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2003-05-07 第156回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年五月七日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      池口 修次君     山根 隆治君  四月二十二日     辞任         補欠選任      大江 康弘君     広野ただし君  四月二十四日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     鴻池 祥肇君  四月二十五日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     山内 俊夫君  五月六日     辞任         補欠選任      大沢 辰美君     小泉 親司君      又市 征治君     大田 昌秀君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中原  爽君     理 事                 岩井 國臣君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 八田ひろ子君     委 員                 荒井 正吾君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 田村耕太郎君                 月原 茂皓君                 常田 享詳君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 神本美恵子君                 榛葉賀津也君                 谷  博之君                 松井 孝治君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 荒木 清寛君                 遠山 清彦君                 山下 栄一君                 小泉 親司君                 岩本 荘太君                 広野ただし君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        法務副大臣    増田 敏男君        外務大臣    矢野 哲朗君        国土交通大臣  吉村剛太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        防衛庁防衛参事        官        野津 研二君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛参事        官        安江 正宏君        防衛庁長官官房        長        山中 昭栄君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       宇田川新一君        防衛施設庁建設        部長       生澤  守君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房領        事移住部長    小野 正昭君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省経済局長 佐々江賢一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        国土交通省政策        統括官      鷲頭  誠君        環境省総合環境        政策局長     炭谷  茂君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十三年度一般会計歳入歳出決算平成十三  年度特別会計歳入歳出決算平成十三年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十三年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十三年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、池口修次君、大江康弘君、又市征治君及び大沢辰美君が委員辞任され、その補欠として山根隆治君、広野ただし君、大田昌秀君及び小泉親司君が選任されました。     ─────────────
  3. 中原爽

    委員長中原爽君) 平成十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 中原爽

    委員長中原爽君) この際、お諮りをいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中原爽

    委員長中原爽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 中原爽

    委員長中原爽君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山本一太

    山本一太君 自民党の山本一太です。今日はトップバッターで質問をさせていただきたいと思います。  平成十三年度の決算といえば、これはもう絶対に避けて通れない問題が一つありまして、それは御存じ外務省プール金問題という、まあ裏金をちょっと積み立てていたというこの問題でして、プール金と言うと、もういかにも不透明な非常にうさん臭い感じがするんですけれども、実態もかなりひどいものだったということが明らかになったのは外務大臣御存じのとおりだと思います。  これ、ちょっと今日、プール金問題のデータを取り寄せたんですけれども、十三年度の決算ではプール金問題はこれは不当事項ということで指摘をされておりまして、外務省は全部で百二十ぐらい、たしか課とか部屋を合わせるとあったと思いますけれども、大体その半分ぐらい、六十を超える課とかあるいは部屋でこのプール金取引先に積み立てていたということで、これが大体六十三ということでここでは書いてありますけれども、六十三の課とか室で二億八千四十二万円が取引先に積み立てられていたと。この場合、取引先というのは、外務省がふだん契約をしているハイヤー会社とかあるいはホテルとか、そういった大体十ぐらいの業者に集中してこのプール金が積み立てられていたということだと思います。  そうすると、当然、国損額ということで計上されておりまして、この資料によれば、今回の会計検査院調査では、平成七年の四月から十三年の九月までに使われた、費消されたと言いますけれども、このプール金は何と四億三百五十二万円という大きな数字になっております。  これらのプール金の多くというのは、これも御存じのとおり、空請求とか、いわゆる水増し請求によって積み立てられていたということで、本当はそこら辺のところをちゃんとチェックしなければいけない外務省会計課の方でも、この資料によれば三百万円の費消額が報告されていた、つまりプール金が使われたということで、これはかなり悪質だというふうに私は考えております。  水増し請求というのはどうやって行われるのかということをちょっと思い返してみると、例えばホテルなんかの場合は、外務省国際会議か何かを主催したときにいつも使っているホテルがあるとすると、そこに外国からお客さんを呼んできて、外国から来たそのゲスト宿泊費を何万円か水増しして請求する、実は実際に余った数万円をホテルの方がこれは積み立てると、こういう形で行われてきたということです。  これは、ホテル営業担当の方も、これは外務省に対する営業をやらなきゃいけないというインセンティブもあってこういう構図になってしまったんだと思うんですけれども、これ何でこういう話が出てきたのかということをもうちょっと詳細に考えてみると、やっぱりなかなかまともに会計に計上できない支出が発生したということに尽きると思うんですね。  例えば、あるホテル外国ゲストが泊まると。私、幾つかのところからちょっと聞き集めた話を拾って考えてみると、例えばある地域から外国ゲスト外務省の主催する国際会議のためにやってきてあるホテルに泊まったと。そのホテルに泊まって、宿泊代はいいとしても、その人が泊まっている間にお酒を飲むとか何かあちこちで食べまくる、食べまくるかどうか分かりませんけれども、まあ多少食べたりとかすると。そうすると、この例えば飲んだり食べたりしたお金は、これは当然公費の中からは出ない。外務省の方に請求が回ってくると、外務省担当官は、見て、これはちょっと出せないということで、まず恐らく最初にすることは、そのゲストが来た国の大使館か何かにきっと問い合わせるんだろうと。それで、大使館に、これはちょっとうちで出せないんですけれども、こういうお金どうしますかと言うと、向こうの大使館では、中には、いやいや、うちの国の人はそんなお酒なんか飲んでませんと、お酒飲めないことになっているんですとか言ったりするわけです。そうすると、そこで処理できるお金が、どうやってこれを処理したらいいかということになって、そこでプール金というやつの出番になってくるというふうに、ちょっと私もいろいろ拾い集めた情報ではそんなシナリオかなとも思っているんですけれども。  このプール金問題というのは、これは川口外務大臣の方でもいろんな再発防止措置というのを取っておられまして、たしかこれ去年の十一月の三十日のメモなんですけれども、外務省裏金問題で外相計三十九人を処分というふうに書いてあるんですが、川口大臣が昨年の二月の就任のときに、裏金があれば各課でちゃんと言ってきてほしいとたしかおっしゃって、なかなか出てこなくて、そのまま会計検査院調査になって、国民の前で大臣が、記者会見だったでしょうか、おわびをしたというのを、私、記憶に新しいんですけれども、そんなことで大臣の方では三十九人を処分したと。あるいはシステム的にもこれを再発防止しなきゃいけないといういろんな一応策を外務省も講じておりまして、今まではこういう例えば契約ホテルとの契約とかハイヤー会社契約みたいなものは各課庶務班がやっていたのをこれをもう会計課に一元化するということもやっておられると。つまり、特定業者との癒着というものはこれはもう当然度外視して契約するという体制になっているとか、あるいは、たしか査察官ですか監察査察官でしょうか、ちょっと正確な言葉覚えていないんですけれども、監察査察官なんかもこれも新設するということで、いろんなことをやってこられたということをお聞きしています。  細かいことはいいんですけれども、こういういろんな対策を打つ中で、大臣御自身がごらんになって、外務省文化というものが変わってきたのかどうか、つまり、その文化というのはどういうことかというと、どう変わらなきゃいけないかというと、公費というものは国民税金で大事なものであってきちんと透明に使わなければいけないという、そういう発想が外務省員の中にきちっとできてきているかどうか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  8. 川口順子

    国務大臣川口順子君) プール金お話は、今、山本議員が御説明をなさるのを聞きながら、本当に改めて非常に恥ずかしいと思いながら伺っておりました。外務省職員全員がそう思って、今もしテレビなどで見ている人がいたらそう思っていると思います。  これは、委員がおっしゃったように、公のお金国民税金、これをきちんと透明性を持って、しかも節約をしながら使わなければいけないという意識について欠如があったと思います。  今、変わってきていると思います。変わっていくために、一遍に一朝一夕に全部の、全員気持ちが変わっていくということは難しいんですけれども、事これについては相当に変わってきたと私は思っています。今、委員がおっしゃったような様々な手も打っております。  それから、これらについては引き続き、やはりみんな相互に信頼関係を持ちながらではありますけれども、やはりルールルールとしてきちんと当分の間、より厳しく見ていくことが必要だと思っております。
  9. 山本一太

    山本一太君 今、大臣の方から随分外務省省員のこのお金に対する、公費に対する意識が変わったというお話があったんですが、望みがないわけではないと私は思っているんですね。それはなぜかというと、プール金、これ国庫に返納しなきゃいけないわけですけれども、このプール金国庫返納状況という紙をちょっと外務省からもらってきたんですけれども、これは平成十五年三月十七日現在ということで、消費類型返納者、要返納額、現状というふうに分かれているんですけれども、消費類型というのはどういうことに使ったかということなんですが、例えばこのうち、公務、省内、こういう名目で使ったプール金返納者という欄に外務省職員等返還会と書いてあります。  これはもっとぶっちゃけて言うと、ぶっちゃけてというのはちょっと日本語がおかしかったですね、もうちょっと具体的な形で言うと、ボランティアだと。つまり、外務省員それぞれがボランティアでこのプール金を返納するために集めたお金ということだと思うんですが、これが約二億五千万あるわけなんですけれども、これは完全に返納済みだと。  つまり、それはどういうことかというと、もし外務省員の中で余り危機感がなくて、こんなお金も集められなくなったらかなり外務省は批判されたと思うんですけれども、これはもう一遍にそれぞれの外務省員ボランティアで返納したいという気持ちで集めて、これをもう完全に返納しているというふうになっていますし、そのほか、浅川補佐お金は当然浅川補佐が返さなきゃいけないんで、これも返納済みと。あるいは、その他特定省員費消、つまりこの使ったお金もそれぞれの省員が全部返しているということで、既に三月十七日現在において四億円以上のお金が一応国庫に返納されているということなんで、このボランティア外務省員のいわゆるお金がこれだけ集まったということについてはある程度希望が持てるかなという感じはしております。  大臣、これは危機感を持っていかないとなかなか、元に戻ったりすることもありますので、これは是非これからも今おっしゃったような緊張感危機感を持って進めていただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょっと御提案申し上げたいのは、さっきホテルに来て勝手にお酒を飲んで帰ってしまった外国人ゲストの話をしましたけれども、こういうお金が発生する温床は、やっぱり使途不明じゃないですけれども、余り外に出せない会計処理が発生するということ自体にあるので、やっぱり外交の中ではいろいろなかなかこういう話も出てくるかと思いますけれども、それぞれのケースについては個別にどう対応するかということをきちっと考えていただきたいと思います。例えば、今度外国からゲストが来たら、ホテル代は出るけれども、お酒飲んだらあなたが払いなさいよと最初に渡しておくとか、そういう形で、その個々のケースについて、こういうプール金を使わなければいけないケースについてどういう対応をしていったらいいのかということを是非具体的に詰めていただきたいと思います。  以上でプール金の話、嫌なお顔をされているのでそろそろプール金の話はやめて、もうちょっといい話にしようと。在外公館のことも聞こうと思いましたけれども、大臣の表情も見て、もう十分反省されているということで、やめました。  次に二番目、ちょっとこの文化について、もっと言ってもいいんですけれども、在外公館の話はまた後でやりたいと思いますが、今外務省文化の話を大臣にさせていただきました。やはり公費というものは国民税金であって、これをちゃんと使っていかなきゃいけないと、こういうやっぱりマインド外務省だけじゃなくて霞が関に求められているんだと思うんですね。  ここ何年かの外務省のいろんなお金の使い方を見ていますと、このプール金問題は大変けしからぬのですが、外務省の中にもだんだんこれは親方日の丸じゃなくて、効率を考えてお金を使わなきゃいけないというマインドが芽生えているという一応その例もあって、一番いい例が外務省国際電話を使っているお金だと思うんですね。  ちょっと取り寄せてみたんですが、これ平成十五年、四年の外務省大臣官房会計課資料なんですけれども、平成十一年に一年間で外務省本省が使った国際電話料金、これは大使館同士連絡は恐らく別の回線でやっているんで、専用回線大使館から大使館に行く電報とかネットとか、こういうのは恐らく含まれていないと思います。恐らく含まれているのはそれ以外の外国政府に対する連絡とか、あるいは最近、何か外務省のスタッフの方がアフガニスタンとか、イラクは分かりません、イランかな、辺りに行くときに何か国際電話を携帯して行きますので、恐らくこれが相当お金が掛かっているんじゃないかとも思いますし、あるいは在外公館でも、その在外公館が閉まった後の連絡は、これは恐らくこの中に計上されていると思うんですが、その金額を合計すると、平成十一年度一年間で約二千三百万を使っているということになっています。  これ実は平成十一年度、会計検査院からちょっと高いんじゃないのという指摘があって、これ少し外務省の方も割引制度とか考えたらどうだという厳しい指摘を受けて、これは外務省の方も相当考えたんだと思いますが、何か団体割引とか会社大口割引とか多分使ったんだと思うんですけれども、平成十二年度には何とこれが六千約五百万円になっていると。やればできるじゃないかという感じなんですけれども。  それが、この決算の対象になっている平成十三年度になると更に割引多分サービスを見付けたんだと思いますが、これが四千万円に下がっているということになっています。平成十四年度を見てみますと、ちょっと二百万円増えて四千二百万から三百万になっているんですけれども、まあ横ばいということだと思いますが、これ一つの例だと思うんですけれども、四千万円ぐらいまでに落としてきたわけなんですけれども、ここら辺はどうでしょうか、なかなかつかみにくいと思いますが、更に割引サービスを見付けてここら辺のコストダウンをしていくという計画もあるのかどうか、ちょっとそこら辺の感触を簡単に伺いたいと思います。簡単でいいですから。
  10. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 御指摘のとおり、平成十一年度の会計検査院指摘を受けまして、我々、国際電話料金節減努力が必要であるということで、定期的な見直しを行って、より経済的な割引制度の適用を受けるようにしているということでございまして、今後とも、より安いプログラムがあれば、是非それを使っていきたいというふうに考えております。
  11. 山本一太

    山本一太君 今いろんな割引制度が出ていますから、とにかく国民税金効率よく使うために常に目をしっかり光らせて努力をしていただきたいと思います。  私は、平成十四年度、二百万円ぐらい増えているんですが、これは恐らく川口大臣のせいじゃないかと思っているんですね。別に大臣を責めているわけじゃないんです。外交上必要な連絡はどんどんしてもいいと思うんですね。  何でこのことを言ったかというと、私は、実は川口大臣外務大臣になられてから一年ちょっとたちますが、非常に注目していることがあります。それは時々、報道で、川口外務大臣がアメリカのパウエル国務長官とかイギリスのストローでしたね、たしか、ストロー外相とか、フランスのドビルパンは失礼なのでちょっと連絡していないかもしれませんけれども、今のはちょっとカットしてもらった方がいいかもしれませんけれども。委員会ですから、失礼しました。パウエル長官とかストロー外相とか、こういう人と川口大臣電話会談したというニュース、こういうのって余り今までなかったと思うんですね。  そこで、少し外務省いろんなところに情報収集してみたところが、大臣、就任されて一年ちょっとで、実はパウエル国務長官とかストロー外相とか、日本にとって主要なパートナーの国の外務大臣とは川口ホットラインなるものを持って定期的に、あるいはかなり回数電話連絡をしていると。それが恐らくこの二百万じゃないかというふうに私は思っているんですけれども、そこら辺のところ、その記録があったら、ちょっと大臣のホットラインの実績について簡単に教えていただければと思います。
  12. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今の時期、物事が早く動くものですから、極力電話連絡をしています。大臣に就任して以来、今まで一年と三か月ぐらいになりますけれども、その間、各国の首脳、外務大臣等電話をしましたのが百三回電話をしています。その中で一番回数が多いのがパウエル国務長官でございまして、電話でいきますと今まで十六回やっています。ですから、一か月に一回強は電話をしている。このほかに、パウエル国務長官とはまた一番回数も多く会っていますので、足し上げると二十数回会ったり電話をしたりということだと思います。  それから、ストロー外務大臣、それから次に多いのがイワノフ・ロシアの外務大臣、あとは中国ですとか韓国ですとか、そういったところというふうに続いております。  これは引き続きずっとやっていきたいと思っています。
  13. 山本一太

    山本一太君 電話代、多少多くなっても構いませんから、こういうことはどんどんやっぱり続けていただきたいと思うんですね。  別に私は大臣にお世辞を申し上げるつもりもなくて、大臣にお世辞を言っても政治資金も増えないし票も一票も増えないので、ずっと思っているんですけれども、やはり外務大臣が常に英語が全部できる必要はないとは思うんですけれども、やっぱりこの時代、ある程度英語でコミュニケーションするということはとても私は大事だと思っていまして、今まで歴代の内閣外務大臣が本当に自らの言葉でコミュニケーションできなかったということ自体が実は私は異常な事態だと思っていまして、やっぱり大臣語学力というものも最大限に生かして、御自分の強みを最大限に生かして外交をやっていただきたいと思うんです。  私の、大体新世代というか、私も四十代になったので新世代じゃないんですけれども、超党派の若い仲間といろいろ話をすると、川口大臣の批判をする人もいまして、バッジがないと、バッジがない大臣は駄目だという話があるんですね。私はこれはアンフェアだと思っているんです。バッジがあろうがなかろうが、大臣として政治家として入った限りはやっぱり外務大臣としてきちんと仕事をしようと思えばできるんだと思うんですね。  私は選挙区があってバッジの付いた国会議員で、毎週何百人という人に会って政治活動をやっているんですけれども、バッジがあるからできることもあります。バッジがあるからなかなか踏み出せないこともあるので、そこら辺のところは大臣、気にされていないと思いますが、こうした自分のネットワークを使って自信を持ってやっていただきたいというふうに思っています。  ちなみに、ちょっと関係ありませんが、この間、韓国へ行ってきました。若手議員五人で行ってきました。自民党と民主党の有志の議員五人で、三十代、四十代で行ってきて、盧武鉉大統領にも四十五分会ってきたんですね。韓国の与野党の新世代の大体ホープと言われる人たちは全部カバーしたので、あとはもう会う必要はないかなと思っているんですけれども。  この人たちと議論して思ったんですけれども、まず、韓国は大統領制ですけれども、閣内に政治家少ないんです。余りこだわっていません、能力主義ですから。やっぱり、私以外には若手議員ですごく優れた方も自民党にも野党にもおりますけれども、私、韓国の若手議員と会って思ったのは、もう全然負けていると。お酒の強さも負けていますけれども、政策も負けている、覚悟も負けていると。やっぱりバッジ付いている付いていないなんと言う前に、これは自分に対する反省ですけれども、まず自分が政治家としてちゃんと見識を付けるのが先だと、こういう思いで帰ってまいりました。  大臣も、そういうことで御自分の強みを生かして頑張っていただきたいと思います。これについてのコメントは要りません。  一応そういうことで、国際電話の話はこれでやめさせていただきまして、次に移りたいと思います。  私、昔、JICA、国際協力事業団と当時言ったんですけれども、今は国際協力機構と言うらしいですが、このJICAに勤めておりまして、JICA出身、JICAのOBとしては恐らくたった一人の国会議員で、ほかにいたら謝らなきゃいけないんですけれども、会ったことないんで、恐らくJICAに勤めた経験のある唯一の国会議員ではないかというふうに思っておりまして、このJICAの今年の十月の独法化については大変関心を持って見ております。  後で榛葉議員の方からもこの件に、委員の方からもまたJICAの件については御質問があるようなんですけれども、平成四年の、ちょっと思い起こしてみると、臨時国会のときに、JICA独法化の、独立行政法人国際協力機構法案という長い法案が可決されまして、この十月に向けていろんな準備が進んでおります。  JICA独法化の趣旨は、いろんなペーパーを改めて読んでみたり考えてみたりすると、国から法人への事前関与、統制を極力なくすと、事後チェックへの移行を図ってやっぱり弾力的、効率的で透明性の高い運営を確保すると、これが一番の眼目ではないかというふうに思っています。  御存じのとおり、今の川上JICA総裁の下に私的な有識者懇談会みたいのができて、明石康元国連事務次長、今、外交予防センターのたしか理事長か会長かだったと思いますが、こういう方々がいろんな議論をやってみて、ちょっと議事録も取り寄せてみたんですけれども、例えば、JICAの将来について主な意見、いろいろ率直に言っているんですが、JICAは国際協力において知的なリーダーシップを取れる団体になるべきだとか、あるいは、ある人は、JICAの悪いところは意思決定が遅く柔軟性を欠くと、自己裁量権の問題とも関係するが、独立行政法人化後は成果達成の見地から迅速かつ柔軟な事業運営に努力しろとかいうのもありますし、あるいは、今度の団法改正でJICAの仕事の中に復興というのが入ったわけですけれども、それについて、JICA自体が平和構築により広範に関与する過程で、これを制約する要因として安全の問題がある、安全については、国民一般の要望も踏まえる必要がある一方、今までの既成の概念にとらわれていると、事業の範囲が非常に狭くなり、諸外国との間で乖離してしまうと、こんないろんな意見が出ております。  独法化に向けた準備の中で幾つかのポイントがあって、一つは、例の中期目標というやつなんですけれども、私も中身は、何かいうんですけれども、どういうものかイメージが全然つかめないんです、出てこないものですから。  中期目標について、これ改めて読んでみると、主務大臣外務大臣)は、独立行政法人に対して三年から五年の期間で当該独立行政法人が達成すべき目標、中期目標を提示し、独立行政法人はその目標を達成するための計画を作成するとなっていまして、これ何か今、多分外務省の中でいろいろ策定をしているんだと思うんですね。夏ぐらいに多分できてくるのか、古田局長おられますけれども、夏ぐらいですよね、今聞きませんけれども、うなずいたのでよく分かりました。  これ、たしか官房の方の行政改革本部の方からも、推進本部からもかなり細かい策定指針が出ていて、航空賃の単価とか、あるいはたしか専門家の手当とか、このぐらい削減しろとか、かなり厳しい数値目標なんかが出ているともうわさには聞いているんですけれども、これが一応一つの、何というんですか、大きなポイントかなとも思います。  その他、例の評価委員会ですか、外務大臣がJICA及び独立行政法人国際協力基金業務の評価を行う独立行政法人評価委員会を設置するとなっていますから、これも今人選をされているところかなと。  あと、もう一つのポイントとしては、独立法人になった後のJICAと、現場の実施機関であるJICAと外務省の業務分担をどうするかと。一応、何かこのペーパーによれば、国際約束締結までが外務大臣の仕事、締結後の専門家の人選、機材の選定はJICA業務というふうな整理を行ったとなっているんですけれども、これもかなりあいまいですから、これもやっぱり詰めていかなければいけないということで、今いろんな準備が新しい新JICA発足に向けて進んでいると思います。JICAのいろんな取組についてはもうほとんど分かっておりますので、あえてここでは質問しません。  私が今日あえて外務大臣に申し上げたいのは、実は独立行政法人を目の前にして、JICAの中にもスタッフの中に意識の変化が、さっきの外務省意識変革じゃないんですけれども、文化意識が変わってくる芽が出てきていまして、ODAという国民税金を使っている以上は外務省とはバイバイできない、やっぱり連携しながらやっていかなきゃいけない、外務省がきちっと管理しなきゃいけないところもありますが、独立行政法人として生き残っていくためにはやっぱり自らいろんな知恵を発信しなきゃいけないという新しい世代の考え方がJICAにも出てきているんですね。  それに関して、実は連休の辺りだったと思うんですけれども、面白い記事を見付けまして、持ってきたんですが、これ五月四日の朝日新聞なんですけれども、これ外務大臣もお読みになったかもしれませんが、タイトルがJICA総裁人事「外務省の天下り「ノー」」と書いてありまして、政府の途上国援助を実施する国際協力事業団の労働組合が、十月の独立行政法人化を前に、新組織の理事長を含む役員人事について組合員にアンケートを実施したと。人気投票をやったんですよ。だれが次の、どういう人が次の総裁いいかなというアンケートをやったんですけれども、もうほとんどが、九三%ぐらいが天下りにはノーだというふうに言っています。これは、御存じのとおり、七四年のJICA創設以来、今の川上総裁、つまり元インドネシア大使まで六人の総裁は全部外務省の天下りで占めてきたと。  こういうことがあって、このアンケートは、私、外務大臣にも直接手渡して、大臣に受け取っていただいて、細かい話はしませんでしたけれども、一応スタッフの気持ちとしてちょっと検討しましょうということで受け取っていただいたんですが、ここに書いてあるのは、ふさわしい人物を具体的に尋ねたところ、緒方貞子氏を挙げた人が最も多く百二十五人と。これ結構回答率が多くて、千人のうち五百九人がそう答えているんですね。次いで元国連事務次長の明石康日本紛争予防センター会長、この人が三十三人で、現総裁の川上氏の名前を挙げたのは三人だったということで、川上総裁が悪いとは言いませんけれども、これが今のスタッフの気持ちかなと思っているんですが、実はそのアンケートはもうちょっと後がありまして、あなたがJICAのトップを選ぶとすれば、考えられる人物はだれですか、挙げてください、具体名を一人挙げてください。一位、緒方貞子元UNHCR、百二十五票。二位、明石康日本紛争予防センター会長、三十三票なんですね。三番がカルロス・ゴーン日産社長ということで、三十票。その次、十八票で山本一太というのもありましたが、別にこのことを言いたいから言ったわけじゃないんです、それも少しあるんですが。五番目が奥田経団連会長だったんですけれども。  まあ私のことは論外としても、さっき申し上げたとおり、やっぱり独法化の趣旨というのはできるだけいろんなことを任せると。自らの意思でいろんなことをやってもらって、その組織の効率を高め、あるいは透明性を高めるという趣旨からいくと、もちろんJICAの総裁人事というのは外務大臣の任命事項ですけれども、そこは柔軟な川口大臣ですから、例えば緒方さんがやりたいと言ったら、どうも、何かうちのJICAの仲間の不良スタッフが何人か緒方さんに会いに行ったらしいんですけれども、緒方さん、満更でもなかったようなんですけれども、例えば緒方さんみたいな人がJICAの総裁をやりたいと言ったら、これはもう、もちろん外務大臣の専権事項でありますが、外部から人を採ってくるということを是非考えていただいたらどうかと思うんですが、そこら辺について大臣の御意見を伺いたいんですけれども。
  14. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 用意ドンで独法化をする組織がたくさん十月にできるわけでございまして、外務省としては、JICAというのは非常にそういう意味ではいい独法として育ってもらいたいと思いますし、同時に、今まで特殊法人だったところがもうそれぞれの業務内容は違いますけれども独法化するわけで、何年か後にどの組織が一番いい独立行政法人として機能しているかということも国民の厳しい目で見られるわけですから、そういった批判に堪えるような独立行政法人になるようにJICAとしても頑張ってもらいたいと思いますし、それから外務省としてもそのようなJICAになるように考えていかなければいけないと思っています。  最近、JICAにつきまして非常にうれしい話を聞きましたのは、中東にいましたときに、シリアでいろいろな方からJICAの業績について、これは大統領だったり首相だったり外務大臣だったりしますけれども、外務大臣の奥さんだったり、JICAについていいお話を聞きました。外交というのが目に見えない中で、JICAがやっていることというのは技術についての、技術協力ですから、実際に人が来てみえて、そこで若い人たちがいかにいい仕事をやっているかというお話を聞きました。大変にうれしく思いました。  そういった中で、JICAが今、先生のお話で、いろいろ中でもどういうふうにしたらいいか考えているというお話がありましたけれども、是非考えて、考え抜いて、いい団体になってほしいと思います。  そこで、人事ですけれども、そういったことにふさわしい適材適所を選びたいと思います。適材適所、これは全日本を舞台に適材適所を考えたいと思っております。
  15. 山本一太

    山本一太君 外務大臣、例えば緒方さんみたいな方がやりたいと言ったら少し考えますか。
  16. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、人事については今もう一生懸命に考えております。今の時点で何か申し上げるのは時期尚早かなと思っています。
  17. 山本一太

