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2003-05-13 第156回国会 参議院 個人情報の保護に関する特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十五年五月十三日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
五月十二日
辞任
補欠選任
魚住裕一郎
君
山下
栄一
君 五月十三日
辞任
補欠選任
泉
信也
君
入澤
肇君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
尾辻
秀久
君 理 事 常田
享詳君
林 芳正君 若林 正俊君
岡崎トミ子
君 高橋 千秋君 荒木
清寛
君 宮本 岳志君 委 員 有馬 朗人君
入澤
肇君 狩野 安君 柏村
武昭
君 小林 温君
佐々木知子
君
世耕
弘成君
田村 公平君
西銘順志郎
君
野上浩太郎
君 保坂 三蔵君 森元 恒雄君
山下
英利君 大塚 耕平君
川橋
幸子君 高嶋 良充君 辻 泰弘君 内藤 正光君 藤原 正司君 松井 孝治君
山下
栄一
君 山本 保君
八田ひろ子
君 吉川 春子君 森 ゆうこ君 福島 瑞穂君
国務大臣
総務大臣
片山虎之助
君
国務大臣
細田
博之
君 副
大臣
内閣
府副
大臣
伊藤 達也君
総務
副
大臣
若松
謙維君
大臣政務官
内閣
府
大臣政務
官 大村 秀章君
事務局側
常任委員会専門
員
鴫谷
潤君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官
藤井
昭夫
君
内閣
府
情報公開
審査会事務局長
松村
雅生
君
警察庁刑事局長
栗本
英雄
君
警察庁警備局長
奥村萬壽雄
君
総務省行政管理
局長
松田
隆利
君
総務省自治行政
局長
畠中誠二郎
君
総務省総合通信
基盤局長
有冨寛一郎
君
総務省政策統括
官
大野
慎一
君
法務大臣官房審
議官
河村
博君
文部科学省初等
中等教育局長
矢野
重典
君
厚生労働大臣官
房統計情報部長
渡辺
泰男
君
厚生労働省医政
局長
篠崎
英夫
君
国土交通省自動
車交通局長
丸山
博君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
個人情報
の
保護
に関する
法律案
(
内閣提出
、衆
議院送付
) ○
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
独立行政法人等
の保有する
個人情報
の
保護
に関 する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
情報公開
・
個人情報保護審査会設置法案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する法
律等
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
尾辻秀久
1
○
委員長
(
尾辻秀久
君) ただいまから
個人情報
の
保護
に関する
特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨日、
魚住裕一郎
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
山下栄一
君が選任されました。 また、本日、
泉信也
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
入澤肇
君が選任されました。 ─────────────
尾辻秀久
2
○
委員長
(
尾辻秀久
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
独立行政法人等
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
情報公開
・
個人情報保護審査会設置法案
及び
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律等
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
の以上五案の
審査
のため、本日の
委員会
に
内閣官房内閣審議官藤井昭夫
君、
内閣
府
情報公開審査会事務局長松村雅生
君、
警察庁刑事局長栗本英雄
君、
警察庁警備局長奥村萬壽雄
君、
総務省行政管理局長松田隆利
君、
総務省自治行政局長畠中誠二郎
君、
総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎
君、
総務省政策統括官大野慎一
君、
法務大臣官房審議官河村博
君、
文部科学省初等中等教育局長矢野重典
君、
厚生労働大臣官房統計情報部長渡辺泰男
君、
厚生労働省医政局長篠崎英夫
君及び
国土交通省自動車交通局長丸山博
君を
政府参考人
として
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
尾辻秀久
3
○
委員長
(
尾辻秀久
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
尾辻秀久
4
○
委員長
(
尾辻秀久
君)
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
独立行政法人等
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
情報公開
・
個人情報保護審査会設置法案
及び
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律等
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
の以上五案を一括して議題といたします。 五案の
趣旨説明
は昨十二日に聴取しておりますので、これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言願います。
世耕弘成
5
○世
耕弘成君
おはようございます。
自由民主党
の
世耕弘成
でございます。 本日から、いよいよこの
参議院
の
委員会
でも
個人情報関連
五
法案
の
審議入り
になりました。私は、
先頭バッター
として
質問
に立たせていただくことになりました。約百四十分時間をいただいておりまして、私にとっては、これは全く未
体験ゾーン
でございまして、どうなることか、はらはらしながらやっていきたいと思うんですが、両
大臣
には、特に、たっぷり時間はございますので、じっくり思いのたけを述べていただければなというふうに思っている次第でございます。 さて、
衆議院
での
議論
、いろいろ
インターネット
で公開されている
議事録
なんかをずっと見させていただきました。あるいは
新聞記事等
に関しても、最近の
個人情報
の
報道
、非常に多くなっていまして、そういうのを全部私なりにレビューをしてみましたけれども、残念ながら、
個人情報保護
という
本質
のところからはちょっと離れた瑣末な
隘路
の
議論
が繰り返し繰り返し行われている、そういう印象を持ったわけでございます。カーナビがどうなるとか
携帯電話
に入っている
名簿
はどうするんだとか年賀状のソフトウエアはどうするんだとか、そういう話がああでもないこうでもないと繰り返されている。 これと同じようなことは、今から四年ぐらい前、
通信傍受法
の
議論
をしたときに同じようなことがありました。こんな形で傍受できるんじゃないか、こんなこともやれるんじゃないか、あるいはこういう問題があるから
意味
がないんじゃないかとか、ありとあらゆる、微に入り細をうがった、いろんな想像力豊かな想定が飛び出して、それでずっと
国会
の
議論
をやったわけでございます。
通信傍受法
、
施行
されましてからもう随分たつわけですけれども、そのとき
指摘
されたような問題が起こったという話は何もないわけでございまして、やはり今回、この
良識
の府である
参議院
で
個人情報保護法
の
議論
をしていくに当たりまして、もう一度、この
個人情報保護
の
原点
に戻って、余り瑣末な
隘路
に入ることなく、
個人情報保護
の
原点
に戻ってこの
法律
の
議論
をさせていただきたいなというふうに思っております。 今回、この
個人情報保護法
の
議論
をする
バック
になっていますのは、やはり急速に
社会
が
IT化
、
情報化
が進んでいるということでございます。
IT化
、
情報化
といってしまうと非常に分かりにくい、あいまいなんですけれども、私はもっと端的に言うと、
データベース
の
時代
が来たということだと思っております。いろいろな
情報
を今までは紙に書き留めていた、本にしていた、書棚に整理をしていた、ノートに書いていた、そういう
情報
がすべて電子的に
データベース
になって、今まで
人間
の力ではとても保存をしたり
検索
をしたり無理だったことが、
幾ら
でも縦横無尽にその
データベース
を使うことによって今までの
人間
の
管理能力
以上の
データ
を
管理
できる、そういう
データベース
の
時代
になったということが私は今の
環境変化
の
本質
だと思っております。 そういう中で、特に
企業
にとってはいろいろな商売の
データ
、あるいは
お客
さんの
データ
、特に
お客
さんの
個人
の
データ
をいかにうまく効率的に収集をして、そしてそれをいかにうまく
付加価値
を付けて
利用
をしていく、そういう
ビジネスモデル
をどう構築していくかというのが実は
企業
にとって
競争力
を決定付ける
時代
になってきていると思っています。 私は
政治家
もそうだと思っています。特に、
後援会
の
名簿
なんというのをただ単にはがきを積んで置いているような人は今恐らくほとんどいないと思います。
皆さん入力
をされていると思います。ただ、そこまでは一緒ですけれども、そこからやはりどう
付加価値
を付けるか。その人といつ会って握手をしてどういう話をしたとか、その人の
顔写真
が入っているとか、そういう
付加価値
が付いてくると
政治家
も選挙の上で
競争力
が高まる、そういう
時代
に私はなってきているんだと思っています。 そういう中で、
企業
は今膨大な数の
個人データ
を
蓄積
しています。私も以前勤務しておりました
NTT
、これもやはり六千万近い
個人
の、
電話番号
と
住所
だけではありません、
氏名
ももちろんですし、それに加えてもっと重要なのは、例えば月々の料金の
支払状況
だとか、どういう
サービス
を受けているとか、そういう膨大な
個人データ
を
蓄積
をしている。 これはもう、昔であればそういう
データ
を
蓄積
しているのは
NTT
だとか
電力会社
だとかだったわけですけれども、今は中小の
企業
も含めてそういう万
単位
あるいは十万、百万
単位
で
個人データ
を
蓄積
をしているという
状況
になっています。そして、その
個人データ
というのも単純な
氏名
、
住所
、年齢、そういったことからだんだんと趣味とか嗜好とか、あるいは
健康状態
とか、あるいは
資産状況
とか、あるいはほかにどういう
サービス
を受けているかというようないろんなことが
データベース化
されるようになったわけでございます。 そういう中で不気味なことも起こっています。
皆さん
恐らく
体験
があると思いますけれども、頼んでもいないのに、子供が入学の時期になるとランドセルだ、机だの、
ダイレクトメール
が届く、
成人式
を迎えるときになれば
晴れ着
の
広告
、
呉服屋
さんから
晴れ着
の
広告
が来て、
写真屋
さんから
写真
の
広告
が来てという形で、何でこんなようなの来たのかなというような
個人情報
の
利用
のされ方もしている、そういう
時代
になってきたわけでございます。 さらに、それに加えて、
民間セクター
だけではなくて、
行政
の方もこれから今大幅にこういう
データベース
を活用した
行政サービス
を展開していこうという
時代
になってまいりました。特に、
住民基本台帳法
が成立をしまして、全
国民
の
氏名等
の四
情報
がこれは
電子化
をされました。そしてさらに、これから恐らく各地方自治体がいろいろ知恵を出しながら
コンピューター
を使った
住民向け
の
サービス
、
データベース
を使った
サービス
というのをいろいろ種々提供していく
時代
になってまいりました。さらに、それに加えて、
企業
、そして
行政
だけではなくて、
医療
とか
教育
とか、そういった分野でも
データベース化
がこれからどんどんどんどん進んでいくだろう、いろいろ
規制
の壁も取り払われていくだろうというふうに思われています。 そして、そういう
企業
、
行政
、そしていろいろな
医療機関
、
教育機関
といった、そういう主体の
変化
に加えて、もう
一つ
大きな
変化
がやっぱり
ネットワーク
でございます。
情報通信
の
環境
が劇的にここへ来て
変化
をしております。
森内閣
の
IT基本
、
e—Japan基本戦略
に沿って
日本
は非常に今順調に
ブロードバンド
インターネット
の普及というのが着実に進んでおります。先日も、ITUの
評価
によれば、
日本
は
ブロードバンド
の価格、スピードの面で
世界段トツ
の
最高水準
にあるという
評価
が行われている。
ネットワーク
が非常に速くなってきた、非常に品質がよくなってきています。 また一方で、
パソコン
も大変な高
機能化
をしております。二十ギガ、三十ギガあるいは百ギガのハードディスクなんというのは、もう私がほんの五、六年前だと想像もできなかったような容量を持った
パソコン
なんというのができておりますし、また
処理速度
のCPUも物すごく速くなっています。私も約十万人の
後援会
の
データベース
を持っていますけれども、たった一枚の……(発言する者あり)ありがとうございます、MOという、こういう小さなディスクに入ってしまう。あるいは
コンピューター
にそれを入れて
検索
をすれば、何々町のだれだれさん、あるいは今年結婚をした人とか、そういう
検索
をすれば、さっと十万人の中から
データ
が出てくるというような
状況
になってきているわけでございます。 ただ単に、
個人
が
インターネット
やあるいは
データ処理
、
パソコン
が使いやすくなったというだけではなくて、更にいろんな
サービス
も出てきています。
ネットオークション
、
インターネット
上にいろんな
自分
の持っている
情報
だとかソフトだとかそういったものを掲示をして、
オークション
にかけてお金を稼ぐなんという手段もできています。あるいは掲示板という、いろんな人がたくさん見に来て、
自分
の
意見
を述べたり、
自分
の知っている
情報
を提示するような、そういう
メディア
も新たなものができてきています。 ということは、技術とか資金がなくても、決して
企業
や
行政
じゃなくても、たったの一
個人
であっても、大量の
個人データ
を販売をしたり、流通をさせたり、配布をしたりというのが可能な
時代
になってきている。そういう
変化
を
バック
に、今回、
個人情報保護法
というのが出てきたんじゃないかなというふうに思っています。 私、ただここで
一つ
申し上げておきたいのは、
ネット
というとイコール危険だという話になるんですけれども、私は決してそうではないと思います。
ネット
につながっていない
状況
でも危険なものは
幾ら
でもあります。金庫は破られることがあります。泥棒が入ることもあるわけでございます。
インターネット
は、そういう
意味
では同じレベルの危険を持っている。しかし一方で、
ネット
であるから逆に、犯罪が行われたり、そういうときにきっちりと
管理
さえしていれば、
防御
さえしていれば、日ごろからしっかりと気を付けておれば、実はセキュリティーの
管理
ができる。だれかが
データ
を持ち出したとしても、必ず何らかの足跡が残っている。それをちゃんと
管理
できるようにしておけば
防御
ができるというのが、私は
ネット
における
情報管理
ではないかなというふうに思っています。そういう中で、
法律
を作って
個人
の
情報
を
保護
しようというのが今回の
立法
だと私は思っています。 私は、この
法律
、余り
名前
が良くなかったなというふうに思っています。
個人情報保護法
という
名前
にしてあるんですが、私は
本質
は
データベース規制法
だと思っております。
データベース
を適切に守ってください、
保護
してくださいというのが
法律
だと思っています。 だから、本来、私は、今回のこの
法律
の
議論
というのは、
データベース
、じゃどういう
データベース
が重要なのか、
価値
があるのか、あるいは
個人
にとって心配なのかということをきちっと
議論
をしていって、その中から積み上げて、じゃこの
データベース
はしっかりこういう
方法
で守っていきましょう、こっちの
データベース
もこういう
方法
で守りましょう、これは余り守ってもしようがない、そんなに大きな実害はないなという
議論
をして
法律
を組み立てれば、もう少し
国民
に理解されたところもあったのではないかと、これは
個人
的に思っております。 しかし残念なことに、
個人情報保護法
、勝手に
マスコミ
によって
メディア規制法
というレッテルを張られてしまいました。そして、どの
データベース
が大切でどういうふうに守るかという
議論
とは全く違って、どの
メディア
を
規制
から外すかという、もう何か
ディスカウント競争
みたいなそういう
議論
になってしまって、それが主になってしまった。
新聞
や放送が
対象外
にされると、今度は
フリージャーナリスト
が、おれ
たち
も外してくれ、
著述業
が、いやそれだったら我々も外してくれ、あるいは
出版業界
は、私
たち
はどうなるんだと、何かこうバナナのたたき売りのようなそういう
議論
になってしまって、
本質
の
議論
がないのは本当に残念だと思っています。 特に、
国会
そして
マスコミ
というのは、
一つ
の
役割
に、やっぱり
国民
にしっかりと正しい
情報
を教えて
議論
を正しい方向へ導くというのが
一つ
の
役割
だと思っていますけれども、そういう
意味
で、今回の
国会
での
議論
とかあるいは
マスコミ
の
メディア規制キャンペーン
というのは、一種異常だった、残念だったというふうに思っています。 私は必ず、こういう
質問
に立つときには、
新聞
の過去の
データベース
をいろいろ
検索
して、いろいろな過去の識者の視点とかそういうのをうまく拾って、その中から
自分
の
質問
を組み立てていくことにしていますけれども、今回は、
個人情報保護法
で
新聞記事
を拾っても全く
価値
ある
情報
はないです、はっきり言って。もう瑣末な
議論
ばっかりで
本質
の
議論
はない。まだ
インターネット
のホームページで一般
検索
した方が、いろいろ中には、いい
学者
で、
個人情報保護法
、
問題点
を
指摘
しつつも、なかなか、なるほどな、
参考
になるなという
指摘
をしている
学者
の人なんかがおりました。非常にそういう
意味
で、今回、
国会
も
マスコミ
も十分に
役割
を果たしていないんじゃないかな、そんな思いもしているわけでございます。 ちょっと長く演説をいたしましたけれども、ここで
質問
をさせていただきたいと思いますが、そういう
経緯
の
個人情報保護法
でございますけれども、
政府
の側としてもう一度、
参議院
で、
良識
の
府参議院
で
議論
が始まるに当たりまして、この
個人情報保護法
を作成するに至った
経緯
、理由についてもう一度
原点
からしっかりと
お話
をいただきたいと思います。
細田博之
6
○
国務大臣
(
細田博之
君)
世耕議員
は、もう
議員
になられる前から
専門家
でいらっしゃいますし、また
議員
になられてからも、
自由民主党
の
e—Japan戦略
の
委員会
の大幹部として様々な御提言、具体的な
政策
を提案されておられますから釈迦に説法になると思います。 今御
指摘
のような様々な
経緯
、誠に同感するところも多いわけでございます。やはり近年、特にこの数年は、
我が国全般
にわたりまして
コンピューター
の
ネットワーク
の
利用
によります大量の
個人情報処理
の
時代
に入ってまいりました。しかも、それが
e—Japan
の
戦略
によりまして、
学校教育
から
高齢者教育
まで、あるいは
政府
における
手続等
の
電子化
、そして
個人
も
企業
も含めた取引における
電子化
、特許はその前から
電子化
が行われておりますが、あらゆるものを
規制緩和
をして、書面を
コンピューター
あるいは
ネットワーク
を通じてのものに変えてしまおうということで
法制
の
整備
を
衆参両院
におきまして次々に実現をしていただき、そういった流れの中で極めて多くの
個人情報
の
処理
というものが行われるようになっておるわけでございます。 そういった
状況
の中で、いったん
個人情報
について誤った扱いをされますと、
個人
にとっても取り返しの付かないような大きな被害を及ぼすおそれがあるわけでございます。また、実際に最近数年間で大きな問題となった
事件
が八十数件取り上げられておりますけれども、
個人情報
の
大量流出事件
、中には過失もありますが相当悪質な故意によるものもあるということで、その
売買等
が問題化しておるわけでございまして、また先ほど御
指摘
のように、いつの間にか
自分
のところに
ダイレクトメール
が来て、ちゃんと
住所等
も打ってあって、どこから一体この
情報
が流れたのであろうかという不安をもたらすような例も大変多くなっているわけでございまして、
社会
的な
個人情報取扱い
に関する
不安感
というものも広がっておるということから、新しい
法律
によりましてそういった
個人
の
権利利益
の侵害を未然に防止しようではないかということで
検討
が始まったわけでございますが、国際的にも、一九八〇年には
OECDガイドライン
において八原則が示され、
民間部門
を含めた
法制化
が進められてきておるわけでございます。 このような
状況
を踏まえまして、
我が国
におきましても、
平成
十一年の七月、約四年前でございますが、
個人情報保護検討部会
が設置され、
平成
十二年の一月には
個人情報保護法制化専門委員会
が設置されまして、有識者のいろいろな
意見
を集めまして
立法
の作業が進められ、約二年ほど前に
国会
に
法案
が
提出
されたわけでございます。若干、この二年という間に様々な御
審議
があって、今日まで相当時間を要しておるわけでございますが、その間にも日進月歩の発展がございまして、また
問題点
も増えてきておるわけでございます。 より良い
IT社会
を実現して、
国民
が安心して
IT社会
の便益が受けられるようにするための
制度的基盤
の
一つ
としてこの
個人情報
の適正な
取扱い
のルールを定めること、
個人情報
の
保護
のための仕組みを
整備
するということは必須の
事柄
であります。そういう必須の
事柄
であるということについては
野党
の各党におかれても十分御認識されて、
野党提案
というものも出されたわけでございますが、もちろん
政府案
、
野党案
、少しずついろいろな考え方の相違もあり、
衆議院
の方でも大分
議論
されたわけでございますが、今後とも、この問題、できるだけ早く御
審議
をいただきまして、そういった
社会
的な不安にもこたえられるような内容にして実行できますように心からお願いするものでございます。
世耕弘成
7
○世
耕弘成君
特に
国民
の不安にしっかりとこたえるという
意味
で、一日も早く
立法
したいということでございました。 その不安の原因となっているのがやはり
情報漏えい
でございます。最近、随分
新聞
などでも
報道
をされるようになっております。私が働いておりました
電気通信事業
の
世界
でも、かなり
電話番号
から
住所
、
氏名
を教えたとか、そういう
事件
も具体的に発生をしたことがございます。今、八十数件という
お話
もありましたけれども、もう一度、過去何件ぐらいの
事件
が発生しているのか、そしてトレンド、やはり最近になって
伸びてきているというようなことがあるのかどうかについてお伺い
をしたいと思います。
藤井昭夫
8
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君)
政府
といたしましても、非常に
新聞等
でこういう
個人情報
の
漏えい事件
あるいは
売買事件
といったものが
報道
されている、
社会
問題化しているというような
状況
を非常に関心を持って見ていたところでございますが、近年の件数の推移ということでございますが、例えば
平成
十二年には十九件、それから
平成
十三年年には若干へこんでおりまして十件、それから
平成
十四年には二十三件ということでございます。
報道
されている内容の事例なんかを見てみましても、私立大学校から入学願書請求者の
個人情報
が
インターネット
上で閲覧可能になったとか、あるいは証券会社から顧客
データ
、これは
氏名
、
住所
、
電話番号
、株式、債券の資産額等まで入っていたようでございますが、こういったものが
名簿
業者に大量に一万一千件ぐらい流出していたとか、非常に業界とかを問わず、こういう
事件
、事案が生じているという
状況
がうかがえると思っております。
世耕弘成
9
○世
耕弘成君
やはり増加傾向にあるようですし、また流れる
個人データ
の量もかなり増えてきているのではないかなというふうに思っております。しかも、
報道
などを見ておりますと、本当に余り人に知られたくないような
情報
、今の私立大学の話もありましたけれども、お見合い
情報
サービス
なんか、そこへ登録していること自体、人に知られるのは嫌なのに、このお見合い
情報
サービス
の案件では顔がどうかというようなことまで
データ
になって、Aランク、Bランク、Cランクというのが付いたやつが流れたというのもありました。あるいはエステティックサロンに行っている人の
情報
とか、あるいはもっと怖い話になるとやはりクレジットカードの
情報
、いろいろあると思います。 さて、これだけいろいろ
事件
が起こってきているわけですが、これ、実際に漏えいして明らかになった
事件
で、漏えいした組織とか
個人
というのは何らかの刑事処分を受けたんでしょうか。
藤井昭夫
10
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) ちょっと
新聞
報道
からでも、刑事
事件
にまで至ったかどうかについては、ちょっとそういうものは見当たりませんし、把握しておりません。 ただ、むしろ私どもの
法律案
というのは、先生御
指摘
のとおり、むしろ今まで
個人
データベース
の
データ
の
処理
については何らのルールがなかったわけでございます。こういったものに新たにルールを設けるということで、例えば安全
管理
義務であるとか、あるいは常に正確にするとか、あるいはしっかりと
個人情報
の適正な
取扱い
を守るとか、そういうような
法律
上の義務を新たに課すものということで、そういうルールを
整備
するという
意味
でも、是非成案のほどをお願いしたいと思っておるところでございます。
世耕弘成
11
○世
耕弘成君
ルールの
整備
については、今これからおいおい
議論
をしていきますけれども、少なくとも人の
情報
を、本当に知られたくない
情報
をそれをほかに流通させたり、それでお金をもうけても、残念ながら今、
日本
の法体系の中には直接的に処罰する
法律
がないわけでございます。 例えば私の知っている範囲では、先ほど申し上げた
電気通信事業
の
世界
で、例えば
電話番号
から顧客の
住所
、
名前
を教えるというような案件があった場合、
NTT
であれば
日本
電信電話株式会社法というのがありまして、それはみなし公務員ということで収賄罪がありますから、もし金品を受け取っておればその収賄罪で引っ張れる。だけれども、これ、
NTT
ドコモだったら駄目なんですね。そういう条項はありませんので、
NTT
ドコモの社員が
情報
を売っても直接的に処罰する
方法
がない。 あるいは、ほかにいろんな顧客
情報
を外へ流した人に関して、じゃ、窃盗という形で訴えられるかというと、残念ながら今の段階では、
情報
窃盗罪なんというものもなかなかございませんでしたので、例えば
NTT
のケースでは、以前、極左集団に所属する人が社員に潜り込んでおりまして、大量の
電話番号
、
氏名
、
住所
の
データベース
を持ち出したことがありました。これ結局検挙されたんですけれども、検挙された罪名は窃盗でございました。何の窃盗かというと、その
個人情報
を持ち出すに当たって紙をプリントアウトしているんですね。その紙の窃盗という形で検挙をしているという
状況
でございまして、
情報漏えい
ということに関して非常に
日本
はまだまだ体制が甘いということでございまして、そういう
意味
で今回の
法律
は直接的に刑事罰どうこうという
法律
ではありませんけれども、まずその入口としてこの
情報
の
管理
の徹底、これをやはり各
企業
なり機関にお願いをするということで、
国民
の不安にこたえていかなければいけない。これ一日も早くやはりこの
法律
は成立をさせねばいけないということを改めて思っている次第でございます。 さて、
情報化
あるいは
データベース
を
蓄積
して仕事を展開するというのは、これは何も
日本
だけの動きではありません。
世界
的な動きでございます。
世界
の主要国はこの
個人情報保護
に関してどういう法
整備
をこれまで行ってきているんでしょうか。お伺いしたいと思います。
細田博之
12
○
国務大臣
(
細田博之
君) OECDの加盟三十か国を調べておりますが、
民間部門
を包括的に対象とする
法制
が未
整備
である国は、
我が国
を含めて韓国、アメリカ、メキシコ、トルコの五か国のみとなっておるわけでございます。 国際的には
民間部門
を含めた
個人情報保護
に関する
法制化
は進んでおり、これらと整合性を保った国内
法制
の
整備
が急務となっているわけで、例えば公的部門、
民間部門
を対象として法
整備
をしておる国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリスでございます。公的部門と
民間部門
を分けて
規制
しておりますのはカナダということでございますので、国際的な潮流になっておると考えております。
世耕弘成
13
○世
耕弘成君
その国際的な潮流、グローバルスタンダードはアメリカンスタンダードだなどと言われたりする中で、なぜこれだけ国際的な動きがありながら、
世界
最先端のIT先進国と言われる、私は決してそうは思っていませんけれども、言われているアメリカがなぜ
個人情報
の
保護
に関して
法律
を作っていないのか。この辺の理由はお分かりでしょうか。
藤井昭夫
14
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) お答えいたします。 御
指摘
のとおり、アメリカにつきましては民間分野について包括的な
法律
というものがございませんで、むしろ個別に特定分野について
規制
するという形を取っているわけでございます。 なかなか
専門家
じゃないんでうまい分析はできないんですが、ただ、いろいろな論文等を拝見しておりますと、やはりアメリカというのは、元々は営業の自由、民間の自由な活動というものを非常に尊重するお国柄で、こういう問題についてもやっぱり民間事業者の自律的な規律というものを尊重すべきだという考え方が奥底にあるということが一点あろうかと思います。 それに加えて、元々プライバシーというのもアメリカは判例法で形成されてきたところでございます。言わば私
人間
の関係という問題については裁判所が果たしてきた
役割
というようなのは
日本
と比べては非常に高いと言われております。そういうような
事柄
があって、むしろこういう包括
法制
がなくても、アメリカ
政府
としては、十分な
民間部門
についての規律がアメリカ
社会
の基盤の中で確立し得るんではないかというようなことで、いろいろな努力をされているという結果かと思っております。
世耕弘成
15
○世
耕弘成君
私も私なりに調べてみたところでは、やはりこれはアメリカ独特の
立法
、司法の考え方に基づいているのかなというふうに思います。決してアメリカで
個人情報
の
保護
に関して野放しになっているわけではない。アメリカの場合は、やはり民間
企業
あるいは団体の自由な活動が保障される一方で、やっぱり裁判というのが非常に重くのし掛かってくる。
個人情報
をいい加減に扱っていて、それで顧客からもしそのことで訴えられた場合、私ちょっと、どういう裁判でどういう賠償金が出たかというのは、そこまではちょっと把握できなかったわけですけれども、そういうことになった場合は、当然想像されることは、アメリカの場合は非常に巨額の賠償金が請求される。やっぱりそういうところが非常に歯止めになって、アメリカの
企業
自体
個人情報
に関しては非常に慎重な扱いをしている、
法律
がなくてもしている、これはやはりアメリカの文化であろうと思います。
日本
は必ずしもアメリカのまねをする必要はなくて、やはり
日本
独特の、独自の法体系の在り方の中でやはり
個人情報保護
というのを考えていくべきであって、今回この
立法
をやはりやるというのは私は正しい流れであろうと思っております。 これだけOECDの中で、アメリカは特例としまして、ほとんどの国が
個人情報保護法
制というのを
整備
をしております。その中で、
情報
先進国の一角である
日本
が
個人情報保護
の
法律
がまだできていない、こういうことが何か具体的に
日本
がこれから国際の
情報
社会
の中で生きていくに当たって、あるいは
日本
企業
がビジネスを展開していくに当たって何か具体的なデメリットみたいなことが発生し得るんでしょうか。例えば、EUと
個人情報
を使うような商取引がやりにくくなるとか、そういう具体的な何かデメリットというのがこれ出てくることは想定されるんでしょうか。
藤井昭夫
16
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) EU諸国につきましては、これはよく知られている話ですが、
個人情報保護
に関してEU指令というのがございまして、そこの第二十五条で、EU加盟国に対してはEU域外の第三国の
個人情報
のレベル、これが十分でないという場合は
個人データ
の移転を行うことを限定することができるというような指令が出されているところでございます。 また、EUも各国に任せっきりにするだけじゃなしに、自ら十分なレベルの
個人情報
の
保護
措置が域外第三国が確保しているかどうかについて予見可能とするために、個別にEU
委員会
が適切性を判断するというような仕組みも設けられているところでございます。 当然、
我が国
においても、経済界は今後EUといろいろなグローバルの取引をする中で
個人データ
の移転というものも不可欠になろうかと思いますが、まだ具体的なEUとの交渉が始まったという話にはなっていないようでございますが、いずれにしても、やっぱりそういった問題についてEU諸国と
議論
していかなければいけないという
状況
になるんではないかと思っております。
世耕弘成
17
○世
耕弘成君
やはりその辺、OECDも国際的なガイドラインを示している件でもございますので、やはり早くこの
法律
を成立をさせていきたい、そのように思っております。 実は、前
国会
まで
提出
をされておりました
個人情報保護法
案は、残念ながら廃案となっております。今
国会
には修正をされた、これは与党の主導で修正をされたわけでございますけれども、その修正された新たな
法案
が
提出
をされているわけでございます。 ちょっとここで
議論
のたたき台とするために、今回、前の
法案
と今回
提出
されている
法案
、具体的にどういう修正が行われたのかについてお伺いしたいと思います。
細田博之
18
○
国務大臣
(
細田博之
君) 二年前の三月に
法案
を
政府
は
提出
しておるわけでございます。しかしながら、
提出
後直ちに、あるいは
提出
準備中からということでもございますが、本来のこの
法案
の趣旨は、先ほど
世耕議員
がおっしゃいましたように、こういった
コンピューター
、
インターネット
の
時代
において特に
データベース
をめぐって様々な
個人
の
権利利益
の侵害も起こっているから至急対応しなければならないということがその骨格であったわけでございますが、大きな問題提起が
報道
関係者、著述関係者等から起こりまして、これが表現の自由を侵しているのではないかという
指摘
を受け、そしてさらに
国会
審議
も
平成
十四年に入りまして二十時間余りやっていただいたわけでございますが、その点についての
衆議院
における言わば結論が出ないということになりまして、昨年十二月に与党から修正要綱を出すとともに、前の
法案
については廃案ということになったわけでございます。 そこで、その御
議論
を踏まえまして、表現の自由と
個人情報保護
の両立を図るとの旧
法案
の趣旨を一層明確にすることを基本として、次のような修正を施したわけでございます。第一に、旧
法案
で万人の努力義務として定めておりました五つの基本原則を削除したこと。第二に、
報道
機関等に
情報
を提供する
個人情報
取扱事業者についても、表現の自由を妨げることのないよう、主務
大臣
が関与しないことを明確にしたこと。第三に、
報道
の範囲が恣意的に判断されることがないよう、
報道
の定義を条文に明記したこと。第四に、
フリージャーナリスト
等の不安、懸念に配慮し、義務規定の適用除外となる
報道
機関に
個人
も含まれることを明確化したこと。第五に、著述を業として行う者についても、大量の
個人情報
を取り扱う可能性があるとの認識に立ち、これを義務規定の適用除外とすることを明記したこと。 以上が具体的な変更の内容でございます。
世耕弘成
19
○世
耕弘成君
私は、これ余り与党の一員として言うといかぬのですが、
個人
的には前の
法案
の方がずっと私は
個人情報保護
のあるべき姿だったと思っています。 前の
法案
は、大きく言うと二つの組合せになっていたわけですね。基本原則がまずあって、みんなこれを守ってください、ただし努力目標的なもの、そしてさらに
マスコミ
を除くいわゆる大量の
個人データ
を扱う
個人
、
個人情報
を扱う取扱事業者に対していろいろな義務を課している義務規定と、この二段構成になっていたわけでございますけれども、今回修正された
法案
では、その一方のみんなに求めていた努力目標の基本原則というのがほぼ完全に削除をされてしまったわけでございます。 前の
法案
をもう一度おさらいしますと、この事業者に対する義務というのは、これは
行政
の介入とか、あるいはそれにちゃんと従わない場合は何らかの処分というのが伴ってきたわけでございますけれども、その前提となる基本原則というのは、これは
皆さん
に自ら努力するべきルールとしてお願いをしていて、何か違反に対して
行政
から命令を与えたり罰則を与えたりというのは全くなかったんです。 この基本原則、今、
大臣
は五つの基本原則ということでさっと言われましたけれども、もう一度おさらいをしてみたいと思います。五つありました。
一つ
は、
利用
目的による制限。
個人情報
は、その
利用
の目的が明確にされるとともに、当該目的の達成に必要な範囲内で取り扱わなければいけない。二つ目、適正な取得。
個人情報
は、適法かつ適正な
方法
で取得されなければならない。三つ目、正確性の確保。
個人情報
は、その
利用
の目的の達成に必要な範囲内で正確かつ最新の内容に保たれなければならない。四つ目、安全性の確保。
個人情報
の
取扱い
に当たっては、漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全
管理
のために必要かつ適切な措置が講じられるように配慮されなければならない。そして五つ目、透明性の確保。
個人情報
の
取扱い
に当たっては、本人が適切に関与し得るよう配慮されなければならないと。 聞いていただいてのとおり、全く当たり前のこと、全く当たり前のことを、それも何の強制も伴わずに
個人情報
を扱っている人は当然守るべきこととして努力をしてくださいよというお願いをしていたのが前の
法律
の基本原則だと。しかも、この基本原則というのは、国際的にもOECDが決まったガイドラインを正にそのまま写し取ったような非常に立派な精神規定だったわけでございますけれども、これが削除されてしまったわけです。 もう一度お伺いしたいんですが、なぜこの基本原則が削除されることになったのか。こんな当たり前の基本原則を
法律
から削除することによって、この
個人情報保護
の精神というのが今回の修正された
法律
の中で後退していることにはならないのか、その辺を少し確認をさせていただきたいと思います。
細田博之
20
○
国務大臣
(
細田博之
君) 旧
法案
の基本原則を規定するに当たりましては、今、
世耕議員
の言われたような観点で案を作ったつもりでございまして、
国会
に
提出
をいたしたわけでございます。あくまでも
我が国
における
個人情報保護法
制を通ずる基本的原理を明らかにするとともに、すべての
個人情報
を取り扱う各人が自らの判断によりその適正な
取扱い
に努力すべきことを定めていたと理解しておるわけでございますが、その基本原則の中で、第四条から第八条、五つ原則が書いてございまして、その中で特に問題となりましたものをもう一度申し上げますと、第五条において「
個人情報
は、適法かつ適正な
方法
で取得されなければならない。」と書いてある点について、これが
報道
機関等を
規制
するものではないか、第八条において「
個人情報
の
取扱い
に当たっては、本人が適切に関与し得るよう配慮されなければならない。」ということについて、これは
報道
等に対する介入を許すものではないか、それから
国会
審議
の場においてもう
一つ
一部の
質問
者から
指摘
がございましたのは、これらの基本原則があると、何か実際の訴訟が起こったときにこれらのものが、規定が引用されて、あるいはこの精神が酌み取られて、何か
報道
に対して不利な
状況
が発生するのではないかということを懸念するような
質問
もございました。 そういった
経緯
もございまして、そのようなことを本来意図したものではなかったことも含めまして、与党三党の中におきまして御協議をいただいて、紛れのない形に修正しようという合意ができて、今回の
法案
提出
、再
提出
に至ったものでございます。
世耕弘成
21
○世
耕弘成君
五条の「
個人情報
は、適法かつ適正な
方法
で取得されなければならない。」、これも嫌だということは、違法かつ不適正な
方法
で
情報
を
日本
の
マスコミ
はしているのかなと思ってしまうわけですけれども、これは、この五項目というのはOECDが決めている国際的な非常に共通のガイドライン、決して、先ほどもヨーロッパ各国では入っているという話がありましたけれども、ヨーロッパで
個人情報保護法
制が入って
マスコミ
の論調が鈍ったなんていうことは、これは私は聞いたことがない。それよりも、イギリスなんかは非常に立派な、本当に
政府
を厳しく批判する
マスコミ
が存在するわけでして、こういうことを入れたからといって
マスコミ
規制
につながるというのは、非常に私は間違った
議論
ではないかなというふうに思っています。 今回、
法案
では、残念ながらこの基本原則、五つのものが削除されました。その代わりとして、この
法案
には、第三条「基本理念」なるものが追加をされました。こういう表現になっています。「
個人情報
は、
個人
の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な
取扱い
が図られなければならない。」。抽象的で分かりにくい、もう正に官僚の人が書いた文章だなという感じもするんですけれども、前の
法案
