教育の中でしっかりとした職業観を身に付けさせ、自らが選択できるようにすることは極めて重要だというふうに考えております。 私
ども
は、それを踏まえまして、組織的、計画的に学校の教育活動全般を通じてそのような
指導
をいたしております。例えば、ホームルーム活動などにおいては、助言したり、あるいは勤労観を身に付けさせるような話合いの場、あるいは
指導
の場を設けております。また、今年度から高等学校新学習
指導
要領になってまいりましたけれ
ども
、その中で、地域や学校の
実態
に応じて、就業にかかわる体験的な学習の
指導
を適切に行うよう、勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成に資することといたしておりまして、特別活動とか総合的な学習の時間を利用いたしまして、就業体験、自らが体験するというようなことも積極的にいたしております。 また、産業社会と人間という、これは教科を設けることもできるようになりました。これは何を教えるかと申しますと、職業と生活、あるいは我が国の産業と社会の変化、あるいはまた進路と自己実現などを学習する内容でございます。学校教育の中で全般にわたって教育させているのが
現状
でございます。
浅尾慶一郎
103
○
浅尾慶一郎
君 高校には進路
指導
の、進路
指導
主事と言うんですか、進路
指導
に当たる教師を置くことになっておりますけれ
ども
、先般の当
委員会
の
質疑
の中でも、その進路
指導
主事の方と、それから教務
指導
、そして生活
指導
という
三つ
の
指導
担当の主事の方がいられるんだと思いますが、どうしても教務、生徒
指導
の方が重点が置かれているというようなことも率直に言っておられました。 そこで、進路
指導
に当たる教師を増やすことを考えられたらどうかということと、併せて、時間の
関係
で併せて
質問
させていただきますが、現在、進路
指導
に当たっている
先生
は、多くの
先生
の場合は民間
企業
での経験がない
先生
が多いわけだと思いますが、そうした
先生方
がしっかりと進路
指導
に当たれるように具体的に文部科学省としてどういったことをやっておられるか、併せて
質問
をしたいと思います。
池坊保子
104
○
大臣政務官
(池坊保子君) 今おっしゃいましたように、学校の中には学校教育法
施行
規則によりまして進路
指導
主事を置くこととなっております。これは一人でございましても、一人の人間がすべてをやるわけではございませんで、学校の規模によって異なりますけれ
ども
、十人ぐらいが組織いたしまして進路
指導
部というのを作っておりまして、これは担任の
先生
だとかあるいはほかの人間
たち
も協力しながら
指導
し、調整し、そして情報を提供したりしております。主事はそれをまとめるということでございます。 それからまた、それだけではなくて、今、高校生は大変就職が厳しい
状況
にございますので、
平成
十四年度から就職
指導
を専門的に行う高等学校就職支援教員の配置というのを行っております。まだまだ数が少なくて、
平成
十四年度は三十三都道府県で八十一名、
平成
十五年度では三十六都道府県、九十四名となっておりますけれ
ども
、こういう方々にもお力添え願っております。 また、キャリアアドバイザーというのがございまして、これは、地元産
業界
などの外部の人間を高等学校に来ていただいて、職業観だとか就職相談に現場で働いている方々のアドバイスというのをいただいて、様々な角度から学校教育の中では就職
指導
に当たっております。
浅尾慶一郎
105
○
浅尾慶一郎
君 学校教育の中で就職
指導
の比重が前にも増して高まっているということだと思いますが、そうだとすると、例えば高校の
先生
にもハローワークなどで研修をしていただくということも
一つ
重要なことなのではないかなというふうに思いますが、
厚生労働省
はその点についてはどのように考えておりますか。
鴨下一郎
106
○副
大臣
(鴨下一郎君)
先生
御
指摘
のように、高校の
先生
がハローワーク等で勉強していただいて、実際に就職
状況
どうなっているか、こういうことをより深く理解していただくことは非常に重要だと思います。
厚生労働省
としては、これは本年度からでありますけれ
ども
、各都道府県の
労働局
におきまして、高等学校の進路
指導
担当者に対して、地域の労働市場の
現状
や職業カウンセリングの基礎知識等についてセミナーを実施すると、こういうようなことを始める予定でございます。また、ハローワークに進路
指導
担当者を受け入れまして、職業相談や
事業所
訪問への同行等の実務経験機会を提供すると、こういうようなことで、高校における就職
指導
の向上に役立てていただきたいと、こういうふうに考えているところであります。
浅尾慶一郎
107
○
浅尾慶一郎
君 文部科学省も、こうした取組、
厚生労働省
の取組について、それを今
現状
は各学校の
先生
に任せているというふうに聞いていますが、そうではなくて、責任ある官庁として、教育行政を所管する官庁として積極的に学校の
先生
がこうした取組に参加するように
指導
されたらいかがかと思いますが、その点について
伺い
たいと思います。
池坊保子
108
○
大臣政務官
(池坊保子君)
委員
がおっしゃいますように、ハローワーク等を通じまして
厚生労働省
との連携というのは大変深いものがございます。各都道府県教育
委員会
の高校生の就職
指導
担当
指導
主事を対象といたしまして連絡協議会というのを開催いたしております。高校生が様々な問題を抱えておりますので、それに当たるだけでなくて、やはり情報提供というのが大切かと思っておりますので、その辺も留意しているところでございます。
平成
十五年度では、
厚生労働省
が実施いたします高等学校の進路
指導
担当者を対象としたハローワークにおける実地研修やセミナーについても情報提供を行うようにいたしております。先月も
厚生労働省
とともに具体的な就職
指導
担当主事との研修会を持ったところでございまして、積極的に今行っているところでございます。
浅尾慶一郎
109
○
浅尾慶一郎
君
是非
、各地の教育
委員会
等を通じてこうした
厚生労働省
の取組をアピール、PRしていただいて、なおかつそれに参加するように呼び掛けていただきたいと思います。 時間の
関係
で
最後
の
質問
になってしまうかもしれませんが、高校生の職業紹介についてお
伺い
いたしますが、
原則
として
現状
では採用面接が一社と、一社しか受けられないという
現行
制度があるわけでありますけれ
ども
、これは改めた方がいいんではないかなと、こういうふうに思います。様々な職業観もあると思いますし、なおかつ高校生という年齢を考えた場合には、幾つかそういう経験ができるような採用面接が受けられるように改めた方がいいんではないかと思いますが、
厚生労働省
はどのような対応をしているんですか。
坂口力
110
○
国務大臣
(
坂口力
君) おっしゃいますように、高等学校の就職につきまして、
先生方
これ
中心
になっておやりをいただいているわけでございますが、一人一社ということで割り振りをしていくという、これは習慣でございますけれ
ども
、ずっと続いてまいりまして、そういう習慣が続いているものですから、なかなかそこは崩せないというふうにおっしゃる都道府県もあるわけでございますが、最近、いろいろお話合いをさせていただきまして、もう半分以上のところがもう一社以上になってきております。間もなく来年辺りのところはもう三分の二ぐらいには、全体の中で
平成
十四年は三十五が
現行
どおりでございましたけれ
ども
、十五年におきましては
現行
どおりはもう十県になっておりますので、かなりここは変わってきているというふうに思っております。 これから高校生の就職の問題、文部科学省とそれから
経済
産業省と、三省でよく連携密にいたしまして、これから進めていきたいと思っております。
浅尾慶一郎
111
○
浅尾慶一郎
君 時間が参りましたんで
質問
終わりますけれ
ども
、
是非
、学校、大分変わってきたということでありますけれ
ども
、まだまだ学校現場、あるいは都道府県によっては一社しか受けられないというところも残っていると。そのことが初めて、当然初めての就職なんですが、に当たって、高校生にとって貴重な人生の最初の第一歩の選択肢の幅がないということは私は大きな問題になるんではないかなと思いますので、今、
大臣
が
発言
された方向で改めていただきたいと思います。
質問
を終わります。
井上美代
112
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。 私は、まず最初に、今日は傍聴席にもたくさんおいでくださっているんですけれ
ども
、日本中央競馬会の従事員の問題について
質問
をしたいと思います。 この
法案
と日本中央競馬会で働いている従事員の
人たち
について、この
法案
が皆様方のところに
影響
があるのではないかということで大変心配されております。 日本中央競馬会の話によりますと、昨年の有馬記念、これは去年の十二月の二十二日に開かれておりますが、中山だとか、そして阪神だとか、中京の競馬会の
三つ
を取ってみましても、その時点で日本中央競馬会の
職員
というのは定数で約一千九百人おられます。従事員は約一万八千三百人であったとのことです。 この従事員というのは、競馬の馬券を売ったり、そしてまた
販売
代金を
管理
している
労働者
なのです。日本中央競馬会の従事員の、馬券を売ったり、
管理
をしたりという、その従事員の方
たち
の
仕事
、これは雇用されれば六十五歳の定年退職まで働けることになっております。 〔
委員長
退席、
理事
中島眞人君着席〕 今回のこの
法案
の
改正
で、
派遣
期間に制限がない
業務
の追加があり、条文で、
派遣先
の通常の
労働者
の所定労働日数を、日数に比し相当程度少なくという、この規定がありますけれ
ども
、例えば日本中央競馬会で馬券を売っている職場では従事員しかいないわけですね。このようなことから、日本中央競馬会では従事員が通常の
労働者
であるわけなんですね。
質問
として、私は、そういうことでよいのですねということをまずお聞きしたいと思います。 そして、もう
一つ
お聞きしたいんですけれ
ども
、それは、今回の
改正
案は、従事員は対象にはならないということでよいということでいいのですねということで、明快な
答弁
を
お願い
いたします。
戸苅利和
113
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回の
派遣
法におきます一か月間に行われる
業務
の日数が通常の
労働者
の一か月の所定労働日数に比べて相当程度少ないという場合に、
派遣
の期間制限なしに
派遣
業務
が行われると、こういうことになっているわけでありますが、これは元々、常用
労働者
と
派遣労働者
の調和を図ろうということで
派遣
法はあるわけですけれ
ども
、そういった、例えば土日ですとか、あるいは月初め、それから月末、そういった限られた日にちに行われる
業務
、こういったものについては
派遣
を導入しても常用雇用との調和というものが図れるだろうと、こういうふうに考えて今回の
法改正
を提案させていただいたわけであります。 この場合の通常の
労働者
といいますのは、一般の
事業所
では正規の従業員の方がおられるということで、そういう場合は正規の従業員の方が通常の
労働者
に当たるわけですけれ
ども
、今御
指摘
のとおり、日本中央競馬会で馬券の
販売
等を行っている
業務
に当たる方、従事員の方しかおられないということでありますから、この場合には、通常の
労働者
はその従事員の方が通常の
労働者
に該当すると、こういうことになるわけであります。 したがいまして、従事員の方の労働時間に比べて更に相当程度少ないというふうなことになるわけでありまして、そう考えますと、今御
質問
のとおり、従事員の
業務
について、この今の第四十条の二第一項第二号ロが該当するということにはならないということで、御
質問
のとおり、
派遣
期間の制限の対象外になる
業務
には当たらないということであります。
井上美代
114
○井上美代君
質問
にそのとおりであるということで御
答弁
をいただきました。 何といっても、
派遣
の問題は赤字解消などということで差し替えられないようにしなければいけないというふうに思いますので、そういう点でも一層の
厚生労働省
の御努力を
お願い
したいというふうに思います。 それで、先の方に進みたいと思いますけれ
ども
、
派遣
法の問題についてはいろいろ問題がありますけれ
ども
、最初のところを、資料を配っていただいたと思いますけれ
ども
、資料を出しております。
山本
議員
が少しこのところに触れられましたけれ
ども
、資料も出しておりますので資料を見ながらやっていきたいと思います。 私は、今度のあの
派遣
法の問題というのは、一九九九年に
改正
があって、それに続いてこの
派遣労働
を広げていこうというものだというふうに考えております。 今回新たに
規制緩和
を進めるに当たっては、やはり一九九九年以降の
派遣労働
の
実態
というのがどうなのかということを私
たち
はもう一度十分にこの総括をする必要があるんじゃないかというふうに思っているわけなんです。 まず、
派遣元
の
企業
の
法令違反
の
実態
、そして、
派遣先
の
企業
の
法令違反
の
実態
はどうなっているかということを
政府参考人
に御
答弁
願いたいと思います。
戸苅利和
115
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
平成
十三年度におきまして、
労働者派遣事業
に対します
指導監督
の件数といたしましては、まず、
派遣元
に対する
指導監督
件数四千九十六件でございます。そのうち、今御
質問
のとおり
派遣
法
違反
がどの程度あったかということになりますと、これは個々の
指導
したところでないと実は分からないということで、我々全体は
把握
してございません。ただそのうちで、やはり悪質であるということで
文書指導
したものというものが百三十三件と、こういうことになってございます。ですから、
違反
自体はかなりの数あると、それに対して
指導
しているということだろうと思います。 それからもう
一つ
は、
派遣先
への
指導監督
件数九百五十三件でありますが、そのうち
文書指導
を行ったのは五件ということでございまして、午前中に
山本
委員
からの御
質問
ございましたが、もう少し
文書指導
を徹底するということが必要なんだろうというふうに思っておりますけれ
ども
、
現状
では、今申し上げられますのは、
文書指導
ということで
把握
している
違反
件数は今のような
状況
で百三十三件及び五件と、こういうことであります。
井上美代
116
○井上美代君 今の数字というのは二〇〇一年の数字ですね。だから、この
法律
が実際に
施行
されるなどということになりましたら、これはもう本当にいろいろと出てくるというふうに思いますので、このような数字ではないものが出てくるのではないかと思うんですね。 私は、
法令違反
のやはり
状況
について具体的にお聞きしたいんですけれ
ども
、四千九十六件のうち、
労働者
の
派遣
法の条文ごとに何条
違反
は何件、そしてまた
指針
に
違反
するものは何件という形で出せるのでしょうか。
戸苅利和
117
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 先ほど御
答弁
申し上げましたとおり、
文書指導
の件数というのは
把握
してございます百三十三件、それから五件でございますが、そのうち、今、
委員
御
質問
のそれぞれの条文
違反
ごとに何件あるのかということについては私
ども把握
をしておりませんで、ただ、申し上げられますのは、例えば第四条、これは
派遣
を行ってはいかぬ
業務
について
派遣
が行われているケース、それから第七条、
特定
企業
のみに
派遣
している、これは先日御
質問
がございました専ら
派遣
でございますが、これに
違反
している事案、それからもろもろの届出が十分でない、あるいは書類の整備が十分でないといった二十三条、二十四条の
違反
、それから
派遣契約
の内容に不備があったといった二十六条の
違反
、それから、最初の日の通知を受けずに、期間制限の最初の日の通知を受けずにやった事案と、そういったもの、どういう条文の
違反
ということは分かっておるんですけれ
ども
、それぞれの条文ごとに何件あったということまで現在の
指導監督
の
報告
の方式では
把握
できていないと、こういう
状況
であります。
井上美代
118
○井上美代君 今のような御
報告
、御
答弁
なんですけれ
ども
、私は、今後の問題として、やはり
調査
については研究をしなければいけないんじゃないかと思うんですね。非常にやはり悪質な
人たち
もいらっしゃるんですね。そのことはもう皆様方の方がよく御存じだと思いますけれ
ども
。私は、やはり今後の
調査
の方法をどういうふうにすればそういう
違反
を抑えることができるのかという、そういう結果を出すような方法でやってほしいということを
お願い
したいというふうに思います。 それで、
法改正
の議論をするのに、
法令違反
の全体
