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政府参考人(勝栄二郎君) 個別の話を申し上げる前に、全体の話をさせていただきたいと思います。
まず、国の貸借対照表十二
年度版におきましては、十二
年度末の国の一般会計及び特別会計の重複部を除いた負債は九百二十一兆円でございまして、内訳はここに書いてありますように、民間保有
公債が約二百六十六兆円、郵便貯金が二百四十九兆円、公的年金預り金が約百五十六兆円でございまして、また、この負債に対しましては、資産が七百三十四兆円ございます。
この負債がどの程度
国民負担になるかという肝心の御
質問でございますけれ
ども、このことにつきましては、まず
一つは、負債の償還財源につきましてどの程度税金という形で
国民の負担を求めるかにつきましては、個々の負債の性質に応じて御
議論いただくものでございます。
一つの例を取りますと、例えば公的年金でございますけれ
ども、公的年金につきまして、果たして税で全部見るのか、また保険料で見るのか、どの程度の組合せでやるのか、またもう
一つは、年金の給付水準についてどう考えるか、そういうこと全部
関係するものでございまして、一義的にこれだけの債務、
国民負担というのを必ずしも今、現段階では言えないものが多々あるというのを御理解いただきたいと思います。
二つ目、じゃ、その国の資産、償還財源としての国の資産ですけれ
ども、これをどの程度充てられるかといいますと、これ、先ほど先生からもおしかりをいただきましたけれ
ども、個々の資産の性質に応じてまちまちでございまして、例えば先ほど申し上げました、果たして河川、こういうものは償還財源として資産計上していいかどうかという
議論はあると思っていますので、今、一義的に、すぐ
国民負担はどうなっておるかということは、ちょっと今はお答えしにくいところがございます。
また、個々の話でございますけれ
ども、まず、おっしゃいました
政府が出資した法人の借入金でございますけれ
ども、これについては、
政府出資法人のすべての借入金、つまり民間借入れを含めてのデータ、今は手元にはございませんけれ
ども、財投機関である
政府出資法人の財投融資資金からの借入金、これは
平成十三年末で百八十一兆円ございます、八十一・五兆円でございます。
ただ、これにつきましては、財投融資による特殊法人等への貸付けそれ自体につきましてはこれまですべて回収されておりまして、いわゆる延滞債権等の不良債権は今はございません。もちろん、余りにも楽観的な
需要予測じゃないかという問題指摘されているのは
承知しておりますけれ
ども、だからこそ今、特殊法人等の行う事業につきましていろんな見直しを行っているところでございます。
二つ目は信用保証ですけれ
ども、これ、十四
年度末の保証残高は全体で三十三兆円ございます。いわゆる特別保証といいますか、安定化分はそのうち六兆九千億円ございます。それで、今まで中小企業信用保証制度について、出資金として累計二兆四千億円いたしております。この今後の負担の見通しですけれ
ども、これにつきましても、それぞれの回収率、事故率によって随分違いますので、ここでも確定的なことはまだ言えないということでございます。
地方公共団体の債務は全体で、十五
年度末で百九十九兆円ございますけれ
ども、これについては、将来
地方税などの財源、すなわち住民の負担で償還していくものと我々は考えております。
郵貯と年金でございますけれ
ども、郵便貯金の運用につきましては、全体として赤字ではございませんので、自主運用の失敗により将来
国民負担が生ずるような
事態にはならないんじゃないかと考えております。
年金積立金の運用につきましては、多様な資産への分散投資を行っていると
承知しておりますけれ
ども、基金について申し上げますと、十三
年度末で三兆百億円の累積利差損がございます。ただ、反面、積立金全体の運用
状況は、例えば十三
年度で預託利子収入が四兆九百億円もございますので、全体としてはその数字を含めてプラスでございます。
また、公的年金の負債の税負担でございますけれ
ども、これにつきましては、厚労省が昨年五月の将来推計ございますので、これにつきまして、年金の公費負担につきましては二〇一〇
年度で九兆円、二〇二五
年度で年金につきましては十三兆円を見ているということでございます。また、医療、介護を含む社会保障は別にございます。
さらに、もう
一つのお尋ねは、
政府の活動の失敗のリスクをどのように
評価し
国民に情報を開示するのかということでございますけれ
ども、これは
一つは、おっしゃいましたように、的確な情報開示に努めるということが何よりも重要でございます。また、具体的には、例えば特殊法人につきまして、また独立
行政法人につきましてですけれ
ども、その所管している
各省におきまして、独立
行政法人
評価委員会などを活用して監督を行っておりますし、また
政府系金融機関の貸出し債権につきましては、金融庁の検査を導入するという取組をやっております。
また、情報開示につきましては、国の貸借対照表とか特殊法人の
行政コスト
計算書等を、不十分でありますけれ
ども、今まで申し上げましたように行っておりまして、
財政制度審議会におきまして今月末、基本的考え方を取りまとめるという
方針で行っておりまして、
財務省としても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。