    山本一太君 私、最近、JICA・OBとしてJICAに行って講演やってきました。そこで、JICAスタッフ、若いJICAスタッフに言ったのは、独法化の時代というのは競争の時代だ、ODAというものを扱っている限り外務省とはバイバイできない、外務省とは当然連携していく、あるいはデマケをしていくんだと。しかしながら、独法化というのは言わば競争原理を入れることなんだから、自ら生き残ろうとする気概がなかったらJICAなんという組織はなくなるというふうに言ってきたんですね。  多少、外務省を困らせるぐらい元気になった方がいい、健全な不良になった方がいいというふうに物すごくあおってきまして、古田局長なんかは健全な不良ならいいんですけれども本当の不良だと困るなんと言っていますが、私も参議院自民党では不良ですので言う権利があると思うんですけれども、そういう気持ちでみんなが今独法化に向けていろんな考え方を発信していますので、是非温かい目でこういう提言も見ていただきたいと思います。  これ以上、緒方さんについては踏み込まないことにしたいと思います。  さて続いて、外務省改革のことについて御質問をさせていただこうと思っております。  外務省改革といえば、過去二年間、思い起こしてみると、外務省はもう不祥事の連続で、驚くべき何か試練の時期を通ってきたと思うんですけれども、まだまだ試練は終わっていないんだと思うんですけれども。  二年ぐらい前に機密費の問題が出て、私、外交防衛委員会の理事だったんですけれども、それでどたばたして、その後、田中真紀子外務大臣が出てきて、外相とこれから官僚の何か対立みたいなものがあってまたがたがたして、さらに、それが終わったかと思ったら、例の鈴木宗男代議士のスキャンダルとそれから政官癒着の問題が出てきて、外務大臣が就任されてから半年ぐらいは、ほとんどトラブルシューター川口みたいな感じでずっと一つ一つの問題に対応するので精一杯で、なかなか外交ができずに苦労されていたと、そういうことを今思い起こしているんですが。  そういう一連の不祥事の中で外務省改革ということが始まりまして、昨年の三月だったでしょうか、外務大臣の私的なこれは懇談会なんだと思うんですけれども、オリックスの宮内社長さんを座長とする変える会というのが出てきたんですね。外務省内にも若手の中で自発的に改革グループをつくって提言を出すような人たちも出てきたと。さらに、自由民主党でも外交部会で外務省改革小委員会というのが立ち上がって、今は副大臣になられた茂木敏充副大臣がこの小委員長としていろんな提言をやったと。私も、その小委員会の副委員長としてこの改革をいろいろお手伝いをしたんですけれども。  三月二十七日に外務省の機構改革の最終案というのが出ました。これちょっと中途半端だなと思っているんですけれども、これ最終報告ということで、さらには四月二十三日には変える会の方の総括報告というのも出まして、ある意味でいうと、外務省改革はひとまず、まだまだ終わっていないと思いますけれども、ひとまずこの二つの報告をもって一段落したのかなという感じがしております。  機構改革については私はやや中途半端だったなと思っていまして、完全な機構というのはないにしても、やっぱりちょっと外務省文化、さっき文化という話がありましたけれども、意識改革をするためにもうちょっと大きく変えてもよかったんじゃないかなと。条約局もそのままいって国際法制局になって、新しくできたのはたしか領事局ぐらいで、国際情報局ですか、これをつぶすみたいになって、なかなかスクールの問題も解消できなくて、ちょっと小粒だったなという感じがしまして、今日、矢野副大臣がおられて、茂木副大臣がおられないんですけれども、茂木副大臣も小委員長のときは、これはスクールをなくさなきゃいけないとか条約局をなくそうとか言っていたんですけれども、この間伺ったら、いや条約局は思ったよりも強くなかったよなんとおっしゃっていて、私やや、茂木さんは尊敬しているんですが、ちょっと中途半端だったという感を持っています。  実は、いろいろと、いろんな質問があるんですけれども、一つに絞って言うと、この四月二十三日の変える会の総括報告のメモ、ちょっとここにあるんですけれども、改革はいまだ緒に就いたばかりだというふうに結論付けているということで、特に大使の職責と役割の明確化、大使人事選考委員会の設置がいずれも進んでいないと、こういうふうに指摘されていると。変える会座長の宮内さんが新聞のインタビュー、これは四月二十九日の朝日新聞のインタビューだったんですけれども、大使を外務省という階級組織の最終場面と見るか日本の代表と見るかで立場は違うが、外務省はずっと前者で来たと、こういうふうに感想を述べているんですね。自民党の外務省改革案でも、大使の国会における資格審査とか、大使の二割を外部人事登用したらどうかという提言を出しているんですけれども。  この大使人事選考委員会、これが遅れている理由、ここら辺の議論がどうなっているかということについてちょっと簡潔にお答えいただければと思います。
  18. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 委員指摘のとおり、大使人事選考委員会なるものを作るべしという変える会の最終報告、これは去年ですけれども、そういう提案がなされたわけです。その考え方といいますのは、各界から広く大使として適材を発掘し、その適性を審査し、候補者を提示する機能を有する委員会を外部の識者をもって構成する、そういう考え方でございますけれども、政府部内で検討しました結果、現在、外務人事審議会というのがございます。この外務人事審議会の所掌事務を拡大するとともに、新たな委員を二名増員して、変える会の言うところの大使人事選考委員会の機能をこの審議会が果たすことができるように所要の政令改正を三月末に行ったということでございます。  御指摘のとおり、その変える会の総括で、この委員会の在り方についてのコメントというのがございますけれども、私どもは、変える会の御指摘を踏まえて、今後、外務人事審議会が期待されているような役割を十分果たしていけるように、七名の委員とも協力しつつ必要な改善を行っていきたい、そういうふうに考えております。
  19. 山本一太

    山本一太君 何かよく分からなかったんですけれども、おっしゃっていることは。つまり、大使の人事の登用についてはこれからもどんどん積極的にやっていくということでよろしいんでしょうか、まとめると。外部登用。
  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外部登用については積極的にやっていきます。  そして、この大使人事選考委員会ですけれども、これはスタートをしていまして、きちんと動かしたいと思いますし、私は個人的に、これが本来期待された機能を果たしているかどうかということについては、私自身きちんと見ていきたいというふうに思っています。
  21. 山本一太

    山本一太君 大使の人事等々についてはもうちょっとまたお聞きしたいこともあるんですけれども、時間もありますので次の質問に移らせていただきたいと思います。  これ、十三年度というと、いろいろと忘れられない、決算についていろんなことがあったんですが、対インド・パキスタンの経済制裁の解除とか、あるいは十三年度に積み残した例の債務救済無償ですか、これを全部やめちゃうことに決めたとか、いろんな問題があるんですけれども、ちょっと時間の関係で、その中から今日、是非大臣に対して御質問したいと思っていたことを先にやらせていただきたいと思います。それは国連の分担金の問題です。  国連分担金については、これ、十三年度の決算額ということで見ても、これが国連分担金については二百三十二億円、PKOの分担金については五百七十一億円というふうになっていまして、これはほとんど現在も変わっていないと思うんですが、これ分担率見ると、十三年度を見て、この傾向変わっていないんですけれども、通常の分担率は、アメリカ二二%、日本が一九・六%、ドイツ九・八%、フランス六・五%、イギリス五・五%、中国一・五%、ロシア一・二%ということで、これはもうずっと前から指摘されていることであるんですけれども、このP4、アメリカを除くP4を全部足した分担金よりも日本の方が国連に対して財政的な負担をしているということになります。  PKOの分担率についても、平成十三年の後半の数字で言うと、アメリカ二七・六、日本一九・六、ドイツ九・八、フランス八・二、イギリス六・九、中国一・九、ロシア一・五ということで、これもP4、つまりアメリカを除く安全保障理事会全部足しても日本の方が財政的貢献が多い、こういうことになっていまして、ずっとこの傾向が続いているんですね。  今度のイラク攻撃、戦闘は実質的に終了したんですけれども、やっぱり今度のイラク攻撃というものが世界に示したのは、やっぱり国連というものは今の状態では機能しないということだと私は思うんですね。結局、国連の安保理は、国連によるイラクの大量破壊兵器の査察も完遂できなかったし、あるいはアメリカ、イギリスの攻撃も止めることができなかったということは、やっぱり今の安保理の機能はおかしいんじゃないかという議論が今いろんなところで起こってきているんだと思うんですね。  私は、どちらかというとプロ国連で、自民党の中に国連貢献議員連盟というのも作って、随分アナン事務総長にお目に掛かったり、よく自発的拠出金が減りそうになったりすると運動したりしてきたんですが、やっぱり国連改革ということについていうと、相当荒療治をしないとこれは変わらないんじゃないかと最近特に思っております。  大臣、どうですかね、この分担金。アメリカはもう滞納を何回も議会が騒いでしているんですけれども、日本はもうおとなしくずっとこれだけの拠出金を払ってきたんですが、一回この分担金止めたらどうかと思うんです。この話、前、大臣外務委員会か何かで、外交防衛委員会でしたときに、大臣が、分担金の話とやっぱり安保理の話というのをリンクするのは実は余り建設的ではないというふうなお話があったんですけれども、今は本当に国連改革の千載一遇のチャンスだと思うんですね。  アメリカのいろんなメディアも、新聞、テレビ始め、やっぱりフランスを安保理から抜いて、日本とインドを入れた方がいいんじゃないかとか、安保理抜きの国連の方が、国連の強みである復興人道支援に集中した国連の方がいいんじゃないかと、こういう議論が出ていく中で日本がここら辺で少し急カーブを切って、もう安保理改革できないんだったらアメリカとドイツと日本で抜けちゃうよと、やっぱりこういうぐらいのメッセージを送ったらいいんじゃないかと。この分担金、一年止めてみたらいいんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺についての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連の分担金が我が国が非常に比率が高いのに安保理の常任理事国でないということについて、いろいろな今御意見が日本の中にあると思います。  それで、幾つか問題、分けて考えた方がいいと思うんですけれども、国連の分担金を誠実に、アメリカと違って誠実に払い続けているから我が国が国連の中で信頼を得ていろいろなことができている面というのが一つあります。  例えば安保理、これは戦後の経緯の中で日本は常任理事国には当然なれなかった、戦勝国がなったということですけれども、例えば経済社会理事会の常任、まあ常任とは言わないんですが、その理事国という意味では、ほとんど毎年と言っていいぐらい日本は選ばれているという面もございます。  それから、いわゆる議長グループ、ビューローというのを作りますけれども、そこの中にほとんど日本は入っている。安保理以外のところではもう非常に日本の役割は認識をされ、活動の場が広がっているということが一つあります。  それから、その安保理、これは改革が必要であると我が国は考えていて、ずっと働き掛けてやっています。現に、日本が常任理事国になるべきであるということを私はいろいろな人に言うんですけれども、おかしいと言う国には一つもお会いしたことはありません。ですから、日本だけが常任理事国になるということで話が済むんであればこれは非常に簡単なんですけれども、そのときにインドとかほかの国がいろいろ絡んでくるとなかなか難しくなってしまうというのが現状だと思います。  それで、分担金の支払を止めることがこの常任理事国になる、あるいは安保理の改革を進めるというときに一番いい方法かどうか、あるいは現時点で一番いい方法かどうか。これはいろいろな考え方がありますが、私は、今まだそこに至る前にやるべきことがたくさんあって、それを今、日本はやっているということでございますので、もう少しその以外の方法によるやり方を考えたいというふうに考えます。
  23. 山本一太