状況
を担当官庁が
把握
しようとしないということ、これは非常に重大な問題であるというふうにこのたびも考えたわけなんですけれ
ども
。 〔
理事
中島眞人君退席、
委員長
着席〕 そこで、これは別の省なんですけれ
ども
、
総務省
の
地方管区行政評価局
の
派遣労働
に対する
調査
がありますよね。二〇〇一年から二〇〇二年に掛けて行われたもので、一九九九年、
改正
後の
派遣労働
の
実態
を見ることができるというふうに思います。これもまた今度の
法改正
で更にいろいろと変化してくると思いますけれ
ども
、ここには、北海道、青森、宮城、広島等の全国九か所で行われたもののうち、インターネットで公表されている分だけをまとめたのがお配りした資料なんです。これを見ていただきますと、本当に法
違反
の
実態
というのが、もう余りにもひどいというふうに思って私は見たんですけれ
ども
、大変な内容であるというふうに思います。
管理台帳
の作成義務
違反
が、
派遣元
企業
は百四十のうち六十五の
企業
で、四六%の
違反
ですね。そして
派遣先
企業
は五十六のうち実にもう四十一の
企業
、七割以上が
違反
なんです。この
派遣労働者
の
管理台帳
は、
労働者
の
管理
を進める上でもう最も基本的な
文書
だというふうに思いますけれ
ども
、それがまず多くの
企業
で整備されていないということなんです。これもやはり今後の教訓にしていかなければいけないというふうに思いますけれ
ども
、そのような
現状
になっております。 また、それ以外の
法令違反
を含めて、例えば北海道管区
行政評価局
では、
派遣先
二十業者を
調査
した結果、十七
事業者
、八五%で
派遣
法及び
指針違反
があったと、こういうふうになっているわけなんです。徳島の
行政評価
事務所では、七つの
派遣先
のうち六つの
派遣先
で、七
事項
、延べ十七の不適切な事例があったと、こういうふうに
報告
されております。
大臣
は、このひどい法
違反
の
実態
をどのように認識されるでしょうか。さらに、
規制緩和
を進められる
状況
ではとてもないというふうに思いますけれ
ども
、その点どのようにとらえておられるでしょうか。御
答弁
を
お願い
いたします。
坂口力
119
○
国務大臣
(
坂口力
君) 今、
先生
からお配りをいただきましたこの表を私もずっと見せていただいているわけでございますが、これ、
派遣元
の
事業者
数というのが百四十というのは比較的少ないように思いますけれ
ども
、これはトータルの数字なんでしょうか。ちょっとそこを私も分かりかねますが、いずれにいたしましても、この
管理台帳
の作成義務
違反
でありますとかいうのが四十一件というふうにして非常に多い。また、その他にもございますけれ
ども
、一番基本的なところで義務
違反
をしているのが多いということは、これは大変なことだというふうに思っておりまして、これはこれからもきちんと見ていかないといけないというふうに思います。
井上美代
120
○井上美代君 やはり私は、これは製造業まで全面的に解禁をするという今度の
法律
からすれば、まだ
違反
というのも少なかったというふうに思うんですね。それでも、こうして見てみると大変な
違反
になっているわけで、ここは
大臣
、
是非
改善
をするというところでやっていただきたいというふうに思います。 私は、具体的な例を挙げながら、今度の
派遣
法の中身について
質問
をしていきたいと思います。 今見ましたように、
行政評価局
の
調査
を見ただけでも、本当に今後の
規制緩和
は、それを
改善
してからしかできないというぐらいに思っているわけなんです。違法な
派遣元
、そして、
派遣先
を取り締まるに当たって、どういう問題があるのかということなんです。
派遣
法では
企業
責任がどのように問われているのかと、そして
厚生労働省
の
指導監督
は機能しているのかというところで考えてみたいわけです。 まず、
法律
上の問題ですけれ
ども
、現在の
労働者派遣
法の重要な欠陥というのは、
派遣先
の責任が不十分なことだと思うんです。
派遣先
というのはほとんど法的な責任を問われず、
派遣元
はお客である
派遣先
の歓心を買おうと必死になっております。ここに
派遣先
におごりが表れてまいります。そして、歯止めがなくなり暴走してしまうという原因があるのではないかなと思っているんです。
派遣先
の責任を考える上で本当に象徴的とも言えるような事件を取り上げて
質問
します。 これは有名な
企業
ですが、ヨドバシカメラというのがあります。そしてもう
一つ
、DDIポケットというのをここで売っているわけなんですけれ
ども
、そういうことで超有名な
企業
ですけれ
ども
、これが、
派遣労働者
の現場で二十代の若い青年Aさんが暴行されたという大変衝撃的な事件が起きました。 私もお聞きしていてとてもつらい思いになりましたけれ
ども
、Aさんはイー・パーソンズという
派遣
会社に登録型
派遣
社員として登録をしておりました。実はこのイー・パーソンズというのは、この
派遣
会社というのは
労働者
の
派遣
業の許可を受けていません。そして、Aさんは今年の一月からヨドバシカメラにDDIポケットの製品を売る
販売
員として
派遣
されました。ヨドバシカメラの店舗の一角でヨドバシカメラのマネジャーという人がいて、その人が、
正社員
の人ですけれ
ども
、
指導監督
をしているわけなんです。そして、三月のある日ですけれ
ども
、Aさんはヨドバシカメラの売場に立つのが十分遅刻しました。そのためにイー・パーソンズの社員にとがめられ社内で暴行され、そしてペナルティーとして便器をなめろと言われました。イー・パーソンズのその社員は実家まで追い掛けてきました。そして、母の目の前でAさんの顔面がもう血だらけになって、私も写真も見せてもらいましたけれ
ども
、暴行を加えられたということです。DDIポケットにまで連行して謝罪させたという事件なんです。 私は、Aさんは、本当に顔面打撲、そして口腔内の挫創、そして肋骨の骨折などで入院し、全治二か月の重傷を負い、このイー・パーソンズの社員は、既に暴行罪、そして傷害罪で起訴され、罰金刑も確定しているという、そういう事件です。しかし、罰金を払ったからといってこのお母さんと息子さんの心の傷はいやすことはできないんですね。 私は、この事件は、ただの暴行事件として済まされないと考えているんです。イー・パーソンズは無許可の
企業
です。そういう
企業
が、ヨドバシカメラという名立たる大
企業
が
派遣労働者
を受け入れているということなんです。 そこで、まず私は確認をしたいんですけれ
ども
、お
示し
した資料が二枚目あります。それを見ていただきましたら、これはAさんということでお名前は消してありますけれ
ども
、Aさんに関する
事項
が皆ここに書いてあるんです。これで見ますとAさんとイー・パーソンズの雇用
契約
になっています。就業時間の欄のところ、そして休日の欄のところに
派遣
という言葉にあるとおり、
派遣労働
契約
であることは明白なんです。 そして、就業場所の欄にあるように、このヨドバシカメラの都内のある支店で働くこととなりました。Aさん
たち
の
派遣
社員はヨドバシカメラの社員から日常的に
指導
を受けていました。そして、商品の説明の仕方を教わり、また棚卸し、仕入れ作業の命令を受けます。そして、髪型や身なりの注意も受けており、Aさんは
仕事
上のミスでヨドバシ社員に暴行を受けたこともあります。こういうことで、
実態
上の労働
関係
を見ますと、
派遣元
は当然イー・パーソンズ、そして
派遣先
といいますのは、
労働者
を指揮
指導
するわけですから、指揮監督するわけですからヨドバシカメラということになると思います。 これは、私
ども
はそれを分かるんですけれ
ども
、私は、こういうふうに今説明したような
関係
であるならば、これはヨドバシカメラというのはどういうことになるんだろうかと思いますが、
参考人
の方、いかがでしょうか。
戸苅利和
121
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今御
質問
のイー・パーソンズの事案ですけれ
ども
、現在、DDIとの
関係
、それからヨドバシカメラとの
関係
、
関係
者が三者あるものですから、その辺りの
関係
を
調査
を進めているというところでございます。
労働者派遣
は言うまでもなく、
派遣元
の事業主が自ら雇用している
労働者
を他人の指揮命令を受けてその当該他人のために労働に従事させると、こういうことでありまして、もしこれにその
実態
が当たっているということであれば、許可を取っていない
派遣元
でありますイー・パーソンズは
派遣
法
違反
でございますし、それから許可を取っていない
派遣元
たるイー・パーソンズから
派遣
を受けています
派遣先
のヨドバシカメラも
派遣
法
違反
になると、こういうことになると思います。 ただ、その辺りについては現在
調査
を進めているということでございます。
井上美代
122
○井上美代君 今御
答弁
がありましたけれ
ども
、私は、もう何としても
調査
をきちんとしていただきたいと思うんですね。やはり、この無許可の問題、そして三者
関係
というのが、
労働者
の方には、ましてや若い方
たち
にはとても分からないわけです。だから、非常に不明朗な
関係
になっているわけですね。これを見分けは簡単には付かないわけですね。そして、
仕事
をしたいその一心で青年はいるわけですから、だから、やはりそこが分からないままにこのようなところにはまり込んでしまったという、これは決して私は例外ではないというふうに思うんですね。 恐らく
業務
委託を偽装したものだというふうに思うんですけれ
ども
、私は、そこはやはりもう本当に徹底して
調査
をしてほしいと思うんです。そして、二度とこのような青年が出ないように私はしていかなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、徹底的に厳正な
調査
をやるということ、そして、このように不明朗になっている三者の
関係
のような、これは
業務
委託かどうか調べていただきたいんですけれ
ども
、そういうことのないようにしていただきたいと、このように思います。よろしく
お願い
いたします。 それじゃ、次に移りますけれ
ども
、問題は、こういった、雇用者はだれなのか、使用者はだれなのかよく分かりにくい
関係
の中で若い青年の
労働者
が翻弄されて、そしてその権利が踏みにじられているということが
現状
にあるということですね。私は、こういうところを私
たち
の責任としてもしっかり見ていかなければいけないんじゃないだろうかということをこのたびのこの事件を聞きながらつくづく思いました。 Aさんは一貫して、
自分
はDDIポケットとイー・パーソンズからヨドバシに
派遣
されているのだと思っていましたと、またそう教わって来ましたと。私は大変怒りを覚えたのは、Aさんの労働条件なんです。もうこういうやり方自身も、大きな国としての責任もあるというふうに思いますけれ
ども
、労働条件を資料の③、④で見ていただきたいというふうに思います。 半年
契約
で一日八時間、週五日の勤務にもかかわらず、社会そしてまた労働保険にも一切入っていません。さらに、私、先ほど十分の遅刻と言いましたが、Aさん
たち
イー・パーソンズからの
派遣労働者
は、十時半にヨドバシカメラに出勤して、そして十時四十五分までに売場に立つように命令されていました。しかし、賃金が支給されるのは十一時からなのです。だから、そこには言ってみれば朝のただ働きがあるわけなんです。開店時間はそのずっと前だから、店は既にお客さんであふれています。ですから、売場に立つということは全くの通常の
販売
業務
を始める、それが十一時だということなんですね。それなのに、もっと早くから来てもう店に立っていなければいけない。つまり、十時四十五分からの十五分は賃金不払の早出残業となっているのです。 しかも、この時間に遅れたことを理由に謝罪させられ、挙げ句の果てには暴力されたのですから、本当に全くもうひどいもので、もう言語道断。もう、この母親とお子さんが精神的にも本当に大きな衝撃を受けている姿を私見まして、本当にひどいというふうに思いました。 もう
一つ
問題だと思うのは登録型
派遣労働者
の研修の問題です。
質問
でも研修の問題など出ておりましたが、このAさん
たち
派遣労働者
は、ヨドバシに
派遣
されることが決まるとヨドバシ講習というのを受けるんです。この研修を一日受けているのですけれ
ども
、これは全くの無給です。これは当然断ることができない研修ですし、
業務
命令の一環のような研修なんです。 登録型
派遣
では、こういった
派遣
を前提として、無給の研修が広く行われているのではないかと、私いろいろ聞いておりますけれ
ども
、確認は取っておりませんから、思いますと、広く思われているのではないかと思いますとあえて申し上げますけれ
ども
、これはきちんとやっぱり給料を払っていくべきだというふうに思うんです。 以上、私、社会・労働保険未加入の問題、そして不払賃金の問題、研修の無給の問題、いずれもこれは
調査
と厳正な対処を求めたいと思いますけれ
ども
、いかがでしょうか。
政府参考人
の御
答弁
を
お願い
いたします。
磯部文雄
123
○
政府参考人
(磯部文雄君)
社会保険
の適用につきましては、法人の
事業所
であって常時一人以上の従業員を使用しているものについては
社会保険
の強制適用
事業所
に該当し、二か月以内の期間
契約
である場合等を除き、当該
事業所
と常用的使用
関係
にある従業員を
社会保険
の被保険者として取り扱うということになっております。この場合、政府管掌健康保険及び厚生年金保険を適用し、保険料を徴収するということになろうかと思います。 御
指摘
の事例につきましては、今後、事実
関係
を十分
把握
した上で適切に対処していきたいと考えております。
松崎朗
124
○
政府参考人
(松崎朗君) まず、労働保険の
関係
でございますけれ
ども
、労働保険は、御案内のように、労災保険と雇用保険の総称でございます。これも
社会保険
と同じように、一人でも雇用している
労働者
がいれば当然適用となるわけでございます。また、特に労災保険につきましては、
個人
を
特定
することなく、その事故が起こったときに雇用されておれば当然適用になるというふうになっております。 なお、雇用保険の
関係
では、やはり
社会保険
に近いような格好で、勤務年数でございますとかそういったもので、
個人
個人
についての適用でございますので、そういった要件がございますので、そういった雇用
契約
の
状況
等を見て適用になるかならないかといったことは判断されることになろうかと思っております。 それから
二つ目
、もう一点の労働基準法の
関係
だと思いますけれ
ども
、まず労働時間の考え方でございますけれ
ども
、ちょっと順序逆になるかもしれませんが、とにかく研修であろうが朝礼であろうが、例えば体操であろうが、とにかくそういったものの参加につきまして就業規則なり上司の命令というもので義務付けられておりまして、さらに、それに
違反
した者が言うならばペナルティーが掛けられるといったように、本当にその
業務
上の命令によりしなければならないというものであれば当然、これは一般論でございますけれ
ども
、労働時間になるというふうに考えております。 また、したがいまして、そういった時間を含めて、法定労働時間をオーバーすれば三六協定、それから、並びに時間外割増し賃金というものが必要になるということでございます。 そういったことで、一般論を申し上げましたけれ
ども
、個別の案件についてはどうこうというのは分かりませんのであれでございますけれ
ども
、やはり現場の監督署におきましては、実際に具体的な問題につきまして
労働者
の方等から具体的な事案につきましての相談でございますとか
申告等
ございます。そういった場合にはきちんと適切に対応しているというところでございます。
井上美代
125
○井上美代君 研修の問題については、賃金の、労働時間の問題で言われたんでしょうか。もう一度ちょっと、はっきりと
お願い
します。
松崎朗
126
○
政府参考人
(松崎朗君) これは研修でございましても、その研修の参加というものが
業務
命令でなされておって、それが義務付けられておるということであれば労働時間に、通常労働時間に入るというふうに考えられます。
井上美代
127
○井上美代君 これは本当に
業務
命令で、それを受けないと、ヨドバシカメラの中身をずっと、どう従事していくのかを研修しているわけですから、これを受けないと
仕事
ができないと思うんですね。だから、そういう
意味
でもこれは払わなければいけない賃金だというふうに思うんですけれ
ども
、私は、やはりこれも厳正に
調査
をしていただきたいと思うんです。よろしく
お願い
します。もう一度、
調査
をしていただけるでしょうね。
松崎朗
128
○
政府参考人
(松崎朗君) 繰り返しになりますけれ
ども
、具体的に一番よく知っておられる方、そういった問題を抱えられておられる方がやはり監督署に来ていただいて、相談なり申告をきちんとしていただくということからスタートさしていただきたいというふうに考えています。
井上美代
129
○井上美代君 次に行きますけれ
ども
、この事件の
一つ