の五つの基本原則と、今回三条にうたわれているこの基本理念というのはどういう関係にあるんでしょうか。
細田博之
22
○
国務大臣
(
細田博之
君) 旧
法案
の基本原則は、
我が国
における
個人情報保護法
制を通ずる基本的原理を明らかにするとともに、すべての
個人情報
を取り扱う各人が自らの判断によりその適正な
取扱い
に努力すべきことを一般的に定めておったものでございます。新
法案
において規定した基本理念は、
個人情報保護法
制全体を通ずる基本的な理念、精神を表現したものであり、旧
法案
において万人に対する
個人情報
の
取扱い
についての努力義務を定めた基本原則とは異なる性格のものであるというふうに今考えておりまして、特に第四条から第八条における条文に関する誤解等もございましたので、あるいは様々な実質的な司法等への影響等を懸念する声もありましたので、その点を削除することにより明確化したと、そう考えておるわけでございます。
世耕弘成
23
○世
耕弘成君
ということで、少し後退がしたと、基本理念という形で。万人が対象ではないと、
個人情報
取扱事業者のみが対象であるということに後退をしてしまった。残念だなというふうに思います。 私、前
法案
で非常に
メディア
規制
メディア
規制
と言われましたけれども、私は、あの
法律
を果たして隅から隅まで読んだ人がそういうことを言っているのかなというふうに思いましたですね。非常に
報道
機関に対しては慎重な配慮が何重にも行われている。 例えば
報道
、もう基本的には基本原則の努力だけをお願いをして、
行政
介入は一切しない、義務規定あるいは主務
大臣
の監督というのは、これはもう全部適用対象除外となっています。また、
マスコミ
というのは必ず取材相手がいますから、じゃその取材相手に対して
個人情報保護法
を名目に何らかの
行政
介入があるかもしれないということで、それを防ぐという
意味
で、主務
大臣
に対しては表現の自由に対しては配慮しなければいけないということが明記されていて、
マスコミ
だけじゃなくて取材対象に対しても公権力が介入できないようにしてあったのが前の
法律
でございまして、私は、
報道
機関に対する配慮が非常に十二分だったのではないかなというふうに思っています。 ヨーロッパの主要国の
個人情報保護法
制を見ても、
報道
機関をもう完全にすべての規定から除外をしているような、そういう
法律
は見付かりません。基本的にはドイツでも、
報道
機関に対しては秘密保持とか技術的・組織的
保護
措置を取ってくれとか安全
管理
にかかわる損害賠償の規定、こういった規定は対象になっております。イギリスでも、安全
管理
義務とか規律違反にかかわる損害賠償、そういったことも対象になっています。フランスも、
データ処理
の責任とか要件、そういうのも対象になっています。そういう形で、ヨーロッパ各国でも非常に厳しいという、厳しくはないですけれども、やはり
マスコミ
に対しては一定の協力、
個人情報保護
に関して協力をするというような
法律
になっているんです。イギリスには立派な
マスコミ
ありますよ。エコノミストにしてもロンドン・タイムズにしてもそうです。フランスにだって非常に立派な
マスコミ
があって自由に言論を行使していて、この
法律
ができたからどうこうということは絶対起こっていないわけでして、何で
日本
だけこういう反応になってしまったのか、非常に残念だなというふうに思います。 今回の修正は、先ほどから
大臣
の御答弁の中にも何回もありますように、明らかに
報道
機関の反発、誤解があったと。誤解であればそれは解くのが筋でして、誤解があるから
法律
を変えるというのはどういうものかと思いますが、
報道
機関からの反発に配慮したということだと思いますけれども、前
法案
と今
法案
の間で
報道
機関の表現の自由に関して実質的にどういう差があるのか。私は前の
法案
でも十分
保護
されていたと思いますが、今回の
法案
でどういう
報道
機関の表現の自由に関して進展があったのか。あるいは今回、基本原則が外れたということで、
マスコミ
はもうこの基本原則は守らなくていいということで理解をしてよろしいのかどうか。
大臣
にお伺いをしたいと思います。
細田博之
24
○
国務大臣
(
細田博之
君) 若干、
報道
機関の誤解と申し上げましたのは、御心配というふうに変えたいと思いますけれども、非常に懸念の声が上がったというふうに思っておりますので、若干修正させていただきたいと思いますけれども。 しかしながら、
報道
分野の皆様方も、当然、
報道
の使命があり、そして憲法上の自由があり、その中で、かつ人権尊重の理念の下で
個人情報
は慎重に取り扱うべきことには変わりはないわけでございまして、これは他方、
個人
の権利、プライバシーの権利等々ですね、の大事な基本的人権でもございますので、したがいまして、その調和を図るためにも
法案
の第五十条第三項におきまして、
個人情報
の適正な
取扱い
を確保するための必要な措置を自ら講じ、かつ、公正に、いや、公表に努めるべきことを明記することによって、自主的な取組を期待しておるところでございます。
世耕弘成
25
○世
耕弘成君
今おっしゃったように、五十条で、これで
報道
機関を
個人情報
取扱事業者の適用
対象外
としてうたわれている一方で、同じ条の三項で、
報道
機関に対しても、
個人データ
の安全
管理
のために必要かつ適切な措置、
個人情報
の
取扱い
に関する苦情の
処理
その他
個人情報
の適正な
取扱い
を確保するために必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するように努めなければならないと、これは
マスコミ
もやらなければならないという形でうたっているわけでございます。 元々、今回、
法律
の修正は、先ほど
大臣
もおっしゃっていました、基本原則、もう当たり前のあの五原則を理由に裁判で訴えられちゃうかも分からない、そのことによって
マスコミ
の取材とか表現というのが鈍ってしまうかも分からないという懸念が一番
マスコミ
が言っていたわけですよね。だけれども、この五十条第三項で十分また訴訟になるんじゃないんですか、これ。全然訴訟の危険はこれなくなっていない。私がもし被害者であればやっぱりこの五十条三項を使って、安全
管理
のために適切な措置を取っていなかったじゃないか、苦情の
処理
をちゃんとやらなかったじゃないかといって訴える可能性はあると思うんですね。だとしたら、わざわざ修正しなくてもよかったんじゃないかと思うんですけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
藤井昭夫
26
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) ちょっと御
説明
いたします。 元々
メディア
側も一時、努力義務違反をもって訴えを提起できるのではないかというような主張もされていたことは事実だろうと思うんですが、ただ、努力義務違反をもって裁判所に訴えを提起しても、それが受け付けてはもらえてもまず却下されることは明らかでございまして、私どももいろいろ
学者
の方にお聞きしたんですけれども、努力義務違反をもって訴えを提起するというようなのは元々無理な話であるということであったわけです。ただ、むしろその後残っていたのは、
議論
として残っていたのは、別途プライバシー侵害なんかを原因として民法上の不法行為の損害賠償請求なんかの裁判がある場合、そういった別途の裁判の中でそういう適正な取得とかそういう努力義務を怠っていたということがその不法行為の裁判をする際の違法性の解釈原理になるんではないかというような御
議論
があったわけでございます。 特に、今申し上げましたような適正、適法な取得、努力義務とか、そういうような
議論
があったものですから、そういうことについての
メディア
側の不安、懸念が非常に高まっておられたということでございます。 一方、今回の五十条第三項は、あくまで自ら自主的に必要な措置を努力すべきというぐらいの話でございまして、ますます抽象度は高まっておるわけでございます。それがそういう別の裁判の、裁判官の言わば
個人
的な
自分
の物の考え方を構築される場合に、いろんな論理とか
参考
書を始めとしていろんな
法律
の実体規定なんかも当然原理にされるんだろうと思うんですが、その中で具体的にこういった抽象度の高いものがどういうふうに影響を与えるかというようなことについてはなかなか難しいところがあるんですが、ただ、ちょっと一般的にはこういう抽象度の高いものが解釈原理になるということはちょっと考えられないのじゃないのかなと思っております。
世耕弘成
27
○世
耕弘成君
変な答弁ですね。元々あった五原則も努力規定だから、それをベースに裁判になるような気はしないんだけれども、更にもっと抽象的にして、そのことによってより裁判の判断根拠にならないようにしたという答弁だったと思いますけれども。 そもそも、
社会
的存在として裁判に訴えられるのが嫌だというのはおかしな考え方ですよね。やっぱり、
社会
生活を行っている
個人
であり組織であり、
自分
の行ったことに関してやはり常に訴訟されるリスクはあるわけですよね。
マスコミ
だって自信があってしっかりと書いている、しっかりと
自分
で取材をして正しいと思って書いていることであれば、訴訟なんか堂々と受けて立てばいいわけですよ。 私は、これはもうだれとは言えませんけれども、いろんな現場で取材をされている若い記者さんに話を聞きました。大手
新聞
でもそうです、放送局もそうですけれども、
個人情報保護法
で本当にあなた方の取材活動に何か障害になるようなことがあるか。ないと言っています、全くないと。それよりも、彼らも言いました、
自分
たち
のやっぱり会社の経営者が面倒くさいんでしょうと。一々この
法律
を論拠に裁判をぼんぼんぼんぼん起こされたら、その対応が面倒くさい、コストが嫌だということだと思いますよというのが現場の記者さんの私は多くの反応だったわけでございまして、やはりそういうのはおかしい。やっぱり
報道
機関として自信を持って書いたことであればしっかりと、裁判に訴えられても、いや我々は間違っていないということで闘われればいいわけで、裁判に訴えられるかもしれないから反対するというのは、私はいかがなものかなというふうに思うわけでございます。 さて、今回の
法律
では、
法律
の一番の骨は、
個人情報
データベース
を事業の用に供している者を
個人情報
取扱事業者として、第四章で
個人情報
の
取扱い
に関するいろいろな義務を課しているというのが今回の
法律
の一番骨の部分でございます。 もう一度
原点
に今日は戻るという
意味
で、今まで
報道
とかいろんなことで混乱をしてきていますので、少しこの骨の部分の用語の定義について整理をちょっと
質疑
の中でさせていただきたいなと思います。 まず、ここで言う
個人情報
データベース
を構成する
個人情報
というのは何なんでしょうか。具体的に教えていただきたいと思います。
藤井昭夫
28
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) お答えいたします。
法律
の定義上は
法案
の第二条第一項にありますとおりでございますが、生存する
個人
に関する
情報
であって、当該
情報
に含まれる
氏名
、生年月日その他の記述等によって特定の
個人
を識別することができるもの、言わば識別可能性のある
個人情報
が
個人情報
ということであるわけでございますけれども、あえて申し上げますと、
個人
に関する
情報
というようなのは極めて広範なものがあると思います。
氏名
だけじゃなしに、ある人が何をやったとか、あるいはある人が色が白いかどうかとか、そういういろんなものがあるんですが、いずれにしても、この
法案
で対象にしようとしているのは、やっぱり識別性が、特定の
個人
が識別されるかどうかということをやっぱり
一つ
の大きなメルクマールとしているということでございます。
世耕弘成
29
○世
耕弘成君
衆議院
の
議論
でカーナビが話題になっていましたですね。カーナビというのは、私もいろんな種類、機械好きな方ですから使っていますけれども、
氏名
を何か一覧して、
氏名
を探すための道具ではないんですね。あれは、例えば
個人
の家を探す場合、
電話番号
が分かっている、
電話番号
を入力する、それだけでは大抵のカーナビはガードが掛かっています。
電話番号
を入力するだけでぱんと家が出ると、これはやっぱりいろんな
個人
の安全上まずいだろうという配慮をやっぱりメーカーはしているんですね。例えば、佐藤さんという人の家があって、そこの
電話番号
を知っているだけではその家は
検索
できないというのが普通のカーナビのやり方です。
電話番号
プラスその人の
名前
まで入れないと、名字があって初めて
住所
を教えてくれるというのがほとんど今のカーナビの取っている仕組みですけれども、こういうカーナビも対象になるんですか、
個人情報
の、カーナビに入っている
データ
。
藤井昭夫
30
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) これも
衆議院
で非常に御論議あったところでございますが、いろいろなスクリーニングが要ると思っております。
一つ
は、今御
説明
いたしました、まずカーナビに記録されている
情報
が特定可能な、いわゆる識別可能
情報
として入っているかどうか。それから、カーナビ等に入っているのは、これも言わば
データベース
と言っていいと思うんですが、体系的に構成されているかどうか。それからもう
一つ
は、そういった
個人
データベース
等を事業の用に供するということで
個人情報
取扱事業者になるかどうかという定義の要件に該当するのですが、この場合でも問題になるのは、まずカーナビ等、これを言わば私用に使っているような場合ですね、こういった場合はやっぱり事業の用に供するというふうには見ることはできないということで、私用の場合はまず
対象外
になるということであります。 加えて、これも
衆議院
で御論議になったところですが、第二条第三項第四号で政令で定める一定のものについては適用除外するということにしております。
一つ
は、やっぱり量ということで、従来の五千件程度という御
説明
をしていたところでございますが、加えて
利用
方法
というものでやはりすそ切りと申しますか、限定をするということを考えておりまして、今のところ、
国会
での御論議も踏まえまして、たとえ
住所
、
氏名
あるいは
電話番号
、そういった
情報
が記録されている
データベース
であっても、言わばほかの属性
情報
と結合することなくそのまま事業の用に供するという場合は
個人データ
の本人に対するその
権利利益
の侵害のおそれは少ないというようなことで、そういったものも適用除外とするという方向で今考えようとしているところでございます。 したがいまして、事業用にカーナビをお使いになる場合でも、通例の使用
方法
に従って、例えば配送業者であっても、配送のための車の運転にカーナビを
利用
するということがこの
法律
の対象にするという必要性はないというふうに考えておりますし、そういったものが政令で定める基準で適用
対象外
になるということで対応したいというふうに考えているところでございます。
世耕弘成
31
○世
耕弘成君
普通にカーナビ使っている限りは今回の
法律
の対象にはならないということだと思います。 じゃ、
個人情報
の集合体である
個人情報
データベース
、この定義はどういう定義なんでしょうか。電子的な
データベース
になっていなければいけないんでしょうか。例えば、手書きでたくさんいろんなものを持っている、例えば我々だって、
後援会
名簿
なんというのはまず手書きで集まるわけですけれども、そういう手書きの
住所
録なんというのは該当するんでしょうか。
藤井昭夫
32
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君)
個人
データベース
等としておりまして、その等の中には、いわゆるマニュアルファイルと言われるものであっても、体系的に
個人
名で
検索
可能なような状態で保有されている、こういったもので一定程度のものは、これは
個人
データベース
と基本的に何ら変わりませんので、そういったものは対象にするという考え方になっております。
世耕弘成
33
○世
耕弘成君
あと、恐らくどこの家にでも五十音別の電話帳というのがあると思うんですが、あれは
氏名
と
電話番号
、
住所
などが入っておるわけですけれども、あれ持っていると
個人情報
データベース
ということになるんでしょうか。
藤井昭夫
34
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 今の御
指摘
のケースは、電話帳の
利用
という行為が言わば
データベース
の
個人データ
の
取扱い
に該当するかどうかという、こういう私どもの見方になるんですが、これは先ほどの御
説明
の中にも申し上げたところでございますが、基本的に、
データベース
を私用のために使うとか、あるいはほかの
情報
と結合せずにそのまま仕事にお使いになっても、これは特段、本法として、
法制
として規律を加えなきゃいかぬような権利的侵害のおそれというものはないというふうに考えております。 いろいろ言いましたけれども、要は対象にはならないということでございます。
世耕弘成
35
○世
耕弘成君
もう
一つ
私がちょっと教えていただきたいのは、
インターネット
ですね。
インターネット
というのは、これはいろんな見方がありますけれども、これは
一つ
の私は
データベース
だと思っています。特にワールドワイドウェブで構成されているホームページ、その中には恐らく
個人
の
情報
もたくさん載っかっているものがあるわけでございまして、これは一種の
データベース
だと思いますが、いわゆる
インターネット
のホームページというのは、これは
個人情報
データベース
に当たるんでしょうか。
藤井昭夫
36
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 私どもの整理としましては、ホームページは、仮に
個人情報
が記録されている場合があるとしても、体系的に記録されているというふうには見られないということで、対象とはならないというふうに整理してございます。
世耕弘成
37
○世
耕弘成君
じゃ、例えばあと、ヤフーとかグーといういわゆる
検索
エンジンありますよね。あれなんかは、いろんな人、例えば私の
名前
を入れただけでも二千件ぐらいいろんなホームページ
情報
ヒットします。もう両
大臣
なんか入れたらもっとすごい数ヒットしてくるわけですけれども、こういうヤフーとかグーといった
インターネット
上の
検索
エンジンというのは、これは
個人情報
データベース
に合致するんでしょうか。
藤井昭夫
38
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 御
説明
申し上げます。
インターネット
で確かにキーワードを手掛かりとして
検索
、ホームページを
検索
するというような
検索
エンジンというのがあるわけですが、この
検索
エンジンにつきましても、
個人情報
としての索引が付されている
情報
を
検索
するということができるわけではないわけですので、
個人情報
によって体系的に整理されているというふうには認められないということで、これは結論は、
検索
エンジンは
対象外
でございます。
世耕弘成
39
○世
耕弘成君
ということは、
インターネット
でホームページを運用する人も、あるいはヤフーやグーという
検索
エンジンを使う人も、基本的にこの
個人情報保護法
というのはそんなに対象になるというような心配はないという理解でいいのかと思います。 あと、少し心配なのは、
個人
で、本当の私用だったらいいんですけれども、微妙なところで、同窓会とかサークルなんというのがありますですよね。例えば同窓会の人が
名簿
を使用して卒業生との連絡を取るなんという行為は、これは
個人情報
の
データベース
を活用している
個人情報
取扱事業者ということになるんでしょうか。
藤井昭夫
40
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 御
説明
申し上げます。 先生御
指摘
のとおり、実際に微妙な場合があろうかと思います。いずれにしましても、先ほど定義のところで御
説明
した、
個人情報
取扱事業者の定義の中の、事業の用に供するという、言わば概念の理解の問題かと思っておりますが、事業の用に供すると言えるためには、やっぱり
社会
通念として反復・継続的に事業として認められるものという必要がございます。同窓会の方が単に形式的、反復的にやっていても、あくまでも同窓会の互助会的な使われ方をしているような場合、こういったものについて
社会
的通念として事業というのはなかなか認め難い場合があるんじゃないかと思います。 逆に、一歩進んで、何か会館のようなものを造って、それで立派な言わば事業としてやっちゃおうというような場合もあろうかと思いますが、そういった場合にはやっぱり対象になってくることもあると思うんですが、ただ、基本的には、やっぱり同窓会としてやっている段におかれては、なかなか
社会
通念として事業として認められるというものでない場合の方が通例かと思っております。
世耕弘成
41
○世
耕弘成君
そういう
個人
、だからいわゆるもう
個人
の人とかはそんなに心配することはないということではないかなというふうに思っております。 あと、この
法律
では、先ほども御発言ありましたけれども、取り扱う
個人情報
の量及び
利用
方法
から見て
個人
の
権利利益
を害するおそれが少ないものを政令で指定して
個人情報
取扱事業者の
対象外
とするということになっているわけです。過去の答弁とかを見てみますと、この量の面は五千件というのを
一つ
のボーダーラインにしようということですけれども、これ五千件というのは何か合理的な理由があるんでしょうか。
藤井昭夫
42
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) この数値の基準というものは非常に難しいところがございまして、一人でも増えたら対象になって、一人でも足りなければ
対象外
になるのはおかしいじゃないかという
議論
もよく聞かれるんですが、なかなか数式的に明確な算定根拠というものは元々難しいたぐいの基準かなと思っております。 ただ、私ども五千件と申し上げている根拠は、
一つ
は、やっぱり
国民
の皆様方あるいは
国会
での御論議、そういった御判断を仰ぎたいという気持ちがあるからこそ、あらかじめは五千件という数字で出して、こういったところでいかがでしょうかというようなことで申し上げているんですが、全くただのつかみでやっているというわけではなしに、ちなみに
行政機関
の、現行の
行政機関
法制
なんかでは千件のすそ切りをやっております。 やっぱり、
民間部門
の場合はやっぱり千件よりは多くしないとちょっと負担の点で問題があると。また、負担ということになると、地域に根差した零細な商店なんかも今どんどん顧客
情報
というものを自宅の
パソコン
に入れておられると思うんですが、こういった方々もあるいは
社会
的な
規制
としてこういう
法律
で正面から対象にする必要性はやっぱり少ないんではないかというふうに考えていると。というようなことをもろもろ考えて、一応の目安としては五千件程度が適当ではないかなということで申し上げているところです。 ただ、いずれにいたしましても、これは政令で定めることになるわけですが、今後政令で定めるときには、当たっては
国会
での御論議を
参考
にいたしますし、あと、これ、この場合の政令というのは、当然事業者の
権利利益
にかかわる話ですからパブリックコメントをやっぱりやる必要はございます。そういうパブリックコメントの中で関係各方面の御
意見
、御要望、そういったものを承りながらも最終的には決めてまいる必要があると考えているところでございます。
世耕弘成
43
○世
耕弘成君
私も、中小の商店の顧客
データベース
まで対象にする必要は全くないと思っていますが、やっぱり五千の数字で片付けられないところはあると思っています。五千件よりも小さな規模であっても、例えば
個人
の開業医の持っているカルテ
データ
なんというのは恐らく五千件以下でしょうけれども、これは非常に重要な
個人情報
だと思います。あるいは小規模な金融業者が持っている顧客の
状況
ですとか、あるいは私立学校の生徒の成績
データ
、こんなもの五千を切るとしても非常に重要な
データ
だと思いますけれども、こういうものの
保護
についてはどういうふうにお考えでしょうか。
藤井昭夫
44
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) これも正に御
指摘
の側面があることは事実でございまして、であるからこそ実は別途個別分野で、
個人情報
の
取扱い
に伴って
権利利益
に深刻な支障が生じるような場合、こういった分野についてはやっぱり特別の
法制
上の措置を含めた施策を講ずるということを
政府
に義務付けているところでございます。 その場合のやっぱり典型例に、念頭あるのは今御
指摘
のような例でございまして、普通の顧客
名簿
であれば一応五千件と申し上げていますが、五千件程度でいいんですが、それ以外の、やっぱり一件でも非常に
権利利益
の深刻な支障がある、おそれがあるものがあり得るわけでございまして、そういったものについてはやっぱり個別により厳しい基準、あるいは運営でも構わないんですが、そういったことで対応していただく必要があるという考え方に立っているということでございます。
細田博之
45
○
国務大臣
(
細田博之
君) 今までのちょっと
議論
で若干私なりの整理をしてみたいと思うんですよ。
世耕議員
がおっしゃるように、厳密に
個人情報
取扱事業者、どこで線を引くかという
議論
が
衆議院
でもたくさんありました、カーナビはどうだ、
電話番号
はどうだと。しかし、実際は
政府
においてもそういうものを
規制
する必要はないと思っているわけですね、実際は。ただ、要件に当たる人はいるかもしれない。 しかし、本当に問題なのは、そういう
名簿
にしても何でも、
名簿
図書館、
データ
小売業というような人が出て、多重債務者の
名簿
が売られておったり、あるいは本来内輪の同窓会
名簿
五千名、卒業生
名簿
一万名の
名簿
が売られておったりして、それで困る人が、言わば権利を害されたかどうかということで
個人
が駆け込む、そのときに確かにおかしい、いよいよそこで何か
名簿
の売買が行われた、それを追い掛けるための
法律
なわけですね。 今までは、先ほどおっしゃったように、じゃ刑法で何かできないのかというと、財物に当たるかどうかの定義もあるから、刑法上も措置されていないけれども非常に
個人
に影響があるものですね、捕まえなきゃならないということでやられておりますので、したがって、若干どこかの定義にかすかすに入ったと、五千五名のあるいは一万名でもいいんですけれども、その
名簿
があって、それを
個人
的にちょっと人に見せたものをだれかが訴えて、あんたは五千名の
名簿
を人に見せたじゃないかと言って、それじゃそれから訴訟を形成していって、それを罰則に掛けたり、何か訂正、開示を求めたりということがあるかといえば、実際はないんですね。 そう言われてもそれほどの違法性はございませんということで、常識的な
処理
が行われるという前提でこの
法案
はやはりできておるわけでございますので、そういった中で、本当に今
社会
で問題になっているものについて野放しになっておる、これを何とか捕まえていこうということですから、一般常識的に見て、外で売られているソフトを使ってそれを商売に使っている人を捕まえて、これをどうしろとか、これを何か処罰するようになっているんじゃないか、主務
大臣
は何かひどいことをするのじゃないかと、そういうものではないんですね。一種の可罰的違法性的な考えもある。 私がこれを持って逃げると、刑法上は窃盗罪で懲役十年以下の懲役に処すと書いてあるんですけれども、そんなことにはならないんで、可罰的違法性はないから無罪でしょうし、起訴猶予でしょうし、返しなさいと言われて返すと、そういう場合が多いわけでございますが、そういう
行政
と刑罰とのはざまにあっていろいろ常識的な対応をすることが前提になっているわけですね。 したがいまして、その中において本当に大事なことは、個別
情報
であっても大事なものがあります。健康
情報
とか財産
情報
とか、さっきの多重債務者の
情報
が、いわゆる消費者金融同士では
情報公開
されているけれども、それが一般に流れて、それを何万円かで買って怪しい人がその人を脅かしたりすると、こういうことになってはなりませんので、それは厳に規定を発動してきちっと取り締まっていくための
法律
が必要だと。そういうことでございますので、この
法律
全体の趣旨を、先ほど
世耕議員
もそこまでは行かないだろうという常識論でおっしゃいましたけれども、その点の感覚は一緒のものでございますので、何とかの取扱業者に当たったり主務
大臣
がどこか分からないから何か
規制
が強化されるんじゃないかという
議論
は余り、今までやややり過ぎた嫌いもあるなという反省を、個々のケースはいろいろあるものですから、しつつ申し上げる次第でございます。
世耕弘成
46
○世
耕弘成君
全くおっしゃるとおりで、常識的にそして
個人情報保護
の
本質
で
議論
をしていかなきゃいかぬのだと思います。私も夕べずっと
インターネット
のホームページで
衆議院
の
議事録
を読み過ぎまして、少しちょっとそういう
隘路
に入っているところもあるのかなというふうに思うわけでございますが。 続きまして、今回、
法案
で、
報道
が適用除外になっていることについてちょっとお伺いをしていきたいと思います。 五十条、適用除外になっています。放送機関、
新聞
社、通信社その他の
報道
機関、
報道
を業として行う
個人
を含むが、
報道
の用に供する目的で
個人情報
を取り扱う場合は適用除外だという、
報道
機関、
報道
的なものは適用除外だということになっています。 実は、毎日
新聞
が
事件
を起こしました。といっても爆発の
事件
ではないんです。毎日
新聞
がかかわる
個人
情報漏えい
事件
というのがありました。
皆さん
、御記憶でしょうか。今年の二月にあったんです。余り御記憶じゃないと思うんですね。というのは、余り大きく
報道
されていないんです。字数でいいますと、毎日
新聞
が三百四十二字、朝日
新聞
が七百四十七字、読売
新聞
二百四十二字、産経
新聞
三百五十八字、日経
新聞
二百八字、東京
新聞
三百五十九字。非常に小さな扱いと。自民党がやっていたら絶対一面トップだったと思いますけれども、そういう
個人
情報漏えい
事件
があったんです。 これ朝日
新聞
が一番詳しく書いているんですが、ちょっとかいつまんで話しますと、毎日
新聞
の中部本社に寄せられた懸賞用の応募はがき約八キロ分が社外に流出、
インターネット
の競売に掛けられていたことが二月十五日分かった。はがきには応募者の
名前
や
住所
、年齢など
個人情報
が記されていた。切手収集家だった同社の元社員の自宅にあったもので、元社員の死後、長男が競売に掛けていたという
事件
でありました。やっぱり
報道
機関といえども、結構、これ
個人情報
、こういう形で扱っているんです、
報道
と関係のないものを。 私、これ決して毎日
新聞
をたたくつもりはありません。毎日
新聞
、立派な後日対応をされています。非常に大きな、二千五百字ぐらいを使われて、この
事件
がなぜ起こったのかということも分析をされていますし、そしてまたその中で、社内指針として
個人情報
について毎日
新聞
社は早くから
管理
の徹底に力を入れ、二〇〇〇年春には会社に寄せられたはがきなどの文書、
データベース
など
個人情報
が社内でどのような形で保有され、どのように取り扱われているかを把握する社内調査を全社的に行ったと。十分非常に立派な対応をされていて、前の
法案
の努力規定も十分クリアできると思うわけでございますけれども、毎日
新聞
はきっちり対応されているんです。 ただ、ここで
指摘
をしたいのは、
報道
機関といえども
報道
に関係しない
個人情報
は結構たくさん持っているんだということを御
指摘
したい。そしてまた、その漏えいの危険というのは、これはあるんだということでございまして、この
法律
の五十条二項で
報道
の定義をあえて行われている、私はそこにもそういう
意味
があるんじゃないかなというふうに思っていますが、この
報道
の定義について、意義はどのようにお考えでございましょうか。
細田博之
47
○
国務大臣
(
細田博之
君) 本
法案
におきましては、プライバシー等の
個人
の
権利利益
の
保護
と
報道
の自由を両立させるという観点から、
報道
機関の
報道
活動につきましては、主務
大臣
による勧告、命令などの公権力的な関与を伴う
個人情報
取扱事業者の義務を適用除外とする制度を設けているわけでございます。 このような適用除外を制度上確保するためには、
報道
という概念を用いて定義をすることが不可欠であったわけでございまして、旧
法案
に対する
国会
での御
議論
、関係方面からの御懸念等が多数示されたところでございますので、
報道
の趣旨をより明確にして判断の基準を客観化するために、一般に
報道
と考えられているものを
報道
の定義として
法律
上明確にしようという趣旨で書いてあるものでございます。
内閣
法制
局等とも相談をいたしまして、こういう規定を置いておるわけでございます。
世耕弘成
48
○世
耕弘成君
ですから、今回、
報道
の適用除外というのはあくまでも
報道
という明確に定義をされた行為に関するものであって、
報道
機関であれば何でも除外ではないということをここは明確にしておく必要があるなというふうに思っています。 さて、余り
隘路
には入りたくないんですが、先日、非常に面白い記事を見つけました。東京
新聞
に載っておりました「こうなる二〇XX年 近未来シミュレーション」といって、四つ、この
個人情報保護法
ができたらこんなことになりますという話、これは物すごい読み物として面白いので、是非後で
皆さん
読んでいただきたいと思いますけれども、四つの話が書いてあります。ちょっと
一つ
ずつ、これ読むと本当にそうかなと思っちゃうんで、これに関する
個人情報保護法
との関係を少し
政府
からお伺いしたいと思います。 まず
一つ
目、NGOの話題。これ本当にありそうな話で、シミュレーションで書いてある。 Aさんは会員四千五百人を誇る
環境
NGOのスタッフだと。その
環境
NGOが主催したシンポジウムに、会員以外に千人の人が来た。それで、
名簿
、五千五百人あるわけです。五千人以上ある。このAさんが、シンポジウムが終わった後、別の人権NGOのBさんがやってきて、いや非常に今日は良かった、あんたの動員力大したもんだなと、その
名簿
をちょっと貸してよと言って借りてしまった。これが
個人情報
の転用に当たるんじゃないか、
個人情報保護法
の適用対象になるんじゃないかということがまず
指摘
をされているんですが、これはどうでしょうか。
藤井昭夫
49
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 御
説明
申し上げます。 本
法案
の趣旨は、これは先ほど来何度も
大臣
からも御
説明
いただいたとおりでございますが、あくまでも
個人情報
がIT
処理
される、それに伴って
個人
の
権利利益
の侵害のおそれが増えると、それに対してどういう事前のルールで取り扱っていただくかというような観点から制度が作られているところでございます。そういう
意味
で、NGOであっても、IT
処理
をされているということであればその危険性は変わるものではないと考えております。 また、今例示されたようなケースでございますが、確かにNGOの方々側から見るとそういうような見方もできるのかもしれませんが、参加者の立場に立って見た場合、何か
自分
が参加していたNGOとは全く別の目的のNGOの活動に知らないままに使われるということになると、それは、その方の立場に立てば、やっぱり一定のルールに従っていただくべきではないかというふうに、考え方は理解され得るんではないかと思っております。 ただ、よくこの問題については、主務
大臣
の関与に対する懸念というのが示されるわけでございますが、これは何もNGOだけに限らないわけでございますけれども、あくまでこの
法案
は全体に各事業者の自主的な是正措置、規律を前提としておりまして、主務
大臣
が関与するのは、あくまでやっぱり、
社会
問題化して、何か重大な
個人
の
権利利益
侵害のおそれがあってそれが是正されないというような
状況
でなければ、一般的に国家公権力の行使というような形にはならないということでございますので、そういう御懸念も心配されることはないんではないかというふうに考えているところでございます。
世耕弘成
50
○世
耕弘成君
そうですね。NGOといえどもNGO間でそんな勝手に
名簿
のやり取りをされちゃ私も困ると思います。
環境
NGOに参加した人が必ずしも人権NGOに参加したいかどうかなんというのは、これは分からないわけでございまして、当然、罰するとか
行政
が指導するとかいう以前の、その精神の問題として、やっぱりこういう
名簿
は、
自分
のところへ来てくれた人の
名簿
は
自分
の目的にしか使わないということが非常に重要であって、この記事で何かそれが
規制
強化だみたいに書かれること自体少しおかしいなというふうに思います。 二つ目のケースは、これは病院の看護婦のCさんのケースなんですが、看護師ですね、看護師のCさんのケースなんですが、
医療
ミスが
自分
の病院であった、そのことを
マスコミ
に内部告発をしたいと思ったんだけれども、それを非常に心の通じ合った先輩の看護師に相談をしたら、やめておきなさいと、これはカルテは
個人情報
になるから
個人情報
の義務規定の違反になるというふうに言われて、涙をのんでこのCさんはあきらめたという話が出ているわけですけれども、これはいかがですか。
藤井昭夫
51
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 元々、これも従来からの御論議あったところですけれども、看護婦さんがいろいろの内部告発されるというような場合、こういうケースというのは当然従来からというか、今回、看護師さんにも守秘義務が課されたところでありますが、あるいは看護師さんとお医者さんとの雇用関係、そういった中で、あえて看護師さん自体看過し得ないという正義感に燃えたり、やっぱり
社会
的な必要性からそういうことをされる問題かと思っております。 元々
法律
で、今ちょっと
内閣
府の方で別途の制度は
検討
されているようでございますけれども、少なくとも従来の物の考え方からいったら、どちらかというと
法律
上の枠外の問題としてやられてきたことじゃないかと思っております。 ましてや、今回
個人情報保護法
では、
メディア
等に対する
情報
提供というのは、これはこれらも含めた、明確には主務
大臣
が関与しない、関与を禁止するというような義務規定も設けているところでございますので、何ら、この
法案
が
施行
されるということになったとしても、何らそういう問題での制約になるということはないというふうに考えているところでございます。
世耕弘成
52
○世
耕弘成君
そもそも看護師は、これ元々、助産師看護師法によって守秘義務というのは元々課されているわけですから、これは
個人情報保護
の
法律
の
議論
ではないということだと思います。 三つ目、これが面白いんです、政治活動。 保守政党の若手
衆議院
議員
Eさんは、金にきれいな
政策
通で知られる。この人、大学の同級生
たち
が勝手連的にE君を総理
大臣
にする会というのを作って、そして大学の同窓生
名簿
、これ十万人ぐらいある大学ですから大きな大学だと思いますが、十万人にせっせと
ダイレクトメール
を勝手連的に出してくれた。そしてそのとき、ある日、Eさんのところへその政党の幹部Fさんから電話が入った。E君、君の友人
たち
が
個人情報保護法
違反をしているといううわさを聞いたんだがねという電話が掛かってきた。Eさんは反論をした。政治団体が政治目的で
個人情報
を
利用
する場合はこの
法律
の適用対象とならないはずですが。F氏は電話の向こうで不気味な笑いをした。君の同期生
たち
は政治団体じゃないだろう。しまった、同期生は
保護
法から適用除外にならないんだと。F氏の言うとおり、同窓会の
名簿
の目的外
利用
と言われかねないということで、そしてさらに、このFさん、幹部のFさんは悪名高い金権
政治家
として知られて、政界浄化を訴えるこの若手のEさんの周辺を調べ上げて横やりを入れてきた。そして、そのFさんは、君の友人は一流
企業
で役員目前の人ばかりだね、彼らの将来をつぶしたくなかったら分かっているよねと言って、Eさんは政界浄化キャンペーンを手控えることになったという話なんですが、これはどうですか、
個人情報
。
藤井昭夫
53
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 本
法案
で適用除外となる政治団体というのは、要は組織的にかつ継続的に政治活動をやっておられるかどうかということに係るわけでございます。どうもこのケースの場合は政治活動を組織的かつ継続的にやっているというふうに実態があるというふうに見ることができると思いますので、一般的には義務規定から適用除外されるというふうに考えられるかと思っております。 また、仮に、組織的、継続的に実施していると認められない場合であっても、通例、このような例の場合は
個人情報
データベース
を事業の用に供しているというふうにも認められないんではないかということで、そういう
意味
からも、本
法案
の
対象外
になるのではないかと考えているところでございます。 また、これはどちらかというと念のための規定ということになろうかと思いますが、先ほども申し上げましたような、本
法案
の三十五条の第一項では、主務
大臣
が政治活動の自由を妨げてはならない旨を規定しているわけでございますが、これは
個人
であったって政治活動をしておれば妨げてはならないということになるわけでございますので、そういう面からも、公権力が言わば政治活動に不当な介入をするおそれがあるようなことは、これも何重にも枠をはめて制限しているというところでございます。
世耕弘成
54
○世
耕弘成君
そういうふうに、政治団体でなくてもこれは
個人情報保護法
の対象にはならないということでございます。 最後、四つ目、この記事は、
野党
の
皆さん
関係あると思いますが、労働組合の
名簿
を基に
政治家
への講演会への参加を呼び掛けた行為、これが
名簿
の
個人情報
の転用に当たるんではないかという
指摘
をしているわけですが、これはいかがでしょうか。
藤井昭夫
55
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) これも先ほどのNGOのケースに近い例かと思います。これも、まず組合員の立場に立っていただければ、やっぱり労働組合に保有されている
個人データ
というようなのは普通は労働組合活動のために使われるという前提で保有されているということでございますので、それが全く別の目的に使われるということであれば、やっぱりそれなりに手続的な合意等を取られて使われるべきであるし、さもなければやっぱり基本的には使わないということが合理的だというふうに御理解いただけるんではないかと思っております。 ただ、これも国家公権力との関係ということになりますと、こういった問題もやっぱり政治活動ということになりますと、主務
大臣
の関与というようなのが先ほどの三十五条第一項で制限されておりますので、あくまで自律的、自主的な問題として適正に対応していただくということになろうかと思っております。
世耕弘成
56
○世
耕弘成君
