○岩佐恵美君 私は、非常に未
認定の
患者さんが大問題だというふうに思っているんですけれども、川崎市の場合、九九年十月に川崎市の医師会所属の三百九十六医療機関で受診をされた市内在住の
気管支ぜんそく患者さんは一万五千七百三十七人、このうち
認定患者さんは千五百十四人、つまり九割以上が未
認定の
患者さんなんですね。
多くの
ぜんそく患者の
方々が何の救済も受けられずに苦しんでおられます。
東京の
大気汚染訴訟では、一次から四次までの原告五百十八人のうち百八十八人、三五%が未
認定の
患者さんです。未
認定の
患者さんは、毎日毎日、それこそ朝昼晩襲ってくる発作の苦しみと死の恐怖に加えて、休業、失業に追い込まれる、何の
補償もない。そういう生活苦と重い治療費
負担のために満足な治療も受けられない。そういう中で、症状がもっともっとひどくなっていく、二重三重の苦しみにさいなまれている。
この点について、お二人の具体的な事例をここで紹介させていただきたいと思いますが、六十二歳の女性の方ですが、
平成六年、五十四歳のとき
気管支ぜんそくと診断されました。住んでいるところは北区の豊島五丁目団地です。ベランダからは荒川を挟んで首都高速がすぐ近くに見えます。
ぜんそくになった年は一年で四回、合計九十三日間入院し、
医療費は合計で五十万円になりました。私は未
認定なので、
医療費の補助は何もありません。その後も年に何回も入院し、
医療費は多いときで年に七十万円くらい掛かりました。ここ数年は入院した方がよいと何度も言われても、お金が掛かるので断ってきました。でも、入院しなくても、点滴、吸入、飲み薬で
医療費は年に二十万円くらい掛かります。今年になって、とうとう二週間近く入院しました。酸素吸入と点滴を一週間やりっ放し、ベッドも立てたままの状態でした。寝られないんですね。
ぜんそくと言われて八年以上になります。初めの二年間は泣いてばかりで精神的に参ってしまいました。
平成六年から今までの
医療費の合計は三百万円くらいになります。同じ
ぜんそく患者なのに、同じ治療をしているのに、どうして未
認定患者は
医療費が無料にならないのですか。このままでは治療を続けることができません。せめて
医療費だけでも無料にする
制度を一日も早く作ってほしいです。大変ささやかな、そういう要求をされておられます。
もう一人の方は、五十二歳の男性の方です。
私が
気管支ぜんそくを発症したのは十六年ほど前、三十六歳のときです。営業と配達に車を使い、朝から夜まで
東京の幹線
道路を走り回っていて
ぜんそくになったのです。
ぜんそくになってから
仕事も休みがち、会社もうまくいかなくなり、やがて働くことができなくなりました。生活苦から妻との
関係も悪化し、ついに離婚しました。夜中に発作を起こして病院に行くと、タクシー代も含めて一万円は飛んでしまう。十日間入院すると六、七万円も掛かりました。わずかな蓄えもすべて
医療費と生活費で使い果たし、いよいよ病院に行くお金もなくなり、もう死ぬしかないと思ったこともあります。
ぜんそくを発病する前は妻と普通に結婚し、二人の子供に恵まれ、毎日元気で働いていました。会社をもっと大きくしよう、ささやかな夢がありました。しかし、
自動車の排ガス
公害は私の人生からすべての夢と希望を奪ってしまったのです。私のような人間をこれ以上出さないでほしい、
公害患者はだれでもお金の心配をしないで病院に行けるようにしてほしい、そう心から願っています。
お二人のちょっと具体例を紹介をさせていただきましたけれども、
大臣、この苦しみをいつまでも放置していいんでしょうか。
行政の不作為の上に加えて、今も今日のこの
委員会で押し問答をして何からちが明かない、こんな状態をいつまでも続けていい、そう思われるのでしょうか、いかがですか。