の背景を成しているのは、やはり
現行
の
派遣
制度において
派遣先
の
労働者
に対する責任が非常に弱いという問題があるというふうに思うんですね。無許可の業者から
派遣労働者
を受け入れた場合、
派遣元
は
法律
違反
になるのでしょうか。どういう罰則があるのでしょうか。また、
社会保険
に入っていない
派遣労働者
を受け入れた場合には、
派遣先
にはどのようなペナルティーが掛かるようになっているのでしょうか、教えてください。
戸苅利和
130
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
派遣
法は、そもそも
派遣
法制定時にいろいろ議論いたしまして、
派遣先
の取扱いをどうするかという議論を随分行ったわけでありますが、事業
規制
であるという法の基本的な性格から、なかなか、事業のユーザーたる
派遣先
に罰則を科すというのは非常に難しいんじゃないかというのが、実はこれは法務省ですとか
関係
の省庁の御見解でもあったわけであります。 そういった中で、今どういうことにしているかといいますと、まず、無許可の
派遣
会社から
派遣
を受け入れた
派遣先
、これにつきましては、当然、
派遣
法の二十四条の二に
違反
するということになるわけであります。 これに対しましては
指導
、それに従わなければ是正勧告、更には公表ということで、まあある種の社会的な制裁ということで公表というところまで行うということにしております。 それからもう
一つ
、社会・労働保険の加入資格があるにもかかわらず未加入の
派遣労働者
を受け入れた
派遣先
でございます。これにつきましては、
派遣先
が講ずべき措置に関する
指針
の
違反
と、こういうことになりますので、
法律
違反
というところまで至りませんものですから、
指導
の対象ということでございます。
井上美代
131
○井上美代君 無許可業者を受け入れたことで
派遣先
が
厚生労働省
から勧告されたことがありますか。
戸苅利和
132
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 無許可の
派遣
会社から
派遣
を受け入れました
派遣先
に対しましては、先ほど申し上げましたように
指導
し、さらに、それに従わない場合は是正のための必要な措置を取るべきことを勧告しと、こういうことになっているわけですけれ
ども
、これまでは
指導
をしまして、それによって是正が図られているということでありまして、勧告に至ったケースはございません。
井上美代
133
○井上美代君 それでは、
企業
名の公表という制裁を受けたことがありますでしょうか。
戸苅利和
134
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) これも、勧告を行った上でなお是正しないという悪質なケースで公表ということでございますので、勧告もゼロでございますから公表もゼロと、こういうことであります。
井上美代
135
○井上美代君 お聞きのとおりです。たとえこういうふうにいろんな
違反
があっても、助言、
指導
、勧告、公表というふうになるんですね。 しかしながら、やはり勧告、公表、行ってないと、ないということですので、これは本当に大変なことだというふうに思います。これをやはりきちんとしていかなければいけないわけですから、そういう中でこの
派遣
法をまた製造業にまで拡大していくなどということはとても許されないということだと思います。
大臣
、このような、今言われましたような中身ですけれ
ども
、いかがですか。私は、これはちょっと
改善
を早急にしなければいけないというふうに思いますが。
坂口力
136
○
国務大臣
(
坂口力
君) 内部でもいろいろ話をしているところでございますが、今後、そうしたやはり
企業
の在り方というのは、これは問われるわけでございますから、
現状
のようなことでいいのか、それでも、そうしたことをやっておりましても増えてくるというようなことであれば、それは
現状
のままにおいておくというわけにはいかないわけでありまして、検討したいと思っております。
井上美代
137
○井上美代君 無許可の
事業者
から受け入れた場合は、
派遣先
へのペナルティーを科すためにも、
派遣労働者
の雇用を守るためにも、やはり
派遣先
にその
労働者
を雇用する
業務
を負わせるべきだと思いますけれ
ども
、その点もどうだろうかというふうに思っております。 また、保険未加入の
労働者
を受け入れた場合には、
派遣先
にも保険料負担をさせるべきではないだろうかというふうにも思いますけれ
ども
、その点はどうでしょうか。こういう罰則を設ければ、未加入者が入ってくるなどということは少しは防げるんではないだろうかというふうに思っておりますけれ
ども
、その点いかがでしょうか。
戸苅利和
138
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) ここはなかなか実際に行うとなるといろいろな議論があるんだろうと思います。例えば、無許可の業者を、許可されていると思って間違ってというか、不用意に受け入れてしまったとか、いろんなケースもあるんだろうと思いますし、それから、日本の賃金の制度の実情、そういうものを考えますと、
派遣労働者
をそこで直接雇用を義務付けるといったときに、労働条件をどうするのかという辺りもやはり解決すべき問題もあるというふうに思います。 それから、
派遣労働者
自身が
派遣
という形で働き続けたいといったような場合の取扱いをどうするのかということもありまして、議論としてはいろんな形でそういった御提案はあるわけでございますけれ
ども
、これについてはやはり我々としては慎重に検討をする必要があるんだろうと思います。 ただ、先ほど来御
指摘
がございますように、やはり我々の第一線機関におきます
指導監督
、これはやはり徹底を欠いていると、徹底さを欠いているということは我々ももう否定すべくもないわけであります。 そういった
意味
で、必ず
文書
で
指導
するとか、あるいは、何といってもハローワークの
職員
なものですから、ハローワークというのはサービス
業務
であるということでずっと就職以来来ているという
職員
も多いという中で、こういう権力的といいますか、権限的
業務
というか、こういったことにちょっと慣れていないということもありまして、そういった
意味
で、担当の
職員
の研修もやはりもう少しきちんとやらぬといかぬなと思って、その辺りも今後
改善
を図りたいというふうに思っているところであります。 それから、未加入の
派遣労働者
を、社会労働保険の未加入の
派遣労働者
を受け入れた
派遣先
に保険料を負担させるということの問題であります。 確かに、ヨーロッパの中ではそういったことをやっている国があるわけですけれ
ども
、日本の場合は、
派遣
法の立て方というのが、従来、
労働者
供給事業で請負元と発注元とが雇用
関係
が不明確になってどっち付かずになって問題が起きたときに雇用主責任のなすり合いをやるというふうなことがあった中で、むしろ
派遣
を導入することによって、
派遣元
に雇用者責任を明確にしようと、こういう立て方で
派遣
法を行っておりまして、そういった
意味
で、我々としては、社会・労働保険の未加入については、雇用主であります
派遣元
事業主に徹底して加入させるということが先決ではないか、こう思っています。
井上美代
139
○井上美代君 いずれにしても、検討しているということをおっしゃいました。先ほどはこの
派遣
事業の
規制
、罰則を科するのはなかなか難しいともおっしゃいました。 私は、難しいということで私
ども
国の政治をしている者としては逃げられないものだというふうに思うんですね。だから、やっぱり検討もし、そして罰則を科するということも、決してたじろぐことなくやっていかなければ、この
業界
はとても大変なことになっていくというふうに思うんですね。だから、そういう
意味
で私は、
是非
、今言われました、検討して必ずやっていくということで受け取りましたから、頑張ってほしいというふうに思います。 次に移りますけれ
ども
、無許可の
事業者
から受け入れた、私は
派遣元
の違法とそれから不正を取り締まるためにも
派遣先
にということを先ほどから申し上げているんです。
社会保険
は
派遣元
に課すということを言われたんですけれ
ども
、
派遣先
の責任をどうやっぱり取らせていくかということが、明確な責任を持たせる仕組みにもなっていくというふうに思うんですよね。だから、そういう
意味
で、
派遣先
には何しろ大
企業
がたくさん名前を連ねているわけなんです。だから、そこを恐れず私は
派遣先
にも責任を取ってもらうということが非常に重要だと思います。 やはり大
企業
は
経済
力あるし、そして
派遣先
大
企業
が悪質な
派遣元
を利用して責任を問われない状態がある限りは、これはもう
派遣
法の作り出している問題というのは解決できないと思うんですよね。だから、
派遣元
を一定取り締まっても、後から後から悪質な
派遣元
が生まれてくるその土壌というのがあるわけで、それは
派遣先
が作っていると言っても過言ではないというふうに思うわけなんです。 このヨドバシカメラの事件などは、決して
個人
の問題に、解消できないものがあると私は思っております。
派遣
制度において
労働者
保護が不十分であるために、
派遣業界
、
派遣労働
の現場ではもう
労働者
を物扱いとしてやっているという風潮が横行しているということを
参考人
の話からも聞きましたけれ
ども
、昨年、某大手の
派遣
会社が
派遣労働者
の無料お試しキャンペーンを実施などと、こういうふうに宣伝しているんですね。そして、世論の批判をこれは浴びたわけなんですけれ
ども
、その際、人材
派遣業界
も、道義的に
労働者
の物扱いはなじまないと、このように言っているわけなんです。 だから、反省の態度を明らかにしたからこのときには良かったんですけれ
ども
、やはり物扱いをしているというところがあるわけで、私は、言葉だけではなくて、やはり
派遣
制度そのものの抜本的
改善
をしなければ、拡大したら拡大するほど問題は大きく広がっていく、そして
派遣労働者
たち
はその被害に遭うということになるわけで、だから、その際やはりかぎとなるのは、やはり
派遣先
の責任をどうやっぱり許さないでいける、そういう仕組みを作っていくのかということにあると思いますので、
是非
その点を深く検討をしていただきたいというふうに思います。 それで、次ですけれ
ども
、次の行政の監督体制の問題です。
厚生労働省
は、今回の
改正
を受けて、今後
派遣労働者
への監督体制を強化するというふうに言っておられます。具体的には、ハローワーク単位でやるのには限界がある、先ほ
ども
お話が
答弁
の中でありましたけれ
ども
、そういうふうに限界があるということで、このたび都道府県の
労働局
に
指導監督
を一元化すると、こういうふうになっております。 そこで、まず監督体制の
現状
について
伺い
ますけれ
ども
、ハローワークには
派遣
関係
の
指導
をする
職員
はどうなっているのでしょうか。そしてまた、全国では何人おられるのでしょうか。御
答弁
を願います。
戸苅利和
140
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働者
の
派遣
事業についての適正な
運営
確保
のための
指導
ということで、これは専門的な知識を要するということで、民間需給調整
関係
の
指導
官というポストを始めとして
労働者派遣事業
の
指導監督
に当たる
職員
というものを配置しております。これは現在、全国で二百四十一名おります。
井上美代
141
○井上美代君 都道府県
労働局
に一元化するといったときに、
労働局
の個別労使紛争処理制度に組み込まれるということはないでしょうね。 また、今までのハローワークの機能を
労働局
に集中すると全体の人員体制として弱体化するのではないかということを心配するんですけれ
ども
、その点は強化というふうにしなければいけないと思うんですね、
法律
がまた広がるわけですから。そういう点では強化しなければいけないんですけれ
ども
、一方、一元化することによって弱体化したら困ると思うんですね。だから、その点はどういうふうになっておりますでしょうか。
戸苅利和
142
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働者派遣事業
自身が都市型の事業であるということがございまして、東京、大阪はもとよりなんですけれ
ども
、どこの地域へ行っても、県庁所在地あるいはそれに準ずるような大きな都市で
派遣
が
中心
に行われているということもございます。 それから、今回、製造業
派遣
を認めるということにもなりました。それから、
派遣
期間の上限を最大三年までということになったということで、やはり
労働者
保護の観点、それから適正な
派遣
事業が行われ適正な
派遣
就労が行われるというふうなことを
確保
するというふうな観点から、
指導監督
体制を強化充実するということが我々にとっても大きな課題になっているわけでありまして、そういった中で、先ほど申し上げました都市型であるという辺りも考慮し、専門性が必要であるということも考慮して、都道府県の
労働局
に集中的に配置するということにいたしているところでありまして、今御懸念のように個別労使紛争処理に組み込もうというふうな考えは全く持っておりません。 ただ、これをやることによって、個別労使紛争処理の中でも
労働者派遣
に関する紛争の相談というのは少なからずあるところであります。
平成
十三年の十月一日から
平成
十四年の九月三十日までの間に六百件弱ございます。こういったものの解決についても、円滑な連携ということが図られて、スピーディーな合理的な解決によりつながるんじゃないかというふうな効果もあろうかと思います。 ただ、もう一点、御心配の点でありますけれ
ども
、我々もそういったことになってはいかぬという思いは同じでございまして、そういった
意味
で、ハローワークにおける相談体制とそれから
労働局
における
指導監督
体制、この辺りのバランスを、最も適切なバランスを保つようにやっていきたいということを思っていますし、あわせて、やはり朝からいろいろな
指導監督
が徹底していないじゃないかという御
指摘
をいただいておりますが、我々の体制自身に限界があるというのも事実でありまして、そういった
意味
で、やはり
労働者派遣
のその
指導監督
をする
職員
の体制の増強というかそういったことも、厳しい行財政事情ございますが、我々としては可能な範囲でそこの努力も行ってまいりたいと考えております。
井上美代
143
○井上美代君 今、体制も限界があるというふうに言われましたけれ
ども
、やはりそこが正直なところだろうというふうに思います。 強化をするということでありますけれ
ども
、まだこれからそれを実施していくわけで、
派遣労働
を広げて
規制緩和
を進めるに当たっては、やはり監督体制の不十分さというのは、もう本当に
指摘
するとおりですので、やっぱりその見直しをして人員体制を後退させないようにするというのは、これはもう絶対必要なことだというふうに思います。もう強化だけが、強化こそがと私言いたいんですが、強化こそが求められていると、今度の
派遣労働
の
規制
で。この点で
大臣
の御
答弁
を欲しいんですけれ
ども
。 この
法律
が
施行
されて、少しでも
改善
されていく、強化されていくという
意味
で、
大臣
は、いよいよこれからの実行ですけれ
ども
、どのようにお考えになっているでしょうか。
坂口力
144
○
国務大臣
(
坂口力
君) 先日も地元に帰りましたら、税務署の
職員
よりも怖いのは
労働省
の
職員
だということを言われまして、余りそういうふうに言われるのもいささかどうかなというふうに私思っておりますが、しかし監督をちゃんとやらなきゃならないところはやっていかなきゃならないというふうに思います。 数をたくさんやるというのも、それは必要なことかもしれませんけれ
ども
、例えば
調査
をするにいたしましても、私は数をたくさんやって
一つ
一つ
がルーズであったら何にもならないと思っております。たとえ数が少なくても、やる限りはそこをきちんとやるということの方が私は大事ではないかというふうに思っておりまして、人数は若干少ないかもしれないけれ
ども
、しかしそこでやるべきことはしっかりやるということが今求められているんじゃないかというふうに思っております。
井上美代
145
○井上美代君
違反
が多いときに数を少なくしたら、もう回り切れないというふうに思いますが。 何しろ今まだ
法律
は決まっていない、二〇〇一年とか二〇〇二年の数字で余りにもひどい状態ですので、私はそこを強化してくださいということを繰り返して申し上げまして、先へ進みたいというふうに思います。 登録型の
派遣
の問題について
質問
をしたいんです。 登録型の
派遣
というのは、この
委員会
でも何回も言われておりますように、九割近くが女性です。現場の
皆さん
の話を聞いていると、三か月更新だとか一か月更新だとかといった雇用
契約
の短期化が非常に進んでいるんですね。登録型の雇用の不安定化が進み、いつ
契約
が切れるか分からずに一層弱い立場に追い込まれているということなんです。 私