    山本一太君 外務大臣の御見解、よく分かるんですが、日本がアメリカと違って遅延なくずっと分担金を払い続けてきた、国連に対して財政的な貢献をやってきたということがやっぱり日本の国連における存在感につながっているという議論は、私も今までずっとそう思っていましたけれども、やっぱり違うと思いますね、はっきり言って。  それで、今おっしゃった、確かに社会開発の分野では国連は非常に強味があると思うんですね。やっぱり武力行使なんというのはほとんど、安保理決議というものがあって行われたケースなんてほとんどなくて、大体、武力行使をやるときは幾つかの国が決めるというのが国際政治の現実だと思うんですけれども。  やっぱりその社会開発の分野、特に一回例えばチームから悪いことをして追い出した人をもう一回社会復帰させるときにはやっぱり国際社会でやった方がいいと。この復興支援みたいな、こういうノウハウについては、これは確かに国連は非常に優れたところがあって、だからアメリカも完全にこのイラクの復興ということについて国連を端牌にできないところがあるんだと思うんですね。  じゃ、今の安保理はどうなのかという話を考えてみたら、これはもう大臣に釈迦に説法ですけれども、全く国際情勢の変化を反映していない。これは、もうユナイテッドネーションズって戦勝国ですから、大体、私、最近おかしいなと思って、国連貢献議連まで作った私がこんなことを言っちゃいけないかもしれませんけれども、国際連合というのはだれが考えた訳なんだろうと。ユナイテッドネーションズって連合国じゃないかと思うんですよ。中国は連合国って訳して、まるで何かインターナショナルユニオンみたいになっているんですけれども、その訳からしてちょっと国連を勘違いしているんじゃないかというふうに思うんですが、それなら、大臣、国連から安保理を抜くというのはどうなのか。  例えば、安保理がこんなに機能しないんであれば、例えば分担金が〇・〇数%しかない国が非常任理事国として決議案についての影響力を持つ、フランスはソフトパワーありますけれども、あの国力であれだけの発言力を持つのは極めておかしいわけですね。それだったら、安保理というものを国連から抜いちゃって、その機能を、例えば国際軍事委員会みたいなものを作って、各ブロックから、きちっとした経済規模とか、あるいはグローバルパワーかどうか、あるいは援助をどのぐらいしているかとか、人口とか、そういう面で改めて再編して、それを、そこにその安保理の機能を移していけばいいんじゃないかというふうに私は思っていまして、やっぱり大臣のおっしゃるとおり、もう外務省に聞くと必ず分担金を払っていることが日本外交の信用につながっているという話があるんですけれども、それをやっている限り、もう国連改革、安保理改革というのはもう永遠に私は起こらないともう最近思っておりますので、是非そこら辺のところを考えていただきたいと思うんです。  もう、ちょっと時間少なくなってしまったんですが、国連改革ということについて言うと、ふとこの間思い出したことがありまして、これ、今からちょうど五年前なんですけれども、ここに読売新聞のコピーがあるんですが、「解説と提言」という、このときに、私の盟友で大学の後輩なんですけれども、河野太郎という衆議院議員がおりまして、二人で手紙を書いたんです。五十人の自民党の国会議員の署名をもらって、中山太郎元外務大臣の名前で手紙を書いた。英語の手紙を作って、当時、百八十何か国かあった国連代表部に全部送ったんですね。  その手紙の内容は、国際連合、これを機能させるためには安保理改革が必要だということをきちっとうたって、その中で、我々は国連に対する財政面を含めた貢献と国連における責任と役割の間に一定の均衡が保たれるべきであると信ずると、どちらか一方が過大である状況は、国民の理解を得ることができないため、決して長続きするはずがないと書いたんですね。これ百八十五か国の代表部に送って、五か国ぐらいから反応があったんですけれども、ちょうどインドの核実験があったためにちょっと吹っ飛んじゃったところもあるんですけれども、これ実はもう一回やりたいと思っているんです。  これもう超党派で署名を集めて、例えばアメリカの議会とか、あるいは安保理改革についてある程度理解のある国の外務大臣とかあるいは国会に対して、これはもう今度は超党派で署名を集めようと思っているんですけれども、やはり今のままでは国連は機能しない、これ、機能しないんであったら、例えば日本も最大の財政貢献国としてはこれ以上今の状態を続けることはできないと、こういうイニシアチブ、これは政府じゃなくて議会の動きなんですけれども、昨日からずっと手紙を英語でドラフトしておりまして、近くこれを、ちょっといろんな戦略を立てて世界にばらまきたいと思っています。  私がやろうとしていることは議会の動きなんですが、是非、大臣、やっぱり、大臣のおっしゃることはよく分かりますけれども、分担金を払い続けているから実は日本の存在感があるという考え方はなくして、分担金なんか一年払わなくたって大したことありませんから、やっぱり日本がそのぐらいの覚悟を持って国連改革を進めるというメッセージを、外務省政府としてやっぱり発信するぐらいの覚悟を持って外交をやっていただきたいと思います。  コメントいただきたかったんですが、ちょうど五十二分になってしまいまして、私の同僚議員の田村先生がすばらしい質問を持って用意しておりますので、コメントはいただけないんですけれども、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
  24. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 両大臣におかれましては、長旅の御公務を終えられたばかりで疲れがまだ抜けていない、そういう状況で決算委員会の方にお越しいただきましてありがとうございます。  私は新参者であることもありまして、的外れな質問をするかもしれませんが、どうかそこのところは御容赦していただきたいと思います。  私が用意させていただいた資料を今配付させていただいているところだと思うんですが、ちょっとだけこの資料に関しておわびを申し上げさせていただきたいと思います。  今、山本委員がしっかりと無駄遣いは駄目だというような、国を会社に例えれば経理部の厳しいチェックのようなすばらしい質問をされたんですが、この資料を、私、下手な質問をしてはいけないと思いまして幾つか用意させていただいておったんですが、一つにつき七十五部用意せよと言われまして、ルールルール、権威のある国会ですので、重々承知しますが、一人一人の先生が二人で一つ見ていただくというようなことも難しいとは思うんですが、人の無駄遣いを云々言う前に自分が無駄遣いしてはいけないと思いまして、途中で資料をちょっと省いて配付させていただきました。  今、民間企業ではこれぐらいの規模の会議だったら、両方からスクリーンが下りてきて、パソコンにプロジェクターをつないで、パワーポイントか何かで分かりやすく、もっと面白くプレゼンテーションできると思うんですが、トータルのコストで考えましたら決算委員会の方でも将来はそのようなものの導入を考えていただければと思います。  それでは、まず川口大臣に質問をさせていただきます。  今、山本委員の最後の質問のところとダブるんですが、国連を始めとする国際機関への拠出と、その見返りと言ってはなんなんですが、それが国益にどういうふうにしっかりと出したお金が汗を流して働いてくれているか、そこに関して、ちょっとダブるんですが、質問させていただきます。  日本の発言力や影響力が国際機関に対する拠出金に見合うほど担保されているのかどうなのか。その辺り、川口大臣のまず率直な御感想をお聞かせください。
  25. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一つの国が国際社会を動かすことができる能力というのは、これはいろいろなものに依存をすると思います。正にそれがその国の持っている国力であると言ってもいいかもしれません。それは、国際機関においてお金を出さないよりは出した方がいいでしょうし、いろいろな意味で国際貢献をした方がいいということは言えると思いますけれども、それだけではなくて、さっきソフトパワーとおっしゃいましたけれども、そういったものも非常に大きな影響力を持つと思います。総合的なその国の力だと思います。  今、国連についてはいろいろな意見があると思います。先ほど御説明、御質問が別な議員から、山本委員からありましたけれども、政府として、国連改革を更にどういうような手法を使ってできるかということは真剣に取り組みたいと考えています。
  26. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ちょっと違う形で質問させていただきたいと思います。  川口大臣からごらんになって、国際機関、さっき話題に出ました国連も含めて、あの国は少ない分担金や拠出金の割に非常に存在力を発揮しているなと。裏を返せば、あれだけ存在感を出すんだったらもうちょっと逆に出してもいいんじゃないかなというような国がございましたら、直近の事例を含めても、ああいうしたたかさを見習いたいというような国の事例がございましたら、もしあればちょっと挙げていただきたいと思うんですが。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際社会で一番存在感がある国というのはもちろん今アメリカだと思います。P5に入っているような国はそうだと思いますし、それから、私は日本もそうだと思っております。日本の存在感、これは国際社会、いろいろぐるぐる回って話をしますと、非常にあるというふうにみんなが思っていてくださる、これは事実。私は個人的な認識としてもそういうふうに思っております。  小さくても、あるいは例えばノルウェーのようにスリランカの平和、和平で力を出してみたり、オスロ合意のようにパレスチナ問題で力を出してみたりといったような国もあります。様々な場面でそれぞれの国が自分の存在感をめぐってしのぎ合っているというのが国際社会だと思います。
  28. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 一つの国際機関における日本の影響力や発言力を担保する手法としては、一つ私が考えますに、もっと人材を国連なり国際機関に送り込めないかなと思うんですが、私の配付させていただいた資料、国連の事務局だけなんですが、これを見ましても、やはり日本は非常に分担金の拠出の割に人数が少ない。ほかの今言われたパーマネントファイブを見てみますと、望ましい人員より多いかふさわしいぐらい出しているわけなんですが、もっと人材を送り込むことに関しましては大臣はどのようにお考えになられ、そしてどのようなことを考えられていますか。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際機関で日本が影響力を及ぼすやり方という、一つのやり方として人というのはおっしゃるとおりだと思います。  私もいろいろな国際機関の方にお会いをするたびに、日本の拠出金からいえば、もっと日本人を採るべきであるということをしょっちゅう言っています。  私自身、国際機関、世銀で働いたことがありまして、そのときの経験からいっても、やはりもう一つ大事なことは、日本人の中にそうやって国際社会、国際機関に売り込める人材、これをもっと増やすということだと思います。やはり需要、供給のバランスが見合わないといけないわけでして、幾ら外務大臣が声を大きくして日本人を採るようにと叫んでみても、これはその機関にふさわしい日本人がいなければそうはならないということだと思います。できるだけ多くの人材を国際機関にアプライ、申請をしてもらって、そして自由な競争で、適材適所で人が採用されるということなので、国際競争力のある人材、これを育てるということが併せて重要だと考えています。
  30. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 私の個人的な見解で恐縮なんですが、私は、世界のどの国と比べましても日本は人材大国ではないかと思っております。  川口大臣外国の大学院で博士課程まで英語で途中まで行かれたということなんですが、今や日本には、よく国連とか国際機関に入るハードルが高い高いと言われるんですが、外国の大学や大学院で学位を取っている人間、そして外資系の金融機関で働いたり今の日本の大学に帰ってきたり、そういう人はたくさん私は知っていますし、いると思います。そして、今現在、外資系金融機関の大リストラが起こって、そういう高い学歴や語学力を持った方が大分だぶついていると思うんですね。それと同時に、外国で高い学位を取ってきたのになかなか日本の大学ではそれが認められずに、ポスドクとか、まだまだ滞留している人材もたくさんいらっしゃる。  いい例が産業再生機構。あそこ、いい人材が今集まってきていまして、前の給料の五分の一や四分の一になっても天下国家のために働きたい、義があれば待遇よりも頑張りたいという方がたくさんいらっしゃると思うんですが、そういう方をもっと日本の発言力や影響力を担保するために国際機関へ押し込むと言ってはなんですが、そのためにもう少し外務省を始めとして政府が頑張る必要性があるのではないかと思うんですが、その辺りはどうお考えでしょうか。
  31. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) お答えを申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、また先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、戦力となる人材、これには語学力と学位といったことが国連、国際機関の場合はしばしば必要になるわけでございますけれども、そういったことを念頭に置きまして、私どもといたしましては二本立てで改善に取り組んでおるということを御報告申し上げます。  その一つは若手の送り込み、それからもう一つは幹部ポストの確保でございます。今御指摘いただきましたように、そのためには広報ということが非常に大事だということを十分認識しております。外務省の中に国際機関人事センターというものを設けさせていただいておりまして、これは出先の例えばニューヨークの国連代表部にもそういったセンターを置いておるわけでございますけれども、関係省庁はもとより、民間、大学関係者とも連携しながら、ホームページの活用といったことも行った広報をさせていただいております。的確な人材発掘、それから国際機関への応募支援ということを行っております。  そうした中で、若手の送り込みの応援の具体的な形でJPO、これはジュニア・プロフェッショナルという制度がございますけれども、これは言わば優秀な人材を見付けて、それを政府が二年間、場合によっては三年間経費持ちで送り込み、そこから本格採用への道を開くと、そのような工夫を続けておりますが、引き続き努力させていただきたいと思っております。
  32. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 是非その努力を更に進めていただきたいと思います。  先ほど大臣の方からもお話がありましたとおり、私も、国際機関や国連において日本はまだまだマスコミに報じられていないほどたくさんの貢献をしていると思うんですね。それを国内外に知らしめるためにも、広報役としてたくさんの日本人がもっと国際機関や国連で働いてくれればいいなと思っていますので、その辺の努力を是非継続してお願いしたいと思います。  次に、政府開発援助の話に移らさせていただきたいと思います。  ある新聞報道で、ODAに関しまして、我が国の財政を家計に例えたらという企画があったんですが、例えばこれによりますと、我が国の財政を年収六百万の家庭に例えたら、政府開発援助というのは月々六千円ぐらいのもので、御近所付き合いの経費と考えてもいいくらいだという話がありました。確かに数字でいうと一兆円弱ですか、それぐらいではないかと思うわけです。しかし、一兆円弱といいますと、政府の昨今の緊急雇用対策と同等の額になります。やはり、私の選挙区はちょっと地方なんですけれども、その中で、そういう外国に援助をするぐらいだったら我々にもっと雇用対策で欲しいみたいな議論もあるわけです。  こういう議論は簡単ではないと思うんですが、やはりもっともっと援助の理念や援助の意義について国内外で広報する必要があると思うんですが、その援助の理念とその援助の意義について、大臣にお伺いしたいと思います。
  33. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 特にこういう経済の事情、状況が難しい時期に、委員がおっしゃられましたように、外で使う余裕があるのであれば失業者対策にという声があるのは、これは無理からぬところがあると思っています。さはさりながら、日本が世界の中で生きていくために援助というのは非常に重要であると思います。日本はやはり平和、日本の周囲が平和であり、安全であり、世界の国々が安定的に成長しているという環境の中で日本という国は成り立っていくことができる国であるということが援助の考え方の基本であると思います。  そういうことをやっていくために、例えば紛争後の平和の安定というのも非常に大事でありますし、それからこの間、人間の安全保障の報告書が緒方貞子さんほかの方々によってまとめられましたけれども、様々な感染症ですとか、あるいは個人個人が非常に危機にさらされている中で、人間の安全保障のためにお金を出すということも大事だと思いますし、それから一国の経済が安定的に成長していくということも大事である。こういうことをやっていくのは世界第二位の経済大国である日本の責務であるということだと思います。  そういう意味で、我が国としては、厳しい財政状況の下で、できるだけ援助の削減、予算の削減幅を少なくするという努力を今いたしておりますけれども、引き続き援助が重要であるということはおっしゃるように広報をしていかなければいけないと思っておりまして、この意味でも、例えばODAのホームページというのを設けておりますし、ODAの援助のタウンミーティングというのを別途やっております。その他、いろいろ努力をしておりますが、引き続き努力をしたいと思っています。
  34. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そのODAの今大臣が言われた理念や意義に関しまして、それを体系的にまとめたものとしてODA大綱というものがあります。これ、九二年に作られたもので、十年ちょっとたってようやくまた見直しが決まって、今見直しされているところだと思うんですが、なぜこの十年たった今なのか、十年変えなかったことによって何かの支障はなかったのか、そしてどういう理由でどういうふうにODA大綱を変えていくのか、これに関して理念や意義を中心に御説明いただければと思います。
  35. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御指摘ございましたように、我が国のODA大綱は九二年に策定されまして、十年ちょっとたっておるわけでございますが、これまで我が国の援助政策の根幹ということで機能してきたというふうに思っております。政策の一貫性という観点から、こうした大綱を軸にもろもろの援助を展開していくということは重要であったかと思うわけでございますが、やはりこの十年強の間にODAをめぐる内外の情勢も大きく変わってきたわけでございます。  何が変わったのかという御質問でございましたが、実は先般、対外経済協力関係閣僚会議でこのODA大綱の見直しについて御議論をいただいたわけでございますが、そこでも次のような問題意識が共有されまして、この際きっちりと見直すべしということで御指示をいただいておるわけでございます。  この十年にわたるODA大綱の歴史の中で、大きな変化といいますのが四つ挙げられておりまして、一つはグローバル化の進展、それから一昨年九月十一日の米国同時多発テロを契機として途上国の開発が国際社会の課題としてますます重要になってきていることでございます。  二番目が、持続可能な開発、貧困削減、それから大臣から今お話ございました人間の安全保障、さらには平和構築といったような考え方、手法がODAをめぐる議論の中で重要な柱になってきているということでございます。  三番目は、これも先生から御指摘ございましたように、厳しい財政・経済状況の下で、特にODAの戦略性でありますとか機動性でありますとか透明性でありますとか効率性でありますとか、そういったことについて一段と強く求められてきているということでございます。  それから最後に、四番目でございますが、NGOでありますとかボランティアでありますとか大学、地方公共団体、経済界等々、ODAの参加主体が大変多様化してきているということで、ODAへの幅広い国民参加が一層求められていると、こういう時代の変化を背景に、基本理念、原則、重点事項、効果的実施のための方策等々について一つ一つ改めて見直すべしということで、先般の閣僚会議で基本方針をちょうだいしたということでございます。
  36. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 川口大臣は私のアメリカの留学先の大先輩でいらっしゃいまして、個人的な話で恐縮なんですけれども、開発経済学を学ばれたということで、開発経済学といいますと、この前インド人でノーベル賞を取ったアマーティア・センという人がいますが、その方が、理論的かつ実証的な研究の結果、民主主義と人間の発展は不可分であると、不可分一体であるという結論を出していらっしゃいます。これは裏を返せば、民主主義的でない政府に対して援助を与えることは人間発展に対して否定的なインパクトがあるのではないかというような、うがった見方かもしれませんが、こういうことも当たるのではないかと思うんですが、民主主義的でない政府に対する援助に関しまして大臣はどのような理念をお持ちなんでしょうか。
  37. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 学校の先輩だからといってよく知っているということではなくて、早速テストを受けているような気がいたしますけれども、民主化とそれから国の成長の関係というのは非常に、いろいろ議論がなされますけれども、答えは大変に難しいと思います。  一つは、例えば国が成長していってパイが大きくなった時点で、そういうふうになれば民主化ということは自然に起こってくるという考え方もあると思います。他方で、民主的な制度というのが初めにありきであって、それがあるところで初めて、例えば資源の配分の効率化ですとかそういうことが起こって経済成長が進むという、言ってみたら鶏が卵みたいな議論でもありますけれども、なかなか難しい議論だと思います。答えは多分、その国、国によって置かれた事情が様々あるというふうに思います。  日本のことを考えてみても、あるいはお隣の韓国のことを考えてみても、国の発展成長をしながら国の制度が民主的に変わってきたというところがあると思いますし、じゃ、日本においても韓国においても初めからそういうことを可能にする基盤がない、ないところでそうなったかというとそうではなくて、やはりそういう伝統が日本にも韓国にもあったということだと思います。  ということで、なかなかすぱっと切った答えがないんですけれども、口頭試問のお答えとしてはこのように答えさせていただきます。
  38. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ちょっと見えを張って難しい質問をして失礼しました。  次に、領事館の設置と統廃合に関してちょっと質問させていただきたいと思います。  私、この委員会のほかに財政金融委員会という委員会に入っていまして、先日、大手メガバンクのトップの方に支店の統廃合に関して質問させていただきました。ある最大手の銀行の方なんですが、残念ながら、私の質問に対しましてしっかりとリストラしますと約束いただいたんですが、ここからほど近い虎ノ門交差点、交差点ですから四つ角あるんですけれども、いまだに四つ角の三つの角にその銀行があるということで、便利といえば便利なんですけれども、本当にどういう基準で見直しているのかなという気がいたします。  日本の外交や日本の情報発信の支店と言ってもいいと思うんですが、領事館の設置場所を世界地図にプロットしたやつも持ってきていたんですけれども、ちょっと七十五部間に合いませんで、それを見てみますと、どのような基準で領事館の設置をされているのか。図を見ますと何か気候のいいところに一杯偏重しているように思うんですが、領事館の設置の基準に関してちょっとお伺いしたいと思います。
  39. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 総領事館ないし領事館の設置の基準ということでございますけれども、まず在留邦人の数、それから日本企業の進出状況、日本からの渡航者の数、それから邦人援護件数及び査証発給件数等、領事関係の指標でございますね。それからさらには、経済、経済協力等の諸分野における日本との関係の緊密度、さらに情報を入手する場所としての重要性、さらには当該国の国際社会における政治的、経済的重要性、そうしたものを総合的に勘案して判断しているということでございまして、必ずしも御指摘のように気候のいいところばかり選んでいると、そういうことではございません。
  40. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 さっきの銀行と役所は違うとは思うんですが、今言われたような条件も情勢によって変化すると思うんですが、領事館の業務量も含めて、今言われたような条件も含めて基準が変わった場合、統廃合をどうされているのか、実績も含めてどのような形で統廃合が行われているのか、そういう事例がありましたら是非御紹介いただければと思います。
  41. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 御指摘のとおり、在外公館の新設及び廃止につきましては、予算及び定員の効率的な運用を図るという観点から公正に判断するようにしているわけですけれども、最近の例を取りますと、去年の八月に川口外務大臣から行動計画を発表しております。  その中で、外務省として、今後三年間で設置時の状況からの変化を受けて七公館をめどに廃止するということを決めております。その上で、新たな外交上それから領事業務上の必要が生じている場所については公館の新設を検討するということを発表したわけでございますけれども、より具体的には、今年度につきましては、在ラス・パルマス総領事館、これを廃止すると、それから在チェンマイ総領事館の新設、これを予定しているということで、今後とも流動する国際情勢を背景として様々な行政需要の変化に応じて外務省の機構、定員等の整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  42. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 領事館の業務と申しますと、もし間違っていたら訂正いただきたいんですが、在外邦人に対するいろんなサービスとか、旅行者に対するサービスとか保護、あとは現地における情報の収集、分析などがあると思うんですが、こういう業務こそ民間人にもっと門戸を開いてもいいのではないか。例えば、その場に駐在した経験のある商社のOBの人ですとか、金融機関のOBの人ですとか、例えば通信社のOBの人ですとか、そういう人をもっともっとうまく活用するのも非常に国益の戦略上もいいと思うんですが、その辺りの今後の方針や実績に関して、もし何かありましたら。
  43. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 委員指摘のとおりだと思っております。  具体的には、民間の人材の登用による領事業務の強化ということを私ども考えておりまして、平成十五年度より、新たにボランティア精神と実務経験に富んだ人材を在外公館に派遣するということで、領事シニアボランティア制度、これは本年度十名でございますけれども、この制度を導入することにしております。
  44. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ちょっと視点を変えまして、在外公館勤務の待遇に関していろいろ、簡単に質問をさせていただきたいと思います。  うわさレベルでは、在外公館勤務になると、ちょっとして帰ってくると家が建つというような話もあるんですが、実際はどうなのか。また、予算が、その国の現地通貨も絡んでいますので、為替によって変動をどれぐらい受ける仕組みになっているのか。その辺に関してお話をお伺いできればと思います。
  45. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 在外勤務手当についてのお尋ねでございますけれども、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、在外公館に勤務する外務公務員に対しましては法律に基づきまして各種在勤手当が支給されるということでございます。  在外公館名称位置・給与法という法律がございます。この五条は、これらの在勤手当は在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給するということを決めております。さらに、その職務と責任に応じて能率を十分発揮できるように、在外公館の所在地における物価、それから委員が御指摘になりました為替相場、さらに生活水準を勘案して決めるというふうに規定しているわけでございますけれども、この経費の算定に当たっては厳正に算定がなされているということでございまして、この在勤諸手当の中核を成す在勤基本手当を例に取りますと、海外での勤務、生活を始めるに当たり必要となる費用、外交活動に要する経費などの追加的経費に充当するためのもので、各任地ごとの物価、為替相場の変動、勤務、生活環境が厳しい任地については環境の厳しさを緩和するための追加的経費等を考慮しつつ算出するということでございます。  ちなみに、平成十五年度予算におきましては、現下の厳しい国内の財政事情、賃金、雇用情勢等を重く受け止めまして、在外職員に対しても一層の経費節減を求めるということにしまして、在勤手当全般につきまして集中的な見直しを行いました。その結果、中核を成す在勤基本手当の水準につきましては、大使以下すべての在外職員について平均で対前年度比おおむね一割程度の削減を行うとともに、さらには住居手当、館長代理手当、さらに兼勤手当についてもその支給額の削減等を行うこととしたということでございます。  今後とも、在勤諸手当の内容、水準については必要な見直しを行っていきたいというふうに考えております。
  46. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 外務省に対する最後の質問にさせていただきたいと思います。  外務省をめぐりましてたくさんの問題が昨今起きているんですが、そのたびに外交機能の強化というキーワードが必ず出てまいります。外交機能の強化、もうこれは間違いなく大切なことだと思います。  肝心の外交機能の強化に関してなんですが、外交政策立案とか、外交に関する情報収集の分析とか、こういうことはどのように行われているのか。例えば、国際情報局ですか、国情局というところがありまして、そこに地域別に情報分析官という方がいらっしゃるとお聞きしたんですが、うわさによると、中東は一人でカバーしている、東南アジアも一人でカバーしている。もし中東で、イランで何か起きたらイラクはカバーできない、東南アジアもインドネシアで何か起きたらシンガポールは分からない。中国も一人というようなうわさを聞いたんですが、そういう地域に関する政策のための情報の収集や分析をされている方は、人数で結構なんですが、各地域別にどれぐらいいらっしゃるんでしょうか。
  47. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 今、手元に具体的な数字持ち合わせませんが、地域の情報、地域についての情報収集というお尋ねでございます。  これは、本省、在外公館、各々において関係者がそういう努力をしているわけでございます。  本省におきましては、委員が御指摘になりました国際情報局に加えまして、地域局それからほかの機能局でも情報収集をしておりますし、当然のことながら在外におきましても、当該地域に加えて関係公館、例えばワシントンとかロンドンといった先進地域においても途上国についての情報を収集しているということで、言わば地域情報の収集については外務省が総力を挙げて行っているということでございます。
  48. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 本当に長旅の御公務のお疲れの中を縫って来ていただきまして、川口大臣、ありがとうございました。川口大臣に対する質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。  続きまして、防衛庁長官の石破長官にお伺いしたいと思います。選挙区の大先輩でもありますので、どうぞよろしくお願いします。  平成十年でしたか、額賀衆議院議員が当時防衛庁長官でいらっしゃったころに、調達実施本部のいろいろな問題、水増し請求ですとか、それにかかわります証拠の隠ぺいですとか、いろんなスキャンダルがあって、額賀当時の長官辞任された事件がありました。  あのころから、あのころに比べて、いろいろな改革が組織変更も含めて行われていると伺っておるんですが、調達実施本部の改革に関しましてどのような改革が行われ、どれぐらいの成果が出ているのか、ちょっとお話をお伺いしたいと思います。
  49. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 平成十年のいわゆる調本事件につきましては、今、委員が御指摘になったとおりであります。  これは、私も当時のことをかなりよく勉強したつもりですが、何であんなことが起こったのかねといいますと、一つは、やはり原価計算をするところと契約をするところが調本という一つの組織の中にあった。これはやっぱりうまくないね、やっぱり分けましょうということが一つあります。ですから、原価計算の部門は内局の方へ持っていった、そして調本というものは解体をいたしまして、契約の部分は契約本部ということにいたしまして、やっぱりこれ一つはうまくないねというのを改善をしたということがございます。  もう一つは、これはやっぱり民生品を使わないとうまくないだろうねということでございます。民生品の活用ということで、四百十件ほど民生品の活用を明記するという形にしてございます。  あとは中央調達の一般競争入札契約の比率を上げたということがある。ただ、これは外交防衛委員会でも御指摘をいただいていることですが、防衛産業の特殊性にかんがみたときに、何でもかんでも一般競争でいいのかねという議論は、これはございます。これは委員意識をお持ちのことでありますけれども、防衛産業の健全な発展、育成、保護という意味ではなくてですね、これをどう考えるかという問題とリンクをいたしますが、いずれにいたしましても一般競争というものを増やしておるということがございます。  あとは随契の概要も公表いたしております。  もう一つは、過払い事案というものがございましたが、この過払いというのを極力防止をいたしますために制度調査の受入れというものを義務化するということもやっております。  もう一つございますのは、審議会というのを新しく作りました。これは委員も御案内かと思いますが、会長は元一橋大学の学長の川井先生であります。また、大勢の方御存じですが、江畑謙介先生にもお入りをいただき、弁護士の先生、そしてまた公認会計士の先生。そういう審議会というのはともすれば形骸化しがちですが、これは本当にきちんと月一回やって、いろんな分野を見ていただいております。私もできる限りお話をするようにしているのですが。  要は、私ども防衛庁というのは五兆円近い予算を国民の皆様方からちょうだいをしてやっておるわけです。そのかなりの部分は人件費ですが、調達というものの公平性、透明性が確保されなきゃいけない。いかにして納税者に対して誠実な調達であるかということは私ども本当に心してやっていかねばならないと思っています。  調達というのは、もう戦闘機から艦船から戦車から始まりまして部隊が買ってくる八百屋さんの大根までこれ調達でございますので、いずれにしても国民の皆様方の税金でやっておるわけですから、調本事件というものを本当に糧としながら改善を進めてまいりました。これで私ども事足れりと思っているわけではございません。今後も、本当に完璧な制度というものはございませんが、より公正であるべく、より透明であるべく御教授を賜りながらやってまいりたいと考えております。
  50. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 また、うわさの話をして恐縮なんですけれども、ミル仕様ってありますよね。ミリタリー仕様だと燃料は倍で買っているというようなうわさを聞くんですが、これは実際のところどうなんでしょう。
  51. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) というようなうわさがございまして、本当かねということで、やって調べてみました。調べてみましたところ、そのようなことはございません。  例えば、ガソリンで考えてみますと、市況の価格が一キロリッター当たり三万七千七百二十三円ということになっております。私どもは、変な言い方ですけれども、まとめ買いをいたしますので、市況価格よりは安いということになっておりまして、三万一千六百六十円で契約をさせていただいております。灯油につきましては三万五千三百五十二円、これが市況価格でございますが、手前どもの契約単価は三万八百二十円と、こういうことになっております。  ただ、航空燃料につきましては、これ市況価格というものがございませんもので、なかなか比べることは困難でございますが、その航空燃料につきましても、恐らく市況価格と同等あるいはそれ以下で調達をさせていただいておるというふうに考えておるところでございます。  その昔、日本国有鉄道が全部その特別の仕様で、国鉄仕様の蛍光灯は何だかその辺の蛍光灯の何倍も高いよというようなお話がございました。あるいは私どもでも、例えば無線機というのは、何だか物すごい高いところから落っことしても壊れないようなそういう特別な無線機を持っているので、普通の無線機よりもやたらめったら高いぜと、こんな御指摘をいただいたこともございます。  私ども、納税者のお金を使わせていただいております以上、そういうような非常識なことがないように今後とも努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  52. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 次に、長官に、これは防衛庁だけのマターではないと思うんですが、経済産業省や財務省も含めての、言わば国のビジョンの問題になるかもしれないんですが、防衛関連産業の育成に関しまして長官の御意見をお伺いしたいと思うんですね。  例えば、よく、これもよく言われる例えなんですけれども、戦車は千社と言いまして、戦車一つ作るのにやはり千社ぐらい中小含めてかかわっている、それぐらいすそ野が広いのが防衛関連産業で、F15に関しましては二千、三千がかかわっているんじゃないかというふうに言われます。  そして、長官今も言われましたけれども、GPSとか暗視カメラとかGショックとかインターネットも全部、言わばその防衛関連の技術が民生に転用されましてすそ野の広い研究開発と経済効果を生んだと思うんですが、防衛関連産業の育成、我が国において防衛関連産業の育成に関しまして、長官はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  53. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 詳細は副長官からお答え申し上げますが、先ほど申し上げましたように、育成はしなきゃいかぬと思っているんです。ただ、それがほとんどお客様というかユーザーが国、防衛庁に限られてしまうということがございまして、下手をすると保護になっちゃうということがあります。保護ではなくて育成だと。しかし、お客は防衛庁しかないということが多い。その辺りをどう考えるかということであろうかと思います。  基本的な考え方につきまして申し述べまして、詳細は副長官からお答え申し上げます。ごめんなさい、防衛参事官からお答え申し上げます。
  54. 大井篤

    政府参考人(大井篤君) お答えいたします。  私どもも健全な防衛産業の存在というのが自衛隊の能力の有効な発揮を図る上で大変重要だと考えております。  御承知のとおり、日本は工廠というものを持っておらないわけでありますので、装備品をハイテク化するとかあるいは近代化していく、あるいは我が国の国土、国情に合った装備品の取得、こういった、あるいは緊急時の急速取得、そういった点について民間企業である防衛産業に依存すると、こういうことから大変重要なものであるというふうに考えています。  それから、先生も御指摘のとおりだと思いますが、防衛技術、一般的に大変最先端の技術をいろいろ含んでいる、また新しいものにチャレンジしていくと、こういう性格を持っております。情報通信技術始め大変多くの最先端技術を含んでいるわけであります。そういう中で、民生技術と装備技術といいますか防衛技術、こういったものがいろいろいい循環をしていくということが、我が国の経済、あるいは我が国の技術水準、そういったものにおきましても大変重要であるし、今後ともそういうことが期待されるんではないかというふうに思っています。  私どもも安定的で適切な防衛力整備を図ると、こういった観点から、先ほど申し上げましたように、健全で効率的な防衛生産・技術基盤の維持というのは大変重要であるというふうに考えておるわけですが、こういった防衛技術から民生技術への経済波及効果があると、こういうことも十分頭に置きながら、防衛生産・技術基盤の維持、育成というものに努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  55. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 時間も参りましたので、最後の質問にさせていただこうと思います。  決算委員会ですのでお金をぎりぎり詰める話ばかりが多いと思うんですが、やはり何でもかんでも行政改革、コスト削減ばかりではなくて、必要なものにはしっかりとした投資をやっていく、そのための方針をしっかり持っていくということが大事だと思うんですが、例えばそれが何かといいますと、大切な情報収集・分析、いわゆるインテリジェンスというやつだと思うんですが、よく言われるのがコミント、通信にかかわるインテリジェンス、イミント、今度衛星を上げまして画像からいろんなものを分析できるようになったそうです。最後のヒューミントというのがありまして、人を介した情報の収集・分析、これに関しまして私は日本は非常に弱いんじゃないかなと。例えば、CIAなんかはもちろん外交・安全保障の情報収集はやっていますが、今では日本に来て、再生ファンドや外資系の投資銀行に入って、経済、金融に関する情報収集・分析にシフトしているというような話も聞きますし、私の知人に言わせますと、CIAだから雇ってくれみたいな事例も、うわさですけれども、あるようです。  ですので、外交・安全保障、経済、金融、これは外務省防衛庁、まあ経済産業省、財務省、全部がやっていかなきゃいけないと思うんですが、今日は防衛庁長官がいらっしゃるので是非お伺いしたいんですが、ヒューミント、人を介した情報の収集・分析のための特別な機関ですとか、そのために積極的に投資する、そういうことが必要だと思うんですが、長官はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  56. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは私でお答えができる範囲を大きく超えておりまして、委員の御質問は、これはもう政府全体で考えなきゃいかぬことなんだろうと思っています。ただ、御指摘のように、このヒューミントというのが私は一番ある意味大事なんだろうねと、こう思っています。  御案内のとおり、私ども防衛駐在官、普通は防衛武官と、こう言うのですけれども、防衛駐在官というものを持っております。多くの国にそれを派遣をいたして、外務省の職員の身分で働いておるわけでございますが、この防衛駐在官の存在というものは私は他国に比べて決して遜色のあるものだと思っておりません。これは我が国だけが情報を軽視しておって数が少ないかと、私もいっときそう思ったことがあるんです。それで防衛庁に入って聞いてみたのですが、決して数が、例えば、アメリカはこれ断トツですが、イギリスやフランスと比べて少ないかといえば決してそうではない、もっと多いにこしたことはありませんけれども、かなりの水準は確保していると思っているのです。  これは中身は申し上げられませんが、この防衛駐在官が集めてくる情報というものは、私、読んでいて本当にはっとすること、目からうろこが落ちること、たくさんあるのですが、よくここまで調べてきたなということがたくさんあります。そして、それはある意味、軍人同士でなければ、私どもの自衛官は軍人ではございませんが、でなければ分からないものというのがたくさんある。そして、その集めてきた情報というものをどのようにして政府全体で共有するかという体制が大事だと思っているのです。  川口大臣や、あるいは矢野副大臣や、大勢の方々のお力もいただきまして、外交の一元化ということは当然あるのでございますけれども、防衛駐在官という制度をどのように考えていくかということで、外務省と私ども、いろんなお話をさせていただいております。  私、その防衛駐在官が本当にその持っている高い能力、そして高い見識、そして強い使命感、それをどのようにして最大限生かしていくか。ヒューミントですから、いろんなお付き合いのお金もありましょう。買収するとか、そういう意味じゃなくて、一緒にお食事したり、仲良くならないと分からない情報ってありますよね。決算委員会において、本当に情報を集めてくる、そういうようなための予算、それをどうするんだと、どれに、何が国益なんだということで御議論をいただき、また私どももそれを糧にしてやってまいりたいと思っているところでございます。
  57. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 お二人の大臣におかれましては、まだお疲れも抜けていないという状態だと思いますが、しっかりとお答えいただきまして本当にありがとうございました。御苦労さまでした。  これで終わらせていただきます。
  58. 山根隆治

    山根隆治君 私は、拉致議連で石破長官と御一緒していたことがございまして、親近感を覚えている一人でございますけれども、公の場でございますので伸び伸びと議論をさせていただきたいと思います。  今日の読売新聞でございますけれども、テロ特措法枠外支援か、海上自衛艦、米艦に燃料補給、そういう記事がございまして、通告外でございますけれども、今朝の新聞でございますので、お許しをいただきまして御見解を問わせていただきたいと思います。  少しそのまま孫引きになりますけれども引用させていただきますと、イラク戦争に参加した米空母キティーホークを率いる第五空母戦闘群のマシュー・G・モフィット司令官は六日、神奈川県横須賀市の米軍基地で記者団に対し、我々は海上自衛隊から米軍の補給艦を経由して間接的に計約八十万ガロンの燃料補給を受けた、日本政府の協力に感謝する、こう述べたと報道をされているわけでございます。これは明らかにテロ特措法に抵触するものであるというふうに思います。  私も、国会での論議で、石破長官の御発言をまだ記憶生々しく残っておりますけれども、この問題についてはアメリカとの信頼関係だということでずっと突っぱねた御答弁をなさっていらっしゃいましたけれども、この信頼関係をこれによって損ねた、そう御認識されますか。
  59. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは米軍のマシュー・モフィット司令官が、いわゆるぶら下がりと私どもこうよく言いますが、そのインタビューでお答えになったというふうに承知をいたしております。  この詳細、どのような答えであったか、そして原文がどのようなものであり、それをどのように訳するかということもございまして、今、私どもとしても調査をいたしておるところでございます。  御指摘の報道、私も当然その日のうちにというか、即時知っておるわけでございますが、アメリカに対しましてこの発言の内容を確認をいたしましたところ、モフィット司令官はこのように述べたというふうに聞いております。  それは、我々は海自から燃料をもらっていない、しかし米軍の補給艦はオマーン湾において海自から燃料を受けた、我々は我々の艦船のために我々の補給艦から八十万ガロンの燃料を受けた、我々は対テロ戦争における日本政府の支援に感謝していると、こういう答えをしたということでございます。すなわち、同司令官は、不朽の自由作戦に対する海上自衛隊からの艦船用燃料の提供について感謝する旨、そのように述べたというふうに承知をいたしておるところでございます。  あわせまして、この確認を私どもはしましたけれども、アメリカ側からこのような見解が改めて確認をされました。すなわち、これまで合衆国海軍は海上自衛隊から提供を受けた艦船用燃料についてテロ対策特措法の目的外の活動に使用したことはなく、今後も活動に使用することはあり得ないこと、したがってイラク攻撃に参加するキティーホーク空母群の艦艇が海上自衛隊から提供を受けた艦船用燃料を使用したことも当然ないことにつき、改めて確認をされたということでございます。  委員指摘のように、確かに私、衆参いろんな委員会におきまして、交換公文も結んでいる、そして、米側は私どものテロ特措法の内容をよく理解し、そのテロ特措法に基づいて給油をしているのであって、その目的外の使用はしない、そのことについて信頼関係は確立をしておるという旨、答弁をしてまいりました。  で、昨日、本日通しましてアメリカ側にいろんな照会、確認を行っておるところでございますが、私は、この私どもが給油いたしました油が目的外に使用されたというふうには考えておらないところでございます。
  60. 山根隆治

    山根隆治君 いろいろな事実を確認したという御答弁と、そして、今確認中だ、調査中だという御答弁が錯綜しておりました。  これからまだ更にいろいろな事実が明らかになってきて、もし給油を、イラクに展開している部隊に対して給油されているという事実が明らかになった場合には海上自衛隊の艦は引き揚げることもあり得る、そういう理解でよろしいですか。
  61. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはもう委員がすべて御存じの上で御質問のことかと思いますが、事実関係を御存じだという意味ではなくて、このテロ特措法に基づいて活動しておりますのは、要するにテロ特措法の目的を達成するために私どもは行動しておるわけでございます。そして、そのテロ特措法は国会において可決、成立をしたものでございます。  そういたしますと、この目的は何かといいますと、これはもう九・一一に起因するようなところのということで始まります国連決議、そのようなテロの撲滅というのが目的でございます。そうしますと、私ども日本政府の主体的な判断としてこの目的達成に資するものである。なお、目的が達成されていない、成就していないということであれば、これは続けます。しかし、これは目的が達成されたということであれば、これは当然その活動を打ち切る。それが私は法の趣旨だというふうに考えておるところでございます。
  62. 山根隆治

