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阿部正俊君 自民党、保守党を代表してといいましょうか、
代表質問じゃありませんので、そういった
立場で
お話を、御
質問をさせていただきたいと思います。
今日は幸いにもといいましょうか、テレビが入っているということでございますので、むしろ、私
どもの
言葉と同時に、これは大事な国の
進路にかかわる問題でございます。
衆議院を通過した段階で何となく事が終わりかなというような
感じがありますので、これは慎重に慎重を期して、これからの
日本の
進路を決める一つの
政策だと思いますので、これは参議院の、事改めてもう一度検証して、誤りなきを期し、かつ、
国際政治の中での
日本の在り方ということでの
総理の
決断ということを受けた、それに引き続く
支援策ということになると思いますので、そういう
意味で少し、余り袋小路に入るようなことなく、基本的な
国民の
理解を得られるようなことを
総理の方から
お話しいただくということを中心にして、その
理解を深めていきたいなと、こんなふうなことで
お話をさせていただきたいと思います。
まず、
百聞は
一見にしかずということがありますので、私も、この任務を引き受けるに当たりまして、二十日から二十五日まで
バグダッド、
イラクを訪問し、
バグダッド、
バスラを、行ってまいりました。大変厳しい
状況下での極めて限られた日程でのことでございますので、私
どもの体験してきたことは、まあ、葦の髄から天井をのぞくという話はちょっと極端にしましても、ほんの一部かもしれませんけれ
ども、その
百聞は
一見にしかずということの気持ちはひとつ大事にしてお聞きいただきたいものだなと、こんなふうに思います。
ともかく、とかくこの
外交・
安全保障論議といいますのは、頭の中の体操のような
論議がどうも余りにも、私の、素人からしますと横行しているように思いますので、そうではなくて、
国際国家日本の中でどういうふうな
進路を私
どもは取るべきなのか、取った以上はそれに対する
我が国民としての責任がある、こんなふうな
立場をもっとしっかり踏まえて
論議してほしいものだなと、こんなふうに改めて思った次第でございます。
行って、わずか五日間の旅でございましたけれ
ども、ヨルダンのアンマンから入りまして、八百キロ余りの立派な
道路を、
砂漠の真ん中を百キロ以上の
直線距離をつなぎ合わせたような
道路でございますが、片道三車線の
道路を通りまして
バクダッドに入りました。後で触れますが、この
道路はどうも一九八〇年代、いろんな
日本の
経済協力の中で
日本の
企業が造った
道路だというふうに聞いておりますので、その辺の
事情は後ほど
外務大臣等から御説明いただければ有り難いというふうに思いますが、
砂漠の中の
道路を通りまして
バクダッドへ入りました。
砂漠といいますと、いわゆる月の
砂漠という童謡がありますが、それに歌われるような、何となくロマンチックな風景を思い浮かべるのが私
ども日本人の通性かと思いますけれ
ども、どうも様相が違うと。本当に荒れ荒れた
荒地というふうに言った方がいいというふうに思います。乾燥し切った
荒地、茫漠たる
荒地、しかも遠くには蜃気楼が全部立っているというふうな灼熱五十度の大地というふうな中での
国土でございます。
やはり我が緑あふるる、今、梅雨でございますけれ
ども、雨が降りますと、どうも、あいにく今日は雨でと、こういう
言葉が
日本でははやりでございますが、主流でございますが、帰ってきて翌々日、私、結婚式の仲人だったんです。雨が降りました。大抵の方々の御祝辞は、あいにく今日は雨でして、悪路にもかかわらずと、こういうことが
まくら言葉でございましたけれ
ども、どうも
バクダッドからの帰りになりますと、あいにくじゃなくて、雨こそ幸せのもとだと、こんなふうな
印象が、深くして帰ったわけでございますが、
我が国土の、ある
意味での水の有り難さ、緑の景観の見事さというのを改めて思った次第でございます。
そんなふうな感想はともかく、具体的な話へ入りますが、やはり私の受けた
一言で言うと
印象は、
バクダッドの二日間の滞在、それから
バスラの、移行してのいろんな話を聞いた中で、様々な市街地を見るにつけ、どうも、
戦火による荒廃というのもあります、もちろんピン
ポイント爆撃でやられた
政府関係の
ビルというのは散在いたしますが、同時にそれと同じ程度にありますのは放火された
ビルあるいは
略奪に遭った
ビルというのが物すごく多いわけですね。これはちょっと意外でした。これはやはり敵、味方ということでの
戦火による被害というよりも、国全体の、何というか、疲弊といいましょうか
惨状といいましょうか、というものであって、端的に、短絡すれば
四半世紀にわたる
フセイン政権の圧政といいましょうか、あるいは
政治の悪さが今日を招いた
イラクの
惨状なんじゃないかということを痛感いたしました。
