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国務大臣(
石破茂君) 御
指摘のことは本当によく考えてみなきゃいかぬことだと思っています。
これはもう
委員御案内のとおり、例えば
治安出動というものを下令したといたしますね。一般の
警察力をもってしては
対処し得ないということであったとして、
治安出動を下令したといたします。これも
警察権には違いがない。自衛権を使うわけではございません。ですから、対外的に考えてみましたときに、
警察力で
対応するのか
自衛隊が
対応するのかの違いはあるにしても、これは
国内的な作用たる
警察権の行使なんだというふうに私は思っているわけでございます。
治安出動も、そうかといって
自衛隊が出るわけです。実力集団たる
自衛隊が出る。
警察とは違って格段に、戦車でありあるいは機関銃でありというものを持っておる
自衛隊が出るわけですから、それは軽々に
治安出動は下令されてはいけないのであって、それはもう厳格な下令要件があるわけです。
内閣総理大臣が下令するということもございます。
問題は、たとえ少人数であったとしても、それが組織的、計画的な
我が国に対する武力の行使であった場合はどうなんだいということで、実はこれは私もずっと悩んでおることではあるのです。
つまり、全く仮定の話ですよ、全く仮定の話ですが、
警察力をもっても十分に
対応できるような規模の
我が国に対する組織的、計画的な武力の行使という概念が概念上あり得るわけですよね。その場合には、私は理屈からいうと、それはやはり防衛出動なんだろうと思っています。仮に
警察で
対応できるとしても、それが対内的な作用であるがところの
警察権で
対応するということは、それはおかしなことなのだろう。やっぱりそれが
我が国に対する組織的、計画的な武力の行使である以上、それが仮に能力的に
警察権で
対応できるものであったとしても、それは対外的な作用になるわけですから、これは理屈の上からは防衛出動ということになる。それに
警察権を使ってはいけないのだろうというふうに思っております。
そういう判断は、私は、もう一つ
委員が御
指摘になりました
テロリストなるものが、
テロリストなるものが本当に外国の対外
勢力の組織的、計画的な武力の行使みたいな形で行われるとするならば、それはやはり
治安出動ではなくて防衛出動をもって
対応すべきものなんだろうというふうに考えておるわけでございます。ここの整理は、
警察権というものと自衛権、つまり、
治安出動までに使われる
警察権というものと、あくまで自衛権によるがところの防衛出動、そこはきちんと峻別をするということが、場合分け必要なものだろうというふうに思っております。
もう一つ、これはもう
委員も御
指摘だったかと思いますが、
警察が全然
対処できなくなって、小説なんかにございますように、
警察官に多数の犠牲が出たと、あるいは
海上保安庁に相当の犠牲が出たと。それからおもむろに
自衛隊がやってくるということであってはならぬのだろうと。信号が黄色から赤に変わるように、はい、ここまでは
警察権、ごめんなさい、ここまでは
警察、はい、ここから先は
自衛隊というようなことではなくて、本当にそこはどうやってスムーズにスイッチできるかということも私
どもはよく
警察、
海上保安庁と協議しながら、密接に
連携をし、空白が生じないようにしたいと思っております。
特殊作戦群のお尋ねでございますが、現在、特殊作戦群というものにつきまして計画、訓練をいたしておるところでございます。つまり、今までSAT、
警察のSATというものが出ることになっておったわけでございますが、SAT等と適切に
連携を取りながら
対処することが、
事態の鎮圧の観点だけではなくて防衛力整備の観点からも最も効率的であるというふうに私
どもは考えておるわけでございます。
今はまだ特殊作戦群というのは仮称の段階でございますが、ただいまやっております中期防におきまして、ゲリラや特殊
部隊による
攻撃等各種の
攻撃形態の
対処能力の向上を図るということを計画の方針として掲げておるわけでございまして、そのような専門
部隊を新編すべく、
平成十五年、来年度
予算案に計上しておるわけでございます。これを作りますことによって、
治安出動が下令されましたときに、
自衛隊によります
テロ対処能力、その向上に相当に資することになるというふうに考えておる次第でございます。