いろんな想像力を働かしたいろんなシミュレーション、これで、この記事が一番代表的ですけれども、ほかにもいろんなケースがあるわけですが、今御答弁にもあったように、また
細田
大臣
が先ほどおっしゃったように、やっぱり基本は
個人情報
をどういう精神で守っていくのかという、そこのやっぱり基本ですね、それをやっぱりしっかりさせているということだと思いますし、これから運用に当たっていただく
政府
、主務
大臣
もその精神を忘れずに取り組んでいただきたいなというふうに思います。 今回の
法案
の中で、非常に
野党
から問題視されているのが主務
大臣
の存在についてでございますが、私はやはり、いろいろな業法がある中で、主務
大臣
が存在をしてそれぞれの業界に指導をしていくという、これがある
意味
、アメリカが裁判で争うのと同じように、いいか悪いかは別にして、今の
日本
の
一つ
の慣習的な法体系なのかなというふうに思っています。 私は、逆にこの主務
大臣
に関して大変心配なのは、主務
大臣
が複数存在する、一人に決まっていないという中で、これ
国民
の側から見たときに非常に使い勝手が悪くなるんじゃないか、たらい回しとかが出てくるんじゃないか。これは、いやうちの
大臣
の管轄ではありません、うちは知りません、あっちへ聞いてみてくださいなんということで、
個人情報
を侵害されて、そして訴え出た人がたらい回しにされるようなケース、これは絶対に避けなければいけないと思っています。 私は、実は迷惑メール対策の
立法
に携わらしていただきましたけれども、あの
法律
では
総務大臣
が主務
大臣
、もう
一つ
、特定商取引を
規制
する
法律
では経済産業
大臣
が主務
大臣
ということで、迷惑メール対策は二人の主務
大臣
がいたわけですが、これは非常に経済産業省と
総務
省御努力をいただいて、
国民
から見たら窓口は一本だと、訴え出ればそれぞれ役所が判断をしてきちっとケアをしてくれるというやり方ができたわけでございますが、この
個人情報保護法
の運営に関して、
国民
からの問い合わせとか苦情とかの窓口の一本化が非常に重要だと思いますが、具体的に何かお考えはありますでしょうか。
細田博之
57
○
国務大臣
(
細田博之
君) 主務
大臣
が書かれておって、その間で積極的な権限争議のように、いやわしの所管だと、我が省の所管だ、いやこっちだというケースもありますし、逆に消極的権限争議といって、いやもう私のところは関係ない、こっちへ行くとこっちも関係ないというケース、両方あるんですね。 そういう場合に、長年の知恵で、例えば消費者相談などは、
国民
生活センターで受けているのは、もうどんな人でも来てくださいと。年間一万件ほどあるようでございますけれども、それを聞いてすぐ、これはもう何省へ行ってください、ここは何省へ行ってくださいというふうに、あるいは
自分
でこれまでの経験で明らかに分かるものもありますから直ちに答えるということが行われていますし、経済産業省でいうと、その
国民
生活センターから回ってくるものを含めて一万数千件、年間ありまして、窓口があって、そこで受け付ける。明らかに
自分
の所管でないと思うもので、何省の所管である、農林水産省のどこへ行ってもらうことがいいということの場合にはそちらへすぐ連絡をするというような体制を取っておるわけでございます。 したがって、こういった
行政
に主務官庁となるべき官庁は非常に慣れておりますので、私はその懸念には及ばないというふうに思っておりますし、それから両方が、いやわしの、私のところのものであるというのが一番厄介ですが、そういう場合は、これまではそういう争いがあれば両方で対応すると。片っ方で対応するときはすぐ直ちに関係省に連絡するというようなルールができておるケースもあるわけでございますので、そういうことをやらなきゃいけない。そして、両方で断るような場合は、
内閣
総理
大臣
がそれを決める権限も決めておりますので、法三十六条三項に各主務
大臣
は相互に緊密に連絡し、協力しなければならない。あるいは、
政府
における基本方針を策定する等々規定しておりますので、私は運用上大きな問題は起こらずに円滑に進められるのではないかと思いますし、そういった体制を私どもも推進してまいりたいと思っております。
世耕弘成
58
○世
耕弘成君
是非とも
国民
が便利に使える
法律
として、窓口分かりやすいように一本化、是非やっていただきたいと思います。 さて、この
法律
の二十三条で、
個人情報
取扱事業者はあらかじめ本人の同意を得ないで
個人データ
を第三者に提供してはならないという条文があります。これを少し心配している人
たち
がいらっしゃいます。何種類かいらっしゃるんですが、まず
一つ
は、
インターネット
の掲示板なんかを運営している人
たち
ですね。 この二十三条の規定を例えば
政治家
が濫用をして、
個人情報
取扱事業者としてこういう掲示板やホームページの運営者に対して、
自分
に関する
情報
の削除要求、私は同意していないよと言ってきて削除要求を乱発するのではないかという懸念が表明をされているわけでございます。
インターネット
の掲示板で
政治家
とか
企業
のスキャンダルの書き込みが行いにくくなるんじゃないか、あるいはそういう書き込みを中心としている掲示板というのが廃止に追い込まれるんじゃないかという
指摘
があるわけですが、どういうふうにお考えになるでしょうか。 私は、三十五条で主務
大臣
に対して、表現の自由を妨げてはならないということが明記されているわけですから、
インターネット
の掲示板の書き込みというのは正にこれ表現そのものでございますから、これが一義的に
規制
されることはないとは思うんですけれども、いかがでしょうか。
藤井昭夫
59
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 正に御
指摘
のとおり、最終的には三十五条が利く場合もあろうかと思いますが、ただその前に、これも先ほどのホームページのところで御
説明
したところでもあるんですけれども、確かに掲示板に
個人情報
が含まれる場合もあるんですが、これが体系的に電子計算機を用いて
検索
できるように構成されている、いわゆる
個人
データベース
に該当するかどうかという、そこのスクリーニングがございまして、もうこういう掲示板の場合はそもそも
データベース
等には該当しないんだということになりますと、もう本法上のむしろ問題ではないということになるということかと思っております。
世耕弘成
60
○世
耕弘成君
そもそも、だから掲示板は、もう先ほどの、前の答弁にもありましたけれども、
データベース
に当たらないんだから対象にならないということですし、もし当たるとしても、
政治家
は公人の最たるものでして、プライバシーの権利というのはこれはもう大幅に
法律
上、
法律
の解釈上制限をされているわけでございまして、特に批評や批判に対しては法的な措置は取れないというのが、これが私は基本原則だと思っています。よほどひどい誹謗中傷じゃない限り、事実無根じゃない限りは中止をできない。 私、今回、両
大臣
のことを
検索
してみました、
インターネット
の掲示板にどういうふうに書かれているか。
細田
大臣
は余りなかったですけれども、片山
大臣
は相当ひどいことを一杯書かれていましたが、余りここでどういう内容、
一つ
言うと、
パソコン
の画面をタッチパネルと間違って押し続けたなんてことが書かれていたり、ほかにもいろんな話がありましたけれども、そういうことが書かれても、これはやっぱり
政治家
というのは、それは甘んじて批判として受けなければいけない。 逆に、
政治家
や
企業
に対して、これ事実無根の誹謗中傷、明らかに事実無根のものが行われた場合は、これは
個人情報保護法
の以前の問題として名誉毀損とか、あるいは去年
立法
されましたプロバイダー制限責任法というものがありまして、それによって対処することが私は可能であると考えるわけでございますが、このプロバイダー責任法というのは去年成立しました。 これは、要するに、変な書き込みをされたと。これ、
自分
の明らかに誹謗中傷だということに関して、これだれが書き込んだのかというのをプロバイダーさん教えてくださいと言うことができるようにした
法律
でございますけれども、この
法律
が
施行
されて以降、
政治家
や
企業
経営者といったいわゆる公人が、この
インターネット
の書き込みに対処するためにこの
法律
を使ったというケースはあるんでしょうか。
有冨寛一郎
61
○
政府参考人
(
有冨寛一郎
君) 個別の訴訟内容につきまして網羅的に把握をするということは極めて困難でございますけれども、
報道
等で承知している限り、
政治家
を含めた公人から発信者
情報
開示請求の訴訟等が提起されたという例は把握をしてございません。 ただ、今までこの
法律
に関しまして、発信者
情報
を開示をするという請求の訴訟がございますが、二つの例がございまして、これは法人が原告となって訴訟を提起しているものでございますが、内容的に言いますと、
一つ
は、病院を経営する
医療
法人が電子掲示板上に誹謗中傷の書き込みをされて名誉を毀損された。プロバイダーに対しまして、当該書き込みをした発信者の
情報
の開示を求めたというようなことが一件。それからもう
一つ
は、運送業を営む法人が電子掲示板上で同様の名誉毀損をされたとして、プロバイダーに対しまして発信者
情報
の開示を求めたというのがもう一件。この二件でございまして、片方は開示を認める、片方は開示を認めない、こういう例がございます。
世耕弘成
62
○世
耕弘成君
これは、ですから、もう名誉というよりも、具体的に営業をやる上で大きな障害となるような書き込みが行われたケースでこういうのが使われているわけでして、
政治家
とか公人というのは、私も調べた範囲ではだれも使った人はおりません。やっぱり我々は、こういう商売をしている以上は、
インターネット
やそういったところで批判にさらされているという覚悟はしてやっているわけでございますから、こういう懸念もないのかなというふうに思っております。 もう
一つ
、心配している人
たち
がいます。金融業界です。 クレジットカードの業界にしても、あるいはサラ金の業界にしても、やはりそれぞれの会社でのお金の借りている
状況
、その返済の
状況
というのをみんな持ち寄って
ネットワーク
化した一種の信用
情報
ネット
のようなものを形成をされているわけなんですけれども、こういう信用
情報
ネット
に
データ
を提供するという行為自体はこの二十三条で言う第三者提供に当たるんでしょうか。
藤井昭夫
63
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) これもちょっと二つぐらいのケースがあるわけですが、
一つ
は、
政府案
第二十三条第四項第三号というのがございまして、これは言わばグループを通じて総合的な
サービス
を提供する場合を念頭に置いているんですが、やっぱりそのグループ全体として一人の当事者と見ることができるような場合には、一定の要件を満たすことを条件に、
個人情報
のグループ内での共同
利用
というものを認める制度になっております。 ただ、具体的な条件というのは、正に一人の当事者と見ることができるような場合というようなことが言えるような要件でございまして、例えばグループ全体としてどのような目的で、どの範囲の
企業
間で共同
利用
をされるか、あるいは通知又は本人が容易に知り得るような状態に置くべき旨の、等については、本人に容易に知り得るような状態に置くべきという規定がございまして、その要件に該当する場合には第三者に該当しないということにされているわけでございます。 ただ一方、この二十三条の本則、これは第三者提供をする場合は原則本人同意を求めておるわけですが、そういう信用機関の方々も、選択としてはより厳しい二十三条一項による同意によるやり方を取られることも可能であるわけでございます。 信用
情報
ネット
については、いろいろなケースがあるかもしれませんが、いずれにしても、選択肢としては双方のケースが可能なわけでございますが、共同
利用
方式でやられる場合は、これは第三者に該当しないということになるということでございます。
世耕弘成
64
○世
耕弘成君
その共同
利用
方式は第三者には当たらないということですが、この第三者が増える場合はどうですか。元々了解を取っていたところに、例えば信用
情報
ネット
に新たな同業者の会員
企業
が増えた場合、あるいは逆にちょっと違った別の金融
サービス
の信用
情報
ネット
と相互接続をするようなことになった場合、これはどうなんでしょうか、本人の同意を改めて取る必要があるんでしょうか。
藤井昭夫
65
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 基本的には、
利用
者の範囲が増えるということは本人との関係でやっぱり重要な事項の変更になるというふうに考えております。したがって、そういう場合はやっぱり改めて本人の同意を得るということは原則でございます。 ただ、いろいろな参加の
企業
の要件の定め方でして、普通の人が、そういう要件であればどういう事業者が入るかということが普通分かるというような場合は、その範囲内であれば、それは個別に同意を取る必要はないということが言えると思っております。
世耕弘成
66
○世
耕弘成君
今の御答弁だと、同一の業種であれば、同じ、同業の会員が増えるのであればいいけれども、少し違った分野の金融
サービス
の
情報
ネット
との接続はやはり同意を得る必要があるという理解でよろしいですか。
藤井昭夫
67
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 結論としてはそういうことなんですが、要は、先ほど、だれもが知り得るような状態にしておくその
情報
の内容として、参加
企業
が明確な形で書かれているかどうかということによるかと思っております。
世耕弘成
68
○世
耕弘成君
特に今、金融業界は大きな
変化
がありまして、今までの、銀行があって、サラ金があって、クレジット業界があってというところからかなり新たな金融の形態も出てきているわけでございまして、単に同業の会員が増えるだけの対処では非常に難しくなっていくんじゃないか。 特に信用
情報
ネット
は、当然
個人情報
を扱っているわけですが、これは非常にいい
意味
で扱っているわけですよね、多重債務者を増やさないと。もうほかで借りている人になるべく借りている
状況
を把握して無理な貸出しをしないというのが
一つ
の目的でございまして、この辺を是非、今後ひとつ
検討
課題として、少し信用
情報
ネット
、新たに別の業界とつなぐに当たって全部同意を取るというのは、これは物理的に不可能だと思います。そうすると、つなげないということになりまして、これはやはり多重債務者を作らないというこの
政策
に反していくんじゃないかと思うわけでして、先ほどの御答弁でも、金融の分野は個別法でこれから
検討
していくということをおっしゃっていましたけれども、是非その中に信用
情報
ネット
同士の接続というのもひとつテーマとして
検討
をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
藤井昭夫
69
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) これも前から
大臣
にも御答弁していただいているところですが、信用
情報
なんかについては、今の一般法としての規律で十分でないところ、そういったものがあれば、やっぱり
法制
上の措置も含めて
検討
していただくということが必要あろうかと考えております。
世耕弘成
70
○世
耕弘成君
了解しました。是非
議論
を深めていただきたいと思います。 さて、済みません、片山
大臣
、来ていただいているのにお待たせしまして。もう
一つ
の、
行政機関
の保有する
個人情報保護法
でございますけれども、これは、国家公務員法でもう既に守秘義務というのは、これは規定があるんですね。私は、今回改めてなぜ公務員に対して罰則を求めたかというのが、そこがよく分からないんですけれども、その理由をお伺いしたいと思います。
片山虎之助
71
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 前の
国会
で前の
法律
についての御
審議
を
衆議院
でいただいたんですが、その際、私どもは重ねて言っておったんですね。今の国家公務員法には守秘義務違反について罰則がある、それから、刑法には職権濫用罪だとか公文書毀棄罪がある、こういうものをうまく使って、さらには懲戒処分の規定がありますから、それをやれば対応できるんだということを申し上げたんです。 ただ、
野党
の方を中心に、それじゃ不十分だと、こういう
お話
がありましたので、やっぱり罰則を掛ける以上、構成要件がしっかりせにゃいかぬし、それによる具体の
権利利益
の侵害がなきゃいかぬ。そういうことがきちっと明定できるんならそれは
一つ
の
方法
でしょうと。 しかし、我々は、新たな罰則はなくても十分やっていけると、こういうことを何度もお答えしたんですけれども、
国会
では、民に厳しく官に甘い、それは実際違うんですけれどもね。官に厳しく民に甘いんだけれども、特に罰則のところはね。だけど、そういう御
議論
があるし、内外のいろんな
議論
がありますので、そこまで
皆さん
言われるんなら、それによって
国民
の信頼が更に高まるんならそれは
検討
してもいいと。また、与党三党も同じような修正要綱を作られましたので、それを取り入れて今回の罰則条文追加になったわけでございます。
世耕弘成
72
○世
耕弘成君
元々、今回
個人情報保護
の
議論
が始まった
原点
は、やっぱり住民基本台帳
ネット
、これと密接に関連をしているわけでございます、小渕
内閣
の
時代
までさかのぼるわけですが。この住基
ネット
、いよいよ開始が近づいておりますけれども、各地方自治体のセキュリティー対策に関していろいろと心配の声が出ております。 私は、
総務
省の取組は決して緩いとは思っていないんですけれども、やっぱりセキュリティというのは現場で気持ちが引き締まっていないと、漏れがあると、一か所でも穴が空くと大変なことになる。私自身、町村の役場を見ていて、完璧にできるのかなというのは正直言って不安なところもあるわけでございますが、各地方自治体、特に小規模の自治体のセキュリティー対策というのは、これは大丈夫でしょうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
畠中誠二郎
73
○
政府参考人
(
畠中誠二郎
君) お答えいたします。 住民基本台帳
ネットワーク
システムにおけるセキュリティー対策のお尋ねでございますが、
保護
制度面それから技術面、それから運用面、いずれの面においても十分な
保護
対策を講じているところでございます。 まず、
保護
制度面でございますが、もうこれは御案内のとおり、保有する
情報
を本人確認
情報
に限定しておる。本人確認
情報
と申しますと四
情報
ですね、
氏名
、
住所
、性別、生年月日と住民票コード、これらの変更
情報
に限定し、それ以外は保有してはいかぬ。それから、本人確認
情報
の提供を受ける機関の範囲や
利用
目的を限定しておるということですね。現在、
法律
で二百六十四機関に限定しておるということ。それから、目的外の
利用
を禁止しております。本人確認等の以外には
利用
してはいかぬということでございます。 それから、システム操作者、先ほど守秘義務の御
質問
がございましたが、市区町村、都道府県、それから指定
情報
処理
機関と本人確認
情報
の提供を受けた
行政機関
のシステム操作者に守秘義務を課しておりまして、刑罰を加重しております。 それから技術面では、システム全体の統一ソフトウエアを導入するとか、それからセキュリティー基準を定めまして専用回線を
利用
するとか、
データ
を暗号化するとか、操作者用のICカードによって操作者を確認するとかということで、関係機関、市区町村、都道府県、指定
情報
処理
機関すべてが均質にセキュリティー対策を実施できる体制を
整備
しているところでございます。 それから運用面でございますが、万一の場合の緊急時の対応計画を地方公共団体と指定
情報
処理
機関において作成していただいておるほか、職員向けの研修会を全国的に実施する等の措置を講じているところでございます。 それから、今、
世耕
先生心配だと、こうおっしゃっておられましたが、先般、全地方公共団体を対象としたセキュリティーチェックリストというのを全地方公共団体に配りまして、こういう措置を講じているかどうかということを点検していただいております。それから、一部の団体を対象としました監査法人によるシステム運営監査も実施しております。 今後、こういうセキュリティーチェックリストの結果、それからこのシステム監査の結果、システム運営監査の結果に基づきまして、八月の住基
ネット
の第二次稼働に向けてセキュリティー対策の更なる強化に取り組んでまいる所存でございます。
世耕弘成
74
○世
耕弘成君
是非、私は、一番最後にお答えのあったセキュリティーの運用の面で非常に心配をしておりますので、このセキュリティーチェックとかシステム監査、徹底していただきたい。特に、セキュリティーチェックで駄目なところがあったらもう住基
ネット
からすぐ外すというぐらいの厳しい対処をしていただきたいと思っております。 私は、今
情報
セキュリティー監査ということについて少し勉強しておりまして、やっぱりこれから、これ単に役所だけではなくて民間
企業
でも、なかなかこれだけシステムが大きくなってくると、
自分
のところのシステムが本当に安全かどうかというのを
自分
のところの社員や職員だけで完全に把握し切るというのは非常に難しい
時代
に来ていると思っています。やはりこの
情報
セキュリティー監査の仕組みというのをこれからしっかり作っていかなきゃいけないし、恐らくこれからそういう
専門家
もビジネスとして、業として出てくるんじゃないかなというふうに思っています。 経済産業省が、
情報
セキュリティ監査研究会というのがありまして、これが三月に報告書をまとめられました。非常にこれよくできた報告書で、私も全体的に目を通しましたけれども、こういうことをチェックすべきじゃないかというのが非常に細かく、よくできた報告書になっています。 私は、こういうのがこれから
一つ
の
情報
セキュリティー監査の基準になっていくんじゃないかなというふうに思うんですが、私は、少なくとも近い将来、これだけ住基
ネット
も入ってくる、いろいろな
情報
サービス
を特に公的セクターが行っていく中で、こういう国とか県、市、都道府県、市町村、こういう公的セクターにおいて
情報
セキュリティー監査をある一定の基準のものをみんな一緒に受けるということを義務付けていく必要があるんじゃないか、そういう
立法
をしてみてもいいんじゃないかと思いますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
片山虎之助
75
○
国務大臣
(
片山虎之助
君)
世耕
委員
言われるとおり、その研究書、私は目を通しておりませんけれども、勉強させていただきまして、今言われた方向にどういう形で進んでいくのかということがありますし、先ほども言われましたように住基
ネット
は二次稼働ですから、やっぱり万全を期していきたいと思いますので、総合的にいろいろ
検討
させていただきます。
世耕弘成
76
○世
耕弘成君
是非この
情報
セキュリティー監査ということを、
大臣
も是非この報告書、要約もありますから読んでいただいて、いや、非常にいいこと書いてあるんです。これ素人の人が読んでも、ああなるほどなと、パスワードの
管理
というのはこういうふうにやるんだなと、毎週変えなさいよとか、何かだれかに見られたような痕跡があったらすぐ変えろとか、なかなか細かくいいことが書いてありますので是非見ていただきたいなということをお願いを申し上げたいと思います。
個人情報保護法
、これから
議論
が本格化していくわけでございますが、冒頭申し上げましたとおり、我々は
良識
の府でございますから、余り細目に突っ込むことなく、やはり基本的にどうやって人々が心配している
個人情報
を
保護
するかという
議論
に徹していきたいという決意を申し上げまして、少し時間が余りましたが私の
質疑
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
尾辻秀久
77
○
委員長
(
尾辻秀久
君) 午前の
質疑
はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ─────・───── 午後一時開会
尾辻秀久
78
○
委員長
(
尾辻秀久
君) ただいまから
個人情報
の
保護
に関する
特別委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
独立行政法人等
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律案
、
情報公開
・
個人情報保護審査会設置法案
及び
行政機関
の保有する
個人情報
の
保護
に関する
法律等
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
の以上五案を一括して議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
内藤正光
79
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。 私も二時間時間をいただきまして
質問
さしていただきますが、
衆議院
での
審議
、それはそれで
意味
があったわけでございますが、私はちょっと違った角度からこの二時間
審議
を展開をさしていただきたいと思います。 そして、その前に、ちょっと午前中の
審議
、ちょっと一点だけ確認をさしていただきたいところがございます。 午前中の
審議
、
藤井
審議
官の方からだったんですが、同窓会
名簿
の政治目的
利用
はよいが、労働組合については云々という発言が、答弁があったわけでございます。 しかし、この答弁は、「表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない。」とする三十五条の解釈に誤解を与えかねないものでもあり、そうなってきますと、いわゆる各種業界団体はどうなんだということになりかねないわけなんですが、ちょっと改めて整理した答弁をお願いしたいと思います。
藤井昭夫
80
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 再度御答弁申し上げたいと思います。 まず、同期生が同窓会
名簿
を使用して、言わば
政治家
の支援活動として
ダイレクトメール
なんかを出す行為、これが
個人情報保護法
上違反となるかどうかというところから御
説明
したいと思います。 これは午前中も述べたところでございますが、当然、政治活動を継続・反復的にやっている政治活動目的の行為というのは適用除外となるわけでございますが、こういう同窓会のような団体であったって、政治活動を組織的かつ継続的に行っているということであれば
個人情報保護法
の第五十条の適用除外の規定を受けるということで、適用除外になるというふうに御
説明
しております。 二番目に申し上げましたのは、当該団体が仮に政治団体と認められないという場合であっても、通例、
個人情報
データベース
というものを言わば
社会
的な通念としての事業として使っているというふうに認められないという場合は、これはむしろ定義規定のところで
対象外
になりますということを申し上げているところでございます。 ただ、この場合に、いずれにおきましても本
法案
では三十五条第一項で、主務
大臣
、これは政治活動の自由等を妨げてはならないという禁止規定を入れておりますので、いずれの場合にでもその主務
大臣
がこういう団体の活動に介入するということは禁止されているというふうに御
説明
しております。 他方、組合活動の関係の御
説明
になるわけですが、この例は労組
名簿
、労組員の
名簿
を基に
政治家
の
後援会
の参加を呼び掛けた行為が
個人情報保護法
違反となるかどうかというようなケースでございました。 このとき申し上げましたのは、
個人
データベース
等を事業の用に供しているのであれば本法の対象になりますと、こういうようなことを御
説明
申し上げて、それで、多分御疑問の点は、なぜ同窓会は
対象外
となるのに労組は対象となり得るんだという御疑問が起きたのかと思いますが、労働組合の場合は、元々労働組合員の
名簿
、これは五千人以上
データベース
に保有しているという場合であろうと思いますが、そういう場合は労働組合の活動のために
個人データ
を言わば取り扱って、
個人情報
を取り扱っているが、
個人情報
取扱事業者であるという元々のそういう位置付けがあって、同窓会なんかの場合と違って定義規定でそもそも事業者に認められないというようなケースはないという前提なものですから、まず労働組合というものは当然取扱事業者なんですから、それは目的外
利用
というものはこの
法律
上は制限されているということになっているということを申し上げました。 ただ、その場合においても、三十五条第一項というのが同様に掛かりまして、いずれにしても、主務
大臣
は政治活動の自由を妨げてはならないという義務が掛かっておりますので、主務
大臣
が関与することはないということを御
説明
申し上げたところです。 強いて付け加えさせていただきますが、仮に労働組合が、労働組合が業務として政治活動を継続・反復的にやるということが行われているということであれば、これは政治団体と認められるケースもあり得ると思っておりまして、その場合は同窓会と同様に最初の、むしろ五十条の除外規定に掛かる可能性も出てくると思いますが、ただ、そこはちょっと、事実は私どももちょっと詳細に承知していないところでございます。 労働組合が言わばその組織的かつ継続・反復的にそういう政治活動をやるというものが実際あるのかどうかという、そこの点についてはちょっと実態把握しておりませんので何とも申し上げられませんが、政治団体としての活動をされているということであれば、五十条の適用除外で除外を受けることはあり得るということを申し上げておきたいと思います。 以上でございます。
内藤正光
81
○内藤正光君 随分長い時間使って答弁いただいたわけなんですが、要は事業者の定義云々で、
名簿
の場合と組合の場合は違うけれどもということは分かりました。 でも、まあ組合であろうが、例えばいわゆる業界団体であろうが立場は同じですね。そして、その
名簿
の政治目的
利用
については三十五条の政治活動を妨げてはならないというもので網に引っ掛かるものではないと。そしてまた、継続的に活動を続けていたならば、五十条の規定でもってその適用除外になり得ると、そういう理解でよろしいわけですね。
藤井昭夫
82
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 三十五条の適用関係については御
指摘
のとおりでございます。それから、五十条の適用関係についても御
指摘
のとおりの考え方になると思いますが、申し上げたいのは、ちょっと実態として労働組合が政治活動を組織的かつ反復的にやっているという例があるのかどうかというところについてはちょっとよく把握していないということで、そういうものが実際あり得るかどうかということについてはちょっと今御答弁申し上げられないということでございます。
内藤正光
83
○内藤正光君
議事録
が出て、また後日、同僚
議員
がいろいろ
質疑
をさせていただきたいと思いますが、そちらの担当省庁におかれましても、その辺のところをしっかりとまた整理してお答えいただければと思います。 では、あらかじめ考えておりました
質問
に移らさせていただきたいと思いますが、主に三本、三つの柱で
質問
させていただきたいのですが、
一つ
目は、住基台帳のシステム、
ネット
の方ではなくて住基台帳法そのもののことについて
質問
させていただきたいと思います。 この夏、住基
ネット
が本格稼働するわけなんですが、私
個人
といたしましては、
IT化
の進展を踏まえて住民
サービス
が向上するという観点で、私は住基
ネット
を何ら
個人
的には否定するものではありません。しかし、その前提が今
審議
をしようとしているこの
法律案
だったと思います。ですから、私は、この
委員会
の場をおかりしましても、住基法そのものの
審議
は私は必要なんだろうと思います。 そこで、何点か住基法について
質問
させていただきたいんですが、まず
大臣
、ちょっとお尋ねしたいんですが、住基
ネット
の導入に際して、その
議論
に当たって多くの
国民
が不安を感じた。なぜ不安を感じたかというと、住基
ネット
というものが導入されると
自分
たち
の
情報
が外に漏れてしまうんではないのか、こういう不安だった。それに対して
大臣
は、何の心配も要らないんですよと、何にも変わらないですよと繰り返された。私は、ある
意味
大臣
は一〇〇%正しいんだと思います。何も変わらない。 というのは、住基
ネット
を導入するとかしないとかそれ以前に、もうずっと以前からいわゆる住民の基本四
情報
、それ以前はもっと全部、台帳そのものだったわけなんですが、それは何人たりとも閲覧請求できた。つまり、原則公開という位置付けにあったわけですね、
法律
で。そういう
意味
では、システムを導入しようがしまいが私
たち
一人一人の
情報
は既にすべての人の知るところとなり得ているわけですね。 そこで、この点についてお伺いしたい。私も周りの方々に聞いてみました。あなたそういうことを御存じですかと。住基
ネット
システムがどうのこうの言う前に、実は今の
住所
、
氏名
、年齢、性別は区役所に行けばだれでも閲覧請求できるんですよ、閲覧できるんです、そういうことを知っているんですかといったら、ほとんど知らなかった。私は、何もたばこ屋のおばさんに一人聞いてそれを世論と言うつもりはありません。行った先々、
後援会
でいろいろ話をする中でいろいろ聞いて、ほとんどの人が驚くことにこの事実を知らなかったんですが、そこで
大臣
にお尋ねしたいのは、四
情報
のみならず住民票だって戸籍の付票だってそうなんですが、これ実はだれでも閲覧可能だということを
国民
は一体どこまで知っているというふうに認識されていますでしょうか。
片山虎之助
84
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 内藤
委員
の言われるとおりなんですね。余り知らないと思いますよ。 ただ、
自分
のものは取りに行ったり使いますよね。だからそれは分かるんだけれども、普通の、普通のと言うのもおかしいんで、普通の
国民
の
皆さん
はそれほどほかの人のを見ようというあれがないんですよね。それは、
ダイレクトメール
をやるような人だとか、そういう人が割に見るということなんで、私も全部聞いたわけじゃございませんけれども、なかなかそういうことでの御認識が薄いんじゃなかろうかと。そこなんですね、
一つ
は。四
情報
は公開
情報
なんですよ。だれでもが見れるし、だれでもが写しを取れるんですよね。 ただ、今まではこの住民基本台帳の
コンピューター
処理
をそれぞれの市町村がやっておったものを、今回の
ネット
はこれを
ネットワーク
でつなぐということですよね。これは、午前中に自治
行政
局長
が話しましたように、我々としては、
法制
度の上でも技術的な上でも運用上も相当の、相当というか万全のセキュリティー対策は取っているものですから、去年の八月ですからもうかなりな日数たっていますよね、七、八か月。致命的なトラブルは何にもないんです。ただ、機器が故障したとか、一部ちょっとトランクか何かに入れて盗まれたとか、予備をね、そういうことはあるんですけれども、基本的にはそういうことなんですよ。 ただ、かなり、
一つ
議論
があるとすれば、四
情報
にプラス住民票コードを付けている、番号を。それから、変える場合に変更
情報
もくっ付くと。だから、四
情報
プラス二
情報
なんですよね。しかし基本は四
情報
ですから。住民票コードはいつでも変えられるんですからね。 そういうことなんで、この点のPRを十分、八月に二次稼働が始まりますので、是非してまいりたいと、こういうふうに思っております。
内藤正光
85
○内藤正光君 もうそのシステムのことというよりも、もう本当、そもそも論をお伺いしたいんですが、住基台帳法十一条を見ますと、何人でも市町村長に対して基本四
情報
等を閲覧請求できると。先ほどの繰り返しになりますが、基本台帳の四
情報
のみならず、住民票、
個人
の住民票ですよね、あるいはまた戸籍の付票、戸籍の付票は生まれてこの方どういう土地に住んだ、移り住んだのか、そういった
情報
が書き込まれていると。 そもそも論というのは、何でこれらの
情報
を、
個人
にかかわる
個人情報
を何人たりとも請求できる、閲覧できる、つまり原則公開にしているのか。その趣旨、規定の趣旨についてお尋ねしたいと思います。
片山虎之助
86
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 住民基本台帳というのは、住民の
皆さん
、
国民
ですけれども、住民の
皆さん
の居住関係を公証するという制度なんですよ、公に証明する。それから同時に、これは住民である、居住しているということが国及び地方公共団体の
行政
の基礎になっているんですね。 それで、その中で基本的な
情報
についてはこれは公開にすると、こういうことなんですよ。例えば年齢を知られると困るとか
住所
が大変だという、そういう向きはあるかもしれませんけれども、この前おかまの
皆さん
の団体が性別は秘密だと言って私のところに来ましたけれども、それはそうかもしれません、そういう人にとっては。しかし、この基本的な四
情報
は、これはやっぱり公開性を私は持つものだと。だから、これは居住関係を公に証明する制度なんですから、これについては私はここまでは公開してもこれは許容されるんじゃないかと、こういうふうに考えております。
内藤正光
87
○内藤正光君
大臣
はどう言え、今プライバシー意識が高まっている昨今でございまして、そういった中、不特定多数の者に、それも本人確認も求めないまま、そういった基本四
情報
とはいえ原則公開するというのはどういうものなのか、いかがなものか。それこそ居住関係の公証であるならば、それは本人が求めて手続をして、それ証明書を発行してもらえばいいだけのことであって、不特定多数の者に対して原則公開するというにはちょっとその辺の理由が薄いんではないかなと私は思うんですが、今という
時代
に照らし合わせたとき、プライバシー意識が高まっている。改めてお伺いしたいんですが。
片山虎之助
88
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 言われる
意味
は分かります。世の中のプライバシーに対する認識が変わってきていますよね、相当。そういうことなものですから、昭和六十年に住基法の改正をやりまして、不都合があれば出さなくていいということをしたんです、不都合があれば。例えば、請求事由を明らかにしてもらうということ、不当な目的によることが明らかなときには請求を拒否できると、こういう規定を入れているんですよ。 ドメスティック・バイオレンスのちょっと御
質問
もありましたが、ああいう場合についても
保護
ができるような今仕組みになって、それは市町村長が考えて、請求の目的を明らかにしたものを見て、これは公開するのが、請求にこたえるのが適当でないという場合には拒否できるんです。
内藤正光
89
○内藤正光君 その拒否できるということについては、ちょっと次の
質問
の後にさせていただきたいんですが。 まず実際、この住民基本台帳の閲覧制度が実際、現状としてどういうふうに
利用
されているのか、その実情について御理解いただきたいと思うんですが、これ、ある
名簿
業者のホームページの方から引き出してきたんですが、これにはこう書いてあるんですね、住民台帳の閲覧代行
サービス
と、一地域に対して基本料金一万円、そして一人に対して、物にもよるんですが三十円とか四十円で閲覧代行しますよと。これがもうビジネスになっているんです。当然、お願いする人というのは
ダイレクトメール
業者とかそういったところなのかなとは思うんですが。 また、これも御存じだろうと思います、福岡市の話です。福岡市のある市民オンブズマンが
情報公開
条例に基づいて実際どういう目的で閲覧されているのか、これ調べました。昨年五月の話なんですが、二万二千件、全部で、一か月間の間に閲覧請求があった。じゃ、その内訳はというと、何と大手通信
教育
会社が
ダイレクトメール
だとかアンケートを送付する目的で一万四千百十四件、大半ですよね。その次、ある業者が幼児
教育
に関係するアンケート調査の送付を目的にして二千六十八件、あと
写真
展が六百三十一件。これだけでも、二万二千件のうち何と七六%なんです。ほとんどが商用目的です、
ダイレクトメール
送付というですね。 釧路市も実際、これ珍しいことなんですが、発表しているんですが、ただそこまで、目的について発表していませんが、例えば数字だけを申し上げますと、
平成
十三年度には合計七十五人の閲覧者があって、この七十五人が何件閲覧したかというと四万三十六件、これ一人当たりに平均すると一人当たり五百三十四件、平均するとですよね。一人が五百三十四件も見たら大体目的というのは分かりますよね。単にこれは居住関係の公証で
利用
したということは到底言えないわけですね。これが実態なんです。 この
住民基本台帳法
とはちょっと離れますが、今
審議
しているこの
個人情報保護法
の目的の
一つ
に、
社会
問題化している
個人情報
の流出、これにいかに歯止めを掛けるか、これが今回、今
審議
している
法案
の目的なはずなんです。ところが、実情としては、一社が何と一か月に一万四千件も商用目的で閲覧をしていた。これは大半なんですね。 そこでお尋ねしたいのは、地方
行政
はもちろんのこと、
ダイレクトメール
業者等の主務
大臣
でもあります、また
名簿
業者もそうだと思いますが、
総務大臣
、この主務
大臣
としてこのような実情についてどのようにお考えになられるのか、御所見をお尋ねします。
片山虎之助
90
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 自由主義経済というのは何でも商売の種になりますよね。そういう
意味
では、こういう言わば公開
情報
、閲覧の仕組みを
利用
して、例えばそれを
ダイレクトメール
業者その他に販売すると、そういうこともあり得ると思いますけれどもね。しかし、実態がそういうことだけなら、それはやっぱり問題だと私も思いますね。 だから、昭和六十年に公開についての、一定の場合にですよ、公開拒否できる仕組みを作りましたけれども、我々はもう少しいろんな
状況
を調べてみまして、またいろんな関係の人の
意見
を聞いて、例えば世論調査協会なんというのは、もう絶対これ維持してくれと。まあそれはそうでしょうな。それから、いろんな世論調査とかいろんな学術統計だとか、まじめなあれもあるんですよ、そういう需要も。 これはこれで
意味
があるので、その辺のこの仕分、それをどう考えるか。この閲覧や公開がそのまま何らかの商売のネタになるとかというようなことで、しかもそれがほとんど閲覧の圧倒的な多数を占めるというようなことが現状であるとすれば、それはやっぱり私は
検討
の対象にはなるなと、今
お話
聞きながら思っております。
内藤正光
91
○内藤正光君
大臣
は、先ほど閲覧を拒否できるとおっしゃったわけなんですが、閲覧請求する際は、具体的にはこういう一枚の紙に、申請書という紙に
自分
の
名前
と目的を書いて、そしてここに宣誓書というものが書かれているわけですね。これを出していくわけなんですが、ところが現場の話、ここにも実際の窓口に携わっている人
たち
のこの機関誌があるわけなんですが、これを見ると本当によく分かるんです。実際、私も聞いてみました。 拒否できるとはいっても、閲覧請求というのはもう権利なんだと、権利。また、ID請求を求めてはいけない旨の