    山根隆治君 ほかにも知っていることがたくさんありますので、実は幾つかもっと聞きたいという思いもありますけれども、明日も他の委員会がございますので他の同僚議員にそれを譲りたいと思います。  決算委員会でございます。平成十三年度の決算については、防衛庁の所管のそれぞれの事業につきましては、十三年度というのはちょうど二十一世紀の初年度ということの言い方もできますし、あるいはまた防衛力整備計画の初年度というふうなこともありますので、これからの二十一世紀、将来の日本の防衛の国策を明らかにする上で非常に意義のある私は年度での予算であり、執行であり、決算であったというふうにも思っております。  そこで、当該年度のいろいろな事業について、ITの施策について、そしてもう一つは災害について重点を置くという各種のマスコミ報道もございました。これらの点について当該年度でどのような施策というものを具体的に実行されて成果をあらしめたのか、簡単に、通知してありますので御答弁を願います。
  63. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 私から、まずIT関係の事業について報告をさせていただきます。また、防災関係については、運用局長が参っておりますのでそちらから答弁をいたしたいと思います。  まず、IT関係、特にコンピューターのネットワークシステムとかソフトについて大きくこの時期に転換してきておりまして、元々自衛隊はそれぞれの各自衛隊、各機関、また各業務ごとにネットワークを運用しておりましたので、そのネットワーク全体を横断するようなネットワーク化ができておりませんでした。そういうことで、異なる機関・システム間におけるデータの共有化とか交換が困難な状況にありました。そういうこともありまして、この最近の情報通信技術の進歩を踏まえて、このネットワークを集約一元化するということで情報を共有し、自衛隊の統合的、有機的な運用を強化するということで、平成十三年度からDIIという防衛庁・自衛隊に共通のネットワークである防衛情報通信基盤の構築に着手いたしました。  このDIIにはオープン系、クローズ系、二通りございまして、オープン系といいますのは、インターネットと接続して、主として事務系システムが加入するものでございますが、これは平成十四年度末から運用を開始したところでございます。一方のクローズ系、これは指揮系システムが加入して、外部との接続は行わないものでございますが、こちらは平成十六年度末から運用を開始する予定でございます。運用開始以降は、逐次このネットワークを拡張していくという予定でございます。  それからもう一方、ソフトウエアの方でございますけれども、これもまたソフトウエアの動作環境が不整合で、データとか機能が各システムに重複しているとか、システム間の情報の共有化は困難である、こういう問題がございました。そこで、この平成十五年度末までに防衛庁の各種システムで共通に使用可能なソフトウエアであるCOEといいますコンピューターシステム共通運用基盤、これを平成十五年度末までに設計、構築して、平成十六年度以降に各システムへの適用を行うという予定でございます。
  64. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 私の方から災害関係についてお答え申し上げます。  防衛庁・自衛隊におきましては、先国会の中期防を踏まえまして、この災害関係について十分な対応を取るようにと、重点の一つという格好で入っておりまして、実はこの中期防始まると同時にいろんな対策を打ってまいりまして、ここ三年目に至っているわけでございますが、毎年の、基本的に対応、特に災害の訓練に今いろいろな装備の方は着実にと申しますか、計画的に採用していくということでございますが、とにかく現在は、態勢の、即応態勢の強化と、それから訓練ですね、これに力を特に入れておるということでございまして、ちょっと訓練の方を先に言わせていただきますと、毎年九月一日に中央で政府防災、総合防災訓練等行われておりますが、基本的には国及び地方自治体が主催いたします各種の総合防災訓練にこれは積極的に参加して、その練度を高める、あるいは地方公共団体と連携を強める、こういうことを今一つの大きなねらいにしております。  ちょっと一、二御紹介させていただきますと、実は東京の方で、いわゆるビッグレスキュー東京という名前でちょっと呼ばれましたが、十二年度、十三年度と、こういうふうにありましたが、ここでは、陸海空の自衛官多数が参加いたしまして、中心市街地におきます初動対応態勢だとかあるいは生活支援訓練、こういうものを通じまして、災害派遣部隊等の展開要領だとかあるいは震災発生時の各自衛隊の共同対処要領、こういうものを関係省庁とともに確認できたと、こういうことでございますし、昨年度でございますが、平成十四年度で、千葉の柏市、ここを主会場に、首都圏の七都県市合同の防災訓練をやりまして、これも陸海空の各自衛隊から約一千二十名の人員が参加いたしまして、車両も百六十、航空機も五十機等出るという形で、とりわけ倒壊家屋等からの救出訓練等を重視してやってきたということでございます。  これは中央の話でございますが、地方でもいわゆる毎年全国すべての都道府県の主催の──はい、分かりました、主催の総合訓練につきましては、これも積極的に参加させていただいて、その練度の向上を図るという形で努めてきておるところでございます。
  65. 山根隆治

    山根隆治君 済みません。時間の関係もありましたので省いていただいたと思うんですけれども、災害、IT施策について引き続き頑張ってください。  次に、文民統制と専守防衛の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  文民統制というのは、国会と内閣が担うべきものであろうというふうに思っております。国防会議から安全保障会議に変更、組織替えがございまして、既に安全保障会議も百回を超える会合を開かれているというふうに承知いたしておりますけれども、この中で統合幕僚会議議長については、議長は──議長はというのは総理大臣が、必要があればお呼び、呼ぶことができると、こういうことでございますが、調べさせていただきますと、毎回ほとんど出席なさっていらっしゃるということを聞いているわけでございますけれども、この安全保障会議の中で統合幕僚会議議長はどのような役割を今日まで果たされているというふうに評価、長官としてはされておられますか。どのような意見を述べられているかということについてはこれは公表はされておりませんけれども、意見は述べずに説明だけ、自衛隊の現況についての説明だけされているということなのか、あるいは意見というものを御自分の立場から述べられて今日までいるのかどうか、そのことについてお尋ねします。
  66. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私も、昨年の九月三十日に大臣を拝命して以来、そんなに数多く安保会議が開かれたわけではございません。そしてまた、過去のものに出席をしておるわけでもございませんので、必ずしも委員の御質問に的確にお答えできるだけの知見を持っているとは思いませんことをお断りをいたしておきたいと思います。  私が知ります限りにおいて、統幕議長から軍事的、専門的見地に基づいてまず説明がございます。その説明をベースといたしまして、これは閣僚の間でいろんな議論がございます。そしてまた、これはどうであるかこうであるかという軍事的な専門的なこと、つまり統幕議長でなければ分からないことについてまた問いがあります。それに対して答えるということだと思っております。それは、安保会議の構成員としての資格、つまり正式な議員としての資格、あるいはそこへ常にいて専門的な立場から見解を述べるという立場、おのずからそれは異なりがあるものだと思っております。  ですから、積極的に意見を述べることがあるのかというお尋ねにつきましては、私が今まで知る範囲におきまして、これは統幕議長からこうあるべきだというような意見が述べられたことは私は記憶にはございません。しかし、それがシビリアンコントロールというものは機能をしていないのだということにもならないでしょうし、そしていわゆる統幕議長が積極的に意見を述べないということがシビリアンコントロールを阻害することにもならないのだろうと思っております。  それから、安保会議の運営の仕方につきましては、私の方といたしましては、もう一度よく勉強させていただいて、お答えをさせていただきたいと思います。
  67. 山根隆治

    山根隆治君 資料を読ませていただきますと、九・一一の同時多発テロ以降の記録を見ましても北朝鮮の問題というのは一度も話題になっていない、議題になっていないと私は承知いたしております。拉致問題、熱心に長官も取り組まれましたけれども、拉致の問題、それからミサイルの問題等がこれだけあるのに、国の防衛の指針を一番決めるのに重大な影響を持つというか、指導的な役割を果たすこの安全保障会議でこの問題、北朝鮮の問題が取り上げられないということは、とても私はおかしなことだと不自然さを感じるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  68. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 恐縮ですが、そのお尋ねに対しまして私、答えるべき権能を持っておりません。また、感想を申し述べる立場にもございません。  その北朝鮮の問題というものは、私は、安保会議のみならず、例えばこの外交防衛委員会におきましても、そしてまた衆議院の安全保障委員会におきましても議論がなされ、政府部内、例えば私ども防衛庁におきましても、そしてまた外務省におきましても議論がなされております。そして、その必要性に応じまして安全保障会議というものは開かれるというふうに承知をいたしております。決して議論がなされていないということだと私は考えておりませんで、本当に更にその議論が政府全体としてより良いものになるように、今後とも政府として努力をしていくことかというふうに考えておる次第でございます。
  69. 山根隆治

    山根隆治君 外交であるとか防衛であるとか、国の、国民の生命、財産を守るべき国の国策を決めるのに官邸だけで決めていくということが時々指摘されることがあるんですが、そういうことでは非常に安全保障会議の重要な役割というのを改めて認識を私たちはすべきだろうというふうに思います。そういう意味では、議題になっていないと、正式な議題には取り上げていないという、この記録を見ると非常に不自然ですし、困ったことだなというふうに思わざるを得ません。  今年度になりましてから開催されたのはわずか三回でございまして、すべてイラクの問題についてのみでございます。私は、この安全保障会議の開催ということについても、これは不定期でございますけれども、これだけ時々刻々国際情勢が変化する中では、私は原則として定期的に、それは法律の問題もありますけれども、設置法の問題等もありますけれども、私は定期的にこれはやはり開いておくべきことだろうというふうにも思います。担当の国務大臣としての御所見を聞かせてください。
  70. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これ、先生御指摘になりましたように、この安全保障会議の議長は内閣総理大臣であります。総理大臣が必要に応じてこれは招集をされるというふうに考えております。一に掛かって総理の権限に係ることでございますので、私からこれについての感想めいたことはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、北朝鮮の問題について、これは日本の安全保障上の重要な問題であるということはこれは事実であります。そして、総理を筆頭として私ども日本政府全体として真剣に取り組んでまいっておることでございます。その実が上がるように政府全体として努めていくべきものかというふうに考えております。
  71. 山根隆治

    山根隆治君 石破長官らしくない御答弁だと思いますけれども、それは議長がその任に、発言する資格があるというか、最高の責任者であることは間違いないですけれども、安全保障会議の一番の責任者ということでは、それはもう議長という立場ありますけれども、国の安全を守る立場から積極的な発言をしていくと、つまりこの定期的な開催についても提言をするということぐらいはできるわけで、その御自分の考え方どうかということで伺ったので、少し石破さんらしさを少し出していただきたいというふうに思います。  そして、これはもう法律で決められたこと等もございますけれども、統幕議長は正式なメンバーではございません。私は、文民統制というものもございますけれども、それは元々のシビリアンコントロールの語源ともなったイギリスの今まで歴史的な経過からしても、これは私は統幕議長がこの会議の正式なメンバーとして呼ばれると、呼ばれるというか参加するということがあってもいいし、そうあるべきだと私自身はそう思いますけれども、その点について、先ほどのようなお立場ではなくて、御自分の国務長官として担当の一番の大臣のお立場からもう少し自分の思いを表現してください。
  72. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 繰り返しで恐縮ですが、安全保障会議の在り方につきましては、これは私としてこうあるべきだというようなことを申し上げる立場にはございません。おまえらしくないという御指摘を受ければもうそのとおりと恥じ入るほかはございませんが、そういうことでお許しをいただきたいと思います。  ただ、私、これはあちらこちらの訓示で申し上げておることですので、これは私が信念を持っていることなのですが、私は副長官時代もそうですし、長官になってからもそうですが、例えば防衛大学校の卒業式あるいは入校式でこういうことを申します。服務の宣誓というのが委員御案内のとおりございまして、これは政治に関与せずと、こういうことを宣誓するわけですね、自衛官たちは、制服は。政治に関与せずということで、それは自衛隊員共通ではございますが。それは、武力を背景として政治をゆがめるようなことがあってはいけないということが本旨なのだと私は思っています。  そして、制服の皆さん方が、例えば法律について、あるいは装備について専門的な見地から意見を述べるということは制服自衛官としての権利であると同時に義務であるということを私は申し上げておるのです。そして、内局の皆さん方が法律についてあるいは予算について専門的な見地から意見を述べる、これは当然内局官僚の権利であり義務であります。それを先ほど委員は国会と内閣というふうにおっしゃいましたが、一応政府の中におきましては、私あるいは副長官あるいは政務官、そういう政治責任を取る人間、つまり選挙によって選ばれ、あるいは国会に対して責任を負う人間、政治責任を負う人間がその意見を基にどう判断するかというのが私はシビリアンコントロールだと思っています。  つまり、制服は一切意見を述べるなということは私は正しいシビリアンコントロールの在り方だとは決して思いません。述べない方がむしろ誤ったシビリアンコントロールになると思っています。それは本来のシビリアンコントロールの姿であります。しかし、安保会議においてどうかというお尋ねになりますと、これは私の所掌を超えたことでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいということでございます。
  73. 山根隆治

    山根隆治君 もう我が国においては、法的にもそれから社会的にもシビリアンコントロールというのはしっかりもう確立されているというふうに私は認識しております。「戦争論」を書いたクラウゼビッツが、やはり政治が優先すべきだということで、軍人、自らの軍人としての立場よりも、立場からそうした発言をしていて、そこからずっとシビリアンコントロールというのが世界的にも確立したことだろうと思います。  ただ、やはりアメリカやヨーロッパ、国々においてそれぞれシビリアンコントロールの考え方なりあるいはありようというのは少しずつ違ってはおりますけれども、私は、我が国においてはもうかなり確立されているんだというふうに認識をしております。そういう意味では、安全保障会議の中でも積極的な発言をすることについても全く差し障りがない。  湾岸戦争のときに、私は、ある、もちろん長官御存じのはずでありますけれども、時の政権政党の非常に影響力を持った指導者の一人から、お一人から聞いたことがありますけれども、湾岸戦争の前日、開戦前日でさえ、外務省それから防衛庁は戦争は起きないんだという認識をずっと持ち続けていたと。しかし、そのある政治家が、いや、そんなことはないだろうと、何十万人という部隊を、何万人ですか、部隊を動かしている中で、これで戦争にゴーサインをしないわけがないということを言った。そして、その言った時間からわずか十時間たつかたたないかのうちに外務省の方に第一報が入ったと、そういう話を聞きました。  つまり、それだけ私は、現場を知る人間、自衛隊の、自衛官の人たち、幕僚会議議長等も含めて、そうした人たちがいろいろ生の情報をたくさん持っているわけですね。今ちょっと外務大臣おられて、おられてというか当然で、おられていいんですけれども、おられる中でちょっと言いにくいところもありますけれども、外務省のやっぱり情報、量もたくさんおありでしょうけれども、その情報というものをしっかりと判定する力というか、それが当時なかったということでも私はあるんだと思うんですね。ですから、内局の人たちの判断というのもそのときは間違っていた、国の大事な命運を左右するようなことでさえ判定を間違っていたというのがあるわけですね。今だれというふうには、その政治家がどなたと言いませんけれども、そういうことを述懐されていたのを私は直接聞いたことがあります。  そういう意味で、私は、この安全保障会議に正式なメンバーとして幕僚会議の議長というものを私は出席を、長官の方からも、今、自分から言えないということですけれども、内々にそっと議長に、そっとというのは変ですけれども、私は、求めておく、そういう意見をやはり提案、私はすべきだろうなというふうに今思っております。この点はもうこれ以上、時間が本当になくなってきていますので先を急ぎますけれども、是非これ御要望をさせていただきたいと思います。  それでは次に、北朝鮮からのミサイル攻撃を受けたときのその対応ということについてお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、二月九日のこれは読売新聞でございますけれども、北朝鮮による弾道ミサイル発射事態対応方針、その全容が明らかになったということで細かく報道をされているわけでございますが、このニュースソース、どこから出たものなんでしょうか。
  74. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 本当に存じません。いや、存じませんといいますか、私は正直、この二月九日にこれを見て、何これと、こう言った覚えはあります。どこから出たものかということにつきましては、これは申し訳ございません、知識を持っておりません。
  75. 山根隆治

    山根隆治君 そうすると、政府としてこの記事というものを否定すると。どこから出たというよりも、この記事自体、こうした方針が明らかにされたということ自体を、明らかにされたというか、こうした方針が確認されたと、作られたということ自体を否定するんですか。
  76. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これが政府としてオーソライズされた紙かどうかという、つまり政府文書とか、よく政府方針とか政府決定とかいろんなことが新聞に躍りますですよね。これは委員も御案内のことかと思いますが、何をもって政府は決めたとするのか、何をもって政府は方針を固めたと言うのか、それはもう言葉がいろいろございます。それは内部の検討の中で、過程の中でこういうものがあったかどうか、その可能性を私は排除できないと思っています。  しかし、これを見たときに、まず第一印象で思いますのは、この大見出しで、「発射準備段階で公表」と、こうなっていますね。公表して一体どうするんだと。公表して、しかしながら、じゃ撃ち落とすすべもない。じゃ、これ生物兵器、化学兵器が搭載されていたとして、どうしていいか分からない。起きることは、パニック以外しか起こるものないじゃないか。こんなばかなことを決めるはずはないだろう、私はそういうふうに考えております。
  77. 山根隆治

    山根隆治君 私もそう考えたんですけれども、余りに報道が詳細なんですよね。ですから、ここはどこからか漏れたというか、リークしたのか分かりませんけれども、異常に詳細な説明がある記事でございますから、本来これに基づいてお尋ねしようと思ったんですが、このこと自体を否定されるわけですから、これに基づいた質問はちょっとやめておきますが。  ただ、北朝鮮が度々我が国を威嚇していますね。そして、ミサイルを発射するぞというふうな脅しを掛けているところでございますけれども、もしこのミサイルというものが本土に着弾したとすると、その被害の想定というものを検討されたことはございますか。
  78. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 北朝鮮からミサイル攻撃を受けた場合の被害予測はどうか、こういうお尋ねなんですが、少なくとも北朝鮮にノドンが相当数配備されていると見られるのはそのとおりでございますし、それがどこを向いて何をするためのものなのかという点を考えますと、これは我が国に向けてノドンが発射される可能性を排除することがあってはならないというふうに考えております。  ただ、難しいのは、北朝鮮というのは閉鎖的な国ですので、仮にノドンが着弾した場合に様々な状況が想定されますけれども、ノドンについてどのような弾頭を用いるかとか、その詳細な性能については確認されておりません。また、地形とか環境条件によっても結果は異なりますので、ノドンが着弾した場合の被害想定を行うということがそもそもこれは困難でございます。  そういうことから、具体的に被害予測がどうか、こういうことについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  79. 山根隆治

    山根隆治君 ミサイルに例えば生物化学兵器を搭載していた、あるいは原子爆弾を搭載していた、それによって被害も大きく違いますね。そうすると、私は、今までの国会での論議というのは、専守防衛というのは、日本が被害を受けてからでないとそれを攻撃しない、こういうことになっているわけですね。しかし、私は、石破長官の積極的な御発言というもの、参議院でしたか、ございましたけれども、その被害というものをある程度、想定をちょっと今伺ったのは、国民がいつまでも被弾されることにどれぐらい耐えられるんだろうか、メンタルな面でも耐えられるだろうかということが一つは言えるわけでございます。  通常の戦闘ということでは、北朝鮮と自衛隊、日本が闘った場合に、これはもう勝負にならないだろうということが明らかだと思うんですね。つまり、特殊部隊を日本に潜入させる、あるいは、さらに今申し上げましたミサイルを撃ち込んでくる、これぐらいしか北朝鮮が我が国への攻撃というものを仕掛けてくる可能性というのは私はないだろうというふうに思っています。  そうすると、その二つにどう対応するか。ガイドラインにもいろいろな細かな協定が書いてございますけれども、そのときに私は、パトリオット、今の日本にあるパトリオットではとても駄目だと。最新のパトリオットというものを配備するということについても、私は、PAC3を導入する措置とかというものをどう考えるのか、その必要が今ないのか、その検討はどうなのか、その点についてちょっと伺います。
  80. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 被害を受けてからでなければ駄目だということでは必ずしもないだろうと思っております。  それは、私が以前、衆議院の安全保障委員会で答弁を申し上げましたのは、昭和三十一年の船田防衛庁長官代読の鳩山内閣総理大臣答弁という、こういう明文なものがございまして、要は、自衛権発動の三要件は、我が国に対する急迫不正の武力攻撃があること、ほかに手段がないこと、必要最小限度にとどまるべきことと、この三つですね。  この一番目の、じゃ我が国に対する急迫不正の武力攻撃があることというのは、被害があってからではないのだろう、しかしながらおそれの段階では駄目なのだろうということです。そうしますと、それじゃこれから、どの国でもよいのですが、東京を火の海にするぞと言ってミサイルを屹立させ、燃料を注入し始め、それが不可逆的になった場合というようなのは、一種の着手であり不可逆的な状態なのだろう。だから、私どもはあくまで自衛権行使の三要件というものは、これはきちんと守っていくということは、私どもはこう変えたことは一度もございません。  ですから、よく先制攻撃とかいうことを言われますが、先制攻撃というものは我が国として自衛権行使の三要件というものには該当いたしませんので、そういうふうな概念を私どもは使うつもりはないということでございます。  その前提に基づきまして、PAC3のお尋ねでございます。PAC3の導入というものはどうかということは、私どもが考えますミサイル防衛システムというものがどういうものになるのだろうか、それは中層でどのようにミサイル防衛を行い、そして低層部分、PAC3などというのは低層部分ですが、それがどういうものになるのだろうか、どういうような確率で落とせるのだろうか、中層で撃ち漏らしたものをどうやってターミナルフェーズで撃ち落とすのだろうか、それにはどのようなものが使われていくのだろうかと、そういう全体的な構想の中で議論をされるべきものだというふうに考えております。  これはもう先ほど委員が御指摘になりました安保会議において決せられるものであり、私として今これをどうこうということを申し上げる立場にはございません。しかし、かつて官房長官が、専守防衛的なものであり現在のところほかに代替手段がないということもおっしゃっておられるわけでございます。  そういうことも含めて、それではPAC3というものがどういうものであるのか。今実用化されているという意味であれば、委員指摘のとおりこのPAC3だけでございます。そうしますと、その導入の可能性というものを私は排除するものではございません。  それがどのような確率を持ち、そしてどのような全体のシステムの中での位置付けになるか、そしてそれがどのように費用対効果に見合うものであるか。そういうものについて知見を深めながら、安保会議において仮に議論されることがあるとするならばその議論の糧になると、そのように考えておるところでございます。
  81. 山根隆治

    山根隆治君 今の御答弁は今までの政府の統一見解と私は大きく違っているというか、踏み込んでいるというふうに私は思います。つまり、日本が攻撃を受ける前に攻撃可能だという御答弁になると思います。  今までの専守防衛の定義というのは、例えば今言われたような船田さんが、船田防衛庁長官が鳩山さんの代理で、鳩山総理大臣の代読という形で言われたり、あるいはまた昭和三十四年に伊能防衛庁長官の発言があったり、あるいはまた田中首相がこれ、専守防衛とは何かということを述べられているところもあるんですね。  そういうところからのいろいろな今まで私読んでみると、今の御発言というのはかなり踏み込んだものだろうと思います。つまり、北朝鮮が給油したり今にもミサイルを発射するぞというところでその基地をたたくということがあり得ると、こういうことでいいんですか。
  82. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私の意識の中では、これは私もすべての答弁全部精査してみました。私が申し上げていることと従来の政府の立場は全く変わっておりません。  つまり、座して死を待つことが憲法の予定していることとは到底思われないのでありますということが昭和三十一年の答弁の中にございます。これがオリジナルというか、一番最初のものでございます。それは誘導弾等という表現が使ってあったと思いますが、今で言う弾道ミサイルのようなものでございます。つまり、そこにおいて書かれておるのは、被害を受けてからでは遅い、しかしながら、おそれだけでは足りないという概念が既にその時点において私は政府として明らかになっているというふうに思っております。つまり、自衛権行使の三要件というものは我々は必ず守っていかなければいけないのだと。そして、それがおそれでは足りなくて、しかし被害を受けてからでは遅い、座して死を待つことが憲法の予定するところではない、それを勘案して理論を組み立てるとなるとこういう理論になるということでございます。  これは先制攻撃ということを意味しておるものでは全くございません。私どもは、自衛権行使の三要件に当たらなければ自衛権行使としての武力行使はしないという方針に何ら変わりはございません。
  83. 山根隆治

    山根隆治君 そうした御趣旨の答弁があった翌日に、小泉総理が、それを一歩引いたような御答弁があったというふうに私は承知しておりますけれども、石破、今の長官の御発言というものについては、私個人としては評価をしている一人ですけれども、ただ、今までの政府のやっぱり見解と大きく違うんだろうなというふうに私のこれは感想ですけれども、いろいろと精査した上での御発言だとすれば、それはそれで結構でございます。  そして、もう一つ確認しておきたいんですけれども、北朝鮮がミサイルを発射して日本に着弾するのに八分か九分ぐらい掛かる。それを事前にアメリカの情報衛星等から日本が察知するのは二、三分前にならざるを得ない。そのときに、迎撃ミサイル、パトリオットを、現在持っているものでも、あれですけれども、使うとして、その発射ボタンを押すのには相当な勇気が現場の指揮官は要るはずですね。つまり、搭載しているのが生物化学兵器であったりあるいは原子爆弾であったりというものになったときに、果たしてそれを撃ち落とすのが本当に国の安全を守ることになるのか。そのまま着弾を待つのか。あるいはそうした大量破壊兵器でなかったとしても、それを撃ち落としたときの被害というものを想定したときに、日本の今のこの報道社会の中でいろいろな角度から非難や批判も受けるでしょう。そのことを一身にその自衛官、指揮官が受けることができるのかどうか。  つまり、あらかじめシミュレーションで発射してそれが探知できた場合に、ゴーサインをもう押しておくのかどうか。それを私はもうシミュレーションとして持っておかなければ、私はそれを現場の自衛官、指揮官に任せるということは余りに酷だと思います。この点についてはどうですか。
  84. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 正しくそのとおりだと思います。  先ほど私と総理との立場が違うのではないかという御指摘がございました。これ何も変わっておりません。  私はその答弁の中でも今まで何度も申し上げておりますが、ガイドラインの中で、弾道ミサイルに対しては、それを合衆国が必要な打撃力の行使を考慮するという言い方になっております。つまり、私どもの政府といたしましては、その部分は合衆国が打撃力を行使するということにゆだねておるわけでございます。で、その信頼性というものを高めていかなければいけないということが私の考えでございますし、政府の立場でございます。  それと専守防衛、先ほど申し上げました昭和三十一年からの一貫した政府の方針、これは専守防衛であり、自衛権の行使の三要件ということは何ら矛盾するものではないということが申し上げたいわけでございます。  今御指摘のミサイル防衛システムというものができたとして、では、だれがそれを動かすのだということでございます。  このことにつきましては、ミサイル防衛の法的構成をどのようにするかという問いに置き換えてもいいのだろうと私は思っています。これがどういうような形で、本当にあと二分、三分、何しろ全部で七分とか八分とか十分とかいう話ですから、どんなに長くたって、その間で撃ち落とすというような行為を法的に正当付けなければいけないわけであります。  同時に、その責任をだれに負わせるのか。現場の指揮官がそんな責任が負えるかという話になると、これはルール・オブ・エンゲージメントの話になってまいります。その辺りをきちんと詰めるということを私はこのミサイル防衛において技術的側面と同時に議論をしなければいけないことだと思っております。  このことは長官就任以前から私は申し上げておることでございまして、このことがきちんとできなければ、それは安全保障会議で仮に御議論いただくとしても、法的な構成が全く分かりませんというような、そんないい加減なことは法治国家日本として許されるべきことだとは思っておりません。
  85. 山根隆治

    山根隆治君 長官、一分で、済みません、これからの質問答えてもらいたいんですけれども、トマホークの配置という、巡航ミサイルを、トマホークを配備するという、もし日本政府としてそういう選択があるとしたら、それは違憲というふうにお考えになりますか。
  86. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在、日本国としてそのような選択を考えておるわけではございません。憲法違反かどうかということは、また別の御議論かと思います。それは、一に掛かって専守防衛というもの、そしてまた憲法九条の趣旨というもの、自衛権行使というものに当たるか当たらないか、そういうような観点から議論をされるべきものと考えておりますが、現在、政府においてそのような方針はございません。
  87. 山根隆治

    山根隆治君 ありがとうございました。  それでは最後に、もう時間がなくて通告したものの半分も行かなくて申し訳ないんですけれども、外務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  いわゆる拉致問題の解決と金正日体制の今後の展望というものについてお尋ねをしたいと思いますが、この拉致問題の根本的な解決というのはどのような状況下で行い得る、今までのいろいろな外交交渉の中で、というふうに予測をされますか。
  88. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御案内のように、今、北朝鮮に対しては、五人の被害者の方の家族が日本に帰って自由な環境の下で意思決定ができるようにということと、それから事実の解明、これを強く求めているということでございます。これについてはいろいろな手段を使って引き続き求め続けていくということでございますし、また国際的にも、国連あるいは二国間の環境の中で、会議の中で、この問題については、引き続き強くこの問題の存在と解決の必要性については話をしていくということでございます。  日朝平壌宣言がございます。これが我が国が北朝鮮と話をしていくときの基本、そしてその精神にのっとってやっていくということでございまして、我が国としては、この拉致問題も含め、日朝平壌宣言に言っている様々な問題の解決がなければ正常化交渉は妥結をしないということははっきり言っているということでございまして、それがあるということで初めて正常化が成し遂げられるということだと思います。
  89. 山根隆治

