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政府参考人(
戸苅利和君) まず、
派遣労働者を使用いたします
派遣先のメリットであります。
一つは、
派遣期間が、通常の
業務につきまして従来一年の
派遣期間の制限があったわけでありますけれども、今回、最長三年までということで延長いたします。これに伴って、臨時的・一時的な
業務ではあってもなかなか一年で処理し切れないというふうな
業務について、
派遣を適用というか利用することが可能になると、こういうことがあると思います。
それからもう
一つは、物の
製造の
業務への
労働者派遣、これが可能になるということでありまして、中国始めASEAN諸国等との競争が非常に激しくなっている中で、非常に
製造業においても臨時的・一時的な仕事、例えば長期的に、今、受注が維持されるかどうか分からない、ただ、急に受注が増えたといったようなときに、常用
労働者で対応するのかあるいは有期の
労働者で対応するのかというほかに
派遣という選択肢が増えたということであります。
〔
委員長退席、理事中島眞人君着席〕
有期の
労働者を採用するか
派遣を採用するかと、それはそれぞれ一長一短はあるんだろうと思いますけれども、
派遣の場合には、その
派遣先にとっては必要な技能、必要な数の
労働者をスピーディーに、有期雇用であれば求人広告を出してからということになりますけれども、
派遣会社に発注すればすぐに
確保できるという
意味で、
企業活動の、機動的な
企業活動というか、そういったものに
派遣を活用するということによるメリットはあるんだろうと、こういうふうに思います。
それから、紹介予定
派遣がルール化されるということでありまして、これは
労働者にとってのメリットも非常に大きいわけでありますが、なかなか、例えば若年者を雇いたい、あるいは障害者を雇いたいといったときに、
企業がなかなか踏み切れない。それじゃ、紹介予定
派遣を経由して雇おうということになりますと、そういった就職の困難な
人たちを雇おうという
企業の意欲がより生かされやすくなると、こういうことがあるんではないかというふうに思います。
デメリットとしては、経営者側はその
派遣について臨時的・一時的な
業務についての
派遣という制限を取り払ってほしいと、こういう要望も強かったわけでありますが、今回の
法律では、
派遣というのは臨時的・一時的な
業務のための需給
調整システムであると、こういうことにしたものですから、そういった
意味で、
派遣が最長三年までしか利用できないということがデメリットといえばデメリットということだろうというふうに思います。
それから、
派遣先の職務に安全衛生に関する事項その他の事項を付け加えておりますので、こういったことがその
派遣先にとっては人事管理上あるいは雇用管理上の事務が増えるというふうなことで、デメリットといえばデメリットかなと、こういうふうに思います。
それから、
労働者にとってのメリット、デメリットでありますが、これは
派遣労働者にとって申し上げますと、今回、一年の期間制限を三年まで延ばしたということについては、やはり今回の見直しに当たって、去年の六月に行いました
実態調査でも、
派遣労働者の方の中で
派遣期間の制限を緩和してほしいと、その方が雇用が安定するということだろうと思いますが、そういった要望も強かったということで、これにおこたえするという
意味もありますので、そういった
意味で、
派遣労働者の方で長期に同じ
企業で、せっかく慣れた
派遣先なので、そこで自分の技能を生かしたいということについては、その雇用の安定、技能の発揮という
意味で従来よりもメリットは大きくなっているんだろうというふうに思います。
それから、一定の期間を超えて
派遣労働者が就いている
業務を引き続き続けようといったような場合には、
派遣先から当該
派遣労働者に雇用の申込みをするということにしておりますので、
派遣労働者で一生過ごしたいんだという方じゃなくて、できれば正社員になりたいと、しかも、
派遣先は気に入ったので正社員にしてほしいという希望のある
派遣労働者にとっては直接雇用の機会が増えるという
意味でこれもメリットだろうというふうに思います。
それから、先ほど申し上げましたとおり、若年者の方等々でなかなか就職が困難だという方について、紹介予定
派遣を導入したということによって就職実現のための
一つの道が増えたというふうなことだろうというふうに思います。
派遣労働者の方そのものにとってのデメリットというのは、今回の
改正はまずないんじゃないかというふうに私ども考えておるところであります。ただ、
労働者自身、その
派遣労働者以外の
労働者にとってのメリット、デメリットということになると、ここはまたいろんな議論はあるんだろうと思います。
これはいろんな
意見があるということで、私の今思っておりますことを申し上げますと、例えば、仕事が急に増えたときに、急に受注が来たときに、
労働者の方が長時間
労働で対応するのか、あるいは
派遣で対応するのかという局面に
派遣を導入できるということであれば、無理な長時間
労働を
派遣労働者の方を入れることによってカバーできると。ただ、ここは有期雇用を取るという道も従来からあるという
意味では、どれほどのメリットかという議論はあろうかというふうに思います。
それからもう
一つは、
常用雇用との調和というか、こういった観点だろうと思います。これはもうそれぞれの局面局面でどうなるかということでありますが、我々としてはここのデメリットがとにかく生じないように、常用
労働者との調和という観点では、今回の法案でできるだけの手当てを講じたというふうに考えておるところであります。
それから、国にとってのメリットということでありますけれども、我々といたしましては、今回
派遣法の
改正をしたことで何が何でも
派遣労働者になってほしいと、こういうことを思っているわけでは全くないわけで、様々な求人求職の結合のための
一つの手法として
派遣がもっと使いやすいように、あるいは
派遣という働き方をもっと選択しやすいようにと、こういう観点で行っているわけでありまして、これによって求人求職のマッチングがより効率的あるいは迅速に行われる道が
一つできたろうということはあるんではないかというふうに思っております。
そんな
状況であります。