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佐藤道夫君 続いて、私から
大臣と
長官にお尋ねしたいと思います。
極めて基本的な問題ですけれ
ども、しかし、考えようによっちゃ大変重大な問題も含まれているのではないかと思いますので、どうか熟慮の上、忌憚のない御意見を承れば幸いだと思います。
最初に、今流行のマスコミでも毎日取り上げられている
イラク問題、
イラク戦争についてお尋ねします。
もう戦争の帰趨は
見えた、
アメリカは近々勝利宣言をするのではないかと、こういうふうにも言われております。確かにそのとおりだと思いますよ。しかし、勝利宣言、戦争の目的を達したと。この戦争の目的は何かと、たった
一つなんですね。
大量破壊兵器、
イラクが隠している、それを探索して世界平和に寄与しようと、こういうことで始まったわけで、ところが、戦争が始まりますと、もう
大量破壊兵器についての
アメリカのコメントもほとんど出てきませんし、またマスコミも、その問題を避けているのか、もう忘れたのか知りませんけれ
ども、
アメリカ軍はあそこまで進攻していった、バグダッドを包囲した、間もなくフセインの首を持ってくるだろうと、こんな話ばっかりしているんで、一番肝心かなめな
大量破壊兵器は一体どうなったのか。
国連が査察をしておって、ブリクス
委員長ですか、
イラクは大変協力的だという談話も発表しておりましたが、
アメリカにしてみれば、そんなものはごまかしだと、やっぱり我々が直接乗り込んでいってやらねばならないということで、国連の査察を打ち切らせて自分が、自分たちが乗り込んでいったと。ああいうふうに乗り込んでいくからには
相当な私、根拠があったんだろうと思うんですよ。
我々の社会でも、あいつは泥棒をやっているぞと言えば、これは名誉毀損になります。そう言うからにはやっぱり、しかとした証拠、傍証が必要なわけで、警察が人を逮捕する場合だって、何か目つきがおかしいからあいつは泥棒で捕まえようやと、こういうわけにはいかぬのですよ。もうきちっと証拠を収集して、これなら有罪は間違いないということで逮捕をする。
アメリカの場合はおかしいでしょう。軍隊を派遣して、私、まっしぐらにそれなりの
大量破壊兵器の隠匿場所に向けて軍隊が行くんだろうと思っておりましたら、何と何とそんなことは一切ない。軍隊はバグダッドを向けて進攻しているだけで、
アメリカも、あそことあそことあそこに
大量破壊兵器のこれとこれとこれがこういう
方法で隠されている、そこを向けて
我が国の軍隊は進攻中ですと、結果をごろうじろと、こう言うのと思ったら、何も言わないでしょう。そして、戦争目的は達したと。その戦争目的は何だと言ったら、フセイン体制を打倒することだと。こんなことはだれも言っていなかったでしょう。おかしいとしか言いようがないんですよ。何なんだろうかと。
人の血を流して、多くの人に犠牲になってもらって、
イラクに乗り込んでいって、
大量破壊兵器、皆さん方の血でこれを見付けてきました、これによって人類の平和が保たれましたと言うならば分からぬわけでもない。フセインが隠れている、それを隠したのはシリアかと、じゃ今度はシリアに攻め込もうと。何か話が全然おかしいでしょう。おかしいと思いませんか。
私の友人、知人には法律家、弁護士なんかが多いものですから、皆、やっぱり論理的に考えると
アメリカのやり方おかしいねと。別にイデオロギー的に反米だとか平和愛好だとかそんなことじゃなしに、法律家として
議論していると、この点はどう考えるのかと、そういう
質問を受けることがあるわけでありまして、
大臣も
長官も、やはりいろんな
アメリカの要人たちと会談をして、まず最初にそういう
質問、当然するでしょう。一体どうしたんですか、
大量破壊兵器はどこにあると見当付けて軍隊が進んでいるんですかと。一体何と何と何が、どれだけの量が
イラクが隠しているんだろうか。
アメリカの
情報能力というのはすごいですからね。そんなことは知らない、行ってみなきゃ分からないなんということはちょっと考えられないんですよ、FBI、CIAの
情報機関、全体で十二万人もいるわけですからね。しかも、もう世界一の
情報能力を、収集
能力を持っている。それによって
イラク、金でも使えばすぐ内部の者から
情報提供を受けますからね。私は、そういうことで
情報を収集して、そしてぱっと乗り込んでいって、
大量破壊兵器を発見して、さあどうですか、世界の方々と、こう言うかと思ったら、そんなこと一切ないんですよ。
そこで、
大臣と
長官、向こうのあなた方と同じような
立場にある人と会談した際に、当然この問題は、私、今お聞きしたようなことを尋ねて、一体どうなんですかと、あなた方、人の血を流して何の成果も収めていないじゃないですか、一体いつになったらこういうことは解決するんですか、
アメリカの
情報能力はゼロなんですかと、当然こういう
質問をなさっておると思いますよ。その結果、どういう御回答を得ているのか、それをちょっとここで、この場で披瀝してください。お願いします。