ども
は、そもそも登録型はやめるべきだというふうに考えておりまして、登録型を認めるとしても、少なくともそういう雇用
契約
を望む
人たち
だけに限定すべきだというふうに思っているわけです。今回、臨時的・一時的な
労働力
の需給調整の制度の期間制限を一年から三年に延ばすわけですが、三か月更新、一か月更新の繰り返しが増えるだけとなったら、本当にこれはいよいよ問題だというふうに思うわけです。
派遣労働者
から、
派遣元
、
派遣先
が結ぶ
派遣契約
雇用と、
派遣元
と今度は
労働者
の間の雇用
契約
の期間を一致させてほしいということはいろいろ論議もされておりますけれ
ども
、一致させる努力も重要というふうに
職安
局長
は述べられました。その一方で、やむを得ない理由で一致できない理由もあると、こういうように述べられているんです。
派遣元
にとって一致させられないやむを得ない理由というのは一体何でしょうか。
戸苅利和
146
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 雇用
契約
は
派遣元
事業主と
派遣
を希望する
労働者
、
派遣
就労を希望する
労働者
の間で結ばれるわけでありますから、例えば、
派遣労働
を希望している
労働者
が
派遣
期間を一か月ないし二か月ということで
お願い
したいと、あるいは、
自分
が一番希望している
業務
について適当な
派遣先
が今ないというのであれば、二、三か月今ある、注文の来ている
派遣
業務
で働くけれ
ども
その後はいい機会があればと、こういうふうなことで、
派遣労働者
の方の思いから雇用
契約
期間を短くしてほしいと、あとは別の人に
派遣
に行ってほしいと、こういったケースがあるんじゃないかというふうにも思っていまして、ですから、こういったものを一律に一致させるということはかえって
派遣
という自由な働き方の中で現実的ではないんじゃないかということを先日申し上げたところであります。 ただ、この点については、附帯決議、衆議院の附帯決議でもやっていますので……
井上美代
147
○井上美代君 短く
お願い
します。
戸苅利和
148
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) はい。 なるべく雇用
契約
期間、
派遣労働者
の希望等も勘案して必要な配慮をするようにということになっていますので、この辺りで適切に対応したいと思います。
井上美代
149
○井上美代君 今の問題で、登録型、
原則
的には一致させるべきではないかというふうに思っておりますけれ
ども
、
大臣
、この点についてはいかがでしょうか。
坂口力
150
○
国務大臣
(
坂口力
君) これは衆議院でも議論になりまして、附帯決議のところでも触れられたところでございます。 それで、これ、恐らく
派遣元
の方は、
契約
した
派遣労働者
出しても
派遣先
の方で早く切られるようなことがあると困るものだから、先手打ってと申しますか、少しずつ行くということを多分やっているんだろうというふうに思うんですが、しかし、二年とか三年とか、かなり長い期間、それは
派遣元
と
派遣先
とのこれは信頼
関係
だと思いますし、ちゃんとそれが
契約
が結べるということになれば、その中でいわゆる
派遣労働者
の
人たち
をそんなに短く小刻みに切る必要はなくなるわけでありますから、私は、それは
改善
する道はあるんではないかというふうに思っておりますが、しかし、ここも少しいろいろの方面から考えていかないといけないので、
現状
をよく見ながら考えていきたいというふうに思っております。
井上美代
151
○井上美代君
質問
を終わります。
森ゆうこ
152
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。 まず最初に、六月三日の日本人材紹介事業協会今井
参考人
の意見聴取の中で、私としては少し違和感を持つ
発言
がありましたので、この点について
政府参考人
に確認しておきたいと思います。 今井
参考人
は、意見聴取の中で、地方公共団体等の無料職業紹介事業の
運営
に当たっては民間
業界
の活用を配慮いただきたいと陳述されましたが、この点についてどのような見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
戸苅利和
153
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回の
職業安定法
の
改正
によります地方公共団体の届出による無料職業紹介でありますけれ
ども
、これはあくまでも地方自治体が自ら行うというのが要件であるわけでありまして、六月三日の日に、今井
参考人
の意見陳述の
発言
というのは恐らく、無料職業紹介を自治体に代わってやらせてくれと、こういうことではないんだろうと思います。もしそういうことであれば、我々は、それは当然許可を取ってやっていただかぬといかぬということだろうと思っています。 したがって、これは多分、カウンセリングですとか、あるいは求人開拓ですとかセミナーの開催ですとか、まずそういう職業紹介の周辺分野での協力ができないかとか、あるいはノウハウについてアドバイスをするというふうなことは可能ですよとか、こういった趣旨ではないかというふうに思います。 ただ、我々としては、いずれにしても職業紹介行う主体であります地方自治体の自主性でやっていただくというのが筋で、我々から自治体に向かってとやかく言うとか、あるいは
業界
に向かってとやかく言うとか、こういうことではないと思います。ただ、
法律
に沿ってきちんとやってほしいと、こういうことであります。
森ゆうこ
154
○森ゆうこ君 じゃ、確認しておきますが、地方公共団体のやる無料職業紹介事業、その無料職業紹介というそのものについては、これは当然地方自治体が直接やると、これを民間委託するというのは全く趣旨が違うと思うんですが、そもそも、委託したらそれはもう各
企業
の有料職業紹介と、そういうものになるわけで、おかしいと思うので、これはないということでよろしいですね。
戸苅利和
155
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 我々が届出で可能にしようと思っておりますのは、自治体が自ら職業紹介を行うものでありまして、今、
先生
御
質問
のように、委託を、都道府県というか、自治体の委託を受けて民間の
事業者
がやれば、それは民間の
事業者
の行う職業紹介ですから、当然許可が必要になると、こういうことだと思います。
森ゆうこ
156
○森ゆうこ君 少し、済みません、
質問
の順番を変えさせていただきたいと思います。 今日は、
事務総長
にわざわざこの
委員会
にお出ましいただいております。大変申し訳ございません。よろしく
お願い
いたします。 少し、済みません、
大臣
も後ほどになりますので、申し訳ありませんが。 まず、岩田雇用
均等
局長
に
伺い
たいんですけれ
ども
、この
派遣
の分野で、雇用の分野における男女の
均等
な機会及び待遇の
確保
等に関する
法律
で、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用
管理
上の配慮、これに関しては、
派遣元
、
派遣先
の責任は双方が同等に負うというふうに考えてよろしいでしょうか。
岩田喜美枝
157
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君)
委員
が今おっしゃいましたように、セクシュアルハラスメントに関する事業主の配慮義務は、
派遣元
と
派遣先
、双方の事業主に掛かっております。
森ゆうこ
158
○森ゆうこ君 今日、この
法律
、
法案
の
審議
の中で、午前中の
局長
の御
答弁
にもございました。日本の
派遣労働
の世界というのは、三対一で女性の方が多いと、しかも、二十代から四十代ぐらいまでの比較的若い女性、つまり、
派遣
の問題というのは若い女性の問題であると、これが日本の特徴だというふうな御
答弁
がございました。そして、ほかの
委員
からも様々な御
指摘
がございます。この不安定な雇用情勢の中で女性が一層弱い立場になっていると。 そういう中で、この
規制緩和
ですね、この今回の
法案
は。雇用労働行政に関する
規制緩和
なんですが、たびたび申し上げておりますように、
規制緩和
、
規制緩和
には自己責任と事後チェックと罰則の実効性の強化というものがセットでなければいけないと。つまり、
労働力
の移動をスムーズにして
経済
を活性化させなければいけないということは私も同じ考えですけれ
ども
、一方で、当然、
労働者
を保護するということが担保されなければならないと、そのように考えております。特に
派遣
の場合、この女性の保護というのがいかに図られていくかということについて非常に問題になっておりますが、そういう
法案
を
審議
しているこの参議院におきまして、皆様御存じのように、先般、参議院事務局における
職員
のセクハラ事件が起きたということが分かりました。 それで、まず
局長
に
伺い
たいんですけれ
ども
、この件に関してどのような御見解をお持ちでしょうか。
岩田喜美枝
159
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君) 個別の事案については、私自身はマスコミの報道以外の情報は持っておりません。また、私が所管しております男女雇用機会
均等
法は国会
職員
に適用がございませんので、そういう限定を申し上げた上ででございますけれ
ども
、セクシュアルハラスメントは、言わば
労働者
の尊厳を傷付け、職場の就業環境を悪化させて、女性
労働者
がその能力を十分発揮できるような職場になっているかどうかという観点から見ますと、いかなる職場であってもそういうことは絶対にあってはいけないものであるというふうに思っております。
森ゆうこ
160
○森ゆうこ君 ありがとうございました。 私、昨日、複数の国会
関係
者からこの問題に関して、まあいろいろな話になりますね、そのときに、今いろんなお話があったんですが、その中で私ちょっと非常に驚いたことがあるんです。それは、なぜ被害者の女性は、逃げてさっさと帰ればよかったじゃないか、なぜ嫌だと言わなかったのか、早めに帰ってしまえばよかったんじゃないのと、そういう御
質問
を複数の方から受けたんです。私はこれを聞きまして、大変驚いたと同時に大変がっかりしました。セクシュアルハラスメントということに関する基本的な認識がまだ
皆さん
ないんだということがこの一言で分かりました。多分、
局長
も同じ感想をお持ちになると思いますが。 そこで、
局長
からまず、このセクシュアルハラスメントというものはどういうことなのか、定義を
皆さん
に分かるようにお聞かせいただきたいと思います。よろしく
お願い
いたします。
岩田喜美枝
161
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君) セクシュアルハラスメントは、男女雇用機会
均等
法第二十一条に規定がございまして、それによりますと二つの類型を
示し
ております。 少し
法律
の条文ではなく分かりやすく申し上げたいと思いますが、第一の類型は対価型と言われるもので、これは男性の性的な言動に対する女性の対応によって女性が労働条件上不利益を受けるようなケースです。もっと典型的な例を言いますと、例えば男性の
管理
職が女性に対しまして性的な
関係
を
要求
し、女性がそれを拒否したということを理由としてというんでしょうか、きっかけとして解雇される、降格される、減給されるといったような、典型的なケースはそういうことでございます。 もう
一つ
のケースは、環境型セクシュアルハラスメントと言われているものですけれ
ども
、これは男性の性的な言動により女性の就業環境が害されるということでございまして、必ずしも
経済
的な不利益を伴うものではないということなんですけれ
ども
、典型的な例としては、例えば男性が職場で女性の胸とか腰に触って、女性がそのことで苦痛を感じているといったようなケース、これらが該当するものでございます。
森ゆうこ
162
○森ゆうこ君 つまり、職場における上司と部下、このような力
関係
が存在するこの
関係
にあっては、上司は絶えず女性に対して、女性の側からすると、部下の女性の側からすると、セクシュアルハラスメントを受けているというふうに思わせる可能性があるということについて、やはり配慮を怠ってはならないと、そういうことでよろしいわけですね。
岩田喜美枝
163
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君)
均等
法で直接規定しておりますのは事業主の責務としてでございまして、
三つ
のことを規定しております。
一つ
は、職場でセクシュアルハラスメントが起きるということがあってはいけないという
企業
の方針を明確に
示し
て、それを
職員
に周知をしているということ。そして
二つ目
には、セクシュアルハラスメントの相談の体制、窓口をしっかり作って、それを
職員
に周知をしているということ。そして
三つ目
には、万が一セクシュアルハラスメントが起きたときには、迅速、的確に対応すること。これが事業主に
均等
法に基づいて直接課されている配慮義務でございます。 今、
委員
が言われましたように、職場でセクシュアルハラスメントが起きるということは、これは権限とは無
関係
ではございませんで、やはり権限が強い方、上司に対しては部下が、
仕事
をもらう方が
仕事
を与える方よりは弱い
関係
にあるわけでございまして、そういう職場の力
関係
の中で起きるという問題であるというふうに考えております。
森ゆうこ
164
○森ゆうこ君 それで、今日、
事務総長
においでいただいたんです。このような問題で総長をこの
委員会
にお呼びするということについて、他の
委員
からもいろいろ批判がございました。しかし、あえて呼ばせていただきました。 といいますのは、先ほ
ども
申し上げましたように、今回のこの
法案
審議
で、正に女性の、若い女性の
労働者
の保護ということについて大変いろんな問題が
指摘
されている。そういうその問題を
審議
しているこの参議院においてこの問題が起きたということについては、私は大変遺憾であると思っておりまして、この件について総長の御見解、そして、この種の事件の発生を防止するためにこれまでどのような対策を取ってこられたのか、これが十分だったとお考えなのか、また、今後どのような対策を考えていらっしゃるのか、さらに、総長としての説明責任をどう果たされるおつもりなのか。 私は、もちろん被害者のプライバシー、これは重要な問題だと思います。しかし、説明責任ということに関しては、国民のだれもが、国会の中は皆なれ合いで、官僚は官僚同士、そして政治家は官僚とのもたれ合いで、こういう問題をなるべく出さないようにしようとしているんじゃないかと、そういうふうに言われている部分もございますので、その辺についてきちんと説明をする必要があると思いますので、総長の御見解を
お願い
いたします。
川村良典
165
○
事務総長
(川村良典君) お答え申し上げます。 御
質問
の件につきましては、既に報道等も行われているわけでございますが、この私
ども
の事務局におきましてセクシュアルハラスメント
行為
がございまして、これに関連した複数の
職員
に対しましては、国会
職員
法に基づく懲戒処分及び内部規定に基づく処分を行ったところでございます。 本院事務局
職員
がかかる不祥事を起こし、国民全体の奉仕者たる国家公務員に対する信頼を損ないましたことにつきまして、衷心よりおわびを申し上げる次第でございます。 これまでの事務局における取組でございますけれ
ども
、セクシュアルハラスメントにつきましては、
個人
の尊厳と人格を不当に侵害するほか、
職員
の勤務能率や職場秩序に悪
影響
を与える重要な問題と考えておりまして、これまで、
平成
十一年六月二十九日に参議院事務局
職員
のセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する件を定め、当該規定を周知徹底するため、新規採用
職員
、係長、課長補佐を対象に研修を定期的に実施してきたところでございます。 立法府にある
職員
は高い倫理を保持しつつ、その職責を果たすことが何より肝要であると考えておりますので、今後、かかる不祥事が起こらないよう綱紀の粛正を図るとともに、来週にも全
管理
職を対象とした研修を行い、
職員
が職務に専念できる良好な勤務環境を
確保
するために果たすべき
管理
者の
役割
、責務、心構えについて再度徹底することといたしております。 今回の件につきましては、事実
関係
の確認、参議院事務局国会
職員
考査
委員会
における
審査
等、慎重に手続を進め、処分の確定後、事務局内に周知を行うとともに、直近の議院
運営
委員会
理事
会に御
報告
をさせていただいております。 今回の事件を受けまして、苦情相談体制の充実、防止マニュアルの
整備等
、速やかに検討・実施するように指示をしたところでございますが、今後、更に対外的な公表の在り方を含め、具体的な対応策を引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。 このような不祥事が生じましたことについて、事務局全体の指揮監督を行う者として、改めて深くおわびを申し上げる次第でございます。