    山根隆治君 最後に、実は今日の夜六時半から、第五回の、拉致はテロだ第五回国民大集会というのを有楽町で行うんですけれども、私も出席いたしますけれども、外相は御出席になりませんか。もし、ならなければ、メッセージを私持っていってもよろしいんですけれども、いかがでしょうか。
  90. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 出席をすることは考えておりません。
  91. 山根隆治

    山根隆治君 メッセージ、いかがですか。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 政府として、先ほど申し上げましたように、拉致問題の解決ということを非常に重要な課題であると考えておりまして、全力を尽くすと、そういうことでございます。
  93. 山根隆治

    山根隆治君 石破長官、メッセージ、いかがですか。メッセージを私お預かりして集会に出ましょうか。
  94. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私、防衛庁長官としてではなくて、拉致議連の私も、会長は当然中川昭一先生にお願いをしております。それはもう拉致議連というのは政府に対していろんなことを申し上げるあれですから、政府の人間やるのは変ですので。議連の一員として参加をさせていただく、このつもりでおります。
  95. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  長官、結構でございます。  平成十三年度の決算の場ではございますけれども、冒頭、外務大臣、先般の中東外交について若干の指摘をしたいというふうに思います。  まずは大臣、大変タイトなスケジュールの中で中東を歴訪されました。お礼を申し上げたいというふうに思います。  さきの外防委員会で議論もさせていただきましたように、パレスチナにおきます情勢というのは、パレスチナの内外を含めまして微妙に変化をしているというふうに感じています。具体的な議論は後日の外防委員会に譲りたいというふうに思いますけれども、私は正に絶好のタイミングで大臣がパレスチナの現場を、足を運んでいただいたというふうに敬意を表したいというふうに思っております。  ただ、大臣御認識のとおり、現状は大変厳しいということでございまして、大臣がパレスチナを訪れる前日の四月の二十四日、ファタハの過激派によるテロが、クファルサバの電車の駅で自爆テロが起こりました。  今回のテロというのは、イスラエル政府に対するメッセージというよりも、パレスチナのファタハが同じパレスチナに対してメッセージを送ったと、そしてその犠牲にイスラエル人がなると、そしてその報復を今度またイスラエル軍が行うと、大変複雑な様相になっているんですけれども、私は川口大臣のロードマップのこれからの行方を考えましても正に今が踏ん張りどころだというふうに考えますけれども、イスラエル、パレスチナの現場を訪れた大臣の率直な御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  96. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、榛葉議員がおっしゃったような正に感想を私も持っております。イラクの戦争がこういう状況になった今、国際社会として是非この問題を真剣に取り組まなければいけないということ、それから、そのための情勢、客観的な情勢が今まで数年間の中では非常にできてきているということ、ただ、非常に難しい。それは、私が帰った後、帰国をした直後、イスラエルを去った直後も引き続きテロは起こっているわけでございまして、様々な思いがあるということだと思います。  ただ、アブ・マーゼンが首相になって、そしてロードマップが発表されて、周辺の国も含めみんながここでこれをできるだけ前に進めなければいけないという思いが一致をしているということは事実でして、日本としてこの機会を最大限に働き掛けの機会としていきたいというふうに考えております。
  97. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私がまだ学生でイスラエルの地にいるときに、初めて日本の外相がかの地を訪れました。それが首相を経験された当時の宇野外務大臣でございました。十五年が流れまして、川口大臣がこのように正に積極的に中東外交を推進してくださるということ。  今回のパレスチナ、イスラエル訪問につきましては、とりわけシャロン政権、そしてパウエル国務長官からも様々なプレッシャーやノイズがあったというふうに現地の知人からも聞いております。しかし、そういったものにも屈せずに、やはり私は川口外交を貫いてくれたんだなというふうに感じております。  ただ、今回はイラク後の微妙な日本の政治バランスを考える中、またロードマップを考えた中でのイスラエル、アメリカのバランスも考えなければいけない。と同時に、パレスチナ市民、アラブ国、イスラム人口の市民レベルでの感情も考えなければいけない。大変厳しい状況だったというふうに思うんですけれども。強いて言うならば、私は、アラファトに会う前に、アブ・マーゼンに会ってからアラファトに会えば、非常に落としどころとしては良かったのではないかというふうに感じていますけれども。ただ、大臣が現場に行かれまして、先ほど御指摘もございましたけれども、JICAの現場であるとか、正に現場の皮膚感覚や嗅覚というものを感じられてこれからの外交に生かされるということを期待をしたいというふうに思います。  さて、本日の決算委員会ですけれども、その現場という観点から、若干決算らしく具体的な質問を何点かさせていただきたいというふうに感じております。  外務省平成十三年度の予算は七千六百三十六億円でございまして、うちODAが五千五百六十五億円と、正に全体の七三%を占めております。それだけ重要なウエートを占めているODAでございますので、この点から若干具体的な質問を数点させていただきたいと思います。  お手元の資料を配付させていただきましたので、是非御参照願いたいと思いますけれども、最初に航空保安セミナーについてお伺いをしたいというふうに思います。  先日、四月二十四日の外交防衛委員会におきましても、ICAOの条約改正の審議におきまして私この問題を若干取り上げたわけでございますけれども、私は決してこのセミナーが不必要である、無駄であるという見解には立っておりません。ただ、費用対効果を考えた場合、やり方によってはもっと良い内容になるのではないかという観点から質問をさせていただきたいと思います。  一九八六年から十八年間連続して実施しているこのセミナーなんですけれども、このセミナーの目的というのは、中にも書いてあるんですけれども、テロ対策を含む航空保安行政に関する基礎知識を途上国の担当官に習得してもらうということでございます。  ただ、内容が、一か月間という長期間にわたりまして、渡航費や宿泊費も全部日本が持つ、一人百万円以上を掛けてこれを実施して、講義は平日の十時から午後四時までの実質五時間、土日があると。アンケートの中の回答にもあるんですけれども、参加者の中には、この研修で一番何が印象に残りましたかといったら、京都見学というのがあるんですね。沖縄や京都への視察も含まれていると。これは文化を理解していただく中では大変重要なわけでございますけれども、少し私は受ける方々の認識が違うのではないかというふうに考えております。  実際に参加した方々のアンケートやコメントを幾つか抜粋してみるとまたそれは新たになってくると思うんですけれども、中には当然建設的な考えもあるんです。しかし、中には、先ほど申し上げましたとおり、京都旅行が一番の思い出であったというものから、航空保安に関する法的側面での講義、特に国際法と国内法の整備について話がなかったであるとか、空港見学がターミナルエリアしか見れず、カーゴエリアや国際線のターミナル見学も是非させてほしかったと。  カーゴエリア、国際線の見学が一か月もいてなかったのかと逆に不思議に思ったんですけれども、古田局長、これは率直に、このセミナーは改善の余地があるとお感じになりませんでしょうか。
  98. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御指摘の航空保安セミナーでございますが、正に航空保安ということの重要性と、それから研修を通じてグローバルなネットワークを作っていくという意義にかんがみて十八年間やってきておるわけでございまして、そういう蓄積の中で、毎年アンケートを取りながら、いろいろと研修生の評価も聞きながら改善の努力もしてきておるということでございますが、一般的に申し上げまして、こういう研修というものは、私もかつて研修担当の職にいたことがあるのでございますが、これでいいという、これで完全であるということはないわけでございまして、絶えず時代の変化と、それから研修生のニーズとかいろんなことを評価をしながら変えていくということが必要だと思っておりまして、本件につきましても、いろいろと委員から御指摘をいただき、御質問いただき、あるいは資料要求がありまして、私どものスタッフがいろいろと御説明に参上したと思うのでございますが、いただいた、この今日お配りになった資料を見ましても、改善の余地というのはいろんな意味で考え得るのではないかと。  費用対効果の問題もありますし、一か月という期間がどうであるかとか、あるいはその宿泊場所のコストの問題でありますとか、それから規模の違う空港を見学をして規模の違う空港における保安の在り方の違いということを習得するという意味で、京都、それから大阪、那覇と大中小の空港を回っておるわけでございますが、これも、そういう意義に照らしてどこまでリジッドに研修内容を組んでいるかとか、いろんな意味で工夫の余地はあるんではないかというふうに思っておりまして、是非そういう意味でいろんな御指摘の点も踏まえながらやっていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
  99. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 聞きたいことがたくさんありますので、是非簡潔に、申し訳ございませんが答弁していただきたいと思います。  参加者からの感想の一つに、日本に求めることは何ですかという問いに答えまして、セキュリティーインストラクターの派遣や最新技術の共有をしてほしいというものがございました。私は正にそのとおりだというふうに感じております。  これ、たとえ日本のハイテク技術を後進国や第三国の専門官に見せましても、現地でそれを利用できる設備が整っていないとこれは全く意味がないわけでございまして、日本はこんなに立派なものを持っているんだぞということを見せても、これ余り意味がないんではないかというふうに実は感じています。よりも、むしろ、いかにソフトの部分で第三国と共有することができるか。  確かにハードの部分、セキュリティー機器の面では日本はトップクラスでございます。しかし、人的育成やテロを防ぐといったソフトの面においては、日本よりも経済的には発展しておらなくても非常に進んだ国がございます。ひとつ是非そういったところを、我々がそちらに赴いて、第三国のハブ空港等に皆さんを呼んで、そこで研修をやる等の様々なアプローチができるんではないかというふうに考えております。  とりわけ、イスラエルであるとかトルコであるとか、アジアにおいてはシンガポール、マレーシアというのは非常にこのテロ防止の面での保安体制というのは確立された国でございますので、そういったセミナーの開催というのが可能かどうか、局長のお考えをお願いします。
  100. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御指摘の航空保安に関する第三国研修の開催でございますが、援助対象国において地域をある程度カバーする大規模な空港を有し、かつそうした国が他の国に対する研修に関心を有するということでありますれば、関係省庁ともよく御相談をしながら、どういう協力が可能か、どういう対応が可能か検討してまいりたいというふうに考えております。
  101. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 航空保安部門に対するJICAさんの取組というものに関しましては、専門家の派遣等、様々なことをやっていらっしゃるということでございますので、是非こういったほかのアプローチとこの航空保安セミナーをうまくリンクさせて有機的なセミナーをやっていただきたい、そして参加国や参加者も是非しっかりと吟味をしてより実りのあるセミナーを共有していただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。  続きまして、次の質問に移りたいと思いますけれども、トンガにおける農産物加工案件というものについてお伺いしたいと思います。  これは、JICAのODA供与国の現場で活躍しておりましたシニアボランティア、臼井さんという方ですけれども、この派遣が急遽中止になってしまって、トンガの農産物加工案件というものがあるんですけれども、具体的にはこれはかんぴょうなんですね。私、知らなかったんですが、かんぴょうというのはユウガオからできるそうでございまして、これを調べているうちに大変勉強になりましたが。  事実は、二〇〇一年の四月から二〇〇二年の四月四日まで、アジア大洋州局の指示で、トンガの対日輸出案件の支援でシニアボランティアの臼井道雄さんがトンガ農林省のバイニ農林研究所に派遣をされたということでございます。翌年の三月二日付けに、かんぴょう工場の建設計画に草の根無償資金の二百二十六万円が拠出を決定をされて、具体的には、かんぴょうスライス機が五台と、それからかんぴょうの乾燥棟一棟の建設協力の費用に充てられたということなんですけれども、実はその一か月後の四月の十七日、突然このプロジェクトが却下になるんですね。  何があったかというと、これ、外務省と農林水産省の間で覚書が取り交わされまして、いわゆるブーメラン効果でトンガのかんぴょうが日本のかんぴょう生産農家に多大な影響を与える、したがってトンガのかんぴょうを作らせてはいかぬということでこれが急に却下になるんですね。  私、これはどういうことだということで調べたんですけれども、日本のかんぴょうの産地というのは、もうこちらにも何人か委員がいらっしゃるんですけれども、栃木県が産地でございまして、ところが、このトンガのかんぴょうというのは、オーストラリアやニュージーランドやアメリカの日本食品屋にかんぴょうを輸出して外貨の獲得の糧にしようというものなんですね。加えまして、栃木県にとって一番のライバルというのは、これは中国でございまして、年間三千トンの総輸入量のうち二千九百トンが中国なんですね。  しかも、トンガというのは、全くまだ、生産をこれからどうしようか、加工をどうしようかというまだ計画の段階でございまして、これがこんなふうに外務省と農水省の覚書によって、一回決まった計画が、予算も付いているものがとんざしてしまう、私、これはどう考えても納得できないんですけれども、外務大臣、このような覚書の存在というものをどのようにお受け止めになられますか。
  102. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、委員が御指摘になられた問題、正に日本の農業、あるいは日本のほかの産業でもいいんですけれども、との関係でどう考えるかというのは非常に難しい問題だと思います。  JICAの技術協力事業について、これを実施するときに、正に農業なら農業の知識、情報をよく持っている国内における省庁と意見を密接にしていくということは重要なことだと私は思います。変える会あるいは外務省のいろいろな改革の中で、援助について密接に交換を、意見を、連携をしながらやってくださいという話はあるわけでございまして、この調整は非常に必要であると思います。  というのは一般論でございますけれども、具体的にこのトンガの件について、これを考え直す余地があるかどうかということについては、これは引き続き関係の省庁と連携をして考えていく問題であろうというふうに思います。
  103. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 確かに日本の農政保護とこのODA案件の問題は難しいと思います。しかし、大臣、このトンガの問題については明らかです。農林水産省が、過度な日本の農業擁護のために、現場から上がってきた案件を覚書一つで、しかもこれは前もってもう決まっていた、予算も前年付いていた案件をこのように覚書で覆してしまうということは、私、大きな問題であるというふうに感じます。  加えまして、国民から見ると、ODAというのは一見分かりにくいんですよ。これをいかに透明で健全な運営をしていくかと、計画決定のプロセスを国民にしっかり示していくかと、それが極めて大事だと思うんです。  しかし、にもかかわらず、このトンガのように覚書一つでひっくり返ってしまう。これはトンガの政府に対しましても、トンガの国民にとりましても、日本の国民にとりましても、大変、私は、政策の一貫性がないという誤解を与えているというふうに感じます。  そこでお伺いしたいんですけれども、このトンガの案件のように、現場のJICAが知らないところで省庁同士の覚書によって却下された案件というのは実際どれぐらいあるんでしょうか。
  104. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 案件の採否でございますが、相手国政府に当然結果を通報するわけでございますし、かつ、現場に当たります我が方の大使館でありますとかJICA事務所にもちろん通報しているわけでございますが、そういう意味で案件の採否に関して関係府省と調整をして、そしてその結果として調整、採択されなかったものということについて言いますと、シニア海外ボランティアという案件を見てみますと、要請件数二百七十八件、これは平成十四年度でございますが、そのうち採択件数が二百六十八件で、十件が不採択ということでございます。
  105. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 シニアボランティアの件では十件が不採択ということだと思いますけれども、私は農水絡みで少し調べましたら、二十以上の案件がもう、すぐ見付かるんですね。非常に、この農水省絡みのブーメラン効果を危惧してのODA案件の却下が非常に多いと。しかし、その反面、技術者が余っている、米問題に、米の技術者なんかどんどん海外に出しているという矛盾もありまして、是非この点はしっかりとチェックをしていただきたいというふうに強く要望したいというふうに思います。  次に、JICAの改革についてお伺いしたいんですけれども、先ほど山本一太委員からも話がございましたが、少し人事の件でお伺いをしたいというふうに思います。  現在、JICAへの外務省からの天下りなり出向人事についてお伺いするんですけれども、JICAの組織の中で最も重要なポストというのが総裁、筆頭理事、そして扇のかなめの要職であります総務部長、そしてJICAの内容、方針を決定する企画・評価部長、そして予算を決定する経理部長と、この五人が正にJICAの首脳部隊というふうに言われているわけでございますけれども、この五つのポストでJICAの生え抜きというのは一体何人いらっしゃるんでしょうか。
  106. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 今御指摘の中で、総裁、それから筆頭理事、これは外務省の出身でございます。それから、企画部長も同じく外務省の出身でございます。あとは、総務部長も同じく外務省の出身でございます。
  107. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  過去この五つの、JICAの今と未来を決める五つのポストが、大臣、すべて天下りです。そして、経理部長は毎年財務省からやってまいります。総裁、筆頭理事、総務部長、企画部長は歴代ずっと外務省なんですね。副総裁、農水担当理事、これが理事の中でも大変有力な権限を持っているんですけれども、それから農水担当課長、農水課長代理、この農水部門のラインはすべて農水省からやってまいります。工業開発調査部長、この課長、次長のラインはすべて経済産業省からやってまいります。そして、予算を牛耳る財務部長は毎年財務省から、そして医療協力部長は厚生労働省と。  今回、JICAが独立法人になって、復興支援という大きなものも含めましてこれから生まれ変わろうとしているわけでございますけれども、私は現場で働く職員のことを考えますと、このモチベーションをどういうふうに持たせるかということは非常に重要なことだと思います。自分が将来頑張って課長になり現場で指示を与えてみたい、若しくは自分が現場で感じたことを自分が実際管理職になってこれを構築していきたい、そして将来は自分も理事になったり部長になったりしてこの日本のJICA行政、国際支援というものをしっかりやっていきたいと。物すごい夢や希望を持ってJICAに入ってきた職員も、気が付けば、自分はどうせ管理職にはなれないんだ、役員にはなれないんだ、どうせ別の省庁から天下ってきた方々が我々の上司になるんだと。これは私、JICAの若い職員のモチベーションを考えたり、組織の通気性を考えた場合、非常に大きな問題になると思うんですけれども、大臣、この硬直した人事の現状についてどのようにお考えでしょうか。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十月にJICAは独立行政法人になるわけでして、そのときに外務大臣は理事長とそして監事二名を任命をするということになっているわけです。  この任命につきましては、一つは法律、独立行政法人の通則法ということで決まっている部分がございますけれども、それにのっとって外務大臣としては適材適所、これを貫くということであると思っています。  残りの理事は、理事長が任命をするということになりますので、外務大臣が直接にということはできませんけれども、独立行政法人がきちんと業務をやっていくために、中で風通しがいいといいますか、競争があり人材が生かされるような、そういうやり方ということは大事だと私は思っています。
  109. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 是非、大臣の政治的決断に私は期待をしたいというふうに思います。  先ほど少し触れましたが、この十月一日から、独立法人化に伴いまして、外務省や官邸が重視する平和構築であるとか復興支援というものにJICAが積極的に力を入れてくるというふうになります。しかし、現実は新規の予算が付かず、今ある予算でこの復興支援の問題もやりくりしなさいというふうなことになるんですけれども、この予算措置について、大臣はどのように若しくは局長はどのようにお考えなのか。  私は、その復興支援というのは、計画をして何かトラブルが起きるわけではありませんから、予備費的なものをこれは構築して予算措置をしていく、財政措置をしていく必要があると思いますし、現在はこの復興支援を環境・女性課というところでやっているんですけれども、復興支援室のようなものを構築してバックアップする体制を財政面からもする必要があると思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  110. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 復興につきましては、今度独立行政法人の新しい、に向けての法律改正の中で目的規定を置かせていただいたわけでございますし、それから援助要員の安全措置でありますとか災害補償のための措置でありますとか、そういったことについては予算的には手当てをさせていただいておるわけでございます。  ただ、御指摘のありました復興事業そのものについて特別な枠を現在設けておるわけでございませんが、これはあらかじめどういう事態が発生して、どのように復興ニーズが出てくるかということを必ずしも予測し難いという面もあるわけでございますが、しかし復興事業の重要性ということと、それから弾力的、機動的にやっていかなきゃいけないということを考えますと、いろいろと工夫をしてみる余地もあるんではないかというふうに思っておりますので、御指摘の点も踏まえまして、また財政当局とも御相談をしながら考えてみたいと思っております。
  111. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 JICAについては何点かお伺いしたいわけですけれども、時間がございませんので、少し私の方から指摘をさせていただいて、是非、大臣、そして局長にこの点につきましても今後御尽力を賜るように御要望したいというふうに考えています。  まず一点目がタスクフォースの件でございますけれども、このタスクフォースが、現場の大使館、そしてJICAのオフィス、それからJBICのオフィスというこの三者が協力をしてタスクフォースを組んでいくと。この試み、大変評価をできるわけでございますけれども、ところが実際現場に参りますと、その大使館の参事官であるとか大使のお考えによって大分このタスクフォースの力の入れ具合が違ってくる、若しくは現場のJICAやJBICの職員との関係が変わってきているというのが現状でございます。  本来は現場を一番知っているJICAの職員が声を政策形成に生かしていくというのが理想なんですけれども、実際JICAの方々がやるのはロジをやったりと、外務省の小間使といったら言葉は何か語弊があるかもしれませんが、そういった雑用をやっているケースも多々あるというふうに聞いております。是非、このタスクフォースをこれから充実をして、経済協力なり復興支援の面でもフルにこれを生かしていただきたいというふうに感じている点が一点でございます。  そして、もう一点が、外務省というのは地域局、中東、アジア大洋州局であるとか、局に分かれているんですね。そして、JICAも同様に地域で分かれている。しかし、その中間にある外務省の課というのは技術協力課であるとか有償資金協力課であるとか、スキーム別になっているんですね。これが非常にやはり現場の地域別で活動している方々にとりますと動きが取りづらい、連携が取りづらいという点があるのも実際のことでございますので、この点を是非お願いをしたいという点。  そして最後が、大変細かい点で恐縮ですけれども、JICAが現場に行く場合、それぞれの国と交換公文を取り交わします。しかし、国によって人的移動や物的移動の一個一個を交換公文で取り交わすところと、パッケージで一まとめにして交換公文で取り交わすことのできるところと、これ確立されておりません。是非これを一定の方向にして、事務事業の効率化という点からもなるべくこの交換公文の事務作業を少なくするような御手配をお願いをしたいというふうに思います。  もし、御見解があればお願いしたいと思います。
  112. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 三点、御質問がいただいたかと思いますが、まずタスクフォースでございますが、やはり現地のニーズを酌み取ると、現地で実態の、直接見ておられる方々のフォーメーションを大事にしていこうというのがこの趣旨でございまして、五十四か国に現地の大使館を中心にタスクフォースの立ち上げを今指示をしておるところでございますが、既に七か所で立ち上がっております。  このタスクフォースは、大使館、JICA、JBICの間の意思疎通のみならず、援助国政府との政策協議でありますとか、現地における他のドナー国、国際機関、NGOなどとの連携でありますとか、あるいは当該国の開発情勢についての情報収集・分析等々、あるいは経済協力の評価等をしていただこうということでございまして、国により地域により若干のタスクフォースの組立て方、色合いは違うかと思いますが、私どもとしては一か所一か所を注意深く、これが本来の意義に沿うように見ていきたいと思っておりまして、御指摘いただいた点も含めてよく注視していきたいと、有効に活用していきたいというふうに思っております。  それから二番目が、国別の問題ございましたが、私どもとしては今度の機構改革の中で国別の課を新たに構築するということで対応して、スキーム課とそれから国別課との有機的な連携ということで対応していきたいと思っております。  それから最後に、三番目の包括的にJICAの業務について相手国ごとに整理できないかと。この点につきましては、既に二十一か国と技術協力協定を結んでおりまして、さらに現在四十か国とその協定の早期締結に向けて交渉を行っておりまして、この技術協力協定を通じて、免税でありますとか、外交官に準ずるJICA事務所、JICA職員の身分、地位の保全でありますとか、あるいは包括的な文書交換でありますとか、こういったことを決めておりますので、私どもとしてはできるだけ速やかにそういう仕組みの中に持っていきたい、そして包括的にやっていきたいというふうに考えております。
  113. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務省に、最後にJAIDOについてお伺いしたいと思います。  JAIDOというのは株式会社日本国際協力機構という会社なんですけれども、お手元にA3の大きな紙がありますので是非これを御参照いただきたいと思うんですけれども、一九八九年に資本金の三分の一に当たる二十億円をJBICが出資をして設立したこのJAIDO、総額六十三億円の公金をつぎ込みまして、官民の出資会社、株式会社日本国際協力機構、通称JAIDO、この非常にずさんな経営内容について少しお伺いをしたいというふうに思うんですけれども。  JAIDOの設立から解散に至るまでの経緯はお手元の資料、またその組織の内容等については配付させていただいた資料をごらんいただきたいというふうに思うんですけれども、ここにもありますように、出資金に、設立出資金に二十億円、その後二回にわたる増資に四十三億円、計六十三億円の公金を費やしまして、株もその約四〇%がJBICのものというこのJAIDOなんですが、平成十三年三月、正にこの決算の年ですけれども、解散をいたしております。  A3の紙の右側中段の「政府の関与」というところにも書いてあるんですけれども、一九九四年に増資を決定する際に政府はこう言っているんですね、政府は、JAIDOの事業年度の事業内容について、その事業運営の在り方について、海外経済協力基金を通じて報告を受け、適切に監理する。監理というのは監査してという、監理という言葉を用いているんですけれども、監理するとしているんですね。さらに、政府は、九九年の時点で、JAIDOの事業運営の在り方について全面的総点検を行うというふうにしているんです。  ところが先日、この九九年時点での全面的総点検の資料を提出してくださいと私が依頼したところ、見付からないと言うんですね。当時はOECFの主務官庁が経済企画庁だったからということを言うんですよ。政府が適切に監理する、この監理というのは監督しながら管理すると、取り締まるという意味なんですね。政府が適切に監理する、全面的総点検とまで言っているにもかかわらず、これ一体どういうことなのかと私、疑問でならないんですね。  九九年から二〇〇〇年にかけましてJBICがJAIDOの見通しを点検して政府に報告したというふうに聞いているんですけれども、その際の資料報告についても出てこないんです。政府としては、JBICより貸借対照表と事業報告書をもって報告を受けているということだけなんですね。ですから、せめて当時の貸借対照表と事業報告書の提出をしてくださいと私、求めたんですけれども、九九年時点の資料にあるにもかかわらず、清算に影響するからこれ提出できないというふうに断られました。  局長、一体九九年以降の、九九年、二〇〇〇年、二〇〇一年と、この三年間の外務省並びにJBICの関与というのは一体どうなっていたんでしょうか。
  114. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 九四年の追加出資の時点で、JAIDOの経営基盤の強化ということで三十億円、それに民間からの追加出資も四十・五億円あったわけでございますが、そういうことでてこ入れをすると同時に、他方で九九年までの五年間、思い切って改善をしていくということで乗り出したというふうに承知しておるわけでございます。  総点検についての報告でございますが、これについては資料提供は可能でございますのでお届けしたいと思いますが、現在、清算段階に入っております関係から、個々のプロジェクトの一つ一つの案件の状況については差し控えさせていただくということでお話を申し上げているんだというふうに思っておりますが。
  115. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 局長らしからぬ、急に歯切れが悪くなるんですけれども。  この国の公金を支出すると、この責任について局長はどのように考えていらっしゃいますか。  資本金の六十億のうち二十億がJBIC、いわゆるODAですよね。その後も合計六十三億の公金が投じられている。私が以前電話で話をした際には、いや、これは民間会社ですからと言うんですよ。これ幾ら民間会社といっても、これだけ公金を使っているのに政府が運営に対して全く関与しないと、責任がないと、これは大きな問題だと思うんですけれども、この公金支出に対する責任について、是非局長の考えをお聞かせ願いたいと思います。
  116. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) このJAIDOの運営に当たりましては、外務省それからJBIC、旧OECFでございますが、更にJAIDOそれから経団連に置かれた国際協力プロジェクト推進協議会ということで、官民の連絡協議会を開催しまして、そこを通じて、私どもとしては、JAIDOの運営方針でありますとか新規の個々の出融資案件について意見交換を行ってきたという経緯がございます。  そういう意味で、当然、国として出資金は用意しておるわけでございますから、そういった角度から、この会社の運営に重大な関心を持ち、それ相応の責任があるということはあるというふうに思っておりますが、他方で、株式会社として独立して経営をする組織であるということから、個々の案件の一つ一つの最終的な経営判断といいますか営業判断についてはJAIDOの判断にゆだねたということでございまして、国としては、出資をしている関係から、官民連絡協議会を通じてのいろいろと意見交換の中で関与をさせていただいたということでございます。
  117. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 局長、駄目ですよ。重大な関心を持っていると言ったって、三年間何もやってないじゃないですか。全面的な総点検をすると、五年後には判断をすると言いながら、三年間何もやっていなかった。  加えて、これ責任が非常にあいまいなんですね。これ、国が金を出しているにもかかわらず民間だという。これ、経団連の今井会長も経団連の会見の中で、当時こう言っているんです。第三セクター的な形態は責任の所在がはっきりせず問題であったと。国は金、民間は知恵を出すべきだと。会社形態でやるべきじゃないと、途上国への支援についてはですね。それぞれがそれぞれの責任を回避している。  私は、これ言うならば、毎年約十億円、総額百一億の負債ですか。毎年約十億円の赤字を垂れ流して、JBICの出資でこれを補てんをしていくと。これ結局、十年間でこの会社ポシャっちゃうんですね。採算が取れなくてもこれ民間だからしようがないって言うんだったら、これ最初から外務省がやればいいんですよ、民間会社に任せなくたって。  社員が、従業員が十四名いて、解散の直前、従業員が十四名いて、非常勤も入れまして役員が十一人いるんですね。社長の年収が一千七百万円。しかも、その役員が正に経団連の粋を集めたそれぞれの企業のトップが役員になっていると。これだけ日本経済界のトップが集まって会社を作ればどれだけ立派な会社ができるかと思いきや、結局十年間でつぶれるということなんですけれども、これは私、非常に問題だと思います。  このJAIDOのプロジェクトの代表的なものにサウジアラビアでの事業展開があるんですね。この趣旨というのが、石油以外の事業で、サウジアラビアですよ、石油以外の事業で先導的投資を行いサウジの産業振興を図るというものなんですけれども、ちょっとサウジアラビアや中東を知っていれば、サウジで石油以外で何か旗を揚げようというのが、これはいかに無謀な計画かというのがよく分かると思うんですけれども、この案件について、外務省から、外務省と当時の通産省から依頼があったという話なんですけれども、それは事実なんですか。
  118. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 大変恐縮でございますが、その点につきましては、後日確認をして御報告させていただきます。
  119. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 後日確認されなくても、昨日のレクで、関与があったというふうにおっしゃっておりました。  これ、外務省と通産省からJAIDOの方にこのサウジの案件を是非やってくれという依頼が行っているんですね。しかし、外務省は、これ民間ですから、外務省は関与しておりませんと言う。しかし、事業は、サウジで石油以外のプロジェクトをやってくれというJAIDOに依頼をしている。これ非常に政府の関与の在り方、加えて責任の在り方が私はあいまいになっていると、責任が不明確になっていると、この点を指摘をしたいというふうに思います。  現在、この会社は清算中でございますけれども、出資者に対して清算はあるんでしょうか。これ、ODAの重要な任務を担っているJBICの海外協力のための大事なお金ですから、元は公金なんですよね。これ、ひいては国庫への影響も確実にあるわけでございますから、きちんと回収できるように、これ外務省、今後も責任を持って監視をしていく必要があると思うんですけれども、出資者に対する清算についてお伺いしたいと思います。
  120. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 清算は向こう二年間という予定で進めつつあるわけでございまして、私どももその過程を十分注視してまいりたいと思っております。  それから、サウジの製薬事業のお話ございましたが、この製薬事業自身は現在徐々に立ち上がってきておるということで、これに関しましては先方も熱心に取り組んでいるというのが実情でございます。この点だけちょっと付け加えさせていただきます。
  121. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 サウジは製薬だけでなくて五つ六つの様々なプロジェクトがあることを指摘をしておきたいと思います。  ここで、時間もないんですけれども、検査院に少しお伺いをしたいんですけれども、このJAIDOの経営実態について、また今の我々の質疑を聞いておられて、この外務省の対応について会計検査院はどのようにお感じになられたでしょうか。
  122. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えします。  会計検査院では、通常年二回行います国際協力銀行の本店の実地検査の際に、今お話しのその出資案件につきましても必要に応じて検査を実施してきているところでございます。  JAIDOにつきましては、そういった国際協力銀行が出資している案件の一つであるというふうに認識しておりまして、従来の検査の中では、その出資の目的、あるいはそのJAIDOの財務状況の概要といったところを説明を受けてきているところでございます。  今お話しのように、そのJAIDOが赤字を抱え昨年の三月に解散に至ったということでございますが、これは民間主体の経済協力の一層推進するために、先進国に比べてリスクが高い開発途上国における事業を対象にして投融資を行うという、こういったJAIDO事業の持っている性格というふうなものから生じたのではないかなと承知しておるところでございまして、今お話しの状況も含めまして、今後JAIDOが清算ということになっていこうかと思いますが、その状況につきましても注視していくことにしたいというふうに考えております。
  123. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 会計検査院は、国の出資が二分の一未満のものについては義務的検査の対象外なんですね。これ、国の出資が二分の一以上あるとこれは義務的検査の対象になるんですけれども、私は、こういった二分の一未満のものであっても先行きが滞っているものが私、実はあるんじゃないかと、このJAIDOの案件を見て思っているんです。是非会計検査院は、この二分の一未満の選択的検査の対象のものであっても是非留意をして検査をしていただきたいというふうに要望したいというふうに思いますし、このJAIDOのような例がまだあるかと思いますので、是非厳しい検査をしていただきたいというふうに強く要望したいというふうに思います。  続けて、最後に、会計検査院に、短くなって恐縮ですけれども、お話をしたいと思うんですけれども、外務省は一九八一年から、そしてJICAが八二年から、JBICが七五年から、一九七五年からODAの評価体制というものを取り入れました。にもかかわらず、例の八六年のマルコスのイメルダの靴は見付からなかったわけでございますけれども、会計検査院は、このイメルダの事件の後の八八年からODAの検査を始めたという歴史でございます。  いったんODAを海外に拠出してしまいますと、主権の問題もありますし、強制的検査力がないという点で様々難しい点があるというふうにお伺いしておりますけれども、これも国の税金でございます。様々な問題があろうかと思いますけれども、是非このODAに対する監査体制を、検査体制を私はボトムアップしていただきたい、強化していただきたいというふうに感じております。  百五十あるODA供与国の中で実際に今監査が、検査ができているのが十二から十三ということでございますから、全体の一〇%ないというのが現状であるというふうに認識をいたしております。今後、このODAに対する監査をどのように強化をし、またシステムを構築していくのかお願いすると同時に、INTOSAIであるとかASOSAIといった国際的な監査のネットワークもございます。これが、そのINTOSAIやASOSAIが直接監査する権限があるというわけではございませんけれども、こういった国際監査院のシステムの中で、ODAの健全な在り方、そして正しい公金の在り方について議論をしていくというようなアプローチも重要かと思いますので、併せて会計検査院にお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  124. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しのとおり、政府開発援助につきましては、それを主要な検査対象とする外務検査課を作るというふうなことで対処してきておりまして、調査の国につきましても、設置後の六十三年次は五か国であったのを、昨年の平成十四年次の実績で申しますと十三か国ということで、順次増やしてきているという状況にございます。ただ、これを一挙に大幅に増やすというのは、なかなか予算、人員、時間等の制約もございまして困難な面もございますけれども、できるだけ調査実績等を勘案しまして、効果的、効率的に調査を実施していきたいというふうに考えております。  それから、具体的にどういう実施、相手国の先での調査ということでございますので、どういう検査体制で臨むのかということでございますが、これはやはり相手国に対しましての、協力がないと調査が進みませんので、相手国の理解を得た上で調査を行いたいと思っております。  それから、検査院の世界的な組織といたしまして最高会計検査機関国際組織、INTOSAIというのがございます。それから、その地域組織でありますアジア地域の機構、ASOSAIというのもございまして、そういった会議の場で、いろんな共通して抱える、ODAに関しましても共通して抱える問題を討議するとか、あるいはセミナーを開催するというふうなことでございますので、そういった場を使いまして、そのODAの検査体制をどう持っていくのかということにつきましては、そういう場でいろんな各国の会計検査院とも情報交換をしまして、今後の我々の検査に生かしていくようにしたいというふうに考えております。
  125. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。
  126. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。  川口外務大臣におかれましては、ゴールデンウイーク中の外遊、大変に御苦労さまでございました。先ほど来いろいろお話がありまして、バッジ外務大臣が付けているか付けていないかのメリット、デメリット、いろいろ言われておりますけれども、私は、最大のメリットというのは、やはり政党の議員ではございませんので、休み中に地元を回らなきゃいけないとか、下手に海外へ行くと怒られるとか、党務で忙しいとか、そういうことがございませんので、そこを私、やはり最大のメリットでありますので、是非これからも積極的に外務大臣として海外を回って、要人と会っていろんな会談をしていただきたいと。  私も国会議員になりまして二年弱でありますけれども、七、八回外務省の御協力も得まして海外に調査や視察へ行かせていただきましたけれども、やはり自分の目で現場を見たり海外の要人とお会いをいたしますといろんなことが学べますし、また誤解も解けるというふうに感じておりますので、是非これからも頑張っていただきたいと思います。  私、一問目で、決算とはちょっと関係ないんですけれども、今回の中東外交のことについてお伺いをしようと思ったんですけれども、同僚委員からいろいろお話ございました。私、一点だけ具体的にお伺いをいたします。  報道されておりますけれども、外務大臣がイスラエルに行かれましてシャローム外相と会談した際に、五月の十九、二十日に東京で信頼醸成会議を開催をするということが決められたというふうに聞いておりますけれども、この会議の趣旨、目的と、外務大臣として、こういうイスラエルとパレスチナと日本の有識者を招いてこういう会議を開くことでどういう成果を上げようとされているのか、簡潔で結構ですので、お答えいただきたいと思います。
  127. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十九日、二十日に日本で、イスラエル、そしてパレスチナ、それから日本、それぞれ五名程度の人たちを招いて信頼醸成会議を開きたいと考えています。場所は東京を考えています。これについてはイスラエルでも話をし、パレスチナでも話をいたしまして、それぞれ賛同を得、またメンバー等についても一緒に議論をしたいというお話もございました。  私は、今回、中東に行って改めて強く感じたのが、信頼醸成をイスラエルとパレスチナの間で作っていくことの重要さでございます。これは、強調してもし過ぎることがないということでして、ロードマップを考えてみても、暴力を停止をするということから始まるわけですけれども、この暴力の停止というのは、御案内のように、それほど簡単ではない。いろいろなことが今後あり得るわけでございますけれども、そういったときに、やはり一番大事なのはイスラエルとパレスチナの間に信頼関係があるということだと私は思っていまして、そのために日本が努力をする、協力をしていくということは、日本ができる、中東和平のためにできることの一つとして大変に意味があることであり、重要なことであるというふうに思っています。  そういう意味で、これは一歩一歩進んでいく話でして、一回会議をやったから非常に大きな成果が上がるということではありませんけれども、これをやりたいと思っておりますし、そういう意味では、過去においても若い各国政府の人たち、お役人を関係の国から呼んで一緒に研修をするということもやっておりまして、信頼醸成については既に幾つか実績も積んでおります。
  128. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 たしか中南米の国のチリだったか、どこか、ちょっと記憶定かじゃありませんけれども、政府側と反政府側を日本に呼んで、民主化に関する、参加型民主主義に関するセミナーか何かをちょっと前にたしか日本でやって、それが非常に成果が出たという話を議員になる前、研究者やっていたときに聞いたことがありまして、理由は何か、政府側と反政府側ですから、自分の国ではほとんど会話をしない、意見交換しないという中で、東京に来て同じホテルに泊まらされて、外務省に、そして食事も一緒にしながらいろんなワークショップをやった結果、非常に信頼が築かれたというふうに聞いたことがございますので、是非この問題でもそういう核になるような方々を日本が中心になってつくっていく努力をしていただきたいと思います。  これからちょっと決算委員会らしい質問をさせていただきたいと思いますし、また私、与党でありますけれども、若干野党的に今日なるかもしれませんけれども、お許しをいただいて、まず報償費、いわゆる機密費の流用問題とその後の外務省の改善努力について何点か伺いたいというふうに思います。  この問題は国会でも何度も議論をされてきたわけでありますけれども、とにかくこの公金、国民税金の流用の規模といい、また幾つかの案件は犯罪だったということで裁判所によってもう裁定されているわけですけれども、この行為が実行されていた期間が長いということといい、やはり外務省に対する国民の信頼が粉々に私は砕かれてしまったと思っております。  具体的に二例だけ挙げますと、元要人外国訪問支援室長の松尾氏の詐取した額というのは、これは主に内閣官房の報償費でありますけれども、五億七百万円、それから元欧州局西欧一課課長補佐浅川氏の場合は約四億二千三百万円と。それぞれ昨年、実刑判決を受けているわけでありますけれども、たった二人で九億三千万円の公金が流用されてしまったと。  これは二人とも外務省職員であったということでございまして、時間の経過と他の重要な外交問題の登場によってマスコミあるいは国民の関心も低下してしまっているかもしれませんけれども、私は、決算委員会の場できちんと、過去の問題ではありますけれども、この過去の問題を受けた現在の、あるいは未来に向かっての改善策というものを確認をさせていただきたいと思います。  最初大臣、基本的な質問でありますけれども、この不正流用の対象になった報償費の必要性、なぜ必要なのか、報償費の目的について簡潔にお答えいただければと思います。
  129. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 不正流用があったというのは本当に残念なことですけれども、目的は、これは外交を適切に円滑に行っていくための費用でございまして、例えば情報収集ですとか、相手方の意見に影響力を与えるための活動ですとか、そういったことでございまして、外交活動を円滑に行っていくためには私は非常に大事な費用であるというふうに思っています。
  130. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 私も基本的には、この機密費というか報償費は必要だというふうに思っているんですね。  ただ、外務省の行動計画にこの報償費の目的について三点明示されておりますので、ちょっと御紹介を、外務大臣は当然御存じなんですが、言いますと、一番が「不断の努力によって造られた信頼関係に裏打ちされた人脈を基礎としての的確な情報収集のため。」、二番が「外国との交渉や我が国にとっての外交関係を円滑かつ有利に展開するため。」、三番目が「国際会議等での我が国の議論を正しく理解させるよう、会場の場で様々な関係者に働きかけるため。」と。会場で働き掛けるのにどうしてお金が必要なのかよく分かりませんが、こういうことが挙げられているんですね。  それで、一つだけ言えるのは、これ、どれもやや抽象的な定義になっているわけです。私は、先ほど冒頭に申し上げたとおり、報償費は必要だと。なぜかならば、情報収集と分析、それを政策立案に生かしていくと、これは重要なことです。それからもう一つは、海外でテロ事件に邦人が巻き込まれた場合なんかには、やはり弾力的、機動的に運用できる資金が必要なのはこれ当然です。キルギスの人質事件で使われた、使われないという話があるわけでありますけれども。  外務省のこの報償費は、平成十三年度は五十五億七千万円で、今年度は三十億円まで減額をされております。諸外国と比べれば、この額というのは法外に大きいというわけではありません。私が持っているあるデータによりますと、アメリカは二・八兆円、イギリスは四百六十一億円、ドイツも三百八十六億円と、機密費というか諜報費というか、使っているわけであります。イギリスの場合は使途、内容についてもほとんど公開してないという状況になっているわけで、それから考えれば、日本の三十億円というのは小さな額だと。  ただ、日本の問題点は、こういう諸外国の場合は情報・諜報専門機関が設置をされていて、その分野のプロというものを養成してお金を使っているわけですね。日本の場合は、これは私は別に作れと言っているわけじゃないんですけれども、こういった情報収集専門機関というものが、独立したものですよ、ありませんから、結局それを実際に担うのは外交官。ところが、外務省外交官がいわゆるアメリカの例えばCIAとかFBIの諜報要員と比べて特殊な訓練を受けているかと、受けてない。そうすると、日本の情報収集というのは非常にそれぞれの個々の外交官の個人的資質に依存しているんですね。情報が集める何か、何かスパイ映画が好きでよく見て何か血肉にしているような人はうまいかもしれないけれども、全くそういうことができない外交官はやっぱりできないでしょうね。うそつけない、顔に全部表れる、これはできない。そういう訓練が全くされていない、情報収集のプロフェッショナルとしてのノウハウがない人たちに対してあいまいな定義の目的しかない報償費を数十億円単位で使っているということは、これは必要なんですが、費用対効果的な立場でどれほど意義が見いだすことができるのかという点がどうしてもやっぱり問われてしまうと思いますが、この点について大臣、どう思われるか、お聞きをしたいと思います。
  131. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 情報収集は、いい外交をやっていくときの根本であると思っています。それで、まだまだ外務省においては情報収集について、この蓄積といいますか、これをもっとやっていかなければいけないと思っております。そのための人材の養成も非常に大事であると思います。  私は、今、これは副大臣共々、報償費について実際に決裁も、ある金額以上、十万円以上のものについてはやっていますけれども、これを見ていて思いますのは、外務省がむしろもっと情報を、報償費を活用してもっと情報収集に力を入れるべきであるというのが今私の実感でございます。これをやることが日本の国益を守るための基礎であると思っています。
  132. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  ちょっと観点を変えまして、報償費の支出の内容の概略について、概要について公表すべきじゃないかという指摘外務省の変える会がしていることは外務大臣も官房長も御存じだと思うんですけれども、私も、やはりある程度の規模のある額ですし、ああいう不祥事があったということもありますので、変える会の提案の中には、括弧書きですけれども、例えば二十年たったら二十年前の報償費の支出の内容については国民説明をすべきではないか、公開すべきではないかという意見があるんですけれども、外務省はやや消極的な立場であるというふうに聞いておりますが、これはどうしてですか。
  133. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 報償費の使途の公開問題でございますけれども、一定期間後ないしは概要であっても、公開するという姿勢を示すことによって情報提供者や協力者の信頼を損なったり萎縮させたりすることにつながるおそれがあり、その結果、真に機微な情報を入手し得なくなるおそれがあると思います。また、公開されることになれば、概要であっても、その概要を基に我が国の情報収集や外交工作の概要が分析され、さらには対策を講じられ、情報収集や外交工作活動に重大な支障が生じるということがあろうかと思います。
  134. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、ちょっとまた外務大臣に聞きますが、会計検査院にちょっとお伺いしますけれども、これは会計検査院の検査では、報償費に関する決裁書、それから関連の証拠書類ですね、これは検査の対象にしていますか。それから、もししているんであれば、いつからかお答えください。
  135. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 外務省の報償費の検査ということでございますから、当然、事前決裁書あるいは支出決議書といった決裁書、さらにはそれに関連する関係の書類というものの提示や提出を求めまして検査を実施してきておりまして、これは従来からそのやり方はこういうことでやってきておるところでございます。
  136. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 従来から会計検査院もこの機密費、報償費の決裁書についてはずっと検査してきているわけですね。  幾つかでいいんですけれども、この報償費の使途として不適切なものあるいは不正だったものの事例についてちょっとお話しいただけますか。
  137. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今は、報償費に関しての検査院の指摘事項についてのお尋ねということでございます。  一つ目は、十二年度の決算検査報告におきまして、報償費の使途を見直し、大規模レセプション経費ですとか酒類購入経費、文化啓発用の日本画購入経費など定型化、定例化しているという経費については、報償費ではなく他の費目で支出することなどの改善が必要なのではないかという処置を要求したものがございます。  それからもう一点は、十三年度の決算検査報告でございますが、この中で、外務本省の各課において取引先に対して支払った金額と実際に要した経費との差額、これをいわゆるプール金として積み立てていたという問題について検査いたしまして、七年度から十三年度までの間にこの積み立てた金額が二億八千六百万円あると。そして、この中に報償費に係るものが約五千九百万円あるという指摘をしているところでございます。
  138. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今の御答弁だと何となく事務的でよく分かりませんけれども、要するに具体的に言うと、報償費で絵を買ったりとかワインを買ったりしていたのは全然情報収集に当たらないということで指摘があったということがあります。  それから、私の方から付け加えさせていただきますと、平成十三年の決算報告の中で挙がっている事例ですね、百三ページですが、ここでは北米第一課が主催して、局長主催の宴を五十四万七千百円の見積書でやったんですけれども、その日にほかのパーティーがもうあって、これやらなかったんですね。やらなかったのにこのホテルから五十一万九千四百八十円の請求書が来て、それそのままそっくりプール金にしちゃったということが指摘されているわけでして、私、先ほど官房長がおっしゃった機微な情報を得る、あるいはその情報提供者が将来公開されるとなると足がすくむということなんですが、こうやって検査院の対象にもなっていることですし、既にですよ、なっているし、じゃ二十年じゃなくて例えば五十年後だったらいいとか、別に二十年にこだわれば、それは二十年たったらまだおれは生きているなと思ってやめる人いるかもしれませんけれども、五十年たって生きている人はなかなかこれいないわけでして、いても忘れているでしょうから。  ですから、これ、外務大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、やっぱり何というか、情報が、その情報提供者が足すくむよと言いながらやはり不正なことが行われるということは、今の現下の日本の国民感情からするとなかなか許容し難いところでありまして、私、二十年という具体的なやつを捨てますけれども、やはり一定期間の後に公表をするような方向を検討していただけないでしょうかね。
  139. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 報償費について一定期間後に公表をするべきではないかという御意見の考え方の背後にあるものというのは、報償費が不正に使われてはいけないということだろうと思います。私も報償費が不正に使われるということがあってはこれはならないと思っています。  そういう意味で、外務省として今やっておりますのは、先ほど来お話の出ている会計検査院の検査ということに加えて、副大臣以上が十万円以上のものについては決裁を見るということがございますし、監察査察官という制度を作って、そこで監察査察を行うということもやっているわけでして、これで不正がないようにやって、それで不正がないということを確保できるというふうに今考えております。  それで、これがそういうことで、これでもまだ足りないということが将来あったといたしましたら、それはまたその時点で、何が、どういう手を打てばいいかということを考えるということだろうと思いますけれども、五十年後であれ、やはり日本国がどのような形で情報収集をし、何をしているかということについて手のうちを外国に知らせるということは、私はやはり国益に何らかの害を及ぼすというふうに考えております。  そういった国益に害を及ぼしてもやる必要があることというのはあるかもしれませんが、現在は今その外務省で考えている、会計検査院も含めてやっているやり方で、それで不正な支出が行われないということが確保できるのではないかというふうに私は思っております。それでなおかつ国益も害さないということではないかというのが今私が考えていることでございます。
  140. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 私、若干この情報公開と国益の問題について外務大臣と見解を異にしておりますが、これはまた別の議論ですので後日に譲りたいと思います。  それで、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、官房長、たしか平成十三年の七月から十万円を超えるこの報償費の支出案件については副大臣以上の決裁ということが決まったというふうに聞いておりますけれども、これは副大臣大臣のみが報償費の決裁権を持っていて、事務方は持っていないということなんでしょうか。  それからもう一点が、在外公館で使用する報償費についても十万円以上は全部副大臣以上が決裁しているのかどうか、この二点についてお伺いします。
  141. 北島信一

