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国務大臣(
川口順子君) まず、二つの御質問のうちの二番目の方、判断は今も間違っていなかったかと
考えているかということのお答えの方が簡単ですので、そちらを先にお答えをします。判断は間違っていないというふうに今でも
政府としては
考えております。
それで、その理由というのが、最初に、いかなる理由によって武力行使を
支援したかというのと同じ理由ですので、それを次に申し上げさせていただきたいというふうに思います。
まず、これは何回も繰り返していることでありますけれども、
イラクには多くの大量破壊兵器に関する疑惑がある。これは、例えばUNSCOM、UNMOVICという査察団が入ってずっと査察を行っておりますけれども、
イラクは
幾つかの、二十九ございますけれども、疑惑について、
自分で持っているという申請をしているわけですね。例を挙げますと、例えば生物化学兵器用の特殊弾頭は七十五発保有をしている。それから、化学剤、マスタード、サリン、タブン、これらについては三千八百六十トン、VXは三・九トン、炭疽菌は八千四百リットル等々ということを
イラクは申告をしています。それから、それに加えて、
クルドあるいはイランに対して使ったということも事実であるわけです。
それで、国連の査察団、UNSCOM、UNMOVICがずっと入って、それを廃棄をするのに立ち会ったりしているわけですけれども、それについて、
幾つかの点について非常に疑惑が残っているということを言っています。例えば、VX三・九トンということが、生産をしたということは
イラクが自己申告をしていますけれども、そのうち一・五トン、
イラクは廃棄をしたということを、これは自己申告、検証がないわけですが、しています。
イラクの申告に従ったとしても、引き続き二・四トン以上が未確認である。しかも、一・五トンを廃棄をしたという申告については検証はできていないわけです。それから、炭疽菌についていいますと、
イラクは八千四百リットル作ったということを自己申告をしているわけです。そして、廃棄を八千四百リットル以上したというふうに
イラクは言っていますけれども、これの裏付けがなく、これはUNSCOMの報告によりますと、申告の裏付けがなく、かつ申告量の三倍は生産をしたと
考えているということで言っております。そして、UNMOVICは、これは武力行使の直前の段階での話ですけれども、約一万リットルの炭疽菌が廃棄されずに残っていると
考えられるということを言っています。これはたくさんあと挙げられますけれども、一部だけ申し上げるとそういうことであります。
ということで、大量破壊兵器について、いまだ持っているか、あるいは隠匿をしたか、あるいはそれについて査察団が分からないところで廃棄をしたか、どっちにしてもそういうことであるわけで、したがって
イラクが全く持っていない、あるいは全部廃棄をしたという
状況ではなかったということであります。
それで、そういった査察への非協力を始めとして、
イラクが関連安保理の決議に重大なる違反を継続的に犯していた、これは一四四一によって
国際社会が一致して決定をしているわけですね。ここはもう全会一致ですから、疑いの余地なく決定をしているということであります。
そして、度重なる
国際社会の
イラクに対する慫慂にもかかわらず、そして一四四一で
自分が潔白であるということを
イラクは証明をする最後の機会を与えられたわけですが、この機会も
イラクは使おうとしなかったということがございまして、また一四四一は、それについて虚偽の報告をしたり、あるいは報告を省略したり、そういうことをした場合にはこれは更なる違反を
構成するということも一四四一は決定をしているわけです。
そういったことの後、
イラクに対して武力行使なしには大量破壊兵器の脅威を除去し得ないという
状況に至って、この大量破壊兵器の脅威というのは
我が国にとっても、
国際社会全体にとってもこれは大きな脅威であるわけでして、
我が国としては国益に照らして、同盟国である米国等の関連安保理決議に基づく行動を支持したということであります。
この判断について、引き続き、間違っていなかったというふうに
政府としては
考えております。