総務
省の通達も出ていると。そうなると、よっぽど挙動不審者でもない限り、よほどの挙動不審者でもない限りID提示をしてくださいとも言えないし、ましてや閲覧拒否することなど到底できないというのが現場の方々の生の声なんです、実態なんです。 本当に、これを見ましても、プライバシー
保護
、私は公務員の方々、本当にプライバシー
保護
、決して希薄じゃないと思います、その意識は。もう、ほかの
国民
と同じようにプライバシーを守らなきゃいけないという意識は持っている。しかし、それと同時に、法で保障された閲覧請求権とのはざまに挟まれて、揺れて本当に悩んでいるという、そういう姿がありありと浮かんでくるわけなんですね。もっと彼らが言うには、こういうことも言っているんですよね。
幾ら
自治体が
データ
そのものを厳重に
管理
しても、窓口の請求権でもってどんどんどんどん
情報
が出ていったらもうどうしようもないと。これもまた本当なんだろうなとは思います。 電話帳ですね、ちょっとこれとよく似たことかもしれませんが、電話帳の掲載拒否、プライバシー意識の中でどんどんどんどん高まっているんですが、恐らく、推測するところによると、今半分ぐらいの人が掲載拒否をしているというふうにも聞くわけなんです。 ですから、私は、こういった
状況
を踏まえて、私は早急に住基台帳を見直していかなければならない。
大臣
としても、これからいろいろな方々の
意見
を聞きながら対応を考えていくと。だから、つまりこの大量閲覧を野放しにしないという、そういう意識だと思います。 そこで、ちょっとお願いといいますか、お考えいただきたいのは、やはりこれから
意見
を聞いてしかるべき対応を必要ならば取っていくというふうにしても、これ一か月、二か月で済む話じゃないですよね。恐らく少なくとも一年ぐらいは
議論
していかなきゃいけない。じゃ、この一年間、大量閲覧をこのままの状態にしておいていいんだろうか、野放しにしておいていいんだろうかと、こういう疑問も出てくるわけなんです。 そこで、私は、もうこの中でも書かれているんですが、この「戸籍」という機関誌の中でも書かれているんですが、例えば本人、例えば閲覧者のID確認、ID提示を求めて本人確認をするだとか、あるいは閲覧者のリストを求めがあれば公開するとか、私はそういうことを、
情報
の対称性を確保するという
意味
でも私は暫定的にそういうことをして
議論
していくべきだと思うんですが、いかがなんでしょう。 つまり、私
たち
国民
はすべて閲覧される可能性にさらされているわけです。ところが、閲覧者は、プライバシーだか何だか分かりませんが、だれが閲覧したかは見せませんよというのであると、これは果たして、法の下の平等という言葉を取り出すまでもなく、私は
情報
の対称性という観点からも著しく公平性を欠くんだと思います。 私は、だから
議論
している間、この一年間、二年間かもしれませんが、これだけの手だては講じるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
片山虎之助
92
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) そこでなかなか問題があるのは、姓名を知られる、
住所
を知られる、性別、年齢を知られることが直ちにそれぞれの人の具体的な
権利利益
の侵害になるかどうかですよね。年齢は知られたくないという女性の人は大勢おるかもしれませんね、特に中高年になってくると。性別についても、いろんなあれもあるし。あるけれども、それをどうしても公開をしないというようなことの
国民
的な合意が得られるかどうかですよね。 一方では、なるほど
個人
の、
個人情報
は守らにゃいけません。しかし同時に、
情報公開
も必要ならやると。こういうことの中で、この正に真ん中なんですね。この四
情報
ぐらいなら許容できるんじゃないかというのが今までのこの仕組みの考え方なんですよ。そこはただし、私は大きな
時代
や
状況
の
変化
の中でもう一遍見直して考えた方がいいと思いますけれどもね。 そこで、制度改正やるかやらぬかは別にして、時間掛かりますよ。それまでどうするか。今、内藤
委員
から御提案ありましたが、今の運用、拒否できるんだけれどもほとんどできないという、制度上はできるんだけれども、実際上は市町村の方がよく分かりませんね。だから、どうやって拒否するのか困っちゃう、向こうが権利だと言った場合に。 その辺で運用上どういう工夫ができるか。今、閲覧者の公開ということを言われましたよね、内藤
委員
は。そういうことを含めて少し勉強させていただきたいと。これは基本的な問題なんですよ、この四
情報
をどうするかは。少し研究させていただきたいと。問題の提起については、私も大変結構な提起をしていただいたと思っております。
内藤正光
93
○内藤正光君 今、住基の四
情報
だけおっしゃったんですが、実は住民票そのものも、あるいは戸籍の付票も実は簡単に閲覧できちゃうんですね。住基は、この台帳の中に私が載っていたら、もしかしたら私の
名前
をピックアップしたのかもしれないけれども、そうでもないかもしれない。そこは分からない。ところが、住民票だとか戸籍の付票というのは、私のものを見たなら正に私のことを調べたわけですから、これについては早急なる手だてを講じられるんだと思います。 はっきり言って、いろいろ、ストーカー問題とか何かいろいろある中で、昨今、だれが、
自分
の住民票だとか戸籍、正に私を特定できる紙なわけですから、
情報
なわけですから、それについてはやっぱり
検討
するまでもなく、だれが申請したかというのは、その私の住民票に何かぽんと張っ付けておくなりして、私からの請求があったら見せてもらえるというような
状況
に今すぐにでもするべきだと思うんですが、いかがでしょう。
片山虎之助
94
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) いろんな対応、やり方があると思いますので、今の内藤
委員
言われたことを含めて少し研究をしてみます。また、市町村長の
意見
も聞いてみないと、市町村長の、あるいは現場の職員。いろいろお聞きになっているようですけれども。
内藤正光
95
○内藤正光君 じゃ、住基台帳についてはこの辺りにしたいとは思うんですが、いずれにしても、じゃ、改めてちょっと確認をさせていただきたいんですが、
大臣
は、私が提起した問題意識は共有していただき、そしてこの問題については、プライバシー意識の高まる昨今という現状も踏まえながら早急に問題解決に向け努力をされるということでよろしいですね。
片山虎之助
96
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) まず
状況
をしっかりと把握して、その上で関係の
皆さん
の
意見
を聞いて対応してまいります。
内藤正光
97
○内藤正光君 是非ともこの問題、早急に
議論
をし、解決策を見いだしていっていただきたいと思います。 繰り返しになりますが、本当に現場の方々は、プライバシー
保護
という観点と、思いと、あるいは閲覧請求というこの権利の間に揺れ動いていますので、本当に日々悩んでいる、これが現状でございますので、そういった方々の声にも耳を傾けて、早急なる解決を図っていただきたいと思います。 では、この
法案
に移りたいと思います。しばらく
総務大臣
にはお休みをいただきまして、こちらの包括法の方について
細田
大臣
の方に何点かお尋ねしたいと思うんですが、ちょっと逐条
審査
的なことになろうかと思いますが、例えば第一条の目的にも絡むとは思うんですが、本
法案
の、この
法案
の
保護
法益というのは一体何なんですか。
細田博之
98
○
国務大臣
(
細田博之
君) 本
法案
の
保護
法益は、第一条の目的規定において「
個人情報
の有用性に配慮しつつ、
個人
の
権利利益
を
保護
すること」とされておるわけでございます。そして、この
個人
の
権利利益
とは、
個人情報
の
取扱い
の態様いかんによって侵害されるおそれのある
個人
の人格的、財産的な
権利利益
であり、私生活をみだりに公開されない利益としてのプライバシー権はこれに含まれると考えておるわけでございます。 そこで、ちょっと私も今、片山
大臣
とのやり取りの中で、内部では私は鋭く
指摘
してはおるんですが、
個人
の
情報
、いわゆる
個人情報
について与党、
野党
間でいろんな
議論
はありますけれども、例えば財産についてどうか。登記がありますね、財産の。そして、抵当権が掛かっていますね、あるいは根抵当がある。債権者はだれで、
幾ら
の債権に対して抵当権設定しているか、書いてありますね。弁護士さんとか不動産を取り扱う人は見られますね。 そういうことも、しかし何のためにやっているかというと、これは
法律
的ないろんな対抗力とかいろんな効力を考えて、公益のためには
自分
の財産は公表して、ここの財産はだれのものであってどういう抵当が付いておるかを公表することが
社会
の利益に合致するんだと。取引の安定性のために公表しているんだと。しかし、
個人
にとってみると大変なことですよね。 だから、
氏名
、年齢等に限らず、いろんな項目について世の中が必要であるとして、今までは当然のこととして公表をされてきたことが、嫌だという立場に立ったときに本当にどこまで制限されるのかと。いや、プライバシーの問題である、あるいは
個人
の
情報
コントロール権という
名前
で言っているから、一番の実は
個人情報
コントロール権といって徹底しないのはそういう部分なんですよね。 だから、まだ決められないんですよ。余り先取りして
議論
しちゃいけませんけれども、だけれども御
質問
がないから
衆議院
ではそんな
議論
もしませんでしたが、正にそういうことが今いろんな過去の、百年以上そういう
議論
があって、しかし公益のためには抵当権あるいは抵当権者の債権額、こういうものは明らかにしないといけないということでやっているわけでしょう。 少なくとも今の住民の、住基
ネット
の四項目などは、まあ
社会
常識論上しようがないという割り切りをしてやっていますね。最近は、例えば税務署が多額納税者あるいは所得、高額所得者なんといって発表していたけれども、これこそ
個人情報
のコントロール権侵害じゃないかというような、あるいはプライバシーですね、余り
個人情報
コントロール権と言っちゃいけませんが、そういう
個人
が嫌な
情報
をなぜ発表するんだということで大分
議論
になって、これからやめようという
議論
もありますね。 だから、実はこの問題というのはもっと深く広く
検討
しなきゃ駄目なんですよ。だから、
一つ
の今言われた問題を
検討
すれば足りるのじゃなくて、そもそもプライバシーの権利を広く深く
議論
する必要があるということだけは御認識いただきたい。ただ、今この
法律
の目的にそれを全部取り込むと大変なことになるんですよ、今までのあらゆる権利義務の関係からいくと。 だから、そうじゃなくて、
個人
の
情報
を取ってきて、それを加工したりして、あるいは対価を取って売る人
たち
。だから、住基
ネット
の
情報
でも、四
情報
を集めてはそれを人に、これで五万人分集めましたから十万円で売りますよ、あなた、これ買って商売に使ってくださいと、こういうことを言わば
保護
するとか、あるいはほかの多重債務や何か、その他の問題ありますね。そういうことをきちっとまず抑えようじゃないかというのが
法律
の趣旨で、
コンピューター
時代
になるとそれが全部浮かび上がってきますので、さっきの財産だってそうでしょう、もう小まめにやっていけばもう全部分かっちゃいますからね。という問題があると、非常に大きな根の問題があるということを是非
参議院
ではお考えいただきつつ、しかしそれはもっと、今すぐ決められる問題じゃないということも御理解いただきたいと思うんです。
内藤正光
99
○内藤正光君 その
個人
の
権利利益
について、先ほど自己
情報
コントロール権ということをお触れになられましたので、その点についてちょっとお尋ねしたいことがあります。 先ほどの住基台帳のときも片山
大臣
おっしゃったように、人によっては嫌だと、知られるのは嫌だという反面、
ダイレクトメール
が来てくれた方がいろいろな
情報
、こんなものがあっていいなという人もいるかもしれない。これは、住基台帳というのは妥当な例かどうかは分かりませんが、もう
価値
観、様々なんですよね。
自分
の
情報
が知れ渡っても別に何ということないよという人がいる、その反面、本当に神経質なほど嫌だ嫌だという人もいると。これ、全部満たす解答なんてありゃしないんですよ。原則公開あるいは原則非公開、どっちにするか。 でも、例えば私は、電話帳の掲載拒否なんというのは
一つ
のいい解決策を私は暗示してくれているんじゃないかなと思います。
自分
の電話帳は開示しないでくれと言ったら、そこは削除、抹消する。でも、商売やっている人にしてみれば、やっぱり広く知られた方がいいわけですから、この多様な
価値
観をすべて満足させる
一つ
の手法が
自分
の
情報
に対して関与する、コントロールする権利なんだと思います。 ですから、私は、これは
衆議院
の方ではまだ憲法上、
法制
上確立していないからということで一蹴されたみたいなんですが、この
権利利益
の中に盛り込むべきかどうかという観点でこれから
議論
していくべきものだと思うんですが、いかがですか。
細田博之
100
○
国務大臣
(
細田博之
君) むしろそういう観念で今割り切ると、
法律
的にまだ未
整備
ですからちょっと難しいと。したがって、この
個人情報保護法
では、言わば民間において
個人情報
取扱事業者がそうやっていろいろ集めたもの、金融機関から取る場合もあるし、病院から取る場合もある、いろんなことがあるでしょう。あるいは、自ら不動産登記所へ行って写してきたものもあるかもしれない、住基の台帳から何か書いてきたものがあるかもしれない。しかし、それらの
情報
については、電話帳と同じくいろんな請求権を要請、要求をすることができるということに今なっておりますので、ただ、それが認められるかどうかは、またこれ公益との関係で今後だんだん整理されるべき問題ですよね。 公益のために、例えば抵当権は全部弁護士が見られないようにしようなんていったって、それは無理ですから、それは別の法益があってやっていることでしょう。しかし、それを集めて、その
情報
を数千件集めて売ればその瞬間にこの対象になるということで、したがって、全体に網をかぶせているのがこの
法案
でありますから、御趣旨のようなことがむしろ体現しているというのが我々の感じで、それを
一つ
の
個人情報
コントロール権というような言い方をすると、まだまだもっと、じゃ
個人情報
はすべてコントロールできるような実態にあるのかというと、そうでないだけに、ちょっとその言葉は今後の判例でどんどん積み上げていって、その定義はおのずとできてくるだろう。それが正にプライバシーの権利ですね。 〔
委員長
退席、理事常田
享詳君
着席〕 プライバシーの権利というのはどこにも書いていない。しかし、今も、例えば某大学がアメリカの某有力
政治家
を呼んで、あのとき
名簿
を取ったんですね、参加者の。その参加者
名簿
を取ったことがいいかどうかということで二つの裁判が今から最高裁で争われる。そうすると、プライバシーの権利についての判断が出る。そうすると、それが
一つ
の判例になる。
一つ
一つ
積み上げないと、プライバシーの権利ですらはっきりした、今後
日本
の成熟した
議論
が行われにくい。 したがって、
個人情報
コントロール権というものが今後できていくにしても、それは判例を積み上げていかなきゃいけないというたぐいの問題であるということを申し上げているわけでございます。
内藤正光
101
○内藤正光君
大臣
も先ほどちらっと触れましたが、これ包括法ですよね。私、
個人
の
権利利益
を
保護
することが
保護
法益だとおっしゃったと。でも、本当にこれ、よくよく読んでいくと、何を守るのかなと、何が
保護
法益なのかなと、途中で分からなくなってしまったんです。 例えば大網をかぶせるということで、場合によっては一
個人
も掛かる可能性もあると。そこで、
衆議院
の方では、その網を取り除くために、
報道
はどうだとか、あるいはまた一
個人
が幾つぐらいの
情報
を所有している場合事業者になるのかという
議論
があった。で、
一つ
の見解として、五千件以上保有してそれを業に、なりわいに使っている場合ということをおっしゃったんですが。 でも、そういうような
議論
をしていくと、じゃ、四千件の
データ
を保有している事業者が私のプライバシー権等、あるいは
権利利益
を侵した場合、この
法律
、私を守ってくれるんですか。
細田博之
102
○
国務大臣
(
細田博之
君) それはむしろ、五千件以上ということで、そういう五千件以上の
データ
を加工することでそれをまた業としてやる者が出てきておるからどこかで規模的な割り切りをしようと。そうでないと、もしもその近所におられる本屋さんや魚屋さんや米屋さんや酒屋さんがやっぱり最近は
パソコン
を使ったりして
データ
を入れますし、運送屋さんも何もということで、やはり小規模な方々に網がかぶるということもちょっと困るだろうということで線を引こうということなんです。 ただ、何かそういったことで得た
情報
が人に漏れちゃうと。例えば薬屋さんがある、三千件の
お客
さんのリストがあるけれども、そこに事細かにどういう薬を買ったか書いている、その
情報
を見るとその買った人がどんな病気を持っているらしいということが分かる、この人が高血圧症の薬を買ったとか胃薬を買ったとかいろいろあって、それを三千件であっても人に漏らしたときに私は困りますよというときには、やっぱりこの
法律
によるというよりは、民法上の不法行為とかそういうことではやっていただかなきゃいけませんけれども、やっぱりこの現在の
時代
において
データ
の売買をするような実態において、ここに一番悪い
社会
悪が存在しておりますから、それを何とか取り締まろうということであって、じゃ、個別には病院だ、薬屋さんだ、あるいは
教育機関
、学習塾とかいろいろあるかもしれませんが、そういう小規模なものが
個人
の利益、プライバシーを侵害する、しやすい実態にあるかどうかというのは今後詰めて、それぞれにおいて法、個別の
法律
による
規制
対応が必要かどうかということを
議論
していただきたい。 その典型例が
医療機関
だと思うんです。たとえ
個人
のお医者さんで患者さんが四千人程度であったとしても、それを
データ
で
処理
しておったとしても、その患者さんの健康
情報
、
医療
情報
をもしも漏らして流したりするようなことがあれば、これは別の法
規制
が必要であろうと。 ただ、そもそも何でもそれを捕らえればいいというんじゃないんですね。つまり、
個人
にとって分かるかどうかということが一番大事ですから、
個人
にとってそのお医者さんが漏らしたという事実があったときにどこにどういう
法律
でいくかという問題ですから、当然、民法とかその他、その相手方に対しては強い請求ができるわけですから、この今、
個人情報保護法
が大量の言わば
データ
を
処理
する人を対象にするのと、それから、どこかですそ切りをする、するべきだという
議論
は、どこかでやっぱり線を引かないとやたらに
規制
が広がってしまうということにもなりかねないわけでございますので、むしろ
衆議院
ではそういう
議論
が多かったですよね。もうちょっとでもこうやったら
個人情報処理
事業者かと、カーナビで六千件あれば
規制
するのかというような逆の
議論
がありましたけれども、私は、どこかで線を引く
意味
では五千件が適当なのではないかと思っております。 〔理事常田
享詳君
退席、
委員長
着席〕
内藤正光
103
○内藤正光君
細田
大臣
のおっしゃることも、ある
意味
分からないわけではないんです。しかしながら、私はやはり一番懸念しているのは、
社会
的な責任をしっかり果たしている
企業
だとか善良な
個人
がこの
法律
によりいろいろな不便を被る一方で、悪意の
企業
だとかあるいは
個人
が五千、例えば五千件という基準でもって、ここの抜け道をくぐってどんどんどんどんもう
個人
の
情報
なんて何とも思わずにがんがんやる、これが一番問題なんだと思いますね。 こういうことをやっぱり何としても避けなきゃいけない。それこそ迷惑メール業者に代表されるように、五千件なんて以下にすることはいかようでもできると思うんですよね。今、安く株式会社とか会社できるわけですから、分割しちゃってそれぞれの法人格を持った法人が持てば、例えば一万件持っても五千件ずつこうやって持たせれば法の網をくぐられるわけですよね。 私は、
個人
にとって見れば、どういう事業者が扱っているかという問題ではなくて、いかに
自分
の
個人情報
が適正に守られるかがやっぱり一番の関心事項であり、守ってもらいたいものなんですよ。それを守ってくれないのが本当に
個人情報保護法
なのかと、私は大きな疑問を抱かざるを得ないんですが、その辺はどうなんでしょう。もう一度答弁を求めます。
細田博之
104
○
国務大臣
(
細田博之
君) 今、いろいろ
情報
漏れを起こしたり
データ
を販売している者は、まず五千以下ということはありません。いわゆる
データ
屋さん、
名簿
屋さんのような、そういう人はもっともっとはるかに多いです。金融機関でも本当に何十万というようなオーダーの
情報
を扱っておりまして、五千というのはやはり中小
企業
、一般にその周辺に存在するような中小
企業
の範囲で切っておると考えていいと思います。 さっきも
質問
された
議員
が
自分
は十万件の
データ
を持っているとおっしゃいましたけれども、もう最近はそういう
状況
でございますので、我々、五千人で切れば普通の小規模事業者は切れるし、それからもう
一つ
、超えたとしても、もう
一つ
議論
があって、超えたらもうすぐ
規制
が掛かるから困る、そんなのすぐ
規制
して主務
大臣
決めていいのかという
議論
ありますけれども、それに対しては、午前中も申し上げたとおり、本当に
社会
的に悪をなすような人が今は自由である、それを捕まえて、まず本人が捕まえて、困るといって開示を求めたり修正を求めたりする仕組みを作って、それでもうまくいかない場合には主務
大臣
のところへ駆け込んで、この人をちょっと何とかしてくださいといって、また更に
行政
指導もしてもらって、更に悪い者は罰則の方まで行くという仕組みになっておって、それが姿としては適当ではないかと思っているわけです。
内藤正光
105
○内藤正光君 私は、包括法形式を取ったということがやはり一番のそもそもの
問題点
だったのかなと思います。 包括法形式というのは、やはり全体に網をかぶせると。そうなると、やっぱり、じゃ、四千件の中小
企業
はどうするんだ、三千件の中小
企業
はどうするんだということで、今度は、包括法定の体裁を取りながら今度は事業者の立場に立って、いや、五千件以上の
データ
を保有している人に網をかぶせるんだということで、やっぱり包括法では無理なんで、ここにはどちらかというと事業者の側に立った
規制
がここに顔を出すわけですよね。 ですから、ちょっとこれ、
問題点
を
指摘
するにとどめたいとは思うんですが、ということは、ちょっと再度確認ですが、細かな話かもしれませんが、仮に三千件の
データ
を持って、本当にいろいろな
個人情報
の
保護
を守らずにやりたい放題している事業者がいたと。そうしたら、この
法案
ではもう対応は無理だという理解でよろしいんですね、民法の方で対応してくれということでいいですね。
細田博之
106
○
国務大臣
(
細田博之
君) それが例えば分社化して実質的な抜け道をしているとかいうんでなければ、やはり法の
規制
は対象になりません。 それで、ただ、私どもとしては、今回既に何件もそういう例が出ておりまして、それを何とか
個人情報
を
保護
することによって
個人
個人
の
権利利益
を守らなければならないという
社会
的な実態もありますから、それに今、最小限必要な中身でお願いしておるわけでございまして、これまでも随分、
審議
の過程で時間が掛かりましたんで、またより大きな悪いことを考えるところもあるいは出るかもしれない。 今日おっしゃったように、ああ、なるほど、住基台帳からどんどん取ったり、いろんな財産の
情報
を取ったりするとまた商売になるかもしれないということを日々考える人が出たりする可能性がありますので、是非、
立法
を急いで、しかし、政令で定めることでも分かりますように、それが、五千というのが大き過ぎるのか小さ過ぎるのかということが今後の実態展開によっても違ってくると思いますけれども、取りあえず今の実態から言うと、五千以上であればほとんどの
データ処理
業者は捕捉できます。 それからもう
一つ
、包括法過ぎるというようなことについて言いますと、長らく、去年までは
野党
各党からは、業種をポジリストで提示しろという御要求が随分ありました。何々業というポジリストを決めるべきであって一般法にするなと。しかしポジリスト方式というのはかえって良くないんで、
野党
四
法案
共同提案からもそれは落ちましたけれども、結局それこそ何とか業って渡っていって何業だか分からなくなっちゃうわけですよ、
データ
販売業、
データ
小売業、何とか業といってですね。そうすると、いよいよ業種をポジリストにすると何も捕まえられなくなるということですから、実態を判断してより広く、
データ
の
処理
の数が一定以上のものは捕まえられるようにすることが最も現実的であると考えたことも併せて申し上げます。
内藤正光
107
○内藤正光君 私もそんなに五千件云々にこだわりたくはないんですが、ただちょっと
大臣
が、分社化したのでなければということをちらっとおっしゃったので確認したいんですが、逆に意図的に分社化等によって五千件以下に抑えて事業者からすり抜けようとしたような事業者は、場合によってはこれの、
個人情報保護法
の対象になり得るというふうに理解してよろしいわけですね。
細田博之
108
○
国務大臣
(
細田博之
君) 脱法のためにやっていることがはっきりしておれば、それは対応できると思っております。
内藤正光
109
○内藤正光君 次は、第二条の定義についてお尋ねしたいんですが、第二条の定義で、
個人情報
とは生存する
個人
に関するものだというふうに明言されております。 そこでちょっとお尋ねしたいのは、いわゆる死者に関する
個人情報
というものをあえて外した理由は何なんでしょうか。
細田博之
110
○
国務大臣
(
細田博之
君) やはり本来、
個人
が自ら、その
権利利益
の侵害に対して、それを未然に防止することも含めてその
法律
の対象として
保護
すべきであるという
意味
で、
保護
法益を生存する
個人
ということにしたわけでございまして、遺族などの第三者の
権利利益
を
保護
することまで意図したものではございません。 ただ、これもこれまでの御
審議
でも明らかにしておりますが、その死者に関する
情報
が同時に遺族などの生存する
個人
に関する
情報
であると、例えば遺伝子
情報
とかいろんな例があるかもしれませんが、正に
自分
に関する
情報
であるという場合にはこれは
法案
の対象となると。しかし、そこまでが限度であって、例えばお亡くなりになった方について、親が亡くなったと、どうも
医療
において過誤があったんじゃないか、そのカルテを見せろというような問題はまた別の問題であって、
個人情報保護法
というのはやっぱり生ける
個人
の権利を
保護
する、
権利利益
を
保護
するという立場で割り切っております。
内藤正光
111
○内藤正光君 何も私は哲学論争を挑もうというわけではなくて、正に私が興味があったのは遺伝子
情報
なんです。 遺伝子
情報
は、当然のことながら、照合によってその子供の
情報
まで分かってしまう、正にその特定の
個人
が、生存する特定の
個人
が識別できてしまう
情報
なわけでございます。しかしながら、死亡と同時にその親の遺伝子
情報
等々がこの
法案
の
対象外
になったら、これはこれでまた
一つ
不整合を生じるんではないかと思って、あえてこの問題を提起させていただいたわけなんですが、じゃ、遺伝子
情報
が
一つ
の例示として挙げられましたが、つまり生存する、今なお生存する
個人
を識別できるものであるならば、たとえそれが所有者が死者のものであったとしても
法案
の対象内ということでよろしいですね。
細田博之
112
○
国務大臣
(
細田博之
君) もちろん、やはりしかるべき理由は必要だと思いますけれども、おっしゃるとおりでございます。
内藤正光
113
○内藤正光君 次に、第三条の理念についてお尋ねしたいんですが、五つの基本原則がなくなってしまったということもあって、正直言って余りに殺風景というか
意味
不明というものになってしまったなということが正直な感想なんですが、「適正な
取扱い
が図られなければならない。」と、当然と言えば当然なんですが、ここに基本原則が列挙されていればいいんですが、これ具体的には何を言わんとしているのか。適正な
取扱い
というのは当然のことでして、余りにも形容詞とか何かなさ過ぎる、基本原則等がなさ過ぎるわけなんですが、例えばこれ、OECD八原則を今なお踏まえたものなんでしょうか、お尋ねします。
細田博之
114
○
国務大臣
(
細田博之
君) OECD八原則の考え方は本
法案
におきましても第四章の義務規定において具体化されておりまして、第三条の基本理念は、「すべて
国民
は、
個人
として尊重される。」という憲法第十三条の趣旨を踏まえて、すべての
個人情報
について人格尊重の理念の下に慎重な
取扱い
がなされるべきことを明記したものでございます。 若干申しますと、OECD八原則をそれぞれ申しますと、目的明確化の原則と
利用
制限の原則というのがありますが、これを今の条文に照らしていいますと十五条一項、十六条一項、二十三条一項などに反映されていると考えておりますし、収集制限の原則については十七条に、
データ
内容の原則については十九条に、安全
保護
の原則については二十条、二十一条、二十二条に、公開の原則、
個人
参加の原則の二つについては十八条一項、二十四条一項、二十五条一項、二十六条一項、二十七条一項に、責任の原則につきましては三十一条一項に対応する規定を設けて、このOECD八原則を
参考
にしながら対応する条文を備えているものでございます。
内藤正光
115
○内藤正光君 ということは、この条文で具体化されているということは、当然のことながらOECD八原則の考え方というのはこの理念の中に盛り込まれていると、含まれているという理解でよろしいわけですね。
細田博之
116
○
国務大臣
(
細田博之
君)
日本
もOECD加盟国でございますし、もちろん国際的な合意のガイドラインでございますから十分
参考
にしておりますし、ただ、
日本
の国内法でございますので、あくまでもガイドラインの方は
法律
とはまだ言えないわけで、国際法ではございませんので、
日本
の実情を考えて対応する条文を考えてあると。 ただ、OECD八原則に盛り込まれているのにこちらが除外しておるようなものはないということでございます。
内藤正光
117
○内藤正光君 基本理念。
細田博之
118
○
国務大臣
(
細田博之
君) 基本理念自体は、OECD八原則につきましてよく
参考
にしております。
内藤正光
119
○内藤正光君 ちょっとここは、
参考
、言葉の端をつかんでいるようなんですが、
参考
程度ですか。やはりここはOECD八原則の考え方を盛り込んでいるというふうには言い切れないところがあるわけですか、理念の中に。
細田博之
120
○
国務大臣
(
細田博之
君) 基本的には盛り込んでおるというふうにお考えいただいていいと思います。というのは、特にそこで異論があるわけではございませんのでね。
内藤正光
121
○内藤正光君 分かりました。 じゃ、次、ちょっと本当に逐条ですが、逐条
審査
なんですが、第五条なんですが、ちょっとこれは先ほどの住基台帳とも関係するんですが、第五条の「地方公共団体の責務」というところを読みますと、地方公共団体の区域の特性に応じて、
個人情報
の適正な
取扱い
を確保するために必要な施策を策定し、及びそれを実施する責務を負うとあるわけです。つまり、これを見ると、各自治体それぞれの事情を勘案してそれぞれの施策を講じられると、
個人情報
の
保護
に向けて、というふうに読めるんですが、どんな場合を想定しているのかもお伺いしたいし、仮にある自治体が住民基本台帳が公開原則としながらも、やはり、例えば市民参加の投票によってやっぱりオープンにしてほしくないという人が多数であるならば、条例でもって一般、原則非公開ともし決めたならば、それはそれで尊重されるという理解でよろしいんですか。
細田博之
122
○
国務大臣
(
細田博之
君)
総務大臣
からもお答えいただくといいと思っておりますけれども、やはり地方地方に応じていろいろな長い間の歴史的
経緯
とか
環境
その他があることも存じておりますし、条例等で特別な規定等を設けている場合もあるようでございます。 したがいまして、当該地方公共団体におきまして地域的
状況
に応じて特に必要とされる施策があれば、地方自治の本旨に沿って適切に講ぜられるべきことを示しておるわけでございます。国としてこの場合は具体的にこういうふうにやるべきであるというようなことを明示的に申しておるわけではございません。
片山虎之助
123
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 条例と
法律
とは
法律
が上ですよね。それは、
法律
が先占している領域については条例が出ていけないわけで、今回のこの四
情報公開
は
法律
が先占していまして、公開を原則としているんです。例外もありますけれども、一定の条件に該当する場合には請求拒否もできるんだけれども、原則公開ですよね。そういう
状況
の中で条例で非公開を決めることは、これは
法律
違反になる、こうお答えをします。
内藤正光
124
○内藤正光君 じゃ、公開としながらも、例えば営利目的の
利用
はお断りするというようなもし条例だったらどうなんでしょうか。
片山虎之助
125
○
国務大臣
(
片山虎之助
君)
法律
に抵触しない限りはいいですよ。ただ、
法律
が何か書いていますよね、あそこに条件を細々と。あれとは異なる考え方、異なる条件を決めることは
法律
違反になるんです、
法律
が先占しているんだから、そこは。 だから、
法律
が、例えば条例で上乗せ、横出しなんてあるでしょう。これはもう御承知のように
法律
が認めているんですよね。それから、先占していないところは、
行政
事務条例なんかはそうですよ。デモ行進をどうするとか、集会をどうするとか、
法律
が仮に決まっていないようなことに条例が出ていくことは、これは認められているんですけれども。だから、この場合には、住民基本台帳の公開の扱いについては、
法律
がもう先占していると我々は考えておりますから、
法律
に抵触する限りはこれは無効だと、こういうことになります、違反だと。
内藤正光
126
○内藤正光君 分かりました。 じゃ、基本的には
法律
を尊重しながら、その
法律
の解釈において許される範囲は条例でやっても構わないということですね。例えば、特別な理由がある場合は拒否できる云々というたしかただし書があったかと思うんですが、その特別な理由が、例えば商業目的だというふうにもし市が判断したならば、それは可能だということで、駄目か。
片山虎之助
127
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) それは条例で決めるんじゃなくて、その
法律
の解釈、運用でそういう扱いをされるということは、それは可能ですね。可能ですけれども、しかし争いになることがありますよ、場合によったら、訴訟になるかどうか。争いになることはあると思うけれども、それは可能ですが、条例を決めることはこれは違反であります。
内藤正光
128
○内藤正光君 次は、ちょっと次の第六条の
法制
上の措置についてお尋ねしたいんですが、この特に第三項でこう書いてありますね。第六条の第三項で、
個人
の
権利利益
の一層の
保護
を図るため特にその適正な
取扱い
の厳格な実施を確保する必要がある
個人情報
については、
保護
のための格別の措置が講じられるよう必要な
法制
上の措置その他の措置を講ずるものと言っているわけです。うたい上げているわけです。 この点に関して具体的に、
医療
情報
ということをおっしゃったわけなんですが、どんな
情報
をお考えになられているのか、そしてまた
法制
上の措置とは、私はこの今のある包括法の上に乗っける個別法だというふうに理解しているんですが、それで正しいのかどうか、お尋ねします。
細田博之
129
○
国務大臣
(
細田博之
君) このたびのこの
法律
を
施行
いたしますと、相当部分、今まで数年で何十件かおかしな事例が出ておりますけれども、そういったものについてはカバーできると思います。また、多重債務者
名簿
が転々流通していますときに、金融機関を押さえることができれば、それは金融の方を
法律
で押さえられますけれども、それがいったん手を離れたときは転々流通しますから、やっぱりこういう一般法で押さえなければならないかもしれませんね。つまり、業種を特定できませんから、一体そういう
情報
が適当かどうかということで
個人
からの請求もあり、主務
大臣
も追い掛けるということでやらなきゃならないかもしれませんね。 そういった事例として個別に見た場合に、やはりたとえ五千件もない、一件でもと言うと極端ですが、何件でも、非常に
個人
にとってセンシティブなものというものが、
情報
があるという場合には、それは個別に
法律
によって対処することが適当ではないかなと。 それは、一番典型例は
医療
分野なわけでございますが、まず、医師に守秘義務がこれまであったわけですが、保健師、看護師等のそういう仕事にある人にも守秘義務が広げられたということでございます。ただ、それ以上の法改正が更に必要かどうか。病院のカルテ等が
電子化
されてまいりますし、それを見ることのできる人の範囲も広がってきておるから、今までの
法律
だけでは足りないとか。 それより何より、やっぱり不祥事を起こすようでは
医療機関
も困るんですよ。きちっとして、だれが、だれかが、見る者がちゃんとしたソフトウエアによって引き出したか分かるようにしてセーフティー
ネット
を張らなきゃ駄目ですから、まず、この
法律
の目的は、それはきちっと張ってもらうという前提ですね。しかし、更にそれでもいろいろ問題があるというときにはこれは法改正も考えなければならないのではないかと思いますが、その担当の省の問題もございますので、今、各省、特にこの
医療
については厚生労働省も
検討
しておるというようなことを、
衆議院
の
委員会
では答弁があったところでございます。 それから、金融分野については様々な問題も生じておりますので、金融
審議
会において金融分野における
個人情報
の
取扱い
について
検討
することとしておりますが、それが金融機関の中、金融分野において特別法を決める場合も、やはり金融業に対するコントロールといいますか
法律
ではないかとも思われますので、その
情報
が転々とする場合にはやっぱりこの
法律
が非常に大きな効果があるのではないかと思いますが、いずれにせよ、
法律
を規定すべきかどうか、あるいは何かの法改正を行うべきかどうかについては
審議
会で御
議論
をいただいているところでございます。 それから、電気通信分野におきましては、
電気通信事業
における
個人情報保護
に関するガイドラインを運用するとともに、本年二月より研究会を開催しておられるということで、これは
総務大臣
がおられますが、それぞれに
検討
されていると思います。 ただ、この一般法が通りますと、随分
個人情報保護
に対する世論が形成され、かつ事業者団体等を通じて、それぞれこれはこういうソフトウエアを使ってこういう秘密を守んなきゃいけないし、こういうふうにすると守れますよというふうなことがより浸透してまいりますので、相当な効果は上がると思います。 それで、なおかつそういった個別分野において対応が必要なものは、当然これは
国会
、
立法
府の仕事ではありますが、
立法
府と
政府
とがまた協調しながら
検討
していくべき課題だと思っております。
内藤正光
130
○内藤正光君 ただ、私は、先ほど
細田
大臣
の見解では、各省庁でそれぞれの個別法を
審議
していってもらっているものと理解している、承知しているということで、何か第三者的な言い方をおっしゃったわけなんですが、私はこの辺の
審議
というのは今の
法案
の
審議
とワンセットでなきゃいけないと思うんです。やはり、今、この包括法では絶対、
医療
分野だとかあるいはまた金融分野等々の対応が不十分であるというのはもう明らかなわけですから、ですからその辺、人ごとというんでなくて、しっかりと関連の
大臣
と連携を取って、十分
審議
を進めていってくださいと、
議論
を進めていってくださいと、私はむしろハッパを掛けるというかお願いをするとか、そういった行動があってもいいと思うんですが、あるべきだと思うんですが、どうなんでしょう。
細田博之
131
○
国務大臣
(
細田博之
君) 当然、主務
大臣
というものがありますから、この主務
大臣
は、この
法律
について
行政
指導をしたり、おかしな実態があればそれを十分精査して
法律
上の措置を取る義務が発生するわけですから、一日も早くそのような体制をまず取らせていただきたいと思います。 非常に各省とも実はこの
法律
の成立に期待しておりまして、今はなかなか具体的にいろいろな場面ではっきりと
行政
庁としての責任を果たす手だて、ツールがまだないんで、まずこれをしっかりやりたいということを言っておりますので、私どもとしても精力的に対応をお願いし掛かっているところなんですが、まだ今やりますと
国会
に怒られますので、内々は、いざ
法律
が通ったらすぐにいろんな体制ができるように頼みますよということは非常に強くお願いしております。
内藤正光
132
○内藤正光君 じゃ、ちょっと飛びまして十七条の「適正な取得」のところなんですが、この条文読みますと、「偽りその他不正の手段により
個人情報
を取得してはならない。」と。これもまた何を禁止した条文なのかよく分からないんですね。だまし取ることを禁止しているというのは当然明らかに読めるんですが、もしそれだけだったらこんなわざわざ条文を起こす必要もないわけでして、
参考
になるのが、例えばOECD八原則の収集制限の原則なんですが、そこではこう書いてあるわけですね。適法、適正な手段により、かつ
情報
主体に通知又は同意を得て収集されるべきだと原則が述べられているわけです。こういう原則が述べられていれば、本人同意だとか通知がという原則が述べられていれば、ああ、何が不正な取得かというのが一目瞭然なわけなんです。ただこれだけ、「偽りその他不正の手段により」と書かれていても、何が不正なのかよく分からないんです、これだと。となると、事業者にしてみればこれ、困るんじゃないですか。 ですから、そこで、一体この条文は何を禁止しているのか、いかなる取得を禁止しているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
細田博之
133
○
国務大臣
(
細田博之
君) OECD八原則は、
データ
収集
方法
として、適正かつ公正な手段によることとし、また本人との関係では、ここのところが大事なんですが、適当な場合には、
データ
主体に知らしめ又は同意を得た上で収集されるべきとしておりまして、必ずしも、この原文に即して読みますと、取得に際して常に同意が必要とされていないということがございまして、これを踏まえまして、本
法案
では、第十七条で適正取得、十八条で取得に際しての
利用
目的の通知等の義務を明確に定めているところでございます。
内藤正光
134
○内藤正光君 済みません。ちょっとよく分からなかったんですが、不正な取得ってどういう場合なんでしょう。
細田博之
135
○
国務大臣
(
細田博之
君) 例えば社名を偽るとか目的を偽ってだまして取得する等の例でございます。
内藤正光
136