    政府参考人北島信一君) お答え申し上げます。  十万円を超える報償費の支出に係る決裁書につきましては、まず主管課で起案をしまして、副大臣に回付する前に関係課との協議を経て会計課長を含む事務方でまず決裁を取っております。  それから在外公館における報償費でございますけれども、在外公館に十万円を超える報償費を配賦するに先立ち、同様に副大臣以上の決裁を得ております。
  142. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 矢野副大臣、決裁やっています。
  143. 矢野哲朗

    ○副大臣(矢野哲朗君) やっていますよ。
  144. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ああ、そうですか。分かりました。何となく今、間があったのであれですけれども、信用しましょう。  それで、先ほど外務大臣が査察の話をされていましたので、そっちに私、今日移りたいと思いますけれども、一昨年の九月から外務省が一連の不祥事を受けて査察を強化されてきたことは私も存じております。一昨年の九月から今年の三月まで特別集中査察というのを二十四回、計七十八の在外公館に対して実施をしたと。それから、昨年の四月一日には、北田検事、法務省から外務省に入れまして監察査察官というお立場で、大臣訓令によりますと外務本省の活動及び運営状態、経理状態、外務公務員の能率、研修及び服務状態等を監察するという体制を整えたというふうに聞いているんですが、ただ私、一点納得できない点がございまして、この在外公館に対する査察で、今年の四月二十三日、これですけれども、変える会が出した報告書によると、抜き打ちの在外公館に対する査察というのは行われていないとなっているんですね。  この中で、外務省が総括したことになっている文章にはこう書いています。抜き出しますけれども、抜き打ちの査察については、どのような方法が有効であるかを考慮しつつ、必要に応じて実施する考えというふうに書いております。ところが、やっていないと、抜き打ちを。  ところが、昨年四月四日の参議院の外交防衛委員会で私の質問に対して当時の杉浦副大臣はこう言っているんですね。平成十三年の九月から十四年の三月まで、去年の三月までの間に何回か抜き打ち査察をやりましたと、こう副大臣は言っているんです。言っているのに、この今年の四月の報告書には一回も抜き打ちはやっていませんと、これどうなっているんですか。
  145. 北島信一