森ゆうこ
166
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
大臣
に、このことについて一言
伺い
たいと思います。 先ほ
ども
申し上げましたが、昨今のこの厳しい雇用失業情勢の下、セクハラを受けても、リストラをされたくない、又はさっきもありました細切れになっている
派遣労働
の
実態
というのがありますので、その
契約
を打ち切られたくない、そういう思いで、セクハラを受けても泣き寝入りをしている女性もいらっしゃると、そういう話も伺っておりますので、この今回の事案につきまして、男女雇用機会
均等
法を所管する
大臣
として、また、ただいま
派遣
法を
審議
している点を踏まえまして、
坂口
厚生労働大臣
の御見解を
お願い
いたします。
坂口力
167
○
国務大臣
(
坂口力
君) 先ほど
局長
から
答弁
のあったとおりでございまして、このセクシュアルハラスメントは、どういたしましても徹底をして、そして女性の
皆さん方
に迷惑の掛からないといいますか、女性の
皆さん方
が嫌な思いをされるようなことのない職場、やはり男女平等に本当に
仕事
ができる、そういう職場をどう作り上げていくかということにあるというふうに思います。 一番大事なところは、男女が本当に対等にどう職場を作り上げていくかということにあるだろうというふうに思っておりますので、そういう観点から、これは民間
企業
その他は言うに及ばずでございますが、私
たち
そのために更に努力をしなければいけないというふうに思っておりますし、また、そうしたことで非常に
企業
に対しましていろいろの教育も行い、そして成果を上げておみえになります
企業
もあるわけでございますので、そうした
企業
に対しまして、私
たち
、ただ一方的に、あれをしてはいけない、これをしていけないと言うだけではなくて、そういう
企業
に対しましては、やはり時にはおいでをいただきましてお礼を申し上げると、そんな機会も作らないといけないのではないかというふうに思っている次第でございます。 これはセクシュアルハラスメントだけではなくて、もう少し広い
意味
で、女性の働く場をどう作り上げていくかということにもう少し広げて考えて、そして女性が対等に働いていただける職場を一日も早く作り上げなければいけない、そういうふうに思っている次第でございます。
森ゆうこ
168
○森ゆうこ君
大臣
から本当にすばらしい御
発言
、御
答弁
いただきまして、ありがとうございました。 もうセクハラ、セクシュアルハラスメントという言葉についてはもう
皆さん
がよく分かっていらっしゃるのかなと、このことについてはもう
皆さん
本当にそれぞれ同じ認識を持っていらっしゃるのかなと思っておりましたら、本当に今回の出来事をきっかけに、まず基本的なことがまだ
皆さん
に理解されていないということをつくづく感じたわけでございます。 今後とも、今ほど
大臣
から御
答弁
ありましたように、更に私
ども
も頑張ってまいりますけれ
ども
、更に当局におかれましても御努力を
お願い
して、この件に関しての
質問
は終わりたいと思います。 総長、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構です。 済みません、それでは続きまして残りの
質問
させていただきたいと思います。 鴨下副
大臣
に
伺い
たいと思います。 ちょっと飛ばしちゃったので、
質問
がどれか分からなくなったのかもしれませんが、少し大分飛ばしました。 今ほどは、雇用の分野における男女の
均等
な機会及び待遇の
確保
等に関する
法律
についての、
派遣元
、
派遣先
の責任は同等であるというお話でした。そのほか、
厚生労働省
が作ったパンフレットなんですが、労働基準法について
派遣元
が責任を負う
事項
と
派遣先
が責任を負う
事項
と幾つか分かれているわけです。多岐にわたりましてなかなかこれが、先ほ
ども
山本
委員
からもありましたけれ
ども
、
法令
遵守
ということが本当に徹底されなければならないわけですが、それも、
企業
の方も問題意識を持っていらっしゃるということなんですが、労働基準法三十六条に基づく時間外労働協定は、
派遣元
事業主と
派遣労働者
が結ぶことになっております。協定自体は結ぶことになっておりますが、労働時間
管理
は
派遣先
が行われることになっておりますが、こういった
派遣元
、
派遣先
に責任が分かれているような状態で、ほかにもあるんですが、労働基準法が
遵守
されているとお考えなのかどうか、
大臣
、よろしく
お願い
いたします。
鴨下一郎
169
○副
大臣
(鴨下一郎君) 今、
先生
からの御
質問
は二点あるんだろうというふうに思いますが、まず、
労働者
の
派遣
事業者
に対する、言ってみれば基準法等について監督をきちんとして、言ってみれば様々な
法律
について
遵守
されているんだろうかと、こういうようなことをきちんとチェックしろと、こういうようなお話であります。 今、特に
労働者
の
派遣
事業を行う事業主及びその
派遣労働者
を受け入れている
派遣先
に対しましては、これは定期的な計画的な
指導
が行われているわけでありますし、あともう
一つ
は、例えば請負等の受注、そして発注
事業者
の
把握
とそれらに対する
指導
と、こういうようなことと、それから
労働者
からの
申告等
により問題が認められた
事業所
への
指導
、こういうようなことを行っておりまして、適正な
労働者派遣事業
の
運営
の推進と、こういうようなことはかねてからも進めているわけでありますが、今回、特に物の製造の
業務
への
労働者派遣
が可能になりますと、これは製造現場においても請負と
派遣
を明確に区別しなければいけないとか、
労働者派遣
、そして請負のそれぞれがともに適正に行われるように、ある
意味
で十全に
指導
していくと、こういうようなことが必要であるという点から、
公共職業安定所
に分掌されている
指導監督
業務
を、これを都道府県の
労働局
に一元化しまして
指導監督
体制を図っていくと、こういうようなことでございます。 さらに、もう一点につきましては、これは、
先生
がおっしゃっていたのは労働基準法の三十六条、いわゆる三六協定に伴って、時間外の労働時間
管理
をどういうふうに行っているか、そしてそれは労働基準法が
遵守
されているのかと、こういうような話でありました。 これは、
労働者派遣
という
就業形態
におきましても、
派遣労働者
に関する労働基準法の適用につきましては、これは
派遣労働者
と
派遣契約
関係
にある
派遣元
が責任を負うことが
原則
でありますけれ
ども
、
派遣先
事業主が
業務遂行
上の具体的な指揮命令を行うなど、
派遣先
事業主に責任を負わせることが適当なものにつきましては
派遣先
に責任を負わせていると、こういうようなことになっているわけであります。 労働時間につきましては、特に時間外・休日労働協定を締結して届け出ることにつきましては、これは
派遣労働者
と労働
契約
関係
にある
派遣元
の責任としておるところでありますけれ
ども
、労働時間
管理
につきましては、事業場において実際に
派遣労働者
に
業務遂行
上の指揮命令を行う
派遣先
の責任としているところでありまして、
指導監督
の際に労働基準法
違反
を確認したときにはこれは所要の
改善
を行ってもらうわけでありますけれ
ども
、このことにつきましては、特にこれから
派遣労働者
につきましては労働基準法が
遵守
されるようにしっかり努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
森ゆうこ
170
○森ゆうこ君 ありがとうございました。 そのようになって、そのように守られなければいけないことになっているんですけれ
ども
、つまり
契約
自体は
派遣元
とやると、実際は
派遣先
だと、こういうふうに分かれていることによって過剰な長時間労働を強いられているような
実態
があったときにこういう問題を解決することが非常に難しいのではないかという
指摘
があるわけで、この辺のところをやはり
改善
すべき必要があるのではないかと思いますが、一言だけ
お願い
します。
鴨下一郎
171
○副
大臣
(鴨下一郎君)
派遣元
と
派遣先
の間で締結されますこれは
労働者
の
派遣契約
におきましては、
派遣
就業の開始・終了時間等を定めることとしているわけでありますけれ
ども
、
派遣元
とそれから
派遣労働者
の十分な協議により締結された適切な時間外、それから、休日労働協定の規定に従って
派遣労働者
の時間外労働は行われる、こういうようなことと考えているところでありまして、
先生
御懸念の部分は、これは我々も十分に配慮した上で、
是非
基準法にのっとってそれを
遵守
されるように、繰り返しになりますけれ
ども
、努めてまいりたい、このように考えます。
森ゆうこ
172
○森ゆうこ君
遵守
されるかどうかと、その実効性についてがテーマだったと思います。この
派遣
法、
職業安定法
の
改正
につきましては、何度も申し上げておりますが、
規制緩和
、それに見合うだけの
労働者
保護が、その実効性がどうなのかということが私は今日まで確信が持てませんでした。 それで、
最後
に
大臣
に伺っておきたいんですけれ
ども
、
坂口
厚生労働大臣
、今回、
派遣
期間の上限が一年から三年に延長されるということなんですが、私、そもそも、この臨時的・一時的雇用ということが、三年が本当に臨時的・一時的なのかというそもそものやっぱり疑問があります。石の上にも三年と言うじゃないですか。三年て結構な時間だと思うんですよね。だから、この三年が一時的・臨時的雇用に当たるのかどうかそもそも疑問があるんですけれ
ども
、これが将来なし崩し的に四年、五年と延長されるというおそれはないでしょうか、
大臣
、
坂口大臣
に
伺い
ます。
坂口力
173
○
国務大臣
(
坂口力
君) 一時的な雇用といいます限りは三年辺り、この辺のところが
一つ
の区切りではないかというふうに私は思いますが、将来どうなるかということまで私申し上げる資格はありませんので、将来は将来でまた
皆さん方
お決めをいただくわけでございますから、そこまで私申し上げることはでき得ませんけれ
ども
、私の感じとしましては、臨時・一時的という限りはこの辺のところではないかというふうに思います。 また、日本が見習ったといいますドイツなんかは、期限を付けずにずっと
派遣
というのを考えるというようなことも導入されているようでございますが、しかしそれは、全体の
派遣
というものに対する、全体の考え方をどうするかということを抜きにして、期限だけ取り出して、向こうが長くしたからこちらも長くするというようなことではいけないわけでありまして、それはやはり全体の様々な定めの中で
派遣
業というものをどうするかということを外国も決めているんだというふうに思いますから、現在の
状況
の中で言えば
一つ
の限界ではないかというふうに私は思っております。 ただ、先ほど申しましたように、将来のことは私に申し上げる資格がございませんので、また将来は将来でお考えをいただくと思います。
森ゆうこ
174
○森ゆうこ君 ありがとうございました。 私の
質問
はこれで終わりですけれ
ども
、
規制緩和
に伴うきちんとした新しいルール、これからの雇用情勢、労働市場に見合った新しいルール、それを作って
労働者
の保護をきちんと図るべきだということを申し上げまして、
質問
を終わります。 ありがとうございました。 ─────────────
金田勝年
175
○
委員長
(
金田勝年
君) この際、
委員
の
異動
について御
報告
をいたします。 本日、
浅尾慶一郎
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
山根
隆治
君が選任されました。 ─────────────
大脇雅子
176
○大脇雅子君
職安
法、
労働者派遣
法の
改正法案
に関連してお尋ねいたします。 まず、
職業安定法
の
改正
について、第三十三条の四項で兼業の禁止規定が削除されました。衆議院
厚生労働委員会
の附帯決議第七項は、特に貸金業者の職業紹介事業について、
許可基準
において必要な対応を図ることとなっておりますが、その内容はどうなるのでしょうか。 さらに、ローン等の返済に迫られて、債務者が強制的に返済能力を高めるために風俗
営業
とか飲食店等への気に染まない転職を迫られるようなことがあってはなりません。事態が発生したのでは遅過ぎます。少なくとも業種別で職業紹介の
規制
が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
戸苅利和
177
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今回、兼業禁止規定を削除ということを行ったわけであります。これは、ILOの勧告が撤回されたということ、それから、かねてから、例えばリサイクルをやっている業者、これが職業紹介もやりたいと。例えばNPOとか公益法人とか、そういったところからの要望もございまして、その辺りを総合的に勘案して今回撤回をいたしたわけであります。 かといって、今、
先生
おっしゃるように、求職者の保護に明らかに欠けるということが事前に予測される場合に、それを阻止するというか防止するということは当然必要だというふうに思っていまして、そういった
意味
で、
一つ
は、衆議院の附帯決議にございますが、貸金業者については、
許可基準
におきまして、
一つ
は、貸金業については所管の
大臣
あるいは都道府県知事の登録を受けねばいかぬと、こういうことになっていますので、登録を受けていない業者については確実に排除するような基準にしたいというふうに思っていますし、それから、
職安
法上、許可に当たって許可条件を付すということが可能でございますので、その際、その貸金業者の債務者を求職者としないことといったことを許可条件として付したいというふうに考えております。 それからもう一点、風俗
営業
の話がございました。これも大変我々も懸念しているところであります。 これにつきましては、現在、
職業安定法
の三十一条第一項第四号で、当該事業を申請者が適正に遂行することができる能力を有しているかどうかという法文の規定がございます。これを援用することが適当ではないかと現在考えております。 これについては、現在でも、不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること、それから公衆衛生又は公衆道徳上有害な
業務
に就かせる
行為
を行うおそれのない者であること、この辺りの要件が通達上
確保
してございますが、風俗
営業
につきましては、
施行
までに何らかの
許可基準
の中で、今申し上げました
職安
法三十一条の第一項第四号を援用した形での適切な対応ということを図りたいと思っています。
大脇雅子
178
○大脇雅子君 その点は危惧される点でございますので、きちっとした
規制
を
お願い
したいと思います。 さて、
派遣労働者
の保護に関する点でございますが、衆議院の
厚生労働委員会
の附帯決議の第二項について、この第二項の内容は、リストラ対象
労働者
の代替として
派遣労働者
を受け入れるに対しては、例えば受入れ期間の設定など適切な措置をすべきだという歯止めの規定が盛り込まれておりまして、実はこのことは大変重要であろうかと思います。実効ある積極的な
規制
措置を講ずるべきだと考えますが、この点いかがでしょうか。
坂口力
179
○
国務大臣
(
坂口力
君) この問題は正しく、この後でまたいろいろと御議論をいただかなければならない、解雇権濫用法理上認められる解雇かどうかということに懸かってくるというふうにも思います。たとえそういう解雇でなかったとしましても、やはりどれぐらいの期間を置いたらいいのかといったようなことも現実問題として起こるだろうというふうに思います。 コスト削減を
目的
としてリストラを行うということであれば、これは解雇は無効となる可能性というのは非常に強いわけでありますから、そこに問題があるというふうに思いますが、例えば五年とか七年とかというふうな経過した後において、一時的に非常に
経済
的な変化で多くの
労働者
が必要だというようなときに、一体そこまで拘束するのかどうかといったような問題もあるというふうに思っております。 しかし、衆議院でも述べられておりますように、リストラを行って、そして直ちにその後
派遣
の
労働者
を入れるというようなことは、それは当然、これはやめなければならないということを言っていただいているというふうに思っております。
大脇雅子
180
○大脇雅子君
現状
においてすら代替
労働者
として
派遣
が非常に拡大してきている
現状
を、更に歯止めなき代替を進化するということのないように、きちっとこの
規制
措置が必要であろうかと思います。 さて、
厚生労働大臣
は、
指導
、助言、勧告、
企業
名公表等、悪質業者あるいは法
違反
に対しての積極的な発動が許されておりますが、勧告はほとんどないとか助言も期待できないとか、現場では様々な不満が渦を巻いております。 例えば、これは株式会社シーケンスという、ケースの
