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国務大臣(
石破茂君) 特定の脅威というものを想定をしておるわけではございません。ただ、
北朝鮮について申し上げれば、かつてノドンミサイルが日本海に撃ち込まれたと。そしてまた、テポドンというものが日本列島を飛び越えて太平洋に着弾をしたと。あるいはケリー次官補の発言のように、次官か発言のように、核というものを開発を進めておるということがある。私どもは、脅威だというふうに申し上げておるわけではございませんが、そういう事象というものに重大な懸念を持っておるわけでございます。
じゃ、そのほかについてはどうなのかというふうに問われますと、これは、これも特定の国を指して脅威というものが存在するということを前提に私どもは防衛政策を組み立てておるわけではございません。ただし、新しい時代の新しい脅威というものを考えましたときに、本当に想像もしないような、つまり国家というものであれば守るべき国土や守るべき
国民を持っております。そして、国家というものであれば、例えばNPTであってもCTBTであっても、条約というものの縛りが利くわけでございますし、
国連というものも
機能するわけであります。
ところが、これがテロリストとか集団とかいうことになりますと、守るべき国家とか守るべき
国民というものを持っておりません。また条約とか国際組織というものの制約も受けるものではございません。そういう勢力に大量破壊兵器というものが拡散をしていく、あるいはその運搬手段たるミサイルというものが拡散をしていくというような脅威に対して、私どもはどのようにして国の独立と安全を守るという
観点から
国民に対して責任が果たせるかということは考えていかねばならないことだと思っております。
それから、加えましてイージス艦の御質問でございますが、確かにイージス艦は一隻千二百億ないし千三百億するものでございます。通常の護衛艦に比べまして、単純な比較は困難でございますが、倍以上するというようなことだというふうに思っています。導入の
経緯は、
委員が御
指摘のように、貿易摩擦を減らすためだというような御
指摘もありました。それが事実であったかどうか私は存じませんが、そのような御
指摘もありました。何のためにこんな船入れるのという話もありました。
しかし、今日考えてみますときに、イージス艦が
一つは持っております高い
防空能力あるいは高い水上索敵能力というものは、何も
我が国の脅威はミサイルだけではございません、今も、例えばジェット戦闘機というものもあるわけです。そうしますと、イージス艦というものは、それが高い
防空能力、今までの護衛艦であれば、従来型の護衛艦であれば索敵ができなかったような目標をとらえ、そして回避をすることができる。そして、仮に日本船籍の船を護衛しておるとするならば、こういうものが近付いているからここにいてはいけないというような、そういうような
情報の提供もすることができる。やっぱり私は、高い
防空能力あるいは高い水上索敵能力というものは私は今後も高い価値を持つものだというふうに思っております。
ミサイル防衛について、よくイージス艦は万能だみたいな議論がございまして、イージス艦があれば何だってできるんだというような
お話がございますが、それは間違いでございます。イージス艦一隻だけでミサイル防衛ができるようなことであれば、こんなにミサイル防衛の議論が難航するはずはございません。イージス艦だけでミサイル防衛というものはできません。
ただ、テポドンが発射されましたときに、日本のイージス艦が、
北朝鮮があれは衛星であるというふうに申しましたが、それは違うと、これは
弾道ミサイル実験の
可能性が高いということを
指摘をいたしました。すなわち、その
弾道ミサイルというものがどういうような軌跡をたどり、どういうような航跡をたどって、どの地点に落下をするかというようなことを識別する能力というものはある程度イージス艦は有しております。そういう意味で、イージス艦が
我が国の
防衛力あるいは抑止力、果たす役割というものは私は大きなものがあるというような認識をいたしておるところでございます。