ある
国立病院に私
ども参ったんでございますが、その前に大きな
戦車が置いてありまして、依然として、一体何で
爆撃とか何とかないのに
戦車が置いてあるんだと言いましたら、むしろ
略奪を恐れていると言うんですね。
病院ですら
略奪、今ですらあり得るという話でございまして、これは非常に悲しいことですけれ
ども、現実でございます。
そういうときに、むしろ、小銃を持った
隊員を置いておけばそれは十分なのかもしれませんけれ
ども、そのとき、撃ち合いが始まってしまったら困るんで、むしろ、何というかな、十あればいいところを百の防備をすることによって全体の事故の発生を防止するという
意味での
戦車の配置というふうなことで置いていたわけですね、そんなふうなことでございました。
やはり、これは後でお尋ねいたしますが、全体のことで、
戦争について、何か
大量破壊兵器あるいは
生物化学兵器があるかないかというのがいかにも何か一番の水戸黄門の印籠のような形に位置付けられておりますけれ
ども、逆かな、位置付けられておりますけれ
ども、それだけじゃなくて、その
背景には、そういうこと言っちゃちょっと
総理、お困りになると思いますけれ
ども、私
どもがそういったふうな
アメリカの
武力攻撃、
米英の
武力攻撃を支持し、かつ
総理の
決断でそうしたふうな
立場を取ったということについての
背景には、
フセイン政権の存在というのはあったろうと思うんです。この
政権が
イラクの
国民のためにも果たしてなるのかなというふうな思いがあってのいろんな
武力攻撃への容認ではなかったかなと思います。
そんなことも含めて、次の、これからの
質問に入っていきたいと思います。
したがって、あらかじめ言っておきますが、そういう中での
米英の
武力攻撃への支持でございますので、その
復興についても、
自衛隊のできる範囲をもちろんのこと、それを超えても
日本としては、
国際国家日本としては、その
復興のために相当な
覚悟で取り組んでいかないといけないと改めて思った次第でございます。それは、
イラク国民のためにも、
世界平和のためにも、もっと別の
意味からすると、
我が国の
国益といいましょうか、
我が国にとって、人から言われてやるんではなくて、
我が国にとっても主体的にこういうふうなことで
復興に協力していくことが必要なんだということをもっと
国民に訴えていかなきゃならぬなというようなことを私自身思ってまいりました。
既に十三か国が派遣し、
米英を入れると十五か国ですか、
イラクに
支援を行う
体制を整え、かつ十四、五か国が既に派遣を決定しているというふうな
状況でございます。国際的な国挙げてそれに協力するという
体制ができ上がりつつありますが。
それで、まず
最初に
総理にお聞きをしたいんでございますが、そういうことで、
イラク復興支援をなぜ今私
どもが急ぎこれだけの急遽立法をしながらやるのかということをもう一度御説明いただきたいんです。
と申しますのは、私も、言わばよく
政治家は地元に帰ってこういう話をするわけでございますが、話をしますとみんな驚くんです。
阿部さん、よく
イラクに行ってきたなと、こう言うんですけれ
ども、でも一方で、でもよう
阿部さん、
イラク復興よりも
景気回復を早くしてくれよなと、こういう話が率直に
国民の中から出るわけでございますね。そうすると、やはり私
どもの
国民性かもしれませんけれ
ども、どうしても身内のことに、考えがそこから出ませんで、今や
日本というのは
国際国家日本になっているんだということをもう少し
理解した上での
イラク支援の位置付けなんじゃないのかなと、こう思うんでございますけれ
ども。
そんなことも含めて、
総理にどうかひとつ、
イラク支援というのは、例えば今
G7、G8とか
G7なんかに
総理も出席されておりますけれ
ども、正に
世界の大国でございます、言わばいろんな
意味での、というようなことでの
国際国家日本としての
イラク支援だというようなことを明確にし、かつそれが
我が国の
国益に沿うことなんだということをおっしゃっていただきたい。何かよそから頼まれてやるんだというような発想ではなくて、
我が国の選択としてそういうことをやるんだということを是非お願いしたい、こう思います。
それから、国際的な
常識からしましても、もし仮に
米英軍の
攻撃を支持した
日本が手をこまねいて何もしないで見ていると、傍観していたということになるならば、私は
国際常識からして果たしてどうなのかなという
感じがいたします。どうかそういう視点で、
国民のそうしたふうな素朴な感情、一方での
国際国家日本としての責務というようなところのずれといいますのは、そう生易しいものではないんじゃないかなという気もするわけでございますので、どうかひとつその辺について、まず
最初に
総理から
我が国のためだということを基本にした
考え方を率直にお答えいただきたいというふうに思います。お願いします。