一つ
ではございますが、その
事業所
の所在地に登記がない
派遣元
企業
が
派遣労働者
に賃金の不払を行ったり、あるいは事業主がスタッフである労働組合の役員に暴行や傷害等を働くなどして被害届が出されるなど、こういう事例が起きた場合には、やはり私としては、事実
関係
の
調査
をきちっとされて、
改善
命令を出し、あるいはそうした事実があれば
派遣
事業の許可の取消しまで行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
戸苅利和
181
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 今御
質問
のように、いろいろな問題を起こしている
事業所
が所在地について登記がないという場合でありましても、個別の事案ごとにその必要に応じて事実
関係
の確認を行うというのが我々の基本方針でありますので、今のような事案で具体的に私
ども
の方に申出をしていただければ
調査
を行うということにいたしたいというふうに思っています。 なお、
派遣元
事業主が、例えば賃金の支払、基準法二十四条でありますけれ
ども
、これに
違反
したような場合には
派遣
法四十九条に基づきまして
改善
命令を出す、これに従わなかった場合には許可の取消しあるいは事業廃止命令、こういったことの対象になるというふうに思いますし、二十四条
違反
ということそのものでは基準法百二十条により三十万円以下の罰金、さらに暴行、傷害ということでありますと刑法二百四条あるいは二百八条ということで刑に処せられるということがあるわけですけれ
ども
、こういった場合が起きた場合、これは許可の欠格事由、
派遣
法六条
違反
ということになりますので、これも許可の取消しなり事業の廃止命令なりということで、厳正に対処をしていきたいと思います。
大脇雅子
182
○大脇雅子君
特定
日
派遣
についてお尋ねをいたします。
特定
日
派遣
については、常用労働の代替としての活用が進むということが懸念されております。
業務
の繁忙など、人員
整理
後の対策としての活用を除外するなど、一定の歯止めが必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、所定労働日数が相当程度少ない日数というのは具体的にはどのような規模として考えればよろしいのでしょうか。
戸苅利和
183
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
特定
日
派遣
でございますが、これは例えば土日にのみ必要となる住宅展示場のコンパニオンの
業務
ですとか、あるいは月初めにだけ必要になります書店の棚卸し
業務
とか、そういったものを想定しております。 そういうことで、そういった
業務
については、
派遣
期間制限の措置を取らなくても常用雇用との代替は起きないという考え方で、今回御提案申し上げております
改正法案
の四十条の二第一項第二号ロを規定しているわけであります。 したがって、御
質問
のように、例えば
業務
の繁忙対策として、あるいは人員
整理
後の対策として、日々行われているような
業務
を切り分けてそれについてやるというふうなことは、当然、今回の
改正法案
の条文には該当しないというふうに考えております。 それからもう一点、
厚生労働大臣
の定める日数でありますけれ
ども
、これにつきましては、今後、
改正法
を
成立
させていただきましたら
労働政策
審議
会で
審議
をいただいて正式には決めるということでありますけれ
ども
、我々としては十日以下程度というふうに現在は考えております。
大脇雅子
184
○大脇雅子君 臨時的・一時的
派遣
の活用が一年を超える場合の取扱いについてお尋ねをいたします。 一年を超える場合には臨時的・一時的
派遣
の活用と言えるかどうかという重大な疑問が幾つかの
委員
からも提起されてきております。当該事業場で臨時的・一時的活用と認められる場合とは具体的にどのような場合を考えておられるのでしょうか。また、そのときに行われる実効ある意見の聴取をするためのルールが必要不可欠であると考えますが、その具体的な内容はどのようなものと考えておられるでしょうか。
戸苅利和
185
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) まず、これは先ほど森
先生
からも御
指摘
があったところでありますけれ
ども
、国際競争が非常に激しくなっている、それからもう
一つ
は、産業構造あるいは
企業
の業態の変化、こういったものが非常に頻繁に行われるようになっているということでありまして、今まで行っていなかったような製品の納入あるいはサービスの提供、そういったものの発注が、というか受注が急にあった、ただその
仕事
については、例えば二年ぐらいの受注
契約
というふうなことになった、その先は全く
見通し
が立たないと、こういったケースがあるんだろうと思います。 こういった場合に、常用
労働者
を雇ってしまったときには、その
仕事
がなくなりますと常用
労働者
の方に働いていただく
仕事
がなくなってしまうと、こういうことになるわけで、じゃ受注するのをやめるかというと、競争相手に
仕事
を取られてしまう、かえって今雇っている
労働者
の雇用の安定、経営の安定ということからも問題があると、こういうケースは今後頻繁に起こると思いますし、今でも時々ある。現にそういったことで、今一年の期間制限があるためにそういったものを受けずにいる、あるいは、
パート
タイマーあるいは期間
労働者
で雇うけれ
ども
うまくいかない、こういったような御意見はあるわけで、その辺りを受けて今回の
改正
に至ったということであります。 ただ、これを安易に、実は二年なんですが、これを三年の
派遣契約
期間にしてしまうということは適切でないというふうに思っていまして、その辺りについては現場の
労働者
の過半数代表の意見を聴きつつ適切に対応いただこうということでございます。 したがって、
労働者
の、過半数
労働者
の意見聴取、これを確実に行われるようにするということが重要でありまして、これは衆議院の附帯決議でもその旨が盛り込まれているところであります。我々としては、やはりその辺りを
派遣先
の
指針
にきちんと書き込んで、こういったものが行われていない場合はその
指導
をできるという根拠を明確にしたいというふうに思っています。
大脇雅子
186
○大脇雅子君 雇用の申込義務についてお尋ねをいたします。 前は一年を超えたら
派遣先
に雇用をする努力義務というものが課せられていたわけですが、今回の場合、三年を超えた場合には、期間を超えた場合は申込義務というものが発生するということになっておりますが、前の努力義務と今回の申込義務というのは法的にどのように性質が違うと考えられますか。そして、雇用申込義務は当然発生すると考えられますが、では、この申込義務はいつ発生すると考えたらよろしいのでしょうか。
戸苅利和
187
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
現行
の規定でありますけれ
ども
、これにつきましては、同一の
業務
について継続して一年間
労働者派遣
の役務の提供を受けました場合に、その一年が経過した日以後
労働者
を雇い入れようというふうな場合は、同一の
業務
に一年間同じ
労働者
が一年間就いていたというふうな場合に、雇用されることを希望する旨を
派遣先
に
労働者
が申し出れば、そういった人について遅滞なく雇い入れるように努めにゃいかぬと、こういう規定であります。 今回の規定は、
労働者
が同じ
労働者
でなくても、ちょうど
派遣
期間の制限に至ったというときにたまたま
派遣
を受けていた
労働者
、これが
一つ
違います。そのときに、その後も、
派遣
期間の制限があった後もその
労働者
を使いたいといった場合には、その
労働者
が希望すれば雇用
契約
の申込みをせぬといかぬということで、
前回
というか今までやっておりますのは、一年間丸々同じ
労働者
の場合にその雇用の実現を図っていこうと。今回の場合は、雇用の実現を図るのと同時に
派遣
期間の制限をそこで阻止しようと、こういう色彩がかなり強くなっているということだと思います。
大脇雅子
188
○大脇雅子君 そうしますと、「当該抵触することとなる最初の日の前日までに、」とありますが、その抵触することとなる最初の日の前日までに申込みをしなかったときはどうなるんでしょうか。そしてまた、「当該
派遣労働者
であつて当該
派遣先
に雇用されることを希望するものに対し、」とありますが、雇用されることを希望する意思表示というのは必要なのでしょうか。その場合の申込義務は発生するのでしょうか。終了までの間に希望表明をしなきゃいけないというとちょっとハードルが高過ぎるような感じがいたしますが、これらはどう解釈をしたらよろしいんでしょうか。
戸苅利和
189
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
一つ
は、
派遣先
が雇用の申込みをしなかったときにどうなるかということでありますけれ
ども
、
派遣先
が申込みをせずに
派遣労働者
を使用し続けているということになるわけであります。その場合に、
一つ
は、
派遣元
が当該
労働者
を雇用したままで
派遣
しているということになりますと、これは当然
派遣元
が
派遣
法
違反
になるわけでありますから、その場で
派遣
を打ち切らせるということになると思います。 それから、
派遣元
はもう十分そこは理解というか、
法律
を守って、
派遣元
と
派遣労働者
の間の雇用
関係
が切れている、その上で
派遣先
が、もう
派遣労働者
じゃないんですけれ
ども
、その
労働者
を雇い続けていると、こういうケースがもう
一つ
ありまして、恐らく
先生
の
質問
はそういったケースだろうというふうに思います。 この場合は、一般論として申し上げると、
派遣労働者
と
派遣先
の
関係
は、
一つ
は請負
関係
、それからもう
一つ
は雇用
関係
と、どっちかになるんだろうと思いますけれ
ども
、ただ一般的な、専門的な
業務
でないということになりますと、一般的には雇用
関係
の
成立
という可能性が非常に高いんじゃないかというふうに思います。 〔
委員長
退席、
理事
中島眞人君着席〕 そういった
意味
で、ただこれも、雇用
関係
というのは、ある
意味
では、そこで
派遣労働者
の方なりあるいは行政の方が
派遣
期間の制限を超えて雇っているじゃないかと、雇っているというか、使用しているじゃないかという、そこで問題を提起したところまで、
派遣
期間の制限を超えてから問題が発生したところまでの間の雇用
関係
というものが多分
成立
しているというふうに見る重要な判断材料にはなるだろうというふうに思っています。 それからもう
一つ
の件でありますけれ
ども
、
労働者
、
派遣先
に対して
労働者
が雇用されることを希望する意思表示をせぬといかぬのかということでありますけれ
ども
、これは当然、
派遣先
に掛かっている義務でありますから
労働者
が申し出るということは必要ありませんで、当然、
派遣先
が確認するということだと思います。
大脇雅子
190
○大脇雅子君 そうしますと、
派遣先
が雇用申込義務を履行しないでずっと雇い続けていた場合には、
労働者
に対する実効性のある救済というのはどのようにして図るのでしょうか。行政
指導
、勧告、制裁措置というのはどう行われるのでしょうか。 例えば、一年の場合の、旧規定の場合で私のところへいろいろなケースとして
報告
されておりますのは、例えば三菱電機ライフサービス株式会社が三菱電機株式会社鎌倉製作所に例えば五年にわたって雇用を継続して、そしてあるいはまた株式会社クリスタルスタッフが昭和産業鶴見工場に五年六か月にわたって
仕事
をしている女性がいる、あるいはテックソフト&サービス株式会社が財団法人石油産業活性化センターに何年間か、五年間か継続して雇用をしてください、正規社員として雇用をしてください、そして雇用勧告をしてくださいという申立てなどをしても、なかなかそこまではいかないということになると、今度、
改正
後、こうした
労働者
の実効ある救済はどのようにして図られると考えたらよろしいのでしょうか。
戸苅利和
191
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
一つ
は、
派遣
停止の通知を受けました
派遣先
が、雇用
契約
の申込みをしないで
派遣労働者
を使用した場合には、
派遣先
に対しまして
厚生労働大臣
による
指導
、助言、是正勧告、勧告に従わなかった場合の公表ということは当然やるわけでありますけれ
ども
、
派遣元
事業主が期間制限
違反
ということで処罰される場合、しかも刑法の規定により共犯に該当するといった場合は
派遣先
も処罰の対象にはなり得るだろう、こういうふうに思っています。 それからもう
一つ
は、先ほどの議論でありますが、
実態
としてというか、
派遣元
がもう
派遣
は、当該
派遣労働者
は雇わずに、
派遣先
が当該
派遣労働者
を使用し続けているといった場合には、これは基本的には裁判に訴えるか、あるいは監督署に来て賃金不払があるとか、そういうふうなことで、あとはそのケース、ケースで、雇用
関係
それまであったということであれば基準法等に基づく保護をきちんと図られるように監督署なりあるいは裁判で措置される、こういうことになると思います。
大脇雅子
192
○大脇雅子君 私が今述べました三件については、各
職安
の方に申告をしているようでございますので、御
調査
いただきたいと思います。 さて、
最後
に
大臣
にお尋ねをしたいのですが、
派遣労働
というのは女性の低賃金で不安定雇用の最前線とも言われております。今回の
改正
に対して、正規雇用との代替が更に進むのではないかと。現に今、
派遣労働者
の賃金は低下し続け、驚くことに専門職であるべき
派遣労働者
の場合の男女の賃金格差は、通常
労働者
の賃金格差が六五に対して五三ポイントということもあり、あるいは年齢差別もあるし、三年になったからといっても、現実は雇用は細切れ、短期化が進んでいるという中で、このデフレ不況の中で未曾有の雇用不安に直面して労働条件が低下するというのはこの
派遣労働者
ではないかと思います。 こうした
派遣労働者
の権利保護について、
大臣
の御決意を
伺い
たいと思います。
坂口力
193
○
国務大臣
(
坂口力
君) この
派遣労働
そのものにつきましては、プラス面、マイナス面、双方やはりあるだろうというふうに思っておりますが、やはり今日いろいろ御議論をいただきましたように、
一つ
は、労働条件につきましては
派遣元
がしっかりとこれはやらなければいけないわけで、そこをよく監視をしないといけない。それから、
派遣先
におきましては、安全対策でありますとか健康対策といったものをしっかりこれはやらなければいけない。どちらも大事でございますが、何と申しましても一番
中心
になっておりますのは
派遣元
でございますから、ここのところの労働条件の問題が狂っておりますとすべてが狂ってしまいますので、今御
指摘
になりましたように、男女間の格差の問題、そして常用とそして
派遣
業あるいはまた
パート
といった格差といったものをどう拡大させないようにしていくかといったことは今後の最大の課題でございますので、こうしたことをひとつ真っ正面から取り組んでいきたいというふうに思っている次第でございます。 〔
理事
中島眞人君退席、
委員長
着席〕
西川きよし
194
○
西川きよし
君 どうぞよろしく
お願い
いたします。 私の方からは、まず
労働者派遣
法についてお
伺い
をしたいと思います。 まず、基本的なお考えからお
伺い
をいたします。 そもそもこの
労働者派遣
の位置付けをどう考えるか、この点についてですが、
審議
会の建議では、この点につきましては、臨時的・一時的な
労働力
の需給調整に関する対策としての位置付け及びこれに基づく
派遣
期間の一定の限定は、いわゆる
長期雇用
慣行の我が国における位置付けを踏んまえると、今回の見直しにおきましては引き続き維持することが適当と。 この建議に示された考えにつきまして、まず
政府参考人
からお
伺い
をいたします。
戸苅利和
195
○
政府参考人
(
戸苅利和
君)
労働政策
審議
会の建議の趣旨でございますけれ
ども
、これは
就業形態
が
多様化
している、働き方が
多様化
しているという一方で、やはり我が国では基幹的な部門の方を
中心
に
長期雇用
慣行ということは今後も基本的な雇用形態として維持すべきものである、これは
労働者
の方もやはり常用雇用を望んでおられる方が圧倒的に多いということから、こういった常用雇用によります
長期雇用
慣行と働き方の
多様化
の
一つ
の手段であります
労働者派遣事業
との調和を図るという形で我が国の
労働者派遣事業
を進めていこう、こういう考え方だろうと思います。 欧米では、先ほど
大臣
からお話ありましたが、
派遣
期間の制限等を設けていない国が大半でございます。日本の場合は、今御
質問
のとおり、
長期雇用
慣行との調和ということで、
派遣
については臨時的・一時的な位置付けというものを今回も維持した上で
法改正