○内藤正光君 じゃ、正に「偽りその他不正」ということで、そういうふうに社名をだましてとかそういうようなことだけなんですね。ほかに何か不正な取得……
細田博之
137
○
国務大臣
(
細田博之
君) ほかに例がないとは言えない。
内藤正光
138
○内藤正光君 ということは、じゃ、正面切って
名前
をちゃんと、正しい
名前
で取得すればいかなる取得も許されてしまうということですか。
細田博之
139
○
国務大臣
(
細田博之
君) しかし、その場合でも、目的を偽ってだまして取得するというようなことがあると思います。
内藤正光
140
○内藤正光君 ただ、取得に当たっては別に本人同意も何も必要ないわけですから、目的をその時点で言う必要もないわけですよね。ですから、目的を偽りようがないような気がするんですが、いかがでしょう。
細田博之
141
○
国務大臣
(
細田博之
君) いろんな例を
法案
作成に従って考えていますが、例えば子供をだまして取得するとか、それから住居侵入をして取るとかそういう場合もあるのではないかという、いろんなケースを包括的に考えているということのようでございます。
内藤正光
142
○内藤正光君 でも、そんな取得の仕方を禁じるのは、わざわざ
個人情報保護法
で禁止にするようなことじゃないんじゃないかなと思うんですよ。
個人情報保護法
という限りはもっと高いレベルでの禁止があってしかるべきなのに、人をだましてとか何か
名前
を偽ってというのはちょっとこれは余りにも恥ずかしい条文じゃないかなと思うんですが、どうなんでしょう。
尾辻秀久
143
○
委員長
(
尾辻秀久
君)
藤井
内閣
審議
官。
藤井
審議
官を指名いたしました。
藤井昭夫
144
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) ちょっと私の方から
説明
的に申し上げたいんですが、元々のOECD八原則はローフル・アンドたしかフェアミーンズという言い方をしていたと思います。要は、取得
方法
が合法的であってかつ公正でなければいけないということでございます。したがいまして、今いろいろ事例を申し上げましたが、いずれにしても、
情報
の収集は
法律
上許されている
方法
で、あるいはお互いに公正な
方法
でやるべきであるという、こういう物の考え方を原則としているということでございます。 もう
一つ
の、取得に際しての同意又は通知のことについては、これまたこれは
一つ
の原則の派生するものということで位置付けられておりますので、
政府案
では別の十八条の方で規定させていただいているということでございます。
内藤正光
145
○内藤正光君 何だか、何ていうんですかね、適正取得のこの条文がどういう
意味
を持つものなのか、どれだけ実効性を持つというか、本当に
意味
のある条文なのか甚だちょっと、疑問視せざるを得ないんですが。 じゃ、ちょっと次へ移ります。 今度、本人同意についてでお尋ねしたいんですが、例えばこれ、ある
意味
矛盾かもしれませんが、第十六条の目的外
利用
だとか、第二十三条の第三者への提供においては本人同意が必要とうたっているんですが、そもそもの肝心かなめの取得に当たっては、十八条の取得に当たっては本人同意は不要で通知、公表のみとなっているんですね。一番大事なのは取得のところなんですが、そこが通知、公表、同意を必要としない通知、公表で、それでその後の
利用
、目的外
利用
だとか第三者への提供に当たっては本人同意となっているんですね。私は、これはなぜなのかというのはちょっと、一貫性があるのか、整合性がこれで本当に取れているのか、私はこれまた疑問なんですが、どういうふうに
説明
をされますか。
細田博之
146
○
国務大臣
(
細田博之
君)
法案
の第十八条というのは、
個人情報
取扱事業者が
個人情報
を取得した場合において、
利用
目的を通知、公表させることより、本人の
不安感
を緩和するとともに、本人自らが必要な注意を払うための契機、きっかけを提供するということにより、本人の
権利利益
侵害を予防しようとするものであります。一方、法第二十三条は、目的外
利用
の典型的なケースと考えられる第三者提供でございますので、これについて原則として本人の同意を得るべきであるとすることによって、本人にとっての不測の権利侵害をもたらすことを予防しようとするものでございます。 このように、
法案
第十八条と二十三条は、その趣旨も
個人情報
取扱事業者が
個人情報
を取り扱う局面も異なるということで、この若干の
法律
上の差が出ておるわけでございます。
内藤正光
147
○内藤正光君 ただ、肝心かなめの入口のところの取得でしっかりとした対応を取らなければ、その後の使い方についてとやかく言っても、私は抑え切れない、とらえ切れないんじゃないかなとは思うんですよ。ただ、これを言ってもちょっと水掛け論になってしまいますので、じゃ逆に
個人情報
の取得に際し事業者はどこまですれば責任を果たしたことになるのか、ちょっとお尋ねしたいんですが。
細田博之
148
○
国務大臣
(
細田博之
君) 第十八条におきましては、十八条の「通知」は、文書の郵送によるほか、例えば電話、電子メール等によることも含まれます。また、「公表」は、例えば
インターネット
上での公表、パンフレットの配布、事業所の窓口等への書面の掲示、備付け等が含まれます。 法第二十四条については、開示請求等の前提となる条文であり、一回公表すればよいということではなく、本人の知り得る状態を求めており、これは本人が知ろうとすれば知ることができる状態を保つ必要があります。例えば
インターネット
上での公表、パンフレットの配布、事業所の窓口等への書面の掲示、備付け等が考えられます。この場合、その
方法
が限定されるものではありませんが、内容に変更があれば、その時点での正確な内容を知り得る状態に置く必要があるほか、
個人情報
取扱事業者の事業形態や
個人情報
の
取扱い
の実態に応じて適切な対応が望まれます。また、
法案
二十四条では、「本人の知り得る状態」に、「本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。」としており、電話窓口の設置も含まれるわけでございます。
内藤正光
149
○内藤正光君 続きまして、本人同意について二つ目なんですが、第十六条の目的外
利用
においては本人同意が必要ですね。一方、第十八条の三項の
利用
目的の変更そのものについては本人同意を必要とせず、通知あるいはまた公表のみでいいと言われていますよね。 ところが、目的外
利用
も目的変更も
個人情報
を
利用
される側にとってみれば同じことなんですよね。両方とも等しく
保護
してほしい、
管理
してほしいと思うのが当然なんですが、どうしてこう違うんですか。ちょっと整合性が取れていないんじゃないですか。
細田博之
150
○
国務大臣
(
細田博之
君)
法案
の第十八条三項において、
利用
目的を変更する場合でございますが、これは「
個人情報
取扱事業者は、
利用
目的を変更した場合は、変更された
利用
目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。」となっておるんですが、この規定により、その変更をする場合には、第十五条第二項により、変更前の
利用
目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならず、不測の
権利利益
侵害が生ずるおそれは少ないため、通知、公表によることとしております。 一方、第十六条第一項は、
利用
目的の達成に必要な範囲を超えた
利用
をする場合でありますので、本人の
権利利益
侵害を生ずるおそれが大きく、本人の同意を要件としたものであり、御
指摘
は当たらないものと考えておりまして、やはり目的の範囲を超える瞬間に本人の
権利利益
侵害が生ずるおそれが大きいというふうに考えておるわけでございます。
内藤正光
151
○内藤正光君 そうは言いながらも、
利用
目的の変更が相当な関連性を有すると合理的に認められた場合はということなんですが、ただ、この「相当の関連性」も
衆議院
の方でも大変
議論
になったかと思いますが、余りにも幅が大き過ぎて、これで押さえ切れているかというと、到底、押さえ切れているものじゃないんですよね。そういった
意味
で、私は、
利用
目的変更と目的外
利用
というのはやはり同等の扱いにすべきだと私は考えるんです。 それでもやはりなおこの違いには、違った扱いには合理性があるというふうにおっしゃるわけですか。
細田博之
152
○
国務大臣
(
細田博之
君) そう考えております。
内藤正光
153
○内藤正光君 分かりました。 時間も大分迫ってきてしまったので、ちょっと、大事なところもまだたくさんありますので、つづめさせていただきます。 今回、開示請求だとか訂正だとか
利用
停止というふうに、
個人
が適切に
自分
の
情報
に関与できることを保障したということは私は
評価
しているんです。 しかしながら、それぞれにおいて例外規定がありまして、その例外が、ある
意味
ちょっと漠然として、恣意的に理解したならば何でもこの例外規定の中に入ってしまうおそれがあるわけなんです。 そこで、これから法を運用するとしたら、かなりこれは締めておかなきゃいけない、詰めておかなきゃいけないわけなんですが、例えば三つまとめて聞きますと、二十七条の
利用
停止等においては、その例外規定として「多額の費用を要する場合その他」と、「多額の費用を要する」というのが
一つ
の例示として、その後「その他」として続くわけです。多額の費用を要する場合というのもこれまた主観的なものであってよく分からない。大
企業
と中小
企業
では違うし、また経済
状況
によって十万円が多額と判断すればそれはそれで多額になってしまう。これが余りにもあいまいですし、またその上、あいまいな上にその他が続く。これはどうなのか。 次、訂正についても「
利用
目的の達成に必要な範囲内において、」と、これもまたよく分からない。 二十五条の開示においても、「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれ」というふうなことも書いてあります。 私は、これらについてちょっと具体的にどういうことを想定しているのか、お考えをお伺いしたいと思うんですが。 そもそも、本人同意を得ないままに
個人情報
を収集しているわけですが、その開示請求者に対して、営利目的の事業者に対して免責を与える余地を余り広げ過ぎると、私はこれはこれで問題だと思うんです。やっぱり慎重になるべきだと思うんです。その辺も併せてお尋ねします。
細田博之
154
○
国務大臣
(
細田博之
君) そこがこの
法案
のなかなか難しいところでございまして、まず、二十七条一項ただし書ですが、
個人データ
、ほかの人の
データ
も含めまして、何か大量に印刷して
利用
・提供をしていると。その印刷物に含まれる
個人データ
の中のごく一部に不正取得の
個人データ
が混じっていたという場合に、それを例えば何千部というふうに刷ってしまっておるというときに、全部破棄、刷り直しをさせられるかという問題があります。 それでもなおかつ、そちらの方が大切であるという、法益の方が大事であるという場合もあると思いますが、その一種の妥協案として、むしろ今後の修正を約束するとか、それによって発生した心理的なあるいは実際的な経済的損害があった場合には、それらについて金銭支払等により、言わば両者の話合いによって解決するということもあり得るのではないかと。 徹底的にすべての資料を全部回収する義務を常に課するということだけでもいけない場合があるのではないかということでございますので、当然ながらそういう場合を排するということではございません、やはり
保護
法益との均衡を考えておるということでございます。 また、二十六条につきましては、「
利用
目的の達成に必要な範囲内において、」というのは、過去の一定時点の事実を保存しておくことが
利用
目的である場合には、時日の経過によって内容に
変化
が生じたとしても訂正を行う必要がないというようなことがあり得ると。例えば、二〇〇〇年何月の記録としていろいろ
個人情報
が載っておる、ただし、その後
住所
が変わっていると。
住所
を変えろというようなこともなかなか難しい場合がありますので、そういった場合等について訂正等を行う必要がない場合があるということを申しておるわけでございます。 また、
法案
二十五条は本人の求めによる開示の規定でありますが、当該
個人情報
取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合について、その全部又は一部を開示しないことができることとしております。 この「当該
個人情報
取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」とは、単に業務に支障を及ぼす場合ではなくて、業務の適正性や支障の大きさを要件として
個人情報
の
利用
と
保護
のバランスを図ろうとするものであり、具体的には、適正な試験の実施とか人事
管理
が著しく阻害されると、こういう、例えば試験の成績その他ですね、内容、あるいは人事
管理
面の
データ
等について著しく阻害されて、第三者との信頼関係が著しく損なわれたりする場合などを想定しているものであります。
内藤正光
155
○内藤正光君 分かりました。 次に、この
個人情報保護法
では、最後になろうかと思いますが、包括法か個別法かの
議論
があったかと思いますが、それと第三者機関の必要性というものも絡めて、最後に何点か
議論
させていただきたいんですが。 今回、包括法だったんですが、個別法にすれば主務
大臣
はどこなのかという、そんな
議論
はもう不要なわけですね、その時点で、もう明確なわけですから。ところが、包括法になると、じゃ労働組合はどうなんだとか、また、多くの
情報
を有している
個人
はどうなのかとかいうような
議論
が
衆議院
の方ではあったかと思います。それに対して
政府
は、EUのオムニバス方式、包括法ですよね、それを採用したとおっしゃっているわけなんですが、ただ、EUはそれとセットにするかのごとく第三者機関もちゃんと設置しているわけですよね。第三者機関を設置して全体的に見ていると。私は、これはある
意味
セットだと思うんですよ。セットにしないからこそ、今の
議論
みたいに主務
大臣
はどこだとか、これを外せあれを外せとか、何かそんなような
議論
が出てきてしまうんだと私は思います。 ですから、私は、今のこの
法案
の枠組みである、包括法でありながら主務
大臣
制を取っているわけですが、これでは本当にこの法の実効性というのは果たして本当に発揮できるのか、私は大いに疑問を持っているわけなんです。 それに対して、第三者機関を設置することに対して、
政府
は、例えば既存の監督官庁と業務が競合してしまうだとか、
行政
改革に反する、流れに反するといって反対をされていますが、だったらば、例えば主務
大臣
制、省庁同士のぶつかり合いはないのか、調整はないのか、これはこれでまた仕事は増えますよね。そしてまた、
一つ
の案件に複数の省庁が関与するということも当然あるわけですね。これだって省庁改革の流れに沿っているものとは言えないわけなんです。 私は、こういった観点から改めてお伺いしたいのは、包括法でありながら、私は本来第三者機関というものを採用すべきだと思うんですが、包括法という形式を取りながら、なぜ主務
大臣
制にしたのか、そちらの方が優れていると言い切れるのか、改めてお尋ねします。
細田博之
156
○
国務大臣
(
細田博之
君) これは
日本
の
行政
庁の特徴だと思うんですね。アメリカとかヨーロッパとかほかの国は、もう余り民間に対して、あるいは産業、それぞれの産業に対しては全く言わば無関係の役所も多いし、特に新しい産業については、業界団体等も余りないし、力が及ばない面がある。だから、何かが必要だとなると新しい機関を作って、そこでいろいろ届出等を受けて、それから
審査
をするというようなことになじむ面があります。
日本
はむしろ、
議員
も御存じのように、何かここの分野で何か問題があったとすると、金融問題で問題があったといったら、それ金融庁、もっと監督しろ、この問題は
サービス
業らしいから経済産業省、ちょっと来いと。この問題は消費者
行政
だからまず旧経済企画庁、今の
内閣
官房できちっとやれ、そしてそれをさらに個別省もきちっと物別に監督しろというような、非常にこれまでの
行政
の対応がそういったことに非常に慣れておるという面があります。 そこで、今非常に
参考
になるのは、消費者相談、今ありますね。消費者相談の一環で今の
個人情報保護
も非常に相談来ておると思いますが、消費者相談というのは、今この中心となる組織は
国民
生活センターというのがあって、これはもう何でもそこへ相談すればどこへ行ったらいいかを教えてくれますよと。年間九千件ぐらいはそこへ来るんですね。そうすると、生活センターで対応できるものもたくさんあります。もう前例があって、これはこういうふうに対応しなさいというふうなことがすぐ分かるものはありますが、各省にまたさらに、これは経済産業省の問題ですよ、これは農林水産省のどこへ行きなさいということで、直ちにそちらに行って相談ができるようにするケースがあります。 それから、消費者自体が経済産業省など、消費者相談ですから経済産業省が多いわけですが、そこへ行って話をすると、そこで話がつくというようなものがありまして、ここだけで一万四千件もあるんですね。経済産業省へ来たけれども、これは食品の問題だから農林水産省がいいですよというと、直ちに回ります。 つまり、どの案件も落ちこぼれがないようになっておりまして、
国民
生活センターもどこかへ、この問題はあなたの役所で頼みますよ、どうしてもなければ私のところでやりますよとなっていまして、この
法案
も実はそれをなぞらえて書いてあります。つまり、どこもが、いや私のところは関係ありませんよというものは
国民
生活センターで扱いますし、主務
大臣
がないものは
内閣
総理
大臣
の下でやるということにしますよと。ということは具体的には生活センターに業務をやらせるわけでございますけれども、そういったことでございます。 ただ、心配なのは、役所でございますから、この問題は我が省の所管であってあなたの所管じゃありませんよといういわゆる権限争議などが起こってはいけませんので、これはよく、こういう、今までも何例かありまして、その場合は、手を挙げたところが協議をする、決して苦情を申し立てた人に御迷惑を掛けないという
行政
庁のルールができ上がっておりますので、そういった
意味
で、個別に対応することは極めて円滑にできると。しかも、
日本
の場合には、関係産業の諸団体もありますから、基本指針を決めた後、更にガイドライン等を決めて関係業界団体で自律的に不祥事が起きないようにするということが可能でございます。 実は、この数年で約八十件近いいわゆる不祥事、
個人情報保護
に関連する不祥事が出ておりますけれども、それを見ますと、言わば過失ですね、うっかりミスのような例が五十件以上、六十件ぐらいあるんですね。これは悪質だぞというのは、見て非常に分かるんですが、十数件なんですよ。 だから、悪質なものは徹底的にこの
法律
で追い掛けて、かつ是正をさせなきゃいけません。ただ、うっかりミスというのは、この例でも、例えば懸賞応募をホームページで受けた、そうしたら、どんどん応募したんだけれども、ソフトの扱いが悪くて、応募した
お客
さんの
名簿
が全部ほかの応募者に流れたというケースがたくさんあるんですね。そういうケースを大分例示してありますけれども、これはもう単なる過失ですね、わざとやったとは思えません。しかも、
企業
は、そういう
情報
漏れが起こったということを
指摘
されたときには、もう大変な恥でございまして、かつ
企業
の信用が下がるわけですから、それはもうやらない、二度とやりませんということで是正しておるのが実態です。 そうすると、やはり悪意によるものと、それから商売で、この
情報
は人に売れば高く売れるぞということで、その
企業
の意思によってやるもの、これをどう抑えるかということですから、これはこれで私は、担当の主務
大臣
が怖い顔をして、どうしてこういうことが起こったのかということから始めて十分監督をする必要があると思っておりまして、そういった体制は
我が国
においては十分対応できるんじゃないかと。ちょっと案件の数が今後、分かりませんので、
野党提案
の中にあった第三者機関が必要なほどの実態になるのかならないのか。 それから、もう
一つ
ありまして、そのための機関を作ると、むしろ一生懸命働いて、もう方々へ行って、これはもう働かなくちゃいけないということで、むしろ非常に熱心に
規制
を始めるという性癖もありますので、
行政機関
を創設いたしますと、そんなことがあるかどうかというのはまだ今後のあれで分かりませんけれども、取りあえず私は、
日本
国の今の実情から見ると、ヨーロッパ方式等と違うやり方で十分
役割
は果たせるのではないか、その上でまた
検討
すべきであると、案件も増える可能性もございますので、そういうことでございます。
内藤正光
157
○内藤正光君 ただ、私、ちょっと思いますのは、今回の
法案
は、第三者機関どころか、今でこそ
細田
大臣
がこの
法案
の担当
大臣
として答弁に立たれていますが、特命担当
大臣
の設置を想定していませんよね、この
法案
の作りは、
内閣
法を見ますと、たどっていきますと。そうなると、調整する軸自身が存在しないわけなんです。
内閣
総理
大臣
といったって、
内閣
総理
大臣
が一件一件そんな対応をするわけにいかないわけですね。 そこで、例えば
一つ
例示を挙げますと、金融システムを手掛けているような
情報通信
産業、これはどこが関与するかというと、まず金融界ですから財務省ですよね、
情報通信
産業ということですから、
データ処理
だとか通信、つまり経済産業、
総務
、少なくとも三つは関与するわけです。これ、一体不可分な要素なんです、皆。 じゃ、懸念される最悪な事態はどういうことかというと、例えば苦情を申し立てるにも、どこに申し立てていったらいいか分からない、つまり、
国民
の側にとっても分からない。逆に省庁側からすれば、やはり勧告権を盾に三省庁、競い合うように多分関与してくるんだろうと思います。これはこれで、事業者の立場に立ってもこれまた大変なんですよね、対応が。ですよね。こういう事態というのは絶対にないと保障できるのか。私は、少なくとも今のこの
法案
の中で、例えば第三者機関が設定できないというのであれば、例えば窓口をちゃんと作っておくとかですね、調整するための窓口とかそういったものを作っておくべきだと思うんです。それがなきゃ絶対うまくいかないと思いますが、どうなんでしょうか。
細田博之
158
○
国務大臣
(
細田博之
君) そういったことにも対応するために、今既に年間一万件近い苦情を、いろんな、消費者センターですから、買ったものの苦情もあれば、いろいろなことが生じたと、欠陥があったとか、これをどうしてくれるかというときに、
国民
生活センターはそれぞれその
状況
に応じて振り分けをしておりますので、その機能を持たせておるわけでございます。
内閣
総理
大臣
と書いておりますのは、その下におる
国民
生活センターを中心としましてそういう振り分け機能を実行するということでございまして、あとは
政府
の内部の調整ですが、あなたここで調整してください、指導してくださいと言えば、当然それはするし、共同でということになれば共同でするという体制は容易に取り得ると考えております。
内藤正光
159
○内藤正光君 この件についてはまた後日時間を割いて
議論
したいと思いますが、次に、
行政機関
法の方に移らさしていただきたいと思います。 時間も大分押し迫ってしまいましたので少々早口になろうかと思いますが、まず紙
情報
の
取扱い
についてなんですが、今回第二条で、紙
情報
もその
個人
ファイルということで追加した、これは
評価
できるんですが、事前通知の
対象外
になっていますよね、
総務大臣
への。その理由は何なのか。また、じゃ、事前通知の
対象外
であるならば、
総務大臣
は紙
情報
については全く関知しないのか。それをお尋ねしたいと思います。
片山虎之助
160
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 紙
情報
の重要性が低いというわけじゃないんですが、電子計算機
処理
に見られるように大量高速
処理
に適していませんわね。だから、そういう
意味
では、
個人
の
権利利益
侵害のおそれも電子計算機
処理
に係る
個人情報
ファイルに比べたら少ないと。そこは膨大なことにもなりますので、手続その他が、事前通知は要しないと、こういうことですが、紙ファイルについても、
個人情報
ファイル簿は一定の時間の公表を義務付けておりますから、これは各省に私どもの方でお願いしてやってもらうと。 それから、不適切な運用が行われている場合等を我々が把握いたしましたら、総理
大臣
が、事後的になるんでしょうが、資料の
提出
や
意見
の陳述の権限がございますので、これを行使して是正を図ると、こういうふうに考えております。
内藤正光
161
○内藤正光君 紙は高速
処理
に適さない、それもあってということなんですが、だとすると、ちょっと次の
説明
が付かないわけなんですが。
個人
の
権利利益
の
保護
という観点でいえば、その媒体が紙であろうがデジタルであろうが無関係なはずなんですが、例えば五十三条の罰則、よく見るとデジタル化されたファイルに限られているんですね。紙ファイルは
対象外
になっているんです。これだと
説明
付かないですよね。別に高速
処理
云々というのは罰則には全く関係ないことですから。私は、その辺ちょっと合理的な
説明
が私自身は考えられないんですが、いかがなんでしょう。
片山虎之助
162
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 紙
情報
の場合にも国家公務員法の守秘義務違反になるわけですね、これは漏らせば。特にこの電子計算
処理
個人情報
ファイルというのは、大量にこれを漏らそうと思えばやれますし、早くやろうと思えば遠くへまで行きますし、そういうことからいうと、これを漏らした場合の被害が非常に大きいと、こういう認識で、守秘義務違反を超えて今の五十三条を作りまして罰則を重くしているわけです。可罰にしているわけです。考え方はそういうことでございまして、紙
情報
は別だということじゃないんですよ。これは守秘義務のあの法のあれでいくと、こういうことであります。
内藤正光
163
○内藤正光君 じゃ、でも普通漏らすというときは、デジタルファイルのまま漏らすというよりも、むしろ印刷して外に出すというのが普通の在り方だとは思うんですが。じゃ、
一つ
の事例として、例えば、ある人がデジタルファイルで持ち出したら例えば五十三条に適用になるけれども、印字したものを扱った場合は、じゃ、この対象の外に置かれるのか。印字した場合、印刷した場合。これは、この
法案
じゃなくて国家公務員法の対象になるんですよということになるんですか。どういうふうに理解したらいいんでしょう。
片山虎之助
164
○
国務大臣
(
片山虎之助
君)
法律
に書いているとおりなんで、今の点がなかなか難しいところなんですね。だから、
個人情報
ファイルそのものが対象になっていますから、それは五十三条なんですよ。それを出力をして提供した場合にどうなるかというと、これはケースによりますね。
個人情報
ファイルそのものを持ち出したのと同じようなケースが考えられれば、それは罰則の対象になる。罰則というのはこの五十三条の。そうでなければ守秘義務違反と、こういうことになると思います。いずれも
個人
の秘密に属する事項ですからね。
内藤正光
165
○内藤正光君 じゃ、ケースによるということは、逆に言えば、たとえ出力したもの、紙ベースの
情報
であっても、場合によっては、これはデジタルファイルと同等なものということで五十三条に引っ掛かる場合もあり得るということですね。
片山虎之助
166
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 私は極めて限定的だと思いますよ。
法律
上はですよ、
個人情報
ファイルと書いているんだから。だから、紙になっても、
個人情報
ファイルそのものと同じような、本人が全部出力をしてというようなケースが該当することもあり得るんだろうと思いますが、極めて限定的なんで、最終的にはこれは司法の判断ですね。
内藤正光
167
○内藤正光君 同じ行為でありながら、どうも何か処罰が変わってくるというのも、私はちょっと理解し難いものがあるんですが。 ただ、
大臣
おっしゃったように、限定的とは言いながらも、場合によっては五十三条の対象になり得るという理解ですね。だから、全くもって一〇〇%否定、紙
情報
だからということで一〇〇%否定するものじゃないということでよろしいんですね。
片山虎之助
168
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) そのとおりなんですよ。やっぱり
立法
技術の問題もあるんですね。今のような出力した紙も対象にするなら、書かないといけませんよね、
法律
に。書いていないんだから。そこでは、
個人情報
ファイルと解釈できるような
状況
にある場合には五十三条と、私はこういうことだと思います。もし言われるようなケースも対象にするなら、私は書いていなきゃいかぬと。それは書いていないんだから、解釈上、それと同じだと見られる場合は対象になると。こういうはざまのところは、それは内藤
委員
、かなりややこしいですよ、それは。
内藤正光
169
○内藤正光君 この点も含めて、また同僚
議員
が後いろいろ
議論
してくれるかと思いますが。 次、ちょっと第三条の三項、
利用
目的の変更、これは
一つ
の例示かもしれませんが、
議論
させていただきたいのですが、相当の関連性を有すると合理的に認められれば
利用
目的の変更が可能となっています。私が問題にしたいのはそこじゃないんですね。相当の関連性があるのかどうかを判断するのは、この
法案
の枠組みでは各省庁任せということですね、各省庁が独自に判断をすると。そうなると、判断基準がまちまちになるだろうし、また恣意的な運用もないとは言えないと。 やはりこれは、
内閣
一体だと言っているわけですからこういうことがあってはいけないわけですが、ですから、そこで相当の関連性が何なのかというのを具体的にやはり明示しておく
意味
があるし、主管
大臣
、
総務大臣
が明示しておく必要がありますし、各省の判断の客観性というものをどういうふうに担保しようと考えているのか。まちまちにならないように、恣意的な運用を行われないように、どういうふうに
総務大臣
としては考えていらっしゃいますでしょうか。
片山虎之助
170
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 前の
法律
では、これは事務の所掌の範囲なら
利用
目的の変更は可能だと、こうしたんですね。今回はそれじゃちょっとねということで、「相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲」と。そうすると、相当の関連性とは何か、なかなか難しいですね、これも。 ただ、各省が判断をするんですが、いろんなケースがあるものですから、私どもの方でそれはこうだということを示すのはなかなか難しいんですけれども、しかし、これについてはやっぱりいろんな
議論
があるんで、我々としてもいろんなケースを考えながら各省と一緒になって何らかのガイドライン的なものは作る必要があると、こう考えております。
内藤正光
171
○内藤正光君 じゃ早急に、担当の
大臣
ですから、ガイドラインを作って、各省やはりちゃんとした基準を作っていただきたいと思います。 そして、これとも絡むんですが、私はやはりこの
法案
の
問題点
の
一つ
は、目的外
利用
にしても変更にしても、その是非を判断するのが何と
利用
当事者である各省庁、言葉を換えて言うならば、選手が審判を兼ねているというのがやはり大きな問題ではないかなと思います。となると、さっきも言いましたが、ややもすると各省庁ごとに恣意的な法運用がなされてしまうおそれがあると。 そこで、じゃどういう解決策があるかなというふうに考えますと、まず少なくとも第一歩として、やっぱり責任者を置くべきなんだろうと、各省に。大体、聞くところによれば、
個人
ファイル等については各省の課
単位
に、課ごとにやっぱりファイルというのは
管理
されるだろうというふうに聞いておりますので、例えば各省の各課ごとにこの
法案
の関連で責任者を置いて適切な法運用に努めるべきだと考えますが、
大臣
のお考えをお尋ねします。
片山虎之助
172
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 内藤
委員
御承知のように、現行の
法律
でも
個人情報
の電算
処理
に係る業務を担当する課室の長を
管理
者に指定しているんですよ。そういう指定するようにしてくれというガイドラインを出しているんです。それは今度は広がりますよね、御承知のように。それから、内容もかなり詳細になってくるものですから、やっぱりこの
管理
体制の徹底はどうしても不可欠だと、こういうふうに思っておりますので、現行法よりも更に進んだ
管理
体制をしくように、これも各省と相談いたしたいと、こう思っております。言われることは私もよく分かっておりますし、やっぱり責任者を決めてきっちりやらせると、責任の所在を明らかにするということは大変重要なことだと、こういうふうに思っております。
内藤正光
173
○内藤正光君 じゃ、本当に責任者の、責任の所在が不明確だとやはりこの法の適切な運用がかなわないわけですから、しっかりと各省とも相談をして、責任者をできる限り私は
個人
ファイルの所有
単位
で置くべきだと思いますので、お願いをしたいと思います。 次に、これちょっと大きなポイントではあろうかと思いますが、第八条の目的外
利用
と提供についてお尋ねしたいと思います。 第八条では、
利用
目的以外の目的のために保有
個人情報
を自ら
利用
し、又は提供できるとありますね。このことは、ちょっと
法案
を読んでみても
国民
に知らされるすべがないわけなんですが、
国民
に知らされるんですか、目的外
利用
並びに提供されたことについては。
松田隆利
174
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。 一定の
個人情報
ファイルにつきましては、先ほどの公表の制度の中で経常的な提供先等が明らかにされるわけでございますが、ここで言う目的外
利用
・提供につきましては、現行法におきましては、
施行
状況
調査ということで
総務大臣
が調査をいたしまして、現行法では電算
処理
個人情報
ファイルだけでございますが、目的外の
利用
・提供の
状況
を調査の上、公表しているところでございます。 新法におきましても、
施行
状況
調査を行っていくことになるわけでございますが、引き続き電算
処理
個人情報
ファイルの目的外
利用
・提供の
状況
については調査、公表してまいりたいと考えておりますし、更に公表内容の充実につきまして今後
検討
してまいりたいと考えております。
内藤正光
175
○内藤正光君 毎年の
施行
状況
調査を公表しているとおっしゃるんですが、私も持っています。ただ、これ見ても、
国民
の立場で見ても、
自分
の
情報
がどういうふうにどこで目的外
利用
されて提供されているかなんて全く分からないんですよ、こんなのは、よほどこの道に精通している人でもなければ。これをもってちゃんと
国民
に通知しているというのは余りにも私はいい加減じゃないのかなと思うんです。 やはり、
国民
にとって、特にこの今回の
法案
の趣旨にのっとって言うならば、
自分
の
情報
がどこで使われているのか、ちゃんと的確に知らせることがこの
法案
の精神にのっとったことだと私は思います。どうなんですか、本当にこんなんで知らせたことになるんですか。じゃ、お答えください、まずは。
松田隆利
176
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) 先ほども申し上げましたように、
個人情報
ファイルの
情報公開
、公表の制度で経常的な提供先を公表するとともに、
施行
状況
調査によりまして目的外の
利用
・提供の
状況
を明らかにしていきたいということも申し上げたわけでございますが、先生お尋ねのように、
国民
が
行政機関
におきまして自らの
情報
がどのように取り扱われているか、そこをよく
国民
の方々に分かるようにしていく必要があると考えておりまして、新しい
法律
の第四十七条でございますが、におきましては請求をしようと、いろんな請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置、これは
利用
停止請求の場合でございますが、そのほかの請求の場合もそうでございますが、請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものということになっておりまして、今後、そういう
国民
に対する
情報
提供の在り方について
施行
の段階で
検討
してまいりたいと考えております。
内藤正光
177
○内藤正光君 少なくとも今の状態では、今の状態でいいという判断をもしされたとしたら、先ほども
利用
停止請求というふうにお触れになられましたが、三十六条一項一号に言う目的外
利用
に関する
利用
停止請求というのは十分機能しないおそれがあるわけですね。それがちゃんと十分機能するようにその公表の仕方も変えていくという、改善していくという、そういう理解でよろしいんですね。
松田隆利
178
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) 先ほど申し上げましたように、一定の重要な
個人情報
ファイルについては、公表制度ですとか、それから先ほども申し上げましたように、
総務大臣
による
施行
状況
調査によって目的外
利用
・提供の
状況
を明らかにしていくわけでございますけれども、すべてのものについてというわけではございませんが、そういうことで、通知、公表が適切なものにつきましては
個人情報
の
取扱い
の
状況
を明らかにしているところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、すべてのものというわけにはまいりませんので、
国民
の皆様が開示請求あるいは訂正請求、
利用
停止請求等において請求が行いやすいように、四十七条等におきましては、請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとすると書いてあるわけでございまして、そういう趣旨に沿うように、今後その
情報
提供等の在り方について
施行
の段階で
検討
していきたいと考えておるところでございます。
内藤正光
179
○内藤正光君 時間もあと四分でございます。最後の
質問
になろうかと思いますが、目的外
利用
と提供のことについてもう一点
質問
させていただきたいんですが、第八条二項四号に、読んでみますと、統計の作成だとか学術研究の目的のために提供することもできるし、また、本人の利益になるとき、その他保有
個人情報
を提供することについて特別の理由があるとき、第三者に提供できるというふうになっています。これは、例えば公益法人だとか民間にも提供することを想定した条文ですよね、民間に。 じゃ、民間に一回提供されてしまったらどういうことになるのか。当然のことながら、現在あるというか
審議
している
個人情報保護法
の
対象外
ですよね。ですよね、いわゆる包括法の中ではあるかもしれませんが。ただ、
大臣
も何度もおっしゃっているように、これは厳しく
管理
しているんだ、民間はまあそこそこにとかいうことをよくおっしゃっているんですが、この
行政機関
法は厳しく
管理
しているんだと。でも、一回、いったん民間の側に移ってしまったら、じゃ何の適用、この
法案
の中で適用されるかというと、第九条になるんですが、第九条は、ちゃんと
管理
してくださいよと、「求めるものとする。」というふうになっちゃっているんです。ということは、一言で言えば
保護
のレベルが下がるわけなんです。例えば私の
情報
が、
行政機関
に保有されているときはちゃんと厳格に
管理
されながらも、これが私に知らされないまま民間に譲り渡された、その時点で
保護
のレベルが下がっちゃうんですよ。これ、おかしくないですか。どうなんでしょう。
片山虎之助
180
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 民間
企業
や公益法人に提供する場合にも、民間
企業
や公益法人は基本
法制
の適用はあるんですよ。基本
法制
の対象にはなる。 そこで、今、内藤
委員
が言われたような心配があるものですから、書いていますよ。安全確保の措置について何とかと書いておりますが、それだけじゃ不十分だと思いますので、例えば覚書を結んで、提供する際に、こういうことは守ってくれ、場合によったら
状況
をチェックするよと、こういうことで担保していくことも必要ではないか、こう考えておりまして、今後、こういうことにつきましてもガイドラインを作ってまいりたい、各省庁ありますから、こういうふうに思っております。
内藤正光
181
○内藤正光君 あと時間も一分でございますのでこれで終えますが、今日は住民基本台帳を始め
個人情報保護法
並びに
行政機関
法、ちょっと包括的ないろいろ
議論
をさせていただきました。 ただ、まだまだ私は、本当にこれ
保護
法益は何なのかという観点で見た場合、本当に疑問を感じざるを得ない点が多々ございます。そういった点、私自身もまた何度か今後も立ちますけれども、同僚
議員
もこの辺いろいろ
議論
をさせていただくことになろうかと思いますが、私の
質問
を終えさせていただきます。 どうもありがとうございます。
山本保
182
○山本保君 公明党の山本保です。どうぞよろしくお願いします。 ちょっと私はこの分野は本当に今のお二人の先生のように
専門家
じゃございませんので、ちょっと順番も興味のあるところからという形で、法の順番になっておりませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。 最初に
細田
大臣
に、この
法律
の元になっております背景に絡みまして、本会議でも御
質問
したんですが、もう少し詳しくお答えいただきたいと思っております。 それは、
大臣
もこの
情報
保護
法の担当になられたというのは、正にIT担当というところから行ったんだろうと思うわけでございます。今ITというのが正に
日本
の産業の
一つ
の切り札になり得るだろう、なっていただきたいと思っているわけですけれども、巷間、ITバブルというような言葉がといいますか、そういう
状況
も生まれたり、今ITといいますと何か以前のような輝きというのが失われているんじゃないかなというような気もしてならないんですけれども、こういう観点から、その辺の総括と、そしてまた経済効果について、このまた
法律
とも絡めて御
説明
いただければと思いますが、いかがでしょうか。
細田博之
183
○
国務大臣
(
細田博之
君) ITの需要に関連しては、欧米あるいは
日本
あるいはその他のアジア諸国、それぞれにおいてレベルが違うという気がいたします。
日本
では長らく半導体産業が非常に好調でございました。それに対して、
インターネット
関連とかソフトウエア関連はどうも低調であると。しかし、
e—Japan基本戦略
等を設定いたしまして、これに基づいて、今、
教育
面、
社会
資本面、特に光ファイバー網の敷設等々、あるいは
インターネット
の面でも非常に力を入れてまいりまして、長期不況と言われておりますが、その中では非常に成長産業となっているわけです。また、いわゆるモバイル機器、
携帯電話
などは今や七千万台、ほとんどゼロに近い水準からあっという間に七千万台。しかも、その機器で
インターネット