    政府参考人北島信一君) お答え申し上げたいと思います。  監察査察室におきましては、これまで実施しました特別集中査察、これ、委員が御指摘になった査察でございますけれども、それ以外にも特定の情報等を端緒として査察計画に予定されていない公館等に対して緊急に調査を行うということを随時実施してきております。緊急調査と言っております。これも広い意味では査察に準ずるものと言えますけれども、諸般の事情から正規の査察の形態を取っていないことから、今委員が御指摘になった変える会の報告書の中の書き方になっているわけでございます。そういうふうに整理したということでございます。  他方、昨年四月の杉浦副大臣の答弁でございますけれども、こうした緊急調査、こうした緊急調査を踏まえて、これらが広い意味では査察に準ずることから抜き打ち査察を行っているという趣旨の答弁をされたものと、そういうふうに承知しております。
  146. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これは非常に外務省の書類を読むと分かりにくくなっているんですけれども、今明らかになったのは、要は、査察には、普通の査察があって、特別集中査察があって、これはだから事前に通告が行くんですね、やりますよと。それから、次に緊急調査というのがあって、さらに一番きつい抜き打ち、もう何の前触れもなく突然公館にやってきて、はい査察しますよということだと思うんですが、この一番きつい抜き打ちはやっぱりやっていないと。緊急調査というものをやっているから、それが抜き打ち的といえば抜き打ち的なので、杉浦副大臣も去年の外交防衛委員会の私に対する答弁でそう言っていたということなんですが。  ただ、官房長、外務大臣、これ、緊急調査に関するレポートを、私、外務省大臣監察室から、官房からもらって読みましたけれども、こう書いてあるんですね。特定の情報に基づいて、当初査察を予定していなかった在外公館に対して緊急に調査を行ったケースが十数件あると。これはいいんです。いいんですが、このうち、刑事告発が行われたアトランタ総領事館の事案以外は、刑事告発が相当と認められる事案ではない上、館内の人間関係の運営にもかかわることが多々あることなども踏まえ、公館名の公表は差し控えたいということになっているんですね。  こうなると、抜き打ちとは全然違いまして、一つは、刑事告発が相当と認められないという判断をだれがどういう基準でやったのか全然国民には、国会議員にも分からないと、分からない。これが一つ。それからもう一つは、緊急調査をやった在外公館がどこかも公表しませんから、不正を、不正と言っちゃいけないのかもしれないけれども、不適当な経理をやったかもしれないから緊急調査をしたわけですよね、特定の情報に基づいて。その公館の名前も分からないんじゃ、これは全然再発防止効果が弱過ぎるんじゃないかと私は思っています。  そもそも、さっきの変える会のレポートに一点私おかしいなと思うのは、もう検事とか公認会計士が外務省の監査体制にかかわっているわけですね。これは外務大臣もお認めになると思いますが、私は、外務省がこの一連の不祥事があったからこそ他省庁に先駆けて最も厳格な監察査察システムというのを入れたと思うんです。だから、そういう意味では、私、比較的な意味でいえば、今、外務省の方が他省庁に先駆けてこういう経理に関しては厳格なシステムを持っていると思うんですね。  なのに、抜き打ちというところになるとやっぱり何となく身内に甘いような、緊急調査をしても公館の名前も出さない。それから、刑事告発が相当じゃないというふうに認めた。だれが認めているのかもよく分からない、どういう基準で認めたのかよく分からないというのは、せっかくこう体制を整えたんだけれども、最後のところでちょっと妥協しているんじゃないかというふうに見えるんですが、これは大臣、いかがですか。
  147. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、告発をするかどうかという決定は最終的に私のところでいたしています。これは、もちろん私は案件が上がってこない限りはどういう案件があるかということは分からないわけでございますけれども、いろいろな今までの私が一年三か月この仕事をやっていての感想で言えば、すべての案件、問題がある案件、政治的、その告発をしないということを決定する案件についても私のところに相談があるというふうに私は考えています。  それから、公表、名前の公表ですけれども、これはなかなか難しい判断でありますけれども、現在の、全くこれは全然問題が何もない、通常の常識で考えてということについても、その前の、例えば情報提供があったりというようなことで査察をやるということはあるわけでございまして、そういったことも含めて全部公表をするということが今の日本社会のいろいろな情報についての関心といいますか、ということから考えて、適切な結果を生むかどうかということについてはやはりきちんと考えてみなければいけないというふうに思っています。非常に問題があるということであれば、またそれは考えるということはあるかもしれませんけれども、すべて公表するということがいい結果を生むかどうかということについて考えないといけないと思っています。
  148. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  この緊急調査については大臣の責任でやっているということであればいいんですけれども、ただ、この点だけは、要するに抜き打ち査察は、悪質かもしれないケースが、例えば特定の情報に基づいて、確度の高い情報に基づいてあった場合とか、やっぱりやった方がいいと私は思っております。つまり、通告なしで査察を入れて、それで何もなければシロはシロでいいわけですから。  ただし、こういう体制を整えても、私は別に外務省に関するいろんな暴露本とかそういうことの中身を信じるつもりは全くありませんけれども、やはり事前に、何月何日に査察官が行きますよと言って、ある程度の、海外ですから急に現れるわけにもいきませんし、時間的猶予があれば証拠書類等を隠滅するということは理論的には可能なわけで、そういう海外の在外公館の置かれた地理的な特殊性とか距離とか、そういうものを考えますと、やはり時には抜き打ち査察もやる、そういう決意を外務大臣が持っているんだということをしっかりと明示しなければ、緊急調査やって名前も公表しませんよということであれば、私は、それは外務大臣の判断は尊重します。それはそれで尊重しますが、抜き打ち査察はもう絶対やりませんよということじゃなくて、やるのが原則だけれども、やるに適する事案がないからやっていないんだという立場と私は大きく違いがあると思うので、この点だけもう一回、抜き打ち査察を必要なときはやるということをちょっと明言していただきたいと思います。
  149. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私が必要と考えればやるつもりです。
  150. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  それで、次に、監察査察官の権限についてというか、査察官が不正を発見した場合、不正の疑いがある事案を外務省本省の中の活動を監査する中で発見をした場合、あるいは在外公館でもいいんですけれども、これはもう処分をしなければいけない、あるいは処分を検討しなければいけないというときに、どういう手続でだれが行うのか。  これ、何で聞くかといいますと、監察査察官の権限が書かれた法令を読みますと、その辺明確に書かれていないんですね、手続が。ですから、これは官房長ですか。
  151. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 御説明申し上げます。  監察査察官が不正が疑われる事案を把握した場合、所要の調査を行った上、確認した事実関係を監察査察官から人事課長に伝えることとしております。これに基づきまして人事課長が必要に応じ追加調査等を行った上で、処分を行うか否か、処分を行う場合の具体的な内容等につき検討し、事務方としての案を処分権者たる外務大臣に諮る、そういう手続でございます。
  152. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 人事課が窓口になるにしても、今、官房長最後おっしゃっていましたけれども、処分権者である大臣が必ず責任持って適正にやっていただきたいということを要望いたします。  最後に一点だけ。  ちょっと聞きづらいことですけれどもお伺いしたいのは、これは外務大臣に一言コメントいただければいいんですが、先ほど私、冒頭申し上げた、機密費の流用事件の松尾、浅川両氏とか、あるいはハイヤー代を水増しした事件で捕まった小林氏などの三人は、外務省内ではいわゆる初級ノンキャリアの出世頭で、職務上はロジ担当のスペシャリストということで高い評価を受けていたと指摘をされております。この三人は経歴上非常に類似点があるというところから、やはりこういった不正流用問題が起こった構造的な背景に外務省内の事実上の身分制度があったんじゃないかと、弊害として。つまり、キャリア、ノンキャリア、初級ノンキャリアという大きく分ければ三つになるわけですけれども、私は、これはなかなか認めたくないことでありますけれども、やはり何らかの関係はあったんじゃないかと。  これは変える会が、例えば在外公館における職員の夫人間に上下関係はないことをわざわざ徹底しなきゃいけませんよと言っていることにもこの身分制度が存在したんじゃないかということを示唆しているわけでありますね。  これ外務大臣、この問題は難しい面もあると思いますけれども、絶対やっぱり克服していかなければいけない問題だと思いますが、大臣の目から見てこの問題が今克服されてきているのかどうか、その点について伺って、私の質問を終わります。
  153. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 結論を先に申し上げれば、克服されつつあると思います。外務省にとって、適材適所で人事が行われるというのは外務省にとってのメリットであります。他省に先駆けてということをそのモットーにしてやっていますけれども、外務省で人事の公募制度というのを昨年やって、今年ももっと改善をし、もっとそのスケールも大きくして今やりつつあります。そういったこともほかの省庁ではやっていないことでして、今もっと、時間がないので言いませんが、ほかにもたくさんありますけれども、そういうことを通じてこの問題は、まだ完全とは私思っていませんが、克服途上にあると思っております。
  154. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わります。
  155. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  外務省防衛庁決算について質問をさせていただきます。  まず初めに質問したいのは、自衛隊の内部の旅費の不正使用問題であります。先ほども外務省プール金の問題、機密費の問題が出されました。  私どもの調査で、陸上自衛隊の西部方面隊飯塚駐屯地でいわゆる旅費の不正使用、空出張の実態があることが明らかとなりました。これは内部から告発があったもので、二〇〇一年三月十二日付けで、健軍方面隊、これは西部方面隊でありますが、会計課長あてに、四二二会計隊長を通じて行った旅費の不正使用などについてと題する内容証明が送付され、旅費の不正使用が存在することが明らかとなりました。  お手元に私たちが調査した資料を配付いたしました。この資料の一は出勤簿であります。このお名前の方は決して空出張とは直接関係がある方ではございません。このことをはっきりとさせておきたいと思います。この方のまず三月五日、六日、これ「出」となっておりますが、これが出張していると。ところが、この方は、会計課が勝手に出張の判を押したので、資料二に行きますと、御本人は出張していながら超過勤務の手当を請求する。これは三月五日、六日、七日と。ところが、この出勤簿と超過勤務命令簿、つまり超過勤務手当の請求、これが日にちが矛盾していたと。よって、続いて資料三でありますが、この資料三によりますと、これが五日、六日、七日が消えてしまって、これが三月十二日、十三日、十四日ということに差し替えられた。つまり、結果として、御本人には超過勤務手当が行ったけれども、実際には出張費が払われて、これが事実上のプール金になっているということが明らかとなっております。  この点については、私どもはこの調査をしておりますが、この内容証明の、もう防衛庁がお認めになっている文書でも様々な脅しが掛けられておりますが、私はこのような旅費の不正使用ともいう問題は大変重大で、しかもこれをプール金として使っているというのも大変私は重大な問題だと思いますが、まず、防衛庁長官、この実態についていかがお考えでございますか。
  156. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この資料、今、委員が御指摘資料でございますね、出勤簿そして超過勤務命令書、差し替えと言われますが、ところのもう一つの超過勤務命令書。今日、私ども初めて拝見をさせていただきました。仮に御指摘のような事実があるとすれば、それは問題だと認識をいたしております。この事実について、私どもとして委員の御指摘を踏まえまして調査をさせていただきたいと考えております。
  157. 小泉親司

    小泉親司君 私、決算委員会ですから、この問題というのは非常に重要で、例えば、私どもの調査では、この件について方面隊の隊長が告発された方に、例の件は監査隊長から概略の話は聞いて承知していた、それをじっくり見られ、事実であればとんでもない話だという認識をされ、理解されたという一方で、例えば、もっと自分を大切にしてくれ、過去は、過去は過去と割り切ってこれからの残りの自衛官生活を充実せよと。言わば私はこういう不正がありながら、過去は過去だなんということで済まされるかと。これは公金の流用でありまして、税金の流用だと。特に、それでも気持ち的に収まらなければ、それなりの覚悟(制服を脱ぐか免職になるか)でやれ、ただし、あくまで匿名ということではなくて正々堂々とやれということまで言うと。私は、こういう脅しというのは、私は脅しだと思いますが、これは問題だと。  やはり、これまでも私は、防衛庁水増し請求の問題、それから外務省の空出張の問題始めとした機密費、先ほどお話がありましたが、プール金の問題、旅費の不正使用の問題、こういうものを数々と指摘し、追及してきましたが、この問題もほとんど、ほとんど内部から告発されなければ分からなかったと。この点について、私は自衛隊にもこういう同様の問題があるというのは非常に重要なので、この点については私は真相をしっかりと究明してほしいと。  それから、私どもの調査では、このいわゆる空出張の問題というのが決してこの駐屯地の内部、一駐屯地だけにとどまらないと。これは私どもも調査でもあちこちに存在すると。しかも、ほかの問題としては、例えば予備自衛官の手当の不正の問題とか、工事代金の不正の問題だとか、様々な疑惑が非常に指摘されているわけで、こういう問題についても私は引き続き追及したいと思いますが、やはり防衛庁長官がまずこの問題について厳正な調査をやって、当委員会にもしっかりと、決算委員会にも報告をしていただきたいと、こう思いますが、いかがですか。
  158. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 事実関係は調査をさせていただきます。  はっきりしておりますのは、公金が不正に使われるということは断じてあるべきではないということ、その観点からきちんと調査をさせていただきます。  そして、今、委員が御指摘のような一種の脅しとかもみ消しとか、そういうような行為があるべきではないということも、そのとおりでございます。  ただ、その場を、やり取りというのはその場の雰囲気ですから、一方の当事者の言っていることだけを聞いてもこれは分からない。やはり両方の当事者の言ったことをきちんと聞いて、公平な立場から判断をしなければいけないのだろうと。  私が聞いておりますのは、正々堂々、匿名でないようにやってもらいたいということも言ったと聞いております。そして、自衛隊法三十八条であったかと思いますが、条文を引いて、その条文としての、自衛隊法としての規定というものを説明したと。決して、脅しとかそういうものではなかったというふうに聞いておりますが、これもまた一方のお話でございます。  これ、私どもとして、仮に不正をもみ消すようなことがあったとするならば、それは問題だと思っておりますので、両当事者の話をよく聞き、そのような御疑念というものを払拭すべく努力をいたしたい。  そしてまた、これが一つのことではなくてほかにもたくさんあるのではないかという御指摘かと思いますが、そういうようなことがないようにきちんと内部の監査体制、私ども整えておるつもりでございますけれども、そういうものの一層厳正な運用に心掛けてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
  159. 小泉親司

    小泉親司君 当委員会にも報告していただきたいと思いますが、長官、いかがでございますか、委員長も、併せてよろしくお願いいたします。
  160. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これの取扱いにつきましては、委員長並びに理事会の御判断かと存じます。
  161. 小泉親司

    小泉親司君 委員長、よろしくお願いしたいと思います。委員会として報告を求めていただきたいと思います。
  162. 中原爽

    委員長中原爽君) ただいまの件につきましては、後刻理事会等で協議をさせていただきます。  よろしゅうございますか。
  163. 小泉親司

    小泉親司君 次に、イラク戦争に参戦しました米軍への自衛隊による燃料補給問題について質問をさせていただきます。  私、この問題については、もう防衛庁長官外交防衛委員会、予算委員会その他でいろいろやり取りをしてまいりましたのでもうあえて繰り返しませんが、私は、自衛隊、海上自衛隊の燃料がイラクの戦争に間接的に使われたと、こういうふうに指摘をしてまいりました。そしたら、六日の日に、第五空母群のパーカー空母キティーホークの艦長が、海上自衛隊から補給は何回受けたかという質問に対して、我々は直接は受けていないが米軍の補給艦を通して燃料補給を受けていたということを明らかにいたしました。私もこれは間接的にとこの前も繰り返し言ってきたので、間接的に受けていたということを実際の空母の艦長が認めたと。  これ私は重大なことで、このキティーホークについてはもう完全にイラクの戦争の最前線に立っていた部隊でありますので、これは明白なイラクの戦争への自衛隊の実質支援であって、テロ特措法違反であると私は思います。  先ほども当委員会でも取り上げられたそうでありますが、防衛庁は、どうも伝えられているところによりますと、福田官房長官が確認をするということをお話しになったそうでありますが、どういう形で確認をされて、どういう結果だったのか、まず長官にお尋ねします。
  164. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 間接的にというお話であります。それは、私どもの補給艦が合衆国の補給艦に油を給油し、それをいろいろな合衆国の艦船が補給を受けた、それを間接的にという御指摘なのだろうと思っております。  私どもといたしましては、私どもの補給艦がどの船に補給をしたかということにつきましては、これはもう作戦の内容というものが明らかになりますので、どの船に対してということにつきましてはお答えをいたしかねます。
  165. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官が幾らそう言っても、キティーホークの艦長が受けたと言っているんだから、何でキティーホークの艦長に尋ねないんですか。そんな当たり前のことでしょう。そんないい加減なことじゃ駄目です。  キティーホークというのは、五月六日の海軍のホームページによりますと、午前八時に、これ海軍のホームページ。アラビア湾でキティーホークは、バトルキャット、戦う猫と言われて、三千回にわたる爆撃を行い、九十ポンドの爆弾をイラクの自由作戦を支援するために行ったと。つまり、キティーホークは正にイラクの支援作戦をやったんだということしか書いていないんですよ。それでやっと帰還したんだということが五月六日の海軍のページにある。そのキティーホークの艦長が、私は間接的だけれども受けましたと言っているんだから、何でこれ確認できないんですか。おかしいですよ。
  166. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは繰り返し、これはもう小泉委員とはずっと議論をしてきたことでございますが、私どもはアメリカ合衆国との間に交換公文を結びまして、そしてテロ対策特別措置法の目的にかなった法的な根拠のある補給しか行わない、そしてそのことを合衆国も確認をしておる、そのための交換公文でございます。それによって私どもは、その目的にかなった補給しかいたしておりません。  したがいまして、私どもとしてそのような、いつ、どの船にということを確認する必要がないということでございます。
  167. 小泉親司

    小泉親司君 私、決算委員会だからお話ししますが、テロ特措法で三十万キロリットル、今月、あっ失礼、今年一月末現在で二百一億円の燃料補給、つまり日本国民税金を二百一億円使ってアメリカに供給しているんです。  これはテロ特措法の問題でいけば、アフガニスタンのテロについてはテロ特措法という法律に基づいていますから、これ私たちは、これ小泉総理にも私言ったんだけれども、テロ特措法については我々は反対しています。しかし、テロ特措法に基づいてやったんであれば、それは法律に遵守しているからいいんですよ。それはあなた方の論理からすれば認められるでしょう。しかし、これは、イラク戦争に対してテロ特措法は適用しないんですよ、でしょう。だから、そうであれば、キティーホークの艦長が、自分は受けた、しかも自分のキティーホークはイラクの戦争をやっているということを自分のホームページで認めているんですから、それが何でやっているか、これは正に流用じゃないですか。明確な流用ですよ。それが私たちは、私はそこを指摘しているんです。  だから、あなたは何て言っているかというと、いや、それはアメリカ軍を信頼しているから、アメリカ軍は多分テロ特措法に基づいて油は必ずイラクの戦争に使ってはいないと言いたいんだと思いますが、それだったらば、キティーホークの艦長に確認してください。だって、キティーホークの艦長が言っているんだから。
  168. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど来、委員がキティーホークの艦長がというふうにおっしゃっておられますが、私どもとして、キティーホークの艦長がどのような内容で間接的に補給を受けたというふうに発言をなさっておられるか、現時点において承知をいたしておりません。  私が報道において承知をいたしておりますのは、先ほども答弁をいたしましたが、もう一度繰り返さしていただきます。私どもの方からアメリカに対しまして、つまり、アメリカというのは米海軍第五空母群のマシュー・モフィット司令官であります。マシュー・モフィット司令官が、キティーホークの機動部隊が海上自衛隊から間接的に洋上で燃料補給を受けたというふうな報道がありました。そのような報道を受けまして、私どもから米側に対しましてこのような発言内容について確認をいたしました。その結果、モフィット司令官は記者の取材に応じて、一つ、キティーホーク機動部隊は海上自衛隊から燃料をもらっていないこと、二つ、米軍の補給艦はオマーン湾において海上自衛隊から燃料補給を受けたこと、三つ、対テロ戦争における日米政府の支援への感謝を表明したとのことであるという内容でございます。  つまり、これらから明らかなとおり、このモフィット司令官は不朽の自由作戦、すなわちテロとの闘い、イラク戦争ではございません、不朽の自由作戦に対する海上自衛隊からの艦船用燃料の提供について感謝をすると、そういう旨を述べたものと承知をしておりまして、この旨はアメリカからも確認をされておるところでございます。  また、このような確認を私どもが行いました際に、アメリカ側から、これまで米海軍は、海上自衛隊から提供を受けた艦船用燃料についてテロ対策特措法の目的外の活動に使用したことはなく、今後も使用することはあり得ないということにつき、改めて確認をされたということでございます。  つまり、以上のことから、イラク攻撃に従事をしておりましたキティーホーク機動部隊の艦艇が海上自衛隊から間接的に補給を受けたことはないと考えております。  私どもが、モフィット司令官の発言、そしてそれを受けて行った確認から、私が今まで申し上げてきましたこと、委員と議論しましたこと、そこにおきまして私が申し述べました立場に何ら変更はございません。
  169. 小泉親司

    小泉親司君 これは、先ほど何遍も言ったように、トム・パーカー・キティーホーク艦長がまず英語で、我々は受けていない、しかし、我々は我々自身の給油艦を経由して日本の自衛艦から燃料の移送、トランスファーを受けた、我々は確かに約八十万ガロンのディーゼル燃料を受け取ったが、これは日本政府からいただいたものだ、対テロ戦争に対する多くの支援に深く感謝したい。  続いて通訳がいるんです。あなたは言っていないけれども通訳、同じことを英語で、今度は日本語で言っているわけです。海上自衛隊の船から我々の機動部隊は直接受け取ったということはないが、我々の給油艦、これが海上自衛隊から補給を受け、その補給を我々の方がまたいただいたということになり、その合計いただいた云々かんぬんと二度言っているんですよ。これは訳もやっているんですよ。  だから、何で、長官がそうやって自信を持っておっしゃるんであれば、だんだん自信がなくなってきたのかと思いますけれども、自信を持って言っておられるんであれば、艦長に確認してくださいよ。あなたは、それは防衛庁長官とカウンターパートでしょう、キティーホークなんというのは。防衛庁長官とその司令官とお話しになったらいいんじゃないですか、これはどういう発言なんだと。それが何で確認できないんですか。簡単な話じゃないですか。
  170. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど来、艦長というふうな御指摘でございますが、それは御党の機関紙である赤旗のみが艦長がそのように言っておるというふうな記事をお書きであります。これは、委員もすべての新聞あるいはインターネット等々すべて目をお通しの上で御質問になっておられる、いつものことでございますが、私どもそのような御発言というものは赤旗のみをもってしか確認をすることができません、艦長がそのように述べたということをですね。ほかのメディアからそのような、キティーホークの艦長がそのように述べたという事実を承知をいたしておりません。  したがいまして、確認するというすべを持たないわけでございます。あんたそう言ったでしょうと、赤旗に書いてありますがと、そういうようなことを私どもとして確認をするということはいかがなものかというふうに思っておるわけでございまして、いずれにいたしましても、確認するべきであるというお話でございますが、私どもとしてアメリカの方からそういうものには一切使っていないというふうな明言を受けております。そして、艦長の発言も、現在のところ、私どもとして確認をいたしておりません、発言自体ですね。したがいまして、先ほどまで申し上げたようなことになるわけでございます。
  171. 小泉親司

    小泉親司君 あのですね、もし赤旗がお気に入らなければ直接やられたらどうですか。だから、何遍も言っているんです、私は。防衛庁長官が本当に国会で真摯にこの問題についてイラク戦争では使われていなかったと確信を持って言うのであれば、これだけ空母群の艦長が言っているんだから、それぐらい確認したらどうですかと。  私たちは、これは全部大体英語と日本語で起こしてありますが、例えばこういうことも言っているんですよ。付け加えるが、これは英語でオフィサーが、随伴艦ゲアリーとバンデクリフト、FFGの51と49、フリゲート艦です。何でこれ、フリゲート艦もオマーン湾で日本からの給油を受けていると。これ直接給油を受けている。これ何でかといったら、御承知のとおりフリゲート艦は給油しているときの護衛艦だから実際にこれが受けているということまで言っているんですよ。だから、これ空母機動群、キティーホーク機動群がほとんど受けているということなんです。  だから、何でそれが確認できないのか、長官としてですね。これはおかしいですよ。  これにちょっとこんなやり取りしていても、私、決算の審議にならない。二百一億円という日本の国民が、国民お金が、これは法律に基づかないで使われるということになったら、法律上流用じゃないですか。これ、駄目ですよ。
  172. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは繰り返しになって恐縮ですが、別に御党の機関紙だから気に入るとか気に入らないとか、そんなことを私は申し上げているわけではございません。ほかにそういうような報道というものを承知をしていないということを申し上げておるわけでございます。  私ども、米軍が、おれは、私のも受けたというふうに言ったと、こういうふうなことが仮にあったといたしましても、私どもの方から、例えば今バンデクリフトという御指摘がございました、私どもが個別の名称につきまして申し上げるということは、米軍の運用にかかわることでございます。したがって、私どもからは申し上げられないということを言っておるのでございます。  そして、何よりも前提としてございますのは、繰り返しでもう本当に聞き飽きたとおしかりを受けることを覚悟の上で申し上げますが、交換公文というものを結び、そして今回のいろいろな報道があって、そのことを受けてアメリカに確認をし、全くテロ特措法の目的に反した使用はしていないという明言を受けておるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、それを委員指摘のようにキティーホークの艦長に対して、あなた、赤旗の報道によればこういうことを言ったのだそうだけれどもどうですかということを確認するということはいたさないということを申し上げておるわけでございます。
  173. 小泉親司

    小泉親司君 それじゃ、私、一つだけお尋ねします。  キティーホーク、空母キティーホークはどういう任務をされたんですか。イラク戦争、じゃなくて、インド洋でどういう任務を携わったですか。
  174. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ちょっとごめんなさい、御質問の趣旨がよく理解できませんが、インド洋においてとおっしゃるのですか、それとも不朽の自由作戦ということですか、イラク攻撃ということですか。
  175. 小泉親司

    小泉親司君 キティーホークはイラクの自由作戦に参加したんですか、アフガニスタンのテロ作戦に参加したんですか、どっちですか。
  176. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、言っておるのは、キティーホークの艦長が言ったわけではなくて、先ほどから申し上げておりますとおり、モフィットという司令官が言っておるわけですね。したがって、キティーがどうのこうのという、こういう議論にはならないのだろうと思っております。  いずれにいたしましても、キティーホーク機動部隊に所属する艦艇のすべてがイラク攻撃関連に従事をしておったというふうには承知をいたしておりません。どの船が何月何日に、もちろんイラク攻撃がいつ始まったかというのははっきりしておるわけでございますが、その前は不朽の自由作戦というものだけやっておったわけですね。その後、イラク攻撃が始まりました後は不朽の自由作戦とイラク攻撃というものは併存をしておる、そういう状態になっておるわけでございます。  どの船がどのような任務にいつ従事をしておったかということについて、委員のお尋ねに正確に答えられるだけの知識を私としては持っておりません。
  177. 小泉親司

    小泉親司君 時間が参りましたので、私はこのやり取りは引き続きやりますが、キティーホークは私がどういう任務かとお聞きしたらアフガンもやっていたなんて、そんな、アフガニスタンなんてやっていませんよ。キティーホークはイラク戦争始まってから行ったんだから。そんなでたらめを防衛庁長官言っちゃ駄目ですよ。だから、そういうことをはっきりとさせてください。それはキティーホークの艦長にしっかりと確認すべきだと思います。  私は、そういうやり方でどんどんどんどんテロ特措法を拡大するというのは問題だということを指摘し、自衛隊は直ちに撤退すべきだと重ねて要求して、私の質問を終わります。
  178. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野です。  現下の北東アジアにおける脅威といいますと、北朝鮮の問題であります。  ちょうど今から二年前、小泉政権が発足しました直後でありましたけれども、連休中でしたが、金正日の息子である金正男が偽装パスポートを持って日本に不法入国をしました。このとき、あれは五月一日でしたか、そして、さしたる取調べもなくて、五月の四日にはもう退去強制という形で国外退去をさせているわけであります。  これは、その後のいろんな情勢を見ますと、そのときも国民の皆さんは、これ、どうしてこんなことをしたんだろうと思われたと思います。そしてまた、先ほど防衛庁長官が、いかに情報組織あるいは情報を取るということが防衛上大切なことかということを熱っぽく言われたわけでありますが、本当にこのことについて、どうしてそんなに早く取調べもしないで退去強制をしたのか、この点について法務副大臣の見解を伺います。
  179. 増田敏男

    ○副大臣増田敏男君) お答えを申し上げます。  御指摘平成十三年五月一日に発生をいたしました偽造ドミニカ共和国旅券を行使した不法入国事案につきましては、当省といたしましても違反調査等におきまして身分事項の特定等必要な調査をいたしましたが、本人が金正男なる人物であるかどうかについては確認できませんでした。  他方、本人は不法入国の事実を認め口頭審理を放棄したことによりまして、異議申立てはしませんということですが、よりまして、退去強制事由に該当することが確定をいたしました。このような場合、入管法では情報収集等の目的のため身柄収容などは認められておりません。速やかに退去強制令書を発付するものとされており、発付されれば送還先に速やかに送還されることが求められておりますから、本人が申し立てた氏名に基づきまして手続を進めたものであり、本件措置は適正な法の執行であると考えております。
  180. 広野ただし