をするというふうに受け止めて今回の
法案
を提出させていただいております。
西川きよし
196
○
西川きよし
君 ありがとうございました。 今後、将来にわたりましてこうした従来型のいわゆる日本的な
長期雇用
慣行をどのように考えていくかということでございますけれ
ども
、例えば
平成
十一年の
経済
戦略
会議
の答申では、雇用の流動化を促進するためには、個別
企業
、こういう業種に雇用を抱えさせることを奨励する従来型
雇用政策
から脱却しといった表現があるわけですけれ
ども
、一昨日の
参考人
の方にお越しいただいたときに、経団連の紀陸
参考人
さんからは、終身雇用が全部なくなっていくということではなくて、長期安定雇用、この雇用が柱となっておりまして、そこにその他の雇用形態が組み合わさっている、そういう社会になるのではないかなというふうな
発言
がございました。 今後、将来に向けてそうした従来型の雇用慣行とその他の雇用形態の組合せ、こうした点についてはどういった姿が一番望ましいか、
坂口
厚生
大臣
は現時点でどういうふうに考えておられるのか、御
答弁
をいただきたいと思います。
坂口力
197
○
国務大臣
(
坂口力
君) 今お話ございましたように、これは経営者の側も、それから働く
皆さん方
も長期安定雇用というのをやはり一番多く望んでおみえになるのではないかというふうに私も思います。また、しかし、そういう生き方を望んでおります反面において、日本の
経済
が環境変化というものをもろに受ける、非常に急激な
経済
の変化というものの中で生きていかなければならないというような事態になってきた、それに対してどう対応をしていくかということがそこにプラスされてきているというふうに思います。最も今日的な課題ではないかというふうに思います。 そうした急激な環境の変化で
企業
そのものがどういうふうになるかも分からないというような
状況
が生まれてまいりましたときに、働き方としてそこに、多様な働き方というものがそこにプラスされてくるということは、私はやむを得ざることだというふうに思っているわけでございます。しかし、先ほ
ども
述べましたように、多くの方が安定した雇用の在り方というものがやはり基本であるというふうに考えておみえになることは事実だというふうに思いますし、私も望ましいことだというふうに考えている次第でございます。したがいまして、多様な働き方も考えながら、そして現在までの日本が今日まで続けてまいりましたその雇用の在り方というものも大切にしていくということではないかというふうに思っております。
西川きよし
198
○
西川きよし
君 それでは、具体的な項目についてお
伺い
をいたしたいと思います。 まず製造の
業務
の労働安全衛生の
確保
についてでございますが、今回の
改正
案で新たに規定されました第三十六条の第五号と四十一条の第四号についてですけれ
ども
、まず
政府参考人
から内容を
お願い
いたします。
戸苅利和
199
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) まず、三十六条第五号でございますけれ
ども
、これは、
派遣元
責任者は、
派遣労働者
の安全衛生に関しまして、
派遣元
事業所
において
労働者
の安全衛生に関する
業務
を統括
管理
する者との連絡調整、それから
派遣先
との連絡調整を行うということにいたしました。 それから、四十一条第四号におきましては、
派遣先
責任者は、
派遣労働者
の安全衛生に関しまして、
派遣先
事業所
において
労働者
の安全衛生に関する
業務
を統括
管理
する者との連絡調整、それから
派遣元
事業主との連絡調整を行うこととするということにいたしました。 これは、今、
委員
お話しのとおり、物の製造の
業務
に
労働者派遣
を適用するということになりますので、両者間の連絡調整を確実に行えるようにして安全衛生の
確保
の徹底を図ろうというねらいでございます。
西川きよし
200
○
西川きよし
君 ありがとうございました。 一昨日、この点につきまして連合の中村
参考人
さんからもお
伺い
したわけですけれ
ども
、
派遣元
そして
派遣先
の安全衛生の責任者が密接に連絡を取ってやるということがどうしたらうまくいくのかな、うまく実行して本当の保護ができるのかということでございましたんですが、十分に検討がこういった
意味
では必要ではないかという御
指摘
がございました。 今回の追加される連絡調整でございますけれ
ども
、具体的にはどういったことが想定をされているのか、
政府参考人
に引き続きお
伺い
します。
戸苅利和
201
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) まず、
派遣元
責任者でございますけれ
ども
、
派遣元
責任者につきましては、
労働者派遣
契約
で定めました安全衛生に関します
事項
の実施
状況
ですとか、あるいは事故が発生した場合にその対応
状況
ですとか、そういったことについて
派遣先
との連絡調整にきちんと当たってもらう、それから、事故防止のための安全衛生教育の実施等々につきましても、これは
派遣元
の
事業所
で安全衛生に関する
業務
を統括
管理
する者にその旨連絡して、具体的な措置の内容あるいは方法等について調整するといったようなことをやっていただくということを考えております。
派遣先
責任者につきましては、これも
労働者派遣
契約
で定めました安全衛生に関します
事項
の実施
状況
、それから事故が発生した場合の対応
状況
、それから
派遣先
の
法令
の
遵守状況
等について
派遣元
事業主との連絡調整をする、それから、
派遣元
から
法令違反
についての
指摘
を受けた場合など、
改善
を図る必要があるといったようなことについて、
派遣先
の
事業所
で安全衛生の
業務
を統括しております者にその旨連絡して、具体的な措置の内容、方法等について調整するといったようなことを行っていただこうと思っています。
西川きよし
202
○
西川きよし
君 ありがとうございました。 なかなかこれは難しい問題だと。今、御
答弁
をお
伺い
しておりましても、形はでき上がったものの本当に、お言葉だけお
伺い
してどういうふうになるのかなという不安もございますので、どうぞよろしく
お願い
を申し上げたいと思います。 それから、同じく中村
参考人
の御
指摘
もございました危険有害
業務
についてでございますけれ
ども
、これをお
伺い
したとき、これは、
派遣
される人に危険有害
業務
であることが事前に通知をされて、それを了解した上で、それに対する保護策がなされて、そして
派遣
をされるということが必要ではないでしょうかというお話でございましたけれ
ども
、この危険有害
業務
につきましてはそもそも適用除外とするという意見もございましたわけですけれ
ども
、こういった対応についてのお考えを引き続き
政府参考人
にお
伺い
します。
戸苅利和
203
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) おっしゃるとおり、危険有害
業務
について
派遣労働者
の方が実際にその
派遣
を受けるかどうかというのは非常に重要な問題でありますので、これにつきましては、
派遣
法の三十四条で
労働者派遣
の対象になります
派遣労働者
に対しまして、どういった
業務
に従事するんだという従事する
業務
の内容ですとか、それから安全衛生に関する
事項
ですとか、そういった
就業条件
、これを
書面
で
派遣労働者
にあらかじめ明示するということになっています。 ですから、それを見て、
派遣労働者
がそんな危険な
業務
じゃ嫌だということであれば、そこで
派遣
に行かないと。御本人が非常にそういった
業務
について、安全衛生面、それから
業務
の遂行で自信があるということであれば
派遣
を受けるというのがまず第一歩としてあると思います。 それからもう
一つ
は、やはりその安全衛生面での保護ということが重要でありまして、そういった
意味
で、これは安全衛生法の特例を
労働者派遣
法で設けまして、
派遣先
に安全
確保
のための必要な措置を取るように義務化をしておりますし、それから、先ほど申し上げましたように、安全衛生の統括責任者とそれから
派遣元
、
派遣先
の責任者、それぞれの連絡をきちんとするようにというふうなこと、それからもう
一つ
は、
派遣契約
を結ぶ場合にその安全衛生に関する
事項
というのを定めることになっていますけれ
ども
、これをなるべく具体的に書けというふうなことで、その
派遣契約
に書いた
業務
以外の
業務
はやらない、その範囲内できちんとやるということにすべきだと思っていまして、どういうふうなその
派遣契約
での
業務
の書き方が適当なのかということについて、パンフレットを作るなどして徹底したいと思っています。
西川きよし
204
○
西川きよし
君 どうぞより良い御
指導
をよろしく
お願い
したいと思いますが。 それから、今回のこの
法改正
には直接ちょっと
関係
はございませんが、
審議
会の建議の中で、募集・採用において、事業主が不合理な理由による年齢制限、年齢制限を行うことのないよう
指導
の徹底を図ることが適当であると、このような
指摘
もございます。 この点につきましては、一昨年から有識者
会議
が開催されて、今年一月に
報告
書がまとまったということでございますが、まずその概要からお
伺い
します。
戸苅利和
205
○
政府参考人
(
戸苅利和
君) 御
指摘
のとおり、年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者
会議
というのがございまして、そこからの提言、
報告
書が、今年の一月にその
報告
書をいただいたところであります。
一つ
は、その問題点として、求人に当たって年齢制限を設定している
企業
が多いということがやはり中高年齢者の就職を厳しくしている大きな要因になっているということ。それから、
企業
について、年齢で一律に判断するんではなくて、やはり一人一人の
労働者
の方の能力なり適性なり、一人一人見てくれ、年齢で一律にやらないでくれというふうな募集・採用が重要であると。 こういう問題意識から、年齢制限の是正に向けまして、
一つ
は、雇用対策法に基づきまして募集・採用時の年齢制限
緩和
のための
指針
というのを定めておりますけれ
ども
、その実効性の
確保
に向けて確実な運用を図っていくべしと。 それからさらに、その上で、日本の雇用慣行はやはり定年までは
労働者
を解雇しないと、解雇権濫用法理の中での議論でありますけれ
ども
。そういうことになりますと、なかなか、そういった日本の雇用慣行の中で、賃金の問題、処遇の問題、いろいろあるということなんで、その辺りもよく分析し、
実態
もよく
把握
した上で
指針
の内容を必要に応じて見直していくべしと、こういった内容になってございます。 この辺り受けまして、今年の一月に、年齢不問求人、現在一〇%強なんでありますけれ
ども
、これを
平成
十七年度末までに三〇%、倍以上に引き上げようというふうな目標を掲げさせていただいて現在取り組んでおります。
西川きよし
206
○
西川きよし
君 その辺りは
最後
の方では
大臣
にもお
伺い
したいと思うんですけれ
ども
、その
報告
書でございますが、
報告
書にも、多様な形態の雇用・就業機会の
確保
と、そして
労働力
需給調整機能の強化として、
派遣
期間の延長あるいは
業務
の見直し、さらには高齢者の
派遣
を専門に行う会社の、いわゆる専門に行う子会社ですね、高齢者の
派遣
を専門に行う子会社の設立。特に、私などはよくお
伺い
していただくわけですけれ
ども
、お年寄りの
福祉
をやっております以上、こういうことをよく
質問
されるんですけれ
ども
、こういった支援についても
指摘
がされておるわけですけれ
ども
、この
報告
書にもですね。 こうした高齢者の雇用拡大と
労働者派遣
の持つ可能性について、特にこの六十歳代、六十五歳代、七十歳まででしょうか、
皆さん方
が大変不安に思っていらっしゃいます。こういった可能性について、
是非
副
大臣
に御
答弁
をいただきたいと思いますが。
鴨下一郎
207
○副
大臣
(鴨下一郎君) 今、
先生
が、特に高齢者の方の雇用拡大にこの
派遣
法の
改正
がつながったらいいじゃないかと、こういうような御
指摘
でありますけれ
ども
、今回の
改正
そのものは、これは公共及び民間の
労働力
の、先ほど
先生
がおっしゃっていたように、
労働力
の需給調整機関がそれぞれの特性を生かして
労働力
需給のミスマッチ解消に向けより積極的な
役割
を果たしていく、こういうことが可能になるように
労働者派遣事業
等についても必要な見直しを行う、これが基本でございますけれ
ども
、実際には、現在、二十代、三十代の女性が
派遣労働者
の約六割ぐらいということで、極めてその辺りの方々が
中心
になっているわけでありますけれ
ども
、今回の
改正
によりまして、特に物の製造の
業務
への
労働者派遣
が可能になるというようなことによりまして、男性も含めて、特に従来型の
派遣労働者
としては一般的でなかった年齢層の方、特に高齢者含めてですね、様々な経験だとか、それから技術を持っている方がいらっしゃるわけでありますので、そういう方々の就業機会が拡大すると、こういうようなことが見込まれるんじゃないかというふうに考えております。 また、これ、
派遣
期間が三年まで延長可能というようなことでありますから、
派遣先
で処理する
業務
の範囲がより広くなる、こういうことが見込まれまして、
派遣労働者
に求められる専門性の内容から程度も異なってくると考えられることから、様々な能力、特にそういう技術等持っていらっしゃる方々が
派遣労働者
として就業機会が提供されることになるんだろうというふうに思っておりまして、
先生
御
指摘
の、言ってみれば高齢者の
派遣
、こういうようなことの、それを専らとするような高齢者
派遣
会社の設立等の民間の創意工夫を、高齢者に対して、言ってみればその方々の希望や能力に応じて、できるだけ雇用機会が提供されるようになっていくんではなかろうかというふうに今考えているところであります。
西川きよし
208
○
西川きよし
君 今、副
大臣
の
答弁
にもございましたように、
皆さん
お元気ですし、技術も持っておられますし、もうお休みになったら、ぼつぼつと思いましても、
皆さん
働きたいという、
仕事
したいと。きよしさん、何かそういうところでいろんな
質問
をしてもらいたいというようなお話もよく聞くわけですけれ
ども
、今、
皆さん方
、本当にお元気ですし、
是非
より良い方向へ
お願い
したいと思います。 それから、紹介予定
派遣
については、
企業
にとっては
労働者
の能力を的確に判断できる、また
個人
にとっても
自分
に合った会社で雇用していただいて働くことが可能になります。つまり、ミスマッチの解消につながると、こういった点も肯定的にとらえられているわけですけれ
ども
、この紹介予定
派遣
と高齢者雇用という点について、その可能性、これはどのようにお考えでしょうか、引き続き副
大臣
にお
伺い
します。
鴨下一郎
209
○副
大臣
(鴨下一郎君) 今回の
改正
の中で紹介予定
派遣
があるわけでございますけれ
ども
、これは、例えばアメリカにおきましても、
派遣先
による直接雇用を推進する、こういうようなことで極めて有効に機能しているというふうに評価されているわけでありますけれ
ども
、昨年六月に実施した
実態
調査
においても、
一つ
は、紹介予定
派遣
を希望する
派遣労働者
の多くが、紹介予定
派遣
について、就職先の
仕事
が
自分
に合うかどうかを見極めることができる、こういうようなこととしているわけでありますし、
派遣先
においても、
労働者
の適性、能力を見極めてから雇用することができる、こういうようなことで両者ともに積極的な評価をいただいているところであります。 こうしたことから、今回の見直しにおきましては、紹介予定
派遣
を、
派遣労働者
の直接雇用を促進し、あとは円滑な
労働力
需給の結合を図ると、こういうような手段として一層有効に機能させる、こういうような
目的
で紹介予定
派遣
に関するルールを
法律
において新たに規定し、さらに、紹介予定
派遣
に係る
派遣労働者
の
就業条件
の整備を図ったという、こういう上で
派遣労働者
の
派遣
就業開始前の面接や採用内定等を可能としたところであります。 それで、高齢者につきましては、高齢者ということで、ある
意味
で使用者の中には雇用をためらうようなこともあるわけでありますけれ
ども
、高齢者について紹介予定
派遣
を導入するというようなことによりまして、直ちに雇用とすることをためらう使用者が、
派遣
を通じて高齢者の適性、能力を的確に
把握
し、ある
意味
で、働いてもらったら非常に経験も豊富で、そして人柄も良くて、さらに技術も持っていると、こういうようなことが分かるわけでありますし、もう
一つ
は、そもそも就職環境がなかなか厳しい高齢者に対しまして、できるだけそういう
意味
で、
労働力
の需給というような
意味
でそれを促進していくと、こういうようなことで
派遣労働者
、特に高齢者の御希望にも沿えるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
