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西山登紀子君 これは、非常にこの法案
改正の
趣旨説明、そして背景の
説明にはとどまらない非常に具体的で、しかも非常に重い内容が
趣旨説明としてここに盛り込まれておりまして、私大変奇異な感じを受けたんですね。
いろいろ調べておりますと、やはり今度こういう
自由化法案を出すに当たっては、いろいろな利害関係の
意見の調整等もあり、何か与党の方で、やっぱりこの
提案理由説明の中にこのことをきちっと入れておかないと提出にこぎ着けられないというような事情もあったやにも聞いておりますけれ
ども、
国民にとってそれではどうかということになりますと、これは非常に重要な問題が私は含まれているというふうに思います。
つまり、この六行をここに書かなければ、この法案が提出されなかったということなんですね。この法案の提出のこの六行は前提条件になっているということなんです。しかし、よく
考えてみますと、この六行をここに書いたということは、この
自由化法案の、実は法案全体の前提が崩れるということになっている。その点を、いろいろ
考えておりますと、やっぱりそこに突き当たってしまうんですよ。
それはなぜかといいますと、昨年の一月に
電気事業連合会の会長の南さんという方が核
燃料廃棄物処理には約三十兆円掛かるという試算を発表されてびっくりしたわけですけれ
ども、この三十兆円という額についてはいろいろ
議論があっておりますが、
電力の
自由化を前にして、
公益的課題のうち、自然エネルギーと
原子力発電は
市場経済に乗り切れない部分があると言って、
国民的な負担を求めたわけです。原発は安いという立場を捨てて、原発の建設とバックエンド費用は国の負担で面倒見てほしい。つまり、
市場経済にはなじまない部分、
電力なんですよということをあえておっしゃったわけでございます。
そして、いろんな
電気事業分科会なんかの報告なんかを見ておりますと、やはり電事連というのは、
原子力の
推進とそれからバックエンドの面倒を見るということと併せて
小売全面自由化を受け入れるということを表明されているわけでございます。
ですから、こういう形で六行をきちっと入れて、電事連の立場もきちっと保証しましょうねという形でこの法案が出ているわけですけれ
ども、
大臣にお伺いしたいんですけれ
ども、原発というのは一番安い
電源だというふうに宣伝もしてきたけれ
ども、そして今自由
競争の中に実際入っているわけですけれ
ども、しかし使用済
燃料の処理だとかそれから廃炉のいろいろな処理等々と、三十兆円という額については今余りおっしゃっていないようですけれ
ども、非常に高い
コストが掛かるということになりますと、原発というのは
市場にはなじまない、原発の発電
コストは非常に高いんだということになりますと、これは
競争にはなじまない
電力だということになってしまいます。そのことを認めると。そのことを認めて、この六行を入れるということは、
政府がそのことを認めたということになってしまって、
自由化の法案を審議しているんだけれ
ども、その四割を占める
原子力という
電力が実は
市場競争にはなじまない
電力なんだということを一方で
趣旨説明のところで既に
政府が認めてしまって、非常におかしな提案になっております。
もう
一つ併せて、
大臣、お伺いしたいのは、バックエンド、バックエンドのいよいよ事業全般にわたっての検討が必要になってきたということなんですけれ
ども、これはもう四十年来ですか、トイレなきマンションだということで私たちは最初から言ってきたことなんですけれ
ども、どんどんどんどん進んできちゃった。
このバックエンドというのは本当にまだブラックボックスです。どういう処理方法をしてどれだけのお金が掛かるかなんということは本当に明らかになっておりません。その中で、しかし原発のバックエンドは国の責任で行いますよという約束をこの六行は与えたということになります。
丸投げという言葉をよく今使われておりますけれ
ども、私はこれは丸受けだと。
政府が丸受けしますということをこの法案の
趣旨説明の中にぼんと入れちゃったと。これは非常に重要な責任を
大臣お感じいただかなければいけないと思うんですけれ
どもね。その点どうでしょうか。この六行というのは単なる法案の
趣旨説明の六行ではないと。それほど重い六行だというふうに思いますけれ
ども、いかがでしょう。