の通信ができるというふうに、恐るべき需要もあったわけですね。 ただ、アメリカでもバブル崩壊と言っておりますのは、いわゆる
パソコン
のようなもののハード自体が一段落し、また半導体自体の需要も一時落ち込む。あるいは、
インターネット
を使った
サービス
業もアメリカの方が早く立ち上がったんですが、なかなか、頭打ち傾向が出て、それがむしろ大きな負担になったというような
状況
がありますが、
日本
ではむしろ
インターネット
等を
利用
した
サービス
業は今ようやく立ち上がり傾向を見せております。 そういった
状況
でございますので一概には言いにくい面がございますが、むしろ私は科学技術担当
大臣
もしておりますので、ITの技術開発はこれからもどんどん進みますし、いわゆるユビキタス
コンピューター
というような、もう
コンピューター
自体が腕にはめて使われるとか、あるいは物の流通にすべてICチップが使われて、全部の在庫
管理
から製造
管理
等ができる
時代
になるということで非常に楽しみな側面がたくさんあるわけでございますので、私は、中長期に
日本
の経済を引っ張っていくのはITが
一つ
の柱であり、そのほかにバイオテクノロジーとかナノテクノロジー、ナノテクノロジーもITと関係しますけれども、あるいは
環境
エネルギー技術というものがあって、そういったものの知的財産権などで飯を食っていかないと
我が国
のこれからの二十一世紀の経済はなかなか厳しいと。発展途上国が片方で追い上げておりますし、そういうふうに考えておるわけでございますので、非常に大事な、需要面等で大事な産業であると思っております。
山本保
184
○山本保君 ありがとうございます。 正に今、最後にもちょっとおっしゃいました知的財産権などについては、これは本当にもう各産業、また全体に急いでという話があるときに、この
情報
、
個人情報保護
については少しく後れてきたというのはちょっと残念だったなという気がしております。早く成立させたいものだと思うわけですけれども、ちょっと順番はこれで、連絡したとおりにしてお聞きします。 最後に、先ほども
お話
があったこととも関連するんですが、ちょうど昨日、全国消費者団体連絡会消費者関連法
検討
委員会
というところから、各
委員
にも来ていると思いますけれども、この
法案
についての申入れが私の方にもやってまいりました。ちょうど私も考えていたことだったものですから、その中から幾つかお聞きしたいと思っているんですけれども。 これで、この
法律
ができまして、
情報
については相手の
企業
とか業者と
お話
をしてくださいよ、そういうまず民間同士のものが基本ですよということでこの
法律
全体ができていると。これは大変結構だと思うんですが、反対に、ただ消費者の側といいますか、
国民
の側からしますと、今日
お話
にも出ました、地域の、各県にあります消費者センターとか、それから
国民
生活センター、これが大変行きやすいんじゃないかと。私も、
議員
になりまして、ほかの先生方も、こういう問題があったときにはまず多分ここを御紹介するというケースをたくさん私もやっております。 また、その一番上といいますか、
国民
生活
審議
会ですか、ここがまたその問題などの最終的な
処理
なり、それをお受けするというふうにも聞いているわけでありますけれども、この
審議
会、また
国民
生活センター、こういうものがもう少しきちんとこの
法律
、条文というよりは政令事項になるんでしょうか、の関係を書いていただきたいなと思っているわけなんです。 実際に今日もいろいろもう
お話
が出たので、まとめた形で
お話
ししていただきたいんですけれども、各
個人
がそこへまず行ったときに、そこが例えば窓口になって、業者なり、また
保護
団体など、認定
保護
団体に話を持っていくというようなことも当然やっていただきたいと思うわけですけれども、この辺、いかがでしょうか。
細田博之
185
○
国務大臣
(
細田博之
君) 正におっしゃいましたことが大変大事でございます。
国民
生活センターというのがあって、今までも消費者に対するありとあらゆる苦情を承り、営々と問題
処理
をやっておりますが、年間で九千件を
処理
しておるということは、二百五十日稼働としますと大体一日三十六件、十五分に一遍ずつ苦情が持ち込まれると。そして、経済産業省消費者相談室というのがありますが、それは一部はこの
国民
生活センターから回ってくる、これは経済産業省所管のものであるよというのがありますけれども、一万五千件の苦情
処理
をしておるわけですね。中には全く根拠がなかったりするものもありますけれども、それぞれに問題を抱えたものを窓口として
処理
しております。 最近は非常に消費者の方も強く官庁に当たられますので、なかなか、更にメーカーあるいは関係
企業
に照会したりして調整するということが難しいケースも多いようでございますが、それを地道に各省ともやっておるようでございます。 したがって、私どもは、そういったところを中心にして大いに活用したいわけですし、かつ、地方公共団体においてもこのようなセンターは必ず設けられておりまして、消費者相談をやっております。 この
個人情報処理
の問題も全く違うようにも見えますが、一般
国民
からの苦情という
意味
では非常に類似のものがありますね。したがって、私の
名前
が何か急にあて名に付いてどこかの通販会社から来たけれども、どうなんだ、これは怪しいぞ、どこから漏れているんだろうかというようなことも消費者問題であるとともに
個人情報保護
問題であるということでございますから、正におっしゃいましたように、
政府
を挙げてこの体制を
整備
するべく、今、この
法律
の成立を待ち構えておりまして、準備もかなりしております。 関係業界団体も、もし通れば、いろんなガイドラインを作って、今までの過失にすぎないようなケースは、こういう過失は起こしちゃいけませんと。それから、わざと故意でやったようなものについては厳しく当たるということで、その前に基本方針等、この
法律
に基づく手続が必要でございますが、早速実態上は稼働に入ろうということでございますが、やはり根拠法も必要でございますので、今までは事実上、消費者相談等で対応しているものもございますけれども、今後は法に基づいても対応できるという
意味
で、非常に大切な今時期にあるというふうに考えておるわけでございます。 また、先ほどあれですか、消費者団体の連合会の御要請の
お話
ありましたけれども、それは次の、今すぐお答えしてもいいですか。
山本保
186
○山本保君 どうぞ、じゃ、お願いします。
細田博之
187
○
国務大臣
(
細田博之
君) この
権利利益
侵害に遭った場合には、何人も主務
大臣
に勧告を求めることができるよう申出制度を設けるべきというようなことがございまして、苦情にはいろいろなものがありますけれども、その
一つ
として
個人情報
の違法な
取扱い
の是正を求める場合は多いと考えておりますので、
法律
の体系は、本来は
個人
がその
企業
、
自分
が被害を受けたと思った
企業
と直接話をするということが基本でございますが、なかなかこれはらちが明かないぞというような場合には、当然主務
大臣
にそれを持ってくる。主務
大臣
の前に
国民
生活センターでもいいんですが。そして、主務
大臣
というか、主務官庁の方から、これは
社会
的に看過できないという場合が当然ありますので、実情を把握して、必要な是正を求めると。まずそういうことがございますし、勧告とか処分というのは最終的な担保としてはありますけれども、普通は、民間
企業
もわざとやったのでなければ、実は過失も多いんで、こんなことがあったようだがどうだと言うと、大体は助言をするとすぐ解決するということも多いんですね。過去の八十何件の例でも、まあ七、八割はそういう例でございますから、そういう是正は求められると思います。本当に悪質なものについては更にその先へ、法的措置を講ずるべくやっていかなきゃならないと、こういうことだと思っております。
山本保
188
○山本保君 ありがとうございます。 今、
お話
がありましたように、消費者センターとか、また、じゃ
大臣
、
政治家
でございますから実際
名前
も知られていますし、個別の
企業
などにやっぱり電話して、けんかになるんじゃないかというようなことよりは、そのセンターなり、又はその場合、またセンターの方から話があったら
大臣
の方にも話が持っていけるというようなことを是非何らかの形できちんと示していただいて、
法律
ではないようでございますので、運用のところで定めていただきたいということをじゃお願いいたしておきます。 次に、これは今日も二人の先生も
お話
が出たことでございますが、私ちょっとしつこくここは、いろいろ金融関係の信用
情報
でありますとか、また
医療
分野でありますとか
教育
分野でありますとか、ちょっと個別に、担当の省来ていただいていると思いますので、まあ
国会
でございますからこういうことは、
大臣
先ほど内々お願いしているというような答弁とか、何か
法律
が先できないとできないということもあったようでございますけれども、しかし、実際どの程度進んでいるのか、ちょっとお聞きしたいんでございます。 最初に、まず金融信用
情報
について、これは非常に今日もう具体的な例はありましたので、時間が限られておりますから私の方からは避けますが、担当伊藤副
大臣
、今、この信用
情報
の
保護
についての
法律
、
法律
といいますか、その制度ですね、どの程度進んでいるのか、
お話
しいただきたいと思います。
伊藤達也
189
○副
大臣
(伊藤達也君) 金融分野においても
個人情報
の
取扱い
が重要な論点になると考えられておりますので、これまでも本
法案
に加えた追加的な処置が必要かどうかについて実は金融
審議
会において
議論
をしていただいております。しかし、まだ一定な結論が出ている
状況
ではございませんで、今後も、本
法案
の
審議
状況
、そしてその中での
意見
を
参考
にしつつ、
個人
の信用
情報
の
保護
について
立法
的な処置が必要かどうかを含めて
検討
していきたいというふうに考えております。
山本保
190
○山本保君 副
大臣
、それは今までの答弁どおりだと思うんですけれども、できれば、もう大体これで先行きも見えてきます、いよいよ今度は運用をどうするかということが
一つ
重要なことじゃないかと、私も与党の一員としてそんな気がしますので、今日はそういう話をいろいろしたいわけなんですが、具体的にこの
審議
会のどういう
検討
をされているのか、御紹介いただけませんでしょうか。
伊藤達也
191
○副
大臣
(伊藤達也君) 実は、金融
審議
会の下に特別の部会を設置をさせていただきまして、今までにも六回この特別部会を開催をさせていただいたところでございます。その中で、主要な
検討
分野についての論点整理を行ったり、あるいは金融
審議
会と産業構造
審議
会が合同で
議論
をしていただいたり、そしてその中で信用
情報
機関の方々から
意見
聴取をさせていただくというような作業をさせていただいているところでございます。
山本保
192
○山本保君 今日の
審議
の中ででも、多重債務の問題でありますとか、そのほかの関係というのは多分個々の契約事項に書いてあるようなものもあるんだろうなとは思うんですけれども、実際の現場の方が進んでいる分野もあるのではないかとも思います。是非この辺は、この法の趣旨というものから、より消費者、一般
国民
を
保護
できるような形で進んでいただきたいということを、じゃお願いしておきまして、伊藤副
大臣
、ほかにお急ぎなようでございますから、どうぞ退席なさって結構でございます。 次に、
情報通信
分野ですね、今日も
NTT
関係の
お話
など具体的に出てまいりましたけれども、この辺についても、これは
総務
省ですが、担当が違うようでございますので、
総務
省担当
局長
から、この分野の
個人情報保護
についての特別な
法制
というものについての
審議
状況
について、
検討
状況
を御紹介ください。
有冨寛一郎
193
○
政府参考人
(
有冨寛一郎
君) 今回の
個人情報保護
に関する
法律案
につきまして、このすべての分野を包括的に対象とすると、そして
個人情報
を取り扱う事業者の義務等を定めるということでございまして、その対象に
電気通信事業
者の保有する
個人情報
も含まれるというふうに認識をしております。 そこで、
総務
省といたしましては、まず
電気通信事業
者が基本
法案
に定められる義務を遵守をするということが重要であると考えておりますが、その上で、電気通信分野につきましては、
個人情報
が大量に収集、
利用
されます。そして、当該
個人情報
の内容についても緊密性が高くてかつ漏えいの場合の被害も大きいと、こういった事情が認められますので、
個人情報保護
の必要性は相当高い。こういう観点から、この電気通信分野における適切な
個人情報保護
のための必要な措置につきまして、本年二月に
電気通信事業
分野におけるプライバシー
情報
に関する懇談会、これを設置をいたしまして、現在、
議論
を進めておりまして、二回ほど進めてきております。 来年の春までには取りまとめをお願いしたいということで、現在お願いしているところでございますが、いずれにしましても、
総務
省としては、
国会
における御
議論
の
状況
あるいは
電気通信事業
者における
個人情報
の
取扱い
の実態、そして懇談会における
議論
等を踏まえまして、基本法の
施行
までに
検討
いたしまして適切に対応してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
山本保
194
○山本保君 ありがとうございます。 じゃ次に、
医療
分野についてお聞きしたいと思います。 この分野は、既にいろんな形で問題といいますか、
医療
ミスの問題ですとか、またカルテ開示等ということで私も関係しておりましたので、いろいろ大変な
状況
にあるということは分かるんですが、少しその辺の全体的な
状況
について
お話
しいただきたいと思いますが。
篠崎英夫
195
○
政府参考人
(
篠崎
英夫
君)
医療
分野におきます
個人情報
の
保護
につきましては、従来から刑法あるいは
医療
関係法規におきまして資格に着目した守秘義務規定が設けられております。既に設けられております。 具体的に申し上げますと、医師、歯科医師、薬剤師、助産師につきましては、刑法百三十四条によりまして守秘義務が既に課せられております。また、診療放射線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士などにつきましては、各資格法によりまして守秘義務が課せられております。従来、守秘義務が課せられておりませんでした看護師、准看護師、保健師、歯科技工士につきましては、
平成
十三年の
法律
改正におきまして守秘義務が課せられることになりました。 この結果、医師など
医療
にかかわる専門職種につきましては、すべて各資格法におきまして、刑法を除きまして各資格法におきましてすべての守秘義務が課せられているというふうになってございます。 また、現在、先生御
指摘
のように、
医療
分野の
個人情報
につきましては大変センシティブな
情報
であるというふうに認識をいたしております。今後の具体的なその
取扱い
につきましては、
個人情報保護法
案のこの御
審議
の
状況
も踏まえながら適切に対応していきたいと考えております。
山本保
196
○山本保君
篠崎
局長
、ちょっと二、三、少し踏み込んでお聞きしてよろしいでしょうか。 例えば、今日も少し問題になりましたが、カルテといいますか、
医療
ミスではないかというようなとき、守秘義務があるといいましても、犯罪であるというふうに思われるときには告発の義務もあるんじゃないかなという気もしますけれども、この辺のところ、今は守るということだけでございましたけれども、しかしその
情報
をお医者さんだけが持っているということについて、私もいろんな患者さんなどから声があって、それが何か文句を言いたいんだけれども言えないというようなこともあります。何かこういうところのルールですね。 それからもう
一つ
、今回の
法律
では、
お話
ありますように、五千人ということが
一つ
の基準になりそうなんですけれども、それより小さなお医者さんとか診療所、医院というのが一杯ありますが、こういうところというのはそれなりの網を掛けていただく必要があるのではないかなという気もするんですけれども、これはいかがでございますか。
篠崎英夫
197
○
政府参考人
(
篠崎
英夫
君) ただいま先生御
指摘
のように、もう少し踏み込んで診療に関する
情報
提供、こういうものの在り方については、今、現在
検討
会で御
検討
をしていただいておるところでございます。 それで、カルテなどの診療
情報
につきましては、この
個人情報保護法
案が成立いたしますと、それで
施行
されますと、
医療機関
は患者本人から求めがあった場合には原則として開示する義務を負うということになっておるわけでございます。 また、私どもとして、今
検討
会で
検討
中でございますけれども、いろいろ御
意見
がございまして、一定の小規模の
医療機関
の診療
情報
の提供の問題がどうなるのかということですとか、あるいは遺族への診療記録の開示がどうなるのかというようなことが
議論
になっておるわけでございますが、今のところ、こういった部分が欠落しているので個別法によって対応することが必要だという御
意見
もございますし、また、
法制化
によってそういうことをするよりも、いわゆるガイドラインのようなものを作って自主的な取組を促進すべきでないかと、こういう御
意見
もあるわけでございます。 ただ、一致しておりますのは、患者に対しての診療
情報
を積極的に開示していくべきである、こういうことについては基本的には御
意見
皆一致しておるわけでございますから、私どももこのガイドラインの策定をするなどいたしまして、今後この問題に真剣に取り組んでいきたいと思っております。
山本保
198
○山本保君 ありがとうございます。 原則開示、求められれば開示ということはなるほどと思いますが、また、がんのことですとか、いろんなことなどになりますと難しいのではないかというか、そういうお医者さん
たち
もおられることも事実だと思います。おっしゃるように、確かに
法律
で一遍に縛るよりは、まず現場の方々の合意をもって動かしていくというのがいいのかなという気も確かにしました。なかなか難しい分野でありますけれども、よろしくお願いしたいと思いますが。 次に、もう
一つ
教育
分野ですね、これも今日少し
お話
が出たところでありますが、私、二つについてちょっとお聞きしたいんです。 例えば内申書、裁判もありましたし、最近はいろいろ個別に開示する事例などもできておるようであります。こういうものについては
個人情報
としてどういう位置付けがなるのかということ。 それから、もう
一つ
は、よくありますいじめというようなことがあって、大変かわいそうな、残念な自殺というようなことになったとき、どうしてそういうふうになってしまったんだというようなことが
教育
現場でよくある。そのときに、その
情報
が遺族などに出るのか出ないのかというようなことでもいろんな動きがあるようでございますけれども、文部科学省からこの辺について御
説明
いただきたいと思います。
矢野重典
199
○
政府参考人
(
矢野
重典
君)
教育
のケースについて二点お尋ねがございました。 まず、高校入試の調査書、いわゆる内申書でございますが、これは
学校教育
法
施行
規則の規定に基づきまして、中学校の校長が生徒の平素の学習
状況
あるいは
評価
等について記載をし、志願先の高校へ送付するものでございまして、その様式あるいは記載事項等はそれぞれの地方公共団体が定めているものでございます。 また、公立高校のいじめに関する
教育
委員会
への報告書についてでございますが、これにつきましても、いじめの
状況
あるいはてんまつ等を当該高校が
教育
委員会
へ報告するものでございまして、
個人
名を記載するか等も含めまして、記載事項等の内容は、これはそれぞれの地方公共団体の判断にゆだねられているものでございます。 両者につきましては、仮に、それぞれの地方公共団体がその保有する
個人情報
につきまして、地域の実情に応じ一般法以上の措置が必要と判断いたしました場合は条例等により手当てすることが適当であると考えておりまして、現にそうした形で既に措置がなされているところも多いわけでございます。
山本保
200
○山本保君
矢野
局長
、せっかくの御答弁ですのでもう少しお聞きしたいんですが、確かに
法律
上は地方で決めることであるということもあるかもしれませんが、ただ、例えば私立の学校だったらどうなのかということもありますし、やはり国として、地方ごとにその判断が全くこれも違っているとなりますと、この問題については少しそれではなかなか良くないんじゃないかなという気もするんですけれども、文部科学省として、もちろん個別の
状況
判断というのがあるにしても、大きな原則というようなものを示す必要があるのではないかなと私は思うんですけれども、そうは思われませんか。
矢野重典
201
○
政府参考人
(
矢野
重典
君) この
法律
、
法案
の趣旨にのっとりまして、それぞれの地方公共団体におきましては、その区域の特性に応じて
個人情報
の適正な
取扱い
を確保するための必要な措置が講じられるというふうに考えておりまして、御
指摘
のような
教育
情報
につきましても正にそうした観点から必要な措置が講じられるわけでございまして、そのことは国として、国として一般的なものを示すということではなくて、示すことではなくて、今申し上げましたように、内容等々につきましても、記載事項等々につきましても、各学校でございますとかあるいは地方公共団体の判断にゆだねられる部分でございますので、そういう
意味
でこの
取扱い
につきましては国として統一的な基準を示すのは適当ではなかろうかと思っております。
山本保
202
○山本保君 なかなか難しいなという、正にこういう
法律
、そして個別分野についてはいろんな課題があるんだなということが分かるわけでありますけれども、この辺はまた、今日はこれぐらいにしまして、よその
委員会
などで問題にして、またいろいろ
議論
をしていきたいと思っております。 それでは、次の方に移りまして、これはちょっと簡単なことで確認だけでございます。 主務
大臣
の決め方について、業界の方でのことでやるのか、又は中小
企業
庁というようなところで包括的にやるのか。それから、NPOなどは、一応
内閣
府の方で例えば各県にまたがるのだけやっておりますし、そうでなければ知事が認定、認証の主体でございますよね。こういうものは、主務
大臣
というのはどういうふうに原則として考えていけばよろしいですか。
細田博之
203
○
国務大臣
(
細田博之
君) まず、多くの
企業
、
個人情報
の取扱事業者は、民間事業者として
サービス
、事業活動を行っているわけでございますので、その一般的な事業活動の所管
大臣
を主務
大臣
と考えております。 したがって、今お答えになったような各官庁の関係の直接の所管であればその
大臣
になることは明らかなんでございますが、問題は、やはりそういうところから出て、
情報
自体がいわゆる
データベース
事業者にもう既に渡っておって、その人がいろんな活動をしたりしておるというケースがありますね。そのような場合には、やはり
データベース
事業者というのは一種の
サービス
業として、基本的には経済産業省が主務
大臣
であろうと思っております。 ただ、若干、所管が重なるというような場合もございますし、どうしても不分明であるということで、もしも民間の方がどこへ行ったらいいか分からないというような場合には、
国民
生活センターに電話でも掛けていただいたり、お越しになれば、それをはっきり示すことにしております。事業の態様によって区々に分かれるということでございます。 それから、なかなか、今度は、そうやって各省に話をしてみたけれども、これは
自分
の省の所管でないなどといってそれぞれなかなか決まらないようなケースがもしあれば、
内閣
総理
大臣
が指定することができると。しかし、基本的には
情報
処理
事業者ですから、最後はどこにも入りそうもないものはほとんど経済産業
大臣
に行くことは間違いないと、
サービス
業であって、かつ
情報
処理
のそういった
データベース
業者ですから、と思っております。
山本保
204
○山本保君 それで、
質問
が順が逆になったような感じになりますけれども、つまり、今お聞きしましても、すべて最初から
大臣
のところへ話が行くというようなことでは実際にはなかなかワークしないと思います。そうしますと、この法三十七条以下ですか、認定
個人情報保護
団体というものが出てくるわけですけれども、これ、法文読みますと、作ることができるというような、何か非常に弱い言い方といいますか、に読めないこともないんですが、しかし私は、これは個別の業者などに個別に言ってくださいよと言ったり、またそこがしっかり私のところはやっておりますと、こう言ったとしても、なかなかそれは信用できない。こういうときに、団体、上の団体できちんと自主
規制
、ガイドライン若しくはチェック等々を進めていっていただいているということが、やはりそれがなければうまくいかないというふうに気がしますけれども、この辺はもっときちんと積極的に作ってくださいと。 見ますと、団体を作ると、その
保護
団体はどの取扱業者を入れているかを言いなさいと、こう言っているけれども、業者の方は別に入らなくてもいいということになりますね。しかし、
自分
だけでやっていますというようなものもどうなのかという気もしますが、なるべくたくさんのこういう団体が出てくるように持っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
細田博之
205
○
国務大臣
(
細田博之
君)
日本
には歴史的
経緯
から様々な団体があることは御存じのとおりでございます。 したがいまして、この
法律
が、
法案
が通りますと、各主務
大臣
がほとんどありとあらゆる団体、関係の団体に対して、このたびこういう
法制
度ができたと。したがって、会員の
皆さん
には、間違っても
個人情報保護
の観点から見て法に抵触するようなことがないように、次のような措置を取ってほしいというような積極的なガイドライン等を示しながら、それにどういうふうに対処をしておりますかと、おられますかと連絡、各
企業
、メンバー
企業
への連絡もどうなっていますかと、こういうことを早速開始しようということで待機をしておるような
状況
でございます。 その中で、まだ法人格を持たない団体とか、新しい産業であって、まだ会員数がそれほど多くないというような団体もあると思いますけれども、こういった団体でも認定を受けられることにしておりますので、幅広く今後認定団体を増やしまして、積極的に周知徹底を図ってまいりたいと思います。 再三申し上げておるんですが、いろいろ問題になった中で、個別の話合いによって、申し出て当事者として話し合うことによって解決されるものの比率は極めて高いと思っております。まだ非常に未成熟な産業とか業界がたくさんありまして、うっかりミスも多いわけでございますので、そういったものをまずなくすということが大事ですし、故意等で非常に悪質なものは速やかに捕まえていくという、捕まえるといいますか強力に指導して、そして是正措置を講じていく、条文にいろいろありますけれども、ということだと思っております。 ただ、個別の事業者は、悪質なものは除けば、
企業
としてむしろ信用が低下しますので、いろいろなことがあると。例えば、悪質といっても、社員の一人が悪質なことをやって漏らすという場合もありますね。その場合は、社員の行為は悪質であるけれども、会社としてはとんでもないことなので、
企業
の中でちゃんと自律的にどうやって
情報
が漏れないようにするかという対応をするわけですから、そういったものを入れますと相当程度対応し得ると思っております。会社ぐるみでそういう違法行為をやっているところは極めて少ないんじゃないかと思っております。
山本保
206
○山本保君
利用
者の側からしましても、会社のパンフレットなり、そういうものを見たときに、業者であります、そして
大臣
認定のこういう
保護
団体に私のところは入っておりますと。これは別に書けとは
法律
に書いていないんですけれども、やはりそう書かれてあって始めて、ああ信用できるなと、こういうような
価値
が付くのかなという気もしますので、是非これは進めていただきたいということですが。 そこで、ちょっとそのもう
一つ
また前になるんですが、今日も
議論
を聞いておりまして、私、ちょっと気になっておりますのは、
衆議院
もそうですが、なるべく業者を減らそう、入らないようにしよう入らないようにしようという
お話
ばっかり出ておりました。私、考えまして、違うんじゃないかと思うんですよ。 つまり、先ほど、ちょうど朝、
世耕
先生が十万人も
名簿
、
後援会
名簿
を持っておられて、当然、
世耕
先生は
政治家
ですけれども、これ、
データ
の、
情報
の、今回、取扱業者になりますね、もちろんいろんな義務は掛かりませんが。そして、あの先生が、私は取扱業者ですと、こう言われているとき、私の方はそんなに実はないんだけれども、私はそうではございませんなんと言うことは、これは逆に言えば、あなたのところは余り良くないねということを言っておるようなものでございますから、言うんなら、ちょっと気張って、本当はそんなにないんだけれども、私も業者ですと、こう言うかもしれない。 これ、業者ですと言ってよろしいんですか、いけないんですか。これは名称、そういう
名前
を使っていけないのか。これはお店のことなんかでも同じだと思うんですよ、業者でも。ないと言えば、五千人も
取扱い
していないですねということを公表するみたいなものですね。これは逆に、私はちゃんと、若しくは
法律
に基づく業者とは言えないとすれば、この
情報
、
個人情報
の取扱業者としての義務をきちんと果たしております、こんなような言い方だったらこれは虚偽でもないような気がします。 元々、それから、いいことですから、何も政令で、どこに決められるか知りませんが、それに入らないからといって、いや、それと同じように
自分
たち
はきっちり
取扱い
にはやっておりますということをするということは別に問題はないんじゃないかという気もしますが、この辺はいかがですか。
細田博之
207
○
国務大臣
(
細田博之
君) 今まで余り御
質疑
の中でそういう
議論
がなかったわけでございますが、正におっしゃったとおりでございまして、そもそも
個人
の信用で仕事をしておられるわけですから、いろんな、小売業をやったり卸売業をやったり製造業をやったり、いろんな
サービス
業をやったりというのはもう正に
企業
の、
個人
であれ
企業
であれ、信用第一でございますね。その信用が揺らぐようなことをして、あなたのところはいろいろ
自分
の
情報
がどこかに漏れておかしなことをやっているようだと言われたんじゃ、もう駄目でございますからね、普通は。したがって、それをやらないように努力されるのはまず一番でございます。 ただ、それは大いにおっしゃっていただいたらいいんです。
個人情報保護法
もいろいろ適用になりましたし、私のところはちゃんとやっておりますよということは五千でも四千でもおっしゃっていただいたらいいと思うんですが。 それで、ただ問題は、この
法律
というのは、おかしなことが起こったときに
個人
が、おい、どうなっているんだと、開示してくれとか、おかしいな、あなたのところしか分からないような
情報
がこっちから来たぞというときに問題になるわけですから、普通はそのような小規模の場合は問題ないと思いますが、それは個別で
お話
いただくと。 で、今問題となる、
社会
的に問題になっておりますのは、やはり五千で切っているとはいえ、何万という
情報
を
処理
するところが多いんですね、大々的に。そしてその組織の数も多いから、社員の中に悪い人があって、その中から
情報
を抜いて売ってみるというような、
管理
が余りできないほどの組織になっているところで不祥事が出ますので、そこはびしっとこの
法律
の対象として問題に対応して対策を講ずるという趣旨でございますので、決して、この線を引いたことが深い
意味
があるかというとそうでもないんですが、ただ、今までの
衆議院
からのずっと
議論
でいいますと、もう
個人情報
事業者になること自体、
処理
事業者になること自体がもう
規制
を受けて、もう大変な
政府
の監督を受けるんじゃないかということをいって、カーナビを使っただけでも対象になるんじゃないかとか、いろんな御心配があるものですから、そういう人は普通に営業をしてちゃんとやっていれば何の問題もないんですよということを一生懸命申し上げているわけでございまして、この両面あるんですね。厳しくなってもう大変な
規制
をするんじゃないかという方と、非常に甘く
規制
するんじゃないかというんですが、一言で言えば、非常に悪質なケースをきっちりと
規制
する
法律
であり、後はアドバイス、忠告をすることによって実態を改善していくと、そういう非常に緩やかな法の枠組みになっておるわけでございます。
山本保
208
○山本保君 確かに、こういう
議論
がされていなかったのを私ちょっとおかしいと思いましたので、あえてお聞きしました。 つまり、じゃ、そうしますと、三千人ぐらいの
お客
さんしかいないようなところであっても、
自分
はこうきちんとやっていくと、まあ四千とかですね、そういうことも可能になるのかどうか。できれば、ちょっとその政令作られるときに、つまり希望してなりたいという人がおる、出てくると私は思うんですよ。その方が信用が確かに増すわけですから。
政治家
なんかは特にそうじゃないかと思いますよ。
世耕
先生がそれで書かれたら、これはもうその周りは書かないとこれは大変なことになるような気がします。ですから、こういうことについて、そのときに実際はそう言いながらそうでなかったなんという事例が出てくるんじゃないかななんということも気にはなるんですが、その辺も含めて御
検討
いただきたいということをお願いします。 次に、時間もありませんのでちょっと急ぎますが、
行政機関
の方の
保護
法について、これはほんの少しですが、
総務大臣
にお聞きしますが、五十三条と五十五条を見ますと、「
個人
の秘密に属する事項」というふうにわざわざ書いてございますね。五十四条はそう書いていないんです。ちょっともう本当に初歩的な
質問
で申し訳ございませんけれども、これ、五十三条、五十五条の
個人
の秘密ということと、五十四条のそうでない一般的なものまで全部というのとどういうふうにこれは違うんでございましょうか。
片山虎之助
209
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 五十四条には
個人
の秘密というものはありませんが、
個人
の秘密にストレートに相当しなくても、
個人情報
をもってそれは
自分
なり第三者の利益のために漏らしたり盗むと、こういうことですから、これはもう罰則の対象にすると。今の、先ほどの
議論
もありましたが、
個人情報保護
のこの要請が非常に強くなってきて、そういう
意味
では大変認識が高まっていますよね。そういうことの中でこの五十四条的なものを罰則の対象にしようと。 ただ、本来は、当罰性からいいますと、やっぱり五十三条は正当な理由がなくて
個人
の
情報
に属する
個人情報
ファイルを提供するわけですから、これは刑罰としてのいわゆる当罰性が高いと。五十五条は職権を濫用して
個人
の
情報
を収集するわけですよ、
自分
の職務でないことに。これについてもその当罰性が高まっている。ただ、五十三条の方がより当罰性が強いということで罰則はそっちの方がきつくなっていますね。そういうことであります。
山本保
210
○山本保君 なかなかちょっとまだ理解しづらいところがあるんですが、時間もありませんので、もう
一つ
関連しまして、「受託業務に従事している者若しくは従事していた者」というのが出てきますですね。五十三条、五十四条になりますか。五十五条は職権ですから関係ないとして、五十三、五十四にあるんですけれども、こういう公務員じゃない方にまでこの
行政機関
のというところで縛ってよろしいのか、こういう必要性があるのかどうか、お聞きします。
松田隆利
211
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。
行政機関
から
個人情報
の
取扱い
の委託を受けた者ということになるわけでありますが、そういう者が
管理
する場合でありましても、
国民
から見ますと
行政機関
が直接
管理
している場合と同じようなことでございまして、その差異を設けることの合理性がないということで、受託業者につきましても
行政機関
の職員と同じ刑罰の対象にしたというわけでございます。 近年、
行政機関
における
個人情報
に関する電算
処理
業務の委託というものが増加しているわけでございますが、
個人情報保護
の必要性、この間の御
議論
でも言われているところでございまして、そういう
行政機関
から
個人情報
の
取扱い
をゆだねられている以上、その責任が課されるということであろうかと存じます。
山本保
212
○山本保君 なるほど、もう分かりましたけれども、つまり
コンピューター
処理
といいますと、確かに役所の職員ではない専門の業者などに頼むと、こういうことが増えているのでここに入れたと、こういうことでございますね。分かりました。 じゃ、もう
一つ
、今度、
情報公開
の、
個人情報保護審査会設置法案
についてでございます。 これは
一つ
だけお聞きしたいんですが、今までの
情報公開
審査
会を改組して
個人情報保護
についても仕事をしていただこうという
法案
のようでございますが、この今の
審査
会というのはどの程度動いていて、非常に忙しい役所なのかそうでないのか、ちょっとこれも今まで寡聞にしておりましたので教えていただければと思います。
松村雅生
213
○
政府参考人
(
松村
雅生
君)
情報公開
審査
会におきましては、現在十二名の
委員
がおられまして、三名ずつ、四つの部会を構成していただいております。そこで、毎週、各部会、調査
審議
を行うということでございまして、
行政機関
情報公開
法、それから
独立行政法人等
情報公開
法に係る諮問
事件
を
処理
していただいております。
平成
十三年四月発足以来、現在までに各省それから各法人から千百五十件の諮問を受けまして、このうち七百八十四件、約七割になるわけでございますが、答申済みでございます。各
委員
の方々には引き続き迅速な
処理
を目指して精力的に調査
審議
を行っていただいているところでございます。
山本保
214
○山本保君 そうしますと、これは、あれですよね、いわゆる
情報公開
をしてくださいと申し出たときに、役所が、その担当の現場の役所が駄目だと、こう言ったときにここに不服を申し立てると、こういうことなんですね。それが年間に、年間じゃないですか、二年間になりますか、千百件ぐらい、七百八十件についてそのお答えが出ていると。 大体、開示せよという命令が多いんでしょうか、役所の言うとおりというふうになっているんでしょうか。
松村雅生
215
○
政府参考人
(
松村
雅生
君) 先ほど申し上げました答申、既答申七百八十四件につきまして、諮問事項につきまして、妥当でないあるいは一部妥当でないというふうに答申いたしました、いわゆる各省の判断を更に開示せよというふうに広げる答申をいたしましたのが大体三九・八%、約四割でございます。
山本保
216
○山本保君 数字だけでは、個別の事例をもう少し私も
検討
したいなと思いますが、お聞きしておりまして、きちんと中立性といいますか、
国民
の側に立った仕事をされているのかなというふうに思います。 それで、今回そういうお仕事をしているところにまた新しい、しかも今度の
情報公開
の場合は役所だけではないと思うんですね。全部掛かってくると。これは大変な仕事になるんじゃないかと思うわけですが、これは大丈夫なんでしょうか、この辺について。
松田隆利
217
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。 今御提案申し上げている
法案
で、現在の
情報公開
審査
会を
情報公開
・
個人情報保護
審査
会ということで、
個人情報保護
に関します不服
審査
案件につきましてもここの
審査
会で事後の
審査
をしていただくということにしておるわけでございます。この関係で、同
法案
におきまして、今十二名の
委員
を三名増員をいたしまして、十五名の体制で
審査
をお願いしたいと考えているところでございます。地方におきます条例に基づきますいろんな
情報公開
の
審査
が、あるいは
個人情報保護
の
審査
の事例があるわけでございますが、その
状況
を見ますと、
情報公開
の不服申立て件数に対しまして
個人情報保護
の不服申立て件数、大体二割強というところでございまして、そういう
情報公開
と
個人情報保護
の
審査
の
状況
も勘案しまして三人の増員をお願いしているというところでございます。
山本保
218
○山本保君 最後に、
総務大臣
、これは三人ということでそれなりの合理性があるという今御返事でしたけれども、しかしこの
情報
保護
というものの広がりから見たとき、たった全国で十五人の
委員
が最後に、どうもちょっと難しいんじゃないかなという気もします。
状況
を見て、増員なりきちんと体制を強化していただく必要があるのじゃないかと思いますが、その辺について一言お願いします。
片山虎之助
219
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 三人でチームを組んでやるんですね。だから、今度、今十二人のものを十五人にいたしましたが、
状況
を見まして、四チームだけが
情報公開
やらなくてもいいんで、場合によっては二チームが
個人情報保護
の方をやってもいいし、あるいは必要な増員ということも当然考えていきたいと、こういうふうに思っております。
山本保
220
○山本保君 終わります。
宮本岳志
221
○宮本岳志君
日本
共産党の宮本岳志です。 従来より、我が党は、
国民
のプライバシー権を真に確立するための法
整備
、これは急務だという立場であります。私自身も、三年前、二〇〇〇年秋の
IT基本
法
審議
の際に、
世界
最高水準
の高度
情報化
社会
などという言葉だけではなくて、まず
個人情報保護
と消費者
保護
の徹底こそが必要ではないかと、こういう
指摘
をさせていただきました。その後、
政府
が出してきた
個人情報保護
を冠したこの一連の
法案
は、
国民
各層から、これはちょっと違うんじゃないか、言論の自由、
報道
の自由に反するのではないか、
メディア
規制
ではないかという声が上がり、ついに前
国会
で
審議
未了、廃案となったわけです。そして、改めてあなた方が修正したということで出されてきた
法案
がいよいよ
衆議院
から送付され、今日から
委員会
、
特別委員会
での
審議
となっています。 私、まず改めて、三年前に私が
指摘
した内容に照らしてこの
法案
がどういう中身であるかということを吟味してみたいと思うんですね。 私は、二〇〇〇年十一月二十八日、
IT基本
法の
質疑
で、
個人情報保護
の制度が緊急に求められているということを示す典型的な事例を二つ挙げさせていただきました。
電気通信事業
者が保有している顧客
情報
が流出した
事件
、もう
一つ
は
政府
が保有している
医療
情報
が危険にさらされた
事件
、この二つのケースを取り上げたわけであります。
衆議院
でも
議論
されてきましたように、
情報通信
分野は個別法がどうしても必要となっている分野の
一つ
なんですね。私は、
一つ
目に、旧KDDの顧客
名簿
が中文産業という委託先から流出して営業に使われたという
事件
を取り上げて、この委託先から流出が引き起こされた場合に本来の
管理
責任を負うべきKDDは処罰されるのかと、こうこのときお尋ねしたら、当時の郵政省天野電気通信
局長
の答弁は、「現行法上の扱いでございますが、」「今御
指摘
の委託先から不正に
情報