    広野ただし君 増田さんがそのときどういう判断をされたのか私はよく分かりませんけれども、北朝鮮が核の問題、そして武装工作船、そしてまた拉致ということで本当にひどいことを、日本に対して大変な脅威を与えていたと。しかも、あのときの情報では、CIAからの情報で、多分日本に不法入国するのではないかといろんなことが言われているわけであります。それをいまだに金正男ではないんだとか不透明なことを言って正当化をしようという、これはもう誠におかしなもので、私は、やはり、もし法に不備があるならば、それこそ情報、日本に大変な危害を与える、そういうおそれのある国の重要な情報を所有する人間を捕捉をして、一か月でも二か月でもちゃんと調べるということをちゃんとやるべきではないのかと。単なる、こう入ってきましたから、確認できませんでしたから一般人と同じように退去強制をしましたということでは、日本の安全は本当に守れるんだろうかという不安を持つわけであります。  当時は大臣外務大臣ではなかったわけですが、川口大臣はいかが今、現時点でお思いでしょうか。
  181. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、今、増田大臣がおっしゃられましたように、政府として適切な判断を行ったというふうに私も考えます。
  182. 広野ただし

    広野ただし君 こういう能天気なことをやっていますと、日本の安全はまず守れないということだと思います。  装備だけの問題ではありません。やはりきちっと情報を取って、その後、実際九・一一が起こり、またその年末にはテロ工作船、テロ工作船というか武装工作船が鹿児島沖でああいう事態を起こしたということでありまして、そしてまた去年の九月には拉致の問題を日朝平壌宣言で認めたと、こういうことでありますから、それに対してのいろんな情報をあの時点でもう本当にたくさん取れたのではないか。そしてまた、それがいろんな交渉材料になったのではないかと私は思っておりますが、防衛庁長官はいかがでしょうか。
  183. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) いろんな議論があったことは承知をいたしております。  今、広野委員指摘のように、では仮に彼が金正男であったとしたらという仮定、前提に基づけばいろんな外交のカードになったということもございましょう。ただ、これは私は、その当時の外務省なり法務省なりというものが、今外務大臣がお答えになったように、適切な判断をなさったということだと承知をいたしております。  私、当時は政府におりませんでしたので、十分きちんとした情報を持っておりません。十分な情報を持っておらない者が不確かな答弁をするとかえって失礼かと思いますので、お許しをいただきたいと存じます。
  184. 広野ただし

    広野ただし君 本当にやはり日本の安全を預かる、日本の防衛を預かる、これは外務大臣あるいは防衛庁長官、もうあらゆる手段を通じて常に危機感を持ってやっていただかなきゃならない、こういうことだと思います。  もちろん、法務大臣とも連携を取って、あるいは国土交通大臣とも連携を取って守っていかなければならない。そういう中で、今のような事なかれ主義で問題が起こらないようにという形でやっていては日本の安全は本当に守れないんじゃないか、こう思います。  そしてもう一つ平成十三年の十二月に九州南西沖の武装工作船、不審船と言いません、もう。あくまで、引き揚げられて、大変な重装備をしている武装工作船であります。具体的に何をやっていたのかということはもう一つはっきり言いませんが、武器の交換をやっていたのか、取引をやろうとしていたのか、あるいは麻薬の取引をやろうとしていたのか、あるいはまたいろんなテロ工作をやろうとしていたのか、いろいろと推測されるわけでありますが、このときに、海上保安庁が停船命令を掛けても、結局どんどんどんどん逃げてしまうと、こういうことなんですね。そしてまた威嚇射撃をしても、実際はその命令に向こうは聞かないということで、結局排他的経済水域を越えて中国の方へ入ったと。その後いろいろな交渉が行われて、実際、昨年は中国に対して漁業補償というのを一億五千万払ったようですね。まあ、そういうようなこともやりました。  だけれども、なぜそういう武装工作船をちゃんと捕獲する、あるいはきちっとですね、実際日本を侵犯したわけですから、もっとしっかりした海上自衛隊の警備行動というような措置とか取らないのか、こういうことでありますが、この点、まず国土交通大臣、お願いいたします。
  185. 吉村剛太郎

    ○副大臣吉村剛太郎君) 御存じのように、アメリカ・ニューヨークにおきます無差別テロを受けまして、海上保安庁といたしましても、長官を本部長といたします海上保安庁国際テロ警備本部を設けました。そして、巡視艇及び航空機も含めまして、もろもろの重要拠点、なかんずく原子力発電所等の警備を強化したところでございます。  今おっしゃいましたように、テロを行うと明確に判断するというのは、これ非常に難しいところだと、このように思っておりますが、一義的には巡視艇又は航空機によりまして停船命令、それから所定の場所への誘導、さらにどうしても従わない場合は逮捕というようなことも当然あろうかと、このように思っております。  なぜ早く自衛隊に引き渡さないか、いわゆる海上警備行動ということでございますが、この海上保安庁、いわゆるぎりぎりまで警察権によりまして行動する、そこはやはりこれは一つのクッション材であろうと私は認識をしておる。クッション材といいますのは、すぐ実力を持った軍が、自衛隊が出ていくというと、どうしても外国との関係がぎすぎすしてくると。やはり警察業務としてぎりぎりまで追い込んでいく、どうしてもその手に負えないというときは、今申されたように海上警備行動の発令ということもあろうかと思っておりますが、ぎりぎりまでは海上保安庁が努力すると。そのための海上保安庁法の改正によりまして射撃、いわゆる火器によります射撃等についても随分と踏み込んだ段階までの改正が行われているところでございます。
  186. 広野ただし

    広野ただし君 それで、現在、北朝鮮は核を一発か二発持っているということを認めたということが言われております。そうしますと、これはミサイルに搭載できるものだとは思えません。しかし、これから一番心配になりますのは、それを武装工作船に載せて、それで日本海に来て、そしてどこかで自爆テロをすると。特に、原子力の敦賀ですとか、あるいは新潟のというようなところでやりますと、この被害は大変なことになるわけです。  領海内に入ってきましたときに、まず海上保安庁、これ、それなりにされると、警察行動をされるということでありますけれども、それではもう間に合わないんですね。そのときに海上警備行動を直ちに発令するというまでに、これは閣議を開いてやっていますと間に合わなくなる。この点、防衛庁長官、どうでしょうか。
  187. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、今、国土交通大臣からお答えがありましたように、第一義的には海上保安庁が対処すると。警察権でございます。私どもが海上警備行動を使いましても、これはあくまで警察権として行使をするわけでございまして、自衛権を使うわけではございません。ただ、同じ警察権の行使の主体が海上保安庁であり、自衛隊であると、この違いはございます。  そこで、私いつも言っているのですが、じゃ、海上保安庁の船がみんな沈んで対処不可能になって、それからようやっと自衛隊が出てきましたということではならないのだろうと。まず海上保安庁が行動して、それで手に負えなくなったら海上自衛隊が出て、それは海上警備行動だということではございませんで、必ずしも。それが、今、委員指摘のことがそのまま当てはまるかどうかはちょっと私よく理解が足りないので分かりませんが、どう見たって海上保安庁能力を超えているねということであれば、これは当初から海上自衛隊が海上警備行動によって対処するということはあり得べしということだと思っております。  そのときに、じゃ、間に合うのかねということでありまして、その場合にどうやって迅速にその下令が可能になるかということにつきましては、政府の中でも議論をし、実効を高めるべく努力をしておるわけでございます。  なお、気を付けなければいけないのは、私どもからすると、今お話をいたしましたように、海上保安庁であれ海上自衛隊であれ、警察権なのであると、こういうお話でございますが、外から見ておりますと、まさしく軍が出てきたねというお話になってしまう。私どもは、いかな警察権であっても、それはやはり海上自衛隊が出る以上、抑制的でなければいけない。しかし、海上保安庁が全然手に負えなくなってから出るということではなく、出るということではいけない、その辺りをどのようにするんだということが本当に重要なんだろうと思っています。  大事なことは、例えば潜没潜水艦であるとか、そういうふうに、外形からこれは明らかにそういうようなものだね、海上保安庁では対処が困難だね、海上警備行動だねというものが明らかなものはよろしいのですが、まさしく最初から工作船であることが分かっていればいいのですが、もうだんだんだんだん巧妙になってきて、我こそ工作船みたいなスタイルでは多分来ないだろうと思っております。  その辺りをどのようにするのかということは、海上保安庁ともよく議論をしながら、委員指摘のようなことが起こらないように、私ども本当に万全を期してまいりたい。これは言葉だけではなくて、本当に現場レベルでよく協議をしてやらせておるところでございます。
  188. 広野ただし

    広野ただし君 これは平成十一年に起こった能登沖の、これは不審船が逃げちゃったんですね。その反省を踏まえて、海上保安庁と海上自衛隊が共同行動を取るという、それをやっているわけですね。また、実際、共同訓練もやっているんですね。しかも、先ほど言っていますのは領海をもう既に入ってきているんですよ。そういうことに対してなおそんな悠長なことを言っていましたら、どんなに有事法制ができてもこれは全然守れない。現在の有事法制のものでも、テロに対してはもう本当に、自爆テロに対しては本当にそれを守れるのかという点があるので、その点をまず指摘をさせていただきたいと思います。  ところで、拉致の問題であります。現在、拉致問題、本当に痛ましい限りでありまして、五人、そしてまた八人の方々の安否につきましても本当に毎日その家族の方々は大変心配をされているという中で、今、何かとんざしてしまったような形になっておりますね。ここをもう一つ頑張ってやってもらいたいと思うんです。拉致家族の方々は、拉致被害家族の方々はアメリカまで行って訴えたりやっているわけですね。ですから、単なる粘り強く交渉するということではなくて、これは私は、国連人権委員会にもやりました、EUにもある程度の話をしてこられたということですから、今度はサミットできちっとやってもらいたいと、こう思っておりますが、外務大臣の見解を伺います。
  189. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 広野委員がおっしゃいますように、今、その拉致の問題について、五人の家族の方が日本に戻れていないという状態が続いていて、またその事実解明について、北朝鮮に求めていることについても回答がないという状態のままで、とんざしているというふうにおっしゃいましたけれども、進展がないことについては非常に、その五人の方の気持ちの中でどんなにつらい思いをしていらっしゃるかというふうに思います。非常に、こういう状況であるということについては残念に思っています。  それで、できることを最大限今取り組みつつございますけれども、先般の北京で行われました三者協議、この中でも拉致の問題についてはアメリカから取り上げてもらっておりますし、その他、国際的な場あるいは二国間の場で拉致の問題については話をして、続けております。  サミットでというお話ございましたけれども、昨年もサミットの場で、それからG8の外務大臣会合の場で私から、サミットでは総理からこの問題については取り上げております。今年についても、私は、外務大臣会合が五月の二十日過ぎにございますけれども、その場でも引き続きこれは取り上げていきたいと思っております。
  190. 広野ただし

    広野ただし君 日本はどうしても、何といいますか、向こうは瀬戸際外交をやってきている、こちらはある意味で、私はまだまだ、何というんですかね、太陽政策的なことを日本はやっているということなんですね。とすれば、本当に交渉力のあるサミット諸国を巻き込んで、これはロシアとの間の北方領土問題ももう一回仕切り直しをして、やはりサミットを、今度サミットにまたロシアが入ってくるんですね。こうなったらますますやりにくくなるんで、そこはもう本当にぎりぎりの折衝を早くやってもらわないと、これはもう永久に北方領土の問題あるいは拉致の問題もなかなか進展しないんではないかと懸念するわけで、九・一七、昨年の九・一七の日朝会談があったわけですから、今回、もう一度新たな気分でサミットで取り上げていただきたい、このように思います。  それともう一つ決算委員会の中で、今度の会計検査院は非常にすごい調査をしたんではないかと思っております。これは、例の北方領土関係の支援委員会ですね、ロシア等の支援委員会、あるいはそれに加うるに十一の国際機関があります。その国際機関はほとんど休眠状態で、例えばこれ、日露青年交流委員会あるいは日露核兵器廃棄協力委員会、そのほかウクライナ、カザフスタン、ベラルーシと、旧ソ連の核不拡散あるいは核廃棄に関する委員会等ありますし、日中民間緑化協力委員会、そのほか女性のためのアジア平和国民基金事業運営委員会、在サハリン韓国人支援共同事業体等々、支援委員会を含めて十二の国際機関があります。これが、ほとんどは日本が拠出金を出しているということなんですね。で、この拠出金を出しているのに相手方がいなくなっていて、代表が出てこなくて、ほとんど日本のお手盛りでやるのか、あるいは向こうといろんな折衝をするにしましても実績をなかなか上げられないと、こういう事態になっているようであります。  こういう中で、実際、拠出金が支援委員会関係では五百九十四億円ですか、そのほか旧ソ連の核関係のもので四百六十六億円の支出をしていると。ところが使われなくて、それがほとんど繰越しになっているということであります。こういうことであれば、早くその返還を求める、使われていないんですから、というようなことをやって、そこに、もう一回目覚めさせるといいますか、先ほども国連の問題がありました、一度拠出金をやめる、出すのをやめるとか、これはもう何も使われないんですから、たまっているだけですから、これは返還を求めると。あるいは、その国際機関をもう完全に廃止をするような交渉をするというようなことをやっていくべきじゃないかなと。  何かめり張りの利かない、ただだらだらと国民お金を使っているということでは本当に何のための国際協力だという話になりますので、その点、外務大臣の見解を伺います。
  191. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際機関の拠出金について滞留金があるということにつきまして会計検査院から指摘がございまして、これについては重く受け止めております。  外務省として、こうしたことについて幾つかのことをやっておりますが、一つは、事業執行あるいは運営管理をより一層適正なものにしていくために国際機関側から適時適正な報告を求めるということが一つです。それから、拠出金の支出に当たって、拠出時期あるいは方法等について精査をしていくということです。それから三つ目に、平成十五年度の予算要求については、滞留金や事業執行状況を十分に踏まえて必要額を予算要求をするという措置を取っております。それから、先ほどお話しございました支援委員会、これにつきましては、昨年いろいろな御指摘ございまして、四月の十八日、今年の四月の十八日をもって廃止をいたしております。  今後、なお、そのときの指摘された滞留金額は百四十二億円ということでございます。この国際機関の運営については、やはりこれは引き続き政府としてきちんと把握をしていくことが重要でありまして、必要な場合には当然改善も行っていくということで、税金を大事に使っていきたいと思っております。
  192. 広野ただし

    広野ただし君 正にそういう休眠国際機関といいますか、ただ形骸化したものがあるだけではどうにもならないんで、本当にめり張りの利いた外交を展開をしていただきたいということを要望いたしまして終わります。  どうもありがとうございました。
  193. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党の大田でございます。  両大臣とも大変お疲れでしょうけれども、あとしばらくでございますので、御辛抱いただいて質問させていただきます。  平成十三年度決算について会計検査院は、外務省に関連して、不当事項としていわゆるプール金の問題、支援委員会の問題、在外公館会計経理とODAの実効性のなさなどを指摘しています。外務省はこの会計検査院指摘をどのように受け止めておられますか、大臣からお答えをお願いします。
  194. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これにつきましては、大変に重く受け止めております。そして、必要な改善を図りつつございます。
  195. 大田昌秀

    大田昌秀君 平成十三年度の外務省関係のODA予算は、無償資金協力と円借款、プロジェクト方式技術協力を合わせますと約一兆八百三十五億円ほどになります。  しかし、会計検査院は、平成十三年度決算指摘事項の中で、外務省のODAについて援助の実効が上がっていないと厳しく指摘しています。実効が上がらないのは、援助国側の要請に基づいてODAを実施する要請主義とやり方に問題があるという指摘があります。  外務省として、このような会計検査院指摘をどう受け止めて、その後のODA予算の編成やODA大綱の見直しにどのように生かしておられるのでしょうか、教えてください。
  196. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御指摘の、会計検査院からの具体的な指摘があった件でございますが、相手国の事情などによるところもございますけれども、そうした事態が生じたことは大変残念でございまして、相手国に対して事態の改善を促すなり、あるいは必要に応じてフォローアップとしての追加援助を実施すること等、適切な措置を講じていく考えでございます。  また、ODA大綱の見直しに当たりましては、効果的な援助を行うために、政策協議の強化、評価・監査の強化といったことを基本方針の中で取り上げておりますし、これらの点につきましては本年度の予算にも反映いたしております。  また、先生から御指摘のございました要請主義の問題でございますが、基本はあくまでも被援助国の主体性を重視しその自助努力を支援するということかと思うわけでございますが、他方で、単に受け身としての要請主義にとどまることではなくて、我が国の援助戦略や政策上の重点を相手国との緊密な政策協議の強化を通じて、反映した、めり張りのある援助を実施していくという方向で進めておるところでございます。
  197. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務省平成十三年度の歳出予算額は九千三百三十三億百一万円余なのに対して、支出済歳出額が八千百三十七億六千百七十七万円余で、次年度への繰越額が一千十一億九百三十五万円余に上っています。  ちょっとこの額は多いように感じますけれども、その繰越しの理由はなぜでしょうか、何でしょうか。
  198. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 申し訳ございません。今、手元に資料を持ち合わせておりませんので、追って御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
  199. 大田昌秀

    大田昌秀君 普通に、一千億程度の繰越しというのは普通なんでしょうか。
  200. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 申し訳ございません。今、手元に資料がございませんので、追って御説明させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  201. 大田昌秀

    大田昌秀君 先ほども同僚議員から似たような質問がございまして、重複する面もあるかと思いますが、平成十三年七月に表面化した沖縄サミットをめぐる外務省職員のハイヤー代水増し詐欺事件等をきっかけにしまして、会計検査院平成七年四月から十三年七月までの六年四か月にわたる外務省の各部局と取引先業者との取引実態を緊急に調査しております。  会計検査院調査結果によりますと、外務省が不当な方法で積み立てたいわゆるプール金は、平成七年度から十三年度までに合計一千百七十二件、二億八千六百四十二万円余の額に上っています。  外務省は、会計検査院不当事項指摘を受けて、このプール金についてその実態把握、国庫への返済、再発防止策などについてどのように具体的に取り組んでおられますか。
  202. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 外務省としましては、いわゆるプール金の問題に関連しまして、昨年の十一月末に会計検査院内閣に提出した決算検査報告を踏まえまして、費消総額約四億八百万円に取引先における残高及び所要の延滞金を付した額約五億四千四百万円につきまして、既に国庫への返納措置を取っております。  また、外務省としましては、この問題は基本的に公金の使用、管理に対する省員の認識の甘さが原因であったと深く反省しております。この反省の下、職員に対する会計研修の徹底、プール金の温床となっていた各課室ごとに行っていた調達の会計課への一元化、監察査察官に現職検事を任用した上での各部局に対する監察の実施、監察査察意見提案窓口の設置等、このような問題が二度と生じないよう、一連の再発防止措置を鋭意講じてきております。また、これらの再発防止措置は有効に機能しているものと認識しております。  今後ともこれらの措置の徹底を通じて適正な経理を行い、国民の皆様の信頼回復に努めてまいりたいというふうに思っております。
  203. 大田昌秀

    大田昌秀君 若干古い話で恐縮でございますが、平成十二年の七月に九州・沖縄サミットが開催されました。その費用は過去のサミットに例がない八百十四億円に上り、そのうち警備費に三百二十七億円を掛けたと報じられました。実際、総額は幾ら掛かったのでしょうか。そのうち、主要な項目の内訳を簡単に教えてください。  また、地元への経済的波及効果を含めて、九州・沖縄サミットの目的は達成されたと外務省はお考えでございましょうか。
  204. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 九州・沖縄サミットの関係予算につきまして、政府全体では、ただいまおっしゃられましたとおり、約八百十五億円でございました。そのうち外務省関係としては、これは支出額の方でございますけれども、決算の方でございますけれども、平成十一年度、十二年度の合計は約百七十三・五億円ということでございます。  これらにつきましては幾つかの項目というのはございますが、基本的には、事前準備会合等に関する経費、会議実施に関する経費、プレス関係に関する経費、広報・文化関係に関する経費、それぞれ項目が立ててございます。もちろん、この中にも会場借料等、外務省の関係のものが入っております。  それから、関係省庁の予算につきましても、道路、公園あるいは空港等の整備等も含めまして、それぞれの費用の中で支出をされたというふうに理解をしているわけでございます。  したがいまして、こういう一連の沖縄における予算の消化の結果としては、直接的にはそういう形で県の方に経済的に裨益したものもあると思いますけれども、より大きな意味では、やはり沖縄でこういうサミットを開催したと、このことによって非常に沖縄としてのメッセージというものが発出されたということについての非常な経済的効果が大きかったんではないかというふうに考えております。
  205. 大田昌秀

    大田昌秀君 サミットの際の警備隊の弁当は県外に注文されたと報道されたわけなんですが、それは事実でしょうか。
  206. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 外務省としてはその点について実はお答えする立場にないわけでございますが、私どもとしてはそういうふうには承知をしておりません。県外の方に頼まれたというふうには承知をしておりません。
  207. 大田昌秀

    大田昌秀君 報道は事実に反するということでしょうか。
  208. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) いえ、それは私が直接責任を持って実は答える立場にないんでございます。むしろ、警察の方にお伺いしていただければと思うんでございますが、私の承知している限りはそういうふうに仄聞をいたしております。
  209. 大田昌秀

    大田昌秀君 平成十三年度の防衛庁関係予算のうちSACO関係の予算額は、当初予算に補正予算を加えて四百二十四億五千万円余でありましたが、決算は二百八十二億円余で、次年度への繰越しが百二十九億円余りとなっています。  決算ベースで結構ですから、平成八年十二月のSACOの合意以来、平成十四年度まで、さらに平成十五年度予算について、SACO経費の年度ごとの額及びそのうち普天間飛行場の返還等、代替施設の建設計画にかかわる支出額について簡潔にお答えください。
  210. 生澤守

    政府参考人(生澤守君) お答えいたします。  SACO関係経費の各年度別の支出済額でありますが、平成八年度が二億円、平成九年度が約九十三億円、平成十年度が約百六十二億円、平成十一年度が約二百二十五億円、平成十二年度が二百十五億円、平成十三年度が約二百八十二億円、平成十四年度が二百六十二億円でありまして、また平成十五年度の予算のSACO関係経費は約二百六十五億円でございます。  なお、普天間飛行場の代替施設の建設にかかわる平成十四年度までの支出済額につきましては、総額で約九億円でございます。また、平成十五年度の予算の代替施設の建設に係る経費は約十四億円となっております。
  211. 大田昌秀

    大田昌秀君 SACOの最終報告に基づいて、日米安全保障協議委員会は、日米安全保障高級事務レベル協議の監督の下に、普天間実施委員会、つまりFIGを設置いたしました。現在のFIGのメンバーと、これまでFIGは具体的にどのような作業をされたか、御説明ください。
  212. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 普天間実施委員会でございますけれども、この構成は、日本側は外務省の北米局の参事官それから防衛庁の防衛審議官が共同議長ということになっております。米側は国防省の次官補代理が議長ということになっておりまして、その下、それぞれ、日本側におきましては外務省防衛庁、防衛施設庁及び統合幕僚会議事務局等の関係者がメンバーになっておりますし、米側におきましては統合参謀本部、太平洋軍、在日米軍及び在京米国大使館等の関係者がメンバーになっております。現在までのところ六回開かれております。平成九年に四回、その後、平成十二年及び平成十四年に開かれております。  それで、作業の内容でございますけれども、平成九年に先ほど申し上げましたように会合を重ねた後、平成十二年十月の会合におきまして、代替施設、普天間の代替施設における米軍の運用所要等具体的な検討事項につきまして日米間で緊密な協議を継続していくと、そのために、これは課長レベルの部会がございまして、その部会におきまして技術的、専門的な観点を踏まえながら協議を進めていくということで、それを進めてきたわけでございまして、それを踏まえて、昨年の十月二十三日に行われた会合におきまして、米側から、日本政府が米側と密接な協議を踏まえて基本計画を決定したことを評価するという旨の発言がありました。  今後、基本計画に基づきまして普天間飛行場の移設・返還に向けた作業を進めていくということで一致をいたしまして、昨年の十二月に行われましたいわゆる2プラス2、これは川口大臣が御出席になられましたけれども、石破防衛庁長官も御出席になられた会合でございますが、ここでFIGからの報告を受けて、基本計画に基づいて普天間飛行場の移設・返還を迅速に進めるということを確認がされたということでございます。
  213. 大田昌秀

    大田昌秀君 財団、これは直接的に決算と関連ないんですけれども、お伺いさせてください。  財団法人日本自然保護協会が、去る四月十七日付けで、外務大臣防衛庁長官及び環境庁長官に対して、現在防衛施設庁が推進しているボーリング調査に対する意見書を提出しています。それによりますと、海底ボーリング調査地点のうち、地点のうち十八か所は海草の分布範囲内にあり、海草藻場の生育やジュゴンの生息に多大な影響を与えると予測されるとして、防衛庁長官は今回の現地技術調査を環境影響評価手続によって影響がないと判断されるまで中止すべきであると、特に海草藻場に多大な影響を与えるボーリング調査に着手すべきではないと要請しています。  石破防衛庁長官は、この要請をどのように受け止めておられますか。
  214. 生澤守

    政府参考人(生澤守君) 現地調査でありますが、今後、現地におきましてボーリング調査としまして六十三か所で行うこととしております。  この調査に当たりましては、平成九年度に当庁が実施したボーリング調査、十五か所あるんですが、の経験を踏まえまして、ジュゴンを含む環境に十分配慮しつつ実施すべく具体的作業計画を作成しているところであります。  例えば、ボーリングは四つの調査区域においてそれぞれ順次実施すること。ジュゴンは一般に夜間の満潮時期に浅瀬の海草藻場で採餌を行い、干潮時や日中はやや深い海域に戻ると言われていることを踏まえまして、日の出から日没までの間で作業時間を設定すること。作業中の汚泥漏れ防止対策、オイルフェンスの設置など海水汚濁防止を行うこと。あらかじめ潜水調査を行い、藻場やサンゴ礁、サンゴ等、海底の状況を確認の後、調査地点等を調整することとしております。  かかる環境への配慮につきましては、専門家や環境省にも助言を求めた上で遺漏なきを期すこととしております。
  215. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛庁長官外務大臣はこの要請書をお読みになりましたか。若しくはスタッフからこの件についてお聞きになったことがございますか。
  216. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このような件につきましては、既に説明を受けております。
  217. 大田昌秀

    大田昌秀君 外務大臣、いかがですか。同じ質問です。
  218. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 話は聞いております。
  219. 大田昌秀

    大田昌秀君 関連して、環境省、おいででしょうか。環境省にお伺いいたします。  環境省は、今年の夏から普天間代替施設建設予定地の海域等で環境影響調査を行う予定ですが、その調査の前に、環境に影響を与えるおそれのある今回の那覇防衛施設局の海底調査について、防衛施設庁などから何らかの事前の相談があったんでしょうか。もしあったとすれば、環境省としてはどのようにお答えになったんでしょうか。
  220. 炭谷茂

    政府参考人(炭谷茂君) ただいま御指摘のありました現地技術調査につきましては、護岸構造検討に必要な地形、海象及び地形などのデータを収集するために実施するものとお伺いをいたしております。環境省といたしましては、調査の実施そのものに伴う環境への影響を回避し又は低減するために、藻場等への影響を含め、可能な限り環境への影響の少ない調査方法が選定されることが重要と考えております。  御指摘のボーリング調査につきましては、地質調査として今後作業を開始すべく、防衛庁において現在具体的な作業計画を検討されているというふうにお伺いをしております。ボーリング調査を始めとする現地技術調査の実施に当たりましても、本年一月の県代替施設建設協議会において、防衛庁から地域の生活環境、自然環境に十分配慮しながら作業を進めていく旨の御発言があったというところでございます。環境への影響ができる限り少なくなるよう措置されるものと考えております。  環境省といたしましても、今後とも、防衛庁から現地技術調査について説明をお伺いし、必要に応じて環境保全の観点から助言を行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  221. 大田昌秀

    大田昌秀君 終わります。  ありがとうございました。
  222. 中原爽

    委員長中原爽君) 他に御発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会