○櫻井充君 ありがとうございます。
例えばガスより若干高くなったとしても、ガスコンロならガスコンロにしても、少し高くなったとしても、それが自分たちの健康に返ってくるんだということをはっきりさせて、そうすることによって、こういう社会を作るために少しコストが上がりますと。
ですが、そのコストが上がるということは一体何かというと、逆に言うと、私はデフレから脱却することなんだと思っているんですね。付加価値なんだと思うんですよ。デフレからの脱却というのは付加価値をどう付けていくかであって、申し訳ないんですけれども、ある会社のハンバーガーは五十九円のとき物すごく売れて、八十円に上げた途端に売れなくなったわけですよ。要するに、それは実力は結局五十九円の価値でしかないということなんだと思うんです。
そうではなくて、そのもの自体の値段ということを考えてきたときに、どういう付加価値を付けていくのかと、どういう付加価値を求めていく社会にしていくのかということが極めて重要なことでして、私は、そういう
意味でいうと、医者だからかもしれませんが、体にとって安全であるとか安心である社会を目指していくべきではないのかなと思うんです。
ちょうどそれと対極を成してくるのは、これはどうか分かりません、総務省に怒られそうですが、テレビをデジタル化しましょうと。二〇一〇年まで全部デジタル化するとたしか
経済効果が二百七十兆円だという試算をしていたかと思いますけれども。
あのことをやることは、要するに地上波の鉄塔のところを全部取り替えたり、それから、今使っているアナログテレビが全部映らなくなるからみんなテレビを買い換えなきゃいけないと。じゃ、そのテレビを買い換えたら一体何のメリットがあるのか。要するに、クイズ番組で、今まで電話だとかファクスで送っていたのがボタン
一つでそちら側に参加できるぐらいでしてね、あとは、
一つのチャンネルで三つのチャンネルが映るぐらいですから大したメリットというのはないわけですよ。それよりも、もうBSやCSでデジタル化されているわけですから、それからインターネットテレビだってこれから実現されてくるとわざわざ地上波をデジタル化する必要なんというのは僕はないんだと思うんですね。これは片山さんに怒られそうですけれども。
ですが、そういうところにお金を使って二百七十兆円の
経済効果ですよと言ってもなかなか納得してくださらないけれども、自分たちの体の安全だとかいうことになってくると、ここは皆さん、お金使っても余り文句を言わないんですよ。
それで、ちょっと医療の話にさせていただきたいんですが、医療の現場の中で一番、じゃ医療費が高いということが今一番問題になるかというと、
大臣、このことはないんですよ。一番
最初に上がってくることは何かというと、自分たち患者さんの話を聞いてくださいとか、人間らしく扱ってくださいとか、もっときちんと
説明してくださいということでして、医療費が高いとかそういうのは四番目か五番目かそんなぐらいのレベルなんですよ。
そうしてくると、それからもう
一つ言いますと、私は、ちょっと時間がないので話をさせていただくと、
日本の医療費というのは決して高いわけではありません。それは何かというと、例えば盲腸を例に取っていいますと、アメリカは一泊二日で二百五十万掛かります、盲腸の手術で。一泊二日ですよ。
日本は、一週間入院しますが三十万程度で済みます。これは保険から全部、給付されたものも全部合わせてです。自己負担ではありません。そのぐらいアメリカと
日本の医療の技術料というのは違っていますから。そうすると、同じだけ稼がなきゃいけないということになれば、入院患者を多く診なければいけないということになります。
アメリカで外来をやったときに、患者さんを診て、十人から十五人ぐらい診ると結構もう多い方になるんですよ。そうすると十分な
説明ができるわけですよ。私、医者の時代、多い日は七十人から八十人外来を診ていました。これでどうやってきちんとして、いや、なるだけ早く
説明していましたよ、きちんと。あるときはまとめて三、四人そこに来てもらって、新患の人は、ぜんそくとはこういうものなんだって全部
説明もしていました。ですが、限界があるわけですよ。そうすると、
大臣のここの医療サービスの中で、効率化を図りましょう、効率化を図ることによって別な部分にその資源を振り分けて、しかも五十五万人増やせるんだと、こう書かれていますが、私はこれは絵にかいたもちだと思っているんです。
要するに今の、もう
一つ申し上げますと、イギリスは財政、サッチャーのときに財政再建をやろうとして医療費を削減しました。その結果、GDP比で言うと、今たしか六・八%ぐらいだったかと思いますけれども、世界で二十何番目ですね。先進国で
日本よりもGDP比で医療費が少ないのはイギリスだけです。
日本が七・数%で、ドイツやフランスなどは一〇%前後です。アメリカに至っては一二・何%ですから。そのぐらい世界の国々は多いわけですよ。
日本の医療費というのは極めて安いんです。
医療の評価というのは三つありまして、
一つはコストなんです、
一つはコスト。もう
一つはアクセスなんです。それからクオリティーです。アクセスというのはどのぐらいの時間で診てもらえるかということです。今イギリスはどういう
状況にあるかというと、救急車で運ばれて、次の日来いです、予約で。アメリカに至っては、
民間の保険会社にまず電話をしなきゃいけなくて、そして、その
民間の保険会社でどこどこ病院に行ってくださいって、一週間なんです。がんの場合で診断付いてから三か月後に手術をしたとか、そういうこともあるわけなんですよ。その
意味で言うと、
日本はコストは低いし、それからアクセスは極めていいんです。問題になるのはクオリティーのところだけなんですよ。それを、じゃ株式会社化したら良くなりますかという話なんです。
皆さん、なぜか株式会社化すると競争原理が働いて良くなるというようにお考えですけれども、株式会社化になると間違いなく医療費は高くなります。なぜかというと、今、株式会社化と同じようなことを医療の現場でやられています。どういうことかというと、今までこの点数は取っていなかったから、これは点数取れるから取りなさいと事務の方から全部言われるんです。まだ私は月に二回働いていますからよく分かるんですが、判こを押さされて、その上で、これを書いてくれと言われて、全部書くんです。今まで取ったことがなかったようなやつまで、これは慢性疾患指導料で取れますから取ってくださいって。そこの病院も結構危ないものですから、財政再建のために。本当ですよ。こういうことになっちゃうんですよ。
効率、医療というのは今収入というのはほとんど保険点数ですから、保険点数から入ってくるためには、保険点数が高くなる患者さんを集めるか、それかあとは数を一杯診るか、若しくは無駄な
検査を一杯して、頭が痛いと言ってきたらすぐCTとか、何とかがあったらすぐ胃カメラとか、そういう
状況になっちゃっているわけなんですよ。ですから、株式会社化になったらさもバラ色のような形になると思われていますが、私は全然違うと思っているんです。その辺の
大臣のちょっと御
認識をお伺いしたいんですが。