が流出した場合につきましても、同様に
電気通信事業
者を処罰することはできません。」と、こういう答弁でありました。 そこで聞くんですけれども、これは
藤井
審議
官にお答えいただきたいんですが、今
審議
されている五
法案
が成立すればこういった事例を直接処罰できるようになるんですか。
藤井昭夫
222
○
政府参考人
(
藤井昭夫
君) 御
指摘
の事例というのは、ある会社の顧客
情報
が代理店から流出されたという事例というふうに承っております。 それで、まず、ある
電気通信事業
者、これ自体が
個人情報
取扱事業者である場合、当然そこの部分については
規制
が掛かるわけでございますが、代理店に
個人情報
を流出と申しますか委託のような形で流したという場合、これは当然、
一つ
は
法案
第二十条の安全
管理
措置義務、それから第二十二条の委託先の監督義務、これが言わば委託した側、委託した側が十分になされていたかどうかということがやっぱりこの
法案
上問われることになるということでございます。 それから、受託した側、受託した側もまたそれで
データベース
として事業の用に供しているということであれば、それまた受託した側自体がまた
個人情報
取扱事業者ということになり得るわけでございますので、そこでの
取扱い
が適正であったかどうかということが問われるということでございます。 それから、ちょっと蛇足ぎみになるんですが、ただ、刑事罰がすぐ科されるかどうかということでございますが、私どもの御提案申し上げている
法案
は、あくまで言わば不適正な
個人情報
の
取扱い
が是正されることを目的としておりまして、先ほど来
大臣
が、普通は助言等で是正される場合が多いというふうなことを申し上げましたが、それで、助言のみならず勧告、あるいは勧告が守られないということで改善命令が課されると。その改善命令も守られないということで初めて罰則を科すと、そういう仕組みになっておりますので、そこまで是正されない限りはすぐに刑事罰が科されるという形にはなっていないということでございます。
宮本岳志
223
○宮本岳志君 私は、やっぱり今
利用
者にとって一番不安に思っているのはこういった事例だと思うんですね。そこに対して本当に歯止めになるのかといえば、私はやっぱり非常に生ぬるいと、現状は。こういう問題は、だからこそ、一般法ではなくて正に電気通信分野での個別法の
整備
が急がれているということを、これは
政府
側もお認めになると思うんです。 ただ、これをいつまでにやるのかと。急いでやる必要があると思うんですが、いつまでにやるかということについては、先日の本会議で小泉総理に我が党の吉川
議員
が御
質問
申し上げましたけれども、どの分野の個別法をいつまでにやるということはお答えになりませんでした。総理が答弁されなかった後、
細田
大臣
がこれについて、具体的に個別法を
整備
すべき分野やその時期については個別の府省、各府省で
検討
すべしという御答弁だったわけですね。 だからこそ私は、これはやっぱり
内閣
としてこれらの個別法をどういったスタンスでやるかということを総理に再度お尋ねしたいと思っておるわけですけれども、今日はいらっしゃいませんので
総務大臣
にお伺いしたいと思うんですが、電気通信分野は
総務大臣
の所管ですけれども、これはいつまでに電気通信分野の個別法をお作りになるとお考えですか。
片山虎之助
224
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 取りあえずは基本
法制
の適用になるわけですね。だから、その適用
状況
を見なければなりませんし、私どもの方では、今年の二月に
電気通信事業
分野におけるプライバシー
情報
に関する懇談会というものを作りまして、そこで今
議論
をやってもらっているんですから、その
議論
の動向も踏まえる、あるいは実際の
電気通信事業
者に係る
個人情報
の
取扱い
の
状況
も踏まえて、その結果、結論を得れば、そして
法制化
をする必要があるということを判断すれば
法制化
をしてもらいたいと思いますけれども、基本法の
施行
までには結論を出したいと、こう思っております。
宮本岳志
225
○宮本岳志君
衆議院
の附帯決議でも、
医療
、金融・信用、
情報通信
等、
国民
から高いレベルでの
個人情報保護
が求められている分野について、特に適正な
取扱い
の厳格な実施を確保する必要がある
個人情報
を
保護
するための個別法を早急に
検討
することということで、これは
細田
、片山両
大臣
ともその趣旨を十分に尊重するということでお答えになっているわけですね。 今、二月に懇談会を立ち上げた、既に二回やったと、先ほど事務当局からもお答えがあって、来年三月までに取りまとめる予定だということでいえば、いかがですか、この二年以内ぐらいのスタンスでこれは受け止めてよろしいでしょうか。
片山虎之助
226
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) いずれにせよ、今申し上げましたように、基本法の
施行
までには結論を得てしっかりと対応いたしたいと、こういうふうに思っております。
宮本岳志
227
○宮本岳志君 これはそれぞれの分野での
検討
ということもあるでしょうけれども、先ほども申し上げたように、
内閣
としてやっぱりどういう全体の法と個別法ということを考えるかということにかかわる
議論
になってまいりますので、その点でも、私、改めて総理に御
出席
をいただいて、その点も是非
議論
を深めたいと思っておりますので、是非
委員長
にお取り計らいのほどをお願いしたいわけですが。
尾辻秀久
228
○
委員長
(
尾辻秀久
君) 承りました。
宮本岳志
229
○宮本岳志君 それでは、次の、もう
一つ
の事例を引きたいと思っております。 もう
一つ
は当時厚生省に答弁してもらっておりますので、もう一度かいつまんで
説明
していただけますか。もう
一つ
の事例ですね。
渡辺泰男
230
○
政府参考人
(
渡辺
泰男
君) 患者調査の調査票が紛失した
事件
の概略についてお答えいたします。 病院それから診療所を
利用
する患者につきまして
平成
十一年十月に実施いたしました患者調査の調査票の一部が契約事業者から再委託により在宅で入力事務を行った者によって過って家庭ごみとして廃棄処分されたものでございます。厚生労働省におきましては、廃棄当日に当該地域で回収された家庭ごみは全量焼却処分されていることを確認しております。また、なお調査票には
個人
名は記載されておらず、直接的に
個人
を特定することはできないものであります。 厚生労働省といたしましては、当該事業者に対して厳正な対応を行うとともに、この事故を教訓といたしまして、契約に当たって業務
処理
能力の体制等に関する
審査
を厳格にするなど、再発防止に努めておりまして、その後はこのような事故は発生しておりません。
宮本岳志
231
○宮本岳志君 これは今、数をおっしゃらなかったんですが、調査票約二百二十一万枚のうち、これを委託、下請に出したと。この下請がまた二次下請に出したと。そうしたところが、この二次下請から先は、何と自宅作業のところまで行っておりまして、家庭ごみに出たということは、つまり自宅にこの調査票が持ち込まれていたと。千二百八十六枚の調査票が家庭ごみに出されたという
事件
なんですね。 それで、患者
情報
というのは最もデリケートな
情報
の
一つ
でありまして、これがおかしなところに渡れば本当に深刻な人権侵害を引き起こされかねないと、こういう
状況
だったんですね。それで、こういう厳重な
情報
の
管理
責任を負っているはずの厚生省が、この
事件
が起こるまでその調査票がどこにあったかと、つまり、起こって初めて家庭まで持ち込まれていたということが分かったと、後で調べるまで分からなかったという
事件
なんです。それで、
医療
情報
分野の法
整備
というのは、これはこれで、先ほどと同じようにあると思うんですけれども、しかしこの問題は、旧厚生省という
行政機関
が責任を持って守らなければならない
情報
が驚くべきずさんな
取扱い
をされていたという
事件
なんですね。 それで、今度はこれについて聞くんですが、この患者票紛失事故の事例で考えた場合に、資料を家庭ごみに出した当人、それからそのような無責任な再委託を行った事業者、そして本来の
管理
責任を負っている
行政機関
の職員に対する刑事罰というのは、今
審議
されている
法案
でどのようになるか。刑事罰の適用について改めてお聞かせいただきたい。
若松謙維
232
○副
大臣
(若松
謙維君
) お答えいたします。 まず、
日本
国憲法第三十九条に刑事不遡及の原則がございますので、御
指摘
のケースに対しまして本
法案
の罰則は当然適用されないということは御理解いただきたい、いただけると思います。 いずれにしても、本
法案
の罰則が適用されるかは事実認定次第でございますので、
平成
十二年十一月の、今おっしゃった
参議院
交通・
情報通信
委員会
での
政府参考人
の答弁、いわゆる調査票には
個人
名は記載されておらず、直接的には
個人
を特定することはできない、こういう
状況
だというふうに理解しておりますので、
個人情報
ではないことから本
法案
の対象とはならないと、このように理解しております。
宮本岳志
233
○宮本岳志君 対象にならないというお答えなんですね。それは、
名前
が入っているかいないかという
お話
でしたけれども、私は、今度の
法案
で、やっぱり何といっても、
行政機関
の
個人情報保護法
に罰則を入れたとおっしゃるわけですけれども、先ほども
議論
になっていましたが、この罰則が正に、専ら職務以外の用に供するというような書きぶりになっておりまして、罰則が本当に掛かる場合がどれほどあるのかということを非常に問題にせざるを得ない規定になっていると思うんですよね。 例えば、こういう今回のような事例、例えばこれが仮に、じゃ
名前
が入っていたとして、委託した、受託事業者はどうなるかといった場合に、「正当な理由がないのに、」というこれ前提が入っておりますから、あるいは「第三者の不正な利益を図る目的で提供し、」というような場合には、それは掛かってくるようになっておりますけれども、今回、この場合は、仕事のために委託したということになるでしょうから、こういう場合は掛かってこないんじゃないですか、
総務
省。
若松謙維
234
○副
大臣
(若松
謙維君
) 今のお尋ねは、いわゆる仮に
個人
が特定できる場合と、そういうお尋ねだと思うんですが、本
法案
の罰則が適用されるかどうかでございますが、先ほど申し上げましたように、事実認定次第でございますけれども、この
平成
十二年十一月の先ほどの
参議院
での
委員会
でのいわゆる
政府参考人
での答弁で過失と、こういうことでありまして、この過失をどう考えるかということだと思いますが、この過失につきましては、いわゆる故意性がないということで、私どもは本
法案
の罰則の対象とはならないと、このように理解しております。
宮本岳志
235
○宮本岳志君 そういう話なんですよね。だから、結局、
国民
が一番これを心配をして、きちっと守ってほしい、私の
個人情報
を守ってほしいと言っているその願いに対してこたえるものになっているかどうかということを今
一つ
一つ
見てきたわけですけれども、この点で私は到底その願いにこたえていないと言わざるを得ないと思うんです。 例えばこの厚生労働省の、厚生省の
事件
で、一次下請に出した会社は通産省所管のプライバシーマークまで実は受けていた業者なんですよ。だから、先ほどどなたか
大臣
認定があれば安心だとか言っていましたけれども、受けていたところが二次下請に出し、そこから先は家庭ごみまで行っていたわけですから、これは私、本当にこういう中身をしっかりふさげるというか
個人情報
を守れるものでなければ
個人情報保護
という名に値しないと思うんですね。 実は、この三年前の
議論
で、当時の堺屋
大臣
も、
個人情報
の
保護
がITの普及の速度に比べて立ち後れている、だから対策が必要だと、これはもう明瞭に認めておられました。そういう点では、やっぱりこの
法案
、これで
国民
の
個人情報
が守られるということにはならないというふうに思っています。 次に、
行政機関
法の罰則規定についてもう少し
議論
したいと思うんです。 昨年は防衛庁が作成した
情報公開
請求者リストというのが大問題になりました。今年は自衛隊の適齢者リストというのが大問題になりました。これ今、自治体に協力させていたと、適齢者リストの方はですね。だから、
総務
省が今年出してきた
法案
が昨年のものよりも改善されているというのであるならば、これらの問題を防止できる内容になっているかどうかということが問われると思います。しかし、今年の
行政機関
法が昨年と違うのは、つまり先ほどの罰則規定が付いた、しかも
情報
収集の場合は専ら職務以外の目的で
個人情報
の不正な
取扱い
をしたと、こういう場合の罰則ということになっているわけですね。 だからひとつ、これは事実問題、どうお考えになるか
行政
管理
局長
に聞きたいんですが、これら防衛庁の
事件
で防衛庁の職員が行った行為というのは、専ら職務以外の用に供する目的で行ったとなるのか、またこれは正当な理由がないのに
個人情報
ファイルを適用することに当たるか、これはいかがですか。
松田隆利
236
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。 基本としまして、先ほども副
大臣
から御答弁申し上げましたように、憲法三十九条によりまして刑事不遡及の原則がございますので、この防衛庁リスト事案そのものが本
法案
の関係で処罰されるということは当然ないわけでございます。したがいまして、仮に防衛庁リスト事案と同じような事案が今後発生した場合ということになるわけでありますが、基本的には、本
法案
の罰則の構成要件に該当するかどうかというのは、司法当局及び裁判所においてどのような事実認定がなされるかということになるわけでございます。 今、先生お尋ねの五十五条の関係、その中での「専らその職務の用以外の用に供する目的で」という点の御
指摘
でございますが、五十五条は、
行政機関
の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で
個人
の秘密に属する事項が記録された文書等を収集することを処罰するものであるわけでございます。防衛庁リスト事案では、海幕三佐が特定
個人
が病気を理由として自衛隊を不合格となった事項などをリスト化していたことが問題とされたわけでございますが、あくまでこれは防衛庁リスト事案を離れてでありますが、一般論でありますけれども、仮にこれらの
情報
、特定
個人
が病気を理由の、そこの関連の
情報
ですが、これらの
情報
が
個人
の秘密に属する事項に該当して、そしてその職員がその職権を濫用して、専ら職員は
情報公開
業務を担当していましたから、
情報公開
業務の用以外の用に供する目的でこれらの事項が記録された文書等を収集したと事実認定されますれば本条の対象になるわけでございます。 一方、仮に専ら
情報公開
業務の用に供する目的で、しかし職務熱心であるがゆえの行為として、もしそういう職権濫用的な収集行為があったといたしましても、当罰性の高いそういう行為であるとはなかなか言えず、刑罰の対象とすることはやや行き過ぎになる、これが一般論でございます。
宮本岳志
237
○宮本岳志君 いや、防衛庁はこの行為を職務に関するものだからということで非常に甘い処分しかしていないんですよね。そうであれば、もうこの条文の適用というのは本当にそれぞれの、正に任命権者に任されているということに、これ
総務大臣
、そういうことになってしまうんですか、任命権者次第と。
片山虎之助
238
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) 何度も言いますように、刑罰は何でも掛けりゃいいというものじゃないですよ。やっぱり刑罰にふさわしい行為に罰則を掛けるので、当罰性といって今言っていましたけれどもね。そういう
意味
では、職務の用以外にやった場合に刑罰を掛けると、こういう条文ですから、職務の用で行き過ぎた場合には懲戒処分の対象でございます。
宮本岳志
239
○宮本岳志君 職務と何の関係もないような不正行為を一人でやったら罰せられると、当たり前のことなんです、そんなことは。そうでしょう。 問題は、組織ぐるみで職務の一部のようにして行われていることが
国民
の権利
保護
に反するような場合、こういう場合が出てきているわけですよね。そして、組織としてやっていることがなかなか懲戒処分も現実に行われにくいと。それに対してきちっと罰することができるようにせよという声が上がって、そして曲がりなりにも
皆さん
方が罰則規定でございますと付け加えたのがこの規定だから、私はそうはなっていないんじゃないですかということを申し上げているわけなんですよね。 私、片山
大臣
は、元々刑事罰は必要ないということを繰り返し
衆議院
でも、
衆議院
というか、以前、これが修正される前は繰り返してこられたわけですよ。公務の場合には、職権濫用罪、公用文書遺棄罪等、こういう刑法上の罪につきましても、犯罪構成要件を満たす場合には直ちに処罰の対象になるんだと、だからいいんだと、こうおっしゃっているんですね。 僕は、ちょっとこれを読んで奇妙に実は思ったんです。公用文書の遺棄に罰則があることが
個人情報
の
保護
になると、効果があると。あるいは、現実に国家公務員が職権濫用罪の適用を、
個人情報
の
保護
に反することを行ったことで職権濫用罪の適用を受けたと。私は、そういう事例というのは、これちょっと確認したいんですが、ございますでしょうか。
松田隆利
240
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) 刑法の公用文書の毀棄、毀損罪でございますが、これと
個人情報
との関係でございますが、例えば
個人
の
権利利益
に関する処分の前提となります重要な
個人情報
が記録された公文書、こういうものを公務員が毀棄した場合とか、それから、これから本
法案
が通りますと開示請求が行われるわけでありますが、その開示請求の対象になります文書を、そういう
意味
で毀棄をするというようなことの場合に公用文書等毀棄罪の対象になり得る場合があるわけでございます。したがいまして、この刑法の公用文書毀棄罪も公務員による
個人情報
の
取扱い
に関する行為の適正化に当然効果があるわけであります。 それから、国家公務員が職権濫用罪の適用を受けた事例でありますが、裁判のすべてを把握しているわけでございませんが、例えばでございますが、昭和五十七年一月二十八日の最高裁の判決でございますけれども、裁判官が司法研究その他職務上の
参考
に資するための調査研究という正当な目的による調査行為であるかのように仮装して、これとかかわりのない目的のために身分帳簿の閲覧、その写しの交付等を求めて、この場合は刑務所でございますが、刑務所長らをしてこれに応じさせた場合というような例があると承知しております。
宮本岳志
241
○宮本岳志君 つまり、公用文書遺棄というのは、要するに証拠隠しで公文書を廃棄するというようなことは認められない、罰せられると、あるいは職権濫用というのも、実際上は公務員法を持ち出すまでもなく、強要するという強要罪などに問われるような悪質なケースに限られるんですよね。 こういう
議論
をやっておってもあれですので、ちょっと今日はもう法務省に来ていただいていると思うんですが、国家公務員が厳正に
管理
すべき
個人情報
ファイルを不用意に民間業者の
処理
にゆだねたために仮に重大なプライバシーの侵害が引き起こされたと、こういう場合に公用文書毀棄罪という今の適用対象になるか、公務員職権濫用罪、どうなるか、お答えいただけますか、法務省。
河村博
242
○
政府参考人
(
河村
博君) 御
説明
いたします。 お尋ねの犯罪の成否の点でございますが、これは具体的事案に即しまして収集された証拠に基づいて司法の場で判断されるべき
事柄
でございますのでお答えいたしかねるわけでございますが、あくまで一般論として申し上げますと、公用文書等毀棄罪は、公務所の用に供します文書又は電磁的記録を毀棄した場合、すなわち現に公務所において使用に供せられ又は使用の目的で保管されております文書などにつきまして、その効用を滅却又は減損した場合に成立するものでございますし、公務員職権濫用罪は、公務員がその職権を濫用して人に義務のないことを行わせ又は権利の行使を妨害するときに成立するものでございまして、いずれも故意犯であると承知いたしております。
宮本岳志
243
○宮本岳志君 そうなんですよね。だから、国家公務員の善管注意義務違反を規律するようなものじゃないんですよ。だから、私は改めてこの
法案
が、職務のためにやればこれは免れるということは、これは到底、懲戒処分だけで、ここに掛からない場合は懲戒処分でいくというだけではいかないと思うんですね。 それで、例えば新たな刑事罰を
行政機関
には付けたというけれども、こういった抜け穴がたくさん残されていると。そして、こういうものを
行政機関
法という形で出してきたというのは、私は世論が大変うるさいのでここへ付け加えたというだけの話ではないのかと言わざるを得ないんです。 それで、ちょっとテーマをここで変えたいと思うんですけれども、実は私、四年前の盗聴法の
審議
のときの会議録を読んでおりましたら、いわゆる盗聴法の
審議
のときの会議録を読んでおりましたら、民主党の日野市朗
議員
が非常に興味深い発言をしておられます。いわゆる警備公安警察が
個人
に関する
情報
をファイルして持っているという内容です。九九年五月二十一日、
衆議院
法務
委員会
の会議録をちょっと御紹介したいと思うんですね。 もちろん、団体の構成員について、特に政党であるとか、それから労働組合であるとか、それからいろいろな文化団体まで入っているんですな。それから、非常にプライバシーにわたること、プライベートな事項にわたること、これについても記載がある、これは間違いないですね。もう警備
局長
さんなんかは警備畑が長いんだから、御承知でしょう。 と、こう述べて、これに対する金重警備
局長
の答弁は、 先ほどもお答えいたしましたように、警察の目的を遂行するために、それに必要な資料を妥当、適法な
方法
で収集しておるということでございますけれども、どういう形でそれを整理、保管しておるのかというような具体的な内容につきましては、警察の犯罪捜査活動に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。 と、こう述べております。 そこで、現職の警備
局長
に聞きたい。 日野
議員
が言っているような警備資料整理規定に基づいた
個人
の所属団体や思想、信条まで記載された
情報
ファイルの存在を承知しておりますか。
奥村萬壽雄
244
○
政府参考人
(
奥村萬壽雄
君) お答えをいたします。 警察は、警察法の第二条一項によりまして、犯罪の予防、鎮圧並びに捜査、その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としております。この責務を遂行するために、法令の範囲内で適法、妥当に必要な
情報
というものを収集しております。 警察が収集いたしました警備
情報
をどういうふうに保管、
管理
しているということを明らかにいたしますことは私どもの犯罪捜査活動等に支障を及ぼすおそれがありますので、御
指摘
の
情報
ファイルの存否を含めまして答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志
245
○宮本岳志君 少なくとも否定はされないわけですけれども。 日野
議員
は、先ほど読み上げた金重
局長
の答弁の後でこう言っているんですね。 私がやった
事件
で、宮城県のやぐら荘
事件
というのがありました。これは付審判
事件
です。そして、その付審判
事件
で検察官の
役割
をする弁護士が、ある人に対する
個人
別整理簿、この者に関するファイルを
提出
しろ、こう警察に命じたことがあります。そのときの宮城県警本部長からの回答は、「御命令の件は、職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。御了承願います。」 と、こういう答えが返ってきたと。 改めて
警察庁警備局長
に、宮城県のやぐら荘
事件
なる付審判
事件
でそのような回答をいたしましたか。
奥村萬壽雄
246
○
政府参考人
(
奥村萬壽雄
君) 御
指摘
の
事件
でありますけれども、国賠請求訴訟におきまして
個人
別整理の書類等の
提出
を求められまして、これに対しまして本部長から仙台地裁に対しまして、「職務上の秘密に関しますので、貴意にそいかねます。」ということを回答したことがあるという報告を宮城県警から受けております。
宮本岳志
247
○宮本岳志君 つまり、暗にその存在をお認めになっているわけですよね。 それで、そういうことを少し調べておりましたら、五月二十七日付けの週刊プレイボーイという雑誌が警察にかかわる問題を書いておりました。これは通告しておりませんが、一点だけこの機会ですからお伺いをしたい。 実は、警察には右翼標榜暴力団団体カード及び
個人
カードというものが存在すること、そして、それが警視庁から大手金融会社に流出しているという事実をこの週刊誌は
報道
しておりますが、警察庁、これは事実ですか。
栗本英雄
248
○
政府参考人
(
栗本
英雄
君) 急なお尋ねでもございますし、また個別の事案に関するお尋ねでございますので、答弁は差し控えたいと思います。
宮本岳志
249
○宮本岳志君 私もこれ見たところですので、改めてこれは深くやらせていただきたいと思っております。 しかし、公安調査庁あるいは警察、こういったところが
個人
の思想、信条に係る
データ
を
蓄積
していること、そして、そういったものを様々な形で持っておられるということはもう公然の秘密であると思うんですね。 そこで、今度のこの
行政機関
法が成立すれば、こういった思想調査
データ
のファイルもこの
法律
に基づいて存在が公表されるようになるのかどうか。これ、ひとつ
行政
管理
局長
にお答えいただけますか。
松田隆利
250
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。
総務
省といたしましては、今、先生お尋ねのような思想ですとか等についてのファイルを警察庁や公安調査庁が保有しているかどうかは承知しておりません。 一般論として申し上げますれば、本
法案
、
行政機関
法案
におきましては、
行政機関
が保有する
個人情報
ファイルにつきまして第十一条第二項に
個人情報
ファイル簿への掲載の例外規定がございます。これに該当すれば公表されませんし、該当しなければ公表されるということになります。
宮本岳志
251
○宮本岳志君 私
たち
は、こういった権力機関による思想調査は最悪のセンシティブ
情報
の違法収集であり、憲法違反だと考えております。 あなた方は適法なこと以外やっていないと、こう主張するでしょうけれども、仮にそうであっても、これらの機関に
個人
の
情報
に関するファイルがあるのかないのかぐらいは明確にならなければ、何のためにこの
法律
を作るのかということにもなります。 それで、しかし警察や公安調査庁が集積する
データ
にもこの法の適用があるんだと、この法の適用から除外されないと言っても、先ほど
お話
があったとおりですよ。
総務大臣
への事前通知は十条二項の一から十一で除外されると。さらには、公表義務も十一条の二項三号で除外されると。つまり、
総務大臣
に通知が行ったものでさえすべて公表されるわけではないんでしょう。
総務大臣
には通知するが公表はしないというものもあり得るわけですよ。そもそも、通知するものも一号から十一号で除外されると。 大体、十一条の三項なんというのを見ましたら、
行政機関
の長が
利用
目的に係る事務の性質上、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断しさえすれば
個人情報
ファイル簿に掲載しなくてよいと。つまり、公表しなくてよいとなっているわけですよ。
総務大臣
、これはつまり、作っているということが分かったらまずいものは公表しなくてよいと私は書いているようにしか読めないんですが、そうじゃないんですか、
総務大臣
。
片山虎之助
252
○
国務大臣
(
片山虎之助
君) やっぱり個々に例外規定を設けているようなものは、それだけそれぞれ正当な理由があって例えば事前通知を除外しているんですよ。それぞれの仕事は
国民
を守る仕事なんですよ。
国民
を守り国家を守る、そういうことについてはいろんな法益を比較考量してこういうことを決めているわけですから、何でも全部明らかにすればいいというものではないんです。明らかにすることによって国家、
国民
にマイナスなことはこれは明らかにしなくてもいいという考え方に立っているわけであります。そこは是非御理解を賜りたいと思います。
宮本岳志
253
○宮本岳志君 例えば、自衛隊適齢者リストの問題でいえば、それは一部の自治体では
健康状態
というセンシティブ
情報
まで記載されたものが作られていたと。これはもう年齢と
健康状態
の
情報
を突き合わせれば正に適格者リストと呼ぶべきものなんですね。 ところが、
衆議院
の答弁を見ても、最初はこの
法律
ができたら公開の対象になると、こうお答えだったんですよ。ところが、その後話が変わってまいりまして、一年以内に、十条二項六号の一年以内に消去されるファイルで除外だと言い出して、さらにその後また反論、追及されると、今度は十一号の紙媒体のファイルだから通知されないんだと、除外だと言い出したと。 結局、こういうリストがいろいろ作られても、
国民
の目に明らかにならない、明らかにしたくないものは、この一から十一のどれかに引っ掛けて、結局公表しないんじゃないかと、こういうふうに
国民
が私は見るのも無理ないことだと申し上げておきたい。 次に、
データ
マッチングの問題についてお聞きしておきたいと思います。 明確な法的根拠によらない
データ
マッチングは厳しく
規制
しなければ、圧倒的な
情報
量を持つ
政府
によって
国民
のプライバシーは丸裸にされてしまうと思います。住基
ネット
の本格稼働を控えた今、
国民
は、
自分
に関する
データ
、この
データ
マッチングが知らないところで行われているのではないかと、こういう今不安を強めているわけですよ。 まず、はっきりこれ
総務大臣
にも申し上げておきますけれども、我が党は決して
個人情報保護
の法
整備
ができたら現状の住基
ネット
を認めるという立場ではありません。たとえどのような
個人情報保護法
ができようとも、全
国民
に共通の通し番号を付けたような住基
ネット
は中止すべきだと考えています。 しかし、それは今日の本題ではないのでおいておきましょう。あなた方が
行政機関
保有の
個人情報
を
保護
するというならば、最低限、
行政機関
がどのような
データ
マッチングを行っているのかが
国民
に分かるようにしなければならないと思うんです。 そこで、二、三問聞いておきたいんですが、複数の
行政機関
保有ファイルを照合することによって、それらのファイルの共通部分マッチングして、共通部分なり新しいリストをそこに作るということになるんですけれども、これは新たな
個人情報
ファイルを保有したということになりますか。
若松謙維
254
○副
大臣
(若松
謙維君
)
委員
御
指摘
のとおり、新たな
個人情報
ファイルが作成されたならば、
行政機関
が保有することになり、本法の
規制
の対象となります。
宮本岳志
255
○宮本岳志君
データ
マッチングの場合でもですね。
若松謙維
256
○副
大臣
(若松
謙維君
) いわゆる
データ
マッチングというのは各種の
情報
を言わば合わせるということでありますので、そういった形が新たな
個人情報
ファイルということになれば、当然、
委員
御
指摘
のとおりでございます。
宮本岳志
257
○宮本岳志君 そうであれば、この新たに保有することになったファイルが、
行政機関
法案
の第十条の二項の先ほどから
議論
になっている十一項目に当たらない限り、
法案
のスキームによって、マッチングを行っている事実が
国民
に明らかにされるということになるわけですね。 ところが、実際には、この第十条二項によって回避することが可能となっている。例えば、新たに作られる
データ
のファイルの
データ
数が政令で定める数を上回らない場合ですね、一千ですか、以下の場合と、あるいは必ず一年以内に消去するものの場合はこれに当たらないということになってくるわけですよね。 それで、大体
データ
というようなものは新しい方がいいわけですから、結果を一年も保持している必要はなくて、一年以内にどんどん新たな
データ
マッチングをして廃棄していけば、これは今
お話
しいただいたような通告義務も外れるし、公表もしなくてよいということになってきます。これはそういうことになりますね。
松田隆利
258
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。 事前通知の適用除外になっておりますものはおおむね二種類に分かれていまして、一号、二号は、国の安全とか外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する
個人情報
ファイル、二号は犯罪の捜査、租税に関する
法律
の規定に基づく犯則
事件
の調査又は公訴の提起等々、そういうことで取得される
個人情報
ファイルでございまして、非常にそういう高度の政治判断あるいはその専門性の高いものでございまして、
総務大臣
の法運用の統一性の適用がなかなか難しいという、そういう問題でございます。 三号以下は非常に軽微なものでございまして、例えば一年以内に消去するような一過性のファイルですとか、あるいは資料の発送その他に使うような発送簿のたぐいのようなリストですとか、そういうものでございまして、
国民
の
権利利益
の侵害についての心配が非常に少ない、そういうものでございます。 先生今お尋ねの、マッチングによりまして新しい
個人情報
ファイルができればもちろんこの本法の対象になって、この第十条二号の適用が除外されるものでなければ公表の対象になる、事前通知、公表の対象になるということでございます。
宮本岳志
259
○宮本岳志君 いや、だから、一年以内に消去することとなる記録
情報
のみを記録する
個人情報
ファイルは除外されますねと言っているんです。
松田隆利
260
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) そのとおりでございます。
宮本岳志
261
○宮本岳志君 だから、
データ
マッチングをやっても、一年に一回ずつ
データ
マッチングをすれば、それは新たなファイルとして通告もされなければ公表もされないということで、結局、
データ
マッチングは新たなファイルの作成になるといってみても、それを頻繁に繰り返した場合には除外されちゃうということなんですよね。だから私は、これで
データ
マッチングが
国民
に明らかになるというふうに到底言えないというふうに思います。 さて、次のテーマに移りたいと思うんですね。
データ
マッチングの
規制
がなぜ重要かということを明らかにするためにもう少し
議論
をしておきたいと。前提として、
個人
の
氏名
が明記されている
情報
だけが
個人情報
ではないということを確認をしておきたいと思います。先ほど
名前
がなかったという話がありましたが。 まず、これは
細田
大臣
にお伺いしますが、固定電話の通話記録、また
携帯電話
の通話記録も、今
審議
している基本
法案
の第二条一項、
個人情報
に含まれますか。
細田博之
262
○
国務大臣
(
細田博之
君)
個人
が加入する固定電話や
携帯電話
の通話記録であって、匿名化等が行われておらず、
個人
の識別が可能なものにつきましては本
法案
の
個人情報
に該当いたします。
宮本岳志
263
○宮本岳志君 当然の答弁だと思います。 では、
行政機関
法第二条第二項の
個人情報
の定義、これについても聞いておきたいんですが、この
行政機関
法の
個人情報
の中に特定の車両登録ナンバーと結び付けられた
データ
の集合も含まれることになるか、片山
大臣
、お答えいただけますか。車両
データ
、登録ナンバーと結び付けられた
データ
の集合は入るか。
松田隆利
264
○
政府参考人
(
松田
隆利
君)
個人情報
は、先ほど
細田
大臣
から御答弁ございましたように、特定の
個人
を識別することができる
情報
ということでございますが、お尋ねの車両ナンバーとの関係で特定の
個人
が識別するようなことができるのかどうか、私ども承知いたしておりませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
宮本岳志
265
○宮本岳志君 特定の
個人
と結び付けられた
情報
かどうかが分からないから
個人情報
であるかどうかは分からないという御答弁でしたか、そうでしたか。それは、例えば車の場合は別の
人間
が乗っていることがあるかもしれないということをおっしゃっているんでしょうか。 先ほど
細田
大臣
は、
携帯電話
についても
個人情報
に含まれるというふうにおっしゃっておりましたが、これはおかしいんじゃないですか。
若松謙維
266
○副
大臣
(若松
謙維君
) 今、
局長
答弁でございますが、先ほどお尋ねのその車両登録ナンバーですか、それがこれに該当するかどうかということでありますが、当然それは個別具体的に判断される必要があるという観点からの
局長
の答弁だと思うんですが、それは、一般的にはこの車両登録ナンバーによりまして特定の
個人
、例えば所有者ですね、こういったものが識別するということは可能ではないかと、そのように考えておりまして、したがいまして、特定の
個人情報
を容易に
検索
できるような体系的に構成されていれば、通例は
個人情報
ファイルに該当するものと考えております。
宮本岳志
267
○宮本岳志君 それはそうなんですよね。基本法の定義は「容易に照合することができ、」となっているんですね。さっきの携帯の方は基本法なんですよ、包括法なんですよ。だから、これは容易に照合できるという
意味
では狭い概念になっているんです。ところが、
行政機関
法は容易にという言葉が入っていないので広いんですよ。だから、照合できればもうこれは広い範囲で
個人情報
とみなさなければならないんですから、私は、
携帯電話
の通話記録が
個人情報
であって、車両登録ナンバーが
個人情報
でないということは極めて考えられない事態だというふうに思いますので、今、若松
大臣
からそういう改めての答弁もいただきました。 それで、時間がなくなってきたのでもう警察庁にこのことは聞きませんけれども、四月の十七日に社民党の保坂
議員
が警察のNシステムということを問題にしておられます。 このNシステムというのは、道路の特定の地点を何日の何時何分にどのナンバーの車が通過したのかを記録集積するシステムで、犯罪捜査のために各県警が保持しているという
説明
ですけれども、
衆議院
の保坂
議員
は、車を運転している本人が、当事者が、あのときNシステムの監視カメラの下を通った、だからそのことを証明したいのでNシステムの
情報
を開示してくれと、こういうふうに求められたらどうするかと聞いたら、警察庁は開示しないと言っているんですね。 このようなシステムによる
データ
のファイルは、
行政機関
法の第十条二項の二号、犯罪の捜査、租税に関する
法律
の規定に基づく犯則
事件
の調査云々と、この十条二項の二号に該当するかを
行政
管理
局長
にお答えいただけますか。
松田隆利
268
○
政府参考人
(
松田
隆利
君) お答え申し上げます。 Nシステムにつきまして
国会
での御
議論
は承知いたしておりますが、その詳細を私どもが承知しているわけでございませんので、
行政機関
法の適用についての御
説明
は差し控えさせていただきたいと思います。
宮本岳志
269
○宮本岳志君 時間が参りましたので、次の機会に譲りたいと思います。 以上です。
森ゆうこ
270
○森ゆうこ君
国会
改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。 先回、先週、本会議でも
質問
させていただきましたが、引き続き
委員会
においても、まず基本的な問題、この
法案
は何のために、だれのために提案されたのか、そして何を
保護
するためなのかと、こういう基本的な考え方について
質問
させていただきたいと思います。 まず、午前中の
議論
、様々お聞きしておりましたけれども、本来、そもそもこの
法案
が提案される
経緯
について、ああ、本当はこういう形ではやっぱり提案、
政府
の方としては提案したくなかったんだなと、もっと違う形で提案したかったんだなということを私は感じました。 まず、本
法案
のこの基本理念におきましては、
個人情報
の適正な
取扱い
が図らなければならない、図られなければならないということを定めておりますが、この基本理念が、旧
法案
にあった
利用
目的による制限、適正な取得、正確性の確保、安全性の確保、透明性の確保という五つの基本原則が表現の自由を制約するおそれがあるとの
報道
機関などからの批判を受けたことから、それらの批判をかわすために基本原則に代わるものとして置かれたという趣旨の御答弁、
大臣
自身もされておりますけれども、まず伺いたいんですが、この基本原則、基本理念というのはどのように違うのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
細田博之
271
○
国務大臣
(
細田博之
君) 旧
法案
につきましては、本来、
メディア
規制
を内容とするものではなく、その意図もなかったわけでございますが、いろいろ
報道
関係からの御
議論
もございました。そして、
国会
、
衆議院
の
委員会
における御
議論
もございまして、そうした不安、懸念がなかなか払拭されなかったところでございます。そのため、新
法案
では、表現の自由と
個人情報
の
保護
の両立を図るとの旧
法案
の趣旨を一層明確にするために基本原則を削除することといたしました。 新
法案
において規定した基本理念は、
個人情報保護法
制全体を通じる基本的な理念、精神を表現したものであります。旧
法案
において万人に対する
個人情報
の
取扱い
についての努力義務を定めた基本原則とは異なるものでありまして、基本原則には、旧法第四条から第八条におきまして、
利用
目的による制限、適正な取得、正確性の確保、安全性の確保、透明性の確保ということが一般的な原則として書かれておりますが、このことが広く適用されるということから、表現の自由とも抵触するのではないかという強い御批判をいただいたことを背景にいたしまして、規定を改正してお出ししておるわけでございます。
森ゆうこ
272
○森ゆうこ君 私、本会議でも申し上げたんですけれども、今やだれもが
個人情報
を取り扱う立場にあるということだと思います。 午前中の御答弁の中で、例えば
個人
の商店は対象にならないとか、それからどこかで線を引かなければならない、それが五千件だというような御答弁がありましたけれども、まずこの
法律
を作る最初の段階で、先ほども申し上げましたが、今やだれもが
個人情報
を取り扱う立場にあり、当然その
取扱い
に配慮が求められる、このことを周知されなければならないと、これが今回の新しい
法案
では足りないのではないか、これが問題だと思います。 この基本理念の部分だけで、この問題が
企業
、つまり
個人
事業者だけの問題ではないことが分かるようにしなければならないんですが、その
意味
で、
国民
すべてへの注意喚起、それぞれが
個人情報
を取り扱うに当たって気を付けましょうということを広報上も、
個人情報保護法
案が成立しました、
国民
の
皆さん
は
インターネット
を使ったりいろんな場面で、とにかくあらゆる人が
個人情報
を今や取り扱う立場にありますから、すべての人
たち