西川きよし
210
○
西川きよし
君 御丁寧にありがとうございました。 その際の課題についてもですけれ
ども
、
指摘
がございます。
一つ
には、予定されていた紹介や雇入れが行われない場合にはその理由を明らかにすること、それから、
派遣労働
や有期雇用の終了後に試用期間を設けないこと、また、常用雇用計画において予定されている求人条件をあらかじめ希望者に対して
書面
を提示する、こうしたことが言われておるわけですが、このような
指摘
に対する対応について
是非
本日はお
伺い
したいと思います。引き続き副
大臣
、
お願い
します。
鴨下一郎
211
○副
大臣
(鴨下一郎君) 具体的な
指摘
につきましてどういうふうにするんだと、こういうような話でありますけれ
ども
、まず、紹介予定
派遣
の具体的な運用につきましては、この本
法案
が
成立
した後に
労働政策
審議
会において御検討いただいて、その結果を踏まえて必要な措置を講ずると、こういうようなことでありますけれ
ども
、
先生
今御
指摘
いただきました紹介予定
派遣
を受けた
労働者
を結果として採用しない場合、その理由を
派遣先
が
派遣元
事業主や当該
派遣労働者
に明示する、こういうようなことを
指針
で示せと、こういうようなことでございますが、これも重要な検討材料の
一つ
になるんだろうというふうに思っております。 それからもう
一つ
の、紹介予定
派遣
により
派遣先
が
派遣労働者
を直接雇用することとなる場合の労働条件については、これは試用期間の有無、それから雇用
契約
の期間を含めて、雇用
契約
の
当事者
たる
派遣先
と
派遣労働者
との間の合意により基本的には決められるものであるわけでありますけれ
ども
、ただ、紹介予定
派遣
に係る
派遣労働者
であれば、
派遣先
は
派遣
就職期間中にある
意味
で当該
派遣労働者
の適性だとか能力だとか、そういうことを見極めることが可能である、こういうようなことを前提として、さらに紹介予定
派遣
によって
派遣先
に直接雇用される
派遣労働者
の雇用の安定が不当に害されないと、こういうようなことから、現在、紹介予定
派遣
によって雇い入れた
労働者
については試用期間を設けないように
指導
を行っているところであるわけでありますけれ
ども
、今後とも引き続き同様の
指導
を行っていくと、こういうようなことでございます。 紹介予定
派遣
の場合にも、この職業紹介の際に行われる求人条件の明示につきましては、これは賃金の額に関する
事項
等、一定の
事項
につきましてはこれは
書面
の交付によるというようなことになっているわけでありますので、そのことも申し添えさせていただきます。
西川きよし
212
○
西川きよし
君
書面
で提示をしろというなにですので、
口頭
では駄目だということなわけですけれ
ども
、時間がなくなりました。
最後
の
質問
にさせていただきます。
大臣
にお
伺い
をいたします。 この
報告
書を受けまして、安定所で受理をした求人のうち、先ほ
ども
出ておりますけれ
ども
、先ほど来、年齢不問求人の割合を
局長
さんの方からも先ほど出ましたが、
平成
十七年に三〇%目標設定されたと聞いております。今後、こうした年齢差別をどうするのかというのが大変私も心配です。
雇用政策
上の課題に対してどのような姿勢で対応していくお考えであるのか。
平成
十七年度の三〇%ということでございまして、先ほど来
大臣
は、将来のことはなかなか難しい、私が今言える立場でというようなお話もございましたが、すぐそこの話ですので、
是非
御
答弁
をいただきたいと思います。よろしく
お願い
いたします。
坂口力
213
○
国務大臣
(
坂口力
君) 年齢不問というのは、これは努力義務に御承知のとおりなっておりまして、本当は目標、十七年の目標を本当はもう少し高くしたらどうだという意見も省内にあったわけでございます。しかし、現実問題として一体どれだけかといったら、先ほ
ども
ありましたように、一三%なんですね。目標を高くするのはいいけれ
ども
、できない目標を高くしてみても始まらないではないかと、まず第一ベースキャンプをしっかり達成をして、その次に第二ベースキャンプに進んだらどうかと、こういう話になりまして、一応、十七年三〇%というふうに決まったわけであります。 三〇%に決まったから三〇%でとどめなきゃならないという理由は全然ありませんので、もっと高くていいわけでございますから、あらゆる機会を通じて各
企業
に
お願い
をするといいますか、
指導
もし、
お願い
もしということをやっていかないといけないというふうに思っておりまして、あらゆる機会にこのことは今言っているつもりでおります。 少なくとも十七年三〇%、できる限りそれより高く五〇%に早く近付けたいというふうに思っている次第でございます。
西川きよし
214
○
西川きよし
君
お願い
します。 ─────────────
金田勝年
215
○
委員長
(
金田勝年
君) この際、
委員
の
異動
について御
報告
をいたします。 本日、鴻池
祥肇
君、伊達忠一君、藤井基之君及び
宮崎
秀樹
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
段本
幸男
君、小
斉平敏文
君、
後藤
博子
君及び
斉藤
滋宣
君が選任をされました。 ─────────────
金田勝年
216
○
委員長
(
金田勝年
君) 他に御
発言
もないようですから、
質疑
は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
小池晃
217
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部
改正
案に対する反対の討論を行います。 そもそも
労働者派遣
は、雇用主と使用者が異なるという性格から、雇用の不安定をもたらす制度です。そのため、政府自身が常用
労働者
の代替にならないためとして対象
業務
の制限や
派遣
期間制限を設けてきました。 ところが、今回の改定は、
労働者
保護の措置を取り払い、財界の望む
規制緩和
を法制的に確立しようとするものであります。 反対理由の第一は、一般
派遣労働者
の
派遣
期間の上限を最長三年までに延長し、三年に制限してきた
業務
については無期限にすることです。これは、
派遣労働
は臨時的・一時的
労働力
という
現行
派遣
法の基本的な考え方を変質させるものであり、常用
労働者
を減らし、雇用も収入も不安定な
派遣労働
への置き換えを加速することは明らかです。
審議
の中では、本来禁止されているはずの専ら
派遣
が金融機関などで横行していることも明らかになりました。こうした違法
派遣
の徹底した取締りこそが緊急の課題なのであり、
規制緩和
など断じて認められません。 第二に、物の製造への
派遣労働
の解禁です。 この理由について、担当副
大臣
は当
委員会
で、
経済
産業構造の転換や国際化、日々変動する
業務
量に応じ、
労働力
需給に迅速、的確に対応する、こういうニーズは製造業においてもより一層高まっているからだと、産
業界
のニーズにこたえる解禁であることを率直に
答弁
されました。 しかし、
審議
を通じて、偽装請負などの違法
派遣
が放置され、過労自殺まで生んでいる深刻な
実態
が明らかになりました。こういう中で、
派遣
、請負を徹底的に
指導監督
し、法を
遵守
させることこそ求められているのです。それをせずに偽装請負を合法化する
規制緩和
を認めれば、劣悪な労働条件の
派遣労働者
を歯止めなく拡大することになります。また、まともな教育訓練が行われず、日本のものづくりの技能の継承、発展を困難にすることも看過できません。 第三に、
派遣先
企業
は
派遣労働者
を選別できないという
現行
派遣
法の
原則
を崩し、事前面接、履歴書送付が可能な紹介予定
派遣
を認めることです。これにより、
労働者
の選別、採用差別が公然とできるようになり、
派遣
期間が長期の試用期間とされる危険が増大します。 そのほか、
派遣
期間を超えた場合の雇用
契約
の申込みの義務化についても、
派遣先
の雇う意思が前提となり、
違反
した場合の是正も
現行
規定と変わらず、実効性は期待できません。 また、
職業安定法
の旅館、貸金業等の職業紹介事業の兼業禁止規定の削除は、サラ金などの無法な取立てと一体の強制労働に道を開くことになります。その危険性は政府
答弁
でも懸念が表明されているほどであり、懸念があるなら引き続き兼業禁止を法に明記すべきであります。 以上述べた理由で、本
法案
には反対であることを重ねて表明して、討論とします。
大脇雅子
218
○大脇雅子君 私は、社会
民主党
・護憲連合を代表して、
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、反対の立場を明確にして討論いたします。 今回の両
改正法案
は、正規雇用を減少させつつ多様な
就業形態
を推し進め、正に日本の雇用の崩壊を加速させるものであり、
労働者
、とりわけ若年世代の働き方と生活、とりわけ
労働者
の権利の不安定化をもたらすものであります。 以下、
労働者派遣
法
改正法案
を
中心
に反対する理由を述べます。 第一に、ネガティブリスト化など九九年
改正
に続く今回の
改正
は、期限を一年から三年、更なる
規制緩和
をするものであり、物の製造と対象
業務
の拡大は、これまで違法状態であった現実を追認するものにほかなりません。 労基法第六条の中間搾取の禁止、
職安
法四十四条の
労働者
供給事業の禁止
原則
は、
労働者
保護の観点から当然の基本
原則
であります。現在のように、
派遣先
の通常
労働者
の同種同等、同等の
労働者
との賃金その他、労働条件の情報公開、そして
派遣労働者
に対する
均等待遇
原則
が確立されない下で弱肉強食の市場原理にさらされる
労働者
の結果は目に余るものがあると考えられます。 第二に、臨時的・一時的
業務
であれば短期間しか
労働者
を受け入れる必要はないはずであります。それを期間延長することは、
派遣労働
を活用して正規雇用
労働者
の置き換え、すなわち代替化をますます助長することになります。 第三に、紹介予定
派遣
が現下の厳しい雇用情勢でとりわけ若年世代の雇用を
改善
する方策として雇用のミスマッチ解消に役立つものと言われていますが、その効果には大きな疑問があります。ごく一部、少数の
労働者
がミスマッチを解消できても、この仕組みを使った
労働者
の差別と選別がもたらす悪
影響
を見逃すことはできません。人材育成を放棄する
企業
の社会的責任が厳しく問われるべきであります。 第四に、期間超過の場合に
派遣先
の雇用
契約
の申込みを義務化したことが実際にどれほど新たな
正規労働者
の雇い入れが実現するのか、雇用
契約
の申込みに際しての労働条件の内容、水準、長期に安定した働き方につながるのか、解決すべき課題は余りにも多いと言えます。
最後
に、安上がり、いつでも自由に雇用調整ができる状態の下でしか働けない社会には未来は開けないと思います。雇用機会に関する
均等待遇
の
原則
を確立し、手数料の徴収は行わず、ハローワークの公共職業紹介機能の責任の原点に立ち戻り、額に汗して働く人々の権利を真に公正、公平に保障する雇用の
労働政策
が実現すべきことを強調して、私の反対討論を終わります。
金田勝年
219
○
委員長
(
金田勝年
君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
金田勝年
220
○
委員長
(
金田勝年
君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。 この際、
山本
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。
山本孝史
君。
山本孝史
221
○
山本孝史
君 私は、ただいま可決されました
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に対し、自由
民主党
・保守新党、
民主党
・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会
民主党
・護憲連合の各派並びに各派に属しない
議員
西川きよし
君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
職業安定法
及び
労働者派遣事業
の適正な
運営
の
確保
及び
派遣労働者
の
就業条件
の
整備等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案) 政府は、次の
事項
について、適切な措置を講ずるべきである。 一、一年を超え三年以内の期間継続して
労働者派遣
の役務の提供を受けようとする場合には、
派遣先
において
労働者
の過半数で組織する労働組合等からの意見聴取が確実に行われ、意見が尊重されるよう
派遣先
に対する
指導
に努めること。 二、いわゆる「リストラ」等の雇用調整を実施中及び実施直後に、当該雇用調整で解雇した
労働者
が就いていたポストに
労働者派遣
を受け入れる場合には、
派遣先
は受入れ期間の設定など適切な措置を講じ、
労働者
の理解を得られるよう努めなければならない旨
指針
で明記し、その周知に努めること。 三、
派遣元
事業主は、
労働者
を
派遣労働者
として雇い入れようとするときは、その雇用期間に関し、当該
労働者
の希望及び当該
労働者
に係る
労働者派遣
契約
の
労働者派遣
の期間を勘案して、当該
労働者
の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めなければならない旨
指針
で明記し、その周知に努めること。 四、
派遣先
は、三年までの間で
派遣
可能期間を定めることが可能となったことを勘案し、
労働者派遣
契約
の
労働者派遣
の期間に関し、
派遣元
事業主と協力しつつ、
派遣労働者
の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めなければならない旨
指針
で明記し、その周知に努めること。 五、物の製造の
業務
等への
労働者派遣事業
の拡大に当たっては、請負等を偽装した
労働者派遣事業
に対し、その解消に向け
労働者派遣事業
と請負により行われる事業との区分に関する基準等の周知徹底、厳正な
指導監督
等により、適切に対処するとともに、
派遣労働者
に対する安全衛生対策に万全を期すること。また、請負に係る
労働者
の保護のため、請負により行われる事業に対し、労働基準法等労働諸
法令
が
遵守
される取組を強力に進めること。 六、
派遣労働者
を含む短期雇用
労働者
が、労働条件や待遇において、不合理な差別を受けることがないよう、必要な措置を講ずること。 七、
派遣労働者
の保護の実効性については、使用者責任の
遵守
の観点から、都道府県
労働局
において、職業安定行政と労働基準行政との連携を基に、
指導
・監督体制の強化に努めること。 八、紹介予定
派遣
について事前面接等
労働者
を
特定
することを
目的
とする
行為
に係る規定を適用しないこととするに当たっては、濫用防止を図るための措置を
指針
で定め、適正な運用の
確保
に努めること。 九、
労働者派遣事業
適正
運営
協力員制度については、制度の趣旨がいかされるよう、国民への周知と必要な体制整備を図ること。 十、地域における雇用の
確保
を図り、国、地方公共団体、民間職業紹介
事業者
、学校及び商工
会議
所等が連携して職業紹介できるよう、その体制整備の在り方について、早急に検討を行うこと。 十一、職業紹介事業の兼業禁止規定を撤廃するに当たっては、事実上の強制労働や中間搾取等が発生することがないよう、
許可基準
において厳正な対応を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ
委員
各位の御賛同を
お願い
申し上げます。
金田勝年
222
○
委員長
(
金田勝年
君) ただいま
山本
君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
金田勝年
223
○
委員長
(
金田勝年
君) 多数と認めます。よって、
山本
君提出の附帯決議案は多数をもって本
委員会
の決議とすることに決定をいたしました。 ただいまの決議に対し、
坂口
厚生労働大臣
から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。
坂口
厚生労働大臣
。
坂口力
224
○
国務大臣
(
坂口力
君) ただいま御決議のありました本
法案
に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。 ありがとうございました。
金田勝年
225
○
委員長
(
金田勝年
君) なお、
審査
報告
書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
金田勝年
226
○
委員長
(
金田勝年
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十五分散会