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佐藤道夫君 続いて私から、
外務大臣と
防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
条約の
関係につきましては格別
質疑する
案件はないものですから、ストレートに外交問題、
防衛問題についてお二方の忌憚のない
意見を承りたいと、こう思います。
最初に、
イラク問題を取り上げたいと思いますが、何だ
イラクかと、あれはもう
アメリカが
終結宣言をして話は終わった、もういいじゃないかと、こういう感じが
世界の
人たちも胸の中で浮かんでいるかもしれませんが、ただ、どうしてもはっきりさせておきたいことがあるわけでしてね。これは二十一
世紀のある
意味では大変特筆すべき
ような
案件でありますから、後世の
歴史家がこの問題を取り上げて
歴史評論をする場合に、一体これ事実
関係はどうなっているんだ、なぜ当時の
政治家たち、
学者たちはこの点を
議論しなかったのか、不思議としか言い
ようがないと、そういうことを言われたのではやっぱり我々の恥でもありますからあえて取り上げさせていただきますけれども、これは前回も取り上げたんですが、要するに
大量破壊兵器はどこへ行っちゃったのかと、こういうことなんですよね。
ブッシュ大統領が五月一日に
終結宣言をしました。私もテレビを見ておりましたけれども、派手なユニホーム、
飛行服を着て、
航空母艦のリンカーンというんですかね、あそこに降り立ちまして、そして
終結宣言を行ったと。顔は真っ赤に紅潮して目はぎらぎらと輝いて、本当に喜びにあふれている
ような顔でしたけれども、これは
アメリカの
国内じゃ
大変不評でありまして、少しく軽率過ぎるのではないかと。大勢の人の血が流れたというのに彼一人が喜んで、しかも派手な服を着て飛行機から舞い降りて、
戦争は終わったよというふうなことを言っている、一体これはどこの国の
大統領なんだ、
大統領にふさわしくないんじゃないかと、そういうふうな論評もされていたという報道がありまして、私もそれと同じ
ような感覚を抱きました。
私の
考えは、そもそも今回の
戦争、この前も言いましたけれども、
大量破壊兵器の
発見、これが唯一の目的ですから、それが、頑張ったが、頑張って頑張ったが
発見できなかったと。
アメリカが兵を進める、人の血ぐらい少々流れても構わぬ、これは
大量破壊兵器を
発見することが人類の平和のためだと、そういう高々と旗を掲げて侵攻をして、どれだけの
調査をしたのかよく分かりませんけれども、この
大量破壊兵器について
ブッシュ大統領は
終結宣言ではほとんど触れていない。
調査を継続しています、なお数百か所怪しい
箇所があります、いずれそこも
調査いたしますと、これでおしまいなんですね。
そもそも
戦争を開始する
理由が
大量破壊兵器の存在、
発見にあったと。それはそれなりの
理由があって、
証拠があって、いろんな
証拠を積み重ねて、確実に持っていると、よって少々の血が流れても仕方がない、行こうということで
アメリカは乗り込んでいったわけですよ。そして、乗り込んでいったら
大量破壊兵器のことはどこかにやっちゃって、さあ進め進め、バグダッドに到着した、いやフセインを何とかし
よう、そういう話になってしまって、
大量破壊兵器のことにはほとんど触れられていないんでしょう。
これ、昔の
日本ならこの
指揮官は
切腹物ですよ。こういう
理由で
外国、隣の藩と
戦争をすると言って
戦争を仕掛けて、それが全くうそだ、デマ、出任せの
理由だったと、こうすれば、
戦争を始めたリーダーは
切腹をする。今だってこれは同じことで、
大量破壊兵器が
発見できませんでした、いやこれからも
発見します、そんなことで終わる
ような問題じゃございませんでしょう。はっきりと
世界の
人たちの前に、申し訳なかった、我が
アメリカの
見当違いのことであった、これはもう多くの人の血を流して、こんな無駄なことをやって、
皆さん方にも心配を掛けて、よってもって、おれはもう、私は当然辞職をいたしますと、それぐらいの問題なんですよ。後世の
歴史家だって当然のことだと、こう言うでしょう。
ところが、その問題を論評し
ようにも事実
関係がさっぱり分からない。数百か所も疑いのある
箇所があったと言えば、そのうちの少なくとも百か所か二百か所はもう
調査をしているでしょう、
調査をしているとしか思えない。実際やっていないんでしょう、何にもね。数百か所なんというのはでっち上げだとしか言い
ようがないと思いますよ。
現地の
アメリカ軍の
司令官、何といいましたっけね、名前なんかどうでもいいんですけれども、彼は、
イラクの政権は深く深く穴を掘って
大量破壊兵器を隠した、大変な苦労があったんだろう、
余り深く埋め過ぎたもんだからそれを取り出して我々に向かってくる
ような暇がなかったと、こういう談話を発表しているでしょう。もう漫画としか言い
ようがないですよ、こんなことは。
いずれにしろ、こんなに深い穴を掘って、これは人夫を大量に雇って掘らせなきゃいけないわけですから、口をふさぐことは絶対できないんですよ。よくある話は、そういうふうに人夫を雇って穴を掘らして宝物を隠して、その作業を手伝った人夫はその場で皆殺しちゃうと、そして秘密を守る
ようにする。甲斐の武田信玄なんかもそういうことをやったと、こういうふうに言われておりますけれどもね。まあ昔のことならいざ知らず、今そんなことをやる、それならば、大量の人夫の死体がその辺に転がっている、そこを掘ればすぐ
大量破壊兵器が出てくるでしょう。
私、大変疑問に思うのは、こういう問題について、小泉内閣、小泉総理、一体これどうなっているんだろうかと問題を提起して、閣内で
議論をしている
皆さん方も、あなた方の所管ですから、これはこうだと思う、ああだと思うと、いろんな論議をして、その結果をやっぱり小泉さんが国民の前にきちっと発表すべきだと思う。川口外相でもいいんですけれども、あるいは
防衛庁長官でもいいんですけれどもね。そして、こういうことで
アメリカは一生懸命
大量破壊兵器を捜した、人夫を何百人と雇ってあっちこっち掘り返している、
戦争が終わったので今はもう兵士たちにもそれをやらしておる、近々
発見されるであろうと。それぐらいのことをおっしゃれば、みんなも、国民も、そうかな、
余り信用できないけれども、まあ取りあえずちょっと様子を見るかと、こう言うかもしれませんけれどもね。
そこで、一体閣議でどんな
議論が闘わされて、そして小泉さんがこの問題についてどういう
意見を言ったのか。いずれ機会があれば小泉総理から直接この点もお尋ねしたいと思うんですけれどもね。とても私はこのままにはしておけない、後世の
歴史家のためにも事実
関係をはっきりさせておきたいと、こう思うわけでありまして、まず川口
外務大臣、いかがでしょうか。
ずばり答えてくださいね。知らないんなら知らないでいいですから。