が基本的にこの原則に従ってまずは注意しましょうと、そういうことを注意喚起をすることができないのではないかと思いますが、この点について
大臣
の御見解をお願いいたします。
細田博之
273
○
国務大臣
(
細田博之
君) 第三条の基本理念でございますが、
個人情報保護法
制全体を通じます基本的な理念、精神を表現したものであります。 御
指摘
のとおり、第三条は重要な規定でありますが、
法制
度全般について制定すればこれで足りるというものではなく、すべての
個人情報
取扱事業者と
国民
が規定の趣旨を十分に認識して、
個人情報
の
取扱い
に当たっては条文の趣旨を踏まえていくことが重要と考えております。このため、本
法案
の趣旨が
国民
に十分に認識されますように、本
法案
の成立後に、その趣旨の普及啓発に万全を期してまいりたいと思います。 また、この三条の理念だけではなく、もちろん第一条の目的等も規定しておるわけでございます。
森ゆうこ
274
○森ゆうこ君 今の答弁、なかなか満足することはできないんですけれども、旧
法案
にあった基本原則の方が、本来の目的からいっても、
個人情報保護
のために配慮すべきことをより明確にしているとも言えるのではないでしょうか。
大臣
、
細田
大臣
は午前中の答弁の中で、本来の趣旨はというような言い方をされておりました。本来の趣旨は
ネット
社会
への対応であったが、
報道
からの
指摘
等があって廃案になったという、大変無念そうなお顔で御答弁されていたと思います。 旧
法案
にあった基本原則の方が、本来の目的からいっても
個人情報保護
のために配慮すべきことをより明確にしているとも言えるのではないか。
政府
は、基本原則は努力義務であり、主務
大臣
の関与も罰則もないから
メディア
の活動を制限することはないと答弁してきたわけですから、そう思うのであれば、それをきちっと一貫して主張されるべきではなかったでしょうか。なぜ基本原則を削除したのか、また逆に、そもそも旧
法案
に基本原則をうたっていた根拠、理由について
説明
いただきたいと思います。
細田博之
275
○
国務大臣
(
細田博之
君) 基本原則につきましては、
我が国
におきます
個人情報保護法
制を通ずる基本的原理を明らかにしようということで、いろいろ、もちろん関係の
審議
会等の御
審査
もいただいた上で全体を通ずる基本的原理を明らかにしようと、そしてすべての
個人情報
を取り扱う各人が自らの判断によりその適正な
取扱い
に努力すべきことを定めておりましたものでございます。 しかしながら、実際に
政府
が
国会
に
法案
を
提出
して以来、
報道
関係、著述関係、各界から厳しい御批判をいただき、表現の自由を侵すものではないかという強い御批判をいただきました。また、
国会
内におきましても多くの政党から同じような趣旨での強い御
質問
がございまして、例えば、私はそのようなことは基本的におそれはない規定になっておるということは度々申し上げましたけれども、この基本原則があることによって
報道
関係等にも、例えば個別の裁判などがあったときにはこれも規定として参酌される規定になっておるではないかと。つまり、
報道
機関等もカバーする規定、基本原則として規定しておるのではないかという強い
指摘
もあったわけでございます。 そこで、この
法案
を修正して出させていただきましたけれども、
衆議院
においても、御
質問
の中では、東祥三
議員
辺りからは、むしろおかしいという御
指摘
もいただきまして、例えば
報道
等といっても、基本的に
個人情報
について、
保護
について、それを、その
保護
の法益を上回る
個人
の
権利利益
の侵害があるケースもあるではないかと、そういう場合はどうするんだという御
意見
はしばしば御
質問
としていただきましたけれども、やはり本来のこの
法律
の目的は、今多発しております、
IT化
の進展によって大量の
情報
漏れ等が生じたりしております現段階で、それらを現在対象とする
法制
度がございませんので、まずこの
法制
度の
整備
を早めると、実現するということも必要でございまして、
野党
四党からもそのような趣旨の、若干いろんな法体系は違いますけれども、御提案もあって、様々な調整、
質疑
を経まして
衆議院
において可決したということがございますので、確かにこのような規定につきましてはいろいろな御
意見
が与党、
野党
を問わずおありになるということは承知しておりますけれども、単純に残念だとか、そういうことではなくて、また、本来、
報道
、著述等を
規制
するつもりは基本的にございませんので、その中でやはり
国会
の合意を、できるだけ最大多数の合意を得るような形で
法案
を早期に成立させていただくことが
社会
のためにもいいのではないかと判断をしておるわけでございます。
森ゆうこ
276
○森ゆうこ君 合意を、
国会
内での合意を得るため、そして
メディア
からの批判をかわすためということだったと思うんですが、そもそもこの
個人情報保護法
、
国民
のために作る基本的な
法律
です。本来であれば、まず基本法があり、その基本法の中にきちっとした原則を、みんなが納得できる範囲で、少なくとも万人に理解を得られる範囲で原則をまず盛り込むべきであったと思うんですが、今回出されましたこの
法案
に関しての構成、この
法案
の構成、そして性格について確認しておきたいんですが、基本法と一般法という形で理解してよろしいんでしょうか。 そして、この誕生の
経緯
につきましては、
法案
策定の誕生の
経緯
につきましては午前中もいろいろ御
説明
がありましたけれども、特に
検討
会での中間報告では、まずきちんとした基本法という
お話
もあったと思います。その辺のところを特に具体的にいま一度御
説明
いただきたいと思います。
細田博之
277
○
国務大臣
(
細田博之
君) 本
法案
の構成、性格につきましては、
IT化
の急速な進展に対応いたしまして、
個人情報
の
取扱い
がますます拡大している中で、
国民
が安心して
IT社会
の便益を得られるようにするために、
個人情報保護
のための
制度的基盤
を
整備
しようとするものであります。 このため、本
法案
は、官民を通じる
個人情報
の適正な
取扱い
を確保する観点から、御
指摘
のとおり、
個人情報保護
全般に関する基本法としての性格にとどまらず、従来、
個人情報
の
取扱い
に関して法的な規律が
整備
されていなかった民間事業者に対する一般法としての性格をも併せ持つものとなっております。 本
法案
の策定
経緯
につきましては、
平成
十一年の
住民基本台帳法
改正
法案
の
審議
における、
政府
として
国民
や
個人情報保護
の在り方について総合的に
検討
をした上で法
整備
を含めたシステムを速やかに整えていく旨の総理答弁、EUにおける
個人情報保護
への取組動向、
企業
等からの顧客
情報
の大量漏えい等の
社会
問題化等を総合的に踏まえまして
検討
を進めたものであります。
法案
の
検討
過程におきましては、当時の高度
情報通信
社会
推進本部の下に
個人情報保護検討部会
及び
個人情報保護法制化専門委員会
を開催して
検討
を行いまして、同専門
委員会
が十二年の十月に取りまとめました大綱を最大限尊重して本
法案
の立案を行ったところでございます。
森ゆうこ
278
○森ゆうこ君 今回再
提出
するに当たりまして、その大切な基本原則、
政府
が本来大切だと思われていたこの基本原則、これをすべて削除する必要もなかったんではないかと思われますが、いかがでしょうか。
細田博之
279
○
国務大臣
(
細田博之
君)
法制
度は
社会
のかがみでございますので、
社会
が、
報道
を含めて、そのようなことは望ましくない、
野党
の大半が望ましくないとおっしゃっております項目については見直しをして、必要な
法制
を実現することがより今後の
社会
の発展のために有用なことであると割り切ったような次第でございます。
森ゆうこ
280
○森ゆうこ君 割り切ったという御答弁でしたが、その基本原則をこれで削除したことによって、
個人情報保護法
、今回
提出
された
個人情報保護法
案は私は基本法としての位置付けを失ったのではないかというふうに危惧しておりますが、
大臣
、いかがでしょうか。
細田博之
281
○
国務大臣
(
細田博之
君) そのようなことはないと思っておりまして、やはり基本的に表現の自由と
個人情報
の
保護
の両立を図るという趣旨を明確に提示しておると思っております。 そして、新
法案
においては、一章の基本理念、二章の国及び地方公共団体の責務、三章の
政府
による基本方針の作成、その他の
個人情報
の
保護
に関する施策の基本となる事項を定めておりますので、やはり二十一世紀における
個人情報保護
のまず基本法としてのスタートができるものと考えております。 ただ、それぞれの権利、大きく言えばプライバシーの権利にかかわる問題が多く含まれておりますが、プライバシーの権利も、どこかに
法律
の規定があって、それに基づいて裁判等が行われているものではございません。やはり判例等、これも
社会
のかがみと言っていいと思いますが、積み上げていって、何がプライバシーの権利であるのかということを確立していかなきゃなりません。
個人
の
情報
の
保護
も、先ほど来
議論
がございますように、
個人
の
情報
であっても既に公表を義務付けられたり、勝手に財産等の
情報
を見ることもできる公の
法制
もございますし、その中でどれが一体
個人
から見ると
情報
をコントロールする権利があるものであるのか、どこまでがプライバシーの権利の
保護
の対象として必要であるのかということは、今後、更に具体的案件を、事案を積み上げていきながら、判例等で徐々に確定していくべきものであると。それがまた
社会
の
変化
にも対応したいい解決
方法
ではないかと思いますので、観念的な権利というものをあらかじめ設定して、それに従って
法案
を作るということも時期尚早であると思っております。
森ゆうこ
282
○森ゆうこ君 私は、基本原則すべてを削除したことによって、大切な個別の、例えば
個人情報
と
個人
の権利、
個人
の権利と公益との関係とか、まだまだ
議論
しなければ確定されない部分もあると思いますけれども、でも、今必要なのは、まず原則をきちっとするということが必要なのではないかと思います。 基本法としての位置付けを失ったのではないかという懸念が消えませんが、特にOECD八原則に対応するものということで旧
法案
の基本原則については
説明
されてきたわけですが、まず最初に、先ほどの御答弁についてちょっと確認させていただきたいんですけれども、この基本理念は八原則を
参考
にしているというふうに御答弁になって、その後、基本的には盛り込んでいただいたと思って結構というふうに答弁を訂正されました。これは基本の問題ですから、こんなふうに答弁がちょっと不安定ですと私としても安心できません。
国民
の
皆さん
もそうだと思います。 そもそもこれは、もちろん国内の要請としても
個人情報保護法
案を制定しなければならなかった。国外からの要請としても、午前中も詳しく
説明
がありましたが、OECDの八原則、EU指令等に従って
法律
を国内で
整備
するということが、この国際
社会
の中で
日本
の国益に照らし合わせ必要だからそもそもこの
法案
を作ったということを考えてみますと、この八原則に本当に基本理念が対応していると言えるのでしょうか。 国連、EU、OECDで定められた国際基準と基本理念の関係についての
評価
をいま一度きちっとお答えいただきたいと思います。
細田博之
283
○
国務大臣
(
細田博之
君) OECD、経済協力開発機構においては様々な国際的な協定がございます。昔から大分、その規定によりまして、言わば
政府
の取決めとして、条約上の義務も負うような規定に基づいて、例えば資本自由化に関する規約というのがあって、それに基づいて
日本
は資本自由化を進めるとか様々な、過去何十年とOECDの合意に従いながらやってまいりましたが、この
OECDガイドライン
というのはそういったレベルの協定、規約とはレベルが違いまして、あくまでもガイドラインであるということでございまして、できればこのようなガイドラインに沿って各国とも
法制
度を
整備
することが慫慂されるという中身でございますので、国際法と国内法の関係というわけではございません。ただ、この
OECDガイドライン
自体がなかなかいい中身になっておりますので、この八原則に沿いまして、
我が国
はやはり
法律
の条文によって
法律
を運用するという、慣習法の国とはまた違いますので、実定法上明確な規定を置いて規定しております。 そして、先ほどちょっと
一つ
ずつの八原則に沿って各対応条文は申し上げましたので重ねては申しませんが、それぞれの規定の中身に沿って、第十五条から三十一条辺りまでに及んでそれぞれのOECD八原則ガイドラインの精神に沿った規定を盛り込んでおるということを申し上げましたので、そのことで、私どもはむしろ、十分であるのみならず、これははっきりした
法律
でございますので、この
国会
で通していただければ、ガイドラインにすぎなかったものが更に国内法として効力を発生するという
意味
では、更に上のレベルの
法律
の体制ができるというふうに考えております。 なお、ECのガイドラインは、外国の、EC十五か国のガイドラインでございますから、これは言わば外国でございますから、外国の中で国際的に十五か国、その当時、今参加国が何か国か分かりませんけれども、このガイドライン、ECの取決めが、それらの外国法に
我が国
の
法律
が従うということはありませんので、これはあくまでも
参考
にしつつ、
我が国
が独立国家として自主的に
法律
を制定するという正に国権の最も重要な部分でございますので、そういった
意味
で
国会
の御
審議
をいただいておるわけでございます。
森ゆうこ
284
○森ゆうこ君 この問題に関して、やはりきちんとした一貫した御答弁が必要であると思います。 次の
質問
、ちょっともう時間がなくなりましたのでもう
一つ
だけになるかと思いますが、先週の本会議の
質問
に対して、
報道
の定義ということなんですけれども、済みません、
報道
の定義ではありません、
報道
に関し、主務
大臣
については、
個人情報
取扱事業者の義務について適用除外とする一方で自主的努力義務を設けているので、
メディア
を
規制
するものでもフリーハンドを与えるものでもないというふうに小泉総理が御答弁されたんですけれども、例えば、現在でも
報道
機関が自主的に取り組んでいると、だろうと思います。自主的に取り組んでいるにもかかわらず
報道
の問題が後を絶たないわけですけれども、ここで自主的努力義務として自主的な対応を求めておりますが、どの程度のものを見込んでいるのか。また、
政府
として、現在、
報道
機関が取り組んでいる自主的な取組について、これで十分だとお考えなのか、
大臣
の見解をお願いいたします。
細田博之
285
○
国務大臣
(
細田博之
君) 五十条三項の規定につきまして、総理が、
メディア
を
規制
するものでもフリーハンドを与えるものでもないということで自主的努力義務について答弁をされたわけでございますけれども、正に
報道
機関といえども、それは
個人情報
の
取扱い
について慎重の上にも慎重を期して、いやしくも
個人
の基本的人権を損なうようになってはいけないことは当然のことでございます。 もちろん、法的救済措置としては別途民法による規定その他、名誉毀損とかなんとかということもあるかもしれませんが、それによって対応するにしても、この
個人情報保護法
上は自らの努力義務を課するということにとどまっております。 それは、あくまでもやはり
我が国
報道
機関等の良心に期待して自主的な取組にゆだねるということが適当であるというふうに考えたからでございます。
森ゆうこ
286
○森ゆうこ君 良心に基づいて自主的な取組に任せる。その場合、何かその結果責任について問うものという考え方も必要な部分もあるかと思います。 修正
法案
においては、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」との
報道
の定義が置かれましたが、そもそも
政府
が
報道
の範囲を決めることは問題ではないかと思われます。これは客観的事実ではないという苦情が主務
大臣
に持ち込まれた場合、主務
大臣
が
報道
を狭く解釈するおそれはないか、最後に伺いたいと思います。
細田博之
287
○
国務大臣
(
細田博之
君)
報道
の自由をプライバシー等の
個人
の
権利利益
の
保護
と両立させるという観点から、公権力的な関与の対象から適用除外するという制度になっておるわけです。適用除外をするからには何の法、規定もなく適用除外するわけにいかないと、
日本
の
法律
制定の在り方の慣習のようなものでございます。これは例外がございません。 したがいまして、非常に
内閣
法制
局とも苦労して定義を定めまして、このような、規定のような「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」という
報道
の定義が初めてできたわけでございまして、その運用等についてはこれまでも御答弁申し上げておりますように、ごく一部でも
報道
の要素があればすべて適用除外になるということで解釈をしております。
森ゆうこ
288
○森ゆうこ君 時間になりましたので、また次回
質問
させていただきたいと思いますが、次回の
質問
の予告というわけではありませんけれども、この
法律
の作り方自体、いろいろ事前に
規制
をして、そして主務
大臣
を決めて、それに基づいて
管理
していくと、こういう構成自体が問題ではないかなということで、次回の
質問
に譲りたいと思います。よろしくお願いします。 ありがとうございました。
福島瑞穂
289
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 まず、主務
大臣
、それから
個人情報
取扱事業者のことについてまずお聞きをいたします。 作家の城山三郎さんが役人にお会いをしたときに、
国民
にばっと網を掛けるんですよと役人が言ったことに激怒をされたということを集会で
お話
を聞いたことがあります。私も、これは
個人情報
取扱事業者の解釈によっては
国民
全体が
個人情報
取扱事業者になる、範囲が不明確だというふうに考えております。主務
大臣
についてもよく分かりません。 弁護士、これは五千以上、例えば
データベース
を持っている人は多いと、少なくないと思いますが、主務
大臣
はだれになるのでしょうか。
細田博之
290
○
国務大臣
(
細田博之
君) 弁護士につきましては、弁護士が司
法制
度の一翼を担いまして、基本的人権を擁護し、
社会
正義を実現するという重大な使命を有することにかんがみまして、弁護士法上、弁護士に対する広範な指導監督は主務
大臣
というようなことではなくて、弁護士会及び
日本
弁護士連合会に言わば自主的な自治がゆだねられているわけでございます。 したがいまして、このような弁護士法の趣旨に照らして考えますと、弁護士の
個人情報
の適正な
取扱い
についても、弁護士会及び
日本
弁護士連合会が十分な指導監督を行うことが期待されることから、主務
大臣
において勧告、命令等の権限を行使すべき事態が生ずるということは想定いたしておりません。
福島瑞穂
291
○福島瑞穂君 主務
大臣
がいないなら、
報道
等の適用除外の場合とどう違うのでしょうか。
細田博之
292
○
国務大臣
(
細田博之
君)
報道
等についても主務
大臣
はおりません。
福島瑞穂
293
○福島瑞穂君 主務
大臣
がいないのであれば、勧告、命令等はありませんから、除外すべきではないでしょうか。
細田博之
294
○
国務大臣
(
細田博之
君) 事実上、除外されているというふうに考えております。
福島瑞穂
295
○福島瑞穂君 理解できません。主務
大臣
がだれなのか分からないという、
個人情報
取扱事業者であって、主務
大臣
がいないものはあるのでしょうか。
細田博之
296
○
国務大臣
(
細田博之
君)
報道
機関を完全に除外したのは表現の自由との関係でございますね。したがって、弁護士の場合は主務
大臣
はございませんけれども、例えば、さっきおっしゃったように、五千以上の
個人情報
を持っておられる弁護士さんもおられるということですから、
個人
と弁護士さんの間には一種の精神的規律といいますか、
個人情報保護
のために弁護士さんがきちっと活動されるということは大きく言えば入るわけでございますけれども、それは何の効力も持っていないといいますか、いわゆる主務
大臣
的な効力は持っていないということでございます。
福島瑞穂
297
○福島瑞穂君 非常に変だと思います。例えば、未成年であっても
インターネット
を使ってたくさん、まあ五千ぐらい
データ
を集めているかもしれない。未成年者でも
個人情報
取扱事業者になるわけです。一
個人
、未成年者だけではありません。多くの
データ
を持っている一
個人
、それは現在ではたくさんいらっしゃるでしょう。これは取扱事業者として法の義務規定の適用になるわけですが、では、この人の主務
大臣
はだれですか。
細田博之
298
○
国務大臣
(
細田博之
君) それは
データベース
を持っていろいろ運用する人のことですか、あるいは
企業
ですね。
福島瑞穂
299
○福島瑞穂君 いや、
個人
です。
細田博之
300
○
国務大臣
(
細田博之
君)
個人
ですか。それは多分、多分というのは、その実態に応じて違いますが、
情報
処理
の事業を行っている者だと思いますし、
データベース
業を行っている者でございますから、これは基本的には経済産業
大臣
になると思っております。
福島瑞穂
301
○福島瑞穂君 これは事業をやる必要があるんですか。
細田博之
302
○
国務大臣
(
細田博之
君) その
情報
を基に何らかの実際の業務を行っているということが
個人情報処理
事業、取扱事業者の定義になっております。
福島瑞穂
303
○福島瑞穂君 例えば、
自分
の仕事上、あるいは趣味で
インターネット
をやっている未成年、大学生、仕事をしている人、この人
たち
は従来は何も主務官庁は存在しておりませんでした。突然、経済産業省が主務
大臣
になるのでしょうか。それは、だれでも主務
大臣
を持ってしまうということになりませんか。
細田博之
304
○
国務大臣
(
細田博之
君) こういうことが
衆議院
でもいろいろ問題になりまして、例えばCD—ROMで位置
情報
あるいは電話
情報
を使う人はどうかとか、それぞれ
個人
で五千人なら五千以上の
データ
を持って何らかの行為を行っている、それが例えば仲間でのNPO活動とか、いろんな人がいるじゃないかと、そうすると
規制
の対象になるじゃないかと言うんですが、そうすると
規制
の対象になるというところがちょっと短絡的でしてね、要するに
個人
から見て、
個人
個人
の
情報
が大切な人から見て、その人に、その
個人
なり
企業
なりに問題がないと、これすべて発生しないんですよ。そうでしょう。 つまり、主務
大臣
が単独で非常に問題であると思うか、
個人
が、我が
情報
がどうもあそこのNPOなり
個人
に取り扱われているらしい、しかしこういう問題があるからこういうことを調べてほしいとか、
情報
を開示してほしいとか言わないと問題が発生しませんので、そういう問題が発生したときに初めてそういう問題が発生する。 だから、当然ながら、そういう場合に全部、法の
規制
を受けて、何か急にどこかお白州に出ていかなきゃならないようなイメージでずっと
衆議院
から
議論
しているんですが、そうではないということは御理解いただきたいんです。
福島瑞穂
305
○福島瑞穂君 いや、それは問題のすり替えですよ。なぜならば、あの人が持っている
データ
は私のもので、問題があると思えば主務官庁、今まで存在しなかった主務官庁が登場するからです。現に弁護士会は、主務官庁がありませんから、主務官庁はない、この
法律
の中で言う主務官庁はないにもかかわらず適用除外にはなっていないからです。 主務官庁の面ではたくさん疑問があります。これは
衆議院
でも聞かれておりますが、インター
オークション
、これはだれが主務官庁ですか。
細田博之
306
○
国務大臣
(
細田博之
君) 最近は
インターネット
を通じていろんな
オークション
をする
企業
が増えておりますが、まず基本的には、
オークション
というものが小売業であったり卸売業だったりする場合も多いと思いますから、それは経済産業省主管であります。 ただ、従来の
法律
で古物営業法というのがありまして、これが犯罪に関連する場合もあるということから、この許可制度を警察の方で、国家公安
委員会
の方で所管対象としておりますので、実態によって違いますけれども、インター
ネットオークション
が実際は新品について行われているような場合には明らかに経済産業省ですし、古物営業であることが明らかなような場合には警察庁も主務
大臣
になる可能性がございます。
福島瑞穂
307
○福島瑞穂君 ということは、主務
大臣
が二人いることにもなりますよね。その判断が違ったらどうなるんですか。例えば、インター
ネットオークション
でも古いものと新しいものと両方売っていますよね。主務官庁が決まらないじゃないですか。
細田博之
308
○
国務大臣
(
細田博之
君) それは規定によりまして、もし二省が主務
大臣
である場合にはその二省で主務
大臣
になっても構わないわけでございます。逆に、
自分
のところではないということで、だれも主務
大臣
が発生しないような場合には
内閣
総理
大臣
ということにしておりまして、これまでいろんな
法律
がたくさん主務
大臣
というのを規定しておりますが、ほぼそのすべてそういうルールで来ております。
福島瑞穂
309
○福島瑞穂君
個人情報保護
基本
法制
に関する大綱では、民間事業者等が取引、調査等によって大量の
個人情報
を取得し
蓄積
している、顧客
サービス
や経営効率の改善、新規事業の開発等への
利用
の観点というように、民間
企業
が念頭に置かれていました。それが基本
法制
では、NPO、労働組合、一
個人
までも対象になっています。
個人情報
を取り扱う事業がやはり拡大していく。 例えば、四千件持っている、
データ
を持っている人、夫が四千件持っていて妻が持っていて相互
利用
する、これは
個人情報
取扱事業者になりますか。
細田博之
310
○
国務大臣
(
細田博之
君) 私どもは、それがなるかという問題の前に、一体どういう
社会
問題を起こしたかということによって問題は発生する、そのための
法律
であるとまず思っております。 したがって、もし夫婦で四千ずつの
情報
を持って、合わせて八千件、それを実は一緒に運用しておって、
個人情報保護
に関して重大ないろんな問題を引き起こしておる、それに対してある
個人
が苦情を申し立てれば、これはおかしいぞと、この夫婦は相かたらってこんなことをしておるぞということが発生すれば、その段階で問題が発生するわけでございますが、普通はそんな人は世の中に余りないと思うんです。実際は、今大きな
社会
問題になっているのは、何万という
情報
で、それを、多重債務者
情報
だったり病院から得た診療
情報
だったり、いろんなことの
情報
を対価をもって不心得者の社員が流してしまうとか、会社ぐるみで流してしまうという、そういう今、
法律
上
規制
がなかなかできないような
個人情報
に対する大きな侵害を対象とするというのが基本でございます。
福島瑞穂
311
○福島瑞穂君 大量かどうかはこの条文上問題になっておらず、ある
個人
が
自分
の
情報
が問題だと思えば訴えられると。つまり、重要な
問題点
は、
自分
が
個人情報
取扱事業者になり得るのか、
情報管理
について気を付けなければならないかどうか、その点です。それは問題になったときにしか分からないというのでは困るじゃないですか。 ところで、
名簿
業者、この
人間
が
名簿
を買って売る、これはこの
法律
ではどうなりますか。
細田博之
312
○
国務大臣
(
細田博之
君)
名簿
の販売業は一種の
サービス
業でございますので、基本的には経済産業
大臣
と思っております。
福島瑞穂
313
○福島瑞穂君
名簿
業者に
個人情報
取扱事業者でない人が同窓会の
名簿
を売ることはこの
法律
の射程距離ではありません。 では、
名簿
業者が
自分
が得た大量の
名簿
をだれかに売る、これはこの
法律
上
規制
の対象になりますか。というか、罰せられますか、問題になりますかという
意味
です。
細田博之
314
○
国務大臣
(
細田博之
君) それは実際の業務の態様でございますので、まず
個人
からそのような実態について強い要請をいたすことが普通でございまして、
自分
が
個人情報
について取り扱われて不当な
取扱い
が行われていると、まずその実態を強く言っていただく。その間でらちが明かない、それじゃ経済産業
大臣
の方に申し出て、何とか対応してくれと。それで
情報
の開示、訂正から始まって最後の罰則までいろんな手順はあるんですけれども、その間で実際の事情聴取とか関係団体との話合いとかも行われる。やはり多段階で実態に応じていく必要があるので、直ちにもう主務
大臣
というのがあって、すぐ罰則が掛かるというふうに考えていただくようなストレートな
法律
ではございません。
福島瑞穂
315
○福島瑞穂君 済みません。頭を切り替えてください。 私が
質問
したのは、
名簿
業者、つまり問題が起きてからどうなるかということになればケース・バイ・ケースで、問題が起きるまで分からないわけですね。私がお聞きしているのは、
名簿
業者が
自分
のところにある大量の
名簿
を例えば売る、これはこの
法律
上は問題にならないですねということをお聞きしたんです。
細田博之
316
○
国務大臣
(
細田博之
君) これは、条文上でいうと、
名簿
業者から買ったものが更に転々流通するときには第三者提供という規定に掛かるわけでございます。
福島瑞穂
317
○福島瑞穂君 じゃ、
名簿
業者から買った
人間
が
ダイレクトメール
を送る、これはどうですか。
細田博之
318
○
国務大臣
(
細田博之
君)
名簿
業者から買って、その
名簿
業者が四千人以下というわけですね。 その場合には、
名簿
業者の方は今の規定によりまして掛かりませんですね。
福島瑞穂
319
○福島瑞穂君 私の素朴な疑問は、何が
規制
にされるのか、むしろみんなが迷惑を、ということがよく分からないんですね。
名簿
業者が第三者に
名簿
を売るのは第三者提供そのものになるんですか、ならないですか。
細田博之
320
○
国務大臣
(
細田博之
君) この
法律
の構成は、そういう行為の主体が
個人情報
取扱事業者でなければなりませんので、それに当たらない場合はなりません。
福島瑞穂
321
○福島瑞穂君
名簿
業者は
個人情報
取扱事業者ですか。
細田博之
322
○
国務大臣
(
細田博之
君) いろいろ要件があります。要件があります。 したがって、その
名簿
業者が、最近ありますように、どこか駅のそばへ行くと
名簿
図書館なんというのがあって、どこのもう卒業生
名簿
でも同窓会
名簿
でも売っておるようでございますが、そういうのはやはり大規模な人数の
個人情報
を取り扱っておりますので、それはなります。 ただ、たまたま、○○高校卒業生
名簿
なんというのは
幾ら
足し合わせても二千名ぐらいにしかならないと、それをたまたま
個人
がだれかに提供したというのは、まだ
個人情報
取扱事業者の対象になりません。 これはおかしいじゃないかと、なぜ同じことをやっているのに差ができるんだとおっしゃるかもしれませんが、どこかで小規模なものは線を引くことが法の均衡上も大事であると。一般の、例えば小売店なども二千人や三千人の顧客
名簿
等を持っておりますので、形式的な線を引かざるを得ないということは御理解いただきたいと思います。
福島瑞穂
323
○福島瑞穂君
名簿
業者はたくさん集めていますから、五千件以上は持っているわけですね。しかもそれを第三者に売ることでなりわいとしているわけですから、じゃ、
名簿
業者というのはこの
法律
が成立した暁には基本的に成立してはいけない職業というふうに理解してよろしいですね。
細田博之
324
○
国務大臣
(
細田博之
君) 結局、
個人
との関係ですから、その
名簿
についてそういう事態があるということを分かったとしますね。そうすると、その
情報
をまた
コンピューター
か何かに入れて売ろうという人があったときに、
自分
の方から削除を要求するということは権利として認めておるんでございますが、そういった規定に従わなければならないわけでございます。
福島瑞穂
325
○福島瑞穂君
名簿
業者に対して削除を要求するなんということはなかなか難しいですよね。 それで、ですからよく分からないんですよ。みんなのプライバシーを、
情報
を侵害しているようなところはメスが入らずに、一
個人
でやっているようなところにメスが入ってしまう。
企業
はこの
法律
ができれば対策を取るでしょう。だから、ぼけっとしている
個人
が本当に、公選法じゃないですけれども問題とされるのではないか。 では、
ダイレクトメール
業者に住民票を閲覧、謄写させることは現在認められております。
ダイレクトメール
業者が住民票を大量に閲覧、謄写をして、それで
ダイレクトメール
を送りました。これはこの
法律
上何か問題となりますか。
細田博之
326
○
国務大臣
(
細田博之
君) その数が一定規模を超えると、法に基づいた要件に当たれば対象になります。
福島瑞穂
327
○福島瑞穂君 もう五千件以上
ダイレクトメール
業者が
ダイレクトメール
を送るとしたら、それは当てはまることが多いわけですよね。振りそでの何とか、子供が小学校に入るとき。そうしますと、
ダイレクトメール
業者は、という商売は、今後この
法律
ができればほぼ成り立たなくなるという理解でよろしいのでしょうか。
細田博之
328
○
国務大臣
(
細田博之
君) それはまあ目的の範囲内で使うという場合にはそれを使うことができるわけでございますけれども、どういう業態でそれをその事業者がやっていくかということによるわけでございますので、個別にやはり
状況
によって対応して考えていかなければならないと思います。
福島瑞穂
329
○福島瑞穂君
ダイレクトメール
業者が二十歳の振りそでのアンケートとして閲覧、謄写をして、大量にそれをまく、これは別に
利用
目的になってしまうわけですね。そうすると、みんなが実は不審に思っている、どうしてこんな
ダイレクトメール
が来るんだろう、あるいはどうしてこの
名簿
が売られているんだろう、そこにはこの
法律
は無力だということになりませんか。
細田博之
330
○
国務大臣
(
細田博之
君) そういう
名簿
業者の事業が成り立たなくなるんじゃないかという御
質問
があったり、
規制
をできないんじゃないかという御
質問
と、ちょっと両方の御
質問
があるような気がするんでございますが、実際は、
個人情報
取扱事業者になるわけでございますから、まず住民基本台帳について申しますと、先ほど相当やり取りが
総務大臣
との間であったわけでございますけれども、それちょっと重なるかもしれませんが、住民基本台帳の
利用
の在り方というのは同法における
政策
判断の問題であると。ただし、本
法案
は、この
個人情報保護法
案は、公知、非公知にかかわらず、すべての
個人情報
を対象として、一定規模以上の
個人情報
データベース
等を事業の用に供する者は
個人情報
取扱事業者となるということで、五千以上であれば対象になるし、五千以下であれば対象にならないと。これはおかしいじゃないかと言われても、どこかで線を引かなきゃならないということでございます。 そして、したがいまして、住民基本台帳の大量閲覧によって
個人情報
を取得した事業者も本
法案
の対象となり、
利用
目的の特定、取得に際しての
利用
目的の通知、公表、目的外
利用
の禁止等の規定が適用され、特に、第三者提供の制限により、
名簿
の転売等については、原則として、本人の同意が必要となるというわけでございます。 この辺については、先ほどもちょっと、もうちょっとこの閲覧について制約できないのかと、今後弊害が大きくなるぞという御
質問
もありまして、
総務大臣
からも、今後の問題として幅広くいろんな利害得失も考えていかなきゃならないというような御
質問
があったと思います。 それは、住基台帳だけおっしゃいましたけれども、
個人
の財産等を、様々な公表され、また知られてしまうような
データ
もたくさんございますので、そういったものについてどのように今後考えていくかという大きな問題をはらんでいるわけでございます。 これは、
衆議院
でも
個人情報
コントロール権というような、およそ
自分
の
情報
であればあらゆるものについてどんな
情報
でもコントロールすべきであると。
個人
がイエスと言わなきゃできないんだと、
意見
も公表も販売ももとよりすべてできないんだという考え方の方から、それはどこかでバランスを取るべきだという考え方まで、ちょっと幅広く分かれておりますが、私どもとしては、今のこの
法案
の考え方というのは、五千ということで、まず第一。それから
個人
の、被害者だと思う人が自主的にそういう方々と話合いに入って、そういう問題意識がなければ問題は始まらないということがこの
法律
の基本であると考えております。
福島瑞穂
331
○福島瑞穂君 そうすると、
名簿
業者は
個人情報
取扱事業者になり得る、なるが、
名簿
を転売するということもこの
名簿
の転売に当たるので、それによってプライバシーを侵害されたという
人間
が出てくれば問題である。 ということは、実際上は
名簿
業者という商売は、この
法律
が成立した暁にはあり得なくなるというふうな理解でよろしいでしょうか。 次に、政治、よろしいですか。そうですね。政治活動の適用除外についてですが、
政治家
、
国会
議員
、地方
議員
も五千以上の
名簿
を持っている人はかなり多いと思いますが、政治団体の政治活動目的の場合となっていると。政治団体となっておりますから、政治団体に属さない、無所属、無党派の
議員
は適用除外とならないという理解でよろしいでしょうか。
細田博之
332
○
国務大臣
(
細田博之
君) 政治団体というのは
政治家
が一人でも、周辺にいろんな活動を支える人がいれば政治団体としておる扱いでございますので、そういうことはございません。 ただ、
国会
前で一人でプラカード持ってわあっと言っているような人がありますが、あれはもう政治団体とは言えないと思いますけれども、それでも五千以上のそういう政治団体でない人は、五千以上の
データ
は持っていないと思っておりますので、余り矛盾はしないと思っております。
福島瑞穂
333
○福島瑞穂君 定義がちょっと、では分かりません。そのプラカードを一人で持っている人の周りもいろんな人がいるかもしれないですね。 今回の
個人情報保護法
については、
報道
については初めて定義が出ました。でも、除外のところは、適用除外、五十条、政治団体、政治活動の用に供する目的、じゃそれは、今のことでは無所属、
議員
であれば必ず政治団体ということでよろしいですか。それから、その本人も、いや私は政治団体だと言えばいいんですか。これはどういう、定義を教えてください。
細田博之
334
○
国務大臣
(
細田博之
君) 政治団体とは、政治資金規正法に規定する政治団体が該当いたしまして、同法上の規定による届出を行ったかどうかは問わないと。そして、実際の行動は一人の
政治家
であっても、その周りに支援者がいて政治活動を行っておればそれは政治団体、立派な政治団体であると、無所属であれ何であれですね。
福島瑞穂
335
○福島瑞穂君 政治資金規正法上の適用はなくてということですか。
細田博之
336
○
国務大臣
(
細田博之
君) 政治資金規正法上の政治団体というものが該当すると、同法上の届出を行ったかどうかは問わないと、そういうことでございます。
福島瑞穂
337
○福島瑞穂君 政治活動というのはもっと広範囲だと思いますが、政治団体をそのように狭くした理由はなぜでしょうか。
細田博之
338
○
国務大臣
(
細田博之
君) 狭くはしておりませんで、政治団体というのは一人の
議員
を中心とする団体でもよいし、幅広い大きな、政党のような大きな政治団体でもいいんでございますが、いずれにしても政治活動の自由というものを保障するためにすべて抜くということを言っております。 そのときに、何か一人だけで、一匹オオカミで、支持者もなく単独行動をしている人が抜けてしまうんではないかということをおっしゃいますから、そういう人は普通の
政治家
として活動している以上はおられないんじゃないかと。一人の
議員
であっても、周りに支援者がいて活動しているんじゃないかという
意味
で、すべて除外されるのに等しいと考えていただいて結構でございます。
福島瑞穂
339
○福島瑞穂君 私は、政治活動をするところに関して除外をするというのは
一つ
の考え方だとは思うんですが、そうすると、
議員
、いわゆる政治資金規正法上の政治団体などは適用除外だけれども、NGO、政治活動をやっているNGOなどは適用除外にならないわけですね。それについては問題があるのではないかと思います。 五十条一号が出版社というのを入れていない理由について教えてください。
細田博之
340
○
国務大臣
(
細田博之
君) 出版社ですか。
福島瑞穂
341
○福島瑞穂君 はい。
細田博之
342
○
国務大臣
(
細田博之
君) 出版社については、
報道
の関係が問題になってきたわけでございます。 出版社はおよそ全部抜けという御発言も、御
意見
もあるわけでございます。
著述業
の場合は一人でも抜けておりますね。それから、
報道
の場合は抜けている。出版社の場合、一番我々が困っておりますのは、出版業の方が
個人情報
を記載したCD—ROM等その他の媒体を出して、正に役員四季報、会社四季報、何とか株価
情報
、ありとあらゆる
個人情報
が盛り込まれた
データ
を販売していますので、あるいは地図
情報
、そうなると、それ自体はあくまでもやはり
個人情報処理
の対象にならざるを得ないと。なぜならば、出版社がそれをやっている場合と、そのほかの会社がそういうことを発売している場合とは差が付けられないからでございます。 ただ、一般的に言いまして、出版社が出す週刊何々とか雑誌、あるいは月刊誌とか
情報
誌とか、ノンフィクションも含めて、そういったものは当然
対象外
であるというふうに考えております。
福島瑞穂
343
○福島瑞穂君 ちょっとそれはよく分からなくて、例えばいろんな取材をするに当たってその人のプライバシーや
情報
を収集するということはあるわけですね、それなくしては取材ができませんから。その場合、なぜ出版社が適用除外となっていないのでしょうか。
細田博之
344
○
国務大臣
(
細田博之
君) そのような場合は
報道
に当たると幅広く解釈いたします。
福島瑞穂
345
○福島瑞穂君 ただ、
報道
の定義が不特定、じゃ逆に、
報道
の定義が初めて入りました。「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせる」。例えば、
インターネット
上でメルマガを流す、何かの
報道
をする、例えばテレビの、テレビは放送機関になるかもしれませんが、じゃ週刊誌、例えば本、出版社は本も出します、週刊誌も出します。これはその中身によってこの適用になる、ならないというふうになるのでしょうか。
細田博之
346
○
国務大臣
(
細田博之
君) 著述の用に供する目的も除外しておりまして、おっしゃるようなケースは著述であることが非常に多くて、一部でも
報道
的な要素があれば、その内容が実は事実でなかったということが後で分かったとしても、それはもう
報道
の姿を取っておれば
報道
であると、そういうことで除外しております。
福島瑞穂
347
○福島瑞穂君 時間ですので、また今後、引き続き追及したいと思います。
尾辻秀久
348
○
委員長
(
尾辻秀久
君) 本日の
質疑
はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会